美海「大切な人にチョコレートを」 (76)

女子A「ねーバレンタインどうするー?」

女子B「誰にチョコ渡すー?私はー」

美海「………」

さゆ「ねぇ美海」

美海(そっか…もうすぐバレンタインなんだ…)

美海「………」チラッ


光「いやー五年眠ってたから疲れるわー五年眠ってたからなー」

クラスメイト達「wwwwwww」どっ

さゆ「ねー美海ー」

美海(光にあげたら…喜んでくれるかな……)

さゆ「美海ってばー」ユサユサ

美海「えっ?ど、どうしたの?さゆ」

さゆ「さっきからずっと呼んでるじゃん…」

美海「ご、ごめん!考え事してた!」


光「つれーわー五年間冬眠してたからマジつれーわー」

クラスメイト達「wwwwwww」どっ

さゆ「まー良いけど」

さゆ「それで、美海はどうするの?」

美海「どうするって……何が?」

さゆ「バレンタイン。もうすぐじゃん」

美海「あ…ちょうど今考えてた所」

さゆ「やっぱり光にあげるんでしょ?」

美海「う…うん……///」


光「いやー中学生若いねー」

クラスメイト達「wwwwwww」どっ

美海「でも、渡しても喜んで貰えないんじゃないかなって…」

さゆ「確かにあのタコ甘い物好きそうには見えないもんねー」

さゆ「…でも大丈夫でしょ」

さゆ「チョコ貰って嬉しくない男なんていないって」

美海「そ…そうかな……?」

峰岸「………」チラッチラッ

美海「さゆはどうするの?」

さゆ「ふぇっ!?」

美海「やっぱり要さん?」

さゆ「ちちち違っ」

美海「渡さないの?」

さゆ「わ、私があげても喜んで貰えないし……」

美海「さゆ……あはは…」

要「僕がどうかした?」

さゆ「!?」ビクッ

光「なーにさっきからこっちチラチラ見てんだよ?」

美海「ひ、光…!?」

さゆ「…な……」

要「?」

さゆ「なんでもないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」ダッ

美海「あっ!さゆ!!」

帰り道

光「何であいつ急に逃げ出したんだ?」

美海「え!?さ、さぁ…?」

光「相変わらず訳分かんねえ奴だよなー」

美海「………」

美海(そうだ…!甘い物好きか聞く位なら…!)

美海「………」

光「…なんだよ。俺の顔に何か付いてんのか?」

美海「なっ…なんでもない!」

光「…変な奴」

美海「そ、それより!」

光「うぉっ!」

光「なんだよ急に大声出して……」

美海「その…光は…」

美海「……甘い物って…好き…?」

光「甘い物?」

光「別に嫌いじゃねえけど……」

光「…まあ、どっちかって言うと好きな方じゃねえの?」

美海「ほ、本当!?」

光「お、おう…」

美海「良かった……」

光「…で、それが何なんだよ?」

美海「な…内緒!」

美海「ただいまー」

光「ただいまー」

あかり「あら、二人ともお帰りー」

晃「おむ」

美海(チョコ作るならお母さんに相談した方が良いよね……?)

美海「お母さん。ちょっと良い…?」

あかり「なーにー?どしたの美海」

美海「ちょっと相談したくて…」

光「何かあったのかよ?」

美海「光はあっち行ってて!」

光「…はいはい」

光「よーし行くぞー晃」

晃「おむ」トテトテ

誰も見ていなくても続ける


あかり「で?相談って何?」

美海「その…もうすぐバレンタインでしょ?」

あかり「そうだねぇ」

あかり「ってもしかして…チョコ渡したい人でも出来た?」

美海「う、うん………///」

あかり「そっかー美海ももうそんなお年頃かー」

あかり「今までは至さんと晃ぐらいだったもんねー」

美海「もう、お母さん………」

あかり「そういう事ならお母さん、協力するわ」

あかり「バレンタインと言えばやっぱり手作りチョコよ!」

翌日

パラリラパラリラ

若旦那「よーう光ィwwwwwww!」

光「おお、狭山!」

若旦那「暇ならこの後どっか遊びに行かねえwwwwwww?」

光「別に良いけど、お前こそ仕事は良いのかよ!?」

若旦那「良いの良いのwwwwwどうせもう配達終わりだしwwwww」

光「あー…じゃあ遠慮なく……」

若旦那「おう乗れ乗れwwwwwwwパチンコでも行くべwwwwwww」

光「俺まだ14だぞ……」

あかり「よし、光は若旦那に頼んで連れ出して貰ったし……」

あかり「バレンタインチョコの練習始めよっか!」

美海「よろしくお願いします!」

さゆ「よ、よろしくお願いします!」

晃「おむ」

あかり「ほらそこかき混ぜすぎ!」

さゆ「ふぇっ!?」

さゆ「うぅ…チョコなんて溶かして固めれば…」

あかり「駄目。そんなんじゃ想いはちゃんと伝わらないよー」







若旦那「畜生!何だよこの糞台!!」バンバン!!

