恭介「久しぶりに野郎オンリーで遊ばないか?」(208)

休日・理樹と真人の部屋――


理樹「いきなりどうしたの恭介」

恭介「まず、理樹の尽力で俺たちリトルバスターズには華が加わった」

真人「つーか、もう女の方が多いしな」

謙吾「理樹が好色漢という、意外な一面が垣間見られたな」

理樹「謙吾、茶化さないでよっ」

恭介「もちろん、俺だってあいつらと遊ぶのは生い茂るジャングルで『ア~アア~』と雄叫びを上げるくらい楽しいが……」

恭介「よくよく考えてみれば、逞しい男児一色で馬鹿騒ぎするってことはすっかり無くなっちまっただろ?」

理樹「そうかな……?」

理樹「一応、今の状況は男成分100%だけど」

恭介「ただ駄弁ってるだけだからなあ。ま、それでもいいんだけどさ」

謙吾「そうだな、俺は恭介の言うことに一理あると思うぞ」

恭介「さっすが謙吾! 話の分かる奴だぜ」

理樹「ていうか、言うほど僕たち四人だけで行動してた?」

真人「鈴は昔からずっとくっついてたよな」

理樹「いや、恭介が無理矢理引っ張り出してた記憶が……」

恭介「何言ってんだ、あいつはお前の後ばっかり追いかけてただろ」

理樹「え……そうだったっけ? 僕は恭介の後ばかり追ってたのは記憶してるけど」

恭介「何だよ、三角関係だったのか」

理樹「いやいやいや……」

恭介「で、理樹に真人も賛成で良いんだよな?」

真人「俺は理樹に合わせるぜ」

理樹「何で僕中心に考えるのさ」

真人「そりゃお前、理樹だからに決まってんだろ。わざわざ言わせんなよ」

理樹「意味が分からないよっ!?」

恭介「理樹、どうなんだ」

理樹「……そりゃもちろん、反対はしないけど」

恭介「よーし、決まりだな! 楽しくなってきたぜ、ひゃっほう!!」

理樹「気が早いなあ。それで、何して遊ぶの?」

恭介「よくぞ訊いてくれた理樹」

恭介「俺らはさ、下らないことを面白おかしく馬鹿らしく、をモットーに遊んできた」

恭介「特に、身近にあるものを利用してな」

真人「言われてみりゃバトルだの缶蹴りだの、ガキみてーなことばっかだったな」

謙吾「それでも、恭介の功績は認めているぞ」

理樹「大分振り回されてるけどね……」

恭介「だが、ここら辺で世間一般に親しまれている娯楽に手を出すのも悪くないと思うんだ」

真人「世間一般だぁ?」

理樹「つまり、普通の人が楽しんでるような遊びってこと? ちょっと分かりにくいけど」

謙吾「具体的には……映画鑑賞やゲームセンター、カラオケなどが当て嵌まるのか?」

恭介「そういうこと。だが今回の娯楽ってーのは、謙吾が例に挙げたのはどれも違うな」

恭介「俺がこの日のために用意したのは……」

恭介「ちゃーんちゃちゃーんちゃちゃちゃちゃちゃちゃー……」

恭介「……コイツだッッ!!!」

理樹・真人・謙吾「!!?」

真人「こ……これは……!!」

謙吾「ま……さかっ……!?」

理樹「遊園地の入場券……?」

恭介「その通り、レジャー施設のチケット。それもフリーパスだ」

恭介「ほれ、二枚でピッタリ四人分だ。確認してくれ」

謙吾「確かに……」

理樹「恭介、一体こんな代物をどうやって? 結構高いんでしょ、こういうの」

真人「誰かを恫喝して強奪してきたんじゃねえだろうな」

恭介「んなことするかいっ! こいつはちゃーんと俺が商店街の……!」

恭介(…………)

恭介「いや、違うな」

理樹「?」

恭介「……とあるスパイキッドに、強引に譲り受けたんだ」

恭介「これでもあげるから精々楽しんでこい……ってな」

理樹「へー……」

理樹(……スパイキッド?)

恭介「まあ、そういうわけだ」

恭介「あいつらには悪いが、ここは俺たちだけで遊び回ろうぜ!」

理樹「ちょっと気が引けるけど……四人分だしね」

謙吾「うむ、それなら奴らの分まで目一杯遊ばないといけないな! テンション上がってきたぜっ!!」

理樹「それじゃ遊ぶ日程とか、諸々の予定を決めようか」

恭介「? 何言ってんだ、理樹。俺はちゃんと『この日のために』って言ったぞ」

恭介「これから行くんだよ」

理樹「えぇ!?」

恭介「当然じゃないか。今日は休日なんだし、まだ午前中だし」

理樹「いや、流石に急すぎない?」

恭介「善は急げだ。早く行かないとすぐに人でごった返すだろう」

謙吾「ん……よく見ればこのチケット」

謙吾「最近、隣町でオープンした……」

恭介「そ、話題の巨大アミューズメントパーク。最新式だぞ?」

真人「き、筋トレ器具もかっ!?」

理樹(遊具よりも筋トレ器具の方が重要なのか!)

