【咲】咲「デュエルって、楽しいよね!」穏乃「かっとビングだっ私!」【遊戯王】 (220)

 21世紀、世界のデュエルモンスターズ競技人口は70億人の大台を突破。
 そんな世の中で、“デュエルアカデミア”と呼ばれるデュエリストによるデュエリストの為のデュエリスト養成学校ではデュエルを学ぶために毎年多くの新入生が入学している。
 プロを目指す者、ただデュエルに触れ合いたい者、デュエルを通して変わりたいと願う者……様々な理由を秘めて。

「ここがデュエルアカデミア……よーし、かっとビングだ私!」



 これはデュエルの頂点を目指す少女達の軌跡……。



 ※咲と遊戯王の世界観を超融合したSSです。DM、GX、5D's、ZEXALの設定がごった煮ですが遊戯王の原作キャラクターは出ません。
 ※デュエルは初期ライフを除き基本的にOCGカードとルールで行われますが作者が完全に理解しているか怪しいのでミスがあったら指摘お願いします。
 ※ただしデュエルのノリとストーリーはアニメ風です。
 ※なおこの世界に禁止・制限はほとんどありません。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391951344

■■■



TURN-1『かっとビングだよ! 私!』



■■■ デュエルアカデミア職員室



晴絵「編入受験? 6月に転校してくるなんて珍しいね」

望「ちょっと複雑な事情があってね。本当はその子も他の新入生と同じ時期にこのデュエルアカデミアに受験するはずだったんだけど……まあ詳しいことはこの紙に書いてあるから」ペラッ

晴絵「どれどれ……え!? 交通事故で最近まで意識不明だったの!?」

望「実技試験に来る途中で……かわいそうに、不幸な子よね……」

晴絵「そっか、そんな子がいたんだ……」

望「実記試験はギリギリみたいだったけどクリアしていたから、あとは実技試験をクリアすればその子も晴れてデュエルアカデミアの生徒ってわけ」

晴絵「で、その実技試験デュエルの相手を私にって?」

望「そっ、校長先生からの名指しだからお願い。ちゃんと試験用のデッキでね」

晴絵「わかってる。でも、その子には受かって欲しいなぁ……アカデミアの教師として受験に私情は挟めないけどさ」

望「うん……」

■■■ デュエルアカデミア敷地内



?「くそー! 今度は事故に合わないようにって電車に乗ったら今度は電車が事故って時間に遅れるなんて!」ドドド

?「まっ、でもよかった! 3本も早い電車に乗っといて! これならギリギリだけど時間には間に合うよ!」ドドドド

?「デュエルアカデミアに入学するのは子供の頃からの目標なんだ! 絶対に入って見せる!」ドドドド

?「うおおおおおおおおぉー! かっとビングだ! 私! ――って!? あ、危ない!?」キキー

やえ「――ん? どしゴフっ!?」ドゴォ

?「痛たたた……ああ!? や、やっちゃった! ご、ごめんなさいっ! 大丈夫ですか!?」

やえ「ごほっ、ごほっ。ふっ、心配しなさんな……私は小3の頃から豆すらできない……」フラフラ

?(よかった! 言葉の意味はわからないけど、怪我とかしてなさそう!)

やえ「いかんな君、アカデミアの敷地内とはいえ往来の場を走り回ったら」

?「はいっ、すみませんでした!」

やえ「うん、君は良い子だな……しかし、見ない顔だね? 新入生かな?」

?「はい! ……あっ、でもまだ新入生っていうわけじゃなくて……ええっと……転入生みたいなものです!」

やえ「ほう? こんな時期に珍しい。名前を聞いても……おっと、人に名前を尋ねる時は自分からか」

やえ「私は小走やえ。デュエルアカデミア高等部の三年生だ。よろしく頼むよ」

穏乃「穏乃、高鴨穏乃です! まだ実技試験が残ってるんで後輩になれるかわかんないんですけど、よろしくお願いします小走先輩!」

やえ「へえ、実技試験が。となると午後からデュエルスタジアムの予約がされていたのは君の試験ということか」

穏乃「多分そうだと……ってああ!? 時間がないんだった! 職員室に急がなきゃ!」

やえ「それは大変じゃないか。転入生なら場所がわかるまい。私が案内してあげよう」

穏乃「いいんですか!? 迷惑をお掛けしてばっかりなのに……!」

やえ「未来の後輩の為だ。この程度どうってことないさ」

穏乃「こ、小走先輩っ!」

やえ「ふっ、ニワカは相手にならんよ」

穏乃(言葉の意味はまるで意味がわからないけど! 小走先輩、凄くいい人だっ!)

穏乃(来て早々こんな立派な先輩に会えるなんて……うん! 絶対に入って見せる! デュエルアカデミア!)

穏乃「かっとビングだ! 私!」テクテク

やえ「どした? いきなり」テクテク

■■■ デュエルアカデミア・デュエルスタジアム



聖「そう、今度は電車が……」

穏乃「重ね重ねすみません……」

晴絵「でも良かったよ。今度はちゃんと来れたんだから」

晴絵「今から試験の相手をする私が言うのもなんだけど、頑張ってな、高鴨さん」

穏乃「赤土先生っ……」

やえ「私も応援しているぞ、高鴨よ」

聖「私もね」

穏乃「小走先輩っ、新子先生……! ありがとうございますっ! 私、絶対に受かってみせます! かっとビングだっ、私!」

やえ「……先ほどからよく君は“かっとビング”と叫んでいるが、それは何かのオマジナイか?」

穏乃「はい、お母さんから教えて貰った言葉で……勇気を持って一歩踏み出すこと! どんなピンチでも決して諦めないこと! あらゆる困難にチャレンジすること! それがかっとビングなんです」

やえ「ほぅ……素晴らしい意味を秘めた言葉じゃないか、かっとビング」

穏乃「私の信念です!」

聖「ふふっ。なら、そのかっとビングを見せて貰おうかしら」

晴絵「うん、始めようか。実技試験」

穏乃(これがこの先を決める運命のデュエル……! 私の新しい人生の始まりを決めるデュエル!)

穏乃(私の魂のデッキ……さあ行こう! 楽しいデュエルの時間だよ! かっとビングだ!)

穏乃「お願いします! デュエルディスク、セット!」ガシャンガシャンガシャン

晴絵「さあこい!」ガシャンガシャンガシャン

聖「マスタールール2、お互いにライフポイントは4000――では、デュエル開始!」



晴絵「デュエル!」

穏乃「デュエル!」



やえ(見せて貰おう、高鴨穏乃……君のデュエルを。アカデミアに入学出来るかは、君の実力にかかっているぞ)

やえ(だが……このアカデミアに入学することが必ずしも幸せだとは限らないことを君は知らないのだろう……“今”、このアカデミアには……)

晴絵「私の先行! ドロー!」

晴絵(今回の試験用デッキは装備魔法を多用する戦士族ビート。装備魔法でモンスターの攻撃力を上げて殴るだけだが、状況次第では高火力で1ターンキルもありえるし、エクシーズもシンクロも使っていく)

晴絵(だけどこの程度のデッキを倒せないようなら、アカデミアで通用しないからな。応援はするが手加減はしないよ、高鴨穏……ん?) ――ドクン

晴絵(……あれ? このカードって……)ドクン ドクン

晴絵(んん? このカードだけじゃない……なっ、なんだこれ!? これって、試験用のデッキじゃなっ――)ドクン!

晴絵(……)

やえ(……むっ。赤土先生の動きが止まった……手札事故か?)

聖(晴絵……?)

晴絵「……私のターン」ユラリ

穏乃(……な、なんだか……赤土先生の雰囲気が……変わったような。き、気のせいだよね)

晴絵「私は手札から増援を発動……これにより切り込み隊長を手札に加える……」

《増援》
 通常魔法
 デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

穏乃(切り込み隊長? 先生のデッキって戦士族なのかな……いや、デュエリストの登竜門、デュエルアカデミアのことだ。きっとただの戦士族じゃない!)

晴絵「続いて名推理を発動……さあ、私の引くモンスターのレベルを当ててごらん……」

《名推理》
 通常魔法
 相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。
 通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。
 出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。
 違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。

聖(名推理? 試験用デッキにあんなカード入ってたかしら……)

やえ(あれは……)

穏乃(切り込み隊長が入ってるってことはデッキは戦士族テーマの可能性が高いはず。戦士族といえば星3に優秀な効果モンスターが多かった気が……切り込み隊長や不死武士って星3だったよね、でも高レベルモンスターだって入ってるだろうし)

穏乃(それに切り込み隊長が入ってたからといって、戦士族テーマと決めつけるのは安易すぎるし……うー、私あんまり頭よくないから読み合いとかは苦手だ……)

穏乃(……悩んでても始まらない! 勇気を持って一歩踏み出すこと! それがかっとビングだ!)

穏乃「私はレベル3を宣言します!」

やえ(うむ、戦士族ならばレベル3はあり得る、ヤリザ殿もいるし……悪くない選択だ……が)

晴絵「ドロー、魔法カード、ドロー、魔法カード、ドロー、魔法カード……」

穏乃(ど、ドキドキする……!)

晴絵「ドロー……どうやらあなたの推理は、大ハズレだったようだ」スッ

晴絵「私が引いたのはライトロード・アサシン ライデン。レベルは4。よってこのカードを特殊召喚……」

《ライトロード・アサシン ライデン》
 星4/光属性/戦士族チューナー/攻1700/守1000
 自分のメインフェイズ時に発動できる。
 自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。
 この効果で墓地へ送ったカードの中に
 「ライトロード」と名のついたモンスターがあった場合、
 このカードの攻撃力は相手のエンドフェイズ時まで200ポイントアップする。
 「ライトロード・アサシン ライデン」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
 また、自分のエンドフェイズ毎に発動する。
 自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

穏乃「外れた!」

やえ(おしい)

晴絵「ライデンの効果発動……デッキの上からカードを2枚墓地へ送る……」

晴絵「そして切り込み隊長を通常召喚……」

 《切り込み隊長》 †
 効果モンスター
 星3/地属性/戦士族/攻1200/守 400
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手は表側表示で存在する他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。
 このカードが召喚に成功した時、
 手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。

晴絵「切り込み隊長の効果発動、手札からアーマー・ブレイカーを特殊召喚……」

 《アーマー・ブレイカー》
 ユニオンモンスター
 星3/地属性/戦士族/攻 800/守 800
 1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして
 自分フィールド上の戦士族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、
 装備モンスターが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
 フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、
 代わりにこのカードを破壊する。)

穏乃(やっぱり、先生のデッキは戦士族! そして場にはチューナーモンスター。来る、シンクロ召喚が!)

晴絵「私はライデンで切り込み隊長をチューニング、現れろ……セブン・ソード・ウォリアー」

穏乃「セブン・ソード・ウォリアー!?」

《セブン・ソード・ウォリアー》
 シンクロ・効果モンスター
 星7/地属性/戦士族/攻2300/守1800
 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 1ターンに1度、このカードに装備カードが装備された時、
 相手ライフに800ポイントダメージを与える。
 また、1ターンに1度、このカードに装備された
 装備カード1枚を墓地へ送る事ができる。
 このカードに装備された装備カードが墓地へ送られた時、
 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を
 選択して破壊する事ができる。

晴絵「そして更に、私は手札から装備魔法、アサルト・アーマーをウォリアーに装備」

《アサルト・アーマー》
 装備魔法
 自分フィールド上に存在するモンスターが
 戦士族モンスター1体のみの場合、そのモンスターに装備する事ができる。
 装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
 装備されているこのカードを墓地へ送る事で、このターン装備モンスターは
 1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

晴絵「ウォリアーの効果発動、このモンスターに装備カードが装備された時、相手にダメージを与える……喰らえ800のダメージを!」

穏乃「うわあああぁ!」LP4000→3200

晴絵「更にアーマー・ブレイカーの効果、1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして自分フィールド上の戦士族モンスターに装備出来る、ウォーリアーに装備……そしてもう一度ウォリアーの効果! 喰らえ800のダメージをっ!」

穏乃「ぐぅっ!」LP3200→2400

晴絵「……ターン、エンド」

※1ターン終了
[ ] [ ] [アサ] [アー] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

晴絵 4000 手札1枚
クロウ 2400 手札5枚

ミスりました

※1ターン終了
[ ] [ ] [アサ] [アー] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

晴絵 4000 手札1枚
穏乃 2400 手札5枚

穏乃「はぁ、はぁ、はぁ……」

やえ(なんということだ、先行にも関わらずライフを半分近く減らされてしまうとは)

やえ(教師・赤土晴絵は学生時代、アカデミアのレジェントと呼ばれた人物。試験用のデッキでもこの程度はやってくるということか……しかし様子がおかしいぞ、あの人はデュエル中、あんなにテンション低かっただろうか……?)

晴絵「……」

やえ(それに奇妙なことがもう1つ……)

穏乃「はぁ、はぁ、はぁ……」

やえ(穏乃があまりにも疲れすぎている……試験からくる緊張か? ピンチによる恐怖か? 確かに1ターン目から予想外の回りようではあるし、アーマー・ブレイカーがある限りウォリアーは一度だけ破壊を免れる……むむっ)

穏乃(な……なんだ、これ)

穏乃(ソリッドビジョンのはずなのに……さっきのバーンダメージを受けた時)

穏乃(とんでもない衝撃が私の体を走った……まるで、雷に打たれたような)

穏乃(……そうか! そういうことか!)

穏乃(アカデミアでは! 緊張感や集中力を高める為にダメージを受ける度、電撃が流れる仕掛けなんだ!)

穏乃(凄い、凄いよデュエルアカデミア! こんなにもスパルタで、己に鞭打つようなデュエルを日々行っているんだ!)

穏乃(これくらいのダメージを耐えられないようなら、アカデミアではやっていけないってことか!)

穏乃(俄然やる気が出てきたぞっ! さすがはエリートデュエリスト養成学校っ! ここなら凄いデュエルを学べるはず! 絶対に入学するんだ!)

穏乃「その為にも、私は勝つ! 私のターン! ドロー!」

やえ(……疲れたように見えたが、その闘志に衰えは一切見せないか。見せてくれ高鴨。君の諦めない意思――かっとビングとやらを)

穏乃(ドローしたカード、そしてこの手札は……! よしっ!)

穏乃「私は手札から未来融合を発動!」

やえ(未来融合だと!? 高鴨は融合使いだったか、それも――!)

《未来融合-フューチャー・フュージョン》
 永続魔法
 自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、
 決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
 発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を
 融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

穏乃「未来融合は決められた素材をデッキから墓地に送ることによって、エクストラデッキから融合カードを融合召喚扱いとして2ターン後に特殊召喚出来る! 私が選択するカードはV・HEROトリニティー!」

やえ(HEROの使い手!)

穏乃「V・HEROトリニティーは3体のHEROで融合するモンスター!」

穏乃「私はデッキからスパークマン! フェザーマン! バーストレディーを墓地に送る!」

やえ(未来融合の本質は2ターン後に特殊召喚することじゃない。デッキからモンスターを墓地に送ることこそがその真価……!)

穏乃「続いて私は手札から沼地の魔神王の効果発動! 沼地の魔神王は手札から墓地に送ることでデッキから融合の魔法カードを手札に加えることが出来る!」

《沼地の魔神王》
 効果モンスター
 星3/水属性/水族/攻 500/守1100
 このカードを融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。
 その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。
 また、このカードを手札から墓地へ捨てる事で、
 デッキから「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

やえ(墓地には3体のHERO、その内1つはスパークマン。そして沼地を墓地に送ったのならば、来るか。融合が……)

穏乃「ここでっ! 魔法カードミラクル・フュージョンを発動!」

《ミラクル・フュージョン》
 通常魔法
 自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって
 決められたモンスターをゲームから除外し、「E・HERO」という
 名のついた融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
 (この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

穏乃「墓地からスパークマンと沼地の魔神王を除外して! 現れろ! 私のマイフェイバリットヒーロー!」

穏乃「E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン!」

晴絵「……ヒーロー、か……」

聖「シャイニング・フレア・ウィングマン……だけど、攻撃力は2500、アサルト・アーマーを装備したセブン・ソード・ウォリアーに攻撃力は及ばない」

やえ「100足りないな……しかし大丈夫だ。穏乃はそれを踏まえてトリニティーを選択し3体を墓地に送ったのだから」

聖「えっ?」

やえ「シャイニング・フレア・ウィングマンのモンスター効果は、墓地のE・HEROの数×300ポイントアップする!」

《E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン》
融合・効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻2500/守2100
「E・HERO フレイム・ウィングマン」+「E・HERO スパークマン」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在する「E・HERO」と名のついた
カード1枚につき300ポイントアップする。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

穏乃「シャイニング・フレア・ウィングマンは墓地のヒーローの魂をその手に受け継ぐ!」

穏乃「墓地には2体のE・HEROが残ってる! 攻撃力は600アップ!」

E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン 攻撃力2500→3100

晴絵「3100っ……」

穏乃「いっけー! シャイニング・シュート!」

晴絵「ウォリアーに装備されたアーマー・ブレイカーの効果発動……装備されたモンスターが破壊される代わりにこのカードを破壊しウォリアーは場に残る……」

穏乃「だけどダメージは受けて貰います!」

晴絵「ぐっ……」LP4000→3500

穏乃「カードを二枚伏せてターンエンド!」

※2ターン終了
[ ] [ ] [アサ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [シャイ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [伏せ] [伏せ] [未来] [ ]

晴絵 3500 手札1枚
穏乃 2400 手札1枚

穏乃(よし、いい感じ! この伏せ2枚と手札のこの子さえあれば、次のターンに繋げる)

晴絵「……」ブルブルブル

聖(……晴絵が、震えてる……?)

晴絵「ふははっ!ふはははははは!あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」

穏乃「!?」ビクッ

聖「!?」ビク

やえ「!?」ビビクン

晴絵「弱い弱い弱い弱い……このターンで削れたのがたったの500ポイントぉ? 貴様はこのレジェンドをナメているのかあああぁ!」ゴゴゴゴゴ

聖「は、晴絵!? どうしたの晴絵!?」

やえ「大変だ新子先生! 赤土先生の様子が明らかにおかしい! なんだあれは! まるで意味がわからんぞ!?」

晴絵「見せてやる……私のデュエルを! 私自身を!」ゴゴゴゴ

穏乃(え、え!? な、なにこれ……フィールドが黒い霧みたいなものに包まれていく……!?)

晴絵「私のターン! ドロー!」

晴絵「手札から! 死者蘇生を発動!」

《死者蘇生》
通常魔法
自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

穏乃「死者蘇生! 墓地のモンスターを特殊召喚する強力カード!」



聖「なによこの黒い霧!? 晴絵の様子もおかしいし……この状況でデュエルなんて続けられない! 試験の中断を!」

やえ「……ダメだ! デュエルシステムがシャットダウンを受け付けない!」

聖「どういう……ことなの……晴絵! デュエルをやめて! 晴絵ー!」

やえ「この黒い霧のせいで、フィールドに近づくことも出来ない……!? まさか、これは……」

やえ「闇のゲーム!」




晴絵「現れろ! トロイホース!」

《トロイホース》
 効果モンスター
 星4/地属性/獣族/攻1600/守1200
 地属性モンスターを生け贄召喚する場合、
 このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。

穏乃「トロイホース…?」

聖「トロイホース…!」

やえ「トロイホース…!? 懐かしっ!」

晴絵「トロイホースは地属性モンスターをアドバンス召喚する場合! 2体分のコストとして使用出来る!」

                         わたし
晴絵「トロイホースをリリース! 活目せよ伝説の魂を! アドバンス召喚!!!」

晴絵「ギルフォード・ザ・レジェンドオオオオオオオオオオオオォ!」


《ギルフォード・ザ・レジェンド/Gilford the Legend》 †

効果モンスター
星8/地属性/戦士族/攻2600/守2000
このカードは特殊召喚できない。
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する装備魔法カードを可能な限り
自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスターに装備する事ができる。



やえ(やばい、懐かしすぎて涙が出そうだ……はっ!? だ、だがあのモンスターは!?)

聖「あれは! 晴絵がアカデミア時代に愛用していたカード! 懐かしい……」

聖「……っていやいや昔を懐かしんでる場合じゃないわ! と、というかトロイホース!?」

聖「一体、いつ墓地へ送られていたの!?」

やえ「1ターン目、ライデンの効果で2枚デッキから墓地へ送っていた時だろうな……」

やえ「しかしまずいぞ新子先生! ヘタをすればこのターン! 穏乃のライフはゼロになる!」

聖「そ、そっか。セブン・ソード・ウォリアーの効果でアサルト・アーマーを墓地に送れば、シャイニングを破壊出来るから、ギルフォードとウォリアーの攻撃で合計4900ものダメージを」

やえ「違う! ギルフォードは墓地に存在する装備魔法カードを可能な限り自分フィールドの戦士族モンスターに装備する事ができる効果を持つ!」

やえ「最初のターン、墓地に送られた魔法カードは3枚! さらにライデンでトロイホース以外の一枚が墓地に送られていた!」

やえ「もしもこれが全て装備カードだった場合……!」

聖「……はっ! セブン・ソード・ウォリアーの効果は、装備カードが装備された時相手のライフに800ポイントのダメージを与える!」

晴絵「墓地には! 名推理とライデンの効果で送られた装備カードが四枚!」

穏乃「ということは……!」

やえ「効果ダメージは、3200!」

穏乃「これを受ければ……私のライフは、ゼロっ!?」

晴絵「ライフをジャストで終わらせてやるよ! くたばるがいい高鴨穏乃!」

晴絵「墓地の魔導師の力2枚とトライスをウォリアーに装備! そしてもう一枚の魔導師の力をレジェンドへ!」

《魔導師の力》
 装備魔法
 装備モンスターの攻撃力・守備力は、
 自分フィールド上の魔法・罠カード1枚につき
 500ポイントアップする。

《閃光の双剣-トライス》
 装備魔法
 手札のカード1枚を墓地に送って装備する。
 装備モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。
 装備モンスターはバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

晴絵「喰らえ2400のダメージを!」

やえ「高鴨ー!」

穏乃「――この瞬間! 罠カード発動!」

晴絵「なにっ!?」

穏乃「手札を一枚捨てて! レインボーライフを発動する!」

《レインボー・ライフ》
 通常罠
 手札を1枚捨てて発動できる。
 このターンのエンドフェイズ時まで、
 自分は戦闘及びカードの効果によって
 ダメージを受ける代わりに、
 その数値分だけライフポイントを回復する。

穏乃「私はウォリアーの効果ダメージの2400ポイント分ライフを回復する!」LP2400→4800

晴絵「こっの……貴様っ」

やえ「うまい! レインボー・ライフはバーンを防ぐと同時に戦闘までも抑制する! だが……!」

晴絵「ぐっ……ぐっ……ウォリアーの効果発動! 装備カードを一枚墓地に送り! 相手のモンスター一体を破壊する! アサルト・アーマーを墓地に送りシャイニングを破壊!」

穏乃「ああっ! シャイニング・フレア・ウィングマンがっ……」

晴絵「ちっ……ターンエンドだ」

やえ「ふぅ……このターン、なんとか絶えれたものの…」

聖「晴絵の場には魔導師の力で4000もパワーアップをした攻撃力6300のセブン・ソード・ウォリアー、そして同じく魔導師の力で攻撃力4600となったギルフォード…」

やえ「絶対、絶命っ……!」

穏乃「まずいっ、このままじゃ……!」

晴絵「あははははっ! どうした高鴨穏乃ぉ! そんな体たらくで! その程度の実力で! デュエルアカデミアでやっていけるとでも思ったのか!? デュエルで勝てると思ったのか!」

穏乃「……っ」

晴絵「事故で受験を受けれなかった時に! 大人しく諦めりゃよかったんだよ! お前なんてな!」

晴絵「お前のようなポンコツにアカデミアの土は踏ませねぇ! 大人しく家に帰るんだな!」

穏乃(……この赤土先生の豹変仕方、明らかに変だ)

穏乃(……そうか、そういうことか! 先生は私を試しているんだ!)

穏乃(最近の若者には根性がないとか反骨心がないとかよく言われてしまっているから! 先生はわざと私に厳しい言葉を浴びせて煽っている! 心を鬼にして!)

穏乃(ここで、ここで先生に答えなきゃ! アカデミアの生徒として失格なんだ!)

