和「サキリスク」咲「和了麻雀帳」(123)

スレ立て代理です。

21世紀……世界の麻雀競技人口は一億人の大台を突破。

我が国・日本でも、大規模な全国大会が毎年開催され、プロに直結する成績を残すべく高校麻雀部員達が覇を競っていた……

そしていつしかオカルトが横行するようになり、その能力は徐々に陣地をこえていき、そして――


地球は、オカルトの炎に包まれた!!


海は枯れ地は裂け、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた。

しかし、人類は死に絶えてはいなかった。

爆心地となった日本は非麻雀三原則を掲げ、オカルト雀士を隔離し、平穏を取り戻そうと考えた。

隔離された雀士達は、いつかまた麻雀を打てることだけを願い、己のオカルトを磨き続けた。

そしていつしか憎しみの矛先を、オカルト事件に深く関わった人物へと向けるようになり、いつしか隔離所は二分され、袂を分かつようになる。

そうした経緯で憎しみあう者達がいた。

骸は野に朽ち 御魂は血に染み絆は刃に分かたれた。

闇についえし真心が泣く。

愛する者よ、死に候えと――――


これは、両集落の和睦を目指す、少女達の軌跡。

 
<注意>

このスレッドは『バジリスク-甲賀忍法帖-』の咲キャラパロスレです。

人が死んだりキャラが崩壊したりしますので、そういうのが苦手な方はご注意下さい。

つまんね

消えろ

見よ、豹馬

ふんふむ

 
【伊賀・ツモ隠れ】

華菜「憂鬱だ」

姫子「いきなり何ば言いよるとー?」

華菜「和様のことだよ」

華菜「……宮永の奴に相当入れ込んでる」

姫子「まあ、逢瀬の際贈りたいからとお菓子作りに励んでるほどばい」

哩「おかげでこうして菓子には困らっちょらんが……」

姫子「和菓子屋出身のシズが指導してるから滅茶苦茶美味しいとー」

哩「毎日でも飽きんばい」

姫子「しかも今日は福路さんや憧も手伝っとう」

姫子「きっと美味しいもんが差し入れされっとよ」

華菜「じゃあちょっくら渋谷ん家に行って上質のお茶をもらいに――」

華菜「じゃなくってだな」

強チェリーカスすぎるんだがあれ
マジでバランスが悪いあの台

 
華菜「……お前らは、ぶっちゃけ、どう思ってるんだ?」

哩「どう……とは?」

姫子「まぁ、正直たまにはもうちょっと塩気の強い差し入れとかが食べたくなる時も……」

華菜「確かにポテチとかそーいうジャンクなのもたまには……」

華菜「って、そうじゃなくて」

華菜「……和睦について、だよ」

哩「……」

華菜「長年憎みあってきて、不戦の約定結ばれるまでは殺し合ってきた相手」

華菜「当然、友人知人親族恋人……親しい人間を、甲賀の連中に殺された奴だって多い」

華菜「和睦なんかじゃなく、不戦の約定の解除による全面戦争を望む声だって聞く」

華菜「……私だって、甲賀の奴らが憎いしな」

哩「池田……」

始めに注意書があるSSは漏れなく糞
これ豆な

 
華菜「お前らは、どうなんだ?」

華菜「このまま行くと、次期頭領同士の婚姻を持って和睦が成立しそうだけど……」

華菜「本音としては、さ」

哩「……私には、姫子がおるばい」

哩「姫子と幸せに暮らせるなら、それでよかと」

姫子「部長……」 キュンキュンキュイン

哩「姫子さえ居てくれたら、和睦だろうが戦場だろうが……」

姫子「部長……」ギュッ

哩「……まだ日中とよ、甘えんぼさんめ」ツンツン

華菜「バカップルめ……」ケッ

 
哩「……私かて、甲賀の連中は憎か」

哩「けど、それ以上に――」

哩「奴らへの憎しみ以上に、姫子への愛情を大事にしたかばい」

姫子「……私も、先輩と一緒なら、和睦だろうが戦争だろうが構わんとです」

華菜「あーはいはい」

華菜「この脳味噌お花畑コンビめ」

哩「自分が福路とうまく行ってないからって僻まんと」

華菜「べ、別に私とキャプテンはそんなんじゃないし!」

華菜「ただ同じ任務を何度も共にする信頼された部下というか何というか……」 ウェヘヘ

哩「あ、この団子美味か。食べてみ」

姫子「あ、ほんとですね。甘さがしつこくなくて食べやすか~」

華菜「聞けよ」

80%引かないと勝てないし
ウーハーうるさいし
ただのエナ台

期待

できませんね、こりゃ

 
哩「……ま、私は、愛する人がいる幸せを知っとるばい」

哩「どんなに甲賀が嫌いでも、だからといって、和様からこの幸せを奪おうとは思えん」

華菜「……まあ、な」

華菜「でもやっぱり私は甲賀に嫁に行くのは反対だけどな!」

華菜「幸せになれるか怪しいものだし」

哩「それは確かにその通りばい」

姫子「乗り越えなきゃいけない壁もいっぱいあると」

哩「本来なら、叶わないし叶っても不幸になるだけの関係」

哩「……せめて不戦の約定が結ばれてる間くらいは、幸せになれる可能性があるだけに、応援しちょる」

華菜「……ま、どうせ不戦の約定のせいで、結婚に反対しても戦争するわけにもいかないんだけどさ」

姫子「そーそー」

姫子「考えるだけ無駄と~」

 
晴絵「あ、ここに居たんだ」

哩「赤土様……!」

晴絵「あ、いいってそんな改まらなくて」

姫子「こんなボロ屋までよくお越しに……」

華菜「おうコラ私ん家だぞ」

晴絵「あ、これ、手土産ね」

哩「ありがとうございます」

姫子「これは……?」

晴絵「柿の葉寿司」

晴絵「和に教えてあげた帰りだからさ、練習台に使ったやつだけど、よかったら食べて」

華菜「ありがとうございます!」

哩「あ、よろしければ、汚い家ですがどうぞ上がっていってください」

姫子「あ、今お茶入れますね!」

華菜「私ン家だっつってんだろ」

 
晴絵「それで、こっちが本題なんだけど……」

晴絵「哩さ、明日から、私と一緒に駿府まで行ってくれる?」

哩「駿府……ですか」

晴絵「そ。御膳の前で、オカルト勝負をしてほしいって文が来ててね」

華菜「オカルト勝負、ですか」

哩「ご指名いただき光栄です」

哩「して、お相手は?」

晴絵「分からない」

晴絵「……対戦相手は、甲賀から一人選ばれることになってるから」

華菜「!!」

姫子「えっ……!?」

哩「と、いうことは、まさか……」

晴絵「……そう。甲賀と伊賀のオカルト勝負よ」

 
哩「なるほど……しかしこの時期に、ですか」

華菜「ぐあーっ、私も出たかったし!!」

晴絵「まあ、両陣営の跡取り同士の恋路の話でも伝わったからこそ、この時期なんじゃないかな」

晴絵「まぁ詳しいことはわからないけど……とりあえず、命の奪い合いにまではならないと思う」

姫子「ほっ……」

晴絵「とはいえ、甲賀に負けたくはないからね」

晴絵「コテンパンにやってくれそうで、なおかつ相手を殺さずにおけそうな冷静さを持った哩を代表にしようかなって」

哩「恐縮の至り」

哩「まさか、清水谷様や大星を差し置いて私を選んでいただけるなんて……」

晴絵「相手を殺しかね奴もそうだけど、レアだったり相手に見せずにとっておきたかったりする能力者も出せないしね」

晴絵「まだ和睦が確定したわけじゃないしさ」

晴絵「ほら、哩の能力は見たことあるってだけじゃ防ぎきれないでしょ?」