謙吾「しかし、あの施設の入場券は人気沸騰で中々入手出来ないと聞くぞ。やるな、恭介」

恭介「当たり前だ、もっと俺を敬うがいい」

理樹「恭介ってよく分からない人脈持ってるよね……」

恭介「つーわけで、準備が整い次第繰り出すぞ。運賃は俺が持つから安心しろ」

恭介「あと屋外プールもあるから海パン、タオルに着替えも忘れんなよ」

理樹「プールも? 随分と規模が大きいみたいだね」

真人「水泳かよ。ま、たまには有酸素運動メインでも悪かねーな」

謙吾「ここ一週間で大分暑くなってきたしな。水遊びは火照った体をリフレッシュさせてくれるだろう」

理樹(うーん、また流されてる気がするけど……)

理樹(でも、遊園地か。みんなと一緒だし、面白そうだな)

理樹「うん、僕も何だか盛り上がってきたよ」

恭介「そいつは良かった。それじゃ各々用意してくれ、一時解散!」


…………………

……………

………

隣町・アミューズメントパーク――


恭介「ということで到着しました遊園地!!」

真人&謙吾「ひゃっほーーーーうっ!!」

理樹「うわ……ホント広いな。見渡しきれないよ」

謙吾「やっべーっ! ジェットコースターにメリーゴーラウンド!」

謙吾「やっべええーーーーっ!! すっげええぇぇーーーーっ!!」

謙吾「やっべえええええええぇぇぇーーーーーーーーーーーーっっ!!!」

理樹「どんだけやばいのさっ!?」

恭介「ここからじゃ見えないが、先に行くと定番の回転ブランコやお化け屋敷もあるぞ」

真人「あれは何だ、ロッククライミングの強化版か?」

理樹「フリーフォールをそんな風に捉えられるのは真人だけだよ……」

恭介「それじゃ、初めは理樹が希望のアトラクションから回ろう」

理樹「え、いいの?」

恭介「当然。俺が無理言って連れ出したんだしな」

理樹「二人は……」

真人「理樹に任せるぜ!」

謙吾「理樹の選択なら間違いないからな」

理樹「そ、そう? それじゃお言葉に甘えて……」

理樹「んー……やっぱり遊園地と言ったらジェットコースターかな」

恭介「おっ、早速そこか。見る目ありますね、旦那?」

理樹「ちょっと子どもっぽかったかな」

恭介「遊園地だぜ? 子どもっぽさ、上等じゃねえか」

恭介「それじゃ並ぼうぜ!」

がやがや……


恭介「休日だけあってやっぱ人多いな。早めに並べて良かった、理樹に任せて正解だ」

理樹「うわぁ、コースはかなり高い位置にあるんだ」

恭介「全長約2500m、最高速度は150km/h超。アトラクションの目玉だな」

理樹「そ、そんなに速いの?」

真人「何だよ理樹、ビビってんのか?」

理樹「い、いや……そういうわけじゃないけど」

恭介「大丈夫だよ、投げ飛ばされたりしないから。俺もついてるしな」

謙吾「ああ、俺もついてる。任せろ、理樹!」

理樹「座席にいるんじゃ何も出来ないでしょっ!」

…………………

……………

………


謙吾「……よし、俺たちの番だな」

謙吾「よっしゃあ、一丁暴れまくるぞっ!!」

係員「誠に申し訳ございません、今回はこちらのお客様までとさせて頂きます」

恭介「ん、理樹と真人までか。分かれちまったな、こりゃ残念」

謙吾「うおおおぉぉっっ…………!!」

理樹「そんな落ち込まないでよ謙吾……」

恭介「んじゃ先に行ってこいよ。また後で乗れたら一緒に乗ろうぜ」

理樹「うん、それじゃお先にね」

真人「よしゃっ、俺の筋肉が唸りを上げるぜっ!!」

係員「それでは発進しまーす!」



がこん、がこん……



真人「ゆっくりだな。カラシの前の静けさってやつか?」

理樹「嵐だよ……けど、バーで固定されてるとはいってもやっぱり不安はあるよね」

真人「あ? バーって何だよ理樹」

理樹「え……そりゃ、体をしっかり座席に……」

理樹「って真人っ!!? 何でバー下ろしてないんだよっ!!?」

真人「んなもんいるかっての。俺様の筋肉を舐めるなよ?」

理樹「馬鹿なこと言ってないで早く下ろしなよっ!!」

真人「おっ、そろそろ来るんじゃねえか?」

理樹「え……」


がこっ……


ゴオオオオオオオオッッ!!


理樹「うわあああっ、うわああああーーーーーーーーーーっっ!!!」

真人「ひゃっほーーーーーうっ!!」

理樹「かかかかっ、係員さーーんっ、止めてっ!! 止めて下さああーーーーいっ!!?」

真人「はっはっは!! 理樹、怖がり過ぎだっつーの! もっと楽しめよっ!!」

理樹「怖いんじゃないよっ!! 真人が大馬鹿だからだよっっ!!!」

理樹「振り落とされたら死んじゃうんだよ!? 早く止めっ……!?」


グイイイイイイイイイイイッッッ!!!


