アムロ「仕事人?」 (51)

雪に白鷲 闇夜に鴉 紛れ隠れる悪い奴
正直者は阿呆鳥 これじゃ理屈が合いません
世の中こんなもんだよと 諦めないで来て下せい
どこに居ようと探し出し 必ず仕留めてご覧に入れやす

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舞台は江戸
南町奉行所から物語が始まる・・・

?「…村さん!聞いてるんですか!中村さん!!」

端正な顔立ちの男が、甲高い声を所内に響き渡らせる。

中村と呼ばれた男「はいはい、そんな叫ばなくても聞こえてますよ。シロッコさん」

中村と呼ばれた男は面倒くさそうに返事をする。

パプティマス・シロッコ
中村の上司。性格は至って真面目で、多少嫌みな部分もあるが、根は善人であり悪人ではない。

シロッコ「『はい』は一回!大体あなたは……」

中村(小言に夢中になってる内に抜けるか)

シロッコ「ですから……中村さん?どこですか中村さん!?」

グラハム「中村さんなら見回りに行きましたよ。」

シロッコ「なっ!?」

中村「ふぅ~、トロッコさんにはかなわんね」
江戸の町を歩きながら、ボソッと愚痴をこぼす。

中村主水
南町奉行所に勤める万年平同心。
勤務態度は真面目とは言えず、上司のシロッコに小言を言われる毎日である。
奉行所内では『昼行灯』で通っている。
八丁堀に自宅を構えており既婚者。因みに婿養子で家庭内では肩身が狭い日々を送っている


しかし、それらは中村主水の『表』の顔に過ぎない・・・

主水の『真』の顔、それは・・・

中村主水は…
奥山新蔭流、一刀無心流、小野派一刀流、心形刀流、御嶽新蔭流の五つの流派全てに置いて、免許皆伝の腕前を持つ剣の達人である!

知恵に置いても、将来、出世を奉行所勤めを始めた当初は確実視された事がある程の切れ者である!


ちょっと休憩

そんな影の実力者の『裏』の顔、それは・・・


はらせぬ恨み 晴らします
『必殺仕事人』

主水(今日は何処を『見回る』とするか…久々にカーンさんの店でも顔を出すかな)

不良同心の主水にとっての『見回り』とは、商人などからの袖の下の回収である。

主水「よぉ、カーンさん居るかい?」

マシュマー「これは中村さん、お久しぶりです。旦那様ならそちらに…」

マハラジャ『旦那?中村の旦那じゃありませんか』

この男はマハラジャ・カーン
老舗呉服店カーン屋の主人をやっている。


主水「久々だね、カーンさん。近く寄ったから、久々に顔を見たくなってね」

マハラジャ「旦那は顔じゃなく、コレでしょう?」指先を擦りながら

主水はいやいやと言いながらも受け取るのであった。

その時
?「ただ今、帰りました。お父様」

マハラジャの娘のハマーンが帰ってきたようだ。

主水(元服前の子供な筈だが…なかなかどうして)

