真「美希を押し倒したらしおらしくなった」(111)

真「……」

美希「まこと、くん……」

真「!」ハッ

真「ご、ごめん、み──

美希「んっ……」ギュッ

真(なんで覚悟したような顔して目をつぶるの!?)


真(というか、なんでこんなことになったんだっけ……)

~回想~

美希「真くん真くーん!」

真「美希、どうしたの?」

美希「じゃっじゃーん! 新衣装なのーっ!」

真「新しいステージ衣装?」

美希「うん! さっきプロデューサーから渡されたんだ~。
   これね、真くんだけの……えっと、トクベツ使用人? なんだって!」

真「トクベツ仕様、のことかな……とにかく、ボクだけトクベツなんだ。へへっ、なんか嬉しいなぁ!」

美希「ねぇねぇ、着てみて~!」

真「うん、いいよ! えーっと……」

バサッ

真「……な、何コレ」

美希「え?」

真「あの……これ、学ランにしか見えないんだけど……」

美希「あはっ☆ きっと似合うって思うな!」

真「……」

真「はぁ……またこういう系かぁ……」

美希「真くん、ヤなの?」

真「うーん……、もう慣れたし、ファンの皆も喜んでくれるし、ヤダってわけじゃないんだけどね」

真「でもさ! ボク、これまで何度も言ってるように、もっとこう、プリップリで可愛い衣装を着たいんだよ!」

美希「真くんには似合わないの……」

真「うっ」グサッ

美希「そういうのより~、ミキ的には、こういうカッコいい系のほうが、
   真くんには合ってるって思うな! ほらほら、着てみて~!」

真「……わかったよぉ」

……

真「ど、どうかな?」

美希「わぁ~……! うんっ! スッゴク、良い!」

真「そ、そう? えへへ、まぁそう言われると、悪い気はしないけど……」

美希「ねぇねぇ、写真撮っていい!? すっごくカッコいいから、きっとこれは絵になる~ってカンジ!」

真「えっへへ、しかたないなぁ~」

美希(しめしめ……秘蔵写真ゲットなの~……♪)

……

真「オレの女になれよ、美希……」

美希「なっちゃうのぉぉぉぉ!」フンフン

パシャ、パシャパシャ!

真「……あのさ、美希……、さっきから鼻息荒いよ……」

美希「じゃあ次は、こう言ってみて!」

『先輩、そいつ、オレの女なんで……手、出さないでもらえます?』

真「えぇ!? ……っていうか、今更だけどこれ、台詞を言う必要あるの?」

美希「いいからぁ~! お芝居の練習だと思って、ね!」

真「……はぁ」

……

美希「えへへへ……♪」ニンマリ

美希「真くん、ありがとうなの!」

真「う、うん……」

真(……喜んでくれたみたいだからいいけど、
  でも、さすがに……なんかなぁ……)

美希「やっぱり真くんは、カッコいいの~……♪」

真「……ボク的には、可愛いとか言われるほうがいいんだけどね」

美希「え~。真くんの良いところは、カッコいいところだって思うな!」

真「それ以外には、なんかないの?」

美希「それ以外? んー……」

真「うんうん! ほら、なんかあるだろ?」

美希「……」

真「……美希?」

美希「……むにゃむにゃ……すぅ……すぅ」

真「寝ちゃうほどつまらない話だった!? 起きてよ、美希っ!」

美希「んー……あふぅ……。だって、ゼンゼン思いつかないし……」

真「えっ」ガーン

美希「あはっ☆ だから、真くんは、そのままでいいって思うな!」

真「……」

真(……美希と知り合って、もう結構経つけど……、
 まさかなんにも思いつかないなんて……、さすがにちょっとショックだな……)

真(……美希はこういう性格だし、悪気があるわけじゃないってのはわかってる)

真(だけど、ボクは──!)