理樹「うわああああーーーーっ!!? 回ってるうううううううぅぅーーーーっっ!!?」

真人「こりゃたまんねえっ!! スリル満点だぜっ!!」

理樹「落ちるっ、真人が落ちるううううううーーっっ!!?」

真人「はっはっはっ!! 筋肉最高っ!! 理樹最高っ!! ひゃっほーーーーーーーうっっ!!!」

理樹「死んじゃううぅううぅうううぅううぅぅーーーーーーーーーーっっ!!?」

…………………

……………

………


恭介「ひゅうっ、楽しかったぜ!」

謙吾「あのスピードは病み付きになるな! うわあああまだ乗り足りないっ!!」

理樹「…………」

恭介「ん、どうした理樹。そんなげっそりとした顔して」

謙吾「乗り物酔いか? それとも、やはり怖かったか」

真人「いや、絶叫して相当楽しんでたぜこいつ」

理樹「誰のせいだよっ!!」

恭介「初っ端から激しいアトラクションだったな。次、お前ら何か乗りたいのあるか?」

理樹「あー……出来れば、今度はあまり刺激がない乗り物が良いんだけど……」

謙吾「ならばここは一つ、観覧車……なんてどうだろう」

恭介「お、観覧車か。いいとこ突いてくるねえ、流石はロマンティック大統領」

真人「観覧車だぁ? あんなもんただ高いとこに運ばれるだけじゃねえか」

恭介「そこが特長なんだろうが。あの大観覧車は地上115mまで上昇、国内最高クラスの高さを誇るんだぞ」

理樹「へえ……」

恭介「理樹が興味を持ったようだな。それじゃ決まりだ、行くぞお前ら!」

大観覧車前――


恭介「……まあ、予想はしていたが」

謙吾「ここではカップルばかりだな」

理樹「僕ら、かなり浮いてるよね……」

真人「別に俺はいいけどな、理樹がいるんだしよ」

理樹「いや、だから僕がいるからって何が変わるわけでも……」

恭介「そうだな。荒廃した大地に御座すオアシスのような存在だからな、理樹は」

謙吾「同感だ」

理樹「だから、意味が分からないってば!?」

…………………

……………

………


恭介「よし、俺たちの番だ。今度はみんな一緒に乗れるな」

謙吾「いよっしゃあっ!!」

理樹「謙吾は元気いっぱいだねえ」

真人「理樹、ただ座ってるだけじゃトレーニングにならないしよ」

真人「ここは己の肉体のみ、徒手空拳でゴンドラをよじ登ってみないか?」

理樹「出来るわけないでしょっ!」

恭介「いざ、広大無辺に広がる雄大な大空に向かって!」

恭介「あばよ、地上っ!!」

ゴンドラ内――


真人「……何つーか、地味だな」

恭介「ゆっくり上昇するからな。一周するのに20分弱ってところだ」

理樹「でも、情緒があっていいと思うよ」

謙吾「だな。のんびりと時間をかけ、刻々と変化する情景をしみじみ味わう。良いじゃないか」

恭介「良いこと言うなあ、謙吾」

謙吾「俺は、お前らとここに来られて本当に良かったと思っているぞ」

理樹「謙吾……」

恭介「……お、そろそろ頃合いかな?」

理樹「……!」

真人「ほう……」

理樹「うわぁ、すごいっ……! 地上からあんなに離れて……」

理樹「ほら、みんなも見てよっ!」

恭介「ああ。良い眺めだな」

謙吾「素晴らしい景色だ。よく目に焼き付けておこう」

理樹「遠くもよーく見えるよっ! 僕たちの学校もあるかな……?」

理樹「わっ、民家もビルも小さい! 人なんかもう小さすぎて見えないよ!」

理樹「面白いなっ……!! 来て良かった……!!」

恭介「……まるで女みたいなはしゃぎようだな」

真人「だが、それくらい楽しんでるってこった」

謙吾「正直……天真爛漫な理樹の姿には、心にグッと込み上げてくるものがあるな」

真人「おっ、謙吾っちもか。気が合うじゃねーの」

恭介「何だ、お前らと考えてることは一緒かよ」

恭介「……なあ。真人、謙吾」

恭介「……今の理樹、すっげー可愛いよな」

真人&謙吾「ああ……」

理樹「き、聞こえてるんですけどっ!?」


…………………

……………

………

地上――


恭介「お疲れさん。どうだったよ?」

真人「ああ、かなり良かったぜ。素直に認めてやんよ」

理樹「……っ」

謙吾「何だ理樹、今度はばつが悪そうにして」

理樹「み、みんなが僕をからかうからだよっ。可愛いとか何とか言って……」

恭介「実際、可愛いんだから仕方ないだろ」

理樹「あ、ほらまたっ!」

真人「それはそうと恭介、腹減らねーか?」

恭介「ん、そろそろ昼飯時か」

恭介「そうだな。ここらで休憩取ろう」

