千鶴「寒い雪の日には」 (19)

千歳「・・・・・・」

千鶴「・・・・・・」

千歳「今日も寒いなぁ」

千鶴「そうだね」

千歳「こたつは暖かいなぁ」

千鶴「そうだね」

千歳「・・・・・・」

千鶴「・・・・・・」

千歳「雪、なかなか止まへんなぁ」

千鶴「そこそこ積もってるみたいだね」

千歳「外、出たくあらへんなぁ」

千鶴「すっごく寒いもんね」


千歳「千鶴、おばあちゃんのおつか

千鶴「行きたくない」


千歳「・・・・・・」


千歳「・・・・・そか、寒いもんなぁ」

千鶴「・・・・・・うん」

千歳「でも、おつかい行かへんと夕飯作れねんで?」

千鶴「そうだね」


千歳「お願い、お姉ちゃんの頼みや」

千鶴「・・・・・・・」


千鶴「ごめん」

千歳「・・・・・そか」

千歳「困ったなぁ」

千鶴「万事休すだね」

千歳「こたつは人を駄目にするもんやなぁ」



千鶴「・・・・みかん美味しいね」モグモグ

千歳「猫みたいやなぁ」

千歳「なぁ千鶴、ここは公平にじゃんけんで決めへんか?」

千鶴「うーん」


千歳「ほないくで~」


千鶴「じゃ~んけ~ん・・・」

千歳「ぽん!」

七森駅前


千鶴「結局負けちゃったよ・・・」


千鶴「こういう時に限って姉さんじゃんけんに強いんだよね」

千鶴「・・・・・」ザクザクザクザク


千鶴「長靴履いてくればよかったなぁ」


ザクザクザクザク

千鶴「靴に染みこんできた・・・冷たい」

スーパー前

楓「あっ!ちづるおねえちゃん!」

千鶴「あれ・・・楓ちゃん?」

楓「ちづるおねえちゃんはお買い物にきてるの?」

千鶴「まぁね、ちょっと夕飯のお使いに」

楓「かえでもおつかいにきてるんだよ!」


千鶴「お使いなんて偉いね。楓ちゃん一人なの?」

楓「うん!櫻子おねえちゃんが外に出たくないって言うから、代わりにきたんだぁ」

千鶴(考えることは皆同じなんだな・・・こんな小さい子に一人でお使い行かせるのもあれだけど・・・)

千鶴「楓ちゃんは何を買いに来たの?」

楓「にんじんとじゃがいもとたまねぎを買いにきたの!」


千鶴「あっ、私も同じもの買いに来たんだよ」

楓「ホントに!?」


千鶴「じゃあお姉ちゃんと一緒にお買い物しよっか?」

楓「一緒にお買いものするー!」

千鶴「じゃがいもは、固くて芽が出てなくてのを選ぶんだよ」

楓「へぇー」

千鶴「にんじんは表面がつやつやで、デコボコしてないのがおすすめだよ」

楓「そうなんだぁ」

千鶴「たまねぎもつやつやで、てっぺんを押してもへこまないのが良いんだよ」


楓「ちづるおねえちゃんって、ものしりなんだね!」


千鶴「ま、まぁそれほどでも・・・ないよ」

千鶴(ちょっと嬉しい・・・かも)

七森公園前

楓「ちづるおねえちゃんとのお買いもの、すっごく楽しかった!」

千鶴「私も楽しかったよ・・・」


楓「ねぇ、また今度いっしょにお買いものしようね!」

千鶴「そうしよっか」


千鶴「そういえば、雪止んじゃったね」

楓「あっ!ほんとだ」

楓「ここ、水たまりになってる!」

千鶴「晴れてるせいなのかな、溶けるのはやいね」


ブロロロロロ・・・・

楓「・・・あっ!」

千鶴「・・・トラック!危ないっ!」バシャッッ!!

楓「ひゃあ!」

千鶴「楓ちゃん、大丈夫?」

楓「う、うん・・・」

楓「・・・ちづるおねえちゃん!服がびしょびしょだよ!」

千鶴「え?・・・うわっ!」(冷たっ!)

楓「おねえちゃん、寒くない・・・?」

千鶴「大丈夫だよ、家に帰って着替えればいいだけだよ」



千鶴「・・・くしゅん!」

楓「じゃあちづるおねえちゃん、ばいばい!」

千鶴「またねっ」


楓「・・・あっー!!」

千鶴「!?」ビクッ

楓「どうしよう・・・シチューのもと買ってくるの忘れちゃってた・・・」

千鶴「え?」

楓「あのね、今日はシチューを作るつもりでおつかいに行ったんだけど・・・」

楓「おねえちゃんとの買いものに夢中で、そのこと忘れちゃってた・・・」

千鶴「・・・・・・」

ガサゴソ

千鶴「はい、これ上げるね」

楓「あれ?これってシチューのもと?」

千鶴「うん」

楓「もしかしてこれ、ちづるおねえちゃんの・・・」


千鶴「楓ちゃんは、今日一人でお使いに来たんだよね?」

千鶴「だからこれは、お姉ちゃんからのご褒美だよ」


楓「あ・・・ありがとう!」

千鶴「じゃあ、またね」

楓「うん!ばいばい!」

池田家


千鶴「ただいまー」

千歳「あっ!お帰り千鶴」

千鶴「姉さん、これ今日の夕飯の・・・」

千歳「わぁ、ありがとうな~・・・って、シチューの素があらへんよ?」ガサゴソ



千鶴「まぁその・・・色々あってね」

千歳「・・・そか、色々あったんか」

千歳「じゃあ今日は、温かいポトフでも作ろかね~」

千歳「でも、その前に・・・」

千鶴「?」

千歳「千鶴、服がびしょびしょやん」


千鶴「うっ」


千歳「まずは一緒に温かいお風呂に入って、そのあと一緒に温かいポトフ作ろか」

千鶴「・・・そうだね」


千歳「今日は寒いもんなぁ」

千鶴「今日は寒いもんね」



おしまい(やで)

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