P「ばけもの」 (59)

アメリカ──空港

「Good-bye P!」

P「Good-bye!」

P(長かった海外研修もようやく終わった……)

P(やっとみんなの所に帰れるな。最近あんまり連絡とってなかったから楽しみだ)

P(若干予定より早く終わったから、まだ皆に帰るって伝えてないけど……まあいいだろ、サプライズだ)

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日本──空港前

P「タクシー!」

キキッ

P「すいません運転手さん、765プロまで」

「……あんた、外国行ってたのかい?」

P「え? あ、はい」

「そうかい……じゃあ、知らねえのも無理はねえな」

P「……え、どういう意味ですか?」

「今、765プロのある辺りは壁で遮られてるんだ。徒歩なら入れるが、車じゃ入れねえ」

P「か、壁? なんでそんなことに……」

「一か月ほど前に、『1G-MAEウイルス』ってのがバラまかれちまったらしくてな……」

P「う、ウイルス?」

「ああ、それでそのウイルスを完全に除去するまでは、隔離するんだとよ」

P「……それで、未だに除去できてないんですね?」

「未知のウイルスなもんで、除去するのに時間がかかる……テレビではそう言ってる。だが、噂ではそうではないらしい」

P「噂?」

「なんでも、そのウイルスに感染した者は、化け物になってしまうらしい。それで、そいつらを排除するのに手間どってるって話だ」

P「ば、化け物?」

「ま、未だにそんなものを見たってやつはいねえけどな」

P「……じゃあ、別に中の人は無事なんですね?」

「おそらくはな」


「ほら着いたぜ」

P「ありがとうございました」

P(みんなが心配だ……電話も通じないし、早く会って無事を確認したい)

壁の前

「最後にもう一回確認しますが、一度ここに入ればウイルスの除去が終わるまでは出られません……それでもいいんですね?」

P「はい」

「……では、どうぞ」

P「ありがとうございます」

P(割とあっさり入れたな……もうちょっと手間どるかと思ってたけど)

P(まあいい、それよりも今はみんなが心配でしょうがない……)

壁の中

P「…………」

P(普通だな……とくに除去作業が行われてる様子もない。そして……)

P「人がいない……」

P(もしかして、化け物の噂は本当なのか……?)

「ぴれでぃーこーこを」

P「え?」

P(後ろに何か──)ガンッ

P「がっ……!」

P(な、殴られ……! い、意識……が……)

「…………」

────
───
──

P「……はっ!」

ガバッ

P「こ、ここは……?」

P(知らない部屋だ……)

「目が覚めましたか?」

P「!」バッ

春香「ひさしぶりですね! プロデューサーさん!」

P「は、春香……!」

春香「はい! あなたの天海春香ですよ!」

P「いや、俺のにした覚えはないけど……それより、どうなってるんだ? 俺は、たしか誰かに殴られて……」

春香「はい、プロデューサーさんは化け物に殴られて気を失ってたんです。たまたま通りがかった私が助けてなきゃ、今頃死んでましたよ?」

P「化け物……じゃあ、やっぱりここは化け物がいるから封鎖されてたのか」

春香「はい、そうです」

P「……それで、みんなは? というか、ここはどこだ?」

春香「ここは、誰かの家です。住人がいないみたいなんで、私が使わせてもらってるんです」

P「そうか、それで……みんなは?」

春香「…………」

P「……春香? ま、まさか……」

春香「……大丈夫です。みんなを救う方法はあります」

P(やっぱり……みんなは既に化け物になっていたのか)

P「……教えてくれ、みんなを助けるにはどうすればいいんだ?」

春香「プロデューサーさんは、みんなを捕まえてきてください。そうすれば、私がなんとかします」

P「捕まえるったって……化け物なんだろ? かなり強いんじゃ……」

春香「いえ、そんなことはありません。強いどころか、むしろ弱いです。武器を使ってこない限りは、大丈夫です」

P「……? じゃあ、なんで春香は今まで一人だったんだ? 簡単に連れてこれるなら、春香一人でもなんとかできたんじゃ……」

春香「…………」

P「……ああ、すまん。一人にされちゃったんだもんな……寂しかったし、つらかったよな」

春香「……はい」

P「もう大丈夫だ、俺がついてる。二人でみんなを救おう」

春香「プロデューサーさん……ありがとうございます!」

765プロ近く

P「……765プロの事務所に、みんながいるなんて」

P(化け物になったら、人間だったとき思い入れのある場所に住みたがるのか?)

