さやか「バイオリンが駄目なら>>5を目指そうよ!!」(63)

上条「でも……」

さやか「恭介ならできるって!私も応援するよ!!」

上条「無理だよ……ニートなんて、親が許してくれないよ」

さやか「どうしてさ?」

上条「だって毎日毎日部屋でごろごろして、どうやって生きていくんだい?
    親のいるうちはスネをかじれるかもしれないけれど、将来を考えてしまうよ」

さやか「ちっちっちっ……恭介もまだまだ甘いですなぁ」

上条「?」

さやか「お金なら>>16すればいいんだよ!」

ナマポ

上条「ナマポ……生活保護のことかい?」

さやか「そう!これさえあれば一生ごろごろ寝転んで暮らせるってさ。いや~優雅だよねぇ」

上条「だけど……それは病気だったり働けない事情がある人じゃないともらえないだろう?
    左腕が動かないぐらいじゃ理由にはならないさ」

さやか「あ~もうっ!恭介ったらさっきからでもでもだってばっかりだよ!
     シャキッとしなさいシャキッと!」

上条「さやかはどうしてそんなに自信満々なんだい?」

さやか「へへ~ん、さやかちゃんにはナマポをゲッツする秘策を知るツテがあるのだ!」

上条「本当かい!?」

さやか「実は私の先輩にうまいことやってナマポをガッツリ手に入れて生活してる人がいるんだ。
     さっそく秘訣を聞きにいこうよ、恭介!」

 ・ ・ ・

マミ「そう……左腕に怪我を。それは大変ね」

上条「はい……」

さやか「だから恭介にもマミさんみたいにナマポ生活を送らせてあげたいんですよ。
     ぜひ完全ナマポ習得法を手ほどきしてあげてください!」

マミ「ええ、それは構わないけれど……上条君、本当にいいの?」

上条「はい……さやかに言われて、僕も覚悟が付きました」

マミ「それなら歓迎するわ!ようこそナマポニストの世界へ!」

さやか「マミさんったら気が早いなぁ、まだ申請にすら行ってないっていうのに」

マミ「それもそうね。私ったらせっかちね、うふふ」

上条「それで、どうやったら申請が通るんでしょうか?」

マミ「そうね。私の場合は、交通事故で両親を失ってしまっていたから、あっさり認可が下りたわ」

上条「それは……すみません、嫌なことを聞いてしまって」

マミ「いえ、気にしないで!『書類上はそうなってる』ってだけの話だから」

上条「……と、いうと?」

 ティロロロロロロ ティロロロロロロ♪

マミ「あら、電話だわ。ちょっと待ってね」

 ピッ

マミ「もしもし。ああ、ママ!」

上条「えっ」

マミ「ええ、大丈夫、元気にしてるわよ。でもごめんなさい、今お客様がみえてるから……そう、また後でかけ直すわね。
   パパにもよろしくね、それじゃ」 ピッ

マミ「話を中断しちゃってごめんなさいね」

上条「あの……ご両親、ご存命なんですか?」

マミ「ええ。事故のときいろいろあって、ついでにパパとママも生き返らせてもらっていたの」

さやか「さすがマミさん、しっかりしてるね!」

上条「生き返……えっ?」

マミ「一緒に暮らしているとバレちゃうから、2人は今栃木で暮らしているの。
   娘を失って心を病んだって設定にしてナマポをもらってるのよ」

さやか「な~るほどぉ。ためになりますなぁ」

マミ「上条君の場合は、そうねぇ……やっぱり、ご両親が倒れたとかそういう設定にするのが無難かしら」

さやか「恭介のパパさんって何かいつ死んでもおかしくなさそうな説得力のある持病持ってたりしない?」

上条「あいにくだけど無いよ。あとごめんさやか、軽く一発殴るね」 ゴスッ!