華菜「確かに、不意打ち騙し討ちもできるけど、真っ向からでも戦える戦闘向け能力か……」

晴絵「そんなわけで、頼んだわよ」

哩「はっ……!」

 
姫子「御前試合終わったら一緒に駿府観光したかと~」

哩「ああ、どこば行きたいね?」

晴絵「あーこれこれ君達」

晴絵「姫子はお留守番だからね?」

姫子「えっ!?」

哩「……ですが赤土様、私達は常に傍にいないと集中力がですね」

晴絵「一応和睦直前だし、無用に戦力引き連れて行くわけにもいかないのよ」

晴絵「……私と出場者の二人で来るよう指示もあったし」

姫子「ぶぅ……」

哩「まあ、すぐに帰ってくるばい。そしたらゆっくり二人で温泉でも行くと」

姫子「絶対ですよぉ……」

哩「私が姫子との約束ば破ったことあると?」

姫子「……ううん、なかとです」

哩「……だから、ちょっとの間寂しい想いさせてまうこと許してほしか」

華菜「あークッソ、どいつもこいつもノロケやがって」ケッ

 
【甲賀萬子谷】

咲「……うーん、どの服がいいだろう」

洋榎「服はともかく、とりあえず詰め物でもした方がええんちゃう?」

咲「ええ!?」

洋榎「女は胸ある方がええでー」 ケラケラ

絹恵「お姉ちゃん、失礼やで」

絹恵「相手はこの萬子谷の次期頭領様なんやから」

洋榎「へーへー」

洋榎「……まあでも、好きにしてええんと違う?」

洋榎「本来の自分を見てくれる奴とくっつくんが一番やで」

咲「そうだけど……」

洋榎「……別に、両国の和睦、なんてもんは気にせんでええから」

洋榎「好きにやったらええやん」

洋榎「大体ほとんどの人間は和睦なんて反対しとるしな!」

絹恵「お姉ちゃん!」

 
咲「……やっぱり、皆は反対なのかな……」

洋榎「……まあ、ウチら甲賀の人間は、伊賀への憎しみをオカンからたっぷり教わっとるからなあ」

洋榎「そら簡単に納得とはいかんのちゃう?」

絹恵「私達は直接的恨みは特にないけど、親世代は、どうしてもねぇ……」

咲「……」

洋榎「ま、ウチはアンタの味方やさかい、好きにしたらええ」

絹恵「姉帯さんとかも、消極的やけど賛同みたいやし……」

洋榎「麻雀禁止になって以降も、オカルトで雀牌使わず戦って死人をぎょうさん出してもーたのがやっぱり響いとるわなぁ」

絹恵「……せやなぁ……平和になったんも、ここ10数年のことやし……」

洋榎「オカンの代で不戦の約定は結ばれたけど、まあ、ムズカシイわ」

絹恵「……そう、やね」

洋榎「……ウチは、ダチも戦死したことあるしな」

咲「……」

洋榎「ま、いつまでもジメジメやっとるわけにもいかんし、さっさと仲良くして麻雀復権したいしな!」

洋榎「ウチはくっつこーが戦争しよーが大将に任せるわ!」ハッハッハ

 
洋榎「せやからさっさと祝言あげーや」

絹恵「うん。健夜様も、今では応援してくれとるし」

咲「そう……だよね」

洋榎「そーいや、健夜様、何か駿府へ出かけたとか聞いたな」

絹恵「何でも将軍様の命で、麻雀オカルトを披露しに行くんだとか……」

洋榎「はあ!? ウチ聞いてへんで!」

絹恵「まあお姉ちゃんの忍法地味だし……」

咲「暴走しそうだし……」

洋榎「いやいや、ウチもこう見えてやる時はやるんやで?」

洋榎「まぁーじでー……ハブとか萎えるわぁ~~~」

絹恵「まぁまぁ……」

絹恵「私にとってはお姉ちゃんがナンバーワンやから」

洋榎「せやろか?」

絹恵「せやせや」

咲「仲いいなあ」 クスクス

 
洋榎「あーでも行きたかったわー」

洋榎「派手に暴れまわってやりたかったわ」

咲「そのためには、見栄えする技名とかがいるかもね」 クス

洋榎「ほら、あれや。そんくらいぱぱっと考えたるわ」

洋榎「秘技・カーネルドートンボリ落とし、とかな」

咲「微妙~」

洋榎「ぐぬぅ……」

絹恵「あ、そろそろ時間ですよ」

洋榎「ほんまやん」

咲「ん~……じゃあ、気に入ってるし、これでいいかな」

咲「あまり原村さんを待たせられないし」

洋榎「ほんなら行こかー」

洋榎「絹は東横の見張り頼んだで」

洋榎「アイツ、加治木死んでからクッソ伊賀のこと恨んどるし、ついてきて破談狙われたら困るしな」

絹恵「うん、任せといてや」

前もあったな。鯖落ちでぶっ潰れたけど

どうせなら輪廻転生した弦之助様と朧様の咲世界での再開みたいな奴を……

 
【駿府】

えり(……この人達が、オカルト雀士……)

えり(風貌からして異常だわ……胸とか胸とか胸とか)

霞「ふふ……」タユンッ



甲賀萬子谷衆 石戸霞



えり(雀士自体初めて見る……)

えり(あっちの方はまだまともそうね……胸とかも) チラッ

哩「……」スッ



伊賀ツモ隠れ衆 白水哩



えり(……はじまるっ!)

 
哩「……」 ニィ

哩「リザベーション・4翻!」

ジャラジャラジャラ!!

えり「!?」

えり「どこからともなく鎖が――!?」

ヒュンヒュンヒュン

えり(鎖が自分の手足を拘束した……)

えり(でも、肝心なのはそこじゃあないッ)

えり(自身の手足を拘束するべく現れた鎖がッ!)

えり(手足を繋ぐまでの過程で、相手をがんじがらめにしているッ!)

えり(い、一体どうなってるの……)

えり(これが……雀士の使うオカルトだっていうの……!?)ブルッ

弦之助「これはあいすまん、つもじゃ」

 
霞「くっ……!」

えり(あっちのおっぱいお化けの反応もすごい……)

えり(瞬時に巨大点棒を体と鎖に割り込ませた……)

大沼「あれは……」

晴絵「我がツモ隠れ衆がエース・白水哩の秘技――リザベーションにございます」

大沼「りざべえしょん、とな」

晴絵「あの鎖は、哩自身を打ち破るか、哩自身がミスを犯せば勝手に砕け、仲間にも被害を齎す鎖……」

晴絵「しかしその制約の甲斐あり、鎖の持つ破壊力は絶対無比!」

晴絵「一度決まった鎖は、更に倍の強度となり飛び交うのですッ!」

哩「……安心するばい」

哩「痛みは一瞬と」

バコォ

えり「いい!?」

えり(鎖で縛られた岩が砕けたァ!?)

大沼(リー棒すら見事に砕く、か……)

 
哩「……屈んでよけたか」

哩「……無様と」

哩「地に伏し、巨大すぎる乳房を無理やり潰すようにして、ようやく致命傷を回避出来るだけ」

哩「服も乱れ、土に汚れ、雀士としてのプライドすら感じんばい」

哩「……今無様に白旗を振るなら、特別に許しちゃる」

哩「それで伊賀は甲賀を超えたとご理解いただけるなら十分」

晴絵「ふっふっふ……」

晴絵「さすが秘蔵っ子、頼りになるわ」

健夜「……」

健夜「勝ち誇るのは、早いんじゃないかな」

どうせ霞刑部はモモなんだろ

 
霞「……」 ムニュッ

どぴゅっ

哩「!?」ビチャッ

えり(な……胸から何か出た!?)

ベトォ……

哩「くっ……こなくそっ……!」ジタバタ

大沼「今のは何だ……」

健夜「母乳に、ございます」

大沼「母乳とな……?」

晴絵「哩のリザベーションに母乳ごときで歯向かおうとは」 ククク

健夜「ふふ……レジェンドさん、侮らない方がいいよ」

健夜「甲賀萬子谷衆・石戸霞の放つ母乳はニカワの如し」

哩(なんっ……う、腕が動かんばい……!)

