【ガルパン】まほ「ケルベロスパンツァー」 (64)


※キャラが若干崩壊する可能性がありますので苦手な方はご注意ください

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〜黒森峰女学園〜

エリカ「対戦車道…ですか?」

まほ「ああ、マイナーな競技の知名度を上げるために我々がゲスト扱いで参加することになった」

エリカ「どうして我々が…優勝した大洗にでも頼めばいいじゃないですか」

まほ「準優勝止まりの名門校のイメージアップも兼ねるとのことよ」

エリカ「そう言うと聞こえはいいですけど、要は罰ゲームみたいなものですね」

まほ「そこまで悪い話じゃない、勝てば資金援助の特典がある」

エリカ「なるほど、理由は分かりましたけど…安全面に関しては大丈夫なんですかね、対戦車なんて嫌な予感しかしません」

まほ「装甲服が支給される、首都圏の警察も使用している特別な代物らしい、背面や頭部以外なら小銃弾程度では撃破判定は出ないそうよ」

エリカ「まるっきりプ□テクトギアじゃないですか…」


エリカ「詳しいルール等は?」

まほ「シンプルよ、我々は歩兵部隊のみで拠点の防衛を行い、敵チームは戦車と歩兵で拠点を攻める」

エリカ「ちょ、ちょっと待ってください、敵にも歩兵がいるんですか!?」

まほ「随伴歩兵込みで戦車隊なので…ということだけど」

エリカ「はぁ…言いたくないですけど、それは勝ち目がないんじゃあ…」

まほ「そうでもないわ、向こうの装甲服はこちらのより脆くて白旗が上がりやすいらしい」

エリカ「…対戦校はどこなんです?」

まほ「プラウダ高校、彼女たちもゲスト扱いで参加する」

エリカ(ますます嫌になってきた、でもよく考えれば隊長にカッコいいところを見せるチャンスにもなるわね…)

まほ「試合は1ヶ月後、それまでに装備の着用と武器の取り扱いに慣れておかなければならない」

エリカ「わかりました、他の者にも伝えておきます」


数日後 〜黒森峰訓練施設〜


反省会


エリカ「散々な結果ですね」

まほ「素人だから仕方ないけどそれでもこれは……」

「いたた…まだ痛みが引かない」 「死ぬかと思った…」

まほ「おい、昨日言った強化服についての訓示を言ってみろ」

「え、えっと…強化服は着装時の死角を体で憶え、互いに援護しあって初めてその能力を最大限に発揮するものである…?」

まほ「正解だ、わかっているなら何故やらない」

「ひっ、す、すみません…」

まほ「いいか、行動には常に結果が伴う、勘に頼るのは止せ、考えろ」

エリカ(あぁ、戦闘モードのキツめな隊長もかっこいい…)





まほ「一ヶ月で足りると思う?」

エリカ「数十人の部隊ですからね、かなりの突貫工事でないと…」

まほ「何とかするしかないか…」


そんなこんなで試合当日 

〜会場観客席〜



優花里「いよいよ始まりますね!西住殿!」

みほ「お姉ちゃん、怪我とかしないといいけど……」

沙織「あのお姉さんの事だからきっと大丈夫だよ」

麻子「しかし、対戦車道なんてよくやるな…」

華「あら、力強くて素敵じゃありませんか?」

麻子「重いもの持って走り回るんだぞ、私は戦車のほうが良い」

優花里「それにしても、黒森峰のみなさん遅いですね、プラウダはとっくに準備してるのに…」

沙織「あ、トラックが来たよ!あれかな?」


VORRRRRRRR……

まほ「着いたぞ、全員降車!整列!」


ザッザッザッザッ カシャンッ!


