アーク「いよっしゃー! イーダに買ったあああああ!!!」(80)

アーク「おはようマスター! 今日はどこへ行こうか!」

マスター「おはよう。今日はそうだな……」

イーダ「予定がないのでしたらこれなんていかがでしょう」ガサガサッ

マスター「ん? なんだこれ」

イーダ「『なんでもあり! 最速神姫グランプリ!』」

イーダ「簡単に言えば、どんな手段を使っても優勝を勝ち取れ、と言った乱暴な草レースですわ」

イーダ「しかし、優勝すれば一年分のクーラントヂェリーが……」ウットリ

マスター「そうか……じゃあこれに――ん?」クイクイ

アーク「あ、あのマスター。あたしがバトル苦手なのはし、知ってるよね……あはは……」

マスター「へー、知らなかった」

アーク「うわあん!! めちゃくちゃ棒読みだー!」ダッ

マスター「待てアーク」

アーク「いやだーふつうにレースしたいー」ジタバタ

マスター「じゃあおまえは普通に走ってればいい話だろ」

アーク「え?」

マスター「どんなに他の奴らが襲ってきても意に介さずひたすらブン回して走ってればいいだろ」

アーク「ん……」

マスター「な? おまえのスピードに着いてこられる奴なんかそうそういない、大丈夫だ」

アーク「そ、そうかな……そう、だよね。あたしはアーク型だもん! やってやるー!!」

マスター「おし! じゃあ行くか?」

アーク「あったぼうよ! うぉおおみなぎってきたあああああ!!」


マスター「単純だなぁ」
イーダ「単純ですわね」

マスター「ということで、レース会場にやってきたぞ」

アーク「おおおお! 神姫がいっぱい居るね! 燃えてきたああああ!!」

イーダ「アーク、暑苦しいですわ」

アーク「レースっていわれて熱くならないアーク型がいるかって! な、そうだろ! そこのアーク型!」

見知らぬアーク型「え? あ、あの私は……別に……すみません……失礼します」トタトタ

アーク「えぇぇ……」

マスター「おまえだけみたいだな」

アーク「そんな馬鹿な!!!」

イーダ「いい加減になさいアーク。少し、頭冷やしましょう」

アーク「ごめん」

イーダ「それでいいですわ」

マスター「じゃあ、あそこでエントリーみたいだ。俺は観客席行ってるから。二人とも、頑張れよ」

アーク「うん」

イーダ「優勝はいただきますわ」

マスター「おう」



アーク「ぶっつけ本番かあ……緊張するなあ」
イーダ「落ち着いていけば、どうとでもなります。はい、マップデータですわ」

アーク「ありがとう」

アーク「げぇっ、5連続ヘアピンがある……」
イーダ「ああ、一応チラシにコース図は載っていたのですけれど、アークは見てませんでしたわね」

アーク「くそ長いバックストレートで引き離すしかないか……」

運営あんばる「では選手のみなさん! まもなくレース開催です! ピットで待ってますきっと帰ってきてくださいね!」

ムルメル「さあ、というわけでまもなく始まります、最速神姫グランプリin公園特設サーキット」

ムルメル「実況は私、ムルメルティア型ムルメル一人でお送りします!」

アーク「予選がないから仕方ないけどこんなに後ろからじゃ抜くのも一苦労だよ……」ブォオオオ……

イーダ「誰がこようと、わたくしの華麗なハンドル捌きとエアロチャクラムで切り刻んでさしあげますわ」ドルドルドル……


ピッ ピッ ピッ ピーーッ


アーク「レディ、ゴォーおおおおおお」ブゥゥォオオオオオオオーー!!

イーダ「ふふっ……」ブオォオオオオオン

ムルメル「さあついに始まりました最速神姫グランプリin公園特設サーキット!」

ムルメル「草レースといえど、一年分のクーラントヂェリーが賞品の本レース。参戦神姫は過去最大規模と言っても過言ではないでしょう!」

ムルメル「しばらく長いホームストレートが続き、緩やかな第一コーナーへと続きます」


アーク「あたしが最速! アーク型の誇り見せてやる!!」ブゥウオオオオオオオオーー!!

