荒木「主人公の名前をジョジョにするのに限界を感じる」(192)

荒木「担当さん。僕の連載もそろそろ始めて半年になりますけど。
人気はどんな感じなんでしょうか?」

担当「確かに絵もストーリーも個性は強いですし、読者の好き嫌いはわかれるみたいですねえ。
でも、ディオとの吸血鬼バトルに突入してからはじわじわ人気出てきてますよ」

荒木「本当ですか?」

担当「ええ。最初はディオとの財産争いとかドロドロした人間ドラマが展開するのかと思われていたみたいですが。
ここにきて、ディオが吸血鬼という化け物になって、主人公も修行して対抗する。
基本的には少年漫画の王道のバトル展開ですから、イけると思います」

荒木「よかった……」

数か月後

荒木「まだ、数話先ですが、これが第1部最終回のネームです」

担当「読ませていただきます。
……ええっ! 主人公、ディオと一緒に死んじゃうんですか!?」

荒木「そうです」

担当「そうですって……。
この漫画のタイトルは「ジョジョの奇妙な冒険」なのに、主人公のジョジョが死んでしまったら……」

荒木「ふふ、実は、その次からは、
第1部主人公ジョナサンの孫「ジョセフ・ジョースター」が
2代目の主人公として登場するんです!」

担当「じょ、ジョセフ? なるほど。彼もジョジョと呼ばれるわけですね」

荒木「そうです。主人公が別の人間になっても、ジョジョという名前は引き継がれる。
これならタイトルとも矛盾していないでしょう?」

担当「確かに」

数年後。

担当「いやぁ、第2部も無事完結しそうですね。荒木先生」

荒木「おかげさまで。……それで第3部の構想なんですが
今度はジョセフの孫が、生きていたディオと対決する展開にしようと思っています」

担当「えっ、ディオ生きていたんですか?」

荒木「いやいや、第1部でも伏線があるでしょう。
薬売りの中国人がディオの耳のほくろを見て
「同じほくろの持ち主が波乱の生涯を送ったが、100年以上生きた」
というセリフを言っているじゃないですか」

担当「なるほど。
あれはディオが100年以上生きて、ジョナサンの子孫と対決するという伏線だったんですか。
流石です。そこまで考えていたんですね。
シーザー・ツェペリの設定をミスった人とは思えません」

荒木「あ? いま何つった?」ピクッ

担当「あ、いえ別に」

荒木「まあとにかく、必然的にジョセフの孫となると時代設定は現代になるわけです」

担当「というと今現在1989年ということですか」

荒木「ええ、そこで、主人公は日本人にしようと思ってます
19世紀末とか、1930年代なら、
主人公が外国人でも問題なく読者に受け入れられるかもしれませんが
現代ですから」

担当「なるほど。日本人にした方が、読者の親近感を得られるかもしれませんね。
いや、待ってください?
この漫画が「ジョジョの奇妙な冒険」である以上、主人公は「ジョジョ」でないといけない。
日本人で「ジョジョ」って呼ばれる人は、なかなかいないんじゃないですか?」

荒木「うっ。そういえば……」

……
荒木(少々悩んだが、主人公の名前は決まった。
「空条承太郎」。「条」と「承」が続くことから、級友からジョジョと呼ばれていることにしよう」)

荒木(……自分で決めといてなんだが、若干苦しいな。
よし、作中でも突っ込みを入れておこう。
主人公が拘留されてる警察署の警察官のセリフに
「『条』『承』と続くところから級友からは『ジョジョ』と呼ばれている…か…くだらねー」っと)

荒木(まあ、最初は違和感あるかもしれないけど、
級友にジョジョと呼ばれているシーンを挿入していけば、定着するかもしれないし)

数年後

担当「いやあ! ジョジョの第3部、最終回の原稿、拝見しました。素晴らしかったです」

荒木「そうですか」

担当「特にラストのポルナレフとジョセフと承太郎が空港で別れるシーン。
良いラストシーンでしたね。
そういえば、ジョセフがあの時、「BEATLES」の「GET BACK」という曲聞いてましたね。
何か意味あるんですか?」

荒木「あれ? ご存じありませんでした?
いや、「GET BACK」そのものが
「帰る」という意味で主人公が帰還するシーンにぴったりというのもありますが。
もしかして、この曲の歌詞、聞いたことないですか?」

