『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 6 (562)

~ ごあいさつ ~

こちらは、『スマイルプリキュア!』の第2期を想定した自作のストーリーを SS形式で展開していくスレとなっています。
投稿の作法や文体などに至らない点がありましたら、随時ご指摘いただけますと幸いです。

作品の主なルールは下記の通りです。


・地の文無し(基本的にセリフと擬音のみ)

・内容はあくまで『プリキュア』シリーズっぽく作成します
 キャラ崩壊や、シリーズを著しく逸脱する内容 (エロとか残酷描写とか) はありません

・設定は基本的に原作『スマイルプリキュア!』を踏襲します
 ※意図的に崩す場合は注釈を入れます

・本作では原作終了後、中学3年生となったみゆき達を描いていきます
 新しい設定・キャラ・敵を盛り込んだ完全オリジナルストーリーとなります

・毎週日曜 AM 8:30 更新予定
 (本家『プリキュア』と同じ時間)


本シリーズの過去スレはこちら

・Part 1(第1話 ~ 第11話)
 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

・Part 2(第12話 ~ 第20話)
 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)

・Part 3(第21話 ~ 第29話)
 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

・Part 4(第30話 ~ 第38話)
 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 4 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379287447/)

・Part 5(第39話 ~ 第45話)
 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 5 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386467175/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391913264

以前、"新スレはアップ当日に立てた方が良い" というご意見をいただいていたので迷ったんですが、
Part5 のレスが埋まっちゃうとこちらへのリンク張れなくなっちゃうので、先行して立てさせてもらいました。どうかお許しを!

次回、第46話は 2/11(火) にアップ予定です。
ヨロシクお願いします!

「スマイルプリキュア レインボー!」第46話

このあとすぐ!

~ 前回までのあらすじ ~

みゆき『"夢の絵の具" を取り戻した私達は、デスペアランドの王様・デスペア国王さんとまた向かい合う事になりました』

みゆき『ピクチャーランドを救いたい気持ちでいっぱいの国王さんはとても強かったけど……、最後には、私達リアルランドの人達の "未来に向かう気持ち" の強さを信じてくれました!』

みゆき『ピクチャーランドのフレスコ王子様として私達を見守ってくれることを約束してくれて、全部めでたしハッピーエンド!!』


みゆき『……と、思ったその時でした。王子様に力を貸していたジョーカーがその体に取り付いて、ピクチャーランド王家の人達だけが持つ "心を直接吸い取る能力" を手に入れてしまったのです……』

みゆき『その力を手に入れたジョーカーは人のイヤな気持ちを自由に吸い取れるようになって……、とても強くなってしまいました……』

みゆき『そのまま、心を食べちゃう怪物・"デスペア" を連れて、リアルランドを不安だけの世界にしようと向かっていったのです』


みゆき『ジョーカーを追ってリアルランドに帰ってきた私達が見たのは、雲の怪物 "デスペア" のおかげで真っ暗になった空と町でした……』




スマイルプリキュア レインボー!

第46話「願いよ届け! 雲の向こうの青空へ!!」



~ 七色ヶ丘市 公園 ~

黒雲の怪物・デスペア『オォォォォォォォォォッ……!!』


ゆかり「……空が……真っ黒……!」

はるか「あの黒い雲のせいだね……」


やよい「その雲に、目と口みたいな赤い切れ目が三つある……!」

みゆき「あれが……、人の心を食べる怪物・"デスペア" ……!」

キャンディ「(ピクッ) クル……!? あの雲の中に、すごく大きなバッドエナジーを感じるクル……!」

みゆき「それって……! ……じゃあ、あの雲の中にジョーカーがいるってこと……!?」

キャンディ「クル……!」

れいか「……! みなさん、大変です……! 周りで人がたくさん倒れています……!」

あかね「ほんまや……! 大人も子供もみんなうずくまってもうとる……!」


タタタタタタッ


なお「だいじょうぶですか!? 具合でも悪いんですか……!?」

若いサラリーマン「……別に……どこも……」

なお「え……? それなら、どうして……」

若いサラリーマン「…………」


若いサラリーマン「……なんか、急に将来が不安になっちゃって……」


若いサラリーマン「今まで、働いてきたけど……、このまま頑張っても、いいことあるのかな、って、思えてきちゃって……」

若いサラリーマン「考えないようにしてたんだけど……、あの黒い雲を見てたら、なんだかこの先いいことないような……、そんな感じがしてきちゃったんだ……」

れいか「……! それでは……」

やよい「あの雲のせいで不安になっちゃった……、ってことなの……!?」

女子高生A「……もうすぐ受験だけどさ……、あたし、大学行ってどうするんだろ……。別にやりたいこともないのに……」

女子高生B「テキトーに就職して……、テキトーに結婚して……。……それって、楽しいのかな……」

はるか「元気出してください! 今はなくても……、きっといつか、自分だけのステキな事が見つけられるはずです!」

女子高生A「ムリだよ……。きっと未来は真っ暗なんだ……。今の空みたいに……」

女子高生B「多分ずっとそう……。あたしたちにキレイな未来なんて来ないんだ……」


ゆかり「そんな……、こっちの人たちまで……」

マティ「それでは……、周りのうずくまっている方々はみんな、自分の不安にとらわれてしまっているのでしょうか……!?」

あかね「あの雲がみんなを不安な気持ちを強くしとるんか……!?」

みゆき「……ひどい……! ひどいよ、こんなの……!」


シアンナ「…………」


シアンナ「……希望を知った今だからわかる……。それを奪う事が、どれほど酷いことだったか……!」

セルリア「……大切な人といても……嬉しくなれない……なんて……!」

ビリーズ「こんなんじゃ……、こいつらも全然楽しくねーよな……!」

ウィスタリア「やっぱり、あいつの……ジョーカーのスキにさせたらダメだよ……!」

みゆき「……うん」

みゆき「……みんな、早くあの雲の怪物をやっつけよう! 町のみんなをこのままになんてしておけないよ!」

なお「そうだね……! 見ただけでこんなになっちゃうんじゃ……、もしジョーカーの行ってた通り、心を不安な気持ちだけにさせられたら、みんな何にもできなくなっちゃう……!」

ポップ「それが、ジョーカーの言う "絶望" ……! まさしく、バッドエンドでござる……!」


ウルルン「なぁに! おれ達が力を合わせりゃ、できねぇことなんて何もねぇウル! そうだろ、あかね!?」

あかね「せや! いつだってうちらはみんなでツラいことを乗り越えてきたんや! 今度だってちょちょいのちょいやで!」

やよい「うん! きっとそうだよね! 私達ならできるよ!」

オニニン「そうオニ! そうと決まれば、じっとしてる場合じゃないオニ! どうにかして、あの雲の中にいるジョーカーをやっつけるオニ!」

みゆき・あかね・やよい・なお・ゆかり「うんっ!」


はるか「…………」


はるか(確かに、町の人達をこんな風にはしておけない。ちょっとでも早く、ジョーカーをどうにかしなきゃ……)

はるか(でも、ジョーカーは "人々の不安から無限の力を得られる" って言ってた……。今の私達で、何とかなるのかな……)


はるか(……それなら……)

はるか「……ねえ、みんな――」

れいか「みなさん、聞いてください!」

はるか(……! れいかちゃん……?)


みゆき「な、何、れいかちゃん、急に大声出して……?」

あかね「な、なんか言いたいことあるん?」

れいか「はい」


れいか「みなさんの言う通り、町の方々を苦しんだままにはしておけません。それどころか、ジョーカーは人々の心をなくし、不安しか生まない心に塗り替えようとしています。そんなこと、絶対に許せません」

なお「そ、それはわかってるよ。だから、今すぐあの雲の中まで行こう、って話をして――」

れいか「……行って、私達はジョーカーに止めることができるのでしょうか……?」

みゆき「え……?」

ポップ「……れいか殿まで、あの雲のおかげで怖気づいた……、わけはないでござるな。れいか殿のこと、きっと何か考えあるのでござろう。お話、聞かせてもらえないでござるか?」

れいか「ありがとうございます、ポップさん」

れいか「先も言った通り、ジョーカーは世界をバッドエンドそのものに変えてしまおうとしています。私達は、絶対に負けるわけにはいきません」

れいか「ですが、ジョーカーはピクチャーランドを去る時に言っていました。"人の不安を吸い取って、無限の力を出せるようになった" と」

れいか「それが本当であれば、私達が今まで戦ってきた、どんな相手よりも強力になっている可能性があります。先ほどのデスペア国王や、あの皇帝ピエーロよりも……!」


みゆき「で、でも、どんなに強くったって、私達はやらなきゃ……!」

れいか「もちろんです。ですから、私に提案があります」

ゆかり「提案……ですか……?」


れいか「みなさん。私達スマイルプリキュアの力は、"未来を目指す強い想い" ……夢と希望です。その気持ちをより強く持てば、私達は更に力を増すことができるのではないでしょうか」

やよい「夢と希望を、もっと、強く……? でも、どうやって……?」

れいか「私達それぞれが、自分自身のことを見つめなおすのです」

れいか「どうして、私達は未来に向かって進んでいきたいのか」


れいか「どうして、私達は負けられない戦いをしなければならないのか」


れいか「それを、一人ひとりが今一度思い出し、未来に進む気持ちを強めるのです」


れいか「その時こそ、私達は最高の力を出せるようになるのではないかと思います。とても強い、希望の力を」

みゆき「私達の、最高の力……」


れいか「幸い、そのための時間はあります。フレスコ王子様の言葉によれば、あの黒雲の怪物・"デスペア" が動けるようになるまで 3時間ほどはかかるようですから。その間に、私達はできる限りのことをしておくべきだと思います」


れいか「私達の未来、みなさんの未来を、絶対になくさせないために」

全員「…………」


れいか「……どうでしょうか……?」

みゆき「……れいかちゃんの言う通りだよ」

あかね「……カッとなって、すぐ突っ込んでまうところやったわ。確かに、やれることがあるんなら、できるだけやっておくべきやな」

やよい「私達が知り合った時から、何かあるとれいかちゃんがすぐ頭を冷やしてくれたよね」

なお「今度もまた、お世話になっちゃったね。ありがと、れいか。タイヘンな時だからこそ、落ち着かなきゃね」

れいか「それでは……!」

はるか「プリキュアの力を最大に高めるために、一人ひとりが自分の気持ちを確かめる。すごくいい考えだと思うよ、れいかちゃん」

れいか「はるかお姉さん……! ありがとうございます!」


ゆかり「一人ひとり、っていうことは……、一度解散、ってことになるんでしょうか……?」

れいか「そうですね。夢が一人ひとり違うように、気持ちを高めるために行くべきところはそれぞれ違うはず」

れいか「自分を見つめなおした後、またどこかで集まり、改めて向かいましょう。あの、黒い雲の中にいるジョーカーのところまで」

あかね「せやったら、集合場所や集合時間も決めといた方がよさそうやな」

やよい「うん、そうだね。あんまり時間かけすぎちゃって、間に合わなくなっちゃったらしょうがないもんね」

れいか「それでは時間は……、1時間後、ということでどうでしょうか?」

はるか「……うん、いいと思う。それだけあれば、十分気持ちを改める事ができるね」

なお「わかった、今から 1時間後ね。じゃあ、集合場所はどうする?」

れいか「そうね……」


みゆき「……展望台はどうかな?」

れいか「展望台、ですか?」

マティ「あの、町を見下ろせるところですわね」

みゆき「うん。あそこはこの町で一番高いから、あの雲まで一番近づけると思うんだ。どうかな?」


あかね「ええんとちゃう? あそこなら目立つし、集まりやすいわ」

やよい「それじゃあ、1時間後、あの展望台で集合、ってことだね」

みゆき「うん」

シアンナ「みゆき、私達はどうしたらいいかしら」

みゆき「シアンナさん……」

ビリーズ「お前ら、オレ達がいなくなった時よりずっとスゴくなっててよ……、正直役に立てるとも思えねーんだけど……」

セルリア「何か……、できることがあるなら……したい……。……私達……自身のためにも……」

ウィスタリア「あたし達も、あんた達の……その……、仲間なんだから、さ」

はるか「みんな……」

ゆかり「タリアちゃん……」


はるか「それじゃあ、シアンナとビリーズとセルリアには先に行っててもらいたいところがあるんだ」

シアンナ「それは?」

はるか「私とシアンナが初めて会った場所。そこで、あなた達とゆっくりお話がしたいんだ」

はるか「私は、別に行きたいところがあるからその後になっちゃうけど……、いいかな?」

シアンナ「……あそこね。わかったわ、待ってる」


ゆかり「じゃあ、タリアちゃんはわたし達といっしょに来てくれる……?」

マティ「行き先は……、もちろん、あそこですわね」

ウィスタリア「あそこ、だね。うん、わかった、行こう!」

みゆき「……みんな。ピクチャーランドがタイヘンなことになってから始まったこの事件も、次で最後になると思う」

みゆき「フレスコ王子様も私達のことを信じてくれるようになったから、あとはジョーカーを何とか止めるだけ。長かったけど……、あともう少しだよ」


みゆき「最後までガンバって、絶対にみんなが笑顔になるハッピーエンドにしよう!!」

全員「うんっ!!」

みゆき「……それじゃ、みんな、また後でね」


あかね「うん。また、後でな」


やよい「今から 1時間後……」


なお「あの展望台の上でね」


れいか「最後の戦いへと向かうために」


はるか「私達、みんなの未来のために」


ゆかり「また、会いましょう……!」


みゆき「うん!」

~ 七色ヶ丘市 青木家帰路 ~

スタスタスタ


れいか「はるかお姉さんが先に行きたいところ、というのは、私の家のことだったのですね」

はるか「うん。まずは、おじい様にあいさつをしておきたいな、って思って」

れいか「私もです。それでは、行きましょう、はるかお姉さん」

はるか「うん!」


スタスタスタ


はるか(……さっきれいかちゃんがした話、私がしようと思ってた話と全くおんなじだった……)

はるか(自分でみんなのことや自分のことをちゃんと考えて、れいかちゃんはあの話をしたんだね……。私の考えたことと同じことを……)


れいか「(スタスタスタ)」

はるか「…………」

はるか(れいかちゃんの背、ちょっと伸びたかな? 隣を歩いてても、なんだか少し大きくなったような気がするよ)


はるか(……立派になったね……、れいかちゃん……!)


れいか「……は、はるかお姉さん? 私のことじっと見て……、どうかしましたか?」

はるか「え……? あ、ゴメンゴメン! なんでもないんだ!」

れいか「……? そうですか……」

~ お好み焼き屋 "あかね" 前 ~

ウルルン「あかね。お前が自分を見つめなおすところは、ここでいいウル?」

あかね「当たり前や。うちの夢は "世界一のお好み焼き屋" やで? 夢について改めて考えるなら、ここしかないわ」

ウルルン「……そうか。なら、行くウル」

あかね「うん」

~ お好み焼き屋 "あかね" ~


ガラッ


あかね「父ちゃん! 母ちゃん! げんき! ただい――」


シーーーーン…


大悟(あかね父)「……はぁ……」

正子(あかね母)「…………」

げんき(あかね弟)「…………」


あかね「な……、なんやねん、みんなして……。どないしたんや……? お店は、やっとらんの……?」

大悟「……今、店なんて……やってもしゃあないやろ……」

あかね「え……!?」

げんき「ねーちゃん、知らんの……? 今、町中タイヘンなことになってるんやで……」

正子「空に黒い雲が急に出てきた、思たら……、町の人みんな元気なくなってもうて……。母ちゃんも、買出しから帰ってくるのがせいいっぱいやったわ……」

大悟「……せやから、こんなんじゃお客さんなんて来るわけあらへん……。店なんてやっても、何の意味もあらへんわ……」

あかね「な……、なに言うとんの!? 意味ないなんて、そんなんわからへんやんか! お客さん、来るかもしれへんやろ!?」


大悟・正子・げんき「…………」

ウルルン(小声)「……ダメだウル……。みんな、あの "デスペア" のせいでやる気なくなっちまってるウル……!」

あかね「……みんな……!」

あかね(……ちゃう。こんなん、うちの好きな "お好み焼き屋 あかね" ちゃう)


あかね(うちの店は……、うちが大好きなこの店は……、いつだってお客さんの "おいしい" っちゅう笑顔であふれた、あったかい場所なんや)


あかね(このままじゃあかん。こんな暗ーい、冷え切ったところ…… "お好み焼き屋 あかね" やあらへん……!)


あかね(…………)

スタスタスタ


あかね「……エプロン、借りんで」バサッ


カチッ ボッ


大悟「……あかね……? 厨房入って、鉄板に火入れて……。何始めるつもりや……?」

あかね「決まっとるやろ。お好み焼き、焼くんや」

大悟「言ったやろ……。お客さん、どうせ来んのやから、店の準備なんてしたって意味ない――」

あかね「そんなことない!!」

大悟「……!?」


あかね「……父ちゃん、いつだったか言うとったな。"世の中がどんなに変わっても、お好み焼き屋にできるのは、お好み焼き焼いてお客さんに笑顔になってもらうことだけや" って」

あかね「今が、その時なんとちゃうんか? 周りのみんなが元気ないからこそ、うちらがお好み焼き焼かんとあかんのとちゃうか?」


あかね「元気のないみんなを、自分達が焼いたお好み焼きで元気づける! それが、ほんまのお好み焼き屋なんとちゃうんか!!?」

大悟「!!」


あかね「せやからうちは、お好み焼きを焼く。うちは、お好み焼き屋やから」

あかね「うちのお好み焼きで元気になってもらいたい人たちがおるから」


大悟「……あかね……」

大悟「……母さん、わいのエプロン、出してや」

正子「父ちゃん……?」

大悟「……わい、どないしとったんや……! 娘にここまで言われるまで、何もでけへんかったやなんて……!」


大悟「あかねの言う通りや。お好み焼き屋の仕事は、お好み焼き焼くことや。町のみんなが元気ないなら……、わいのお好み焼きで元気にしたる!」

あかね「父ちゃん……!」

大悟「あかね、一緒にやんで。お好み焼きぎょーさん焼いて、町中に配るんや。母さん! げんき! 後で配るの手伝ってもらうで!」

正子「……わかったわ! お好み焼き焼かれへんけど……、うちかて "お好み焼き屋 あかね" や! 任しとき!」

げんき「お、おれかて、やったるわ! 手伝いくらいならできんで!」

あかね「母ちゃん……! げんき……!」


あかね(……そや、これや。これが、うちのなりたい "お好み焼き屋" の、ほんまの姿や!)


あかね「よっしゃぁっ! じゃんっじゃん焼いたんでぇっ! 行くで、父ちゃん!!」

大悟「おう! お好み焼き屋の底力、見せたるわ!!」

ジュージュー…!


大悟("ほんまのお好み焼き屋" か。まさか、あかねに教わる事になるとは思わへんかったわ……。娘に気付かされるなんて、わいもまだまだやな……)


大悟(……いや、ちゃうな。あかねがいつの間にかでっかくなったんや。わいに火つけるくらいにでっかく)


大悟(ついこないだまで、よちよちしとったのに……。ちょっと前まで、"コゲコゲのお好み焼きしか焼かれへーん" って、ベソかいとったのになぁ……)


大悟「(チラッ)」

あかね「…………」ジュージュー…!

大悟(……横顔も、いつの間にか、お好み焼き屋の顔になりやがって……。あかね……、やるようになったやないか……!)


大悟(……なんだか今日は、みょうに鉄板の煙が目にしみるわ……!)

~ 数十分後 ~

あかね「えーっと……、ちゅう、ちゅう、たこ、かい、な、ちゅう、ちゅう、たこ、かい……、うん、18個、みんなの分、ちゃんとあるな」


あかね「よっしゃ、時間もそろそろや。行かなな」ガサッ

げんき「行く? ねーちゃん、どっか行くんか? そんなお好み焼きぎょーさん持って」

正子「あんたも配達行くん?」

あかね「うん。うち、どうしても行かなあかんとこあんねん」

大悟「……それ、もしかして、さっき言うとった "元気になってもらいたい人達" のとこか?」

あかね「せや。うちの、大切な人達や。せやから、うちが心込めて焼いたお好み焼きで、元気になってもらいたいんや」


大悟「……わかった、行って来ぃ! "お好み焼き屋 あかね" の味で、みんなまとめて元気にしたれ!」

あかね「うん、行ってくるわ!!」ニカッ

~ 黄瀬家 玄関前 ~

オニニン「やよいは、自分の家でいいオニ?」

やよい「うん。私、ママとパパに会いたい。私のことをずっと育ててくれて、見守ってくれたから」


やよい「私が夢に向かってガンバれるのは、二人がいてくれたおかげだと思うから」

オニニン「……わかったオニ。それじゃ。中に入るオニ」

やよい「うん」


ガチャッ

~ 黄瀬家 玄関 ~


バタンッ


やよい「ただいま――」


タタタタッ


千春(やよい母)「やよい! どこ行ってたの、心配したのよ!?」

やよい「マ、ママ……!? ど、どうしたの、そんなに慌てて……」

千春「どうしたの、じゃないわよ! 空のあの黒い雲、見たでしょ……!? あれを見てから私、なんだかやよいのことがすごく心配になっちゃって……! 急いで仕事から帰ってきたの……!」

オニニン(小声)「黒い雲……! "デスペア" のことオニ……!」

やよい(小声)「うん……!」

千春「……でも、これからどうなるかわからないし、もう私……どうしたらいいか……!」オロオロ

やよい「ママ……!」


やよい(いつもすごくしっかりしてるママまで、こんな風になっちゃって……! あの雲のオバケのせいで、不安にさせられちゃってるんだ……! こんなに慌てて、ツラそう……!)

やよい(なにか、私にしてあげられること、ないかな……!? なにか……、なにか……!)


やよい(……! そうだ!)


やよい「ママ、ちょっと待ってて!」タタタッ

千春「やよい!? ど、どこ行くの!?」

やよい「だいじょうぶ、私の部屋に行くだけだよ!」

バタンッ


千春「や、やよい……? 部屋で何を……」

やよい「これを取りに行ってたの」


ペラッ


千春「これって……、やよいの漫画……?」

やよい「うん。次、出そうと思ってた新作なんだ」


やよい「ねぇ、ママ。この漫画、読んでみてくれないかな?」

千春「え……!? こ、こんな時に何言ってるの……!? そんなことより、早くどこかへ逃げましょう!? あなたに何かあったら、私……、私……!」オロオロ

やよい「…………」

やよい「……だいじょうぶだよ、ママ」ニコッ

千春「やよい……? ……どうして? どうして、こんな大変な時に笑っていられるの……?」

やよい「ママに教えてもらったからだよ。ツラくっても負けちゃだめだ、って」


やよい「この漫画には、そんな私の気持ちが込められてるの。どんな時でもガンバっていきたいっていう気持ちが」

やよい「だからママ、読んでみてくれないかな……? 私の気持ちが、ママを元気にしてくれるかもしれないから」

千春「…………ええ、わかったわ」


千春「…………」ペラッ

やよい「…………」

千春「……いい、お話だったわ。どんなにツラい目にあっても、あきらめないでガンバっていこうとするヒーローのお話……」


千春「……不思議ね。さっきまであんなに不安だったのに……、この漫画を読んだら、少し落ち着いて来たわ。このヒーローの強さが……、やよいの気持ちが、私にガンバる勇気をくれたのかしらね」」

やよい「ホント……!? よかったぁ……!」

千春「すごいわね、やよい。いつの間にか、自分の力だけで人を元気にすることができるようになったのね……」

やよい「えへへ……、みんなのおかげだよ……」


やよい「ママやパパ、出版社の梅沢編集さん……。漫画研究部のみんな……。それに、私の大切なお友達……」

やよい「みんながいてくれたから、私、今までできなかったいろんなことができるようになったんだよ」

千春「そう……」

やよい「……ねぇ、ママ。私、その大切なみんなのために、やらなきゃいけないことがあるの」

千春「え……? どこかへ行くつもりなの……?」

やよい「うん。私が行かないとダメなの。私じゃなきゃ、できないことなの」

やよい「ママが私のことを心配してくれるのはすごくうれしいけど……、私、行きたい。みんなのためにも、私のためにも」


やよい「ママ、お願い。私を行かせて」

千春「…………」

千春「……いいわ、行きなさい、やよい」

やよい「……! いいの……!?」

千春「大事な一人娘にそんな一生懸命な顔で頼まれたら、断れないわ。あなたのやりたいことを、精一杯頑張って」

やよい「……! うん! ありがとう、ママ!」


やよい「……あとは……」


スタスタスタ


やよい「……パパ」スッ

千春(やよい……。パパの写真を持って……)


やよい「私、パパからもらった優しさで一生懸命ガンバるよ。だから……、見守っててね」

勇一(やよい父) の写真「――――」

千春(……やよい……)

やよい「それじゃ、行ってきます!!」ニコッ

千春「ええ。行ってらっしゃい」ニコッ


ガチャッ バタンッ


シーーーン…


千春「…………」


千春(……やよいがいなくなると、この家も静かになってしまうわね……)

千春(いつかあの子が巣立っていったら……、こんな感じになるのかしら……)

千春「……でも、きっと大丈夫よね、あの子なら」

千春「ちょっと前まで、できないことがあるとすぐ泣いちゃったり、そそっかしかったりしたあの子が、あんなにしっかりするようになったんだもの」


千春「離れていくのは少しさみしいけど……、あの子は人を元気にできるくらい、強い子になったわ。だから、きっと一人でも大丈夫」

千春「私達は喜んで、あの子の後姿を見送りましょう。……ね、パパ」


勇一の写真「――――」

~ 緑川家 前 ~

なお「…………」

マジョリン「なお……、家、入らないマジョ……?」

なお「うん……」

マジョリン「今日はお父さんもお母さんもいないマジョ? あの子達だけで、心配じゃないマジョ?」

なお「もちろん、心配に決まってるよ……!」


なお「……だけど、この家に入っちゃったら、あたしは "緑川 なお" として、みんなを守らなきゃいけなくなっちゃう……。それじゃ、ダメなんだよ……」

なお「あたしは、"キュアマーチ" として、みんなの平和を守らなきゃいけない……。それが、あの子達を守ることにもつながるから」

なお「だから、あたしは家には入らない……。ここで、家の中にいるみんなの事を思うだけで十分だよ」

マジョリン「なお……」


マジョリン「……じゃあ、ツラそうに見えるのは、あたしの気のせいマジョ……?」

マジョリン「ホントは、そばにいてあげたいんじゃないマジョ……?」


なお「…………」

こうた(なお弟・三男)「うあぁぁぁんぁぁぁぁん!」


なお「こうた……!?」

マジョリン「……家にいるみんなの……声が聞こえるマジョ……」


ひな(なお妹・三女)「こうた……、泣かないでよぉ……! 泣いたら……、泣いたら……、……うっ……、うわぁぁぁぁぁぁんっ……!」

ゆうた(なお弟・次男)「うぅっ……、ひっく……、さみしいよう……さみしいよう……!」

こうた「あぁぁぁぁぁぁぁん! あぁぁぁぁぁぁんっ!」


マジョリン「みんな、泣いてるマジョ……。たぶん、あの "デスペア" のせいマジョ……。コワくて、仕方ないんだマジョ……!」

ゆうた「……なおねーちゃん……、どこ……?」


なお「!」


ひな「なお……ねーちゃん……! こわいよ……、さみしいよ……!」

こうた「あぁぁぁぁぁぁぁん! なおねーちゃぁぁぁんっ!」


なお「……っ……!」

なお(みんなが、呼んでる……。あたしのことを呼んでる……!)

マジョリン「……なお……!」


なお(……ホントは、ツラいよ……! 今すぐ家に入って、みんなを抱きしめてあげたい……。安心させてあげたい……!)

なお(でも、それじゃあプリキュアとして、みんなを守れなくなっちゃう……。みんなの未来が、なくなっちゃうんだ……!)


なお(あたしは……、あたしは……っ!)

けいた(なお弟・長男)「みんな、泣くなっ!!」

こうた「ふぇ……」

はる(なお妹・次女)「……けいた……にーちゃん……?」


なお「! ……けいた……?」


けいた「なおねーちゃんがいないからってなんだ! なおねーちゃんがいたら言うぞ! "泣いてないで、しっかりしろ!" って!」

ひな「けいたにーちゃん……、コワく……ないの……? 真っ黒なお空、コワくないの……?」

けいた「……おれだって、コワいよ……! ぐすっ……、なんだかよくわかんないけど……、すっげーコワいよ……!」

けいた「でも、おれ……ねーちゃんにいっつも言われてたから! "自分がいない時は代わりにみんなを引っ張ってほしい" って!」


なお「!!」


けいた「だから、おれは泣かない……! さみしくったって……、泣くもんか……っ!」


けいた「おれが、なおねーちゃんの代わりにみんなを守ってやる!! だから、泣くな!!」

こうた「けいた……にーたん……!」

ゆうた「けいたにーちゃん……!」


なお「……けいた……っ!!」


なお「…………」

なお「……行こう、マジョリン。家は、もうだいじょうぶだよ」

マジョリン「……そうみたいマジョ。けいたがガンバってくれてるおかげマジョね」

なお「うん。……あの子が、あんなに強くなってるなんて、思わなかったな……」

マジョリン「きっと、なおのことをずっと見てたからマジョ」

なお「……そうかな」

マジョリン「そうマジョ」


なお「……あたし、やっぱり家に戻ってきてよかった。けいたの勇気が、コワくても立ち向かう勇気が、あたしにも勇気をくれたよ。あたしはこの勇気で、家のみんなや、町のみんなを守るんだ」

なお「この町を、みんながいつでも安心して笑っていられる平和な町にしたい。それが、あたしの願い……、あたしの、夢だから」


なお「そのために……あたしは戦う。絶対に負けない!!」

マジョリン「マジョ!」

~ 青木家 玄関 ~

ガラッ


れいか「ただ今戻りました」


トタトタトタ


静子(れいか母)「れいか……! はるかちゃんも……!」

はるか「お邪魔します、静子おば様」

れいか「お母様、どうかされたのですか……? なんだか慌ててるようですけれど……」

静子「外の黒い雲、見たでしょう……? 何か良くないことが起きるのではないかと思って、みんなで避難しようと思っていたの……! れいか、あなたのことも待っていたのよ……」


静子「けれど……、お義父様が、この家を離れない、とおっしゃって……!」

れいか「おじい様が……?」

静子「ええ……、何度も説得したのだけれど、聞いてくれなくて……。私、どうしたらいいのか……!」


れいか・はるか「…………」


はるか「でしたらおば様。私達がおじい様とお話してきます」

静子「え……、行ってくれるの……?」

れいか「はい。元々、おじい様とお話がしたくて帰ってきたので」

静子「そ、そう……。それじゃあ、頼むわね……」

~ 青木家 祖父の間前 ~

れいか「おじい様、今、お時間よろしいでしょうか」

はるか「お話したい事があって来ました」

曾太郎「はるかにれいかか。入れ」

れいか「はい。失礼します」


スラッ

~ 青木家 祖父の間 ~

曾太郎「話、とやらを聞く前に、先に言っておく。家を離れるということであれば、聞く気はないぞ」

曾太郎「この家には、わしにとってかけがえのないものがある。幼少の頃や、あれ――お前達の祖母との思い出がな」

曾太郎「わしはもう十分に生きた。もし何かあろうとも、最期くらいはこの家で迎えたいのだ。行くなら、お前達だけで行くがよい」

れいか「……そうですか……」


れいか「……ですが、私達がおじい様にしたい話は、そのことではありません」

はるか「そうなんです。もっと別の、言わなければならない事があったので、参りました」

曾太郎「何……? それは一体……」


れいか・はるか「(スッ)」


曾太郎「む……、何だ、二人とも。急に頭を下げて、どういうつもりだ?」

れいか「これが、私達がおじい様にお伝えしたかったこと」

はるか「おじい様への感謝の気持ちです」

曾太郎「感謝……?」

れいか「おじい様……。おじい様は、私が幼い頃より、とても厳しいお方でした。……実を言いますと、小さい頃は、そんなおじい様が苦手な時もありました……」

曾太郎「…………」

れいか「ですが、今は感謝せずにはいられません。おじい様のその厳しさは全て、私達に対する優しさだったのですから」


はるか「おじい様はいつも、私達が正しい "道" を行けるよう、見守っていてくださいました」

れいか「そのおかげで、私達は自分だけの "道" を見つける事ができました。誰のためでもない、自分のための "道" を」

はるか「ですから、こうしてお礼を言いに参りました。本当に、ありがとうございます」ペコリ

曾太郎「……むう……」


曾太郎(はるか……、そして、れいか……。二人がわしに向けるまなざしから、迷いが完全に消えておる……。どうやら、自分だけの "道" を見つけた、という言葉に偽りはないようだ)

曾太郎(そして、二人の視線を見ればわかる。おそらく二人は……)


曾太郎「……そうか。お前達は、その "道" を行くために、これから何かを成さねばならないのだな」

れいか「え……!?」

はるか「どうしてそれを……」

曾太郎「やはりそうか。わかるぞ。お前達の目はわしだけを見てはおらん。そのはるか先を見据えておるのがわかる。お前達自身の未来―― "道" の先をな」

曾太郎「……ならば、行くがよい。お前達の信じる "道" を」


曾太郎「れいか。お前は、長き間自分の "道" が見つけられず、悩んでいたな。その苦しみによく耐え抜いた」

曾太郎「はるか。お前は、れいかと違い自分の "道" を見つけてはいたが、その "道" を行くことが中々できずにいたな。よくぞ、恐れを越えて踏み出した」

曾太郎「そんなお前達がそれぞれの苦難を乗り越え、わしの前に堂々としたまなざしでいる」

曾太郎「…………」


曾太郎「……嬉しいぞ、はるか、れいかよ。よくぞ、そこまで成ったな」

れいか・はるか「……!!」


曾太郎「今のお前達ならばきっと、自らの望むものを手にすることができるだろう。そのために、やるべきことをやるがいい」

曾太郎「わしはいつでも、お前達を見守っておるぞ」

れいか「……おじい様……っ!」

はるか「ありがとう、ございます……っ!」


曾太郎「うむ」ニコリ

~ 青木家 前 ~

はるか「……やっぱり、おじい様に会っておいてよかったね」

れいか「はい……。私、初めておじい様にほめていただいた気がします」

はるか「私もだよ……。……うれしかったね」

れいか「はい……」


ペロー「はるかさん、はるかさん。そろそろ、シアンナさん達のところに行った方がよくないペロ? あんまりゆっくりしてると、時間なくなっちゃうペロ」

はるか「あ、そうだった……! 集合、1時間だったよね。急がないと……!」


はるか「ゴメン、れいかちゃん! 私、待ち合わせがあるから、そっちの方行くね! また後で!」

れいか「はい! お気をつけて!」


タタタタタッ…


ポップ「行ってしまったでござるな、はるか殿」

れいか「そうですね。……では、私達も行きましょう」

ポップ「集合場所でござるな?」

れいか「いえ、それより先に、もう一つ行っておきたいところがあります。付き合ってください、ポップさん」

~ 七色ヶ丘中学校 校門前 ~

ポップ「れいか殿が行きたいところとは、学校でござったか。納得でござる。れいか殿の夢は学校の先生でござるからな」

れいか「そうなのですが、それだけではないんです。私自身が、この学校に対して、気持ちを伝えておきたかったから……」

ポップ「学校に気持ちを、でござるか……?」

れいか「はい」


スッ


れいか「…………」


ポップ(……れいか殿、学校の方を向いて背筋を伸ばして……。まるで、人と向き合っているような姿勢でござる……)

れいか「私は、ここでたくさんのものをいただきました」


れいか「学ぶことの素晴らしさ。誰かと共に何かをする喜び」

れいか「かけがえのない友達と、みんなと過ごした日々の思い出」

れいか「そして、夢……。私が歩んでいきたい、私だけの "道"」


れいか「全てが、ここで暮らしていなければ、手に入れることができなかったものばかりです」

れいか「この 3年間で得たものは、私にとっての大切な宝物です……!」


れいか「今、ここに通っている全ての人にも、その素晴らしい宝物を見つけてもらいたい……。そして、これからここで過ごす方達にも……」

れいか「私の大好きなこの学校と、ここで過ごす方々の未来を守るために、私は、戦います」


れいか「それでは、行って参ります」ペコリ


ポップ(れいか殿……、学校に向かって礼を……)

ポップ(本当に、この学校が大好きなのでござるな……)


れいか「……お待たせしました、ポップさん。参りましょう!」

ポップ「うむ! 心得たでござる!」

~ 七色ヶ丘市 道路 ~

れいか「…………」スタスタスタ


スタスタスタ


なお「! れいか……」

れいか「なお……!」


なお・れいか「…………」

なお「(スッ)」

れいか(……! なお、手を差し出して……)

れいか「(コクリ)」


ギュッ


なお「…………」

れいか「…………」


なお「行こう」

れいか「ええ」


スタスタスタ

ポップ・マジョリン「…………」


ポップ(手をつなぎ、並んで歩くお二人……。何も言わずとも、愛するこの町を守るという心意気をひしひしと感じるでござる……)

マジョリン(あたし達も目いっぱい力を貸すマジョ。だから、ふたりとも……、ガンバるマジョ!)