光「お、おい……落ち着けよ狭山……」

あかり「お、美海良い感じ」

美海「本当!?」

さゆ「う~……」


晃「みうー」トテトテ

ガシャン

美海「あっ……」

ダバァ…

美海「」

あかり「こら晃!!」

晃「おむ……」ショボン

美海「い…良いよお母さん!」

美海「私、作り直す!」

あかり「美海…」

さゆ「わ…私も!!」

晃「ごめんおむ……」






若旦那「あああああああ!!また有り金全部スッたじゃねえかあああああああ!!」バンバンバンバン

光「や、止めろ狭山!みんな見てるぞ!」

先生「おや↑?光↑じゃない↑か↓」

光「ゲッ…!先生!」

先生「光。真っ昼間からパチンコ店なんかに居たら駄目じゃないか」

先生「書類上は19歳でも肉体は14歳のままだからね」

光「はい…すいません……」

光(何で俺こんな所で冴えない顔した変な喋りのおっさんに怒られてんだ)

パチンカス「おい…どけよおっさん」

先生「あっ…ごめんね…」

先生「旬も、中学生をこんな所に連れて来たら駄目だよ」

狭山「うっす……」

ブロロロロロ

光「はぁ…散々な目に遭った……」

若旦那「悪ィな光」

若旦那「しっかし思わず『あぁ_!?』ってブチギレる所だったぜwwwwwww」

光「勘弁してくれ……」

若旦那「ん?おいあれ要じゃねwwwwwww」

光「お、マジだ」




光「ってあいつ服着てねえぞ!」

美海・さゆ「出来たー!」

あかり「ん。美味しいじゃない!」

あかり「これならきっとどんな男の子もメロメロよ!」

美海・さゆ「///」

晃「おむ?」

あかり「オムライスじゃなくてチョコだよー」

晃「おむ……」

要「すみません。今日っていつですか?」

女性「えっ…知りません」スタコラ

要「すみません。今日っていつですか?」

少女「えっ…ちょっと無理です」スタコラサッサ

要「すみません。今日っていつですか?」

光「………」

要「って光じゃないか」

要「どうしたの?」

光「どうしたの?ってこっちが聞きてぇよ!」

光「お前何やってんだよ!捕まるぞ!?」

要「大丈夫だよ。この世にはイケメン無罪という言葉が……」

ポリスマン「おい!お前ら何やってる!!」

光「ほら言わんこっちゃない!」

要「おかしいな……」

若旦那「おいお前ら早く乗れ!」

光「おう!」

ガラッ

若旦那「おい馬鹿!座席は2つしかねえんだぞ!」

若旦那「お前が助手席に座ったら全裸の要が荷台に乗ることになるだろうが!」

光「しまった!」

要「僕は別に荷台でも……」

若旦那「うるせぇ!俺を犯罪者にする気か!」

あかり「それじゃ、バレンタインの前日に本番用のチョコを作ろうね」

美海「うん、ありがとうお母さん!」

さゆ「ありがとうございました!」

晃「おむしゃむしゃ」

あかり「美味しい?」

晃「おむ」コクリ





光「おい狭山!このままだと捕まるぞ!」

若旦那「仕方ねえ!要!荷台に乗れ!」

要「分かった」

さゆ「美海、今日はありがとね」

美海「うん。さゆ、お互い頑張ろう!」

さゆ「おー!」

さゆ「それじゃ、バイバイ!」

美海「うん。また月曜に」





若旦那「よし、とりあえず光の家まで飛ばしてくぞ!」

光「おう!」

要「風が気持ち良いな…」

さゆ「あれ?サヤマートのトラック……」

さゆ「って、荷台に乗ってるのって要さん!?」

さゆ「ど…どうしよう…今変じゃないかな…?」





若旦那「よし、何とか撒いたな」

光「狭山はもう店に戻れよ」

光「俺はとりあえず要に服貸して話聞くから」

若旦那「あーそうだな。それじゃ停めるぞ」

さゆ「か…要さん!」

さゆ「って……」

さゆ「え……?」






若旦那「じゃーなー光ィ!」

若旦那「またどっか遊びに行こうぜー!」

光「おう!」

ブロロロロロ

要(全裸)「やあ。さゆちゃん」

