狛枝「僕がアイドルをプロデュースだって?」 (251)

狛枝「そんな……僕みたいなワラジムシがアイドルをプロデュース……? そんなのは何かの間違いじゃないのかい?」

高木「すまないね。我が765プロのプロデューサーも人が足りずに参っているんだ」

狛枝「なるほど……。それで僕に頼んだわけ……ね」

高木「希望ヶ峰学園の学園長に相談したら君が適任だと言っていたからね」

狛枝「そんな……。ボクはゴミみたいな才能しかもっていないただのゴミだよ? あの学園にいる生徒だけど、僕はたまたま選ばれただけなんだって」

高木「そこも見込んでだ。引き受けてくれるかね」

狛枝「うん、いいよ。こんな頼りない僕なんかでよければ、彼女たちを最期までプロデュースするよ。そして輝く希望の彼方へ行くために、僕が踏み台になるよ」

高木「うむ、いい眼だ。それでは任せるよ!」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391965543

高木「狛枝くん。最初に言っておくが、君には一年後にあるIUに勝って優勝してもらう。期間は一年だ。大丈夫かね?」

狛枝「うん。別に僕は問題ないよ」

高木「ならばよろしい」

狛枝「ねぇ、社長。この中から誰か一人って言ってたけど……それって誰でもいいのかな?」

高木「ウム。そこは狛枝君に任せることにするよ」

狛枝「なるほどね……。じゃあせっかくだし、僕は>>5さんをプロデュースしようかな」

伊織

狛枝「初めまして。水瀬伊織さん。今日から僕が君のプロデューサーだ。こんな頼りない僕なんかで非常に申し訳ないけど……これからよろしく」

伊織「アンタが私のプロデューサー? ふん、なんか頼りないわよ!」

狛枝「あはははは、ごめんごめん。僕なんかが君のプロデュースできるなんて光栄の至りだよ」

伊織「当然よ! この伊織ちゃんのプロデューサーになれるなんて光栄に思いなさいよね! にひひっ」

狛枝「もちろん君の希望は――トップアイドルを目指すことだよね?」

伊織「あたりまえじゃない! この伊織ちゃんがトップアイドルになってやるんだから!」

狛枝「そう、わかったよ。君の希望の踏み台として、僕が喜んで犠牲になるよ」

伊織「ちょっと! 犠牲って何よ!」

狛枝「さっそくだけど水瀬さん。キミの才能って何かな?」

伊織「アタシの才能? それはもちろんこの美貌――」

狛枝「そういうことじゃなくてさ……美貌とかっていうのはあくまで主観的な判断しかできないからさ。具体的な才能を教えてほしいんだけど」

伊織「え?」

狛枝「これから君をプロデュースするにあたって、君のことをしっておこうと思ってね。だってそうじゃないと、君がどんな子で、どんな希望を持ってるかわからないでしょ?」

伊織「そ、そうね。アタシは何でもできちゃうスーパー美少女よ!」

狛枝「……………………ふぅん、なるほどね。それが水瀬さんの才能なんだ」

伊織「な、何よ!」

狛枝「いや、なんでもないよ。とりあえず聞きたいことは聞けたし、これからボクと営業に行こうか」

伊織「ふ、ふんっ。見てなさいよね! これからアタシが完璧にこなしてやるんだからっ!」

狛枝「さてと……営業といっても最初はミーティングなんだけどね」

伊織「アンタね……ミーティングならミーティングっていいなさいよね!」

狛枝「あははは。こういうのって形から入った方がいいと思ってね」

伊織「ま、いいわ。さっさと始めるわよ。あと飲み物もとってきなさい!」

狛枝「わかったよ……。まったく水瀬さんは人使いが荒いなぁ」

伊織「ふん! プロデューサーなんだから、これくらい当然でしょ?」

狛枝「あははは。僕はプロデューサーだから小間使いじゃないんだけどなぁ」

伊織「何笑ってんのよ! さっさと終わらせるわよ!」

狛枝「水瀬さんは一体どうして――トップアイドルを目指そうとしたのかな?」

伊織「決まってるじゃない! アタシがトップアイドルにならなきゃ誰がなるっていうのよ! アンタの目は節穴なの!?」

狛枝「ははっ、手厳しいなぁ」

伊織「それにしても……アンタってなんだかジメジメしてるわね。何考えてるかわからないわ」

狛枝「やだなぁ。そんなことないよ。僕はどこにでも……いや、どこにもいてはいけないような人間なんだから」

伊織「ちょっと! そこまで言ってないわよ!」

狛枝「あれ? 水瀬さん、僕の心配をしてくれるんだ。嬉しいなあ! 僕なんかをフォローするために、酸素を無駄にさせちゃって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。あぁ、罪悪感で死んでしまいたいよ」

伊織「だからそこまで言ってないわよ!」

狛枝「でも、トップアイドルが君の希望なら――僕は喜んで土台になるよ!」

伊織「あら? 服従する気まんまんじゃない? もう伊織ちゃんの魅力にメロメロなのね?」

狛枝「あはは、そうじゃないんだけど。ある意味君に釘付けかな。中の人的な意味で」

伊織「意味わからないこと言ってるんじゃないわよ!」

狛枝「ま、いいよ。じゃあ明日からはレッスンをしよう。僕も一緒に行くからよろしく……」

伊織「はぁ……はぁ……。ダンスって意外とキツイのね……」

狛枝「大丈夫? 水瀬さん」

伊織「こ、これくらい平気よ!」

狛枝「そう、あんまり無茶しちゃダメだからね」

伊織「アンタに心配する必要なんてないわよ! このスーパーアイドルになる伊織ちゃんがこんなところでへこたれるわけないわ! わかったらさっさと飲み物を買ってきなさい!」

狛枝「そうだね。じゃあ僕は飲み物を買ってくるよ。水瀬さんも水分補給はこまめにね」

伊織「早く持ってきなさいよ!」

伊織「や、やっと終わった……」

狛枝「お疲れさま。きっと筋肉痛になるかもしれないから、ストレッチはキチンとやってくべきだよ」

伊織「わかってるわよ。今からやろうとしてたんだから、少し黙ってなさいよね!」

狛枝「あははははは……。怒られちゃった」

伊織「んっ……んっ……」

狛枝「もしかして水瀬さん……床に体がつかないのかな?」

伊織「うるさいわねっ……。これぐらい簡単につくわ……」

狛枝「ちょっと待ってて。今から背中を押してあげるから」

どこを触る?
>>15

狛枝「じゃあ背中を……」

伊織「んっ……」

狛枝「大丈夫? 痛かったらいつでも言ってね」

伊織「大丈夫よ……。これくらいなんてことないわ!」

狛枝「じゃあ、もっと強くするよ」

伊織「痛い痛い痛い! もうっ! 何すんのよ!」

狛枝「…………」

伊織「ちょっと! アンタ、何黙ってんのよ! アタシが怪我したらどうするのよっ!」

狛枝「いや、今の会話なんだけどさ、他の人に聞かれたらまずいかなって思ったんだ」

伊織「へ……? …………! アンタ! いったい何考えてんのよ! この変態! ド変態! 変態大人!」

狛枝「うぐっ……。お腹にパンチって……」

狛枝「うぅ……さっきはひどい目にあったよ」

伊織「アンタがいけないのよ!」

狛枝「ま、いいよ。さて、次は営業だ」

伊織「営業ね? ふん! それぐらい余裕よ!」

狛枝「そうかい? それならよかった。じゃあ、今から作曲家さんのところに挨拶をしに行こうか」

伊織「うぅ……なんか緊張するわね」

狛枝「あれ? もしかして水瀬さん……緊張してる?」

伊織「う、うるさいわね! これくらい大丈夫なんだから!」

狛枝「まぁまぁ、落ち着いて。ほら、深呼吸深呼吸」

伊織「わかってるわよ! スー……ハー……」

狛枝「これでよくなったかな?」

伊織「別に大丈夫よ」

狛枝「ほら、作曲家さんも来たよ?」

作曲家「どーもっす! あれれれ~? 久しぶりじゃないっすか~!」

狛枝「うん、お久しぶり……でもないかな。学校でちょくちょくあってるし」

伊織「え? ア、アンタの知り合いなの?」

狛枝「そうだね。彼女は超高校級の軽音部の才能を持ってるんだ」

澪田「どもーっ! 澪田唯吹っす! 今日は作曲家としてきちゃいましたー!」

伊織「うわっ……テンション高っ……」

今日は一旦寝ます

澪田「あれれ? アイドルってその子なんすか?」

狛枝「そう、彼女は水瀬伊織さんだ。今、ボクがプロデュースしてる子でね、彼女こそ真のトップアイドルにふさわしいと思うんだ」

伊織「そ、そうよ! トップアイドルにしなかったら承知しないんだからね!」

澪田「よし、わかったっス! そういうことならこの唯吹ちゃんにお任せあれ!」

狛枝「ははっ、心強いよ。さすが超高校級の軽音部……。ボクなんてあまりの申し訳なさに穴があったら飛び込みたいよ……」

伊織「穴を掘るアイドルだったら紹介するわよ」

狛枝「え? 本当にそんな子がいるのかい? すごい子だね……」

――――十分後

澪田「それでサビでバーンと盛り上がって……」

澪田「ここはズキュゥウウウウンって感じで演出して……」

澪田「それでここはファッ!?って感じにするっす!」

伊織「ちょっとストーップ、ストーーップ! さっきからアンタ何言ってるかわからないわよ!」

澪田「そうっすか? 唯吹達はこれでいつも通じるっすよ?」

伊織「あのね! もっとほかの人にもわかる言葉で説明しなさいよね!」

澪田「そうッスね……。こうやって説明した方が唯吹的にポイント高いかもって思ったんス!」

伊織「私的には大暴落よ!」

狛枝「あはははは……。二人とも少し落ち着いて。澪田さんもさ。水瀬さんが困惑してるから……」

澪田「しょうがないっスねぇ……」

――――さらに十分後

澪田「……とまぁ、こんな感じのデスメタルでいいッスか?」

伊織「デ、デスメタルっ!? アンタ、伊織ちゃんにそんなのを歌わそうとしてるの!?」

狛枝「澪田さん……。今回は初めての曲なんだよ。だから最初の曲で彼女のイメージが左右されるんだ」

澪田「まぁ、そうっスけど」

狛枝「このままじゃ彼女は芸人アイドルなんて不名誉な称号が与えられちゃうよ! こんな絶望的なことはないよ!」

伊織「デスメタル歌ったからって別に芸人にはならないわよ!」

狛枝「そうだね。どうやらボクも言い過ぎたようだ」

狛枝「澪田さん、悪いけど今回は彼女が受け入れてくれない限り、曲を作るのは難しそうだ」

狛枝「また次の機会にしよう」

澪田「残念ッスね! けどわかったッス」

澪田「今度こそ、伊織ちゃんが納得できるデスメタルを作るっス」

狛枝「いや、別にデスメタルじゃなくていいよ」

澪田「そしたらなのん。水瀬財閥のお嬢様がデスメタルしてるって話題になるのんな!」

狛枝「澪田さんはキャラ造りに困ってるの?」

狛枝(とはいえ……結局、今回は水瀬さんの力にはなれなかった)

狛枝(やはりボクみたいなゴミが水瀬さんをプロデュースなんておこがましかったかな?)