穏乃「諦めない! 私は絶対に諦めません!」

晴絵「はぁ? ここでドローしても手札は一枚! 伏せも一枚! 便りの綱の融合はあと1ターンを要する! それでなにが出来るっていうんだ!?」

穏乃「かっとビング!」

晴絵「あぁ?」

穏乃「私には、かっとビングが出来る! 勇気を出して一歩踏み出すこと! 絶対に諦めないこと! 困難に挑戦し続けること! それがかっとビング!」

穏乃「デュエルは! ライフがゼロになるまで終わらない! だから、私はどんな状況でも、どんなデュエルでも諦めない!」

穏乃「カードを信じて! デュエルを信じて! そして何よりも! 自分を信じる!」

穏乃「それが――本当のデュエリストだから!!!」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「気に入ったわ、高鴨穏乃」

 
 
 
 
 
 
 

 

穏乃「……え? 今、誰か私の名前を……」

やえ(ん? 今度は高鴨の様子がおかしいぞ……)

聖(どうしちゃったのかしら、高鴨さん……)

穏乃「気のせい……?」



「気のせいじゃないわよ」




穏乃「だ、だれ!?」キョロキョロ

穏乃「――――」キョロ…

穏乃「――――ぇ」

アコ「私の名前はアコトラル」

穏乃「……」

アコ「さあ、勝つわよこのデュエル」

穏乃「ぁ、ぁ……ま、ま……」






穏乃「真っ裸の女の子おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!?」

TURN-1『かっとビングだよ! 私!』 おわり


禁止・制限のことなんですがサンボルや箒やDDBなどの単体で強すぎるカードは極力ださないつもりです
未来融合とかも確かに強すぎるんですがコンボ前提のカードなどはデュエルを激しくする為に使っていきます
というかOCGルールの禁止・制限だと池田ァにレスキューキャットとか加治木にブリューナクとか使わせられないので(むしろこれが最大の理由です)
禁止制限無しはつまらないという方ももちろんいると思いますが、このSSはこのスタンスでやってくのでどうかよろしくお願いします

望さんが聖さんになってるんですが

セブン・ソード・ウォリアーの効果普通に間違えてました
闇のゲームで生まれた僕考セブンだったということで誤魔化しますすいません
>>42 聖○ 望? マリみての読み過ぎたせいです

打ち間違い聖× 望○

■■■



TURN-2『我が名はアコトラル』



■■■



穏乃(お母さん、デュエルアカデミアは凄い場所でした)

穏乃(デュエルは電撃で活をいれるくらいにスパルタで、先生は心を鬼にしての反骨心を奮い立たせてくれるくらい生徒思いで、先輩はとても良い人で)

穏乃(そして何よりも……)

アコ「どうしたの? 高鴨穏乃、あなたのターンよ」フワフワ

穏乃(女の子が、全裸で空を飛んでいます……)

アコ「絶対に諦めないんでしょ? だか」

穏乃「とりあえず服着てよおおおおおおおおぉ! なんで!? なんで裸なのさ!? 直視すら出来ないよ!?」



やえ「どうした高鴨!? 君も闇の瘴気でおかしくなってしまったのか!?」

望「大丈夫!? 高鴨さん!?」

晴絵「お前のターンだぞ! そして私に次のターンを回せぇ!」



穏乃「いやそれどころじゃないですよ!? 女の子、ここに全裸の女の子が!」

やえ「なんてことだ。高鴨も錯乱してしまうなんて……どいうなってしまうんだ、このデュエルッ」

穏乃「皆には……見えてない!?」

アコ「無駄よ。私の姿は普通の人間には見えないし、私の声も聞こえはしない」

穏乃「どういうこと……!? はっ、ま、まさか……幽霊なの!?」

アコ「落ち着いて高鴨穏乃。幽霊ってなに? どんな効果? いつ発動するの?」

穏乃「うううぅ、何なのもぉ……と、とにかくまずは服を着て! それが無理ならせめて手で隠して!」

アコ「……ふぅ、何故人間は素肌を晒すのに抵抗を持つのか理解し難いわね。私の世界では服なんて」

アコ「……全員着てるわね」

穏乃「変態だー!」

アコ「変態ってなに? どんな効果? いつ発動するの? ……まあ仕方ないわ。ひとまず手元にあったサイバー・ボンテージでも着ておきましょう」

穏乃「ハーピィ・レディだったの!? 君!?」

アコ「サイバー・ボンテージを発動、私に装備」ガシャンガシャン

穏乃「……ぎゃ、逆にエロくなった気がするけど裸よりはいいや……」

アコ「とにかく、デュエルを続けましょう。今はあなたのターン、そしてドローフェイズよ」

穏乃「そ、そうだった! お願い、良いカード来てっ。ドロー! ……ぐっ」

アコ「マッシブ・ウォーリアー……HEROデッキなのになんで入れてるの?」

穏乃「いや、場持ちをよくしようかと。戦士族だし、リミット・リバースとかも入ってるから……」

アコ「へぇ……まあとやかくとは言わないわ。でも、この場面じゃ破壊耐性の回数制限がないモンスターが来て欲しかったわね」

アコ「相手の場にはトライスを装備した攻撃力5800のセブン・ソード・ウォリアーがいる」

アコ「定跡として相手は攻撃力の低いレジェンドで最初の攻撃に来て、次のセブン・ソード・ウォリアーの攻撃でマッシブは破壊されて場を守る壁はいなくなる」

アコ「あなたのライフは残り4800。二回目の攻撃を受けたら、あなたの負けよ」

穏乃「っ……そんなことくらいわかってるよ。大丈夫、私にはまだ伏せカードがある。このターンを耐えれば未来融合の効果でV‐HEROトリニティーも召喚される」

穏乃「このデュエル! 勝負はまだまだ終わらせない!」

アコ「わかってるならいいわ……何せ、これは闇のゲーム、下手をすれば……取り返しのつかないことになる」

穏乃「闇のゲーム……? ってあれ、セブン・ソード・ウォリアーって攻撃力6300なんじゃ」

アコ「トライスが付いてるでしょ。あのカードは攻撃力を500下げる代わりに2回攻撃が出来るの」

穏乃「あっ、そっか……あれ、新子先生、さっき思いっきり6300って叫んでたような……」

アコ「忘れてたんじゃない? トライスを装備する時、本当は装備する時手札を一枚送らなければならないのだけど、それはトライスというカードがモンスターに装備する為のコストだから、レジェンドの効果で付けられた場合払わなくてもいいのよね」

穏乃「へー……レジェンドって見たこともないカードだったから、初めて知ったよ」

アコ「古いカードだからね。今となっては使っているデュエリストもほとんどいないし……だけどセブン・ソード・ウォリアーの効果くらい覚えていた方がいいわ」

穏乃「え?」

アコ「セブン・ソード・ウォリアーの装備した時に800ダメージを与えるって効果」

アコ「1ターンに1度だけよ」

穏乃「……ええ!? 嘘っ!? で、でもさっき三枚装備された時に実際2400のダメージがっ」

アコ「言ったはずよ、これは闇のゲームだと。そしてその闇を生み出しているのは、あのセブン・ソード・ウォリアー……いえ、もはやセブン・ソード・ウォリアーとは別物の存在。よく見なさい、あのカードを」

穏乃「べ、別物……?」ジー

《セブン・ソード・ウォリアー(偽)》
 シンクロ・効果モンスター
 星7/地属性/戦士族/攻2300/守1800
 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードに新たに装備カードが装備された時、装備カードの枚数×に800ポイントのダメージを相手ライフに与える。
 また、1ターンに1度、このカードに装備された
 装備カード1枚を墓地へ送る事ができる。
 このカードに装備された装備カードが墓地へ送られた時、
 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を
 選択して破壊する事ができる。

穏乃「効果が、変わってる!?」

アコ「誰かが、あのカードに闇の力を送り込んで創り変えたのね……可哀想に、カードが泣いてるわ」

穏乃「か、カードを創り変えるなんて、そんなこと出来るわけ……」

アコ「普通なら、出来ないわね。だけど普通じゃなかったら、出来る。それだけよ」

穏乃「……闇って、闇のゲームっていったいなんなの……?」

アコ「闇のゲームは古の時代から行われていた、命や精神を掛けた危険なゲームよ」

アコ「最悪、命を落とすこともあるようなね」

穏乃「命を!?」

アコ「……といっても、この場で行われている闇のゲームじゃ命を落とすことはないわ。最悪でも気絶で済むでしょう」

アコ「今は闇の瘴気が薄い。言わば闇のゲームLV1ってとこかしら」

穏乃「……さっきからダメージを受ける度に衝撃が走ってたのって、アカデミアのスパルタな教育方針じゃなかったんだ……」

アコ「当たり前でしょ。なんでデュエルで痛むくらいの衝撃走らせたりするのよ」

穏乃「な、なら先生がいきなり豹変したのも!?」

アコ「ええ。あの人の精神は今、あのセブン・ソード・ウォリアーの闇に囚われてしまっているようね」

穏乃「……私のことを思って心を鬼にしていてくれたんじゃ、なかったんだ……」ショボン

アコ「……ポジティブね、あなた」

穏乃「……えっと、アコトラル、だっけ? なんでそんなことに詳しいの? 君はいったい……」

アコ「私は、アストラル世界という、こことは違う世界からやって来たの。闇のカードと、No(ナンバーズ)と呼ばれるエクシーズモンスターを回収するために」

穏乃「闇のカード? No?」

アコ「闇のカードとは、私の世界で生まれたとてつもない力を持つカード……そのあまりにも強すぎる力が人々の渇望や悪意、そういったカオスを溜め込んでしまった悲しいカード」

アコ「Noもまた、私の世界で生まれたとてつもない力を持つカード……人々の希望や欲望を映し出す鏡のようなカード」

アコ「その二種類のカードは、私の世界で人の手に触れぬよう厳重に封印されていたのだけれど、何者かによって持ちだされてこの世界にばら撒かれてしまったみたいなのよ」

アコ「闇のカードは16枚。Noは34枚。合計で50枚のカードをね」

穏乃「そんな凄いカードが50枚もこの世界に……そして、君はそれを回収しに来た」

アコ「そう……だけど、この世界にやって来て予想外のことが起こったのよ」

アコ「この世界で、私は現界できなかった」

穏乃「げ、げんかい?」

アコ「わかりやすくいえば、自分の体をこの世界に持ってこれなかったってこと。私は今、精神体だけでこの世界にいるの。今のままじゃ何も出来ないのよ」

穏乃「えっと……つまり、この世界じゃ君は物も触れないし、デュエルも出来ないってこと?」

アコ「その通りね。だから、私は求めた。私の姿を見れる人。私の声が聞こえる人――カードの回収を、手伝ってくれる人を。そして見つけたのがあなたってわけ」

穏乃「そうだったんだ……」

アコ「お願い、高鴨穏乃。私に力を貸して欲しい。あなたにとって何の得もないのはわかるし、あるいは危険なこともあるかも知れないわ」

アコ「だけど……」

穏乃「いいよ」

アコ「私にはほかに頼る人が……え?」

穏乃「いいよ、私で良かったら手伝ってあげるよ。そのカード探し」

アコ「……」ポカン

アコ「い、いいの?」

穏乃「だって私が手伝わないと君が困るんでしょ?」

アコ「そう、だけど……」

穏乃「だから、手伝うよ! 困っている人には優しくしなさいって、お母さんに教えられたんだ!」

アコ「……ありがとう、高鴨穏乃」

穏乃「穏! 穏でいいよ! 友達は皆そう呼ぶんだ! その代わり、アコって呼ばせてね。アコトラルって、ちょっと噛みそうで……」エヘヘ

アコ「……うん、シズ」

穏乃「よーし! カードを探す前に、まずはこのデュエルに勝たなくちゃ!」

アコ「――うん!」

晴絵「いつまで独り言を話してるつもりだ! 速くターンを進めろぉ!」

穏乃「はい! 私はモンスターをセット! それでターンエンド!」

※4ターン終了
[魔導] [魔導] [魔導] [トラ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [レジェ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [伏せ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [伏せ] [未来] [ ]

晴絵 3500 手札0枚
穏乃 4800 手札0枚

※4ターン終了
[魔導] [魔導] [魔導] [トラ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [レジェ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [伏せ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [伏せ] [未来] [ ]

晴絵 3500 手札0枚
穏乃 4800 手札0枚


晴絵「私のタアアアアアアアアアアァン!」

晴絵「このカードはっ!」

晴絵(……奴の魔法・罠ゾーンの伏せカードも気になるが、先ほどのターンで発動しなかったことを考えると、モンスターを除去するカードではない)

晴絵(ダメージを防ぐ効果か、バトルを終了させるカード……チェーンされて発動する可能性もある。奴の伏せたモンスターがマシュマロンなどの戦闘破壊を永続的に防ぐ効果を持っているとすればこのターン、奴のライフは削れない……)

晴絵(……トリニティーを召喚された所でどうということはないが、次のターン、私の魂レジェンドは破壊されてしまう……よってここは!)

晴絵「手札からサイクロンを発動! 未来融合を破壊する!」

《サイクロン》
 速攻魔法
 フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

穏乃「くっ! 未来融合が!」

アコ「これで、トリニティーの召喚はなくなった……」

晴絵「バトルだ! レジェンドで裏守備モンスターを攻撃!」

穏乃「私のモンスターはマッシブ・ウォリアー! 1ターンに1度、戦闘では破壊されない!」

《マッシブ・ウォリアー》
効果モンスター
 星2/地属性/戦士族/攻 600/守1200
 このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
 このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない。

晴絵「だが二度目は耐えられない! セブン・ソード・ウォリアーの攻撃!」

穏乃「マッシブ・ウォリアーは破壊されるっ!」

晴絵「閃光の双剣-トライスを装備したモンスターは2回攻撃することが出来る! トドメだ高鴨穏乃ぉ!」

やえ「高鴨ー!」

穏乃「……罠カード発動! ダメージ・ダイエット!」

《ダメージ・ダイエット》
 通常罠
 このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。
 また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
 そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。

晴絵「またもや、だとぉ!?」

穏乃「私が受けるダメージは! 半分になる! ぐっ」LP4800→1900

晴絵「……くぅぅぅ……! ふざけるなテメェ! いい加減沈めよ! 沈めッ!! ターンエンドだ!」

※5ターン終了
[魔導] [魔導] [魔導] [トラ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [レジェ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

晴絵 3500 手札0枚
穏乃 1900 手札0枚

穏乃「なんとか、凌いだけど……」

アコ「モンスターは居ない、伏せカードもない、手札は0」

アコ「状況は、絶望的……」

晴絵「ふはははは! もうどうあがいてもお前に勝ち目はないんだよ!」

穏乃「……」

やえ(勝ち目はない……確かにそうかも知れない。こんな状況、誰だって心が折れても仕方がない。だが)

穏乃「まだ、だ!」

穏乃「例え私の場にも手札にもカードが一枚もなかったとしても!」

穏乃「デュエルは終わってない! ライフが残っている限り諦めない!」

アコ「シズっ」

やえ(ナイスファイトだ! 高鴨穏乃! そうだ、まだデュエルは終わってない)

やえ(それに、HERO使いのお前ならばきっとあのカードを入れているはずだ)

やえ(この絶望的状況だからこそ、最大限に活きる起死回生のカードが! 真のデュエリストならば――引いてみせろ! 今ここで!)

穏乃「超かっとビングだ私! ――ドロオオオオオオオオオオオオオォ!」キラン

やえ(むっ!?)

望(今、カードが光ったような……!)

アコ「こ、このドローは……!」

穏乃「――き、来たぁ! 私は手札から!」

穏乃「バブルマンを特殊召喚! このカードは他に手札が無い時! 手札から特殊召喚出来る!」

《E・HERO バブルマン》
 効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200
 手札がこのカード1枚だけの場合、
 このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に
 自分のフィールド上と手札に他のカードが無い場合、
 デッキからカードを2枚ドローする事ができる。

晴絵「ここで、バブルマンだとっ!?」

穏乃「まだだ! バブルマンには更に効果がある!」

穏乃「このカードを召喚した時! 自分の手札とフィールドにカードが無い時! デッキからカードを2枚ドロー出来る!」

穏乃「ドロー! ……っ! ありがとう、私のデッキ! 私のHERO達!」

アコ(凄い……ここに来て、更にこのカードを引くなんて! 高鴨穏乃、この子は……!)

穏乃「私は手札から! エアーマンを通常召喚!」

やえ「おおっ、エアーマン!」

穏乃「エアーマンの効果発動! このカードが召喚された時! HEROと名のつくモンスターカードを手札に加える! 私はフォレストマンを手札に!」

《E・HERO エアーマン》
 効果モンスター
 星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
 以下の効果から1つを選択して発動できる。
 ●このカード以外の自分フィールド上の
 「HERO」と名のついたモンスターの数まで、
 フィールド上の魔法・罠カードを選んで破壊できる。
 ●デッキから「HERO」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

《E・HERO フォレストマン》
 効果モンスター
 星4/地属性/戦士族/攻1000/守2000
 1ターンに1度、自分のスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。
 自分のデッキまたは墓地に存在する「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

穏乃「そして私は手札から――! 超融合を発動!」

晴絵「超融合!? ば、馬鹿なっ!? この土壇場でそんなカードを!?」

穏乃「超融合は一枚の手札をコストに! 自分・相手の場からモンスターを選び! エクストラデッキから融合召喚扱いで融合モンスターを特殊召喚する!」

《超融合》
 速攻魔法
 手札を1枚捨てて発動できる。
 自分・相手フィールド上から融合モンスターカードによって決められた
 融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を
 融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
 このカードの発動に対して魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。

穏乃「フォレストマンを捨て! 先生のギルフォード・ザ・レジェンドとバブルマンを属性融合!」

晴絵「ああぁ!? 私の魂がーっ!?」

穏乃「来い! 偉大なる大地の勇者! E・HEROガイア!」

穏乃「融合召喚されたガイアの効果発動! このモンスターは相手のモンスター1体を指定して、そのモンスターの攻撃力を半分にし! 自分の攻撃力に加える!」

《E・HERO ガイア》
 融合・効果モンスター
 星6/地属性/戦士族/攻2200/守2600
 「E・HERO」と名のついたモンスター+地属性モンスター
 このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
 このカードが融合召喚に成功した時、
 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
 このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスター1体の攻撃力を半分にし、
 このカードの攻撃力はその数値分アップする。

穏乃「よって! セブン・ソード・ウォリアーの攻撃力は2900! ガイアの攻撃力は5100!」

穏乃「ガイアでセブン・ソード・ウォリアーを攻撃!」

晴絵「ぐわああああぁ!」LP3500→1300

穏乃「そして! エアーマンでダイレクトアタアアアアアアアアアアァック!」

晴絵「そんなっ――馬鹿なあああああああああぁ!」LP1300→0

穏乃「かっ、勝ったあああああああああぁ!」

アコ「凄い、凄いわシズ!」ギュー グサッ

穏乃「痛あああぁ!? アコ、刺さってる! サイバー・ボンテージの刺が刺さってるぅ!」



望「高鴨さんが、勝った! ――っ!? いつの間にか、フィールドを覆ってる闇が、消えてる? 今なら近づけるわ! 晴絵! 晴絵ー!」

やえ(……コングラッチュレーション、見事だ。よもやあの状況からこの逆転劇とは)

やえ(ひょっとしたら奴は、とんでもない逸材なのかも知れないな……)



望「晴絵! しっかりして!」ペシペシ

晴絵「……う、ううん……? あ、あれ? どうしたの望……泣いたりして……」

望「どうしたのじゃないわよ! デュエル中にあんな豹変したら誰でも驚くわ!」ポロポロ

晴絵「え? デュエル? そうだ、私は高鴨さんとデュエルして……あれ、それからどうなったんだっけ……?」

望「覚えて、ないの……? あなたはデュエルの途中から何かに取り憑かれたように人が変わってしまって、そして高鴨さんに負けたのよ?」

晴絵「嘘ぉ!? 全っ然覚えてない……た、高鴨は!?」

穏乃「超痛かった……あ、私はここにいます!」

晴絵「ごめん、私、何かデュエル中におかしなことになったらしくて……でも、全然覚えてなくて……」

穏乃「あ、あの、それは……え、えっと……」

穏乃(闇のカードのこと、話しても信じてもらえないかな? ここは穏便に)

穏乃「――いいデュエルでした! ありがとうございました、先生!」ペコッ


晴絵「そ、そうなのか……?」

晴絵「いいデュエルだったなら、それはそれでいいことなんだけど」

晴絵「……まあ兎にも角にも! 私に勝ったなら実技試験は合格だ! 今日から高鴨さんはこのデュエルアカデミアの生徒だよ! おめでとう!」

望「途中でデュエルはおかしくなってしまったけど、確かに勝ちは勝ちよね。おめでとう、高鴨さん!」

穏乃「……あっ……あぁ!」ポロポロ

穏乃「やったああああああああああぁ! やったよアコ! 私、今日からデュエルアカデミアの生徒だあああああああああぁ!」ダキッ グサッ

穏乃「ぐはぁ!?」

アコ「シズっ!?」

望(……さっきから)

やえ(高鴨は1人で何をしているんだろう)



穏乃(ううぅ、喜びのあまりサイバー・ボンテージのこと忘れてた……あっ、そうだ闇のカードを回収しないとっ)タッタッタ

穏乃「……あっ!」

アコ「……これは」

セブン・ソード・ウォリアー「」ズタボロ

穏乃「な、なんで……!? なんでカードが、こんなに痛んでるのっ!?」

アコ「……おそらく、無理に入れられた闇の力にカードが耐えられなかったのね」

アコ「これは私達の世界から持ちだされた純正な闇のカードじゃない。元は普通のカードだったのよ」

穏乃「酷い……酷いよ、こんなの、あんまりだよ……」ポロポロ

穏乃「……これ、創られたカードだって言ったよね」

アコ「ええ。強力な闇の力を持つ誰かが、このカードを闇のカードに創り変えた。これをやったのは、おそらくその誰か」

穏乃「……許せない! こんな事! 絶対に許さない!」

穏乃「アコ。私、アコの為にって言ったけど、これはもうそんな状況じゃない。このボロボロにされたこのカードの為にも! 私の為にも! 闇のカードと! 闇のカードをアコの世界から持ちだした人物を!」

穏乃「絶対に見つけてみせるから!」ゴッ






やえ(……あれは間違いなく、闇のゲームだった)

やえ(今までは都市伝説のようにひっそりと裏で行われていたものが、このような場所で行われるとは)

やえ(ついに、本格的に動き始めたか――!)



やえ(バリアンセブンスターズ!)

■■■ ?

?「そういえばさ。例の実験、どうなったの? あのカードの効果を書き換えるって奴」

?「あー、あれ? あれは駄目だね。カードの効果の書き換えまでやっちゃうと、カードが闇のゲームの力で耐え切れなくなっちゃうの」

?「一回デュエルしただけで、もうボロボロ。もうあれはやらない方がいいね。私が完璧にこの力を扱えるようになるまでは、さ」

?「ほらっ、私ってカードをこよなく愛するデュエリストですからっ! カードは大切にしなきゃね~」

?「……ボロボロにしておいてよくも言う」

?「赤土先生が転入生と闇のゲームを行ったことで、教師陣にも私達のことが伝わるかも知れませんね」

?「むしろ狙い通りだよアリトちゃん! そろそろ私達も表舞台に立たないとね!」

?「……なあ、その謎のコードネームとこのフードって、なんか意味あるのか? あわ」

?「ちょっとドルベ! このコードネームとこのフードは私が寝ないで一晩中考えた作ったんだよ! ちゃんとやって!」

ドルベ?「……こんなくだらないことを一晩考え込んだのか……すまん、ナッシュ」

ナッシュ?「わかればよろしい。悪の組織にはコードネームとフードが必須! そう! ライロにソーラー・エクスチェンジを入れるくらいに必須! ねえメラグ!」

メラグ?「くっくっく……私は気に入ってるよ? この氷のようなフードにコードネーム。私の愛するドラゴンとそっくりで……」

?「私はちょっと恥ずかしいんやけどな……」

ナッシュ?「も~ギラグ~。そんなつれないこといわないでよ~」

アリト?「でも、身元がばれないようにするのはいいことですよ。ベクターもそう思いませんか?」

ベクター?「私達にも大事な学生生活があるからな。当面はこの二重生活を保っていきたい。正直助かる」

ギラグ?「……まっ、確かにそうかもしれへんなぁ」

ナッシュ?「そうそう! とにかく! 当面はこれで行くの! よしっ! 早速決め台詞の練習だ!」

ドルベ?「やるのか……あれを……」

ナッシュ?「や~る~の~!」

ドルベ?「はぁ……」

ナッシュ?「準備はいい? いくよみんな!」




ギラグ?「全てのものは我が手の中や! ギラグ!」

アリト?「唸る拳が神をも砕くます! アリト!」

ベクター?「ジャジャ~ン! 私☆ベクター!」

メラグ?「灼熱の太陽すら瞬間凍結、氷の槍! メラグ!」

ドルベ?「セブンスターズの白き盾、ドルベ!」

ナッシュ?「そして私がバリアンセブンスターズを統べる者! ナッシュだ!」




ナッシュ?「ううぅ~ん! 1人足りないけどっ! カッコイイ!」

ドルベ?「……恥ずかしいっ」

ギラグ?「そういえばでミザちゃんはどうしたん?」

アリト?「なんでも電車で遠出しとうと改札機を通ったら改札機が爆発したみたいで、いま事情聴取を受けてるそうです」

メラグ?「機械音痴もここまで来ると呪いだね」

ナッシュ?「ふっふっふ。闇のカードとNoを持つこの七人がいれば、アカデミアの制圧はなんてたやすいもの」

ナッシュ?「いずれ全ての闇のカードとNoをこの手に集め――!」

ナッシュ?「デュエルモンスターズ界も! 世界も! 居世界も!」

ナッシュ?「テルーもサッキーも! 例え小走先輩が邪魔をしようとも!」

ナッシュ?「この世の全てを! 私達バリアンセブンスターズが制す!」

ナッシュ?「ふふふっ、あはは! あーはっはっは!」







TURN-2『我が名はアコトラル』 おわり

■■■



TURN-3『そんなオカルト、イラっと来ますね』



■■■



 ――デュエルアカデミア。

 そこはデュエリストの為のデュエリストによるデュエリスト教育施設。
 デュエルの学習を第一とするが、普通の教育機関のように必修科目などの習得が並列して行われているので、アカデミアの卒業生は高等学校または大学卒業の修了者として扱れるのである。
 ここデュエルアカデミア日本支部は世界でも有数の規模と実績を誇っており、卒業生の中にはトッププレイヤーのプロデュエリストなど数多くの逸材を輩出している。
 そんなデュエリストの登竜門へ、高鴨穏乃は他の新入生と2月ほど遅れたものの、晴れて入学を決めたのであった。



晴絵「で、ここで問題になってくるのが疾風のゲイルの効果だ。しっかりノートとれよー。
   《BF-疾風のゲイル》
   チューナー(効果モンスター)
   星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400
   ●自分ターンのメインフェイズ時、自分フィールド上に「BF-疾風のゲイル」以外の
   「BF」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードはチェーンブロックを作らずに手札から特殊召喚する事ができる。
   ●起動効果 1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を
   対象に取って発動することができる。そのモンスターの攻撃力と守備力を半分にする。
   半分にする数値は元々の攻撃力と守備力ではなく、効果処理時に現在の攻撃力と守備力の数値を参照する。
   この効果は、このカードがフィールド上に存在しなくなった場合でも継続して適用される。
   この効果によって変動した攻撃力と守備力はエンドフェイズでリセットされず、次のターン以降も変動値の適用は継続される。
   また、選択したモンスター1体を次のターン以降に再び対象に取って効果を適用する場合、効果は重複する。
   同じく、複数の「BF-疾風のゲイル」によってこの効果を適用する場合も重複する。この効果を適用したモンスターの攻撃力と守備力が、
   そのモンスターの永続効果によって変動する場合、この効果によってその永続効果は適用されなくなる。
   また、この効果を適用したモンスターの攻撃力と守備力が、そのモンスターの永続効果以外の効果または魔法・罠カードによって
   変動する場合、この効果によって変動された数値を元にして変動させる。この時、この効果を適用したモンスターに
   元々の攻撃力を変動させる魔法・罠カードを適用した場合は、その効果に従う。攻撃力と守備力が、既にそのモンスターの
   永続効果以外の効果または魔法・罠カードによって変動しているモンスターを選択した場合、それらの効果が適用されなくなるタイミング以降も、
   この効果によって変動された数値が継続される。攻撃力または守備力を変動させるフィールド魔法・装備魔法・永続魔法・永続罠によって
   攻撃力または守備力の数値が変動しているモンスターを対象に選択してこの効果を適用した場合、その後それらのカードが破壊されても
   選択したモンスターの攻撃力と守備力は変動しない。この効果を適用した場合、フィールド魔法・装備魔法・永続魔法・永続罠によって
   ターン・フェイズ・ステップやダメージ計算時等の特定のタイミングでのみ攻撃力と守備力を変動するカードが、選択したモンスターに及ぼす効果は適用されなくなる」