まほ「よし、装備の点検が終わった者から休憩しておけ、試合開始まで時間がある」

——————————

優花里「すごい…到着前から完全装備なんてやる気満々ですね!」

沙織「でもなんか不気味じゃない?」

華「確かに以前とは別の雰囲気というか、威圧感というか…」

麻子「見た目の問題だろう、真っ黒の鎧に赤い目、迷彩柄のポンチョを着てる奴もいる」

優花里「顔が見えない装備なのでさらに威圧感が増してますね、恐ろしいくらい統率も取れてますよ」


エリカ「我々の拠点は村ですか」シュコー

まほ「ああ、中心部の教会を守りきれば勝利だ」シュコー

まほ「小さな村だが外で迎え撃つのはまず不可能だろうな、人数が少ない」

エリカ「建物は割と多いですよ、戦車の撃破はやりやすそうです」

まほ「そうだな、あとは敵の戦力次第だが……」

BORRRRRRR

エリカ「あれは…?隊長、プラウダのボンネットトラックです、こっちへ来ますよ」

まほ「挨拶か、ご丁寧なことだ、マスクを外しておけ」スポッ


 ガチャ バタンッ

カチューシャ「ハーイ黒森峰、決勝戦では残念だったわね!」

ノンナ「Здравствуйте」

エリカ「」カチン

エリカ「なんですってこのイワン共!あなたたちだって大洗に負けてるじゃない!」

カチューシャ「でも去年はカチューシャ達に負けてるでしょ?あんたたちのほうが格下ってことよ」

エリカ「ガルルル、言わせておけば…!」

まほ「落ち着け馬鹿者」グイ


まほ「それで何の用だ」

カチューシャ「カチューシャ様が格下相手に挨拶に来てあげたのよ、感謝しなさい」

まほ「これはどうも、握手でもしたほうがいいか?」(近くで見ると本当にちっこくて可愛いわね)

カチューシャ「格下相手にそんなのしないわよ!ノンナ!」

ノンナ「Да」ヒョイ

カチューシャ「あんたたちなんか圧倒的な戦力差でひねり潰してやるから覚悟しなさい!じゃあね!」

ノンナ「До свидания」



エリカ「まったく偉そうに!隊長、完全に甘く見られてますよ」

まほ「そのほうがいい、下手に警戒されるよりは」

エリカ「確かにそうですが…」

まほ「心配するな、勝てるさ」

エリカ「……はい!」(微笑む隊長かっこいい!)

まほ「しかし、圧倒的な戦力差と言ってたな」

エリカ「プラウダのことです、人数だけは多いのでしょう」

まほ「だといいな…車両の数は制限されていたはずだが」

エリカ「今考えても仕方ないですよ、そろそろ開始ですので行きましょう」

まほ「ああ、わかった」


審判「それではこれより、黒森峰女学園対プラウダ高校の親善試合を開始します!」

審判「両チーム隊長、副隊長、前へ!」

 ザッ ザッ ザッ

 ガシャッ ガシャッ ガシャッ

カチューシャ(な、なんなのよこいつら…不気味な格好して…)

まほ・エリカ「……」ゴゴゴゴゴ

カチューシャ「ふ、ふん、土下座したら降伏はいつでも受け入れてあげるから練習しときなさい」

まほ(何の冗談だこれは、戦車は5両だけだが歩兵はこちらの5倍はいるな…いやそれ以上…)

エリカ「あなたこそ、徹底的に叩き潰してやるから覚悟しなさい」シュコー

審判「礼!」



   「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」


〜黒森峰SIDE〜

まほ「もう分かっていると思うが戦力差は絶望的だ、だが負けるわけにはいかない、一ヶ月の訓練の成果を見せてやれ!」

「「「「「jawohl herr kommandant!!!」」」」」

まほ「各員所定の位置につけ!敵を見つけても指示があるまで撃つな!作戦開始!」


ザザッザザッザザッ……



エリカ「一ヶ月前とは比べ物にならないですね」

まほ「訓練の賜物かな、私達は教会へ戻ろう」

エリカ「ところで、作戦名とかないんですか?」

まほ「必要なことか?」

エリカ「あったほうが締まるかなと」

まほ「えーと…バーバ・ヤーガ作戦なんかどうかな」

エリカ「あー……はい、よろしいかと」

まほ「なんで不服そうなんだ」

エリカ「なんでもありませんよ」


〜プラウダSIDE〜

カチューシャ「あんな気味悪い装備してても数はこっちが圧倒的よ!正面から叩き潰してやる!」

ノンナ「相手はあの黒森峰です、油断しない方がよろしいかと」

カチューシャ「油断なんてしてないわよ!こっちにはIS-2にかーべーたんもいるんだから負けるはずないわ」

カチューシャ「そっちは任せたわよノンナ!全員戦車の上に乗って溢れたヤツは走ってついてきなさい!突撃ー!」

VORRRRRRR……

ノンナ「さて、我々も行きましょう」

 「同志ノンナ、やはり二人だけでかく乱は無理があるのでは……」

ノンナ「少ないほど見つかりにくいでしょう?怖気づいて逃亡などした場合はわかっていますね?」

 「全力を尽くします」

ノンナ「よろしい」


〜教会〜



まほ「ふーっ……暑いな」スポッ

エリカ「隊長、景気づけに一杯どうです?」

まほ「…気がきくな」

エリカ「勝手に持ち込んだ隊員がいましたので」

まほ「うん、美味しい」ゴキュゴキュ

まほ「茹でソーセージやザワークラウトでもあれば完璧なんだけど」

エリカ「贅沢言わないで下さいよ、これが限界です」

まほ「…もう一杯ある?」

エリカ「どうぞ」


———————————

優花里「堂々とビール飲んでますよ…」

みほ「いいのかな…」

華(美味しそうです)