ハマーン「旦那?会って早々、ジロジロみて、どうしたんです?」

主水「なにね、ちょっと見ない間に、綺麗になったなぁと感心してたんだよ。恋人でも出来たかな?」

ハマーン「やですよ!旦那ったら!!」

マハラジャ「……」

主水「…そろそろ見回り始めなきゃな」

ハマーン「そんな時間ですか?頑張って下さいね。」


マハラジャの目線を感じ、ハマーンとの会話を早々と終わらせ、店を後にした。

呉服屋を後にし、見回りを再開すると見覚えのある後ろ姿を目にした。

主水「おや?先生じゃないですか。」

東方不敗「何じゃ、主水ではないか」


男の名は東方不敗
長屋で赤ひげのような医者をしている男である。

しかし、それは『表』の顔である。

『裏』の顔は最強の拳の使い手であり、流派東方不敗の開祖でもある。

そして、この男も、主水と同じ『仕事人』なのであった

主水「先生、今日は薬の仕入れですかい?それとも一杯クイッ」

東方不敗「馬鹿者っ!天道様が居る時刻に酒を呑む阿呆が居るか!」

主水「これは手厳しい」

一方その頃

マハラジャ「まだあの男と関わっているのか!?」

ハマーン「……」

マハラジャ「あのような~」

ハマーン「大佐‥悪く…」




マシュマー「ハマーン様……」

数日後
普段通り街を『見回る』主水の前に、珍しい男が現れた。
カーン呉服店の使用人のマシュマーである

マシュマー「中村さん、少々お話しが‥」

ただならぬ雰囲気を察し、黙って路地裏に付いていく主水。

主水「はぁ?」

『真面目』な話かと思ったら、お嬢ちゃんが素性の臭い野郎に嵌ってるから、何とかしてくれだとよ…

主水「おめぇさん、同心を何でも屋と勘違いしてないか?」

マシュマー「すいません!しかし、頼れる人が他に居ないのです。」

主水「そういう理由なら、まぁ、気持ち次第でやってらんでもなぁ」

マシュマー「お礼なら、此方に」

主水「!わかった、わかった、任せときな。無駄金にはさせないから安心しな」

マシュマー「有難うございます!」

風変わりな仕事だが謝礼金の高さに惹かれ『仕事』を受ける事にした




主水「てな訳だ」


ジェリド「こんな仕事を受けるなんて本気かよ旦那!?」

サーシェス「貰うもんは、貰ったんだろ?問題ねぇじゃねぇか」

マリーダ「右に同じ」

アムロ「殺しなしで大金貰えるなんて楽で良いじゃないか」

東方不敗「どの様な内容でも、仕事は仕事じゃ」


仕事人仲間に今回の件を話す

東方先生はともかく不安な奴が多いように見えるんだがw

アリー・アル・サーシェス
通称 焼け野原のひろし
殺し技は火薬を使った爆殺
伊賀の抜け忍であり、現在は吉原で一遊女屋の名主を勤める。

子持ちである。


ジェリド・メサ
通称 通りすがりのジェリド
殺し技は拳銃による近距離射撃
江戸城勤務の公儀隠密、現役の忍でエリートである。


マリーダ・クルス
通称 やらせのマリーダ
殺し技は色香を利用した毒殺
ひろしと同郷であり、現在はひろしの店で遊女として働いている。


アムロ・レイ
通称 千里眼のアムロ
殺し技はからくりを使った遠距離からの正確無比な射撃
江戸一番のからくり技師であり、江戸城御用達の腕前を持つ。

>>16
初SSで一杯一杯なんや堪忍してくれww


ジェリド「仕方ねぇな‥その娘の身辺を洗えば良いんだな?」

主水「あぁ、頼む。同心と公儀じゃ調べられる情報が違うからな」

ジェリド「良く言うぜ、旦那は面倒なだけだろ」

苦笑いを浮かべる主水を余所に各々が役割を確認し、その日は解散した

ハマーン「うふふ…私も、やっと十五で元服。これで大佐と結ばれ…」


カミーユ「はははっ、大尉の言うとおり本当に面倒な女だな」

ハマーン「だ、だれ!?」

カミーユ「誰だって良いだろ?」

カツ「へへへ、本当に良いの?こんな可愛い子?ハァハァ」

ミケロ「ニヤニヤ、良いから来てるんだろ?」

ハマーン「いや…た、たすけて、大佐」
ミハエル「ヒャハははは!バ~カ!助けに来るわけねぇだろ!その大佐が俺らに頼んだんだからよぉ!!」

ハマーン「!!!」

カミーユ・カツ「!!」

ミケロ「馬鹿野郎!余計な事口走ってんじゃねぇ!」

ミハエル「す、すまねぇ」

ハマーン「う、嘘よ大佐が」

カミーユ「…バレちゃ仕方ないか」

カツ「あの人、元服迎える女には興味無いんだよね」

ミケロ「しかも結婚、結婚煩いと来たもんだ」

ミハエル「そんな煩わしい賞味期限切れの女を処分するのが俺らの仕事」

「気の毒だが俺らを楽しませた後に消えてくれ」


マハラジャ「貴様等何をやってる!?」

ハマーン「お、お父様!?た、たすけて!!」

カミーユ「面倒だな」

ミケロ「一人増えただけだ、さっさと片付けるぞ」

カツ「早く片付けてハマーンちゃんとウヒヒ」

ハマーン「あっ…あっ」







絹江「号外よ!号外!呉服屋のカーン親子が惨殺!」

主水「何!?おいっ、詳しく教えてくれ!」

絹江「え、は、はい、昨晩、何者かにカーンさん親子が殺されたんですよ。」

主水「何だって!?確かなのか?」

絹江「はい、無惨な有り様で…娘のハマーンさんは言葉では表せない限りの様子だったと…」

主水「そうかい…」

奉行所

シロッコ「中村さん!この忙しい時に遅刻とは全く…」

主水「…見回り行ってきます」

シロッコ「中村さん!中村さん…元気がなかったですね」




主水(調査開始の矢先に一体何があったんだ)