………
…………
……………

春香『じゃあ、みんなを助けにいくうえで注意しておくべきことを言いますね』

P『注意しておくべきこと?』

春香『まず一つ……道を歩いてる軍服の化け物には気をつけてください』

P『軍服の化け物?』

春香『はい、たまに歩いてるんです。多分、元自衛隊だと思うんですけど……銃を持ってるので要注意です』

P『なるほど……次は?』

春香『次はですね……みんなを捕まえるのは、できるだけ一人の時を狙ってください』

P『ああ、捕まえそこねたやつに逃げられないようにだな?』

春香『そういうことです。そして最後に……できれば、今日中に終わらせてください』

P『今日中?』

春香『一気にやってしまわないと、どこか別の所に隠れてしまうかもしれないので……』

P『ああ、なるほど』

春香『というわけで、はいどうぞ』

P『ん? これは……』

春香『ロープですよ! ロープ!』

P『見れば分かる。つまり、捕らえたそばからこれで縛って、全員捕らえてから帰ってこいってことだな?』

春香『はい!』

………
…………
……………

P「とはいえ……なかなか誰も出てこないな」

P(この分じゃあ、今日中なんて無理じゃないか? ……ん)

「…………」

P(出てきた……!)

P(あれは……真か? なんとなく、そんな感じだ)

P(真は、なんか強そうだけど……春香を信じるしかないか)ダッ

「……!? び、びこやは!」

P(相変わらず化け物は何言ってるか分からないな……とにかく、一気に決める!)

「さは……! きおるえつぬすつ──!?」

P(……?)

「ぺ、ぺわでぇーしー……?」

P「うおおおっ!」バゴッ

「に、にあど……」ドサッ

P「……ふう」

P(確かに弱いな……一発で気を失ったぞ)

P(……しかし、何かに驚いていたようだが……?)

P「……まあいい。さっさと縛って──」

ブー ブー

P「ん?」

P(これは……まさか携帯のバイブか?)

P「……やっぱり」

P(機種変したのか? 以前使ってたのとは違うようだが……というか、化け物でも携帯を使う知能があるのか?)

P「とりあえず、受信したメールを見てみるか……」

『From雪歩
やっぱり伊右衛門じゃなくて綾鷹で』

P(……選ばれたのは、綾鷹でした)

P(じゃなくて、えっと、これはどういうことだ?)

P(化け物になっても意志疎通はとれている……しかも、携帯では普通の言葉を使っているのか)

P(それと文面を見るに、どうやらこの真だったものは食料の調達に来ていたということか)

P「……知恵は、人間並ということかな?」

P(……待てよ、こいつらが携帯でコミュニケーションをとれるということは──)

誰かの家

P「ただいま」

春香「あ、お帰りなさいプロデューサーさん。うまくいったみたいですね」

P「ああ。こいつら携帯使えるらしくてな、最初にとらえた真の携帯を使ってメールでみんなをおびき寄せたら簡単だったよ」

春香「そうだったんですか。じゃあ、あっちの部屋で作業してきますね」

P「俺に手伝えることはあるか?」

春香「あ、いえ……プロデューサーさんは逃げないようにここで見張っててください」

P「分かった」

春香「じゃあまずは……やっぱり千早ちゃんかなー」ガシッ

ズルズル……

P(しかし、どうやって元に戻すんだろう。ていうか、なんで春香が元に戻す方法を知ってるんだ?)

P(……ちょっとだけ、覗いてみようかな?)

「あ……ささばさ? ……ふぅ!? び、びこやは!?」

P「ん? ああ、元伊織が目を覚ましたのか……また眠らしとくか」

「い、いあち……やすきすと、ぺわでぇーしー?」

P(いやまてよ。こいつら、知能は高いんだよな……ちょっとコミュニケーションとってみるか?)