真人「ひゃっほう!! メシだメシだーーっ!!」

謙吾「どこで食べるんだ?」

恭介「あっちにレストランがあっただろ、そこにしよう」

真人「よっしゃ!! 行こうぜ理樹っ!!」

理樹「わっ、ちょっと走ったら危ないってば!」

レストラン――


恭介「ま、たまには先輩風吹かせなきゃならんしな」

恭介「お前ら、好きなもん頼んでいいぞ」

理樹「えっ」

真人「ま、マジかよ!? 謙吾、メニュー表寄越せっ!!」

謙吾「おっと、そうがっつくな真人」

理樹「きょ、恭介……ホントに良いの?」

理樹「真人なんかここぞとばかり、大量に注文するよ」

恭介「だいじょーぶだよ、金は多めに持ってきてる。遠慮は要らん」

理樹「で、でも恭介……」

理樹「こういう所のメニューって、大抵は料金高めに設定されてるんじゃ……」

恭介「…………」

恭介「あ゛ッ!!!」

食後――


恭介「……」

真人「いやー、食った食った! サンキュー、恭介!」

理樹(真人、ホント容赦ないな……)

恭介「ちくしょおおおおおっっ!!!」

理樹「……いやまあ」

謙吾「恭介、この後はどうする?」

恭介「……! ああ、この後か……」

理樹「気温も上がってきたし、プールでいいんじゃないかな」

真人「いいねえ。やっぱ体動かさねーと鈍っちまうしよ」

謙吾「どうやら決まりのようだな」

恭介「よし、んじゃ行くか」

男子更衣室――


三馬鹿「じーーーーっ」

理樹「……あのさ」

恭介「どうした、理樹?」

理樹「そんなまじまじと見られると着替えられないんだけど」

真人「気にすることないぜ、理樹!」

謙吾「俺たちには理樹を見守る義務があるからな」

理樹「気にするよ、そんなのないよっ!! いいからあっち向いててよっ!!」

恭介「ちぇっ、仕方ないな。……仕方ないな」

理樹「本気で残念がらないでよっ!?」

理樹「……ふう」

恭介「着替え終わったか?」

謙吾「ああ、バッチリだ!」

恭介「よし、んじゃお待ちかねの……!」

真人「……」

恭介「……どーした、真人」

真人「いや、ちゃんと入れたはずなんだが……」

真人「海パンがねえ」

理樹「えー」

恭介「おいおい、何やってんだよ」

真人「仕方ねえ、俺は丸出しで構わないぜ?」

理樹「真人が構わなくてもダメだよっ!? しかも何でそんな挑発的な態度なんだよっ!!」

謙吾「どうするんだ? 俺は予備の水着など持参していないぞ」

恭介「売店に置いてあるのかぁ? 真人、金持ってきてるか」

真人「生憎、俺は最低限の小銭しか手元に残さない堅実な倹約家でね」

理樹「この状況で自慢して言うことじゃないでしょ」

恭介「お前らがドカ食いしたお蔭で、俺も帰りの電車賃しかねーぞ」

理樹「あーもう……しょうがないな。僕、一応スペア持ってきてるからさ……」

三馬鹿「……!!」

理樹「え……何、みんな……。突然目をギラつかせて」

恭介「すまん、理樹。実は俺も海パン忘れてきちまったんだ」

謙吾「奇遇だな。白状するが、俺もつい血迷ってふんどしを忘れてしまった」

理樹「いや、二人とも今履いてるでしょ!? ていうか謙吾、ふんどしはむしろ忘れて正解だよ!」

恭介「というわけだ。ここは理樹の神聖な海パンを賭け、バトルロワイアルといこうじゃないか」

謙吾「ふっ……仲間とはいえ、手加減はしないぞ?」

真人「何だよ、面白くなってきたじゃねえか。男真人、全力で勝ちにいくぜ!」

理樹「せめて真人は反対しようよ……」

真人「ひゃっほう! こいつぁ動きやすくて最高だな!!」

恭介「クソッ!! 憎たらしい……!!」

謙吾「理樹と一心同体になれる、千載一遇の好機だったんだがなあ」

理樹「お願いだから誤解を生む表現はしないでね、謙吾」

理樹(……それよりも)

理樹(や、やっぱり僕のじゃサイズが合わないよ真人……)

真人「お? どうした理樹。お前の海パン、よくフィットするぜ?」

理樹「そ、そう……」

理樹(ピチピチ過ぎて、その……ナ、ナニの形が、クッキリ……!)

真人「理樹、お前の持ち物なんだからよく見てくれ。こいつをどう思う?」

理樹(すごく……大きいです……)

屋外プール――


女性「ひそひそ……」

恭介「……何だ、やけに目線が気になるが」

謙吾「どうも、真人の方を見てないか? それも女性客を中心に」

真人「大方、俺様の鍛え上げた筋肉に見惚れてたってとこだろ?」

恭介「んな馬鹿な」

理樹(どう考えても下だよ、下……)