アーク「どけどけどけー!!!!」ブゥゥォオオオオオオオーー!!


ムルメル「アーク選手、凄い勢いで他の選手を抜かし始めた!! 初めからかっ飛ばしそのまま走り抜ける作戦でしょうか、バトルを仕掛ける様子はありません!!」

アーク「あと一人ぃいい!!」


ムルメル「さあアーク選手、他の選手が反撃にでる余裕も持たせず颯爽とトップを独走するアーンヴァル選手に追いついた! どうでるかアーンヴァル選手!」


アーンヴァル「(ふぅん、超改造を施して貰ったこの初代白子様に追いつける奴がいるなんてね……面白いじゃない)」

アーク「じゃまだどけええええ!!」

アーンヴァル「そうはいかない! 行きなさいココレット!」


ムルメル「おおおっとここでアーンヴァル選手、ビットを解き放った! 同じフロントライン社の武装とはいえうまく扱えるのか!?」


アーンヴァル「私に追いつくだけのスピードがあるところだけは褒めてあげる。でも、ここで終わりよ!!」

ピュンピュンピュン

アーク「くぅっ……うわあああっ!!」クイッ


ムルメル「あああああっとアーク選手もろに喰らってしまったああああ!? あのスピードからのダメージ! クラッシュは避けられないぞ!!」


アーンヴァル「ふふふっ、残念ね……。私に勝とうだなんて……」キューンッ

ムルメル「アーク選手大丈夫なのでしょうか! 砂煙でなにも見えません!!」


アーンヴァル「あのココレットにも超改造を施してあるの……まともに喰らって無事で居られるわけ――!?」クルッ

アーク「へっへーんだ! 全国トライク型選手権第2位のライディングテクを甘くみてもらっちゃ困るね!!」ブォオオオオオオオン


ムルメル「アーク選手やりました! なんとあのスピードですべての弾丸を避けきっていたのでしょうかああああ!!?」


アーンヴァル「そんなはず!! きっ、レーザーライフル!!」


ムルメル「アーンヴァル選手、バック飛行でレーザーライフル、通称白子砲を構えた!!」

ムルメル「しかし、そろそろ第一コーナー! 後方に壁が迫ってるのに気づいていない! 前を向いてアーンヴァル選手!!!」


アーンヴァル「そこだ――っ!?」ドガッシャーン

アーンヴァル「うぐぅっ!?」


ムルメル「あー、やっぱり」


アーンヴァル「そんな……」ドサッ

アーンヴァル「あ……私の翼……折れちゃった……うっ……ぐすっ」

アーク「安全第一おまぬけさん! じゃ、おっさきー!!」

アーンヴァル「うわああああんマスターごめんなさーい負けちゃったよぅ……ぐすっうぇええん!!」


ムルメル「これがアーンヴァル選手の本当の姿でしょうか。子供のように泣きじゃくってしまいました!!」

アーク「あとは5連続ヘアピンまでどれだけ他を引き離せるか……いっけえええパトロクロース!」ブゥゥォオオオオオオオーーン!!


ムルメル「これでアーク選手、しばらく安泰でしょう。そして、なんと先頭二人に没頭してしまったせいで後方の乱闘を見逃してしまったあああああ!!」

ムルメル「なんという失態! 映像で振り返ってみましょう!!」



ムルメル「はい、ここですね。アーク選手がビット攻撃をかわしてる最中。後方で大きな乱闘があったようです」


イーダ「……」クイッ


ムルメル「じわじわと前方のアルトレーネ選手に詰め寄る緑のトライク、イーダ選手」


イーダ「えいっ!」ザシュ

アルトレーネ「はっ! なに奴!?」クイッ


ムルメル「アルトレーネ選手、紙一重でイーダ選手のエアロヴァジュラを避けた!」


アルトレーネ「イーダ型……ならば上空を飛べば手出しはできまい!」グンッ

イーダ「そうはさせませんわ! エアロチャクラム!!」ガシッ

ムルメル「イーダ選手、上空へ避難しようとするアルトレーネ選手の脚をエアロチャクラムで掴んだ!」


イーダ「はぁっ!!」グイッ

アルトレーネ「いたああい!!」ズガッシャーン


ムルメル「あいたたたた……アルトレーネ選手無惨にも地面に叩きつけられてしまった!!」
ムルメル「そしてスピードに乗ったままゴロゴロと転がって……地上組が巻き添えにゴロゴロと……なんだこれ……」