晴絵「というわけで、疾風のゲイルの裁定はこのように複雑だから、しっかり覚えておくように。テストに出るぞ」

穏乃「……難っず!」

アコ「ゲイルはややっこしいわよねぇ」

■■■ アカデミア教室 昼休み

穏乃「うううぅ、裁定を覚えるだけで頭がパンクしそう……」グテー

アコ「確かに不思議なルールが多いゲームだからね、デュエルモンスターズは」

穏乃「でも、アコはほとんど覚えてるんでしょ?」

アコ「私の世界ではこの世界よりもデュエルが重要視されているから。それくらいは当然よ」

穏乃「異世界でも裁定ってあるんだね」

優希「おーすシズちゃん、その様子だとシズちゃんも効果の暗記って苦手な方だじぇ?」

穏乃「あっ、優希ちゃん! うん、頭がパンクしそうだよ~」

優希「私なんて効果の裁定の暗記なんてもう諦めて全部デュエルディスク任せにしてるじぇ」

穏乃「あはは、優希ちゃんらしいね」

穏乃(この子は片岡優希ちゃん。私と同じ学年で、初日から転入してきた私をよく気にかけてくれた最初の友達)

穏乃(ちょっと語尾が個性的だけど、優しくて面白くてとっても良い子なんだ)

アコ「デュエリストたるもの、自分の使うカードの裁定くらいは知っておくべきだと思うけど?」

穏乃「そうしたいのはやまやまなんだけどねぇ」

優希「うーん……相変わらず穏乃ちゃんは独り言がおおいじぇ。まるで見えない誰かと話してるみたい」

穏乃「あ、あははは」

穏乃(ここに来て何日か立ったけど、アコが見えるのは相変わらず私だけみたい)

穏乃(アコといえば、あれから闇のカードをこっそりと探しまわっているけど、手がかりの1つも見つけられないんだ)

穏乃(危険な闇のデュエルもそうだし、闇のカードを創って、カードをボロボロにしてしまうような酷いことをする人なんて、放っておけないんだけど)

穏乃(何の手がかりもないんじゃ探しようもない……)

穏乃「せめて何か1つでも手がかりがあればなぁ」

アコ「……シズ、手伝って貰ってるのにこんなこと言うのもなんだけれど、焦っちゃ駄目よ」

アコ「闇のカードやNoは人の心の隙間に入り込むカード。焦りや憤りは、カードからしたら格好の餌だから」

アコ「今は、学校生活を満喫して心を充実感で満たすことが大事よ。闇のカードと戦う為にも」

穏乃「……うん、ありがとう。アコ」



「ねーねー! 今からデュエルスタジアムで小走先輩とちゃちゃのん先輩がデュエルやるんだって!」

「皆で見にいこーよ!」

穏乃「えっ!? 小走先輩がデュエル!」ガタッ

優希「それは見ものだじぇ! いこいこシズちゃん!」

穏乃「うん!」

穏乃(つい最近知ったんだけど、なんと小走先輩、このアカデミアでは)

         キング
穏乃(なんと絶対王者って呼ばれるくらい強くって人気がある人なんだって!)

穏乃「小走先輩ってどんなデュエルするのかなっ。楽しみだねアコ!」

アコ「そうね。特と拝見させて貰おうかしら。ここで王者と呼ばれるデュエリストの実力を……」



■■■ デュエルスタジアム



やえ「お前とデュエルするのも久しぶりだな、いちご」

いちご「ちゃちゃのんももう三年じゃ、今年で卒業だと思うと、一度はやえに勝っとかんといかん思ってのぉ」

やえ「ふっ、だからと言って手は抜かん。全力で行かせて貰おう――にわかは相手にならんよ!」

いちご「今日こそ王者の落命じゃ!」



やえ「デュエル!」

いちご「デュエル!」




優希「おおっ! 丁度始まったみたいだじぇ!」ゼェゼェ

穏乃「間に合ったぁ!」ゼェゼェ

いちご「ちゃちゃのんの先行! ドロー!」

いちご「……むっ! こ、この手札は……!」

いちご(勝てる! これならやえに勝てる!)



やえ(……笑顔? どうやら相当初手が良かったらしいな)

やえ(して、私の方は……)

やえ(……)フッ




穏乃「ねえ優希ちゃん、ちゃちゃのん先輩と小走先輩ってどんなデッキ使うの?」

優希「んーとね、2人ともデッキをコロコロ変えるから決まったテーマとかは無いと思うんだけど、あえていうなら2人とも高火力重視な時が多いじぇ」

アコ「へー、攻撃力重視ってわけね」



いちご「行くけぇのぉやえ! 私は手札から苦渋の選択を発動!」



穏乃「苦渋の選択!?」

《苦渋の選択》
 通常魔法
 自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。
 相手はその中から1枚を選択する。
 相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、
 残りのカードを墓地へ捨てる。


アコ「デッキ圧縮とサーチと墓地肥やしを兼ね備えた超強力カードね」

優希「1ターン目からぶっ飛ばしてるじぇ!」



いちご「ちゃちゃのんはデッキからカードを5枚選択する! これと、これと、これとこれと、これ! さあやえ! この中から私の手札に加えるカードを一枚選ぶんじゃぁ!」


 《ライトロード・パラディン ジェイン》


 《ライトロード・ハンター ライコウ》


 《ライトロード・マジシャン ライラ》


 《ライトロード・サモナー ルミナス》


 《ライトロード・ビースト ウォルフ》


やえ「――ほぅ、【ライトロード】か」

穏乃「ライトロード!? あ、アコ! これって……!」

アコ「これはかなり凶悪なコンボね。ライトロードの真の力は墓地に複数の種類のライトロードが揃うことによって発揮されるの」

優希「ライトロードという名前こそ持たないけれど、ライトロードの切り札にして最上級のエースモンスターは墓地に4種類のライトロードがある時手札から特殊召喚出来る!」

穏乃「つまりやえさんは、どのカードを選んでもあの龍の召喚条件を満たしてしまう! なんて恐ろしいシナジーを発揮するカードなんだ、苦渋の選択……!」



やえ「なら私はウォルフを選ぼう!」

いちご「OKじゃ。なら残りのカードは墓地に送るけんのう」

いちご「そして条件は揃った! ちゃちゃのんは手札から、裁きの龍を特殊召喚!」



モブA「で、でたっ!」

モブB「ライトロード最強にして最狂の切り札!」


     ジャッジメント・ドラグーン
モブ達「  裁  き  の  龍  !!!」


《裁きの龍》
 効果モンスター
 星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2600
 このカードは通常召喚できない。
 自分の墓地の「ライトロード」と名のついたモンスターが
 4種類以上の場合のみ特殊召喚できる。
 自分のメインフェイズ時に、
 1000ライフポイントを払って発動できる。
 このカード以外のフィールド上のカードを全て破壊する。
 また、自分のエンドフェイズ毎に発動する。
 自分のデッキの上からカードを4枚墓地へ送る。


穏乃「1ターン目から! 攻撃力3000のモンスターを召喚した!?」

優希「これが、デュエルアカデミア最上級生の実力!」

アコ「……うーん」

穏乃「どうしたの?」

アコ「確かに凄いことは凄いけれど、普通攻撃の出来ない先行1ターン目で裁きの龍を出すかしら?」

穏乃「……えー? でもエースモンスター出せるなら先行でも出したいよ私」

アコ「それは戦略としてどうなのよ」

アコ「他にモンスターが居なかった、というならまだ納得は出来るけど……」



いちご(……くっくっく、何人かは先行で切り札を曝け出したことを不可解に思っとるのぉ)

いちご(裁きの龍は言わば餌よ。やえは相手のエースは自分のエースでビートして倒すことを心情とするデュエリスト)

いちご(ちゃちゃのんが先行でエースを出せばまず次のターンでやえはエースを召喚し殴りかかってくるじゃろうのう)

いちご(それが狙いじゃ!)

いちご(なぜならちゃちゃのんの手札には!)

いちご(裁きの龍を除去されそうになっても大丈夫! 亜空間物質転送装置!)

いちご(大量展開されても大丈夫! 対象を取らないモンスターも殺せる聖なるバリアミラーフォース!)

いちご(そしてそれらを大嵐などから守るスターライト・ロード!)

いちご(仮にそれらを全部突破されても!)

いちご(どんなに攻撃力が高くとも! 手札から墓地に捨てることによって必ず相手の攻撃力を上回るオネストがあるけんのう!)

いちご(まさに盤石の布陣じゃ! 勝てる! 今日こそちゃちゃんのんは王者に勝つんじゃ!)ゴッ!

いちご「ちゃちゃんのんは三枚伏せてターンエンド!」


※1ターン終了

[ ] [スタロ] [聖バリ] [亜空] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [裁き] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

いちご 4000 手札2枚
やえ  4000 手札5枚

やえ「私のターン!」

やえ「私は手札からサイクロンを発動!」

いちご「」ギクッ

やえ「……私から見て一番左を破壊する。ほう、スタロか……やはり魔法・罠を守るカードを伏せていたな」

いちご「」

いちご(……い、いや、大丈夫じゃ。聖バリも亜空間ものこっと)

やえ「手札から大嵐を発動! お互いの魔法・罠ゾーンにあるカード全てを破壊する! といっても私の場にはカードが一枚もないがな」

いちご「」

《大嵐》
 通常魔法
 フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

いちご(……だ、大丈夫じゃ! 基本的にやえは効果による除去はしないけんのう! まだまだ行ける!)

やえ「更に手札から! 愚かな埋葬を発動! デッキからサイバー・ドラゴン・コアを墓地に送る!」

《おろかな埋葬》
 通常魔法
 デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

いちご「サイバードラゴン・コア!? 今日のやえはサイバー流かっ!」

やえ「墓地のサイバー・ドラゴン・コアの効果発動! このカードは相手の場にモンスターが居て自分の場に何も居ない時、このカードを墓地から除外することによって!」

やえ「サイバー・ドラゴンと名の付くカードをデッキから特殊召喚する! 現れろ! サイバー・ドラゴン・ツヴァイ!」

《サイバー・ドラゴン・コア》
 効果モンスター
 星2/光属性/機械族/攻 400/守1500
 このカードが召喚に成功した時、
 デッキから「サイバー」または「サイバネティック」と名のついた
 魔法・罠カード1枚を手札に加える。
 また、相手フィールド上にモンスターが存在し、
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 墓地のこのカードを除外して発動できる。
 デッキから「サイバー・ドラゴン」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
 「サイバー・ドラゴン・コア」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 このカードのカード名は、フィールド上・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

やえ「この瞬間! 手札から地獄の暴走召喚を発動! 相手の場にあるカードと同名のカードを可能な限り特殊召喚を許す変わりに!」

やえ「私もまた特殊召喚されたモンスターの同名カードを自分の場に特殊召喚する! 来い! 二双のサイバー・ドラゴン・ツヴァイよ!」


《地獄の暴走召喚》
 速攻魔法
 相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に
 攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。
 その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から
 全て攻撃表示で特殊召喚する。
 相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、
 そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。

いちご「ううっ……裁きの龍の特殊召喚は、手札からしか出来んのじゃぁ……」

やえ「それは残念だったな――続けて! サイバー・ドラゴン・ツヴァイの効果発動!」

やえ「サイバー・ドラゴン・ツヴァイは手札の魔法カードを相手に公開することによって! エンドフェイズまで場ではサイバー・ドラゴンとして扱うことが出来る!」

《サイバー・ドラゴン・ツヴァイ》
 効果モンスター
 星4/光属性/機械族/攻1500/守1000
 このカードが相手モンスターに攻撃するダメージステップの間、
 このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
 1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を相手に見せて発動できる。
 このカードのカード名はエンドフェイズ時まで
 「サイバー・ドラゴン」として扱う。
 また、このカードのカード名は、
 墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

やえ「私は3体の効果を発動し! 手札の魔法カードを3回公開する!」

やえ「公開するのはこれだ! パワー・ボンド!」

いちご「ぱ、パワー・ボンド!?」

《パワー・ボンド》
 通常魔法
 自分の手札・フィールド上から、
 融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
 機械族のその融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。
 このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、
 自分はこのカードの効果でアップした数値分のダメージを受ける。

やえ「場にはサイバー・ドラゴンとして扱うツヴァイが3体!」

やえ「よってパワー・ボンドによる融合召喚の条件は整っている!」

やえ「現れろ究極の機械竜!」

やえ「サイバー・エンド・ドラゴン!」



穏乃「サイバー・ドラゴンの最終融合形体!」

優希「サイバー・エンド・ドラゴンだじぇ!」

アコ「それにただのサイバー・エンド・ドラゴンじゃない……パワー・ボンドの効果によって、攻撃力8000まで引き上げられたサイバー・エンド!」

《サイバー・エンド・ドラゴン》
 融合・効果モンスター
 星10/光属性/機械族/攻4000/守2800
 「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
 このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。


 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力4000→8000



いちご「」



穏乃「これが通れば! 小走先輩の勝ちだ!」

やえ「征け! サイバー・エンド・ドラゴン! エターナル・エヴォリューション・バースト!」


いちご(――)ニヤァ

いちご(今じゃああああああああぁ!)

いちご「ダメージステッ」

やえ「ダメージステップ!」

いちご「!?」

やえ「悪いが今は私のターンだ。優先権を使わせて貰う――手札から! オネストの効果発動!」

いちご「」

《オネスト》
 効果モンスター
 星4/光属性/天使族/攻1100/守1900
 自分のメインフェイズ時に、フィールド上に表側表示で存在する
 このカードを手札に戻す事ができる。
 また、自分フィールド上の光属性モンスターが
 戦闘を行うダメージステップ時にこのカードを手札から墓地へ送る事で、
 エンドフェイズ時までそのモンスターの攻撃力は、
 戦闘を行う相手モンスターの攻撃力の数値分アップする。

やえ「これでサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力は! 11000だ!」




穏乃「攻撃力!?」

優希「11000!?」

やえ「ダメージステップのチェーンは一度だけ可能だ。私はもう無い。好きにチェーンしてくれ」

いちご「」

いちご「オ、オネスト……」

やえ「チェーンはいちごのオネスト、私のオネストで処理される! よって私のサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力は!」



裁きの龍 3000 → 11000

サイバー・エンド・ドラゴン 8000 → 19000




アコ「攻撃力19000のサイバー・エンド・ドラゴン!?」



いちご「そ」

いちご「そんなん……」

いちご「そんなん考慮しとらんよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!」 LP4000 → 0




やえ「――」ガッツポ






「「「「「「「わああああああああああああああああああああああああああああぁ!!!!」」」」」」」

「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 

「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 

「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 



やえ「ふっ」テノヒラフリー



「「「「にわかは相手にならんよ!」」」」ワーワー



優希「すげー! 後攻1ターンKILLだじぇー!」

穏乃「こ、小走先輩超かっこいいよー!」

穏乃「アコ! 見た!? 攻撃翌力19000だよ19000!」

穏乃

「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 

「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 

「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 



やえ「ふっ」テノヒラフリー



「「「「にわかは相手にならんよ!」」」」ワーワー



優希「すげー! 後攻1ターンKILLだじぇー!」

穏乃「こ、小走先輩超かっこいいよー!」

穏乃「アコ! 見た!? 攻撃翌力19000だよ19000!」

穏乃「あれが王者のタクティクス!」

アコ「確かに、これといってないほどに見事なサイバー1KILLだったわね」

穏乃「凄いよねぇ! 19000なんてデュエリスト5人分だよ!」

アコ「いやね、シズ。確かに19000は凄かったけど、あの人が凄かったのはその前にスタロを警戒していたことだと思うわ」

穏乃「え? あのサイクロンのあとに大嵐使った時?」

アコ「うん。あの人はおそらく先行で裁きの龍を出すというプレイングに違和感を覚えたのよ」

アコ「そして伏せカードは三枚。まず罠があると思うわよね」

穏乃「確かに」

アコ「かといって、あそこで最初に大嵐を使わなかったのが特に英断」

アコ「最初に大嵐を使っていたら、スターライト・ロードの効果発動条件が整ってしまって、大嵐が無効にされた上にスターダスト・ドラゴンを召喚されていたわ」

アコ「ライトロードはエクシーズもシンクロもちょっとし難いから、エクストラデッキに多少の余裕もあるはずだしね」

穏乃「えっと、自分の場のカードを二枚以上破壊する効果が発動した時に発動出来るんだっけ?」

《スターライト・ロード》
 通常罠
 自分フィールド上のカードを
 2枚以上破壊する効果が発動した時に発動できる。
 その効果を無効にし破壊する。
 その後、「スターダスト・ドラゴン」1体を
 エクストラデッキから特殊召喚できる。

アコ「最近じゃ単発破壊タイプの除去が増えてるから採用率は下がっているとはいえ、コスト無しで無効にする効果は強力よね」

アコ「よく伏せ3枚というだけでスタロの匂いを嗅ぎとったと思うわ。そしてサイクロン一枚で見事にぶち抜いたのも、運とはいえさすがに王者と呼ばれることだけはある」

ライロはチューナー3種シンクロ1種持っててシンクロエクシーズしやすく光縛りとかも出せるからエクストラ爆発するデッキじゃ

アコ「そしてダメ押しのオネスト。優先権を使ったダメージ計算時での先行使用の華麗な流れ」

アコ「オネストは先に出した方が勝つ。もはやデュエリストの常識」

穏乃「うーんと、確かにオネストはダメージ計算時に先に使うのが一番有効だって赤土先生が言ってたけど……なんでだっけ?」

アコ「バトルステップの中でダメージ計算時は収縮みたいなフリーチェーンのカードが使えないのよ。それに、チェーンを組むのも一度までと決まっているの」

アコ「つまりこのステップでは主にダメージステップに発動可能のカードしか使えないから、妨害が困難ってわけ」

アコ「それとオネストは効果処理時に相手モンスターの攻撃力を参照するから、チェーン処理の最後にオネストの効果がある限りどれだけ攻撃力を上げてもオネストはその攻撃力を吸収する」

穏乃「……む、難しい」

アコ「この辺りは変な裁定も多いし、覚えるしかないわ。それにオネストはまだ簡単な方だと思うわよ?」

アコ「何にせよ、ちゃんと覚えないとね。リバース効果の発動タイミング、クイックエフェクトのタイミング、リクルート効果のタイミング……」

アコ「ダメージステップ開始時、ダメージ計算前、ダメージ計算時からの効果処理、攻守確定、ダメージ確定、ダメージ発生、戦闘破壊確定」

アコ「ダメージ計算後、戦闘ダメージの攻守、マシュマロン、戦闘結果解決時、ダメージステップ終了時」

アコ「……あ。そういえばマシュマロンの特殊裁定なくなったんだっけ。マシュマロンステップとはなんだったのかしら」

穏乃「……だ、大丈夫! 私感覚で覚えるタイプだから、デュエルを重ねればいずれは小走先輩みたいに完璧に!」

アコ「……」

穏乃「た、多分……」

■■■

穏乃(やっぱり立派なデュエリストになるには覚えなきゃいけないことがたくさんあるな~)

穏乃(よーし! まずは小走先輩みたいに派手なデュエルを目標にがんばろう!)

穏乃(その為にはまずドロー修行だな! アカデミアの裏山には大きな滝があるから、滝斬りでドロー修行だ!)

アコ「――」

穏乃「ん? どうしたの、アコ」

アコ「……感じる」

穏乃「え?」

アコ「これは、Noの気配! シズ、誰かがNoを使ってデュエルしてるわ!」

穏乃「ええ!? ど、どこで!?」

アコ「あっちよ! ついてきて!」ビューン

穏乃「うわわ! アコ、空飛んでるんだから少しスピード落としてー!」タッタッタ

■■■ アカデミア裏路地

?「ダイレクトアタック」

モブ「うわああああああああああぁ!」

?「はぁ……雑魚が楯突かないでくださいよ、面倒くさい」

?「No。確かに見たことも聞いたこともないモンスターでしたが」

?「それを手に入れただけで、私に勝てるとでも思いましたか?」

モブ「くっ、そぉ……馬鹿な、こんな凄いカードに私は選ばれたんだぞ!」

モブ「私はカードに選ばれたデュエリストなんだ! それなのに! それでもでも勝てないのかっ!」

?「デュエルを勝利に導くのはカードではありませんよ」

?「デュエルを勝利に導くのは、デュエリストそのものですから」

モブ「原村ぁ! 和ぁー!」

和「うるさいんですよ……いちいち叫んで……」

和「まっ、とりあえずアンティルールを持ちかけたのはあなたなんですから」

和「貰いますよ、このNoとかいうカードは」

モブ「まっ! 待って……!」

和「……イラッとくるんですよ。カードをろくに扱えないデュエリストも」

和「約束を守らない人も――!」ウデフリアゲ

モブ「ひぃ!」



穏乃「やめろー! 暴力はいけないよ!」ズサー



和「ちっ、誰か来ましたね……」

モブ「た、助けてぇ!」




アコ「シズ、あの子が手に持ってるカード、Noだわ!」

穏乃「あの子が、Noの持ち主!? って――」



穏乃「――ぇ?」

和「――っ!」



穏乃「のど、か?」

和「穏、乃……」

穏乃「……和! 原村和! 和だよね!? うわっ、うわぁ! え、和もアカデミアに居たんだ!? 久しぶりー!」

和「……ええ。そうですよ……久しぶりですね、穏乃」

アコ「知り合いなの?」ミミウチ

穏乃「うん! この子は原村和って言って、私が小学生の頃の友達なんだ!」コゴエ

穏乃「それにしても本当に久しぶりだよ! 何年ぶりだっけ!? うわわ、身長も伸びてるし、おもちもさらに多くなって……」

和「出会って早々セクハラですか……変わりませんね、穏乃は」



モブ「……今だ逃げろっ!」タッタッタ


穏乃「あ」

和「……ちっ、逃げ足だけは一人前ですか」イライラ

穏乃(……な、なんだろう。なんだか、和……怒ってる?)

アコ「シズ、No……」

穏乃「あ、そうだった!」



穏乃「和、久しぶりなのに、いきなりこんなこと聞いて悪いんだけど、その手に持ってるカードって」

和「これですか? 今逃げていった人が“譲って”くれましてね」

和「No.16 色の支配者ショック・ルーラー……Noなんて今まで見たことも聞いたこともないですから、相当珍しいレアカードなんですかね」

穏乃「譲ってくれたって……っていうか、和。さっきひょっとしたら喧嘩してたの? もう少しで殴りかかろうとしているように見えたけど……」

穏乃「そ、そんなわけないよね! 和はちょっと取っ付きにくい雰囲気あったけど、本当は優しい子だし!」

和「ええ、殴ろうとしましたよ。滅茶苦茶に、傷めつけてやろうかと」

穏乃「なっ――」

和「もう相手も逃げてしまいましたし、もうどうでもいいことですけどね」

和「それはそうと、何やらこのカードに興味があるようですが……欲しいんですか?」

穏乃「う、うん。それ、私の知り合いの子のカードで……って、人を傷つけようとしてどうでもいいってなんだよ!?」

穏乃「どうしちゃったんだよ! 和! なんか変だよ!?」

穏乃「昔の和は! そんなこと言う奴じゃ!」

和「……そうですね。昔の私を知ってるあなたからすれば、今の私はおかしいでしょう、変でしょう、滑稽でしょう」



和「ですが――これが今の私なんです」



和「このカード、あげますよ。どうせ私のデッキには要りませんし」ポイッ

穏乃(カードを、投げ捨てた!?)