街ゆく人々「カーン屋も終いかしらね」

街ゆく人々「跡継ぎが居ないものね」


主水(あれは…)

呉服屋の前で一人茫然と立ち尽くす男を見つける

呉服屋の使用人マシュマーだ

マシュマー「何故ですか、中村さん…」

マシュマーの問いに目を逸らさず無言で見つめる主水

マシュマー「わたしは!こんな結果の為に!あなたに…うっうっ」

主水「マシュマー…」

マシュマー「私は!私にはハマーン様だけが全てだった!しかしハマーン様は…もういない」


主水「!よせっ」


マシュマー「ハマーン様万歳」

主水の制止も虚しくマシュマーの凶刃が己の腹を貫いた

三人目の犠牲者が生まれた

ジェリド「事件は驚いたが、ハマーン・カーンの身辺調査の結果を話そうかい」

主水「あぁ、頼む」

ジェリド「ハマーンが惚れ込んでいた男だがシャア・アズナブル大佐という男だ」

アムロ「大佐?城勤めの人間か?」

ひろし「大佐なら隠すような素性でもねぇじゃねぇか」

ジェリド「最後まで聞けよ。結論から言うとシャアという人間は存在しない」

マリーダ「?どういう事だ」

東方不敗「ハッキリ言わんか」

ジェリド「偽名なんだよ。」

主水「正体はわかってるのか?」

ジェリド「いや、ハッキリとは」

ひろし「わかってねぇのかよ!意味ねぇな」

アムロ「いや、ジェリドは『ハッキリ』とはって、言ってるから見当はついてるんじゃないのか?」

ジェリド「まぁな」

東方不敗「ならさっさと言わんか!!」

ジェリド「十中八九ダイクン家に関わりある人間だ」

主水「ダイクン家だと?」

ジェリド「ああ」

ひろし「ダイクン家っていや大名だぜ、確か息子が吉原に来てるな」

マリーダ「私達の店には来たことは無いな」

主水「成る程な…みんなはダイクン家近辺を洗ってみてくれ、俺はマハラジャやハマーンの遺体の刀傷から下手人を探してみる」

役割を確認し、その日は解散した

数日後
主水「刀傷から、下手人が判明した。」


一人目は カミーユ・ビダン
喧嘩っ早く、腕っ節もなかなからしい、女を見境なく襲う年中発情してる獣みたいな男だ

二人目はカツ・コバヤシ
こいつはカミーユの腰巾着。カミーユ以上の獣だが小心者でカミーユが居ないと何も出来ない男だ

三人目はミハエル・トリニティ
喧嘩っ早さはカミーユ以上だが頭が弱いみたいだ

四人目はミケロ・チャリオット
この集団の頭を張っていて非常に残酷な性格の持ち主で、腕っ節、頭の切れ共に出来る要注意の人物だ。

シャアの正体はダイクン家の長男、キャスバル・レム・ダイクン、元服前の少女が集まる店の常連客で、愚かにもシャア大佐の名で利用していたのだ。



そして、これらの下手人達がダイクン家ゆかりの屋敷に入る所を度々目撃されていて、その屋敷にハマーンが日々通ってる所も多数目撃されている。


何より、ひろしの店に来たミハエルとカツが酔った勢いでマリーダに事の顛末を話したのだ…

信じられないが、動機がハマーンの元服。
救えねぇ…



主水「…決まりだな」

ジェリド「状況証拠どころか証言つきじゃあな」

ひろし「パッパッとやっちまうか」

マリーダ「仕事は仕事」

アムロ「一仕事行きますか」

東方不敗「紅く燃やしてくるかの」

主水「さて仕事だぜ」