イーダ「楽勝ですわね」ブオオオオン


ムルメル「おほん。気を取り直してイーダ選手の追撃を」


イーダ「本気、出しますわよ。アサルトカービンエクステンド!」


ムルメル「イーダ選手ライフルを取り出したぞ。走りながら構える。この器用さこそイーダ型だ」

イーダ「ていっ」ダンッ

イーダ「――」ダンッ

イーダ「――」ダンッ


ムルメル「すごく淡々と狙撃していってますね……」

ムルメル「ここですでに半分ほどの選手がリタイア。イーダ選手恐ろしい。さすが全国トライク型選手権チャンピオンと言ったところでしょうか」


イーダ「あとは先行集団に追いつき、そこで無双してさしあげますわ!」

ムルメル「イーダ選手、加速していきます。ということは先ほどまで走りに関しては温存していたということでしょうか」

ムルメル「イーダ選手が追いかける先行集団にはアーンヴァルMk.2選手、ストラーフMk.2選手、そして飛鳥選手、エウクランテ選手」

ムルメル「飛行型しかいないこの状況どうでるイーダ選手」


イーダ「アサルトカービンでは少し厳しいかもしれませんわね……」

イーダ「アークからシルバーストーンを借りてあるのですけれど……ランチャーは苦手ですのよね……」

イーダ「しかし、クーラントヂェリーのためやるしかありませんわ!!」

今更だけどスレタイ買ったじゃなくて勝っただな

アーンヴァルMk.2「はぁっ!」

飛鳥「効きません!」ズダダダダッ


ムルメル「アーンヴァルMk.2選手、飛鳥選手に斬りかかるも避けられる!」


ストラーフMk.2「やああああっ!!」

エウクランテ「うあっ!!」ガキーン


ムルメル「ストラーフMk.2選手、ウラガーンに乗っているとはいえ飛行は不得手。しかしエウクランテ選手を圧倒している!!」

ムルメル「同じ段として飛鳥選手に勝って欲しいところではありますがどうなるでしょうこのバトル!」


イーダ「まずは適当に」バシュン


ムルメル「イーダ選手、集団に向けて挑戦状を叩きつけた!」

アーンヴァルMk.2「わぁっ!?」

飛鳥「……」

ストラーフMk.2「ぬるい」シュンッ

エウクランテ「うわああああ」バシュ


ムルメル「イーダ選手が放った弾丸はそれぞれの選手をかすり、エウクランテ選手に直撃」


イーダ「あ……当たりましたわぁ!!!!」


ムルメル「狙ったわけではなかったのでしょうか。イーダ選手、驚きの表情を隠しておりません!」


エウクランテ「や、やるじゃない……」ドシャッ


ムルメル「ストラーフMk.2選手とのバトルで消耗しきっていたのかエウクランテ選手、墜落! リタイアです!」

ストラーフMk.2「ふっ、とどめを持って行かれてしまったな……ただでは済まさんぞ」

イーダ「地上まで降りてきてくださればいくらでも相手をしてあげますわ」ブオオオオン……キッ


ムルメル「イーダ選手、ストラーフMk.2選手の威嚇に足を止めた!」


ストラーフMk.2「ずいぶんと自信がおありで」

イーダ「お生憎、マスターに無様な格好を見せるわけにはいきませんのでね」

ストラーフMk.2「その自信どこまで持つか、試させてもらおう!!」

