友紀「ちゅーの魔法」 (39)

友紀「はあー……。相変わらず寒いね」

P「すまんな。ここまで雪が降るなんて思わなかったから」

友紀「いいよいいよ。なんか手伝おっか?」

P「これが最後だから大丈夫。たく、まさか首都圏でチェーンを巻くハメになるなんて……」

友紀「でもそうしてると男らしくてかっこいいよ?」

P「普段は女らしいってか」

友紀「にゃはは、違うってばー。普段も男らしいって」

P「世辞でも有り難く受け取っとくよ……っと」

友紀「出来た? じゃあ行こ――のわっ!?」ズルッ

P「――へ? うわっ!」ドスン





チュッ

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友紀「――! ご、ごめん!」

P「あ、いや……。け、怪我してないか!?」

友紀「だ、だいじょぶだいじょぶ! 衣装も濡れてないし!」

P「な、ならよかった。ヒールなんか履かした俺が悪かったな。替えの靴取ってくるからちょっと待ってろ!」

友紀「ぷ、プロデューサーもスーツ着替えてきなよ! 風邪引いちゃう!」

P「替えだけ持ってくる!」タタタッ

友紀「あ、プロデューサー! ……もう」

P(い、今)

友紀(もしかして……)



P(キス……したか?)

友紀(ちゅ、ちゅー……しちゃった?)

 
……………
 ………
  …

P「……」

友紀「……」

2人(き、気まずい……)