和「その変わり」

和「私には、二度と関わらないでください」テクテクテク



穏乃「……」プルプル

穏乃「……待て」

穏乃「待て! 和ぁ!」

和「――」ピタッ

穏乃「私と…私とデュエルしろおおおおおおお!」ゴッ

和「……」



アコ「ちょ、シズ!?」

穏乃「アコは黙ってて……!」



穏乃「わかんない、わかんないよ! なんだよこれが今の私って!」

穏乃「そりゃ、人は月日が流れば変わるよ! 変わっちゃうこともあるよ!」

穏乃「だけど! だけどこんなのおかしいだろ!」

穏乃「例え変わったとしても! 私の知ってる和は!」

穏乃「カードをゴミみたいに投げ捨てるような! そんな無下に扱うような酷い奴になるわけないんだ!」

穏乃「だって、だって! 和は阿知賀のデュエルクラブで! 誰よりもデュエルが大好きで! 誰よりも強かった私の憧れだったんだから!」

和「……」

穏乃「だから! 私とデュエルしろ!」

穏乃「私には、今の和が全然わかんない! まるで理解してあげられない!」

穏乃「だから――デュエルでわかりたい! デュエルで和の心を感じたい!」

穏乃「なんとか……なんとか言ってよ和!」

和「……デュエルで」

穏乃「っ!」

和「デュエルで分かり合うとか、デュエルが大好きだとか!」

和「そんなオカルト、イラッと来ますね!」ギロッ

穏乃「和……」

和「……デッキ。そうですね、あなたのデッキを賭けてデュエルする、というのなら、構いませんよ」

和「あなたが負けたら私にそのデッキを譲る――その条件なら、いいでしょう。デュエルをしましょう」

アコ「アンティルール!? しかも、そんな一方的なアンティで飲めるわけないじゃない!」

穏乃「……いいよ。私が負けたらこのデッキは和にあげる!」

アコ「シズ!?」

和「……はぁ、面倒ですね。全く……私が勝ったら、ちゃんと約束を守ってくださいよ」

和「約束を守らないような人間は……地獄の底辺まで落ち込むべきですから……」

和「……そう、私のように」ゴッ



和「デュエルディスク、セット」ガシャンガシャンガシャン

穏乃「デュエルディスク、セット!」ガシャンガシャンガシャン



和「デュエル」

穏乃「デュエル!」

和「私の先行、ドロー」

和「私は手札から天空の聖域を発動」

和「さらに手札から神の居城‐ヴァルハラを発動します」

《天空の聖域》
 フィールド魔法
 このカードがフィールド上に存在する限り、
 天使族モンスターの戦闘によって発生する天使族モンスターの
 コントローラーへの戦闘ダメージは0になる。

《神の居城-ヴァルハラ》
 永続魔法
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。

アコ「天空の聖域にヴァルハラ! ということは、あの原村和って人のデッキテーマは……」

穏乃「あれは、和の得意としていたコンボカード……うん、デッキテーマが変わっていないのなら、和のデッキは!」

和「更に私は手札抹殺を発動。手札三枚を墓地に送り三枚をドロー」

《手札抹殺》
 通常魔法
 お互いの手札を全て捨て、それぞれ自分のデッキから
 捨てた枚数分のカードをドローする。

穏乃「私は五枚を墓地に送って五枚ドロー!」

和「ヴァルハラの効果により、私は手札から天使族モンスターを一体特殊召喚出来ます。来て、アテナ」

《アテナ》
 効果モンスター
 星7/光属性/天使族/攻2600/守 800
 1ターンに1度、「アテナ」以外の自分フィールド上に表側表示で存在する
 天使族モンスター1体を墓地へ送る事で、
 「アテナ」以外の自分の墓地に存在する
 天使族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
 フィールド上に天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、
 相手ライフに600ポイントダメージを与える。

和「更に私は手札からモンスターを通常召喚。現れなさい、神秘の代行者 アース」

《神秘の代行者 アース》
 チューナー(効果モンスター)
 星2/光属性/天使族/攻1000/守 800
 このカードが召喚に成功した時、
 自分のデッキから「神秘の代行者アース」以外の
 「代行者」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。
 フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
 代わりに「マスター・ヒュペリオン」1体を手札に加える事ができる。

和「場に天使族モンスターが召喚されたことで、穏乃。あなたに600ポイントのダメージを与える」

穏乃「くっ」LP4000 → 3400

和「アースの効果発動。私の場には天空の聖域が存在する為、デッキからマスター・ヒュペリオンを手札に加えます」

和「アテナの効果発動。アースを墓地に送り、墓地から天使族モンスター1体を特殊召喚」

和「――降臨せよ! 大天使クリスティア!」

《大天使クリスティア》
 効果モンスター
 星8/光属性/天使族/攻2800/守2300
 自分の墓地に存在する天使族モンスターが4体のみの場合、
 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚に成功した時、
 自分の墓地に存在する天使族モンスター1体を手札に加える。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 お互いにモンスターを特殊召喚する事はできない。
 このカードがフィールド上から墓地へ送られる場合、
 墓地へは行かず持ち主のデッキの一番上に戻る。

アコ「大天使、クリスティアっ」

穏乃「……あはは、変わったなんていってさ。デッキだけは、全然変わらないじゃんか……」

穏乃「阿知賀の代行天使! 天空の使者、原村和――!」

TURN-3『そんなオカルト、イラっと来ますね』 おわり

>>102
あくまでアコトラルの主観なので……
それに純ロードってエクシーズとかしにくくないですか?ルミナスいないと。ウォルフの野郎は落ちねーし手札に来ちゃうしでミカエルは5000円パックの価値あったのかよくわらなry

■■■



TURN-4『変わってしまった者、変わらない者』



■■■


和「クリスティアが特殊召喚されたことで、再び600のダメージを受けて貰います」

穏乃「うぐっ」LP3400 → 2800

和「先行は攻撃出来ません。私は一枚伏せて、ターンエンド」



※1ターン終了

[ ] [ ] [伏せ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [アテ] [クリ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

和   4000 手札1枚
穏乃  2800 手札5枚



アコ「まずいわね、先行で大天使クリスティアを召喚されたのは……」

穏乃「大天使クリスティア、あのカードがフィールドに存在する限り、お互いに一切の特殊召喚は許されない!」

アコ「特殊召喚をメインとするHEROの天敵。気をつけてシズ、妨害を受けない融合と除去を兼ね備えた超融合さえ、発動すら出来ないんだから」

穏乃「わかってるよアコ! 昔、あのカードのお陰で私は何回和に負けたか……」

アコ(……それにしても、なぜアースの効果でマスター・ヒュペリオンをサーチしたの?)

アコ(原村和の墓地は現在4枚。その内2枚はアースと手札抹殺)

アコ(手札はサーチしたヒュペリオンのみ)

アコ(……いくら天空の聖域があったからといって、あそこは後々の展開も考えてヴィーナスでもサーチした方が良かった)

アコ(展開を抑制出来るクリスティアをアースと交換したのはわかるけど……何を考えているの……)



和「……」

穏乃(実は、初手はちょっとアレでどうしようかと思ったけど、和が手札抹殺を使ってくれてよかった)

穏乃(この手札と墓地なら、クリスティアは倒せる!)

穏乃(だけどクリスティアは倒してもデッキトップへ戻る……だけど和の手札はヒュペリオンのみ。ドローロックにはなる)

穏乃(どうしようか……何はともあれ、ドローしてから考えよう!)

穏乃「私のターン! ドロー!」

穏乃「――よしっ! 特殊召喚出来ないなら通常召喚するまでだよ!」

穏乃「墓地のE・HEROネクロダークマンの効果発動! このカードが墓地にある時、一度だけレベル5以上のE・HEROをリリースなしで召喚できる!」

《E・HERO ネクロダークマン》
 効果モンスター
 星5/闇属性/戦士族/攻1600/守1800
 このカードが墓地に存在する限り1度だけ、
 自分はレベル5以上の「E・HERO」と名のついた
 モンスター1体をリリースなしで召喚する事ができる。

穏乃「私は手札からE・HEROエッジマンを通常召喚!」

《E・HERO エッジマン》
 効果モンスター
 星7/地属性/戦士族/攻2600/守1800
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が越えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

和「エッジマン……あいも変わらず、あなたはHEROを使うんですね、穏乃」

穏乃「そうだよ。昔と変わらず、天使を使う和と同じで!」

和「だけど、そのモンスターではアテナと相打ちが精々。クリスティアは倒せません」

穏乃「わかってるさ――だから! 手札からH-ヒートハートを発動!」

《H-ヒートハート》

通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
そのカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が越えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
この効果は発動ターンのエンドフェイズまで続く。

穏乃「これによってエッジマンの攻撃力は3100だ!」

 エッジマン 攻撃力2600 →3100

穏乃「バトルフェイズ! クリスティアに攻撃! 行っけー! エッジマン! パワー・エッジ・アタック!」

和「クリスティアは破壊される……ですが、天空の聖域がある限り天使族が戦闘ダメージを受けることはありません」

和「そしてクリスティアはフィールドから墓地に送られる時、墓地には行かずデッキトップに戻る」

穏乃「だけど、これで私は特殊召喚が出来る!」

穏乃「手札からミラクル・フュージョンを発動! 墓地のE・HEROオーシャンとE・HEROワイルドマンを除外し!」

穏乃「現れろ! 最強のE・HERO! アブソルートZero!」

《ミラクル・フュージョン》
 通常魔法
 自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって
 決められたモンスターをゲームから除外し、「E・HERO」という
 名のついた融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
 (この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

《E・HEROエレメンタルヒーロー オーシャン》
 効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1500/守1200
 1ターンに1度、自分のスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。
 自分フィールド上または自分の墓地に存在する
 「HERO」と名のついたモンスター1体を選択し、持ち主の手札に戻す。

《E・HEROエレメンタルヒーロー ワイルドマン》
 効果モンスター
 星4/地属性/戦士族/攻1500/守1600
 このカードは罠の効果を受けない。

和「厄介なモンスターが来ましたね……アブソルートZero」

《E・HERO アブソルートZero》
 融合・効果モンスター
 星8/水属性/戦士族/攻2500/守2000
 「HERO」と名のついたモンスター+水属性モンスター
 このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
 このカードの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する
 「E・HERO アブソルートZero」以外の
 水属性モンスターの数×500ポイントアップする。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

アコ「アブソルートZeroはフィールドから離れた時に相手モンスターを全滅させる、言わばサンダーボルトを内蔵したモンスター」

アコ「下手に除去すれば、状況を一変する!」

穏乃「へへっ……クリスティアに四苦八苦していたあの頃と比べれば、多少なりとも私は前に進んだよ、和」

穏乃「私はこのデュエルで、和を感じたい! 数年ぶりの私をもっと感じて欲しい! だから、全力でぶつかり合おうよ!」

穏乃「私は二枚カードを伏せてターンエンド!」

和「エンドフェイズ」

穏乃「っ!」

和「私は罠カード、リビングデッドの呼び声を発動します」

《リビングデッドの呼び声》
 永続罠
 自分の墓地のモンスター1体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

アコ「墓地からモンスターを蘇生させる罠カード……それに相手のエンドフェイズでのタイミングで召喚とくれば……」

和「私は墓地から光神テテュスを特殊召喚」

アコ「やはり――!」

《光神テテュス》
 効果モンスター
 星5/光属性/天使族/攻2400/守1800
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 自分がカードをドローした時、そのカードが天使族モンスターだった場合、
 そのカードを相手に見せる事で自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。

穏乃「テテュス!?」

アコ「次にドローするカードはデッキトップに戻ったクリスティア」

アコ「つまりテテュスの効果は必ず発動し、もう一枚ドローが確定。悪くないコンボね」

穏乃「さすが和……クリスティアのドローロックは苦にもしないってことかっ」

和「そして忘れてないですよね穏乃。私のフィールドにアテナがいる限り、天使族のモンスターが召喚された時」

穏乃「私は、600ポイントのダメージを受ける……」LP2800 → 2200


※2ターン終了

[ ] [ ] [リビデ] [ヴァル] [ ] [ ]
[ ] [ ] [アテ] [ ] [ ]   [天空]

[ ] [ ] [エッジ] [Zero] [ ] [ ]
[ ] [ ] [伏] [伏] [ ] [ ]

和   4000 手札1枚
穏乃  2800 手札1枚


和「私のターン、ドロー。テテュスの効果発動。ドローしたカードが天使族モンスターだった場合、そのカードを公開することでもう一度ドローが出来る」

和「私が引いたのは当然クリスティア。よってドロー……再びテテュスの効果発動。今、私がドローしたのは朱光の宣告者。よって、もう一度ドロー」

和「……テテュスの効果発動。私がドローしたのは奇跡の代行者ジュピター、1ドロー」

アコ「嘘っ、なんてドロー力っ」

穏乃「これが、阿知賀の最強デュエリスト、和の力だよ!」

和「ドロー……天使族ではないので、私のドローはお終いです。ドロー力も何も……別に驚くことはありませんよ」

和「私のデッキ比率はモンスターと魔法・罠でほぼ1:1。クリスティアを除いて2連続でモンスターを引く確率は所詮1/4なんですから」

和「1/4なんて、どこにでも転がってる確率……驚くことなんて何もない……」

穏乃「……うよ」

和「……?」

穏乃「違うよ、和」

和「……」

穏乃「昔、和が言ってたんじゃないか。デュエルモンスターズは、確率だけが全てじゃないゲームなんだって」

穏乃「どんなにデッキ構成を考え尽くしても、思い通りに行かない時もあって……だけどその分、思い通りにデッキが動かせた時は、とっても嬉しいんだって」

穏乃「オカルト嫌いでも和でも、『こういうことが、デッキが答えてくれたということなんでしょうね』って……笑顔で、言ってたじゃないか」

和「……そんなことも」



和『クリスティア! ダイレクトアタックです!』

?『うわあああああん! 私の負けだー!』

穏乃『和すごーい! 玄さんに勝っちゃった!』

和『……初めて、玄さんに勝てたっ』

玄『もう、クリスティアはずるいのです! 私の可愛いレダメちゃんの効果が使えなくなっちゃうなんて!』

玄『もう一回! もう一回勝負だよ! 和ちゃん!』

和『はいっ! もう一度、私に答えてくださいね――私のデッキ……』




和「あったかも知れませんね……」

和「……でも」

和「でも」

和「私は、もう……」




 絶対……優勝して……ね……のど、か……ちゃん……約束……だよ……。

 ……勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ。
 絶対に勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ――。



 デュエルモンスターズ全国大会も、いよいよ決勝戦を迎えました! 優勝候補の原村和選手は、ここまで順調に駒を進めています! 決勝戦では一体どんなデュエルが繰り広げられるのでしょうか!?



 私は約束したんだ。

 絶対に勝つって……負けられない。負けられない。負けられない。

 ――でも、もしも負けたら。

 私は――負けられない……負けられない……負けるのが……怖い……。


                       ドサッ


 ――あれは、相手の……デッキ……。






 相手のデッキを不正に覗き見した疑いにより、原村和選手を、失格とします!






和「私はもう! そんな立派なデュエリストじゃないんですよ!」ゴッ

和「私のターン! もう、このターンで終わらせます!」

和「こんなくだらないデュエルは! もう!」

和「大事なデッキを失って! 私に関わったことを後悔しなさい! 穏乃!」

和「私は手札から奇跡の代行者ジュピターを召喚! よってアテナの効果で――!」

穏乃「待った! 私はジュピターの召喚にチェーンして! 墓地から罠カード発動! ダメージ・ダイエット!」

和「墓地から、トラップ!? くっ、手札抹殺で墓地に送られていたのですね――!」

穏乃「ダメージ・ダイエットは墓地からこのカードを除外することで! このターン私が受ける効果ダメージは半分になる!」

《ダメージ・ダイエット》
 通常罠
 このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。
 また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
 そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。

和「ちぃ――ならば300のダメージを受けなさい!」

穏乃「ううっ」LP2200 → 1900

和「さらに! ジュピターの効果発動!」

《奇跡の代行者 ジュピター》
 効果モンスター
 星4/光属性/天使族/攻1800/守1000
 1ターンに1度、自分の墓地に存在する「代行者」と名のついた
 モンスター1体をゲームから除外して発動する事ができる。
 自分フィールド上に表側表示で存在する天使族・光属性モンスター1体の攻撃力は、
 エンドフェイズ時まで800ポイントアップする。
 また、フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
 1ターンに1度、手札から天使族モンスター1体を捨てる事で、
 ゲームから除外されている自分の天使族・光属性モンスター1体を選択して特殊召喚する。

和「私は墓地から創造の代行者 ヴィーナスを除外! アテナの攻撃力を800ポイント上昇させる!」

アコ「ヴィーナス!? そうか、アースでヒュペリオンをサーチしたのは最初から引いていたから!」

アテナ 2600 → 3400

和「ジュピターの更なる効果発動! 天空の聖域が存在する時!」

和「私は手札から天使族モンスターを1体捨てることで除外されているモンスターを1体特殊召喚出来る!」

和「私は手札のクリスティアを捨て! 来い! 創造の代行者 ヴィーナス! そして300のダメージ!」

穏乃「うああぁ!」 LP1900 → 1600

和「そしてヴィーナスの効果発動! ヴィーナスは500のライフを払って! 自分の手札またはデッキから神聖なる球体を一体特殊召喚出来る!」

《創造の代行者 ヴィーナス》
 効果モンスター
 星3/光属性/天使族/攻1600/守 0
 500ライフポイントを払って発動する。
 自分の手札またはデッキから「神聖なる球体」1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する。

和「500ポイントライフを払い! 神聖なる球体を守備表示で特殊召喚! 300ダメージ!」

穏乃「あうぅ!」 LP1600 →1300

和「更に手札から! 場のヴィーナスを除外してマスター・ヒュペリオンを特殊召喚! 300ダメージ!」

穏乃「う、う……」LP 1300 → 1000 

和「続けて! アテナの効果発動! 神聖なる球体を墓地に送り! クリスティアを特殊召喚! 300ダメージ!」

穏乃「うぐぅっ!」LP1000 → 700

和「まだまだぁ! マスター・ヒュペリオンの効果発動! 神聖なる球体をゲームから除外し! あなたのフィールドにあるカードを破壊する! 私は右の伏せカードを破壊!」

《マスター・ヒュペリオン》  
 効果モンスター
 星8/光属性/天使族/攻2700/守2100
 このカードは、自分の手札・フィールド上・墓地に存在する
 「代行者」と名のついたモンスター1体をゲームから除外し、
 手札から特殊召喚する事ができる。
 1ターンに1度、自分の墓地に存在する
 天使族・光属性モンスター1体をゲームから除外する事で、
 フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。
 フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
 この効果は1ターンに2度まで使用できる。

穏乃「その破壊に! チェーンして発動! 和睦の使者!」

和「なっ!? 和睦の使者――!」

《和睦の使者》
 通常罠
 このターン、相手モンスターから受ける
 全ての戦闘ダメージは0になり、
 自分のモンスターは戦闘では破壊されない。

和(くっ、このターンはヒュペリオンの効果で伏せを除去してモンスターの攻撃で終わらせようと思ったのに――!)

和(これじゃ、攻撃しても意味がない――! 次のターン、おそらく穏乃はアブソルートZeroで自爆特攻して私のモンスターを全滅させるはず)

和(……くっ。私の手札には朱光の宣告者と最後にドローした聖なるバリアミラーフォースだけ)

和(戦略ミスです……ヒュペリオンを墓地に捨てでもアブソルートZeroは効果を無効にして破壊しておくべきでした――!)

和(……あの伏せ、気になりますが……エッジマンのダイレクトアタックを受ければ2600削られる)

和(……ミラーフォースがあればアブソルートZeroごとエッジマンを破壊出来る。しかし私の場も空……聖バリは残して起きたい)

和(それにクリスティアが破壊されても次のターンにデッキトップに戻り、ヴァルハラの効果で特殊召喚出来る)

和(……天空の聖域でヒュペリオンはもう一枚破壊が可能。ここで破壊すべきは……あの伏せカードではなく、エッジマン!)

和「ならば! 再びヒュペリオンの効果発動! このカードは聖域がある時もう一度効果を使える! 墓地のアースを除外してエッジマンを破壊!」

穏乃「エッジマン!?」

和「私はカードを一枚伏せてターンエンド!」



※3ターン終了

[ ] [ ] [罠] [ヴァル] [ ] [ ]
[クリ] [ヒュペ] [アテ] [ジュピ] [ヴィ]  [天空]

[ ] [ ] [ ] [Zero] [ ] [ ]
[ ] [ ] [伏] [ ] [ ] [ ]

和   3500 手札1枚
穏乃  700 手札1枚

和「……穏乃、あなたはよくやりました」

穏乃「和……」

和「ですが、これで終わりです。あなたのライフは残り700。さらにこのターン、クリスティアがいる限り特殊召喚も出来ず……Zeroで自爆特攻させるしかない」

和「でも私は次のターン、再びヴァルハラでクリスティアを特殊召喚出来ます」

和「もう、諦めなさい」

穏乃「……」

和「……今なら、サレンダーを認めます」

和「負けたらあなたのデッキを頂くと言いましたが、気が変わりました」

和「ここでサレンダーをするなら、あなたのデッキは頂きません」

穏乃「……」

アコ「シズ……」

和「簡単な、ことじゃないですか。諦めるなんて」

和「楽に、なれますよ。諦めれば……とっても、とっても」

穏乃「楽になんて、ならないよ。諦めて! 人が楽になれるはずがない!」

和「穏、乃……」

穏乃「和は、和は諦めたんだ! 何かを! 大切な何かを諦めちゃったんでしょ!?」

和「……そうです。私は、諦めたんですよ。夢も、デュエルも、何もかも……」

穏乃「だからそんなに辛そうなんだ! だから和のデュエルは! こんなにも悲しみに溢れてるんだ!」

穏乃「もう一度いうよ、和! 諦めたって、楽になんてならない! 諦めても、ずっと辛いままなんだよ! だってさ、だって!」





穏乃「諦めたら、人の心は死んじゃうんだよ!!!」

和「……変わらない。あなたは、昔から、変わりませんね」

和「どんなに劣勢でも、いつでも自分を信じて、デッキを信じて……」

穏乃「そうだよ! だってそれが――」

穏乃「私のかっとビングだから!」

穏乃「諦めなければ、道は開ける! どんな困難にも立ち向かい続ければ! 光明はさす!」

穏乃「行くよ和! 私は絶対に諦めない!」

穏乃「私は和に勝つ!」

穏乃「超かっとビングだ! 私! ドロオオオオオオオオオオオオォ!」キラン

アコ(こ、このカードはっ――!?)

穏乃「――来た」

穏乃「……このカード、所謂凡庸カードって奴でさ。強くて、多くのデッキに入ってるけど」

穏乃「きっと私は――今日、この日の為に。和に勝つ為に、入れてたんだと思う」

穏乃「私は手札から――」

穏乃「月の書を発動! 対象は! 大天使クリスティア!」

和「――つ、月の書……」

《月の書》
 速攻魔法
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、裏側守備表示にする。

アコ「裏守備状態じゃ効果は発動出来ない……これで大天使クリスティアの特殊召喚を封じる効果は使えなくなったっ」

穏乃「更に! 私は伏せカード、マスク・チェンジを発動!」

《マスク・チェンジ/Mask Change》 †

速攻魔法
自分フィールド上の「HERO」と名のついた
モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを墓地へ送り、
選択したモンスターと同じ属性の「M・HERO」と名のついた
モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

和「マスク・チェンジ――っ!?」

穏乃「マスク・チェンジは場のHEROと名のついたモンスターを墓地に送り! エクストラデッキからM・HEROを特殊召喚する!」

穏乃「現れろ――仮面のヒーロー! M・HERO アシッド!」

和「M・HERO……!? 昔の穏乃のデッキには、入っていなかった、穏乃の新たなHERO……!」

穏乃「そして! アブソルートZeroがフィールドから離れた時! 相手のフィールドのモンスターを全て破壊する!」

和「私の、モンスターが……全滅……」

穏乃「更にアシッド の効果発動! このカードが特殊召喚に成功した時! 相手フィールドの魔法・罠を全て破壊する!」

《M・HERO アシッド》
 融合・効果モンスター
 星8/水属性/戦士族/攻2600/守2100
 このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
 このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊し、
 相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。

アコ「これで、相手のフィールドは!」

和「ガラ、空き……」

和「見事です、見事です……穏乃」

和「ですが、私のライフは3500」

和「アシッドでは削り切れませんよ」

穏乃「わかってるよ――だけど! 私はこのターンで和に勝つ!」

穏乃「バトルフェイズ! 攻撃だアシッド! ダイレクトアタック! 」

和「……」LP 3500 → 900

穏乃「そして手札から! 速攻魔法発動! もう一枚のマスク・チェンジを発動!」

穏乃「現れろ! M・HEROヒーロー ヴェイパー!」

《M・HERO ヴェイパー》
 融合・効果モンスター
 星6/水属性/戦士族/攻2400/守2000
 このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
 このカードはカードの効果では破壊されない。

穏乃「これはバトルフェイズ中の特殊召喚の為! 私は続けて攻撃出来る!」

穏乃「行っけええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇ!」

穏乃「和に、ダイレクトアタックだあああああああああああああああああああああああぁ!」

和「――私の、負けです……強くなりましたね、穏乃」 LP900 → 0

穏乃「……勝った……」

穏乃「勝った、勝ったんだっ。あの和に、あの和の天使達に!」

穏乃「私が、勝ったんだっ」ポロポロ

アコ「おめでとう、シズ!」ダキッ



和「……」

和「……」テクテクテク



穏乃「あっ……和……」

和「……本当は、嬉しかった」

穏乃「えっ?」

和「……あの頃の、玄さんも、私も変わってしまって」

和「もう、あの頃の思い出は幻のように消えてしまったのだと、思ってた……でも、穏乃」

和「あなただけは、変わらなかった。私の、私の大好きな……友達の、穏乃のままでした」

和「あなたとのデュエル、楽しかったです」

穏乃「和……って、玄さんが、変わった……?」

和「玄さんも、このアカデミアに居ますよ」

穏乃「玄さんもアカデミアに!?」

和「ですが穏乃。これは、友達としての忠告です……玄さんに関わるのは、やめなさい」

和「玄さんは……私以上に、変わってしまったから」

和「下手をすれば……死にますよ」

穏乃「――し、死ぬ……? そ、そんな、まさか……あの優しかった玄さんが……」

穏乃「何が、何が起きたっていうんだよ、和! 玄さんにも、和にも! このアカデミアでいったい――!」

和「……闇のカード」

穏乃「っ!?」

和「私が知っているのは、それだけです……忠告はしましたよ、穏乃……」

穏乃「の、和っ……待っ」

和「……穏乃……」ピタッ

和「また、いつか……私と会ってくれますか……?」

穏乃「っ! うん! うんうんうん! いつだって! 毎日だって、会いにいくよ!」パァ!

和「……」クスッ

和「……また、お会いしましょう」テクテク

穏乃「和……」

アコ「穏乃。あの子、今……闇のカードって」

穏乃「うん……もしかして、玄さんも闇のカードに……」

穏乃「玄さん……あなたに、何があったんですか……玄さん……」






■■■ ?






モブ「うぁ、うああああぁ……!」

?「くっくっくっ! ダイレクトアタック!」

モブ「うわあああああああああああああぁ!」

?「私の勝ち……あなたのNoは貰って行くよ……」

モブ「な、なんなんなの……!? なんなのそのモンスターは!? ありえない、ありえないよぉ!?」

モブ「めちゃくちゃだっ! 誰よ、誰なのよあなたはああああああああああぁ!」

?「――私はメラグ。この世で最強の――」





メラグ「ドラゴン使いだよ」




TURN-4『変わってしまった者、変わらない者』 おわり

最強の龍……いったい何シューラなんだ……。

それとちょっとSSを見なおしてみたんですが誤字脱字やデュエルの展開があまりにも酷すぎたので全部書き直しました。
それにより、少し設定の変更と追加をします。

※闇のカードに取り込まれた人間は、フィールドに出された闇のカードを戦闘破壊しないと正気を取り戻さない。
※この世界には禁止・制限がありませんが強いカードは世界で一枚だけだったり超希少で中々手に入らなかったりする。

これからはちゃんとやるのでこれからもよろしくおねがいします。

 21世紀、世界のデュエルモンスターズ競技人口は70億人の大台を突破。
 そんな世の中で、“デュエルアカデミア”と呼ばれるデュエリストによるデュエリストの為のデュエリスト養成学校ではデュエルを学ぶために毎年多くの新入生が入学している。
 プロを目指す者、ただデュエルに触れ合いたい者、デュエルを通して変わりたいと願う者……様々な理由を秘めて。

「ここがデュエルアカデミア……よーし、かっとビングだ私!」



 これはデュエルの頂点を目指す少女達の軌跡……。



 ※咲と遊戯王の世界観を超融合したSSです。DM、GX、5D's、ZEXALの設定がごった煮ですが遊戯王の原作キャラクターは出ません。
 ※デュエルは初期ライフを除き基本的にOCGカードとルールで行われますが作者が完全に理解しているか怪しいのでミスがあったら指摘お願いします。
 ※ただしデュエルのノリとストーリーはアニメ風です。
 ※なおこの世界に禁止・制限はほとんどありませんが、強いカードは中々手に入らなかったり世界で一枚しかなかったりするので使いたい放題というわけではありません。
 ※デュエリスト1人のデッキに現実の禁止カードは1枚ほど入っているくらいです。


■■■



TURN-1『かっとビングだよ! 私!』



■■■



■■■ デュエルアカデミア職員室



晴絵「編入受験? 6月に転校してくるなんて珍しいね」

望「ちょっと複雑な事情があってね。本当はその子も他の新入生と同じ時期にこのデュエルアカデミアに受験するはずだったんだけど……まあ詳しいことはこの紙に書いてあるから」ペラッ

晴絵「どれどれ……え!? 交通事故で最近まで意識不明だったの!?」

望「実技試験に来る途中で……かわいそうに、不幸な子よね……」

晴絵「そっか、そんな子がいたんだ……」

望「実記試験はギリギリみたいだったけどクリアしていたから、あとは実技試験をクリアすればその子も晴れてデュエルアカデミアの生徒ってわけ」

晴絵「で、その実技試験デュエルの相手を私にって?」

望「そっ、校長先生からの名指しだからお願い。ちゃんと試験用のデッキでね」

晴絵「わかってる。でも、その子には受かって欲しいなぁ……アカデミアの教師として受験に私情は挟めないけどさ」

望「うん……」

■■■ デュエルアカデミア敷地内



?「くそー! 今度は事故に合わないようにって電車に乗ったら今度は電車が事故で止まるなんて!」ドドド

?「なんだよ改札機が爆発したって! まっ、でもよかった! 3本も早い電車に乗っといて! これならギリギリだけど時間には間に合うよ!」ドドド

?「デュエルアカデミアに入学するのは子供の頃からの目標なんだ! 絶対に入って見せる!」ドドド

?「うおおおおおおおおぉー! かっとビングだ! 私! ――って!? あ、危ない!?」キキー

やえ「――ん? どしゴフっ!?」ドゴォ

?「痛たたた……ああ!? や、やっちゃった! ご、ごめんなさいっ! 大丈夫ですか!?」

やえ「ごほっ、ごほっ。ふっ、心配しなさんな……私は小3の頃から豆すらできない……」フラフラ

?(よかった! 言葉の意味はわからないけど、怪我とかしてなさそう!)

やえ「いかんな君、アカデミアの敷地内とはいえ往来の場を走り回ったら」

?「はいっ、すみませんでした!」

やえ「うん、君は良い子だな……しかし、見ない顔だね? 新入生かな?」

?「はい! ……あっ、でもまだ新入生っていうわけじゃなくて……ええっと……転入生みたいなものです!」

やえ「ほう? こんな時期に珍しい。名前を聞いても……おっと、人に名前を尋ねる時は自分からか」

やえ「私は小走やえ。デュエルアカデミア高等部の三年生だ。よろしく頼むよ」

穏乃「穏乃、高鴨穏乃です! まだ実技試験が残ってるんで後輩になれるかわかんないんですけど、よろしくお願いします小走先輩!」

やえ「へえ、実技試験が。となると午後からデュエルスタジアムの予約がされていたのは君の試験ということか」

穏乃「多分そうだと……ってああ!? 時間がないんだった! 職員室に急がなきゃ!」

やえ「それは大変じゃないか。転入生なら場所がわかるまい、私が案内してあげよう」

穏乃「いいんですか!? 迷惑をお掛けしてばっかりなのに……!」

やえ「未来の後輩の為だ。この程度どうってことないさ」

穏乃「こ、小走先輩っ!」

やえ「ふっ、ニワカは相手にならんよ」

穏乃(言葉の意味はまるで意味がわからないけど! 小走先輩、凄くいい人だっ!)

穏乃(来て早々こんな立派な先輩に会えるなんて……うん! 絶対に入って見せる! デュエルアカデミア!)

穏乃「かっとビングだ! 私!」テクテク

やえ「どした? いきなり」テクテク



■■■ デュエルアカデミア・デュエルスタジアム



望「そう、今度は電車が……」

穏乃「重ね重ねすみません……」

晴絵「でも良かったよ。今度はちゃんと来れたんだから」

晴絵「今から試験の相手をする私が言うのもなんだけど、頑張ってな、高鴨さん」

穏乃「赤土先生っ……」

やえ「私も応援しているぞ、高鴨よ」

望「私もね」

穏乃「小走先輩っ、新子先生……! ありがとうございますっ! 私、絶対に受かってみせます! かっとビングだっ、私!」

やえ「……先ほどからよく君は“かっとビング”と叫んでいるが、それは何かのオマジナイか?」

穏乃「はい、お母さんから教えて貰った言葉で……勇気を持って一歩踏み出すこと! どんなピンチでも決して諦めないこと! あらゆる困難にチャレンジすること! それがかっとビングなんです」

やえ「ほぅ……素晴らしい意味を秘めた言葉じゃないか、かっとビング」

穏乃「私の信念です!」

望「ふふっ。なら、そのかっとビングを見せて貰おうかしら」

晴絵「うん、始めようか。実技試験」

穏乃(これがこの先を決める運命のデュエル……! 私の新しい人生の始まりを決めるデュエル!)

穏乃(私の魂のデッキ……さあ行こう! 楽しいデュエルの時間だよ! かっとビングだ!)

穏乃「お願いします! デュエルディスク、セット!」ガシャンガシャンガシャン

晴絵「さあこい!」ガシャンガシャンガシャン

聖「マスタールール2、お互いにライフポイントは4000――では、デュエル開始!」



晴絵「デュエル!」

穏乃「デュエル!」



やえ(見せて貰おう、高鴨穏乃……君のデュエルを。アカデミアに入学出来るかは、君の実力にかかっているぞ)

やえ(だが……このアカデミアに入学することが必ずしも幸せだとは限らないことを君は知らないのだろう……“今”、このアカデミアには……)



晴絵「私の先行! ドロー!」

晴絵(今回の試験用デッキは装備魔法を多用する戦士族ビート。装備魔法でモンスターの攻撃力を上げて殴るだけだが、状況次第では高火力で1ターンキルもありえるし、エクシーズもシンクロも使っていく)

晴絵(だけどこの程度のデッキを倒せないようなら、アカデミアで通用しないからな。応援はするが手加減はしないよ、高鴨穏……ん?) ――ドクン

晴絵(……あれ? このカードって……)ドクン ドクン

晴絵(んん? このカードだけじゃない……なっ、なんだこれ!? これって、試験用のデッキじゃなっ――)ドクン!

晴絵(……)

やえ(……むっ。赤土先生の動きが止まった……手札事故か?)

望(晴絵……?)

晴絵「……私のターン」ユラリ

穏乃(……な、なんだか……赤土先生の雰囲気が……変わったような。き、気のせいだよね)

晴絵「私は手札から増援を発動……これにより切り込み隊長を手札に加える……」

《増援》
 通常魔法
 デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

穏乃(切り込み隊長? 先生のデッキって戦士族なのかな……いや、デュエリストの登竜門、デュエルアカデミアのことだ。きっとただの戦士族じゃない!)

晴絵「続いて名推理を発動……さあ、私の引くモンスターのレベルを当ててごらん……」

《名推理》
 通常魔法
 相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。
 通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。
 出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。
 違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。

望(名推理? 試験用デッキにあんなカード入ってたかしら……)

やえ(あれは……)

穏乃(切り込み隊長が入ってるってことはデッキは戦士族テーマの可能性が高いはず。戦士族といえば星3に優秀な効果モンスターが多かった気が……切り込み隊長や不死武士って星3だったよね、でも高レベルモンスターだって入ってるだろうし)

穏乃(それに切り込み隊長が入ってたからといって、戦士族テーマと決めつけるのは安易すぎるし……うー、私あんまり頭よくないから読み合いとかは苦手だ……)

穏乃(……悩んでても始まらない! 勇気を持って一歩踏み出すこと! それがかっとビングだ!)

穏乃「私はレベル3を宣言します!」

やえ(うむ、戦士族ならばレベル3はあり得る、ヤリザ殿もいるし……悪くない選択だ……が)

晴絵「ドロー、魔法カード、ドロー、魔法カード、ドロー、魔法カード……」

穏乃(ど、ドキドキする……!)

晴絵「ドロー……どうやらあなたの推理は、大ハズレだったようだ」スッ

晴絵「私が引いたのはライトロード・アサシン ライデン。レベルは4。よってこのカードを特殊召喚……」

《ライトロード・アサシン ライデン》
 星4/光属性/戦士族チューナー/攻1700/守1000
 自分のメインフェイズ時に発動できる。
 自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。
 この効果で墓地へ送ったカードの中に
 「ライトロード」と名のついたモンスターがあった場合、
 このカードの攻撃力は相手のエンドフェイズ時まで200ポイントアップする。
 「ライトロード・アサシン ライデン」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
 また、自分のエンドフェイズ毎に発動する。
 自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

穏乃「外れた!」

やえ(おしい)

晴絵「ライデンの効果発動……デッキの上からカードを2枚墓地へ送る……」

晴絵「そして切り込み隊長を通常召喚……」

 《切り込み隊長》 †
 効果モンスター
 星3/地属性/戦士族/攻1200/守 400
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 相手は表側表示で存在する他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。
 このカードが召喚に成功した時、
 手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。

晴絵「切り込み隊長の効果発動、手札からアーマー・ブレイカーを特殊召喚……」

 《アーマー・ブレイカー》
 ユニオンモンスター
 星3/地属性/戦士族/攻 800/守 800
 1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして
 自分フィールド上の戦士族モンスターに装備、
 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
 この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、
 装備モンスターが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
 フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。
 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。
 装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、
 代わりにこのカードを破壊する。)

穏乃(やっぱり、先生のデッキは戦士族! そして場にはチューナーモンスター。来る、シンクロ召喚が!)

晴絵「私はライデンで切り込み隊長をチューニング、現れろ……セブン・ソード・ウォリアー」

穏乃「セブン・ソード・ウォリアー!?」

《セブン・ソード・ウォリアー》
 シンクロ・効果モンスター
 星7/地属性/戦士族/攻2300/守1800
 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 1ターンに1度、このカードに装備カードが装備された時、
 相手ライフに800ポイントダメージを与える。
 また、1ターンに1度、このカードに装備された
 装備カード1枚を墓地へ送る事ができる。
 このカードに装備された装備カードが墓地へ送られた時、
 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を
 選択して破壊する事ができる。

晴絵「そして更に、私は手札から装備魔法、アサルト・アーマーをウォリアーに装備」

《アサルト・アーマー》
 装備魔法
 自分フィールド上に存在するモンスターが
 戦士族モンスター1体のみの場合、そのモンスターに装備する事ができる。
 装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
 装備されているこのカードを墓地へ送る事で、このターン装備モンスターは
 1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

晴絵「ウォリアーの効果発動、このモンスターに装備カードが装備された時、相手にダメージを与える……喰らえ800のダメージを!」

穏乃「うわあああぁ!」LP4000→3200

晴絵「更にアーマー・ブレイカーの効果、1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして自分フィールド上の戦士族モンスターに装備出来る、ウォーリアーに装備……そしてもう一度ウォリアーの効果! 喰らえ800のダメージをっ!」

穏乃「ぐぅっ!」LP3200→2400

晴絵「……ターン、エンド」

※1ターン終了
[ ] [ ] [アサ] [アー] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

晴絵 4000 手札1枚
穏乃 2400 手札5枚

やえ「はぁ!?」

望「ど、どうしたの小走さん?」

やえ「待て、待て待て待て!? なぜ今、セブン・ソード・ウォリアーの効果は発動したんだ!?」

望「えっ? だってウォリアーは装備カードが装備された時に800のダメージを相手に与える効果を」

やえ「その効果が発動するのは1ターンに1度だけなんですよ先生!」

望「え!? 嘘っ、だって現に今800のダメージが……!?」

穏乃「はぁ、はぁ、はぁ……」ゼェゼェ

やえ(どういうことだ? 私の効果の覚え違いか? それともデュエルスタジアムの故障……?)

やえ(それに奇妙なことが2つ……)

晴絵「……くくっ」ゴゴゴゴ

やえ(赤土先生の様子がおかしい……あの人はデュエルをする時、あのように怪しい笑みを作るような人じゃない。誠心誠意に満ち溢れた立派なデュエリストなんだ)

穏乃「はぁ、はぁ、はぁ……」

やえ(そしてもう1つは、高鴨があまりにも疲れすぎているということだ……試験からくる緊張か? ピンチによる恐怖か?

やえ(確かに1ターン目から予想外の回りようではあるし、アーマー・ブレイカーがある限りウォリアーは一度だけ破壊を免れる……それに謎の効果の連続使用……むむっ)

やえ(嫌な予感がする。このデュエル、止めた方がいいんじゃないか――?)

穏乃(な……なんだ、これ)

穏乃(ソリッドビジョンのはずなのに……さっきのバーンダメージを受けた時)

穏乃(とんでもない衝撃が私の体を走った……まるで、雷に打たれたような)

穏乃(……そうか! そういうことか!)

穏乃(アカデミアでは! 緊張感や集中力を高める為にダメージを受ける度、電撃が流れる仕掛けなんだ!)

穏乃(凄い、凄いよデュエルアカデミア! こんなにもスパルタで、己に鞭打つようなデュエルを日々行っているんだ!)

穏乃(これくらいのダメージを耐えられないようなら、アカデミアではやっていけないってことか!)

穏乃(俄然やる気が出てきたぞっ! さすがはエリートデュエリスト養成学校っ! ここなら凄いデュエルを学べるはず! 絶対に入学するんだ!)

穏乃「その為にも、私は勝つ! 私のターン! ドロー!」

やえ(……疲れたように見えたが、その闘志に衰えは一切見せないか……不可解なことはあるが、今は君の意思を尊重するとするよ。私は止めない)

穏乃(ドローしたカード、そしてこの手札は……! よしっ!)

穏乃「私は手札から未来融合を発動!」

やえ(未来融合だと!? 高鴨は融合使いだったか、それも――!)

《未来融合-フューチャー・フュージョン》
 永続魔法
 自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、
 決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
 発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を
 融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

穏乃「未来融合は決められた素材をデッキから墓地に送ることによって、エクストラデッキから融合カードを融合召喚扱いとして2ターン後に特殊召喚出来る! 私が選択するカードはV・HEROトリニティー!」

やえ(HEROの使い手!)

穏乃「V・HEROトリニティーは3体のHEROで融合するモンスター!」

穏乃「私はデッキからスパークマン! フェザーマン! バーストレディーを墓地に送る!」

やえ(未来融合の本質は2ターン後に特殊召喚することじゃない。デッキからモンスターを墓地に送ることこそがその真価……!)

穏乃「続いて私は手札から沼地の魔神王の効果発動! 沼地の魔神王は手札から墓地に送ることでデッキから融合の魔法カードを手札に加えることが出来る!」

《沼地の魔神王》
 効果モンスター
 星3/水属性/水族/攻 500/守1100
 このカードを融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。
 その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。
 また、このカードを手札から墓地へ捨てる事で、
 デッキから「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

やえ(墓地には3体のHERO、その内1つはスパークマン。そして沼地を墓地に送ったのならば、来るか。融合が……)

穏乃「ここでっ! 魔法カードミラクル・フュージョンを発動!」

《ミラクル・フュージョン》
 通常魔法
 自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって
 決められたモンスターをゲームから除外し、「E・HERO」という
 名のついた融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
 (この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

穏乃「墓地からスパークマンと沼地の魔神王を除外して! 現れろ! 私のマイフェイバリットヒーロー!」

穏乃「E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン!」

晴絵「……ヒーロー、か……」

望「シャイニング・フレア・ウィングマン……だけど、攻撃力は2500、アサルト・アーマーを装備したセブン・ソード・ウォリアーに攻撃力は及ばない」

やえ「100足りないな……しかし大丈夫だ。穏乃はそれを踏まえてトリニティーを選択し3体を墓地に送ったのだから」

望「えっ?」

やえ「シャイニング・フレア・ウィングマンのモンスター効果は、墓地のE・HEROの数×300ポイントアップする!」

《E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン》
 融合・効果モンスター
 星8/光属性/戦士族/攻2500/守2100
 「E・HERO フレイム・ウィングマン」+「E・HERO スパークマン」
 このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
 このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在する「E・HERO」と名のついたカード1枚につき300ポイントアップする。
 このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
 破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

穏乃「シャイニング・フレア・ウィングマンは墓地のヒーローの魂をその手に受け継ぐ!」

穏乃「墓地には2体のE・HEROが残ってる! 攻撃力は600アップ!」

E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン 攻撃力2500→3100

晴絵「3100っ……」

穏乃「いっけー! シャイニング・シュート!」

晴絵「ウォリアーに装備されたアーマー・ブレイカーの効果発動……装備されたモンスターが破壊される代わりにこのカードを破壊しウォリアーは場に残る……」

穏乃「だけどダメージは受けて貰います!」

晴絵「ぐっ……」LP4000→3500

穏乃「カードを二枚伏せてターンエンド!」

※2ターン終了
[ ] [ ] [アサ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [シャイ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [伏せ] [伏せ] [未来] [ ]

晴絵 3500 手札1枚
穏乃 2400 手札1枚

穏乃(よし、いい感じ! この伏せ2枚と手札のこの子さえあれば、次のターンに繋げる)

晴絵「……」ブルブルブル

望(……晴絵が、震えてる……?)

晴絵「ふははっ! ふはははははは! あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」

穏乃「!?」ビクッ

望「!?」ビク

やえ「!?」ビビクン

晴絵「弱い弱い弱い弱い……このターンで削れたのがたったの500ポイントぉ? 貴様はこのレジェンドをナメているのかあああぁ!」ゴゴゴゴゴ

聖「は、晴絵!? どうしたの晴絵!?」

やえ「大変だ新子先生! 赤土先生の様子がおかしいぞ! なんだあれは! まるで意味がわからんぞ!?」

晴絵「見せてやる……私のデュエルを! 私の伝説を!」ゴゴゴゴ

穏乃(え、え!? な、なにこれ……フィールドが黒い霧みたいなものに包まれていく……!?)

晴絵「私のターン! ドロー!」

晴絵「手札から! 死者蘇生を発動!」

《死者蘇生》
 通常魔法
 自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。
 選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

穏乃「死者蘇生! 墓地のモンスターを特殊召喚する強力カード!」



望「なによこの黒い霧!? 晴絵の様子もおかしいし……この状況でデュエルなんて続けられない! 試験の中断を!」

やえ「……ダメだ! デュエルシステムがシャットダウンを受け付けない!」

望「どういう……ことなの……晴絵! デュエルをやめて! 晴絵ー!」

やえ「この黒い霧のせいで、フィールドに近づくことも出来ない……!? まさか、これは……」

やえ「闇のゲーム!」



晴絵「現れろ! トロイホース!」

《トロイホース》
 効果モンスター
 星4/地属性/獣族/攻1600/守1200
 地属性モンスターを生け贄召喚する場合、
 このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。

穏乃「トロイホース…?」

聖「トロイホース…!」

やえ「トロイホース…!? 懐っ!」

晴絵「トロイホースは地属性モンスターをアドバンス召喚する場合! 2体分のコストとして使用出来る!」

晴絵「トロイホースをリリース! 活目せよ伝説の魂を! アドバンス召喚!!!」

晴絵「ギルフォード・ザ・レジェンドオオオオオオオオオオオオォ!」

《ギルフォード・ザ・レジェンド》
 効果モンスター
 星8/地属性/戦士族/攻2600/守2000
 このカードは特殊召喚できない。
 このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する装備魔法カードを可能な限り
 自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスターに装備する事ができる。

やえ(やばい、懐かしすぎて涙が出そうだ……はっ!? だ、だがあのモンスターは!?)

望「あれは! 晴絵がアカデミア時代に愛用していたカード! 懐かしい……」

望「……っていやいや昔を懐かしんでる場合じゃないわ! と、というかトロイホース!?」

望「一体、いつ墓地へ送られていたの!?」

やえ「1ターン目、ライデンの効果で2枚デッキから墓地へ送っていた時だろうな……」

やえ「しかしまずいぞ新子先生! ヘタをすればこのターン! 穏乃のライフはゼロになる!」

望「そ、そっか。セブン・ソード・ウォリアーの効果でアサルト・アーマーを墓地に送れば、シャイニングを破壊出来るから、ギルフォードとウォリアーの攻撃で合計4900ものダメージを」

やえ「違う! いやそれもそうだが! ギルフォードは墓地に存在する装備魔法カードを可能な限り自分フィールドの戦士族モンスターに装備する事ができる効果を持つ!」

やえ「最初のターン、墓地に送られた魔法カードは3枚! さらにライデンでトロイホース以外の一枚が墓地に送られていた!」

やえ「もしもこれが全て装備カードだった場合……!」

望「……はっ! セブン・ソード・ウォリアーの効果は、装備カードが装備された時相手のライフに800ポイントのダメージを与える!」

晴絵「墓地には! 名推理とライデンの効果で送られた装備カードが四枚!」

穏乃「ということは……!」

やえ「効果ダメージは、3200! ――本来なら1ターンに1度の効果のはずなのに! あのセブン・ソード・ウォリアーは何故か効果を何回も使える!」

穏乃「これを受ければ……私のライフは、ゼロっ!?」

晴絵「くたばるがいい高鴨穏乃!」

晴絵「まず初めに! 墓地の魔導師の力をウォリアーに装備!」

《魔導師の力》
 装備魔法
 装備モンスターの攻撃力・守備力は、
 自分フィールド上の魔法・罠カード1枚につき
 500ポイントアップする。

晴絵「そして装備カードがウォリアーに装備されたことによって! 喰らえ800のダメージを!」

やえ「高鴨ー!」

穏乃「――この瞬間! 罠カード発動!」

晴絵「なにっ!?」

穏乃「手札を一枚捨てて! レインボーライフを発動する!」

《レインボー・ライフ》
 通常罠
 手札を1枚捨てて発動できる。
 このターンのエンドフェイズ時まで、
 自分は戦闘及びカードの効果によって
 ダメージを受ける代わりに、
 その数値分だけライフポイントを回復する。

穏乃「私はウォリアーの効果ダメージの800ポイント分ライフを回復する!」LP2400 → 3200

晴絵「こっの……貴様っ……このままウォリアーに装備してもバーンダメージは回復されてしまう……ならば残り三枚は!」

晴絵「墓地から魔導師の力2枚とトライスをレジェンドに装備!」

《閃光の双剣-トライス》
 装備魔法
 手札のカード1枚を墓地に送って装備する。
 装備モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。
 装備モンスターはバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

やえ「いいぞ! レインボー・ライフはバーンを防ぐと同時に戦闘までも抑制する! だが……!」

晴絵「ぐっ……ぐっ……ウォリアーの効果発動! 装備カードを一枚墓地に送り! 相手のモンスター一体を破壊する! アサルト・アーマーを墓地に送りシャイニングを破壊!」

穏乃「ああっ! シャイニング・フレア・ウィングマンがっ……」

晴絵「ちっ……ターンエンドだ」

やえ「ふぅ……このターン、なんとか耐え切れたものの…」

望「晴絵の場には魔導師の力で1000ポイントもパワーアップをした攻撃力3300のセブン・ソード・ウォリアー」

望「そして同じく魔導師の力2枚とトライスを装備して攻撃力6100となったギルフォード…」

やえ「絶対、絶命っ……!」

穏乃「まずいっ、このままじゃ……!」

晴絵「あははははっ! どうした高鴨穏乃ぉ! そんな体たらくで! その程度の実力で! デュエルアカデミアでやっていけるとでも思ったのか!? デュエルで勝てると思ったのか!」

穏乃「……っ」

晴絵「事故で受験を受けれなかった時に! 大人しく諦めりゃよかったんだよ! お前なんてな!」

晴絵「お前のようなポンコツにアカデミアの土は踏ませねぇ! 大人しく家に帰るんだな!」

穏乃(……この赤土先生の豹変仕方、明らかに変だ)

穏乃(……そうか、そういうことか! 先生は私を試しているんだ!)

穏乃(最近の若者には根性がないとか反骨心がないとかよく言われてしまっているから! 先生はわざと私に厳しい言葉を浴びせて煽っている! 心を鬼にして!)

穏乃(ここで、ここで先生に答えなきゃ! アカデミアの生徒として失格なんだ!)