元ネタあればkwsk



  「失礼します、偵察部隊からの報告です」

まほ「ん、ようやくか」

  「敵部隊は北からまっすぐ向かってきており、別働隊などは確認できないそうです」

まほ「数に任せて押し切るつもりか?あの隊長にしては無策すぎるな」

エリカ「余程自信があるんでしょう、こちらを舐めきってる証拠です」

  「随伴歩兵もいるため進軍は遅く、おおよそ30分程で接触するとのことです」

まほ「気になる部分はあるが…まあいい、哨戒に出ている部隊を一部呼び戻して防衛を強化しろ」

  「了解しました、それでは」

エリカ「我々も出ますか?」

まほ「そうだな、数は多い方がいいだろう、行くぞ」ガタッ



エリカ「隊長、マスク忘れてます」

まほ「あ、ああ、わかってる」カポッ

エリカ(ちょっと抜けてる隊長かわいい)

超・殲滅戦ではないんだな

>>15
一応スレタイの元ネタはケルベロス・サーガですがSSにはそんなに絡みません、装備品やセリフくらいです

>>15
「人狼」と「ガルパン」だべ


〜前線〜

まほ「機関銃手以外は小銃擲弾を用意しておくように伝えろ、斉射で数を減らす」

 「了解しました」

エリカ「私は隊を見回ってきます」カシャン

まほ「ああ、頼む———おい、そこのお前」

 「な、なんです?」

まほ「手が震えてるぞ、大丈夫か?」

 「はい、なんとか……」

まほ「そうは見えないが……怖いのか?」
 
 「正直参ってます、訓練でも怖がりっぱなしでした…」

まほ「誰だって怖い、だが訓練で安全ということは分かってるだろう」

 「それでも正気じゃありませんよ、こんな服一つで砲撃に晒されるなんて……」

まほ「……」


 「隊長は怖くないんですか?」

まほ「今言っただろう、誰だって怖いと」

 「じゃあどうやって…」

まほ「単純に考えろ、やることをやるだけだ」

 「わかっているつもりですが、銃撃や砲撃で体がビクついて…」

まほ「だからといってそうして震えているつもりか?」

 「しかし……」

まほ「いいか、自分はもう死んだも同然だと思え」

 「…はい?」

まほ「それができれば、自分に課せられた使命を果たすことができる」

まほ「情けも容赦もなく、胸も痛まない、戦いとはそういうものだ」

 「……」

まほ「少しは気が晴れたか?」

 「ええ、まぁ……ご迷惑おかけしました」

まほ「気にするな、後輩の面倒は見なければな」


まほ(死んだも同然、か……)

エリカ「隊長、どうかしました?」

まほ「ん、戻ったか」

エリカ「はい、全部隊準備万端です」

まほ「そうか、ご苦労だったな」






まほ「エリカ……命令されるのは好きか?」

エリカ「はい?どうしたんですか突然」

まほ「聞いてみたかっただけだ、それで?」

エリカ「それはまあ、命令する人にもよりますけど…」

エリカ(隊長のご命令なら喜んで…!)


まほ「そうか、私は好きだ」

エリカ「……?」

まほ「お前の言うとおり、命令する『ご主人様』は選びたいがな」

まほ「自分が忠実であるべきもの…仕事とか思想とか、色々あるけど……」

エリカ「お家柄…ですか」

まほ「ふっ……そうね、私のご主人様は『名前』だ」

まほ「何が自分に相応しいか、私にできるのはそれを選ぶことだけだった」

エリカ「…後悔はしてないんですか?」

まほ「全くないよ、そもそも、自分で自分の道を見つける自信なんてない」

まほ「だから、今の生き方が楽なんだ…安らぎを感じることすらある、言われた通りにやっていればいい、それだけで生きていける」

エリカ「元副隊長のためにもなる……と?」

まほ「あの子は自分の生き方を自分で見つけた、本当に立派になったよ、私には真似できない」

エリカ「私が隊長なら、耐えられませんよ……」

まほ「……すまない、戦闘の前に話すことではなかったな、少し飲みすぎたか」

エリカ「……そろそろ来る頃です、行きましょう」


  「「「「Ураааааааааа………」」」」

 「来た…!」 「まっすぐ突っこんでくるよ!」 「空気までイワン臭くなってきやがった…」

まほ「全部隊射撃用意!」

エリカ「射程圏内です!」

まほ「フォイヤー!」バシュッ

 バシュッ バシュッ

 ZUVO!  DOM!  BAOOM!