P「き、今日はよかったぞ! トークが上手くなったな」

友紀「へ!? あ、ああうん。えへへ、当然でしょ!」

P「最初の頃は口を開けばキャッツが、キャッツがとか言ってたからトーク番組なんて無理だと思ってたけど」

友紀「失礼な! 好きな話題を挙げてなにが悪いっ!」

P「時と場所を選べってんだ。ま、もうそんな心配もいらないか」

友紀「ふふん。誰かさんに注意されまく……」

P「……ん?」

友紀「ちゅ、ちゅーいされまくったから……」

P「……」

友紀「……」

友紀「あっ、あのさ!」

P「な、なんだ?」

友紀「……ここまででいいよ! 後は女子寮まで歩くから!」

P「馬鹿言うな。風邪引いたらどうする気だ」

友紀「このくらいへっちゃらへっちゃら! たまには童心に帰って雪遊びがしたくてさー。それにほら、他にも送迎待ちの子がいるんでしょ?」

P「いらない心配はするな。ちゃんと送っていくから」

友紀「いいったらいいの! ユッキの言うことが聞けないのかーっ!」

P「こ、こら、運転中なんだから暴れるな! わ、わかったから……」

友紀「よろしい!」

P「じゃあ気をつけて帰れよ。あんまりはしゃぎすぎないようにな」

友紀「だいじょぶだって! プロデューサーこそ気をつけてね」

P「ああ。あ、友紀」

友紀「なに?」

P「……あれは事故だから」

友紀「……うん」

P「じ、事故じゃ済まされないよな! 今度お詫びするから忘れてくれ!」

友紀「……うん! あたしなんの事だかさっぱりー」

P「あはは。休みが重なったら友紀の好きな居酒屋に行こう。会計は任せろ」

友紀「言ったね? 今のセリフは忘れないからね?」

P「……ほどほどにお願いします。じゃあな」

友紀「うん、ばいばーい!」





友紀「……忘れられるわけ、ないじゃんか」

早苗「で、どうしたのあの子は?」

美優「さあ……?」

友紀「――っ!」パタパタ

早苗「呑みたいって言うから来たのに」

美優「ずっとベッドで足をぱたぱたさせてますね。なんだか可愛い……」

早苗「確かに可愛いけど。友紀ちゃん、お酒無くなっちゃうわよ?」

友紀「ちょっと、ちょっとだけ待って!」パタパタ

早苗「なによぅ。まるで初めて彼氏出来た女の子みたいにー」

友紀「!」ピタッ

美優「え……?」

早苗「え。嘘やだマジ?」

友紀「ち、違うしっ! そんなんじゃなくて、あのね? えっとね……」

早苗「ん?」





友紀「ちゅ、ちゅーってしたことある?」

早苗「へ」

美優「え」

友紀「ふ、2人なら経験あるかなーって……」

早苗「も、もちろん? あるに決まってるじゃない?」

美優「えーと……? どうしてそんな事聞くの?」

友紀「な、なんとなく! ちょっと気になっただけ!」

美優「へ、へえー……」

友紀「ねえ早苗さん!」

早苗「な、なに?」

友紀「た、例えばね!? 転んじゃった拍子に、あのその……ちゅーしちゃったら……。ちゅー、なのかな?」

早苗「さ、さあねー。あたしは普通のキスしか経験ナイカラナー」

友紀「そ、そか。美優さんはどう思う!?」

美優「んーと……。その前に質問していい?」

友紀「なに!?」

美優「嬉しかった? 悲しかった?」

友紀「わ、わかんない……。あたししたこと無かっ――例えばだからねっ!」

美優「うん。じゃあ例えば。友紀ちゃんがそうなったとして悲しいと思うなら、事故じゃないかな」

友紀「う、嬉しかったら?」

美優「嬉しいと思える口付けなら……キスだと思うよ」

友紀「なんで? なにが違うの?」

美優「キスは、嬉しい相手じゃないと成立しないから……。ふふ、なんてね……♪」

友紀「そ、そっか。やっぱりちゅー……なんだ」

美優「嬉しかったんだ?」

友紀「へ? ち、違うって! 例えば!」

美優「頑張ってね……♪」

友紀「うああっ!? 違うのーっ! 早苗さんもなんか言ってよ!」

早苗「あたしはほら、ディスコ通ってる時にナンパされたりしたしねー。やっぱり大人のキスはああでなくちゃ」

友紀「早苗さん!」

早苗「へ? ああごめんごめん。ちゅーだよね」

友紀「だ、ダメだこの人……。もういいしっ! 朝まで呑んでやる!」

早苗「お? やっとか! それじゃおつまみもう少しお願いね!」

美優「ふふっ。はいはい……♪」

友紀「特攻隊長ユッキ! 一気いきまーす!」

早苗「呑め呑めー!」

美優「ふふ……」

 
……………
 ………
  …

P「確かに呑む約束はした」

友紀「うん」

P「だけどお前の部屋で宅飲みとは聞いてないぞ?」

友紀「話したいこともあるからね。他に2人きりになれる場所ないし」

P「だからっておま……。簡単に男を家に上げるなよ……」

友紀「簡単じゃないしっ! いろいろ悩んだ結果だもん!」

P「さいですか。で、話って?」

友紀「まあまあそれは置いといて。まずは呑もう。記憶飛ぶくらいに」

P「そんなに呑む気なら先に話しろよ」

友紀「やーだね。ていうか無理」

P「そうかい」

友紀「でさ、凛ちゃんとちひろさんが今年こそ星は浮上するんだーなんて言うからあたし笑っちゃったのよ。まずは投手力をどうにかしなきゃねー」

P「お前事あるごとにスポンサー貶すよな。なに? 恨みでもあんの?」

友紀「まっさかー。大魔神いた時は最強のライバルだって思ってたもん」

P「何年前だよそれ」

