京子「第一回!一年VS二年腕相撲大会~!」(126)

京子「どんどんどんどん~♪」

櫻子「ぱ~ふ~♪」

あかり「わあい、あかり腕相撲するの久しぶりだよぉ!」

向日葵「あ、あの……歳納先輩?」

京子「ん?どったの?」

向日葵「一年VS二年って……二年は京子先輩だけのように見えるのですが……」

京子「ああ、結衣達はこの戦いについて来れないだろうから置いてきた」

櫻子「おおー!なんかかっこいい!」

ちなつ「……そういえば京子先輩って、2年のクラスメイト全員に腕相撲で負けちゃったそうですね」

京子「……」

京子「そ、そんな事より!最下位になった人は罰ゲームだからね!みんな覚悟しとけよぉ~!」

ちなつ(話を逸らした……)

あかり「じゃ、誰から京子ちゃんに挑戦する?」

櫻子「はいはいはい!私やりたい~!」

京子「ふふふ、櫻子ちゃんかぁ……それだったらちょっと手加減できないかなあ」ニヤリ

櫻子「お、おお!何か強そうな雰囲気が!」

向日葵「あ、あの……櫻子?あまり無茶しちゃいけませんわよ?」

櫻子「無茶しなくちゃ勝てないって!」

京子「よーし!じゃあ手を組んで~!」

櫻子「はい!」ガシッ

京子「あかり!開始の合図を!」

あかり「うん!」


あかり「れ、れでぃー……」


向日葵「……」ハラハラ


あかり「ごぅ!」

.



バキッ




.

櫻子「やったぁー!勝ったぁー!」

京子「……」

向日葵(いま、凄い音が……)

ちなつ(というか、凄い勢いで京子先輩の手が)

あかり(机に衝突しちゃったよぉ……)

櫻子「ん~、けど全然力込めてなかったですよね、歳納先輩」

櫻子「ひょっとして、手加減してくれました?」

京子「……」

櫻子「歳納先輩?」

京子「……うっ」

櫻子「え?」

京子「……ひっく、ぐすっ」

ちなつ「あ……」

京子「ふぇっ……うっく」

あかり「きょ、京子……ちゃん?」

櫻子「え……と、歳納先輩?どうしちゃったんで……」

京子「い、痛いよぉっ……」グスッ

向日葵「さ、櫻子!やりすぎですわよ!」

櫻子「え、え、け、けどっ……」

向日葵「と、歳納先輩?大丈夫ですか!?」

京子「うぅっ……ひっく……ひ、ひまっちゃん……い、いたいよぉっ」グスッ

向日葵(あの元気な歳納先輩がこんなに泣いて……余程痛いのですわね……)

向日葵「ちょ、ちょっと手を見せてくださいっ」

京子「う、うんっ」グスッ

向日葵「手の甲が赤くなってますわね……けど、骨に異常はないみたいだし……」

京子「うぅっ……ひっく……ほんと?」

向日葵「ええ、これならちょっと冷やしておけばすぐ治ると思いますわ」

京子「いたいの、無くなる……?」グスッ

向日葵「はい、大丈夫ですわ」

京子「ほんと?」ヒック

向日葵(何だか子供みたいですわね、歳納先輩)クスッ

向日葵「……心配なら、おまじないをしておきましょうか」

京子「おまじない?」グスッ

向日葵「……いたいのいたいの、とんでけっ」

京子「あ……」

向日葵「ね、こうしておけば、痛いのはすぐなくなっちゃいますから」

京子「……うんっ」グスッ

~数分後~


京子「痛いの無くなった!」

あかり「よ、良かったよぉ」

京子「いやあ、心配掛けてごめんねっ!ひまっちゃんもありがと!」

向日葵「い、いえ……」

櫻子「うう……歳納先輩、ごめんなさい……」

京子「いやいや、櫻子ちゃんのせいじゃないって!櫻子ちゃんの力を見誤って力の解放を抑えてた私が悪いの!」

櫻子「おお……!ゃっぱりあれは手加減してたんですね!」

京子「ふふふ……歳納京子の奥は深いのだよ、櫻子君!」

櫻子「よーし!じゃあ次は歳納先輩が手加減できないくらい頑張ろう!」

京子「ほ、ほどほどでいいよ、ほどほどで……」

向日葵「……」

京子「ひまっちゃん?どしたの?」

向日葵「え、あっ、なんでもありませんわっ///」


向日葵(わ、わたし、さっきなんて恥ずかしい事をっ///)

向日葵(いたいのいたいのとんでけって……こ、子供みたいなっ///)