さゆ「」

要(全裸)「あ、そうだ」

要(全裸)「すみません。今日って……」


要(全裸)「いつですか?」サワヤカスマイル

光「あ…あの馬鹿また…!」

光「おい要!ふざけたこと言ってんじゃ…!」

さゆ「」

光「さゆじゃねえか!」

要「さっきから何故か一言も喋らないんだ」

光「お前が全裸だからだよ!」

要「?」


さゆ「」バタリ

光「おい、倒れたぞ!」

要「大丈夫かさゆちゃん!しっかりするんだ!」

要「よいしょっと…とりあえずすぐ近くの光の家まで運ぼう!」

光「やめろ!全裸で女を担ぐんじゃねぇ!」

ガラッ

要「お邪魔します!」

光「やめろ!全裸で人の家に上がるな!」

光「せめてバレないようにこっそり入れぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

要「光!今は緊急事態なんだぞ!」

要「そんな悠長な事を言っている場合じゃ無いだろ!」

光「あ…ごめんなさい」

さゆ「………zzz」

要「ふぅ……これでよし」

光「よしじゃねぇ」

晃「パンツー」

光「おお、サンキュー」

光「ほら。とりあえずこれ履いとけ」

要「仕方ないなあ」

光「そろそろ殴って良いか?」

美海「さゆ!」

光「大丈夫だ。眠ってるだけだよ」

美海「良かった……」

光「………」

光「ほら出るぞ要」

要「うん。そうだね」

光「色々聞かせて貰うからな」

光「…で?何で全裸だったんだよ」

要「ほら、僕たちって目覚めた時、全裸だっただろ?」

要「あれ以来、ハマっちゃったんだよね」



要「…裸で街を練り歩くの」

光「変態じゃねえか」

要「ははは。冗談だよ」

光「全く冗談に聞こえなかったぞ」

光「じゃあ本当の理由って何なんだ?」

要「…僕って地上に身寄りが無いだろ?」

光「まぁ…そうだな」

要「…そうなると必然的に居候先の紡から服を借りる事になる」

要「僕はそれが許せなかったんだ」

要「…そう、あいつのお下がりなんて死んでも御免だ」ギリッ…

光「か…要さん…?」

要「さゆちゃんも容態も落ち着いたみたいだしそろそろ帰るよ」ヌギッ

光「待て!脱がなくて良い!」

光「その服やるから!そうだ!他にも何着かやるよ!」

要「え?本当かい?」

光「お、おう」

要「ありがとう。光」サワヤカスマイル

要「何も着いて来る事ないのに」

光「お前(の頭)が心配なんだよ」

要「僕は全然普通だよ」

要「っと着いた。まあお茶でも飲んでいきなよ」

光「居候の割に偉そうだな」

要「ただいまー」

紡「お帰り。遅かったな」

要「チッ…」

要「ちょっと光と遊びに言ってたんだ」

紡「そうか」

教授「やあ。光君と要君じゃないか」

光「げっ………」

教授「えっ今『げっ』って言った?」

光「言って無いっす」

ちさき「ご飯出来ましたよー」

ちさき「って光!?」

光「よっ。ちさき」

ちさき「どうしたの?こんな時間に」

光「ちょっと要を送りにな」

ちさき「要を?」

光「…まぁ今度話す、多分」

光「それじゃもう帰るわ」

紡「待て」

光「どうした紡」

紡「良かったらお前もウチで食べて行かないか」

光「良いよ。悪いし」

光「それに、急に一人分用意するなんて無理だろ」

ちさき「それなら大丈夫」

光「えっ?」

ちさき「ちょうど、教授の分のご飯が余ってるから」

教授「!?」

紡「………」モグモグ

要「………」モグモグ

ちさき「………」モグモグ

光「………」モグモグ

光(…帰りてぇ)

教授「………」グゥゥ…

ちさき「教授。お腹の音うるさいですよ」

教授「ご、ごめんよ…」

要「…ごちそうさま」

要「……ちょっと散歩して来るよ」

光「ちゃんと服着て行けよー」

要「分かってるって」

ガラッ


光「………」

光(みんなに話すなら、今だよな)