イーダ「行きますわよ!!」キュルルルルルルブオオオオオン

ムルメル「神姫バトル・レディーゴー!!!」

その頃

アーク「独走独走」ブオオオオオン

アーク「楽勝楽勝」ブオオオオオン

アーク「でもさすがに誰もいないんじゃ燃えないよ……」ブオオオン……キッ

アーク「つまんなああああい!」

イーダ「なかなか……やりますわね……!」グググッ

ストラーフMk.2「そっちもな……はっ!」バンッ

イーダ「くっ……」ガシャーン


ムルメル「ストラーフMk.2選手、拮抗するイーダ選手のエアロヴァジュラを弾き飛ばしたぁ!!」


ストラーフMk.2「一刀両断!!!」

イーダ「まだですわ!! エアロチャクラム!!」

――パキーン

ストラーフMk.2「グリーヴァが!!」


ムルメル「おおおおお! 副腕チャクラム! 大剣グリーヴァをへしおったあああああ!!」


ストラーフMk.2「ふっ……あんなものただの飾りだ! ジャーヴァル・クルイク!!」

イーダ「させない!!」ガシッ

ストラーフMk.2「なっ!」


ムルメル「イーダ選手、エアロチャクラムで素体を掴んだ! ストラーフMk.2選手、もがくがチャクラムの爪は刃になっている! ダメージが積もるだけだあああ!!」

イーダ「この距離なら外しませんわ。アサルトカービン」チャキ

ストラーフMk.2「くっ離せ! ローク! 動け!」

イーダ「させません」ダンダンダンッ

ストラーフMk.2「関節が……! わ、わかった! 負けは認める! これ以上武装を壊さないでくれ!!」

イーダ「……もう止められませんわ」ズダダダダッ

ストラーフMk.2「う、うわあああああああ!!!!」


ムルメル「弱肉強食、残念ながらストラーフMk.2選手、ここでリタイアです」

ムルメル「ちなみにアーンヴァルMk.2選手、飛鳥選手は相打ちで双方リタイアとなった模様」

ムルメル「飛鳥……もっとがんばろうぜ」


ムルメル「さて、現在に戻しますが! 結局こうなるのか現存する選手はイーダ選手とアーク選手の二人だけ!」

ムルメル「やはりレースといえばトライク型! イーダ選手、トップを独走するアーク選手に追いつけるのか!」

アーク「ぐすっ……さみしい……」ボボボボボ


ムルメル「おっとどうしたアーク選手! レース中なのに徐行しているー!? もうすぐアーク選手お得意のバックストレート!」

ムルメル「すぐ後ろにはイーダ選手が迫っていますが!! いったいどうしたというのでしょうかあああ!!!」


アーク「あああああっ!!」ボボボボボ

アーク「やっとバックストレートだよ……ああああストレス解消! かっ飛ばすぞー!!!」ボボボボボ


ムルメル「イーダ選手の姿が見えてきたぞ!! アーク選手急げ!!」


――ブオオオオオオオン


ムルメル「ああああああアーク選手抜かされました! 抜かされてしまったぞアーク選手!!!」


アーク「!?」

キッ

ムルメル「いえ、お待ちください。イーダ選手も止まったぞー!? どうしたというのでしょう一体なにが!!」


アーク「イーダ!!」

イーダ「アーク!? どうしましたの、こんなところで!」


ムルメル「二人ともマシンを降りてしまったぞ。レース中です!!」


