舞「なに作ってるの?」愛「バレンタインチョコ」 (31)

舞「バレンタインチョコ?」

愛「うん」

舞「なに、あんた、好きな人でもできたの?」

愛「ブホッ! 違うよぉ! いないよ、そんな人!」

舞「はあ?じゃあなんでそんなもの作ってるのよ」

愛「いいでしょ、別にー」

舞「ふーん……」


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愛「……」

舞「……」

愛「そうだ!あれを飾りに使おうっと!」

スタスタ……

舞「……」

舞「……てい!」

ポチャ!

舞「……」

スタスタ……

愛「これこれ……っと!そうだ、ちょっと味見しよう……」ペロッ!

愛「うえ!?な、なにこれ!?しょ、しょっぱい!!?」

愛「ママでしょ!こんなことしたの!」

舞「さあ~?あんたが間違えて入れたんじゃないの」

愛「もう!」

舞「というか、あんた、本当に手作りチョコだって言いたいならカカオ豆から作りなさいよ」

舞「市販品のチョコ溶かして作ったものを手作りって言っていいわけ?」

愛「そこまでのクオリティを求める人なんていないよぉ!」

愛「まったく……作り直しだよ……」

――そして

愛「よし、とりあえずこれでOK!あとは……」

愛「あれ?ない!また忘れてきちゃったのかな?あれがないと完成しないよ!」

愛「ママ!今度はいじらないでね!」

タッタッタ……

舞「はいはい……そそっかしいわねえ……」




舞「そして、チョコのように甘いわね」 ボウッ

弱火→強火

愛「あー、よかった、なかったらどうしようかと思ったよ……って、あー!!」

愛「こ、焦げてるー!!?なんで―!?弱火にしたはずなのに!」

愛「またママでしょ!こんなことしたの!」

舞「さあ~?あんたが火加減間違えたんでしょ」

舞「それにね、愛。そもそも火を扱ってるのに、その場を離れるのは感心しないわよ」

愛「あ、ご、ごめんなさい……って!」

愛「確かにそれは悪かったと思うけど、こんなことしなくったっていいでしょー!」

876SS大好き 期待するしかない愛ちゃんかわいい

愛「もう……このままじゃいつまでたっても完成しないよ……」

プルルル!プルルル!ピッ!

愛「はい、もしもし……」

愛「……あ、春香さん!?……はい、はい……本当ですか!?もちろん行きます!」

愛「はーい!わかりましたー!じゃあ、今からさっそく準備して行きまーす!!」

プッ!

愛「やったあ!ママ、ちょっと出かけてくる!」

舞「どこ行くの?」

愛「どこだっていいでしょー?」

舞「夕飯までには帰ってくるのよー」

愛「子ども扱いしないでよー!ともかく、行ってきまーす」

バタン!

舞「……ふ、甘いわね。生クリームのように甘いわ。愛の大きな声じゃ、まる聞こえよ」

――そして

春香「いらっしゃい、愛ちゃん」

愛「はい!今日は誘ってくださって、ありがとうございます、春香さん!」

春香「うん、一人で作るより、二人で作った方が楽しいもんね」

愛「そうですね!それに、春香さんが一緒なら、百人力です!」

春香「ふふ、ありがとう、愛ちゃん。じゃあ、つくろっか」

愛「はい!」

――そして

愛「うわあ、さすが春香さん!こんなにキレイにできるなんて!」

愛「お菓子作りを任せたら、春香さんの右に出るものはいませんね!」

春香「そんな、褒めすぎだよ、えへへへ……」

春香「そうだ、愛ちゃん、ちょっとだけ食べてみる?」

愛「いいんですかー!?」

春香「うん、もちろん」

愛「やったー!!」

愛「じゃあ、じゃあ……これを!」

パク!