真「……」

美希「……真くん?」

真「……わかったよ。そんなに、カッコいい、男っぽいボクのほうがいいんだろ?」

美希「えっ? み、ミキ、そんなこと……っ!」

真「……美希」ガシッ

美希「きゃんっ!」


真(ボクは……ボクなら、美希の良い所、いくつでも言えるのに……)

真(だから、悔しかった。だから……ちょっと、驚かせてやろうと思ったんだ)



美希「真、くん……?」

真「……」


真(……そして、気が付いたら……ボクは、美希のことを、押し倒していたんだ)

~回想おわり~

真(……正気に戻って考えてみると、今の状況……。
  な、なんか、すっごく……ヤバイ?)


美希「んー……」

真「あ、あはは! ごめん美希、あのさ……」

美希「……ミキ……、──ぃよ……?」

真「えっ?」

美希「あのね、ミキ……別に、ヤじゃないよ。
   真くんなら……その、いい、かなって……えへへ」


真(なにが!!? なにがいいの!!?)

真(でも聞けない! 聞いたらもっとヤバイことになりそうな気がする!!)


美希「……ね、真くん」

真「な、なに……?」

美希「でも、その前に……ぎゅ、って……して?」

真「」キュン

真(……キュン、じゃないよぉぉぉ!!)

真(落ち着けっ、落ち着け菊地真ぉぉっ!
  み、美希は、女の子で……ぼ、ボクだって、立派な乙女だろ!?)

真(そうだ、そうだよ……、まずはいつものように深呼吸をして落ち着こう……)


真「すー……はー……すー……はー……!」

美希「……?」


真(あ、美希、良い匂い)


真「……ちがうちがうちがうちがう匂いとかちがうからそういう意味じゃないから」ブンブン

美希「……えへへ。えいっ」

ぎゅっ

真「!?」

美希「……だめ?」

真「……だ、ダメじゃないけど」ドキドキ


真(……べ、別にあれだよね。女の子同士なんだし、ハグするくらい、普通だもんね……)

真「……」

ドックンドックン……

美希「……」ギュー


真(美希の体温、こんなに高くなって……)

真(でも、それは……きっとボクだって、一緒だよね……)


美希「……真くん」

真「え……?」

美希「さっき、真くんが言ってたけど……
   ミキね、別に、真くんの──


ガチャッ


小鳥「ただいま戻りました~!」

真・美希「っ!?」

小鳥「ごめんね真ちゃん、美希ちゃん。お留守番頼んじゃ……って……」

小鳥「……!???!?」

小鳥「……っ」ゴクリ

小鳥「お、お、お……お邪魔、しちゃった、かしら……?」

真「ち、ちがうんです小鳥さんっ!」

小鳥「ごごごごごめんなさいまさか私の妄想が現実世界に影響を及ぼす日がくるなんて」

真「だから、違いますってば! ねぇ美希、美希からもなんとか……」

美希「……」カァァ

真「み、美希……?」

美希「……ぅん、ちがうの、小鳥。ミキ達は、何もしてないから……まだ」

小鳥「まだということは……!?」

美希「み、ミキ、もうレッスン行ってくるね! バイバイ!」タタッ

真「あ、ちょ……」

小鳥「……真ちゃん」

真「……」

小鳥「……ごめんなさい」

真「そんなに真剣に謝らないでください……」

~その夜、真ちゃんの部屋~


真「……」

真「……」モゾモゾ

真「うぅ……眠れない……」


真(目をつぶると、美希のあの顔が心に浮かんできて……
  なんだか、心臓がバクバクしてくる)

真(……なんで、あんなことしちゃったんだろうな)


『あのね、ミキ……別に、ヤじゃないよ。
真くんなら……その、いい、かなって……えへへ』


真(……なにが、いいよ、だったんだろ)

真(美希はボクに、何を求めてたのかな……)

真「……」モンモン


『やっぱり真くんは、カッコいいの~……♪』

『……でも、その前に……ぎゅ、って……して?』


真「……──~~~!!!」ボッ

真「ちがうちがうちがうぅぅ……!」





真(……結局、その夜は)

真(ぬいぐるみを抱きしめながら、羊を1052匹数えて、眠りにつきました……)


真(抱きしめたぬいぐるみの感触が、美希の身体に比べて、とても固く冷たく感じられて)

真(だから、少しだけさみしかった……なんてことは、ゼッタイにありませんから!!!)