アーク「イーダああああ!!」ダキッ

イーダ「アーク!?」

アーク「うわあああああんっ」

イーダ「……ふふふっ、そう。だいたいわかりましたわ」

アーク「え……?」

イーダ「まったく、あなたはどこまで馬鹿なんですの」

アーク「う……ごめん……」

イーダ「仕方ありませんわね。わたくしが相手になってあげますわ」

アーク「イーダ……!」

イーダ「その代わり、本気で走ってくださいね。わたくしのマシンが壊れようと、情けは無用です」

アーク「わかった……。あたしはあたしのやり方で、勝ちを掴む。対戦相手がいるなら……燃えてきたあああああ!!」


イーダ「やはり単純ですわね」

ムルメル「おっと、なにやら話し合いをしていたようですが、それぞれのマシンを手押しし始めたぞ」


アーク「じゃあこの白線からでいいよね!」

イーダ「問題ありませんわ」


ムルメル「どうやら仕切り直し、このバックストレートからゴールラインまでレースを始めるようです」

ムルメル「結局、普通のレースとなってしまいましたが……これはいいんでしょうか」

ムルメル「はぁ、ええ。わかりました」

ムルメル「まあレギュレーション違反ではないしいいんじゃないかとのことです。草レースとはいえ緩い! 緩すぎますよ!!」

ムルメル「アーク選手ならびにイーダ選手に通達します。今、運営がフラッグをもってそちらに向かっております」
ムルメル「スタートの合図はこちらが行いますのでしばらくお待ちください。とのことです」


アーク「……」ブォオオオオオン……ボボボボボ

イーダ「……」ドルドルドル……

運営アイネス「はぁ……はぁ……おっ待たせー!」

運営アイネス「じゃあボクがこの旗を振り下ろしたらスタートね」

アクイダ「――」コクッ

運営アイネス「ようし。それじゃあ行っきまーーーす!!!」

運営アイネス「さーん! にー! いち!」

バサッ

アーク「レディ・ゴオオオオオオオ!!」ブゥゥゥゥウオオオオオオオオオオン!!

イーダ「行きますわよ!!」キュルルルルルルブオオオオオオオーー!!

ごおおぉおおおお!
運営アイネス「うわあああっ! あー! ま、待ってボクの帽子ー!!!」ヒュ~~ヒラヒラ
ぶおおおおおおお!

運営アイネス「これなくしたらボクが怒られるんだからねもう! 待ってーー――……」

アイネスかわいい

ムルメル「改めて始まりました! 最速神姫グランプリin公園特設サーキット!」

ムルメル「加速力はイーダ選手が有利かしかしバックストレート! 追い上げが怖い!!」


イーダ「(ここでアークに勝てるなんて思ってませんわ……仕掛けるポイントはこの先の5連続ヘアピンカーブ!)」

アーク「かっ飛ばしていけえええええパトロクロス!!」

イーダ「(でも距離が離れすぎればそれもできなくなる。その為にも)簡単に抜かされるわけには!」


ムルメル「イーダ選手、アーク選手のオーバーテイクをブロックしようとしているのでしょう、しかし、すこしフラツキ気味ではないでしょうか!」


アーク「(イーダ、なかなかやるな……でも、)その程度でひるむあたしじゃあないんだなああ!!」クイッ―ブオオオオォオオオオオ!!

イーダ「ダメ! ここで抜かされてしまってわ! もっとスピードはでませんの!?」クイッ

アーク「ここではなさないとあたしの勝ちはない! この勝負は絶対にもらうよイーダ!!」

ムルメル「やはりあの程度の加速差ではカバーすることはできなかったかイーダ選手、抜かされてしまったあああ!」


アーク「いける! いける!! いける!!!」

イーダ「まだですわ! スリップストリームに入ればある程度の減速は押さえられるはず!」

アーク「あたしのスピードについてこれる!?」

イーダ「その台詞も聞き飽きましたわね!!」


ムルメル「イーダ選手、ぐんぐん離されていきます! とはいえこの距離であれば連続ヘアピンでの攻防戦になりそうです!」

ムルメル「さあそろそろストレートも緩やかなカーブに変わっていき、その先に待つのは超ヘアピンカーブ」

ムルメル「ハイスピードトライク型であるアーク選手にとっての最難関であり」

ムルメル「ハイマニューバトライク型であるイーダ選手にとっては絶好の狩り場となるでしょうが」


アーク「集中しろアーク……ここをミスったら勝ち目はない……」

イーダ「(それほど離されてはいない……まだわたくしにも勝ち目はありますわ!!)」


ムルメル「さあアーク選手恒例のスーパードリフト今回も見せてくれるのでしょうか」

アーク「今だ!」

キィイイイイィイッ


ムルメル「でました!!! 全国トライク型選手権で見せたドリフト! ここでもやってみせました!!」

アーク「抜けた!! でもこの高回転をどこまで維持できるかが勝負!」

イーダ「相変わらずアークは強引ですわね」クイッ


ムルメル「続いてイーダ選手、言わずともわかるエレガントさ! 優雅に曲がっていきます!!」


イーダ「ふふっ」


ムルメル「余裕綽々の笑みを浮かべ抜けていったああ!」

ムルメル「さあついに両者ヘアピンに突入したわけですが、アーク選手この距離をどこまで維持できるか。見物です」

アーク「――」キィイイィッ


ムルメル「アーク選手勢いが衰えることなくクリアしていきます! 直線部分が比較的長めなのが幸いしたか!!」


イーダ「どんなにうまく曲がってもHMT型であるわたくしが負けるはずありませんわ!」クイッ


ムルメル「イーダ選手もまったく衰えるところを知りません! 驚きの安定性!!」

ムルメル「しかし、私はここでイーダ選手が怒濤の追い上げを見せるかと思っていたのですが、今回はアーク選手もなかなか手強い」

ムルメル「アーク選手、最後のヘアピンへと突入! なんとイーダ選手を抑えきってしまった!!」

ムルメル「これが奇跡と言うものでしょうか。それともアーク選手の腕でしょうか!」


イーダ「ここで追いつけなければわたくしに勝ち目は、でも諦めるわけにいきませんわ!」クイッ

パキンッ

イーダ「!?」


ムルメル「な、なんでしょうか今の音は! イーダ選手大丈夫ですか!!」

イーダ「右の操舵ができない!?」クイッ

イーダ「右前輪がぐらついて……あっ!!」

フラッ――ドンガラガッシャーン


ムルメル「そんな! まさか! イーダ選手がクラッシュだとおお!!?」

ムルメル「イーダ選手大丈夫ですか!!」

ムルメル「救護班! 急いで!!」

アーク「……」ブオオオオオン

アーク「……」ブオオオオオン

アーク「おかしい」

アーク「イーダが追いかけてこないなんてありえない……」

アーク「イーダは負けが決定しても途中で投げ出すような奴じゃない」


ムルメル「イーダ選手がクラッシュ――」


アーク「え……?」ブオオオオオン

アーク「嘘だ……嘘だ!!」キイイィッ

アーク「クラッシュぐらいで壊れるほど神姫はやわじゃないけど……でも……」

アーク「……」

(イーダ『わたくしのマシンが壊れようと、情けは無用です』)

アーク「……そんなこと……できるわけない!!」

アーク「イーダあああ!!!」

アーク「うぉおおおお!!」ブオオオオオオオン!!!

イーダ「無様ですわね……」

イーダ「ストラーフの一刀両断を受けたときに傷でも付いたのでしょう」

イーダ「あーぁ……ですわ……」

――ブオオオオオオン

イーダ「……?」

イーダあああああ!!

イーダ「この声はアーク?」

アーク「イーダ!!」ブオオオオオン

イーダ「アーク……どうして」

アーク「どうしてって……」キィッ

アーク「あたしは優勝なんてどうでもいい! 賞品だってどうでもいい!」

アーク「あたしは、ただ勝負がしたかっただけなんだ!」

アーク「相手が居なくちゃ勝負にならないだろ?」

アーク「それだけだよ……追いつ追われつして、それで勝ち取るからこそ!」

アーク「圧倒して勝ったって面白くない!」

アーク「だから! イーダ! 今からかけっこしよう!!」

アーク「……だめかな」

イーダ「……アーク」

アーク「だ、だめだよね……あはは」

イーダ「わたくしは言いました、情けは無用だと」

アーク「うん……ごめん」

イーダ「まったく、あなたはどこまで馬鹿なんですの」

アーク「あははっ、同じレースで二回も言われちゃった……」

イーダ「……」

アーク「……」

イーダ「で、スタートラインはどこですの」

アーク「え?」

イーダ「かけっこのスタートラインはどこと聞いていますの!」

アーク「え、それじゃ……」

イーダ「やると言っていますの!! はやく準備なさい!」

アーク「あ、うん!」



アーク「じゃあここらへんでいいかな」

イーダ「問題ありませんわ」


ムルメル「おっと、退席してる間になにがあったのでしょうか。アーク選手がなぜそこに?」


アーク「よーい、ドン! で始めるからね!」

イーダ「!」ピクッ

アーク「……あははっ」

イーダ「はぁ……よーいドン!」ダッシュ!!

アーク「え、あ、ちょっと待って! 置いてかないで!」ダッ

アーク「待って!! 早い! 早いよ!!」

イーダ「ほらほらアーク、捕まえてご覧なさい! うふふっ」


ムルメル「えぇ、何故かかけっこが始まりました。最速神姫グランプリin公園特設サーキット」

ムルメル「勝負はホームストレート、ゴールラインまで。およそ30mの距離での徒競走となります」


アーク「HST型として直線勝負で負けるわけには行かないんだ!!」

イーダ「わたくしはまだ本気をだしてなくてよアーク」

アーク「あああ待ってイーダー!!」


ムルメル「緩い。サーキットですることじゃありません!! なんというかバカップルが海ではしゃいでるようにも見えてきましたよ私」

イーダ「アークー、早く捕まえませんとわたくしゴールしてしまいますわよー」

アーク「待ってーーーはぁ……」

イーダ「アークー、はーやくー」

アーク「あああ……」

イーダ「だらしないですわね。普段から鍛えていないから」

アーク「そんなこと言ったってぇ……げぇ……」


ムルメル「では、私は失礼します」

イーダ「うふふっ」

アーク「まってよー」

イーダ「ほらほらはやくー」

アーク「同じ神姫なのになんでこんなに差があるんだろう……」

イーダ「見えてきましたわよゴールライン!」

アーク「ああもうどうにでもなれ!!」ダッ

イーダ「ようやく本気を出しましたわね。ではわたくしも」ダッ

アーク「ああああ! あたしはもう限界なのにいいい!」

イーダ「おほほほっ、ゴールはわたくしが!」
アーク「ここで諦められるか! がんばれあたしいいいい!!」ダッシュ!!

マスター「ま、残念だったなアーク」

アーク「ぐすっ」

イーダ「素直にゴールに行っていればアークの勝ちでしたのに」

アーク「いやだよ。それにやっぱり仲間を見捨てられるわけないし」

イーダ「ふふっ、まったく。でもアークのそういうところ、好きですわ」

アーク「え」

イーダ「うふふっ、なんでもありませんわー」

アーク「えぇえ!?」

イーダ「じゃあアーク、家まで走って帰りますわよ!」

アーク「えぇえ!? なんで! マスターの肩に乗って帰ろうよ!!」

イーダ「これも特訓ですわー!!」

アーク「ああああマスター助けてえええ!」



マスター「と、いいつつまんざらでもなさそうだな」


イーダ「うふふ、こっちですわー」

アーク「待ってー!」

イーダ「ほらほらこっちー」

アーク「あああ!」


マスター「やっぱりトライク組はかわいいな」

まあ一番かわいいのは俺のアイネスだけどな!

アイネスアイネスかわいいよアイネス

っていうかスレタイどこ行った状態だけどまあいいかアイネスかわいいよアイネス!

アイネスアイネス! アイネスアイネス!

あああああアイネスかわいすぎワロタwwwww

アイネスかわいいよアイネス

ミズハスロリハスアイネスかわいい

外ハネかわいいよアイネス!

どんだけアイネス好きなんだよwwwww

ブラックワルキューレかっこいいよアイネス!

>>77
2年前の再販でお迎えしたのに5年ぐらい前に初めてお迎えした神姫の遊んだ時間をゆうに越えるぐらい

一番好きだからこそ一人で十分だアイネスprpr

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