狛枝(次はもっと、ボク自身を犠牲にしてかないと。そうじゃないと彼女の希望の土台になれるはずがないんだから)

狛枝(あぁ……申し訳なさ過ぎて埋まりたい気分だ。……そういえば水瀬さんの知り合いに穴を掘る人がいるんだっけ?)

狛枝(だったらついでに、ボクも埋めてくれるように説得してみようかな。ハハハッ……)

バッドコマエダケーション

狛枝「さてと……レッスンも営業も終わったところで、次はいよいよオーディションだ。もちろんボクとしては合格することにこしたことはないんだけど……。でも今回は初めてのオーディションだ。だからさ水瀬さん、今回は勝ち負けは度外視してオーディションの空気に慣れてみようか」

伊織「何言ってるのよ! この伊織ちゃんが出るんだから一位通過に決まってるじゃない! にひひっ」

狛枝「そう? それならいいんだけど」

伊織「それとアンタ台詞長いのよ! どんだけ喋れば気が済むの!?」

狛枝「そうだよね……ボクごときがこんな喋って、聞くに堪えない説明台詞を喋ってるなんて……ホント、時間の無駄だよね」

伊織「ふん、まあいいわよ。それよりオーディションでしょ? ちんたらしてないで早くいくわよ!」

狛枝「さてと、オーディション会場についたはいいけど……けれど、人がだいぶいるね」

伊織「そ、そうよ。これはオーディションなんだから当たり前よ。当たり前なのよ……」

狛枝「あれ? 水瀬さん、また緊張してる?」

伊織「だ、大丈夫に決まってるわ!」

狛枝「ま、焦らずに深呼吸……」

伊織「スー……ハー……。意外と落ち着いたわね」

狛枝「緊張がほぐれたならよかったよ」

狛枝「…………あれ? あそこにいるのは、961プロの>>33じゃないかな?」

ジュピター

狛枝「あれは超高校級のアイドル……舞薗さやかさんだ」

伊織「舞薗さやかって……あの国民的アイドルの舞薗さやかっ!?」

狛枝「そう、国民的アイドルにして、希望ヶ峰学園に通う生徒。彼女はボクなんかとは違って、れっきとした才能を持っているんだ。そして今もなお、国民的アイドルの名を思いのままにしている」

伊織「でもおかしいわよっ! 舞薗さやかって国民的アイドルでしょ!? だったらなんでこんなオーディション会場にいるわけ!?」

狛枝「そればっかりは本人に聞いてみないと。もしかしたら並々ならぬ事情があるのかもしれないよ?」

狛枝「やぁ、舞薗さん。こんなところで何をしてるの?」

舞薗「あっ、狛枝君……」

狛枝「国民的アイドルともいえる舞薗さんがこんなとこにいるなんて、きっとただ事じゃないよね?」

舞薗「ええ、そうです」

狛枝「それに聞いたよ。961プロに事務所を移籍したんだよね? どうしてそんな」

舞薗「ちょっと事情があって……。そういえば、狛枝君はどうしてここに?」

狛枝「ボク? ボクはねえ……知り合いに頼まれて彼女をトップアイドルにするよう頼まれたのさ。ほら、水瀬さん。怖がらないで出ておいで」

伊織「はじめまして! 水瀬伊織、十四歳。トップアイドルを目指してます!」

舞薗「よろしく、水瀬さん」

狛枝「ところで舞薗さん……。キミはどうしてこんなところにいるの?」

舞薗「実は、>>38でして……」

すみません。舞園さんが舞薗さんになっていました。
お詫び申し上げます

黒井社長に引き抜かれた

舞園「私……黒井社長に引き抜かれて、IU優勝を目指すことにしたんです!」

狛枝「なるほどね……」

伊織「ということはっ……、私はアナタとIUで直接対決をするってこと!?」

舞園「ええ、そういうことになってしまいますね」ニコッ

狛枝「これは驚いたよ……」

舞園「なので、こうして来年のIUで戦うことになるかもしれないアイドルの人たちを見に来たのです」

舞園「私、負けたくありませんので」

狛枝「うん、わかったよ。舞園さん。だけどボク達も本気なんだ。ボクは本気で水瀬さんをトップアイドルにする……そうだよね? 水瀬さん」

伊織「え、えぇ! そうよ! トップアイドルの座は私だって譲る気はないんだから! にひひっ」

舞園「私も譲る気はないですよ。もちろん誰にも……」

狛枝「おっと、そろそろ時間だね。舞園さん、悪いけどボク達はオーディションを受けるから」

舞園「わかりました。水瀬さんも頑張ってね」

伊織「もちろんよ! 簡単に勝ってくるわ!」

狛枝「オーディションは無事に合格……。それに一位通過だなんて、やっぱり水瀬さんはすごいよ」

伊織「当り前よっ! アンタ、私のプロデューサーをできることを光栄に思いなさい!」

狛枝「うん。本当に素晴らしいよ」

伊織「この調子であの舞園さやかに勝ってやるんだから!」

狛枝「アハハハハ。これはボクがでしゃばる余地はないかな……?」

狛枝(水瀬さんのモチベーションはオーディション前と比べ、遥かに高くなった)

狛枝(正直、舞園さんがライバルって時は驚いたけど、実に運が良いよ!)

狛枝(圧倒的実力差のある舞園さんに勝つため、水瀬さんが希望をもって活動をする……)

狛枝(でも……そろそろかな)

狛枝(ボクはまだ水瀬さんを最後までプロデュースをしようか迷ってるんだ)

狛枝(そろそろ彼女の希望の強さを見せてもらうために……ボクも動くことにするかな)

狛枝(彼女はボクなんかとは違って優秀なんだ。だから、こんな絶望は乗り越えてくれるはずだよ)

狛枝(ああ……楽しみだなぁ。アハハハハハ……。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!)

狛枝「さて、オーディションも見事合格……。うん、素晴らしいよ。それでこそボクが見込んだだけあるよ!」

伊織「ふんっ! アンタなんかに見込んでもらってもうれしくもらってないけど、勝ったのは伊織ちゃんの魅力のおかげよっ!」

狛枝「そう、全てはキミの才能――そして希望を持って試練に挑んだということだ。あぁ、素晴らしいね」

伊織「で、次はどうするのよ?」

狛枝「そうだね……。あれから考えてみたんだけど、これなんかどうかなって思って。とりあえずこのメールを見てよ」

伊織「なにかしら……961プロ主催のオーディション?」

狛枝「そう、次はこれにチャレンジしよう」

伊織「そうね……あの舞園さやかに勝ってやるんだから!」

狛枝「今の水瀬さんは調子がいい……。それにうまくいけば一気にファンを稼げる……」

狛枝「じゃあそうと決まれば、さっそくオーディションに――」

>>45「それは違うわ!」

伊織「誰っ!?」

小泉

伊織「誰!?」

小泉「ねぇ、アンタ……。今、一体何を言ってるのかわかってるの? 961プロのオーディションよ?」

狛枝「小泉さん……。こんなところで何をやってるの?」

小泉「私はさっき、ここの事務所の人たちの宣材を撮ってたの」

狛枝「なるほどね。それでついでにボクに会いに来てくれたってわけ……。嬉しいなぁ!」

伊織「ちょっと! アンタ達だけで勝手に話を進めないでよ!」

小泉「ごめんね、伊織ちゃん……。そこのバカプロデューサーに変なことされてない?」

伊織「べ、別に大丈夫よ。それにアナタが思ってるほどこのプロデューサーも……」

小泉「気を付けて。こいつは何をするかわからないわ」

狛枝「ねぇ……小泉さん。キミは何をしにきたの? まさか水瀬さんを動揺させようと、ここまで足を運んだわけ?」

狛枝「あのさぁ、困るんだよ。何も知らないキミがそんなことをいうだなんて――不愉快だよ」

小泉「……アンタ、961プロのオーディションは罠よ。それを知ってて行くつもりなんでしょ?」

伊織「ちょっと! 罠って何よ!?」

狛枝「それは違うよ」ネットリ

狛枝「水瀬さん……たぶらかされてはダメだ。ボク達は961プロに勝たなきゃ、トップアイドルにはなれないんだから」

小泉「待ちなさい! アンタ本気で言ってるの?」

狛枝「もちろん……。僕たちは本気だよ」

小泉「アンタ、男子でしょ? 水瀬さんのことも考えなさいよ」

小泉「埒が明かないわね……。だったら水瀬さんにどっちがいいか判断してもらいましょう」

伊織「私の……判断……?」

狛枝「いいよ。恨みっこはなしだよ、小泉さん」

小泉 vs 狛枝


反論ショーダウン 開始


小泉「アンタ、961プロがどれだけ汚い手を使うか知ってるの?」

小泉「確かにファンがたくさん増えるのは魅力的ね」

小泉「でも……水瀬さんはまだアイドル活動を始めて日が浅いのよ」

小泉「負けるとわかっていて、むやみに傷つく真似はしてほしくないの」

狛枝「小泉さん……キミのいうことはわかるよ」

狛枝「でもさっきまで水瀬さんはやる気だったんだ」

狛枝「そのやる気……キミがへし折っちゃうのかい?」

小泉「別にただのオーディションなら何も言わないわよ」

小泉「でもあそこの社長……裏ではあくどくて有名なの」

小泉「だから私は止めてるのよ」

狛枝「なるほどね……。でも人は試練に挑まなきゃ成長できないんだ」

狛枝「だから僕たちはどんな困難でも、希望を持って立ち向かうべきなんだ」
狛枝「希望は絶望に負けないんだ!」


勝敗は>>50

小泉

小泉「その言葉、切らせてもらうわ!」

狛枝「う、うぐ……」

小泉「水瀬さん――あなたはどう思う?」

伊織「私は……確かに戦ってみたいと思うわよ。でもそれは、やっぱりもうちょっと経った後なのかもしれない。このプロデューサーの言うこともわからなくもないわ。だけど……やっぱり勇気と無謀は違うわよ」

狛枝「…………」

小泉「ごめんね。狛枝は変態の上に初めてのプロデュースだから……」

伊織「いいのよ! このプロデューサーは私が付いていないとダメなんだからっ」

小泉「じゃあ、水瀬さん――いえ、伊織ちゃんって呼んでもいいかしら?」

伊織「いいわよ! 私もよそよそしいのはあまり好きじゃないわ」

小泉「今から宣材のための写真を撮りに行くから、撮影現場まで一緒に行きましょう」

伊織「わかったわ! ほら、アンタも突っ立ってないで行くわよ!」

狛枝「あ、あぁ。ごめんね、変なこと言っちゃって」

伊織「アンタが謝ることないわよ。早くオーディションやレッスンをしなきゃ! ま、伊織ちゃんなら余裕だけどね!」

狛枝(……………………)

狛枝(うん、これである程度の条件はそろったかな)

狛枝(事前に小泉さんが写真撮影のカメラマンとして来るのは知ってたし、簡単だったかな)


狛枝(それにしても麗しい友情だね……。きっと面倒見のいい小泉さんなら、961プロのオーディションには反対すると思ってたんだ)

狛枝(僕としてはすぐに961フプロのオーディションを受けさせてもよかったんだけど、でもそれはどっちでもいいや)

狛枝(少なくとも、水瀬さんは『961プロのオーディションを受ける』――それを決心したんだからさ)

狛枝(961プロのオーディションを受けないって言われるのが、一番怖かったから安心したよ)

狛枝(だってそしたら……僕が最高の舞台を演出できないじゃないか!)

