洋榎「打倒チーム虎姫や!」(89)

<千里山女子高校 麻雀部部室>

竜華「…………」

セーラ「…………」

怜「…………」

恭子「…………」

洋榎「ん?どないしたん?はよ始めようや」

竜華「いや……事態がイマイチ飲み込めてないねんけど……」

洋榎「え?浩子から聞いてへんの?」

竜華「……愛宕さんと末原さんが来るのは聞いた」

洋榎「聞いてるなら問題ないやん。ゆーこがイマイチ乗り気やないみたいで不参加なんが残念やけどな」

セーラ「…問題っちゅうか、どういう事なのか知りたいなぁ」

洋榎「へ?今言うたやん。打倒チーム虎姫やって」

セーラ「だからその結論にに辿り着いた理由を教えてぇや」

洋榎「?」

支援

恭子「主将は話を端折りすぎですよ。私から説明します」

セーラ「頼むわ」

恭子「……わが姫松高校はインハイで打倒チーム虎姫を掲げたものの、団体戦は白糸台の優勝に終わり、個人戦でも宮永 照が優勝…」

恭子「このままでは終われないと奮起した主将は、秋に行われる国民麻雀大会でチーム虎姫の面々を倒すべく、関西勢でアイデアを出し合う事にした……らしいです」

洋榎「そや!!」

竜華・セーラ「うーん……」

怜「…………」

洋榎「うちらは3年、インハイも終わった。この機を逃したら次に戦えるのはいつになるか分からへん!」

洋榎「高校3年間の雪辱を果たすのにコクマはもってこいの舞台やろ!東京モンに関西人の意地を見せたろうや!な!?」

セーラ「ふむ……意地か……」

竜華「気持ちは分かるねんけど……インハイと違てチーム戦ちゃうしなぁ」

怜「…………」

洋榎「なんやねんノリ悪い……そんなんでどないすんねんな。おう、さっきから黙っとる園城寺はどない思う?」

怜「大賛成やな」

竜華・セーラ・恭子「えっ?」

洋榎「おおお!ほんまか!!」

怜「ほんまやで。今年で1番の賛成や」

洋榎「おっしゃ!うちの時代来たで!」グッ

竜華「と、怜?なんで?」

怜「なんでって……私コクマに出るつもりやし、どうせなら宮永 照に勝ちたいやん」

セーラ「ずいぶんアグレッシブやんか」

怜「んー……なんか退院してから調子ええからかな?めっちゃやる気出てん」

洋榎「おお!元気になったん!?」

怜「なったでー?腹筋もバキバキや。7.6つに割れとるわ」

洋榎「すぐバレる嘘はやめえ。あと7.6ならもう切り上げて8でええやろ。想像が面倒や」

怜「ほな0.6は右の上腕二頭筋に回しといて」

洋榎「回しといてって部署ちゃうねんから……それとせめて左にせえ。アンバランスに拍車かかるやろ」

怜「♪拍車 拍~車~」

洋榎「それミスチルのダーリンダーリンや!遠すぎる!」

竜華・恭子「…………」ポカーン

セーラ「…………」クス

怜「ふふ……ふふふふ…」ニヤー

洋榎「?」

竜華「と、怜……どないしたん?いつもより機嫌ええけど……」

怜「いやな?愛宕さん、ビシッとつっこんでくれるからめっちゃボケれて楽しいねん」クス

竜華「へ?怜、ボケたいん?」

怜「そらまぁ、私かて関西人やし」

竜華「…………セーラ、怜が変や」ボソ

セーラ「ん?変か?」

竜華「怜ってボケたがるタイプちゃうやん」

セーラ「あー……竜華から見たらそうか」

竜華「え?」

セーラ「怜、竜華がおらんところやと意外とボケるで?」

竜華「ええっ!?な、なんでうちとおる時と違うん!?なんか嫌や!」

セーラ「竜華って割と天然やからツッコミに回るんやろ」

竜華「うち天然ちゃうもん……」

セーラ「……ま、竜華とおる時はボケるよりもまったりする方にシフトしとるんちゃうか?」

竜華「そうなん?」

セーラ「ああ。俺らには甘えたり膝枕ねだったりせえへんからな」

竜華「そ、そう?ほなしゃあないなぁ……えへへ」

恭子「………で、結局どうするんですか?」

セーラ「ん?確かに負けたままなんは嫌やし……リベンジっちゅうのもええな。参加するわ」

洋榎「よし!ほな残りは……」

怜「どちらとも言えへん竜華と、完全に反対しとる私やな」

洋榎「お前が口火切ったんちゃうんか!?真逆になってもうてるやん!!」

怜「ああ……テンション高いツッコミ……ええなぁ……」

竜華「う、うちかてツッコミ出来るで!膝枕だけちゃうで!」

恭子「それで……どうなんです?清水谷さんは参加します?」

竜華「する!」

洋榎「よしっ!」グッ!

セーラ「これで全員参加か」

洋榎「ああ!やったで恭子!」

恭子「はぁ……相手にされずに終わる思ってたんですけどね」ボソ

洋榎「ん?今なんて?」

怜「オン キリキャラ ハラハラ フタラン パソツ ソワカやて」

洋榎「き、恭子!陰陽師やったんか!!黙ってるなんて水くさいで!」

恭子「違いますよ!」

怜「次回、第11話 転校生は陰陽師少女!」

竜華「あ……えと…」

竜華(どうつっこんだらええんや……)

恭子「転校してくるの遅いです。1クールやったらもう終わりますやん」

竜華「うぅ……」

怜「大丈夫。2.6クールやから」

洋榎「せやから切り上げて3でええやん。0.6好きやな」

恭子「3クールも中途半端ですけどね」

マスコミの言う虎姫が大阪選抜に勝つ姿が全然想像付かない・・・

セーラ「ほな俺が0.6を預かるわ」

怜「落とさんといてやー?」

セーラ「おう……っと熱っちち」

洋榎「なんや。クールやのに熱いんかい」

竜華(………セーラまでボケ始めた……あかん……なんかみんな生き生きしてる……)

怜「あ、ごめん!1クール多めに持ってたわ。これも預かってー」

セーラ「え?持てるかな?」

怜「あごで挟んだらええわ……はい」

恭子「1クールをあごで挟むってなんやねん……」

竜華「な、なあ!」

セーラ「!!」ビク

怜「ああ!クールが全部落ちた!」

洋榎「恭子!」

恭子「っ!オンキリキリ…………なんでしたっけ?」

洋榎「ああー……大事なとこやのに……」

怜「そんなん適当言ってソワカで締めればええよ。なぁ?」

セーラ「ソワカー?」

竜華「っ…!」ピクッ

洋榎「そうかー?みたいに言うな」

怜「ソワ…………カ……」

洋榎「言い方変えても一緒」

竜華(つ、ツッコミって難しいなぁ……うちには出来へんかも)ウーン..