担当「え、ちょっと待ってください。ここにたまたま「BEATLES」のCDが……」

担当「えーと歌詞の和訳は……

『ジョジョって奴は自分のことを一匹狼だと思っていたが
それが長続きしないこともちゃんとわかっていた。
そこでジョジョはアリゾナのツーソンの家を出て
カリフォルニアの葉を求めに行ったのさ

戻ってこいよ、戻ってくるんだ
戻ってくるのさ、お前がいた所に
戻ってこいよ、ジョジョ、お家に
戻ってこいよ、戻ってくるんだ
戻ってくるのさ、お前がいた所に』」

担当「へええ! ジョジョという主人公が旅を終えて
自分の家に帰るシーンにはまさにぴったりです!」

荒木「まあ、この歌詞の中のジョジョは、ジョン・レノンのことで
ポール・マッカートニーが、音楽性の違いなどで分裂しかかっていたメンバーに
「もう一度原点に戻ってやり直そう」と呼びかけた歌らしいですけどね」

担当「流石です。感動がさらに深まりました」

荒木「そうですか」

担当「まあ、第3部の主人公、あまりジョジョって呼ばれてないですけどね」

荒木「あ?」ピクッ

担当「い、……いや大した問題ではないですって。 
それで、第4部なんですが、構想はいかがですか」

荒木「え? あ、はい、もちろん考えてますとも。
ただ、きちんと自分の中で整理したいので、明日の打ち合わせの時でいいですかね」

担当「はい、お願いします」

荒木(あの担当め。主人公がジョジョと呼ばれていないだのと細かいことを!)

荒木(それを言ったら、お前らがつけてる「ロマンホラー!-真紅の秘伝説-」とかいうのも意味不明だろうが!)

荒木(……それはともかく、第4部の主人公をどうするかな。
ここまでは前の主人公の孫という設定を使ってきた。
でも第3部は1989年の舞台設定だ。
承太郎の孫を出すなんてことにしたら、2040年ぐらいの話になる)

荒木(そんな未来世界、描写できないぞ……。
といって、承太郎の子供というのもなぁ。
ああ、だけど、ジョースターの血を引く人間がいないと主人公がつくれない)

荒木(待てよ? 隠し子がいたということにしたらどうかな?
承太郎に兄弟がいたことにするとか)

荒木(いや、しかし、承太郎の母親ホリィが実は、結婚前に隠し子を生んでいて
施設に預けていたとか、あの純朴そうなイメージに合わな過ぎる。
ヘタしたら読者から大ブーイングだな)

荒木(いや! 待った!
いるぞ! 
ジョースター家の一族で唯一、頭も人間性も軽くて、
浮気して隠し子がいたことにしてもおかしくなさそうなキャラが!)

荒木「ということで、ジョセフが若いころに浮気した日本人女性との間にできた子供が
第4部の主人公です」(キッパリ)

担当「ま、……また、斬新な方向性できましたね。
しかも、このキャラの髪型、リーゼント? ヤンキー? 不良高校生なんですか?
(お父さんがいないからぐれちゃったのかな?)」

荒木「いやあ、第4部は、第3部で確立したスタンドバトルを
より掘り下げて描写したいんですよ。
第3部との差別化を図るために、
第3部は目的地に向かって旅をする途中で敵が襲ってくるシチュエーションでしたが
第4部では、読者でも感情移入できるように、
どこにでもありそうな日本の地方都市の日常のなかで起こる事件を描きたいんです」

担当「まあ確かに、日本の地方都市には、まだこういう髪型の高校生いますけど……。
あれ? じゃあ、主人公はやっぱり日本人なんですか?」

荒木「ええ、「東方仗助」です。」

担当「……」

荒木「読み方を変えて「じょうじょ」「ジョジョ」と呼ばれるわけです」

担当「……」←(何か言いたげな顔)

荒木「何か問題が?」

担当「いえ、別に」

数年後

担当「荒木先生! 第4部の最終回のネーム、拝見しました」

荒木「どうですかね?」

担当「よかったですよ!
ジョセフと承太郎が仗助たちの中に、正義の輝きの中にある「黄金の精神」を見たというあのセリフ感動しました」

荒木「それは良かった」

担当「しかし、第4部は最終的なボスである、吉良吉影が途中まで明示されませんでしたね」

荒木「ええ、最初の敵は、祖父の仇のアンジェロ、
次がアンジェロをスタンド使いにした弓と矢を持っていた虹村兄弟、
その次は弓と矢を奪って行ったレッドホットチリペッパーの音石明。