狛枝(こんなやり方しかできないけど、ボクはボクなりにトップアイドルにしてみせる!

狛枝「さ、気を取りなおしたところで、今日は営業に行こうか。実は今日の営業は……デパートでライブなんだ」

伊織「ふーん、アンタにしてはやるじゃない」

狛枝「ありがとう。僕なんかに褒めてくれるなんて、水瀬さんはいい子なんだね」

伊織「べ、別にそんなんじゃないわ!」

狛枝「で、そのライブなんだけど……今日は765プロの>>56さんと一緒にライブをしてほしいんだ」

真「まっこまっこり~ん。貴方のハートにまっこまっこり~ん、笑顔届ける菊地まこまこ~。まこり~んって呼んでLOVEまこ!」

伊織「ず、随分テンション高いじゃない」

真「いやぁ、だってさ! ボク、ライブとか初めてだから! じゃんじゃん踊ってバリバリ歌えるなんて!」

狛枝「よ、よろこんでくれて嬉しいよ。でも、随分と元気なんだね」

真「はい! 僕、こういう身体動かすの大好きですから!」

伊織「ちょっと真、あくまでこの伊織ちゃんがメインなんだから、その辺はわかってるでしょうね?」

狛枝「アハハハ……」

狛枝「今回のプログラムはね……最初に菊地さん、次に水瀬さん、そして最後に二人でデュエットという感じだね」

真「そうですか! へへっ! 僕のダンス、見ててくださいよね!」

伊織「何言ってんのよ! 私のステージだって凄いんだから!」

真「何を!」ヌヌヌヌヌヌ

伊織「何よ!」ググググググ

狛枝「喧嘩は良くないよ、二人とも。あ、そろそろ菊地さんの出番が始まるようだ」

真「あっ! もうこんな時間! じゃあ行ってきますね! プロデューサー!」

伊織「私の前で失敗したら承知しないんだからね!」

一応ランク上で考えています
既に国民的アイドルだけど、Iを伊織と狛枝

ランク上で考えています。
舞園は国民的アイドルだけど、IU大賞を目指している。
でも伊織たちもIU大賞を取ろうと目指している感じです

真「プロデューサー! やりましたよ! へへっ」

狛枝「お疲れ様、菊地さん。素晴らしいダンスだったね」

伊織「や、やるじゃない……」

真「伊織、失敗しないでよ!」

伊織「失敗するわけないわよ! この伊織ちゃんが、ファンのみんなを感動させちゃうんだから。子供達も虜にしてあげるわ!」

狛枝「頼もしいなぁ……。うん、応援してるからさ、頑張って」

伊織「行ってくるわね! にひひっ」

伊織「今日はみんなありがとーーーー!!」

伊織「今日は存分に、伊織ちゃんの歌を聞きなさい!」



真「伊織、頑張ってますね」

狛枝「素晴らしいよ。まさか彼女がこんなにも頑張っているなんて……。彼女こそアイドル界の希望の象徴かもしれないね」

真「あははは……。確かに伊織は負けず嫌いですからね。だから僕とぶつかることも多くて」

狛枝「へぇ、負けず嫌い……」

真「はい! それで実は伊織がアイドルになろうとしたのもその辺がきっかけで……って勝手にこんな話をしちゃっていいのかな?」

狛枝「その話……詳しく聞かせてもらえる?」

真「わかりました! ……と言っても、僕も聞いた話なんですけどね。伊織の家族ってものすごいんですよ。伊織の兄さん達は社長だったり、留学をしていたり……。父さんも母さんもすごい人らしくて……」

狛枝「そこで負けず嫌いの水瀬さんは――その家族に負けないために、アイドルを目指す……そういうことかな?」

真「はい! そんな感じですね!」

狛枝「なるほど……ね。うん、いいんじゃないかな? それが水瀬さんのトップアイドルを目指す原因なんだね」

真「でも僕だって、トップアイドルを目指してるんですから、負けられませんよ!」

狛枝「菊地さんもトップアイドルが希望の象徴なんだね――!! あぁ……希望と希望のぶつかりあい。とてつもなくゾクゾクするよっ……!」

伊織「キャアッ!!」

スタッフA「大丈夫か!!?」

真・狛枝「!?」

真「ど、どうしたんですか?」

スタッフB「じ、実は>>70になってしまって……」

変質者が乱入

スタッフ「止まってください!」

スタッフ「貴方は誰ですか!」

真「伊織!」

狛枝「水瀬さん! 大丈夫? 怪我はない!?」

伊織「ス、ステージ上でへ、変な人が!」

変質者「うおお!!」

真「マスクを被った変質者がステージで暴れてますよ!」

観客「きゃああああああああああ!!」

狛枝「……キミか。困るんだよね。せっかく彼女のライブを傾聴していたのにさ……場違いなんだ。早く消えてくれないかな?」

狛枝「……ん? 君ってもしかして……>>73?」

十神

十神はどっち?
1、超高校級の御曹司
2、超高校級の詐欺師

>>75

>>77

狛枝(彼は……十神クン?)

変質者「ええい! 放せ! 俺を誰だと思ってる!」

スタッフ「変態だ!」

スタッフ「変質者よ!」

スタッフ「変質者ね!」

伊織「変態大人!」

真「なんだなんだ!? あぁ! ステージが滅茶苦茶じゃないか!!」

狛枝「スタッフさん、悪いけど……この変質者とちょっと話があるんだ。いいかな?」

スタッフ「だ、大丈夫ですか!?」

狛枝「うん、心配はいらないよ。ただ、どうしてこんなことをしたのか――聞かないといけないからね」

スタッフ「わかりました。ではよろしくお願いします」

狛枝「うん、まかせといてよ」

伊織「私も話を聞くわ」

真「僕も何が何だかさっぱりですよ!」

狛枝(うう~ん、この二人も話に参加させるか……迷うね)

狛枝(もしかしたら、十神クンには何か事情があるのかもしれないし……どうしようか)


1,二人とも話に参加させない
2,伊織だけ一緒に話を聞く
3,真だけ一緒に話を聞く
4,二人とも話に参加させる

安価は>>83

ksk

再安価>>86

狛枝「悪いけど菊地さんは、一緒に来てもらっていいかな?」

菊地「ボ、ボクですか!?「

狛枝「さすがにボクと変質者と二人は怖いからね。だからお願いできないかな?」

菊地「え、えぇ。プロデューサーも一緒なら、変質者が暴れることはないと思いますし」

狛枝「ありがとう、菊地さん。それと……水瀬さんはこの辺で休んでてくれないかな?」

伊織「ハ、ハァ!? アンタ、この変質者のせいで今日のライブが台無しになったのよ! 万死に値するわよ!? それなのに当事者の私が話を聞けないなんて!」

狛枝「落ち着いて、水瀬さん。ボクはただ――当事者だからこそ、直接聞かせるわけじゃないと思ったんだ。この変質者は何をするかわからない。ステージに飛び込んできたのは水瀬さんの時だったよね……? だったら尚更だよ。どんな話が飛び出すかわからないのに、直接話をするべきではない――そう思ったんだ。もしかしたら身の保証も出来ないんだしさ」

真「それに……伊織は疲れてるんでしょ? 少し休んでなよ」

狛枝「ウン、ゆっくり休んでなよ」

伊織「わ、わかったわ……」

狛枝「じゃあ、早速控室に行こうか」

狛枝「超高校級の御曹司の才能を持つ十神クン――まさかキミがこんなところで出会うなんてね。ボクは感動のあまりに泣いてしまいそうだよ」

十神「フン」

狛枝「でも、正直驚いたよ。だって十神財閥の御曹司と思わぬ形で遭遇したんだからさ」

十神「相変わらず口の減らないやつだ……」

狛枝「本来のボクなら、ここで十神クンと出会えたことに、感動して涙を流さなきゃいけないんだろうけど……。生憎、僕は水瀬伊織さんのプロデューサーだ。話は手短にお願いできないかな? そりゃあボクなんかに気を使わせるのは申し訳ない限りだけどね」

真「あの……プロデューサー? この変質者、知り合いなんですか?」

狛枝「彼は十神財閥の社長だよ」

真「えぇ!? この変質者がですか!?」

十神「フン、別に凡人の理解など、俺は求めていない」

真「何を!? ボク達のライブを台無しにしたくせに!!」

十神「ハッ……」

狛枝「……十神クン、キミはどうして……ライブに乱入したのかな?」

真「そうですよ! 何かボク達に恨みでもあるんですか!?」

十神「>>90

暇つぶし

十神「……暇つぶしだ」

狛枝「…………何か言った?」

十神「だから暇つぶしだ!」

真「そんなっ! 暇つぶしでボク達のライブが潰されたんですか!?」

狛枝「……水瀬さんに聞かせなくってよかったよ」

狛枝(デパートで殺人事件が起きちゃうところだよ)

十神「十神家は代々、人を蹴落とし蹴落とされ、ここまで昇りつめてきた……」

真「何かよくわからない自分語りに入りそうなんですけど……」

狛枝「もしもし、警察ですか? こっちに変質者が」

十神「おい! 通報するんじゃない! 今のはちょっとした十神家代々伝わるネタ帳の一つなんだぞ!」

真「ありゃりゃ……。もしかしてこの人って皆が盛り上がってる空気の中、場違いなジョークを言って空気を凍らせるタイプの人なんじゃないですか?」

狛枝「……ゴメン。いくら十神クンでも、こればっかりは庇えなさそうだ」

十神「おい!」

狛枝「ま、冗談はおいといてさ……十神クン……あそこまでして止めるってことは何かあったってことでいいのかな?」

真「暇つぶしじゃないんですか!?」

狛枝「菊地さん、彼は超高校級の御曹司なんだ。先を読む能力がなくては、十神財閥の頂点には君臨できない」

真「言われてみれば……確かに……」

狛枝「それに彼は無駄な行動はしないんだよ。いつも的確に動いているんだ――だから、これにも何か意味がある」

十神「フン、あえてこの俺が汚れ役までかってやったんだ。感謝しろ」

真(なんでライブ台無しにしたのに偉そうなんだ。この人……)