怜・セーラ・洋榎・恭子「」キャッキャッ

竜華「…………あの……そろそろ本題に入らへん?」

洋榎「おお」

怜「せやな。ソワカが付けば陰陽師ってもんやないし」

セーラ「呪文はちゃんと言わんと」

怜「よし、全員で正しい呪文を書き出してみよか。自由帳持ってきてー」

竜華「あー、えとその……そうやなくて……最初に言うてた……そう!打倒チーム虎姫や言うてたやん!」

洋榎「ああ……そやったな。楽しかったから忘れてたわ」

怜「ホンマやなー。末原さんが陰陽師やったって事は忘れられへんインパクトやけどな」

恭子「それは忘れてください…やないわ。事実無根です」

竜華(……本筋に戻せへん……こうなったらうちも会話に加わるしか……)

セーラ「事実無根って決めつけたらあかんで?今から目指す手もあるやん」

恭子「高3から陰陽師目指すってどんな進路ですか……担任に見放されますわ」

竜華「……あっ!そういえば前に聞いた事あるねんけど、今の世の中に陰陽師って名乗れる人は誰もおらんねんて。なんか偉い人が言うとったで」エヘン!

竜華(ふふっ……うちかて会話に入る材料持ってんねんでー♪)

怜・セーラ・洋榎・恭子「……………」

竜華「あれ?」

怜「竜華……」

竜華「怜……?」

セーラ「別にみんな本気で言うてるわけちゃうで?」

竜華「………そ、それは分かってんねんけど……」

怜・セーラ・洋榎・恭子「そこは『ソワカー』やん!!」

竜華「わわ!」

恭子「それ言うとけばオチてましたよ」

洋榎「陰陽師はおらん言うてるお前が陰陽師かい!ってな」

竜華「全然気付かんかったわ……」

怜「ふふ……竜華らしいなぁ」クスッ

竜華「怜……えへへ……///」

セーラ「ほなそろそろ本題に入ろか?」

恭子「ですね」

洋榎「よし!打倒チーム虎姫の作戦会議や!」

恭子「まずはチーム虎姫のデータをおさらいしましょう。メンバーは宮永 照、弘世 菫、渋谷 尭深、亦野 誠子、大星 淡…」

怜「あ、ちょお待って。前から気になってたんやけど…」

恭子「?はい」

怜「チーム虎姫ってネーミング……姫松のが合うてへん?」

洋榎「それや!うちもそれは思っとった!!」

竜華「どういう事?」

怜「姫は姫松の姫やし、虎は阪神タイガース。明らかに白糸台より関西の姫松に合うてる」

洋榎「ホンマや!!姫松のが似合てんのに勝手に虎姫を名乗るて……これ盗人ちゃうか!?」

セーラ「ちゅう事は……そんな盗人を捕まえようとするうちらは……『チーム町奉行』や!!」

怜・洋榎・恭子・竜華「…………」

セーラ「……………」

洋榎「……もっさいな……」

セーラ「うん……声張って言うた自分に引いてる……」

洋榎「そんなチーム名嫌や……ユニフォームがあったら絶対地味やわ」

セーラ「分かるわー……」

怜「基本無地でインナーの方にロゴがプリントされてんねん」

洋榎「それは地味とかいう問題ちゃう!直すかインナーを表に着直せや!」

セーラ「胸のところにニコニコマークの缶バッジ付き」

竜華・洋榎・恭子「ダサッ!!」

怜「そのバッジ、ちょ…………っとだけ傾いてんねん」

洋榎「ちゃんと付けろやー。表情が命やろ」

セーラ「………ま、どちらにせよ姫松を差し置いて虎姫を名乗ったらアカンな、うん」

洋榎「あ、ならうちら5人で『真チーム虎姫』っちゅう事にしようや!!」

怜・竜華・セーラ・恭子「!」

竜華「え、ええんかな?」

洋榎「ええに決まってるやん!園城寺が言うた通り、虎姫はうちらにこそふさわしい!!よし、チーム名決定!」

セーラ「おおー」パチパチ

恭子「……園城寺さん」

怜「ま、まぁええやん。実際はコクマって個人戦みたいなもんやし、勝手に言うてるだけなら問題ないやろ」

恭子「………まぁ……そうですね」

洋榎「おし!ほな旧チーム虎姫……白糸台はなんて呼ぼうか?」

怜「……チームFCやな」

洋榎「FC?何それ」

怜「いや、FC東京からとって…」

洋榎「虎姫はプロ野球チームからとってるのに、白糸台はJリーグなんや?」

怜「自然とそうなるなぁ」

期待

恭子「チームFCやとチームフットボールクラブになりますよ?」

洋榎「サッカーチームやん」

怜「あ、運動部なら麻雀は下手かもしれんで?」

洋榎「お前が勝手にサッカーチームにしただけで本職は麻雀や!」

怜「んー……ほならどうするん?」

セーラ「……ジャイアンツは男っぽいから……スワローズからとって燕姫とか?」

竜華「お、燕姫って可愛い響きやなぁ……」ホッコリ

洋榎「そうか~?音で言うたら、馬ケツ毛みたいな感じやけど」

怜「ちゅうか姫はあかんよ。姫松さんの物や」

洋榎「ほなら姫部分を変えなあかんな。何がある?」

セーラ「燕……御前とか?」

恭子「………なんか……字がちゃいますけど、食べる御膳の方を想像してまいますわ……味噌汁のフタを開けたら中に……という感じの」

竜華「ぅわ……嫌や……」

そりゃ大阪選抜なら勝てるだろ
それなら東京も東京選抜で戦うべき

洋榎「せやな。命は大切にせな……他は?」

怜「……燕FC……いや、つばめふC……」

洋榎「なんで混ぜんねん。エも大切にせえ」

セーラ「うーん……後は…………うーん……」

怜「もうシンプルに『白糸台高校麻雀部のインハイレギュラー』でええんちゃう?」

洋榎「……長いなぁ……もっとなんとかならんか?」

セーラ「ほな『西東京代表の白糸台高校麻雀部のインハイレギュラー5人衆』にしよか」

洋榎「長いー言うたやろ!増やすなや!」

怜「いや、分かりやすさは大事や。目的も足しとこ」

恭子「目的?」

怜「『うちらの倒すべき相手である元チーム虎姫こと西東京代表白糸台高校麻雀部のインハイレギュラー5人衆』で」

恭子「……長い」

セーラ「略してTTAやな」

洋榎「どんな略し方や……記憶に結びつかへんわ」

怜「まぁええやん。それでうちらの倒すべき相手である元チーム虎姫こと西東京代表白糸台高校麻雀部のインハイレギュラー5人衆をどう攻略する?」

セーラ「うちらの倒すべき相手である元チーム虎姫こと西東京代表白糸台高校麻雀部のインハイレギュラー5人衆はみんな手強いからなぁ」

怜「うちらの倒すべき相手である元チーム虎姫こと西東京代表白糸台高校麻雀部のインハイレギュラー5人衆の宮永さんはうちらの倒すべき相手である元チーム虎姫こと…」

怜「西東京代表白糸台高校麻雀部のインハイレギュラー5人衆で最強やからうちらの倒すべき相手であるもとちーむとらひめこと……っ!!」

怜「っぷはぁ!!ぜー……ぜー……ぜー……」ハァ..ハァ..