真人「へへ、気分が良いぜ。ちょっくらサービスでもしますかね」

真人「オラッ!! 筋肉筋肉ッ!!」

女性「きゃああああああっっ!?」

理樹「ちょっ、止めなって! セクハラで訴えられかねないよっ!」

真人「え……仁王立ちして大胸筋動かしただけだぞ。これくらいなら平気なんじゃねえのか」

理樹「じゃねえから」

真人「そうか……」

恭介「んじゃストレッチを入念に行ってからプールに入……」

謙吾「ひゃっほーーーーうっ!!」

理樹「ぶっ」

恭介「ってコラ、謙吾!」

真人「こいつっ、フライングしてんじゃねーよっ!!」

真人「ひゃっほーーーーうっ!!」

理樹「真人もだよっ!?」

監視員『こ、こらーっ! そこの二人、飛び込んではいけませーん!』

真人「謙吾、雌雄を決するときが来たぜっ!」

謙吾「ふ、受けて立つぞ真人っ!!」

恭介「ったく、毎度のことながら暴走しやがって」

理樹「あはは……」

?「うー、あついな……」

??「わふーーっ、とても広いのですっ!」

??「ここもいっぱいお客さんがいるよー」

恭介「……?」

理樹「あれ、どうしたの恭介」

恭介「……!?」

?「うーみゅ……やっぱりなんかへんな感じだぞ、この水着……」

???「似合ってる似合ってる! 自信持っていいですヨ!」

??「とってもきゅーと、だよー!」

??「しかし予想以上に暑くなりましたね……」

???「気温30℃を超えているかな。まあ予報は予報の域を出るまい」

恭介「なっ……あいつらは……!?」

?「……ん?」

恭介「鈴……それにお前らも……?」

鈴「なっ!? きょーすけっ!?」

鈴「……ということは、まさかっ」

理樹「……?」

鈴「っ!! こ、こまりちゃんちょっと!」

小毬「ふえ? ……あれ、理樹君?」

理樹「えっ!? み、みんなどうしてここにっ!?」

クド「わふーーーっ!? リキと恭介さんも遊びに来てたですかーーっ!?」

葉留佳「え? え? どーして理樹くんが?」

来ヶ谷「ほう……これはまた、数奇な運命とやらだな」

美魚「……井ノ原さんに宮沢さんは見かけませんが」

恭介「あいつらならほれ、もうすぐこっちに魚雷バックしてくるぜ」

真人「ぷはあっ!!」

謙吾「ばあああっ!!」

葉留佳「あ、いた」

真人「ぜえっ、ぜえっ……同着か……?」

謙吾「はあっ、くはっ……そのようだな……」

小毬「そっかー。みんな来てたんだねー」

真人「……ありゃ? 何でお前らがいるんだよ」

謙吾「ん? いつの間にやら勢揃いじゃないか。どうしたんだ?」

来ヶ谷「それはこちらの台詞だな」

美魚「てっきり、今日も直枝さんの部屋に入り浸っているものと思いましたが」

恭介(……)

恭介「はは。しかし、こんな巡り合わせもあるんだな」

謙吾「俺たちの絆は永久に不滅だということだな!」

クド「不滅なのですっ! わふー!」

理樹「……ていうか鈴、どうして小毬さんの後ろに隠れてるの?」

鈴「う、うっさいわっ!! 理樹はこっち見るな、ぼけーっ!!」

理樹「な、何なのさ?」

来ヶ谷「はっはっは、理樹君。実はな、鈴君は新しい水着を買ったんだ」

理樹「あ、そうなんだ……」

来ヶ谷「その理由というのはだな」

来ヶ谷「理樹君に愛くるしい姿を見せつけるためなのだよ」

理樹「!?」

鈴「にゃーーーーっ!!?」

来ヶ谷「理樹君に見せる前に予行演習としてこちらにやって来たわけだが」

来ヶ谷「結果的に、ぶっつけ本番となってしまったな」

理樹(ぼ、僕に見せるためって……? そ、それって……!)

鈴「ちがうだろっ!! 去年の水着が古くなったから新しいのを買っただけだっ!!」

美魚「しかし、鈴さんはわたしたちにやたらと意見を求めていましたね」

美魚「特に、可愛らしさについて。それはもう熱心に」

葉留佳「誰に見てもらいたかったんですかネー?」

鈴「!?」

恭介(へえ……鈴のやつも色々考えてんだな)

恭介(……しかし、妙だな)

tes

小毬「りんちゃん、理樹君がいるのは予想外だったけど……」

鈴「で、でもっ……」

クド「鈴さん、自信をお持ち下さい。きっと、リキに喜んでもらえますよ」

鈴「……!」

鈴「……理樹」

鈴「いいか、へんだからって絶対に笑うな」

理樹「う、うん」

鈴「……っ。ほ、ほらっ……!」

理樹「!!」

ttttttt

だーめだこれ不安定杉

理樹(ビキニだ……鈴のビキニ姿なんて初めて見た……)

鈴「……は、はずいな……」

理樹「り、鈴……」

鈴「あんま見るなっ、ぼけぇ……」

理樹「……似合ってるよ、すっごく……」

鈴「!!?」

理樹「か、可愛いよ」

鈴「ふにゃーーーっ!!?」

恭介(やるじゃないか、理樹!!)