友紀「だって今の星は……うん……」

P「星だって頑張ってるんだから許してやれよ! ったく……」

友紀「えへへー。やっぱプロデューサーと呑むの楽しいっ!」

P「それは喜ばしいことで」

友紀「ね、プロデューサー。ゲームしない? 負けたら罰ゲーム!」

P「ゲーム?」

友紀「えっとねー……。じゃじゃーん! プッキーの登板です!」

P「はあ」

友紀「で、これを喰わえへ……。ふぁい!」

P「……お前それがどんなゲームか知ってんのか?」

友紀「もひっ!」

P「なら尚更却下だ却下。アイドルとプロデューサーがするゲームじゃない」

友紀「むぅー……」ポリポリ

P「膨れっ面したってダメなもんはダメ」

友紀「じゃあ辞退したプロデューサーには罰ゲームを受けてもらおうかな」

P「まだそっちの方がマシだ」

友紀「罰ゲームはなんと! あたしとプッキーゲーム!」

P「おい」

友紀「いいじゃーん。ね? 一回だけだから!」

P「なんでそんなにそれがしたいんだよ……」

友紀「お願い。一回でいいから」

P「だからダメだって」

友紀「プロデューサーはあたしのこと……嫌い?」

P「嫌いとかじゃなくて倫理的にだな――ああもう泣くなよ」

友紀「お願い……っ! だから……」ポロポロ

P「……一回だけだぞ」

友紀「やたっ♪ それでこそプロデューサー!」コロッ

P「演技力の向上を喜ぶべきか否か……」

友紀「じゃああの時計の秒針が12を指したら試合開始ね!」

P「一回きりだぞ?」

友紀「わかってるってば。ほら、喰わえて喰わえて!」

P「ふぇいふぇい」パクッ

友紀「ふふふん。負けないからね」パクッ

P「ふひにひほ(訳:好きにしろ)」

友紀「……」

P「……」



カチッ



友紀「すはーほ!」ポリポリポリ

P「ひょ、はや――」



友紀「ん――」

P「」

友紀「――ぷはっ。えへへー。あたしの勝ち!」

P「」

P「……最初からこのつもりだったのか?」

友紀「うん。ごめん」

P「なんでだ」

友紀「……この前、さ。ちゅーしちゃったじゃん」

P「だからあれは事故だって」

友紀「事故だとしても、あたしあれが初めてだったんだから」

P「……ごめん」

友紀「謝んないでよ。あたし悲しくなかったし。ううん、むしろ初めてがプロデューサーでよかった」

P「……」

友紀「最初はわかんなかったんだよ? なんで恥ずかしいのに嬉しいんだろーって。頭の中ごちゃごちゃーっ! ってなっちゃった」

友紀「で、あたしだけじゃ答え出そうになかったから人に頼りました!」

P「それで、答えは出たのか?」

友紀「その人はね、嬉しくなかったらちゅーじゃないんだって。ちゅーは嬉しい人として、初めて成立するんだって」

P「……」

友紀「そこでユッキ考えた! 嬉しい人ってどんな人なの? なんでプロデューサーしか浮かんでこないの?」

P「……」

友紀「答えは簡単。あたしはプロデューサーが好き。大好き」

P「友紀……」

友紀「偶然だけど、好きな人とちゅーしたからあたしは嬉しかったんだって。……事故なんかで済ませたくないの」

友紀「もちろんダメなのはわかってる。わかってるけど、気付いたからには抑えられない。だからプロデューサー、教えて?」

P「……なにを?」

友紀「プロデューサーにとって、今のはちゅー? それともプッキーゲーム中の事故?」

P「どっちを答えても今のままじゃいられなくなるぞ?」

友紀「その覚悟も無しにあんなことしないしっ!」

P「……いいんだな?」

友紀「もち! 早く答えてくんなきゃあたし倒れるかも」

P「繊細な友紀とは珍しい」

友紀「失礼なっ! あたしだって女の子なんだけど!」

P「はは、そうだよな。なら、俺の答えは――」





 

 
……………
 ………
  …

P「友紀、本番始まるぞ」

友紀「ちょい待ち! 今キャッツのキャンプ情報してるから!」

P「キャッツより仕事を優先しろ! 録画しといてやるから」

友紀「ぶー。こういうのは生で観るからいいのにー」

P「試合じゃないんだからいいだろ。ほら、早く行け」

友紀「ちぇー。わかりましたよーだ」

P「たく。結局今までと変わらないじゃないか」

友紀「あたしは自分を曲げないよっ!」

P「どこぞのにゃんこが怒り出しそうなセリフ言わんでよろしい。頑張ってこいよ」

友紀「はーい。あ、プロデューサー」

P「なんだ?」





友紀「仕事終わったら、また元気になる魔法かけてね♪」





おわりん

ひーはーおわったぜぃ。
毎回産休ユッキだと思うなよ(断言)

とりあえずこれでユッキ主役SS4作目終了です。
出来ればこのまま純愛オンリーでいきたいけど…うん…。

お付き合い感謝ですよー。

姫川友紀(20)
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三船美優(26)
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片桐早苗(28)
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画像先輩いつもありがとうございます!

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