咲「好き好き大好き。私の愛しいお姉ちゃん」(97)

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん。暇だね」

照「…ん」

咲「お花見でもする?」

照「…良いよ」

咲「じゃあパンツ脱いで♪」

照「……無理」

咲「…良いじゃん。減るもんじゃないんだし」

照「……そういう問題じゃない」

咲「そういう問題だよ。両者にとって利益は生じても不利益はないんだよ? これって素晴らしいことだとは思わないの、お姉ちゃん」

照「うん、思わない」

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん! デートしよう」

照「…良いよ」

咲「なんでよ。暇なんだよね。別に良………えっ!?」

照「……デート。二人っきりで出掛けることだよね? それくらいなら別に良い」

照「まずはどこに行く?」

咲「あなたとならどこへでも…それが…たとえ、地獄でも」キリッ

照「……S・A?」

咲「うん。昔の明ちゃんが可愛かった」

咲「とりあえず服を見に行こう」

照「…そうだね。ちなみに私は芽ちゃん派」

咲「えっ?」

照「いや、なんでもない」

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん」

照「なに?」

咲「これを着てよ」

照「……その葉っぱをどうしろと?」

咲「お姉ちゃん! お姉ちゃんに似合いそうな服を見付けたよ」

照「…どれ?」

咲「はいこれ!」

照「……そのドレスみたいなものが私に似合うとでも?」

咲「うん」

照「……着てみた」

咲「それで“妖精さん”って言ってみて」

照「…妖精さん?」

咲「違うよ。普通にここに妖精がいるていで言ってよ」

照「…妖精さん」

咲「うーん、まだ何か違うなー」

照「妖精さん、妖精さん」

咲「そうそう。そんな感じだよ、お姉ちゃん!」

照「……」

咲「…わたしちゃん可愛いよね」

照「自画自賛?」

咲「違うよ!」

咲「次に行こうよ、お姉ちゃん」

照「ちょっと待って。この試着してる服を脱がないと…」

咲「手伝ってあげるよ!」

照「必要ない」

照(…とは言ったものの後ろのファスナーに手が届かない)

照(着るときは楽だったのに脱ぐのが大変…)

咲「お困りのようだね、お姉ちゃん」

照「なんで勝手に試着室の中に入ってるの?」

咲「お手伝いが必要だよね、お姉ちゃん」

照「……必要ない」

咲「もうそんなに警戒しなくても良いじゃん」

照「……この間、媚薬を盛った上に監禁されて犯されそうになった。普通は警戒すると思う」

咲「もう私ばかりを加害者扱いして酷いよ。…お姉ちゃんだって大人の玩具を使ってやる気満々だったよね?」ニコッ

照「……あれは違う」

咲「とりあえずここでは何もしないよ。だから安心していいよ」

照「それは安易にここ以外では何かするということ?」

咲「うん! もちろんだよ、お姉ちゃん」

照「……やっぱり手伝いは不要」

咲「…お姉ちゃん。流石にTPOは弁えてるよ。それに脱衣なんかに時間をかけてるとデートの時間が減るよ? だから、ね」

照「……分かった。絶対なにもしないで」

咲「うん、分かってるよ」

照「……お願い」


※途中、咲さんがリト並に偶然のセクハラを連発したが、それは偶然です。故意ではなく偶然です

咲「…ひどい。なにも叩かなくても。あれらの行為は全て偶然なんだよ?」

照「…そう。それなら私のコークスクリューも偶然」

咲「そ、それは流石に無理があると思うよ?」

照「……咲だってプラマイゼロが癖の時あったよね? それと同じこと。いつもの癖でコークスクリューが飛び出しただけ」

咲「………」

咲「次はどこに行く?」

照「…そろそろ昼食にしよう。お腹空いた…」

咲「そういえばもうそんな時間だっけ。どこにする?」

照「……そこのファミレスでいい」

咲「……昼時だからひとがいっぱいいるね」

照「……店を変える?」

咲「……だけど多分どこの店もこんな感じだと思うよ」

衣「うむ、話は聞かせてもらったぞ。それなら衣たちと一緒に食べないか?」

咲「…衣ちゃん」

照「“衣たち”ということは他にも誰かいるの?」

衣「うむ、今日はコマキが一緒だ」

咲「…神代さんが?」ゴゴゴゴゴ

小蒔「あっ、照ちゃんと咲ちゃん。お久しぶりです!」

咲「…神代さん? その照ちゃんというのはやめてもらえないかな?かな?」

小蒔「何故です? 前にも言いましたけど照ちゃんが呼んでいいと言ったんですよ?」

咲「それなら今から撤回しますよ。照ちゃんと呼ぶのをやめてくれないかな?」

小蒔「咲ちゃんにそんな権限はないと思いますけど…」

咲「ぐぬぬ…」

衣「あの二人は仲悪いのか、テル」

照「…そういうわけではないと思うよ」

衣「そうなのか。何だかトーカとノノカみたいな奇妙な仲だな」

照(……トーカとノノカ?)