~ 七色ヶ丘市 ショッピングセンター "Rainbow" 前 ~

タタタタタッ


はるか「シアンナーっ! ゴメン、お待たせ!」

シアンナ「いえ、構わないわ」

はるか「それじゃ、中に入ろう。少しぶらぶらしながら話がしたいんだ」

シアンナ「ええ、わかったわ」


はるか「……あれ? ところで、ビリーズとセルリアは? 一緒じゃないの?」

シアンナ「あの二人ね。よくわからないけれど、何か用事があるとかでここには来ていないわ。仕方なく私だけで来たの」

はるか「そっか……。残念だけど時間もないし……、このまま行こうか」

シアンナ「そうね」


スタスタスタ…

~ 七色ヶ丘市 ショッピングセンター "Rainbow" 近くの木の陰 ~

セルリア「…………」ジッ…

ビリーズ「……んだよ。そうやって隠れて見てるくらいなら、わざわざウソついてまで離れなくっても、一緒に行きゃいいじゃねーか」

ビリーズ「しけたツラしやがって。ホントはお前が一番シアンナと一緒にいたいクセによ」

セルリア「……シアンナは……、はるかといる時が……一番……楽しそうだから……。……たぶん……それは、はるかも……」


セルリア「……私がいたら……邪魔だから……」

ビリーズ「……気でもきかせたつもりかよ」


ビリーズ「……ま、そう落ち込む事もねーよ。別にあいつがはるかと仲がいいからって、お前のことをキライになったりはしねーからよ」

セルリア「……!(カァッ) ……そんなこと……、お前に言われなくても……わかってる……!」ガンッ

ビリーズ「痛っ!? おい、足を、踏むんじゃねーよ……! お前のテレ隠しに痛い思いする方の身にもなれっつーの……!」

セルリア「……余計な事を言う……お前が悪い……」

~ 七色ヶ丘市 ショッピングセンター "Rainbow" 内 大通り ~

ガラーン…


はるか「人、いないね」

シアンナ「ええ。どうやら、あの黒雲・"デスペア" の影響でみんな避難してしまったようね」


スタスタスタ


はるか「こうやって誰もいないここを歩いてると、あの時のことを思い出すね」

シアンナ「そうね。私達が初めて出会った、あの時ね」


はるか「そういえばあの時、私、あなたのことを疑ってかかったっけ。なんだか、すごく危ない感じがして」

シアンナ「そんなこともあったわね。私も、プリキュアでないのに私を警戒したあなたに驚いていたわ」

はるか「そんな私達が、こうして並んで歩いてる。……なんだか、おかしいね」

シアンナ「ええ……。不思議なものね」


シアンナ「けれど……、こうしていると、心が安らぐわ」

はるか「私もだよ。ヘンだよね、こんなタイヘンな時なのに」

シアンナ「ふふっ」

はるか「あははっ」

はるか「ところでシアンナ、もうちょっとだけ付き合ってもらえるかな。連れて行きたいところがあるんだ」

シアンナ「ええ、それは構わないけれど……、一体どこへ?」


はるか「……私の夢に近い場所、かな?」

シアンナ「……?」

~ 七色ヶ丘市 ショッピングセンター "Rainbow" 内 特設ステージ前 ~

シアンナ「連れてきたいところ、というのは、ここかしら?」

はるか「そ」


シアンナ「向こうのせり上がった場所に向かって、イスがたくさん並んでいる……。何をするところなの?」

はるか「ここはね、ステージって言って、あの真ん中の場所、舞台で芸をする人達を見て楽しむところなんだよ」

シアンナ「そうなのね。でも、ここが "はるかの夢に近い場所" というのは?」

はるか「シアンナは知ってるよね。私の夢」

シアンナ「たしか、落語家という職業だったわね」


はるか「落語家の人ってね、スゴいんだよ。一流の人になると、こんなたくさんのイスに座った人達全員、おしゃべりと身振り手振りだけで笑わせる事ができるんだから!」

はるか「自分の身一つで、たくさんの人を笑顔にできる。……私は、それがすごくカッコイイことに見えるんだ」

シアンナ「だからあなたはそれを目指したいのね」

はるか「うん」

はるか「……シアンナ、ありがとう」

シアンナ「え……? どうしたの、急に……?」

はるか「私が落語家になる夢にちゃんと向き合えるようになったのは、シアンナのおかげだったんだよ」

シアンナ「私が、闇の絵の具の力であなたの秘密を暴いた時のこと? ……ほめられるようなことではなかったと思うけど」

はるか「それでも、だよ」


はるか「あの時の私は、自分の夢が人の期待と違うのが恥ずかしくて、中々表に出せなかったんだ」

はるか「"そんな私に気高さなんてない"。あの時のあなたの言葉、効いたなぁ……」

シアンナ「…………」

はるか「でも、それくらいしてもらえなかったら、私は自分の殻を破れなかったと思う。ずっと、人に言われるままに生きる事になってたと思う」

はるか「だからね、今でも時々思うんだ」


はるか「プリキュアになってよかった」


はるか「シアンナ、それに、ビリーズやセルリアも。あなた達に出会えてよかった。って」


はるか「今の私がいるのは、あなた達のおかげでもあるんだよ」


はるか「だから……、"ありがとう" なんだ」


シアンナ「はるか……」


はるか「……私はいつか、こんな広いステージをお客さんでいっぱいにするような……、そんないっぱいのお客さんみんなを笑顔にするような落語家になってみせる」

はるか「そうなったら……、私の家族や友達……、そんな大切な人たちと一緒に、あなたにも一番に私の活躍を見てもらいたいんだ。恩人で、大切な友達のあなたに」


はるか「だから私は、この戦いに絶対に負けない。そんな、私の行きたい未来に行くために」


シアンナ「…………」

シアンナ「……今まで私は、"あなた達と共に過ごしたい" という、漠然とした夢しか持っていなかったわ」

シアンナ「けれど今、はっきりとした夢が一つできた」


シアンナ「はるか。私も、あなたが最高に輝く瞬間を見てみたい。大切な、友人として」

はるか「シアンナ……」

シアンナ「私達自身は、今回の戦いでは力になってあげられそうもない」

シアンナ「だから、待つわ。あなた達が、私達も含めたみんなの、輝く未来を守れると信じて」


シアンナ「はるか、負けないで。あなたの未来は、あなた自身の手で掴み取るのよ」

はるか「うん……! 大丈夫、任せて! 絶対にみんなの未来、守ってみせる!」


はるか「ありがとう、シアンナ!」ニコッ

シアンナ「こちらこそ、はるか。私達に未来を、希望をくれて、ありがとう」ニコリ

~ 七色ヶ丘市 公園内 大木の下 ~

タタタタタッ


子猫のスミレ「にゃーん……!」

ウィスタリア「スミレっ!」ガシッ

マティ「よかった……、無事でしたのね……!」

ゆかり「あのジョーカーって人、スミレちゃんには何にもしなかったんだね……」

ウィスタリア「あたしをいいように使うために、ウソついてただけだったのかもね……」


子猫のスミレ「にゃーん……」フルフル

ゆかり「……! スミレちゃん、震えてる……?」

マティ「もしかして、あの "デスペア" の影響がスミレちゃんにも……!?」


ウィスタリア「…………」

ゆかり「……? タリアちゃん、どうしたの……? なんだか顔が暗いけど……」

ウィスタリア「よく考えたらさ、スミレがコワがってるのって、あたしのせいでもあるんだよね……」

ウィスタリア「あたしは、闇の描き手として、リアルランドの人間達から濁った心の絵の具を集めてきた」

ウィスタリア「その心の絵の具は、ジョーカーの手で闇の絵の具になって、その闇の絵の具が、あの "デスペア" を育てるのに使われてた……」

ウィスタリア「だから……、スミレをコワがらせてるのは……あたしでもあるんだ……!」


ウィスタリア「ゴメンね、スミレ……! こんなコワい思いさせて、ゴメンね……っ!」ギュッ

子猫のスミレ「にゃーん……」フルフル

マティ「タリアちゃん……」


ゆかり「…………」

ゆかり「……じゃあ、あの雲がなくなれば、タリアちゃんのしてきた悪い事もなくなるのかな……」

ウィスタリア「え……?」


ゆかり「もちろん、全部なかったことになるわけじゃないと思うけど……」

ゆかり「それでも、スミレちゃんみたいに、関係のない人をこれ以上コワがらせることはなくなるよね、きっと」

ゆかり「……わたし、他のセンパイみたいにスゴい力はないよ……。今でも、わたし一人じゃ何にもできない……」


ゆかり「でも、わたしが何かすることで、タリアちゃんやスミレちゃんのツラさが少しでもなくなるなら……、わたしはガンバりたい」


ゆかり「みんなで笑って、またこの木の下で楽しく遊びたいから……!」


マティ「ゆかりちゃん……」

ウィスタリア「ゆかり……」

ウィスタリア「……ゆかり、今、"自分にスゴい力はない" って言ったけど、そんなことないよ」

ゆかり「え……?」

ウィスタリア「ゆかりの言葉を聞いてると、なんだか安心する。ゆかりとマティなら、きっとやってくれるって思える。あたしに、希望をくれる」


ウィスタリア「それって、十分スゴい力だと思うよ」

ゆかり「タリアちゃん……」

ウィスタリア「だからあたし、ここで待ってる。二人がなんとかしてくれるって信じて、スミレといっしょに待ってるよ」


ウィスタリア「お願い、ゆかり、マティ……。みんなの未来を……、希望を、守って!」

ゆかり「……うん!」

マティ「もちろんですわ! プリキュアのみなさまとごいっしょに、リアルランドにもピクチャーランドにも、希望をもたらしてみせます!」


ウィスタリア「頼んだよ、二人とも!」

子猫のスミレ「にゃーんっ!」

マティ「ええ! それでは、参りましょう、ゆかりちゃん!」

ゆかり「うんっ!」

~ なないろ幼稚園 あかぐみ教室 ~

ガラッ


みゆき「みんな、いる?」

園児の少女・あけみ「……! ……えほんの……おねえちゃん……!」


タタタタッ

ギュッ


みゆき「あけみちゃん……!? 抱きついてきて、どうしたの……!?」

園児の少女・あけみ「だって……、だってね……、なんだか……、とってもコワいの……!」ブルブル

みゆき「震えてる……!」


園児A「うわぁぁぁーーん!」

園児B「ひっく……、ぐすっ……」


みゆき「他のみんなも……コワがってる……!?」

幼稚園の先生「……あの、黒い雲が……出てからみたいなの……」フラッ

みゆき「先生さんまで……! だいじょうぶですか……!?」

幼稚園の先生「……ごめんなさい……。私も……、空に黒い雲が出始めてから……、なんだか急に、不安になっちゃって……!」

幼稚園の先生「私が、みんなを元気づけてあげないといけないのに……。震えが、止まらなくって……!」ブルブル

みゆき「そんな……」

キャンディ(小声)「きっと、これも "デスペア" のせいクル……!」


園児C「コワいよ……、コワいよー……!」

園児D「おかあさーん……!」


みゆき「…………」


みゆき(小声)「……キャンディ、お願いがあるの。聞いてくれる?」

キャンディ(小声)「え、なにクル?」

みゆき(小声)「あのね、……ごにょごにょ……」

キャンディ(小声)「……! わかったクル! もちろんいいクルぅ!」

みゆき(小声)「ありがとう!」

みゆき「みんな、ちゅうもーくっ!」

園児の少女・あけみ「え……?」


みゆき「みんな、これ見て! 憶えててくれてるかな?」スッ

キャンディ「――――」

園児の少年・こうたろう「あ……、あのぬいぐるみ……、キャンディ姫だ……」


みゆき「実はね、今、"キャンディ姫" の新しいお話を作ってるの! もしできたら、またここで人形劇をやるよ!」

園児の少女・あけみ「……! ホント……?」

みゆき「うん!」


みゆき「だからみんな。その時を楽しみにして、ちょっとだけガンバってくれるかな?」

みゆき「今、みんなとってもコワいかもしれないけど……、少しガマンすれば、ハッピーな未来がやってくるよ!」


みゆき「だからガンバって! 今度きっと、みんなに楽しいお話を聞かせてあげるから!」


園児の少女・あけみ「……えほんのおねえちゃん……」


園児の少女・あけみ「……うん……、わたし……、ガンバる……! また、おねえちゃんのえほん……ききたいもん……!」

園児の少年・こうたろう「ぼくも……! ……だから、おねえちゃん……、また、えほんよんでね……!」


みゆき「うんっ! 楽しみに待っててね!」ニコッ

~ 七色ヶ丘市 なないろ幼稚園前 道路 ~

みゆき「キャンディ、ありがとね、お人形さんのフリしてくれて」

キャンディ「ぜんぜんだいじょうぶクル! みんな元気になって、よかったクル!」

みゆき「そうだね!」


みゆき「わたし、なないろ幼稚園に来てよかったよ。わたしのお話をみんなが楽しみにしてくれるって思うだけで、ガンバろうって気になれる……!」

みゆき「だから私は、みんなの笑顔を見るために、最後までガンバるよ!」

キャンディ「クルぅっ! キャンディも、みゆき達といっしょにガンバるクル! 絶対、みんなをスマイルにするクル!」

みゆき「うんっ! よろしくね、キャンディ!」

みゆき「……それじゃ、そろそろ行こうかな。私の、もう一つの大切な場所」

キャンディ「クル? ちがうところにも行くクル? もうそろそろ集まる時間じゃないクル? だいじょうぶクル?」

みゆき「あ、うん、それはだいじょうぶ。だって、私の大切な場所は……」


みゆき「……やっぱり、後で話すね。とにかく、行こう!」

キャンディ「クル……? よくわかんないけど……、キャンディは、みゆきといっしょに行くクル!」

みゆき「ありがとう、キャンディ! よぉっし、それじゃ、レッツゴーっ!」

キャンディ「クルぅっ!」

~ 七色ヶ丘市 展望台 ~

タタタタタッ


あかね「よっと! よっしゃ、うちが一番乗りや!」


みゆき「ざんねーん! 一番は、私でしたー!」

あかね「お、なんやみゆき、もう来とったんか! ちぇー、ちと遅かったかぁ……」

みゆき「えへへ、ちょっと早めに来たかったんだぁー」


みゆき「……あれ? あかねちゃん、なんだかいいにおいするけど……、もしかして、その手に持ってる袋って……!」

あかね「ん? ああ、これ? お察しの通り、あかねちゃん特製、お好み焼きや! みんなに元気つけてもらお、思て作ってきたんやで!」

みゆき「ホント!? ありがとーっ! ちょうどおなか空いてたんだぁ!」


キャンディ「あかね! キャンディは!? キャンディの分はあるクル!?」

あかね「おお、もちろんや! キャンディだけやなくって、妖精みんなやシアンナさん達の分も作ってあるで!」

キャンディ「やったクルぅ! うれしいクル!」

みゆき「よかったね、キャンディ!」

あかね「せやけど、食べるのはちょーっと待っとってな。もうすぐ――」


タタタタタッ


やよい「とうちゃーくっ! ……って、あれ? みゆきちゃん、あかねちゃん! 来てたんだ!」

みゆき「やよいちゃん!」

あかね「みゆきが一番で、うちが二番。やよいは、三番目やな」

やよい「そっかぁ……。一番乗りだと思ったんだけどなぁー……。ざんねん」

みゆき「あははっ、みんな考える事はいっしょだねー!」

スタスタスタ


なお「みんな、早いね! もう集まってたんだ!」

れいか「お待たせしました、みなさん!」


やよい「あ、なおちゃん! れいかちゃん!」

あかね「二人仲良くご登場やな!」

なお「ここに来る前に偶然ばったり会ったんだ。ね、れいか」

れいか「ええ。それでそのまま二人で来たんです」


なお「……ん? くんくん……。……このソースとかつぶしの香り……。あかね! もしかして、お好み焼き作ってくれたの!?」

あかね「あんたは犬か……。けど、大当たりや! ここにあんで」ガサッ

なお「やった! ねぇ、あかね、食べていい!? もうずっと動きっぱなしで、お腹ぺこぺこなんだぁー……」

あかね「みゆきとおんなじようなこと言うとるわ……。もちろん食べてええけど、今はダメや。みんな揃ってからな」

なお「おあずけー……? そんなぁ……」

れいか「ふふ、なおの食いしん坊はいつになっても変わらないわね」

タタタタタッ


はるか「はぁっ、はぁっ。みんなゴメン! 走ってきたんだけど、ちょっと遅れちゃった……?」

れいか「はるかお姉さん!」

みゆき「バッチリだいじょうぶです! まだ集合時間までもうちょっとありますから!」

はるか「そっか、よかった……! 寄り道しすぎて、少し遅くなっちゃったかと思ったよ……。もうみんな揃ってるの?」

やよい「後はゆかりちゃんとマティちゃんだけです!」


マティの声「ゆかりちゃん、ガンバってくださいませ! もう少しですわ!」

ゆかりの声「はぁっ、はぁっ、う、うん……!」


あかね「お、ウワサをすれば、やな」

タタタタタッ


ゆかり「はぁっ……、はぁっ……、や、やっと、着いた……」

みゆき「ゆかりちゃん! マティちゃん!」


マティ「わたくし達が最後ですのね。少しゆっくりしすぎたので、急いで来たんですが……」

ゆかり「はぁっ……、はぁっ……、そ、そのおかげで……、ちょっと……疲れちゃいました……」

なお「バテバテだね、ゆかりちゃん……」

ゆかり「走るの……、あんまり、得意じゃなくって……」


はるか「よし! それじゃ、簡単だけど、疲れが取れるマッサージしてあげるよ! 大分よくなるはずだよ!」

ゆかり「あ、ありがとうございます、はるかセンパイ……。お願いします……」クタッ

マティ「ゆ、ゆかりちゃん!? ま、まだ倒れたらダメですわ! しっかりしてくださいませ!」


あかね「……これからや、っちゅー時に、だいじょうぶかいな……」

みゆき「あはは……」

~ 数分後 ~

あかね「よっしゃ! みんな揃ったところで、みんなに差し入れやー! あかねちゃん特製、元気の出るお好み焼きやでー!」

なお「待ってました!」

あかね「ほれ、妖精のみんなも食べや。しっかり食べて、ガンバってもらわなな!」


みゆき「いっただきまーすっ!」

キャンディ「いただきまーす、クル!」


オニニン「ガツガツガツ……、うまいオニ!」

やよい「あー! オニニン、顔ソースだらけだよ!? いつももっとキレイに食べなきゃ、って言ってるのに……」

オニニン「もぐもぐ……、クセは中々なおらないオニ」


なお「もぐもぐもぐ……。ごちそうさま! ねぇ、あかね。おかわりない? ちょっと足りないんだけど」

あかね「まだ食うんかい……。けど、シアンナさん達、来とらんみたいやし……、その分余ってもーたから食べるか?」

なお「いいの!? いっただきまーす!」

マジョリン「なお。これからガンバらないといけないんだから、ほどほどにしとくマジョ」


ウルルン「もぐもぐ……。ん、あかねにしては、まぁまぁの出来だウル」

あかね「せっかく作ったったのに、エラい言いようやないの。そういうこと言うんなら、もうあげへんで?」サッ

ウルルン「あ! ちょ、おま……、まだ食べかけなのに取り上げるなウル! ……わかったウル! うまいからもっと食わせてくれウル!」

あかね「最初っからそう言うたらええんや! ほれ」

ップ「ふふ。もうみんな、すっかり打ち解けてるでござるな。かつては敵味方に分かれて争ったこともあるのに……」

れいか「妖精として出会ってから、もう大分経ちますから。きっとみなさん、日々の生活の中でそれぞれ絆を育んで来たのでしょう」

はるか「私達みたいにね。……ペロー君、ちゃんとよくかんで食べないとダメだよ?」

ペロー「わかってるペロ! はるかさんの言うことはちゃんと聞くペロ!」

はるか「ん、よしよし、いい子だね」ナデナデ

ペロー「えへへ……」

みゆき「(ニコニコ)」


キャンディ「クル……? みゆき、ニコニコして、どうしたクル?」

ゆかり「なんだか、うれしそうですけど……」

マティ「いいことでもあったのですか?」

みゆき「えへへ、ちょっとね」


あかね「ん? なんやなんや? 気になるやんかー。白状せんと……、くすぐってまうで! ほれ、こちょこちょー!」

みゆき「え? あはははっ、や、やめてよあかねちゃーん! 言うよー! 言うからー!」

みゆき「……あのね、私、今、"一番大切な場所に来てよかったな" って思ってたの」

なお「え? 一番大切な場所? 展望台が?」

キャンディ「あ、さっきみゆきが言いかけてたことクル? ここのことだったクル?」

みゆき「そうなんだけど……、そうじゃなくって……」

れいか「……? なんだか、なぞかけのようですね……」

みゆき「あ、そんな難しいことじゃないんだ! 場所はね、どこでもいいの」

みゆき「だって、私の大切な場所は……、みんなが笑顔で、いっしょにいてくれるところなんだから」


全員「……!」


みゆき「れいかちゃん、さっき別れる前に言ってたよね。"一人ひとりの大切なものを思い出して、未来に進む気持ちを強めよう" って」

れいか「はい」

みゆき「それを聞いた時、私が一番最初に思い浮かべたのが……、みんなの笑顔だったんだ」

みゆき「みんな、憶えてるかな……。私が、初めて絵本を完成させて、朗読コンクールに出た時のこと」

あかね「もちろんや。みゆきの晴れ舞台やったもんな」

みゆき「私、あの時のことが忘れられないんだぁ……」


みゆき「はるかさんは、私がどうして絵本を描きたいのか、その気持ちを思い出させてくれました……」


みゆき「なおちゃんとれいかちゃんは、"私ならきっとできる" って、はげましてくれた……」


みゆき「やよいちゃんは、私が絵本を作るのを、一生懸命手伝ってくれた……」


みゆき「あかねちゃんは、"失敗しちゃうかも" って不安になる私に、"失敗したらいっしょに泣いてあげるからガンバれ" って言ってくれた……」


みゆき「ゆかりちゃんは、その時いなかったけど……、幼稚園での朗読会の時、私のためにすごくガンバってくれた……」


みゆき「そのおかげで、なないろ幼稚園のみんなや、たくさんの人に喜んでもらえて……、すっごくうれしかった」


全員「…………」

みゆき「私ね、絵本作家になりたい。もっともっとステキなお話を描いて、たくさんの人達をハッピーにしたい」

みゆき「でも、その夢をくれたのは……、今ここにいるみんななんだ」

みゆき「みんながいてくれたから……、みんなが、私の手を引っ張ってくれたから、私は、私だけの夢に向かって進めるようになったんだ」


みゆき「だから、私の大切な場所は……、私に、未来に進む勇気をくれる場所は……、みんながいる、ここなんだ」

みゆき「みんなからもらった気持ちで、私は前に進むよ」


あかね「……みゆき……」

あかね「うちらかて、おんなじ気持ちや、みゆき。……せやけど、前に進むためには、ジャマなもんがあるな」


やよい「うん。あの空にある黒い雲……」


なお「その中にいて、みんなを不安にしてる、ジョーカー……」


れいか「彼らをどうにかしなければ……、私達だけでなく、世界中のみなさんの未来がなくなってしまいます……」


はるか「きっと、ジョーカーは強いよ。勝てるかどうか、不安な気持ちもあるけれど……」


ゆかり「だからって何もしなったら……、本当に最悪の未来……バッドエンドになってしまいますから……!」


みゆき「うん。私達は、不安に負けないで、前へ進むんだ……!」


みゆき「それぞれの、ウルトラハッピーを目指して!!」

キャンディ「キャンディ達も、ガンバるクル! みゆき達の未来、真っ暗になんてさせないクル!」


ウルルン「おう! バッドエンドなんて……、まっぴらゴメンだウル!」


オニニン「おれ様達、元の妖精に戻って……、プリキュアのみんなといっしょにいて、思い出せたオニ!」


マジョリン「絶望なんかより、みんなで笑っていられる希望の方が、ずーっといいマジョ!」


ポップ「プリキュアの衆だけではござらん。このリアルランドにいる、夢のために頑張っている全ての方々のために!」


ペロー「ぼく達もガンバるペロ! みんなが幸せになれるように、最後まであきらめないペロ!」


マティ「はい! みなさまの輝かしい未来のために、わたくし達は、力を尽くしますわ!」


みゆき「……ありがとう……! ……じゃあ、行くよ、みんな!!」


全員「うんっ!!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

7人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(チョキ) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

ノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」

ヴェール「そよそよさざめく、優しい木陰。キュアヴェール!!」

パァッ…

フワッ


ハッピー「! "ホープブラッシュ" が、私の目の前に浮かんで……」


マティ(デコル)「"ホープブラッシュ" も、みなさまの "未来に進む気持ち" に応えてくれるようですわ」

ヴェール「ハッピーセンパイ、お願いします……!」


ハッピー「……うん!」ガシッ

7人「"夢の絵の具" よ! "希望の絵筆" よ!」


7人「私達に、"未来を描く" 力を!!」


ビシュゥッ!

シュバァッ!!


ハッピー「7つの "夢の絵の具" で描いた、私達の "なりたい私" ……」


スゥゥゥゥッ


ハッピー「お願い……。私達に力を貸して!!」


バシャァァァァァンッ…!


Rハッピー「レインボーハッピー!!」


Rサニー「レインボーサニー!!」


Rピース「レインボーピース!!」


Rマーチ「レインボーマーチ!!」


Rビューティ「レインボービューティ!!」


Rノーブル「レインボーノーブル!!」


Rヴェール「レインボーヴェール!!」

7人「7つの光が導く未来!」


7人「輝け!!」




7人「スマイルプリキュア! レインボー!!」



Rハッピー「…………」

Rサニー「…………」

Rピース「…………」

Rマーチ「…………」

Rビューティ「…………」

Rノーブル「…………」

Rヴェール「…………」

Rハッピー「……それで、これからどうしよっか……?」


6人「(ズコッ)」


Rサニー「なんも考えてへんかったんかい!」

Rピース「せっかくカッコよく決まったのにぃ……」

Rハッピー「あ、あはは……、とりあえず変身したらどうにかなるかなー、と思ったんだけど……」

Rマーチ「……ハッピーらしいというか、なんというか……」


Rビューティ「……ですが、少し肩の力が抜けて、緊張がほぐれたような気がします」

Rノーブル「うん、そうだね。やっぱり、私達は笑顔じゃなきゃ! だって、笑顔の戦士・スマイルプリキュアなんだから!」

Rヴェール「そうですね……! みなさんと力を合わせれば、きっとうまくいくと思います……!」


マティ(デコル)「……ヴェールの言う通りですわ、みなさま。わたくしに考えがあります」

Rハッピー「え? ホント、マティちゃん!?」

マティ(デコル)「はい!」

マティ(デコル)「みなさま、あの雲に向かって、"レインボー・アーチ・パーフェクト" を放ってくださいませ」

Rピース「それって……、私達 7人で出す、7つの色の "レインボー・アーチ" のことだよね?」

Rマーチ「確かに、デスペア国王に使った時はスゴい力だったけど……、あんな大きな雲全部を吹き飛ばせるかな……」

マティ(デコル)「いえ、雲そのものを吹き飛ばすのではありません」

Rノーブル「それじゃあ、何のために……?」


マティ(デコル)「"虹の架け橋" を作るのです」

Rビューティ「虹の……架け橋……」

マティ(デコル)「"夢の絵の具" の力で作った、決して壊れない虹の橋。それを、あの雲、"デスペア" に向かって架けるのです」

マティ(デコル)「マーチ様の言う通り、"デスペア" はとても大きな力を持っています。全てを消し去るのは難しいでしょう……」

マティ(デコル)「ですが、その中にいて "デスペア" を操っている、ジョーカーという者を止めれば……!」

Rサニー「なるほどなー! "デスペア" もいっぺんに止められる、っちゅーわけやな!?」

Rハッピー「そのために、虹の橋を渡って、"デスペア" の中まで行くってこと……!?」

マティ(デコル)「その通りですわ!」


ポンッ


キャンディ「みんな、やってみるクル。キャンディもお手伝いするクル!」


ポンッ


マティ「みなさんで、未来に向かって伸びる虹の橋を架けましょう! そして、あの黒い雲をなくして、元の青い空を取り戻しましょう!」


Rハッピー「……うん、わかった! やってみよう、みんな!!」

6人「うん!!」


キャンディ「それじゃ……、いくクルぅっ!!」

パカッ

キラキラキラキラ


キャンディ・マティ「"夢の絵の具" よ……、プリキュアのみんなに、未来に進む力を!!」


ブワァァァァァァッ!!


7人「7つの夢を、今こそ一つに!!」


7人「未来へ届け! 希望の架け橋!!」


7人「全ての闇を払う、光となれ!!」


バァァァァァァァァァァッ!!


7人「プリキュア!! レインボー・アーチ・パーフェクトぉぉぉぉっ!!!」


ブワァァァァァァァァッ!!!


Rノーブル「虹が……、雲に向かって伸びていく……!」

Rハッピー「いっけぇぇぇぇぇっ!!」


ドバァァァァァァァァンッ!!!


Rビューティ「雲に届きました!」

Rヴェール「うまく、いったんでしょうか……?」

キラキラキラ…!


Rハッピー「……! できた……、これが……!」

マティ「はい! "虹の架け橋" ですわ!」


Rピース「ホントに、あの雲までつながってるよ……!」

Rサニー「これを渡っていけば、ジョーカーのところまで行けるんやな!」

Rハッピー「……みんな、準備はいい?」


Rサニー「当ったり前のこんこんちきや! いつでもいけんで!」


Rピース「もう、コワがったりなんてしないよ!」


Rマーチ「ここまで来たら、真っ直ぐ進むだけだよ!」


Rビューティ「行きましょう! この、私達の希望でできた、七色に輝く "道" を!」


Rノーブル「そして、その先をふさいでる黒い雲を……、不安の固まりを吹き飛ばそう!」


Rヴェール「わたし達の、行きたい未来に行くために……!」

Rハッピー「行こう、みんな! あの雲の向こうの、青空を目指して!!」


全員「うんっ!!」





つづく

次回予告

みゆき「黒い雲の怪物・"デスペア" に向かって虹の橋を架けた私達! このまま橋を渡って、ジョーカーのところまで行かなくちゃ!」

みゆき「でもそこに、とても強いアキラメーナ達が次々と出てきちゃった……! このまま時間が経ったら、"デスペア" が動き出しちゃう……!」

みゆき「それでも、私達は絶対あきらめない! みんなの気持ちを一つにして、黒い雲を吹き飛ばせるくらいに輝くんだ!!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "つながる想い! きらめけ、最後の希望!!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

いつもならいただいたレスにお返事返させていただくところですが、
今回はアップ間隔も短かったので、47話をアップした後にまとめて返させていただきます。


それではまた次回、日曜日にお会いしましょう!


うーん…準ラスボスのフレスコとの和解を失敗しちゃったと思う
デスペア国王・JF「だがそれは、お前達が特別だからではないのか?」これを否定しないといけないんだけど、これが間違っているという根拠のシーンである
シアンナ「ええ。一時的に止まっていたリアルランドの良い感情が、再びピクチャーランドに流れ出しているようね。ほんの少しではあるけれど」
ここの台詞の説得力がないと思う

例えばドキドキだとキングジコチューが人間界に来た時に、一応今までプリキュアたちが助けた人が、互いに助け合ってる描写があった(マナたちの愛が伝わった)
でもレインボー!にはそういう描写がなかったから、なぜ絵の具の泉から流れ出たか全くわからないし、流れ出たことに説得力もない(周りの人が見えない)

46話の演出もそのイメージを悪化させてしまった
作者さんが書いたのは「自分の夢を見つけて、成長し大人に近づいたプリキュア達が周りの人を励ます」という内容(なお以外)
成長を書くならこの内容で何も問題はない…でも、フレスコとの和解という点で見ると、この演出は周りの人はほとんど変わってない(プリキュアたちがいないと駄目)という事を示してしまった
頑張ったのはけいたくらい?
もし、46話が「今まで助けた人たちが、デスペアが来てもプリキュアの助けなしで何とか不安にならずに頑張っている」という内容だったら
フレスコがリアルランドを信じたのは間違ってないかもしれない、っていう事に少しは説得力が出るよね でもこうすると成長が書けない

レインボー!で今まで積み重ねてきた(作者さんが書いてきた)物は「7人のプリキュアたち」の成長
デスペア国王を納得させるのに必要なものは「リアルランドの多くの人間」の成長(希望を持つという事)

完全にここがかみ合ってないからうまくいってないように感じた

そろそろ『スマイルプリキュア レインボー!』のお時間ですが、
またまたすみません、、もうしばらく延長させてください!

今日中には、アップでき、、るといいなぁ。。


申し訳ないですが、ヨロシクお願いします!

お待たせしまして申し訳ないです。。
47話、やっとできたんですが、またもやこんな時間に。。

読み返したりして内容のチェックをしたいので、スミマセンが、一晩だけ原稿を寝かす時間をください。


ちょっと変則的ではありますが、47話は翌日、2/17(月) の夜にアップしたいと思います!
もうしばらくお待ちくださいませ。

遅くなりました!
もうすでに月曜じゃないですが、これからアップします!

「スマイルプリキュア レインボー!」

このあとすぐ!

~ なないろ幼稚園 あかぐみ教室 ~

園児達「…………」ブルブル

幼稚園の先生「みんな……、コワいかもしれないけど、絵本のお姉ちゃんが言ってたことを思い出して……!」

幼稚園の先生「また今度、絵本のお姉ちゃんが新しいお話を作ってくれる……。そうしたら、また楽しいお話が聞けるよ……!」

幼稚園の先生「今はイヤな気持ちかもしれないけど、もうすぐいいことがあるかもしれない、って信じてガンバって……! そうすれば、きっと――」


パァァァァァッ…


園児の少女・あけみ「……! せんせい……、お外のあれ……、なに……?」

園児の少年・こうたろう「光ってる……。きれい……」

幼稚園の先生「え……? あれって……、どうして……?」


幼稚園の先生「雲が出てるのに……、空に向かって虹がかかってる……」

~ 七色ヶ丘市 道路 ~

町の少女・相模原 ゆう「……おかあさん、見て……。キレイな虹が出てる……」

ゆうの母「……本当ね……。すごくキレイ……」

町の少女・相模原 ゆう「おかあさん、わたし、あの虹を見てたら、なんだかコワくなくなってきた……」

ゆうの母「ええ、私もよ……。勇気が出てくるみたい……」


ゆうの母「ゆうちゃん。大丈夫よ。ゆうちゃんのことは、お母さんが絶対に守ってあげるからね……!」ギュッ

町の少女・相模原 ゆう「おかあさん……! うん!」


松原巡査「…………」


松原巡査(あの黒い雲が出てきてから、町の人達も僕も、急に元気がなくなってた……)

松原巡査(でも、不思議だな……。ゆうちゃんのお母さんが言う通り、あの虹を見ていると、なんだか力が湧いてくるみたいだ……!)


松原巡査(……こうしちゃいられない……、パトロールの続きをしよう……! 僕は僕にやれることをやらなきゃ……!)

松原巡査(少しでも多く、町の人を守るんだ……!)

~ 七色ヶ丘中学校 生徒会室 ~

生徒会長・板野 まさお「みなさん、聞いてください……! 異常事態のため、七色ヶ丘中学校を町の人々の避難場所として開放したいと思います……!」

生徒会長・板野 まさお「僕は先生のみなさんに手伝ってもらえるよう話に行きます……! みなさんは、学校に残っている生徒のみなさんに協力してもらってください……!」

生徒会会計・寺田 るな「じゃ、じゃあ、わたしは体育館を使ってる生徒の人達に相談してくるね……!」

生徒会書記・倉田 なおき「ぼくは、学校に残ってる生徒に呼びかけてくるよ……!」

生徒会長・板野 まさお「お願いするよ……!」


生徒会長・板野 まさお(……そうだ……。何が起こってるのかよくわからないけど、落ち込んでなんていられない……!)

生徒会長・板野 まさお(ぼくは、七色ヶ丘中学校の生徒会長なんだ……! 学校のみんなを……守らなきゃ……!)

生徒会長・板野 まさお(あの、黒い雲に向かって、細くても伸びていく虹みたいに、頑張るんだ……!)


生徒会長・板野 まさお(青木会長や今までの生徒会長の、学校への気持ちがこもった、この生徒会長の腕章にかけて……!)

~ 七色ヶ丘中学校 体育館 ~

生徒会会計・寺田 るな「そういうわけだから……、体育館に町の人を入れる準備……、手伝ってもらえるかな……?」

女子バレー部 キャプテン・宮下 なみ「もちろんだよ……、何でも言って……! 何したらいいの……?」

生徒会会計・寺田 るな「ありがとう……! それじゃあ……、まずはできるだけ多くの人が入れるように、スペースを広く取って――」


女子バレー部 キャプテン・宮下 なみ(……なんだか、タイヘンなことになっちゃったけど……、タイヘンだからこそ、ガンバらなきゃ……!)

女子バレー部 キャプテン・宮下 なみ(わたしのバレーは粘りのバレーだもん……! 最後まであきらめないで、粘って、粘って、粘りぬくんだ……!)


女子バレー部 キャプテン・宮下 なみ(それが……、センパイ達に教えてもらった、わたしの強さだから……!)

~ 七色ヶ丘中学校 漫画研究部 部室 ~

生徒会書記・倉田 なおき「学校のみんなのために……、ご協力、お願いします……!」ペコリ

漫研部員・成島 ゆういち「もちろんだよ……! ところで、キミ一人で学校中を回るのはタイヘンだろう……? ぼく達も手伝うよ……!」

生徒会書記・倉田 なおき「ありがとうございます……! センパイ……!」

漫研部員・美川 すず「それじゃあ……、行こう……! 手伝ってくれる人を集めよう……!」

生徒会書記・倉田 なおき「はい……!」


漫研部員・美川 すず(あの黒い雲が出てきてから、なんだか不安でしょうがなかったけど……、そこに向かっていく虹が、わたしにもガンバる力をくれた……)

漫研部員・美川 すず(……そうだよ……。どんなに不安になったって、苦しくなったって……、わたし達の大好きな漫画の主人公達は、絶対にあきらめない……!)

漫研部員・美川 すず(だから、わたしもガンバるんだ……! いつか、漫画の主人公みたいにカッコ良くなるために……!)


漫研部員・美川 すず(そうだよね……、黄瀬さん……!)

~ 七色ヶ丘市 公園内 大木の下 ~

シアンナ「あの黒い雲・"デスペア" に向かって、虹が伸びている……」

ウィスタリア「うん……」


セルリア「あの虹……、見てると……なんだか……、体が……温かくなる……」

ビリーズ「ああ。うまく言えねーけど……、何とかしてやろう、って気分になるな」

ウィスタリア「プリキュアのみんなだよ、きっと」

シアンナ「そうね。あの虹が放つ光は、プリキュア達の持つ希望の光。それが、私達に不安に負けない気持ちの力を与えているんだわ」

ウィスタリア「……やってくれるよね、あいつらなら」

シアンナ「ええ。あの希望の虹はきっと、不安な心でできたあの黒雲を貫いて、光あふれる青空の向こうまで伸びていくわ」


シアンナ「信じましょう、私達の大切な友人達を。私達の、希望を」




スマイルプリキュア レインボー!

第47話「つながる想い! きらめけ、最後の希望!!」



~ 虹の橋の上 ~

ダダダダダダダッ


Rハッピー「……それにしても、"デスペア" まで、結構あるね……!」

Rサニー「そら、雲まで走ってこう、っちゅーんやからな」


黒雲の怪物・デスペア『…………』


Rビューティ「……それにしても、静かですね、あの "デスペア" という雲……」

Rピース「急に動いて襲ってきたり、しないよね……?」

Rヴェール「お、おどかさないでください、ピースセンパイ……」


Rノーブル「でも、何をしてきたって構うもんか!」

Rマーチ「そうだよ! どの道、あたし達はジョーカーを止めるしかないんだ……! どんなことがあっても前に進むんだ!」

ジョーカーの声『ほーお、それはそれは勇ましいことですねぇ、プリキュアのみなさん!』


Rハッピー「! ジョーカーの声……!」

Rヴェール「ど、どこか近くに来てるんでしょうか……?」キョロキョロ

マティ(デコル)「ですが、辺りに姿は見当たりませんわ……。これはおそらく……」

ジョーカーの声『マティエール王女の言う通り、私は今、"デスペア" の中からあなた方を見ております。この空全てを覆う "デスペア" に、無謀にも向かって来ているあなた方をね!』


Rノーブル「無謀……!? そんなの、やってみないとわからないじゃない!」

ジョーカーの声『わかりますよ! 前にも言いましたが、私は、あなた方の心から決して消えることのない "不安"。その化身であり、不死身なのですよ?』


ジョーカーの声『そして今や、その尽きない感情から出るバッドエナジーを無限に取り込むという、素晴らしい力をも手にしました!』

ジョーカーの声『そんな私を止められるわけがないじゃないですか! だから、無謀だと言ったんですよ!』


ジョーカーの声『……抵抗していたフレスコ王子もようやく大人しくなり、私も自由に力を使えるようになってきました』

ジョーカーの声『その私の力で、あきらめの悪いあなた方に教えてあげましょう。今、自分達がどういう相手に立ち向かおうとしているのか、をね。くくくっ……!』


Rビューティ「……? 何かするつもりなのでしょうか……!?」

シュルシュル…


Rマーチ「……? 虹の橋の向こうから……、何か来る……! 速い……!」

Rピース「それに……、おっきいよ……!」

Rハッピー「あれは……!?」


バッ


黒い蛇の怪物「シャァァァァァァァァッ!!」


Rヴェール「ヘビの……オバケ……!?」

マティ(デコル)「飛びかかってきますわ! ヴェール!」

Rヴェール「うんっ!」


Rヴェール「"ヴェール・カーテン"っ!」


パキィィィィンッ!!

ガァァァァァンッ!!


Rサニー「受け止めた! ナイスや、ヴェール!」

Rハッピー「でも……!」


黒い蛇の怪物「シャァァァァァァァァッ!!」ガリガリガリッ!


Rヴェール「生えてる手で……、"ヴェール・カーテン" を引っかいています……! すごい力……! ちょっとでも気を抜いたら……、押されてしまいそうです……!」

Rビューティ「……それにしても、ノーブル……、この怪物は……!」

Rノーブル「うん……、見覚えがある……! 腕の生えた黒くて大きな蛇……、これって……!」


シアンナ・獣態(蛇)(回想)『シャアァァァァァァッ!!』


Rノーブル「"オーバードロウ" をした……シアンナ……!?」


ジョーカーの声『そうです! それは、あなた方のために私が作った、最強のアキラメーナ!』

ジョーカーの声『名付けて、"闇のケダモノ" です……!』

Rハッピー「闇の……ケダモノ……!?」


ジョーカーの声『キュアノーブルがお気づきのように、"闇のケダモノ" は "闇の描き手" のみなさんを元にして作ってあります!』

ジョーカーの声『かつてみなさんを苦しめた者達が、再びこうして目の前に立ちふさがる! ツラい戦いの思い出がよみがえるようでしょう? 面白いアイデアだとは思いませんか? くくくっ!』


ポップ(デコル)「変わらぬ悪趣味ぶりでござるな……!」

ジョーカーの声『そ・れ・に』


闇のケダモノ・蛇「シャァァァァァァァァッ!!」ブンッ


ガンッ! ガンッ! ガンッ!


Rヴェール「……っ! "ヴェール・カーテン" を……、何度も手で叩いてくる……!」


ビシィッ!


マティ(デコル)「えっ!? レインボーヴェールが作った "ヴェール・カーテン" に……ヒビが……!?」

闇のケダモノ・蛇「シャァァァァァァァァッ!!」ブンッ


ガァァァンッ!!


ビシィッ ビシビシ…!

バリィィィィンッ…!


Rヴェール「……! ……そんな……!?」

Rピース「"ヴェール・カーテン" が……、割れちゃった……!?」

Rマーチ「"オーバードロウ" したオーレンとイエロワの攻撃にも、ビクともしなかったのに……!?」

ジョーカーの声『闇のケダモノには、私がめいっぱいバッドエナジーを注いであります。その力は、以前のデスペア国王と同等かそれ以上!』

Rビューティ「それほどに……!?」

Rノーブル「みんな、気をつけて! こっち襲ってくるよ!」


闇のケダモノ・蛇「シャァァァァァァァァッ!!」ブンッ


Rサニー「しっぽ、たたきつける気か!?」

Rハッピー「わわっ!?」バッ


ドゴォォォォォォォォンッ!!


Rビューティ「……く……! みなさん、大丈夫ですか!?」

Rハッピー「な、何とか……!」

Rマーチ「横に飛んで避けられたから、平気だよ!」

ジョーカーの声『んふふっ! さすがプリキュアのみなさん! しぶとくて、大変結構です!』


ジョーカーの声『ですが、逃げてばかりではいつまでも持ちこたえられませんよぉ? その闇のケダモノ相手ではねぇ……!』

闇のケダモノ・蛇「シャァァァァァァ……!」


Rヴェール「あのヘビのオバケ……、わたし達をにらんでます……!」

Rサニー「ここを通さへん気か……!」

Rハッピー「……やるしか、ないよ……!」

Rハッピー「このままじゃ、"デスペア" が動き出して、世界中の人の心が不安だらけになっちゃう……!」

Rマーチ「……そうだね。そのために、早くこの怪物をやっつけないと!」


ジョーカーの声『ふふふっ! そうですよぉ、プリキュアのみなさん、その調子です! その闇のケダモノは、みなさんが力を合わせないと勝てないくらいに強力ですからねぇ!』

ジョーカーの声『ガンバってやっつけてください! あははははっ!』

Rサニー「言われんでもそうするわ! やんで、みんな!」

Rハッピー・Rピース・Rマーチ・Rビューティ・Rヴェール「うんっ!」


Rノーブル「…………」

ペロー(デコル)「ノーブル? 何か考えてるみたいだけど……、どうしたペロ?」

Rノーブル「うん、ちょっと……」

Rノーブル(……多分、これはジョーカーの "作戦" だ……。ジョーカーは、私達とあの怪物・闇のケダモノを戦わせたがってる)

Rノーブル(私の考えてるジョーカーの狙い……。それが正しいなら、私達がこのまま戦ってしまったら、ジョーカーの思い通りになっちゃう……!)


Rノーブル(それを避けるために、今できることは……?)

Rノーブル(私が、今できることは何……!?)

Rノーブル(…………)


Rノーブル(……やっぱり、これしかないか)

Rノーブル「…… "ノーブル・ミスト" っ!」


サァァァァァァッ…!!


