総統「安価で国威発揚する」(31)


―――会議室―――

ザワザワ…… ザワザワ……

総統「……さて、皆 揃った様だな... ...これより国威発揚の為の会議を始める」

外務大臣「国威発揚、ですか?」

内務大臣「まぁ確かに最近 我が国は元気が無い気がするからね」

通商大臣「国威発揚... ...良いと思います」

国防大臣「大いにやるべきだと思います」

科学大臣「しかし一口に国威発揚をやると言っても色々やる方法があると思うのですが、なにか案があるのですか?」

総統「うむ、国威発揚の為に......」


総統「>>2

日本と戦争する


総統「日本と戦争する」

閣僚達『えっ!?』

外務大臣「何でですか!?」

総統「……周囲から手っ取り早く一目置かれる存在になるにはどうしたら良いと思う?」

閣僚達『え?』

総統「それはな、周囲から一目置かれている存在から一目置かれる事だ」

国防大臣「確かに“あいつすげぇ”と皆が思っている者から“あいつは凄い”と言われれば、皆の見る目が変わりますね」

総統「そうだ。日本は先進国で世界有数の経済大国」

総統「そんな国に戦って勝てば我が国の実力は周囲に“凄い”と思われ、我が国民達も“俺達は凄いんだ”となって元気になると思う」

内務大臣「成程、確かに日本と戦争して勝てば国威発揚となりますね」


外務大臣「……納得はまぁ一応はしましたけど、どうやって日本に勝つんですか? 日本はアメリカと同盟国ですよ?」

国防大臣(日本自体も経済力に対する防衛費の割合は低いが絶対額は世界上位、そこに世界一のアメリカ軍。勝つのは不可能だよなぁ)

総統「ふっ... ...諸君らは日本の“信玄堤”を知っているか?」

閣僚達『信玄堤?』

総統「その信玄堤は低水準な土木技術によって作られた堤だ」

内務大臣「その低水準な堤がどうしたのですか?」

総統「定住が困難な程の大水害を発生させる暴れ川を制した」

閣僚達『えっ!?』

総統「信玄堤を作った者は川をよ~く見て、知恵を振り絞って見事に暴れ川を制したのだ」

国防大臣(つまり、足りない軍事力は知恵とかで補えと.....?)