健夜「粘りはその数百倍よ」

 
ギュムゥ

哩「ひぎっ……!?」

霞「ふふ……動けないでしょう?」 フフフ

哩(こいつっ……!)

霞「本当なら睾丸を握りつぶすところだけど……」サワサワ

霞「付いてないし、さっきは生意気にもギブアップのチャンスをくれたから――」ソッ

霞「今素直に謝ったら、軽く挿れるだけで許してあげるわ」 フフフ

哩「……リザベーション・20翻!」

霞「!?」

ヒュンヒュンヒュン

霞(指にまで鎖……!?) バッ

霞(この娘……麻雀としては無意味な数の鎖まで出せるの!?)

 
バリバリバリ

えり(動けるようにするために、髪の毛と服を切り取った……)

えり(たかだかオカルト披露会で、そこまでする……?)

えり(もう披露は終わったし、普通に負けを認めてもよかったんじゃ……)

えり(それだけ、伊賀と甲賀の恨みは根深いの?)

えり(……それほどまでに、負けたくないの?)

哩「……殺す」

霞「まさか、伊賀者と意見が合うなんてねえ」 フフフ

 
バリバリバリ

えり(動けるようにするために、髪の毛と服を切り取った……)

えり(たかだかオカルト披露会で、そこまでする……?)

えり(もう披露は終わったし、普通に負けを認めてもよかったんじゃ……)

えり(それだけ、伊賀と甲賀の恨みは根深いの?)

えり(……それほどまでに、負けたくないの?)

哩「……姫子のためにも、勝利して帰れたらそれでいいと思っちょったが……」

哩「気が変わった」

哩「……ぶっ殺しちゃる」 ギロリ

霞「まさか、伊賀者と意見が合うなんてねえ」 フフフ

哩が跳ぶ。

リザベーションの鎖を駆使し、縦横無尽に城を飛び回る。

対する霞も宙を舞う。

その魔乳の弾力を持って飛び跳ね、空中より母乳を乱れ撃つ。

哩も鎖でそれを跳ね除け攻撃を加えるが、両者ともに決定打が打てなかった。

立「……もういい」

哩がついにリザベーション100を披露し、霞もまたケリを付けるべく母乳の勢いで迫ったその時。

健夜・晴絵「「それまでええええええええええええ!!!」」

中断を求める声がかかり、死合は幕を閉じたのだった。

鎖が霞の顔面にかかり、睾丸をも容易く潰す握力の霞の腕が哩の首にかかっている。

このまま続ければどちらか、あるいは双方命を落とす接戦であった。

 
霞「この数を避けきれるかしら……?」

えり(母乳の弾丸……あの女に弾切れはないの?)

えり(あの巨大な脂肪の塊にはそれほどまでに大量のものが詰まっているとでも言うの!?)

哩「ニカワは相手にならんよ!!」 ヒュンヒュンヒュン

えり(……あっちの方も、鎖で全部弾いてる)

えり(これが……オカルト雀士……)

えり(かつて国から恐れられ、隔離されたモンスター達……)

おせーよコピペするだけの簡単なお仕事だろが

何かペーストしてくれてる奴おるしさるさん対策で休もうかと思ったのに貼らないのかよ

 
哩が跳ぶ。

リザベーションの鎖を駆使し、縦横無尽に城を跳び回る。

城のあらゆる部位に鎖を巻きつけて、立体的に跳ね回る。

対する霞も宙を舞う。

その魔乳の弾力を持って飛び跳ね、空中より母乳を乱れ撃つ。

哩も鎖でそれを跳ね除け攻撃を加えるが、両者ともに決定打が打てなかった。

立「……もういい」

哩がついにリザベーション100を披露し、霞もまたケリを付けるべく母乳の勢いで迫ったその時。

健夜・晴絵「「それまでええええええええええええ!!!」」

中断を求める声がかかり、死合は幕を閉じたのだった。

鎖が霞の顔面にかかり、睾丸をも容易く潰す握力の霞の腕が哩の首にかかっている。

このまま続ければどちらか、あるいは双方命を落とす接戦であった。

 
立「小鍛治健夜、赤土晴絵。いいものを見せてもらった」

立「双方誠に大義であった」

健夜「ははー」

晴絵「ありがたいお言葉!」

立「時に――世界に麻雀の健全性をアピールし、麻雀復帰のために」

立「二人共、力を貸してはくれまいか?」

健夜「!!」

晴絵「ま、麻雀が復活するかもしれないのですか!?」

立「……そのために、本を書こうと思っている」

えり(……だけど……政府では、争いが起こっている)

えり(その世界に向けて発信する仕事を、息子二人のどちらに託すのか……)

えり(長男だが、ノウハウなどは一切ないヤンガンか……)

えり(ノウハウがあるが、次男であるが故か簡単に埋没しかねないとされる近麻か……)

えり(政府内でも揉め、死人すら出たこの案件の決着をつける方法として打ち出されたのが――)

 





立「そのために必要なんだが――私のため、そして麻雀のために、命がけのオカルト勝負をしてはくれまいか?」





 

 
えり(……命がけのオカルトオカルト勝負)

えり(要するに、殺し合いだ)

えり(もはや理で解決することは不可能)

えり(だから……武力で決めることになった)

えり(でも、貴重な国の戦力をこんなことで失えない)

えり(だからこそ、雀士なんだ)

えり(……雀士なら、どれだけ死んでも国の腹は痛まないから)

えり(先代アナウンサーの福与さんによる不戦の約定)

えり(それを破って、殺し合わせるなんて……)

 
健夜「……元より我々は互いに憎しみ合う一族」

靖子「不戦の約定さえなければ、いつでも殺し合いましょう」

立「……そう」 クイッ

えり「……はい」

えり「二代目アナウンサーとして――不戦の約定を、ここに解除します」

立「……よく言ってくれた」

立「それでは二人共、この二巻の巻物に、甲賀・伊賀それぞれ10人の雀士の名を記せ」

立「これを持って竹書房が次男・近麻派は甲賀に」

立「そしてスクエニとの嫡子・ヤンガン派は伊賀に」

立「私と共同で麻雀復権のための書籍を執筆する跡継ぎの権利を託す」

立「双方相戦い殺し合った末に生き残り巻物を持ってきたものを勝者とし」

立「一族千年の栄冠と麻雀復権、そしてその際のプロ雀士復帰の座を約束する」

 

【甲賀組十人衆】
小鍛治健夜
宮永咲
メガン・ダヴァン
石戸霞
東横桃子
愛宕洋榎
姉帯豊音
天江衣
須賀京太郎
お胡桃



【伊賀十人衆】
赤土晴絵
原村和
白水哩
新子憧
清水谷竜華
池田華菜
大星淡
福路美穂子
鶴田姫子
高鴨穏乃


 

 
健夜「……甲賀萬子谷へ」 スッ

霞「……」

晴絵「伊賀ツモ隠れに」 スッ

哩「……」

シュバッ

シュバッ

健夜「……」

健夜(二人共勢い良く走り出した、か)