その他は、まあ、ネズミだったり、じゃんけん小僧だったり、
互いに関連性のない単発エピソードでの敵キャラを出してきましたね」

荒木「まあ、吉良吉影を倒しても、それで杜王町が完全に平和になるわけではなく
また悪事を働くスタンド使いが現れるのかもしれない。
吉良吉影も位置づけとしては、ボスですが、
要するにそういったたくさん存在する悪の中の一つでしかない。

それでも、仗助たちのように、それと戦う立場の人間も存在し続けるということですね」

担当「なるほど。深いですね。ジョジョの奇妙な冒険の人間賛歌という作品テーマが
部ごとに話の形が変わっても、一貫して引き継がれているのがよくわかります」

荒木「ふふ。そう思っていただけると嬉しいです」

担当「まあ、4部の主人公、ほとんどジョジョって呼ばれてませんけどね。ははは」

荒木「あ?」ピクッ

担当「い、……いや。別に問題はないですけどね。 
それで、第5部なんですが、構想はいかがですか」

荒木「え? あ、はい、もちろん考えてますとも。
ただ、きちんと自分の中で整理したいので、明日の打ち合わせの時でいいですかね」

担当「はい、お願いします」

荒木(あの担当め。
主人公がジョジョと呼ばれていないだのと細かいことを!)

荒木(血を吸って、ゾンビにしてやろうか。
それとも、体を丸ごと本に変えてページを破り取ってやろうか。
……なんて、現実逃避している場合じゃないな。第5部の主人公、どうしようかな)

荒木(さすがにジョセフの隠し子をさらに増やすわけにはいかないし。
仗助の子供とか孫とか言うのもなんだか無理がある)

荒木(うーん。他にジョースターの血を引く人間は……駄目だ。
第1部までさかのぼったところで、ジョセフ以外は子供一人しか生んでない設定だ)

荒木(……血を引く? はっ! そうか! 他にいるじゃないか! 
ジョースター家の「血」を引く人間が!)

……

荒木(設定はそれでいいとして髪型をどうするかなぁ。
1部2部は普通の欧米人のティーンエイジャー風にして、3部は学生帽でキャラ付けした)

荒木(4部はリーゼントにしたんだよな。
いまさら、5部で普通っぽい無難な髪型にするのは、何だかなぁ)

荒木「というわけで、5部の主人公はディオの息子にしました。
3部のディオの首から下は(さらに言うと下半身は)ジョナサンの「モノ」なので
彼もジョースターの血統ということで。
ギャングスターを目指していて、15歳にしてマフィアに入ります。

あと髪型はチョコロネです」(キッパリ)

担当「どうしてこうなった」

荒木「舞台はイタリアにしようと思っています。
主人公の名前は汐華初流乃ことジョルノ・ジョバーナです」

担当「ほ、ほほう。イタリアですか。
それなら、その設定もまあ不自然じゃないかもしれませんね」

数年後

担当「荒木先生! 第5部もついに完結ですね!
最終回の原稿いただきました」

荒木「おかげさまで、どうにか最終回まで描ききることが出来ました」

担当「最終回にいたるまでの展開が熱かったですね。
アバッキオが死んで、ナランチャも死んで、ブチャラティも……。

しかし、真実から出た『誠の行動』は…決して滅びることはなく
彼らの行動や意志は滅んでいない……。

死後の世界でアバッキオの同僚が言った
「わたしは“結果”だけを求めてはいない」
「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている」というあのセリフもグッときました」

荒木「いやぁ、そんなに感動していただけると嬉しいですね」

担当「ただ、主人公一度もジョジョと呼ばれてないですけどね。はは」

荒木(!?)

荒木(そ、そういえば、どこかで呼ばせようとして忘れていた!)

荒木「……って、まあ。こ、細かいことは良いじゃないですか。
大体、主人公をジョジョと呼ばせるのに限界を感じてるんですよ」

担当「……ついに開き直りましたか。
細かいことって…………漫画のタイトルなんですけど」

荒木「うるさいな! 
タイ焼きだって、中身に鯛が入っているわけじゃないだろ!
うぐいすパンだってうぐいす入ってないだろ?
千葉にあったって、東京ディズニーランドだろ?