穏乃「諦めない! 私は絶対に諦めません!」

晴絵「はぁ? ここでドローしても手札は一枚! 伏せも一枚! 便りの綱の融合はあと1ターンを要する! それでなにが出来るっていうんだ!?」

穏乃「かっとビング!」

晴絵「あぁ?」

穏乃「私には、かっとビングが出来る! 勇気を出して一歩踏み出すこと! 絶対に諦めないこと! 困難に挑戦し続けること! それがかっとビング!」

穏乃「デュエルは! ライフがゼロになるまで終わらない! だから、私はどんな状況でも、どんなデュエルでも諦めない!」

穏乃「カードを信じて! デュエルを信じて! そして何よりも! 自分を信じる!」

穏乃「それが――本当のデュエリストだから!!!」

 
 
 
 
 
 
 
 
「気に入ったわ、高鴨穏乃」

 
 
 
 
 
 
 
穏乃「……え? 今、誰か私の名前を……」


やえ(ん? 今度は高鴨の様子がおかしいぞ……)

望(どうしちゃったのかしら、高鴨さん……)

穏乃「気のせい……?」



「気のせいじゃないわよ」




穏乃「だ、だれ!?」キョロキョロ

穏乃「――――」キョロ…

穏乃「――――ぇ」

アコ「私の名前はアコトラル」

穏乃「……」

アコ「さあ、勝つわよこのデュエル」

穏乃「ぁ、ぁ……ま、ま……」






穏乃「真っ裸の女の子おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!?」



TURN-1『かっとビングだよ! 私!』 おわり

■■■



TURN-2『我が名はアコトラル』



■■■



穏乃(お母さん、デュエルアカデミアは凄い場所でした)

穏乃(デュエルは電撃で活をいれるくらいにスパルタで、先生は心を鬼にしての反骨心を奮い立たせてくれるくらい生徒思いで、先輩はとても良い人で)

穏乃(そして何よりも……)

アコ「どうしたの? 高鴨穏乃、あなたのターンよ」フワフワ

穏乃(女の子が、全裸で空を飛んでいます……)

アコ「絶対に諦めないんでしょ? だか」

穏乃「とりあえず服着てよおおおおおおおおぉ! なんで!? なんで裸なのさ!? 直視すら出来ないよ!?」



やえ「どうした高鴨!? 君も闇の瘴気でおかしくなってしまったのか!?」

望「大丈夫!? 高鴨さん!?」

晴絵「お前のターンだぞ! そして私に次のターンを回せぇ!」



穏乃「いやそれどころじゃないですよ!? 女の子、ここに全裸の女の子が!」

やえ「なんてことだ。高鴨も錯乱してしまうなんて……どいうなってしまうんだ、このデュエルッ」

穏乃「皆には……見えてない!?」

アコ「無駄よ。私の姿は普通の人間には見えないし、私の声も聞こえはしない」

穏乃「どういうこと……!? はっ、ま、まさか……幽霊なの!?」

アコ「落ち着いて高鴨穏乃。幽霊ってなに? どんな効果? いつ発動するの?」

穏乃「うううぅ、何なのもぉ……と、とにかくまずは服を着て! それが無理ならせめて手で隠して!」

アコ「……ふぅ、何故人間は素肌を晒すのに抵抗を持つのか理解し難いわね。私の世界では服なんて」

アコ「……全員着てるわね」

穏乃「変態だー!」

アコ「変態ってなに? どんな効果? いつ発動するの? ……まあ仕方ないわ。ひとまず手元にあったサイバー・ボンテージでも着ておきましょう」

穏乃「ハーピィ・レディだったの!? 君!?」

アコ「サイバー・ボンテージを発動、私に装備」ガシャンガシャン

穏乃「……ぎゃ、逆にエロくなった気がするけど裸よりはいいや……」

アコ「とにかく、デュエルを続けましょう。今はあなたのターン、そしてドローフェイズよ」

穏乃「そ、そうだった! お願い、良いカード来てっ。ドロー! ……ぐっ」

アコ「マッシブ・ウォーリアー……HEROデッキなのになんで入れてるの?」

穏乃「いや、場持ちをよくしようかと。戦士族だし、リミット・リバースとかも入ってるから……」

アコ「へぇ……まあとやかくとは言わないわ。でも、この場面じゃ破壊耐性の回数制限がないモンスターが来て欲しかったわね」

アコ「相手の場にはトライスを装備した攻撃力6100のレジェンドがいる」

アコ「定跡として相手は攻撃力の低いセブン・ソード・ウォリアーで最初の攻撃に来て、次のレジェンドの攻撃でマッシブは破壊されて場を守る壁はいなくなる」

アコ「あなたのライフは残り3200。二回目の攻撃を受けたら、あなたの負けよ」

穏乃「っ……そんなことくらいわかってるよ。大丈夫、私にはまだ伏せカードがある。このターンを耐えれば未来融合の効果でV‐HEROトリニティーも召喚される」

穏乃「このデュエル! 勝負はまだまだ終わらせない!」

アコ「わかってるならいいわ……何せ、これは闇のゲーム、下手をすれば……取り返しのつかないことになる」

穏乃「闇のゲーム……?」

アコ「そう……闇のゲーム。あのセブン・ソード・ウォリアーが良い例ね。あんな効果を持ったセブン・ソード・ウォリアー、闇のゲームの中以外では存在しない」

穏乃「え?」

アコ「セブン・ソード・ウォリアーの装備した時に800ダメージを与えるって効果」

アコ「1ターンに1度だけだからね」

穏乃「……ええ!? 嘘っ!? で、でも最初のターンで2枚装備された時に実際1600のダメージがっ」

アコ「言ったはずよ、これは闇のゲームだと。そしてその闇を生み出しているのは、あのセブン・ソード・ウォリアー……いえ、もはやセブン・ソード・ウォリアーとは別物の存在。よく見なさい、あのカードを」

穏乃「べ、別物……?」ジー

《セブン・ソード・ウォリアー(闇)》
 シンクロ・効果モンスター
 星7/地属性/戦士族/攻2300/守1800
 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 このカードに装備カードが装備された時、800ポイントのダメージを相手ライフに与える。
 また、1ターンに1度、このカードに装備された
 装備カード1枚を墓地へ送る事ができる。
 このカードに装備された装備カードが墓地へ送られた時、
 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を
 選択して破壊する事ができる。

穏乃「1ターンに1度がついてない!?」

アコ「誰かが、あのカードに闇の力を送り込んで創り変えたのね……可哀想に、カードが泣いてるわ」

穏乃「か、カードを創り変えるなんて、そんなこと出来るわけ……」

アコ「普通なら、出来ないわね。だけど普通じゃなかったら、出来る。それだけよ」

穏乃「……闇って、闇のゲームっていったいなんなの……?」

アコ「闇のゲームは古の時代から行われていた、命や精神を掛けた危険なゲームよ」

アコ「最悪、命を落とすこともあるようなね」

穏乃「命を!?」

アコ「……といっても、この場で行われている闇のゲームじゃ命を落とすことはないわ。最悪でも気絶で済むでしょう」

アコ「今は闇の瘴気が薄い。言わば闇のゲームLV1ってとこかしら」

穏乃「……さっきからダメージを受ける度に衝撃が走ってたのって、アカデミアのスパルタな教育方針じゃなかったんだ……」

アコ「当たり前でしょ。なんでデュエルで痛むくらいの衝撃走らせたりするのよ」

穏乃「な、なら先生がいきなり豹変したのも!?」

アコ「ええ。あの人の精神は今、あのセブン・ソード・ウォリアーの闇に囚われてしまっているようね」

穏乃「……私のことを思って心を鬼にしていてくれたんじゃ、なかったんだ……」ショボン

アコ「……ポジティブね、あなた」

穏乃「……えっと、アコトラル、だっけ? なんでそんなことに詳しいの? 君はいったい……」

アコ「私は、アストラル世界という、こことは違う世界からやって来たの。闇のカードと、No(ナンバーズ)と呼ばれるエクシーズモンスターを回収するために」

穏乃「闇のカード? No?」

アコ「闇のカードとは、私の世界で生まれたとてつもない力を持つカード……そのあまりにも強すぎる力が人々の渇望や悪意、そういったカオスを溜め込んでしまった悲しいカード」

アコ「Noもまた、私の世界で生まれたとてつもない力を持つカード……人々の希望や欲望を映し出す鏡のようなカード」

アコ「その二種類のカードは、私の世界で人の手に触れぬよう厳重に封印されていたのだけれど、何者かによって持ちだされてこの世界にばら撒かれてしまったみたいなのよ」

アコ「闇のカードは16枚。Noは34枚。合計で50枚のカードをね」

穏乃「そんな凄いカードが50枚もこの世界に……そして、君はそれを回収しに来た」

アコ「そう……だけど、この世界にやって来て予想外のことが起こったのよ」

アコ「この世界で、私は現界できなかった」

穏乃「げ、げんかい?」

アコ「わかりやすくいえば、自分の体をこの世界に持ってこれなかったってこと。私は今、精神体だけでこの世界にいるの。今のままじゃ何も出来ないのよ」

穏乃「えっと……つまり、この世界じゃ君は物も触れないし、デュエルも出来ないってこと?」

アコ「その通りね。だから、私は求めた。私の姿を見れる人。私の声が聞こえる人――カードの回収を、手伝ってくれる人を。そして見つけたのがあなたってわけ」

穏乃「そうだったんだ……」

アコ「お願い、高鴨穏乃。私に力を貸して欲しい。あなたにとって何の得もないのはわかるし、あるいは危険なこともあるかも知れないわ」

アコ「だけど……」

穏乃「いいよ」

アコ「私にはほかに頼る人が……え?」

穏乃「いいよ、私で良かったら手伝ってあげるよ。そのカード探し」

アコ「……」ポカン

アコ「い、いいの?」

穏乃「だって私が手伝わないと君が困るんでしょ?」

アコ「そう、だけど……」

穏乃「だから、手伝うよ! 困っている人には優しくしなさいって、お母さんに教えられたんだ!」

アコ「……ありがとう、高鴨穏乃」

穏乃「穏! 穏でいいよ! 友達は皆そう呼ぶんだ! その代わり、アコって呼ばせてね。アコトラルって、ちょっと噛みそうで……」エヘヘ

アコ「……うん、シズ」

穏乃「よーし! カードを探す前に、まずはこのデュエルに勝たなくちゃ!」

アコ「――うん! でも穏乃、気をつけて。あの先生を闇の呪縛から開放するには、あのセブン・ソード・ウォリアーを戦闘で破壊する必要があるわ」

穏乃「え、ええ!? 攻撃力6100のモンスターを戦闘破壊しないといけないの!?」

アコ「そうでなければ、完全に呪縛から解き放つことは出来ない。闇のカードの力は破壊によってのみ弱まるの」

穏乃「そんなぁ……!」

晴絵「いつまで独り言を話してるつもりだ! 速くターンを進めろぉ!」

穏乃「は、はい! 私はモンスターをセット! それでターンエンド!」

※4ターン終了
[魔導] [魔導] [魔導] [トラ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [レジェ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [伏せ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [伏せ] [未来] [ ]

晴絵 3500 手札0枚
穏乃 3200 手札0枚

晴絵「私のタアアアアアアアアアアァン!」

晴絵「このカードはっ!」

晴絵(……奴の魔法・罠ゾーンの伏せカードも気になるが、先ほどのターンで発動しなかったことを考えると、モンスターを除去するカードではない)

晴絵(ダメージを防ぐ効果か、バトルを終了させるカード……チェーンされて発動する可能性もある。奴の伏せたモンスターがマシュマロンなどの戦闘破壊を永続的に防ぐ効果を持っているとすればこのターン、奴のライフは削れない……)

晴絵(ウォリアーの効果は表側表示のモンスターしか破壊出来ないからな……仮にあれが耐性を持つカードでも次の私のターンで破壊出来る)

晴絵(……トリニティーを召喚された所でどうということはないが、次のターン、私の魂レジェンドは破壊されてしまう……よってここは!)

晴絵「手札からサイクロンを発動! 未来融合を破壊する!」

《サイクロン》
 速攻魔法
 フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

穏乃「くっ! 未来融合が!」

アコ「これで、トリニティーの召喚はなくなった……」

晴絵「バトルだ! セブン・ソード・ウォリアーで裏守備モンスターを攻撃!」

穏乃「私のモンスターはマッシブ・ウォリアー! 1ターンに1度、戦闘では破壊されない!」

《マッシブ・ウォリアー》
 効果モンスター
 星2/地属性/戦士族/攻 600/守1200
 このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
 このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない。

晴絵「だが二度目は耐えられない! レジェンドの攻撃!」

穏乃「マッシブ・ウォリアーは破壊されるっ!」

晴絵「閃光の双剣-トライスを装備したモンスターは2回攻撃することが出来る! トドメだ高鴨穏乃ぉ! レジェンドの追撃!」

穏乃「……罠カード発動! ダメージ・ダイエット!」

《ダメージ・ダイエット》
 通常罠
 このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。
 また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
 そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。

晴絵「またもや、防がれただとぉ!?」

穏乃「私が受けるダメージは! 半分になる! ぐっ」LP3200 → 150

晴絵「……くぅぅぅ……! ふざけるなテメェ! いい加減沈めよ! 沈めッ!! ターンエンドだ!」

※5ターン終了
[魔導] [魔導] [魔導] [トラ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [レジェ] [ウォ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

晴絵 3500 手札0枚
穏乃 150 手札0枚

穏乃「なんとか、凌いだけど……」

アコ「モンスターは居ない、伏せカードもない、手札は0。ライフポイントは150……」

アコ「状況は、絶望的……」

晴絵「ふはははは! もうどうあがいてもお前に勝ち目はないんだよ!」

穏乃「……」

やえ(勝ち目はない……確かにそうかも知れない。こんな状況、誰だって心が折れても仕方がない。だが)

穏乃「まだ、だ!」

穏乃「例え私の場にも手札にもカードが一枚もなかったとしても!」

穏乃「デュエルは終わってない! ライフが残っている限り諦めない!」

アコ「シズっ」

やえ(ナイスファイトだ! 高鴨穏乃! そうだ、まだデュエルは終わってない)

やえ(それに、HERO使いのお前ならばきっとあのカードを入れているはずだ)

やえ(この絶望的状況だからこそ、最大限に活きる起死回生のカードが! 真のデュエリストならば――引いてみせろ! 今ここで!)

穏乃「超かっとビングだ私! ――ドロオオオオオオオオオオオオオォ!」キラン

やえ(むっ!?)

望(今、カードが光ったような……!)

アコ「こ、このドローは……!」

穏乃「――き、来たぁ! 私は手札から!」

穏乃「バブルマンを特殊召喚! このカードは他に手札が無い時! 手札から特殊召喚出来る!」

《E・HERO バブルマン》
 効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200
 手札がこのカード1枚だけの場合、
 このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に
 自分のフィールド上と手札に他のカードが無い場合、
 デッキからカードを2枚ドローする事ができる。

晴絵「ここで、バブルマンだとっ!?」

穏乃「まだだ! バブルマンには更に効果がある!」

穏乃「このカードを召喚した時! 自分の手札とフィールドにカードが無い時! デッキからカードを2枚ドロー出来る!」

穏乃「ドロー! ……っ! ありがとう、私のデッキ! 私のHERO達!」

アコ(凄い……ここに来て、更にこのカードを引くなんて! 高鴨穏乃、この子は……!)

穏乃「私は手札から! エアーマンを通常召喚!」

やえ「おおっ、エアーマン!」

穏乃「エアーマンの効果発動! このカードが召喚された時! HEROと名のつくモンスターカードを手札に加える! 私はフォレストマンを手札に!」

《E・HERO エアーマン》
 効果モンスター
 星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
 以下の効果から1つを選択して発動できる。
 ●このカード以外の自分フィールド上の
 「HERO」と名のついたモンスターの数まで、
 フィールド上の魔法・罠カードを選んで破壊できる。
 ●デッキから「HERO」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

《E・HERO フォレストマン》
 効果モンスター
 星4/地属性/戦士族/攻1000/守2000
 1ターンに1度、自分のスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。
 自分のデッキまたは墓地に存在する「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

穏乃「そして私は手札から――! 超融合を発動!」

晴絵「超融合!? ば、馬鹿なっ!? この土壇場でそんなカードを!?」

穏乃「超融合は一枚の手札をコストに! 自分・相手の場からモンスターを選び! エクストラデッキから融合召喚扱いで融合モンスターを特殊召喚する!」

《超融合》
 速攻魔法
 手札を1枚捨てて発動できる。
 自分・相手フィールド上から融合モンスターカードによって決められた
 融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を
 融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
 このカードの発動に対して魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。

穏乃「フォレストマンを捨て! 先生のギルフォード・ザ・レジェンドとバブルマンを属性融合!」

晴絵「ああぁ!? 私の魂がーっ!?」

穏乃「来い! 偉大なる大地の勇者! E・HEROガイア!」

穏乃「融合召喚されたガイアの効果発動! このモンスターは相手のモンスター1体を指定して、そのモンスターの攻撃力を半分にし! 自分の攻撃力に加える!」

《E・HERO ガイア》
 融合・効果モンスター
 星6/地属性/戦士族/攻2200/守2600
 「E・HERO」と名のついたモンスター+地属性モンスター
 このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
 このカードが融合召喚に成功した時、
 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
 このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスター1体の攻撃力を半分にし、
 このカードの攻撃力はその数値分アップする。

穏乃「よって! セブン・ソード・ウォリアーの攻撃力は3050! ガイアの攻撃力は5250!」

穏乃「ガイアでセブン・ソード・ウォリアーを攻撃!」

晴絵「ぐわああああぁ!」LP3500→1300

穏乃「そして! エアーマンでダイレクトアタアアアアアアアアアアァック!」

晴絵「そんなっ――馬鹿なあああああああああぁ!」LP1300→0

穏乃「かっ、勝ったあああああああああぁ!」

アコ「凄い、凄いわシズ!」ギュー グサッ

穏乃「痛あああぁ!? アコ、刺さってる! サイバー・ボンテージの刺が刺さってるぅ!」



望「高鴨さんが、勝った! ――っ!? いつの間にか、フィールドを覆ってる闇が、消えてる? 今なら近づけるわ! 晴絵! 晴絵ー!」

やえ(……コングラッチュレーション、見事だ。よもやあの状況からこの逆転劇とは)

やえ(ひょっとしたら奴は、とんでもない逸材なのかも知れないな……)

望「晴絵! しっかりして!」ペシペシ

晴絵「……う、ううん……? あ、あれ? どうしたの望……泣いたりして……」

望「どうしたのじゃないわよ! デュエル中にあんな豹変したら誰でも驚くわ!」ポロポロ

晴絵「え? デュエル? そうだ、私は高鴨さんとデュエルして……あれ、それからどうなったんだっけ……?」

望「覚えて、ないの……? あなたはデュエルの途中から何かに取り憑かれたように人が変わってしまって、そして高鴨さんに負けたのよ?」

晴絵「嘘ぉ!? 全っ然覚えてない……た、高鴨は!?」

穏乃「超痛かった……あ、私はここにいます!」

晴絵「ごめん、私、何かデュエル中におかしなことになったらしくて……でも、全然覚えてなくて……」

穏乃「あ、あの、それは……え、えっと……」

穏乃(闇のカードのこと、話しても信じてもらえないかな? ここは穏便に)

穏乃「――いいデュエルでした! ありがとうございました、先生!」ペコッ

晴絵「そ、そうなのか……?」

晴絵「いいデュエルだったなら、それはそれでいいことなんだけど」

晴絵「……まあ兎にも角にも! 私に勝ったなら実技試験は合格だ! 今日から高鴨さんはこのデュエルアカデミアの生徒だよ! おめでとう!」

望「途中でデュエルはおかしくなってしまったけど、確かに勝ちは勝ちよね。おめでとう、高鴨さん!」

穏乃「……あっ……あぁ!」ポロポロ

穏乃「やったああああああああああぁ! やったよアコ! 私、今日からデュエルアカデミアの生徒だあああああああああぁ!」ダキッ グサッ

穏乃「ぐはぁ!?」

アコ「シズっ!?」

望(……さっきから)

やえ(高鴨は1人で何をしているんだろう)



穏乃(ううぅ、喜びのあまりサイバー・ボンテージのこと忘れてた……あっ、そうだ闇のカードを回収しないとっ)タッタッタ

穏乃「……あっ!」

アコ「……これは」

セブン・ソード・ウォリアー「」ズタボロ

穏乃「な、なんで……!? なんでカードが、こんなに痛んでるのっ!?」

アコ「……おそらく、無理に入れられた闇の力にカードが耐えられなかったのね」

アコ「これは私達の世界から持ちだされた純正な闇のカードじゃない。元は普通のカードだったのよ」

穏乃「酷い……酷いよ、こんなの、あんまりだよ……」ポロポロ

穏乃「……これ、創られたカードだって言ったよね」

アコ「ええ。強力な闇の力を持つ誰かが、このカードを闇のカードに創り変えた」

穏乃「……許せない! こんな事! 絶対に許さない!」

穏乃「アコ。私、アコの為にって言ったけど、これはもうそんな状況じゃない。このボロボロにされたこのカードの為にも! 私の為にも! 闇のカードと!」

穏乃「闇のカードを創り出している奴を! 絶対に見つけてみせるから!」ゴッ

やえ(……今のは間違いなく、闇のゲームだった)

やえ(今までは都市伝説のようにひっそりと裏で行われていたものが、このような場所で行われるとは)

やえ(ついに、本格的に動き始めたか――!)



やえ(バリアンセブンスターズ!)



■■■ ?



?「そういえばさ。例の実験、どうなったの? あのカードの効果を書き換えるって奴」

?「あー、あれ? あれは駄目だね。カードの効果の書き換えまでやっちゃうと、カードが闇のゲームの力で耐え切れなくなっちゃうの」

?「一回デュエルしただけで、もうボロボロ。もうあれはやらない方がいいね。私が完璧にこの力を扱えるようになるまでは、さ」

?「ほらっ、私ってカードをこよなく愛するデュエリストですからっ! カードは大切にしなきゃね~」

?「……ボロボロにしておいてよくも言う」

?「赤土先生が転入生と闇のゲームを行ったことで、教師陣にも私達のことが伝わるかも知れませんね」

?「むしろ狙い通りだよアリトちゃん! そろそろ私達も表舞台に立たないとね!」

?「……なあ、その謎のコードネームとこのフードって、なんか意味あるのか? あわ」

?「ちょっとドルベ! このコードネームとこのフードは私が寝ないで一晩中考えた作ったんだよ! ちゃんとやって!」

ドルベ?「……こんなくだらないことを一晩考え込んだのか……すまん、ナッシュ」

ナッシュ?「わかればよろしい。悪の組織にはコードネームとフードが必須! そう! ライロにソーラー・エクスチェンジを入れるくらいに必須! ねえメラグ!」

メラグ?「くっくっく……私は気に入ってるよ? この氷のようなフードにコードネーム。私の愛するドラゴンとそっくりで……」

?「私はちょっと恥ずかしいんやけどな……」

ナッシュ?「も~ギラグ~。そんなつれないこといわないでよ~」

アリト?「でも、身元がばれないようにするのはいいことですよ。ベクターもそう思いませんか?」

ベクター?「私達にも大事な学生生活があるからな。当面はこの二重生活を保っていきたい。正直助かる」

ギラグ?「……まっ、確かにそうかもしれへんなぁ」

ナッシュ?「そうそう! とにかく! 当面はこれで行くの! よしっ! 早速決め台詞の練習だ!」

ドルベ?「やるのか……あれを……」

ナッシュ?「や~る~の~!」

ドルベ?「はぁ……」

ナッシュ?「準備はいい? いくよみんな!」

ギラグ?「全てのものは我が手の中や! ギラグ!」

アリト?「唸る拳が神をも砕きます! アリト!」

ベクター?「ジャジャ~ン! 私☆ベクター!」

メラグ?「灼熱の太陽すら瞬間凍結、氷の槍! メラグ!」

ドルベ?「セブンスターズの白き盾、ドルベ!」

ナッシュ?「そして私がバリアンセブンスターズを統べる者! ナッシュだ!」




ナッシュ?「ううぅ~ん! 1人足りないけどっ! カッコイイ!」

ドルベ?「……恥ずかしいっ」

ギラグ?「そういえばでミザちゃんはどうしたん?」

アリト?「なんでも電車で遠出しようと改札機を通ったら改札機が爆発したみたいで、いま事情聴取を受けてるそうです」

メラグ?「機械音痴もここまで来ると呪いだね」



ナッシュ?「ふっふっふ。闇のカードとNoを持つこの七人がいれば、アカデミアの制圧はなんてたやすいもの」

ナッシュ?「いずれ全ての闇のカードとNoをこの手に集め――!」

ナッシュ?「デュエルモンスターズ界も! 世界も! 異世界も!」

ナッシュ?「テルーもサッキーも! 例え小走先輩が邪魔をしようとも!」

ナッシュ?「この世の全てを! 私達バリアンセブンスターズが制す!」

ナッシュ?「ふふふっ、あはは! あーはっはっは!」

TURN-2『我が名はアコトラル』 おわり

■■■



TURN-3『そんなオカルト、イラっと来ますね』



■■■



 ――デュエルアカデミア。

 そこはデュエリストの為のデュエリストによるデュエリスト教育施設。
 デュエルの学習を第一とするが、普通の教育機関のように必修科目などの習得が並列して行われているので、アカデミアの卒業生は高等学校または大学卒業の修了者として扱れるのである。
 ここデュエルアカデミア日本支部は世界でも有数の規模と実績を誇っており、卒業生の中にはトッププレイヤーのプロデュエリストなど数多くの逸材を輩出している。
 そんなデュエリストの登竜門へ、高鴨穏乃は他の新入生と2月ほど遅れたものの、晴れて入学を決めたのであった。



