モバP「智絵里とお出かけ」(67)

P「……」テクテク

智絵里「……」トテトテ

P(久しぶりに休暇がとれた)

P(ちょうど智絵里の休日と一緒だったのでコミュニケーションでも、なんて思ってたら、智絵里から……)

―――

智絵里『じゃ、じゃあ……一緒に、お散歩……しませんか?』

―――

P(こんなこと、上目遣いで言われたら断れないよな)

智絵里「……♪」

P(……嬉しそうな顔だ。これだけでも、休日が取れて良かったって思えるな)

智絵里「……ふふっ」

P「ん? どうした智絵里」

智絵里「あ、いえ……。Pさんと並んで歩くの……楽しくて、つい」

P「そうか? ただ黙って歩いてるだけだけど」

智絵里「その、嫌な沈黙じゃなくて……とっても、のんびりした感じで……なんというか」

P「うん」

智絵里「え、えっと、安心するんです……」

P「そっか、安心か……俺も、智絵里と一緒で安心するなぁ」

智絵里「はい……えへへ」

P「しかし、智絵里も成長したな」

智絵里「え……?」

P「アイドルになりたての頃なんて、うつむき気味でオドオドしてて……正直、頼りなかったよ」

智絵里「あう……そうでしたね」

P「でも、今じゃ……一人でもステージに立って、笑顔で歌えて、踊れる。最高に輝いてる」

智絵里「……はい。今なら……胸を張って、アイドルしてますって言えます」

P「あぁ、その通りだ」

智絵里「あ、でも……」

P「でも?」

智絵里「一人でも、っていうのは……違います。優しくしてくれる友達や、ファンの方……みんなが、支えです」

P「……」

智絵里「それに……な、なにより……Pさんに褒められるのが……嬉しくて、たまらなくて……頑張れるんです」

P「……そっかぁ。智絵里の力になれてるんだな、俺も」

智絵里「わたしだけじゃ……ないですよ。他のアイドルの子も、みんな……Pさんが褒めてくれるから」

P「はは、そうだといいな」

智絵里「……絶対、そうです。ふふ♪」

―――

P「んー、だいぶ歩いたな。この辺りは全然来ないや」

智絵里「わたしもです……お話しに夢中でした、えへへ」

P「あはは、俺もだ。……お?」

智絵里「どうか、しました……?」

P「智絵里、あれ見えるか? あの角の……屋根の向こう側」

智絵里「屋根の……あっ」

P「な?」

智絵里「はい……!」



P&智絵里「桜の木!」

とある公園―――

P「……おお」

智絵里「大きい……ですね……」

P「あぁ……こんなに立派な木なのに、花見客がいないなんて」

智絵里「すごい……満開です……」

P「こりゃ、穴場ってやつか……智絵里、俺たちだけのお花見だぞ!」

智絵里「ほわぁ……!」

P「あらら、圧倒されてる」

智絵里「Pさん、穴場です……! すごいです、わたしたちだけのお花見ですよ……!」

P「はは、それ今さっき俺が言ったばかりだよ」

智絵里「あ、あれ……そうなんですか? ご、ごめんなさい……わたしったら」

P「いいよいいよ、可愛かったから」ナデナデ

智絵里「あっ、あぅぅ……恥ずかしいです……」

P「智絵里は恥ずかしがってナンボだ!」

智絵里「な、なんですかそれ……! ち、ちょっぷしますよっ」

P「おお怖い怖い!」

智絵里「意地悪です、Pさんってば……もう、ふふっ」

P「……それにしても」

智絵里「? どうしました……?」

P「この桜、なんだか懐かしい感じがするんだよ」

智絵里「懐かしい、ですか……」

P「俺の育った町でも、こういう……寂れた小さな公園に、一本桜の木があってさ。この木によく似てるかも」

智絵里「Pさんの育った町……」

P「……食いつくの、そこか?」

智絵里「……あっ、い、いえ! 桜の木、ですよねっ。ぐ、偶然ですね……!」

P「はは、まぁいいや。……うん、懐かしいよ」

智絵里「今、そっちの桜は……?」

P「どうかなぁ……まだ枯れるような樹齢でもなかったような」

智絵里「それじゃあ、いつか……」

P「ん?」

智絵里「いつか、Pさんの地元の……桜の木も、見に行きませんか?」

P「……そうだな、行けたらいいな」

智絵里「事務所のみんな、全員で……!」

P「……そ、それはちょっと難しいかなぁ」