~翌日、765プロ事務所~

真「……おはようございまーす」ガチャ

伊織「あら、おはよう真」グリグリ

P「あひぃん! も、もっとぉ……!」

伊織「どうしたのよ、なんか元気ないじゃない」

真「そ、そう? そんなことは……ない、つもりだけど」

伊織「アンタは元気だけが取り得なんだから、もっとシャキっとしなさいよね」ギュムッ

P「んほぉ!」

真「あはは……」


真(……いつも通りの事務所の風景)

真(でも、昨日ここで、あんなことがあったからかな……
  なんとなく……落ち着かない)


真「……あのさ、伊織。美希は?」

伊織「美希? さぁ……まだ来てないわよ。どうせまた、いつも通りの寝坊なんじゃないの?」

真「……そう」

……

ガチャ!

美希「はぁ、はぁ……遅れてゴメンなさいなの!」

真「あ、美希……ギリギリセーフだね、おはよう」

美希「! お、おはよ……真くん」

真「……ね、寝坊かい?」

美希「ぅ、うん……ゴメンね」

真「謝ることないよ、間に合ったわけだしさ」

美希「……」モジモジ


真(きまずい……!)

真(なんか美希、いつもと違っておしとやかというか……ちっちゃくなってるような気もするし)


P「──さて、と。皆揃ったな? それじゃあ、朝のミーティング始めるぞ」

真「……はい」

~ダンスレッスンスタジオ~

P「はい、はい! 次、ターン!」


キュ、キュキュ……


真「はっ、はっ……! よっと!」

美希「……きゃんっ!」

スッテーン

真「! 美希、大丈夫!?」タタッ

美希「う、うん……ヘーキ……いたた」

真「これ……軽く捻挫してるみたいだ。プロデューサー!」

P「……そうだな。俺はまだみんなを見てなきゃいけないから、
 真、美希を医務室に運んでやってくれるか?」

真「……わかりました」

美希「真くん! み、ミキ、まだ……!」ズキッ

美希「うぅ……痛いの……」

真「……無理しちゃダメだよ。ほら、手、つかまって」スッ

美希「……」スッ

真「そんな指先だけ差し出されても、立てないだろ?」

美希「で、でも……」カァァ

真「でも?」

美希「……そんなの、ハズかしいってカンジ……」プイッ

真「」ドキッ


真(い、今のは……、反則だ。
 なんか今日の美希、雰囲気がゼンゼン違うし……)

真(……か、かわい──)


真「──ちがうちがうちがうっ!」ブンブン

真「な、何言ってるんだよ……ほら、いくよっ!」グイッ

美希「あ……」

~医務室~

コンコン……

ガチャッ

真「失礼しまーす……」

美希「……誰もいないね」

真「……うん。出かけてるのかな」


真(美希と、ふたりきりになっちゃったよ……)

真(どど、どうしよう……!?)


美希「……」ドキドキ

真「……じゃあ、美希」

美希「え?」

真「脱いで」

美希「!?」

美希「そ、そんな……急すぎるのっ!」カァァ

真「えっ」

美希「真くんは、もうちょっと、ムードっていうのを考えたほうがいいって思うな!」

真「む、ムード? えーっと……」

真「……」ティン

真「ち、ちちちがうちがう! 靴を、脱いでってこと! 応急手当するからさ!」

美希「…………わかったの」プクー

真(それならそれで、なんでほっぺを膨らますんだよぉ……!)