洋榎「別に息吸ったらアカン事ないねんで?」

怜「はぁ……はぁ……」

竜華「怜!」

セーラ「大丈夫か?」

怜「……ふう……大丈夫や」

竜華「よかったー」ホッ

怜「………もうチーム白糸台でええやん」

洋榎「そやな……ほなチーム白糸台で」

怜「はぁー……今のであごがめっちゃ疲れたわ。あと少し続けてたら喋る気力ゼロになっとった」

洋榎「っ!閃いたで!」

竜華「閃いた?」

洋榎「そや!今の園城寺の言葉がヒントになった!」

怜「私の言葉?……気力ゼロになっとった?」

洋榎「ちゃう!もっと前や!」

怜「もっと前?………この人老けたなー?」

洋榎「いつ言うたんや!」

怜「朝テレビ観てて……ってそれはええわ。どこの部分?」

洋榎「あごが疲れたら喋る気なくなる!」

竜華「?それがヒントなん?」

洋榎「そうや!喋る気なくなる……つまり!ポンとかチーする気せえへん!」

セーラ「ん、それって……」

洋榎「そう!亦野と対戦する時にめっちゃ役に立つやん!亦野のあごを疲れさせてポンを封じれば釣られる事はあらへん……ボウズ確定や!」

恭子「……どうやって亦野のあごを疲れさせるんです?」

洋榎「え?それは………イカの刺身をたらふく食べさせるとかええんちゃう?あれ永遠に噛める気するやん」

恭子「……どうやって実行するんですか?」

洋榎「食べやすい大きさに切ったイカをタッパーに入れて、ハンカチみたいなんで包んでカバンに…」

恭子「そういう事やなくて……ええと……」

洋榎「?」

怜「………末原さんが気にしとるんはな?亦野がイカアレルギーやったらどないするかって話やねん」

恭子「ちゃうわ!これから試合やっていう時に、敵からイカの刺身を山ほど持ってこられても食べるわけないやんって事です!」

洋榎「そうかー?美味そうやったら食べると思うねんけど……イカやで?」

恭子「ああ……主将はそうかもしれませんね……」ハァ

洋榎「んー?」

怜「……ボケやなかったんやな」

セーラ「そやな」

洋榎「?」

恭子「えっと……では…」

洋榎「あ!ちょい待ち!チーム白糸台に対抗する作戦より先に、気になる事を片付けたいんやけど」

恭子「?」

竜華「気になる事?」

洋榎「そう。白糸台の連中ってめっちゃかっこええキャッチフレーズがあるやん」

怜「あー……言われてみればそうやな」

洋榎「せやろ?宮永は『高校生1万人の頂点』とか『インターハイといえば彼女のこと』とかめっちゃええやん!羨ましいと思わへん!?」

恭子「……それは……まぁ…」

洋榎「弘世は『シャープシューター』、亦野は『フィッシャー』、大星は……なんやったっけ?『牌された子』?」

恭子「『牌に愛された子』ですね。他にも何人か呼ばれてますけど…」

洋榎「ああ、そやった。渋谷は……思い出せへんけど牧場長みたいな偉い肩書きで呼ばれとったし……みんなかっこええねん!」

竜華「確かに……」

セーラ「TV中継とか実況で言われるの気持ち良さそうやなー」

洋榎「せやろ?ちゅう事で、作戦をどうこう考える前にうちらも何かいいキャッチフレーズを付けようや!その方がモチベーションも上がるで!」

竜華「賛成!めっちゃ付けて欲しい!」

セーラ「かっこええのがええな」ヘヘ

恭子「ただ名前を呼ばれるよりいいかもしれませんね……プレッシャーにもなりそうですが」

怜「…………」

洋榎「ん?どないしたんや園城寺?つれない素振りっちゅうやつやないか……なんでや?」

怜「……私、キャッチフレーズあるから」

洋榎「え!ど、どんなん?」

怜「園城寺 怜!『1巡先を見る者!』」カッ!

洋榎「そ、それは………全国ネットで三尋木プロに能力バラされた時の……!」

怜「あれはホンマビックリした。あんなん『決め球はフォーク!』言うて紹介してるようなもんやで。手の内バレたるがな」フゥ

洋榎「……けどめっちゃかっこええな……くっ……」

怜「他にもあるで?『病弱クールなキツネっ子』とか」

洋榎「キツネ?」

竜華「怜はキツネの手でツモるんやでー!?めっちゃめちゃ可愛いねん!」ヘヘン

怜「…………」ダブル デ コーン!

竜華「わわ!両手や!めっちゃめちゃ可愛いー♪めっちゃめちゃ可愛いー♪」

恭子「別にダブルやからって2回褒めんでも……」クス..