智絵里「だ、大丈夫です……やれますよ、全員でライブしたいです……」

P「いや、片田舎に事務所総出とか……ほら、みんなのスケジュールもあるし」

智絵里「それはPさんのお仕事です、調整頑張ってください……!」

P「おおう、ちえりん押しが強い……よ、よしっ、なんとかやってみよう」

智絵里「流石です、やっぱりPさんは頼りになるプロデューサーですね……!」

P「おまけにヨイショもお上手……よっしゃ、やったるぜ!」

智絵里「わ、わぁー……!」パチパチパチ

―――
――


P「……さて、そろそろ帰ろうか。お花見も満喫したし」

智絵里「はい……そうですね。名残惜しいですけど……」

P「また来ればいいさ。今度はみんなで」

智絵里「みんなで……Pさんの町にも、ですよ?」

P「あいよ。さ、行こう」

智絵里「はいっ。……あ」

P「どした?」

智絵里「あそこ……クローバー、です……桜の根本」

P「あ、ほんとだ。見上げてばっかりで気づかなかった」

智絵里「わたしもです……あの、Pさん」

P「ん、いいよ。ちょっと探してみようか、四つ葉のクローバー」

智絵里「は、はいっ。えへへっ」タタタッ

P「あ、走らなくても逃げやしないぞー」

智絵里「Pさん、早くです……!」

P「へいへい、ったくもう。こういうとこはまだ子供なんだから」

―――

P「うーん、なかなか見つからないもんだ」ガサガサ

智絵里「あ、ダメですよ……もっと優しく探さないと、かわいそうです」

P「はーい、ごめんなさい智絵里せんせぇ」

智絵里「むぅ、ふざけないでちゃんと探してくださいっ」

P「あい。……怖いなぁ智絵里」

智絵里「あっちかなぁ……。あ、こっちかも……」

P「……お」

智絵里「あ……!」

P&智絵里「見つけたっ」スッ

ぎゅっ

P「あ」

智絵里「ひゃぅ……!?」

P「ご、ごめん智絵里、手握っちゃったな」

智絵里「あぅ……い、いいんです……わたしも、握っちゃいました……」

P「ほら、智絵里が摘みな。ゴツい男の手に摘まれるより、可憐な智絵里の手で摘まれたいだろうし」

智絵里「か、可憐って……。こほん、じゃあ……ごめんね?」

ぷつんっ

P「綺麗な形してるな、こいつ」

智絵里「はい……珍しいです、ここまで整ってるのは……」

P「だろうなぁ、俺も見たことないよ」

智絵里「えへへ、一生の宝物ですっ」

P「ん、そっか。こんなに綺麗なんだもんな」

智絵里「いえ……それもありますけど……やっぱり」

P「?」

智絵里「Pさんと一緒に探して、一緒に見つけて……二人の大切な思い出、ってことです。えへっ」

P「……! そ、そうか」

智絵里「……? どうかしました? お顔、赤いです……」

P「あーいや、そうかな? もともとこんなんだぞ、ははは!」

智絵里「……もしかして、照れてるんですか?」

P「んなっ、んなことねぇし! 照れてないわっ」

智絵里「ふふ、そうですね……Pさんは照れませんよね……ふふっ♪」タタッ

P「あ、こら待て智絵里っ! 照れてなんかないからな!」

智絵里「えへへっ♪」

―――
――

後日、事務所―――

智絵里「あの……Pさん」

P「んー? どうした智絵里、スケジュールの確認か?」

智絵里「あ、スケジュールは大丈夫です……。しっかり、頭の中に入ってますから……」

P「おー、頼もしくなっちゃって。俺も負けてられないなー」ナデナデ

智絵里「えへ……って、ち、違います……そうじゃなくて、Pさんに渡したいものがあるんです」

P「渡したいもの? なんだ?」

智絵里「えと……これ、です」スッ

P「これ……栞か。あ、クローバーだよな、中に入ってるの……ん? これ四つ葉を半分にしてるのか?」

智絵里「はい。この前の公園で見つけた子です……半分こで、わたしとPさんの栞に……」

P「え、あの四つ葉……よかったのか? あんな綺麗な奴だったのに」

智絵里「いいんです……Pさんと見つけたんですから、Pさんにも持っててほしくて」

P「……ん、そっか。そういうことなら、大切に使わせてもらうよ」

智絵里「はい、ぜひ……! ふふ、これでいつでも、Pさんと一緒ですっ」

P「はは、智絵里といつでも一緒か。頼りになりそうだ」