「きゃあ!」 「怯むな!前進!」 「退いても撃たれるぞ!」 「помогите!!」 「ゲルマンスキー!!」

 PAPAPAPAPAM! TATATATATATA CHUNK! ZiP ZiP!

——————————

優花里「すごい…まるでスターリングラードです!」

麻子「顔が同じで誰が誰だかわからんぞ」

華「ポップコーン買ってきましたよ!」


ZiP ZiP ZiP! GEVOVOVOVO!

 「クソッ、数が多すぎる!」 「こっちの弾より多いんじゃない?」TATATATATA!

まほ「…近づいてきたな」DOKOKOKOKO!

エリカ「T34がこちらに来ます!85mm搭載型!」 PAM!PAM!

まほ「連携が取れていないようだ、単独で突っ込んでくるぞ」

まほ「エリカ!パンツァーシュレックを持ってついてこい!残りは援護だ!」

エリカ「了解!」


 ザッザッザッ ガシャッ カシャン

まほ「ここでいい」

エリカ「こんなド真ん中でどうする気です!?」 CHUNK!

まほ「T34が一番手前の稜線を超えて腹を見せる瞬間を狙え、いいな!」

エリカ「歩兵も近づいてきます!こんな状況じゃ…」


 BRUM!  BAKOM!


エリカ「ひっ!撃ってきた!」

まほ「行進間射撃だ!うろたえるな!」


VUOOOOM…

エリカ「この距離なら撃破できますよ!!」

まほ「まだだ!」

エリカ「隊長私を殺す気ですか!?」

まほ「黙って狙え!」


VUOOOOOM!!


まほ「今だ!」


 BOHUM!  BUH-KOOOM!!


T34「」シュパッ

エリカ「や、やった…」

まほ「よくやったな、逃げるぞ」ガシャン

エリカ「まったくもう!」ダッダッ


沙織「すっごーい…麻子、今の見た?」

麻子「見た、怒鳴り合ってるようにも見えたがな」

優花里「さすがは姉上殿ですね!」

華「副官の方も見事な腕前でした」

みほ「あんまり無茶してほしくないんだけどね……」


まほ「ほかの部隊は?」 CHUNK!

 「まだ持ちこたえてます!第4分隊も1両撃破したとのことです!」DOKOKOKOKO!

まほ「このまま持てばいいが…」

 ピーッ ピーッ

 『隊長聞こえますか?こちら第7分隊!敵の別働隊に突破されました!敵は2人だけですがこちらは5人やられました!』

まほ「2人だと?お前は何をやっていた!」

 『申し訳ありません!奇襲を受けて……』

まほ「言い訳は終わってから聞く、生き残りを連れて教会の部隊と合流しろ」

 『なぜです?追撃の許可を!』

まほ「ダメだ、向こうの方が足は速い、それにお前達だけでは返り討ちの可能性もある」

 『…了解しました、通信終了』


まほ「エリカ!しばらく指揮を任せる!私は突破した敵部隊を叩く!」

エリカ「1人で行く気ですか!?」 PAM! PAM!

まほ「ここで戦力を分散させれば敵の思う壺だ」

エリカ「だからといって1人は無茶です!」 ZiP!

まほ「命令だ」

エリカ「聞きません」

まほ「…わかった、2人だけ連れて行こう、文句ないな?」

エリカ「はい、お気を付けて」


〜村の東側〜

ガシャッガシャッ

まほ(いつになく強情だったな…)

 「隊長、そろそろ報告にあった場所です」

まほ「警戒しろ、どこに潜んでいるか———」

 BAM!

 「ぐぁ!」シュパッ

まほ「っ!隠れろ!狙撃兵だ!」

 「こちらの装甲を貫くなんて…」

まほ「恐らく対戦車ライフルの類だろう、頭を出すと撃たれるぞ」

まほ「屋根の崩れた建物の2階だ、そう離れてはいないが…」

 CHUNK!