……


シュル……

美希「……はい」

真「……」ゴクリ


真(美希の足、綺麗だ……)

 
シュル、シュルル……


真(……やっぱり、羨ましいな)

真(美希は、足だけじゃない。声も見た目も、性格も……全部が全部、女の子っぽい)

真(ボクがいつも着たいって思うような可愛い衣装も、美希ならなんだって似合う……)



真「……はい、おしまい」ポン

美希「……ありがと」

真「しばらくすれば痛みも引くと思うけど、
  このあとのレッスンは、一応、休んでおくんだよ」

美希「……うん」



真(……ボクは本当は、キミのような女の子に、なりたいのかもしれない)

真(だから、キミに憧れる。だから、キミに笑顔でいてほしいって思う。
  だから……誰より、大切だって思う)

真(……そんなこと、恥ずかしいから、言えないけど)

 
真「それじゃ、ボクは──」

美希「……っ」

きゅっ

真「……美希?」

美希「真くん、行っちゃうの……?」

真「う、うん……レッスン、まだ残ってるから」

美希「……行かないでほしいって、思うな」

真「……」

美希「ミキといっしょに、レッスン、お休みしちゃお?」

真「……そんなこと出来ないよ。美希はともかく、
  ボクは元気なんだから……サボるなんて」

美希「……そう、だよね」シュン

真「……っ!」


真(なんか、とっても、悪いことをしてしまった気がする……!!)

真「……」

真「……ちょっとだけ、ね」

美希「ほんと!?」パァァ


真(うわぁ、可愛いなぁ……!)


美希「えへへ、じゃあじゃあ、こっち来て!」ポンポン

真「ベッド?」

美希「うん! ミキといっしょに、ここでお喋りしよ!」

真「そっ、それはちょっと、マズいんじゃないかなぁ~……!?」

美希「なんで?」

真「そんなの……、だって、また昨日みた──」

美希「……」ニコッ

真「……なんでもない。それじゃ、お邪魔……します」ポスン

美希「あはっ☆ ようこそなの~♪」


真(……なんか、ぜんぶ、美希の手のひらの上のような気がしないでもない……)

 
美希「……ねぇ、真くん」

真「な、なに?」

美希「ミキね、なんか……ヘンなの」

美希「昨日のアレから、ずぅ~っと……胸の、このあたりが、バクバク言ってるんだ」

真「……」

美希「ほんとにね、スゴイんだよ? ほら、手……、当ててみて」スッ

真「!? ちょ、ちょちょ……」

プニョン

美希「……ね?」

真「……そそ、そうだね」


真(心臓が破裂しそうなのはコッチだよぉぉ!!)

 
美希「……ミキ、真くんのことを考えると、
   もっともっと、ここが、ドキドキしてくるの」

美希「だからね……、思ったんだ」

真「……?」

真(美希、震えてる……?)

美希「ミキは……真くんに、言わなきゃいけないこと、あるんじゃないかな~って……」

真「……」

美希「真くん……。ぎゅっ、て……、して?」

真「……うん」


ぎゅぅぅ……


真(美希が、何を言おうとしているのか……。
  ここまできたら、さすがにもう……ボクにだってわかる)

真(……わからないのは、ボク自身の気持ちだけだ)


真(ボクは、美希のことを──)

 

美希「……真くん」


ぎゅぅぅ


美希「……ゴメン、ね……!」

真「え……?」

美希「ごめんなさい、なの……!」


ポロポロ……


真「な、なんで!? なんで謝るの……!?」

美希「だって、だってぇ……!」


美希「ミキ、真くんのこと……、傷つけちゃったからぁ……!」

真「傷つけるって、どういうこと……?」

美希「……真くん、昨日、言ってた」


『……わかったよ。そんなに、カッコいい、男っぽいボクのほうがいいんだろ?』


美希「って……」

真「あ……」

美希「ミキ、知ってるの。真くんが、カッコいいとか、
   男の子っぽいとか言われるの、ホントはヤなんだって……」

真「カッコいいって言われるのは、別に……そりゃあ、男っぽいっていわれるのはヤダけどさ」

美希「それでもっ! ミキがいつもいつも、カッコいいって言ってたから、
   そのせいで、真くんに、そう思わせちゃったっ!」

美希「だから……ごめんなさい……」

真「美希……」


真(……ボクは、なんて、バカなんだろう)

真(見当違いのことを考えて、美希に、こんなことを言わせてしまった……)

 
真「……謝るのは、こっちのほうだよ」

真「ごめん、美希。ボクは本当は、そんなこと、ゼンゼン気にしてないから」

美希「……ほんと?」

真「うん。ただ、ボクは──」

真(……ボクは? ボクは、なんで……美希に対して、あんなことをしたんだっけ?)