狛枝「それで、何かあったのかな? ……それともこう聞くべきかな――何があったのってね」

十神「オレと水瀬財閥のトップ――つまり、水瀬伊織の父親から頼まれたことがあるんだよ」

真「一体何を!」」

狛枝「なるほど……それであんなことを……。でもライブが終わってからでも良かったんじゃない? 折角のライブだったのに……」

十神「オレも気が動転していたからな……まさかあんなことを頼まれるなんて思ってなかったものでな」

真「気が動転して、覆面でステージ乱入って……。まだ酔っ払って覚えてないって理由の方がマシに見えますよ」

真「それにプロデューサー! ボク、怒ってるんですからね! いくらこの人が社長だからって、下らない理由だったら怒りますよ!」

狛枝「ウン、菊地さんの怒りは十分伝わった。……で、十神クン。キミは一体、水瀬財閥のトップから何て頼まれたのかな?」

十神「>>100

娘と結婚

十神「水瀬伊織と結婚しろ――そう言われたんだ」

真「伊織が結婚!?」

狛枝「それはまた……随分急な話だね」

十神「だが今になって思えば、そんなに驚くことではないな」

十神「この十神財閥の御曹司と水瀬財閥の娘が結婚するんだ。アイツはまだ未熟だが、この俺にこそふさわしい」

真「うわわ……覆面かぶって狼狽えていた人の発言とは思えないよ……」

狛枝「で、それは水瀬さんは知っているのかな?」

十神「フン、知らないだろうな。俺もさっき知った」

狛枝「ウン、それは知ってるけど」

十神「それには一つ――条件がある」

狛枝「それって、何かな?」

十神「水瀬伊織がトップアイドルになるということだ」

真「えっ!?」

十神「当たり前だ。いくら水瀬財閥とは言えども、優劣をつけるなら俺の方が財力はある。だったら俺と釣り合うようにするべきなんじゃないのか?」

真「そんなのは……横暴じゃないか! この変態覆面!」

十神「オイ! 俺はあくまで変質者覆面であって変態覆面じゃない! 訂正をしろ!」

狛枝「突っ込む所、間違えてないかな?」

狛枝「ともかく……まとめるとこうだね。水瀬さんはトップアイドルに見事なれれば十神クンと結婚。でももしなれなかったら……」

十神「フン、トップアイドルになれない敗者など、十神家には必要ない」

狛枝「なるほど、つまり十神クンと結婚させないためには、トップアイドルにならなきゃいいんだね」

真「二人とも! ちょっと待ってよ! 伊織の気持ちをまだ聞いてないじゃないか!」

十神「別にアイツの意見は関係ない」

狛枝「負けたらトップアイドルになれなかったという汚名も残る……か。これは中々辛い立場だね」

真「プロデューサー! この変態覆面社長になんか言ってよ!」

真「だって……こんなの、あまりにも伊織が可愛そうじゃないかぁ!」

狛枝「……菊地さん、勘違いをしちゃいけないよ」

狛枝「ボクはあくまで水瀬伊織のプロデューサーだ。プロデューサーであって、水瀬さんの親友でも親でもない」

狛枝「そして……ボクは水瀬さんの希望に、ただ従うだけだ」

真「そ、そんな……」

十神「とにかくそういうことだ。オレは帰るぞ」

真「そうだっ! 警察に連絡して捕まえてもらえば」

狛枝「菊地さん……それはムダだと思うよ?」

真「どうしてっ!?」

狛枝「彼は警察とは仲が良いんだ。こんな事件、通報しても揉み消されるだろうね」

真「えぇ……そんな……」

十神「話は終わりだ。俺はもう行くぞ」

バタン



真「…………プロデューサー、ボク、伊織になんて話しかけたらいいかわからないです」

狛枝「そうだね……まず変質者が十神クンだったことは伏せておこうか。それで動揺させるわけにもいかないしさ」

真「結婚のことは……?」

狛枝「結婚……いずれは話さなきゃいけないことだね。……ある程度、タイミングを見計らって、話すのがいいと思うんだ」

真「プロデューサー……これはボクの一人ごとなんだけど」

真「さっきあの変質者が結婚するって聞いて、反対しなかったですよね?」

真「確かにボクと伊織は、喧嘩をしてしまうことだってありますけど」

真「それでも仲間だと思ってるんです」

真「大切な仲間だと思ってるんです」

真「プロデューサーも……もちろん」

真「だからボクは」

真「プロデューサーには反対してもらいたかったかな……」

狛枝「……………………」

真「……すみません! なんかこうしんみりしちゃって! ボクってこういうの似合わないですよね?」

狛枝「…………そのことについては謝るよ」

真「いえ、こちらこそ……ごめんなさい」

狛枝「まさかボクがそんな大切なことを水瀬さんの代わりに決めるなんてできなかったからさ」

狛枝「ほら、ボクは何をやってもダメな人間なんだ……」

狛枝「ホント……何でプロデューサーなんかやってるんだろうね……」

狛枝「申し訳なくて死んでしまいたいよ」

真「プロデューサー?」

狛枝「でも安心して。菊地さん。ボクは希望の踏み台になる覚悟は他の誰よりも強いんだ!」

狛枝「水瀬さんが中途半端な希望ではなく、絶対的な希望を持ち主なら、ボクは何だってするつもりだ」

狛枝「彼女の希望を体現するためなら、ボクは喜んで死んでもいいよ!」

狛枝「どんな絶望も希望があるから立ち向かえるんだから!」

狛枝「アハハハハハハハハハハハ!!」

伊織「ちょっと! 話が長かったじゃない!」

真「ゴメン……。色々あって……」

伊織「あれ? さっきの変態は?」

狛枝「ゴメン……ボクがふがいないせいで……。逃げられちゃったよ」

伊織「はぁ!? アンタ何してんのよ! 伊織ちゃんのステージを台無しにさせた上に逃げられちゃったわけ!? アンタとことん使えないわね!」

真「………………」

狛枝「アハハハ……ゴメンゴメン。菊地さんが席を外してる間、殴られて気絶しちゃって……」

伊織「えっ!? 殴られたの!? 大丈夫なの? 怪我なんてしてないでしょうね!?」

狛枝「大丈夫だよ……ありがとう、水瀬さん。キミはボクに優しいんだね」

伊織「ハッ……し、しらないわよ! バカ!」

狛枝「とりあえずさ、今日の費用や出演料はどうにかなるから今日は一旦戻ることにしようよ」

伊織「仕方ないわね~。ほら、真もボサっとしてないでいくわよ!」

真「あっ、ごめん伊織」

伊織「アンタも顔色すぐれないわね……。まさか真も何か」

真「いやいやいや、なんでもないよ! ボクは何でもないから大丈夫!」

伊織「ならいいんだけど」

狛枝「何かお詫びにご飯でも連れてくよ。二人とも、どう?」

伊織「外食かしら? 私、外食には結構うるさいわよ?」

真「あ、じゃあボク女の子らしく、クレープがいいかな」

ハハハハハハハハ…………


     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     ・
     ・
     ・


狛枝(さて、ボクのプロデュース活動も折り返しに入ってきたね)

狛枝(水瀬さんも案外真面目で、飲み込みも早いし、とても順調にIU予選に勝っている)

狛枝(非常に順調に……ね)

狛枝(でもボクは……水瀬さんの希望の強さを見せてもらってないんだよね)

狛枝(それが唯一の不満であり、不安かな)

狛枝(一体彼女の希望はどれぐらいの強さなんだろうね)

狛枝(あぁ……ゾクゾクするよ)

狛枝(希望はね……絶望を乗り越えてより輝きを増すんだ)

狛枝(さぁ、行こうか)

狛枝(あの輝きの向こう側へ――!)

狛枝(ウフフフフ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!)

明日早いので、今日はここまでになります。
あと、こんだけ引っ張っといてこの後の内容は何も思い浮かんでないです。すみません。
安価でどうにかしたいと思います

狛枝「さて……ボク達のプロデュース活動もいよいよ折り返し地点ということで……961プロの主催するオーディションを受けてみようか」

伊織「もちろん私は構わないわよ! 今なら舞園さやかに負ける気がしないもの、にひひっ」

狛枝「素晴らしいよ。それでこそ希望の象徴だ」

狛枝「だからこそ、水瀬さんはもっと輝けるはずなんだ」

伊織「さ、行くわよ! 961プロに宣戦布告をするのよ!」

高木「あー……ちょっと来てくれないか、狛枝クン」

狛枝「高木社長……一体どうしたんですか?」

高木「キミ、961プロ主催オーディションに出るというんだね?」

狛枝「そうですね。ボク達は出場しようと思っています」

高木「そうか……水瀬くんもそうするというのなら止めはしない……。だが、くれぐれも注意をしてほしい」

狛枝「注意? 何を注意すればいいんですか?」

高木「黒井の元には悪徳というロクでもない記者がいるんだよ。そしてその雇い主である黒井は私を敵視している」

狛枝「なるほど……。つまりボク達に害を及ぼすかもしれないと……」

高木「その通りだ。今の水瀬くんは実力も付いてきてるのはわかる。だからこそ油断をしないで欲しい」

狛枝「……わかりました。頭に入れておきます」

伊織「ねぇ、社長が何か言ってたの?」

狛枝「黒井社長には悪徳という記者がいるらしいよ。なんでも、彼の手に掛かれば、ボク達のイメージダウンは免れないとか……」

伊織「えぇ!? ちょっとどうするのよ!」

狛枝「酷いよね……これはゆゆしき事態だよ」

伊織「でも、勝てばいいのよね?」

狛枝「ウン、そうだよ」

伊織「にひひっ、じゃあ楽勝じゃない! 伊織ちゃんの実力、961プロと舞園さやかに見せつけてやるんだから」

狛枝「素晴らしいよ! その意気だよ!」

狛枝「ところで……水瀬さん、ボクはずっと気になっていたことがあるんだ」

伊織「フン、何よ?」

狛枝「キミはトップアイドルになった後……どうするつもりなのかな?」

伊織「決まってるじゃない! 自分の力でトップアイドルになれたんだって見せつけるのよ!」

狛枝「それは……キミの家族のことだよね?」

伊織「もちろんそうよ! そしてファンのみんなを虜にしてやるんだから!」

狛枝「うん、その意気だよ。じゃあ明日のオーディション……頑張ろう」

狛枝「ウン……、そうだね……。アハハ、そんなことないよ。……じゃあ、よろしくね」プツッ

伊織「アンタ、こっちが緊張してるのによく呑気に電話するわね」

狛枝「アハハハハ……。それを言われると申し訳なさでいっぱいだよ」

伊織「もう! しっかりしなさいよねっ」

狛枝「じゃあ、行こっか」

黒井「これはこれは……あの掃き溜め事務所のプロデューサーとアイドルじゃないか」

伊織「なによ! キイィ~! むかつく!」

狛枝「水瀬さん、あんまり真に受けちゃダメだよ?」

黒井「フン、お前は見たことのない顔だな。新米プロデューサーだな?」

黒井「ハッハッハー! しかも学生とは笑わせる! 高木もついにおかしくなってしまったかな?」

狛枝「本当ですよね……。まさかボクみたいな高校生――いや、掃き溜めを這いずるような虫がプロデュースしてちゃおかしいですよね?」

狛枝「オマケにボクはあの希望ヶ峰学園の生徒とだというのに……大した才能もないし……。希望ヶ峰学園の生徒と名乗るのも申し訳なくて死にたいよ」

黒井「な……なんだ、こいつはっ!」

伊織「……あんま気にしない方がいいわよ」

黒井「フン! だが今日のオーディションはお前の学校のとこの生徒――舞園さやかも出ているんだ。765プロのアイドルなど、所詮噛ませ犬よ!」

伊織「何を~~っ!」

黒井「お前たちが余裕をこいていられるのは今の内だ! オーディションに合格するには上位二名だけなのだからな!」

狛枝「なるほど……上位二名ね……」

黒井「高木の悔しがるところが目に浮かぶな。それではごきげんよう、アデュー!」

伊織「ちょっと! 行っちゃったわよ!」

狛枝「いいよ。あまり気にしない方がいい。こんなことで怒ったら、胃に穴が空いちゃうからね。それよりも水瀬さんは自分のオーディションに集中するんだ」

伊織「わ、わかってるわよ!」

狛枝「これから三十分後には水瀬さんの出番だ。今までの練習した成果を十分発揮するときだ」

伊織「だ、大丈夫よ! これくらい! 水瀬伊織ちゃんが華麗にトップになるわ! 見てなさいよね!」

狛枝「アハハハハハ……頼もしいよ」

狛枝「……ちょっと悪いんだけどさ、ボクはしばらく席を外すよ?」

伊織「はぁ!? アンタ、本番前のアイドルをほったらかしてどこ行く気なのよ!」

狛枝「ちょっと外のコンビニに行ってくるだけだよ。ちゃんと本番前には戻ってくるからさ」

伊織「はぁ……しかたないわね。すぐ戻ってきなさいよ。遅れたら承知しないんだからね」

狛枝「大丈夫だよ。ちゃんと戻ってくるから安心してよ」

オーディション会場・外

狛枝「…………やぁ、待ってたよ。十神クン」

十神「わざわざ俺を呼び出すとはな……。もちろん、大切な用事なんだろうな?」

狛枝「ウン、今日は水瀬さんが961プロのオーディションを受けるからさ、十神クンにもぜひ見てほしいと思って」

十神「ハッ……。そんなことで俺を呼び出すか……。まぁいいだろう。だが俺は暇じゃないんだ。つまらないオーディションだったら、直ぐ帰るからな」

狛枝「暇つぶしで変質者をしてた人の発言とは思えないよ」

十神「グっ……」

オーディション会場・廊下

狛枝「せっかく来てくれたけど、もうちょっと時間は先なんだ。水瀬さんと話す?」

十神「オレは話すことなどない」

狛枝「まぁまぁ、落ち着いて……。あっ、ジュースあるから買ってくるよ」


ガコッ


狛枝「ハイ、これ十神クンのコーヒー」

十神「……俺は自販機の飲み物なんぞいらん。不味いしな」

狛枝「そう? それは残念だ」

十神「それにお前、その手は何だ? 右手がインクで汚れてるじゃないか。まずキチンと手を洗ったらどうだ?」

狛枝「おっと……気を悪くしちゃった? ゴメンね、十神クン」

狛枝「オーディション……といえばさ、ひとつ面白いことがあるんだよ」

十神「何だ?」

狛枝「実はさ……超高校級のアイドル、舞園さやかさんがオーディションに参加しているんだよ」

十神「何だと?」

狛枝「せっかく仲間がいるんだし……顔でも見せたらどうかな?」

十神「まぁ、いいだろう。おい、狛枝。俺を早く案内しろ」

オーディション会場・控室

伊織「ちょっと! どこほっつき歩いてたのよ!」

狛枝「うわ、ゴメンゴメン」

十神「…………」

伊織「ってアレ? この人は?」

狛枝「ボクの友達だよ」

伊織「ふ~ん……。何よ、なかなかイケメンじゃない」

十神「当たり前だ」

狛枝(なんか……二人とも似た者同士だね)

舞園「狛枝君に……十神君?」

十神「久しぶりだな。舞園。お前こんなところで何をやっている?」

舞園「私、961プロに引き抜かれてIU大賞を目指すんです」ニコッ

狛枝「ボクも最初聞いたときは驚いたよ……」

伊織「まさか国民的アイドルがIU大賞を目指すために、競わなければいけないなんて思わないものね」

十神「…………」

狛枝「さっきから十神クン、様子がおかしいよ?」

十神「>>130

おしっこ

十神「……おしっこだ」ボソ

狛枝「……………………は?」

十神「…………だから、おしっこだ」

狛枝「…………………………は?」

舞園「あの、十神君……どうしたんですか?」

伊織「うわっ…………」

狛枝「……行ってくればいいんじゃないかな? ボクは君の親じゃないんだからさ……それぐらい自分でどうにかしてよ」

伊織「ちょっと! だったらもじもじしてないで、さっさとトイレ行きなさいよ!」

十神「だが……俺は便座でないと出ないし、ウォシュレットが」

伊織「男なのに情けないわね! それにその場合はウォシュレットは使わないわよ!」

十神「い、行ってくる……」タッタッタ

狛枝(……水瀬さんの前だと、とことん残念だね。これから十神クンのあだ名は残神クンとかなるかな?)

狛枝「……残神クンのことはほっとこうか」

舞園「そ、そうですね」

伊織「バッカみたい!」

狛枝「……お、そろそろ時間のようだ」

伊織「もうそんな時間なのね……。いいわっ、さくっと勝ってきちゃうんだから!」

舞園「私だって負けませんよ! 水瀬さん」

狛枝(……二人とも、笑顔になっているようだね)

狛枝(きっと競い合うことで友情みたいなのが芽生えたんだろうね)

狛枝(……あぁ、美しい友情だね)


伊織「終わったわよ! プロデューサー!」

狛枝「お疲れさま。水瀬さん、すごくいい出来だったよ」

伊織「当然優勝よっ!にひひっ」

狛枝「きっと……舞園さんといい勝負をしていると思うよ」


数分後


伊織「ちょ、ちょっと緊張するわね……」

狛枝「ボクもドキドキするよ……」

審査員「それではオーディションを発表の結果を発表します。全50組中、合格者は2名です」

水瀬伊織 >>137
舞園さやか >>140

1

審査員「今回の合格者は――1位の舞園さやかさんと、2位の水瀬伊織さんです!」

伊織「や、やったわ! プロデューサー!」

狛枝「うん! 素晴らしいよ! 今回は相当アウェイだったはずなのに、良く頑張ったよ!」

伊織「でも……残念なのは、さやかに勝てなかったことね」

舞園「伊織ちゃん! 合格おめでとう!」

伊織「なによっ! さやかは優勝でしょ! 次は負けないんだから!」

狛枝「? ……黒井社長? 何だか上機嫌だね……」

黒井「愛しのさやかちゃん、まずは優勝おめでとう。さすが私の見込んだアイドルだ」

伊織「きぃ~! 邪魔しないでよ!」

黒井「フン、まぐれで準優勝したくせに騒ぐな。所詮、弱小プロダクション。ウチのさやかちゃんには勝てないのだよ」

伊織「次は絶対にアンタ達を負かしてやるんだからっ!」

黒井「次は? ……ハッハッハ! 次もあると思っているのか?」

伊織「どういう意味よ!?」

黒井「フン、お前たちに話すことはなにもない! けど一つ言っておこう」

狛枝「……一体何かな?」

黒井「果たしてIU大賞までに、アイドルでいられるのかな……?」

伊織「何よ! あのオッサン!」

狛枝「さぁね……。でもあの口ぶりからすると、何か考えがあるのかもしれないよ」

伊織「アイドルを続けられなくなる? ……意味がわからないわよ!」

狛枝「でもボク達は確かに成長してるんだ! IU大賞までには……絶対勝つ力をつけよう!」

伊織「そうね! 負けてられないわ!」


狛枝(かくして、ボク達は765プロの事務所に戻った)

狛枝(舞園さんに勝てなかったのは悔しいけど、ボク達は確かに前へ進んでいる)

狛枝(きっと水瀬さんの希望の強さが――今回の勝利を呼び寄せたのかもしれないね)



一方、十神は

十神「……くそ……どこにもウォシュレットがないとは」

十神「おかげで近くのコンビニを4、5件回るハメになったぞ!」

十神「会場はこっちだったな」

十神「おい、狛枝。いるのか?」

スタッフ「あのぉ……」

十神「何だ!?」

スタッフ「オーディションはもう終わりましたけど……」

十神「……そ、そうか」

十神「くそっ……!まさかすでに終わっているとはな……」

十神「とんだハジをかいてしまったぞ」

パシャパシャ!!

十神「だ、誰だ!?」

十神「ちっ……パパラッチか……!」

十神「言ってくれればブロマイドをあげたものを……!」

一週間後、事務所にて

狛枝「さて、今日も営業日和といったとこかな」

狛枝「水瀬さんの人気は今やうなぎのぼり。きっとトップアイドルになるのも……時間の問題かもね」

真「プロデューサーさん!」

狛枝「キミは……菊地さん?」

真「大変なんです! ……伊織が! 伊織が!」

真「とりあえず、これを見てください!」

狛枝「これは……週刊誌だよね?」

真「はい……。それでこの表紙なんですけど」

狛枝「アイドル水瀬伊織、二大財閥の財力乱用――――これは……随分と酷い見出しだね。劣悪なボクでさえ、こんな見出しは思いつかないよ」

真「冗談を言ってる場合じゃないんですってば! このページ……見てください」


水瀬伊織は芸能事務所に、水瀬財閥と十神財閥から圧力をかけている。
なぜなら水瀬伊織の婚約者は、十神財閥のトップである十神白夜だからだ。


真「どうやら伊織当ての手紙が、オーディション会場に落ちてたのが決め手になったみたいです。それにオーディション会場には彼がいましたよね? その写真も載ってしまって……」

狛枝「あることないこと書かれてるね……。オーディションに勝てたのは親と婚約者の権力によるものだとか」

真「きっと……伊織は今、疑心暗鬼になっていると思います。伊織は自分の力でトップアイドルを目指していたのに、実は全て親の力が絡んでたのかもしれないって……」

狛枝「……そうだね。疑念っていうのは本当に厄介だ。どんなにオーディションに勝っていても、一つの疑念のせいでそれが本物の勝利だったのかわからなくなる」

真「それに……やっぱり勝手に婚約者を決められていたのもショック何だろうと思います」

狛枝「参ったね……絶望的だよ!」

真「プロデューサー! 伊織を助けてあげてください!」

狛枝「助けるねぇ……具体的には?」

真「なんかこう……元気づけるようなことを!」

狛枝「…………」

狛枝「でもさ、水瀬さんの希望ってこんなゴシップ記事で途絶えてしまうようなものなの?」

真「し、知りませんよっ!」

狛枝「だとしたらガッカリだよ……。彼女の希望がこの程度の絶望に負けるなんてさ」

狛枝「絶望を乗り越えてこそ、希望は輝くというのに」

狛枝「ボクはその希望の為なら、殺されたって構わないのにさ」

狛枝「やっぱり……彼女は希望を体現するのにふさわしくないアイドルだったのかもしれないね」

狛枝「残念だ……本当に残念だよ」

狛枝「彼女の希望の強さを――希望を体現するところを見たかったんだけどね」

真「何、訳のわからないことを言ってるんですか!」

狛枝「……そうだ、同じアイドルの希望を見るなら、舞園さんのプロデューサーをすればいいのかな?」

狛枝「彼女はああ見えて、弱いところがあるからね」

狛枝「自分の居場所はトップアイドルであることだから」

狛枝「アイドルの世界が舞園さんの居場所で、アイドルであることが存在意義」

狛枝「そんな彼女の希望の方が――きっと強いかもしれない」

狛枝「そうだ……。もう765プロのプロデューサーなんか辞めちゃおう」

狛枝「希望を強く持てない人をプロデュースなんて……茶番だよ」

狛枝「ボクにとってはただの拷問だ」

狛枝「961プロに移れば――舞園さんの希望を体現できるしさ」

真「……伊織をトップアイドルにするよりも、伊織の気持ちよりも――自分の信念が大事なんですか?」

狛枝「人聞きの悪いことを言わないでほしいね。ボクのこの気持ちは志じゃない。彼女達はアイドルを志しているけど、ボクの場合は存在意義なんだよ。人の希望を体現させるために、ボクはその土台となる。どう? わかりやすいでしょ?」

すみません。今日もここまでにします

おそらく明日か明後日に完結します

真「プロデューサー…………!」

>>157 「待て」

真「貴方……誰ですか!?」

狛枝「…………どうしてキミがこんなところにいるのかな?」

十神「フン、俺が誰だと? 愚問だな、俺は十神白夜だ!」ドタプ~ン

狛枝「十神……クン……?」

真「なん……だって……?」

十神「……フン、何を見ている。まぁ、いい。おい狛枝」ドタプ~ン

狛枝「……何?」

十神「話がある。ちょっと外に出ろ」ドタプ~ン

真「変態社長が……なんだか、すごい太ってるよ! わわわ……」

狛枝「……キミは十神クンじゃないね?」

十神「あぁ、俺は違うな。超高校級の詐欺師だ」ドタプ~ン

狛枝「で、わざわざ事務所に来たってのはただごとじゃないよね。何の用かな? 詐欺師クン」

十神「本物の十神白夜に代わって俺が来たんだ。ったく……ややこしいことになったな」ドタプ~ン

狛枝「本物の十神クンは……どうしたのかな?」

十神「>>164

獄中だ

十神「……現在、投獄中だ」ドタプ~ン

狛枝「な、何で? 十神クンが何か悪いことをしたっていうのかい!?」

十神「いや、何かの罪を被って投獄というわけではない。そこは安心してくれ」ドタプ~ン

狛枝「じゃあ、どうして投獄なんかしたの?」

十神「あの週刊誌の後、彼の方も大変だったんだ。十神白夜のmixi、ツイッター、Facebookは全て炎上したんだ」ドタプ~ン

狛枝「あ~……、そりゃあそうだよね。今回の記事では十神クンも風評被害にあったわけだし」

十神「そうだ。全くいい迷惑だ。会社の方には電話も来るし、嫌がらせもあるしな。全く……アイドルを偶像化しすぎだ。アイドルといえども一人の人間――まともに祝ってやる気はないのか」ドタプ~ン

狛枝「それで……十神クンの投獄とどうつながるのかな?」

十神「本物の十神は、その豆腐メンタルをこじらせ、『オレはもう外に出たくない』『俺の会社のトイレのウォシュレットが全てこわされた』『ツイッターで【エロ画像 アイドル】で検索しようとしたら、間違えてそれをツイートしてた』とかうわごとを言っているんだ」ドタプ~ン

十神「仕方ないから、本物の十神白夜を隔離させることにした」ドタプ~ン

十神「大変だったんだぞ!」ドタプ~ン

狛枝「そ、それはお疲れ様……」

豚神「仕方ないから、しばらくの間は俺が十神白夜だ」

狛枝「わかったよ、十神クン。よろしく」

豚神「そんなことより、本題だ。……お前はこれからどうするんだ?」

狛枝「ボク? ボクは水瀬さんのプロデュースを続けるよ。もちろん、それが彼女の希望ならね」

豚神「もし立ち直れなかったら?」

狛枝「そしたらボクはもう彼女のプロデュースは打ち止めだね。すごく心苦しいよ……」

豚神「フン、水瀬はプロデュース活動は順調だったのにな。……一体、なぜこうなったのだろうな? なぁ、狛枝?」

狛枝「何が言いたいの?」

豚神「あくまでシラを切る気か……。だけどこの十神白夜には全てお見通しだ!」

豚神「お前が……このゴシップ記事を作り上げたのだろう?」

狛枝「何のことかな?」

豚神「今回の事件を整理しよう。十神から聞いた話も交えてな」

豚神「まず……十神と水瀬の結婚を知っている人間は限られているんだ」

豚神「本物の十神、水瀬伊織の父親、菊地真……そしてお前だ。狛枝凪斗」

豚神「俺でさえ知らなかったんだ。今回のは極秘だったに違いない」

豚神「そしてその婚約の話を聞いた時、お前は思いついたんだろうな」

豚神「水瀬伊織をドン底に突き落とすことを」

豚神「そこでお前は一つの策を思いついた」

豚神「それは961プロの悪意だ」

豚神「まずお前は、婚約者である十神を呼んだんだ」

豚神「そうすれば周りの人間は自分の婚約者を見に来たと思うからだ」

狛枝「それは違うよ」ネットリ

狛枝「ちょっと待ってよ。まるでボクが婚約者の存在をオーディション会場の連中に見せつけた……。そういうんだね?」

豚神「そういうことになるな」

狛枝「でも、その考えはおかしいよ。その事実を知っていたのは、あの会場ではボクと十神クンだけなんだよ? ボクなんかが大声上げて叫んだとしても、信じてもらえるわけがないじゃないか!」

狛枝「それとも十神クン自身が、自分でリークしたっていうのかい?」

豚神「……なるほどな、それがお前の言い分か」

豚神「だがな……狛枝よ。そんなことは関係ないんだ」

狛枝「関係ない? 何が?」

豚神「どうして周りの人間が十神が婚約者と知らないのに、狛枝が十神を呼んだのか……だな」

豚神「それは……>>175だからだ」


1、黒井社長が知っていたから
2、十神の存在を印象付けるため
3、十神が自分で婚約者だと言った

これダンロンの裁判みたいな感じで、間違えたら正解に行きます
流れとかわかりづらかったらすみません

1

豚神「それは黒井社長も知っていたからだ!」

狛枝「……キミはさっき、自分で誰が知ってるか言ってたよね?」

豚神「なっ……!」

豚神「ふん、今のは冗談だ」

狛枝「本当かなぁ……」

豚神「お前は……十神の存在を印象付けるために、十神を呼んだんだ!」

豚神「いいか、十神はそもそも……十神財閥のトップなんだ。そこにいるだけで印象付けられるだろう」

狛枝「そうだね。その通りだ」

豚神「それに十神がオーディション会場近くのコンビニのトイレを――内股で探し回る姿も目撃された」

豚神「印象付けるには十分だ」

狛枝「十神クン……とことん残念だ……」

豚神「そして周りに十神の印象を植え付けたんだ」

豚神「この段階では、周りの人間が婚約をしていたとか、してなかったのかはどうでもいいんだ」

豚神「次だ。どうして婚約の情報が漏らされたかだ」

狛枝「……」

豚神「週刊誌のここを見るんだ」

豚神「ここに『水瀬伊織宛ての手紙が落ちていたことが、婚約の確証になった』……そう書いてあるな?」

狛枝「ウン、そうだね」

豚神「言っておくが……十神は書いていないぞ」

豚神「あのオーディション会場にいて、水瀬伊織の結婚を知っている人物……そいつが偽物の手紙を書いたんだ」

狛枝「おかしいね……一体誰なのかな?」


手紙を書いた人物は?

