菫「みんな、どこに行きたい?」(126)

立つかな

菫「さて、今度他校と練習試合をすることになったのだが、3連覇のご褒美ということで、我々で相手を決めて良いとのことだ」

淡「どこでもいいの!?沖縄でも北海道でも?」

菫「ああ。ご褒美ということだから、自由時間も貰えるだろう」

照「わざわざ遠くに行くのも面倒…」

淡「えー、せっかくの機会だよー?」

誠子「で、どうやって行き先決めますか?」

菫「とりあえず皆の希望を聞いてから考えたいと思う。それぞれこの紙に希望を書いてくれ」

淡「はーい♪」

菫「よし、みんな書けたな。では見ていこう」ペラ

照『臨海女子』

菫『阿知賀』

尭深『清澄』

誠子『千里山』

淡『新道寺』

誠子「見事にバラバラですね…」

菫「こうなるかもとは思っていたが…」

淡「じゃあ一番遠いところにしましょーよー」

照「一番安いところの方が経済的」

淡「それじゃつまんないよー」

ギャ-ギャ-

尭深「…もう少し話合ってから決めませんか?」

菫「そうだな。ではそれぞれPRしていくとするか」

淡「はーい!じゃあ私からね!」

菫「淡は福岡の新道寺だったな」

淡「うん。新道寺の副将と大将のコンビ、かなりイケてたしねー。また対戦したいと思ったよ」

照「たしかに新道寺は手強かった」

菫「ちゃんと麻雀のことも考えてたんだな」

淡「九州は一度も行ったことないから行ってみたかったんだー。博多ラーメン食べたり長崎に行ったりしたい!」

誠子「白水には準決勝でかなりやられたから、新道寺もいいかもしれないな」

淡「でしょー!?というわけで新道寺が一番だよ!以上!」

照「でも飛行機に乗るのは面倒…」

淡「長崎にはカステラとか美味しい洋菓子があるよ!テルー好きでしょ?」

照「確かに魅力的だけど、東京にも一杯あるから」

淡「もーつまんないなぁ」

菫「あー、とりあえず一旦待ってくれ。反論ついでに照のPRをやってくれ」

尭深「宮永先輩は臨海女子でしたね」

照「うん。臨海女子は決勝まで残った強豪だし良い練習相手」

誠子「でもこう言っちゃなんですが、臨海なら普段でも練習試合できますよね?」

照「そうだけど、臨海女子の近くにはテーマパークもあるし、遊園地も水族館もある。いつもと違って沢山遊ぶこともできる」

尭深「たしかに、いつもは遊んだりできませんしね」

照「近場だから良くないと思うかもしれないけど、移動時間が少ない分たくさん遊べると考えればいい」

淡「なるほど、たくさん遊べるのはいいね!」

照「決して面倒だからとか飛行機が怖いとかじゃないから」

菫「お前、飛行機怖かったのか?」

照「あっ…」

誠子「わざわざ一言付け加えなくても良かったのでは…」

淡「あははは!テルーかわい~」プニプニ

照「やめて…」

菫「まあものぐさな感じではあったが主張としては悪くなかったな。次は尭深、どうだ?」

尭深「はい、わかりました」

淡「たかみーは長野の清澄だね。サキがいるところだ!」

照「」ビクッ

淡「ん?どうしたのテルー?」

照「いや、なんでもない」

照(次に咲と会ったら貞操を守れる自信がない…)カタカタ

尭深「?とりあえず始めますね」

尭深「清澄も臨海女子と同じく決勝まで残った強豪なので相手として不足はないと思います」

淡「2位だったもんね。練習相手にはベストなのかも」

菫「そうだな…」

菫(なぜだろう…?清澄の次鋒と戦った時の記憶が消えてる気が…?)