智絵里「えへへ……。Pさんの力になれたら嬉しいです……」

P「これからは一心同体だな!」

智絵里「い、いっしん……!? は、はぁぅ……!」カァッ

P「んん? ちえりんはなんで赤くなってんのかなぁ?」

智絵里「あ、赤くなんて……! ち、違います、照れてなんて……」

P「照れてるなんて一言も言ってないぞ、智絵里ー?」ニヤニヤ

智絵里「あぅっ、も、もしかして……この前の仕返しですか……?」

P「なんのことやらー。照れた智絵里は可愛いなぁ!」

智絵里「ぅぅー……! Pさんなんて……えいっ、えいっ!」ペシッ ペシッ

P「痛くねーよーあはは」

智絵里「もうっ……! えいえいっ、えへへ……」









まゆ「……うふ。見ちゃいましたよぉ……」

―――

智絵里「もう……Pさんたら、えへへ……」

まゆ「智絵里ちゃん♪」スゥッ

智絵里「ひゃうっ!? あ、ま、まゆちゃん……どうしたの?」

まゆ「うふふ……さっき、Pさんとどんな会話してたの?」

智絵里「……ふふ、まゆちゃんには秘密、です」

まゆ「むぅ……いけずねぇ」

智絵里「えへへ、ぜーったい内緒だよ……ふふっ」タタッ

まゆ「逃さない!」

智絵里「え……?」

まゆ「響子ちゃん、ゆかりちゃん!」

響子「とうっ!」バッ

ゆかり「智絵里さん、そうは問屋が卸しませんよっ」ババッ

ぐいっ

智絵里「きゃ……え、ええっ? なな、なに、二人とも……!」ジタバタ

まゆ「うふふふふ……さぁ智絵里ちゃぁん、洗いざらいお話しちゃって♪」

響子「ふっふっふー。智絵里ちゃん、Pさんとなに話してたんですか? んー? うりうりー」ムギュー

ゆかり「智絵里さん、おとなしく吐いた方が身のためです。うふふっ」ムギュー

智絵里「は、放してぇ……! な、なんでこんなことを……」

まゆ「なんで……? そんなの決まってるじゃないですかぁ」

ゆかり「ただでさえPさんと休日デート!」

響子「その上イチャイチャと秘密の共有!」

まゆ「智絵里ちゃんだけズルい!」

ずーるーい! ずーるーい! あそーれずーるーい!

智絵里「えぇー……」

智絵里「と、とにかく……絶対に話さないもん……!」

まゆ「……。そう……」

ゆかり「残念です……とても」

響子「智絵里ちゃんには失望です……」

智絵里「ひぅ……な、なに……?」

ゆかり「……ふっ」

響子「ふふ」

まゆ「うふ、うふふふふふふふ」

智絵里「えっ、えっ……ひゃ、いやぁぁぁぁ……!」

―――
――


智絵里「」ピクッピクッ

響子「愛海ちゃん直伝、こちょぐり!」ワキワキ

まゆ「思い知りましたぁ? うふふー♪」ワッキワッキ

智絵里「ぁ、ぁぅ……ぁぁ……っ」ピクンピクン

ゆかり「だ、大丈夫ですか……? 少しやりすぎだったような」

まゆ「いえ、これくらい当然。Pさんとの逢引には相応の罰よっ」

智絵里「ひゃ、は、っふ……た、たふけてPひゃぁ……」ヨロヨロ

響子「むっ、Pさんに助けを求めるとは!」

まゆ「キューティーカルテットの風上にも置けません! どうやらまだ、お仕置きが足りないようねぇ……」

智絵里「や、やぁ……!」

響子「さぁ……」ジリッ

まゆ「覚悟……!」ジリジリッ

ゆかり「あ、あはは……とりあえず、傍観しておきますね?」

智絵里「あ、あぁ……そ、そんな……! いや、いや……」

いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……あんっ!



P「仲いいなぁ、あいつら」



おわり

支援感謝
やっぱりちえりんはほのぼのが合う

キューティーカルテットって別のでも見た気がするけど前になにか書いてた?

キューティーカルテット
http://i.imgur.com/YWcBTR7.jpg
http://i.imgur.com/kX4r6K0.jpg
http://i.imgur.com/K9LZ2S7.jpg
http://i.imgur.com/qi8albj.jpg

>>62
バレンタインの時のやつなら俺だ

モバP「遅れてきたバレンタインデー」
参加型な

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