 「クソッ、狙撃銃なんて持ってきてませんよ?」

まほ「…まずいな」


〜前線〜

TATATATATAM! ZiP ZiP!

エリカ(遅い…報告くらい入ってきても良さそうだけど…) PAM! PAM!

 「副隊長!敵の戦車部隊です!」

エリカ「本腰入れてきたわね……対戦車戦闘用意!」

エリカ(まさか隊長に限ってやられたなんてことは……)

 「ギガントにスターリンまで…」 「撃て撃て!近づけるな!」

 GEVOVOVOVOVO!  BOHUM! BAOM!!



エリカ「…ここを頼むわ、私は少し離れる」

 「副隊長…!?困ります!今いなくなっては……」

エリカ「すぐに戻るわよ!あなたも黒森峰ならなんとかしなさい!」ダッ

 「そんな無茶な…」

エリカ(あの人を笑えないわね、こんなんじゃ…)


優花里「姉上殿、ピンチですね」

華「あのプラウダの副隊長なら射撃は得意でしょうし…」モグモグ

麻子「1人救援に向かうようだぞ」モグモグ

沙織「あ、私にもちょうだい」モグモグ

みほ(逸見さん……)


BAM! ZiP!

 「どうします?いつまでもこのままでは…」

まほ「射撃は得意か?」

 「へ?まぁ、人並みには」

まほ「……よし、お前はMGで援護しろ、少々危険だが私が囮になる」

まほ「いいか、最初のマズルフラッシュを絶対に見逃すな、見つけたらそこに向けて撃ち続けろ」

 「任せてください、もし隊長が被弾した場合は?」

まほ「両目を閉じて祈るしかないな」

 「……」

まほ「どうした」

 「いえ、隊長でも冗談を言うんだなと…」

まほ「失礼な、頭がタングステンで出来ていると思ったか?」

 「あ、いや、そういうわけでは…」

まほ「まあいい、早く準備しろ」


まほ「3…2…1…行くぞ!」ダッ

まほ(外してくれ……!)ガシャッガシャッ



 BAM! GUWAM!



まほ(ぐっ…!)ドサッ

 「隊長!このっ!」 GEVOVOVOVOVOVO!!





まほ「ハッ…ハッ…ハァ…やったか!」

 「手応えありです!隊長、大丈夫ですか?」

まほ「運が良かった、弾いてくれたらしい」

 「よかった、やられてしまったのかと……」
 
まほ「よし、建物の中を確認するぞ」


 「何もありませんね…」

まほ「報告では2人と言ってた、どこかにいるはずだ」

 「プラウダの生徒が倒れてます」

 「痛たた…よくもやってくれたわね」

まほ「死体が喋るんじゃない、早く退場しろ」

 「……隊長!ライフルが見当たりません!」



 BAM! GUWAM!

 「きゃあ!」シュパッ

まほ(屋根裏…!?)
 
 DOKOKOKOKO! ZiP ZiP!

まほ「出てこい!」DOKOKOKOKO!

ベキベキメキ…



ノンナ「……」シュタッ

まほ(こいつは…プラウダの副隊長か…?)


まほ(早いところ片付けないと…)

カチッ

まほ(あ、あれ?弾が…)カチッカチッ

ノンナ(チャンス!)ガバー

まほ(くっ…!こんな格好で!)ドサッ

まほ「離れろ!この!」ベシッベシッ

ノンナ「ここは女同士で話をつけましょう?」バゴッ!



——————————

華「凄いです!女同士の仁義なき戦いです!」ktkr

麻子「嬉しそうだな」モグモグ

沙織「アクション映画みたいだね…」


まほ「ええい、いい加減に…!」ドコッ

ノンナ「……」ヒョイッ ブォン!

まほ(な…!)ドシャアッ メキメキ…



まほ(なんて馬鹿力だ、私を片腕で……)ゲホッゲホッ

ノンナ「Хлеб за хлеб,кровь за кровь」

まほ(こうなれば西住流徒手格闘でなんとか……)ザッ






 PAMPAMPAMPAM!!