洋榎「園城寺はキャッチフレーズあってええなぁ」

怜「私だけちゃうよ。竜華とセーラにもあるで?」

洋榎「マジか!?」

竜華「?」

セーラ「俺にそんなんあったっけ?…………っ!思い出した!」

洋榎「うちも思い出した!江口はアレや!千里山の………何ッシュやったっけ?」

セーラ「そこまで出てんなら分かるやろ。デニッシュなわけないねんから……『千里山のマニッシュ』や」

洋榎「そやそや。マニッシュや……意味分からんけどかっこええ……」

竜華「なぁなぁ怜~。うちは?」

怜「竜華は……そやな……『パーフェクトニー』やな」

洋榎「またかっこええの出た……」

竜華「え~?そんなん言われた事ないけど……今付けてへん?」

怜「ええやん。合うてんねんから」

セーラ「分かりやすくてええな」

竜華「……そう言われると……確かに結構ええかも♪」

洋榎「い、今の園城寺が付けたん?」

怜「そやでー」

洋榎「おお……すごいな………ほな浩子は?」

怜「『千里山の頭脳』とかちゃう?」

洋榎「お、おお……なら二条は!?」

怜「泉は……『袖なし高一』かな?」

洋榎「耳なし芳一みたいでかっこええやん!なぁなぁ、うちにもキャッチフレーズ付けてや!」

このノリいいな

怜「ええでー。どんなんがええの?」

洋榎「うちの特徴が分かるやつ!」

怜「うーん……あ、これはどや?『やかましい子』」

洋榎「それ悪口や!それにそんな呼ばれ方したら疲れてても無理して騒がなあかん気がするやんけ!」

恭子「責任感ありますね」

怜「なら『口数最強』」

恭子「意外とええんちゃいますか?」

洋榎「ええー……嫌や……やっぱ特徴が分かるやつはやめるわ。可愛いのない?」

竜華「お、可愛いのに惹かれるん?意外やな~」ニコ

洋榎「う、うっさい」

怜「可愛いのかぁ……『愛宕P』は?」

洋榎「それやと可愛いのはアイドルの方やん……あー、もう可愛いのはええ!意外性のあるやつ!」

怜「んー……『©愛宕 洋榎』は?」

洋榎「ほなうち誰や!」

ここに呼ばれぬ憩ちゃん

恭子「確かに意外ではありますけどね」

洋榎「いや、あかん!許可出す側と出される側のどっちに感情移入したらええか分からんし……ちゃんと考えてくれてるん?なぁ」

怜「…………」

洋榎「おーい」

怜「……愛 宕 洋 榎くん!」

洋榎「国会風に呼んでも誤魔化されへんぞ!」

怜「…………ちなみに末原さんは『姫松の誇る智将』や」

恭子「う……なんか照れますわ//」

洋榎「めっちゃええやん!うちと全然ちゃう!………園城寺はうちの事嫌いですか?」ネェ

怜「ちょっとボケただけやんか。愛宕さんは……『めっちゃプラスの絶対エース』でどや?」

洋榎「んー……めっちゃプラスなぁ……」

セーラ「ええやん。気取ってない感じするし」

洋榎「そ、そう?」

竜華「かっこええで!」

洋榎「……そ、そうか。確かに絶対エースって響きはかっこええな………園城寺、ありがとう!このキャッチフレーズもらうわ!」

怜「気に入ってもうて嬉しいわ」

洋榎「………よし!キャッチフレーズを得てテンションが上がったところで、チーム白糸台の対策や!」

竜華「おお~」

恭子「一応、各選手と当たった時の対処法はありますが……おそらく誰もが思いつくくらいのレベルですわ。渋谷 尭深が相手の時はなるべく親で連荘しない、とか」

怜「んー……そやなー」

セーラ「弘世から狙われてるかどうかを知る方法も分からへんかったみたいやし……」

竜華「うちも大星 淡と戦ったけど……これといって有効な対策は無いなぁ」

怜・竜華・セーラ・洋榎・恭子「……………………」ウーン

洋榎「ほならもう有効かどうかは無視して、とりあえず思いついたもんは全部挙げてみよか」

恭子「ふむ……そうですね。何かヒントが得られるかもしれませんし」

怜・竜華・セーラ・洋榎・恭子「……………………」ムーン..

洋榎「………お、これええかも」

恭子「何か思いつきました?」

洋榎「おう!うちがされたら嫌な事を考えたら浮かんだわ!まず、試合中にすっぱい物を想像すんねん」

竜華「すっぱい物……?」

洋榎「そや!梅干しとかやな!そうゆーのんを想像すると口の中に唾液が出てくる。そしたら元気よくポンすんねん!」

恭子「?」

洋榎「すると唾が飛び散るやろ?で、相手の手牌にかかる。んで唾が付いた牌は残したないから捨てる。上手くいけば有効牌を切る!どや!」

セーラ「……全国放送される卓上に唾を飛び散らかすんか?」

恭子「ルール違反ではないでしょうけどマナー違反です」

洋榎「ええ~!?あかん?わざと唾を吐くのは失礼やけど、鳴いた勢いで飛んでまうのはしゃあないんちゃう?すっぱい物を想像したらあかん事ないんやし…」

竜華「想像するのはともかく……それはあかんと思う……」

怜「『好感度めっちゃマイナスの絶対エース』になるで」

洋榎「それは嫌やな……ほなお喋りしまくって気ぃついたら唾飛んでた……ちゅうのは?」

セーラ「そっちの方がまだ良さそうやけど……それでもなぁ……」

洋榎「なんでやねん。流れるようなお喋りは聞いてて心地ええやろ?」

恭子「流れるようなお喋り出来るんですか?」

洋榎「いつもしてるやん!」

セーラ「ほな噛んだりせえへんの?」

洋榎「当然や!」

怜「ほなあれ言ってみて。ファッションモンスターの子の名前」

洋榎「そんなん簡単やんけ!かりー、きゃりーぱみゅぱみゅやろ!ほれ!」

恭子「今噛みましたよね。しかも難しくないところで」

洋榎「う……」

セーラ「意図せえへんところで……大迷宮に行く途中の街で迷われたみたいな気分…」

怜「かりーぱみゅぱみゅって何?ナタデココ入りのカレー食べてる時の擬音?」

洋榎「そ、ソワカー……」

恭子「なんで今陰陽師ですか」

洋榎「ちゃうちゃう。今のソワカーは顔が赤くなった時の擬音や」

セーラ「そんな音鳴るん!?」

竜華「…………なぁ、唾が牌に付いたとしても拭かれて終わりちゃう?」

洋榎「あ……そ、そうやな………アカン、考え直しや」

怜・竜華・セーラ・洋榎・恭子「………………」ウーン..