・水瀬伊織の父親
・十神白夜
・狛枝凪斗
・菊地真

安価>>184

こういうゲーム的な演出はいらないかもしれないな
どっちがいいんだろか

豚神「狛枝、お前しかいない」

狛枝「…………」

豚神「その証拠に……お前の手にはインクがついていただろう?」

豚神「あれはきっと手紙を書いた時についたもの……そうだろう?」

狛枝「さすがだよ! よく気づいたねぇ!」

狛枝「確かに……キミの言うとおり、ボクが偽物の手紙を書いたんだよ」

狛枝「でもさ、ボクの手紙なんかさ……書いたところで紙屑にしかならないよ?」

狛枝「あんな見るに耐えない字だよ? そんな手紙があったからって誰が本気にするの?」

豚神「…………真実はこの際どうでもよかったのだろうな」

豚神「拾った人間は恐らく961プロの関係者だろう」

豚神「765プロのアイドルの弱みなんだ。黒井が見逃すはずがない」

豚神「それに……お前はそれだけでは信じてもらえないと思ったから、十神をオーディション会場まで呼んだんだろう?」

豚神「手紙だけでは信憑性はないが、十神がそこにいたことでそれが確信に繋がった」

豚神「そうしてこのゴシップが出来上がったんだ」

豚神「敵視をしていた765プロの弱みを握ったんだ」

豚神「あとはあることないことを書けばいい」

豚神「水瀬伊織は自分の力で栄光を掴むと言っていたな」

豚神「今回の記事は、水瀬の覚悟を根底から覆してしまう記事だった。恐らく黒井はそこを突いたのだろう……」

豚神「そして狛枝……お前もそうなるのを見越していた」

豚神「こうして水瀬伊織の結婚騒動が完成されたんだ」

豚神「全てはお前の思惑通り……そうだろう、狛枝凪斗!」

狛枝「そうだね! ナイス解答だよ!」

狛枝「偽物の手紙を書いたのも、わざわざ十神クンを読んだのも、全てボクの仕業だ」

狛枝「きっと961プロならこれくらいのことをしてくれると思っていたけど……想像以上だね! 素晴らしいよ!」

狛枝「水瀬さんは今は絶望的だけど……でも彼女の希望が本物なら、きっと乗り越えてくれる! そのためにわざわざ絶望的な状況を作り出したんだから!」

豚神「お前は……相変わらずなな」

狛枝「ところでさ……ボクが手紙を落としたって言ってたよね?」

狛枝「あれって、全然関係ない人に拾われてたら捨てられてたはずだよね?」

狛枝「もし他の人間に拾われてたら、ボクの計画はそこで失敗……どうしてそんな方法を取ったんだと思う?」

豚神「それは……お前が超高校級の幸運だからだよ」

狛枝「ウン、そうだね……。正解だよ」

狛枝「ボクは信じていたんだ。きっと961プロの誰かが拾ってくれるってね」

豚神「そういうところも……変わらないな」

狛枝「さて……犯人がわかったところで、どうする? キミは……ボクをどうしたいのかな?」

豚神「まずは水瀬のアフターケアだ。水瀬が一番悩んでいることはオーディションが全て仕組まれていたとおもっていることだ」

豚神「そして彼女の知らないところで婚約者が出来ていたことだ」

豚神「狛枝も婚約者のことは知っていたんだ……。お前に対して心を塞ぐのも無理はない」

豚神「知らないものほど怖いものはないんだ。それにまだ彼女は14歳……多感なんだよ」

豚神「だから水瀬伊織は俺が導いてやる。……絶対にな」

豚神「狛枝……俺に一つ提案がある。いや、提案と言うより命令だ」

狛枝「ウン、何かな?」

豚神「お前は水瀬伊織のプロデューサーを辞めろ。そしてこの俺が引き継ぐ」

狛枝「!?」

狛枝「ちょ、ちょっと!? そんなのは酷いよ!」

豚神「何が酷いだ……。お前のしてることの方が酷いだろう」

狛枝「で、でも!!」

豚神「くどいぞ! これから水瀬伊織を立ち直らせるのに、お前がいたら酷いことになりかねん!」

狛枝「ぐ、ぐうぅ……」

狛枝「じゃあさ……ボクとゲームしようよ。それで勝った方が彼女のプロデューサー……。どうかな?」

豚神「何だと?」

狛枝「ボクだって彼女と一緒に活動をしてきたんだ。おいそれとは引き返せないよ」

豚神「いいだろう。ならば受けてやろう。十神家に敗北の文字はないんだからな」

狛枝「ルールを説明しようか。ここにストップウォッチがある。コンマ以下の数字が、ボクの指定した範囲の数字なら、ボクの勝ち」

豚神「なるほど、それ以外なら俺の勝ち……だな?」

狛枝「そうだね……ボクの指定する数値は0~49と言いたいけど、ここは0~20にするよ!」

豚神「何だって!?」

狛枝「キミに対してのハンデだよ。じゃあ、始めるよ」

狛枝「……コンマ以下の数値は>>199だね」


ルール

0~20 狛枝が水瀬伊織をプロデュース
21~99 豚神が水瀬伊織をプロデュース

豚神さんは高級レストランよりもファーストフードの素晴らしさを説いて、
マックに連れて行ってくれるよ

狛枝「……コンマ以下、63だね」

豚神「つまり、俺がプロデュース……そういうことでいいんだな?」

狛枝「そうだね……。仕方ないけど、ボクの負けだ」

豚神「ならばそうさせてもらおう。水瀬伊織のプロデュース、これからこの俺が引き継ごう」

狛枝「そうだね! 頑張ってね! 応援してるよ!」

豚神「それと狛枝……。一つ忠告しておくが、あまり才能に溺れるなよ?」

狛枝「……その忠告、頭に入れておくよ」

さて、どうしよう

今日はここまでになります。
一応プロデューサーが変わったとはいえ、狛枝のスレなので狛枝視点でいきます

狛枝「さてと……これでボクは水瀬さんのプロデューサーから外れちゃったわけだけど」

狛枝「もちろんボクとしては、そのまま見過ごすわけにもいかないよね」

狛枝「彼女の希望の強さ――それを見ないと、この計画を仕組んだ意味がないからね」

狛枝「うーん、彼女のケアは偽十神クンに任せて……ボクは何しようかな?」

>>207

>>205

狛枝「……ウーン、やっぱり気になるのは十神クンの投獄だよね」

狛枝「彼自身、このスキャンダルをどう思っているのかな?」

狛枝「ボク自身が仕掛けたスキャンダルだから、ものすごい心が痛むけど……でも、それも水瀬さんの希望の為だ!」

狛枝「早速十神クンに会いに行こう」

狛枝「やあ、十神クン。会いに来たよ」

十神「ブツブツブツ……」

狛枝「……十神クン?」

十神「な、なんだっ!? ……狛枝か」

狛枝「気になったんだけどさ、どうして投獄なんかしてるの?」

十神「フン、お前は知ってるだろう? 俺のmixiやツイッターは全て炎上した」

狛枝「うんうん」

十神「外では石を投げられ、ネットでは『エロ画像を検索した御曹司』と罵声をくらい、家ではいたずら電話……」

十神「もはや、地下の牢獄にいるほうが身の安全だと思ってな。戦刃に隠れ場所を聞いたら、防空壕をオススメされてんだが、近くに防空壕がないから地下の牢獄で代用した」

狛枝「う~ん……その発想には至らないと思うけどね」

十神「……で、お前はここに何をしに来た? 水瀬のプロデュースをしてたんじゃなかったのか?」

狛枝「それがさぁ……聞いてよ十神クン。彼女のプロデュースの仕事、もう一人の十神クンに取られちゃったよ。ボクがふがいないせいだね」

十神「アイツか……。まぁアイツに任せておけば、問題ないだろうな」

狛枝「そうだね。きっとボクなんかより素晴らしいプロデュースをしてくれるよ!」

狛枝「さて、本題に入ろっか」

十神「何だ?」

狛枝「……キミは水瀬さんとの婚約、どう思っているのかな?」

十神「それはどういう意味だ?」

狛枝「水瀬さんを一人の人間として……だよ」

十神「>>213

まあ嫌いではない
後良いことを教えてやろう
俺以外にも765プロのアイドルとの結婚の噂が流れて居る奴が居る

萩原雪歩と九頭龍冬彦だ

十神「まあ、嫌いではないな。むしろあのぐらいの年齢はストライキ……ストライクと言ってもいい」

狛枝「噛んだね」

十神「噛んだな」

狛枝「なるほどね。まあ、あわよくばキミは水瀬さんと結婚してもいいと……そういうことだね」

十神「それといいことを教えてやろう」

狛枝「何かな?」

十神「九頭竜冬彦とお前のところのアイドル、萩原雪歩も結婚の噂が流れている」

狛枝「それは……驚いたよ」

十神「どうだ? いい情報だろ?」

狛枝「で、それは誰から聞いた情報かな?」

十神「何?」

狛枝「もちろん……ソースはあるってことでいいんだよね?」

十神「はっ、俺が嘘をついているとでも?」

狛枝「ウン、そうだね」

十神「……」

すみません。頭が回らないので今日はここで打ち止めします

狛枝「超高校級の御曹司の才能を持つキミが……そんなウソをつくなんて驚きだけど、それは違うよ」

十神「フン、俺のウソをよく見抜いたな?」

狛枝「ま、気持ちはわからなくもないよ。様々な情報を織り交ぜ、スキャンダルをでっちあげようとしたんだよね?」

十神「チッ……」

狛枝「そして……そういうデマを流すことによって、彼女ーー水瀬さんのスキャンダルを埋れさせようってわけだよね?」

十神「…………」

狛枝「そうすることで彼女に対する世間の目を逸らそうとした……で、いいんだよね?」

狛枝「超高校級の御曹司の才能を持つキミが……そんなウソをつくなんて驚きだけど、それは違うよ」

十神「フン、俺のウソをよく見抜いたな?」

狛枝「ま、気持ちはわからなくもないよ。様々な情報を織り交ぜ、スキャンダルをでっちあげようとしたんだよね?」

十神「チッ……」

狛枝「そして……そういうデマを流すことによって、彼女ーー水瀬さんのスキャンダルを埋れさせようってわけだよね?」

十神「…………」

狛枝「そうすることで彼女に対する世間の目を逸らそうとした……で、いいんだよね?」

狛枝「キミは……キミなりに水瀬さんを救おうとしている。でもキミには……その打開策がわからない」

十神「…………あぁ、そうだ」

狛枝「というと、キミはやっぱり水瀬さんが……」

十神「ハッ……笑うか? なら笑えばいい」

狛枝「笑わないよ。それがキミの希望によるモノならね」

十神「まったく……皮肉な話だ。俺は数字の予想は出来るが、一人の女の気持ぎ……気持ちすらわかってやれない」

狛枝「十神クン……」

十神「…………」

狛枝「大事な場面でかんじゃったね」

狛枝(とことん残念だよ……)

狛枝「もしも……キミが本当に水瀬さんのことが心配なら、潔癖を証明しないとね?」

十神「何?」

狛枝「水瀬さんは君の圧力があったと思っているんだ。なら、キミ自身がそれを証明しなくてはならない」

十神「もとはと言えばお前のせいだろう!」

狛枝「まぁ、そうなんだけどね。でも何もしてないことを証明するのって、何かをしたっていう証拠を見つけるより……はるかに難しいよ?」

十神「元より承知だ。俺を誰だと思っている?」

十神「俺は超高校級の御曹司だぞ?」

狛枝「さて、釈明会見を十神クンが開くとして……問題は水瀬さんがこの絶望に立ち向かえるか、だよね」

狛枝「ボクが勝手にスキャンダルを造っちゃって、非常に申し訳ない気分だよ……」

狛枝「でも、彼女の希望が本物なら、これくらい乗り越えられるよね?」

狛枝「そういうことで、ボクは水瀬さんの家に行くことにしよう」

狛枝「今は偽十神クンが水瀬さんのアフターケアをしてるんだよね?」

狛枝「多分彼のことだから、ボクがスキャンダルを作り上げたことは黙ってるはずだ」

狛枝「だってそんな事実を突きつけたら、余計に動揺しちゃうもんね!」

狛枝「……でも、ボクが結婚について黙っていたのはとがめられそうだね」

狛枝「ま、いいや! とりあえず会ってみよう!」


~水瀬家・玄関前~

狛枝「……アレ? あそこにいるのは偽十神クン?」

豚神「こ、狛枝!? なぜ貴様がここに!」

狛枝「会いに来ちゃった」

豚神「フン……」

狛枝「それより、水瀬さんの様子はどうだった?」

豚神「>>228

取り繕ってはいるが内心は動揺しているだろう

豚神「俺と会った時は平然としていた。スキャンダルなんて関係ないわよ……そう言っていたな」

狛枝「アハハ、素晴らしいよ! 彼女の希望は本物だったってことだよね?」

豚神「ちっ……お前と言うやつは……!」

豚神「だが、水瀬の態度は一貫してそわそわしていた。……取り繕ってはいたが、内心は動揺していたのだろうな……」

豚神「アイドルとしては十分だ……。強いな、水瀬は」

狛枝「なるほど……。でも嬉しいよ! 彼女がこれくらいのことで絶望しないなんて!」

狛枝「絶望を乗り越えて、希望は輝きを増すんだ! ……でも、そうすると、彼女はまだ絶望を乗り越えていないね」

豚神「おい、下手なマネはするなよ。お前がいるとめちゃくちゃになる」

狛枝「そんな! ボクはただ水瀬さんが心配なだけだよ! もちろんこんなゴミの価値すらないボクが心配するのもおこがましいけど、彼女はいずれトップアイドルに立つ人間なんだ!」