ノンナ「なっ…!?」シュパッ

まほ「ん…?」

エリカ「隊長!間に合ってよかった」ガシャッガシャッ

まほ「エリカ…何故ここにきた」

エリカ「それはその……心配だったからですよ」

まほ「お前には指揮を任せていたな、状況はどうあれ命令違反だ、処罰は覚悟しておけ」

エリカ「…はい」ショボーン

まほ「それから……ありがとう、助かったよ」

エリカ「……はい!」パァァ


まほ「第1分隊聞こえるか、こちら西住」

 『隊長!ご無事でしたか、こっちは少々まずい状況です!』

 『敵戦車から激しい攻撃を受けてます!パンツァーファウストを撃ちまくってなんとか追い返しましたが長くは持ちません!』

まほ「了解した、すぐに戻る、通信終了」

まほ「急ぐぞ」

エリカ「Jawohl」


〜前線〜

RTATATATA! ZiP ZiP!

 「隊長!こちらです!」DOKOKOKOKO!

まほ「間に合ったようだな、敵戦車は?」

 「あの納屋の周辺に陣取ってます!IS-2とKV-2!」CHUNK! ZiP!ZiP!

まほ「こちらからでは射程外か……」

 「T-34は第4、第5分隊が対処しているそうです、あちらは問題ないでしょう」

エリカ「どうします?対戦車火器は不足気味です」

まほ「いつも通りにやろう、全員隊列を組め!今度はこちらから仕掛けるぞ!」



 「「「jawohl herr kommandant!!」」」



〜IS-2車内〜

カチューシャ「撃てうてー!敵の数は残り少ないはずよ!」 BRUM!

 「しかし同志カチューシャ、砲弾の数も残り少なく……」

カチューシャ「もうなくなっちゃうの!?だからIS-2は嫌なのよ!」

 「隊長!敵に動きが!」

カチューシャ「今度はなによ…!」パカッ

カチューシャ「…死にたいのかしら?あんな広いところで呑気に隊列なんか組んで…」

 「同志カチューシャ!チャンスです!」

カチューシャ「わかってるわよ!全歩兵部隊突撃!」


「「「Урааааааааа……!!」」」



まほ「防盾で頭を庇いながら進め!行くぞ!」

まほ「歩調を合わせろ!前進!」

 ガッガッガッガッガッ……




 「Ob's sturmt oder schneit〜♪」DOKOKOKOKO!

 「Ob die Sonne uns lacht〜♪」 TOTOTOTONK! ZUVO!!

「撃て!ファシストを殲滅しろ!」 「Урааа!」 RTATATATA!

 「Der Tag gluhend heis〜♪」 カンッカンッ DOKOKOKO!

 「Oder eiskalt die Nacht〜♪」PAM!PAM! CHUNK!

 「まるで効かない!どうなってるの!」PAPAPAPAPAM! 「知るか!魔女のバァさんに聞け!」

まほ「Bestaubt sind die Gesichter」DOKOKOKOM!!

エリカ「Doch froh ist unser Sinn〜♪」PAM!PAM! BAOM!

 「Ist unser Sinn〜♪」GEVOVOVOVO!

「「「「「Es braust unser Panzer Im Sturmwind dahin〜〜♪」」」」」


沙織「なんていうか…黒森峰らしい戦い方だね」

優花里「あの砲火の中を平然と突き進むなんて…」

華「まるで戦車のようですね」

麻子「このままだと混戦になるぞ」


 「同志カチューシャ!敵が迫ってきています!」

カチューシャ「見ればわかるわよ!さっさと撃ちなさい!」

 「しかし、周辺には味方が……」

カチューシャ「あんな役立たずなんてどうでもいい!はやく!」


IS-2「」BAM!! KV-2「」BRUM!!


「ぎゃあ!」シュパッ 「クソ!やられた!」シュパッ


エリカ「くっ、あいつら味方ごと……!」

まほ「怯むな!全員突撃!奴らをヴァルハラに送ってやれ!」



「「「「うおおおおおおおお!!」」」」


 「ゲルマンスキー!」TATATATAM!

エリカ「退きなさい!」PAMPAM!!

まほ「エリカ、私はJS-2をやる、お前はKVを頼む」DOKOKOKO!

エリカ「了解です、幸運を!」

まほ「そちらもな」



 「こちらに突っ込んでくるぞ!右側面!」

 「ダメです!旋回間に合いません!」

エリカ「くらえ!」ブンッ

 BOM!

 「火炎瓶だ!」

 「エンジントラブル!」

エリカ「梱包爆薬を!」

 「Jawohl!」

 BAKOOOM!

KV-2「」シュパッ

——————————

優花里「やりました!KV-2撃破ですよ!」

麻子「あとはIS-2だな」

みほ(お姉ちゃん頑張って…!)