さやか「ぶひゃう」

マミ「そうなると……どうしても親元を離れて暮らす理由をでっち上げる必要があるわねぇ」

上条「説得力のある理由ですか……難しいな」

さやか「う~ん……あっ!」

マミ「美樹さん、何か思いついたの?」

さやか「いえ、さっぱり」

上条「さやかは何のためにここにいるんだい?」

さやか「でも思い出したんだ、両親と離れて暮らしてナマポ暮らししてる奴が他にもいるじゃん!」

マミ「あぁ、そういえばあの子もそうだったわね。同じナマポニスト同士、仲良くしたいのだけれど……」

さやか「なんでマミさんにあんなに突っ掛かるんですかねぇ。その当たりも含めて聞きに行こう、恭介!」

 ・ ・ ・

ほむら「そう……あなたもナマポで生活したいのね」

上条「はい……色々と教えてくれないかな、暁美さん」

ほむら「悪いことは言わないわ。止めておきなさい」

上条「! どうしてだい?」

さやか「……ねぇ、転校生。前から聞きたかったんだけど、どうしてナマポを取ろうとするのを邪魔するのさ?
     私やまどかがナマポニストになりたいって言ってた時もさんざん邪魔したし」

ほむら「…………」

さやか「正直言うと、理由は見当付いてるんだよね。
     役所はナマポの経費を減らしたいから、同じ地域に他のナマポニストが居れば居るほど審査が厳しくなる」

ほむら「ええ、そうね」

さやか「転校生、あんた、自分の取り分が減るのが嫌なんでしょ?それでマミさんに突っかかってるんだ!
     身勝手過ぎない?自分もナマポで暮らしてるくせしてさ!」

上条「ちょ、ちょっとさやか!喧嘩をしに来たんじゃないだろう?ごめんよ暁美さん」

ほむら「気にしてないわ。美樹さやかの言うことも本当だもの」

上条「暁美さん……」

さやか「恭介、もう行こう!こんな奴に聞く話なんかないよ!あぁもうどうしてこんなとこにきちゃったのさ!」

上条「さやかが行こうって言ったんじゃないか……あ、待ってよ!ごめん、暁美さん!」 タタタッ

ほむら「…………」

 ・ ・ ・

杏子「で? あたしに何の用だい?」

さやか「いやほら、杏子もナマポもらってホテル暮らししてるわけじゃない?」

上条「良かったら、話を聞かせてもらえないかな?」

杏子「やなこった。どうしてあたしがよく知りもしない坊やに助言しなきゃいけないんだっての」

さやか「なんだよケチだな~。せっかくの可愛いポニテが泣いてるよ?」

杏子「か、関係ないだろ!なんだよ突然変なこと言いやがって……
    ま、そもそも話すようなことでも無いし。親父が酒に溺れて家族道連れで無理心中、よくある話だろ?」

上条「それは……書類上?」

杏子「は?書類?何の話だ?」

上条「い、いやなんでもないよ」

杏子「上条って言ったっけ?アンタはまだ日の当たるところに居るんだからさ、
    ズルしてナマポもらおうとなんかしないでごく真っ当に生きてきゃいいだろ」

上条「いや……僕は、決めたんだ!ずっと僕の側にいてくれたさやかの示した道なんだ。
    あきらめるつもりは無いよ」

さやか「きょ、恭介……///」

杏子「ふん。だったらさ、もっと冴えた手があるじゃないか」

上条「どんな手だい?」

杏子「さやか、今すぐ坊やの手も足も二度と使えないぐらいに潰してやりな。
    ナマポ無しでは生きていけない身体にしてやるんだよ」

上条「えっ」

さやか「なるほど!その手があったか」

上条「えっ、ちょっと」

さやか「いやぁ、もしものために持ち歩いてたバットがこんなところで役に立つとは」 スッ ブン!ブンッ!