支援

セーラ「……お!宮永 照対策思いついたで」

洋榎「ホンマか!どんなん!?」

セーラ「宮永 照が読む本にメモを挟むねん」

洋榎「ほうほう」

セーラ「『関西人は最強。絶対勝てない』って書いたメモをな」

竜華「?それ見たらどうなるん?」

セーラ「アレやんか。サブリミナル効果やっけ?関西人には勝てへんって刷り込む事で、俺らに対して弱なる!」

恭子「サブリミナル効果ってはっきり見えたらダメやったと思いますよ?」

セーラ「え、マジか……」

怜「……末原さんさっきから的確な事言うなぁ……安定しとる。DEENやな」

恭子「あ、ありがとうございます…」

怜「末原さんのキャッチフレーズは『姫松の誇るDEEN』に変更やな」

恭子「やめてくださいよ。真チーム虎姫に偽DEENがいるとかややこしいですって」

セーラ「サブリミナル効果はアカンか………宮永 照対策で他にええのある?」

怜「1個あるで」

セーラ「!教えてぇや」

怜「うん……まず、宮永 照の右腕に竜巻みたいな風が吹いたらもう止めるのは困難や」

セーラ「そやな……」

怜「かといって連続和了を防ぐのも難しい……」

恭子「はい……それをどう対策するんです?」

怜「……私の策は、連続和了はある程度しか防げへんけど、竜巻を吹かせへんように出来る」

洋榎「お、おお!それでもめっちゃすごいで!」

竜華「点数が高くなる前に止められるのは大きいわ」

セーラ「どんな作戦なん!?」

怜「まず……対局前に宮永 照にひよこを渡すんや」

恭子「へ?」

竜華「ひよこって………あのピヨピヨのひよこ?本物の?」

怜「そや。もちろん右手にな」

恭子「………それで?」

怜「『すいませんけど、対局終わるまでこのひよこを預かっといてください』言うて渡された宮永 照は、ひよこを気遣って竜巻を起こせへん」

恭子「…………」

怜「風吹かせたら『ピヨーッ』ってなるから………うん」

洋榎「……これから試合やのに敵からひよこ渡されても預かるわけないやろ」

恭子「敵からもうたイカ食べる主将が言うても説得力ないですよ」

怜「ひよこ可愛いし、流れに任せて預かってまうと思うんや。そしたら右手は完全に封じられる。なんなら左手でツモる時に山崩してチョンボ狙えるかもしれんで」

竜華「ひよこ片手に麻雀打つって可愛いなぁ~♪」ホッコリ

怜「あれ?これホンマに有効ちゃう?河にひよこ置くわけいかんから持つしかないもん」

洋榎「卓の右端に置かれるんちゃう?」

怜「アカン。そこはひよこ置き場ちゃうねんから。ポンチーカンした時以外は空けとかんと」

洋榎「左手に持ちかえられたらどないする?」

怜「…………あ」

洋榎「…………」

怜「…………実は3羽預かってもらっててん」

洋榎「後出しずるいで!ちゅうか数の問題か?」

竜華「あ!なぁなぁ……宮永さんにひよこ渡しても、対局室におる係の人に預けて終わりちゃう?」

怜「…………」

洋榎「…………」

竜華「怜?」

怜「…………先に係の人に6羽渡して……」

洋榎「もうええわ!次は弘世や!狙い打ちを避ける方法ないか?」

セーラ「泉が言うには、目が合うたらヤバいらしいけど………あ!グラサンかけたらええんちゃう?」

怜「それか両目を閉じたまま打つとか」

洋榎「それでどう打つねん」

怜「自分のツモの時、上家の人に肩叩いてもらうよう頼んどくねん」

セーラ「優しい人座れ!頼む!」

恭子「それじゃ鳴けへんし和了れませんよ。というか、弘世さんの目を見ないようにしたらええだけの話やないですか」

竜華「うーん……でも目が合うても必ず狙われるわけちゃうって言うてたで」

セーラ「え……そうやったっけ?」

恭子「阿知賀の人は避けてましたけど……何かクセとかあるんでしょうか?」

セーラ「そやった!阿知賀の松実姉は避けとった!ほな松実姉を参考にすればええ!何かあるはずや!」

洋榎「どう参考にするん?」

セーラ「一応グラサンはかけとく。で、レンズの色を松実姉のカラーであるピンクか赤にすんねん。あとは厚着してマフラーを巻く!」

セーラ「これで目ぇ合わへんし、松実姉をほぼ再現や!」

恭子「狙い打ちってルックスで回避出来るものちゃうと思いますけど……」

怜「他には対局中に『あったか~い』って呪文唱えとくのもええかも」

洋榎「それ呪文ちゃうと思うけど………まぁええわ、今のは使えるかもしれんしメモっとく。ほな次は渋谷や!」

竜華「……この子はさっき末原さんが言うたように親で連荘しないぐらいちゃうかー?」

セーラ「それか役満和了られるの覚悟でそれ以上に稼ぐとかやな」

恭子「江口さんや主将ならそれでいいでしょうけど……」

竜華・セーラ・恭子「…………」ウーン..

洋榎「…………」チラ

怜「!…………」ジー

洋榎(むむっ!園城寺が熱い視線で見つめ返してきた……ボケるからふってくれっちゅう事やな………よし、分かったで!)ニヤリ

洋榎「こういう時は園城寺や!園城寺ならどうする?教えてーや!」

怜「!」

洋榎「ハーベストタイムをどう止めるん!?」

怜「…………やめてって」

洋榎「え?」

怜「やめてって」

洋榎「……渋谷にハーベストタイム使うのやめてって言うん?」

怜「ちゃう」

洋榎「え?ほなどういう意味?」

怜「私にふるのやめてって」

洋榎「え!うちに言うてるん!?」

怜「うん」

洋榎「ええー……ふって欲しそうな目してたやん」

怜「違うで。ええ策もボケも思いつかんかったからやめてって目や」

洋榎「そんなん分からんわー」

怜「分からんのやめてって」

洋榎「やめて言われてもしゃあないわ」

怜「……そやな……付き合い浅いし分からんよなぁ」

洋榎「あ、ほなら番号とメアド交換しようや」

怜「え?」

セーラ「お?」

竜華・恭子「む?」

洋榎「ええ機会や。今日会うてみて分かったけど園城寺って意外とおもろいし、もっと仲良なりたいからな」

怜「へ、へー……ま、ええけど……//」

洋榎「お、照れてるん?」

怜「て、照れてへんよ//」

支援

洋榎「いやいや、顔赤いやん」

怜「これは……昨日エビ食べたから//」

洋榎「エビ食べたら次の日顔赤なんの!?それってエビになりかけてるんちゃう!?大丈夫か!」

怜「だ、大丈夫や……ほら……はよ交換しよ…//」

(交換中)