 「Ураааа!」TATATATAM!

 「ちっ、くたばれイワンめ!」TOTOTOTONK!

まほ「よし、近づいて仕留めるぞ、走れ!」ダッ

 「Jawohl!」




カチューシャ「右前方!撃てー!」

IS-2「」BAM!

 BAKOOOM!

 「きゃあ!」シュパッ

まほ(くそ、間に合え!)ガシャガシャッ

カチューシャ「まだ残ってるわよ!操縦手!後退!」

VORRRRR……

まほ(させるかぁ!) ガシッ


 ガシャンッ ゴウンッ

カチューシャ「なっ…まさか乗られた!?」 

 DOKOKOKOKO! CHUNK!

カチューシャ「ひいっ!」

まほ「開けろ!!」ガンッ! ゴンッ! DOKOKOKO!

カチューシャ「そ、そんな…」パカッ…



まほ「……」ガシャッ



カチューシャ「……」

まほ「降伏を勧める」

カチューシャ「だ、誰があんたたちに——」

まほ「そうか、残念だ」




 DOKOKOKOKOKOKOKOM!!



エリカ「隊長!ご無事ですか!」

まほ「ああ、他の部隊は?」

エリカ「第4分隊から報告がありました、残りの敵は降伏したそうです」

まほ「……終わりだな」



審判「黒森峰女学園の、勝利!」


 パチパチパチパチパチ


優花里「西住殿!良かったですね!」

みほ「うん、ケガとかなくてよかった…」

華「大迫力で見ごたえがありました」

麻子「確かに迫力は凄かった」

沙織「みぽりん、お姉さんに挨拶しとく?」

みほ「え、あ、でも…」

優花里「大丈夫ですよ、決勝の後も快く接してくれたようですし!」

みほ「う、うん!そうだね!」


カチューシャ「ぐすっ…怖かったぁ…」ギューッ

ノンナ「よしよし…よく頑張りましたね」ナデナデ

カチューシャ「絶対勝てる戦力差だったのに…」

ノンナ「私にも落ち度はありました、カチューシャはよくやりましたよ」

カチューシャ「うぐぅ…そうかなぁ……」

ノンナ「早く帰ってボルシチでも食べましょう、ね?」

カチューシャ「うん…」


「あー、疲れた…」 「お腹すいたねー」 「ホカホカのジャガイモ、トロトロのバター…」

エリカ「隊長、お疲れ様でした」

まほ「最初はどうなるかと思ったが…なんとかなったな」

エリカ「それと……少しお話があるのですが———」



みほ「お姉ちゃーん!」

エリカ「っ…!」

まほ「みほ…!来ていたのか!?」

みほ「えへへ、おめでとうお姉ちゃん!」

まほ「ああ、少し格好悪いところを見せてしまったかな」

沙織「いやいやーカッコ良かったですよ!」

優花里「見事なご采配でした!」

まほ「ありがとう……ふふっ、仲が良さそうでなによりだ」



麻子「あっ、そうだ」(唐突)