美希「……」ゴシゴシ

美希「あのね、真くん」

真「な、なに?」

美希「ミキは……、真くんの可愛いところも、大好きだよ」

真「え……」

 
美希「ミキが好きなのは、真くんのまっすぐなところなの。
   いつも元気で、みんなを笑顔にしてくれて……」

美希「可愛いカッコするのは、あんまり似合ってないって思うけど、
   それでも真くんは、どんなときでもゼンリョク! ってカンジで……
   そういうの見てると、なんだかパワーもらえて、心がポカポカしてくるんだよ」

美希「……だからミキは、そういうのも全部まとめて、真くんはカッコいいって思うな」

真「……み、き」


ポロポロッ


美希「……真くん」

真「……っ!」


ぎゅぅぅ……


真「ごめん、ごめん、美希……! ボクは、勘違いして……!」

美希「……ううん。謝らなくて、いいよ」

真「……う、ぅうぅ……! 美希……!」ポロポロ

 

真「ボクは……ボクは、」

真「美希、キミのことが……」


真「大好きだ……!」

 
美希「……」

美希「ミキも、真くんのこと、大好きなの」

美希「でも、ミキが思う好き、と……真くんが思う好き、は、きっと──」

真「……同じだよ」

美希「え? ……きゃんっ!」


トサッ……


真(……また、昨日と同じだ)

真(またボクは、美希のことを、押し倒してしまった)



美希「まこと、くん……?」



真(でも、昨日とは違うことが、たったひとつだけある)

真(それは──)

 
真(それは……、ボクは今、自分の意思で、美希を押し倒したということ)

真(ボクが望んだから。ボクが、こうしたいって思ったから……)



真「……美希」

美希「……んっ……」



真(ボク達は、女の子同士だ)

真(だからこれは、本当は正しくないことなんだって、お互いにわかっている)

真(でも、それでも……ボク達は今、こうして身体を重ね合わせること以外に、
  自分の本当の想いを、相手に伝える手段を見つけることが出来なかった)



美希「……いい、よ」

真「……うん」

美希「ミキは、真くんになら……何をされたって、いい」

美希「だから……きて?」

 
────
──


美希「すぅ……すぅ……」

真「……」ナデナデ

美希「んむ……むにゃむにゃ……」

真「……ふふ、可愛い寝顔だな」


真「ふふ……ふ、ふふ、ふ……それじゃあボクも、いい加減レッスンに……」

真「……あ、あはは。レッスンなんて、もう終わってるよね。何言ってんだろ、ボク……」


真「は、はは……というか、その前に……ちゃんと服、着ないと……」


真「……」プルプル


真(うわぁぁぁぁぁぁ……!!!!)


真(やっちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!!!)

 
真(美希にはグラビア撮影があるよそれなのにこんなに身体中にアレだらけにしちゃって
  もう水着なんて着れるような状況じゃないどうしようというかもう身体中痛いバカバカバカボクのバカ)


真「ぬぉぉぉぉ……! どうする!? まずはみんなにどう説明する!?
  レッスン抜け出して医務室でふたりでちゅっちゅしてました、なんて……」

真「言えるわけないだろぉぉぉぉぉ……!!」

美希「ん~……どうしたのぉ~……?」

真「み、美希……ごめん、起こしちゃった?」

美希「……はふぅ」

真「……あの、美希」

美希「え?」

真「……とりあえず、服、ちゃんと着てくれるかな。
  目のやり場に困るというか……」

美希「……ちらーり」ペロン

真「ば、バカっ!」カァァ

美希「あはっ☆ 真くんったら、可愛いの~♪」

 
美希「えーいっ!」

ぎゅっ

真「柔らか……っ!」

美希「えへへ……ね、真くん」

真「え?」

美希「……ミキ、やっぱり、真くんの可愛い顔も、大好きだって思うな!」

真「……」

美希「とくに、ガマンして──」

真「言わなくていいから……!!」


真(いつの間にか、美希の調子も、いつも通りになってるし……)

真(さっきまでのしおらしい美希は、どこにいったんだ……?)