洋榎「おし!登録出来たわ、ありがとう」

怜「う、うん……」

セーラ「…………」

竜華・恭子「むむ……」

怜「え、ええと……渋谷は保留として、亦野はどうする?」

洋榎「さっきのうちのアイデアもええけど、他にあれば挙手!」

セーラ「はーい!」

洋榎「お、江口!」

セーラ「亦野って釣り好きやろ?そこが狙い目や!まずな、大会前に一緒に釣り行くねん」

洋榎「ほお」

セーラ「んで『エサが全然付けられへ~ん!もう嫌やぁ~♪』てな感じに可愛い子ぶる」

恭子「?……イマイチ見えてきませんけど……」

セーラ「初心者の女の子が困ってるんや。上級者の亦野は放っておかんやろ!代わりにエサ付けてくれたりするはずや」

竜華「わ!そんなんされたら嬉しい……」

セーラ「エサ付けてもうて、いざ釣り始めたら『もー!根がかりしてもうた~!』とか言うねん。そしたら『仕方がないな』ってまた助けてくれる…」

セーラ「そんなんを繰り返してると、最終的には亦野が代わりに釣ってくれるようになる」

洋榎「……なんとなく分かってきた」

セーラ「せやろ?で、大会当日……釣りに行った時のノリで『ああん!全然鳴きたい牌が出ぇへんよぉ~!』て言うと……」

洋榎「『しょうがないな……私が君の代わりに…』ってなるかぁ!」

セーラ「えー」

恭子「代わりに釣られるっちゅう事は結局亦野が鳴くわけですしね」

セーラ「ええ策や思ったんやけどなー……」

洋榎「他に亦野対策は……………………無いみたいやな。ほな大星対策を練るで」

竜華「うーん……大星 淡は厄介やったなー。本気出す前でも強敵やし」

洋榎「配牌を5向聴以下にされてまうんやったか……ずるいわー」

恭子「よほどやないと破れないみたいですし……」

怜「…………交渉したら?」

恭子「交渉?」

怜「そや。交渉して4向聴とか3向聴にしてもらうねん」

洋榎「どうやって?交渉の材料があれへんのに」

怜「配牌もうた時に『アカン!5向聴じゃおもんない!やめやめ!私抜けるわ!』って言うねん。そしたら4向聴に…」

洋榎「ならへん!家族以外に麻雀打つ相手がいない人にしか通用せえへん。ちゅうかそれ交渉か?」

怜「あ!5向聴も1クールみたいにあごに挟んでおけば……」

洋榎「分かった分かった」

怜「…………」

セーラ「絶対零度のツッコミやな」

怜「……私は絶対安全圏より絶対零度ツッコミの方が怖いわ……」

洋榎「他ない?」

竜華「なあ……配牌5向聴も辛いけど、本気出されてからの方がもっとキツイからそっちを対策したらええと思う」

恭子「連続ダブリーですね」

洋榎「ダブリーか……………あ!椅子の高さを下げたったら?」

竜華「?」

洋榎「大星がダブリーする時、牌を滑らせて回転させながら捨てるやん?そん時、椅子が低かったら手が自分の頭の側面にガツンって当たるやん」

竜華「はー……めっちゃ下げるんやなぁ」

洋榎「コントロールミスで牌山バララァッ!てなチョンボもありえるで!」

恭子「対局始まる前に高さを戻して打つでしょうね。さ!他ありません?」

洋榎「………園城寺……さっきはごめんな?これからは熱を込めてつっこむから…」

怜「うん……頼むわ」

セーラ「んー……大星って本気出すと髪の毛ブワーッて広がるやん?あれをどうにかしたら弱体化するんちゃうか?」

洋榎「どうにかってどうすんの?」

セーラ「時代劇の町娘のかつらをかぶらせるとか。髪の毛全部かつらの中に入れればブワーッて出来ひんやん」

洋榎「それで弱なる?」

セーラ「体育座りしてる時に壁にギューッて押し付けられたらやる気出ないやん?それと同じや」

洋榎「その例えがイマイチ分からんねんけど……そんなもんか?」

セーラ「そんなもんや。町娘のかつらをかぶった事によって髪の毛が広がらんからやる気出えへんのでダブリーは無し。10巡目くらいに『……リーチ』って」

洋榎「なんやなんや。髪の毛収められたら全然声出えへんやん」

セーラ「そやねん。逆回転も勢いないで。おっそいおっそい回転した後で『ツモ……8000オール……』」

洋榎「倍満和了られてるやないか!声小っちゃーて聞き取りにくい分、余計うっとおしいわ!」

恭子「………本気を出させない方法を考えるべきやろか……しかしそれも難しい…」ウーム

怜「いや、そんな事ないで。着眼点を変えればええんや」

恭子「え?それはどういう……」

怜「まず、大会までに日焼けサロンに行って全身真っ黒に焼くねん」

恭子「え?」

竜華「と、怜はそのままの方がええ!肌にも悪いし…」

セーラ「落ち着き。それで?」

怜「大会当日、誰よりも早く対局室に入って、大星 淡が来たら『オオホシサン ハ チガウ ヘヤダヨー?』って言う。結果、大星 淡は迷子になって私の不戦勝!」

洋榎「そんな嘘、絶対通じひんて」

怜「なんでや!健康的やない私が日焼けしとったら違う人や思うやん」

洋榎「係の人に『この部屋で合ってますよ』言われて終わりや。いや、それどころか懇々と説教されるかもしれんで」

怜「そらこっちの役目やけどな」

洋榎「は?」

怜「コンコン言うのは病弱クールなキツネっ子の私の方やろ」

洋榎「……その時のお前、褐色で嘘言うてるだけで病弱でもクールでもないやん」

怜「…………コン、コン」ケホケホ

洋榎「咳き込んで病弱とキツネっ子をダブルでアピールすな」

怜「ちゃうで。咳で誤魔化そうとするしたたかさはクールやからダブルやなくてトリプルや!」

洋榎「そない誇らしげに言われてもなぁ…」

恭子「…………他にありますか?」

怜・セーラ・竜華・洋榎「………………」ンー..

恭子「……無いみたいですね」

怜「あ、ちょっとええかな?」

恭子「?はい」

怜「今回の件にあんま関係ないんやけど、みんなに聞きたい事があってん。言うていい?」

恭子「ええ、どうぞ」

怜「ありがとう」

怜「えと……うちのおとんと、近所に住んでる男の人の事なんやけど、風呂場で思いっきり痰を吐く時の『カーッ、ペッ』って音がめっちゃ似てんねん。なんでなん?」

洋榎「知らんし心底どうでもええ!」

怜「何かあったんちゃうかな……前世で」

洋榎「前世の因縁が痰を吐く音に表れるんか!?」

セーラ「『はっ!この吐き方は……あの野郎か!!』」

恭子「全裸で泡だらけじゃかっこつきませんね」

怜「はぁー……めっちゃ気になる……」

洋榎「確かに気になるやろうけども……」

セーラ「お、1個ええの思いついた」

洋榎「!教えて」

セーラ「これは誰に対して有効とかやなくて、自分自身を高める方法やねん」

恭子「あー……でもそれが1番効果的かもですね」

セーラ「全国には強い選手がいっぱいおるやろ?その選手の強みを取り込むねん」

竜華「なんか良さそうやん♪」

洋榎「具体的にはどんな感じなん?」

セーラ「まず、タコスを主食にする。そんで右目閉じつつあぐらかいて鎖でイカサマ出来へんようにしてうさ耳で悪待ち…」

セーラ「勝負手でメガネ外してカンして発熱、ステルスワハハをみっつずつ。プロ麻雀せんべえカードを集めるし!」

竜華「ええなー♪」

セーラ「裸ナース服であったかいラーメン好きの豆無しドラゴン、絵を描きながら注意しつつ見つめてダルくないよーと寝ながら黒糖好きな神を降ろす……どや?」

洋榎「目の付け所は良さそうやけど、ちょっと取り込みすぎちゃう?魔人ブウやん……もっと絞らな」

セーラ「そう?ほな裸ナース服で寝る」

洋榎「ただの変態やないか!」

1時間後―――

洋榎「思いついた作戦をずらっと書き出してみたけども……なんやかんや言うて結構な数になったなぁ」

怜「せやなー……しかし、こうして見るとひよこって汎用性高いんやな」

セーラ「言えてるわ」

洋榎「お前らがカブせまくっただけや」

恭子「あ……もうこんな時間ですわ。そろそろ帰らんと」

怜「え?ホンマや」

洋榎「うわ、マジか……せっかくええところやのに……」

恭子「作戦会議言うよりボケ合戦でしたけど」フフッ..