上条「う、うわああぁぁっ!!」 ダダダダッ

さやか「あっ!待ってよ恭介!!冗談だってばぁ!!」 ダダダダッ



杏子「……アホくさ」

さやか「はぁ、はぁ……ごめんね、さやかちゃんちょ~っとだけ冗談がきつかったかもしんない」

上条「だいぶきついよ、目がマジだったじゃないか……はぁ、はぁ」

まどか「あれっ、さやかちゃんに上条君。すごく疲れてるみたいだけどどうしたの?」

上条「ああ鹿目さん、こんにちは」

さやか「おっすまどか!いやぁ、なんとか楽してズルしてナマポをゲットする方法を探しててさ」

まどか「そうなんだ。私もナマポで生活したいなぁ、ティヒヒ」

QB「それが君の願いかい?」

上条「うわっびっくりした!ね、ネコが喋った!?」

QB「そんな低級な動物と一緒にしないで欲しいね。僕はキュゥべえ、かくかくしかじか」

上条「まるまるうまうま、なのか。驚いたな、魔法少女だなんて」

QB「そんなことよりまどか、僕と契約して魔法少女になってくれればナマポ程度の願いは簡単に叶うよ!」

まどか「そっか!契約の願いを使えばいいんだね!」

さやか「ナイスアイデアだね!ねぇQB、それって私もできるよね?」

上条「僕は……魔法"少女"じゃ、無理かな」

QB「君は……うん、君ほどののルックスなら『男の娘』路線が通じる、っていうかむしろ有りだね!
   上条恭介、君も魔法少女になって契約でナマポを願うといい」

上条「本当かい!?やった!」

さやか「ねぇQB、私は?」

QB「さあまどか、心は決まったかい?」

まどか「うん!QB、私―――」




ほむら「その必要はないわ」

まどか「ほむらちゃん!」

QB(穴だらけ)「いきなり散弾銃とは酷いなぁ」

さやか「うわぁグロい」

ほむら「不正に手に入れたナマポでの暮らしなんて碌なものではないわ」

ほむら「私は何度も何度も、何度も繰り返して見てきた……」

ほむら「両親の件がチクられて路頭に放り出された巴マミ」

ほむら「支給金を受け取ったその日にゲーセンへ駆け込みスッカラカンになって困窮する佐倉杏子」

ほむら「シングルマザーになり給付を狙うために上条恭介の寝込みを襲う美樹さやか」

ほむら「その時に息子の幼さを評されてガチで心を病み、期せずしてナマポ受給者になった上条恭介」

ほむら「何度繰り返してきた世界でも、待っているのは悲劇ばかりだった……」

ほむら「覚えておきなさい。ナマポニストって、そういうものよ」

上条「…………」

さやか「きょ、恭介……わ、私は小さいのも可愛いと思うよ?ね?」


ほむら「でもまどか、私はあなたのために何度も同じ世界を繰り返し、何度も支給を受け続けてきた」

ほむら「その繰り返しで貯めたお金……まどか、あなたと二人で暮らすためのお金よ」

ほむら「あなたは手を汚さなくていい。このお金で、二人でずっと暮らしましょう?」

まどか「ほむらちゃん……」




まどか「ごめんね。でも私、魔法少女になる」



ほむら「まどか……!」

まどか「私、ほむらちゃんのお陰でやっとわかったの。叶えたい願い事見つけたの」

まどか「今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから、信じて?」

QB「さあ、鹿目まどか。その魂を代価にして、君は何を願う?」

まどか「ほむらちゃんの見てきた通り……私一人がナマポを手に入れても、お金が無くて困る人はまだたくさんいる」

まどか「ううん、今困ってない人だって明日にはどうなるかわからない、だから――」




まどか「全ての国民に、生きていけるだけのお金を配りたい。全ての市町村、過去と未来の全ての人に、この手で!」




QB「! その祈りは――そんな祈りが叶うとすれば、それはニートだの社畜だの言ってるレベルじゃない!」

QB「それはベーシック・インカムだ!!」

まどか「さあ、叶えてよ、インキュベーター!!」

 ・ ・ ・

QB「ふぅん、なるほどね。確かに君の話は仮説としては成り立つね」

ほむら「仮説じゃなくて、本当のことよ」

QB「だとしても証明しようがないよ。彼女の願いによってこの宇宙(の経済)のルールが書き換えられてしまったとすれば、
   今の僕らにそれを確かめる手段なんて無いわけだし」

ほむら「そうね。あなたたちはそういう奴らよね」

QB「それにしても、その少女はどうしてしまったんだい?」

ほむら「まどかは……その壮大過ぎる政策を叶えた対価に背負うことになった責任を浴びて、一つ上の領域へ
     シフトしてしまったわ」

QB「一つ上の領域ってどこだい?」

ほむら「永田町よ」






鹿目総理「ティヒヒ!」


                         ~むりやりおしまい~

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