照「咲、とりあえず何か頼む?」

咲「あっ、うん!」

照「咲は何にする?」

咲「私はお姉ちゃんと同じので良いよ」

照「……分かった」

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん。お昼ご飯を食べにきたんだよね?」

照「…うん」

小蒔「これはこれは…」

衣「ふむ、昼食に巨大パフェか。二人は変だな」

照「…そう?」

咲「……あはは」

咲(こんなに食べれるかな…)

小蒔「あの、咲ちゃん」コソコソ

咲「何ですか、神代さん」コソコソ

小蒔「わたしも手伝いましょうか?」コソコソ

咲「……お願いします」コソコソ

咲「結局、お姉ちゃんはひとりでアレを完食したんだね…」グッタリ

照「?」

小蒔「……まだ口の中が甘いです…」グッタリ

衣「…な…にか…しょっぱいものを…」グッタリ

照「皆、どうしたの?」

咲「いや、別に何でもないよ…」

衣「…塩…塩が欲しい」

小蒔「……もう…しばらく甘いものは…口にしない…です…」

照「?」

咲「神代さん、衣ちゃん。手伝ってくれてありがとうございます…」

衣「別に…構わない。ただ…塩が欲しい」

小蒔「いえいえ。困ってるひとを助けるのは当然です。それに咲ちゃんは大事なお友達ですし…」

咲「衣ちゃん、神代さん」

小蒔「小蒔で良いですよ、咲ちゃん」

咲「うん。ありがとうございます、小蒔さん」

衣「……塩。…この際コショウでも…」

咲「…え?」

※この後、机に置いてあった胡椒を口に入れようとした衣を止め、咲は口直しにエビフライ(タルタルソース多め)を頼み、それを見届けた後に自分たちの会計だけを終わらせ、外に出た。

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん。結構、長居しちゃったね」

照「…そうだな」

咲「次はどうする…?」

照「……ちょっと歩きたい」

咲「ねぇ、お姉ちゃん。風が気持ちいいね…」

照「……そうだね。それにまだ桜の花吹雪が綺麗」

咲「…お、お姉ちゃんの方が綺麗だよ」

照「……ねぇ、咲」

咲「な、なに?」

照「…今の恥ずかしかったでしょ」

咲「うん。今すぐ枕に顔を埋めたい」

和「あれ、咲さん」

咲「あっ、和ちゃんだ!」

照「…原村和。インターミドル個人戦の覇者か」

和「…咲さんのお姉さんですか。お久しぶりです。昨年の個人戦以来でしょうか」

照「……そういえば…そうだね。咲の友達なのに全然来ないね」

和「…たまには行きたいんですが“お姉ちゃんの時間を邪魔しないで”と言われるので行けませんね」

咲「わーわー! 和ちゃん何を言ってるの!? 前に誘ったときに“研究が忙しいので無理です”と断ったのは和ちゃんの方だよね!」

照「研究? どんな研究をしているの?」

和「うーん。色んな研究をしてるので明確には答えられませんね…」

照「…たとえば?」

和「…麻雀の確率を調べたり、他には理化学的な研究ですね」

照「…そんな研究をひとりで?」

和「いえ、研究には実験が付き物なのでたまに咲さんたちに実験の手伝いをしてもらってます」

照「…へえ」

照「なんでそんな研究を始めたの…?」

和「なんでだと思います?」

照「……分からない」

和「それです。私にも分かりません」

照「…そう」

和(そういえば……思い返してみると最初は咲さん用の媚薬を作る為に研究を始めたんでしたね)

和「…それでは私は研究の実験を後輩に手伝ってもらう予定があるので失礼します」

咲「…じゃあね、和ちゃん!」

照「…咲。少しは原村さんを見習ったほうが良い」

咲「それは…流石に無理かも…」

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃんの学校生活はどんな感じだった?」

照「………本を読んで麻雀してお菓子食べて…また麻雀をする。麻雀が学校生活の中心だった…」

咲「…寂しいね」

照「そういう咲はどうなの?」

咲「私は普通かな」

照「普通?」

咲「朝起きてお姉ちゃんとイチャイチャチュッチュッした後、学校に行き、お姉ちゃんを想いながら普通に授業を受け、お姉ちゃんが今頃なにしてるのかを考えながら昼食。
そして、またお姉ちゃんのことを想いながら授業を受け、その後にお姉ちゃんとの思い出の麻雀を楽しみ、帰宅する。
そして、家に着いたらまたお姉ちゃんとイチャイチャチュッチュッする」