光「なぁみんな、ちょっと聞いてくれ」

ちさき「要がおかしくなった?」

紡「いつもと同じように見えたが」

光「いや、確かにあいつはおかしくなっていたんだ」

紡「教授、何か分かりませんか?」

教授「いや、話で聞いた限りではさっぱりだなぁ」

教授「それにこういうのは専門外だし………」

光「…使えねえな」

ちさき「明日から教授のご飯全部に青い食紅を入れるようにしますね」

教授「ま…待った!要君が戻ったら話を聞いてみよう!」

要「ただいまー」

要「ちさき、お茶」

紡「要、ちょっと良いか?」

要「チッ……」

要「何か用…?」

紡「教授が話があるみたいなんだ」

要「…分かった」

『それじゃ要君、少しの間僕と話し合おうか』

『はい。よろしくお願いします』

光「………」

紡「………」チラッ

ちさき「………」

光「……紡、要が心配か?」

紡「あぁ。あいつは俺の命の恩人だからな」

紡「一生掛かっても恩を返しきれないと思っている」

光「…そうか」





要「ふぅ……」

紡「お疲れ。風呂にでも入って来たらどうだ」

要「チッ……」

要「そうだね。そうさせて貰うよ」

紡「教授。お疲れ様です」

ちさき「何か分かりましたか?」

教授「ふっ……」




教授「駄目だ。何も分からないよ」

光「……使えねえな」

ちさき「明日から教授の青いお味噌汁の具はジャガイモの芽だけにしますね」

光「ただいまー」

美海「あっ、お帰り光」

晃「おむ」

美海「さゆ、目が覚めたよ」

光「へぇ良かったな」

美海「うん。あ、ご飯出来てるよ」

美海「今日は私が……」

光「要らね」

美海「えっ……」

光「悪い。紡の家で食って来たんだ」

美海「そ、そう………」

美海「………」

2/10(月)

要「おはよう光」

光「おう」

要「美海ちゃんもおはよう」

美海「おはようございます」

光(普通…なのか…?)

要「今日はさゆちゃんは休みかな?」

美海「本当だ…いつもならこの時間はもう居るのに」

それからしばらくの間、さゆが学校に来る事は無かった

2/14(金)

光「今日はあいつ来るんだよな?」

美海「うん。電話でそう言ってた」

美海(チョコ、一人で作るって言ってたけど……)

要「おはよう。二人とも」

光「よう」

美海「おはようございます」

光(今日も普通。と)

ガラッ

さゆ「………」

美海「あっ、さゆ!」

さゆ「………おはよう」

光「よっ。調子はどうだ?」

さゆ「………うん」

美海「さゆ……?」

女子A「先島先輩!これ受け取って下さい!」

女子B「要先輩!これどうぞ!」

光「そういえば今日ってバレンタインか……ありがとな」

要「ありがとう。大切に食べるよ」


美海「二人共結構貰ってるね……」

さゆ「………うん」

美海「私達も早く渡さないと……」

さゆ「………うん」



峰岸「………」チラッチラッ

放課後

光「帰ろうぜー美海」

美海「う、うん」

美海(結局渡せなかった……)




峰岸「」パカッバタン

峰岸「」パカッバタン

峰岸「」パカッバタン

峰岸「」パカッバタン

峰岸「」パカッバタン

峰岸「」パカッバタン

男子「しっかりしろ峰岸!何度確認しても下駄箱は空っぽだ!」

美海「………」

美海(…今なら誰もいない)

美海「ひ…光!」

光「ん?どうした」

パラリラパラリラ

若旦那「光ィィィィィィィィィィィィ!!」

光「うおっ!狭山!」

美海「」

若旦那「聞いてくれよ光ィ!」

若旦那「高校生だった去年までは普通にチョコ貰えてたのに今年は義理チョコの一つも貰えてないんだぜ!?」

若旦那「酷いと思わねえか!?」

光「あーはいはい」

若旦那「ってお前何だそのチョコの量は!?」

光「別にそんなんじゃねえよ」

光「どうせ珍しがってくれただけだろ」

若旦那「うっせー!もう光なんて知らねーからな!」

ブロロロロ

光「ったく……」

光「で、何だったっけ?」

美海「え…」

美海「な、何でもない!」

美海(どうしよう…タイミング完全に無くしちゃった……)



光「そういやお前、あいつにあげたの?」

美海「え?」

光「あの同じクラスの……峰岸?とかいう奴だよ」

美海「あ…あげてない!」

光「駄目だろちゃんとあげなきゃあ」

美海「峰岸とはそんなんじゃないってば!」

美海「峰岸なんて全然好きじゃないから!」

美海「私が好きなのは光で…!」



光「……は?」

美海「あっ…!」

光「お前…今……」

美海「………///」

光「…そ、そういえば俺も五年前にお前の事好きって言ったっけなー!」

光「そしたらお前、ロリコンと間違えてドリコンとか言い出して…」

美海「…違う」

光「え…」

美海「…そういう好きとは違う」

美海「私は…五年前からずっと…異性として光が好きだった」

光「……!」

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