~765プロ事務所~

ガチャ……

真「……た、ただいま戻りました~……」

美希「なのー」

伊織「あら、二人とも。ようやくお帰りね」パシンッ

P「んほぉっ!」

真「い、伊織! あのさ、実はボク、医務室に行くまでの道で今にも出産しそうな妊婦さんが」

伊織「あー、いいわよ、別にウソつかなくたって」

真「え」

伊織「なんでそんなに長い時間、医務室が留守だったと思ってるの?」

真「…………」

伊織「にひひっ♪ お楽しみだったみたいね」

真「な、なななな、なにが……!?」

伊織「ほら、コレ、見てみなさいよ」ピッ

真「コレって……ケータイの写真? えーっと……」


真「」


伊織「亜美と真美から送られてきたのよ。よく撮れてるわよね」

真「あ、亜美、真美……?」

伊織「美希のことを心配して、医務室に様子を見に行ったんですって。そしたら……」


『うあうあー!! うあうあうあうあうあうあー!!』

『み、ミキミキとまこちんが、大人な関係になってるぅぅぅぅ~!!!』

『『とりあえずみんなに報告っしょー!!!』』


伊織「あの二人には随分ショッキングな映像だったでしょうね」グリッ

P「んんんんっ!! おっふ……!!」

真「は……はは」

美希「……あ、あはっ☆ シンパイしてくれるなんて、意外と優しいとこ、あるんだね……」

 
真「……はぁ。亜美と真美がずっと見張ってたなんて、ゼンゼン気付かなかったな」

美希「真くん……」

真「美希……どうしよっか……」

美希「んー……なんとかなるんじゃない?」

真「でもこれから先、みんなから、春香と千早を見るみたいな目で見られるんだよ?」

美希「それならぁ~、いっそのこと、春香達みたいに開き直っちゃえばいいの!」

真「……」



真(ボクは、美希のこういうところが好きだ)

真(可愛い見た目も、マイペースで放っておけない性格も、
  どんなときだって、ポジティブでいるところも……)

真(……美希はさっき、ボクからパワーを貰ってるって言ってくれたけど、
  それは……、ボクだって同じなんだよ、美希)



真「……あはは! うん、そうしよっか!」

美希「うん! ミキ的にも、それが一番いいかなーって!」

美希「……ね、真くん」

真「どうしたの?」

美希「そうと決まったら、その……──って」

真「な、なに?」

美希「……もう一回、ちゅ、って……」モジモジ

真「……うん。美希、こっちにおい──



ガッシャーン……

小鳥「待って、落ち着いて雪歩ちゃん! そのスコップをしまって!」



真「……」

美希「……」

真「あはは……あとでに、しよっか」

美希「う、うん」


真(……確かにボク達は、女の子同士だ。でも、そんなことはもう関係ない。
  相手を大切に思う気持ちさえあれば、相手を必要とさえしていれば)

真(お互いがお互いの足りないところを埋めあって、惹かれあって……、
  そうして人は、恋をしていくんだと思う)


真「……ねぇ、美希」

美希「え? なーに、真くん」



真(……これからもずっと、ボク達は、恋してゆく)

真(きっと、色々な障害があるだろう。でも、そこにキミがいれば、
  未来はきっと、うまくいく。だから……!)



真「これからもずっと……、一緒にいようね!」

美希「……はいなの!」

おわり

行き当たりばったりで書くから話がまとまらなくなる ごめんなさい
読んでくれた方ありがとうございました

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