国防大臣「え~と、取り敢えず日本と戦争するという事は分りましたが、遠隔地への輸送能力は我が軍にありませんよ?」

総統「ならば先ずは輸送能力の確保だな。兵士が一人でもいないと戦争出来ないからな。通商大臣、予算の都合を」

通商大臣「分りました」

総統「国防大臣、それで我が軍が遠征出来る様にしてくれ」

国防大臣「分りました」
――――――――
――――
――
国防大臣「総統閣下、ご報告が」

総統「よう国防大臣、どうした?」

国防大臣「はい、>>7を入手しました。>>7の能力ならば我が軍は遠隔地に遠征出来る事でしょう」

スコープドック


総統「スコープドック、だと? 人型兵器の?」

国防大臣「はい」

総統「えぇ? スコープドックってどちらかというと輸送される側で輸送する側じゃないよね?」

国防大臣「まぁ確かに基本はそうかもしれませんね」

総統「なのにそれで遠征って......」

国防大臣「大丈夫です。スコープドックのスペックは全高3.8m 降着時2.2m 重量6.4t 巡航走行速度41km/h」

国防大臣「そして、駆動方式はマッスルシリンダーをポリマーリンゲル液の電気による化学変化で動かします」

国防大臣「そのPR液は経年または使用すると劣化して使えなくなるので交換が必要ですが、標準液交換時間は218時間」

総統「え~と、PR液が使用出来るうちだとずっと動いていられるのか? とすると......」

国防大臣「北アメリカ大陸ぐらいだったら余裕で横断出来ます」


総統「それは本当か? 機構の耐久性とか信頼して良いのか?」

国防大臣「はい。第三世界でも充分に活動出来ますし、整備性も良好、荷物もある程度運べ、何よりも人型です」

総統「......最後の人型という利点は、どういう事だ?」

国防大臣「ふっ... ...ライオンと人ではライオンの方が強いですが、人はライオンに勝とうと思えば勝てます」

総統「ふふっ、成程な... ...でも一つ、大切な事が抜けているな」

国防大臣「はい何でしょうか?」

総統「日本って、島国だよね? 行くとしたら海路か空路しかなくね? 陸路が無いからスコープドックでは行けないんじゃ.....?」

国防大臣「それだったら大丈夫です」

総統「お? という事は海路で行く用意か空路で行く用意を準備して来たのか? まさか俺が知らないうちに陸路が出来たのか?」

国防大臣「>>10

海底トンネル


国防大臣「海底トンネルがあります。これで日本とは陸続きも同然です」

総統「おお、そうなのか! なら陸戦兵器でも行けるな!」

国防大臣「というか総統閣下はご存知無かったのですか? 日本との海底トンネル開通は、結構なニュースになってましたよ」

総統「いや~、どうやって日本と戦争して勝つか、その為にアメリカ軍をどうするかとずっと考えていたから、最近はニュースを見て無いんだ」

国防大臣「そうでしたか... ...ところで、私も考えたんですが、どうやっても日本に勝つのは、アメリカ軍の所為で無理だと思うんですが......」

総統「ふっ、アメリカ軍をどうにかする方法は、ある」

国防大臣「えっ!? 本当ですか!?」

総統「うむ、アメリカに勝てる国は無い。そしてアメリカは日本の同盟国。日本が攻撃されたら日本を攻撃して来た奴を叩きのめす......」

国防大臣「えぇ、ですから日本と戦争なんて無謀。でもそのアメリカ軍をどうにか出来るなら日本との戦争は... ...いや、それでも日本に勝てるかどうかは......」