向日葵(というか、先輩に対して失礼ですわよっ///)

向日葵(けど……何かあの時の歳納先輩は、先輩と言うよりも妹みたいな感じがして……)

向日葵(ついつい、自然に出ちゃいましたわ……)

向日葵(ほんと、不思議な先輩ですわね、歳納先輩は……)

京子「よーし!じゃあ次の勝負始めよっか!」

ちなつ「え……まだやるんですか?」

京子「そりゃ当然続けるよ!(私が勝つまでは)」

あかり「え?京子ちゃん今なんて……」

京子「ふふふ、櫻子ちゃんには後れを取ったけど、油断を捨てた私にもう隙はないよ?」

京子「泣きたい子はかかってこい!」

ちなつ「……さっきまで自分が泣いてた癖に」

京子「そう言いながらちなつちゃん、自分が泣くのが怖いんでしょ~?」

ちなつ「……」カチン

京子「まあ、けど可愛いちなつちゃんを泣かすのも気が引けるからなあ……やっぱり止めて」

ちなつ「……判りました」

京子「ん?」

ちなつ「その勝負、受けて立ちます」

京子「ふふふ、ちなつちゃんは怖いもの知らずだなあ……」

ちなつ「……」

京子「けど、戦うからには手加減はしない……二年の力……存分に味あわせてあげるよ……」

あかり「そ、それじゃあ、手を組んでっ!」

京子「……」ガシッ

ちなつ「……」ガシッ

あかり「れ、れでぃ~……」


あかり「ごうー!」

京子「ふんっ……!」グググッ

ちなつ「……」


京子「……んぐっ!」グググッ

ちなつ「……え」


京子「……ちぇりぉっ!」グググッ

ちなつ「……」

.



ちなつ(よわっ)




.

京子「ぐぐっ……ち、ちなつちゃんなかなかやるねっ……私と拮抗するなんてっ……」ググッ

ちなつ(いや、殆ど力入れてないんですけど……)


京子「こ、この勝負、長引きそうかなっ……」ググッ

ちなつ(ちょっとでも力入れたら勝っちゃいそうなんですけど)


京子「んっ……んんんっ……」グググッ

ちなつ(京子先輩、こんなに弱くて大丈夫なの?日常生活ちゃんと送れてるのかな)


京子「んくぅっ……」ググッ

ちなつ(もし誰かに乱暴されても、抵抗も出来ずに組み倒されちゃうよこれじゃ)


京子「んっ……んぅっ……」グググッ

ちなつ(はぁ……可哀そうだから、ちょっとだけ京子先輩の顔を立ててあげようっと)

京子「んっ……んんっ……!」ググッ

ちなつ「ああっ、京子先輩そんなに力入れたら、わたし、わたしっ」

京子「あっ……う、動いたっ、ちなつちゃんの手動いたっ……」ググッ


京子「んっ……も、もう少しだからっ……んっ、もう少しでちなつちゃんをっ……んぁっ……」ググッ

ちなつ「……」


京子「はぁ……はぁ……ち、ちなつちゃっ……んっ……」ググッ

ちなつ「……」


京子「ま、まだ駄目っ……ち、ちなつちゃあんっ……」ググッ

ちなつ「……」ザワッ

ちなつ(あれ、なんだろ、京子先輩が脆弱な力で精いっぱいの抵抗をしてる様子を見てると……)

ちなつ(何か、身体の芯の部分が……熱く……)

ちなつ(ど、どうしたんだろ私……)

ちなつ(何か……京子先輩を……)


ちなつ「……ほらほら、京子先輩、ここから押し返しますよ」ググッ

京子「ひゃあっ……!?」ビクッ



ちなつ(京子先輩を……なぶりたくなって来ちゃった……)

ちなつ「あれ、京子先輩、負けちゃいますよ?ほら、ほらほら……」

京子「んっ……だ、だめっ、ち、ちなつちゃん駄目ぇっ……」


ちなつ「じゃあ、もう少し頑張らないと……ね?京子先輩は二年生なんですから……」

京子「そ、そうだよ……わ、私は二年生なんだしっ……んぅっ」


ちなつ「一年生に力で負けて……押し倒されたりしたら恥ずかしいですよね……?」

京子「ま、負けないもんっ……わたし、負けないもんっ……」


ちなつ「そうそう、その調子……もっと頑張って京子先輩……私負けちゃうかも、負けちゃうかも」

京子「んっ……はぁ、はぁ……んぁぁっ……」

ちなつ「なあんちゃって……ほら、逆転されちゃいましたよ京子先輩?もう終わりですか?」

京子「も、もう駄目っ……力が入らないよぉっ……」


ちなつ「もう仕方ないですね、京子先輩は……じゃあ、終わらせてあげますから……」

京子「あっ……あっ……あっ……やっ……やぁぁっ……!」


ちなつ「ほら、もう楽になりましょう?大丈夫、優しくしてあげますから……」

京子「だ、だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」




パタンッ

京子「はぁ……はぁ……はぁ……」

ちなつ「……ふふふ、京子先輩」

京子「はぁ……はぁ……」

ちなつ「可愛かったですよ……」ボソッ

京子「……」ビクッ




あかり「しょ、勝者、ちなつちゃんっ///」

京子「はぁ……はぁ……はぁ……」

向日葵「あ、あの、歳納先輩?大丈夫ですか?」

京子「はぁ……はぁ……はぁ……う、うん、ちょっと……はぁ……はぁ……待って……」

向日葵「は、はぁ……」

ちなつ(というか……京子先輩、めっちゃ息切れしてる)

向日葵(接戦だったのは判りますが、そこまで体力ないのですわね……)

ちなつ(何か、自分の体力自覚できずバテちゃった小さい子供みたいで)

向日葵(何か守ってあげたくなりますわ……)

京子「呼吸整った!」

ちなつ「良かったですね、京子先輩」

京子「ようし!次頑張るぞ!」

向日葵「次はわたくしか赤座さんですが……」

ちなつ(向日葵ちゃんって体力ないけど……突発的に強くなる時あるから……多分、京子先輩は)

京子「……長年の因縁に勝負をつける時が来たようだね……あかり!」

あかり「ふえ?あ、あかり?」

ちなつ(やっぱり……)

あかり「け、けどあかりはレフリーだよ?」

櫻子「あ、じゃあ私がレフリーするね!」

京子「任せた!櫻子ちゃん!」

櫻子「おう!」

あかり「うう……あかりじゃ、京子ちゃんには勝てないよお……」

京子「ふふふ……肩を貸して上げるから、存分にかかってきなさい!」

あかり「う、うんっ……」

櫻子「では!みあってみあって!」

向日葵「いや、相撲じゃないんですから……」

櫻子「あ、そっか……えーと……れでぃー?」

京子「行くよ……!あかり……!」ガシッ

あかり「あ、あかり、頑張る!」ガシッ



櫻子「ごぉ!」

あかり「……けど、こうやって京子ちゃんの手を握ってると思いだすよね、小さい頃の事……」

京子「ぐ……ぐぐっ」

あかり「ほら、京子ちゃん覚えてる?3年生の春、公園で京子ちゃんの手を引いてあげたよね」

あかり「京子ちゃん、泣きながらあかりの手を掴んでくれて……」

あかり「ふふふ、あの時は大変だったねえ」クスクス

~小学3年生の頃~

京子「あ、あかりちゃんっ……わたし、わたしもう我慢できないよぉっ」トテトテ

あかり「きょ、京子ちゃん頑張って!もうすぐ公園だから!ね?」トテトテ

京子「けど……けど、わたしっ……あっ……」ピタッ

あかり「え?」

京子「あっ……あっあっあっ……」ジョボ

あかり「……京子、ちゃん?」

京子「……」

あかり「も、もしかして……お漏らし、しちゃったの?」

京子「……」コクン

京子「……うぅっ、どうしよう……お母さんに、お母さんに怒られちゃうよ……」

あかり「……京子ちゃん、行こう?」

京子「ふえ?」

あかり「ほら、公園に行けばおトイレも水飲み場もあるから……ね?」

京子「……」

あかり「ほら、行こう?」

京子「……あ、あかりちゃんは……私の事、嫌いにならないの?」

あかり「え?」

京子「だって……だって、わたし……おしっこ漏らしちゃったし……」

あかり「……」

京子「き、きたないし……」

あかり「……そんな事ないよ、京子ちゃん」グッ

京子「あっ……」

あかり「京子ちゃんは、全然汚くないからっ」

京子「……あかり、ちゃん」

あかり「ほら、行こう?公園まで手を繋いであげるから!」

京子「……う、うん!」

~現在~


あかり「ふふふ、今でもあかり、京子ちゃんと手を繋ぐと思いだすんだ……」

あかり「京子ちゃんのパンツを洗ってあげた時の事……」

京子「///」

あかり「あ、あれっ?京子ちゃん?どうして座布団に顔埋めてるの?腕相撲は?」



櫻子「勝者!あかりちゃん!」

京子「うぅぅっ、あかり酷いよぉっ///」

あかり「京子ちゃん!ごめんなさい!あの事秘密だったの忘れてたのっ!」

京子「もうみんなに顔見せられない///」

向日葵「だ、大丈夫ですわ、歳納先輩、お漏らしくらい誰でもしますわよっ」

京子「ほ、ほんと?」

向日葵「櫻子は小学5年生くらいまでお漏らししてましたし」

櫻子「!?」

京子「櫻子ちゃんのおかげで恥ずかしくなくなった!」

ちなつ「それは良かったですね……」

京子「それじゃあ……いよいよ最後の戦いになるわけだが……」

京子「向日葵君!」

向日葵「は、はいっ」

京子「覚悟は出来たかね……地獄を見る覚悟は」

向日葵「が、頑張りますわ」

ちなつ(……あかりちゃんとの勝負だって普通にやってたら京子先輩負けてたよね、きっと)

ちなつ(だったら、向日葵ちゃんに勝てるはずないし……)

ちなつ(京子先輩、腕力ヒエラルキーで最下層決定かぁ……)

京子「行くよ!ひまっちゃん!」ガシッ

向日葵「何時でもいいですわ!」ガシッ


あかり「れ、れでぃーー!」


櫻子「ごう♪」

.



パタン



.

あかり「あ……」

ちなつ「え……」

櫻子「お……」


京子「……」

向日葵「いたたた……負けてしまいましたわね」

京子「……」

向日葵「流石、歳納先輩、二年生だけあって強いですわ」

京子「……」

向日葵「……」

京子「……」

向日葵「と、歳納先輩?」

京子「やっっったぁぁぁぁぁ!」ピョン

向日葵「あ……」

京子「やったやった!ひまっちゃんに勝ったぁー!」ピョンピョン

京子「あかり!見てた!?私ひまっちゃんに勝てたよ~!」

あかり「う、うん!京子ちゃんおめでとう!」

ちなつ「お、おめでとうございます」

京子「えへへ!ありがと!ありがとね!」


向日葵(ほっ……わざと負けたのがばれたのかと思いましたわ)

櫻子(しかし、子供みたいに喜ぶなあ、歳納先輩……)

ちなつ(何か、悔しいけど……)

向日葵(手のかかる妹みたいで……)

あかり(可愛い!)

京子「じゃあ、ひまっちゃんは罰ゲームね!」

向日葵「え……あ、すっかり忘れてましたわ……罰ゲームの事」

京子「ふふふ、ちょっと無茶な罰ゲームさせちゃおうっかなあ~♪」

向日葵「お、お手柔らかにお願いしますわ……」

京子「んー……」

向日葵「……なんでしょう?」

京子「えっと……あのね、ひまっちゃん」

向日葵「?」

京子「さっき、いたいのいたいの飛んでけ~ってしてくれたでしょ?」

向日葵「あ、あれは……子供っぽ過ぎましたわね……すみませんっ///」

京子「うんん、あれ凄く嬉しかった!本当のお姉さんが出来たみたいで……」

向日葵「そ、そうでしたか///」

京子「うん……だからね///」モジモジ

京子「だ、だからね……これからもお姉さんみたいな向日葵ちゃんで居てください!」

向日葵「そ、それが罰ゲームですの?」

京子「うん!」

向日葵「……」

京子「だめ?」

向日葵「……ふふふっ」

京子「……!」

京子「も、もう、ひまっちゃん笑わないでよっ……」

向日葵「すみません……何だか可愛くって」

京子「むぅぅ……」プクー

向日葵「……そうですわね、こんなに可愛らしいのなら」

向日葵「歳上の妹が居てもいいのかもしれません……」

京子「……ほ、ほんと!?」

ちなつ「うん、今回の事で京子先輩の貧弱さは証明されちゃったし……ちゃんと保護しないとちょっと心配だよね」

京子「え?」

あかり「京子ちゃん、また泣いちゃってたし、あかりがまた手を引いてあげないといけないのかもっ」

京子「え?」

櫻子「私の妹、妙に反抗的ですし、歳納先輩みたいな妹が居れば素敵かなと思います!」

京子「え?」

向日葵「では、歳納先輩は1年全員の妹分になる……という事でいいのでしょうか?」


「「「「うん!」」」」


京子「……え」

その日から京子ちゃんは

下級生から毎日毎日甘やかされて

時にはひゃんひゃんひゃんと鳴かされて

幸せに暮らしましたとさ





おわり!

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