闇のケダモノ・蛇「ガ……!? ガァッ……!?」キョロキョロッ


Rハッピー「ノーブル! 霧を出したんですか?」

Rノーブル「うん。これであの怪物の目を見えなくすれば、そのスキに先に進めるはず!」

Rマーチ「なるほど! さすがノーブル! それならわざわざ戦わなくってもいいですね!」

Rノーブル「そういうこと! 相手がどんなに強くても、このままここで足止めしてれば先に進める!」

Rビューティ「……え……」

Rノーブル「さ、みんな、走って! あの雲の中にいる、ジョーカーのところまで!」

Rヴェール「はい……!」


ダッ


Rビューティ「…………」ポツン

Rサニー「ビューティ……? どないした? なんで走らんの?」

Rピース「そ、そうだよ! ノーブルの言う通り、早く先に行かなくちゃ……!」

Rビューティ「…………」


Rビューティ「……ノーブルは、行かないのですか?」

Rノーブル「…………」


Rビューティ「ノーブルは、先ほどおっしゃいました。"このままここで足止めしていれば" と」


Rビューティ「もしかして……、もしかして、ノーブルは……、ここに、残るつもりなのではないですか?」


Rハッピー・Rサニー・Rピース・Rマーチ・Rヴェール「え……!?」


Rノーブル「…………」

Rノーブル「ビューティの言う通りだよ。私は、ここで残って、あの怪物を足止めする」

Rハッピー「そ、そんな……!」

Rサニー「な、なんでそんなことせなあかんのです……!? みんなでパパーッとやっつけてまえば――」

Rノーブル「聞いて、サニー。みんな」


Rノーブル「今、サニーが言った、"みんなで戦うこと"。それがきっと、ジョーカーの狙いなんだよ」

Rマーチ「ジョーカーの……狙い……?」

Rノーブル「確かに、私達が力を合わせれば、あの怪物をやっつけられるかもしれない」

Rノーブル「でも、ジョーカーは言ってた。闇の描き手の "みなさん" を元にして作った、って」

Rノーブル「と、いうことは、あの闇のケダモノはあと 5体いるんじゃないかな。闇の描き手の人数の 6人と同じ数だけ」


Rノーブル「もし、その闇のケダモノを全部やっつけて進んでたら……」

Rヴェール「……! 時間がたっちゃって、あの雲のオバケが動いちゃう……!?」

Rノーブル「……多分ね」


Rマーチ「それが、ジョーカーの狙い……?」

ポップ(デコル)「皆の衆を足止めすることによる……時間稼ぎでござるか……!」

Rハッピー「で、でもノーブル! 私達は……、私達スマイルプリキュアは、7人いないと最高の力が出せないのに、ノーブルがいなかったら――」

Rノーブル「ハッピー、それもわかってる。それでも私は、ここに残りたい」


Rノーブル「ちょっとの間、あのヘビの怪物を足止めして先に進んでも、必ず後を追ってくる。この虹の橋の上じゃ逃げ場もない。誰かがここに残って、あの怪物を引きつけないと……」

Rノーブル「かといって、このままみんなで闇のケダモノを倒しながら進んだら、きっと "デスペア" が動くのを止められない……。誰も間に合わない……!」


Rノーブル「それなら私は、誰か一人でもジョーカーのところにたどり着いてほしい。その誰かが、ジョーカーを止められる奇跡を起こしてくれるって、信じたい」

Rノーブル「ほんのちょっとでもいい。みんなの未来を救える可能性を、あきらめたくない!!」

Rハッピー「ノーブル……」


Rノーブル「……だからみんな、先に行って。大丈夫、任せて! ここは私が何とかするから!」

6人「…………」

Rビューティ「……それなら……私も、残ります」

Rノーブル「え……? いいよ、ここは私一人で大丈夫だから! これから何が起きるかわからないし、あまり人数を減らすわけには――」


Rビューティ「私が! ノーブルを置いて行きたくないんです!!」


5人「……!?」

Rノーブル「ビューティ……?」

Rビューティ「……私はずっと、ノーブルに憧れていました……」


Rビューティ「勉強もスポーツもできて……。きれいで格好良くって……。誰でも助けてあげられるほど強く、優しくて……」

Rビューティ「そんなノーブルは……、私の目標でした……。"私も、あんな風に笑顔で人を助けられるようになりたい"。そう思ってきたからこそ、私は前に進んでこられました……」

Rビューティ「ノーブルは……、私の "道" の先にいる…… "道標" なんです」


Rビューティ「だから、ノーブルを置いて行きたくないんです……! もし、ノーブルに何かあったら、私……、私……っ!」

Rビューティ「ノーブルには、これからもずっと、私の "道標" でいてほしいんです……っ!!」


Rマーチ「ビューティ……」


Rノーブル「…………」

Rノーブル「……それなら心配ないよ、ビューティ」

Rビューティ「え……?」

Rノーブル「ビューティには、もう "道標" なんていらないんだ」


Rノーブル「私ね、さっきそのことがハッキリわかったんだ。デスペアランドからリアルランドに帰ってきた時に」

Rノーブル「ビューティはさっき、すぐに "デスペア" のところに行こうとするみんなを止めてくれたよね。"プリキュアとして最高の力を出すために、もう一度自分達を振り返るべきだ" って」

Rノーブル「あれ、実は、私もおんなじことを考えてたんだ」

Rビューティ「え……?」

ポップ(デコル)「そうだったのでござるか……?」

Rノーブル「うん。ビューティに先に言われちゃったんだよね」


Rノーブル「その時にね、わかったんだ。"この子は、もう私と同じ考えができるくらいに大きくなったんだ" って」

Rノーブル「……だからね、ビューティ。もう、あなたにとって私は "道標" じゃないんだよ。あなたの道の先に、私はいないんだ」


Rノーブル「だってもう、あなたはあなただけの "道" を、力強く歩いていってるんだから!」


Rビューティ「……!!」


Rノーブル「ビューティ。やっと見つけたその道、迷わずに進んで! 誰のためでもない、あなた自身のために!」

ギュッ


Rビューティ「……! ノーブル、私の手を握って……」

Rノーブル「……私の未来への願い、全部ビューティの手に込めるよ」


Rノーブル「私の周りの人達に、ずっと笑顔でいてほしい」

Rノーブル「私も、私だけのステキな未来に向かって進みたい」

Rノーブル「私が胸を張って、みんなと笑顔で過ごせるように」


Rノーブル「……この気持ち、私の代わりに持っていって」

Rノーブル「私がいなくても、きっとその "未来に向かう気持ち" がビューティの、みんなの力になってくれるはずだから!」

Rノーブル「私のことなら心配いらないよ。だって私は、あなたが憧れてくれた "強くて優しい、はるかお姉さん" なんだから!」

Rノーブル「だからここは、みんなの背中を見送らせて。みんなのお姉さんとして」


Rノーブル「未来のこと、お願いね、みんな。れいかちゃん」

6人「…………」


Rハッピー「……わかりました! 私達、前に進みます!」

Rビューティ「受け取ったこの想い、必ず未来に届かせてみせます」


Rビューティ「だから大丈夫です! 任せてください、はるかお姉さん!!」ニコッ


Rノーブル「……! うん!!」ニコッ


Rビューティ「行きましょう、みなさん!」

5人「うんっ!」


タタタタタタッ…

Rノーブル「…………」

ペロー(デコル)「……みんな、行っちゃったペロ」

Rノーブル「うん」


Rノーブル「でも、あの子達ならきっと大丈夫。だってみんな、どんなツラいことも、苦しいことも、ガンバって乗り越えてきたんだから」

Rノーブル「今度だってきっと、大丈夫だよ!」

ペロー(デコル)「ペロっ!」

ペロー(デコル)「……!? ノーブル、危ないペロっ!」

Rノーブル「え……!? わっ!」バッ


ビタァァァァァンッ!!


Rノーブル「い、今の、ヘビのしっぽ……!?」


闇のケダモノ・蛇「シャァァァァァァァァァッ!!」


ドガァァッ!! ドガァァァンッ!!


ペロー(デコル)「めちゃくちゃに暴れだしたペロ!」

Rノーブル「う、すごい暴れっぷり……! このままじゃ、いつか巻き込まれちゃう……! "ノーブル・ミスト" でずっと抑えられればいいと思ってたけど、そういうわけにもいかないか……!」


Rノーブル「……最後に一仕事、しなきゃいけないみたいだね」

Rノーブル「……ペロー君、ありがとう」

ペロー(デコル)「え……、きゅ、急になにペロ、ノーブル……?」

Rノーブル「全部の原因のジョーカーを止めるこの戦いが、私のプリキュアとしての最後の戦いになると思う。だから、いつか言おうと思ってたお礼を言っておこうと思って」


Rノーブル「だってペロー君は、今までずっと、私の願いをかなえてくれてたんだから」

ペロー(デコル)「ノーブルの願い、ペロ……?」

Rノーブル「私ずっと、弟がほしかったんだ」

ペロー(デコル)「……!」


Rノーブル「妹だったら、れいかちゃんやなおちゃんが小さい頃から一緒にいたけど……、弟もいたらいいなぁ、って、ずっと思ってたんだ」

Rノーブル「元気で、やんちゃで、かわいくて、たくましくて……。そんな、年下の男の子。……そう、ペロー君みたいな」


Rノーブル「ペロー君が私のところに来てくれて、毎日がすごくにぎやかになったよ」

Rノーブル「たまに元気が良すぎて、手を焼かされることもあったけど、それでも楽しかった! 本当に、ありがとう!」

ペロー(デコル)「……ノーブル……」


Rノーブル「私、そんなペロー君と一緒に最後まで頑張りたい! だからお願い! 私に力を貸して!!」


ペロー(デコル)「…………」

ペロー(デコル)「……違うペロ……、はるかさん」

Rノーブル「え……?」


ペロー(デコル)「プリキュアとしては最後かもしれないけど、はるかさんとぼくの関係は最後じゃないペロ! これからもずっと続くんだペロ!」

ペロー(デコル)「この戦いは、そんな未来に進むための戦いなんだペロ!」


ペロー(デコル)「……だから、はるかさんはいちいちぼくにお願いする必要なんてないんだペロ……!」


ペロー(デコル)「大好きなはるかさんのためだったら、ぼくはいつでも、いくらでも、力を貸すペローっ!!」


Rノーブル「……ペロー君……!」

Rノーブル「……そうだね、ペロー君。私が間違ってたよ。私が言わなきゃいけないのは、"力を貸して" なんてお願いじゃなかったね……!」


Rノーブル「一緒に行こう、今までみたいに! 一緒にいよう、これからも!!」


ペロー(デコル)「はいペロっ!!」


ダッ


Rノーブル・ペロー「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


闇のケダモノ・蛇「シャァァァァァァァァァッ!!」

~ 虹の橋の上 ~

ダダダダダダッ


ジョーカーの声『いやぁ、感心しましたよ、プリキュアのみなさん! まさか、キュアノーブル一人あの場に置いていくなんて!』

ジョーカーの声『今頃、キュアノーブルは一人でタイヘンな目にあっているでしょうねぇ! それでもなお、目的のために前に進む! その非情さ、見習いたいですよ! ふっふふふっ!』


Rビューティ「……お黙りなさい……!」

ジョーカーの声『ん?』


Rビューティ「暗闇の中、たった一人でいるあなたなどにはわからないでしょう……。私達のために残った、はるかお姉さんの強さが……!」

Rビューティ「はるかお姉さんから預かった、この手の中にある気持ちの熱さが!!」

ジョーカーの声『…………』


ジョーカーの声『……ふふっ。ええ、わかりませんとも。"手に預かった気持ち"? そんな形のないものを頼るあなた方の愚かさなんて、ちーっともわかりませんねぇ!』

ジョーカーの声『まぁ、時間はまだあります。ゆっくりと思い知るといいでしょう』


ジョーカーの声『あなたの感じてるその強さが、しょせん幻にすぎないということをね!!』

ダダダッ ダダダッ


Rサニー「また前から何か来んで!」


闇のケダモノ・狼「ガァァルルルルルルッ!!」ダダダッ ダダダッ

Rピース「黒い大きなオオカミ!」

Rビューティ「今度は、セルリアさんの怪物……!?」


ジョーカーの声『さぁ、2体目です。どうします、みなさん? くくくくっ……!』

闇のケダモノ・狼「ガァァァァァァァッ!!」


シュバァァァァァァァッ!!


Rハッピー「体中から毛を伸ばしたよ!」

Rマーチ「先がとがってる……! あれで突き刺す気!?」

Rヴェール「防ぎますっ……! "ヴェール・カーテン"っ!」


パキィィィィンッ!!


マティ(デコル)「あのオオカミさんより大きな盾! これなら、あの針みたいな毛も全部止められるはずですわ!」

Rビューティ「……いえ、もしあの怪物がセルリアさんと同じ力を持っているのだとしたら……!」


グニャァァァッ!

グニャァァァッ!


Rヴェール「えっ……!? 毛が曲がって、前に出した盾を避けて……!」

マティ(デコル)「回り込んできますわ!」

Rビューティ「やっぱり……! 毛を自在に動かせるんですね……!」


ジョーカーの声『なんとビックリ! キュアヴェールも驚いて、他の盾を張るヒマはないでしょう? これでみんな仲良くおしまいです!』

Rビューティ「させませんっ!」キリキリキリッ

ジョーカーの声『ん? キュアビューティ、いつの間に氷の弓矢を構えて……』


クルッ


Rビューティ「はぁぁぁぁぁぁっ!!」ビシュッ


シュバババババババッ!!

ガガガガガガガガッ!!


闇のケダモノ・狼「ガァッ……!?」


ポップ(デコル)「ビューティ殿、回りながら一瞬で周りに矢を放って……」

オニニン(デコル)「毛を全部撃ち落しちゃったオニ……!」

ウルルン(デコル)「すげぇウル……!」


ジョーカーの声『ほぉ……、さすがはキュアビューティ。バッドエンド王国時代の私をてこずらせただけのことはありますねぇ』

ジョーカーの声『ですが、いつまでもつことやら! さぁ、まだまだ攻撃は続きますよ!?』


闇のケダモノ・狼「ガァァルルルルルルッ!!」シュバァァァァァァァッ!!


Rハッピー「また毛を伸ばしてきた!? ……でも!」

Rサニー「うちらもおること、忘れてもらったら困るわ!」

Rピース「そうだよ! 私達だって止めるんだから!」

Rヴェール「わたしも、今度は受け止められるようにガンバります……!」


Rハッピー・Rサニー・Rピース「はぁぁぁぁぁっ!」ダッ

Rヴェール「"ヴェール・カーテン"っ!」パキィィィィンッ!!


Rマーチ「よし! あたしも――」


Rビューティ「……待って、マーチ」ガシッ

Rマーチ「えっ……? ビュ、ビューティ? どうしてあたしの手をつかんでるの……? みんなもガンバってるんだから、あたし達も行かないと……!」


Rビューティ「…………」

Rビューティ「……マーチ、お願いがあるの。みなさんを抱えて、高く跳び上がれる?」

Rマーチ「え? できると思うけど……、でも、そんなことしたら、さっきの針みたいな毛で狙い撃ちにされちゃうよ……!?」

Rビューティ「大丈夫。そうならないように、私が毛針を矢で撃ち落すわ」

Rマーチ「撃ち落すって……。……! まさか、ビューティ……!?」

Rビューティ「ええ」


Rビューティ「今度は、私がここに残るわ。はるかお姉さんのように」

Rマーチ「……! そんな……!?」

Rマーチ「……ダメだよ……、ダメだよ、そんなの! はるかさんみたいに目くらましが使えるならともかく……、一人でなんて危なすぎる!」

Rビューティ「でも、はるかお姉さんも言ってたでしょう? このまま、全員であの怪物と戦っていては、"デスペア" を止める時間がなくなってしまう、と」

Rビューティ「だから、誰かが残ってでも、先に進まないと……!」

Rマーチ「わかってる! わかってるけど……!」


Rマーチ「……あたしだって、さっきのビューティと同じだよ……! ビューティ一人置いて、先になんて行けない……! 行きたくない……!」

Rビューティ「マーチ! 今はみなさんの未来を守ることが大事なの! 私の心配より、世界中のみなさんのことを――」

Rマーチ「親友の心配したらいけないの!!?」


Rビューティ「……!! マーチ……」


Rマーチ「……あたしだって、頭ではわかってるよ……! 何をしても先に行って、ジョーカーを止めなきゃいけないって……!」

Rマーチ「でも……でも……っ! 小さい頃からずっといっしょだったビューティが危ない目にあうのは……やっぱりイヤなんだ……!!」

Rマーチ「あたしは、みんなを守りたい……! どんなにコワくても、勇気を出して守りたい……!」


Rマーチ「でも、そのために、大切な人に危ないことをさせるなんて……、そんな勇気、あたしは持ってないよ……!」


Rマーチ「あたしは……、あたしは、どうしたら……っ!!」ブルブルッ


Rビューティ「……マーチ……」

ソッ


Rマーチ「……! ビューティ、あたしの、手を取って……」


Rビューティ「……大丈夫よ、なお。私の手が温かいのがわかるなら、一人じゃない。この温もりを忘れない限り、離れても一人じゃない」


Rビューティ「一人じゃないなら、何も怖くはないわ」ニコッ


Rマーチ「……れいか……」

Rビューティ「……なお、私達はいつもこうやって、お互いの温もりで励ましあってきたわね……。私が怖がっている時には、あなたが。あなたが怖がっている時には、私が」

Rマーチ「……うん……」


Rビューティ「これからも、なおとはそんな関係でありたい。お互いを支えあう、大切な……親友同士でいたい」

Rマーチ「……うん」


Rビューティ「だから、私は、未来へ行くためにできるだけのことをしたい」

Rビューティ「なおと私と、そしてみなさんが、笑顔でいられる未来に行くために」

Rマーチ「…………」

Rマーチ「……ありがとう。また、その手から勇気をもらったよ。未来に進むための勇気を。はるかさんの気持ちと一緒に」


Rマーチ「あたしは前に進む。信じて、もう後ろは振り向かない」


Rマーチ「あたしの親友・青木 れいかは、きっとどんな時だって負けない、って信じて進む!!」


Rビューティ「なお……!」

Rマーチ「行ってくるよ、れいか!」


Rビューティ「行ってらっしゃい、なお」

闇のケダモノ・狼「グルルルルルルゥゥッ……!」


Rサニー「結構、こっちの攻撃も当たっとるはずやのに……! まだ元気あるんかいな……!?」

Rピース「はぁっ、はぁっ、ジョーカーの、言う通りだね……! 強いよ……!」

Rヴェール「こ、このままじゃ……、はるかセンパイの言ってた通り、時間がなくなっちゃいます……!」

Rハッピー「で、でも、カンタンには通してくれそうもないし……、どうしたら……!?」


ガシッ


Rマーチ「心配ないよ、みんな」


Rサニー「わっ!? な、なんやねん、マーチ! 急に腰つかんで持ち上げて!?」

Rピース「ど、どうして急に私達 4人を抱えたの……!?」

Rマーチ「このまま、あの怪物を跳び越えるからだよ。みんなといっしょに」

Rヴェール「え……、跳び越えるって……?」


Rマーチ「さぁ、行くよ! みんなも、しっかりあたしにつかまって!!」グッ

Rハッピー「え……、マーチ、かがんでるけど……、行くって、ホントに……!?」

Rマーチ「だぁっ!!」


ドンッ!!

ギュウゥゥゥゥンッ!!


Rハッピー「ホ、ホ、ホントに跳んだぁっ!?」

Rピース「で、でも、このままだと……!」


闇のケダモノ・狼「グルルルルルル……!」ギロッ


Rハッピー「や、やっぱりこっち見てる……!?」

Rピース「また毛が伸びてくるよ!?」


闇のケダモノ・狼「ガァァァァァァァァッ!!」シュバァァァァァァァッ!!


Rハッピー・Rピース「来たぁぁぁっ!?」

Rマーチ「大丈夫! れいかを信じて!」


ビシュッ!!


シュバババババババッ!!

ガガガガガガガガッ!!


Rハッピー「……! 氷の矢が……、さっきみたいに毛を止めてくれた……」

Rピース「そういえば、ビューティがいないよ……! もしかして、ビューティは……!?」

Rマーチ「……れいかは、あそこに残ってくれたんだ。あたし達を先に行かせるために」


Rピース「れいかちゃん……!」

Rハッピー「……ありがとう……!」

闇のケダモノ・狼「ガァァァァァァァァッ!!」ダッ


ポップ(デコル)「ビューティ殿! あの怪物、跳び越えたマーチ殿達を追うつもりのようでござる!」

Rビューティ「させませんっ! はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ビシュッ!!


ガガガガッ!!

バキバキバキバキッ!!


闇のケダモノ・狼「ガァッ……!?」


Rビューティ「放った矢であなたの前の空気を凍らせ、氷の壁を作りました。そこから先は決して通しません」

Rビューティ「そしてまた、その壁を壊させもしません。私が、ここにいる限り」


闇のケダモノ・狼「グルルルルルッ……!!」


ポップ(デコル)「怪物、こちらをにらんでいるでござるな。完全に狙いを定めたようでござる」

Rビューティ「望むところです。こちらに注意が引けたのなら後は、私が全力で持ちこたえるのみです。あの雲が払われるその時まで」

ポップ(デコル)「うむ!」

ポップ(デコル)「それにしても、あのような怪物を前にして一人残るその心の強さ。拙者、感服でござる。さすがでござるな、ビューティ殿」

Rビューティ「……そんなことはないですよ。見てください、この手を」


フルフル


ポップ(デコル)「……! ビューティ殿、手が震えて……。やはり、恐ろしいのでござるか……?」

Rビューティ「はい……。私にも、あの怪物の力強さはわかりますから」

ポップ(デコル)「そのような手で、伸びる毛を矢で当てたのでござるか……!」

Rビューティ「それができたのは、やはり一人ではないからだと思います」


Rビューティ「この胸の中には、みなさんと共に過ごした思い出があるから」

Rビューティ「この手には、なおからもらった勇気と、はるかお姉さんからもらった優しさがあるから」


Rビューティ「そして何より、今こうしてお話することができる、頼もしい方がいてくれるから、私は強くいられるのだと思います」

ポップ(デコル)「それは……」

Rビューティ「もちろん、あなたのことですよ、ポップさん」ニコッ

ポップ(デコル)「……!」

ポップ(デコル)「……拙者こそ、こうしてれいか殿といられて、うれしく思うでござる……!」

ポップ(デコル)「賢く、優しく……。誰よりも繊細で……、でも、誰よりも芯が強い……」

ポップ(デコル)「そのようなれいか殿と共に過ごせた日々は、拙者の……誇りでござる!!」

Rビューティ「……私もです、ポップさん」


Rビューティ「ポップさんは、私が生徒会長として悩んでいる時も、メルヘンランドのリーダーとしての立場からアドバイスをしていただけましたね……」

Rビューティ「ご自分もメルヘンランドやピクチャーランドのことで大変なのに、いつも優しく私を支えてくれました……」

Rビューティ「そんなあなたと、今こうして共に困難に向かえていることを、私も誇りに思います!」

ポップ(デコル)「……れいか殿……!」

闇のケダモノ・狼「ガァァァァァァァァッ!!」ダダダッ


ポップ(デコル)「来るでござる!」

Rビューティ「はい! あと少しです、力を貸してください、ポップさん! そして、共に未来へ参りましょう!!」

ポップ(デコル)「承知!!」

~ 虹の橋の上 ~

ヒュゥゥゥゥ…

ダンッ!


Rマーチ「……っと! ……無事、跳び越えられたみたいだね」

Rピース「うん……。でも、れいかちゃんが……」

Rハッピー「……進もう、ピース。はるかさんが言ってた通りだよ。私達は、何があってもジョーカーを止めなきゃ」

Rピース「……うん!」


Rマーチ「ほら、そういうことだから、二人ともしっかりして!」

Rサニー「う、うー……、あかん……、急に跳んだり落ちたり……、目が回ってもーたわ……」

Rヴェール「ま、まだ足元がフラフラします……」

Rハッピー「あはは、そういえば二人とも、ジェットコースターとかニガテだったね……」

Rサニー「マーチもせやろ……? なんで平気なんや……」

Rマーチ「……れいかが握ってくれたこの手のおかげかな」


Rマーチ「この手には、れいかがくれた勇気と、はるかさんの優しさがこもってるから。コワがってる場合じゃないよ」

Rサニー「……! そやな……。二人のためにも、うちらは、前に進まなな……!」

Rヴェール「はいっ……!」

ジョーカーの声『おめでとうございます! 2体目の闇のケダモノも、無事に切り抜けましたねぇ! キュアビューティはいなくなってしまったようですが。くくくっ』


Rマーチ「……ジョーカー。あんたは、本当にわかってないね」

Rマーチ「れいかもはるかさんもいなくったって、この手の中に二人の気持ちが残ってる! その気持ちは、離れたって消えない! いつだって、あたしに勇気をくれるんだ!!」

ジョーカーの声『キュアビューティと同じようなことを……。では、その勇気とやらがいつまでもつか、じっくり見させていただきますよ!』


ジョーカーの声『さぁ、闇のケダモノ、いよいよ 3体目です!』


Rハッピー「え? 3体目って……」キョロキョロ

Rサニー「何もおらんけど……?」キョロキョロ

ギュンッ!


Rマーチ「っ!」キュンッ


ドガァァッ!!


闇のケダモノ・馬「ブルルルルルッ!!」


Rピース「えっ!? な、なに!? 急に、マーチの前に黒い馬が……!」

Rマーチ「大分遠くから、すごい速さで近づいて来てたんだ……! 何とか、受け止められたよ……!」

Rヴェール「ぜ、全然気がつけませんでした……!」

Rサニー「黒い馬……。っちゅうことは、ビリーズの怪物か!」


ジョーカーの声『うーん、惜しい! 遠くから一気に体当たりして、みなさんを弾き飛ばすつもりでしたが、うまくいきませんでしたねぇ!』

Rマーチ「あたしなら追いつける! みんなには、指一本触れさせないよ!」

ジョーカーの声『それは結構。では、せいぜいガンバってくださいね。くくくくっ!』

闇のケダモノ・馬「ブルルルルルッ!!」ギュンッ


ガガガッ ガガガッ ガガガッ


Rハッピー「! あの馬、消えちゃったよ!?」

Rピース「ど、どこに行ったの……!?」

Rマーチ「みんな、落ち着いて! あの馬、周りをグルグル回ってる……! 様子をうかがってるんだ、きっと……!」

Rヴェール「そ、そうなんですか……!? ぜ、全然見えないです……!」

Rサニー「あの怪物が速すぎるんや……!」

Rマーチ「……!」


Rマーチ(みんなには、あの怪物の動きが見えてないんだ……。目で追えるのも、追いつけるのも、あたしだけ……)


Rマーチ(…………)


Rマーチ(……次は、あたしの番、ってことか……!)

Rマーチ「……みんな。あたし、なんとかしてあの怪物を押さえるよ。その間に先に進んで」


Rピース「それって……、もしかして……!」

Rマーチ「あたしが残るよ。あの怪物は、絶対にここで止めてみせる」

Rサニー「マーチ……!」


Rハッピー「やっぱり……、離れないといけないの……? れいかちゃんや、はるかさんみたいに……!」

Rマーチ「……うん。今、みんなを守るのは、あたしにしかできないことだから」

Rヴェール「……!」

Rヴェール「……マーチセンパイ……。前にも、似たようなことがありましたよね……」

Rヴェール「すごく速く動くアキラメーナがいて……、わたしが、そのアキラメーナからマーチセンパイとれいかセンパイを守りきれなくて……。逆に、マーチセンパイがわたしを守るためにキズついて……」


Rヴェール「……あの時と……あの時といっしょだ……! わたし、またなんにもできない……! 守る力があるわたしが、みなさんを守らないといけないのに……!」

Rヴェール「わたし、マーチセンパイを守れるくらいになれたと思ったのに……、またマーチセンパイをキズつけさせて……! わたし……変われてなかったのかな……!?」

Rヴェール「ごめんなさい……! ごめんなさい、マーチセンパイ……っ!」


マティ(デコル)「ヴェール……」


Rマーチ「…………」

Rマーチ「……ヴェール、手を出して」

Rヴェール「え……? 手、ですか……?」

Rマーチ「いいから」

Rヴェール「あ、は、はい……。こ、こうですか……?」スッ


ギュッ


Rヴェール「……! マーチセンパイ、わたしの手を……!」

Rマーチ「握ったこの手に、あたしの気持ちを全部預けるよ。れいかや、はるかさんから預かった分まで」

Rヴェール「え……!? そ、そんな……、ど、どうして、わたしなんかに……!?」

Rマーチ「ヴェールだからだよ。"みんなを守りたい" って、あたしと同じ気持ちを持ってるヴェールだから、預けたいんだ」

Rマーチ「ヴェール。さっきの、速く動くアキラメーナの時の話だけど……、その時のことを憶えてるなら、自分の気持ちも憶えてるよね」


Rマーチ「あの時、ヴェールはあたしとれいかをかばってくれたんだよ。自分が傷つくのがコワくても、かばってくれたんだ」

Rヴェール「……!」


Rマーチ「……あたし達、何回ヴェールの盾に助けられてきたかな……。あたし、もう憶えてないよ」

Rマーチ「いつだってヴェールは、あたし達を助けてくれてきた。自分がツラい時だって、誰かのために一生懸命だった」


Rマーチ「さっきヴェールは "自分が変われてない" って言ったけど、そんなことない」

Rマーチ「ヴェールは、すごく強くなった。今感じてるそのくやしさだって、あたし達のことを守りたいって強く思ってくれてるからだよ」

Rマーチ「ヴェールのその "守りたい" って気持ちは、絶対どこかでみんなの力になる!」

Rマーチ「だから、あたし達の気持ちといっしょに先に行って! みんなを守るヴェールを、あたしが守る!!」


Rヴェール「……マーチセンパイ……っ!」

Rヴェール「……やっぱり、センパイの背中、すごく大きいです……。わたしも、そんな風になりたい……」

Rヴェール「……ううん、なります! わたしも、センパイから教えてもらった勇気で、優しく、強く、誰かを守れる人になります!」


Rヴェール「だから、見ていてください! なおセンパイ!!」


Rマーチ「うん! その気持ち、忘れないで! どんな時でも自分に素直に、直球勝負だよ、ゆかりちゃん!!」

Rヴェール「はいっ!!」

闇のケダモノ・馬「ブルルルルルッ!!」ギュンッ


Rマーチ「! 来たっ!」

Rマーチ「だぁぁぁぁぁぁっ!!」ガシィィィッ!!


Rサニー「なおが怪物を抱き止めたで!」


闇のケダモノ・馬「ブルッ!? ブルルルルッ!!」ジタバタッ

Rマーチ「う、くっ……! 今だよ、みんな……っ! あたしが押さえてるうちに……行って!!」


Rヴェール「わかりました!」

Rハッピー「なおちゃん……、ありがとう!!」

Rマーチ「(ニコッ)」


タタタタッ…

闇のケダモノ・馬「ブヒヒヒィィィーーンッ!!」ブンッ

Rマーチ「わっ!? 振り落とされた……!?」


闇のケダモノ・馬「ブルルルルルッ!!」ギュンッ

Rマーチ「みんなを追う気!? 行かせるもんかっ!」ギュンッ


Rマーチ「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ズザァァァァァッ!!

ドガァァァッ!!


闇のケダモノ・馬「グッ!?」


マジョリン(デコル)「やったマジョ! スライディングが決まったマジョ!」


闇のケダモノ・馬「グ……、ブルルルッ……!」ヨロッ


Rマーチ「よろけてる……!? 脚を痛めたの……!?」

マジョリン(デコル)「ナイスマジョ! これでもう、みんなを追っかけられないマジョ!」

Rマーチ「うん! あとは……、ここであたしが食い止める!!」

闇のケダモノ・馬「ブルルルッ……!」ギロッ


Rマーチ「あの怪物にらんでる……、怒ったの……? でも、気合なら負けるもんか!」キッ

マジョリン(デコル)「その意気マジョ、マーチ! ガンバるマジョ! 家族のみんなも帰りを待ってるマジョ!」

Rマーチ「! 家族……」

マジョリン(デコル)「……ん? マーチ、ハッとして、どうしたマジョ? 家族のことが気になるマジョ?

Rマーチ「あ、ううん。それはそうだけど……、そうじゃないんだ」


Rマーチ「……マジョリン。前から、言おうと思ってたことがあるんだ」

Rマーチ「マジョリンの言葉で家族のこと思い出しちゃったから……、せっかくだし、今言っとくね」


マジョリン(デコル)「? 何マジョ?」

Rマーチ「マジョリン。この戦いが終わったら、あたしのホントの家族にならない?」

マジョリン(デコル)「!!」

Rマーチ「マジョリンのこと、家族のみんなに紹介するよ。ビックリするだろうけど、きっとみんなわかってくれる」


Rマーチ「それで、あたしの家でずっと住むんだ」

Rマーチ「あたしと、お父ちゃんと、お母ちゃんと、けいたと、はると、ひなと、ゆうたと、こうたと、ゆいと、……そして、マジョリンと、みんなで」

Rマーチ「マジョリンは、前にあたしの家族のために泣いてくれた。"家族を苦しめられて悲しい" って、泣いてくれた」

Rマーチ「あの時から思ってたんだ。マジョリンと家族になれないかな、って。そうなったらすごくステキだと思う」

Rマーチ「もし、そんな未来があるなら、あたしはそのためにガンバれる。この戦いはあたし達の未来を決める戦いだから……、今、聞いておきたくなったんだ」


Rマーチ「どうかな、マジョリン?」

マジョリン(デコル)「……なお……」


マジョリン(デコル)「…………」

マジョリン(デコル)「……ゴメンマジョ、なお。あたしには、帰るところがあるんだマジョ……」

マジョリン(デコル)「今までマジョリーナとしてメイワクかけたおわびに、あたしはメルヘンランドでガンバらないといけないんだマジョ……」

マジョリン(デコル)「だから……、なお達とは、住めないんだマジョ……」

Rマーチ「! ……そっか……」


マジョリン(デコル)「……でも……でも……、うれしいマジョ……!!」

マジョリン(デコル)「なおの家族をキズつけたあたしを、自分の家族にしたいって言ってくれて……、とってもうれしいマジョ……!!」


マジョリン(デコル)「ありがとう……。ありがとう、なお……!!」

Rマーチ「……うん」

Rマーチ「……それじゃ、あたし達、いっしょに何かをするのは、これが最後になるかもしれないね……」


Rマーチ「でも、だからこそやりぬこう、マジョリン! あたし達の、それぞれの未来のために!!」

マジョリン(デコル)「マジョっ!!」

~ 虹の橋の上 ~

タタタタッ


ジョーカーの声『プリキュアのみなさん、順調に数を減らしていますねぇ。闇のケダモノも、お仲間も。くくくっ……!』


Rサニー「ジョーカーのヤツ、イヤらしく笑いよって……、楽しんどるんか……!? ほんっまにイヤなやっちゃで……!」


ジョーカーの声『さぁ、どんどん苦しくなりますよ! どこまで進めますかねぇ!? 闇のケダモノ、4体目です!!』


ダダダッ ダダダッ


Rピース「また前から来たっ!」

Rハッピー「今度はどんな……!?」


闇のケダモノ・狐「フシャァァァァァァッ!!」


マティ(デコル)「大きなキツネ……! これは……!」

Rヴェール「タリアちゃんの……怪物……!」


ジョーカーの声『つい先程戦ったばかりですから、その恐ろしさも良く憶えているでしょう!?』

Rサニー「せや……! あのウィスタリアん時といっしょなら……!」


闇のケダモノ・狐「フシャァァァァァァッ!!」ブブブブンッ!!


Rハッピー「やっぱり、たくさんのしっぽで……!」

キャンディ(デコル)「たたかれちゃうクルぅっ!」

Rヴェール「"ヴェール・カーテン"っ!」


パキィィィィンッ!!

ドドドドドドンッ!!


Rピース「すごいよ、ヴェール! しっぽ、全部受け止めた!」

Rサニー「さすがやで、ヴェール!」

Rヴェール「盾をたくさん出せる今なら……、受け止めてみせます……!」


ジョーカーの声『いやぁ、キュアヴェールもやりますねぇ。お見事お見事!』

ジョーカーの声『……と、言いたいところですが』


ピシッ…!


Rヴェール「……! "ヴェール・カーテン" に、ヒビが……!?」

マティ(デコル)「タリアちゃんの時は止められましたのに……! やっぱり、パワーアップしているんですの……!?」

闇のケダモノ・狐「フシャァァァァァァッ!!」ブブブブンッ!!


ドドドドドドンッ!!

ビシッ…! ビシビシッ…!


Rヴェール「……っ!」


Rピース「ど、どんどんヒビが大きくなるよ……!」

Rサニー「あかん、割れてまう……!」

Rハッピー「サニー! ピース! 私達も協力しよう! みんなで、あのキツネのオバケを止めて――」


Rヴェール「ダメです、センパイ!!」

Rハッピー「!? ヴェ、ヴェール……?」

Rヴェール「お願いします……、わたしに……やらせてください……っ!」


Rサニー「そんなこと言うたかて、このままやったら盾割れてまうで!?」

Rピース「そうなったら、ヴェールがあぶない目にあっちゃうよ……!?」

Rヴェール「……だいじょうぶです……!」


Rヴェール「盾が割れてしまうなら……、割れる前に、もっとたくさん出しますっ……!」

Rヴェール「"ヴェール・カーテン・アンブレラ"ぁぁぁっ!!」


ブワァァァァァァァッ!!


Rハッピー「……! す、すごい数の、"ヴェール・カーテン" が出た……!」

Rピース「葉っぱが……たくさん重なりながら広がって……!」

Rサニー「まるで、木のカサや……!」


Rヴェール「……センパイ達は……、絶対に守ります……!」

Rヴェール「だってわたしは……、ここまでセンパイ達を守ってきたはるかセンパイの……、れいかセンパイの……、なおセンパイの……! みなさんの気持ちを預かってるから……!」

Rヴェール「わたしがあきらめたら……、みなさんの気持ちも、ここで止まってしまいますから……!」


Rヴェール「だから、わたしは絶対にみなさんを守ります! わたしにできる、せいいっぱいで!!」


Rハッピー「ヴェール……!」

Rヴェール「……ピースセンパイっ!」

Rピース「え?」


パチンッ


Rピース「わっ!? な、なに、ヴェール……。私の右手をたたいた……!?」

Rヴェール「ら、乱暴で……、ごめんなさい……! 盾を支えないといけないので……、ちょっと触るのがせいいっぱいでした……!」


Rヴェール「今、ピースセンパイの手に、わたしが預かったみなさんの気持ちを渡しました……! みなさんと、わたしの、"未来に進む気持ち" を……!」

Rピース「……! ど、どうして、私に……?」

Rヴェール「ピースセンパイは……、やよいセンパイは……、わたしの憧れで、希望だからです……!」

Rヴェール「やよいセンパイは……、ホントにすごいです……! だって、実際に夢をかなえちゃったんですから……!」


Rヴェール「"うまくいかないかも" って不安になって……。それがとってもツラくっても、一生懸命ガンバって……!」

Rヴェール「ガンバって、ガンバって、ガンバりぬいて……、夢だった漫画家になっちゃいました……!」

Rヴェール「そんなやよいセンパイからは、何度も何度も、"ガンバることって大切なんだ" って教えてもらいました……!」


Rヴェール「だから、こんなわたしでもみなさんの力になれるくらい、ガンバれてるんです! わたしも、やよいセンパイみたいになりたいから!」

Rヴェール「ガンバりぬいて、とってもキレイな笑顔で、みなさんと笑えるようになりたいから!!」

Rヴェール「……ここは、わたしがガンバります……! なんとかして、みなさんのことを守ってみせます……!」

Rヴェール「だから、お願いします、やよいセンパイ……! 預かったみなさんの分といっしょに、わたしの気持ちも、未来に持っていってください……!」


Rヴェール「"ガンバれば、希望は未来に届くんだ" って、もう一度わたしに見せてください!!」


Rピース「……わかったよ、ゆかりちゃん。みんなの気持ちのバトン、預かるね」

Rピース「……ゆかりちゃんはそう言ってくれるけど、ホントは私も、ちょっとしたことでコワがったり、不安になったり、しちゃうよ……!」


Rピース「でも、そんな私のことを信じてくれるゆかりちゃんの前でだけは、スーパーヒーローになりたい! 希望の力で、どんなピンチもやっつけちゃう、スーパーヒーローに!」


Rピース「だから見てて! ゆかりちゃんやみんなの気持ちで、あの不安の雲を吹き飛ばしてみせるよ!」ピース


Rヴェール「……はいっ! お願いします!!」

闇のケダモノ・狐「フシャァァァァァァッ!!」ブブブブンッ!!


ドドドドドドンッ!!


Rヴェール「うっ……!?」グラッ


Rハッピー「ヴェールっ!」

Rサニー「あの怪物のパワーがすごくて、押されとるんか……!?」


闇のケダモノ・狐「フシャァァァァァァッ!!」ブブブブンッ!!


ドドドドドドンッ!!


Rヴェール「く、ううっ……!」

Rヴェール「……負ける……もんか……!」


Rヴェール「負けるっ……、もんかぁぁぁぁぁぁっ!!」


カァッ!!

ドンッ!!


闇のケダモノ・狐「ガァッ……!?」グラッ


Rピース「ゆかりちゃんの盾が……、光って……!」

オニニン(デコル)「堅さで怪物を押し返したオニ!」


Rヴェール「みなさん、今です!!」

マティ(デコル)「あの闇のケダモノがひるんでいるうちに、先に進んでください!!」

3人「うんっ!」


ダッ

タタタタッ


Rハッピー「(チラッ)」


Rヴェール「はぁっ……、はぁっ……!」

Rハッピー(……ヴェール……、ゆかりちゃん……)


ゆかり(回想)『……笑う、って、どうしたらいいんでしたでしょうか……』


ゆかり(回想)『わたし、みなさんみたいに強くないから……、コワい思いするの、イヤだから……!』


Rハッピー(あんなに大人しかったゆかりちゃんが……、今、私達のためにこんなにガンバってくれてる……!)