P「伊織、俺だ……分かるか?」

「にあど……にあどいあちぎささぬうれはら! きおてとけれにりろありけけりううろにしうら!びきぃ!」

「たえせろび……いあちみどびこやはぬしろぜぬせあぞはぬ!」

P(……駄目だ。何を言ってるのかさっぱりだ)

P(ん、そういえばこいつら、携帯では普通の言葉使ってたな……もしかして、筆談ならできるんじゃないのか?)

P「えっと紙とペン……お、あったあった。ほら伊織、なんか書いてみろ」

P(手は前で縛ってあるから、文字ぐらい書けるだろ)

「……!」

P(お、なんか書き始めた……なになに?)

P「……な、ん、で、あ、ん、た、が、こ、ん、な、と、こ、ろ、に──」

春香「何してるんですか? プロデューサーさん」

P「うおっ!? ……なんだ、春香か。いやちょっとな、もしかして筆談できるんじゃないかと思ってさ」

春香「駄目です。そんなことしないでください」パッ

「……!」

P「あっ、おい。せっかくなんか書いてたのに」

春香「どうせもうすぐ変えるんだからそんなことする必要ありませんよ」

P「まあそうだけどさ……あ、そういえば千早はどうしたんだ?」

千早「呼びましたか? プロデューサー」

P「ち、千早! 戻ったのか!」

千早「ふふっ……ひさしぶりですね」

P「ああ……そうだな」

春香「じゃあ、千早ちゃんもプロデューサーさんと一緒に見張ってて? 私は伊織を変えるから」

千早「ええ、分かったわ」

P「なあ春香、どうやって元に戻してるんだ?」

春香「トップシークレットですよ! トップシークレット!」

P「ええー……」

春香「心配しなくても、そのうち教えますよ。今は早くみんなを変えなくちゃいけませんから」

P「……まあ、そうだな」

─────
────
───

春香「……ふう、最後の社長も無事に終わりましたよ」

社長「ひさしぶりだね」

P「お久しぶりです……これで、みんな揃ったな!」

小鳥「そうですねー」

美希「ハニー……んー! ひさしぶりのハニーの匂いなの!」

P「おいおい美希、いくらひさしぶりだからってくっつきすぎだぞ?」

響「そうだぞ! そろそろ離れろ!」

美希「ヤ!」

あずさ「うふふ~、こんなに元気な美希ちゃんはひさしぶりね~」

貴音「そうですね……やはり、恋しかったのでしょう」

真美「もー! ミキミキばっかりズルいよ!」

亜美「そうだー! 亜美達にも抱きつかせろ!」

やよい「うっうー! やっぱり、みんな一緒が一番ですー!」

雪歩「うん、そうだね」

真「伊織……いつまで拗ねてるのさ?」

伊織「……うるさいわね」

P「まあ、何はともあれみんな戻れてよかった! 後は早くウイルスが除去されるのを待つだけだな!」

律子「ん? ねえ春香、あんたまだプロデューサーに教えてなかったの?」

春香「あー……そうですね。そういえばそうでした」

千早「駄目よ春香、こういうことは早めに伝えておかないと」

春香「そうだね……あの、プロデューサーさん!」

P「なんだ?」

春香「私たち、実は──」




P「……え?」


終わりです
思いついたまま勢いで書いたものなのでミスってるかも
何か質問があればどうぞ

弟たちが怖くて眠れなくなりました!
どうしてくれるんですか!!
責任とって、グッドエンドを書いてください! うっうー!

誰か翻訳してくれ

P(……待てよ、こいつらが携帯でコミュニケーションをとれるということは──)

P(いやそれこそ待て。よく考えると、おかしいことだらけだ)

P(真が、食料の調達をしようとしてたのはまあいい。だが、綾鷹? そんなものを、どこで手に入れる気だったんだ?)

P(店にしかない筈だ……つまり、真はどこかの店、おそらく近くのローソンに行こうとしていた)

P(だが、これほど弱い化け物が単独で強盗? できるわけがない)

P(そもそも、春香ですら元に戻せるのなら、何故自衛隊あたりがさっさと化け物を元に戻していないんだ?)