狛枝「そんな顔しないでよ。それにボクは水瀬さんのプロデューサーだったんだ。少なからず話したいこともあるんだよね」

豚神「チッ……仕方ない。折衷案だ、俺も一緒に水瀬のところにいくぞ」

狛枝「わかった。それでいいよ」

豚神「変なことをしたら、力づくでも止めるからな」

狛枝「大丈夫だよ。じゃ、いこっか」

豚神「チッ……仕方ない。折衷案だ、俺も一緒に水瀬のところにいくぞ」

狛枝「わかった。それでいいよ」

豚神「変なことをしたら、力づくでも止めるからな」

狛枝「大丈夫だよ。じゃ、いこっか」

伊織「あ、アンタ達、どうしたのよ!?」

豚神「こいつがどうしても話したいって言ってな……」

狛枝「や、水瀬さん、お久しぶり。どう? 調子は?」

伊織「ふん、これくらいのスキャンダル、どうってことないわよ?」

狛枝「そう、なら安心したよ」

伊織「ところでアンタ……黙ってたわね?」

狛枝「黙ってた? 何がかな?」

伊織「そこの男と私が婚約していたってことよ!」

狛枝(あ、そうか……水瀬さんは彼が本物の十神クンだと思っているんだ)

狛枝「……そのことについては謝るよ。言い出すタイミングがなかったんだ。オーディション前に打ち明けると余計な動揺をさせる……そう思ったからね」

伊織「じゃあ、もしかして……あの噂も本当なの?」

狛枝「あの噂?」

伊織「そこの男とパパが芸能事務所に圧力をかけていたことよ!」

伊織「私のやってたことは…………ぐすっ…………全て無駄なことだったの?」

伊織「私が……自分の力で…………アイドルになると決めてたのにっ……ぐすっ……結局、権力に頼っていたというの……?」

狛枝「それはちが――――」

豚神「それは違うぞ、水瀬伊織」

豚神「俺は超高校級の御曹司――十神白夜だ」

豚神「いくらお前が俺の婚約者だからとはいえ、俺はそんな汚い真似はしない! 断じてだ!」

伊織「本当……なの……?」

豚神「そんなことをしてお前が喜ぶか? そんな形でお前をトップアイドルにして、俺はよろこぶか?」

豚神「答えはノーだ!」

豚神「トップアイドルの栄光は――お前自身で掴まなければ、何の価値もない!」

豚神「だからお前は……そんなスキャンダルは忘れろ」

豚神「このスキャンダルは――俺達が晴らしてやる。だからお前は全力で活動しろ」

豚神「約束しよう。必ず俺達が導いてやるとな」

伊織「その……結婚とかは、どうすれば……」

豚神「確かに俺は結婚を申し込まれたな。だが――本当に大事なのはお前の気持ちだ」

豚神「いいか? お前の本当の気持ちを、父親に伝えるんだ。――そうすれば、必ず伝わるさ」

伊織「…………」

豚神「――――おい、お前からも何か言ってやれ」

狛枝「あれ? この空気って、明らかにボクは邪魔者だよね? そんな中、ボクが何か言っていいの?」

豚神「何を言っている。俺達がどうにかするって言っただろう」

豚神「その中にはお前も含まれてるんだよ」

狛枝「アハハ、じゃあ部外者だけど、ボクからも少し口を出そうかな」

豚神「何を言っている、プロデューサー」

狛枝「え?」

豚神「ちっ、腹が立つが、どうやら水瀬はお前のことをプロデューサーだと思っているようだ」

狛枝「いや、でも交代をするって」

豚神「確かにな……。水瀬に全てを話して、代わってもよかったが……。お前と共に過ごしてきた時間が忘れられない……そんな気持ちが伝わるんだ」

狛枝「ということは、全部話して」

豚神「ないな」

狛枝「そっか……」

豚神「お前と一緒にトップアイドルを目指すことが――水瀬伊織の希望なんだよ」

狛枝「水瀬さん……これから色々大変だけど、ボクと一緒にトップアイドルを目指そう」

伊織「…………アンタ、やっとそう言ってくれたわね……」

伊織「プロデューサーは私を応援してくれたけど……いつだって、二人で目指そうって言ったことはなかったわ」

狛枝「…………」

伊織「…………しょ、しょうがないわね……。アンタがそこまで頼むんなら、私も最後まで付き合ってあげるわ!」

伊織「感謝しなさいよね! バカプロデューサー! にひひっ♪」

豚神「……いいか、狛枝」

狛枝「?」

豚神「今回はお前のしたことに目を瞑ってやるが」

豚神「次はないと思え。次こそは……俺も許さんぞ」

狛枝「そうだね。肝に銘じておくよ」

狛枝(水瀬さんは、このスキャンダルを無事に乗り越えることが出来た)

狛枝(十神クンと偽十神クンが会見を開き、そのような事実はないと述べた)

狛枝(そのおかげかわからないけど、彼女は以前よりやる気をだし、順調にIU予選を突破した)

狛枝(そして――IU決勝を迎えた)

伊織「き、緊張するわね……」

狛枝「でも本当にIU決勝まで来たね……。ボクとしてはここまで来たんだと感慨深いよ」

伊織「何言ってるのよ! ここで喜ぶのは、早いわ!」

狛枝「そうだね……」

舞園「あっ、伊織ちゃん!」

狛枝「舞園さん!」

伊織「さやか!」

舞園「見かけたから声をかけようと思って……」

狛枝「もしかして舞園さんも緊張してるの?」

舞園「少し緊張……しますね」

舞園「でも、私――負けませんから。……誰にも」

伊織「それは私も同じよ。悪いけど……今日はさやかには負けないわ」

舞園「フフッ、楽しみにしてますね」

狛枝「ここまで来るのに……時間がかかったね」

伊織「長かったわね……」

狛枝「色々あったからね。でも、水瀬さんと会ったのが一年前だなんて思えないよ……」

伊織「そうね……。最初のころのアンタは頼りなさそうに見えたのに、今は立派なプロデューサー……。私がきっちり教え込んだ甲斐があったわ!」

狛枝「アハハッ……」

狛枝「さ、そろそろ本番だね」

伊織「じゃあ、プロデューサー……行ってくるわ!」

豚神「……ついに始まったか」

狛枝「おわ! 十神クン、いつの間にいたの!?」

豚神「先ほど来たばかりだ。……しかしまぁ、何事もなく、無事にここまでこれたな」

狛枝「うん、きっと彼女の希望は本物だった……そういうことだね」

豚神「そうだな……」

豚神「ところで狛枝……。結婚の話はどうなったんだ?」

狛枝「その話は……水瀬さんがトップアイドルになったら、父親に断るんだってさ」

豚神「……水瀬らしいな」

伊織「終わったわ!」

狛枝「お疲れ様、すごく良かったよ」

伊織「……あれ? さっきまで十神がいなかった?」

狛枝「彼はもう……帰っちゃったよ」

伊織「そう……。十神にも結婚のことは直接言いたかったのに……」

狛枝「あっ、そろそろ発表よ! 水瀬さん!」

審査員「今回のIU大賞に輝いたのは――――!」

伊織「き、緊張するわね……」

狛枝「大丈夫だよ。水瀬さん……キミなら」

審査員「エントリーNO.5 水瀬伊織さんです!」

伊織「――――――!!」

狛枝「やったね! 水瀬さん!」

伊織「…………やった! やったわ! ぷろでゅうさぁ……ぐすっ……えぐっ」

狛枝「ほら、これで涙ふきなよ」

伊織「な、泣いてなんか……ないわよっ」

舞園「伊織ちゃん……」

狛枝「舞園さん……」

舞園「その、優勝おめでとうございます」

伊織「あ……ありがとう……ぐすっ」

舞園「やっぱり……こうして負けちゃうと悔しいですね」

舞園「私……今まではアイドルとしての自分が、私の居場所だと思ってました」

舞園「だから負けるのは、私の居場所を奪われる気がしてたんですけど」

舞園「でも、伊織ちゃんと出会って――私、良かった」

伊織「さやか……」

舞園「私とあなたは敵同士だったけど……それでも、私には大切な友達が一人できたわ」

狛枝「それはもしかして……」

舞園「水瀬さん……これからも私と友達でいてくれるかな?」

伊織「もちろんじゃない! 私とさやかは友達に決まってるわ! にひひっ♪」

狛枝「かくして、水瀬さんは見事トップアイドルに輝いた」

狛枝「きっと今の称号は、彼女が希望を持ったからここまでこれたんだね」

狛枝「どんな絶望的試練も、希望を持って進むことが出来た」

狛枝「本当に……水瀬さんのプロデュースができて、ボクはとっても幸運だったよ!」

狛枝「そういうわけで、水瀬伊織のプロデュースは幕を閉じた」


――エピローグ

狛枝「本当に断るのかい? 十神クンと結婚できれば、玉の輿になれるっていうのに」

伊織「は、はぁ!? 私がどうして結婚しなきゃいけないのよ! しかも体型コロコロ変わって、わけがわからないわ!」

狛枝(それは偽物だから……)

伊織「それに私は、自分で選んだ人と結婚するのよ! パパにどうこう言われたからって、私の意見は変わらないわ」

狛枝「自分で選んだ人ね……水瀬さん、もしかしてそういうふうに思える人がいるのかな?」

伊織「…………」

狛枝「?」

伊織「じ、実は、私、プロデューサのことが」

狛枝「えっ?」

伊織「……なんて、嘘に決まってるじゃない! もしかして本気にしちゃったのかしら?」

狛枝「なっ……」

伊織「アンタみたいなさえないプロデューサー……私と結婚なんて100年早いわよ!」

狛枝「そうだよね……ボクみたいな蛆虫が」

伊織「そこまで言ってないわよ!」

伊織「そう言えば……前に頼りないプロデューサーって言ったけど、それは訂正してあげるわ。にひひっ♪」


おわり

以上で、狛枝PのSSはおわりです。ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom