エレン「童心を忘れていた俺達」(14)

進撃SS初めてです

カップリングなどは特にないです

かなり短いです

よろしくですノ


アルミン「……」ペラッペラッ

エレン「よっ、アルミン」

アルミン「ん……ああ、エレンか」

エレン「久しぶりの休日なのにどこにも行かないのか?」

アルミン「うん。特に買うものもないし、今日は天気もいいから外で本を読んで過ごす事にするよ」

エレン「そうか……俺もなんか本でも読んでみるかな」

アルミン「エレンは僕が勧めないと本なんて手にもしないからね」クスクス

エレン「じっとしてるのが苦手なんだから仕方ないだろ……」

アルミン「エレンこそどうしたのさ。休日でも訓練をしているのに」

エレン「ああ、アニに指導してもらうおうかなって思ったんだけど、休む事も必要だって怒られた」

アルミン「アニの言う事は正しいよ。エレン、君は最近身体を酷使し過ぎだ」

エレン「アルミンも同じ事言うのかよ……」

アルミン「まあ、たまにはリラックスも必要だよ」

エレン「仕方ねえな……んじゃ、ちょっと寝るわ」ゴロン

アルミン「うん。じゃあ、僕は隣で本を読んでいるから、適当な時間になったら起こすよ」ペラッ


エレン「おう、ありがとうな」

アルミン「……」ペラッ

エレン「……」

アルミン「……」ペラッ

エレン「……寝れない」ムクリッ

アルミン「あはは、だろうと思ったよ」

エレン「やっぱ石の枕はきついな」

アルミン「いくら原っぱの上だからって、流石にそれは寝れないよね。けど、昔は石の枕を使っていたんだよ」

エレン「えっ、今みたいに麻袋じゃねぇのか?」

アルミン「うん。川を転がって角が削れた丸い石を用いたらしいよ」

エレン「へー」

アルミン「なんなら、本を枕にするかい?」

エレン「それだとアルミンが読めなくなるだろ。それに、本を枕にしてもいいのかよ」

アルミン「大丈夫、何冊か持ってきているから。後、僕もたまに枕として使う時があるから、別に気にしなくていいよ」ハイ

エレン「おう、ありがとうな」


アルミン「それじゃ、おやすみ」

エレン「おう、おやすみ」ゴロン

アルミン「……」ペラッ

エレン「……」

アルミン「……」ペラッ

エレン「……なぁ、アルミン」

アルミン「なんだい、エレン。やっぱり寝れない?」

エレン「いや、あの雲って何に見える?」

アルミン「雲、かい?」

エレン「おう。ほら、四つの雲に囲まれたあのちびっこいの」ユビサシ

アルミン「うーん……なんだろうね。何見えるかと言われても、雲としか言えないね」ミアゲ

エレン「だよなー」

アルミン「けど、いきなりどうしてそんな話を?」

エレン「いや、餓鬼の頃はよく雲の形が色んなものに見えたなーって思ってさ」

アルミン「童心ってやつだね。あの頃からエレンはずっと空ばかり見ていたよね」


エレン「まあ、空って言うよりは壁を見ていたんだけどな。けど、あの高い壁を見上げると自然と空も視界に入っていた」

エレン「そのうち、気付くと雲を追いかけてた。自由に壁を乗り越えていく雲を」

アルミン「羨ましいって思ったのかい?」

エレン「どうだろうな。鳥になって壁を越えたいって事はあったけれど、雲になりたいとは思った事はないな」

アルミン「空にあるという時点ではどちらも同じだと思うけれど」

エレン「んーなんていうか、あれだ」

エレン「鳥は自分の翼で自由に空を飛びまわれるだろ?」

エレン「けど、雲は自分の行き先を風に任せてるだけなんだ。それって自分の意志がないって事と同じじゃねえか?」

アルミン「……エレンはたまに面白い事を言うね」クスクス

エレン「な、なんだよ。別に笑う事ねえじゃねぇか!」

アルミン「ああ、ごめんごめん。でも、決してエレンを馬鹿にしたから笑ったわけじゃないんだ」

アルミン「あ、それよりあの雲、少し形が変わったね」

エレン「ん、ああ本当だな……馬か?」

アルミン「馬……ああ、あれが足で尻尾で、確かに馬に見えるね」

エレン「だろ?」


???「エレン、アルミン」

アルミン「やあ、ミカサ」

エレン「どうかしたのか?」

ミカサ「二人が楽しそうに話していたので、私も参加したくなった」

エレン「そうか」

ミカサ「そう。二人は何を楽しそうに話してたの?」

アルミン「童心に戻っていたのさ。エレンがあの雲が馬の形に見えるって言うんだ」ユビサシ

ミカサ「……真ん中にあるあの雲?」

エレン「ああ。ミカサは何に見える?」

ミカサ「私は馬というより兎に見える」