尭深「5人ともスキなく強かったので、個々の練習相手としても最適です」

誠子「あれで控えがいないんだから恐ろしいよね」

尭深「ええ。あと長野は避暑地としても有名なので、この時期に出向くには適しています。あと、果物の栽培も盛んですし、この時期だとブドウやモモ、プラムなんかも収穫できます」

淡「おお、たかみ先輩がいつになく熱弁を…」

尭深「渓流で釣りやバーベキューをするのも楽しいかと思います」

誠子「高原で渓流釣り…楽しそうだな」

淡「そのままバーベキューで魚を焼いて食べると美味しそう!!」

菫(2人が乗り気になってきてる)

照(まずい、長野だけは避けたい)

尭深「誠子ちゃんや淡ちゃんの期待は裏切らないと思うよ?」ニコ

誠子・淡「いいねいいねー」

菫「ちょっと待ってもらおうか、尭深」

尭深「?」

菫「普段静かな尭深が熱弁を振るう姿は頼もしい限りだし、主張を否定するつもりはないが、尭深は本当に長野に魅力を感じているのだろうか?」

尭深「…どういうことですか?」

菫「長野ではなく、清澄の何かに入れ込んでるんじゃないか、と思ってな」

尭深「っ!」ギクリ

照「どういうこと?」

菫「いや、決勝戦終了直後に清澄の中堅と連絡先をやりとりしてる誰かさんを見てな」

誠子「清澄の中堅というと、竹井久でしたっけ」

菫「最近部活中にも携帯を触っていることが増えた気がするんだがな」

淡「じゃあたかみ先輩はその人と会いたくて長野行きたいってことー?」

菫「いや、私はそんなことは一言もいってないぞ?ただ、いつもと違う尭深の様子が気になって考察してみただけだ」

照(菫の小姑のような嫌味が始まってしまったけど、これは長野に行かなくてよくなるチャンス…!)グッ

尭深「た、確かに連絡先は交換しましたが、今回の話とは関係ないです」

菫「そうか、尭深は皆のことも考えて意見を出せるもんな。まさか私情を思い切り挟んだ意見を言うようなこともしないよな」

尭深(グッ、なんて言い方…)ぐぬぬ

菫「うん、長野、いいんじゃないか?誠子は長野に惹かれてたみたいだが、自分のPRはしなくていいのか?」

照「誠子は大阪の千里山だっけ」

誠子「あ、はい。正直そこまで考えてなかったので、あまりいい意見ではないですが…」

菫「そんなこと気にしなくていいさ」

誠子「そうですね。千里山は今年は準決勝で敗退しましたが強豪ですし、個人的には一番借りを返しておきたい学校だったので…」

淡「亦野先輩は千里山に狙い撃ちされてたもんね」

誠子「うん。クセを見抜かれていましたし、もっと対局することで弱点を克服できるのではないかと思ったんです」

照「白糸台にはいないタイプだったね」

誠子「あとは、大阪なら色々遊んだりできるのではないかなと思って、単純に決めました」

淡「たこ焼きたべたーい!」

照「神戸の洋菓子と京都の和菓子、いいかも」

淡「テルー長崎の時は乗り気じゃなかったのにー」プクー

照「まあ、大阪くらいならいいかなって」

照(本当は長野じゃなけりゃどこでも良くなったんだけど…)

菫「大阪なら新幹線でも行けるからな」

照「そういうことにしておく」

尭深「あとは弘世先輩だけですね」ニコ…

菫(なんだろう、笑顔の裏に何かを感じる…)

菫(ここは先に手を打っておくべきか)

淡「そうだねー、ぱっぱとやっちゃおう!」

菫「その前に、ちょっと休憩にさせてくれ。お手洗いに行きたくてな」

照「わかった」

淡「じゃあ休憩後また話しあおう!」

-休憩中-

菫(さて、ここは味方を作っておく必要があるだろう)ケイタイケイタイ

菫(味方に引き込めそうなのは…尭深と照か…)メルメル

菫(よし、送信…!)

♪~

尭深(メールが来てる、なんだろう)

───────────────
From:シャープシ.... Date: 16:43
Sub:和解案
───────────────
From:竹井久    Date: 12:11
Sub:Re:Re:Re:おはようございます?
───────────────
From:竹井久    Date: 8:34
Sub:Re:おはようございます?
───────────────
From:大星淡    Date: 昨日 23:20
Sub:Re:Re:次の休日
───────────────
From:亦野誠子  Date: 昨日 23:18
Sub:Re:次の休日
───────────────
From:竹井久    Date: 昨日 20:05
Sub:Re:Re:お茶ありがとう♪
───────────────
From:竹井久    Date: 昨日 19:52
Sub:お茶ありがとう♪
───────────────

尭深(シャ…弘世先輩から…?)

───────────────
From:シャープシューター(笑)
Sub:和解案
本文:

さっきはひどい言い方をして申し訳
なかった。
もし阿知賀に賛成してくれるのであ
れば、後日こちらに清澄を呼んで練
習試合ができるよう監督に頼むから
協力してもらえないだろうか。
尭深は東京で会っても問題ないだ
ろう?

───────────────

尭深(裏で手を回そうとは…必死ですね)

♪~

照(メール、菫からだ)

───────────────
From:広瀬韮    Date: 16:44
Sub:和解案
───────────────
From:宮永咲    Date: 16:32
Sub:いいよね?
───────────────
From:宮永咲    Date: 16:30
Sub:週末
───────────────
From:宮永咲    Date: 16:21
Sub:ねえ
───────────────
From:nodo.saki.ai...Date: 16:18
Sub:咲さんを誘惑するのはやめて下
───────────────
From:宮永咲    Date: 16:16
Sub:同じ部活をしてると思うと
───────────────
From:宮永咲    Date: 15:58
Sub:さっきの
───────────────

照(なんだろう)

───────────────
From:広瀬韮
Sub:提案
本文:

尭深の清澄の提案、避けたいと思
わないか?もし私の阿知賀行きに
賛成してくれるのであれば、必ず清
澄行きを避ける事ができると約束
するので、賛成してもらえないだろ
うか。

───────────────

照(清澄だけはダメだ…菫に協力しよう)カタカタ

-休憩おわり-

菫「皆、時間を取らせて済まなかったな」

誠子「いえいえ。では弘世先輩のPRですね」

淡「菫先輩は奈良の阿知賀でしたよね?」

菫「ああ、阿知賀の実力については皆も理解しているだろうし、相手として不足はないだろう」

菫「それに、ただ強いだけではなく、私達にとってはあまり相性の良くない相手だ」

照「ドラが来ないのは厄介だった」

淡「シズと打つと思うようにいかなかったからね~」

菫「そうだな。私たちの基礎的な力を伸ばすためには、阿知賀がもっとも良い練習相手だと言えるだろう」

菫「これだけで判断材料としては十分なのだが、今回は慰安旅行も兼ねている」

菫「阿知賀の周辺には温泉宿、渓流、景勝地などがあり、息抜きにも持ってこいだろう」

菫「長野にも優るとも劣らない条件だと思う」チラ

尭深「……」

誠子「奈良も楽しそうですね」

淡「自分の意見が一番だと思ってたけど、結構悩むねっ」

照「奈良は行ったことがないし、この機会に行くのはいいかもね」

菫「まぁ、こんなところかな」

菫(よし!照は乗ってくれた!尭深は分からんが、誠子と淡の反応も悪くない)