カミーユ「うぃ~交尾!交尾!」

夜遅く、酔っ払い卑猥な言葉を大声で叫び、微かな賑わいを見せる街に不快な空気を巻き散らかす

カミーユ「何みてやがんだ!この野郎!!」

?「あら?そこの兄さん」

カミーユ「あぁん?」

ジェリド「思った言をハッキリ言う!男らしいねぇ!」

カミーユ「お、おぅ。まぁな」

気を良くして警戒心を緩めた酔っ払いに近づくジェリド

ジェリド「いやぁ、カッコ良かったですよ」

消音機付きの拳銃でカミーユの頭を撃ち抜いた

カミーユ「びだん」


ミケロ「飲んだ、飲んだぁ~」

『仕事』で得た大金で飲み歩く日々のミケロ、その帰りの夜

ミケロ「あぁ!?…あれは?」

マリーダ「うぅーん…ぐぅー」

ミケロ「おいおい…綺麗な姉ちゃんがこんな所でよウヒヒ」

ミケロ「お~い、姉ちゃん。こんな所で寝てたら風邪ひくぜ?」

マリーダ「うぅーん…むにゃむにゃ」

ミケロ「こりゃ、看病しなきゃな人道的によ!人道的に考えてよ」

マリーダを抱きかかえようとした瞬間、いきなりのマリーダからの接吻。運が良いと思ったのも束の間…

ミケロ「何だ!?体が痺れて、動かねえ」

マリーダ「……」

スッとマリーダは立ち上がり、その場を後にした。

ミケロの混乱した頭が落ち着いた時にはマリーダの姿は既に無かった。

ミケロ(ちきしょう…あの女!なにが目的だ)

頭の中でグルグルと思考を張り巡らしていると、そこに一人の男がやってきた

ひろし「あらら、こんな所で酔っ払いが寝てらぁ…嫌だねぇ」

ミケロ「うぁぁ…うぁぁ…うぁぁ」
痺れて、うまく喋れない

ひろし「うぉっ!こりゃ酔っ払いじゃなく妖怪だな!聖火で妖怪退散っと」

火薬に火を付けミケロに放り投げる

動けぬミケロは粉微塵になった

ミケロ「んでぶっ」

ミハエル「妹喫茶は最高だな…次襲うならあのタイプの店の娘だな」

危ない独り言を呟きながら夜道を歩くミハエル


そんなミハエルの前に驚く物が現れた

リィナ?「ミハエルお兄ちゃん!」

ミハエル「!!」

リィナ?「ミハエルお兄ちゃん!」

ミハエル「リ、リィナちゃん」

ミハエル(売れっ子ナンバー1妹のリィナちゃんが一体何故俺俺俺の前に…)

リィナ?「ミハエルお兄ちゃん!」

ミハエル「!リリリィナちゃぁぁっ……トリィ………ん……」

ミハエルがリィナ?に走って近づいた瞬間、何かがミハエルの頭部を撃ち抜いた…

アムロ「馬鹿な奴…」

ミハエルを誘い出したリィナ?はアムロが作ったスーパーからくりハロが生み出した幻影
ミハエルの頭部を撃ち抜いたのは最強からくり水鉄砲だった

路地裏で一人の酔っ払いが壮大に吐いていた。

カツ「オェー!オェー!オェー!」

そこへ一人の男が声をかけた…

東方不敗「お前さん、大丈夫かの?」

カツ「……うっせー爺!余計なお世話何だよ!ぶっ殺されたくなきゃ消えろ!!」

東方不敗「お主は自分より強い人間には尻尾を振る人間らしいが…この態度、ワシはお主より弱いらしいのぉ」

カツ「グダグダうっせーぞ!」

東方不敗「はっはっは!馬鹿モンが!」
カツ「ハヒッ」

東方不敗「本来お主如きには勿体無い技だが、見せてやろう」

カツ「体が…金っ…金色に」

東方不敗「流派!東方不敗が最終奥義!!」

石 破 天 驚 拳 !!

カツ「ジュ……」


カツは跡形もなく消滅した

プル「大佐ぁ~またきてねぇ」

シャア「あぁ、また来るよ」

少女に挨拶を済ませ、お忍びの身であるシャアは一人帰路につく。

ダイクン家 屋敷前

シャア「うん?」

自分の屋敷の前に佇む見慣れぬ男を見て立ち止まる。

シャア「一体何者だ?」

主水「見ての通り、南町奉行所の同心ですが」

シャア「その同心が一体我が屋敷に何用なのだ!?」

主水「我が屋敷?」

シャア「左様。私はダイクン家の嫡男キャスバルである。」

主水「はっはっは」

シャア「何が可笑しいか!」

主水「いやぁ、あなたがキャスバル様ですか…」

シャア「そうだ!」

主水「違うだろ。あんたはハマーン殺しの黒幕シャア・アズナブルだろ」

シャア「!?」


神速の袈裟切り・唐竹割り


シャアは何も反応出来ず絶命した



翌朝

絹江「号外!号外!」
ダイクン家の嫡男が通り魔にあって憤死!放蕩息子だったから案外・・・

それ以外にも巨大な光る手に爆発事故やら原因不明の死亡事件に銃殺事件

騒がしい一日だった

八丁堀 中村邸

主水「あのですね、お養母さん。今は大名の息子が殺されて忙しいんですよ」

せん「それは、それ、これは、これです。内職はしっかりやって下さい婿殿。」

りつ「あなた、部屋に傘置いときましたので、頑張って下さいね。」

主水「何でかなぁ」

長屋の一室

死体が見つかったとの報が入ったので、後輩を引き連れ現場に入った主水

主水「体中に結構な痣があるが仏さんは撲殺かい?」

サラ「いえ、死因は薬物中毒による心停止。多数の打撲は今回の死因に関係ないようです。」

グラハム「仏の名前は、ステラ・ルーシェ、吉原の遊女です。」

主水「親、兄弟は居ないのか?」

グラハム「はい、親・兄弟は居ませんが、シン・アスカという男と、ここ数年同居しています。」

主水「その同居人はどうした?」

サラ「…別の女性の家で一泊してたそうです」

主水「そうかい…ところで死因に繋がった薬物ってのは何だい?」

グラハム「知らないんですか?今、吉原で遊女間で流行って問題になってる…」


サラ「合成阿片ですよ」

主水「合…成…阿片?」

吉原 ひろしの店

主水「よぉ、ひろし。ちょっと良いかい?」

ひろし「旦那じゃねぇか、別に構わねぇぜ」


今回の件を、ひろしに聞いた。仏の遊女の事、阿片が関わってる事、その阿片が遊女の間で流行ってる事…

ひろし「ステラは勿体無い事したなぁ。吉原全体でも上物の稼ぎ頭だったのに…名主が下手に甘やかすからよ」

主水「甘やかす?」

ひろしから遊女は男が御法度な事、然し人気の嬢は我儘がまかり通る事も聞いた…

ステラは相当人気な嬢で、シンとの同居も黙認だったらしい。

主水「この店は大丈夫だろうな?」

ひろし「大丈夫よ!この店は清純がウリだからな」

主水「男じゃねぇよ…阿片がだよ」

ひろし「そっちかよ!大丈夫に決まってんだろ?なぁ、マリーダ?」

マリーダ「やってたら、何が悪い?」

主水「!」

ひろし「おい…おいおいおい」

マリーダ「冗談だ」



雪でも降るか

ジェリド「邪魔するぜ…旦那も来てたか」

ひろし「珍しいな、女でも買いにきたか?」

マリーダ「私たちの仲だ、安くしてやる。」

冗談を流し、主水に話し掛けるジェリド

ジェリド「阿片の調査でひろしに話を聞きに来たが…旦那が居たなら話が早ぇ、ひろしから既に聞いてるんだろ?教えてくれ」

ジェリドにせがまれ一連の流れを話した

ジェリド「成る程な…然し、遊女の間で阿片が流行ってるってのは不幸中の幸いだな」

ひろし「何だと!?どういう意味だ」

ジェリド「芋づる式に締め上げてきゃ簡単に元に辿り着けるだろ?芋は多けりゃ多い方が良い」

ひろし「てめぇ」

ガララ
マリーダ「最低だな」

アムロ「…すいません」

マリーダ「お前じゃない」

間が良いのか悪いのか突如アムロが店にやって来た

ジェリド「どうした?ひろしの店に何のようだ?」

アムロ「ちょっとムラムラしてね」

ジェリド「わかってるよ、俺が言いたいのは、こんな明るい時間からとは、良い身分だなって事だ」

アムロ「自営業だからね。時間は関係ないんだよ」

マリーダ(わかってないな)

ひろし「…何でもいい、誰だろうが大事な客だ。どいつを指名すんだ?カテジナ嬢にニナ嬢にフォウ嬢にラクス嬢と上玉揃いだぜ」

マリーダ「………」

アムロ「もう決めてあるから、その娘たちは別に良いよ」

ひろし「ならネーナかシーマか?通だな」

アムロ「違うよ…チラッ」

マリーダ「?」

ジェリド「おい、まさか…」

アムロ「ああ、マリーダだよ」

ひろし「本気かよ!金ドブじゃねぇか」

主水「そんな言い種はねぇだろ」

アムロ「金は捨てるほど持ってるし大丈夫さ。それより問題は、マリーダ…君は不妊症なんだってね?」

マリーダ「あ、ああ」

アムロ「それで、本番も問題ないと?」

マリーダ「あ、ああ」

アムロ「燃えるじゃないか」

ジェリド(何言ってんだコイツ…)

アムロ「たかが不妊の一つ、自慢のサイコフレームで治してやるさ!」

主水(天才ってのはわからんなぁ)

アムロ「松コースで頼むよ」

ひろし「…毎度」


その日の夜


カテジナ「こんな事止めて、ウッソ」

ウッソ「何で!?どうして!?」

カテジナ「私たちは姉弟なのよ」

ウッソ「構うもんかっ!僕は『特別』だって姉さん言ったじゃないか!」

カテジナ「それは…」

ウッソ「他の男には許して、僕だけ駄目なんて…そんなのおかしいよっ!姉さん!」

カテジナ「生活の為なのよ、好きでやってる訳じゃないわ!」

ウッソ「五月蝿い!五月蝿い!僕は姉さんを抱くんだ!」

カテジナ(あぁ、ウッソ……どうして)

ひろしの店

「はぁ」衣装部屋で人目も気にせず大きな溜め息を吐くカテジナ
そんな姿を見た同僚のキャラが、心配そうに声をかける。

キャラ「どうしたのさ?溜め息なんかして、何かあったのかい?」

性格は似ていないが、不思議と馬の合った二人は店内では仲が良かった。

カテジナ「大丈夫よ、心配しないで」
カテジナは嘘をついた。抱えた悩みは友人にも、友人だからこそ話したくない話だったからだ・・

然し、キャラは、その嘘を瞬時に見破った

キャラ「水臭いじゃないか。私たち友達だろ?隠さないで打ち明けておくれよ!どんな悩みでも力になるよ!」

カテジナ「キャラ…」

キャラの真に迫る言葉に、涙と共に堰を切ったようにカテジナは喋りだした。



キャラ「そんな事が……」

カテジナ「どうしようもないの!でも耐えられないの!どうしたら…」

キャラ(カテジナは弟を捨てられない、でも、このままじゃカテジナが壊れちまう…)
悩んだキャラは一つの決断をした

キャラ「カテジナ、御免ね。あたしじゃあんたの悩みを解決する事は出来ない。……でも、悩みを忘れさせる事は出来ると思う」

カテジナ「えっ?」

キャラは、その方法に不安を覚えながらも、彼女の為と考えカテジナに伝えた。

カテジナが衣装部屋で上機嫌に鼻歌を口ずさむ
数日前と打って変わった有りように、他の同僚達は安堵を通り越し不気味に感じていた。

そんな、カテジナにラクスが社交辞令で元気になられて良かったと挨拶をした瞬間…

カテジナ「私は元から元気だよッ!適当な事を言ってんじゃないよ!」

ラクス「す、すいません」

まるで別人のカテジナの姿に部屋は凍りついていた

キャラ(カテジナ…)

そして店の遊女間ではカテジナの話で持ち切りだった…
祟りで狂っただの、病で脳をヤラれただの、原因は『阿片』だのと


ウッソ「おかしいよ、姉さん」

カテジナ「五月蝿いんだよ!ガキが!」

ウッソ「おかしいよ…何があったんだよ!姉さん」


それから数日後の夜

阿片が原因の心停止でカテジナが帰らぬ人となった

上げちまったorz
しゃあないが打ち切りやな

ageても即切りじゃないんか…
なら、もう少し踏ん張る

主水(まさか、ひろしん所の嬢が仏さんだとはな…)