「ジョジョの奇妙な冒険」にジョジョと呼ばれる人間が出てこなくて何が悪い!
たかが担当ごときが、漫画家生活十数年の、この荒木飛呂彦に意見しようというのかね!?」

担当「た、担当ごとき!? 
一緒に作品を作ってきたパートナーに対してその言い方はあんまりだ!
大体、言おうと思って我慢していたけど、あんたの作品、割と投げっぱなしの伏線多いよ!

第3部でディオがジョセフの念写能力使っていたのは何なんだよ!
第4部で、仗助が子供のころ、自分にそっくりの髪型の高校生に助けられたのはなんだったんだ?
ラスボスのスタンド能力が過去に戻る力とかいうから伏線回収するのかと期待しただろうが!
あと第5部冒頭出てきた、広瀬康一と承太郎はどこ行った!? 
ポルポ戦のあとでそのまま消えちゃってんじゃねえか!
てっきり、ポルナレフを最後に助けに来るのかと期待してたんだぞ!」

荒木「つまらなかったら打ち切られる週刊連載で
何から何までつじつま合わせる余裕なんてないってことぐらいわかっているだろ?

なのに、創作意欲をなくすような細かい突っ込みをいれやがって! もういい!
今日は打合せする気なくした! 帰る!」

翌日

担当「せ、先日はつい熱くなってしまって失礼しました」

荒木「いや、こちらこそ。

冷静に考えてみたら、読者の気を引くことを考えるあまり
今まで、キャラクターや展開で奇をてらいすぎていたんじゃないか、と少し反省しました。
……第6部の構想なんですが、今までのキワモノっぽい考えは捨てて
まっとうで、王道なスタイルで行こうと思っています」

担当「ほ、本当ですか!」

荒木「ええ。まず主人公は、ジョースター家の正当な血を引く設定ということで
承太郎の子供です。
しかし、それだけだと目新しさがないので女性にしました。
名前は空条徐倫。母親からは愛称でジョジョと呼ばれています」

担当「おお、女性というのは少年漫画では異色だが、それ以外はまっとうだ!」

荒木「主人公の髪型がこれです。お団子にして結い上げたキュートな感じで」

担当「おおお! 絵柄的にはまったく萌えないけど、サザエさんとかチョコロネみたいなのより全然アリだ!」

荒木「主人公は、恋人に無実の罪を着せられて、刑務所に投獄されてしまうのです。
しかし、実はそれは父親の承太郎をおびき寄せるために、
敵ボスによって仕組まれた罠なのです」

担当「おおおお! 何ともスリルとサスペンスにあふれた引き込まれる展開!
素晴らしい!」

荒木「第一話ですが、
まず主人公は冒頭でマスターベーションをするところを看守に見られてショックを受けます」

担当「」

荒木「さらに、この先の展開ですが
自殺しようとする人間を止めるためなら、生パンツを脱いでプレゼントすることもいとわない
男気あふれる主人公の女友達と、
突然変異で知性を持ったミジンコが仲間になる予定……どうかしました? 
なぜ遠い目をしてるんですか?」

担当「いや、いいんです。……もう」

数年後

担当「ジョジョの第6部もついに終わりましたね。この先の構想なんですが……」

荒木「その事なんですが、もうジョジョは終わりにしようと思ってます」

担当「えっ」

荒木「第6部で2011年を舞台にしましたからね。
流石にもう主人公の世代交代はできません。

次回作は19世紀末のアメリカを舞台にした大陸横断レースを描いてみようと考えています。
これがその構想です」

担当「なるほど。拝見させていただきます。……あれ、このジョニィ・ジョースターというのは?」

荒木「彼は主人公ではなく、あくまでメインキャラの一人ですよ。
他にもジョジョに登場したキャラクターと関連した人物も何人か出そうと考えています。

とはいえ、ジョニィは第1部のジョナサンとは別人です。
スタンドも登場しません。パラレルワールドみたいなものだと思ってください」

担当「ああ、第6部のラストで世界が一巡して新しい世界になったから、別の世界が作り上げられたということですか」

荒木「そう考えていただいても結構です」

数か月後

荒木「スタンドは出さないと言ったな。あれは嘘だ」

担当「えっ」


更に数か月後

荒木「いつからこの漫画がジョジョじゃないと錯覚していた?」

担当「何……だと!? 結局これが第7部!?」


数年後

荒木「7部も無事終わりましたし、8部の構想の事なんですが
主人公は、地震で露出した地層の中から全裸で発見された、
キンタマが4つある男という方向で考えているんですが…… 

? どうかしました? 目が虚ろですよ?」

担当(……この人が売れっ子のベテラン漫画家と言いう前提がなかったら
絶対没にするんだけどなあ……)

数か月後

ウルトラジャンプ編集長「やあ、荒木先生」

荒木「これは編集長」

編集長「ジョジョもついにTVアニメになって、人気がますます上がってるそうです。
この調子で第8部もよろしくお願いしますよ」

荒木「ええ。自分の出身地を舞台にしてますし、力も入りますよ」

編集長「ところで、ジョジョリオンってジョジョの奇妙な冒険なんだよね?
主人公、いつジョジョってよばれるの?」

荒木(ついに…………ついに、編集長にまで突っ込まれたか。
ここは、久々にあのとっておきの言い訳を使う時が来たか)

編集長「タイトルが「ジョジョの奇妙な冒険」なのに
ジョジョが出てこないのはタイトル詐欺なんじゃ……」

荒木「編集長!」

編集長「(ビクッ) な、なに?」

荒木「私は、いえ、人間は、大人はうそつきではないのです。
ただ、間違いをするだけなのです」

編集長「お、おう」

新人担当「先輩。 おはようございます」

担当「ああ、おはよう」

新人担当「そういえば先輩。
先輩ってジョジョの荒木先生の担当なんですよね。

実は、俺、いままで絵柄で敬遠して、ジョジョって呼んだことなかったンですけど。
この前アニメ見始めたら、メッチャ面白くて! 
いま1部を読んでるところなんですよ。
漫画好き自認してたのに、こんな面白いマンガ読んでなかったなんて、もう自分が恥ずかしくなりました」

担当「………そうか。それはよかった」

新人担当「あれって今、第8部まで行ってるんですよね?
どんな展開になってるんですか? 大体でいいから教えてくださいよ?」

担当「……」

新人担当「……先輩?」

担当「あ…ありのまま、起こった事を話すぞ。

第一部主人公の孫の、そのまた孫の娘が、
ディオの発見した「天国に行く方法」という
世界を加速して新しい並行宇宙へ移動する方法を実行しようとするディオの友人にあたる男と戦った結果
そいつは倒したんだが、世界は結局改変されるんだ。

その後、パラレルワールドの、19世紀末の大陸横断レースに参加するジョナサンの子孫の吉良吉影という男の関係者らしい
記憶喪失の東方定助という男が8部の主人公になって、自分の正体を探ろうとするんだが
何者かに命を狙われたりする感じだ」

新人担当「……日本語でお願いします」

担当「何を言っているのか、わからないと思うが、おれもわからなかった…。
ご都合主義だとか超展開だとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったんだ……」

新人担当「ええっ! じゃ、じゃあ、今のは、…………
ネ、ネタじゃなく、マジってことですかぁぁぁ!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

担当「ああ、マジだぜ」

ド ド ド ド ド ド ド ド ド

新人担当「そんな……、第1部では、普通にバトル漫画してたのに
単行本100冊以上も続くうちに、だんだん奇抜な方向に走って、いまや、こ、こんな展開に!
ま、まさか! これは、もうジョジョの奇妙な冒険ではなく」

担当「うむ、徐々に奇妙な冒険というやつだな」

新人担当「お後がよろしいようで」

おしまい

1です。
一応、誤解のないように言っておくと
自分としては別にジョジョや荒木先生をディスるつもりはありません。

「設定に破たんがなく、つじつまがあうけど小さくまとまっている漫画」と
「多少、設定に矛盾があっても勢いがある漫画」では断然後者の方がアリだと思っています。

今回はあえてその矛盾してたり、設定の奇抜すぎたりするところをネタにしてみましたが
むしろ設定が矛盾するくらい長く続く漫画であることが名作の証だと思います。
……あと8部普通に面白いし。

たまにネタをネタとして受け取らずにマジ切れしたりする人もいるようなので念のため。

あと流石に同じ担当が何年も変わらず、つくわけないのは分かってるんですが
会話劇で話をまとめるための都合でこうしただけですので、深く突っ込まないでください。(懇願)

乙レスどうもです。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。

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