真人「理樹の言う通りだぜ、似合ってんぞ鈴!」

謙吾「ああ、可愛らしさがよく出てるな」

恭介「鈴、お前もそういうの気にするようになったんだな」

恭介「ふん、中々良いじゃねえか」

美魚「絶賛ですね」

来ヶ谷「……だそうだが?」

鈴「……こいつらに言われても、どうも思わんが……」

真人「おい!」

鈴「……理樹に褒められるのは、うれしいな……」

理樹「!!?」

葉留佳(おや……これはひょっとして)

恭介(事実上の告白じゃねえか……。やるな、鈴)

理樹「……っ」

鈴「理樹っ……」

一同「…………」

葉留佳「どーーーんっ!!」

理樹&鈴「!!?」

理樹「う、わっ……!!」

鈴「……! はるっ……!」


ざっぱーん!!

監視員『そこーっ、飛び込み禁止ですよーっ!』

クド「わふーーーっ!? リキ、鈴さんっ、だいじょーぶですかっ!?」

真人「三枝っ! てめー何やってんだっ!」

葉留佳「い、いやー……。はるちん、つい場の空気に耐えられなくなって。テヘ」

真人「ったく……理樹、手ぇ伸ばせ」

理樹「ごぽ……あ、ありがと……」

小毬「りんちゃん、この浮き輪をっ!」

鈴「た、助かったこまりちゃん」

鈴「……はるかーっ! なにすんじゃーっ!」

葉留佳「ごっめーんっ!」

来ヶ谷「ご苦労、真人少年。後は私に任せろ」

真人「ああ。理樹、来ヶ谷に引っ張ってもらえ」

理樹「う、うん……」

理樹(……!!)

来ヶ谷「ほら、掴まれ」

理樹「……っ! あ、ありがと、来ヶ谷さん」

葉留佳「理樹くん、ごめんね」

理樹「今度からは止めてよね……葉留佳さん」

理樹(それにしても……)

来ヶ谷「ふぅ。しかしこの季節はここまで肌を露出していてもかなり暑いな……」

理樹(く、来ヶ谷さんっ……! ビキニから、おおお、おっぱいがはみ出てるよっ!?)

理樹(目線に困るんですけどっ!!)

鈴「…………」

鈴「理樹。おまえどこ見てるんだ」

理樹「!!?」

来ヶ谷「ん?」

理樹「いやっ、別に僕は何もっ……!!」

来ヶ谷「どうした理樹君。この日差しにやられたか?」

来ヶ谷「どれ、おねーさんが介抱してやろう」

理樹「っ!!?」

鈴「あ!?」

理樹(むっ、胸がっ、当たって……!?)

理樹(うわあああぁぁっ!!)

来ヶ谷「んっ……こらこら理樹君。あまり暴れてはいけないぞ」

美魚「……鼻の下を伸ばして、幸せそうですね」

鈴「……!!」

鈴「理樹なんて嫌いだーーーーーっっ!!!」

理樹「り、鈴っ……!?」

葉留佳「うわちゃー……」

謙吾「何だ何だ、鈴が飛び出して行ったぞ」

小毬「り、理樹君っ……! 今のはダメだと思うなっ」

クド「あれはいけないのですっ、乙女心を理解していませんっ!」

美魚「直枝さん、確かに来ヶ谷さんの豊満な胸に魅力を感じずにはいられないでしょうが」

来ヶ谷「ほう?」

美魚「ここはぐっと我慢するべきでした。情けないです、みっともないです」

美魚「恥を知るべきです。浅ましいです。実に不甲斐ないです」

美魚「……胸の大きさは女性の魅力全てではありません」

美魚「たとえ……ち、小さな胸だとしても、魅力のある女性はいるものです」

理樹(何でこんなに責められなきゃならないんだ……)

来ヶ谷「何だ、いつもこちらからおっぱいの話を振っていたというのに」

来ヶ谷「素っ気ない振りをして、実際のところは興味津々であったというわけか」

理樹「……!」

来ヶ谷「ふふ……このむっつりスケベ」

理樹「ッッ!!!」

葉留佳「あはは、理樹くん顔真っ赤だー!」

理樹(あ、あんなの見せられちゃ仕方ないじゃないかっ!!)

恭介「……理樹」

理樹「きょ、恭介……」

恭介「……俺はどうも、お前を誤解していたようだ」

理樹「ど、どういうこと……?」

恭介「……お前はさ」

恭介「立派な男だったんだな!!」

理樹「いつまで誤解してたんだよっ!!?」

小毬「りんちゃん、ほかくー」

鈴「はなせっ、こまりちゃんっ!」

来ヶ谷「役者は揃ったな。それでは一泳ぎといこう」

真人「おっ、いいねえ。おら、女共も早く入って来いよ!」

謙吾「よーし、勝負だっ!」

美魚(……)

美魚「すみません。わたしはもう少し時間を置いてからで構いませんか」

小毬「あれれ? 具合が悪かったりする?」

美魚「少し恭介さんにお話があるだけですよ。ご心配には及びません」

クド「待ってます、西園さん」

美魚「はい。お先に楽しんでいて下さい」

美魚(……)