遺族の家に向かう道すがら、そんな事を考えていた。
死因が死因なので、遺族にも話を聞かなくてはならない、全く嫌な役だ。

ウッソ「姉さん…ウッ…ヒッ…グ」

主水「君がウッソ君かな?」

ウッソ「はい…あなたは?」

主水「南町奉行所の中村主水ってモンだ。姉さんの件でちょっとな」

カテジナの異変をウッソから聞いた

ウッソ「最近の姉さん、別人のようにおかしかったんですよ…まさか阿片のせいだったなんて!」

主水「阿片は人を変えちまうからな」

ウッソ「これって阿片を売りつけた人間による殺人ですよね!?」

主水「いや、それは…」

ウッソの突然の言葉に、主水も言葉を詰まらせる。
気持ちは分からんでもないが、自己責任の面も否めないだろう。

主水「お前さんの気持ちは分からんでもないが、殺人に持ち込むのは無理だな」

ウッソ「……ちょっと待ってて下さい!」
無理だと言われ俯いたウッソだったが、直ぐに何かを閃き奥の部屋へ入っていった。

そして、バタバタと戻って開口一番
ウッソ「八丁堀の旦那!これは姉さんが僕の為に残してくれたお金です。」

主水「……本気か?」

ウッソ「本気です!頼れるのは旦那だけなんです!姉さんに…阿片を、阿片を売りつけた仇を、仇をとって下さい!」

主水「分かった、後は任せな」

主水「と、言う訳だ。」

各仕事人を集めウッソからの依頼内容を説明し終えると、一人の仕事人から待ったがかかる。

ジェリド「ちょっと待ってくれ。今回の標的は阿片の売人なんだよな?」

東方不敗「左様、何か問題でもあるのか?」

東方先生の問いに、大アリだと珍しく興奮気味に答える。

何故だ?アムロとマリーダが同時に質問した。
夜の共振効果が表れたのだろう

ジェリド「あ?忘れたか?俺は阿片を元から絶とうとしてるんだぜ。なのに元に辿り着く情報持ちの売人をアッサリ殺されちゃ困るんだよ」

それもそうだなと主水が同意し、何とかしてみるかと、一考し案を幾つか出した

主水「何とか纏まったな」

標的は未だ判明してないが、範囲を考えて標的は一人で間違いないだろう。

焦らず、捜すか

数日後
各々の調査を照らし併せた結果、遂に標的が判明した。

標的の名前はマ・クベ

茶人だったらしく、ザビ家やサハリン家などの大名・旗本の屋敷に呼ばれる事も珍しくない腕前の持ち主だったそうだ。

ジェリド「間違いないのか?」

ジェリドが念を押すように言うと、間髪入れずに「間違いない」、マリーダが呟いた。

主水「マリーダの言う通り、大丈夫だ。」

マリーダとひろしの店内調査で行き当たったキャラ。
その彼女への尋問で浮かび上がったのが…マ・クベ。

一方の主水は吉原の売人捜しを簡潔に終わらせていた。
阿片『被害者』ステラの同居人であったシンを追い込み、売人の素性を吐かせていた……出てきた名前がマ・クベ。

アムロ「決まりだね」

主水「どうだい、ジェリド?」

ジェリド「ああ、文句なしだ」

東方不敗「決まりじゃの」

主水「ジェリド、今回の仕事は、お前さんと先生に任せるぜ」

ジェリド「ああ」


決行日時を決め、解散となった…



ひろし「お前、よく喋らなかったな。」

マリーダ「何をだ?」

ひろし「とぼけんな、カテジナと依頼人の関係や、カテジナが自分から阿片を求めた事だ」

マリーダ「文句を言った所で、仕事は止まらんからな」

ひろし「お前…」

マリーダ「なぁ、カテジナは今回の標的を恨んでるのかな?カテジナが本当に恨んでる相手は…」


「止めな」喋るマリーダを一喝して制止し、その夜は終わった。

決行日 某所

マ・クベが前情報通り、酒屋の壷屋利休から帰ってきた。
千鳥足のマ・クベ・
そんな標的を見つめてジェリドは呟く
さっさと済ますぞ…
発言通り、颯爽とマの眼前に立ちふさがる。