舞「うん、まあまあね」モグモグ

愛「!!? ま、ママ―――――!!?なにしてるの、ここで―――――――!?」

舞「あんた、視力落ちたならそう言いなさいよ。あんたにはどういうメガネが似合うかしら」

愛「そういうこと言ってるんじゃないでしょ!?勝手に人んちにあがりこんで!」

舞「なにいってんの、ちゃんと許可もらったわよ?ほら」

春香母「春香ー!! 見てみて!あの日高舞からサインもらっちゃった!握手も!信じられない!一生宝物にするわー!」

春香「お、お母さん……」

舞「でも、こんなに材料があるなんて、たくさん作るのねー……」

舞「そんなにたくさん好きな人いるの?」

愛「ブホっ!そんなわけないでしょー!?それにさっきも言ったように好きな男の人なんていないってー!」

愛「というか、どうして邪魔しに来るのー!?」

舞「だって、最近、愛、遊んでくれないんだもん。仕事が忙しいのはわかるけど、たまの休みにだってどっか行っちゃうしー」

舞「ママ寂しい」

愛「なによそれ!寂しいじゃないよ!いいじゃない、あたしにだってやりたいこといっぱいあるの!」

舞「それに、 バレンタインで悪い虫が愛についたら嫌だもん。私、まだあんたを手放すつもりないもん」

愛「だーから違うって言ってるでしょー!!」

春香「あはは……」

春香「事務所のみんなや友達にも配ろうと思いまして。だから、こんなに多いんですよ」

愛「最近は、異性だけじゃなく同性にチョコをあげたりもするの」

舞「へー、なるほどねー。ま、あんたたちの事務所女性ばっかりだしね」

愛「あ、でも、高木社長さんや春香さんたちのプロデューサーさんには義理チョコ配るけど」

舞「確か、春香ちゃんとこのプロデューサーは男だったわね……愛、まさかあんた……」

愛「もう、しつこいよ、ママ!」

春香「わ、私は……プロ……」ボソッ

愛「? なにか言いました?春香さん?」

春香「う、ううん!な、なんにも言ってないよ!」

愛「そうですか?」

舞「でもわからないわね……どうして義理チョコなんてものがあるのかしら」

愛「? 何の話?」

舞「私、いまいち義理チョコの概念がよくわかんないのよね。理解できないというか」

愛「なにそれ、ママの考えてることの方がわかんないよ」

舞「だってさ、本命チョコを義理チョコって偽って好意がある人にあげることもあるんでしょ」

春香「まあ、日ごろの感謝を込める意味で義理って言うことが本来の意味ですけど……」

舞「だから、それがわかんないのよ。どうしてそんなまどろっこしいことするの?」

愛「はあ?そ、そんなの……」

舞「本当に好きだっていうなら、義理なんて逃げみたいなことしないで、本命を渡せばいいじゃない」

愛「な!世の中の女の子がママみたいな短絡的な考え出来るわけないでしょ!?」

舞「……愛、これだけは言っとくけど、自分にとって相手が好きか嫌いかもストレートに感情を表現できない曖昧な気持ちしか持てないようなら、一緒になったって惨めなだけよ」

愛「な!?」

春香「……」

期待

舞「好きか嫌いかもいまいちわからない、微妙な気持ちの相手を時間をかけて適当な理由をつけて好きだと思い込む……」

舞「そういうの、恋に恋してるっていうんじゃないの」

舞「どうせバレンタインなんて他人にきっかけをつくってもらわないと気持ちも伝えられないような相手、好きになってたってしょうがないわよ」

舞「そんな適当な相手に、私の娘は渡さないわ。絶対」

愛「なによ、それえ……」

愛「ママはそうかもしれないけど、みんながみんなそうじゃないもん!」

愛「それに、一緒に過ごしていくうちにいろんなことに気付いて、よりいい関係を築いていくことだってできるよ!
  本当に相手のことが分かるようになることだってあるよ!」

愛「ママが言いたいのは自分の道は自分で切り開けってことでしょ!なら!」

愛「そのための最初の第一歩にバレンタインを使ったっていいでしょ!」

舞「……」

舞「ま、それも一理あるわね」

舞「愛、もし本当にあんたに好きな人ができたら、たとえ私が反対しても、貫いてみなさいよ」

愛「言われなくったって!」

舞「ふふ、それでこそ私の子よ。じゃあね、私帰るわ。チョコありがとね」

愛「まったくもう……ママは……」

春香「でも舞さん、かっこいいな」

愛「ええ!? どこがですか!?」

春香「あんな風に自分の気持ちや考えをきちんと持って信じて突き進むなんて、なかなかできないよ」

春香「私も見習わなくちゃ」

愛「そんなことないですよー!春香さんは優しいから、あの破天荒なママを良く思えるんですよ!」

愛「春香さんは、今のままの優しい春香さんでいてください!!」

春香「そ、そうかな」

愛「そうですよー!春香さんはあたしにとって尊敬すべき素晴らしい先輩です!!」

春香「……ふふ、ありがとう、愛ちゃん」

愛「はい!!」

――バレンタイン当日

春香「おはようございまーす!」

P「お! おはよう、春香。今日の調子、良さそうだな」

春香「はい!ばっちりです!」

P「この調子なら大丈夫そうだな。今日のバレンタイン特別番組企画、必ず成功させような!」

春香「はい!」

P「じゃあ、もう少し時間があるから、それまで待っててくれ」

春香「わかりました」

P「……」カタカタ……

春香「……」

春香「あ、あの!プロデューサーさん!」

P「ん?どうした?」

春香「その、チョコ、作ってきました!」

P「お、本当か!?ありがとうな、春香」

P「さっそく食べてもいいか?チョコには目がなくってな」

春香「はい、もちろん!」

P「お、美味そうだな。さすが春香だ」

P「本命チョコ、ありがとうな!」

春香「はい、腕によりをかけて作った本命チョコで……って、え、ええええええええええええええ!!!?」

春香「ち、ちちち違いますよぉ!!」

P「ははははははは!!わかってるって!冗談だよ!」

春香「も、もう!プロデューサーさんのバカ!」

P「はははは……でも、どうだ?緊張、ほぐれたか?」

春香「え……?」

P「ここ最近、ずっと不安がってただろ。見ればわかるよ」

春香「そ、そんなことないですよ!」

P「隠すことないよ。今日の企画はけっこう大きいし、それに春香がメインだ」

P「特別な日ということもあって、責任もより重く感じるだろう。それが当然だ」

春香「プロデューサーさん……」

P「おまえは他人のことはよく見えてるのに、自分のことは見えていないところがあるからな……」

P「オレたちはパートナーだろ。もっと、オレを頼ってきてくれていいんだぞ」

P「一緒に、頑張って行こう。……このセリフは、いつもおまえが言ってる言葉だろ。自分が忘れちゃダメじゃないか」

春香「……はい!」

P「よし、行くぞ」

春香「はい!」





春香(……舞さん)

春香(やっぱり私の気持ち、間違ってないかもしれません)

――そして

舞「モグモグ……」

テレビの春香『みなさーん、今日はバレンタインですよ、バレンタイン!』

テレビの春香『今日はいつも以上に頑張っていきましょーう!』

テレビ『おおおおおおおおおおお!!』

舞「楽しそうねえ、春香ちゃん」

舞「いつも思うけど、この子と戦ったら、おもしろそうね……ふふ」

舞「モグモグ……ゴクン」

手紙『ママへ 
 いつもありがと 
 愛』


舞「ふふ……」

舞「まだまだね、愛。私の方がより見た目が良くておいしいチョコが作れるわ」

舞「ホワイトデー、見てなさい、愛が自分の数百倍良いって悔しがるような、最高のチョコを用意するわ♪」

終わり

終わり

見てくれた人、ありがと

乙!
876が読めて満足だ!

おつ

おつー

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