エレン「兎? いや、どう見ても馬だろ」

アルミン「まあまあ、人によって見方が違うんだから仕方ないじゃないか」

エレン「けど、あれはどう見ても馬だろ? ジャンみたいな馬面してるぜ?」

アルミン「……さすがにそれは同意できないな、僕は」

 ――――

ジャン「――ハックション!」

マルコ「ジャン、風邪かい?」

ジャン「いや……どこの誰か知らねぇが、俺を噂してるような気がしてよ」

マルコ「……そういうのってわかるものなのかい?」

 ――――


ミカサ「三人で過ごすのは久しぶりな気がする」

アルミン「それもそうだね」

エレン「そうか? 食事とかは一緒にしてるだろ」

ミカサ「それは訓練兵としての日常。私が言いたいのは、それ以前の日常」

エレン「……ああ、確かにそうかもな」

アルミン「僕達は知らない間に、色んなものを失ったんだね」

エレン「そう、だな……」

ミカサ「居場所、大切な人、そして雲を眺めるという童心すら失っていた」

エレン「……」


アルミン「ミカサの言う通り……僕達は多くのものを失ってしまった」

ミカサ「……」

アルミン「失ったものは取り戻せない」

アルミン「けど、そんな失ったものにも、取り戻せるものだってあると僕は思うな」

エレン「取り戻せるもの?」

アルミン「ああ。それこそ、さっき言った童心さ」

アルミン「こうやって空を見上げればあの頃を思い出す事ができる。思い出し、それを語り合うエレン、ミカサがここにいる」

アルミン「それって童心に戻ったって言わないかな?」

ミカサ「言わなくない」フルフル

エレン「でもさ、それって今の俺達に必要なのか?」

ミカサ「エレン。それは違う、と私は思う」

アルミン「うん、そうだよエレン」

アルミン「そもそも必要かそうでないかなんて関係ないんだよ」

エレン「意味わかんねえぞ?」

アルミン「ふふふ、僕も自分で何を言っているのかわかんなくなったよ」


エレン「なんだそりゃ」

ミカサ「けど、思い出す事、童心に返る事に理由なんて必要ない」

アルミン「そうだね。だから、昔みたいに理由なく空を眺めるのもいいかもね」

エレン「よくわかんねぇけど……まあ、たまにはこういう日があってもいいか」

ミカサ「たまにと言うのなら、三人で寄り添いたい」

エレン「はぁ!? 嫌だっての恥ずかしい!」

ミカサ「……アルミン、エレンが意地悪だ」

アルミン「エレン、君というやつは……」ヤレヤレ

アルミン「ミカサ、こうなったら……」

ミカサ「わかった」コクリ

エレン「なんだよ二人して……って、ほんとになんだよ!」バタバタ

アルミン「実力行使ってやつだよ」

ミカサ「エレン、暴れないで」

エレン「……ったく、わかったよ……今日だけだけだからな」

アルミン「やったね、ミカサ」

ミカサ「ありがとう、アルミン」

エレン「何が楽しいんだか……」

アルミン「エレンは本当に変わらないね……あっ、また雲の形が変わってるよ」

ミカサ「あれはサシャだと思う」

エレン「はぁ? あの丸っこいのがか?」

アルミン「丸っこいの……ああ、そういう意味か」

ミカサ「アルミンはわかったようだ」

アルミン「だってそれがサシャと言っても過言ではないからね」

エレン「んー……ああ、なるほどそういう事か」

アルミン「エレンもわかったみたいだね」

ミカサ「あの隣の雲はどう思う?」

エレン「隣の雲って……こう横に伸びたようなやつか?」

ミカサ「そう」

アルミン「そうだね……僕は――に見えるかな」

エレン「いや、あれは――だって」


ミカサ「私は――だと思う」

 …………
 ……
 …

 いつの間にか、俺は童心ってものを忘れていたみたいだ。

 そして、いつの間にか大人になって、知らない間に色んなものを失っていた。

 取り戻せないものがあり、戻せない時間がある。

 けれど、思い出す事ができるんだって、俺は今日知った。

 隣に並ぶこの二人がいれば、俺は思い出す事ができる。

 雲を眺め、それを追って語り合ったあの日々を。

 だから、俺は思う。

 絶対にこの二人を失ってはいけないと。

 忘れていた童心を思い出すためにも。

 そして、俺はこの壁の向こうを越えてみせる。

     ~エレン・イェーガーの手記から抜粋~

以上です

またどこかで違うの書くかもです

同じスレ二つ立ててます

ごめんなさい

ではノ

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