セーラ「そやな。でも楽しかったわ。また近いうちに集まろうや」

竜華「今度はうちらが姫松に行くのもええかもな~」

恭子「歓迎しますわ」ニコ

洋榎「あー、喋り足りひん……なぁ園城寺、夜に電話してええ?」

怜「え?か、かまへんけど……」

洋榎「おっしゃ!ほな今夜!」ニコリ

竜華「むむ……」

セーラ「……な、なあ……」

洋榎「ん?」

セーラ「俺ともメアドと番号交換せえへん?」

竜華「……セーラ?」

洋榎「おう!もちろんや!江口も話してみるとおもろいしな!っちゅうか、みんなで交換しよーや!」

恭子「ですね」ピッピッ

竜華「??」ピッピッ


それから

5人は打倒チーム白糸台を目指して度々集まり

作戦会議と特訓を繰り返した―――

国民麻雀大会開催の1ヶ月前―――

<東京 白糸台高校前>

洋榎「おっしゃ、行くか」

恭子「ええ」

怜「ちょっと緊張するなぁ」

セーラ「せやな。宣戦布告やからな」

竜華「うん……」

洋榎「ビビる必要ないで!うちらこそ真のチーム虎姫やって事をあいつらに教えるだけや!」

怜「よっ!絶対エース!」

セーラ「いっちょ頼むでー!」

さる

洋榎「おう!任せぇ!」

竜華「めっちゃ気合入ってるなぁ」

恭子「ええ。園城寺さんと江口さんがおもろがって乗せるから……あんな腕章まで作って」クスッ

竜華「腕章?あ、ホンマや。『真チーム虎姫 一番虎』って書いてある……本格的や」

洋榎「ほな行くで!」

怜「うん」

セーラ「おっしゃ!」

洋榎「チャンスがあれば対局を申し込むから、いつでも戦える準備をしとくんやで?コクマの前にめっちゃ圧勝して苦手意識植え付けるんやからな!」

竜華「そ、そうなんか……頑張らんと」

恭子「あんま肩に力入れんと行きましょ」ニコリ

<麻雀部部室>

洋榎「失礼します……」ガチャ

怜・竜華・セーラ・恭子「失礼します」

菫「ようこそ。白糸台高校麻雀部へ」

洋榎「どうも……ってあれ?1人しかおらんやん……他の人たちは?」

菫「休みだよ」

洋榎・怜・竜華・セーラ・恭子「えっ!?」

菫「今日は部活は休みでね。私と数名の部員がデータ整理をしに来ているだけなんだ」

洋榎「…………」

菫「わざわざ大阪から来てくれたのにすまないな」

洋榎「え……と……それは……」

恭子「主将……私らが来る事は伝えてあったんですよね?」

洋榎「いや、サプライズがええなー思って」

恭子「…………」

洋榎「き、恭子?あの…顔が怖いでー?」

怜「……白糸台に寝返るっちゅうサプライズをしたろかな」

洋榎「や、やめてぇや!」

菫「?」

洋榎「えーと……ま、まぁええやんか。対局は出来へんかもしれんけど、ビシッと宣戦布告するのが目的やし」

セーラ「それは……そうか」

洋榎「な?今からガツンとかましたるわ………弘世!……さん」

菫「なんだ?」

洋榎「うちらは……コクマに向けて特訓を積んどるんや!」

菫「む」

洋榎「高校3年間……インハイで優勝出来なかった悔しさをコクマにぶつけるつもりや!そこであんたらを…」

菫「それはいいな」

洋榎「倒…………え?」

余裕だな

支援

菫「コクマはインカレで活躍する大学生なども参加する大会……他にもプロ級の実力を持った選手が多数出場する」

洋榎「お、おお……」

菫「しかし、だからといって臆するわけにはいかない。我々とてインハイを戦い、今もなお成長している最中だ」

洋榎「…………」

菫「君たちのその熱意は同じ高校生として見習わないといけないな。優勝を目指して共に頑張ろう」

洋榎「と、当然やでー!?」

恭子「……主将?」

洋榎「う……だ、大丈夫や。ちゃんと言う」

菫「?」

洋榎「あ、あんたらはチーム虎姫っちゅう名前やったな!」

菫「ああ。この間まではな」

洋榎「へ?」

怜・竜華・セーラ・恭子「!?」

菫「白糸台では大会用にチームが組まれる。インハイが終わった時点でチーム虎姫は解散したよ」

怜・竜華・セーラ・洋榎・恭子「…………」

菫「………どうした?」

洋榎「……えと……うちらこのメンバーで真チーム虎姫っちゅうのを結成したんやけども、どっちが虎姫にふさわし……」

菫「ああ、許可とかそういうものか?だとしたらそんなものは不要だ。好きなだけ名乗ってくれ」

怜・竜華・セーラ・洋榎・恭子「………………」

ガチャ

部員A「失礼します。弘世先輩、監督が呼んでいます」

菫「む、そうか。すまない、ちょっと用事があるから行ってくる。ここで待っていてくれ」スタスタ..

洋榎「いってらっしゃい……」

ガチャ バタン

怜・竜華・セーラ・洋榎・恭子「………………」

部員A「………あの、お茶用意します」タタタ

怜「……名乗ってええ言うてたな」

セーラ「せやな……」

恭子「ええ……」

洋榎「…………真チーム虎姫を名乗る事を認められたけど……なんやろこの感じ」

セーラ「舐めてるとかそういうんやなしに、俺らより他のやつらを意識してるみたいやな」

竜華「弘世さんの言う通り、コクマではプロ級の強敵がゴロゴロおるんやもんな……」

怜「せやから白糸台にばかり目を向けてたらアカンって思ったやん」

洋榎「どう思ってたかは知らんわ!口に出せ口に!」

恭子「……考えてみたら、打倒チーム虎姫に燃えんでもコクマで優勝したら勝った事になりますしね……」

洋榎「はぁ……毒気抜かれてもうた……」

怜「………うん」

洋榎「うちらも………解散しよか?」

セーラ「そやな……それぞれが頑張って優勝目指すか」

竜華「それがええかも」

恭子「ええ」

負けるなwwwwwwwwww

洋榎「…………ほな解散や」パサッ..(腕章を外してテーブルに置く)

セーラ「この後どうする?」

洋榎「そやな………このまま帰るのもなんやし、東京見物でもしてこか?」

竜華「あ!それええなー♪」

恭子「それじゃあ……行きましょか?」

怜「そやな……………あの、すんません」

部員A「?はい」

怜「お茶を用意してもうてるのに悪いんやけど、私らは帰ります」

部員A「あ、そうなんですか」

怜「はい。あの……弘世さんに伝言をお願いしてもいいですか?」

部員A「はい、もちろんです」

怜「ありがとう。ほな『ひろぴーお姉さまぁ~ん♪愛宕さんたちがもう帰るんがるなのでよろしくと言っていましたにゃーん☆キャハ!』と言っておいてください」

部員A「ええっ!?」

ひどいwwww

怜「一言一句間違えないようお願いしますね」

部員A「そ、そんな事言えるわけ……」

怜「ほな失礼します」テクテク..

部員A「え、ちょっと!あのっ!」

セーラ「最後に一矢報いたったな」テクテク

洋榎「相手も報い方も間違うてるけどな」テクテク

恭子「弘世さんは攻撃してるつもりやなかったでしょうし」テクテク

竜華「なぁ怜~、今の口調可愛かったからもっかい言うて~♪」テクテク

ガチャ バタン!