晴絵「で、ここで問題になってくるのが疾風のゲイルの効果だ。しっかりノートとれよー。
   《BF-疾風のゲイル》
   チューナー(効果モンスター)
   星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400
   ●自分ターンのメインフェイズ時、自分フィールド上に「BF-疾風のゲイル」以外の
   「BF」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードはチェーンブロックを作らずに手札から特殊召喚する事ができる。
   ●起動効果 1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を
   対象に取って発動することができる。そのモンスターの攻撃力と守備力を半分にする。
   半分にする数値は元々の攻撃力と守備力ではなく、効果処理時に現在の攻撃力と守備力の数値を参照する。
   この効果は、このカードがフィールド上に存在しなくなった場合でも継続して適用される。
   この効果によって変動した攻撃力と守備力はエンドフェイズでリセットされず、次のターン以降も変動値の適用は継続される。
   また、選択したモンスター1体を次のターン以降に再び対象に取って効果を適用する場合、効果は重複する。
   同じく、複数の「BF-疾風のゲイル」によってこの効果を適用する場合も重複する。この効果を適用したモンスターの攻撃力と守備力が、
   そのモンスターの永続効果によって変動する場合、この効果によってその永続効果は適用されなくなる。
   また、この効果を適用したモンスターの攻撃力と守備力が、そのモンスターの永続効果以外の効果または魔法・罠カードによって
   変動する場合、この効果によって変動された数値を元にして変動させる。この時、この効果を適用したモンスターに
   元々の攻撃力を変動させる魔法・罠カードを適用した場合は、その効果に従う。攻撃力と守備力が、既にそのモンスターの
   永続効果以外の効果または魔法・罠カードによって変動しているモンスターを選択した場合、それらの効果が適用されなくなるタイミング以降も、
   この効果によって変動された数値が継続される。攻撃力または守備力を変動させるフィールド魔法・装備魔法・永続魔法・永続罠によって
   攻撃力または守備力の数値が変動しているモンスターを対象に選択してこの効果を適用した場合、その後それらのカードが破壊されても
   選択したモンスターの攻撃力と守備力は変動しない。この効果を適用した場合、フィールド魔法・装備魔法・永続魔法・永続罠によって
   ターン・フェイズ・ステップやダメージ計算時等の特定のタイミングでのみ攻撃力と守備力を変動するカードが、選択したモンスターに及ぼす効果は適用されなくなる」

晴絵「というわけで、疾風のゲイルの裁定はこのように複雑だから、しっかり覚えておくように。テストに出るぞ」

穏乃「……難っず!」

アコ「ゲイルはややっこしいわよねぇ」

■■■ アカデミア教室 昼休み

穏乃「うううぅ、裁定を覚えるだけで頭がパンクしそう……」グテー

アコ「確かに不思議なルールが多いゲームだからね、デュエルモンスターズは」

穏乃「でも、アコはほとんど覚えてるんでしょ?」

アコ「私の世界ではこの世界よりもデュエルが重要視されているから。それくらいは当然よ」

穏乃「異世界でも裁定ってあるんだね」

優希「おーすシズちゃん、その様子だとシズちゃんも効果の暗記って苦手な方だじぇ?」

穏乃「あっ、優希ちゃん! うん、頭がパンクしそうだよ~」

優希「私なんて効果の裁定の暗記なんてもう諦めて全部デュエルディスク任せにしてるじぇ」

穏乃「あはは、優希ちゃんらしいね」

穏乃(この子は片岡優希ちゃん。私と同じ学年で、初日から転入してきた私をよく気にかけてくれた最初の友達)

穏乃(ちょっと語尾が個性的だけど、優しくて面白くてとっても良い子なんだ)

アコ「デュエリストたるもの、自分の使うカードの裁定くらいは知っておくべきだと思うけど?」

穏乃「そうしたいのはやまやまなんだけどねぇ」

優希「うーん……相変わらず穏乃ちゃんは独り言がおおいじぇ。まるで見えない誰かと話してるみたい」

穏乃「あ、あははは」

穏乃(ここに来て何日か立ったけど、アコが見えるのは相変わらず私だけみたい)

穏乃(アコといえば、あれから闇のカードをこっそりと探しまわっているけど、手がかりの1つも見つけられないんだ)

穏乃(危険な闇のデュエルもそうだし、闇のカードを創って、カードをボロボロにしてしまうような酷いことをする人なんて、放っておけないんだけど)

穏乃(何の手がかりもないんじゃ探しようもない……)

穏乃「せめて何か1つでも手がかりがあればなぁ」

アコ「……シズ、手伝って貰ってるのにこんなこと言うのもなんだけれど、焦っちゃ駄目よ」

アコ「闇のカードやNoは人の心の隙間に入り込むカード。焦りや憤りは、カードからしたら格好の餌だから」

アコ「今は、学校生活を満喫して心を充実感で満たすことが大事よ。闇のカードと戦う為にも」

穏乃「……うん、ありがとう。アコ」



「ねーねー! 今からデュエルスタジアムで小走先輩とちゃちゃのん先輩がデュエルやるんだって!」

「皆で見にいこーよ!」

穏乃「えっ!? 小走先輩がデュエル!」ガタッ

優希「それは見ものだじぇ! いこいこシズちゃん!」

穏乃「うん!」

穏乃(つい最近知ったんだけど、なんと小走先輩、このアカデミアでは)

穏乃(なんと絶対王者って呼ばれるくらい強くって人気がある人なんだって!)

穏乃「小走先輩ってどんなデュエルするのかなっ。楽しみだねアコ!」

アコ「そうね。特と拝見させて貰おうかしら。ここで王者と呼ばれるデュエリストの実力を……」

■■■ デュエルスタジアム



やえ「お前とデュエルするのも久しぶりだな、いちご」

いちご「ちゃちゃのんももう三年じゃ、今年で卒業だと思うと、一度はやえに勝っとかんといかん思ってのぉ」

やえ「ふっ、だからと言って手は抜かん。全力で行かせて貰おう――にわかは相手にならんよ!」

いちご「今日こそ王者の落命じゃ!」



やえ「デュエル!」

いちご「デュエル!」




優希「おおっ! 丁度始まったみたいだじぇ!」ゼェゼェ

穏乃「間に合ったぁ!」ゼェゼェ



いちご「ちゃちゃのんの先行! ドロー!」

いちご「……むっ! こ、この手札は……!」

いちご(勝てる! これならやえに勝てる!)



やえ(……笑顔? どうやら相当初手が良かったらしいな)

やえ(して、私の方は……)

やえ(……)フッ




穏乃「ねえ優希ちゃん、ちゃちゃのん先輩と小走先輩ってどんなデッキ使うの?」

優希「んーとね、2人ともデッキをコロコロ変えるから決まったテーマとかは無いと思うんだけど、あえていうなら2人とも高火力重視な時が多いじぇ」

アコ「へー、攻撃力重視ってわけね」



いちご「行くけぇのぉやえ! 私は手札から苦渋の選択を発動!」



穏乃「苦渋の選択!?」

《苦渋の選択》
 通常魔法
 自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。
 相手はその中から1枚を選択する。
 相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、
 残りのカードを墓地へ捨てる。


アコ「デッキ圧縮とサーチと墓地肥やしを兼ね備えた超強力カードね」

優希「1ターン目からぶっ飛ばしてるじぇ!」



いちご「ちゃちゃのんはデッキからカードを5枚選択する! これと、これと、これとこれと、これ! さあやえ! この中から私の手札に加えるカードを一枚選ぶんじゃぁ!」

 《ライトロード・パラディン ジェイン》


 《ライトロード・ハンター ライコウ》


 《ライトロード・マジシャン ライラ》


 《ライトロード・サモナー ルミナス》


 《ライトロード・ビースト ウォルフ》


やえ「――ほぅ、【ライトロード】か」

穏乃「ライトロード!? あ、アコ! これって……!」

アコ「これはかなり凶悪なコンボね。ライトロードの真の力は墓地に複数の種類のライトロードが揃うことによって発揮されるの」

優希「ライトロードという名前こそ持たないけれど、ライトロードの切り札にして最上級のエースモンスターは墓地に4種類のライトロードがある時手札から特殊召喚出来る!」

穏乃「つまりやえさんは、どのカードを選んでもあの龍の召喚条件を満たしてしまう! なんて恐ろしいシナジーを発揮するカードなんだ、苦渋の選択……!」



やえ「なら私はウォルフを選ぼう!」

いちご「OKじゃ。なら残りのカードは墓地に送るけんのう」

いちご「そして条件は揃った! ちゃちゃのんは手札から、裁きの龍を特殊召喚!」



モブA「で、でたっ!」

モブB「ライトロード最強にして最狂の切り札!」


     ジャッジメント・ドラグーン
モブ達「  裁  き  の  龍  !!!」


《裁きの龍》
 効果モンスター
 星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2600
 このカードは通常召喚できない。
 自分の墓地の「ライトロード」と名のついたモンスターが
 4種類以上の場合のみ特殊召喚できる。
 自分のメインフェイズ時に、
 1000ライフポイントを払って発動できる。
 このカード以外のフィールド上のカードを全て破壊する。
 また、自分のエンドフェイズ毎に発動する。
 自分のデッキの上からカードを4枚墓地へ送る。

穏乃「1ターン目から! 攻撃力3000のモンスターを召喚した!?」

優希「これが、デュエルアカデミア最上級生の実力!」

アコ「……うーん」

穏乃「どうしたの?」

アコ「確かに凄いことは凄いけれど、普通攻撃の出来ない先行1ターン目で裁きの龍を出すかしら?」

穏乃「……えー? でもエースモンスター出せるなら先行でも出したいよ私」

アコ「それは戦略としてどうなのよ」

アコ「他にモンスターが居なかった、というならまだ納得は出来るけど……」



いちご(……くっくっく、何人かは先行で切り札を曝け出したことを不可解に思っとるのぉ)

いちご(裁きの龍は言わば餌よ。やえは相手のエースは自分のエースでビートして倒すことを心情とするデュエリスト)

いちご(ちゃちゃのんが先行でエースを出せばまず次のターンでやえはエースを召喚し殴りかかってくるじゃろうのう)

いちご(それが狙いじゃ! ……まあ出せるモンスターが他に無いというのもあるけど)

いちご(なぜならちゃちゃのんの手札には!)

いちご(裁きの龍を除去されそうになっても大丈夫! 亜空間物質転送装置!)

いちご(大量展開されても大丈夫! 対象を取らないモンスターも殺せる聖なるバリアミラーフォース!)

いちご(そしてそれらを大嵐などから守るスターライト・ロード!)

いちご(仮にそれらを全部突破されても!)

いちご(どんなに攻撃力が高くとも! 手札から墓地に捨てることによって必ず相手の攻撃力を上回るオネストがあるけんのう!)

いちご(まさに盤石の布陣じゃ! 勝てる! 今日こそちゃちゃんのんは王者に勝つんじゃ!)ゴッ!

いちご「ちゃちゃんのんは三枚伏せてターンエンド! そして裁きの龍の効果でデッキの上から4枚墓地に送る!」


※1ターン終了

[ ] [スタロ] [聖バリ] [亜空] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [裁き] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

いちご 4000 手札2枚
やえ  4000 手札5枚

やえ「私のターン!」

やえ「私は手札からサイクロンを発動!」

いちご「」ギクッ

やえ「……私から見て一番左を破壊する。ほう、スタロか……やはり魔法・罠を守るカードを伏せていたな」

いちご「」

いちご(……い、いや、大丈夫じゃ。聖バリも亜空間ものこっと)

やえ「手札から大嵐を発動! お互いの魔法・罠ゾーンにあるカード全てを破壊する! といっても私の場にはカードが一枚もないがな」

いちご「」

《大嵐》
 通常魔法
 フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

いちご(……だ、大丈夫じゃ! 基本的にやえは効果による除去はしないけんのう! まだまだ行ける!)

やえ「更に手札から! 愚かな埋葬を発動! デッキからサイバー・ドラゴン・コアを墓地に送る!」

《おろかな埋葬》
 通常魔法
 デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

いちご「サイバードラゴン・コア!? 今日のやえはサイバー流かっ!」

やえ「墓地のサイバー・ドラゴン・コアの効果発動! このカードは相手の場にモンスターが居て自分の場に何も居ない時、このカードを墓地から除外することによって!」

やえ「サイバー・ドラゴンと名の付くカードをデッキから特殊召喚する! 現れろ! サイバー・ドラゴン・ツヴァイ!」

《サイバー・ドラゴン・コア》
 効果モンスター
 星2/光属性/機械族/攻 400/守1500
 このカードが召喚に成功した時、
 デッキから「サイバー」または「サイバネティック」と名のついた
 魔法・罠カード1枚を手札に加える。
 また、相手フィールド上にモンスターが存在し、
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 墓地のこのカードを除外して発動できる。
 デッキから「サイバー・ドラゴン」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
 「サイバー・ドラゴン・コア」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 このカードのカード名は、フィールド上・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

やえ「この瞬間! 手札から地獄の暴走召喚を発動! 相手の場にあるカードと同名のカードを可能な限り特殊召喚を許す変わりに!」

やえ「私もまた特殊召喚されたモンスターの同名カードを自分の場に特殊召喚する! 来い! 二双のサイバー・ドラゴン・ツヴァイよ!」

《地獄の暴走召喚》
 速攻魔法
 相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に
 攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。
 その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から
 全て攻撃表示で特殊召喚する。
 相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、
 そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。

いちご「ううっ……裁きの龍の特殊召喚は、手札からしか出来んのじゃぁ……」

やえ「それは残念だったな――続けて! サイバー・ドラゴン・ツヴァイの効果発動!」

やえ「サイバー・ドラゴン・ツヴァイは手札の魔法カードを相手に公開することによって! エンドフェイズまで場ではサイバー・ドラゴンとして扱うことが出来る!」

《サイバー・ドラゴン・ツヴァイ》
 効果モンスター
 星4/光属性/機械族/攻1500/守1000
 このカードが相手モンスターに攻撃するダメージステップの間、
 このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
 1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を相手に見せて発動できる。
 このカードのカード名はエンドフェイズ時まで
 「サイバー・ドラゴン」として扱う。
 また、このカードのカード名は、
 墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

やえ「私は3体の効果を発動し! 手札の魔法カードを3回公開する!」

やえ「公開するのはこれだ! パワー・ボンド!」

いちご「ぱ、パワー・ボンド!?」

《パワー・ボンド》
 通常魔法
 自分の手札・フィールド上から、
 融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
 機械族のその融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。
 このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、
 自分はこのカードの効果でアップした数値分のダメージを受ける。

やえ「場にはサイバー・ドラゴンとして扱うツヴァイが3体!」

やえ「よってパワー・ボンドによる融合召喚の条件は整っている!」

やえ「現れろ究極の機械竜!」

やえ「サイバー・エンド・ドラゴン!」



穏乃「サイバー・ドラゴンの最終融合形体!」

優希「サイバー・エンド・ドラゴンだじぇ!」

アコ「それにただのサイバー・エンド・ドラゴンじゃない……パワー・ボンドの効果によって、攻撃力8000まで引き上げられたサイバー・エンド!」

《サイバー・エンド・ドラゴン》
 融合・効果モンスター
 星10/光属性/機械族/攻4000/守2800
 「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
 このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。


 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力4000→8000



いちご「」



穏乃「これが通れば! 小走先輩の勝ちだ!」

やえ「征け! サイバー・エンド・ドラゴン! エターナル・エヴォリューション・バースト!」

いちご(――)ニヤァ

いちご(今じゃああああああああぁ!)

いちご「ダメージステッ」

やえ「ダメージステップ! 無論、ダメージ計算時!」

いちご「!?」

やえ「悪いが今は私のターンだ。優先権を使わせて貰う――手札から! オネストの効果発動!」

いちご「」

《オネスト》
 効果モンスター
 星4/光属性/天使族/攻1100/守1900
 自分のメインフェイズ時に、フィールド上に表側表示で存在する
 このカードを手札に戻す事ができる。
 また、自分フィールド上の光属性モンスターが
 戦闘を行うダメージステップ時にこのカードを手札から墓地へ送る事で、
 エンドフェイズ時までそのモンスターの攻撃力は、
 戦闘を行う相手モンスターの攻撃力の数値分アップする。

やえ「これでサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力は! 11000だ!」




穏乃「攻撃力!?」

優希「11000!?」

やえ「ダメージ計算時のチェーンは一度だけ可能だ。私はもう無い。好きにチェーンしてくれ」

いちご「」

いちご「オ、オネスト……」

やえ「チェーンはいちごのオネスト、私のオネストで処理される! よって私のサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力は!」



裁きの龍 3000 → 11000

サイバー・エンド・ドラゴン 8000 → 19000




アコ「攻撃力19000のサイバー・エンド・ドラゴン!?」



いちご「そ」

いちご「そんなん……」

いちご「そんなん考慮しとらんよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!」 LP4000 → 0



やえ「――」ガッツポ

「「「「「「「わああああああああああああああああああああああああああああぁ!!!!」」」」」」」


「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 

「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 

「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 「王者!」 



やえ「ふっ」テノヒラフリー



「「「「にわかは相手にならんよ!」」」」ワーワー



優希「すげー! 後攻1ターンKILLだじぇー!」

穏乃「こ、小走先輩超かっこいいよー!」

穏乃「アコ! 見た!? 攻撃翌力19000だよ19000!」

穏乃「あれが王者のタクティクス!」

アコ「確かに、これといってないほどに見事なサイバー1KILLだったわね」

穏乃「凄いよねぇ! 19000なんてデュエリスト5人分だよ!」

アコ「いやね、シズ。確かに19000は凄かったけど、あの人が凄かったのはその前にスタロを警戒していたことだと思うわ」

穏乃「え? あのサイクロンのあとに大嵐使った時?」

アコ「うん。あの人はおそらく先行で裁きの龍を出すというプレイングに違和感を覚えたのよ」

アコ「そして伏せカードは三枚。まず罠があると思うわよね」

穏乃「確かに」

アコ「かといって、あそこで最初に大嵐を使わなかったのが特に英断」

アコ「最初に大嵐を使っていたら、スターライト・ロードの効果発動条件が整ってしまって、大嵐が無効にされた上にスターダスト・ドラゴンを召喚されていたわ」

穏乃「えっと、自分の場のカードを二枚以上破壊する効果が発動した時に発動出来るんだっけ?」

《スターライト・ロード》
 通常罠
 自分フィールド上のカードを
 2枚以上破壊する効果が発動した時に発動できる。
 その効果を無効にし破壊する。
 その後、「スターダスト・ドラゴン」1体を
 エクストラデッキから特殊召喚できる。

アコ「最近じゃ単発破壊タイプの除去が増えてるから採用率は下がっているとはいえ、コスト無しで無効にする効果は強力よね」

アコ「よく伏せ3枚というだけでスタロの匂いを嗅ぎとったと思うわ。そしてサイクロン一枚で見事にぶち抜いたのも、運とはいえさすがに王者と呼ばれることだけはある」

アコ「そしてダメ押しのオネスト。優先権を使ったダメージ計算時での先行使用の華麗な流れ」

アコ「オネストは先に出した方が勝つ。もはやデュエリストの常識」

穏乃「うーんと、確かにオネストはダメージ計算時に先に使うのが一番有効だって赤土先生が言ってたけど……なんでだっけ?」

アコ「バトルステップの中でダメージ計算時は収縮みたいなフリーチェーンのカードが使えないのよ。それに、チェーンを組むのも一度までと決まっているの」

アコ「つまりこのステップでは主にダメージステップに発動可能のカードしか使えないから、妨害が困難ってわけ」

アコ「それとオネストは効果処理時に相手モンスターの攻撃力を参照するから、チェーン処理の最後にオネストの効果がある限りどれだけ攻撃力を上げてもオネストはその攻撃力を吸収する」

穏乃「……む、難しい」

アコ「この辺りは変な裁定も多いし、覚えるしかないわ。それにオネストはまだ簡単な方だと思うわよ?」

アコ「何にせよ、ちゃんと覚えないとね。リバース効果の発動タイミング、クイックエフェクトのタイミング、リクルート効果のタイミング……」

アコ「ダメージステップ開始時、ダメージ計算前、ダメージ計算時からの効果処理、攻守確定、ダメージ確定、ダメージ発生、戦闘破壊確定」

アコ「ダメージ計算後、戦闘ダメージの攻守、マシュマロン、戦闘結果解決時、ダメージステップ終了時」

アコ「……あ。そういえばマシュマロンの特殊裁定なくなったんだっけ。マシュマロンステップとはなんだったのかしら」

穏乃「……だ、大丈夫! 私感覚で覚えるタイプだから、デュエルを重ねればいずれは小走先輩みたいに完璧に!」

アコ「……」

穏乃「た、多分……」



■■■



穏乃(やっぱり立派なデュエリストになるには覚えなきゃいけないことがたくさんあるな~)

穏乃(よーし! まずは小走先輩みたいに派手なデュエルを目標にがんばろう!)

穏乃(その為にはまずドロー修行だな! アカデミアの裏山には大きな滝があるから、滝斬りでドロー修行だ!)

アコ「――」

穏乃「ん? どうしたの、アコ」

アコ「……感じる」

穏乃「え?」

アコ「これは、Noの気配! シズ、誰かがNoを使ってデュエルしてるわ!」

穏乃「ええ!? ど、どこで!?」

アコ「あっちよ! ついてきて!」ビューン

穏乃「うわわ! アコ、空飛んでるんだから少しスピード落としてー!」タッタッタ

■■■ アカデミア裏路地

?「ダイレクトアタック」

モブ「うわああああああああああぁ!」

?「はぁ……雑魚が楯突かないでくださいよ、面倒くさい」

?「No。確かに見たことも聞いたこともないモンスターでしたが」

?「それを手に入れただけで、私に勝てるとでも思いましたか?」

モブ「くっ、そぉ……馬鹿な、こんな凄いカードに私は選ばれたんだぞ!」

モブ「私はカードに選ばれたデュエリストなんだ! それなのに! それでもでも勝てないのかっ!」

?「デュエルを勝利に導くのはカードではありませんよ」

?「デュエルを勝利に導くのは、デュエリストそのものですから」

?「そして敗北へ這いよるのもまた――デュエリスト」

モブ「原村ぁ! 和ぁー!」

和「うるさいんですよ……いちいち叫んで……」

和「まっ、とりあえずアンティルールを持ちかけたのはあなたなんですから」

和「貰いますよ、このNoとかいうカードは」

モブ「まっ! 待って……!」

和「……イラッとくるんですよ。カードをろくに扱えないデュエリストも」

和「約束を守らない人も――!」ウデフリアゲ

モブ「ひぃ!」



穏乃「やめろー! 暴力はいけないよ!」ズサー



和「ちっ、誰か来ましたね……」

モブ「た、助けてぇ!」



アコ「シズ、あの子が手に持ってるカード、Noだわ!」

穏乃「あの子が、Noの持ち主!? って――」



穏乃「――ぇ?」

和「――っ!」



穏乃「のど、か?」

和「穏、乃……」

穏乃「……和! 原村和! 和だよね!? うわっ、うわぁ! え、和もアカデミアに居たんだ!? 久しぶりー!」

和「……ええ。そうですよ……久しぶりですね、穏乃」

アコ「知り合いなの?」ミミウチ

穏乃「うん! この子は原村和って言って、私が小学生の頃の友達なんだ!」コゴエ

穏乃「それにしても本当に久しぶりだよ! 何年ぶりだっけ!? うわわ、身長も伸びてるし、おもちもさらに多くなって……」

和「出会って早々セクハラですか……変わりませんね、穏乃は」



モブ「……今だ逃げろっ!」タッタッタ



穏乃「あ」

和「……ちっ、逃げ足だけは一人前ですか」イライラ

穏乃(……な、なんだろう。なんだか、和……怒ってる?)

アコ「シズ、No……」

穏乃「あ、そうだった!」



穏乃「和、久しぶりなのに、いきなりこんなこと聞いて悪いんだけど、その手に持ってるカードって」

和「これですか? 今逃げていった人が“譲って”くれましてね」

和「No.16 色の支配者ショック・ルーラー……Noなんて今まで見たことも聞いたこともないですから、相当珍しいレアカードなんですかね」

穏乃「譲ってくれたって……っていうか、和。さっきひょっとしたら喧嘩してたの? もう少しで殴りかかろうとしているように見えたけど……」

穏乃「そ、そんなわけないよね! 和はちょっと取っ付きにくい雰囲気あったけど、本当は優しい子だし!」

和「ええ、殴ろうとしましたよ。滅茶苦茶に、傷めつけてやろうかと」

穏乃「なっ――」

和「もう相手も逃げてしまいましたし、もうどうでもいいことですけどね」

和「それはそうと、何やらこのカードに興味があるようですが……欲しいんですか?」

穏乃「う、うん。それ、私の知り合いの子のカードで……って、人を傷つけようとしてどうでもいいってなんだよ!?」

穏乃「どうしちゃったんだよ! 和! なんか変だよ!?」

穏乃「昔の和は! そんなこと言う奴じゃ!」

和「……そうですね。昔の私を知ってるあなたからすれば、今の私はおかしいでしょう、変でしょう、滑稽でしょう」



和「ですが――これが今の私なんです。変わったんですよ、私は」

和「このカード、あげますよ。どうせ私のデッキには要りませんし」ポイッ

穏乃(カードを、投げ捨てた!?)