美魚「恭介さん」

恭介「ん? どうした西園。体調でも悪いのか?」

美魚「いえ。お尋ねしたいことがあるのですが……」

恭介「……奇遇だな。俺もお前らに訊きたいことがある」

恭介「そのフリーパス、どこで手に入れた?」

美魚「……!」

恭介「こいつはただの入場券以上に人気、予約殺到で市場に出回っていない」

恭介「現在は極めて入手困難なはずだぞ」

美魚「……意地悪ですね。先に声をかけたのはこちらですよ」

恭介「……それもそうだな」

恭介「お前の質問も、俺と同じでいいんだよな」

美魚「……」

美魚「わたしたち一行は数日前に、商店街にて小毬さんの募金活動のお手伝いをしました」

美魚「終了した後に、以前わたしが書籍を購入した際におまけで福引き券を頂いたことを思い出し……」

美魚「帰路に就く前に、運試しをすることになりました」

恭介(……まさかくじ引きをしていたとはな)

美魚「……券は、一枚限りです」

恭介「……結果は?」

美魚「一等。大当たりでした」

恭介(……)

恭介「あの福引きの一等賞は確か、ハワイ旅行だった記憶があるが」

美魚「仰る通りです。しかし、わたしが知り得る中では……」

美魚「海外旅行などといったものを楽しむ時間的余裕のある人はいません」

美魚「それ以前に、あまり関心も無かったものですので……」

美魚「思案に余り、結局わたしは活用できる方に譲るべきと結論付け、辞退を申し出たところ……」

美魚「代わりにと、二等の景品……この遊園地のチケットですね」

美魚「その場にいた、わたしたち六人分のフリーパスを提供して下さいました」

恭介「……」

恭介(確かに一枚じゃ二等を当てたとしてもフリーパスを貰えるのは同様に一枚)

恭介(これでは最大で二名までだが……)

恭介(……一等の代替品として、二等賞の複数進呈? そんなんありかよ……)

恭介(……狙ったのか、あいつは)

美魚「いくら一等を引き当てたとはいえ、辞退者に対し二等賞と引き換えるというのはどうなのかと考えましたが」

美魚「来ヶ谷さんや三枝さんの強い要望もありましたし、人の親切心を無下にするのも憚れましたので」

恭介「受け取ったというわけだな。三枚、六人分の券を」

美魚「はい。お蔭様で有意義な時間を過ごせています。……こちらの話は以上です」

美魚「それでは恭介さん、教えて下さい」

恭介「分かった分かった、実は俺も……」

美魚「わたしが訊きたいのは、恭介さんが福引きで二等を『二回も』当てたことではありません」

美魚「……『そこ』はもはや、問題ではありません」

恭介「……」

恭介「なら西園。お前の言う『問題』……それは何だ?」

美魚「……恭介さんは感じましたか」

美魚「くじを引く、その瞬間に……」

美魚「何か……上手く言葉で言い表せませんが」

美魚「……作為的な衝撃が、福引器に伝わりませんでしたか」

美魚「わたしが引いたのではなく……まるで、『引かされた』ような……」

恭介「…………」

恭介「……偏屈な厄介者の悪戯だよ」

美魚「……?」

恭介(回したのは合計十回……初めの二回で連続的中。しかし、残りは全てハズレ)

恭介(『衝撃』はその二回だけだったから、あいつが選んだのは最大四人)

恭介(仲間内での、『四人』。……つまり、男の人数だと推測していたが……)

恭介「……とどのつまり、あいつにまんまと乗せられていたのかね」

美魚「恭介さん、それはどういう……?」

理樹「恭介ーっ、メンバー足りないから早く来てよーーっ!」

美魚「!」

恭介「……さーて、話は終いだっ! 西園、行くぞっ!!」

美魚「ま、待って下さい! 話はまだ……!」

恭介「ひゃっほーーーーーうっ!!」


…………………

……………

………

電車内――


恭介「いやー、今日は楽しかったな!」

謙吾「最高だったぞ、また行きたいな!」

葉留佳「まだまだ遊び足りないナァー! ねークド公っ!」

クド「わふっ!? さ、三枝さん、抱きつかないで下さいっ!?」

美魚「電車内ですよ」

恭介「楽しめたか、理樹、鈴?」

理樹「……」

鈴「……」

恭介「ありゃ……?」

理樹(き、気まずい……ボックスシートに座るんじゃなかった……)

鈴「……ふん」

恭介「どうしたんだお前ら、対面してんのにお互い顔反らして」

理樹「いや……」

鈴「なんでもない」

恭介「ったく、喧嘩するほど仲が良いってか」

鈴「そんなんじゃないわっ、ぼけぇ!」

恭介「……まだ拗ねてやがんのか」

恭介「理樹、アフターケア頼んだぞ」

理樹「うーん……」

翌日・理樹と真人の部屋――


理樹(……一日経っちゃったけど)

理樹(電話してもメール送っても返事来ないし……)

理樹(……よっぽど楽しみにしてたんだな、鈴)

理樹(……反省)

理樹「ん……? これは……」

理樹「……!」

理樹「……よし!」

夕方・女子寮前――


理樹(小毬さんに何とか、鈴が来てもらうように頼んだ)

理樹(もうすぐここに……)