部員A「……………ど、どうしよう」

部員A(弘世先輩にあんなセリフ言えるわけない………でもお客さんに頼まれた事だし……それすら伝えられないダメな子って思われたくない……よ、よおし……)

10分後―――

ガチャ

菫「お待たせしてすまなかった………ん?」

部員A「あ、お……お疲れ様です」

菫「愛宕さんたちは……?」

部員A「え、っと……その……」

菫「全員でトイレという事もないだろうし……」

部員A「……………」

菫「どうした?」

部員A「………ひ」

菫「?」

部員A「ひろぴーお姉さまぁ~ん♪愛宕さんたちがもう帰るんがるなのでよろしくと言っていましたにゃーん☆キャハ!」キュリューン!

菫「……………」

部員A「…………」リュー..ン

菫「……………」

部員A「…………」ュー..ン

菫「……………」

部員A「…………」ー..ン

菫「……………」

部員A「…………」..ン

菫「……………」

<校門前>

洋榎「………すまんな」

怜・竜華・セーラ・恭子「?」

洋榎「うちが打倒チーム虎姫とか言い出したくせにこんな結末になってしもて……」

竜華「そんな……謝らんでええよ」

怜「そやで。大事なのは気持ちや。せやから……とりあえず5万な」

洋榎「金かい!……って……はは……相変わらず怜はボケまくりやな。学校でもそうなん?」

怜「ううん、そうでもないで。この集まりの時が特別なんや」

洋榎「え?なんでー?」

怜「そ、それは…………洋榎のツッコミが好きやから……いっぱいボケたなるねん……//」

洋榎「あ……」

竜華「むむむ……」

恭子「……………」

洋榎「そ、そうか……う、うちかて……その……怜とセーラのボケ好きやで……//」

セーラ「ありがとう……俺も……洋榎のツッコミがす……好きやわ……//」

洋榎「はは………なんか……めっちゃ嬉しい…//」

怜「…せやからその……な?」

セーラ「お、おお。真チーム虎姫は解散してもうたけど、今まで通りっちゅうか今まで以上にっちゅうか……遊んだりしたいなーとか思ってんねんけど……///」

洋榎「あ………うちから言おうと思てたのに先に言われてもーた……//」エヘー

竜華「むむむむ………」

恭子「………清水谷さん、こらまずいで」ボソ

竜華「……え?」

恭子「このままやと主将に園城寺さんを寝取られてまう」

竜華「ね、寝取っ……べ、別にうちと怜は付き合うてるわけちゃうし…」

恭子「そんな意地張ってる場合やないで。お互い頑張らんと」

竜華「うっ……」

恭子「最近の主将と園城寺さんめっちゃ仲ええし、このままいくと………」

部員A…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

怜『洋榎……好きや』

洋榎『うちも怜が好きや……けど清水谷の事はええんか?』

怜『……私が好きなんは洋榎や。洋榎のツッコミを体験したら………もう竜華とは出来ひん……//』

洋榎『それはうちも同じや。お前のボケがあったら……恭子のツッコミを求めてボケに回る気にならへん……』ギュッ

怜『洋榎……』

洋榎『怜……』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

恭子「……なんて事になるかもしれん……はぁ……」

竜華「………//」

恭子「江口さんも主将と仲良なってるし…」

竜華「………//」

恭子「清水谷さん?」

竜華「……怜が洋榎と付き合うのは嫌や。嫌やねんけど………怜が奪われたのを想像したら……ちょっと興奮してもうた……//」

恭子「変態か!」

竜華「お」

恭子「あれ?」

竜華(……なんやろ今の感じ……普通に言うたつもりやのにボケや思われてつっこまれてまう事はよくあるねんけど……そん時より心地いいっちゅうか……)??

恭子(普通につっこんだだけなはずやのに……妙にしっくりくると言うか……)

MVP部員A

竜華・恭子(……………)???

洋榎「なんや、2人で内緒話か?」

竜華「え?」

恭子「あ……」

セーラ「どんな話してるか気になるなぁ」

怜「まず間違いなく陰陽師あるあるやろな」

恭子「せやから陰陽師ちゃいますって!」

竜華「………ふふっ」クス

竜華(ま、ええか)

今読んでるほ

<麻雀部部室>

ガチャ!

淡「まったくもう!シズノのくせにー!」テクテク

部員A「………………」

淡「わ!ビックリした!ど、どうしたの?こんなところで座り込んで」

部員A「なんでもないよ……」

淡「………そ、そう……」

部員A「大星さんは……今日お休みなのに……どうして?」

淡「あ、聞いてよー!シズノと電話しててね、チーム虎姫がなくなっちゃったって話になったの!」

部員A「……それで?」

淡「私は『虎姫ってネーミングが気に入ってたから残念だよー』って言ったの!そしたらね!最初はシズノも私の事慰めてくれたんだけど…」

淡「『私的には虎姫って名前は大阪っぽいイメージなんだけどね。タイガースもあるし、姫松高校の姫って感じで……』だって!」

部員A「なるほどねー……」

淡「悪気があって言ったんじゃないのは分かるけど……なんかモヤモヤするよっ!」

部員A「うん」

淡「あ、ねえ!菫先輩は!?」

部員A「データ整理が終わったからさっき帰ったよ」

淡「ええー?菫先輩にどう思うか聞こうと思ったのに……もう…………あれ?私の席に何か置いてある」

淡「………こ、これは………」

翌日―――

<白糸台高校 麻雀部部室>

照「…………」

菫「…………」

尭深「…………」

誠子「…………」

淡「ん?みんな黙ってどうしたの?早く始めようよ」

菫「いや……淡の言っている事がよく分からないんだが……」

照「私も……」

誠子「……分かった?」

尭深「ううん」フルフル

100年生

淡「なんで!?今言ったばっかじゃん!ほらこの腕章、見てよ!『真チーム虎姫 一番虎』って書いてある!真だって!偽物なのに!」

照「その腕章、どうしたの?」

淡「私の席に置かれてた……きっと果たし状だよ!」

菫「果たし状……?」

淡「裏に『めっちゃプラスの絶対エース 愛宕 洋榎』って書いてある!どっちが本物の虎姫かを決めようって挑んできたんだっ!」

照「…………」

淡「調子に乗ってくれちゃってさ………『虎姫の名前くらいはくれてやる』なんて言うと思ったかぁ!!」バンバン!

照・菫・尭深・誠子「………………」

淡「だ・か・ら!今日からチーム虎姫は復活!そして名前を『元祖チーム虎姫』に改めて、大阪の偽チーム虎姫をコクマで倒す!」

照・菫・尭深・誠子「え…」

淡「分かった!?それじゃあ今から偽チーム虎姫をけちょんけちょんにするための作戦会議を始めるよっ!」

照・菫・尭深・誠子「えええー………」

【完】

えええー

「国民マージャン大会チーム虎姫争奪戦編」はよ

支援ありがとうございました

>>86
これで終わりのつもりでしたけど、ちょっと考えてみます

おつ
竜華と恭子の掛け合いも見たい


荒川さんと愛宕ネキを泉と船Qの替わりに入れればいい勝負なんてもんじゃないよな

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