和「その変わり」

和「私には、二度と関わらないでください」テクテクテク



穏乃「……」プルプル

穏乃「……待て」

穏乃「待て! 和ぁ!」

和「――」ピタッ

穏乃「私と…私とデュエルしろおおおおおおお!」ゴッ

和「……」

アコ「ちょ、シズ!?」

穏乃「アコは黙ってて……!」

穏乃「わかんない、わかんないよ! なんだよこれが今の私って!」

穏乃「そりゃ、人は月日が流れば変わるよ! 変わっちゃうこともあるよ!」

穏乃「だけど! だけどこんなのおかしいだろ!」

穏乃「例え変わったとしても! 私の知ってる和は!」

穏乃「カードをゴミみたいに投げ捨てるような! そんな無下に扱うような酷い奴になるわけないんだ!」

穏乃「だって、だって! 和は阿知賀のデュエルクラブで! 誰よりもデュエルが大好きで! 誰よりも強かった私の憧れだったんだから!」

和「……」

穏乃「だから! 私とデュエルしろ!」

穏乃「私には、今の和が全然わかんない! まるで理解してあげられない!」

穏乃「だから――デュエルでわかりたい! デュエルで和の心を感じたい!」

穏乃「なんとか……なんとか言ってよ和!」

和「……デュエルで」

穏乃「っ!」

和「デュエルで分かり合うとか、デュエルが大好きだとか!」

和「そんなオカルト、イラッと来ますね!」ギロッ

穏乃「和……」

和「……デッキ。そうですね、あなたのデッキを賭けてデュエルする、というのなら、構いませんよ」

和「あなたが負けたら私にそのデッキを譲る――その条件なら、いいでしょう。デュエルをしましょう」

アコ「アンティルール!? しかも、そんな一方的なアンティ! 飲めるわけないじゃない!」

穏乃「……いいよ。私が負けたらこのデッキは和にあげる!」

アコ「シズ!?」

和「……はぁ、面倒ですね。全く……私が勝ったら、ちゃんと約束を守ってくださいよ」

和「約束を守らないような人間は……地獄の底辺まで落ち込むべきですから……」

和「……そう、私のように」ゴッ

和「デュエルディスク、セット」ガシャンガシャンガシャン

穏乃「デュエルディスク、セット!」ガシャンガシャンガシャン



和「デュエル」

穏乃「デュエル!」

和「私の先行、ドロー」

和「私は手札から天空の聖域を発動」

和「さらに手札から神の居城‐ヴァルハラを発動します」

《天空の聖域》
 フィールド魔法
 このカードがフィールド上に存在する限り、
 天使族モンスターの戦闘によって発生する天使族モンスターの
 コントローラーへの戦闘ダメージは0になる。

《神の居城-ヴァルハラ》
 永続魔法
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
 手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
 この効果は1ターンに1度しか使用できない。

アコ「天空の聖域にヴァルハラ! ということは、あの原村和って人のデッキテーマは……」

穏乃「あれは、和の得意としていたコンボカード……うん、デッキテーマが変わっていないのなら、和のデッキは!」

和「更に私は手札抹殺を発動。手札三枚を墓地に送り三枚をドロー」

《手札抹殺》
 通常魔法
 お互いの手札を全て捨て、それぞれ自分のデッキから
 捨てた枚数分のカードをドローする。

穏乃「私は五枚を墓地に送って五枚ドロー!」

和「ヴァルハラの効果により、私は手札から天使族モンスターを一体特殊召喚出来ます。来て、アテナ」

《アテナ》
 効果モンスター
 星7/光属性/天使族/攻2600/守 800
 1ターンに1度、「アテナ」以外の自分フィールド上に表側表示で存在する
 天使族モンスター1体を墓地へ送る事で、
 「アテナ」以外の自分の墓地に存在する
 天使族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
 フィールド上に天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、
 相手ライフに600ポイントダメージを与える。

和「更に私は手札からモンスターを通常召喚。現れなさい、神秘の代行者 アース」

《神秘の代行者 アース》
 チューナー(効果モンスター)
 星2/光属性/天使族/攻1000/守 800
 このカードが召喚に成功した時、
 自分のデッキから「神秘の代行者アース」以外の
 「代行者」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。
 フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
 代わりに「マスター・ヒュペリオン」1体を手札に加える事ができる。

和「場に天使族モンスターが召喚されたことで、穏乃。あなたに600ポイントのダメージを与える」

穏乃「くっ」LP4000 → 3400

和「アースの効果発動。私の場には天空の聖域が存在する為、デッキからマスター・ヒュペリオンを手札に加えます」

和「アテナの効果発動。アースを墓地に送り、墓地から天使族モンスター1体を特殊召喚」

和「――降臨せよ! 大天使クリスティア!」

《大天使クリスティア》
 効果モンスター
 星8/光属性/天使族/攻2800/守2300
 自分の墓地に存在する天使族モンスターが4体のみの場合、
 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚に成功した時、
 自分の墓地に存在する天使族モンスター1体を手札に加える。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 お互いにモンスターを特殊召喚する事はできない。
 このカードがフィールド上から墓地へ送られる場合、
 墓地へは行かず持ち主のデッキの一番上に戻る。

アコ「大天使、クリスティアっ」

穏乃「……あはは、変わったなんていってさ。デッキだけは、全然変わらないじゃんか……」

穏乃「阿知賀の代行天使! 天空の使者、原村和――!」




TURN-3『そんなオカルト、イラっと来ますね』 終わり

■■■



TURN-4『変わってしまった者、変わらない者』



■■■


和「クリスティアが特殊召喚されたことで、再び600のダメージを受けて貰います」

穏乃「うぐっ」LP3400 → 2800

和「先行は攻撃出来ません。私は一枚伏せて、ターンエンド」



※1ターン終了

[ ] [ ] [伏せ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [アテ] [クリ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

和   4000 手札1枚
穏乃  2800 手札5枚



アコ「まずいわね、先行で大天使クリスティアを召喚されたのは……」

穏乃「大天使クリスティア、あのカードがフィールドに存在する限り、お互いに一切の特殊召喚は許されない!」

アコ「特殊召喚をメインとするHEROの天敵。気をつけてシズ、妨害を受けない融合と除去を兼ね備えた超融合さえ、発動すら出来ないんだから」

穏乃「わかってるよアコ! 昔、あのカードのお陰で私は何回和に負けたか……」

アコ(……それにしても、なぜアースの効果でマスター・ヒュペリオンをサーチしたの?)

アコ(原村和の墓地は現在4枚。その内2枚はアースと手札抹殺)

アコ(手札はサーチしたヒュペリオンのみ)

アコ(……いくら天空の聖域があったからといって、あそこは後々の展開も考えてヴィーナスでもサーチした方が良かった)

アコ(展開を抑制出来るクリスティアをアースと交換したのはわかるけど……何を考えているの……)

和「……」

穏乃(実は、初手はちょっとアレでどうしようかと思ったけど、和が手札抹殺を使ってくれてよかった)

穏乃(この手札と墓地なら、クリスティアは倒せる!)

穏乃(だけどクリスティアは倒してもデッキトップへ戻る……だけど和の手札はヒュペリオンのみ。ドローロックにはなる)

穏乃(どうしようか……何はともあれ、ドローしてから考えよう!)

穏乃「私のターン! ドロー!」

穏乃「――よしっ! 特殊召喚出来ないなら通常召喚するまでだよ!」

穏乃「墓地のE・HEROネクロダークマンの効果発動! このカードが墓地にある時、一度だけレベル5以上のE・HEROをリリースなしで召喚できる!」

《E・HERO ネクロダークマン》
 効果モンスター
 星5/闇属性/戦士族/攻1600/守1800
 このカードが墓地に存在する限り1度だけ、
 自分はレベル5以上の「E・HERO」と名のついた
 モンスター1体をリリースなしで召喚する事ができる。

穏乃「私は手札からE・HEROエッジマンを通常召喚!」

《E・HERO エッジマン》
 効果モンスター
 星7/地属性/戦士族/攻2600/守1800
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
 その守備力を攻撃力が越えていれば、
 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

和「エッジマン……あいも変わらず、あなたはHEROを使うんですね、穏乃」

穏乃「そうだよ。昔と変わらず、天使を使う和と同じで!」

和「だけど、そのモンスターではアテナと相打ちが精々。クリスティアは倒せません」

穏乃「わかってるさ――だから! 手札からH-ヒートハートを発動!」

《H-ヒートハート》

通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
そのカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が越えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
この効果は発動ターンのエンドフェイズまで続く。

穏乃「これによってエッジマンの攻撃力は3100だ!」

 エッジマン 攻撃力2600 →3100

穏乃「バトルフェイズ! クリスティアに攻撃! 行っけー! エッジマン! パワー・エッジ・アタック!」

和「クリスティアは破壊される……ですが、天空の聖域がある限り天使族が戦闘ダメージを受けることはありません」

和「そしてクリスティアはフィールドから墓地に送られる時、墓地には行かずデッキトップに戻る」

穏乃「だけど、これで私は特殊召喚が出来る!」

穏乃「手札からミラクル・フュージョンを発動! 墓地のE・HEROオーシャンとE・HEROワイルドマンを除外し!」

穏乃「現れろ! 最強のE・HERO! アブソルートZero!」

《ミラクル・フュージョン》
 通常魔法
 自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって
 決められたモンスターをゲームから除外し、「E・HERO」という
 名のついた融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
 (この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

《E・HEROエレメンタルヒーロー オーシャン》
 効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1500/守1200
 1ターンに1度、自分のスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。
 自分フィールド上または自分の墓地に存在する
 「HERO」と名のついたモンスター1体を選択し、持ち主の手札に戻す。

《E・HEROエレメンタルヒーロー ワイルドマン》
 効果モンスター
 星4/地属性/戦士族/攻1500/守1600
 このカードは罠の効果を受けない。

和「厄介なモンスターが来ましたね……アブソルートZero」

《E・HERO アブソルートZero》
 融合・効果モンスター
 星8/水属性/戦士族/攻2500/守2000
 「HERO」と名のついたモンスター+水属性モンスター
 このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
 このカードの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する
 「E・HERO アブソルートZero」以外の
 水属性モンスターの数×500ポイントアップする。
 このカードがフィールド上から離れた時、
 相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

アコ「アブソルートZeroはフィールドから離れた時に相手モンスターを全滅させる、言わばサンダーボルトを内蔵したモンスター」

アコ「下手に除去すれば、状況を一変させる……!」

穏乃「へへっ……クリスティアに四苦八苦していたあの頃と比べれば、多少なりとも私は前に進んだよ、和」

穏乃「私はこのデュエルで、和を感じたい! 数年ぶりの私をもっと感じて欲しい! だから、全力でぶつかり合おうよ!」

穏乃「私は二枚カードを伏せてターンエンド!」

和「エンドフェイズ」

穏乃「っ!」

和「私は罠カード、リビングデッドの呼び声を発動します」

《リビングデッドの呼び声》
 永続罠
 自分の墓地のモンスター1体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

アコ「墓地からモンスターを蘇生させる罠カード……それに相手のエンドフェイズでのタイミングで召喚とくれば……」

和「私は墓地から光神テテュスを特殊召喚」

アコ「やはり――!」

《光神テテュス》
 効果モンスター
 星5/光属性/天使族/攻2400/守1800
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
 自分がカードをドローした時、そのカードが天使族モンスターだった場合、
 そのカードを相手に見せる事で自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。

穏乃「テテュス!?」

アコ「次にドローするカードはデッキトップに戻ったクリスティア」

アコ「つまりテテュスの効果は必ず発動し、もう一枚ドローが確定。悪くないコンボね」

穏乃「さすが和……クリスティアのドローロックは苦にもしないってことかっ」

和「そして忘れてないですよね穏乃。私のフィールドにアテナがいる限り、天使族のモンスターが召喚された時」

穏乃「私は、600ポイントのダメージを受ける……」LP2800 → 2200


※2ターン終了

[ ] [ ] [リビデ] [ヴァル] [ ] [ ]
[ ] [ ] [アテ] [ ] [ ]   [天空]

[ ] [ ] [エッジ] [Zero] [ ] [ ]
[ ] [ ] [伏] [伏] [ ] [ ]

和   4000 手札1枚
穏乃  2800 手札1枚


和「私のターン、ドロー。テテュスの効果発動。ドローしたカードが天使族モンスターだった場合、そのカードを公開することでもう一度ドローが出来る」

和「私が引いたのは当然クリスティア。よってドロー……再びテテュスの効果発動。今、私がドローしたのは朱光の宣告者。よって、もう一度ドロー」

和「……テテュスの効果発動。私がドローしたのは奇跡の代行者ジュピター、1ドロー」

アコ「嘘っ、なんてドロー力っ」

穏乃「これが、阿知賀の最強デュエリスト、和の力だよ!」

和「ドロー……天使族ではないので、私のドローはお終いです。ドロー力も何も……別に驚くことはありませんよ」

和「私のデッキ比率はモンスターと魔法・罠でほぼ1:1。クリスティアを除いて2連続でモンスターを引く確率は所詮1/4なんですから」

和「1/4なんて、どこにでも転がってる確率……驚くことなんて何もない……」

穏乃「……うよ」

和「……?」

穏乃「違うよ、和」

和「……」

穏乃「昔、和が言ってたんじゃないか。デュエルモンスターズは、確率だけが全てじゃないゲームなんだって」

穏乃「どんなにデッキ構成を考え尽くしても、思い通りに行かない時もあって……だけどその分、思い通りにデッキが動かせた時は、とっても嬉しいんだって」

穏乃「オカルト嫌いでも和でも、『こういうことが、デッキが答えてくれたということなんでしょうね』って……笑顔で、言ってたじゃないか」

和「……そんなことも」



和『クリスティア! ダイレクトアタックです!』

?『うわあああああん! 私の負けだー!』

穏乃『和すごーい! 玄さんに勝っちゃった!』

和『……初めて、玄さんに勝てたっ』

玄『もう、クリスティアはずるいのです! 私の可愛いレダメちゃんの効果が使えなくなっちゃうなんて!』

玄『もう一回! もう一回勝負だよ! 和ちゃん!』

和『はいっ! もう一度、私に答えてくださいね――私のデッキ……』




和「あったかも知れませんね……」

和「……でも」

和「でも」

和「私は、もう……」




 絶対……優勝して……ね……のど、か……ちゃん……約束……だよ……。

 ……勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ。
 絶対に勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ、勝たなきゃ――。



 デュエルモンスターズ全国大会も、いよいよ決勝戦を迎えました! 優勝候補の原村和選手は、ここまで順調に駒を進めています! 決勝戦では一体どんなデュエルが繰り広げられるのでしょうか!?



 私は約束したんだ。

 絶対に勝つって……負けられない。負けられない。負けられない。

 ――でも、もしも負けたら。

 私は――負けられない……負けられない……負けるのが……怖い……。


                       ドサッ


 ――あれは、相手の……デッキ……。






 相手のデッキを不正に覗き見した疑いにより、原村和選手を、失格とします!






和「私はもう! そんな立派なデュエリストじゃないんですよ!」ゴッ

和「私のターン! もう、このターンで終わらせます!」

和「こんなくだらないデュエルは! もう!」

和「大事なデッキを失って! 私に関わったことを後悔しなさい! 穏乃!」

和「私は手札から奇跡の代行者ジュピターを召喚! よってアテナの効果で――!」

穏乃「待った! 私はジュピターの召喚にチェーンして! 墓地から罠カード発動! ダメージ・ダイエット!」

和「墓地から、トラップ!? くっ、手札抹殺で墓地に送られていたのですね――!」

穏乃「ダメージ・ダイエットは墓地からこのカードを除外することで! このターン私が受ける効果ダメージは半分になる!」

《ダメージ・ダイエット》
 通常罠
 このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。
 また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
 そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。

和「ちぃ――ならば300のダメージを受けなさい!」

穏乃「ううっ」LP2200 → 1900

和「さらに! ジュピターの効果発動!」

《奇跡の代行者 ジュピター》
 効果モンスター
 星4/光属性/天使族/攻1800/守1000
 1ターンに1度、自分の墓地に存在する「代行者」と名のついた
 モンスター1体をゲームから除外して発動する事ができる。
 自分フィールド上に表側表示で存在する天使族・光属性モンスター1体の攻撃力は、
 エンドフェイズ時まで800ポイントアップする。
 また、フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
 1ターンに1度、手札から天使族モンスター1体を捨てる事で、
 ゲームから除外されている自分の天使族・光属性モンスター1体を選択して特殊召喚する。

和「私は墓地から創造の代行者 ヴィーナスを除外! アテナの攻撃力を800ポイント上昇させる!」

アコ「ヴィーナス!? そうか、アースでヒュペリオンをサーチしたのは最初から引いていたから!」

アテナ 攻撃力2600 → 3400

和「ジュピターの更なる効果発動! 天空の聖域が存在する時!」

和「私は手札から天使族モンスターを1体捨てることで除外されているモンスターを1体特殊召喚出来る!」

和「私は手札のクリスティアを捨て! 来い! 創造の代行者 ヴィーナス! そして300のダメージ!」

穏乃「うああぁ!」 LP1900 → 1600

和「そしてヴィーナスの効果発動! ヴィーナスは500のライフを払って! 自分の手札またはデッキから神聖なる球体を一体特殊召喚出来る!」

《創造の代行者 ヴィーナス》
 効果モンスター
 星3/光属性/天使族/攻1600/守 0
 500ライフポイントを払って発動する。
 自分の手札またはデッキから「神聖なる球体」1体を
 自分フィールド上に特殊召喚する。

和「500ポイントライフを払い! 神聖なる球体を守備表示で特殊召喚! 300ダメージ!」

穏乃「あうぅ!」 LP1600 →1300

和「更に手札から! 場のヴィーナスを除外してマスター・ヒュペリオンを特殊召喚! 300ダメージ!」

穏乃「う、う……」LP 1300 → 1000 

和「続けて! アテナの効果発動! 神聖なる球体を墓地に送っ――」

穏乃「――この瞬間! アテナの効果にチェーンして発動! 私の伏せカード! マスク・チェンジを発動!」

穏乃「クリスティアの特殊召喚は! させない!」

和「マスク、チェンジ!?」

穏乃「マスク・チェンジは場のHEROと名のついたモンスターを墓地に送り! エクストラデッキからM・HEROを特殊召喚する!」

穏乃「現れろ――仮面のヒーロー! M・HERO アシッド!」

和「M・HERO……!? 昔の穏乃のデッキには、入っていなかった、穏乃の新たなHERO……!」

穏乃「そして! アブソルートZeroがフィールドから離れた時! 相手のフィールドのモンスターを全て破壊する!」

和「しま……たっ――! 私の、モンスターが……全滅……」

和(これはっ、予想外ですっ! ……でも、なんで? アブソルートZeroの効果を能動的に使える機会があったのなら、効果ダメージを受ける前に使った方がどう考えても……)

穏乃「更にアシッドの効果発動! このカードが特殊召喚に成功した時! 相手フィールドの魔法・罠を全て破壊する!」

《M・HERO アシッド》
 融合・効果モンスター
 星8/水属性/戦士族/攻2600/守2100
 このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
 このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊し、
 相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。

和「なっ!? 私の魔法カードを全て!? くっ、そうはさせません! その効果にチェーンして手札から朱光の宣告者を捨てその効果を無効に――」



和「ハッ!?」



和「……そう、か。そういう、ことですか――! 効果ダメージを受け続けていたのは! 私の手札から天使族をなくさせる為だったんですね――!」

和「朱光の宣告者の無効効果を発動する為のコストは――他の天使族を必要とするっ!」

《朱光の宣告者》
 チューナー(効果モンスター)
 星2/光属性/天使族/攻 300/守 500
 このカードと天使族モンスター1体を手札から墓地へ送って発動する。
 相手の効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。
 この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

穏乃「そうだよ、和! さっきテテュスでそのカードをドローしてたのは知ってたからね!」

穏乃「更に言えば、さっきまで和の手札はサーチ効果と公開によって、テテュスの効果で最後にドローした一枚以外、全部私にはわかってた!」

穏乃「そして、その不明の一枚は天使族じゃない。和が言ってたことだよ、うかつだったね」

和『ドロー……天使族ではないので、私のドローはお終いです』

穏乃「このターン、効果ダメージとアテナの戦闘ダメージで私のライフを終わらせるつもりだったのは明白!」

穏乃「ジュピターを召喚したら、あとはもうヒュペリオンさえ手札から無くなれば朱光の宣告者の効果は使えない!」

穏乃「だから私は、あえて効果ダメージを受け続けたんだよ、和!」

アコ「アシッドの効果が無効にされないのなら、相手のフィールドは!」

和「ガラ、空き……」

穏乃「形勢逆転! ライフは1000になっちゃったけど! これで私の圧倒的有利――」

和「……私のメインフェイズは、まだ終わっていない――!」ゴッ

穏乃「っ!?」

和「私は手札から! 死者蘇生を発動! 墓地より再びその姿を現せ! 大天使クリスティア!」

穏乃「そ、そんなっ――! さっき引いて居たのは、死者蘇生!?」

アコ「ここまでの戦略を張り巡らせても、クリスティアの召喚を許してしまった!?」

アコ「なんて実力、なんて凄まじい意地なの……原村和っ」

和「私の天使は、決して朽ちることはない! バトルフェイズ!」

和「私の聖域を汚したそのアシッドを破壊しなさい! クリスティア! 攻撃です!」

穏乃「――! 罠発動! 和睦の使者! このターン、私は受ける戦闘ダメージは0となり! モンスターも破壊されない!」

和「――くっ! ターンエンドっ!」



※3ターン終了

[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [クリ] [ ] [ ] [ ]

[ ] [ ] [アシッド] [エッジ] [ ] [ ]
[ ] [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]

和   3500 手札1枚
穏乃  1000 手札1枚

和「……穏乃、あなたはよくやりました」

穏乃「和……」

和「ですが、これで終わりです。あなたのライフは残り1000。さらにこのターン、クリスティアがいる限り特殊召喚も出来ず……攻撃力もエッジマンとアシッドでは届きません」

和「一見、状況は五分五分……いえ、私の方が悪くも思えるかも知れませんが……あなたは、昔からこういう状況で私に勝てたことはない」

和「もう、諦めなさい」

穏乃「……」

和「……その残った手札、モンスターを特殊召喚……それも、融合召喚を行うものでしょう?」

穏乃「……うん。これはもう1枚のマスク・チェンジ。あはは、和にはお見通しだね」

和「……クリスティアが出たデュエルは、あなたの負け通しだった……私が阿知賀を去る日まで、ずっと……今なら、サレンダーを認めます」

和「負けたらあなたのデッキを頂くと言いましたが、気が変わりました」

和「ここでサレンダーをするなら、あなたのデッキは頂きません」

穏乃「……」

アコ「シズ……」

和「簡単な、ことじゃないですか。諦めるなんて」

和「楽に、なれますよ。諦めれば……とっても、とっても」

穏乃「楽になんて、ならないよ。諦めて! 人が楽になれるはずがない!」

和「穏、乃……」

穏乃「和は、和は諦めたんだ! 何かを! 大切な何かを諦めちゃったんでしょ!?」

和「……そうです。私は、諦めたんですよ。夢も、デュエルも、何もかも……」

穏乃「だからそんなに辛そうなんだ! だから和のデュエルは! こんなにも悲しみに溢れてるんだ!」

穏乃「もう一度いうよ、和! 諦めたって、楽になんてならない! 諦めても、ずっと辛いままなんだよ! だってさ、だって!」






穏乃「諦めたら、人の心は死んじゃうんだよ!!!」






和「……変わらない。あなたは、昔から、変わりませんね」

和「どんなに劣勢でも、いつでも自分を信じて、デッキを信じて……」

穏乃「そうだよ! だってそれが――」

穏乃「私のかっとビングだから!」

穏乃「諦めなければ、道は開ける! どんな困難にも立ち向かい続ければ! 光明はさす!」

穏乃「行くよ和! 私は絶対に諦めない!」

穏乃「私は和に勝つ!」

穏乃「超かっとビングだ! 私! ドロオオオオオオオオオオオオォ!」キラン

アコ(こ、このカードはっ――!?)

穏乃「――来た」

穏乃「……このカード、所謂汎用カードって奴でさ。強くて、多くのデッキに入ってるけど」

穏乃「きっと私は――今日、この日の為に。和に勝つ為に、入れてたんだと思う」

穏乃「私は手札から――」

穏乃「月の書を発動! 対象は! 大天使クリスティア!」

和「――つ、月の書……」

《月の書》
 速攻魔法
 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、裏側守備表示にする。

アコ「裏守備状態じゃ効果は発動出来ない……これで大天使クリスティアの特殊召喚を封じる効果は使えなくなったっ」

穏乃「行くよ! 和! 私はエッジマンで裏守備となったクリスティアを攻撃!」

 エッジマン攻撃力2600 クリスティア守備力2300

和「……見事です」LP3500 → 3200

穏乃「そしてアシッド! ダイレクトアック!」

和「見事です、穏乃」LP3500 → 600

和「――そして、あなたの手札には……」

穏乃「そして手札から! 速攻魔法発動! もう一枚のマスク・チェンジを発動!」

穏乃「現れろ! M・HERO ヴェイパー!」

《M・HERO ヴェイパー》
 融合・効果モンスター
 星6/水属性/戦士族/攻2400/守2000
 このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
 このカードはカードの効果では破壊されない。

穏乃「これはバトルフェイズ中の特殊召喚の為! 私は続けて攻撃出来る!」

穏乃「行っけええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇ!」

穏乃「和に、ダイレクトアタックだあああああああああああああああああああああああぁ!」

和「――私の、負けです……強くなりましたね、穏乃」 LP600 → 0

穏乃「……勝った……」

穏乃「勝った、勝ったんだっ。あの和に、あの和の天使達に!」

穏乃「私が、勝ったんだっ」ポロポロ

アコ「おめでとう、シズ!」ダキッ



和「……」

和「……」テクテクテク



穏乃「あっ……和……」

和「……本当は、嬉しかった」

穏乃「えっ?」

和「……あの頃の、玄さんも、私も変わってしまって」

和「もう、あの頃の思い出は幻のように消えてしまったのだと、思ってた……でも、穏乃」

和「あなただけは、変わらなかった。私の、私の大好きな……友達の、穏乃のままでした」

和「あなたとのデュエル、楽しかったです」

穏乃「和……って、玄さんが、変わった……?」

和「玄さんも、このアカデミアに居ますよ」

穏乃「玄さんもアカデミアに!?」

和「ですが穏乃。これは、友達としての忠告です……玄さんに関わるのは、やめなさい」

和「玄さんは……私以上に、変わってしまったから」

和「下手をすれば……死にますよ」

穏乃「――し、死ぬ……? そ、そんな、まさか……あの優しかった玄さんが……」

穏乃「何が、何が起きたっていうんだよ、和! 玄さんにも、和にも! このアカデミアでいったい――!」

和「……闇のカード」

穏乃「っ!?」

和「私が知っているのは、それだけです……忠告はしましたよ、穏乃……」

穏乃「の、和っ……待っ」

和「……穏乃……」ピタッ

和「また、いつか……私と会ってくれますか……?」

穏乃「っ! うん! うんうんうん! いつだって! 毎日だって、会いにいくよ!」パァ!

和「……」クスッ

和「……また、お会いしましょう」テクテク

穏乃「和……」

アコ「穏乃。あの子、今……闇のカードって」

穏乃「うん……もしかして、玄さんも闇のカードに……」

穏乃「玄さん……あなたに、何があったんですか……玄さん……」



■■■ ?



モブ「うぁ、うああああぁ……!」

?「くっくっくっ! ダイレクトアタック!」

モブ「うわあああああああああああああぁ!」

?「私の勝ち……あなたのNoは貰って行くよ……」

モブ「な、なんなんなの……!? なんなのそのモンスターは!? ありえない、ありえないよぉ!?」

モブ「めちゃくちゃだっ! 誰よ、誰なのよあなたはああああああああああぁ!」

?「――私はメラグ。この世で最強の――」





メラグ「ドラゴン使いだよ」ニヤァ




TURN-4『変わってしまった者、変わらない者』 おわり

書き直し以上です。
これでも間違えてたとこあったらほんとごめん

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