照「えっ…」

咲「ねっ、普通でしょ?」

照「………」

咲「私の学校生活の中心……いや全てはお姉ちゃんなんだよ?」

照「とりあえず真面目に授業は受けろ」

咲「真面目に授業は受けてるよ?」

照「授業に集中を」

咲「大丈夫だよ、お姉ちゃん。きちんと集中してるよ」ニコッ

咲(お姉ちゃんを想うことに、だけどね)

咲「そういえば、お姉ちゃん」

照「…なに?」

咲「なんで高校に入ったのに新しいスク水を買わなかったの?」

照「……誰だ。誰に聞いた。いや、菫か。菫に聞いたのか」

咲「いくら胸が大きくならな、グフッ」

咲「…いたい」

照「別に胸が大きくならなかったわけではない。ただ、まだ着れるから買ってもらわなかっただけ。菫は勘違いしている」

咲「…でも中学の時とあんまり変わらないよね…?」

照「……それを言うなら咲だって」

咲「私はまだまだ成長期だから」

照「………そう思っていた時期が私にもあった」

咲「うーん…」

照「どうしたの?」

咲「この次はどうしようかと思って…」

照「……そろそろ家に帰る?」

咲「…うん。そうだね。そろそろ肌寒くなってきたし…」

咲「あっ、あんなとこに雀荘がある。前までは更地だったのにね…」

照「…入ってみる?」

咲「でも、大丈夫かな?」

照「大丈夫だと思うよ。ほら“男女別室”と書いてある」

咲「一応、お姉ちゃんはプロだよね。プロが入っても大丈夫の雀荘なのかな?」

照「どうやら階級別に別れてるみたい。プロはプロ同士でやるみたい」

咲「うん。じゃあ入ってみよう」

照「それで小鍛治プロ…? こんなところで何をしてるんですか?」

健夜「えっ、照ちゃん!? なんでここに…」

咏「あちゃー、仕事サボってたのバレちゃったかー」

照「もしかして仮病ですか、小鍛治プロ。いい歳したアラフォーが何ゆとりみたいなことをしてるんですか」

健夜「アラフォーじゃなくてアラサーだよ!!」

照「それから三尋木プロ。サボりのことは針生アナに報告しておきます」

咏「えっ!?」

健夜「ご、ごめんね。照ちゃん」

照「……はぁー」

照(本当にこのひとに弟子入りして正しかったんだろうか)

咲「えーっと…アマチュアの部屋は…どっちだったかな…」

咲(はぁー、今日一日はずっとお姉ちゃんと一緒にいようと思ってたのに…)

尭深「…咲ちゃん?」

咲「…え?」

咲「た、尭深さん! こんなところで何を…」

尭深「…ここは雀荘だよ? …雀荘ですることは麻雀だけだと思うけど…」ズズズ

咲「…あ、ああ、確かに、そうですよね。というか尭深さんがいるということは…」

尭深「……うん。弘世先輩と淡ちゃんが来てる」

咲「ど、どうして尭深さんたちが? 来るなら連絡してくれれば良かったのに…」

尭深「……ごめんね。…今日は風越女子との練習試合だったの」

咲「……風越。ということは池田さんたちとの試合したんですか…?」

尭深「……池田さん? ああ、淡ちゃんに何度も何度も挑んでた猫みたいな子のこと…?」

咲「そうですね。おそらくはその子のことだと思います」

咲「そういえば白糸台と風越女子の練習試合だったんですよね…?」

尭深「……そう」ズズズ

咲「卒業生の菫さんがどうして一緒なんですか?」

尭深「ああ、それは…」

菫「それは私が説明しよう…」

咲「あっ、菫さん。お久しぶりです」

菫「久しぶりだな、咲」

咲「それでどうして菫さんまで?」

菫「監督に頼まれたんだ。ひとりでは白糸台の部員全ての牌譜を確認し、反省点を各自に指摘するのは骨が折れる。だから手伝ってほしいとな」

咲「ああ、確かに白糸台は部員の数がかなり多いですからね」

菫「それに長野までの交通費や宿泊代は白糸台持ちだ。来ない理由はないだろう」

菫「それで照のやつは?」

咲「お姉ちゃんはプロ専用の部屋にいますよ」

菫「…そうか。それなら私は照の方を見てくる」

咲「えっ、あの部屋はプロ以外は立ち入り禁止らしいですよ?」

尭深「……部屋には立ち入り禁止だけど室内の様子が分かるようになっている…」ズズズ

咲「…そうなんですか」

淡「あっ、サキー! 久しぶりだね♪」

咲「ああ、淡ちゃん。この間、会ったばかりだよね」

淡「そうだっけ。それはそうとサキがいるということはテルも」

咲「今はいないよ」

淡「あっ、そういえばテルはプロになったんだっけ。すっかり忘れてたよ」

咲「あっ、そういえば白糸台のもうひとりの方はどうしたんですか?」

尭深「……誠子ちゃんは部長だから私たちみたいに自由気ままに行動できないの」

淡「…部長職は大変だねぇ」

菫「…淡。来年の部長はおそらくお前だぞ…?」

淡「……えっ」

菫「ところで今の清澄の部長は染谷まこだよな。去年、私の相手だった」

咲「はい、そうですね。あまり部長って感じはしないですけど…」

菫「そうか? 結構、部長の器だとは思うが」

咲「…そうですかね。だけど染谷先輩が部長なのは今だに慣れません…」

菫「最初はそんなもんだ。来年の部長はおそらく原村だろう?」

咲「はい。多分、和ちゃんだと思います」

尭深「……着いた」ズズズ

咲「…着きましたね」

菫「……あれは何をしているんだ?」

淡「少なくとも麻雀ではないよね…」

照「大体、いつもいつも。二人には自覚が足りない。 この間だって私の家に来て散らかすだけ散らかすして帰ったり…」

照「…そのせいで…咲と険悪なムードになるし…」

照「…もういい加減にして」

咏「あ、あはは、ごめんね、照ちゃん。だからえりちゃんにだけは…」

健夜「…ご、ごめんね。もう絶対仮病なんか使ったりしないから…」

※二人は正座して照の説教を受けています。その様子を咲たちに見られています。

菫「…………」

尭深「………」

淡「………」

咲「………」

菫「……照の様子は分かった。さてと私たちは帰るか」

咲「えっ」

淡「そ、そうだね。亦野部長が心配だよ。だから帰ろ」

咲「えっ?えっ?」

尭深「……触らぬ神に祟りなし…」

咲「…ちょっ…」

尭深「…あっ…そうだ。…咲ちゃんにこれをあげる」

咲「…えっ…なんですかこれは…」

尭深「……原村和と共同開発して作った茶葉。効果の程は…弘世先輩で試したから効き目はバッチリだと思う…」

咲「……」

尭深「…それじゃあ…」ペコッ

その後、咲さんに説教を止められ、そのまま腕を引っ張られるように外に出た。

咲「……お姉ちゃん。さっき菫さんたちに会ったよ」

照「……え」

咲「風越女子と白糸台の練習試合があったらしい」

照「…そう」

咲「そろそろ家に帰ろうよ、お姉ちゃん」

照「……ん」

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん。手を繋いでも良いかな?」

照「いいよ…」

咲「えへへ…」ギュッ

咲「ねぇ、お姉ちゃん。さっき尭深さんに茶葉を貰ったんだ」

照「……そうか」

咲「帰ったら一緒に飲もうね、お姉ちゃん」

照「……そうだね。尭深のお茶は美味しいから…」

咲「へぇ、そうなんだ。今から楽しみだよ♪」ギュッ

照「…うん」

咲「…お姉ちゃん」ギュッ

照「…なに?」

咲「好き…」

照「…私も好きだよ」

咲「ッ…好きっ…好き!」ダキッ

照「…咲? どうしたの?」

咲「…大好きだよ!」ギュッ

照「……今日の咲はいつも以上に…」

咲「…いつも以上に…なに?」

照「……いや…やっぱり…」

咲「…お姉ちゃん」

照「…なに?」

咲「夕暮れの空の下、重なる影。ロマンチックだとは思わない?」

照「……そうだね」

咲「……」

照「……」

咲「……お姉ちゃ」

照「…帰ろうか…」

咲「………うん。そうだね…」

咲(……お姉ちゃんのバカ…)

照「………」ギュッ

照(今はまだ無理でも……きっと…いつか…)

咲「………」ギュッ

咲(だけど…絶対いつかはお姉ちゃんの方から…キスをするようにさせてみせるよ…)

咲「ねぇ、お姉ちゃん」

照「…なに?」

咲「…愛してるよ」

照「…私も」


咲(その為にまずは尭深さんのお茶を試そうかな♪)

おわり

この辺りが限界だ。違うような咲照を書きたいからこの話は終了だお。明日こそは絶対に四コマ風のSSにする

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