Rハッピー(ホントに……、ホントにすごくなったね、ゆかりちゃん……!)


Rハッピー(……はるかさんがれいかちゃんを見てた時も……、こんな気持ちだったのかな……)


Rハッピー(ありがとう……! ゆかりちゃんの気持ち、絶対に未来へ届けるよ!!)


タタタタタッ…

闇のケダモノ・狐「グ……、ウゥゥゥ……!」ムクッ


マティ(デコル)「闇のケダモノ、起き上がりましたわ……!」

Rヴェール「はぁっ……! はぁっ……! で、でも……、みなさんが通り抜けられて……よかった……!」

マティ(デコル)「だ、だいじょうぶですか、ヴェール……!? 大分疲れてしまっているのでは……!?」

Rヴェール「……平気だよ……!」


Rヴェール「わたし一人だったら、もうくじけてたと思う……」

Rヴェール「でも、わたしの後ろで、ガンバってくれてるセンパイ達がいるから……!」

Rヴェール「わたしの前に、先に進んでくれてるセンパイ達がいるから……!」

Rヴェール「……それに……」


Rヴェール「一番大切な……友達が、いっしょにいてくれるから……! ガンバれるんだ……!!」

マティ(デコル)「! ……ゆかりちゃん……!」

Rヴェール「ごめんね、マティちゃん……。たぶん、あのジョーカーって人のところ、行きたかったよね……。お兄さんを助けに……」

マティ(デコル)「……確かにお兄様のことは心配ですわ……。けれど、今いたいのは、ジョーカーという者のところではありません……!」

マティ(デコル)「わたくしも、ゆかりちゃんと同じですわ」


マティ(デコル)「わたくしがいたい場所は、わたくしを信じて、いっしょに戦ってくれる、大好きなお友達――ゆかりちゃんのいるところです!」

Rヴェール「……マティちゃん……!」


Rヴェール「……わたし、マティちゃんに会えて……よかった……!」

マティ(デコル)「わたくしもですわ、ゆかりちゃん……!」

闇のケダモノ・狐「フシャァァァァァァッ!!」

Rヴェール「このオバケをセンパイ達のところに行かせちゃダメだよ……! コワいけど……、ここでわたし達が止めるんだ……!」


Rヴェール「きっとセンパイ達が、あの雲を消してくれる……! もう一息だよ……! ガンバろう、マティちゃん!!」

マティ(デコル)「はいっ! ゆかりちゃん!!」

~ 虹の橋の上 ~

タタタタタッ


ジョーカーの声『オゥノゥ! なんということでしょう!? 闇のケダモノが 4体も置き去りにされてしまうなんてぇー!』

ジョーカーの声『これは弱ってしまいましたねぇ!? どーしましょー!? ふふふふっ!』


オニニン(デコル)「ジョーカーのヤツ、全然困ってるって感じじゃないオニ……!」

ウルルン(デコル)「ああやっておちょくってんだウル……! あんなところは昔っから全然変わってねぇウル……!」


Rサニー「そんなバカにした態度取ってられんのも、今のうちや!」

Rピース「そうだよ! 残ってくれたみんなのためにも、絶対その雲をやっつけるんだから!」

ジョーカーの声『……うふふっ、そうやって上を向いて、"デスペア" ばかり見ていていいんですか?』

Rハッピー「え……!?」

ジョーカーの声『たまには足元も見ないと……、危ないですよ?』


ガシッ


Rピース「えっ!? ひゃっ!?」ドテッ

Rハッピー「ピ、ピース!? 急に転んで、どうしたの……!?」

Rサニー「普段からよくつまずいたりするけども、こんな時まで……!」


キャンディ(デコル)「……! ち、違うクル! ハッピー、サニー! ピースの足元を見るクル!」

Rハッピー「え、足元って……。……あ!」

Rサニー「な、なんやこれ……! 虹の橋の端から出た手がピースの足をつかんどる……!?」

Rピース「……!」


ジョーカーの声『ひゃはははっ! だから言ったでしょう!? 足元も見たほうがいいって!』

ジョーカーの声『おっと、ご紹介が遅れました! 彼が、5体目の闇のケダモノです!』


バサッ バサッ


闇のケダモノ・山羊「エェェェェェェェッ……!」ヌッ


Rハッピー「羽の生えた、黒い山羊頭の大きな人……!」

Rサニー「今度はイエロワの怪物か……!」

オニニン(デコル)「も、もしかして、飛んで橋の下に隠れてたオニ!?」


ジョーカーの声『イエースっ! せっかく空を飛べるんですもの、有効に使わないと。ビックリしたでしょう? くくくくっ!』

ジョーカーの声『……ところで、聞いておきたいんですが、みなさんの中に空を飛べる方はいらっしゃいましたでしょうか? いなかったような気がしますが』

Rサニー「そ、そんなこと聞いて、どないすんねん!?」

ジョーカーの声『なぁに、大した話ではありませんよ』


ジョーカーの声『このままキュアピースを橋の下に落としてしまえば、それで一人片付くのではないかと思いまして』

3人「!?」


ジョーカーの声『その虹の橋、もう随分高いところまで登ってきましたよねぇ? いくら "夢の絵の具" の力を解放しているといっても、そこから落ちて無事で済むものでしょうか?』

ジョーカーの声『まぁ、仮に無事だったとしても、もう "デスペア" の活動を止めるために戻ってくることはムリでしょうね! どちらにせよ、一人減らせるというわけです!』


ジョーカーの声『さぁ、そういうわけですから、さっさと落ちてしまいなさい』


闇のケダモノ・山羊「エェェェェェェェッ……!」グィッ


ズズズッ…!


Rピース「ひ、引っ張られる……!?」

Rサニー「ほ、ほんまに落とす気なんか……!?」

Rピース「う、くっ……! は……なしてぇぇぇぇっ!!」


ビリッ! バリバリバリッ!!


闇のケダモノ・山羊「ガァッ……!?」バリバリッ!


ジョーカーの声『ほう、さすが "夢の絵の具" の力。闇のケダモノをひるませるほどの電撃が出せるのですね』

ジョーカーの声『ですが……!』


闇のケダモノ・山羊「グ、ウゥゥッ……!」グィッ


ズズズッ…!


Rハッピー「えっ……!? ピースのカミナリでシビれてるはずなのに……止まらない……!?」

ジョーカーの声『完全に動けなくなるまでには、少し時間がかかるようですねぇ!』


ジョーカーの声『さて、では競争といきましょうか! キュアピースが闇のケダモノを止めるのが早いか!? キュアピースが引きずり落とされるのが早いか!?』

Rサニー「……そんなの、待つまでもないわ!」ダッ


ガシッ

バリバリバリッ!


Rサニー「うっ!? く……、うぅぅぅぅぅっ!?」バリバリッ!

Rピース「サ、サニー!? わ、私の右手をつかんで……!」

Rサニー「このまま……引っ張りあげたる……! ハッピー……! ピースの左手は踏ん張るのに使っとるから……、うちごと引っ張ってや……!」

Rハッピー「うんっ!」


ガシッ

バリバリバリッ!


Rハッピー「うぅぅぅぅぅぅぅっ……!?」バリバリッ!

Rピース「ハッピーまで……!」


ジョーカーの声『あははははっ! これはケッサクですねぇ! キュアピースを放って先に進めばいいものを! わざわざ痛い思いまでして助けるだなんて、理解できませんよ!』

オニニン(デコル)「ピース! カミナリを止めるオニ! このままじゃ、二人まで弱っちゃうオニ!」

Rピース「う、うん……、わかっ――」


Rサニー「止めんでええっ!!」

Rピース「!?」ビクッ

ウルルン(デコル)「そうだウル……! そのまま、カミナリ出してるウル……! もし今止めたら……、元気になったそいつに……あっという間に落とされちまうウル……!」

Rピース「で、でも……二人が……!」オロオロ

Rハッピー「私達なら、平気だよ……!」

Rサニー「せやで……! このくらい、へっちゃらや……! だって……!」


Rハッピー「友達を助けるためだもん!!」
Rサニー「友達を助けるためやから!!」


Rピース「……! ハッピー、サニー……!」


Rピース「…………」

Rピース「……えぇぇぇいっ!!」


バッ


Rサニー「え……!?」

Rハッピー「ピ、ピースが、サニーの手を……離しちゃった……!?」


ズズズッ…!


Rピース「く、ぅぅぅぅぅっ!?」ズルズルッ

ウルルン「お、おい!? ピース、何やってるウル!? 引っ張られて落ちちまうウル!」

Rサニー「ほんまや……! なんでうちの手振りほどいたりしたんや……!? ま、待ってな、もう一度引っ張り上げたるから――」


Rピース「来ないでっ!!」

Rサニー「な……!?」

Rピース「私なら……だいじょうぶ……! 一人でも、だいじょうぶだから……!」

Rハッピー「……ピース……?」


Rピース「……ねぇ、二人とも。私、プリキュアになったばっかりの頃、すっごく泣き虫だったよね……。大好きな絵も、一人じゃ人にも見せられなかった……」

Rピース「私はずっと、一人じゃ何もできない弱虫だったよ……」

Rピース「でもね、私は……漫画を描き上げて、漫画賞に応募できたんだ……! 漫画研究部だって新しく作れた……!」

Rピース「それに……、それに……! 夢だった、漫画家さんにもなれた!」

Rピース「私、泣き虫で、臆病で……、なんでもすぐあきらめちゃってたけど……!」


Rピース「一人でできるようになったんだよ! ちゃんと一人で、やりたいこと、ガンバれるようになったんだよ!!」

Rハッピー・Rサニー「……!」


Rピース「それは……、二人のおかげなの。……みゆきちゃん。あかねちゃん」

Rサニー「うちらの……?」

Rピース「2年生の時、二人がポスターコンクールに応募することを応援してくれたこと、あったよね……?」

Rピース「あの時、二人があきらめてた私の背中を押してくれたから、私は、私の大切な、はじめの一歩を踏み出せたの」

Rピース「そのまんま歩き出したらね……、ガンバったらね……、夢が……、私の夢が、かなっちゃった……!」


Rピース「今度もきっとだいじょうぶ! 二人から、みんなからもらった、ガンバる気持ちがあれば、私一人でもなんとかできるよ!」


Rピース「だから、二人とも……、先に行って……! このまんまじゃ、私達の未来……、なくなっちゃうから……!」

Rピース「さっき、サニーの手を離す前に、私が預かったみんなの気持ち、私の気持ち……、サニーの手に預けたよ……! その気持ちといっしょに、前に進んで!」


Rサニー「…………」

Rサニー「……行くで、ハッピー」

Rハッピー「え……!? サニー、ピース、置いてっちゃうの……!?」

Rサニー「せや。だって、心配あらへんもん。もう、泣き虫だった子はここにはおらへんのやから」


Rサニー「そこにおるのは、ごっつうごっつう強い、伝説の戦士・キュアピースや! なっ!?」

Rピース「うんっ!」ピース

Rハッピー「ピース……」

Rハッピー「わかった。私達、行くね」


Rハッピー「でも、約束だよ!? 絶対、絶対無事でいてね!? 私、またやよいちゃんの漫画、読みたいんだから!」

Rピース「もちろんっ! 今度の漫画は自信作だよ! 楽しみにしててね!」

Rハッピー「うんっ! ……じゃあ、行こう、サニー!」

Rサニー「がってんや!」


タタタタタッ…


Rピース「……ガンバって、二人とも……! 私に未来をくれた……私のヒーロー……!」

闇のケダモノ・山羊「ガッ……!?」パッ


バサッ バサッ


Rピース「……! あのオバケ、私の足を離して飛んだ!?」

オニニン(デコル)「二人を追うつもりオニ!?」

Rピース「そんなこと、させないっ!!」


Rピース「プリキュア! ピース・サンダー・ハリケェェーンッ!!」


バババババババッ!!


闇のケダモノ・山羊「ガァッ……!?」フラッ


ドォォォォォンッ…!


オニニン(デコル)「やったオニ! カミナリで怪物を橋の上に落としたオニ!」


闇のケダモノ・山羊「エェェェェェッ……!」ムクッ


Rピース「……! でも、まだ元気みたい……!」

オニニン(デコル)「やっぱり、戦わないとダメオニ……!?」


Rピース「…………」フルフル…

オニニン(デコル)「ピース……? 震えてるオニ……。コワいオニ……?」

Rピース「……みんなの前では強がっちゃったけど……、やっぱりちょっとね……」


闇のケダモノ・山羊「エェェェェェェェェーッ!!」


Rピース「……っ!」ビクッ

オニニン(デコル)「ピース……!」

オニニン(デコル)「……ピース、こういう時は笑うオニ」

Rピース「え……、笑う……?」

オニニン(デコル)「そうオニ! "ガッハッハ!" って、大声出して笑うオニ! そしたら、きっと元気出るオニ! さぁ、行くオニ!」

Rピース「オ、オニニン……!? そ、そんな急に言われても……!」


オニニン(デコル)「そーれ、ガッハッハ!」

Rピース「ガ……、ガッハッハ……!」

オニニン(デコル)「声が小さいオニ! もっと大きな声で笑うオニ! ガッハッハ!!」

Rピース「ガッハッハ……!」

オニニン(デコル)「ガッハッハ!!」

Rピース「ガッハッハ!」

オニニン(デコル)「ガッハッハ!!」

Rピース「……ふっ、ぷくくっ……!」


Rピース「あははははははっ!!」

オニニン(デコル)「お! いい笑い声だオニ! その調子オニ!」


Rピース「つられておかしくなっちゃったよぉ……! って、オニニン。これって、最初に私がオニニンに言ったことのマネっこだよね?」

オニニン(デコル)「でも、元気出たオニ?」

Rピース「うん!」ニコッ

オニニン(デコル)「……おれ様、妖精に戻ってから、前にしてた悪いことを思い出して、イジけてばかりいたオニ……」

Rピース「それなら私だって、ちょっとイヤなことがあると、すぐに落ち込んだりするよ……」

オニニン(デコル)「おれ様達、ダメダメコンビオニ」

Rピース「でも、だから私達はお互いをはげましてこられた。ダメダメだから、二人でガンバってこれたんだよね」


Rピース「一人ひとりはダメかもしれないけど……、二人そろえば最高のコンビだよ!!」

オニニン(デコル)「おうオニ!! そんなおれ様達の力、あのハラ立つジョーカーに見せてやろうオニ!」

Rピース「うんっ!!」

~ 虹の橋の上 ~

タタタタタッ


ジョーカーの声『おやおや、7人もいたプリキュアが、今やもう二人ですか……。随分さみしくなってしまいましたねぇ……!』

ジョーカーの声『さぞ不安でしょう? コワかったら、泣いてもいいんですよぉ?』


Rハッピー「そんなことしないよ!」

Rサニー「せや! どうせ泣くなら、みんなの未来を取り戻した後のうれし泣きや!」


ジョーカーの声『まだそんな減らず口を言う元気がありますか。そのやせガマンも、どこまで続くやら』


キャンディ(デコル)「ツラくても、ガンバるクル! キャンディ達は……、プリキュアは、絶対に勝つクルっ!」

ウルルン(デコル)「そうだウル! おめぇこそ、おれ達に負けてほえ面かくんじゃねぇウル!」

ジョーカーの声『んっふふふっ、コワいコワい! 楽しみにしてましょうかねぇ!』


ジョーカーの声『それでは、最後の闇のケダモノのお出ましです! 拍手でお迎えくださぁーいっ!』


ボフッ!


Rハッピー「! 雲の中から、何か飛び出してきたよ!」

Rサニー「最後、っちゅーことは……!」


闇のケダモノ・猪「ブォォォォォォォォッ!!」ドドドドドッ!!


Rサニー「やっぱオーレンの怪物か……!」

Rハッピー「あのイノシシのオバケ……、すごいパワーだったよね……!? どうしよう……!」

ウルルン(デコル)「でも、突っ込んで来るだけなら、わざわざ付き合うことねぇウル! 一回避けちまえばそれで終わりウル!」

Rサニー「お、ウルルン、珍しくええこと言うやん!」

ウルルン(デコル)「"珍しい" は余計ウル!」

Rサニー「ま、そういうことやったら、ひらりとかわして――」


ジョーカーの声『いいんですか、避けてしまって!? その闇のケダモノは止まりませんよぉ!? この虹の橋をまっすぐ、どこまでも下りていくでしょう!』

ジョーカーの声『そうしたら……、どうなりますかねぇ?』

Rハッピー・Rサニー「!」


Rハッピー「私達の後ろにいる、みんなが危ない……!」

Rサニー「それだけやないで……! もし橋を下りきってもうたら、町までヒドいことになってまう……!」

ジョーカーの声『それはそれで面白そうですねぇ! 私はどちらでも構いませんよぉ?』


ジョーカーの声『さぁ、どうします、お二人さん? さぁ! さぁ!?』

闇のケダモノ・猪「ブォォォォォォォォッ!!」ドドドドドッ!!


Rサニー「…………」


Rサニー「……そんなん、決まっとるわ」

Rサニー「……ハッピー。ちょっとこう、右手をたかーく上げてくれへん?」

Rハッピー「え……!? な、なんで今そんなことするの……? 前からあのオバケが来てるのに……!」

Rサニー「まだ "デスペア" までは距離があるから、ここに来るまではちょっとかかるって。ええから、早よ頼むわ」

Rハッピー「よ、よくわかんないけど……」


スッ


Rハッピー「これでいいの?」

Rサニー「……オッケーや」

パンッ!


Rハッピー「……!」

Rサニー「ハイタッチや。ここまで、みんなの手を渡って繋いできた気持ち。それと、うちの気持ち。確かに預けたで」

Rハッピー「ど、どうして、私に……? ……サニー、まさか……!」

Rサニー「うちはここから先へは行かれへん。やらなあかんことがあるからな」


闇のケダモノ・猪「ブォォォォォォォォッ!!」ドドドドドッ!!


Rサニー「……あれ、なんとか止められんのは、力の強いうちしかおらんやろ」

Rハッピー「で、でも……、それなら、二人で止めれば……!」

Rサニー「そしたら二人とも動かれへんやろ? せやったら、誰がジョーカー止めるん? 誰があの雲取っ払うん?」


Rサニー「今、それができるのはハッピーしかおらへん。せやから、ハッピーがやるんや」

Rハッピー「……私が……」

Rサニー「……にしても、面白い偶然やなぁ」

Rハッピー「え? 何が……?」

Rサニー「だって、うちら、スマイルプリキュアの物語は、全部ハッピーから……、みゆきから始まったんやで?」

Rサニー「そのみゆきが、たまたま最後に残って、最後の戦いをシメる。偶然にしてはおもろくない?」

Rハッピー「……言われてみればそうかも……」

Rサニー「せやろ?」


Rサニー「"みんなをハッピーにしたい" て、ずーっと思とるみゆきにとって、最っ高にオイシイ舞台や」


Rサニー「うちらの物語、パーッと明るいハッピーエンドにしたってや! 頼むで、みゆき!!」ニカッ

Rハッピー「あかねちゃん……」

Rハッピー「……ありがとう、あかねちゃん」

Rサニー「ん? いやいや、礼には及ばへんて! うちが残るのは、たまたま、今うちが一番役に立てるからや。立場が逆やったら、うちが行っとったんやろからな」

Rハッピー「それもあるんだけど……」

Rサニー「え? まだなんかあるん?」

Rハッピー「うん……」

Rハッピー「私が転校してきた時、最初に声をかけてくれて、ありがとう」

Rサニー「……!」


Rハッピー「あかねちゃん、さっき、"スマイルプリキュアは私から始まった" って言ってくれたけど、ホントは、もっと前からだったの」

Rハッピー「あの時、あかねちゃんが声をかけてくれたから、クラスのみんなが助けてくれて、みんなと繋がれた」

Rハッピー「みんなと繋がれたから、キャンディが危ない目にあった時も、ちょっとだけ勇気が湧いてきて、なんとかガンバろう、って思えた」

Rハッピー「そのおかげで私は、プリキュアになれた」


Rハッピー「だから、私達の本当の始まりは、キャンディやあかねちゃん、みんなに出会った時からだったんだよ。みんなが、私をプリキュアにしてくれたの」


Rハッピー「あかねちゃん。本当に、ありがとう」ニコッ

Rサニー「みゆき……! うんっ!」ニコッ

闇のケダモノ・猪「ブォォォォォォォォッ!!」ドドドドドッ!!


Rサニー「……! 来たわ。あの怪物がここに来るまで、もう少しやな」


Rサニー「ええか、みゆき。あいつはうちが止めてみせる。せやから後のこと、頼むで」

Rハッピー「うん! 絶対、みんなをハッピーにしてみせるよ!」

Rサニー「その意気や! ……よし! うちも気合入れんで!!」

闇のケダモノ・猪「ブォォォォォォォォッ!!」ドドドドドッ!!

Rサニー「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


ドガァァァァァァァッ!!


キャンディ(デコル)「サニーが受け止めたクル!」

Rサニー「ぐっ……! ……今や、みゆきぃぃっ!! 行きやぁぁっ!!」

Rハッピー「うんっ!!」


バッ

ストッ

タタタタタッ…


Rサニー「……よっしゃ。無事、跳び越えて、先に進めたみたいやな……!」

Rサニー「さて……、後はこいつをどないするか、やけど……!」


ズ…ズズズッ…!


Rサニー「く……! "レインボー・フォーム" のパワーでも、押されるんか……!?」

ウルルン(デコル)「おい、サニー! しっかりするウル! お前のパワーはそんなもんじゃねぇはずウル! それは、お前のパンチくらったこともあるおれが一番知ってるウル!!」

Rサニー「い、言われんでも……、わかっとるわぁっ……!!」グググッ…!


ズズズ…

ピタッ


闇のケダモノ・猪「ブ、ブォッ……!?」

ウルルン(デコル)「よしっ! 動きが止まったウル!」

Rサニー「ど、どないやぁぁぁ……っ!!」

Rサニー「……にしても……、さっきのウルルンの言葉で思い出したわ……!」

ウルルン(デコル)「あん? 何をウル?」

Rサニー「うちら……、本気でぶつかり合うたことも……あるんやな、って……!」


Rサニー「そんなうちらが……、今こうやって、同じ方向向いて、いっしょになってガンバっとる……! ……なんや、ふしぎやない……?」

ウルルン(デコル)「……言われてみりゃ、そうウル」

Rサニー「そのこと考えるとなぁ……、なんやようわからんのやけど……、胸の奥がこう……、熱うなってきよんねん……!」


Rサニー「コワかった敵が頼れる味方になって、そばにいてくれとる。そう思うと、体中がカッカしてきて……、……負ける気せえへんのやっ……!!」

ウルルン(デコル)「……あかね……」

ウルルン(デコル)「……それなら、負けるんじゃねぇぞ……!」


ウルルン(デコル)「おれもめいっぱい力貸してやるから! 絶対に負けるんじゃねぇぞ、あかね!!」

Rサニー「最初っからそのつもりや!! 最後の最後まで……頼むで、相棒!!」

ウルルン(デコル)「おうっ!!」

~ 虹の橋の上 ~

タタタタタッ


Rハッピー「はぁっ、はぁっ」

キャンディ(デコル)「ハッピー、ガンバるクル! "デスペア" はもうすぐそこクル!」

Rハッピー「うんっ!」


ジョーカーの声『ふふっ……、くくくっ……!』

ジョーカーの声『ひゃはははははっ!!』

Rハッピー「……!? な、何がおかしいの……!?」

ジョーカーの声『おかしいですとも!』


ジョーカーの声『いやぁ、私の差し向けた闇のケダモノをこうもやり過ごすとは……、さすがはプリキュア、お見事でした』


ジョーカーの声『ですが! それで残ったのがたったの一人とは! くくくくっ!』

ジョーカーの声『デスペア国王にさえ 7人がかりでないと勝てなかったあなた方が、どうやって一人で私に勝つというんです!? ぜひ教えていただきたいものですねぇ!?』


Rハッピー「…………」

Rハッピー「……なんとか、するよ……! ううん、しなくちゃいけないんだ……!」

Rハッピー「どうしたらいいか、全然わかんないけど……、でも! 私の手には、みんなからもらった気持ちがこもってるから!」


Rハッピー「あきらめることだけは、できないよ!!」


ジョーカーの声『……ふぅ、やれやれ。こうも聞き分けが悪いと、話す気にすらなりませんねぇ……』


ジョーカーの声『それでは、お話はおしまいです。"あきらめない" などと、二度と言えなくなるようにしてあげましょう』


ヌッ

ヌヌッ ヌヌヌッ


Rハッピー「……! 雲から……、何か出てくる……!」


アキラメーナA「アキラメーナァ……!」

アキラメーナB「アキラメーナァ……!」

アキラメーナC「アキラメーナァ……!」

アキラメーナD「アキラメーナァ……!」


ゾロゾロゾロゾロ…


キャンディ(デコル)「ア、アキラメーナクル……!」

Rハッピー「……すごい数……! 虹の橋が、埋まっちゃうくらい……!」


ジョーカーの声『んふふっ、どうです、今のお気持ちは? 闇のケダモノさえどうにかすれば、私の下まで来られると思ってはいませんでしたか?』

ジョーカーの声『ざぁーねんでしたぁ! この程度のアキラメーナだったらいくらでも作れるんですよ! キュアハッピー! あなたを止めるには、十分すぎる数ですよ!』


ジョーカーの声『結局、虹の橋は阻まれ、あなた方はどこにもたどり着けないのです!』

ジョーカーの声『さぁ、お行きなさいっ!!』


アキラメーナ達「アキラメーナァッ!」


ドドドドドドッ!!


キャンディ(デコル)「ハッピー、来たクル! 1、2、……、10……、20……! 数え切れないクルぅっ!」

Rハッピー「……それならっ!」


ダッ


Rハッピー「だぁぁぁぁぁぁっ!!」ダダダダッ

アキラメーナ達「アキラメーナァッ!」ドドドドッ


ジョーカーの声『む? キュアハッピー、アキラメーナの群れに突っ込んだ? 随分ムチャなことをしますねぇ』


アキラメーナA「アキラメーナァッ!」

Rハッピー「よっ!」バッ


アキラメーナB「アキラメーナァッ!」

Rハッピー「はっ!」バッ


アキラメーナC「アキラメーナァッ!」

Rハッピー「ととっ!」バッ


ジョーカーの声『ほう! 群れの中を、まるで踊るようにかき分けて進んでいるんですか! やりますねぇ!』


Rハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」


シュバッ!

シュババッ!


アキラメーナ達「ア……ガァァァァァッ……」シュワァァァァ…


ジョーカーの声『10本の指全てから光の線を出して、周りのアキラメーナ全部を切り裂いてしまいましたか! あれだけいたアキラメーナが全滅とは、さすがに最後まで残っただけのことはありますか……!』

ジョーカーの声『ですが、それもムダに終わるんですよ』


ヌッ

ヌヌッ ヌヌヌッ


アキラメーナE「アキラメーナァ……!」

アキラメーナF「アキラメーナァ……!」


Rハッピー「え……!? ま、まだ出てくるの……!?」

キャンディ(デコル)「ま、またたくさん来たクルぅっ!」

Rハッピー「……こうなったら……っ!」


バァァァァァァァァァァッ!!


Rハッピー「輝け! 希望の光!!」


Rハッピー「プリキュア!! ハッピー・シャイニングスタァァァァーーーッ!!!」


バシュッ!!

ドバァァァァァァァァァァッ!!


アキラメーナE「アガッ……」シュワァァァァ…

アキラメーナF「ガァァァァ……」シュワァァァァ…


Rハッピー「はぁっ、はぁっ、こ、これで、どう……!?」


ジョーカーの声『ふっ、ふふふっ……! ムダですよ、ムダムダ』


ヌッ

ヌヌッ ヌヌヌッ


Rハッピー「……ま、まだ……出せるの……?」


ジョーカーの声『言ったでしょう? この程度なら "いくらでも" 出せる、と』

ジョーカーの声『このアキラメーナ達は無限に現れますよぉ? あなたがあきらめるまでね!』


アキラメーナG「アキラメーナァ……!」

アキラメーナH「アキラメーナァ……!」


Rハッピー「う……!」

Rハッピー「う……、わぁぁぁぁぁぁっ!!」ダッ


Rハッピー「ハッピー・シャワーァァッ!!」

Rハッピー「ハッピー・シャワーァァッ!!」

Rハッピー「ハッピー・シャワーァァァァァッ!!」


ドドドドォォォォォォンッ!!


アキラメーナ達「ガァァァァァッ……」シュワァァァァ…


ヌッ

ヌヌッ ヌヌヌッ


アキラメーナI「アキラメーナァ……!」

アキラメーナJ「アキラメーナァ……!」


Rハッピー「……っ! キリがない……!」


Rハッピー「……お願い……! お願い、どいてよぉぉっ!! 早くしないと、"デスペア" が動いちゃう……! みんなの心が、不安だらけになっちゃうんだからぁっ!」


ジョーカーの声『うふふふっ! どくわけがないでしょう!』

ジョーカーの声『さっき言ったとおりですよ! あなたはどこにもたどり着けません! 何もできません! ゆーっくり、じーっくりと、自分の無力さを味わってくださぁい!!』

アキラメーナK「アキラメーナァッ!」


ガシッ


Rハッピー「え!? わっ!」ドタァッ

キャンディ(デコル)「ハッピー!? 転んじゃったクル!? どうしたクル!?」

Rハッピー「ア、アキラメーナが、私の足をつかんで離してくれないの!」


ジョーカーの声『これはチャンス! さぁ、みなさん! 一斉にキュアハッピーにのしかかりなさい!』


アキラメーナL「アキラメーナァッ!」バッ

アキラメーナM「アキラメーナァッ!」バッ

アキラメーナN「アキラメーナァッ!」バッ


ドカドカドカドカッ!


Rハッピー「う、くぅっ……!? ど、どんどん……重くなる……っ!」


アキラメーナO「アキラメーナァッ!」バッ

アキラメーナP「アキラメーナァッ!」バッ

アキラメーナQ「アキラメーナァッ!」バッ


ドカドカドカドカッ!


Rハッピー「う……あ……っ」


ジョーカーの声『ふふふっ、ひゃははははっ! もう身動きすらとれませんか!? 無様ですねぇ、キュアハッピー!』

ジョーカーの声『これでわかったでしょう!? あなた方の言う "希望" など、最初からなかったのです!』


ジョーカーの声『あなた方にあったのは、そう…… "絶望" だけです!!』

ジョーカーの声『さて、これで何をしても仕方がないと、よく思い知ったことでしょう』


ジョーカーの声『もう、あきらめなさい』


アキラメーナR「アキラメーナァ……!」

アキラメーナS「アキラメーナァ……!」

アキラメーナT「アキラメーナァ……!」

アキラメーナU「アキラメーナァ……!」


Rハッピー「…………」

Rハッピー「……イ……ヤ……!」


ジョーカーの声『……ん? 何か言いましたか?』


Rハッピー「イヤだ……って、言ったの……!」

Rハッピー「あきらめな、あきらめな、って、何回言われても……、私は絶対……あきらめない……」


Rハッピー「……はるかさん……」

Rハッピー「……れいかちゃん……」

Rハッピー「……なおちゃん……」

Rハッピー「……ゆかりちゃん……」

Rハッピー「……やよいちゃん……」

Rハッピー「……あかねちゃん……」


Rハッピー「私があきらめたら……、私をここまで送ってくれたみんなの夢も、私自身の夢も……あきらめることになっちゃうから……!」


Rハッピー「それだけは……それだけは、絶対にイヤ!!」

ズッ… ズルッ…!


ジョーカーの声『……!? キュアハッピー……、這いずりながら、進んでいる……!?』


Rハッピー「ちょっとでも……、ちょっとでも、前に行くんだ……!! 私の体が、動かなくなるまで……っ!!」


Rハッピー「この手にもらったみんなの気持ちを! 未来に届けるんだぁぁぁぁっ!!!」

バァァァァァァァァッ!!


キャンディ(デコル)「クル……!? ハッピーの右手が……光ってるクル……! キャンディのポーチの中の…… "夢の絵の具" も……!?」

キャンディ(デコル)「その光が……ハッピーの体中に広がっていくクル……!!」


Rハッピー「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


カァッ!!

ドバァァァァァァァンッ!!


アキラメーナ達「アガッ――」シュワァァァァ…


ジョーカーの声『これは……!? キュアハッピーの放った光で、のしかかっていたアキラメーナ全てが……一瞬で消えてしまった……? どこにそんな力が……』


ゴォォォォォォォッ…!!


ジョーカーの声『……いや、キュアハッピーのいたところに渦巻いている光……、あれは、キュアハッピーだけのものではない……!?』


ジョーカーの声『七色の……、虹色の光……!』

~ 虹色の光の中 ~

キャンディ「……みゆき……。みゆき、起きるクル」

みゆき「……ん……」

キャンディ「よかった……! 起きたクル、みゆき……!」

みゆき「……あれ……、ここ……どこ……? 周りが……虹色に光ってる……」

キャンディ「ここは、"夢の絵の具" 全部が出してる光の中クル」

パァァァッ…!


みゆき「キャンディ……!? キャンディの持ってる "レインボーパレット" が……、虹色に光ってるよ……!?」

キャンディ「"夢の絵の具" がキャンディに教えてくれたクル。みゆきに集まったみんなの気持ちが、"夢の絵の具" に新しい力を与えようとしてるって」

みゆき「あ、新しい……力……?」

キャンディ「さ、みゆき。みんなの気持ちがこもった右手で、"レインボーパレット" を触るクル」

みゆき「う、うん……」


ピトッ

バァァァァァァァァァッ!!


みゆき「わっ!? レ、"レインボーパレット" の光が……、もっと強く……!?」


パカッ

ヒューンッ…!

ヒュヒュヒューンッ…!


みゆき「"レインボーパレット" の中から "夢の絵の具" が飛び出して……、私の右手の上に集まってく……!」


ピカァァァァッ…!!


みゆき「"夢の絵の具" が混ざって……、一つになった……? これって……」

キャンディ「それが、"夢の絵の具" に伝わる伝説の、ホントの姿クル」

キャンディ「七つの色が――みんなの夢が、一つになった、全ての闇を払う希望の光……」


キャンディ「"白の夢の絵の具" クル」


みゆき「白の、夢の絵の具……!」

キャンディ「みゆき。その "白の夢の絵の具"、キャンディに貸してほしいクル」

みゆき「あ、う、うん。はい」


フワッ


キャンディ「……ピクチャーランドの大いなる光よ……。メルヘンランドの者に、希望を生み出す力を……!」


パァァァァァァッ…!


みゆき「"夢の絵の具" といっしょに、キャンディまで光って……!?」


ポンッ


みゆき「……! キャンディ、またデコルになっちゃった……!?」

みゆき「でも、このデコル……、今までに見たことない形……。これは……?」


キャンディ(デコル)「これは、"白の夢の絵の具" がキャンディの力を強くしてくれた、"ミラクルキュアデコル" クル」

キャンディ(デコル)「これを使えば、どんな闇でも払える、光のプリキュアに変身できるクル」


みゆき「光の……プリキュア……!」


キャンディ(デコル)「さ、みゆき。キャンディをスマイルパクトにはめて叫ぶクル! いつもみたいに!」

キャンディ(デコル)「"プリキュア! スマイルチャージ!!" って」


みゆき「…………」

みゆき「……どんな闇でも払える……、希望の光……」


みゆき「このデコルを持ってみて、なんとなくわかったよ……。この白い光は、私達みんなの心の光が合わさってできたものなんだね」


みゆき「みんなが、お互いを思いやる優しい気持ち……」

みゆき「みんなの、未来を目指す強い気持ち……」

みゆき「みんなの手を通して伝わって、今は私の右手にあるその気持ちが、私をここまで連れてきてくれた。私に、輝く力をくれた」


みゆき「このあったかい光、私が絶対に未来まで届けるよ」


みゆき「……行くよ、キャンディ」

キャンディ(デコル)「クルぅっ!」

パチンッ!

レディ!


みゆき「プリキュア! スマイルチャージ!!」


ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー!!

~ 虹の橋の上 ~

ドバァァァァァァァッ!!


ジョーカーの声『うくっ……!? 虹色の光の渦が……、更に強く輝いて……!』

ジョーカーの声『いや、七色が混ざり合って……、光の渦の色が虹色ではなくなっていく……!』


ジョーカーの声『あれは……白い光……!?』


ブワァァァァァッ…!


ジョーカーの声『光の渦が晴れていく……。その中にいるのは……プリキュア……?』


白いプリキュア「…………」


ジョーカーの声『キュアハッピー……、ではない……? "夢の絵の具" の力を解放した姿でもない……。あれは、一体……!?』

白いプリキュア「……全ての闇を払う、最後の希望。"白の戦士"」


白いプリキュア「未来を照らす、希望の光!!」


キュアハッピーエンド「"キュアハッピーエンド"!!」





つづく

次回予告

みゆき「みんながいたから、ここまで来れた。みんなが、私の手を引っ張ってくれたから、私はこんなにも輝けた」

みゆき「私はこの光でみんなの心を明るく照らして、不安や絶望を吹き飛ばしてみせるよ。そのために、どんなことがあっても、最後まであきらめない!」

みゆき「みんなが笑顔でウルトラハッピーになれるように、どんな暗闇でも越えて、未来へ向かって進むんだ!!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "キラキラ輝け! 未来の光!!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。


ここのところ、毎度毎度遅れてしまってスミマセン。。
最終章になったせいか、セリフ一つ一つの重要性が増してきてて、筆も重い重い。。

次回こそ、いつも通り、2/23(日) の 8:30 にアップ、、したいです。。
よろしくお願いします!


第1話 ~ 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)
第12話 ~ 第20話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)
第21話 ~ 第29話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)
第30話 ~ 第38話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 4 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379287447/)
第39話 ~ 第45話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 5 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386467175/)

第46話 >>4 から
第47話 >>109 から


番外編(クリスマススペシャル) 『スマイルプリキュア レインボー!』 スペシャル - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387890265/)

いつも通り、いただいたレスにお返事させてもらいたいんですが、
さすがに眠くなってまいりました。。

45話, 46話 へのレス、ありがたく見させてもらっていますが、
お返事はまた今度、改めてさせてください。。


では、次回もまたヨロシクお願いします!

おおお! いつの間にか vip ss 復活してますね!
やっと再開できる。。


48話はすでにできてるんですが、せっかくなので仕切りなおします。

次回アップは 3/9(日) 8:30 予定
ヨロシクお願いします!

最終回まであと1,2週間くらいといったところでしょうか。僕の予想としては。
ジョーカーやデスペアとの戦いはどんな展開になるのやら・・・激闘を期待します。

>>252

なおに関して、初めてジョーカーが攻めて来た時は1人で真っ先に家族の元に向かったのに(家族を優先)
最終戦の前に家に行った時は、中に入らずに外で見守っていたのは何故ですか?
どのような心境の変化が36話から46話までに、なおにありましたか?
また、今回>>151-152でれいかと皆を天秤にかけて悩んでいましたが、警官になれば身内ではなく皆を選ばないといけなくなると思います
結局なおが一番守りたかったのは家族ですか、皆ですか、それとも皆ですか?


あと、今まで感想に対して「今話す事でもない」とか「機会があれば…」で返事しなかった事を話して欲しいです

質問が多くて申し訳ありません

すいません、一番上の行の252は消し忘れです

後、「なおが一番守りたかった~」で「皆」を二回書いてしまいましたが、書きたかったのは「家族、皆、れいか」の3つでした

お久しぶりです! 随分とご無沙汰でした!

まさか vip ss 自体が事故るとは、、夢にも思わなんだ。。
しかもクライマックス前でなんて、、思わず大凶顔にもなろうってなもんです。


ですが、今日はやります!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!




スマイルプリキュア レインボー!

第48話「キラキラ輝け! 未来の光!!」



~ 虹の橋の上 ~

ジョーカーの声『キュアハッピーの姿が……、変わった……? "白の戦士・キュアハッピーエンド" ……?』


キュアハッピーエンド「(キッ)」


ゴォォォォォォォォッ!!


ジョーカーの声『あの、体から湧き上がる白い光……。明らかにキュアハッピーとは違う……』

ジョーカーの声『……全く新しいプリキュア、とでも言うのですか……!?』

キャンディ(デコル)(……おにいちゃんが言ってた、"夢の絵の具" の伝説……)


ポップ(回想)『"七つの色が一つになる時、全ての闇を払う光とならん"』


キャンディ(デコル)("七つの色" は、プリキュアのみんなの "未来に進む気持ち"……)

キャンディ(デコル)(みんながつないで、みゆきの中で一つになって大きくなったその気持ち――希望が、"全ての闇を払う白い光" なんだクル……!)

キャンディ(デコル)(……みんなで、シアンナを元に戻したあの時も、そうだったクル)


サニー(回想)『今や、ハッピィィィーっ!!』


ハッピー(回想)『キャンディィィィィっ!! お願い!! わたしに力を貸してぇぇぇぇぇっ!!』

キャンディ(回想)『クルぅぅぅぅぅぅぅっ!!』バァァァァァァッ!!


ポップ(デコル)(回想)『絵の具の光が混ざり合って……、ハッピー殿の放つ桃色の光が……どんどん薄くなっていく……! あれは……白い光……!?』


キャンディ(デコル)(……もうみんなくたくただったけど、"シアンナを助けたい" っていう気持ちが一つになって、奇跡の白い光が出たんだクル。そのおかげでシアンナは生まれ変われたクル)

キャンディ(デコル)(……そうクル。みんなの気持ちが合わされば、奇跡は起こるクル。だから、今度もきっと大丈夫クル!)