P「…………」

誰かの家

P「……ただいま」

春香「あ、お帰りなさい。あれ?手ぶら? なにかあったんですか?」

P「なあ春香、本当のことを話してくれ」

春香「……? どうしたんですか、いきなり」

P「俺達は、人間なのか?」

春香「……!」

P「俺達が人間だとすると、おかしいことだらけなんだよ……なあ、本当のことを教えてくれないか?」

春香「…………」

ぴれづぃーこーこを
じゃねぇのか

春香「……はあ。やっぱり駄目だったかぁ」

春香「そうですよ、本当は私たちは人間じゃなくて……化け物です」

P「……俺がここに来てすぐ襲ってきたのは、お前だな?」

春香「はい」

P「目が覚めた時、俺は既に……」

春香「はい、化け物でした……私と同じ」

P「……そうか」

春香「知りたいことはそれだけですか?」

P「いやまだだ……春香、お前はどうして化け物になったんだ?」

春香「他の化け物に襲われたんです」

P「……そいつは、今どこに?」

春香「殺しましたよ。私の体が目当てだったらしくて……私を化け物にしたあとに、性的な意味で襲ってきたので」

P「…………」

春香「もういいですか?」

P「……みんなも、化け物にする気か?」

春香「プロデューサーさんは、もう一度みんなの顔を見たくないんですか?」

P「……見たくない、と言えば嘘になる」

P「だが、それでも、俺はみんなを化け物にするのは反対だ」

春香「……こうなるって分かってました。プロデューサーさんなら絶対こう言うって。だから、騙してたのに」

P「もし、俺がこのまま騙されたままだったら、どうしてたんだ?」

春香「まあ、みんなを仲間にした後に適当なタイミングでバラしたんじゃないですか?」

P「そうか……春香。どうしても、みんなを化け物にすると言うのなら、俺はお前を止めなきゃならない」

春香「でしょうね……だから、もういいです」

P「……え?」

春香「だから、もういいですって。みんなを仲間にするのは諦めます」

P「……なんでまたそんなあっさり」

P(バトル展開に備えて身構えてた俺が馬鹿みたいじゃないか)

春香「普通に考えて、私じゃプロデューサーさんに勝てませんよ。私があいつを殺せたのは、単に相手が弱すぎただけですから」

P「……じゃあ、どうするんだ?」

春香「私は元々、一人が嫌でみんなを仲間にしようとしたんです」

P「……つまり、俺がいればそれで妥協してくれるってことか?」

春香「妥協っていうか……願ったり叶ったりっていうか……まあ」

春香「そういうわけで……改めて、よろしくお願いしますね、プロデューサーさん!」

P「……ああ。こっちこそ、よろしくな」

P(それから俺と春香は、誰かさんの家で一緒に暮らした)

P(朝から晩までずっとベッドの上で過ごしたり、真から拝借した携帯でみんなとメールしたり)

P(相変わらず未だ治療の目処はたっていないらしいが、俺達は今も殺されずに済んでいる)

P(治療法の完成か、それとも自衛隊か、はたまたあの世か……)

P(どこからのお迎えが一番早いかは分からないが、その時が来るまでは──)

P「俺達はずっと……だろ?」

春香「はい! ずっと一緒ですよ! 一緒!」

終わり
何エンドかよくわからんけど>>29の要求に答えてみた
グッドエンドなんて書けないからこれで許して

>>36
『だ、でぃ、でゅ、でぇ、ど』かと思ってたました、すいません

>>33,42
出てきた順に

春香「プロデューサーさん」


真「……!? ば、ばけもの!」

真「この……!かえりうちにして──!?」

真「ぷ、プロデューサー……?」

真「な、なんで……」


伊織「ん……ここどこ? ……ひぃ!ば、ばけもの!?」

伊織「あ、あんた……もしかして、プロデューサー?」

伊織「なんで……なんであんたがこんなところにいるのよ! 帰ってくるなら連絡くらいいれなさいよ! ばかぁ!」

伊織「そうすれば……あんたまで化け物にされずにすんだのに!」

真の台詞一個まちがってたぞ
「返り討ちにして」なんだから「きおるえつぬすと」でしょ
ここめっちゃ混乱したわ

>>45
本当だ、もうちょっと確認しとけばよかったですね、すいません
ご指摘ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月10日 (月) 23:47:22   ID: BP-yZ_F0

着想は沙耶の唄か火の鳥未来編か

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