健夜「……」 ニィ

 
健夜「……妙な話になったね、レジェンドさん」

晴絵「……本当にね」

晴絵「後継者同士の恋にほだされて、和睦しようとしてた矢先に……」

健夜「……今頃は二人、どこかで会ってるかもしれないね」

晴絵「……不憫だわ」

晴絵「所詮、星が違ったってことなのかしらね……」

健夜「……」

健夜「私達が、そうだったように?」

晴絵「……」

健夜「……さだめ、だね」

晴絵「……恐ろしき天為、か」

健夜「……」

晴絵「……」

 
健夜「……ところでレジェンドさん」

晴絵「ん?」

健夜「貴女、甲賀萬子谷十人衆をよくは知らないでしょ」

晴絵「くく……貴女こそ、伊賀のツモ隠れ十人衆をよくは知らないんじゃない?」

健夜「……十人?」






ドスッ






健夜「九人、でしょ?」

紫炎

 
晴絵「あ……が……」 ゴプッ

健夜「仕込み……点棒……」

健夜「私達世代なら、イカサマのためにあらゆるものを隠し持っておくものだよ」

健夜「……油断、したね」

晴絵「か……は……」 フラッ

健夜「あの哩とかいうマゾっ娘もまだまだだね」

健夜「フトコロからコレを盗られたのに気付かずに行っちゃうなんて」

健夜の懐から、人別帳が取り出される。

指を齧り、己の血で赤土晴絵の名に線を引いた。

晴絵「す……こ……やん……」 クラッ

もう一本。

健夜により射出された点棒が、晴絵の口内を貫いた。

健夜「さよなら――晴絵」

河原のゴツゴツした地面に、後頭部から、赤土晴絵が、倒れた。

 
健夜「……」

そのまま立ち去る事もできた。

そのまま立ち去るべきだった。

健夜「……雀士に生まれた“さだめ”だよ」

だが――健夜はそれをしなかった。出来なかった。

野ざらしにすることができず、歩み寄り、瞼を閉じさせてやる。

健夜「雀士とは……こういうものなんだよ」

その目はどこか悲しみを帯びていて。

晴絵から、すぐに離れることができなくて。

灼「クェェェェ!」

健夜「!?」

晴絵の飼っている、鷺が急下降して襲ってきた際、反応が鈍ってしまった。

ただただ顔面を覆い、鷺のくちばしから逃れる。

そして――――晴絵は、その一瞬を逃さなかった。

 
ブスリ

健夜「…………!!」

自身に突き立てられた点棒を引きぬき、

一矢報いるべく健夜の胸に点棒を突き立てるッ!!

健夜「レジェン……!」

今度は健夜が倒れる番。

仰向けに倒れた健夜は、先ほどの晴絵と違い、倒れた時には事切れていた。

晴絵「くく……」

健夜の口内に溜まった血で、人別帳の健夜の名前に線を引く。

ザマミロといった笑みも、赤く滲んだ文字を見ている内に自然と消えていった。

代わりに浮かぶは、涙だけ。

その意味を知るものは居ない。

晴絵自身も、健夜に寄り添うようにして、命を終えたのだから。

二人の体が、川に流されて行く。

――亡骸から人別帳の巻物を掴み、晴絵の鷺が、伊賀へ向かって飛び立っていった。

 
    すこやん……



                        晴絵……



     ずっと一緒にいてくれじぇんど……



                     うん……ずっと、一緒だよ……例え、怨敵同士でも……







                 ずっと……ずぅっと……二人、一緒に――――






【小鍛治健夜  死亡】
【赤土晴絵    死亡】

保守

「ハルチャンハワタシノトナリダヨ?」

しえ

 
【土岐峠】

咲「……」

咲「やっぱり魔界転生は面白いな……」 パラ

和「……ハァ……ハァ……」 ダッシュ

咲「……原村さん」

和「遅くなりました……宮永さん」

咲「大丈夫、今来た所だから」

和「……では宮永さんも45分の遅刻ですね」

和「次はお互いゆとりを持って家を出ましょう」

咲「え、あ、うん……」

 
和「……あ、それとこれ……」

和「差し入れです。お口に合うかわかりませんが……」

咲「わあ、重箱」

和「色々入れてるんですよ、おはぎとか落雁とか」

咲「甘味だらけ」

和「一応、柿の葉寿司なんかも入っています」

咲「わあ……」

咲「柿の葉寿司は、ちょっと持ち帰って大丈夫かな」

和「?」

咲「……健夜様が、柿の葉寿司、すごくお好きだから」

和「そうなんですか」

咲「昔よく食べたんだって」

 
和「……和睦が、成立したらいいのに」

咲「え?」

和「そうしたら……甲賀まで行って、厨房を借りて、いくつでも柿の葉寿司を作りますよ」

咲「……そうだね」

咲「最初は難しいかもしれないけど、一歩ずつ、進んでいこう……!」

和「はい……」

洋榎「……」

洋榎(アカンめっちゃ見つめ合っとる)

洋榎(これ、最初数回はおもろかってんけど、そのうちキッツくなってきたわ)

洋榎(何で独り身のウチがイチャコラちゅっちゅ眺めなアカンねん)

洋榎(あー帰っていちごの乳でも揉んだろかな) ポケー

 
洋榎「……しっかし暇やわ」

洋榎「いや、そら、せっかくの逢引、二人っきりのがええのはわかってるし、途中で一人離脱したげるけどね」

洋榎「ウチの護衛なんかなくても大丈夫だろうから来なくてええのもよーわかってんねんけどね」

洋榎「かといって村でぬくぬくしとったら、護衛はいるだろとか言って面倒な連中がしゃしゃってくるしなぁ」

洋榎「ほんまソンな役回りやで……」 ブー

洋榎「山ン中とかやることないしなぁ」

洋榎「キノコ食べ歩きもイノシシハントもこの前やってもーたし……」

洋榎「ん?」

洋榎「なんやあれ、コウノトリか?」

洋榎「……何かくわえとるやん」

洋榎「……ひひ、赤ん坊でもくわえとるんか~?」 ニシシ

洋榎「そうれ、それ、ウチに見せてみぃ!」

洋榎「点棒みさーーーいる!」 シュッ

洋榎「あ、外れた!」

洋榎「……まあええか、くわえとったもん落としおったし」

しえ

 
洋榎「……木にひっかかりおった……」

洋榎「……巻物?」

憧「はいストーップ!」

洋榎「あ?」

憧「……そこで止まってもらうわよ、愛宕洋榎」

洋榎「……参ったな。ウチ、そないに有名?」 テレテレ



甲賀萬子谷衆 愛宕洋榎



憧「……常に宮永咲にクッツイてる不細工」

憧「そりゃ有名にもなるわよ」 ハン

洋榎「ああ!?」

洋榎「このプリティフェイスが見えへんのか!」

憧「見えないわよそんな打ち切り漫画みたいなもの」

洋榎「か~~~~腹立たしい奴やで」

元ネタ知らないけど面白い
支援

 
洋榎「そういう自分かて、何か淫猥なのがおる言うて甲賀で有名やで」

憧「はあ!?」

洋榎「ビッチの新子憧ちゃん~ってな」 ヘヘ



伊賀ツモ隠れ衆 新子憧



憧「……その件は後日問い詰めるとして……」 イラッ

憧「その巻物、こっちに寄越してもらうわ」

憧「さっきの鷺はハルエの鷺」

憧「勝手に見られるわけにはいかないのよ」

洋榎「……まーまー堅いこと言わんと」

憧「人のものを勝手に盗らない。常識でしょ!」

洋榎「自分家のボスを呼び捨てる奴に常識説かれんのもなぁ」 ヒョイ

憧「っ!」

憧「その巻物に触れるなって言ったでしょ!」

 
洋榎「さすがにウチも常識くらい弁え取る」 クルクル

洋榎「中身は見ーへん」 クルクル

洋榎「ちゃんと巻物閉じたっただけや」 キュッ

憧「……」

洋榎「……時に……」

洋榎「ウチ、今、ごっつ暇やねん」

憧「は?」

洋榎「……この巻物……」

洋榎「地力で取り返してみたらどーや?」 ニィ

 
憧「あんた……!」 ムカチーン

洋榎「はっはっは!」

洋榎「エア麻雀、オカルト遊びや!」 ハッハッハ

憧「いい加減に――!」

洋榎「どーせ近いうち和睦で身内になるんや」

洋榎「細かいこと気にせんと楽しもうや」

洋榎「だーいじょーぶ、ウチが勝っても巻物くらい読まずに返したるわ」 ガハハ

洋榎「ま、ウチが満足したら、やけどな!」 フフン

憧「このっ……!」 プチン

洋榎「ほな、いざ尋常にファイt――」

メコォ!!

憧「……馬鹿ねえ」

憧「遊びで死ぬこともあるのよ?」

憧「それに――何が和睦よ。虫酸が走るわ」

憧「和の幸せは願うけど……あんたみたいなのと仲良くなんて、願い下げよ」

 
洋榎「……なーに勝ち誇っとんねん」

憧「!?」

憧(ちょ、手応えはあったわよ!?)

憧(コンクリすら壊す私の足テクで逝かないなんてこと、ある!?)

洋榎「残念やったなぁ」

洋榎「ウチはこれでもお笑いの本場大阪で生まれた時から散々どつき漫才してきてん」

洋榎「どんな打撃もウチにとっちゃ心地よいツッコミや」

憧「はぁ!?」

洋榎「オカルトには少なからず生き様も影響する……」

洋榎「ちーと叩かれて凹んだ所で、ウチはすぐ立ち直るでえ」 フフン

憧「ちっ……面倒な奴!」

洋榎「そしてェ!」 スゥゥゥゥゥゥ

洋榎「お笑いに必須な肺活量!」

洋榎「それを持って女芸人が笑いを取るのに使う必須項目『デブ』を一時的に手に入れるッ!」 ボンッ

洋榎「これがウチ・お笑い雀士洋榎の真骨頂や!」 ドヤー

 
洋榎「忍法倍化の術、とかどう?」

洋榎「かっこよくない?」

洋榎「ほら、美少女が瞬時に肉団子とか、見た目的にも美味しない?」

洋榎「インパクトあるし、ほら、映えるんとちゃうかな」

憧「ああもう鬱陶しい!」

憧「暑っ苦しいからさっさとしぼみなさいよ!」

洋榎「えー」

洋榎「空気体に溜め込んだまま喋るって、見た目よりも技術いるんやで?」

洋榎「もうちょい披露させてーな」

憧「うっさい!」 ダッ

洋榎「うおっと!」 ゴロゴロゴロ

洋榎「ハッハッハ!」

洋榎「どや! これぞ人間ピンボールや!」

洋榎「はやいやろー追いつけへんやろー!」

憧「……」 イッラァァ

 
洋榎(しかし……相手も不気味やな)

洋榎(さっきはケッコー距離あったんに、いきなり頭部に打撃を受けた……)

洋榎(何であの距離から瞬時に打撃放てんねん)

洋榎「……」

洋榎(アカン、めっさ楽しい) ゾクゾクゾク

洋榎(この楽しさを維持したまま終わるためにも――)

洋榎「勝たせてもらうでえ!」 ダッ

洋榎(まずは距離を取り、相手の間合いをはかるッ)

洋榎「鬼さんこちら~っ!」 ダッ

憧「洋榎ェッ!」 ダッ

 
新子憧は、先天的オカルトを持っていない。

ただ少々基礎行動が速いだけの雀士であった。

だがしかしッ!

彼女を取り巻く風評が、彼女をオカルトへとのし上げたッ!

1日中ゴムをくわえ、ゴムの臭いや触感をひたすら追求した結果、

憧「風評雀士として、この道を極める方法。それは――」

洋榎「いい!?」

憧「私自身がゴムとなることだッ!」 ビヨーン

憧自身が、ゴムのようになっていた。

手が誰よりも伸びていく。

麻雀では手を伸ばすことが必要な場面もあるし、

座ったまま身を乗り出さずツモれたりと、地味に便利なオカルトである。

ゴムが如く伸びた手足は、鞭のようにしなり、大木をたやすくへし折る凶器と化すッ!

 
洋榎「クッソ、何やねんアイツ!」

洋榎「射程って言葉知らんのか!!」

洋榎「骨なしのバケモンかっつーーーーの!」 ゴロゴロゴロ

憧「チイイ!」

憧「樹林が邪魔して、斬撃にするには振り幅が足りないッ」 ヒュッ

憧「打撃は通らないし、面倒だわ……!」

憧「この骨なしの化け物め!」

洋榎「でも……負けられんわ!」

洋榎「無様に負けたら、可愛い妹に合わせる顔がないしなァ!」 ゴロゴロゴロ

 
穏乃「和様」

和「穏乃……」

穏乃「帰りが遅いから、心配して見に来ちゃいましたよ」

和「ごめんなさい」

咲「あ、私が悪いんです」

咲「ついお話が盛り上がっちゃって……」

穏乃「まー、いーんですけどね、楽しかったなら」

穏乃「……私は和様が幸せそーにしてくれるのが一番ですし」

和「穏乃……」

穏乃「それに山に入るのは趣味でもありますしね!」

咲「わ、ワイルドだね……」

穏乃「ふっふっふ、伊賀の雀士は甲賀の雀士より肉体派だからね!」 ドヤ

和「もう……野山を駆け巡ることはけしてえばることじゃないでしょ」

穏乃「あはは……ですよねー」 タハハ

 
華菜「やっと追いついたし!」 ゼハーゼハー

華菜「も、もうちょっとゆっくり移動しろよ!」 ハヒー

穏乃「いやー、あんまりのんびりするのもあれかなーって」

華菜「途中で寄り道してデッカイ木に登らなかったら歩いても余裕だっただろ!」

美穂子「まぁまぁ、華菜……」

和「華菜、美穂子……」

和「貴女達も来たのですか」

姫子「晴絵様ば戻られるまでは和様が大将と」

姫子「心配するのは当然のことばい」

和「姫子まで……」

咲「慕われてるんだね」 クス

和「揃って過保護なだけです」 ハァ

 
ゴロゴロゴロゴロゴロ

咲「?」

メキメキメキ

洋榎「どっわぁ!」 ドカーーーン

洋榎「クッソ! デブ芸見せてもふっとばされまくって反撃出来へん!」

洋榎「まあこっちもノーダメやからええけ……ど……?」

咲「あれ? 何でここに……」

洋榎「あら、お邪魔……し……」

洋榎「!!」

和「?」 キョトン

洋榎「うげっ!」

洋榎「オロロロロロロロロ」 ゲボー

穏乃「うわあ、吐いた!?」

洋榎「さ、さささ咲! 咲様! アイツに! 原村に、原村様にウチを見んように言うて!」

洋榎「アカン、膨らむために詰め込んだ空気が胃液とかと一緒に戻――」 オロロロロロロロロ

\4

 
洋榎「おうげぇ……げほぉっ」 ビチャビチャビチャ

華菜「きったねぇ!」 ササッ

姫子「ちょ、こっちば来んといて!」 キャー

洋榎「あ、あかん」 ビビクンビクンビクン

美穂子「お、お水を……」 アタフタ

和「あっ……」

和「わ、私……」 オタオタ

咲「……いいよ、大丈夫」

咲「原村さんの瞳で見られると、どんなオカルトもありえなくなって霧散する……」

咲「術でも技でもないんだもん、しょうがないよ」

和「宮永さん……」

洋榎「い、いや、ウチは大丈夫でも何でもな……」 ビチャビチャビチャ

 

洋榎「うっぷ……体の中が空っぽや……」 ヨロォ

憧「追いついたァ!」 ハァハァ

和「憧?」

穏乃「憧!」

華菜「おいおいどうした、お疲れだな」

華菜「野生動物相手にナニかしてたのか~?」 ニタニタ

憧「池田ァ! その女の懐にある巻物を取り上げろ!」

華菜「は?」

華菜「年上には敬語使えー?」

憧「そんなことどーでもいーから!」

憧「ソレより早く巻物を!」

憧「あれ、ハルエからのメッセージよ!」

華菜「!?」

 
咲「……どういうこと?」 ジロリ

洋榎「あ、えと、これは、その……」 アセアセ

洋榎「その、親睦を深めるべく、巻物を賭けたちょっとしたゲームを……」 アセアセ

ドガッ

洋榎「あいたーーー!!」

咲「……本当に、うちの者が申し訳ありませんでした」 ペッコリン

咲「これ、巻物です」

美穂子「……確かに受け取りました」

華菜「ったく、自分とこの側近くらいちゃんと躾けておいてくれないと困りますよ」 ジロリ

洋榎「……」 ギロリ

華菜「何か反論でもあるのかゲロ女」 ギロ

咲「え、ええと……」 オロオロ

和「やめてください、池田さん。宮永さんの右腕の方に失礼ですよ」 キッ

華菜「……はい」 シブシブ

 
和「それで、巻物には何と?」

美穂子「ええと……」 シュルシュル

華菜「ちょ、ちょおっと待ったーーーーー!!」

美穂子「え?」

華菜「いやいやキャプテン、確かにキャプテンのそういう天然で分け隔てない所はマジ天使でチャームポイントですけども!」

華菜「さすがに機密文書臭丸出しの巻物を甲賀の前で開けるのはまずいですって!」

美穂子「……あっ」

和「構いません、どうせ祝言をあげたら同じ一族になるのです」

憧「そうかもしれないけど、生憎まだ婚姻前」

憧「一緒になるその瞬間まで、あくまでソイツは対立集団のドン」

憧「公私分ける所は分けてもらわないと」

和「……」

 
咲「あはは……新子さん達の言うことが正しいよね」

咲「気が利かなくてごめんなさい……席、外しますね」 ザッザッザッ

和「あ、宮永さん!」

和「もう……勝手にしてください!」 プイッ

華菜「見事に逆ギレして行ってしまわれた……」

洋榎「オタクの大将、こっちの大将にゾッコンラブって感じやな」

憧「アンタもあっち行けっつーーーーの蹴り殺すわよ」 キッ

華菜「ほらさっさと去れ、もしくは死ね甲賀者」 シッシッ

洋榎「ほんでこの風当たり!!」

憧「自業自得」

華菜「いいから行けよ」

穏乃「まあ、さすがに私もちょっと擁護できないかなー」

洋榎「ちぇーっ、いいですよーだタンポポの綿毛でも吹いて遊んでるからー」 ブー

華菜「体だけでかい小学生のやんちゃ坊主かアイツは……」

美穂子「落ち着き0ね……」

 
和「この度は、ご無礼をお許し下さい」

咲「い、いいよ、悪かったのはこっちだし……」

咲「それに……まだ祝言を上げる前だもん、異端なのは、私達の方だから」

和「……異端、ですか」

咲「……そんなすぐには、今まで喧嘩してた人達が仲良くできたりしないよね……」

和「……」

咲「でも……私達が最初の一歩になって、地道にやっていけば、きっと、いつかは」

和「……はい!」

洋榎(うわー二人の世界やんこれ巻物見ないからあっち入れてくれへんかなー)

咲「だから、和睦の後押ししてくれてる洋榎さんには感謝してるんですよ」

洋榎「せ、せやろーさすがやろー?」 フフン

洋榎「だからさっきのも憎しみからくる争いでなく、ホンマモンの戯れゲームであってやね……」

咲「それについてはお仕置きちゃんと用意してるから」

咲「過去最高に滑った去年の忘年会での漫談、文章化して今度新聞に折り込んどくね」

洋榎「ほ、ほぎゃーー! それは堪忍!!」

 
華菜「……うるっさいなーあっち」 イラッ

憧「やっぱ私甲賀者嫌いだわー」

穏乃(私も憧も華菜も限りなくあっち寄りのキャラしてると思うんだけどなー)

姫子「それより、巻物には何と?」

美穂子「ええっと……」 パラリ






「「「「「………………!!」」」」」






 

 
華菜「おいおいおいおい、これって……」ヒソヒソ

姫子「……つまり、そーゆーことと?」ヒソヒソ

憧「……」

憧「和ー!」

美穂子「!?」

憧「落ち着いて聞いてねー!」

和「……?」

華菜「お、おい……!」ヒソヒソ

憧「あのね! 駿府にて、甲賀と伊賀の和睦、成立したんだって!!」

華菜「!?」

和「えっ……」

咲「本当ですか!?」パァァァァ

憧「ハルエ、折角だからって小鍛治健夜様と春の江戸見物してから帰ってくるってさー!」

咲「いい知らせだったね、原村さん!」 キャッキャキャッキャ

和「ええ……ええ!」

 
華菜「……また豪快に嘘ついたなオイ」 ヒソヒソ

憧「んじゃアンタ、和にホントのこと言えるわけ?」 ヒソヒソ

姫子「私は無理ばい」 ヒソヒソ

美穂子「私もそれはちょっと……」 ヒソヒソ

穏乃「で、でも、最後まで隠し通すのは無理なんじゃ……」 ヒソヒソ

憧「とりあえず竜華の指示仰ぎたいし、一旦保留しとくわよ」 ヒソヒソ

憧「甲賀の10人全員殺すとしても、今下手にそれを和に知れたら、甲賀側につかれかねない」 ヒソヒソ

穏乃「……」

華菜「んじゃあ、こーいうのはどうだ?」 ヒソヒソ

憧「?」

華菜「……騙したまま、伊賀へ宮永を招き入れる」 ヒソヒソ

美穂子「!」

華菜「そうすりゃ甲賀と全面戦争になっても、相手の王将を手に抱えたこっちが有利になるし」 ヒソヒソ

憧「なるほど、池田にしては悪くない案ね」 ウム

華菜「なんだよ池田にしてはって……あと年上には敬語使えー?」 ヒソヒソ

 
華菜「いやー、この度はご無礼をお許し下さい宮永様!」ヘコヘコ

華菜「なにせこういう警戒心は雀士の悲しい性ですんで……」ヘコヘコ

咲「気にしてませんよ」

美穂子「どうでしょう、お詫びと言ってはなんですけど、今晩は伊賀に泊まって行かれては……」

和「それはいい思いつきですね……!」

和「宮永さん、是非とも伊賀へ」

和「これからの伊賀と甲賀の関係についてや祝言のこと、子供の名前と話したいことは沢山あります」

咲「は、話飛びすぎだよ原村さん!」

咲「……でも……折角だから、お邪魔しちゃおうかな」

洋榎「ふぁ!?」

洋榎「いやいやいや、いくらなんでもそれはちーっとばかり軽率やで!?」

穏乃「まあまあ、洋榎さんも一緒にどうです?」

穏乃「折角の和睦決定の宴の席、洋榎さんみたいな面白い人がいてくれた方が助かるんですけど……」

洋榎「え、そう? ほんならお邪魔しちゃおーかなー」ウヘヘ

洋榎「忘年会での失態を取り返す爆笑オンステージ見せたるで!」

\4

 
姫子「それじゃあ私達は山菜など摘んでから行きますんで」

美穂子「くれぐれも客人にご無礼のないようにね、華菜」

華菜「……はい、 任 せ て 下 さ い」 ニィ

穏乃「それじゃ、こっちです!」タッタッタッ

咲「伊賀まで行くのは初めてだから緊張するよ~」ザッザッザッ

咲「……もうちょっとおめかししてきたらよかったかな」ザッザッザッ

洋榎「即席で詰め物つくったろうか?」ザッザッザッ

和「み、宮永さんはそのままの胸でも十分です……!」 ザッザッザッ

憧「……」

姫子「……」

美穂子「……行ったわね」

憧「……ヒメ、竜華に知らせて」

姫子「……はい」

ザァァァァァァ……

 
【甲賀萬子谷】

ダヴァン「……ム」

ダヴァン「このナルトの位置……そしてメンマの重なり具合……」

胡桃「どーしたの、メガちん」

豊音「らあめん占いで何かよくない結果でも出たー?」

ダヴァン「……ウーム」

ダヴァン「心配症の桃子にせがまれて一応占いまシタが……」

ダヴァン「ナルホド確かに健夜様の星に良くない兆しが見えマス」

胡桃「うげ、マジ?」

豊音「ダヴァンさんの占いはちょー当たるから不吉だよー」

胡桃「とりあえず衣様に知らせる?」

ダヴァン「……少し時間を置いてから報告して下サイ」

胡桃「ん?」

ダヴァン「桃子あたりが知ると騒ぎが無駄に大きくなりかねまセン」

胡桃「確かに……」

 
豊音「でもどうするのー?」

豊音「放っておくわけにもいかないし……」

胡桃「とりあえず様子見に行く?」

豊音「そうだねー」

ダヴァン「……それなら、私が行きマス」

豊音「へ?」

ダヴァン「占い結果だけを理由にあまりゾロゾロと行くのも色々よろシクない」

ダヴァン「私の占い結果なのだから、私が行くのがスジでショウ」

ダヴァン「それに……私なら違和感なく籠を使えるカラ、何もないなら通りすがりの籠乗客として無事過ごせマス」

胡桃「んー……でも……」

ダヴァン「それに、霞も心配ですカラ」

豊音「……そっか、ダヴァンさん、霞さんとちょー仲よかったもんねー」

胡桃「じゃあ、お任せしようかな」

ダヴァン「Yeah」

 
ダヴァン「それじゃあ、いってきマス!」

胡桃「気をつけてね!」

豊音「健夜様をよろしくだよー」

胡桃「平穏無事だったらお土産忘れないでね!」

ダヴァン「ハイ」

ダヴァン「美味しいラーメン買ってきマス!」

豊音「……あ、そうだ、胡桃」

胡桃「ん?」

豊音「一応、物見の準備しておいてくれる?」

豊音「健夜様に何かあった場合、跡取の咲様にも何か起こるかもしれないから」

胡桃「ん、了解」

豊音「何もなかった場合でも、胡桃なら『もう、心配症なんだから』くらいで済ませてもらえそうだしねー」

豊音「ちっちゃいってお得だねー羨ましいよー」

胡桃「私は豊音みたいに身長高い方が羨ましいけどね!」

 
【土岐峠はずれ】

竜華「……」 シュル

姫子「……この巻物を、灼が」

竜華「……なるほど」

竜華「晴絵様は、死なれたな……」

淡「……!!」

淡「はるっち……」 クッ

竜華「ほんで、小鍛治健夜も死んだ」

竜華「おそらくは、相打ち」

竜華「……晴絵様も本望やったろうな」

淡「本望……?」

竜華「ウブでバージンで天然パーでオタンチンかつ幼稚なお前にはちと早いわ」

憧(すげーボロクソ)

淡「???」

憧(んで貶されまくったことよくわかってないし)

 
竜華「……まあええ」

竜華「何にせよ、解かれおった」

竜華「伊賀と甲賀を縛っておった、不戦の約定が解かれおったでぇ……!」クックック

姫子「……」

姫子(前の世代が結んだとされる不戦の約定……)

姫子(それがあるからこそ、多くの者は不満を持ちつつ和睦を受け入れざるを得なかったと……)

姫子(でも、解かれてもうた今は不満を抑える必要ばなか)

姫子(武力行使に訴えることも出来る)

姫子(……幸い、私は他の皆と比べると甲賀に恨みはなか方ばい)

姫子(……そう、なかとよ)

姫子(あっては、ならんと)

姫子(誰かの仇なんてこと、あっては……)

姫子「……あの、竜華様」

竜華「ん?」

姫子「部ちょ……白水哩は、どうなったか分かっとです?」

 
竜華「……」

竜華「分からん」

竜華「だが……少なくとも、灼が巻物を取った時点では生きとったみたいや」

竜華「……甲賀から御前試合行ったのは、石戸霞やったな」

華菜「ああ、それは間違いないし」

憧「ヒメが飛ばしたクワガタが、和と咲の会話聴いてくれてたしね」

華菜「御前試合についての雑談内容から知ったことだし、宮永が間違ってるってケースも0じゃないけど……」

美穂子「十中八九石戸霞と見てよさそうね」

竜華「……その石戸霞も、普通に行けば巻物を運ぶことを優先するはず」

竜華「この巻物が無ければそもそも相手を襲っていいということすら分からぬままやからな」

竜華「いきなり哩と事を構えるほど愚かでもあるまい」

竜華「そうなると、自ら仕掛けてない限り、哩は誰とも交戦しとらんはずや」

竜華「おそらくは、石戸霞の妨害を懸念して、奴とは別の伊賀への最短ルートを走っておるんやろ」

竜華「……ちゃんと生きて駿府を出たなら、今宵か明日の朝くらいには着くはずや」

姫子「……はい」

 
竜華「問題は、このことを和様が知ってまうことやな……」

竜華「そりゃあもう120%一悶着起きるやろ」

憧「まあ、そうなるだろうね」

美穂子「間違いないわね」

淡「私でもそうなるって思うよ」

竜華「……下手を打つと、袋のネズミにしたのが仇になるかもわからん」

美穂子「一応、高鴨さんだけだと不安が残るから、華菜にも行ってもらったけど……」

竜華「その人選がちーっとも安心できへんねんなぁ……」

憧「……やっぱり私が行くべきだったかしら」

美穂子「も、もうちょっと華菜を信用してあげても……」

竜華「……アイツは腕も立つし、ああ見えて気が利くタイプや」

竜華「バレへんよう立ちまわることについて心配はしとらん」

美穂子「じゃあ……」

竜華「……隙あらば打ち取っても構わんやろとか思ってそうなんが心配やねん」

淡(あ、すっげー思ってそう……)

 
美穂子「……大丈夫ですよ」

美穂子「華菜は、伊賀ツモ隠れの風越軍でも有数のエリート雀士」

美穂子「如何に相手が宮永咲だとしても、ホームかつ仲間のいる伊賀で遅れを取ることは……」

竜華「……お前らは分かっとらんねん」

美穂子「……え?」

竜華「あいつが……あの甲賀の白い悪魔がどれだけヤバイのかを」

竜華「……敵ながら、アイツの眼には恐ろしいモンを感じるわ」

憧「……」

竜華「気をつけなあかんで、あいつには」

竜華「下手打ってマジギレさせてみ」

竜華「不戦の約定関係なしに皆殺しやで」

憧「そ、そんな大げさな……」

美穂子「……」

 
竜華「まあ、ええ」

竜華「今はそれより、石戸霞や」

姫子「……?」

竜華「巻物を持ってるふりをして灼に先行させる、というのは哩のファインプレーや」

竜華「おかげで先手を打てる」

竜華「……ちゃんと自分が巻物持ってるふりして単身哩がこっちに来てるとしたら、石戸霞も今は一人で進んどるっちゅーことになる」

憧「……なるほど」

美穂子「いち早く不戦の約定の消滅を知ることの出来た私達が、徒党を組んで襲いかかれる、と」

竜華「その通りや」

竜華「この人数で襲い掛かれば、さすがに討ち漏らすこともないやろ」

淡「……」

竜華「……ええか淡、麻雀の世界っちゅーのはそういうもんやで」

竜華「一人で戦い一人で他全員の上を行こうとするもんちゃう」

竜華「変なプライドにこだわって輪を見だしたらアカンで」

淡「……うん」 ブスー

 
竜華「石戸霞を撃破して、甲賀用の巻物さえ奪い取れたらこちらの勝ちや」

竜華「そうしたら、甲賀の連中はありもしない不戦の約定が足を引っ張り死滅する」

姫子(……恨みは、ない)

姫子(今のところは。部長が殺されるまでは)

姫子(……でも……)

姫子(私や部長に火の粉がかかる可能性を減らせるなら――容赦なく、殺せる)

憧「順当に行けばこれが不戦の約定解かれたって知ってる相手との最初で最後の戦い」

憧「派手にぶっ飛ばすわよ~」クックック

淡「ちょっと楽しみ~」

美穂子(見せてあげないとね……最強は、私達風越部隊だってことを)