キャンディ(デコル)(どんなに闇が大きくったって……、きっとまた、希望の光が――みんなの、未来に進む気持ちが、奇跡を起こしてくれるクル!!)

ハッピーエンド「(ダッ)」


ダダダダダッ!


ジョーカーの声『……! あのプリキュア……、虹の橋を進んでくる……!?』

ジョーカーの声『アキラメーナ! あのプリキュアを止めなさい!』


アキラメーナA「アキラメーナァッ!」バッ

アキラメーナB「アキラメーナァッ!」バッ

アキラメーナC「アキラメーナァッ!」バッ


キャンディ(デコル)「みゆき! またアキラメーナがとんで来たクル!」

ハッピーエンド「だいじょうぶ!!」


バァァァァァァァッ!!


ジョーカーの声『うっ……!? 白いプリキュアを覆う光が……さらに強く……!』


アキラメーナA「ガァッ……!?」シュワァァァァ…

アキラメーナB「アガ――」シュワァァァァ…

ジョーカーの声『なんと……! 光に触れただけで、アキラメーナが浄化されてしまう……! 近づくことすらできない……!?』


ハッピーエンド「それくらいじゃ、もう、今の私達の気持ちは止められないっ!!」

ハッピーエンド「(ギュンッ!)」


ジョーカーの声『さらに走る速さが上がった……? まさか……、この "デスペア" に突っ込む気なのですか……?』


ジョーカーの声『ふふっ……、あははははっ! これはユカイ! この "デスペア" の中は、あなた方人間の心を黒く塗りつぶす闇で満ちているのです!』

ジョーカーの声『中に入ったが最後! あなたの心は黒く染まり、もはや絶望以外の感情を抱くことはなくなるでしょう!』

ジョーカーの声『あなたは何もできないまま、私の前に屈することになるのです!!』


ハッピーエンド「そんなことにはならないよ! この光で、どんな暗闇もはねのけてみせる! 絶対、あなたと "デスペア" を止めるんだから!」

ジョーカーの声『いいでしょう! ならば試してみてごらんなさい! あなたの光と "デスペア" の闇、どちらが強いか!』


ハッピーエンド「行くよ、キャンディ!」

キャンディ(デコル)「クルぅっ!」


ズボッ!


ジョーカーの声『くくく……、本当に "デスペア" の中に入るとは……! 闇に飲まれて消えなさい……!』

~ "デスペア" 内部 ~

ハッピーエンド「…………」スタスタスタ


ジワジワジワ…


ハッピーエンド「ジョーカーの言う通り……。周りの暗闇が、私に押し寄せてくるみたい……」

ハッピーエンド「……でもっ!」


カァァァァァァッ…!


キャンディ(デコル)「すごいクル……! みゆきの光で、暗闇が逃げてくクル……!」

ハッピーエンド「とりあえずだいじょうぶそうだね……」

パチパチパチパチ…


ジョーカー「いやぁ、大したものですね。本当に "デスペア" の闇をも退けてしまうとは」

ジョーカー「仕方ありませんねぇ。ここまで来てしまっては……、私が自ら相手をするしかないようです」


ハッピーエンド「ジョーカー……!」

ハッピーエンド「……ねぇ、ジョーカー。もう、悪いことするの、やめてもらえないかな……」

ジョーカー「はぁ? この期に及んで話し合いですか? 私が聞く耳を持つとでも?」

ハッピーエンド「あなたがやろうとしてることは、すごくヒドいことなんだよ……!」


ハッピーエンド「人の心を不安だけにしちゃったら、みんなツラくて、ガンバれなくなっちゃう……! ガンバれなかったら、その先にあるかもしれないハッピーもなくなっちゃう……!」

ハッピーエンド「もしあなたにほんのちょっとでもハッピーを感じる気持ちがあるんなら……、そんなことしないでほしいの」


ハッピーエンド「お願い、もうやめて……! みんなのハッピーをなくさないで……!」


ジョーカー「……ふむ……」

ジョーカー「……イヤですよぉぉぉだ!!」

ハッピーエンド「……!」


ジョーカー「ハッピーを感じる気持ち? ええ、それは確かに私にもありますよ」

ジョーカー「ただしそれは、あなた方が苦しんでいるのを見た時に感じるものです!」

ジョーカー「私は、あなた方人間の心に必ずある "不安" の化身! あなた方の苦しみこそが、私の喜びなのですよ! だから私は、不安しかない世界を作りたいのです!」


ジョーカー「誰もが怯え、苦しむ世界! そんな素晴らしい世界を作るのを、やめられるわけないじゃないですか! ひゃーっはははははははっ!!」


ハッピーエンド「…………」

キャンディ(デコル)「みゆき……、やっぱり、ジョーカーは聞いてくれないクル……!」

ハッピーエンド「うん……。でも、放ってもおけない……!」


ハッピーエンド「私、戦うよ。苦しみしかない世界になんて、絶対にさせない……!」

ジョーカー「そうですか。それは大変結構」

スミマセン、、急な仕事が入ったので、一時中断します。。
なぜこのタイミングで。。信じられない。。マジに大凶だ。。

片付き次第再開するので、しばらくお待ちください。

お待たせしました!
仕事片付いたので再開します。

ジョーカー「ですが、やる気になったところでムダですよ! 言ったでしょう? 私は、バッドエナジーをいくらでも取り込める力を手にしたと! この無限の力に、あなたごときが勝てるものですか!」バッ


ドンッ!!


キャンディ(デコル)「クル!? ジョーカーの手から、黒い光の弾が出たクル!?」


ジョーカー「くくっ。デスペア国王にも劣らないこの一撃、無事ではいられませんよ? さぁ、どうします?」


ハッピーエンド「…………」

ハッピーエンド「(ブンッ)」


バシィッ!


ジョーカー「な……!? か、片手ではねのけた……!?」


ジョーカー「く……、ならば、これならどうです!?」ゾロッ

キャンディ(デコル)「ジョーカーがたくさんのカードを出したクル!」

ジョーカー「私の力を込めたこのカード! これだけあれば避けられないでしょう!? 受けなさい!!」シュバッ

ハッピーエンド「避けたりなんてしないよ。私は、まっすぐ進むんだから!!」


ダッ!

ジュバァァァァァァッ…!


ジョーカー「……! カードが、プリキュアのまとう光に消されて……! そのまま、こちらに向かってくる……!?」


ハッピーエンド「だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」ブンッ

ジョーカー「パンチ……!? ならば……、"カードシールド"っ!」


ビラッ!

ガァァァァァァンッ!


ジョーカー「ふふっ、受け止めましたよ! この大きなカードの盾ならば、あなたを止めることなど――」

ハッピーエンド「はぁぁっ!!」グッ


ビシィィィッ

バリィィィィンッ…!


ジョーカー「や、破れた……!? わ、私の "カードシールド" が、こうも簡単に……!」

ハッピーエンド「はぁぁぁぁっ!」ブンッ

ジョーカー「キックが来る……! 防御を……!」


ガシィィィッ!!


ジョーカー「うぐっ……!(ヨロッ) 受け止めたのに、これほどの力……!?」

ハッピーエンド「やぁぁぁぁぁぁぁっ!」


ドガァァッ! ドガァァッ! ドガァァァッ!!


ジョーカー「く……! は、速く、強い……!? わ、私が、攻撃を防ぐのが精一杯ですって……!?」

ハッピーエンド「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ドガァァァァァッ!!


ジョーカー「くあっ……!?」グラッ…

キャンディ(デコル)「パンチがジョーカーに当たったクル! みゆき、今クル!」

ハッピーエンド「うんっ!」


ハッピーエンド「(バッ)」


パァァァァァッ…!


ジョーカー「……! こちらに向けたプリキュアの手に、白い光が集まっていく……!」

ハッピーエンド「いっけぇぇぇぇぇぇっ!!」


ドバァァァァァァァァッ!!


ジョーカー「プリキュアの手から光が……うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」


ドガァァァァァァァンッ!!

ドサァァァッ


キャンディ(デコル)「みゆき……すごいクル……! ジョーカーが倒れたクル……!」


ジョーカー「く……! 今の私の力はデスペア国王とそう変わらないはず……。それをここまで……」

ジョーカー「……本当に、先程までとは違うようですね……!」

ジョーカー「……ふっ、くくくっ……。そうですか、そうですか」ムクリ

ハッピーエンド「……!」

キャンディ(デコル)「ジョーカー、起き上がったクル……!」


ジョーカー「いやぁ、全ての "夢の絵の具" が集まり一つとなった力、見させてもらいましたよ。大したものです」

ジョーカー「"夢の絵の具" には "全ての闇を払う" などという伝説があるそうですが……、言うだけのことはありますねぇ。……ですが……」


ジョーカー「……あまり調子に乗るんじゃねぇぞ……!」ギロリ


ハッピーエンド「……!?」ビクッ

キャンディ(デコル)「クル……!? 急に顔つきが変わったクル……!」

ジョーカー「願い……? 希望……? 夢……? くっくくく……! 弱ぇなぁ!! くだらねぇなぁ!!」

ハッピーエンド「……私達の気持ちが……くだらない……!?」

ジョーカー「だってそうだろうが! その力を目いっぱい出しても、この程度なんだからよぉ!!」

キャンディ(デコル)「コ、コテンパンにされて、よくそんなこと言えるクル!」

ジョーカー「今までのがオレの全ての力だと思ってんのか? 言ったよなぁ……、オレには無限の力がある、ってよぉ……!」


ジョーカー「いいか。"未来に進む気持ち" だかなんだか知らねぇが、そんなもの、無限に広がる闇の中でどうにか小さく光ってるだけの弱っちぃもんに過ぎねぇんだよ……!」

ジョーカー「教えてやる! てめぇらの "心の光" なんて、より大きな "心の闇" に塗りつぶされるだけの存在でしかねぇ、ってことをなぁ!!」


ハッピーエンド「……心の……闇……?」

ジョーカー「集まれ! 世界中の人間の不安! あきらめる心!」


ジョーカー「今ここで一つになって、全ての光を黒く塗り潰す闇となるのだ!!」


ゴォォォォォォォォォッ…!!


ハッピーエンド「ジョーカーの体に……、黒い煙が流れ込んでく……!」

キャンディ(デコル)「あれは……、リアルランドのみんなの、濁った心の絵の具クル……! ジョーカーが飲み込んだフレスコ王子の力で、ムリヤリ吸い込んでるクル……!」


ジョーカー「ぐっ、ぐぅぅ……おぉぉぉぉぉぉ……っ!!」


メキメキメキッ…!


ハッピーエンド「ジョーカーの体が一回り大きくなっていく……!」


ジョーカー「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ドバァァァァァァァッ!!


ハッピーエンド「闇があふれて……、カタチが……変わった……」

キャンディ(デコル)「……みゆき、ジョーカーのかっこう、似てるクル……」

ハッピーエンド「うん……。あれって……、あれって、まるで……」


ハッピーエンド「……バッドエンド王国皇帝……ピエーロ……!」


ジョーカー「世界中のバッドエナジーを集めたオレは……、かつてのピエーロ様と同じ存在にまでなった……。姿が似るのも当然だ……」

ジョーカー「……なら、今はもうおられないピエーロ様に代わって、こう名乗らせてもらうとするか……!」

皇帝ジョーカー「我が名は、"皇帝ジョーカー"!!」


皇帝ジョーカー「全ての世界を、最悪の結末、バッドエンドに染める者!!」


ハッピーエンド「皇帝……ジョーカー……!」

ギュンッ!

バッ


ハッピーエンド「……!(ビクッ) き、急に目の前に……!」

皇帝ジョーカー「無限の闇の力、思い知れ……!!」パァァァッ…!

キャンディ(デコル)「ジョ、ジョーカーの手が黒く光ってるクル……!」


ドバァァァァァァァッ!!


ハッピーエンド「わぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

キャンディ(デコル)「み、みゆきが、黒い光に飲み込まれて……! みゆきぃっ!」

ハッピーエンド「く、ぅぅ……! ま、まだまだぁっ……!」


ハッピーエンド「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


バァァァァァァンッ!!


キャンディ(デコル)「やったクル! みゆきの光が、ジョーカーの黒い光をはじいたクル!」

スッ


皇帝ジョーカー「くくくっ、そうこなくっちゃなぁ……!」

ハッピーエンド「!? う、後ろ……!? くっ……!」


パァァァァァッ…!


ハッピーエンド「やぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ドバァァァァァッ!!

キャンディ(デコル)「さっきの白い光クル!」

皇帝ジョーカー「ははっ!」


ドガァァァァァァッ!!

シュゥゥゥゥゥッ…


ハッピーエンド「……! そ、そんな……。私の光が……、片手で、受け止められた……!?」

皇帝ジョーカー「さっきはこれでオレを吹っ飛ばせたのに、おかしいなぁ……? くくくく……!」ニヤニヤ

皇帝ジョーカー「そぉらっ!」ブンッ

ハッピーエンド「くっ……!」ガッ!

キャンディ(デコル)「やったクル! パンチを受け止めたクル!」

皇帝ジョーカー「受け止められるように、ワザと弱くしてんだよ……! あっという間にやられちまったら、面白くねぇだろうが……!」


皇帝ジョーカー「ほらほら、どんどん強くなるぞぉ? くくくっ!」ブンッ ブンッ


ドガァッ! ドガァァッ!!


ハッピーエンド「く……! ぐぅっ……!」

キャンディ(デコル)「みゆき……!? パンチを受け止めるので、せいいっぱいクル……!」

皇帝ジョーカー「さっきとは状況が正反対だなぁ!? ええ!?」


皇帝ジョーカー「そらそらそらそら!! ははははっ!!」


ドガガガガガァァッ!!


ハッピーエンド「ど、どんどん、パンチが速く……!」


ハッピーエンド(……このままじゃダメだよ……! 何か……、何かしなきゃ……!)

ハッピーエンド「……だぁぁぁぁぁぁっ!!」


ガァァァァァァァァンッ!!


皇帝ジョーカー「ほう! オレのパンチを自分のパンチで受け止めたか! ガンバるじゃねぇか!」

皇帝ジョーカー「なら、力比べと行こうか? オレとお前、どっちの力が上か」


ググググッ……!


ハッピーエンド「くっ……、うぅぅぅぅぅぅっ……!!」

皇帝ジョーカー「ほらほら、どうしたぁ? こっちは全然ビクともしねぇぞぉ? くひひひっ!」

皇帝ジョーカー「……これが、"心の光" と "心の闇" の力の差なんだよ」

ハッピーエンド「え……!?」

皇帝ジョーカー「夢だか希望だかをどんなに強く持っても、結局は不安や絶望には勝てっこねぇ」

皇帝ジョーカー「お前らがどんなにガンバろうが、最後には失敗して終わるんだよ」


ハッピーエンド「……そ……そんなこと……ない……っ!! だって、私達は……ちょっとずつだけど強くなって……、あんなにスゴかった……デスペア国王さんにも……わかってもらえた……!」

ハッピーエンド「だから……、だから、どんなことでも、ガンバれば、きっとどうにか――」

皇帝ジョーカー「なってねぇだろうが! 現に今!」グゥッ

ハッピーエンド「う……! ち、力が……もっと強く……! お、押される……!?」


皇帝ジョーカー「一度うまくいったからって、次もうまくいくとは限らねぇんだよ」

皇帝ジョーカー「いくら成功したところで、次で大失敗する可能性なんていくらでもあるんだ。そうしたらどうなる?」

皇帝ジョーカー「笑われ、バカにされ、お前らの心は深く傷つく。全てがイヤになる」

皇帝ジョーカー「その可能性がある限り、お前らの心から恐怖が消えることはねぇ。先の見えない真っ暗な未来が、怖くてしょうがなくなる」


皇帝ジョーカー「その恐怖こそが、お前達の心の闇。オレを形作ってる "不安" なんだよ」


ハッピーエンド「……不安……」

皇帝ジョーカー「前にも言ったよなぁ? お前達の心から、"不安" は決して消えることはねぇ。一度捨てても、必ず心の中に戻ってくる邪魔なカード―― "ジョーカー" だと」


皇帝ジョーカー「デスペア国王に勝ったがどうした? お前は今、オレの力に圧倒されて、手も足も出ねぇ」グググッ

ハッピーエンド「う……くっ……!」

キャンディ(デコル)「ど、どんどん押されるクル……!」

皇帝ジョーカー「"このままだと負けてしまう"、"そうしたら、世界中の人が大変なことになる" 今、お前の心の中にはそんな "不安" が新しく生まれはじめてるんじゃねぇのか?」


皇帝ジョーカー「今のお前は、不安を克服したわけじゃねぇ。気付かないフリをしてるだけだ」

皇帝ジョーカー「"失敗したらどうしよう"。"うまくいかなかったらどうしよう"」

皇帝ジョーカー「絶対消えないその気持ちに、夢だか希望だかでフタをして、見えなくしてるだけにすぎねぇんだよ」


ハッピーエンド「……そんな……!」

皇帝ジョーカー「お前達人間は、いつか必ずその "不安" に負ける。だってそうだろぉ? 絶対に倒せず、何度でも襲ってくるんだからなぁ。どんなに立ち向かってもムダなんだよ」

皇帝ジョーカー「そして、未来に希望なんてない、ってことがわかる。そのことに "絶望" し、何もできなくなる」

皇帝ジョーカー「何もできないから、何も変わらない。幸せになんて永遠になれっこねぇ」

皇帝ジョーカー「それこそが、お前達にとっての最悪の結末――バッドエンド」


皇帝ジョーカー「結局、お前達にはそれしかねぇんだよ。輝く未来なんてありゃしねぇ。今、お前がオレに何もできないのがその証拠だ」

皇帝ジョーカー「希望の力で戦うお前は、お前達の心の闇からできたオレに負ける」


皇帝ジョーカー「お前達は、自分の心に負けるんだよ」

ハッピーエンド「…………」

皇帝ジョーカー「ツラいだろぉ? 苦しいだろぉ? ホントはなにもかも放り出したい、自分の気持ちをゴマかすのはよぉ!?」

皇帝ジョーカー「今、ラクにしてやるよ……!!」バッ


ブワァァァァァッ…!


キャンディ(デコル)「ジョーカーの残った手が、みゆきの方を向いて……! 手のひらに、黒い煙が集まっていくクル……!」

ハッピーエンド「……!」

皇帝ジョーカー「終わりだ」


カッ!!

ドバァァァァァァァンッ!!!


ハッピーエンド「……ぁっ……」ドサァッ

キャンディ(デコル)「み、みゆきぃぃぃっ!!」

皇帝ジョーカー「そうやって這いつくばってりゃあいいんだよ。どうしようもなく弱ぇお前ら人間には、それがお似合いだ! ひゃはははっ!」

皇帝ジョーカー「……だが、念には念を入れておくとしようか……!」


パチンッ!

ジャラララッ! ジャララララッ!!


キャンディ(デコル)「こ、こりはなにクル……!? ジョーカーが指を鳴らしたら、黒い鎖がみゆきを縛って……、吊り上げていくクル……!」

皇帝ジョーカー「バッドエナジーで作った "闇の鎖" だ。動けなくなったそいつにはちょうどいいだろう?」


皇帝ジョーカー「そいつはそうやってずっと、心の闇に囚われ続ける。これからもずーっとなぁ! ひゃはははっ!!」


ハッピーエンド「…………」


キャンディ(デコル)「……そんな……」

キャンディ(デコル)「……そんなの、ウソクル……。きっと、すぐ目を覚ますクル……。ね、みゆき……?」

ハッピーエンド「…………」


キャンディ(デコル)「今までだってずっと、たくさんのピンチを乗り越えてきたクル……。だから、今度もだいじょうぶクル……?」

ハッピーエンド「…………」


キャンディ(デコル)「みゆき……ぐすっ……、なにか、なにか言ってクルぅ……! いつもみたいに……ひっく……、スマイルを……見せてほしいクルぅ……! みゆきぃ……!」

ハッピーエンド「…………」


キャンディ(デコル)「こんなの……、こんなの……、イヤクル……! イヤクルぅ……!!」


キャンディ(デコル)「みゆきぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」


ハッピーエンド「…………」

黒雲の怪物・デスペア『グ……ゴォォォォッ……!』


キャンディ(デコル)「……!? こ、この声……、なにクル……!?」

皇帝ジョーカー「これは……!」


皇帝ジョーカー「……くっ、ふひひっ……、ひゃははははっ!! これはいい! プリキュアが倒れると同時とはなぁ!!」

キャンディ(デコル)「な、なんのことクル……!?」

皇帝ジョーカー「ロイヤルクイーン、お前もわかってんだろうがよ……!」


皇帝ジョーカー「完成したんだよ、"デスペア" がなぁ!!」

キャンディ(デコル)「!!?」

皇帝ジョーカー「もう "デスペア" はオレの命令で自由に動かすことができる! 人間達の心を食うことだってなぁ!!」

キャンディ(デコル)「そんな……! 止められなかったクル……!?」


皇帝ジョーカー「さぁ、動け "デスペア"! 終わりの始まりだぁ!! ひゃーっはははははっ!!」


黒雲の怪物・デスペア『ゴォォォォォォォォォォォォッ!!』

~ 七色ヶ丘市 公園内 大木の下 ~

黒雲の怪物・デスペア『ゴォォォォォォォォォォォォッ!!』


セルリア「……!? ……雲が……叫んだ……!?」

ビリーズ「……っ! うるせぇっ……! なんつー声出しやがる……!」

シアンナ「あの叫び声……、今までと明らかに違う……! ……まさか……!?」


黒雲の怪物・デスペア『(グァァァァァァッ…!)』


ウィスタリア「見て……! あの雲の口っぽいとこが、どんどん開いてく……!」

シアンナ「まるで、全てを食べてしまおうとしているみたい……」


シアンナ「……間に合わなかったの……、プリキュア……!!?」

~ 虹の橋の上 ~

Rノーブル「……まだだよ……!!」


ペロー(デコル)「そうペロ、まだペロ……!!」

Rビューティ「まだ、先に行ってくれたみなさんがいます……!!」


ポップ(デコル)「うむ! 皆の衆も必ずや、力強く戦っているはず!!」

Rマーチ「なら、まだ終わってなんてないっ!!」


マジョリン(デコル)「そうマジョ! バッドエンドなんか絶対に来させないマジョ!!」

Rヴェール「あきらめる……もんか……!!」


マティ(デコル)「そうですわ! ここであきらめてはなりませんっ!!」

Rピース「私達は絶対、信じることをあきらめない!! ガンバってくれてる友達を信じるんだ!!」


オニニン(デコル)「あいつらなら絶対、絶対やってくれるオニ!!」

ウルルン(デコル)「おれ達だって、力の限りガンバり抜いてやるウル……!!」


Rサニー「そや、ガンバるんや……! あきらめんで、最後まで、みんなでガンバるんや……!!」


Rサニー「せやから……、せやから……っ!!」


Rサニー「ガンバれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!! みゆきぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

~ "デスペア" 内部 ~

ハッピーエンド「…………」


ハッピーエンド(……体が……動かない……。心の闇に……縛られてるから……?)

ハッピーエンド(この鎖も……、私の……弱い気持ちなのかな……。不安になったり、あきらめちゃったりするような……、そんな気持ち……)


ハッピーエンド(絶対に……、心から消せない気持ち………)

ハッピーエンド(ジョーカーの言う通り……、やっぱり、いつになっても弱い気持ちになっちゃうこと、あるよ……)


ハッピーエンド(プリキュアとしてガンバっても……、みんなをハッピーにできないんじゃないか、とか……)

ハッピーエンド(一生懸命絵本を作っても、次はなないろ幼稚園の子達も喜んでくれないんじゃないか、とか……)

ハッピーエンド(絵本作家になろうとしても、認めてもらえないんじゃないか、とか……)


ハッピーエンド(そんな風に、イヤな未来を想像しちゃうことも、あるよ……。だって私には、未来のことはわからないもん……)


ハッピーエンド(もしかしたら……、未来は真っ暗なのかもしれない……)

ハッピーエンド(…………でも、一つだけ、わかってることがある)

ハッピーエンド(くじけちゃいそうな弱い心の私でも、たった一つだけ、わかってることがある。それは……)


ハッピーエンド(私はもう一度、"あの日" に行きたい)


ハッピーエンド(私が、コンクールで朗読した "あの日" に……。それに、なないろ幼稚園で人形劇をやった "あの日" に……)

~ みゆきの回想 朗読コンクールの日 ~

パチパチパチパチパチパチパチパチ!


みゆき(回想)(……良かった)


みゆき(回想)(不安に負けないで、勇気を出して……)


みゆき(回想)(最後までちゃんとやれて、良かった!!)


みゆき(回想)『……ありがとうございました!!』ペコッ


パチパチパチパチパチパチパチパチ!


ハッピーエンド(……ガンバったおかげで、私だけの拍手がもらえた、あの日……)

~ みゆきの回想 幼稚園での人形劇の日 ~

みゆき(回想)『え……? このお花の形の首飾り、私にくれるの……?』

園児の少女・あけみ(回想)『うんっ! たのしいお話をしてくれるおねえちゃんのために、みんなでつくったんだよ!』

みゆき(回想)『……字が書いてある……。"えほんのおねえちゃん ありがとう" ……!』

園児の少年・こうたろう(回想)『お話読んでくれて、ありがとう! おねえちゃん!』

みゆき(回想)『……みんな……』


みゆき(回想)『こっちこそ、こんなステキなプレゼントをくれて……ホントにありがとう! ずーっと大事にするよ!』ニコッ

園児達(回想)『えへへ……』ニコニコ


ハッピーエンド(幼稚園のみんなに喜んでもらえて……、ステキな笑顔と、ステキなプレゼントをもらえた、あの日……)

ハッピーエンド(……そして、その日が、私にとってすごくステキな日になったのは……)


ハッピーエンド(……みんなが、いてくれたから)

ハッピーエンド(見えるよ、みんなの笑顔。聞こえるよ、みんなの言葉)


ハッピーエンド(みんなの気持ちをつないだ、この右手から伝わってくる)

あかね『みゆき、元気が欲しくなったらいつでも相談し』ニコッ


なお『落ち込んでるなんてみゆきちゃんらしくないよ』ニコッ


やよい『"笑ってないとハッピーが逃げちゃう!" でしょ?』ニコッ


れいか『私達にできることならお手伝いしますから。元気を出して』ニコッ


はるか『笑顔で、イヤな気持ちなんて吹き飛ばしちゃおう! ファイトだよ、みゆきちゃん!』ニコッ


ゆかり『みゆきセンパイ、ガンバってください……! わたし、いつでも応援してます……!』


ハッピーエンド(…………)


ハッピーエンド(みんな、ありがとう……!!)

ハッピーエンド(……そうだよ。やっぱり、立ち止まってなんていられない……! 私には、行きたい未来があるんだもん……!)


ハッピーエンド(うまくいくかなんてわからない。でも、やりたいことをやめることもしたくない)


ガシッ


ハッピーエンド(だから私は、私の弱い気持ちと戦うよ。みんなの気持ちと応援がたくさんつまった、この右手で)


メキッ…!

バキバキバキッ…!


ハッピーエンド(私の夢。みんなの夢。絶対に、未来に届けてみせる!!)


バキャァァァァァァッ…!!

ガシャッ… パラパラッ…!


ドサッ


皇帝ジョーカー「!? ……なんだ……? "闇の鎖" で宙吊りにしたはずのプリキュアが落ちてきやがった……!」

皇帝ジョーカー「バラバラになった "闇の鎖" も落ちてくる……。まさか……引きちぎったのか……!?」


カァァァァァァッ…!!


皇帝ジョーカー「……何だ、あの右手の輝きは……? さっきまでより強くなってやがる……。"闇の鎖" をちぎったのは、あの手か……?」


ハッピーエンド「はぁっ……! はぁっ……!」ヨロヨロッ…!

キャンディ(デコル)「み、みゆきぃぃぃ……!!」


皇帝ジョーカー「……立ちやがった……」

皇帝ジョーカー「……っ!」ギリッ


皇帝ジョーカー「……うっとおしいんだよ、いつまでもチョロチョロとよぉ……!」

皇帝ジョーカー「せっかくこれから "デスペア" を使って、楽しい楽しいバッドエンドを作るところだったのに、ジャマしやがって……!!」ギリギリギリッ

皇帝ジョーカー「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


ドバァァァァァァッ!!


キャンディ(デコル)「……! ジョーカー、今までよりずっと強く、バッドエナジーを出してるクル……!」

ハッピーエンド「はぁっ……! はぁっ……!」


皇帝ジョーカー「ゆっくり絶望を味あわせてやろうかと思ったが、もうヤメだ!! 今すぐ、そのうっとうしい光を完全に消してやる!!」


ダッ!!


キャンディ(デコル)「みゆき! ジョーカーが来るクル!」

ハッピーエンド「……っ!」


グワァァァァァァッ!!


キャンディ(デコル)「ジョーカーの手が黒く光って……! みゆき、逃げるクルぅっ!」

ハッピーエンド「…………」

ハッピーエンド「……私は逃げないよ、キャンディ」


ハッピーエンド「どんなにツラいことがあったって……! どんなにコワくったって……!!」


ハッピーエンド「私は、真っ直ぐに立ち向かうんだぁぁぁぁぁっ!!」


バッ!


皇帝ジョーカー「光る右手を前に出した……? そんなのでオレを受け止めるつもりかぁ!?」

皇帝ジョーカー「なら、その光ごと消えやがれぇぇぇぇっ!!」

皇帝ジョーカー「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

ハッピーエンド「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ドバァァァァァァァンッ!!

ブワァァァァァァァァッ…!!


キャンディ(デコル)「ジョーカーの手から闇があふれるクル……!」

ハッピーエンド「っ……!」

皇帝ジョーカー「そのまま闇に飲まれて消えろぉぉっ!! ひゃははははははっ!!」

皇帝ジョーカー「ひゃははは……、……は……?」


パキィィィィンッ!!


ハッピーエンド「……え……?」

皇帝ジョーカー「……なんだこれは……。オレの手を、受け止めてやがる……」


ハッピーエンド「……これって……、…… "ヴェール・カーテン" ……?」


皇帝ジョーカー「キュアヴェールの盾じゃねぇか……。それを、なんでこいつが出せる……!?」

ゆかり『だいじょうぶです、みゆきセンパイ』

ハッピーエンド「ゆかりちゃん……!」

キャンディ(デコル)「……! キャンディにも聞こえるクル……! ゆかりの声クル……!」


皇帝ジョーカー「……? なんだあいつら……。二人だけで、何言ってやがる……!?」

ゆかり『みゆきセンパイ、出会った時、わたしのことを守ってくれて、ホントに……ありがとうございました。今度は、私がみゆきセンパイのことを守ります』


ゆかり『だから、センパイは自分のやりたいことをせいいっぱいやってください! ガンバってください!』


シーーーン…


キャンディ(デコル)「ゆかりの声、聞こえなくなったクル……!」

ハッピーエンド「……ゆかりちゃんが、気持ちといっしょに力を貸してくれてたんだ……。この右手に……!」


ハッピーエンド「ありがとう……、ゆかりちゃん!」

はるか『じゃあ、次は私と一緒にやろっか!』

ハッピーエンド「! はるかさん……! はいっ!」

皇帝ジョーカー「……!? こいつ、また独り言を……!?」


ガシッ


皇帝ジョーカー「う、腕をつかまれた……!?」


はるか『みゆきちゃん。やりたい事があるなら、一生懸命やってみよう。やらないで、後で後悔なんてしないように』

はるか『みゆきちゃんがやりたい事は、みゆきちゃんにしかできない事だよ! だから胸を張って、前に進もう!!』

ハッピーエンド「はいっ!!」


ハッピーエンド「プリキュア! ストリーム・フォォォールっ!!」ブンッ

皇帝ジョーカー「こ、これは……、キュアノーブルの水の投げ技……!? じ、地面に叩きつけられる……っ!」


ドバァァァァァァンッ!!


皇帝ジョーカー「がぁっ……!」

皇帝ジョーカー「……調子に乗るんじゃねぇぇっ!!」バッ


カッ!!


ハッピーエンド「! ジョーカーの手から、黒い光が――」


ドバァァァァァァァンッ!!!


ハッピーエンド「うぁぁぁぁぁぁっ!!」

皇帝ジョーカー「ははははっ! モロに食らいやがった! そのまま闇の彼方まで吹っ飛んでいけぇ!!」


ハッピーエンド「……っ!!」ギリッ


ガリガリガリガリッ!!

ピタッ


皇帝ジョーカー「……!? 右手で地面を引っかいて……持ちこたえやがった……!」


れいか『大丈夫ですよ、みゆきさん!』

なお『あたし達がついてるから!』


ハッピーエンド「なおちゃん……! れいかちゃん……! ……うん!」

ハッピーエンド「(バッ)」

皇帝ジョーカー「また右手をこっちに向けて……、今度は何だ……!?」


れいか『みゆきさんの笑顔なら、きっとステキな未来までの "道" を切り開けます!』

なお『だからみゆきちゃん、自信を持って!』


なお『みゆきちゃんならきっとできる!』ニコッ
れいか『みゆきさんならきっとできます!』ニコッ

ハッピーエンド「うんっ!!」


ゴォォォォォッ…!


皇帝ジョーカー「右手の周りに、風と氷が渦巻いていく……!」


ハッピーエンド「プリキュア! スノーストォォォォームッ!!」


ドバァァァァァァァァァァァァッ!!


皇帝ジョーカー「猛吹雪が……! ぐぅぅぅぅぅぅっ……!?」


バキバキバキッ!!


皇帝ジョーカー「体が、凍っていく……!?」

やよい『今だよ! 行こ、みゆきちゃん!』

ハッピーエンド「うん、やよいちゃんっ!」


ダッ


皇帝ジョーカー「こ、こっちに向かってきやがる……!」


やよい『みゆきちゃんが困ってるなら、私、力いっぱい応援するよ。だって、みゆきちゃんは弱虫だった私を、ずっと応援してくれたんだもん!』

やよい『ガンバって、ヒーローみたいにカッコいい、なりたい自分になろう、みゆきちゃん!!』ニコッ

ハッピーエンド「うんっ!!」バッ


バチバチィッ!!


皇帝ジョーカー「今度は、右手からカミナリが……!」


ハッピーエンド「プリキュア! サンダー・ハリケェェェーーンっ!!」


バリバリバリバリッ!!


皇帝ジョーカー「がぁぁぁぁぁぁぁっ!? か、体が……しびれる……!」

皇帝ジョーカー「次から次へと……! なんなんだ、あの右手はぁぁぁっ……!?」

あかね『きいとんで、みゆき。ダメ押しや! ガツンと一発、かましたろやないか!』

ハッピーエンド「うん! あかねちゃんっ!」


ハッピーエンド「(パチンッ!)」


ゴォォォォォッ!!


皇帝ジョーカー「鳴らした指から炎が出て、プリキュアを包んでいく……!」


あかね『だいじょうぶやで、みゆき。コワいことなんかなんもあらへん』

あかね『みゆきにはいつだってうちらがついとる。もし失敗したりしても、いっしょに怒ったり、泣いたりしたる。うちらみんな、みゆきのことが大好きなんやから!』


あかね『せやから……、思いっきりやりや! 不安なんて、スマイルでやっつけてまえっ!!』ニカッ

ハッピーエンド「うんっ!!」ニコッ


ハッピーエンド「プリキュア! ファイヤー・バーニングぅぅぅぅっ!!」


ゴォォァァァァァァァァァッ!!


皇帝ジョーカー「ひ、火柱が、こっちに向かってくる……!」

皇帝ジョーカー「こ、氷と、しびれで……、体が自由に動かねぇ……!!」


皇帝ジョーカー「く……、くっそぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


ドガァァァァァァァァァンッ!!


皇帝ジョーカー「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


ドゴォォォォォンッ…!


キャンディ(デコル)「やったクルぅっ! ジョーカーが、飛んでいったクルぅっ!」

ハッピーエンド「はぁっ……!! はぁっ……!!」

皇帝ジョーカー「ぐ……がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ガバァッ!


キャンディ(デコル)「起き上がったクル……!」

ハッピーエンド「ま、まだ立てるの……!?」


皇帝ジョーカー「この程度で……、この皇帝ジョーカーが……やられるわけねぇだろうがぁぁぁっ……!!」

皇帝ジョーカー「"デスペア"ぁぁぁぁっ!! お前がしばらく動けなくなっても構わねぇ!! オレにありったけの力をよこせぇぇっ!!」

黒雲の怪物・デスペア『ゴォォォォォォォォォォォォッ!!』


ブワァァァァァァァァァッ…!!


ハッピーエンド「ま、またジョーカーに黒い煙が集まって……!」


ゴォォォォォォォォッ…!!


ハッピーエンド「ジョーカーの前で、黒い大きな玉になっていく……!」

キャンディ(デコル)「おにいちゃんが言ってた、"バッドエナジー砲" クル……!?」

皇帝ジョーカー「こいつは、そんな生易しいもんじゃねぇぞ……!」


皇帝ジョーカー「世界中の不安を集めたオレと "デスペア" の力をさらに集めた、全宇宙を黒く塗りつぶす闇…… "バッドエンド砲" !!」

ハッピーエンド「"バッドエンド砲" ……!」

皇帝ジョーカー「じわじわと人間達を苦しめて楽しもうかと思ったが、もうヤメだ……! てめぇなんかにいいようにされて、黙っていられるか……!! この闇で、全てを一瞬で闇に塗り替えてやる……!!」

皇帝ジョーカー「もう、お前らはおしまいだぁぁぁっ!! ひゃははははははっ!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!


キャンディ(デコル)「どんどん力が強くなるクル……! 周りの闇までふるえてるみたいクル……!」

ハッピーエンド「ど、どうにかして止めなきゃ……!」

皇帝ジョーカー「ムダだぁぁっ!! 何をしようが、もう止まらねぇ!!」

皇帝ジョーカー「これで、てめぇも……、世界中の人間達も……、バッドエンドだぁぁぁぁぁぁっ!!!」


ゴァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!


キャンディ(デコル)「闇が……、広がってくるクル!!」

ハッピーエンド「……っ!」

ハッピーエンド「……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ドバァァァァァァァァァァンッ!!


皇帝ジョーカー「……!!? "バッドエンド砲" を……右手で受け止めた……?」


ハッピーエンド「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


皇帝ジョーカー「く……! ……デスペアァァァァっ!! 力が足りねぇぞ!! もっとだ! もっとよこせぇぇぇっ!!」

黒雲の怪物・デスペア『ゴォォォォォォォォォォォォッ!!』


グワァァァァァァァッ!!!


キャンディ(デコル)「闇の力が……もっと強くなったクル……!」

ハッピーエンド「うっ!!? ぐ、くぅぅぅっ……!!」

ハッピーエンド「(ガクッ)」

キャンディ(デコル)「みゆき!?」

皇帝ジョーカー「ひざを……ついた……?」


皇帝ジョーカー「……ひっ、ひひひっ……! ひゃははははっ!! そうだ! そうでなくちゃあなぁ!! 夢だの、希望だの、そんなもんだけでどうにかなると思ったら、大間違いなんだよぉぉ!!」

皇帝ジョーカー「そのまま潰れちまぇぇぇぇっ!!」


ハッピーエンド「うっ、ぅぅぅっ……!!」グググッ…!


キャンディ(デコル)「……みゆき……!」

みゆき(回想)『キャンディがわたしのことを元気づけるためにみんなに頼んでくれたから、なんとか最後までやりきれたよ』

みゆき(回想)『本当にありがとう、キャンディ!』ニコッ


キャンディ(デコル)「……ダメクル……!」


みゆき(回想)『自分がガンバったおかげでみんながハッピーになって、わたしもハッピーになって……。こんなにうれしいことないよ……!』

みゆき(回想)『わたし、もっともっとガンバりたい! もっと多くの人達をハッピーにしてあげたいんだ!』


キャンディ(デコル)「……ぜったいダメクル……!!」


キャンディ(デコル)「みゆきも……、みんなも……、イヤなことがあってもガンバって、やっと行きたい未来を見つけられたクル……」

キャンディ(デコル)「そのためにガンバってるみんなは……、すっごくキラキラした、スマイルだったクル……!」

キャンディ(デコル)「そのスマイルを消すなんて……、みんなの未来を消すなんて……、そんなの……、そんなの……!」

キャンディ(デコル)「ぜったいダメクルぅぅぅぅぅっ!!!」


バァァァァァァァァァァァァァッ!!!


ハッピーエンド「……!? スマイルパクトが……光って……! ……キャンディ……!?」

キャンディ(デコル)「みゆき、ガンバるクル……! キャンディには応援しかできないけど……!」


キャンディ(デコル)「大好きなみゆきやみんなには! いっつもまぶしいスマイルでいてほしいクル!!」

キャンディ(デコル)「だから、負けちゃダメクル!! ガンバるクルぅぅぅっ!!!」


ハッピーエンド「……キャンディ……!」

ハッピーエンド「……そうだよね。私達が、どんなにツラい時でも、キャンディがいつもそばにいてくれた。はげましてくれた」

ハッピーエンド「そんなキャンディに何度も、何度も助けられてきたよね。今も、キャンディの声で、ガンバる勇気と元気をもらったよ」


ハッピーエンド「いつもありがとう、キャンディ。私も、大好きだよ」ニコッ

ハッピーエンド「(ダンッ!!)」


皇帝ジョーカー「!!? ……ふ、踏み込んで……立ち上がった……? "バッドエンド砲" を押し上げて……?」


ハッピーエンド「くっ、ぐぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」ググググッ…!!