菫「では全員のPRが終わったことだしもう一度どこに行きたいかそれぞれ書いてもらうことにしようか」

尭深「少し待って頂けますか?」

菫「…っ」

照「どうしたの?」

尭深「いえ、大したことではないのですが、人にケチをつけた割には弘世先輩も同じ芸当だなあと」ニコッ

淡「たかみ先輩からかつてないオーラを感じる」

誠子「何か起きそうですね」

菫「いや、それに関してはだな…」

尭深「弘世先輩、先ほど私が竹井さんと連絡先を交換していたのを見たとおっしゃってましたけど、その時先輩がいたことに気づいていました」

菫「!」

誠子「…」ゴクリ

尭深「先輩、阿知賀の次鋒の方と一緒にいましたよね?」

淡「阿知賀の次鋒…?」

誠子「松実宥さんだったかな?」

尭深「はい。弘世先輩が声をかけて一緒にいたと思うのですが、その前に随分と松実さんの後をこっそりとつけていたようですね」

菫「な、なぜそれを…!」

尭深「竹井さんに聞きました」

菫「それは、彼女からは直撃が取れなかったから、なにか秘密があるのかと思って聞いてみようかと思っていただけだ」

照「うん、菫の行動はおかしくはない」

尭深「大会後から先輩が妙に厚着をしているのは、何かを意識しての事だと思いますが…」

菫「…」モコモコ

照「でも、菫が松実さんに会いたいから阿知賀を提案したという証拠にはならないのでは?」

菫「尭深、先ほどの私の発言への反撃ということであれば謝罪する。だが、私は私欲のために提案したわけではない」

淡「私は誰が私欲で動いてもいいと思うけど?」

誠子「二人とも争い事はナシでいきましょう」

照「そうだよ尭深。菫も悪かったと思ってるし、ここは一旦謝って収めるということにしようよ」

尭深「宮永先輩、私は少し言われたくらいでは弘世先輩に反論しようとは思わなかったと思います」

照「どういうこと?」

尭深「何としても阿知賀に行こうと裏で糸をひく弘世先輩を見るまでは…」

スッ(携帯を取り出す)

菫(まずい!まさか暴露までされるとは・・・!)

誠子「えーと、阿知賀に賛成したら…?」

淡「清澄を東京に呼ぶ…?」

照「!!」

照「菫、なにこれ」

菫「え、えーと、これはだな…」アセアセ

尭深「…休憩後の宮永先輩の行動を見てると、宮永先輩にもメールが来てたんじゃないですか?」

照「!」

誠子「私には…来てないですね」

淡「私も~。菫先輩、ズルしたんですか!?」

菫「う…、なんと言っていいか…とにかく…」

淡「テルのメールも見せてよ!」

照「え、メールを見せるのはちょっと…」

淡「なんで隠すのー?」

照「菫、助けて…」

菫(まずい、どうやって収集をつけよう)アワワ

尭深「弘世先輩、不正は確かに良くないですが、あまり気にし過ぎないで下さい」

誠子「まあ余興みたいなものだしね」

尭深「あまり熱くなりすぎずに、楽しく行き先を決めましょう」

菫「……そうだな」

菫「熱くなってしまったな、申し訳ない」

淡「じゃあテルのメールを見たらまたわいわい行き先を話そう!」

照「えっ、もうメールにはこだわらなくていいんじゃ」

尭深「弘世先輩のメールはそんなにまずい内容なのですか?そうは思えませんが」

菫「いや、尭深へのメールよりはマシだと思うぞ」

菫「照、別にもう見せてもいいんじゃないか?」

照「菫までそんな…」

淡「スキありっ!」

照「あっ」

淡「私が開いたら怒られそうだから、はい先輩!」パス!

菫「とりあえずさっさと見て話合いに戻るぞ、えーとメール画面は…」

───────────────
From:宮永咲    Date: 16:51
Sub:お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃ...
───────────────
From:宮永咲    Date: 16:48
Sub:帰ったらポストを見てね
───────────────
From:nodo.saki.ai...Date: 16:46
Sub:提案です。ここはひとつ姉妹丼...
───────────────
From:広瀬韮    Date: 16:44
Sub:和解案
───────────────
From:宮永咲    Date: 16:32
Sub:いいよね?
───────────────
From:宮永咲    Date: 16:30
Sub:週末
───────────────
From:宮永咲    Date: 16:21
Sub:ねえ
───────────────

菫「…」

尭深「…」

淡「…」

誠子「…」

(鬼のようにメールが…)

照「…」

菫(ん、韮?)アレ?

照「…」

菫「まあ…なんだ…」

菫「照の好きなところに行こう…」



照「…夢の国に行かせて」グスン



カン

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