驚くマだったが大声を出す事は出来なかった、東方不敗が瞬時にマの後頭部に人差し指を突き刺していたからだ。

マ・クベ「キシィ」


鯉のように口をマクマクさせるクベ
この男に許されるのは質問に答える事だけだった。


わかった事は上納金はトロワとヒイロの二人組が受け取りにくる事。
阿片の受け渡しはデュオと五飛の二人組である事。

それ以外めぼしい収穫は得られなかった。
ただ、明日の未明に、上納金の受け渡しがある事を掴んだ。

ジェリド「上出来だ…死んで良いぞ。」
そう呟くと、マの頭を撃ち抜いた。

東方不敗「終わりじゃな」

ジェリド「俺の仕事は半ばだけどな」

東方不敗「わしは手伝わんぞ?」


ジェリド「期待してねぇよ」







数日後



ジェリドの遺体が神田川に浮かび上がった………

時を遡り
ジェリドが命を落とした日の晩


高田馬場
とある武家屋敷

ジェリド(資料通り間違いない、この場所は幕府が預かる屋敷の一つ。しかも…『公儀隠密』管轄のだ!)

(どういう事だ?潜入捜査?いや…直轄の屋敷を使った潜入なんて有り得るか?考えたくないが、隠密の中に取引に関わる人間がいるって事か)

ジェリドは頭の中で、最悪の結論に達した。

ジェリド(とにかく屋敷に潜入して、阿片をバラまいた悪人共の面を確認しなきゃな…そして、裏切り者の面もな)

屋敷の一室

ウォン「今月の売上は上々でしたね」

アズラエル「三・千・両ですか…ま、こんなもんですかねぇ」

屋根裏

ジェリド(ウォンにアズラエルだと!?あんな大物が絡んでたのか…)

???「なにが上々なものか!こんな調子では、何時までも目標額には到達できんわ」

ジェリド(こ、この声は…まさか!?)

一人の男の声に、ジェリドは激しく同様する

ウォン「まあまあ、落ち着いて下さいよ。焦って事が露見したら、全て台無しですよ?」

アズラエル「そうそう、急がば回れってね…ねぇ、バスク大佐」

バスク「ふん!」

ジェリド(ま、間違いない。あれはバスク!)

バスク・オム
江戸城に勤めるエリートであり、仕事は…ジェリド達『公儀隠密』を直々に命令する立場、言わばボスである。

ジェリド(なぜ…)ガタッ

ウォン「!」

アズラエル「!!」
バスク「曲者か!!」

ジェリド(不味いっ!一先ず退散だ)

ジェリドが屋根裏から脱出し、地面に降り立つと、突如、何者かに背後から首もとへ刀を押し付けられた

「動くな」

ジェリド(うっ)

デュオ「命が欲しけりゃ下手な真似はするなよ。」

目の前に現れた男は、阿片の受け渡し係を務める、二人組の内の一人のデュオだった

抵抗を試みようとすると、首筋に鈍い痛みが走った

五飛「無駄な抵抗は止めろ。次に妙な動きを見せたら[ピーーー]」

ジェリドの動きを抑える男、二人組の残る一人である、五飛が冷たく呟く。

ジェリド(万事休すか)


ジェリドはバスク達の居る部屋へ連れて行かれた。

~~屋敷の一室~~

バスク「ジェリドか……
貴様は此処で何をしている?」

ジェリド「あんたこそなにしてやがる?
公儀に仕える身でありながら…金に目が眩んだか?恥を知れ!」

裏切り者を前に、ジェリドは怒りを爆発させた。

バスク「クックッ、金に目が眩んだだと?愚か者め、私の行動は全て『国家』の為よ!」

ジェリド「どういう事だ。阿片を売ることが『幕府』の為だと?」

バスク「……これから死ぬ貴様に、説明する必要は無い」

ジェリド「!」

バスク「殺せ」

ヒイロ「任務了解、お前を殺す」

こうしてジェリドは散っていった


殺害後、死体はトロワによって神田川に遺棄された

ジェリドの一件から数週間後、仕事人たちの環境は目まぐるしく変化した


ジェリドの代わりに元締めの一人の王留美が、新たな仕事人を呼んだ
「俺が仕事人だ」が口癖の変わった男の刹那


東方不敗が心不全により急逝。
愛弟子である、流派東方不敗を引き継ぐ、拳法の達人ドモンが後継となった



そして…また、新たな仕事人が現れた


「今日から南町奉行所で御世話になります……」



「渡辺小五郎です」



~~~完~~~

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