皇帝ジョーカー「…………」

皇帝ジョーカー「……なんなんだ……」


皇帝ジョーカー「……なんなんだ、その右手の光はぁぁぁぁぁっ!!?」

皇帝ジョーカー「これだけの闇を、なんでそんなちっぽけな光が受け止められるんだぁぁぁぁぁっ!!」


ハッピーエンド「……ちっぽけなんかじゃ……ない……っ!!」

皇帝ジョーカー「……あ……!?」


ハッピーエンド「……あなたから見たら、ちっぽけかもしれないけど……っ!! 私にとっては、暗闇を進んで行くための……大事な光なの……!!」

ハッピーエンド「……この光は……、みんなのおかげで輝く光……!! みんなが支えてくれるから輝ける、私の光……!!」


ハッピーエンド「元気をあげて……、元気をもらって……!!」


ハッピーエンド「そうやって……、大切な誰かと……支えあえば……、心の光はいくらでも強く輝ける……!!」


ハッピーエンド「その光は……、目の前がどんなに真っ暗な未来でも明るく照らして……、自分だけのハッピーに導いてくれる……!!」


ハッピーエンド「この光があれば、誰だって……ハッピーエンドになれるんだよ!!」

ハッピーエンド「だから、私はこの光を! みんなにもらった強い気持ちを信じて、どんな時でも前に進み続ける!!」

ハッピーエンド「それで、いつかきっと、たくさんの人達をハッピーな笑顔にできる自分になる!!」


ハッピーエンド「それが私の……、それが私の……!!」


ハッピーエンド「ハッピーエンドなんだからぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

バァァァァァァァァッ!!


皇帝ジョーカー「プリキュアの右手が、強く輝いて……!!」


カッ!!

ドバァァァァァァァァンッ…!!


皇帝ジョーカー「…………」


皇帝ジョーカー「……バカな……。そんな、バカな……」

皇帝ジョーカー「…… "バッドエンド砲" が……かき消された……」

ハッピーエンド「(ザッ)」


皇帝ジョーカー「……!?(ビクッ) い、いつの間に、目の前に……!?」


ハッピーエンド「(ギュゥゥゥゥッ…!)」


皇帝ジョーカー「右手を握り締めて……、な、何をする気だ……」

ハッピーエンド「……みんなの気持ち」


ハッピーエンド「……みんなの願い」


ハッピーエンド「……みんなの希望」


ハッピーエンド「……みんなの、夢……!」


ハッピーエンド「全部……、全部、この手に込めて……!!」バァァァァァァァァァァァァァァッ!!


皇帝ジョーカー「み、右手の光が、どんどん強くなって……!!」


ハッピーエンド「未来へ、届けぇぇぇぇぇっ!!!」

ハッピーエンド「プリキュア!! ハッピーエンド・グリッタァァァァァァァッ!!!」


ドガァァァァァァァァッ!!!


皇帝ジョーカー「……が……ぁ……」


キャンディ(デコル)「みゆきの光のパンチが……ジョーカーのお腹に当たったクル……!!」


ハッピーエンド「……キラキラ輝け、未来の光……!」


ブワァァァァァァァァァッ…!!


皇帝ジョーカー「プリキュアの手から……光があふれて……、オ、オレの体が……消えていく……」

皇帝ジョーカー「……まさか……負けるのか……? あたりを包むこの広大な闇全てを操れるオレが……、こんな小さな光しか持たないヤツに……!?」


皇帝ジョーカー「そんな……そんなことが……!」

皇帝ジョーカー「…………だが……、くくっ……」

皇帝ジョーカー「……くひっ……くひひひっ……!」


皇帝ジョーカー「ひゃーっははははははっ!!」


皇帝ジョーカー「これで勝ったと思うなよ、プリキュアぁ! 肝心なことを忘れてねぇだろうなぁ!? ええ!?」

キャンディ(デコル)「ま、まだ何かあるクル……!?」

皇帝ジョーカー「言っただろうが! オレは、不死身なんだよ! なんせ、お前達人間の消せない心、"不安" の化身なんだからなぁ!!」


皇帝ジョーカー「お前達の心に不安がある限り、オレは何度でも甦る! 今、オレを倒したところで、完全に消し去ることは不可能! お前のガンバりもムダなんだよ!!」

皇帝ジョーカー「オレはまた必ず、お前達の前に現れる! いつ襲ってくるかわからない心の闇に、せいぜい怯えて暮らすんだなぁ! ひゃーっははははははっ!!」


ハッピーエンド「…………」

ハッピーエンド「……うん、待ってる」


皇帝ジョーカー「…………あ……? ……何て、言った……?」


ハッピーエンド「待ってる、って言ったの」

ハッピーエンド「ジョーカー、あなたの言う通りだよ。私達の心から、不安は絶対に消えないと思う」

ハッピーエンド「いつだって私達は、未来がコワくなって、落ち込んだり、あきらめそうになっちゃったりしちゃうよ」


ハッピーエンド「でも、だからって、不安から逃げちゃいけないんだよ」

ハッピーエンド「だって、不安は私達を苦しめるけど……、強くしてもくれるんだから」


皇帝ジョーカー「……何を……言ってる……」

ハッピーエンド「一人だと、心細くって不安になるよ……。だから、誰かといっしょにいたい、って思う」


ハッピーエンド「自分に自信がないと、未来が不安になるよ……。だから、そうならないように、今をガンバろうって思う」


ハッピーエンド「不安になりたくないから、大切な人達といっしょに、私達はガンバれる。ガンバれるから、強くなれる」


ハッピーエンド「強くなれるから、私達は笑顔になれるんだよ」

ハッピーエンド「だから私は、私達は、絶対に不安から逃げない。あきらめない。不安が何度でも襲ってくるなら、私達はその度にせいいっぱい戦うよ」


ハッピーエンド「いつでもキラキラ輝く、最高のスマイルでいるために!」ニコッ


皇帝ジョーカー「…………」

皇帝ジョーカー「…………ふぅ、やれやれ」


皇帝ジョーカー「いやはや。まさか心のジャマ札である私に向かって、"待ってる" なんて言うとは……、夢にも思いませんでしたねぇ」


皇帝ジョーカー「……本当に、わからない人達ですよ、あなた方は」

皇帝ジョーカー「いいでしょう。今回はあなた方の勝ちということにしておきます」


皇帝ジョーカー「ですが、忘れないでください」

皇帝ジョーカー「不安はいつだって、あなた方の心のどこかにある」

皇帝ジョーカー「絶望はいつだって、あなた方の足元に潜んでいる」

皇帝ジョーカー「一度足を踏み外せば、たちまちバッドエンドの闇に落ちてしまう、ということを、ね」


ハッピーエンド「うん」

シュワァァァァ…


皇帝ジョーカー「おっと、私の浄化も大分進んできたようですね。では、そろそろ退場するとしましょうか」


皇帝ジョーカー「また会いましょう。次は、こうはいきませんよ」ニヤリ

ハッピーエンド「私達も、負けないよ。またね」ニコッ


カァッ!!

バァァァァァァァァァァッ!!!

~ 虹の橋の上 ~

黒雲の怪物・デスペア『ガッ……!? ゴ……ァァァァァァッ……!?』


Rノーブル「え……!? な、何……!?」

ペロー(デコル)「"デスペア"、苦しんでるみたいペロ……!」

バァァァァァァァァァァッ!!!


Rビューティ「これは……! "デスペア" から、白い光が漏れています……!」

ポップ(デコル)「おお……! なんと美しく……、温かな光でござろうか……!」

闇のケダモノ・馬「ガ、ガァァァァァ……」シュワァァァァ…


Rマーチ「闇のケダモノが……、あの光を受けて、消えていく……!」

マジョリン(デコル)「っていうことは……、もしかして、もしかして……!」

Rヴェール「はぁっ……、はぁっ……、ど、どうなったの……かな……?」

マティ(デコル)「詳しいことはわかりませんが……、あの光からは、優しい力を感じますわ」

Rヴェール「じゃあ……!」

マティ(デコル)「はい! きっと!」

オニニン(デコル)「やよい! やっぱりやってくれたオニ! あいつらがやってくれたんだオニ!」


Rピース「うんっ……! きっとそうだよね、オニニン……!」

バァァァァァァァァァァッ!!!


ウルルン(デコル)「光が、どんどん "デスペア" を消していくウル……」

Rサニー「うん」


Rサニー(……やったんやな、みゆき!!)

黒雲の怪物・デスペア『ゴァァァァァァァァァァッ!!』


ドバァァァァァァァァァァンッ…!!

~ 虹の橋の上 ~

フワッ


みゆき「へ? ……って、き、急に足場がなくなって……うわわわっ! ふぐっ」ベシャッ

みゆき「うぅー、痛ぁー……、か、顔から落ちちゃった……」


キャンディ「……! み、みゆき……! 前……、前見るクル……!」

みゆき「え? なに、キャンディ、前って――」


みゆき「……わぁぁ……!!」

みゆき「……青い空……!」


みゆき「……白い雲……!」


みゆき「その下に伸びてく、虹の橋……!」


みゆき「"デスペア" が……、黒い雲が、なくなってる……!」

みゆき「……ってことは、キャンディ、私達……、私達……!」

みゆき「みんなの未来を……、守ったんだ……!!」

キャンディ「そうクル!」


みゆき「……やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! やったよ、キャンディ! 私達、やったんだよ!!」

キャンディ「クルぅっ! やったクル! やったクルぅっ!!」

フレスコ王子「……う……。こ、ここは……」


みゆき「お、王子様!? だ、だいじょうぶ……!?」

フレスコ王子「君は……キュアハッピーか……。一体、何がどうなったのだ……」

キャンディ「ジョーカーが浄化されたから、王子様だけ残ったクル!」

みゆき「ホントに!? やったね、キャンディ! マティちゃんもきっと喜ぶよ!」

キャンディ「クルぅっ! ハッピークル!」


フレスコ王子「……ハッピー、か……」


フレスコ王子(……だがしかし、本当にこれでよかったのだろうか……)

キャンディ「クル……! みゆき……、あっち見るクル……!」

みゆき「え? ……あっ……!」


タタタタタタッ


あかね「おぉーーいっ! みゆきぃぃぃーっ!!」


やよい「みゆきちゃぁぁーんっ!!」


なお「みゆきちゃんっ!!」


れいか「みゆきさぁぁーんっ!!」


はるか「みゆきちゃぁぁーんっ!!」


ゆかり「みゆきセンパーイっ!!」


みゆき「みんなぁっ!!」


あかね「やりよったなぁ、こいつぅ! あんなでっかいもん、キレイさっぱり消してもーて! このこのっ!」グリグリ

みゆき「い、痛いよ、あかねちゃぁん! 頭グリグリするの、やめてよぉ! あはははっ!」

ゆかり「……! マティちゃん、あそこ……!」

マティ「あ……! お兄様……っ!」

フレスコ王子「マティエール……」


はるか「今度こそ、感動のご対面だね……」

れいか「はい……!」

マティ「お兄様――」ダッ

フレスコ王子「来るな、マティエール!」

マティ「!?(ビクッ) え……?」

フレスコ王子「……私にはもう、お前を抱く資格はないのだ……」

ゆかり「そ、そんな……、どうして……!? マティちゃんは、お兄さんにすごく会いたがってたのに……!」


フレスコ王子「デスペアランドでジョーカーから聞いただろう、私の真意を」

はるか「……責任を取って、自分ごとジョーカーを消そうとした、っていう話?」

フレスコ王子「そうだ」

フレスコ王子「プリキュア。君達の活躍で、全ての世界はジョーカーの魔の手から守られた。そのことについては、感謝してもしきれないくらいだ。礼を言う」

フレスコ王子「……しかし、そんなジョーカーを受け入れ、悪事を犯した私に、何の罰がなくてもいいものだろうか……。もう少しで、取り返しのつかないことをしようとしていたというのに……!」

フレスコ王子「他の世界を破滅させようとした私の罪……、それは決して軽いものではない……。ピクチャーランドの民とて、勝手な想いで迷惑をかけた私のことを、許しはすまい……」


フレスコ王子「……私も、ジョーカーと共に消えるべきだったのだ……」


マティ「そんな……、お兄様……!」


みゆき「…………」

みゆき「……ねぇ、王子様。この虹の橋って、どこまで続いてるのかな?」

フレスコ王子「……? 急になんだ……? ……さぁ、わからないな……。君達にならわかるのか、プリキュア?」

みゆき「ううん、私にもわかんない。行ってみないとね」


みゆき「未来もきっと、この虹の橋といっしょだよ。どこに続いてるのか、行ってみないと誰にもわからないよ」


みゆき「王子様、さっき、"きっと誰も許してくれない" って言ってたけど、それもわからないよね? もしかしたら、ピクチャーランドの人達は許してくれるかもしれないよ」

みゆき「王様やマティちゃん、みんなと仲直りして、また元の楽しいピクチャーランドになる。みんなで笑い合える。そういう未来だって、あるかもしれないよ」

みゆき「だから、ね、王子様! 未来をあきらめないで、進んでみようよ! 王子様の未来は、キラキラ輝いてるかもしれないよ!」


みゆき「私達といっしょに行ってみようよ! この虹の橋の先――未来まで!!」


フレスコ王子「…………」


フレスコ王子「…… "未来は誰にもわからない" か。それがわかっていながら、前に進もうと思えるほど強いんだな、君達は……。……かなわないわけだよ」

パァァァァァァァッ…!


はるか「わっ、まぶしっ……!」

やよい「な、なに……!? 空が光って……!」


フワァァァァッ…!


テンペラ王「プリキュアの言う通りだ。フレスコよ」

フレスコ王子「父上……!?」

マティ「お父様……!」


ポップ「あれは……! ピクチャーランド国王・テンペラ様でござる!」

あかね「ひ、光といっしょに空から降りてきた……!? ハデやなぁ……!」

なお「驚くところ、そこ……?」


マティ「お父様! もう、お体の方はだいじょうぶなのでしょうか……!?」

テンペラ王「うむ。まだあちこち痛むが……、ピクチャーランドを覆っていた黒雲のバッドエナジー、"デスペア" がなくなったのでな。大分元気になったわ」

テンペラ王「本来ならば、ゆっくり寝ていたいところだが、そうも言っておれんのだ。……そこのバカ息子に罰を与えなければならんからな」

フレスコ王子「……!」


みゆき「あ、あのー、王様……。めでたしめでたしなんですから、あ、あんまりキビしいおしおきは――」

テンペラ王「すまないがプリキュア、しばし黙っていてもらえるだろうか。これは、我らピクチャーランドの問題なのだ」

みゆき「……はい」

テンペラ王「我が息子、フレスコ王子よ。先に自分でも言うた通り、他の世界を滅ぼそうとしたお前の罪は重い。覚悟はできておろうな?」

フレスコ王子「……はい。どのような罰も受け入れる覚悟です」

テンペラ王「……言うたな? ならば、ピクチャーランドの王として、お前に罰を与えよう。心して聞くがいい」


全員「…………」ゴクリ

テンペラ王「フレスコ王子よ、消えることは許さん。決してあきらめることなく、力の限り、全ての世界の平和のために未来へ向かって進め。……以上だ」


フレスコ王子「……は……!?」

全員「え……?」


フレスコ王子「ち、父上……! それはどういうことですか……!? それでは、まるで許されたも同然ではありませんか……!」

テンペラ王「何を聞いておったのだ? "決してあきらめずに" と言っただろう。これ以上厳しい罰がどこにある?」

テンペラ王「大体、あれだけのことをしておいて一人で勝手に消えようなどと、それこそ虫のいい話だとは思わんか?」

フレスコ王子「う……」


テンペラ王「まったく、お前は昔からそうだ……。頭は良くても、それだけに悩みやすい。そして、一度悩むと周りが見えなくなってしまう」

テンペラ王「その欠点は常日頃から "直せ" と言っていただろうが、このバカ息子が!」

フレスコ王子「…………」

テンペラ王「……とにかく、フレスコよ。一度ピクチャーランドに戻れ。自分だけで自分の未来を決めるでない」

テンペラ王「我々家族や、国民達……。お前を想う者達にも少しは……心配させろ」

フレスコ王子「……!! 父上……!」

テンペラ王「よいな!」

フレスコ王子「……はい……!」


はるか「…… "これにて、一件落着" ってとこだね」

マティ「お父様……! お兄様……!」

ゆかり「よかったね、マティちゃん……!」

マティ「はいっ……!」

テンペラ王「……さて、では我々はそろそろピクチャーランドに戻ろうとしようか」

テンペラ王「平和を取り戻したとはいえ、我が国は荒れたままだ。やらなければならないことはたくさんあるでな」


テンペラ王「伝説の戦士・プリキュア達よ。この度は、バカ息子のせいで本当に迷惑をかけた。すまなかった」

テンペラ王「そしてその活躍に、ピクチャーランドを代表して、心から感謝する。ありがとう」ペコリ


みゆき「い、いやぁー、そんなぁー」

あかね「王様に言われると、なんや、テレてまうなぁー……」

みゆき「……って、言ってる場合じゃない、王様、王子様! 帰っちゃう前に、渡したいものがあるんです!」

テンペラ王「む? 渡したいものとは?」

みゆき「……みんな、いいよね?」

やよい「……! うん、もちろんっ!」

はるか「元々借り物だったしね。ちゃんと返さないと」

みゆき「……ありがとう。じゃあキャンディ、出してくれる?」

キャンディ「わかったクル!」ゴソゴソ


フレスコ王子「……? 一体何を……」

みゆき「これです」


スッ


フレスコ王子「これは……! "夢の絵の具" に、"レインボーパレット"、それに、"ホープブラッシュ" ……!」

テンペラ王「むう……、ピクチャーランドの秘宝、返してくれるのか」

みゆき「もちろんです! この "夢の絵の具" の力を使えば、心の絵の具が元に戻るまで、ピクチャーランドを元気にできるかな、って思って」

テンペラ王「……! ただでさえ迷惑をかけたというのに、我らのことを案じてくれるのか……。すまぬ……」

みゆき「いいんです! みんながハッピーな方が、私達もハッピーですから!」ニコッ

テンペラ王「しかし、よいのか、プリキュア? 他はともかく、"夢の絵の具" は、お前達の大切な気持ちの固まりではないのか?」

フレスコ王子「そうだ。これは、君達の大切な夢だろう? それがなくなってしまっては、君達は……」

みゆき「だいじょうぶです。私達の夢はなくなったりなんてしません」


みゆき「だってしっかり、この胸の中にあるんですから!」


フレスコ王子「……!」

テンペラ王「……そうか」


テンペラ王「では、我が国の秘宝、確かに返してもらったぞ」

みゆき「はい!」

マティ「……あの、お父様、一つご相談したいことがあるのですが……」


テンペラ王「ああ、マティエール、お前は帰らんでもよいぞ。このままリアルアンドに残るがいい」

マティ「え……!?」

テンペラ王「"帰りたくない" と言うつもりだったのだろう? そのくらいわかっておる」


テンペラ王「このバカ息子のことを見てもわかるとおり、我らはリアルランドについて知らなさすぎる」

テンペラ王「だから、マティエールよ。お前が残り、ここの者達と共に過ごし、リアルランドのことについて学ぶのだ」

テンペラ王「これは重大な使命だぞ。しっかりと励むのだ。よいな?」

マティ「……! はい! ありがとうございます、お父様!」ニコッ

テンペラ王「……うむ」ニコリ


ゆかり「マティちゃん……、よかった……! またいっしょだね……!」

マティ「はいっ!」


はるか「……使命、だなんて言ってるけど、友達と別れたくないマティちゃんのことを気遣ってくれたのかな。王様も粋なことするね」

テンペラ王「それでは、さらばだ、プリキュア! この度の活躍、感謝する!」

フレスコ王子「本当にありがとう……! 君達のことは忘れない……! これからもマティエールを……妹を頼む」


フワァァァァァァッ…!


全員「…………」


キャンディ「……行っちゃったクル」

みゆき「うん」

みゆき「……それにしても、もうくたくたぁー!」ペタン

やよい「ガンバったもんね、私達……」ペタン

あかね「うー、この虹の橋、また降りなあかんのかなぁ……。けっこう手間やで……」

なお「まぁまぁ、いいじゃない! 平和になったんだからさ! ハイキング気分で行こうよ!」


はるか「……ちょっとみんな、気を抜きすぎじゃない? みんなの行く手にはまだ強敵が控えてるの、忘れてないよね?」

やよい「え……!? きょ、強敵……!?」

あかね「な、なんですか、それ……!? ジョーカーの仲間とか、まだおったりしたんでしたっけ……!?」

はるか「……やっぱり忘れてる。まぁ、大変だったし、しょうがないか」


はるか「言っておくけど、ある意味ジョーカーより強敵かもしれないよ。特に、なおちゃん、みゆきちゃん、あかねちゃん、やよいちゃんにとってはね」

なお「そ、それって一体……!?」

れいか「……あ。ふふっ、はるかお姉さん、それは……」

はるか「あ、わかった、れいかちゃん? そう、その強敵の名は――」

はるか「"高校受験" !!」


みゆき・あかね・やよい・なお「!!」


はるか「もうそんなに時間もないし、みんな、結構いいところ行こうとしてるんだから頑張らないとね! 帰ってちょっと休んだら、猛勉強だよ!」


みゆき・あかね・やよい・なお「…………」ダラダラ


なお「……そ……」


やよい「……そ……」


あかね「……そ……」


みゆき「……そっ……」




みゆき・あかね・やよい・なお「そうだったぁぁぁぁーーーっ!!」



みゆき(ナレーション)『こうして、私達の長い長いプリキュアとしての物語は、無事にハッピーエンドを迎えました』


みゆき(ナレーション)『ですが、はるかさんの言う通り、私達自身の戦いは、これからも続いていくのでした……!』

~ ふしぎ図書館 ~

なお「えぇーっと……、にちべい……、つうしょう、しょうこう……じょうやく?」

はるか「"日米修好通商条約" ね。"通商" と "修好" が逆だよ、なおちゃん」

なお「うぅー、こんがらがってきた……! やっぱり歴史はニガテだなぁ……!」


れいか「あかねさん、英語の練習問題、全問正解です……! すごいですね……!」

あかね「へへへっ、せやろ? はるかさんに鍛えてもろたおかげや! ニガテやった英語も、大分イケるようになったで!」

やよい「むふふ、愛の力だね、愛」ニヤニヤ

あかね「な……! べ、別にブライアンは関係ないやろ!?」

やよい「あれー? 私、ブライアンのことだなんて言ってないけど?」ニヤニヤ

あかね「~~~っ……! ひ、人のことより、自分の数学の練習問題、なんとかせぇ! ボロボロやんか!」

やよい「あっ、あっ、それは言わないでー……!」


みゆき「…………」グデーン…

はるか「……みゆきちゃん……。これは、キビしいね……。全教科ニガテってホントだったんだ……」

みゆき「……はい……」

はるか「……仕方ない。多少キツくなるけど、ビシビシいくよ。これも行きたい学校に行くためなんだから、頑張って!」

みゆき「……はーい……」


みゆき(ナレーション)『と、まぁ、こんな感じで、私達の受験勉強は続きました……』

みゆき(ナレーション)『他のみんなと違ってニガテな教科が多い私は、休みの日は朝から晩まで、れいかちゃん・はるかさんと猛勉強! ……確かに、ジョーカーとの戦いよりツラかったかも……』


みゆき(ナレーション)『……ですが……!』

~ 合格発表当日 七色ヶ丘高校 ~

みゆき「……! やったぁぁぁっ! みんな、あった! あったよ! 私の番号、あったぁぁっ!!」

なお「ホント!? よかったね、みゆきちゃん!」

あかね「に、しても、探すのに随分時間かかったなぁ……。一人だけ落ちてやせんかとヒヤヒヤしたで……」

みゆき「私もだよ……。……ホントに、よかった……!」

あかね「……せやな!」


タタタタタッ


やよい「おぉーい、みんなぁーっ!」

みゆき「あ、やよいちゃん! どうだった!?」

やよい「えへへっ」ピース

なお「それじゃ……、やよいちゃんも受かったんだ!」

やよい「うんっ!」

あかね「これでみんな、無事合格やな! よっしゃ、今日は合格祝いや! "お好み焼き屋 あかね"、貸切で食べ放題やぁ!!」

なお「え、ホント!? ホントにいくら食べてもいいの!?」ジュルリ

あかね「あ、なおは 5玉までな。ほっとくと店のもの全部食べかねへんからな」

なお「そんなには食べないよ!」


全員「あははははっ!!」


みゆき(ナレーション)『ガンバったかいがあって、私とあかねちゃん、なおちゃんは "七色ヶ丘高校" に、やよいちゃんは美術の高校 "鳥風高校" に無事合格! めでたく、春から高校生になれることになりました!』

みゆき(ナレーション)『れいかちゃん、はるかさん、ゆかりちゃん、マティちゃん、妖精のみんなもとっても喜んでくれて、あかねちゃんちで大宴会! とっても楽しかったです!』

~ 七色ヶ丘市 ショッピングセンター "Rainbow" ~

みゆき(ナレーション)『また、れいかちゃんの留学のための準備にも付き合って、お買い物に行ったりもしました』

みゆき(ナレーション)『……れいかちゃんと、お別れをするための準備です……』


れいか「……みなさん、私のために、今日はありがとうございました」

なお「何言ってんの、水臭い! あたし達とれいかの仲じゃない!」

あかね「せやせや! 気になんてせんでええんやで?」

れいか「……はい」


みゆき「れいかちゃん、元気ないね……」

はるか「……やっぱり、お別れするのがツラい?」

れいか「……少し……」


なお「…………」

なお「(ギュッ)」

れいか「なお……、私の手を握って……」

なお「いつもの、勇気が出るおまじない」


みゆき「あ、それなら私も!」ギュッ

あかね「うちもや!」ギュッ

やよい「私も!」ギュッ

はるか「私も」ギュッ

ゆかり「わ、わたしも……!」ギュッ

マティ「わたくしも!」ギュッ

れいか「……みなさん……」


なお「なんだか、ちょうど円陣っぽくなったね」

あかね「お、ほんなら、いっちょ気合入れるか!」

なお「うんっ!」

なお「青木 れいか! ファイッ、オーッ!」

6人「ファイッ、オーッ!」

れいか「……ありがとうございます、みなさん……! とても温かいです。手も……、心も……!」


なお「れいか、憶えててね。そのあったかさを忘れない限り――」

れいか「私は一人じゃない! ……よね、なお?」

なお「うん! 向こうに行っても、しっかりね!」

れいか「うんっ!」ニコッ


みゆき(ナレーション)『……れいかちゃんが留学するまでもう少ししかないけど……、それまでの、いっしょにいられる短い時間を大切に過ごしたいと思います!』

~ 七色ヶ丘市 文化センター ~

はるか「――ってなわけで、丸く収まりましたとさ。……お後がよろしいようで」


パチパチパチパチ!


中年男性「いやぁ、はるかちゃん、随分うまくなったねぇ!」

老年男性「ホントホント! 声もよく通るし、演技もうまくできてるよ!」

はるか「ホントですか!? ありがとうございます!」ニコッ


中年男性「うーん、それにしても……、こんだけ若くてキレイな女の子が、あえて落語ってのが、なんつーかこう……、粋だねぇ」

老年男性「落語の世界は女にゃキビしいけんども……、もしうまくデビューできたら、アイドルになれるかもしれんね」

中年男性「それはそれで、私らのアイドルがみんなのアイドルになってしまうようで、さみしいですなぁ……」

はるか「あはは、みなさん、気が早いですよ。私なんてまだまだですから、もっと精進しなきゃ!」

老年男性「その意気じゃ! ワシらみんな、はるかちゃんのことを応援しとるぞ!」

はるか「はいっ!」


みゆき(ナレーション)『はるかさんは、文化センターっていう施設の落語サークルに入って、練習をしてるみたいです! 私達も時々見に行きますけど、前よりもっと上手になっててビックリしました!』


みゆき(ナレーション)『そういえば、センターの入り口にやけに人が集まってると思ったら、遊びに来ていたシアンナさんとはるかさんが並んでるのを見て、アイドルか何かだと思われて大さわぎ、なんてこともありました』

みゆき(ナレーション)『二人とも、キレイだもんなぁー……。わたしもいつか、あんな風にステキになれるかな……』

~ 七色ヶ丘中学校 1-3教室 ~

みゆき(ナレーション)『そういえば、ゆかりちゃんに関係したことで、ビックリしたことがありました!』


1-3 担任教師「えー、それでは、転校生を紹介するぞ。……さ、キミ、入って」

紫髪の少女「はーいっ!」


スタスタスタ


ゆかり「……え?」

ゆかり・マティ「えぇぇぇぇーーーっ!?」

1-3 担任教師「な、なんだ、木下さんに、絵原さん。静かにしないか。知り合いなのか?」


1-3 担任教師「転校生の、"藤山 タリア" さんだ。みんな、仲良くするんだぞ」


タリア「へへへっ。と、いうわけだから、これからよろしくね! ゆかり、マティ!」ニカッ


マティ「タ、タリアちゃんが……、七色ヶ丘中学校に……?」

ゆかり「……うそ……」


みゆき(ナレーション)『そう、なんとあの、ウィスタリアちゃんが、七中に転校してきたのです!』

みゆき(ナレーション)『なんでも、リアルランドへの留学をしてるマティちゃんのボディガード役として、王様が来させたんだとか』


みゆき(ナレーション)『とにかく、仲よしの三人が揃って、みんな楽しそうでした!』

みゆき(ナレーション)『これから三人で学校で過ごして、笑ったり、喜んだり……、たくさんできるといいね!』

~ ピクチャーランド 絵の具の泉 ~

みゆき(ナレーション)『そうそう、王様といえば……、ピクチャーランドは、"夢の絵の具" の力で、元の元気な姿を取り戻したそうです!』

みゆき(ナレーション)『それに……』


キラキラキラ…!


フレスコ王子「これは……! シアンナ、前に聞いた話では、泉に湧いた絵の具はほんの一すくい、という話ではなかったか……?」

シアンナ「はい、そのはず、でしたが……」

テンペラ王「ふむ、随分湧き上がっておるな……」


シアンナ「……もしかすると、これは、プリキュア達が "デスペア" に向けてかけた虹の橋。あれが関係しているのかもしれません」

テンペラ王「ほう?」

シアンナ「プリキュア達の希望でできた虹の橋。あれは、"デスペア" とは逆に、見た者に希望を沸き起こさせるほどの力を持っていたようです」

シアンナ「そのため、あの虹を見たリアルランドの人々の心が、希望で満ち始めているのかもしれません」

テンペラ王「なるほどな。やれやれ……、何から何まで、プリキュアには世話になりっぱなしだな。のう、フレスコよ」

フレスコ王子「……まったくです」


泉の番人A「しかし、これで我々も仕事に精が出せるというものです」

泉の番人B「うむ。それもこれも、王様達が持ってきてくださった "夢の絵の具" の力で、元の姿を取り戻せたおかげですな」

泉の番人A「それに、絵の具の泉が湧きさえすれば、王子様ももうムチャをなさらずに済みますな」

フレスコ王子「……! ……知っていたのか」

泉の番人B「我ら、みな、王子様のなされたことは見ておりました。この国を "デスペアランド" に変え、リアルランドを危機に陥れようとしていたことは、国民みんなが知っております」


フレスコ王子「……ならば、さぞ、憎んでいるであろう……。私は、一時的にとはいえ、この国を闇に染めたのだからな……」

フレスコ王子「どうとでもしてくれて構わない。罰ならなんなりと受けよう」


泉の番人A・B「…………」

泉の番人A「……誰も、王子様を責めようなどという者はおりませんよ」

フレスコ王子「……!」

泉の番人B「王子様の行いが我らのためであることは、皆が知っております。それに、王子様がそのために、どれほど苦しんでおられたかも。そんなあなた様を、どうして責められましょう」


泉の番人A「王子様が罰を受けなければならない、というのであれば、その王子様を止めることができなかった、我々もです」

泉の番人B「罪はみんなで背負い、軽くしようではありませんか、王子様」

フレスコ王子「……お前達……!」

テンペラ王「……フレスコよ、プリキュアの言った通りになったな」


みゆき(回想)『未来をあきらめないで、進んでみようよ! 王子様の未来は、キラキラ輝いてるかもしれないよ!』


フレスコ王子「……はい……!」


フレスコ王子(プリキュア……、罪を犯した私の未来はどのようなものか、まだわからない……)

フレスコ王子(だがそれでも、君達のように未来へと進んでいこう。私を想ってくれる……大切な者達と共に)

~ 七色ヶ丘市 公園前 ~

みゆき(ナレーション)『ピクチャーランドの人達といえば、こんなこともあったっけ……』


スタスタスタ


みゆき「んっふふーん♪ お買い物終了ー! 今日のごはんはハンバーグー、っと!」


ビリーズ「……ん? お、みゆきじゃねーか! よぉ!」

みゆき「ビ、ビリーズさん!? またベンチで寝てるんですか?」

ビリーズ「おお。いやー、日差しがあったかくなってきたろ? ポカポカしてっと、どーにも気持ちよくなっちまってな……。つい、ウトウトと……」

みゆき「それは、良くわかりますけど……。ピクチャーランドのお仕事、だいじょうぶなんですか?」

ビリーズ「仕事はちゃんとやってんよ! 壊れた町の修理とかよ。今はきゅーけいだ、きゅーけい!」

みゆき「は、はぁ……」

ビリーズ「それによ、ぶっちゃけ、オレなんかよりシアンナとセルリアの方がよっぽど仕事できんだよなぁ。あいつらがいりゃ、別にオレなんかいなくても――」


シアンナ「いいわけないでしょう……!」


ビリーズ「!?(ビクッ) よ、よぉ、シアンナ……、セルリア……。いつこっちに来たんだ?」

セルリア「……たった……今だ……。……仕事をさぼった……お前を探しにな……!」ザワザワッ…!

ビリーズ「……わ、わかった。戻る、戻るからよ、髪の毛で縛るのはやめよーぜ……。な?」

セルリア「うるさい」


ビシュルルルッ! ギリギリギリッ!


ビリーズ「いててててっ!? やめろやめろ! お前の髪の毛、食い込んでいてーんだよ!」

セルリア「……それなら……最初から……ちゃんと仕事しろ……!」

シアンナ「さ、行きましょう。ビリーズ、あなたの仕事は休んだ分だけ増やしておいたわ。痛いのが嫌なら、真面目に働くのね」

ビリーズ「わかった! わかったから引きずんなってーっ! いてててててっ!」ズルズル


シアンナ「騒がせたわね、みゆき。今度、休みが取れたら、プリキュアのみんなとどこかへ遊びにでも行きましょう」ニコリ

みゆき「あ、は、はい!」

シアンナ「それじゃあ、また」シュバッ


みゆき・キャンディ「…………」ポツーン…


みゆき「……ねぇ、キャンディ。このやり取り見るの、何回目だっけ?」

キャンディ「もう 4回目くらいクル」


みゆき(ナレーション)『……ピクチャーランドも、いろいろタイヘンみたいです……』

みゆき(ナレーション)『そのピクチャーランドが忙しくなると、仲のいいメルヘンランドもタイヘンみたいで……』


みゆき(ナレーション)『妖精のみんなも、それぞれの道を歩き始めました』

~ お好み焼き屋 "あかね" ~

コトッ


あかね「ほれ、あかねちゃん特製 "肉モリモリ焼き" や」

ウルルン「おほーっ! いいウル、あかね!? いつもは "肉は高いから" って、あんまり食わせてくんねぇのによ!」

あかね「ええて。今日は誰もおらへんから、気にせず食べや」

ウルルン「よっしゃぁっ! いっただきまーす、ウル! ガツガツガツ……!」

あかね「うまいか?」

ウルルン「おお! サイコーだウル!」


ウルルン「……でも……、このオコノミヤキも、もうすぐ食べられなくなっちまうんだな……」

あかね「……そう思ったからフンパツしたんや。もうすぐ、メルヘンランドに帰らなあかんのやろ?」

ウルルン「おう……」

あかね「そか……」


あかね・ウルルン「…………」

あかね「……なぁ、ウルルン。うちとあんたは、なんちゅーか……、ケンカ友達みたいなもんやったけど……、その……」

あかね「いっしょにおって、楽しかったで」


ウルルン「……へっ、今さら何言ってやがるウル。そんなん……こっちだっていっしょウル」

ウルルン「ありがとよ、あかね。楽しかったぜ」


あかね「うん。へへへ」ニカッ

ウルルン「ウルッフッフッ」ニカッ

~ 黄瀬家 やよい自室 ~

やよい「(カリカリ)」

オニニン「(ペタペタ)」


やよい「……できたぁっ! 新作完成っ!」

オニニン「やったオニ! さっそく梅沢さんに見せに行くオニ!」

やよい「と、その前に、原稿のチェックしよう! 私も見るから、オニニンもお願いね!」

オニニン「わかったオニ!」


やよい「(ペラッ)」

オニニン「(ペラッ)」


オニニン「……ん? やよい、このコマ……。ここんところに小さく描いてあるキャラクター、もしかして……おれ様オニ?」

やよい「あ、うん。ちょっと描いてみたんだ」


やよい「オニニン、もうちょっとで……いなくなっちゃうでしょ……? だから、漫画の中に描いておけば、いつでも会えるかな、って思って……」

オニニン「……やよい……」

やよい「……ありがとね、オニニン。オニニンが手伝ってくれたり、はげましたりしてくれたから、私は漫画家になれたんだよ」

オニニン「そんなことないオニ。やよいは、強い子オニ。きっとおれ様がいなくても、立派に漫画家になってたオニ」


オニニン「……でも、そう言ってくれて、すごくうれしいオニ……! ありがとうオニ、やよい!」ニコッ

やよい「うんっ! こちらこそ、ありがとう、オニニン!」ニコッ

~ 緑川家 居間 ~

なお「さて、今日はみんな出かけてるし、今のうちに家中大掃除しちゃおっかな!」

マジョリン「それなら、あたしも手伝うマジョ! ……せめて、ちょっとでもみんなの役に立ちたいマジョ」

なお「マジョリン……」


なお「ねぇ、マジョリン。やっぱり、うちの家族になるって話……」

マジョリン「……ダメなんだマジョ。あたしには、メルヘンランドでの仕事があるマジョ」

なお「ならせめて、みんなに紹介だけでもさせてもらえないかな? ずっとこの家にいたマジョリンのこと、みんなが知らずじまいっていうのはなんだか……、さみしいよ……」

マジョリン「余計ダメマジョ……。そんなことしちゃったら……、別れるのがもっとツラくなっちゃうから……イヤマジョ……」

なお「…………」


なお「……あれ? この落ちてるスケッチブック、こうたの……?」ペラッ

なお「……! これって……」

なお「……ねぇ、マジョリン。じゃあ、これを持っていってよ」ビリビリッ

マジョリン「マジョ……? スケッチブックのページを切り取って……、何が描いてあるマジョ?」

なお「いいから、見てごらんよ。はい」

マジョリン「……??」ペラッ


マジョリン「……! "よーせーさん" ……? この絵、もしかして……、あたしマジョ……?」

なお「……こうたは、気付いてたのかもね、マジョリンのこと」


なお「もしこうたにマジョリンのこと聞かれたら、あたしは言うよ。"この家には、ちょっとひねくれてるけど、とっても優しい妖精さんが住んでたんだ"、って」

マジョリン「……なお……!」

なお「マジョリン。いつでも、ここに帰ってきていいんだからね。ここは、マジョリンの二つ目の家なんだから」


マジョリン「……マジョ……! ありがとうマジョ……、なお……!」


なお「(ニコッ)」

~ 藍沢家 はるか自室 ~

はるか「(シュッシュッ) ……、どう、ペロー君。ブラッシング、気持ちいい?」

ペロー「最高ペロ……。ずっと、こうしてたいペロ……」


ペロー「……ずっと……、こうしてたかったペロ……」

はるか「……ペロー君……」


はるか「……やっぱり、帰らないといけないんだよね……」

ペロー「ペロ……。ぼくは "長靴をはいたネコ" として、メルヘンランドでお仕事しないといけないペロ」

はるか「絵本の中で、みんなに夢や希望を与えるんだよね。……ステキな仕事だね」

ペロー「ペロ」

はるか「私、ペロー君が立派にお仕事するのかと思うと、うれしいよ。甘えん坊なところもあるけど、ちゃんとお仕事できるんだよね」

はるか「……私が、いなくても、立派に――」


ポタッ


ペロー「ペロっ……? 何か、頭に落ちてきたペロ……。水ペロ……?」


はるか「…………」

ペロー「……! はるかさん……。泣いてる……ペロ……?」

はるか「……ごめん……、やっぱり、ダメだった……。ペロー君の前じゃ泣かない、って……決めたのに……」


はるか「私ね……、ペロー君といて、本当に……、本当に、楽しかったんだよ。だから、……いなくなるのが……さみしいよ……!」

はるか「甘えてたのは、私の方だったのかもね……」

ペロー「はるかさん……!」

はるか「……でも、泣くのはこれで最後。だって、私が泣いてたら、ペロー君帰れないもんね。だから、笑って見送るよ」


はるか「今まで、ありがとう、ペロー君! メルヘンランドでもガンバってね!」ニコッ


ペロー「ペロっ!」ニコッ

~ ふしぎ図書館 ~

れいか「ポップさん、やはり行ってしまうんですね……」

ポップ「うむ……。拙者も、とても名残惜しいでござるが……、致し方ないでござる」

ポップ「今の拙者はメルヘンランドを預かる身。先に帰っていろいろ頑張らねばならないのでござるよ」

あかね「そか……。ポップはタイヘンやな」

やよい「応援してるよ、ガンバってね!」

ポップ「ありがとうでござる、皆の衆!」


みゆき「みんなも、行っちゃうんだね……」

ウルルン「おうウル」

あかね「……元気でな、ウルルン」


やよい「またね、オニニン」

オニニン「またやよいの漫画が読めるの、楽しみにしてるオニ」


なお「マジョリン、あたし達のこと、忘れないでね」

マジョリン「忘れるわけないマジョ。なお、みんな、元気でマジョ!」


ペロー「時々こっちに遊びに来るペロ! ぼくとはるかさんの物語は、まだまだこれからペロ!」

はるか「うん、待ってる!」


ポップ「それでは、れいか殿、拙者達はこれにて失礼させてもらうでござる。れいか殿にいただいたリアルランドの本、ありがたく読んで勉強させてもらうでござる」

れいか「はい……! 私とポップさん、共に "道" は違っても、お互い、頑張りましょう!」

ポップ「うむ!」

キャンディ「……おにいちゃん……」

ポップ「こら、キャンディ。ロイヤルクイーンたる者、そのようなしょぼくれた顔をしていてはダメでござるよ」

ポップ「前もって話しておいたでござろう? お主には、大事な使命があるのでござる。そのために、頑張るでござるよ」

キャンディ「……わかったクル」


キャンディ「おにいちゃん、キャンディはぜったい、立派なロイヤルクイーンになってメルヘンランドに帰るクル」

キャンディ「それまで、メルヘンランドをよろしくクル!」ニコッ

ポップ「ふふ、キャンディ、頼もしいことを言うようになったでござるな。楽しみに待っているでござる」

ポップ「それでは、皆の衆! また会う日まで、さらばでござる!」

れいか「ええ! いつか必ず、また会いましょう!」


バサッ バサッ バサッ…


なお「ポップ達の入った本、飛んでっちゃったね……」

あかね「……さみしくなるな」

やよい「うん……」

はるか「でも、みんなに心配かけないように、私達もガンバらなきゃね!」

れいか「はいっ!」

あかね「ところで、ポップの言うとったキャンディの "使命" ってなに?」

みゆき「あ、うん、私は先に聞いてたんだけどね――」


キャンディ「実は、またしばらくこっちにいられることになったクル!」

全員「ええっ!?」


はるか「じゃあ、キャンディちゃんだけ残るってことなの?」

キャンディ「クルぅっ! マティといっしょクル! キャンディも、リアルランドのこと、もっともっと勉強して、立派なロイヤルクイーンになるクル!」

ゆかり「そうなんだ……!」

マティ「それでは、いっしょにガンバりましょう、キャンディ!」

キャンディ「クルぅっ!」

みゆき「……キャンディ」


キャンディ「みゆき。これからも、よろしくクル!」ニコッ


みゆき「うんっ!」ニコッ

みゆき(ナレーション)『こうして、色んな出来事があったりして、少しずつ、時間は過ぎていきました』


みゆき(ナレーション)『そして、ついにその日が近づいてきたのです』

みゆき(ナレーション)『七色ヶ丘中学校、卒業式』


みゆき(ナレーション)『私達の、旅立ちの日です』





つづく

次回予告

みゆき「今まで、いろんなことがありました。数え切れないくらいのツラいこと……、苦しいこと……」

みゆき「そして、それよりずっとたくさんの、楽しかったこと……、うれしかったこと……」

みゆき「その思い出を胸に、私達は、旅立ちます!!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』最終回!! "未来へ届け! 希望の架け橋!!"」

では、いただいたレスにお返事させていただきます!
ここのところバタバタしてて、、いつからしてなかったっけ。。

過去回のレスに関しては、まとめて返させてもらえれば、と思います。



> 第45話について

前半3幹部の復活についてご意見いただいてましたね。
好かれてたんだなぁ、こいつら。。ありがとうございます。

このシーンはずっとやりたかったんで、「やっと書けた!」ってカンジでした。


思えば、前半3幹部で 1年やってもよかったのかもしれませんが、そうしなかったのには一応理由があります。


・レインボーフォーム覚醒編などで、ガチな悪事をさせると和解させづらくなるため
・敵幹部が 6人欲しかったため
・第47話で "ここはおれに任せて先に行け" 展開をやるために、幹部モドキが 6体欲しかった
・初期設定で、敵のモチーフが "7つの大罪" だったことの名残(後の一人はラスボスの予定でした)


そんなワケで今の形になりました。

1年フル出場でもやりようはあったかもしれませんが、
まぁ、やりたいことはやれたと思うので、これでよかったんじゃないかと思います。



> 第46話について

> 105さん

耳がー、耳が痛かったですー。。
絵の具の泉については、47話冒頭や、48話の後日談で補完した、という形にさせてください。。

……できてるかな? できてなかったらスミマセン。。

> 第47話について

> 乙くださったみなさま

ありがとうございます!

vip ss が事故った後も、気にしてくださった方がいらっしゃるようで、
こちらもありがたい限りです。

ぜひ最後までお楽しみいただければと思います!



> 253 さん

> 46話でなおちゃんが家に入らなかったわけ

こちら、自分の表現力不足もあったかもしれませんが、心変わりなどがあったわけではないです。
単に、"家族を守るために倒すべき敵がどこにいるか" っていう違いですね。

36話:自宅のアキラメーナが家族を苦しめてるため、一目散に帰った
46話:雲の怪物・"デスペア" を倒さないといけなかったから、家に留まるわけにいかなかった

こんなカンジです。


> なおちゃんの守る対象について

"家族・友人を含んだ皆" ということになりますかね。

原作の "家族や友人を守りたい" というところから発展して、
"身内に関わってくれる人達や、自分と同じように大切な人を想う人達を守りたい" と思うようになったわけです。


> 保留にしていたお返事について

そういえば、何度かにごした返事しましたっけ。。
この手の回答は、大まかにいうと以下のようなカンジなのです。

・作品のテーマに関わるので、途中では言えなかった
・作品に水を差しそうでイヤだった

と、いうことで、終わった後でならいくらでもお答えできると思います。
49話の後に返させてください!

> 256さん

> ギャグについて

こちらも上記の回答保留対象ですね。。
どちらかというと "テーマ" の部類に入ります。

49話が終わりましたらお話させてください!





お返事は以上になります!


さて、1年強続けてきたこのシリーズも、次でいよいよラストとなります。
次回は、なんとしてでも 3/16(日) 8:30 にアップします。

最後までヨロシクお願いします!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

~ 七色ヶ丘中学校 通学路 ~

みゆき「うーん、今日も良いお天気! お日様キラキラ! 気持ちのいい日になりそうな予感!」


みゆき(ナレーション)『わたしの名前は星空 みゆき。絵本が大好きな中学3年生です!』

スタスタスタ


あかね「お、みゆきー! おはよーさん!」

やよい「おはよう、みゆきちゃん!」

みゆき「あ! あかねちゃん、やよいちゃん! おはよう!」


みゆき(ナレーション)『このふたりは、日野 あかねちゃんと、黄瀬 やよいちゃん』


みゆき(ナレーション)『あかねちゃんは、人を元気にするのが大好き! おうちのお好み焼き屋で働いていて、おいしいお好み焼きとお日様みたいな笑顔でお客さんを元気づけています!』

みゆき(ナレーション)『やよいちゃんは、とってもガンバリ屋さんな子! 雑誌にも載ったことがあるプロの漫画家さんだけど、もっともっと面白い漫画が描けるように、毎日ガンバってるみたいです!』

スタスタスタ


なお「おはよう、みんな!」

れいか「みなさん、おそろいですね」

みゆき「おはよう、なおちゃん! れいかちゃん!」


みゆき(ナレーション)『今来たのは、緑川 なおちゃんと、青木 れいかちゃん』


みゆき(ナレーション)『なおちゃんは、すっごく勇気があってカッコいい子! その勇気でいつも、ピンチの人を守ったり助けたりしています!』

みゆき(ナレーション)『れいかちゃんは、いつも思いやりを忘れない、優しい子です! 学校のことが大好きで、生徒会長を引退した今でも学校を良くするお手伝いをしています!』

はるか「それじゃ、みんな、私こっちだから! またね!」

みゆき「あ、はい! 行ってらっしゃい、はるかさん!」

れいか「はるかお姉さん、お気をつけて!」


みゆき(ナレーション)『れいかちゃんたちと来て、今離れていったのは、高校生の藍沢 はるかさん!』


みゆき(ナレーション)『はるかさんは、面倒見が良くって優しくて、いつも私達のことを見守ってくれる、みんなの頼もしいお姉さんです!』

スタスタスタ


ゆかり「あ、センパイ……! おはようございます……!」

マティ「おはようございます、みなさま!」

タリア「おはよーっ!」

みゆき「ゆかりちゃん! マティちゃん、タリアちゃんも! おはよう!」


みゆき(ナレーション)『この子は木下 ゆかりちゃん! 私達の後輩で、中学1年生の女の子!』


みゆき(ナレーション)『ずっと一人ぼっちだったから最初はうまく笑えなかったけど、マティちゃんやタリアちゃんみたいなお友達もできて、ほんのちょっとずつだけど笑顔になれるようになりました!』

みゆき(ナレーション)『こんな私達 7人には、あるヒミツがありました』

みゆき(ナレーション)『実は私達は……、みんなの笑顔を守る伝説の戦士 "スマイルプリキュア" だったのです』


みゆき(ナレーション)『ついこの間まで世界中のみんながタイヘンになるほどの大事件が起きちゃって……、私達は、みんなで力を合わせてそれに立ち向かいました』

みゆき(ナレーション)『ツラいこともたくさんあったけど、なんとかみんなの笑顔と未来を守ることができました!』


女子生徒A「でさー、そこのスイーツがちょーおいしくってさ! 今度食べに行こうよ!」

女子生徒B「ホント!? いくいくーっ!」


男子生徒A「学校終わったら、またお前んちでゲームしようぜ! 今度は負けないからな!」

男子生徒B「こっちこそ! ズルはなしだかんな!」


みゆき「…………」ニコニコ


みゆき(ナレーション)『いつもみたいに楽しく過ごすみんな……』

みゆき(ナレーション)『そんなみんなの笑顔を見るたびに、"ガンバってよかった!" って思えます!』

みゆき(ナレーション)『それに、プリキュアとしてガンバる中で、私達それぞれも、とっても大切なものを見つけました』


みゆき(ナレーション)『それは、自分達の行きたい未来――夢です』

みゆき(ナレーション)『あかねちゃんは、みんなを元気にできる "世界一のお好み焼き屋さん"』


みゆき(ナレーション)『やよいちゃんは、多くの人を楽しませてあげられる "大人気の漫画家さん"』


みゆき(ナレーション)『なおちゃんは、大切な人や町のみんなを守る "勇敢な婦警さん"』


みゆき(ナレーション)『れいかちゃんは、将来に悩む人達を助けられる "優しい学校の先生"』


みゆき(ナレーション)『はるかさんは、自分の身振り手振りだけでみんなを笑顔にできる "落語家さん"』


みゆき(ナレーション)『ゆかりちゃんは、いつでも楽しく笑える "ステキな自分"』


みゆき(ナレーション)『そして私は……、みんなをハッピーにできるお話が書ける "絵本作家さん"』


みゆき(ナレーション)『みんな、色々悩んだりもしたけど、やりたいことを見つけて、行きたい未来に向かって進んでいく強い気持ちを持つことができました』

みゆき(ナレーション)『その気持ちは、私達がこの 1年で見つけた、大切な宝物です』

みゆき(ナレーション)『……そして、私達が見つけたその気持ちで、未来に大きく進む一歩を踏み出す日が近づいてきました』


みゆき(ナレーション)『あかねちゃんにやよいちゃん、なおちゃんにれいかちゃん、それに私。この 5人にとって、すっごく大切な日』


みゆき(ナレーション)『それは……』

~ 七色ヶ丘中学校 校門前 ~

中年の男性教師「うーん……、校門の飾りつけ、こんな感じで考えてるんだが、どうだろうか?」ピラッ

若い男性教師「あ、飾り付けの図案ですか? どれどれ……。……いいじゃないですか!」

中年の男性教師「お、そうか!? では、さっそく準備に取り掛かるとするか!」

若い男性教師「はい!」


あかね「おー、やっとるやっとる! 先生達も急がしそやなぁ」

なお「あれ、式の準備なんだよね? 生徒会のみんなも手伝ってるんだっけ、れいか?」

れいか「ええ。この間様子を見に行ったら、とても張り切ってくれていたわ」

やよい「どんな式になるのかな……! 楽しみだね、みゆきちゃん!」

みゆき「うんっ!」

みゆき(ナレーション)『……そうです。もうすぐ、"その日" がやってこようとしているのです』


みゆき(ナレーション)『"その日" は、私達が、この学校で過ごす最後の日』

みゆき(ナレーション)『学校とお別れする日でもあり、新しいスタートでもある日』


みゆき(ナレーション)『私達の、中学校卒業式の日です』




スマイルプリキュア レインボー!

第49話「未来へ届け! 希望の架け橋!!」



~ 七色ヶ丘中学校 体育館 ~

男性音楽教師・鷹梨「――よし、今日の練習はここまで!」

男性音楽教師・鷹梨「みんな。この歌は、卒業式の最後を飾る大事な歌だ。ちゃんと歌えるように練習しておくんだぞ」


男性音楽教師・鷹梨「それと、楽譜をみんなに配るから、よかったら、おうちの方や親しい方にも歌ってもらってくれ!」

全校生徒「はーい!」

~ 七色ヶ丘中学校 体育館への渡り廊下 ~

スタスタスタ


なお「歌の練習、みんな揃ってきて大分サマになってきたね!」

やよい「うん! 私、ちょっと歌うの恥ずかしかったけど……、だんだん慣れてきたよ」

あかね「にししっ、やよい、音楽の歌のテストでもいっつも恥ずかしそうやったもんなー」


みゆき「でも、この歌を本番でみんなといっしょに歌ったら、きっといい卒業式になるよね!」

れいか「ええ、そうですね。私、いただいたこの楽譜をはるかお姉さんにお渡ししておこうと思います。それと、メルヘンランドにいるポップさん達にも」

キャンディ「れいか! おにいちゃんも来るクル!?」

れいか「ええ。お別れする前、卒業式には来ていただけるというお話をしていたわ」

やよい「またポップや妖精のみんなに会えるよ! よかったね、キャンディ!」

キャンディ(デコル)「クルぅっ!」

スタスタスタ


タリア「あーっ、つっかれたー……! はぁ……、みんなに合わせて歌うって、結構タイヘンだなー……」

マティ「ですが、やっぱり多くの方々と歌った方が楽しいでしょう? 一人だとさみしいですわ」

タリア「んー……、まぁ、ね」

マティ「お世話になったプリキュアのみなさまをお送りするために、わたくし達もガンバりましょう! ね、ゆかりちゃん?」


ゆかり「…………」


タリア「……ん? どーしたの、ゆかり? なんかぼけーっとして」

ゆかり「……え……? あ、ううん……、なんでもないよ……」

タリア「ウソばっか。そのどよーんとした顔がなんでもないわけないじゃん」

マティ「確かに、お顔の色がすぐれないようですわね。何かあったのではないですか……?」

ゆかり「ホントに、なんでもないんだ……。だいじょうぶ、だいじょうぶだから……」

マティ・タリア「…………」


タリア「……そこまで言うならいいけどさ、なんかあったら言いなよ?」

マティ「そうですわ! わたくし達はいつでも、ゆかりちゃんの味方なのですから!」

ゆかり「……ありがとう、ふたりとも……」

みゆき「でさー!」

やよい「うんうん!」


ゆかり「…………」


ゆかり(……もうすぐ卒業式なんだよね……)

ゆかり(それが終わったら、センパイ達はこの学校からいなくなっちゃうんだ……)


ゆかり(…………)

~ 放課後 藍沢家 ~

れいか「それでは、はるかお姉さん、失礼します」

はるか「うん! 楽譜、わざわざ持ってきてくれてありがと! 卒業式、絶対行くから!」

れいか「はい! よろしくお願いします! それでは」

はるか「うん、またね!」


バタンッ


はるか(……卒業ソングかぁ。私も、留学先の中学で、卒業式の時にみんなと歌ったっけ。懐かしいな……)

はるか(この歌もすごくいい歌だし、ステキな卒業ソングになりそう。私も練習しとかなきゃ!)


はるか(みんなのために、頑張って最高の卒業式にしよう!)

~ メルヘンランド ロイヤルクイーンの宮殿 ~

ポップ「……もうそんな時期でござるか。時間の経つのは早いものでござるな」ペラッ


ウルルン「……ん? おい、ポップ、何読んでるウル?」

オニニン「手紙オニ?」

ポップ「ああ、これはプリキュアの皆の衆からの卒業式のお誘いの手紙でござるよ。"拙者達にも来て欲しい" とあるでござる」

ペロー「ペロ!? それじゃあ、ぼく達、リアルランドに行っていいペロ!?」

ポップ「この卒業式の日だけ、特別でござる。卒業式はプリキュアの衆にとって大切な日。拙者としても、是非ともお祝いしたいでござるから」

ペロー「やったペロー! またはるかさんやみんなに会えるペロー!」

ポップ「……しかし、一つ問題があるでござる」

ウルルン「ん? 問題? なんだウル?」

ポップ「妖精のみんなが、どうやって卒業式に出るか、ということでござる……」

ウルルン・オニニン・ペロー「……!」


ドロンッ


ポップ(少年姿)「拙者はこのように、変化の術が使えるので問題ないでござるが、皆の衆は……」

オニニン「う……。確かに、この妖精のカッコじゃあちょっと入りづれぇウル……」

ウルルン「他の人に見つかったら大さわぎになっちゃうオニ……」

ペロー「そしたら、プリキュアのみんなが困っちゃうペロ……」

ポップ(少年姿)「そうでござるなぁ……。はてさて、どうしたものか……」

トテトテトテ


マジョリン「まったく……、しょうがないヤツらマジョ。こういう時は、頭を使うマジョ」

ポップ(少年姿)「マジョリン! 何か名案を持ってきてくれたでござるか?」

マジョリン「ふふふ……、この大発明家にして大魔女、マジョリン様におまかせマジョ!」ゴソゴソ


マジョリン「これを見るマジョ!」バッ

ペロー「それ、なにペロ? ワッペンペロ?」

マジョリン「これがあたしの大発明! その名も、"ニンゲンニナ~ル2" マジョ!」テーレッテレー

ウルルン「あーっ! それ、確かお前がマジョリーナだった時に作ってた、人間になれるワッペンウル!」

オニニン「その手があったオニ!」

マジョリン「これなら、みんな人間になって卒業式に出られるマジョ!」

ウルルン「よし、それじゃ早速つけてみるウル」ペタッ

オニニン「おうオニ!」ペタッ


ポンッ!


ペロー「ペロ……! ふたりがおっきくなったペロ! 成功ペロ……!?」

ポップ(少年姿)「い、いや、しかしこれは……」


ウルルン(ウルフルン姿)「…………」
オニニン(アカオーニ姿)「…………」


ウルルン(ウルフルン姿)「おい、マジョリン! どういうことだ、こりゃあ!? バッドエンド王国の時のウルフルンみたいになっちまったぞ!?」

オニニン(アカオーニ姿)「オレ様もアカオーニのカッコになっちゃったオニ! 人間になってないオニ!」

マジョリン「……あ。しまったマジョ」ペタッ


ポンッ!


マジョリン(若マジョリーナ姿)「私用に作ったから、バッドエンド王国の頃の姿になるようになってしまったのかしらねぇ。まぁ、私は元々人間と変わらない姿だから、問題ないんだけど」

ウルルン(ウルフルン姿)「オレ達は問題あるんだよ! オオカミ男に赤鬼じゃあ、結局卒業式に出られねーじゃねぇか!」

オニニン(アカオーニ姿)「こんな大きくて目立つ格好じゃ、妖精のカッコの方がまだマシオニ! マジョリン、ちゃんと人間になれるように作り直すオニ!」

マジョリン(若マジョリーナ姿)「……実は、材料全部使っちゃって、もう作れないのよねぇ……」

ウルルン・オニニン「…………」アングリ

ポンッ!


ウルルン「……何が大魔女だウル! こんなポンコツ作りやがって!」

オニニン「ホントにロクなもの作らないオニ!」

マジョリン「な、何だマジョ、あんた達! せっかく作ってやったのに、そんな言い方ないマジョ!」

ウルルン「役に立たなかったら意味ねーだろウル!」

ウルルン・オニニン・マジョリン「(ガヤガヤガヤガヤ!)」


ペロー「ああー、また始まったペロ……」

ポップ(少年姿)「うむ……。本当にこの 3人はよくケンカするでござるなぁ……」


ペロー「あ、そうペロ。ポップ、ぼく達はリアルランドの人達に見つからないように、こっそり入るっていうのはどうペロ?」

ポップ(少年姿)「うむ、それくらいしかなさそうでござるな。プリキュアの衆にも後でそう連絡しておくでござるよ」


ウルルン・オニニン・マジョリン「(ガヤガヤガヤガヤ!)」


ポップ(少年姿)「こら、お主達! いい加減にケンカはやめるでござるよ!」

~ ピクチャーランド 王宮 玉座の間 ~

テンペラ王「ほう、"ソツギョウシキ" への招待とな?」

シアンナ「はい。マティエール王女様よりいただいた "手紙のキャンバス" にはそう記されています」


シアンナ「リアルランドでは就学施設が段階別に分かれていて、"ソツギョウシキ" というのは、その次の施設に進むための式のようですね」

フレスコ王子「なるほど。彼女達が未来に向かって進むための儀式、というわけだな」

シアンナ「そのようです。王子様」

テンペラ王「では、フレスコよ。"光の描き手" 達と共に、その "ソツギョウシキ" とやらに行ってくるがよい」

フレスコ王子「は……、私が、ですか? ですが、私には国の復興という大事な務めが……」

シアンナ「そうです。それに、私達 "光の描き手" の役目の一つは、あなた方王族の警護でもあるのです。ここを離れてしまっては……」

テンペラ王「二人とも、何をいらん心配をしておるか。私がいれば、仕事などしばらくはなんとでもなる」

テンペラ王「それに、もうデスペアランドのような危機もそうそう起きんだろうから、警護の心配もいらんだろう」


テンペラ王「お前達はプリキュアの皆には世話になったろう? 感謝の意味も込めて、彼女らの門出を祝ってくるがよい」

フレスコ王子「父上……。わかりました」

シアンナ「お気遣い、ありがとうございます、国王様。それでは王子、当日問題なくソツギョウシキに参加できるよう、はるかに案内を頼んでおきます」

フレスコ王子「頼む」

テンペラ王「……それにしても、マティエールの手紙と共に送られてきたこの楽譜……、良い歌であるな」

フレスコ王子「そうですね……。未来へ向かう希望を歌った、良い歌だと思います」


フレスコ王子「……この歌のように、私も良い笑顔でいられるよう、努めたいものです」

テンペラ王「きっとできるだろう。自らの過ちを真っ直ぐ受け入れられる、今のお前ならばな。その想いをもって、プリキュア達と共に歌ってくるがいい」

フレスコ王子「はい、父上」

フレスコ王子「そういうわけだ。お前達も "ソツギョウシキ" までにこの歌を練習しておくのだぞ」

シアンナ「かしこまりました、王子様」

シアンナ「……ですが……」


ビリーズ「えーっと……、このガクフ、っつーの? 何書いてあんのか、よくわかんねーな……」

セルリア「……それくらい……読めるようになっておけ……」

ビリーズ「おお、言ってくれるじゃねーの。けどよ、お前、人の心配より自分の心配しとけよ。そんなボソボソ声で歌なんて歌えんのか?」

セルリア「……努力は……する……」

ビリーズ「へぇぇ、そりゃ楽しみだ! 元気なお前の歌声なんて想像できねーけどよ!」

セルリア「……バカに……してるのか……!?」ギロッ

ビリーズ「お、怒った怒った! いつもさんざんバカにしてくれるから、お返しだ! べー!」


テンペラ王・フレスコ王子・シアンナ「…………」


テンペラ王「……あの二人は、歌が苦手なようだな」

フレスコ王子「更に、仲も良くないときている。シアンナ、あの二人に、共に歌を歌わせられるようにできるか?」

シアンナ「……やれるだけ、やってみます……」


セルリア「……待て……! 逃げるな……!」ザワザワ

ビリーズ「へん! いつもいつもその髪の毛に捕まると思うなよ!?」ダダダダッ


シアンナ「…………」


シアンナ(……難題ね……。頭が痛いわ……)

みゆき(ナレーション)『こうして、みんなが準備をしている間に、時間はあっという間に過ぎていって……』


みゆき(ナレーション)『とうとう、卒業式の前日になりました』

~ 卒業式前日 七色ヶ丘中学校 3-1教室 終業ホームルーム ~

3-1 担任・佐々木 なみえ先生「……みなさん、明日はいよいよ卒業式ですね」

3-1 生徒達「…………」

佐々木先生「みなさんがこの七色ヶ丘中学校に入学してから、とてもたくさんの事があったと思います。今日はゆっくり学校にいられる最後の日ですから、ぜひみなさんの 3年間を振り返ってみてください」

佐々木先生「いいことも悪いことも、その思い出はきっと、みなさんにとってステキな宝物になるはずですよ」


佐々木先生「それでは、最後のホームルームを終わります! みなさん、明日は素晴らしい卒業式にしましょうね!」

3-1 生徒達「はいっ!」

~ 七色ヶ丘中学校 昇降口 ~

やよい「……私達の 3年間を振り返る、かぁ……」

なお「3年か……。もうそんなに経ったんだね。ついこの間入学したような気がするんだけどなぁ……」

あかね「その 3年間も、もうすぐ終わろうとしとるんやな……」


れいか「……ですが、そう考えると、今まで何気なく触れていた学校の物全てがいとおしく感じるような気がします」

みゆき「あ、それちょっとわかるなぁ。"今までありがとう" って、言いたくなるよね」

あかね「物にしゃべるんか? 相変わらずみゆきはメルヘンやなぁ」

キャンディ「物にだって気持ちはあるクル! 自分の気持ちを伝えれば、きっと学校も "どういたしまして" って言ってくれるクル!」

やよい「そうなの、キャンディ? ちょっと信じられないけど……」

なお「でも、ロイヤルクイーンのキャンディが言うんだから、ホントにそうなのかもしれないね!」

みゆき「ねぇ、みんな。それならさ、これから学校の中を回ってみない? 私達が今までお世話になった場所にお礼を言いに行くの!」

やよい「あ、それいいかも! 私達の思い出めぐりにもなるよね!」

あかね「校内思い出ツアー、ってとこやな!」

れいか「私も、ぜひ行きたいです! 留学で日本を離れる前に、少しでも思い出を作っておきたいですし」

なお「うん、いいアイデアだと思うよ! 行こう行こう!」


キャンディ「それじゃ、みんなで学校のいろんなところにあいさつしに行くクルぅっ!」

5人「おーっ!」

スタスタスタ


みゆき「ん……? あ! ゆかりちゃん! マティちゃんに、タリアちゃんも! やっほー!」

ゆかり「あ……、みなさん……。こんにちは」

マティ「ごきげんよう! みなさまおそろいで、どうしたのですか?」

あかね「実はな、これからうちら 6人で、学校の思い出めぐりをしよかと思とったんや」

ゆかり「思い出めぐり、ですか……?」

みゆき「うん!」


タリア「ガッコーの中回るだけ? それって面白いの?」

やよい「あ、そっかぁ……。タリアちゃんは生まれたばっかりだから、まだ思い出とか、よくわからないかもね」

なお「タリアちゃんにも、大切な場所ってあるでしょ? 例えば、ゆかりちゃん達と仲良くなった、あの公園の木とか」

タリア「うん」

れいか「私達には、この学校で長く過ごした分、そういった大切な場所がたくさんあるんです。そこを一つ一つ回っていって、楽しかったこと、うれしかったことを思い出そうとしているんですよ」

タリア「ふーん、なるほどねー。……ちょっとわかったかも」

みゆき「そうだ! ねぇ、ゆかりちゃん達も、よかったらいっしょに学校回ってみない!?」

ゆかり「え……? わ、わたし達も、ですか……?」

やよい「いいんじゃないかな! みんなで行った方が、きっと楽しいよ!」

あかね「特にタリアは転校したてやから、まだ学校のことようわからへんやろ? ついでに色々案内したろか?」

タリア「ホント!? ……あ、あー……、まぁ、そ、そこまで言うなら、いっしょに行ってあげてもいいけど?」

マティ「うふふ。タリアちゃん、こうは言っても喜んでいるんですのよ。学校のことが色々珍しくて、興味しんしんでしたものね?」

なお「そうなの? ふーん、素直じゃないんだ」

タリア「マ、マティ! 余計なこと言わないでよ!」

みゆき「あははっ、じゃあやっぱり行きたいんだね!」

あかね「よっしゃ! ほんなら行こか!」

やよい・なお「おーっ!」


れいか「では、参りましょうか、ゆかりさん」

ゆかり「え……、あ、あの……」


ゆかり「…………」

ゆかり「……ごめんなさい、センパイ。わたし達、やっぱり行けないです……。実は、この後 3人で遊びに行く約束をしてて……」

みゆき「え? そうなの? でもさっき、タリアちゃんいっしょに行きたそうにしてなかった?」

ゆかり「タリアちゃん、約束のこと忘れちゃってるみたいで……」

タリア「? ゆかり、何言ってんの? あたしそんなの知らな――むぐぐっ」

なお「ゆかりちゃん? 急にタリアちゃんの口ふさいで、どうしたの?」

ゆかり「な、なんでもないんです……。……なんでも……」

マティ「……ゆかりちゃん……?」

ゆかり「と、とにかく、そういうことなので……、失礼しますっ……!」ペコッ

タリア「むーっ! むーっ!」

マティ「あ、ま、待ってくださいませ、ゆかりちゃん!」


スタスタスタ…


5人「…………」ポカーン…


みゆき「……3人とも、行っちゃった……」

やよい「うん……」

あかね「なーんか様子がヘンやったなぁ。なんかあるんやろか?」

なお「わかんないけど……、事情があるなら、あたしはムリに誘いたくはないな」

れいか「そうね。一緒に行けないのは残念だけど……。では、私達だけで行きましょうか」

みゆき「うん、そうしよっか」


みゆき「じゃあ、気を取り直して、七色ヶ丘中学校思い出ツアー、しゅっぱーつっ!」

4人「おーっ!」

キャンディ「クルぅっ!」

~ 七色ヶ丘中学校 校門前 ~

タリア「……ぷはっ! ちょっと、ゆかり!? 急に何すんのよ! 苦しいじゃん!」

ゆかり「ご、ごめんね、タリアちゃん……」


マティ「……ですが、ゆかりちゃん、どうして突然、逃げるようにみなさまのところを離れてしまったのですか? 先ほどタリアちゃんが言いかけた通り、わたくし達、約束なんてしていませんでしたわよね……?」

ゆかり「うん……」

タリア「……? じゃあなんで……」

ゆかり「…………」

スタスタスタ


はるか「ゆかりちゃんに、マティちゃん、タリアちゃん! こんにちは。今帰り?」

マティ「あ、はるか様。ごきげんよう!」


タリア「あれ? はるかってみんなとガッコー違うんじゃなかったっけ? なんでここにいんの?」

はるか「明日、みんなの卒業式でしょ? 私も出る予定だから、久しぶりに見ておこうかなって思って」

マティ「そういえば、はるか様はこの学校のご出身だったんですわね」

はるか「うん。まぁ、途中で留学しちゃったから、卒業はしてないんだけどね」

はるか「……それにしても」


ゆかり「…………」

はるか「ゆかりちゃん、元気ないみたいだけど……、何かあったの?」

マティ「それが、わたくし達にもよくわからなくて……。先ほど、みゆき様達が思い出めぐりに誘ってくださった時からこのような様子なのです……」

はるか「思い出めぐり?」

タリア「なんか、ガッコーで楽しかったことがあった場所を見て回るんだってさ。あたし達も連れてってくれるって言ってたのに、ゆかり、断っちゃって」

ゆかり「…………」

はるか「……なるほどね。そういうこと」


はるか「ねぇ、ゆかりちゃん。ちょっとお話しない? どこか落ち着けるところでも行ってさ」

ゆかり「え……? あ、は、はい……」

~ 七色ヶ丘市 公園内 大木の下 ~

はるか「はい、みんなの分、たい焼き買ってきたよ。おいしいよ!」

ゆかり「ありがとうございます、はるかセンパイ……」

はるか「スミレちゃんにはネコ缶ね。はい」

子猫のスミレ「にゃーん!」ガツガツ


はるか「……それでね、ゆかりちゃん。さっきの、みんなの思い出めぐりのお誘い、断ったっていう話なんだけど……」

はるか「ゆかりちゃん、みんなに気をつかったんじゃないの?」

タリア「え……?」

マティ「そうなのですか?」

ゆかり「…………」

ゆかり「……だって、センパイ達 5人は、あの学校でずっと仲よしだったんだよ……」

ゆかり「わたし達と出会うずっと前から、わたしの知らない、たくさんの楽しい時間をいっしょに過ごしてきたんだと思う……。だから、その思い出は、センパイ達だけのものだよ……」

ゆかり「そこにわたし達がいたら……、ジャマになっちゃうよ……」

マティ「ゆかりちゃん……。そうだったんですのね……」

はるか「やっぱり、そっか……。優しいね、ゆかりちゃん。みんなのこと、ちゃんと考えてるんだ」

はるか「……でも、ゆかりちゃん。どこかでムリしてたりしない?」

ゆかり「え……? ムリ……ですか……?」

はるか「うん。……例えば、やりたいことがあるのに遠慮してる、とか」

ゆかり「……!」

はるか「図星みたいだね。わかるよ。だって、やりたいことをムリヤリ押さえ込んでるようなその顔、前の私そっくりだから」

はるか「周りに気をつかって、自分の好きな落語ができなかった頃の私と」


はるか「ゆかりちゃんさ、みんなに向かって言いたいことがあるんじゃないかな?」

タリア「言いたいこと……?」

ゆかり「…………」

はるか「それならさ、みんなに思い切って言ってごらんよ。ゆかりちゃんの言いたいこと、全部」

ゆかり「……でも……、そしたら、みなさんに迷惑になりそうで……」

はるか「そうかもしれないね」


はるか「でもさ、もう明日には、みんな学校からいなくなっちゃうんだよ?」

はるか「特に、れいかちゃんなんか、外国に行っちゃうんだから、次いつ会えるかもわかんないんだよ?」

ゆかり「……!」

はるか「いいの、ゆかりちゃん? 自分の正直な気持ち、みんなにわかってもらえないままで」


はるか「やりたいことやらないで、後悔したりしない?」

ゆかり「…………」

ゆかり「……はるかセンパイ……。わたし……、やってみます。みなさんに、わたしの言いたいこと、伝えてみます」

ゆかり「もしかしたら、迷惑になっちゃうかもしれないですけど……、でも、この気持ちがわたしの正直な気持ちだから」

ゆかり「やっぱり……、センパイ達にも知ってもらいたいです……!」

はるか「うん、それがいいよ」


はるか「ゆかりちゃん、前に自分でも言ってたじゃない、"やらなきゃ何も変わらない" って! だから、自分のやりたいこと、やれるだけやってみよう!」

はるか「大丈夫! きっとみんなも温かく受け止めてくれるよ!」

ゆかり「はいっ……! ありがとうございます、はるかセンパイ……!」

マティ「……わたくしには、何のことかまだよくわからないですけれど……応援しますわ、ゆかりちゃん」

タリア「あたしも。ゆかりには、困った時に助けてもらったしね。ガンバってみなよ」


ゆかり「マティちゃん……。タリアちゃん……。……ありがとう……!」

~ 七色ヶ丘中学校 中庭 ~

あかね「校内思い出ツアー、まずはここや! 中庭!」

れいか「よくここで、みなさんと一緒にお弁当を食べましたね」

やよい「みんなで集まっておしゃべりもしたよね!」

なお「よく集まってたからかもしれないけど、思い出深い場所だなぁ……」

みゆき「うん、私もだよ」


みゆき「ここのおかげで、私達、とっても楽しい時間を過ごせたよ」

みゆき「だから……、どうもありがとう」ニコッ

中庭の屋根・イス「――――」

キャンディ「みゆき、屋根さんもイスさんも、喜んでるみたいクル!」

みゆき「ホント? えへへ、よかった」

~ 七色ヶ丘中学校 バレーボールコート ~

あかね「うちはやっぱ、ここやな」

みゆき「あかねちゃん、ずーっとここでバレーの練習してたもんね」

あかね「せや。毎日毎日、ここで日が暮れるまで練習しとったわ……」


ヒョイッ


あかね「この落ちとるボールも、もうボロボロや……。こんなになるまで、よう、うちらに付き合うてくれたな」

あかね「ポールもネットも……、ずーっとガンバってくれたから、うちらは楽しくバレーボールやれとったんや」


あかね「おおきにな、みんな!」ニカッ

~ 七色ヶ丘中学校 漫画研究部 部室 ~

やよい「私はここ!」

れいか「いつもこちらで漫画を描いていましたものね」

やよい「うん。今来ると、なんだかこの部屋に見守っててもらってた気がするよ。そのおかげでガンバれたのかも」

やよい「この部屋で、美川さんや成島くん、部員のみんなと漫画を描けて、とっても楽しかった……。たった 1年だけだったけど、ステキな思い出になったよ!」


やよい「今までありがとう! これからも、漫画を描きたいみんなのこと、応援してあげてね!」ニコッ

~ 七色ヶ丘中学校 サッカー部グラウンド ~

なお「あたしはここだな」

あかね「やっぱ、そか。なおも、うちといっしょで、ここでずーっとサッカーの練習しとったもんな」

なお「うん。3年間、ずっとね」


なお「ここに来ると、サッカー部のみんなと練習したり、はげましあったことを思い出すよ」

なお「ツラい練習だったけど、そのおかげで、大会で優勝までできた。それは、やっぱりこのグラウンドが支えててくれたからなんじゃないか、って思う」


なお「あたし達の七中サッカー部を、ステキな 3年間を、ありがとう!」ニコッ

~ 七色ヶ丘中学校 生徒会室 ~

れいか「私はここです」

なお「れいか、ここで学校のために一生懸命ガンバってたもんね」

れいか「ええ」


れいか「"生徒会をやめてしまおうか……"、"生徒会長になってもいいんだろうか……"、"生徒会長として、立派にできていたんだろうか……"、……不安になることもたくさんありました」

れいか「でも、この部屋で役員の皆さんと活動に取り組み続けたおかげで、生徒の皆さんに良い学校生活を送ってもらうことができました。その事は、私の誇りです」


れいか「本当に、ありがとうございました。これからも生徒会の皆さんを、学校の皆さんを優しく支えてください。よろしくお願いします!」ニコッ

~ 七色ヶ丘中学校 昇降口 ~

なお「――で、またここに戻ってきちゃったね」

れいか「もう一通り回ったでしょうか」


みゆき「……ねぇ、みんな。実は、もう一つだけ行きたいところがあるんだ」

みゆき「そこはね、私にとって、この学校で一番思い出のある、大切な場所なの。だから、最後にみんなでいっしょに行きたかったんだ」

やよい「みゆきちゃんの、一番大切な思い出の場所……?」

あかね「そんなに大事なとこなん? ……ええで、行こ、みゆき!」

みゆき「うん!」

スタスタスタ


みゆき「……ここだよ」


やよい「……! ここって……!」

れいか「……みゆきさんが来たがったわけがわかりました……」

なお「うん……。確かに、あたし達の大切な、思い出の場所だね……」

キャンディ「クル……? ここ、そんなに大事なとこクル?」

あかね「そらそやで……」


あかね「2年2組の教室」

あかね「うちらが初めて、出会ったとこやもん……」

~ 七色ヶ丘中学校 2-2教室 ~

シーーーン…


やよい「……誰もいないね」

れいか「皆さん、もう帰ってしまったのでしょう」

なお「でも、こうして誰もいないこの教室にいると、なんだか 2年生に戻ったみたいだね」

あかね「せやな!」


スタスタスタ


やよい「私の席は……、一番前のここだったかなぁ……」

なお「あたしは確か、真ん中あたりのここ」

れいか「私はなおの隣だったわね」

あかね「うちは、窓際で後ろの方のここや!」


みゆき「…………」

あかね「ん? みゆき、どしたん? 教壇の上でぼーっとして? ははーん、さては席忘れてもーたな? ここや、ここ! うちの後ろやったろ?」

みゆき「…………」

やよい「みゆきちゃん……? ホントにどうしたの……?」

みゆき『……はじめまして。私、星空 みゆきです』

あかね・やよい・なお・れいか「え……!?」


みゆき『えっと、あの……、転校してきたばっかりでよくわからないんですけど……! と、とにかく、よろしくお願いします!』ペコリ

あかね・やよい・なお・れいか「…………」


あかね「……なるほど、そういうことか。……ええで」ニッ


ガタッ


あかね『あかん……、オチあらへんやん……! うちが代わりに自己紹介したるわ! うちの名前は日野 あかね。よろしゅうな!』

みゆき『え、ええっ!?』

あかね『んー……、見たカンジ、せやなぁ……。ぼーっとして見えるけど、芯の強いとこあんな』

あかね『ほんでもって、星を見るのが大好きな弟がおるんや! 名前は……星空 みたろう!』

みゆき『え? ええ?』


なお「……ぷっ」

れいか「ふふふっ」


あかね『おー、受けた受けた! ほんなら次は――』

なお『こら、あかね! 星空さん、困ってるでしょ。その辺にしときなよ』

れいか『そうですよ。それに、自己紹介は自分でしなければ』

あかね『あー、はいはい! したら、うちはこれくらいで引っ込むわ。お後がよろしいようでー』スタスタ

みゆき『な、なんなの……?』

やよい『気にしないでくださいね。あかねちゃんは、星空さんの緊張をほぐそうとわざと明るくしてるだけだから』


あかね『あ、せや。ついでに紹介したる。その前の席の子は "黄瀬 やよい"。ちょーっとツッコんだだけで泣いてまう、困った子やねん』

やよい『そ、そんなことないよ! な、泣いたのは、たったの 3回くらいだもん!』


あかね『んで、さっきうちをしかった緑の髪の子が "緑川 なお"。義理堅くって情にもろい、女番町ってカンジやな!』

なお『ば、番町……?』


あかね『その隣の青い髪の子が "青木 れいか"。成績優秀でスポーツ万能、おまけに男子にモテモテや!』

れいか『モ、モテモテ……?』


あかね『以上、2年2組のゆかいな仲間達や! よろしゅうな、星空さん!』

みゆき『…………』ポカーン…


みゆき『……ありがとうございます。みなさんのおかげで、緊張がなくなりました』

みゆき『改めて自己紹介します。私は星空 みゆき。絵本を読むのが大好きで、毎日絵本みたいなハッピーを探しています! よろしくお願いします!』ペコリ


全員「…………」

パチパチパチパチ!


あかね「あはははっ! うまくいったで! 結構憶えとるもんやなぁ!」

なお「そういえば、みゆきちゃんが始めて来た時、こんなカンジだったね!」

やよい「急に始めるからビックリしちゃったよ!」

れいか「ですが……、なんだか懐かしい気持ちになりました!」


キャンディ「クル……? 今の、なんだったクル? みゆき、みんなと会うの初めてじゃないクル?」

みゆき「今のはね、みんなとこの教室で初めて会った時のモノマネだよ」

みゆき「私が教壇にいて、みんなが前と同じ席についてて……。それが、私が転校してきた時にそっくりだったから、ついやってみたくなっちゃったの!」

キャンディ「そうだったクル……! みんなのこと忘れちゃったのかと思って、ビックリしたクル!」

みゆき「あははっ、ゴメンゴメン!」

あかね「……あ、でもさっきのマネ、まだ続きあったな」

みゆき「え?」


あかね『星空さんにとって、ハッピーってなんなん?』

みゆき「……!」

あかね「……どや? あれから見つかったんか? みゆきのハッピー」


みゆき『……私の……、私の、ハッピーは……』

みゆき「…………」

みゆき「私のハッピーは……、みんなと出会えたことだよ」


あかね・やよい・なお・れいか「!」

みゆき「みんなやキャンディと出会えなければ、友達にも、プリキュアにも、なれなかったかもしれない……」

みゆき「そしたら、きっと私、絵本作家っていうステキな夢に向かって進んでいくなんて、できなかった……」


みゆき「みんながいてくれたから、自己紹介もうまくいったし、プリキュアもガンバれた。自分の夢も見つけられた」

みゆき「みんながいてくれたから、私はここまで来られたんだと思う」

みゆき「……この 2年間、みんなといっしょにいられて、いろんなことがあって……、ホントに、ホントに毎日が楽しかった」


みゆき「だから、私のハッピーは "みんなと出会えたこと"、"みんなといっしょにいられたこと" だよ」

みゆき「みんな。出会ってくれて、ありがとう」


みゆき「今までいっしょにいてくれて、仲良くしてくれて、ありがとう!」ニコッ


あかね・やよい・なお・れいか「…………」

あかね「……そんなん、うちらかておんなじや」


やよい「うん……。私も、みゆきちゃんやみんながいてくれたから、すっごく楽しかった」


なお「……あたし達、いいチームだったよね」


れいか「ええ。最高の仲間で、友達でした。そしてそれは、これからも変わりません」


みゆき「……うん!」

みゆき「みんな……、私達、ずっとずーっと、仲良くしたり、笑い合ったり、しようね!」


あかね・やよい・なお・れいか「うんっ!」


キャンディ「クルぅっ!」

~ 翌日 卒業式当日 七色ヶ丘中学校 通学路 ~

スタスタスタ


やよい「……いよいよだね、卒業式」

みゆき「うん……」


あかね「父ちゃん母ちゃんも見に来る、言うてたし……。なんや、キンチョーしてきてもーたな……」

みゆき「あ、あかねちゃん、そういうこと言わないでよぉ……。私だって、証書授与の時転んじゃわないかとか、卒業ソングちゃんと歌えるかどうかとか、不安なんだからぁ……」

れいか「ふふっ、気負いすぎず、いつも通りにしていれば大丈夫ですよ」

なお「う、うーん……、頭ではわかってるんだけど……ねー……」

スタスタスタ


青年の声「おいおい、なんだよお前ら! ガチガチじゃねーか!」

重い女性の声「……歩く時……同じ手と足が……出てる……」

女性の声「それでソツギョウシキ、無事に終えられるのかしら? 心配になってきたわ」

はるか「大丈夫だよ、みんななら! ね?」

みゆき「え……? この声……!」


みゆき「はるかさん! それに、シアンナさん達も!」

ビリーズ「よぉ、お前ら!」

れいか「どうしてリアルランドに?」

セルリア「……お前達の……ソツギョウシキに……出る……」

あかね「え……。そうなんですか?」

なお「でも、またどうして……」

シアンナ「それは……」


スタスタスタ


フレスコ王子「君達を祝うことで、せめてもの礼とするためだ」

みゆき「王子様まで!」

フレスコ王子「久しいな、プリキュア」


やよい「それじゃあ、ピクチャーランドの人達みんなもお祝いしてくれるってことなんですか?」

はるか「そうみたい! この前シアンナに頼まれて、私がみんなを案内してるってわけ」

ビリーズ「ソツギョウシキで歌う歌も練習してきたぜ! 一緒に歌うから、楽しみにしてろよ!」

なお「ホントにうまくできるの? そっちはそっちで不安だなぁ……」

フレスコ王子「プリキュア。君達は今日、未来へ向けて新たな一歩を踏み出して行くのだな」

フレスコ王子「私に、未来へ向かう大切な気持ちを教えてくれた君達を、ぜひ見送らせてほしい」

れいか「ありがとうございます、王子様」


みゆき「あ、ありがたいです……けど……」

やよい「なんだか、余計に緊張しちゃうね……」

フレスコ王子「む……、そ、そうなのか……? それは、申し訳がないな……。では、私はどうすれば君達は緊張せずに済む? 教えてくれないか?」

あかね「そ、そんなこと言われてましても……」

シアンナ「王子様、そこまで気をつかわれなくても大丈夫かと……」

ビリーズ「そうそう! あんたもプリキュア達も、だらーんとテキトーにやりゃいーんだって」

セルリア「……お前は……だらけすぎだ……!」


はるか「でもシアンナ、王子様のああいうマジメなところ、シアンナとそっくりだよ。やっぱり、王子様に作ってもらったから、ちょっと似てるのかな?」

シアンナ「え……。では私も、はたからだとあのくらいオーバーに見える、ということ……?」

はるか「うん」

シアンナ「……気をつけるわ」

はるか「さ、王子様、あんまり気にしてないで、先に行きましょう! みんなはきっと大丈夫ですから!」

フレスコ王子「……うむ、そうだな。それではプリキュア、我々は先に行っている」

シアンナ「あなた達のこと、見守らせてもらうわ。頑張ってね。では、行きましょう、はるか」

はるか「うん! それじゃ、みんな! また後でね!」

れいか「はい! 皆さんも、お気をつけて!」


スタスタスタ…


あかね「……そか……、ピクチャーランドの人達も見てくれるんやな……」

みゆき「うん……。なんだかうれしいな」


みゆき「ちょっと前まで話も聞いてくれなかったのに、今じゃこうして仲良くおしゃべりできてる」

みゆき「その事が、なんだかうれしくて……、あったかいよ」

あかね「……せやな」

ゆかり「みなさーんっ!」

みゆき「ん? この声……、ゆかりちゃん?」


タタタタタッ


マティ「はぁっ、はぁっ、よ、よかった、間に合いましたわ……!」

タリア「ったくもう! ゆかりがギリギリまで家でモジモジしてるから、遅くなっちゃったじゃん!」

ゆかり「ご、ごめん……」

なお「マティちゃんにタリアちゃんも! みんな、おはよう!」

ゆかり「お、おはようございます……」

やよい「でも、そんなに急いでどうしたの?」

あかね「"間に合った" てゆーとったけど……、うちらになんか用でもあったん?」

ゆかり「あ、あの……、それが、その……」モジモジ

タリア「あーもう、また……!」

マティ「だいじょうぶですわ、ゆかりちゃん。勇気を出してください。ファイトですわ」

ゆかり「……うん……!」


ゆかり「……みなさん。わたし、みなさんが卒業する前に、伝えたいことがあるんです……」

みゆき「え……? 伝えたいこと……?」


ゆかり「…………」

ゆかり「……わたし、さみしいです」

ゆかり「センパイ達がいなくなっちゃうなんて……、すごく……、すごく、さみしいです……っ!」


5人「……!」


ゆかり「"迷惑になっちゃうかも" って思って……、ずっと、言えませんでした……。卒業式の練習してる時も、この間、学校の思い出めぐりに誘ってもらった時も……」

ゆかり「……でもやっぱり……、センパイ達に、わたしのホントの気持ち、聞いてほしかったんです……!」

ゆかり「わたし、センパイ達のことが大好きだからさみしいんだ、って、知ってほしかったんです……!」

ゆかり「……わたし、もっと色んなことを教えてほしかったです……!」

ゆかり「もっともっと、センパイ達といっしょにいたかったです……っ!」ポロポロッ


あかね・やよい・なお・れいか「…………」

みゆき「ゆかりちゃん……」

みゆき「(ギュッ)」

ゆかり「……! ……みゆき、センパイ……。わたしのこと、抱きしめて……」

みゆき「……ゆかりちゃん。気持ち、伝わったよ」

みゆき「そんなにさみしくなるほど、私達のこと好きでいてくれてありがとう……! うれしいよ……!」ニコッ


あかね「うちもや」ギュッ

やよい「私も」ギュッ

なお「あたしも」ギュッ

れいか「私もです」ギュッ

ゆかり「……みなさん……!」

みゆき「私達もね、ゆかりちゃんやマティちゃん、タリアちゃんと離れ離れになるのは、さみしいよ」

みゆき「だから私達にはね、さみしさに負けないように、お別れする時の合言葉があるの! 最後にセンパイとして、そのことを教えるよ!」

ゆかり「合言葉、ですか……?」

みゆき「うん! ね、キャンディ、みんな!」

あかね・やよい・なお・れいか「うん!」

キャンディ「クルぅっ!」

6人「"バイバイする時はスマイルで"!」


ゆかり「!」

みゆき「難しいかもしれないけど……、やっぱり、ゆかりちゃんにはどんな時でも笑顔でいてほしいな」

みゆき「今まで、あまり笑えなかったゆかりちゃんだけど……、今ならきっと、笑顔になれるよね。だって、マティちゃんやタリアちゃんみたいな、ステキなお友達ができたんだから!」


みゆき「それに、ゆかりちゃんも私達と同じ、"スマイルプリキュア" なんだから!」

ゆかり「……!」


みゆき「だから、できたら私達のこと、笑って見送ってほしいな」

ゆかり「…………」


マティ「ゆかりちゃん」

タリア「ゆかり」

ゆかり「……うん……!」

ゆかり「……みゆきセンパイ……」


ゆかり「……あかねセンパイ……」


ゆかり「……やよいセンパイ……」


ゆかり「……なおセンパイ……」


ゆかり「……れいかセンパイ……」

ゆかり「今まで、ありがとうございました!」ニコッ


5人「……! うんっ!」

あかね「……最高のスマイルやったで、ゆかり」


やよい「なんだか、緊張がどこかに行っちゃったみたい」


なお「きっと、ゆかりちゃんの笑顔のおかげだね」


れいか「ええ……! とっても素敵な笑顔、こちらこそ、ありがとうございます、ゆかりさん!」

みゆき「それじゃ、行こう、みんな! 私達の卒業式へ!」


全員「うんっ!」

~ 七色ヶ丘中学校 体育館 卒業式 卒業証書授与 ~

司会の教師「――ではこれより、卒業証書の授与を行います」

司会の教師「まずは、校長先生による、証書の読み上げです」


校長先生「卒業証書」

校長先生「あなたは、本校において健やかに日々を送り、無事に全課程を修了しました」

校長先生「これからの未来が輝かしいものになることを祈りつつ、ここに、本校の卒業を証します」


司会の教師「――校長先生、ありがとうございました」

司会の教師「それでは、卒業生へ証書を授与します。名前を呼ばれた方は前に出て、証書を受け取ってください」

司会の教師「――青木 れいかさん」

れいか「はい!」


誠一郎(れいか父)「……我が娘ながら、歩く姿も美しくなったな……」

淳之介(れいか兄)「はい。兄の僕も鼻が高いです」

静子(れいか母)「きっと、お義父様のご指導のたまものね」

曾太郎(れいか祖父)「……いや、あの美しさは、れいか自身が掴んだものだ。深い悩みや迷いを乗り越えて、な。ほめるならわしではなく、自らの力で咲き誇るれいかをほめるがよい」

誠一郎「はい……!」

司会の教師「――黄瀬 やよいさん」

やよい「はいっ!」


千春(やよい母)(……パパ、見てる? あの子、みんながいる前で、あんなに大きな声が出せるようになったのよ。いつもどこかおどおどしていて、引っ込み思案だったあの子が……)

千春(きっと、あの子は幸せになれるわ。だってもう、一人で頑張っていけるんだから)


千春(だから、私達はあの子の未来を見守りましょう、パパ)

司会の教師「――日野 あかねさん」

あかね「はいっ!」


大悟(あかね父)「……なんやあいつ、随分うれしそうやな」

正子(あかね母)「あの子はいつもあんなやで、父ちゃん。いっつも元気にニコニコ笑っとるよ。見てるこっちが元気になるくらいに」

大悟「……もう、あいつにはお好み焼きで教えること、なんも無いんかもしれへんな」


大悟「あの太陽みたいな笑顔が、お客さんにとっての最高の調味料なんやから」

正子「せやね」

司会の教師「――星空 みゆきさん」

みゆき「はいっ!」


博司(みゆき父)「……あれ? なんだかみゆき、大きくなったように見えるな……」

育代(みゆき母)「やりたいことを見つけられたからかしら。あの子はきっと、これからもっと大きくなるわ」

博司「うれしいことだけど、ちょっとさみしい気もするな……」

タエ(みゆき祖母)「そのさみしい思いをするのも、親の務めだよ。あの子に負けないよう、私達もしっかりしなくちゃね」

博司「わかってるよ。僕も、精一杯応援するさ」

司会の教師「――緑川 なおさん」

なお「はいっ!」


とも子(なお母)「なお、真っ直ぐに立って、真っ直ぐに歩いてるわね」

源次(なお父)「てやんでぇ。大工の俺が育てた娘だ。曲がってるわけねぇだろうが」

とも子「ふふっ、それもそうね」


とも子「きっとこれからも、自分で決めたことを真っ直ぐ進んで行くのね」

源次「……ああ。直(なお) って名前の通りにな」

~ 卒業式 送辞・答辞 ~

生徒会長・板野 まさお「――送辞は以上になります。皆さま、ご卒業、おめでとうございます。在校生代表・板野 まさお」ペコリ


パチパチパチパチ!


司会の教師「在校生代表・板野 まさお君による送辞でした。ありがとうございました」


司会の教師「次は、卒業生による答辞です。卒業生代表、青木 れいかさん。お願いします」

れいか「はい」


パラッ


れいか「…………」

司会の教師「……? 青木 れいかさん? 答辞をお願いします」

れいか「…………」


れいか「……今、私が広げた紙には、卒業生の答辞が書き記されています。ですが、今日はこちらを読むのをやめさせてもらいたいと思います」

れいか「"卒業生代表" として、あらかじめ用意した文章をただ読み上げるのではなく、今の私の気持ちで、一生徒としての私の言葉で、答辞をさせていただきたいと思います」

れいか「……私はこれまで、ずっと "道" に迷ってきました」

れいか「"道" とは、言わば "人生"。言わば "未来"」

れいか「私は、何がしたいのか。何をするべきなのか。それがわからず、この 3年間、ひたすらに悩み続けてきました……」


れいか「ですが、そんな私でも、この学校での生活の中で、自分だけの進むべき "道" を見つけることができました」

れいか「今日は、在校生の皆さまに、その "道" についてのお話をさせていただきたいと思います」

れいか「もし、自分がどんな "道" を歩んでいいかわからずに悩んでいる方は、"前" を見てください」

れいか「お父さんや、お母さん。おじいさんに、おばあさん。お兄さんに、お姉さん。学校の先生方や、町の人々」

れいか「私達の周りにはそんな、"前" を歩いている方々がたくさんいらっしゃいます。その方々が、きっと皆さんをより良い "道" へと導いてくださるはずです」


れいか「自分の "道" に悩んだ時は、そんな "先生達" のことを見て、"道標" にしてください」

れいか「もし、"道" を歩くのに疲れたり、歩き続ける自信がなくなった時は、"後ろ" を見てください」

れいか「弟さんや、妹さん、後輩の方々など、皆さんを目標にして頑張っている人達がいるはずです」


れいか「その人達に負けないよう、また、皆さん自身がその人達の良き "道標" となれるよう、頑張ってみてください」

れいか「それでももし、"道" を行く力をなくしてしまった時は……、隣を見てください」


れいか「そこには必ず、皆さんを支えてくれる友達がいます。つらい時は無理をせず、その方々に支えてもらってください」

れいか「また、隣にいる方がつらい思いをしている時は、皆さんが支えてあげてください」


れいか「そうやって支え合えば、皆さんが、自分の "道" を前に進んでいくための力となるはずです」

れいか「皆さん。どうか、周りの方々との関わりを大切にしてください。そして、皆さんだけの "道" をしっかりと進んでください」


れいか「皆さんが目指す素晴らしい未来にたどり着けるよう、心からお祈りしています」


れいか「七色ヶ丘中学校 卒業生・青木 れいか」ペコリ


パチパチパチパチ!

みゆき(…… "隣を見れば、友達が支えてくれる" かぁ)


みゆき「(チラッ)」

あかね「(ニカッ)」

やよい「(ニコッ)」

なお「(ニコッ)」


みゆき「(チラッ)」

れいか「(ニコッ)」


みゆき(……ふふっ、ホントだね)

みゆき(みんなの笑顔があれば、どこまででも行ける気がするよ……!)ニコッ

~ 卒業式 卒業歌斉唱 ~

司会の教師「それでは卒業歌の斉唱を行います。生徒と一緒に歌われる皆さまはご起立ください」


あかね「……いよいよやな」

なお「うん、この時のために、いっぱい練習したもんね」

やよい「はるかさんや、ピクチャーランドの人達も歌ってくれるって言ってたし……、私もガンバるよ!」

みゆき「……! ねぇ、みんな、あそこ見て! 2階の通路のところ!」

れいか「え……? ……! あれは……!」


ポップ・ウルルン・オニニン・マジョリン・ペロー「(ブンブンッ)」


キャンディ「おにいちゃん達クル……!」

みゆき「こっちに向かって手を振ってるよ! みんな、こっそり来てくれたんだぁ……!」

あかね「これなら、みんなで歌えるな!」

みゆき「うんっ!」


みゆき(……みんな、ありがとう!)

みゆき(私、この 2年間の思い出を込めて、せいいっぱい歌うよ!)

司会の教師「では、斉唱を始めます」


司会の教師「卒業歌・『最高のスマイル』」

(前奏)「~~~~♪」


みゆき「……続く明日へ 未来へ この夢と希望を乗せて♪」


あかね・やよい「歩き出そう みんなで 扉開いて♪」


なお・れいか「信じていれば大丈夫 叶うから♪」


全員「最高のスマイルを届けるよ♪」

全員「Happy day♪ Smile for you♪」


全員「Happy day♪ Yes Yes Smile♪」


全員「Happy day♪ Smile for you♪」


全員「Happy day♪ Yes Yes Smile♪」

あかね(回想)『不安になってもーて……。はは、我ながら情けないわ』

やよい(回想)『……わたし、ムリかもしれない……。……漫画家になんて……なれないのかもしれない……!』

マーチ(回想)『あたしには……、誰かを守れる "勇気" なんてないんだ……っ!』

れいか(回想)『私は生徒会長だから、私がなんとかしないといけないのに……、それができないのが苦しくて……、悔しくて……』



みゆき「迷った時は悩まず声をかけてよね♪」

ハッピー(回想)『ずっとずっといっしょにいたい、大好きな友達なんだもん!!』

サニー(回想)『……みゆき……、ありがとう……!!』ニコッ

ハッピー(回想)『うんっ……!』ニコッ



あかね「笑った時はいっしょに笑顔見せようね♪」

みゆき(回想)『やよいちゃん、今とってもツラいと思う。でも、だからこそスマイルを取り戻そうよ! そしたらきっと、元気が湧いてきてうまくいくようになるよ!』

やよい(回想)『……みゆきちゃん』



やよい「落ち込む時はみんなで励まし合おうね♪」

れいか(回想)『私のために泣いてくれて、ありがとう。私も、そんななおがそばにいてくれて、本当にうれしい……!』

れいか(回想)『いっしょにいてくれて、ありがとう……!』

なお(回想)『……れいか……! うんっ……!』



なお「感動したらみんなで涙流そうね♪」

れいか(回想)『誰かのために何かをすれば、その気持ちが伝わる……。私は、本当にそれができていたのかしら……』

れいか(回想)『……私は……』



れいか「もう立ち直れないくらい 悲しいことがあっても♪」

はるか(回想)『私、うれしいんだ。自分が落語が大好きなんだ、っていうことと、その自分を、みんなの前で恥ずかしがらずに出せたことが……』

はるか『本当に、うれしいんだ……!』ニコッ



はるか「そんな時こそスマイルで 奇跡起こそうよ 勇気見せようよ♪」

全員「みんなで幸せになろうよ♪」


全員「1、2、Jump!♪」

全員「続く明日へ 未来へ この夢と希望を乗せて♪」


全員「歩き出そう みんなで 扉開いて♪」

ビリーズ(回想)『だからよ、シアンナ、ちゃんと考えて……掴めよ、お前だけの "未来"』

セルリア(回想)『頑張って、シアンナ。あなたなら、大丈夫』



ビリーズ・セルリア「苦しい時もいつでもそばにいて♪」

シアンナ(回想)『ビリーズ……』

シアンナ(回想)『セルリア……』

シアンナ(回想)『…………ありがとう』



シアンナ「助けてくれる それが 友達よ♪」

Rハッピー(回想)『そのキレイな星空を、どうか消さないで! 一つ一つの星が、輝きたいように輝かせてあげて!!』

Rハッピー(回想)『私達みんなが持ってる……、希望を信じて!!』

7人(回想)『信じて!!!』



フレスコ王子「この星空に願うよ 世界中の愛と平和♪」


フレスコ王子「幾千の笑顔が つながる世界へ♪」

はるか(回想)『私、ペロー君とならうまくやっていけると思う。よろしくね!』ニコッ

れいか(回想)『ポップさん。あの時、くじけそうな私を励ましてくれて、本当にありがとうございました』ニコッ

マーチ(回想)『あたしの、大切な友達が、家族を好きになってくれたことが、うれしいんだ』ニコッ

やよい(回想)『これからもこうやって、助けたり助けられたり、していこうね、オニニン!』ニコッ

あかね(回想)『っちゅーわけやから、よろしゅーな、相棒!』ニカッ

ハッピーエンド(回想)『いつもありがとう、キャンディ。私も、大好きだよ』ニコッ



ウルルン・オニニン・マジョリン・ポップ・ペロー「信じていれば大丈夫 叶うから♪」


キャンディ「最高のスマイルを届けるよ♪」

ゆかり(回想)『マティちゃんは、わたしの大切な友達だから』

マティ(回想)『こちらの世界で、あなたとお友達になれて……よかった……!』


Rヴェール(回想)『本当に……、本当に……! よかった……!!』ニコッ

ウィスタリア(回想)『あたしも、二人にまた会えて……よかった……!!』ニコッ



ゆかり「守りたい想い それが勇気に♪」


マティ・タリア「変わる時は すぐそこにある♪」


みゆき・あかね・やよい・なお・れいか・はるか「諦めないで 負けないで♪」


みゆき・あかね・やよい・なお・れいか・はるか「さあ行こう 手と手 つなげよう♪」

全員「今すぐ夢と 希望が たくさんあるその世界へ♪」


全員「飛び出そう その手で 扉開いて♪」


全員「みんなの笑顔が弾ける時間が 続けばいいな それが宝物♪」

全員「輝け未来 スマイル みんなの力を合わせて♪」


全員「大丈夫 いつだって ひとりじゃないから♪」


全員「気付けばかけがえのない仲間だね♪」


全員「ほんとに感謝してる 想い込めて♪」




全員「これからも よろしくね♪」



全員「Happy day♪ Smile for you♪」


全員「Happy day♪ Yes Yes Smile♪」


全員「Happy day♪ Smile for you♪」


全員「Happy day♪ Yes Yes Smile♪」

~ 卒業式終了後 七色ヶ丘中学校 校門前 ~

やよい「……終わったね、卒業式」

れいか「ええ。終わりましたね……」


あかね「けど、お楽しみはまだまだこれからやでーっ! みんな、忘れてないやろな?」

なお「忘れるわけないよ! ふしぎ図書館で卒業パーティ! ごちそうたくさん! やっほーぅ!」


キャンディ「それじゃ、みんな行くクルぅっ!」

あかね・やよい・なお・れいか「おーっ!」


みゆき「あ……! 待って、みんな!」

あかね「ん? どないしたん、みゆき? 行かへんの?」

みゆき「もちろん行くよ! 行くけど……、ちょっと待ってほしいの」

みゆき「卒業式も終わっちゃったから……、この門を越えたら、私達、もう中学生じゃなくなっちゃうんだよね……?」

れいか「ええ、そうなりますね」

みゆき「……じゃあ、この門を越えた時から、みんなで違う未来に向かって進んで行く事になるよね」


みゆき「やよいちゃんは、絵の高校に行くし」

みゆき「れいかちゃんは、イギリスに留学に行くし」

みゆき「あかねちゃんとなおちゃんは、高校は同じだけど……、その先はきっと、別々の未来に行くと思うんだ」

みゆき「キャンディとも、いつかはきっとお別れする時が来る……」

みゆき「だから、皆がそれぞれの未来に歩き始める、そのはじめの一歩は……みんなでいっしょに踏み出したいの」

あかね・やよい・なお・れいか・キャンディ「……!」


なお「……みんなで、いっしょに門を出る、ってこと?」

みゆき「うん。……ダメかな?」

あかね・やよい・なお・れいか・キャンディ「…………」

ギュッ


あかね「……ダメなわけ、あるかい」

みゆき「あかねちゃん……!」


ギュッ

やよい「私達、いつでもみんないっしょだったよね」

みゆき「やよいちゃん……!」


ギュッ

なお「それなら、あたし達が中学生のうちは、最後の最後まで、こうやって手をつないで」

みゆき「なおちゃん……!」


ギュッ

れいか「みんなで一緒に、未来へ向かうはじめの一歩を踏み出しましょう!」

みゆき「れいかちゃん……!」


キャンディ「さ、みゆき。みんなでいっしょに行くクル!」

みゆき「キャンディ……! うんっ!」

みゆき「それじゃみんな、行くよ!」


みゆき・あかね・やよい・なお・れいか・キャンディ「せーのっ!」


ピョンッ

タッ


みゆき・あかね・やよい・なお・れいか・キャンディ「…………」


あかね「……門、越えてもーたな」

みゆき「うん……!」

あかね「……ぷっ……」


やよい「ふふふっ……!」


れいか「うふふっ……!」


なお「あははっ……!」


キャンディ「ふふふふっ……!」


みゆき「あはははっ……!」


みゆき・あかね・やよい・なお・れいか・キャンディ「あははははっ!」

タタタタッ


はるか「おーいっ! みんなーっ!」

みゆき「あ、はるかさんっ! ピクチャーランドのみんなも!」


タタタタッ


ゆかり「みなさーんっ!」

みゆき「ゆかりちゃん達も!」


トテテテッ


ポップ「皆の衆ーっ!」

キャンディ「おにいちゃん達も来たクルぅ!」

ペロー「卒業おめでとうペロ! みんなで歌って、とっても楽しかったペロ!」


フレスコ王子「この後は、確かパーティをやるのだったな。実は、そのために我々の方でリアルランドの食事を用意してみたのだ」


シアンナ「見よう見まねだけれど……、どうかしら」


ウルルン「おおっ、うまそうウル! いいにおいウルー!」


オニニン「今すぐにでも食べたいオニ!」


ビリーズ「あ、おい、お前ら、あんまり食うんじゃねーぞ!? オレも食うんだからな!?」


マジョリン「食い意地張って……、みっともないマジョ……」


セルリア「……まったくだ……」


マティ「うふふっ、みなさま、仲が良さそうで何よりですわ!」


タリア「いやいや、マティ、よく見てよ! ごはんの取り合いで、ビリーズとメルヘンランドの妖精がケンカしそうじゃん!」


ポップ「こらこら、お主ら! 慌てなくてもごはんは逃げないでござるよ!」


ワイワイワイワイ


みゆき「…………」ニコニコ

あかね「ほな、行こか、みゆき!」ニコッ


やよい「行こう、みゆきちゃん!」ニコッ


なお「行こうよ、みゆきちゃん!」ニコッ


れいか「行きましょう、みゆきさん!」ニコッ


はるか「さ、行こ、みゆきちゃん!」ニコッ


ゆかり「行きましょう、みゆきセンパイ!」ニコッ


キャンディ「みゆき、行くクル!」ニコッ


みゆき「うんっ!」ニコッ

みゆき(ナレーション)『今まで、いろんなことがありました。数え切れないくらいのツラいこと……、苦しいこと……』

みゆき(ナレーション)『そして、それよりずっとたくさんの、楽しかったこと……、うれしかったこと……』

みゆき(ナレーション)『その思い出を胸に、私達は、旅立ちます!!』


みゆき(ナレーション)『それぞれの、キラキラ輝く未来へ向かって! 最高のスマイルで!!』




みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!!」ニコッ






『スマイルプリキュア レインボー!』


おしまい



終わったーーーーーーーーーーーっ!!

終わっちゃったーー。。


最後だからか大分エネルギー使ってしまったので、
一休みしてから、お返事やら、あとがきやらさせてもらいたいと思います。

では、また後ほど。

なんやかやで遅くなりました!
それでは、お返事タイムを先にさせていただきます!

※今回は大分長いので読み飛ばし可



> 乙くださったみなさま

お礼をしたくてたまらないのですが、
あとがきの方でもする予定なので、そちらに回させてください。



> 412さん

48話でのパートナーとの別れ、喜んでいただけたなら描けてよかったです!

本作は基本的に尺関係ないんでできたことですね。
実際だったら、やっぱり尺の都合でカットされたりするんだろうなぁ。。



> プレゼさん

これまでたくさんの好意的なレスをいただき、何度も元気づけていただきました。

お礼を申し上げたいところですが、あとがきとかぶっちゃいそうなので、
そちらをもって感謝の気持ちとさせてください!

> 414さん

> ハッピーに力を貸すシーンで二人だけコンビだったのは、完全に作者の好みを入れたなって思った

うー、、マズったかなぁ。。

実は、キュアハッピーエンドがみんなの想いと戦うシーンは、21話(朗読コンクール回) のドラマパートの流れそのまんまなんです。
"友達に支えてもらうことで大きな障害を越える" という点で同じなんですね。

なので、だいたい 21話の時とおんなじようなことを言ってます。

で、その時になおちゃんとれいかさんが二人揃ってみゆきちゃんを励ますシーンがあったのでそれに合わせたんですが、
バラけさせた方がよかったですかねー。。


それに、キュアハッピーエンド vs 皇帝ジョーカーの内容自体も、
書いた時、当初の予定から若干変えてしまったんです。

フラグ立てがうまくいっていないと感じられたのも、その辺りが原因かと。


その場その場のノリで良くしようと変えていくと、予定していたスジからムリが出てくる。
かといって、ムリヤリスジに収めようとすると、作品が縮こまっちゃう。。

長編の難しさですねー。。勉強になりました。

> 415さん

> プリキュアにしては珍しく複数でラスボスをボコるんじゃなくて、一騎打ちだったww

ラストバトルは、始める前から一騎打ちの形にする予定だったんです。

ただ、これだと他のキャラが活躍できない。どうしよう。
と、思ったので、従来通り多人数でボコにするデスペア国王戦を入れたんです。
最初の構想では、国王もハッピーエンドが倒す予定でした。

あっちはあっちで、決戦ぽいバトルにできたんじゃないかと思ってます。



> 敵との和解について

実は、敵との和解自体を描きたかったわけじゃなく、
プリキュア達の成長の表現、もしくは、成長のための起爆剤にしたかっただけなんですね。

「プリキュアが夢を見出すほど成長したから、シアンナ達に対して希望を強く説けた」
「自分と同じように孤独にあえぐタリアのために、ゆかりが自分でも笑いたいと強く思うようになった」

こんなカンジで。

プロセスが若干おざなりになっているのは、あくまでプリキュアを中心に描いていたからです。
(まぁ、それはそれで反省点ではあるんですが。。)


仰るとおり、イース・セイレーン・レジーナなどと比べると大分描写が希薄ですが、それは、
『フレッシュ』で例えると、イースというよりウエスター・サウラー、
『スイート』なら、セイレーンというよりトリオ・ザ・マイナー、
『ドキドキ!』なら、レジーナというよりイーラ、
といったカンジで、話の根幹に関わるほど重要なポジションではなかったからなんです。

あくまで、中心になるのはプリキュア、ということで書かせてもらいました。


……まぁ、"詰め込みすぎ" というのは否定できないんですけども。。w

以前、 >253 さんよりご要望があったので、今までなぁなぁにしてきたお返事をまとめてみました!

このためにスレを振り返ってみたんですが、いやぁ、1年もやってると、色々ありましたねぇ。。
なんだか懐かしくてほっこりできました。



・妖精合体システムについて

『レインボー!』では、他の作品と同じようにパートナー妖精と力を合わせて変身しますが、
こちらについては自分でも一長一短あると思ってました。。
その理由をなぁなぁにしてたんで拾ってみます。


まず短所としては、……レギュラーキャラが多すぎる!
プリキュア7人だけでも多いのに、× 2 で14人! そりゃ回らないわ。。

レギュラー多そうに見える『5』シリーズですら 10人足らずなんですよねぇ。。
これはやっちまいましたわ。。

全体的にキャラが回らなくって妖精がしゃべんない回とかもあったりして。
ゴメンよ、妖精のみんな。。


ただ、パートナー制自体は成功だったんじゃないかと思います。

お話の特性上、プリキュアが悩んだりするシーンが多いんですが、
"プリキュアとしての事情も知りつつ、悩みをわかってるキャラがそばにいる" というのは、その手のシーンで非常に動かしやすいんですね。

パートナーがいたから、対話という形でドラマを展開できたわけで、いなかったら独白だらけになっちゃったでしょうね。

各プリキュアの回では、一緒に悩んだり、叱咤激励してくれたり、よく動いてくれました。
この辺りは書いててありがたかったですねー。

・はるかとゆかりが若干溶け込んでない感

30話くらいでこんなご意見もいただいていました。


これは、『レインボー!』自体が 5人の卒業までの物語だったからで、
はるかとゆかりのふたりは、あくまでドラマ側でのサポート、という立ち位置でした。

(はるかは 5人を引っ張って成長させる役目。ゆかりは 5人に教えられることで、相対的に 5人の成長を表現する役目)

構成としては 7 というより 5 + 2 というカンジなので、そう思われたのかもしれません。
一応、馴染ませようとはしてたんですけどね。。中々ムズかしいものです。


今回で最後を迎えましたが、どうでしたかね。
うまく溶け込んで、ふたりはプリキュアになれたでしょうか。。

・"デスペア国王" と『5』の "デスパライア" ってかぶってない?

ちょっとみっともなくって言えなかったんですが、、
『レインボー!』を考えてる時、『5』シリーズ未見だったんです。。

たしか『5』を見始めたのが、『レインボー!』5話を書いてた辺りだったかと思うんですが、第1話を観て青くなりました。。
「……もしかして、『5』のテーマって、、"夢"?」といったカンジで。。

知らなかったので、『レインボー!』のテーマも "夢" にしてしまっていたんですね。。


で、プリキュアの敵っていうのは、自然とそのテーマの反対の存在になるわけです。

"夢" や "希望" の反対、ということで、"絶望" を取り上げさせてもらったんですが、これが『5』とまるかぶり。。
テーマがかぶってりゃ当然だ。。


と、いうことで、"デスペア国王" という "デスパライア" の名前だけそっくりさんができてしまったわけです。

全ては無知ゆえです。。笑ってやってください。。

・42話、残留組のチョイスに違和感

実際には、残留組:みゆき・あかね・なお お別れ組:やよい・れいか となりましたが、
始めた当初は 残留組:みゆき・あかね・やよい お別れ組:なお・れいか の予定だったんです。

なおちゃんはサッカーの特待生として別の学校に行く予定でした。


が、いざ 42話を書くに当たって、強烈な違和感が。。
「なおちゃんは町を守りたいから警官になりたいのに、町を離れるようなことするかな。。? そもそも、サッカーは夢に関係ないし。。」
そう感じ、急遽お別れ組をやよいちゃんと交代しました。

やよいちゃん側としては "絵がうまくなりたい" という理由があったんでまぁ良かったんですが、
なおちゃん残留のフラグ立てが弱いのは、そういった事情があったからです。

・ヴェールの強さの方向性について

ヴェールだけ戦闘能力が皆無なのには、実は理由があります。

ストーリー的な理由ではなく、作品の都合上の理由だったんで大っぴらにできなかったんですが、
完結したんでこちらについても少しお話します。


ヴェールには、戦闘能力で原作5人を越えてもらっちゃ困るんですね。
肩を並べるだけでもダメだったんです。

5人は原作から 2年かけて "レインボー・フォーム" の境地(夢の発見) までたどり着いたのに、
ぺーぺーで弱虫なゆかりが半年でそこまで達してしまったら、相対的に 5人の評価が下がってしまう、と思ったんです。

……はるかはまぁ、年の功、ということで。。


なので、ヴェールは防御・回復しかできないようにして、一人では絶対に勝てないように設定しました。
"レインボー・フォーム" になってもこの程度、というカンジです。

……それでも、サポートとしては十分チートクラスになりましたが。。

また、少し置いた間に最終回へのご感想いただけたので、
そちらについてもお返事させていただきます。



> 最後までお読みくださったみなさま

もう、、なんと言うか、、
皆様のお言葉で胸が詰まってしまいました。。

こうして、自分にしかできないことで喜んでいただいて、、
こんなハッピーなことあるでしょうか。。


皆様へのお礼も、やはりあとがきの方でさせてください。



> 545さん

> 歌詞をそのまま載せるのはJASRAC関係に抵触すると思います。

あう。。

……お、怒られたら謝る、ということで。。
通報だけはゴカンベンを。。





お返事は以上になります!
お読みいただいた方々、本当にありがとうございました!

■あとがき

それでは、本作の締めとして、軽くあとがきっぽいことを書かせていただきたいと思います。
もう最後なんで age させてください!


実は、この作品を書こうと思ったのにはある理由があります。

Part1 の最初に書いた「スマイルがもう 1年見たい!」というのも理由の一つなんですが、
最初には書けなかった本当の理由が別にありました。


「5人の卒業式が書きたかった」 ただそれだけなんですね。


ですが、SS として卒業式だけ書いても、原作では描かれなかった 3年生としての生活が残ってるわけで、
過程がないから「ふーん」で終わっちゃう。

ならいっそ、最後に卒業式が来るように 1年分のストーリーをちゃんと作ったらどうか。
そう思って始めたのが、本作だったんです。



→ 次レスに続きます

思えばこの 1年、色々なことがありました。。


ひどく体調を崩したり。。

仕事で急な休日作業をさせられたり。。

仕事の徹夜明け後にアップするハメになったり。。

話がうまく作れなくって、頭抱えてのた打ち回ったり。。

クライマックス真っ只中で vip ss が障害にあったり。。


本来、『ドキドキ! プリキュア』と同じく 1月最終週で終わるはずが、
そんなこんなで延び延びになってしまいました。。


しかし、終わってみれば 3/16 という、卒業シーズンドンピシャ。しかも大安。

卒業で終わる本作の最終回として、これほどふさわしい日はなかったような気もします。


こんなちょっと面白いラッキーなんかもあったところを見ると、
本作は幸運に恵まれていたのかもしれません。



→ 次レスに続きます

そして、2013年2月9日に始まった本作、本日・2014年3月16日をもちまして、無事に完結を迎えることができました。
これもひとえに、読んで、楽しんで、応援してくださったみなさまのおかげです。


本作で描かせていただいたことと同じですね。

みなさまという支えがなければ、1年強・番外編含めて50本も書き続けることも、本作を完結させるという夢をかなえることもできなかったでしょう。。

自分が「『スマイルプリキュア レインボー!』の作者」という者になれたのも、皆様がいてくだったからこそです!
本当に、感謝に堪えません!



→ 次レスに続きます

それでは、あとがきも長くなってきたので、このあたりで締めたいと思います。

自分の大好きなプリキュアの EDテーマ『ワンダー☆ウインター☆ヤッター!!』より 1フレーズをいただき、
締めの言葉とさせていただきます。



『スマイルプリキュア!』という素晴らしい作品を作ってくださった、スタッフの皆様!!


『スマイルプリキュア』に登場したキャラクターのみんな!!


そして、『スマイルプリキュア レインボー!』を読んでくださった、vip ss 読者の皆様!!



「ありがとう & あいしてる」!!



長い間お付き合いいただき、本当に、本当に、ありがとうございました!!

あ、締めた後でなんですが、オマケをひとつ



次回予告

ゆい「わたし、天ノ川 ゆい! 人が仲良くしてるのを見るのが大好きな、中学2年生!」

ゆい「そんな私のいる町に、ヘンな人達がやってきた! 闇の力で全ての人を孤独にする……!? そんなの絶対許せない!」

ゆい「プリキュアっていう伝説の戦士にもなれたことだし、みんなの絆はわたしが守ってみせる!!」


ゆい「新番組、『トゥインクルプリキュア!』」


ゆい「キラめく心、つなげよう!!」



突然何かと思うかもしれませんが、今構想中の完全オリジナルプリキュアの次回作です。

『レインボー!』と同じようなカンジで書くかも、書かないかも。。
あまり期待せずにお待ちください ;^ ^



それでは、いつかきっと、また会いましょう!!



2014年3月16日
『スマイルプリキュア レインボー!』作者・レインボー◆S.wemUt41w

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