華「どうしたんですか?」

麻子「ちょっと行ってくる」


エリカ「まったく…姉妹だからって人前でイチャコラこいて…」イライラ

麻子「おい」

エリカ「はぁ?あ、あなたは…」

麻子「この前はありがとう」

エリカ「な、なんのことよ、皮肉のつもり!?」

麻子「変なヘリで送ってもらっただろう、サンダース戦の後」

エリカ「あぁ、あの時の……感謝するなら隊長にすることね、私の意思で送ったわけじゃないわ」

麻子「それでも助かったのは事実だ、お礼を言わせてくれ……ありがとう」ペコ

エリカ「ふん……御婆さんはなんともなかったの?」

麻子「ああ、今も元気だ、タップダンスするくらい」

エリカ「そ、そう、二度目はないからそのつもりでね」

麻子「わかっている、じゃあな」

エリカ「ええ」


まほ「みほ、大洗は楽しい?」

みほ「うん!みんないい人たちばっかりで、いっぱい助けてもらってる」

まほ「そうか…すまないな、姉らしいことは何もしてやれず…」

みほ「そんなことないよ、お姉ちゃんはいつも私のことを考えてくれてたもん、今ならそれがわかるの」

まほ「だが肝心な時に庇ってやれなかった……どうしてかな、何もできなかった」

みほ「気にしなくていいよ、結果的には、転校して良かったと思ってるし…」

みほ「私はもう大丈夫だから、お姉ちゃんはこれから自分のことだけに集中して?ね?」

まほ「……」ギュッ

みほ「あ、ちょ…は、恥ずかしいよお姉ちゃん…」アワアワ

まほ「いつの間にか、一人前だな…」ポンポン

みほ「えへへ……///」


優花里「美しい姉妹愛ですね」

沙織「あんなに抱き合っちゃって…」

麻子「鎧着たままだけどな」

華「マスクは外してるじゃないですか」

エリカ「……」

沙織「邪魔しちゃダメだよ副隊長さん♪」

エリカ「うっさい!何も言ってないでしょ!」


まほ「さて、そろそろ行くよ」

みほ「うん、またね、お姉ちゃん」

まほ「ああ、みほも頑張ってね」



まほ「エリカ!行くぞ!」

エリカ「Jawohl!」ダッ

みほ「逸見さん!」

エリカ「え…?」

みほ「今日の試合、とってもかっこよかったです!」

エリカ「あ…あなたの悪い癖が伝染ったんでしょうね!!」

エリカ「隊長、早く行きましょう!」ダッダッ

まほ「おい、引っ張るな!」

みほ「…行っちゃった」



華「お姉さん、一瞬で厳しい表情に戻りましたね」

沙織「みぽりんも戦車に乗ると人が変わるよね?」ヒソヒソ

優花里「うぅ、耳が痛いです…」

麻子「なんだかんだで似たもの姉妹か…」


エリカ「もう良かったんですか?」

まほ「十分だ、本当に立派になったよ……私が干渉する必要はなさそうだ」

まほ「それで、話というのは?」

エリカ「え!?あ、いえ、帰ってからでも…」

まほ「ここでいい、早く言ってくれ」

エリカ「えっと、あー…その……」






エリカ「わ、私では、隊長の支えにはなれないでしょうか?」

まほ「…?エリカには副官としていつも助けてもらってるよ」

エリカ「そうじゃなくって、えっと…副隊長としてではなく、人間としてというかなんというか……」

まほ「話が見えないぞ」

エリカ「と、とにかく!私は隊長の傍にいたいんです!」

まほ「…どういう意味だ?」

エリカ「そのままの意味です!」


エリカ「隊長は後悔してないと仰っていましたが、それでも時々苦しそうに見えるんです、だから……」

まほ「……」

エリカ「差し出がましいのはわかってます、でも、ずっと傍で支えていたいんです、私の敬愛する最高の先輩を」

エリカ「自分が忠実であるべきものを選ぶ、私は……貴女です」

まほ「大袈裟だぞ」

エリカ「そんなことありません、本気です」

まほ「参ったな…なんと言えばいいか…」

エリカ「…すみません、隊長はもうすぐ卒業してしまうから、言っておきたくて……失礼しました」


まほ「…妹に、言われたんだ」

エリカ「え…?」

まほ「これからは自分のことだけを考えてくれ、と」

まほ「でも、よくわからないんだ、自分が何をしたいかなんて」

まほ「今まで自分の意思というものに無関心で生きてきた、今後もこの生き方はあまり変わらないだろう」

まほ「だが……思えばいつも隣で戦ってくれている友人と共に歩むのも…悪くないかもしれない」

エリカ「それって…」

まほ「上手く言えないけど……嬉しいよ、エリカにそう言って貰えて」

エリカ「隊長…」グスッ

まほ「まったく…こんな堅物のどこが気に入ったんだ?」

エリカ「…そういうところですよ」

まほ「これからもよろしく、副隊長」スッ

エリカ「……はい!こちらこそ!」ギュッ


まほ「そういえば、命令違反の処罰を決めてなかったな」

エリカ「えっ…み、見逃しては頂け…ませんよね」ショボン

まほ「うーん、そうだな……よし、決めた」

エリカ「うぐぐ…甘んじて受け入れます…」



まほ「今夜、食事に付き合って」

エリカ「へ…?」

まほ「好きなものを奢ってあげる…嫌?」

エリカ「い、いえ!喜んでお付き合いします!」

まほ「ふふっ…さあ、帰ろう」



                 

                 —完—

乙!
ガルパンしかしらんけど面白かった まほエリの距離感gjvn!

乙!
この装甲服の白旗は頭に立つんですかね?
絵面を想像するとシュール

乙、良かった

駄文にお付き合い頂きありがとうございました

軍事的な知識には疎いので見苦しい点があっても許してください

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