総統「だがしかし、日本を攻撃した奴が日本ならばどうだ?」


国防大臣「えっ!?」

総統「アメリカは同盟に基き日本を攻撃した奴を攻撃する訳だが、日本を攻撃する者になる訳だからアメリカ自身も攻撃しなきゃいけなくなる」

国防大臣「え~と、でもアメリカはそんなおかしな事はしないと思いますが.....?」

総統「そう、実際はアメリカはそんな事はしない。実際は事の成り行きを静観するか、どちらか一方に味方したりするだろう」

国防大臣「……成程、確かにそんな状況なら、アメリカ軍はどうにかなりそうな気がしますね... ...で、具体的にはどんな感じでやるのですか?」

総統「うむ、色々考えているが... ...日本を二つに割って争わせて、どちらか有利な側について勝利すれば、目的の“日本と戦争して国威発揚”が達成出来ると思う」

国防大臣「え、そんな感じで良いんですか?」

総統「世の中には戦争して無いのに『俺達は戦勝国だ』とか言う国があるから良いと思うんだが?」

国防大臣「まぁ確かに。それにアメリカが参戦した場合アメリカ側が勝ちますから、アメリカが参戦してくれた方がアメリカの力で楽出来ますね」


総統「その通りだ。でもまぁ取り敢えず先ずは外交をしておかないとな。外務大臣を」

外務大臣「総統閣下! 御報告があります!」

総統「おや外務大臣、丁度今呼ぼうと思っていたんだが?」

外務大臣「日本でクーデターが発生しました!」

総統・国防大臣「「えぇっ!?」」

国防大臣「これが“噂をすれば影”ってやつなんですかね?」

総統「かもしれないなぁ......」

外務大臣「?」


――――――――――

『日本は今のままでは駄目だ』

『“国庫に金が無い金が無い”と言い、防衛費を削ったが、軍事に金を費やし軍拡に走る国に資金援助するのを止めない』

『軍縮は他国と協調し行うべきがそれをしないというのは怯懦だ』

『他に働けるのに働かず、生活保護を求める輩に唯々諾々と金を払う』

『更に未だに脱原発か続原発か議論が絶えない』

『脱原発なら燃料を売る者に“これから長いお付き合いを宜しくお願いします”と頭を下げて交渉すれば良い』

『燃料を売る者は現在“日本に燃料が売れるのは今だけ”と短期的商売で考えているから高値で売る』

『これが長期的商売になるなら“あ、日本に燃料はこれから長い間 売れるんだ”となり、長期的商売に見合った値となる』

『そして新しいエネルギーを研究開発していく』


『続原発ならしっかりと最終廃棄物を今後10万年間管理し続ける覚悟を持つ事』

『いや、切り捨てる土地、犠牲にする土地を作る覚悟、万一の事故で土地を切り捨てる覚悟をする事』

『そして決めた事に対しぐちぐちと未練たらしく文句を付けない事』

『そうそう、領土問題もあるな。これも怯懦が原因で無駄に長引かせている』

『決められない、断固とした態度が執れないというなら、我々がやる』

『日本はやりたい奴がやりたい事を出来る国だ。倒幕、明治維新もやりたい奴がやりたい事を出来た結果だ。なんてったって長州と薩摩の二藩で出来た』

『ヨーロッパ先進国と同じ海軍陸軍を持ちたい。と思い、やりたい奴がやった結果、出来た』

『日本はやりたい奴の意思でやりたい事が出来る国だ。我々は政権を奪取する』

『そして日本を変える。必ずやる……』

――――――――――


――――――――
――――
――
外務大臣「とまぁ、クーデターを起こした者はこんな感じで主張してますね」

総統「ふ~む、そうかぁ... ...取り敢えず、我々が日本と戦争し勝利する為にはアメリカがクーデター側に付くか現政府側に付くかが鍵だ。情報収集を」

外務大臣「はい、分りました。あと、我々が日本に介入するならパイプを作る必要がありますね」

総統「そうそう、取り敢えずアメリカがどっちについても良い様に、クーデター側、現政府側、両方に一応パイプを作っておいて」

外務大臣「分りました」

外務次官「失礼します」

外務大臣「? どうしましたか?」

外務次官「はい、一応、日本の現政府の主張を報告しようと思いまして……」


――――――――――

『日本は民主制の国です』

『専制ではなく、社会主義や共産主義でもありません。民主制の国家です』

『国を動かすのは国民から選ばれた政治家です。そして気に入らない政治家は選挙で選ばなければ良いのです』

『更に政治家には事務所があり、そこに自分の意見を書いた手紙などを投書出来ます』

『自分で国を動かす政治家になる選択だって出来ます』

『そう... ...日本はやりたい事が出来る国です』

『原発だってやりたい人が居たからこそ建設されたのです』

『今ある日本は“これがやりたい!”という人達が居たからこそ今の日本になったのです』


『大切なことなので二回言います。日本は民主制の国です』

『専制ではなく、社会主義や共産主義でもありません。民主制の国家です』

『日本を変えて行く事、日本を動かして行くという方法、権利は、国民一人一人にしっかりと与えれています』

『それを無視して暴挙を行う事は許されません!』

『仮令、現状の日本に不満を持っていたとしても、日本を変えたかったら正式な方法、権利を行使して行うべきなのです』

『我が政府はこの民主制の日本を守る為、このクーデターは絶対に許しません』

――――――――――


――――――――
――――
――
外務次官「以上が現政府側の主張です」


総統「ふむ、だがまぁ我々がどちらの側に付くかはアメリカ次第だからな......」

閣僚達『そうですね......』

外務大臣「あ、それじゃ情報収集とパイプ構築をしてきます」

総統「おう」
――――――――
――――
――


―――アメリカ、ホワイトハウス……―――

主席補佐官「大統領、日本で発生したクーデター、どの様に対処しますか? 私はとっととクーデター側を鎮圧すべく武力介入すべきかと」

大統領「うむ、そうだな」

次席補佐官「しかし、武力介入は血が流されます。資金、資材も消費します。静観しませんか? これは日本の事、日本が独力で解決すべきでは?」


安全保障補佐官「いや、世界は平和であるべきだ。日本が政情不安であれば世界平和的に危険だ。早く平和にしないともっと多くのものを失う事態が発生するのでは?」

国防長官「それに我が軍の実力を今の日本に試すチャンスでもあるし、軍需産業は諸手を挙げて喜ぶぞ」

経済担当補佐官「そうですね」

財務長官「いやでも、やっぱり日本との戦争は支出が多い気がしますよ」

大統領「う~む... ...そうだ思い付いた、我が国は民主主義の国、ならば……」

>>27-32
1、アメリカ現政府側で参戦
2、アメリカ不介入、静観
3、その他

大統領「多数決で多かったのを採用する」

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