竜華「ほんなら、出撃や!!」

\4

 

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ・ ・ ・

ネリー「えっほ、えっほ」

竜華「む……あのかごかき……」

姫子「あれが一体何か?」

淡「ぱっと見ラーメン屋の出前みたいだけど……」

美穂子「データを見たことがあるわ……」

美穂子「あれは甲賀のメガン・ダヴァンの岡持ち……!」

淡「まじ?」

竜華「マジや」

 
竜華「淡」

淡「ん?」

竜華「あの駕篭かきの女を殺せ」

姫子(……駕篭かきって表現であっちょるんかな……)

竜華「ついでに岡持ちもぶった切ってええ」

竜華「ただし、中にいるはずのダヴァンは殺したらアカン」

竜華「聞かなアカンことがあるしな」

淡「了解~♪」 ヒュッ

ネリー「えっほ、えっ――――」

ズパッ

ドチャッ……

姫子「おおう、見事に頭部真っ二つ……」

憧「そのブーメランみたいな鎌カッコいいわよね、今度やらせてよ」

淡「無理無理、これは我が一族に伝わる秘伝の武器なんだから」

淡「このシャープシュートを現代でも出来るのは私くらいだよっ」ドヤッ

支援

 
竜華「ええからさっさと岡持ち包囲するで」

淡「はーい」

竜華「憧、頼むわ」

憧「りょーかい」

憧(奇襲を受けても大丈夫なように十分距離を置いて……)

憧「あちょーーー!」 ゴムキーーーック

淡「ナイッシュー!」

姫子「綺麗に岡持ちの上半分が吹っ飛んだばい」

美穂子「中の人は……」

憧「!?」

淡「うわちゃー……これはこれは……」

竜華「四肢欠損のその風体……」

竜華「そして噂に違わぬ隙のない面構え」

竜華「アンタがメガン・ダヴァンか」

ダヴァン「……」 ラーメンズズー

 
ダヴァン「……いきなり何ヲ」 ズズー

ダヴァン「ていうか、どうしてくれるんデスか」 ズルズル

ダヴァン「大事な岡持ちをバラバラにシて……」 ズズー

竜華「……」

ダヴァン「礼儀知らずデスね」 ハフハフ

ダヴァン「私の故郷なら、ソレ、エンコ詰めさせられるレベルですヨ」 ズズズズー

竜華「分かったからラーメン食うのやめ」

ダヴァン「……仕方ありまセン」 チュルチュルチュルッ

ダヴァン「もう終わりますカラちょっとお待ちヲ」 ゴクッゴクッゴク

竜華「この状況でスープまで飲み干すなや!」

 
姫子「な、なんなんこいつ……」

美穂子「……メガン・ダヴァン」

美穂子「かつてまだ戦乱の時代、彼女を捕らえたことがあります」

美穂子「拷問により四肢全てを失ってなお、何一つ情報を漏らさなかった鋼の精神の人……」

ダヴァン「……痛いカラ怖いカラと逃げてはダメだとサトハに叱責されマシたからネ」 モグモグ

竜華「ほんで何餃子食い始めとんねん」

淡「なるほど鉄の精神力」

憧「ソレなんか違うんじゃない?」

ダヴァン「……まーソレより」 パクパク

ダヴァン「不戦の約定があるというのに、随分穏やかジャないデスね」 モギュモギュ

ダヴァン「伊賀の連中は粗忽で礼儀を知らないから嫌いデス」 クチャクチャ

淡「どの口で」

憧「せめて飲み込んで喋りなさいよ」

 
竜華「下がっとき、淡」

竜華「すまんかったなぁ、手荒くなってもーて」

竜華「ウチは伊賀ツモ隠れ衆が一人、清水谷竜華や」

竜華「駿府に行かれた晴絵様が心配で居ても立ってもいられんくてな」

竜華「おらんはずの甲賀者を発見してついつい手荒な真似してもーたわ」

ダヴァン「……それだけで私の大事なドライバーを殺したことは不服デスね」

ダヴァン「まぁ、しかし、奇遇デスねぇ……」

ダヴァン「私の占いにも、健夜様の星が凶と出てマシた」

竜華「占い……」

竜華「なるほど、それがアンタの能力か」

ダヴァン「……」フフ

 
竜華「こいつはウチが引き受ける」

竜華「アンタらは石戸霞を迎え撃て」

美穂子(……慎重を期すなら複数人残るべきなんだろうけど……)

美穂子(竜華なら、恐らく大丈夫のはず)

美穂子(最悪なのは、ここで石戸霞に逃げられること)

美穂子「皆、行きましょう」シュバッ

淡「……ん」シュバッ

竜華「……」クックック

ダヴァン「迎え撃つ、とは穏やかじゃ無いデスね」

竜華「ククク……」

竜華「これからもっと穏やかじゃなくなるわ」チャキ

ダヴァン「……刀なんて突きつけても、屈しまセンよ」

 
竜華「……甲賀萬子谷の者を、ウチはある程度知っとるつもりや」

竜華「ウチはあの戦乱を生きて来たからな」

竜華「それでもまだ把握しきれん者もおる」

竜華「……お前もその一人や」

ダヴァン「……」

竜華「拷問しても口を割らんタフネスだけで、十人衆に名を連ねられるとは思わん」

竜華「ましてや自力で移動することも困難なはずのダルマ野郎だとしたら、や」

竜華「……言え、お前の能力と、甲賀萬子谷十人衆の能力を!」

竜華「言わねばその首切り落とすで」

ダヴァン「……フフ」

ダヴァン「フッフッフッ」

竜華「……あ?」

ダヴァン「ホハハハフフフフヘハハハハフホホアハハハ」

竜華「……」

 
ダヴァン「ハハハハフフフ」

ダヴァン「フハハックックックッヒヒヒヒヒケケケケケ」

竜華「おい」

ダヴァン「ノォホホノォホ」

竜華「……何がおかしい!!」 ブチィ

ダヴァン「いやー、そりゃオカシイですヨ」 ヘラヘラヘラヘラ

ダヴァン「そもそも拷問に耐えぬいたことのある私に、そんな刀一本で脅しが通じると思っているのがまず可笑しい」 アヘアヘアヘ

竜華「ああ?」

ダヴァン「そして、もうヒトツは――――」 ニタァ

竜華「!?」 ゾッ

ダヴァン「貴女の星が、凶と出たからデス!」

ビュッ

ドスッ

竜華「かは……!?」 ゴポッ

 
竜華「な……」 クラァ

ダヴァン「……」 クク

竜華「」 ドサッ

ダヴァン「……」 ズルズルズルズル……

ダヴァン「……」 ンッゴクン

ダヴァン「ふう……」

ダヴァン「秘技・粉落とし――――」

ダヴァン「針金より硬ければ、湯気通しほどでなくても十分凶器にナル……」

ダヴァン「どうデス?」

ダヴァン「射出したての粉落としの味ハ」

ダヴァン「……まあ口から出されたモノでは不満カモしれないデスけど」

ダヴァン「心臓だけでなく、胃袋にも直接入れてあげたんデ、そのサービスでチャラにして下サイ」

投下中に規制が発動するというクソみたいなことが起こったので、打ちきりです。
アニメ・マンガ・原作小説いずれも面白いので続きの展開が知りたい人がいたらそちらをご覧下さい。




三カン!

規制マジ?

マジ
最近めっきりSS減ったなと思ったけど規制の影響もあるだろうなぁ

これだろ

ぶっちゃけこんなクソ長くなりそうな奴は速報でやった方がええんとちゃうか

福路美穂子ちゃんの美乳揉みたい

>>118
マジキチ先輩チーッス

はいチーッス

咲さんのちっぱい揉みたい

見よ、池田ァ!!

マジかよ
速報で書いてくれないかな

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