理樹「! り……鈴っ」

鈴「理樹っ……」

鈴「……! ど、ド変態めっ」

理樹「う……」

理樹「鈴……昨日は、無神経だったよ」

鈴「……」

理樹「……渡したいもの、というよりお願いがあるんだ」

鈴「え?」

理樹「これなんだけどさ……」

鈴「……!?」

鈴「これ……昨日行った遊園地のチケット……」

理樹「鈴のお遣いでモンペチ買ったときに、福引き券もらってたんだ」

理樹「チャンスは一回だけだったけど……当たった」

鈴「理樹……」

理樹「今度の休みにまた……良かったら、一緒に行こうよ」

理樹「……二人きりで、さ」

鈴「……っ!!」

鈴「理樹っ、それは……」

鈴「で、でーと……なのか……?」

理樹「う、うん……そうなる、かな。はは……」

鈴「……行く」

鈴「行きたい。あたしは行きたい、理樹」

鈴「もう一回。理樹と二人きりで……」

理樹「……鈴」

鈴「理樹……」

恭介「ひゃっほーーーーうっ!! リトルバスターズ最高ーーーっ!!」

理樹&鈴「!!?」

恭介「あれ……お前らどうしたんだよ、逢引きか?」

鈴「……っ、この馬鹿兄貴ーーーっ!!」

理樹「り、鈴っ!?」

恭介「あーらら、行っちまった……わりい理樹」

理樹「突然ひゃっほーう、とか言われたら誰だって驚くよ……」

理樹「恭介、何とか鈴のご機嫌は戻ったみたいだ」

恭介「そうか、安心したぞ。すれ違いは気付かない内に手遅れになる場合もあるからな」

恭介「で、どうやったんだ?」

理樹「うん、これだよ」

恭介「……お前、これは……」

理樹「商店街まで行ってきた。奇跡的に当たったよ」

理樹「……景品は、最後の一枚だった」

恭介「……フリーパスか」

理樹「そういえばさ、恭介は誰かにチケットを貰ったとか言ってたけど」

理樹「福引き担当のおばさんに、恭介が二等当てたって聞いたよ」

理樹「それも連続だって? 商店街の福引きなんて滅多に当たらないのに強運だよね」

理樹「それと西園さんのことも聞いた。こんな身近に一等って出るんだね」

恭介「……そうか」

理樹「いつもならひゃっほう! とか言って自慢して騒ぐのに、どうして誤魔化したの?」

恭介「何つーか、出来過ぎてな。それに話題の遊園地、言い触らすと後が怖いと思ったんだよ」

恭介「まあ、あいつらも手に入れていたわけだが」

理樹「ふーん……」

理樹「……けどさ、ちょっとすごいと思わない?」

恭介「……何がだ?」

理樹「おばさん、言ってたんだ。あの券は全部で五枚しか仕入れてないって」

理樹「結果的に景品のフリーパスを僕らが独占したってことでしょ」

恭介「……」

理樹「こんなに珍しいこともあるんだなーって……」

恭介「…………」

恭介「……そうだな」

恭介「ははっ、もしかして俺たち一生分の運をこれで使い切っちまったかもな!」

理樹「ええーっ」

恭介「さ、理樹! みんな待ってる、帰ろうぜ!」

理樹「ちょ、ちょっと待ってよ恭介ーっ!」


…………………

……………

………

??「うん、理樹くんもちゃんと引けて良かった良かった」

??「やっぱりあたしって最高のスナイパーよね」

??「けど意外だったわ。あいつだけだと思ってたのに、まさか妹さんたちもくじ引きに来るなんて」

??「四人分……男の子だけって決めてたけど、やっぱり可哀相だったし……」

??「嫉妬してイジワルしたくせに、結局全員に渡しちゃって。なーにやってんだろ、あたし」

??「……あーあ、あたしも理樹くんと一緒に遊園地……行きたかったなぁ」

??「……ううん、ダメよ! あたしは陰で見守る存在。決して姿を見せてはならない……」

??「……でも、一緒に行きたかったなぁ……」

??「ぐすん……」

??「……まあいいわ! 理樹くんが楽しんでくれたのならそれで良し!」

??「今日のところは、素直に勝ち鬨を上げておきましょうか!」

??「MISSION COMPLETE!!」



END

               /     \

              //        ヽ
               | |       ヽ |
              | |     |  | | |
              Ⅵ | |  |  |/リ   じゃ、解散
.      rv^h        ∨ l  l  /
     r.| | | |          ┌∨  |y'┐
     | | | | l_l^l      イー--W--┴..、
     |     |  ,.ィ:'´:::::::::::::::|::::::::::::::::::::`ヽ、
     ヽ     ノ/:::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ_
     | ̄ ̄∧::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::/:::|

     ├―/::::::',::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::/::::::l
     |:::::::|::::::::::',::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::/:::::::::|
     |:::::::|:::::::::::::',:::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::〉
     |:::::/::::::::::::::::/::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::|

     〈:::/::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::||::::::::::::|
     |::::::::::::::::::/  |:::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::|.|:::::::::::|
     ゝ、::::::::::/   l:::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::| |:::::::::::|

>>203
乙、面白かったぞ
他にリトバスss書いたことある?

>>204
>>1の酉でググればいくつか見つかるはず。
リフレイン楽しみだ。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月06日 (月) 04:20:44   ID: pxjdiiu7

面白かったぞ。乙。

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom