芳佳「涙が出るほど美味しいロマーニャのパスタ料理を作ろう」 (87)

芳佳「今日の料理、どうしようか?」

リーネ「自分が作れるものって限られてきちゃうから……」

芳佳「いつも扶桑料理だとみんなも飽きちゃうよね」

リーネ「そんなことないよ。私は芳佳ちゃんの扶桑料理大好きだし、お味噌のスープなんて毎朝作ってほしいぐらいだよ?」

芳佳「ありがとう。私もリーネちゃんに毎朝作ってあげたい」

リーネ「うれしい……」

ルッキーニ「よっしかー、リーネぇ、今日のご飯はー?」

芳佳「ごめん、まだ決まってないの。また扶桑の料理でいいかな?」

ルッキーニ「そうなの? 芳佳とリーネのごはんも美味しいけど、たまにはロマーニャのごはんもたべたいかも」

リーネ「ロマーニャの料理っていうと、パスタを使ったのとか?」

ルッキーニ「そうそれ!! それつくってぇー。特に、ペペロンチーニ! アーリオ・オーリオ・ペペロンチーニがいいなー!」

芳佳「あ、あーんとにおぺぺぺんろっきーに?」

>>1
ワロタ
何がワロタってお前さんのそのレス。
まさにデストロイ
臭い
なにが臭いってお前さんのそのレス。
つまんねえからもう死ねよハゲチャビン

>>2
それをその速さで貼れるってことは
お前それをコピってずっと待機してたんだろ?
リロードしまくって。誰かスレ立てるの待って。
まじきめーな。氏ねよハゲ。

ルッキーニ「あー、なんかお腹すいてきちゃった。今すぐつくれりゅ?」

芳佳「作ってあげたいけど、作り方がわからないと……。リーネちゃん、知ってる?」

リーネ「詳しくは知らないよぉ。ロマーニャ料理は作ったこともないし」

芳佳「そっかぁ。ルッキーニちゃん、作り方わかる?」

ルッキーニ「しらない」

芳佳「だったら、無理かな……」

ルッキーニ「えー!? 無理なのー!?」

芳佳「だ、だって、パスタを使った料理ってだけじゃどうしていいのかわからないし」

ルッキーニ「うじゅー……たべたいぃ……」

リーネ「ご、ごめんね」

ルッキーニ「別にいいけどぉ」

芳佳「ルッキーニちゃん……。ちょ、ちょっと待ってて!! 他の人なら作り方知ってるかもしれないし、聞いてくる!!」

ルッキーニ「ほんとー!? やったー!! さっすが、よしかー!!」

ルッキーニちゃん可愛い

もっさんが納豆と大根おろしと刻み海苔のパスタのレシピを教えてくれるよ

芳佳「料理が得意な人といえば……」

リーネ「バルクホルンさんかな、やっぱり」

芳佳「うん。聞いてみよう」

リーネ「でも、今どこにいるんだろう。訓練中なら無理かも」

芳佳「とにかく探してみないと」

リーネ「そうだね」

芳佳「バルクホルンさーん」

バルクホルン「――なんだ?」

芳佳「バルクホルンさん!?」

リーネ「ち、近くにいたんですね」

バルクホルン「丁度、訓練が終わって風呂に行こうと思っていたところだ」

芳佳「よかったぁ。あの、聞きたいことがあるんです。今、いいですか?」

バルクホルン「ああ。構わないが」

芳佳「えーと、ペロペロルッキーニっていうロマーニャ料理の作り方なんですけど」

バルクホルン「なんだそれは。ルッキーニが開発した料理か?」

リーネ「よ、芳佳ちゃん。ペペロンチーニじゃなかったかな?」

芳佳「え? そうだっけ?」

バルクホルン「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーニのことか?」

芳佳「あ、はい! そんな感じでした!!」

リーネ「作り方、知っていますか?」

バルクホルン「あれを作るのか……うーむ……」

芳佳「なにかあるんですか?」

バルクホルン「作り方は簡単だ。ガーリックをスライスし、油で鷹の爪と共に弱火で煮詰め、茹で上がったパスタに絡めるだけだからな」

リーネ「それだけですか?」

芳佳「私でもできそう! ありがとうございます!! リーネちゃん、早速作ろうよ!!」

リーネ「うん!」

バルクホルン「あ、おい!!」

芳佳「すぐ作るんでバルクホルンさんも良かったら食べにきてください!」

リーネ「ありがとうございました!」

バルクホルン「待て、宮藤!!」

芳佳「リーネちゃんはパスタをお願い」

リーネ「いいよ」

芳佳「ルッキーニちゃん、ちょっと待っててね。すぐに作るから」

ルッキーニ「おぉー!! たのしみー!!」

バルクホルン「……」

ルッキーニ「なに難しい顔してるの?」

バルクホルン「いや……」

芳佳「これぐらいかな……?」

リーネ「芳佳ちゃん、茹で上がったよ」

芳佳「あ、うん。絡めよう」

リーネ「パスタをいれて……」

芳佳「――これで完成」

ルッキーニ「にゃー!! ありがとう、よしかー!! ロマーニャのごはん~!」

芳佳「ルッキーニちゃんに出す前に味見してみないと……はむっ……」

リーネ「ど、どう?」

芳佳「……郷土料理ってこういう味だよね」

リーネ「え? はむっ……」

芳佳「どうかな?」

リーネ「うーん……?」

ルッキーニ「おにゃかすいたぁー!」

芳佳「あの、思えば私たちちゃんとしたペロペロルッキーニのこと知らないから、この味でいいのかわからないんだけど」

ルッキーニ「芳佳とリーネの作るものにまずいものなんてないから、だいじょーぶぅ!」

リーネ「ありがとう。自信はないけど、食べてみて」

ルッキーニ「いっただきまぁーす!! はむっ!」

バルクホルン「どうだ、ルッキーニ少尉?」

ルッキーニ「……」

芳佳「ルッキーニちゃん?」

ルッキーニ「……お……おい、しい……よ?」

芳佳「ル、ルッキーニちゃん!! 無理しなくていいから!!」

ルッキーニ「たべる……たべりゅから……うん……」

俺にもペペペンロッキーひとつ

俺にもペペロンペリーヌひとつ

バルクホルン「やめろ。私が食べる」

ルッキーニ「でもぉ」

バルクホルン「はむっ……」

リーネ「あのぉ……」

バルクホルン「とても不味いな」

芳佳「あ……やっぱり……」

バルクホルン「ただの茹でたパスタに油が絡んでいるのみで何も味がしない。その上ただ辛いだけだ。最悪だな」

芳佳「ごめんね、ルッキーニちゃん。こんなはずじゃ……」

ルッキーニ「うん……」

芳佳「こ、今度はもっと勉強して上手く作れるようになるから!!」

ルッキーニ「あい」

芳佳「ルッキーニちゃん、元気なくなっちゃった……」

リーネ「期待に応えられなかったばかりか、美味しくない料理出しちゃったから、仕方ないかも」

芳佳「はぁ……」

バルクホルン「全く、酷い料理だ。……ごちそうさま」

ルッキーニ「……にゃぁ……」

リーネ「あぁ、ルッキーニちゃん……」

芳佳「バルクホルンさん、何がいけなかったんですか?」

バルクホルン「私が言った作り方は簡略化させていた。あの説明だけで美味なペペロンチーニを作れるものは天才だろうな」

芳佳「えー!? そうなんですか!?」

バルクホルン「人の話は最後まで聞け」

芳佳「すみません。ルッキーニちゃんが待ってると思うと、居ても立ってもいられなくて」

バルクホルン「いいか? 作る手順がシンプル故に作り手の技術が大きく味に反映される。これだけは覚えておけ」

芳佳「そ、そうなんですか!?」

リーネ「それで、詳しい作り方を……」

バルクホルン「少し待っていろ。今、紙に書いてやる」

芳佳「わーい! これで美味しいペロペロルッキーニつくれるね!」

リーネ「うん!」

芳佳「ルッキーニちゃん!! あと少しだけ待っててね!!」

ルッキーニ「……ぁぃ」

芳佳「えーと……ニンニクを切って……フライパンにバージン・オイルを……」

リーネ「芳佳ちゃん、パスタ茹でてもいい?」

芳佳「うん、お願い!」

リーネ「はーい」

ルッキーニ「うー」

バルクホルン「心配するな。あの二人ならなんでもできるはずだ」

ルッキーニ「だよねだよね」

バルクホルン「大人しく椅子に座っていろ」

ルッキーニ「あい!!」

芳佳「それから……ニンニクの色が変わり始めたら鷹の爪を……いれて……」

リーネ「芳佳ちゃん、パスタ茹で上がっちゃったんだけど……」

芳佳「あ、こっちまだだから、そのままにしておいて」

リーネ「うん」

芳佳「一分ぐらいで火をとめる……っと。それから……」

ルッキーニ「たのしみぃー!」

なぜかどうでしょうを思い出した

芳佳「次は乳化させなきゃいけないんだよね……パスタの茹で汁を使うんだ……ふんふん……」

リーネ「芳佳ちゃん!!」

芳佳「どうしたの?」

リーネ「パスタが増えてたよ!!」

芳佳「なんで!?」

リーネ「よくわからないんだけど……」

芳佳「こんなに入れなくてもよかったのに」

リーネ「違うの!! 茹でてたらパスタが増えていって……」

芳佳「パスタって勝手に増えるの!?」

リーネ「ど、どうしよう」

芳佳「と、とにかく!! すぐにあげよう!!」

リーネ「うん!!」

芳佳「な、なにこれ……多い……!」

リーネ「お、おもい……」

ルッキーニ「あにゃ……パスタいっぱいありゅ……」

藤やん「なんで増えるんだよ」

増えるパスタ

芳佳「――はい、ルッキーニちゃん」ドンッ

ルッキーニ「おぉぉ……!?」

芳佳「お、大盛りになっちゃった」

ルッキーニ「……」

リーネ「私、他の人を呼んでくる!!」

芳佳「そ、そうだね! みんなで食べたほうが美味しいよね!!」

リーネ「そ、そうそう!!」

ルッキーニ「いただきまーす……はむっ……」

芳佳「ど、どう?」

ルッキーニ「……」モッチャモッチャ

芳佳「……」

ルッキーニ「……」モッチャモッチャ

芳佳「パスタを食べてるときの音じゃないね……」

ルッキーニ「あい」

バルクホルン「よこせ。私が全部食べる」

お姉ちゃんの巧妙な作戦にしびれるぜ

ペペロンチーノの真のおいしさは、残ったガーリックをパンに載せて食べるところ

リーネ「こ、こちらです」

シャーリー「今日はパスタなのか。いやー、久しく食べてないからたのしみだよ」

ミーナ「ええ。そうね」

エイラ「丁度、腹も減ってたしなー」

ペリーヌ「納豆さえでなければ、問題ないですわ」

美緒「ロマーニャ料理か。あまり馴染みはないが……」

エーリカ「宮藤とリーネが作ったのなら、なんでもいーじゃん。早く、たべよー」

サーニャ「芳佳ちゃんとリーネちゃんの料理、楽しみ」

ルッキーニ「うじゅ……」

シャーリー「お。ルッキーニ、どうしたんだよ。椅子の上で膝抱えて」

ルッキーニ「シャーリー……」

バルクホルン「……」モッチャモッチャ

エーリカ「これが言ってたパスタ料理? 食べていいんだよね」

バルクホルン「待て。食べないほうがいい」

エーリカ「え? なんで? トゥルーデ、独り占めするのー?」

もちゃもちゃスパゲッティ好きな俺にもわけろ

シャーリー「味見ぐらいさせろって」ヒョイ

バルクホルン「おい!! リベリアン、横から取るとは何事だ!!」

シャーリー「はむっ」

エーリカ「どうどう?」

シャーリー「なんだ、これ? パスタか?」

美緒「んー……」モッチャモッチャ

ミーナ「美緒、音を立てて食べるなんてダメよ」

美緒「この歯ごたえはなんだ? ロマーニャ料理とは顎を鍛えるものなのか」

芳佳「い、いえ、多分、茹ですぎただけなんだと思います」

美緒「顎の訓練にはいいかもしれんな」モッチャモッチャ

エイラ「うえー。味もほとんどついてないじゃないかー。まずいな、これ」

芳佳「すいみません、エイラさん!! あの、失敗したうえに、パスタが増えちゃって……」

ペリーヌ「それでわたくしたちに残飯処理をさせようと? いい度胸していますわね」

リーネ「そ、そんなつもりはないんです!! でも、あの、結果的にはそうなっちゃって……ごめんなさい……」

サーニャ「……」モッチャモッチャ

シャーリー「ルッキーニのためにロマーニャ料理を?」

芳佳「はい……」

シャーリー「なんだ、そうだったのか。宮藤、ありがとう」

芳佳「で、でも、二回も失敗しちゃって……」

シャーリー「ルッキーニ、お礼はいったのか?」

ルッキーニ「まだ」

シャーリー「宮藤とリーネにお礼いってとけよ。折角、作ってくれたんだしさ」

ルッキーニ「芳佳、リーネ。ありがとう」

芳佳「そ、そんな!! 私のほうこそごめんね! こんな料理だしちゃって!」

リーネ「そうだよ! 私たちが謝らないといけないぐらいなのに!!」

美緒「ふむ。これの完成形は気になるな」モッチャモッチャ

エイラ「私もどんなのかは興味あるぞ」モッチャモッチャ

ペリーヌ「本来はもっと美味しいはずですわ」モッチャモッチャ

ミーナ「うーん。味がないのがね……」モッチャモッチャ

エーリカ「ふぉうふぁふぁ? ふぇふふぇふー」モッチャモッチャ

モチャラーしかいねえのかよ

え?なにエーリカ?俺のこと好きだって?

茹ですぎたパスタも嫌いじゃない支援

バルクホルン「ごちそうさま」

エイラ「これでお腹いっぱいになるのはちょっと嫌だな」

バルクホルン「文句をいうな。場合によっては補給もなく、草でも虫でも口にしなければいけない我々にとって、食べられるものが出てくるだけでもありがたいんだ」

エーリカ「いや、遠征してるわけじゃないし」

美緒「この作り方は誰から教わった?」

芳佳「バルクホルンさんです」

美緒「ならば、バルクホルン。「明日、お前が作ってみてくれないか?」

バルクホルン「私が?」

美緒「宮藤たちにレシピを与えたのはお前だろう?」

バルクホルン「そうだが……」

シャーリー「おう、それならバルクホルンが手本を見せてくれたらいいだけか。頼むよ、ルッキーニのためにもさ」

ルッキーニ「たいい……」

バルクホルン「う……仕方ない。作ってはやる。だが、どんなものが出てきても残さず食べろ。それが条件だ」

ルッキーニ「いいのー!? 絶対たべるー!!」

芳佳「わー! バルクホルンさんの手料理なんて、たのしみー!!」

エイラ「明日はご馳走だな」

サーニャ「ええ」

ミーナ「バルクホルン大尉はクリスさんに色々と料理を振舞っていたものね」

バルクホルン「うるさい」

エーリカ「いえーい!! トゥルーデのりょうりー!! 宮藤、期待してていいからねー」

芳佳「期待しかしません!!」

ペリーヌ「確かに、バルクホルン大尉の料理は美味でしたわね」

芳佳「本格的なペロペロルッキーニが食べれるね!!」

ルッキーニ「あい!!」

シャーリー「おっし。明日は今日の2倍訓練をしとくかな」

美緒「ほう? それはいい考えだな。腹が減っていればそれだけ食事も格別になる」

芳佳「私も訓練いっぱいします!!」

リーネ「私も、いいですか?」

美緒「はっはっはっは。よぉし! 明日は猛特訓だ!!!」

バルクホルン「……」

ハードル

夜 食堂

バルクホルン「……」

ミーナ「あら? トゥルーデ、何をしているのこんな時間に。部屋に戻りなさい。もうすぐ消灯よ」

バルクホルン「ミーナか……」

ミーナ「どうかしたの?」

バルクホルン「宮藤……いや、みんなは私の料理に期待しているようだったな」

ミーナ「普段、あなたの料理なんて口にできないし、作るものがロマーニャ料理だから。はしゃいでしまうのも仕方ないわね」

バルクホルン「ミーナ、私はそこまで料理に自信などない」

ミーナ「え? 何言ってるの。貴方の料理は美味しいわ。不安を覚えることなんて……」

バルクホルン「カールスラントの料理ならば、宮藤とリーネとも戦える。だが、ロマーニャ料理だ。それも料理人の能力が問われるペペロンチーニ……」

バルクホルン「……あんなに期待されては困る」

ミーナ「だ、だったら、説明したらいいじゃない。自信がないって」

バルクホルン「できると思うのか? いや、説明したところで宮藤たちは私が謙遜しているようにしか見えないだろう……」

ミーナ「そ、それはそうかもしれないけれど」

バルクホルン「もし失敗したらと思うと……眠れないんだ……」

ミーナ「貴方って本当に真面目ね。皆期待はしているけど、一流のシェフが作るものを期待しているわけじゃないのよ」

バルクホルン「プレッシャーに押しつぶされそうだ……」

ミーナ「そうは言っても、もう……」

バルクホルン「……誰だ!!」

ペリーヌ「ひっ……」

ミーナ「ペリーヌさん!? 何をしているの!?」

ペリーヌ「あ、あの……水を……飲もうとおもって……」

バルクホルン「聞いていたのか」

ペリーヌ「も、もうしわけありません……」

バルクホルン「……他言は無用だ」

ペリーヌ「で、ですが、大尉の腕を考えれば失敗なんてありえない……」

バルクホルン「もう寝る」

ミーナ「ちょっと!!」

ペリーヌ「……」

ミーナ「もう……。もう少し肩の力を抜けばいいのに」

皆に料理を振る舞うプレッシャーで眠れなくなる堅物軍人さん…

手際が重要だから作業工程さえ見せてしまえば芳佳ちゃんならすぐ作れるようになりそう

じゃけん次はカルボナーラ作りましょうね~(ゲス顔)

翌日

芳佳「今日の晩御飯はバルクホルンさんの手料理ー!!」

リーネ「たのしみだねー」

エイラ「はしるぞー」

芳佳「待ってください!」

シャーリー「ふふーん。今日、昼飯抜いてやろうかな」

ルッキーニ「にゃはー、それいいー」

シャーリー「だろ? 夜までに体調を完璧にしとかないと」

エイラ「私もしようかな」

ペリーヌ「……」

芳佳「ペリーヌさんも猛訓練しよ!」

ペリーヌ「宮藤さん、ペペロンチーニパスタのレシピ、今ありますか?」

芳佳「え? 部屋に置いてるけど……。それがどうかしました?」

ペリーヌ「思うのですが、その、大尉に全てを任せてしまってよいものかと」

リーネ「でも、バルクホルンさんが作ってくれるって言ってましたから」

ペリーヌ「バルクホルン大尉のご厚意に甘えるのは、どうかと思いますわ。そもそもわたくしたちの上官に料理を作らせるという行為が間違っていますでしょう?」

エイラ「はぁ? 大尉が作ってくれるっていったんだから別にいいじゃないか」

ペリーヌ「エイラさん。なら、サーニャさんが一人でネウロイと戦うと言い出したら、何も言わずに見送るということでよろしいのですか?」

エイラ「そんなわけないだろ。サーニャがダメっていっても私はついていくぞ」

ペリーヌ「ほら、ごらんなさい。つまりはそういうことですわ」

シャーリー「悪い。どういうことだ?」

ペリーヌ「だから、バルクホルン大尉のサポートぐらいはしてあげるべきではないか、といっています」

芳佳「それかえって邪魔になるんじゃ……」

ペリーヌ「何も調理の手助けをしようなどとは言ってませんでしょう。飽くまでもサポートですわ。ルッキーニさんだって、完璧なアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーニを食べたいはず」

ルッキーニ「たべたいー」

ペリーヌ「完成度を高めるという意味でも、わたくしたちがバルクホルン大尉のサポートをすべきですわ」

リーネ「確かに、バルクホルンさんだけに頼るのは悪いかも……」

芳佳「そうだね……」

エイラ「それはいいとして、具体的にはどんなことするんだ?」

ペリーヌ「え……えーと……それは……」

シャーリー「私たちにできることっていえば、食材調達ぐらいしかないよな」

ペリーヌ「そ、それですわ!! 流石はシャーリー大尉。その通りです。わたくしはそれを言おうとしておりましたの」

エイラ「ホントか?」

ペリーヌ「本当ですわ」

ルッキーニ「食材って、あれ具とか入ってたっけ?」

芳佳「ニンニクと鷹の爪とオリーブオイルぐらいだったよ」

エイラ「なんだ。全部、厨房にあるな。私たちの出る幕がない」

シャーリー「そうだな」

ペリーヌ「ちょ、ちょっとお待ちなさい!! ルッキーニさん!!」

ルッキーニ「にゃに?」

ペリーヌ「何かあるでしょう? 具になるものが、ほら。ロマーニャではどのようなパスタでしたの?」

ルッキーニ「うーん……ソーセージとかベーコンは入ってたかもしれないけど……」

ペリーヌ「それですわ!!」

芳佳「何がですか?」

ペリーヌ「美味しいソーセージとベーコンを手に入れる。これが私たちの役目といえます」

リーネ「それも厨房にあるような……」

ペリーヌ「厨房に置いてあるのなんて、新鮮ではないでしょう!?」

芳佳「えぇ……。みんな、あれ食べてるんですよ?」

ペリーヌ「ですから、どちらも新鮮なものを入れれば――」

エーリカ「おーい、暇そうな人ー。ちょっとてつだってー」

シャーリー「どうした?」

エーリカ「補給、届いたんだってさ。奥に運ぶから」

シャーリー「食料か?」

エーリカ「中身はソーセージとかハムとか、だね」

シャーリー「そりゃ、都合がいい」

エーリカ「そうなの?」

エイラ「これで新鮮なやつも手に入ったな、ペリーヌ」

ペリーヌ「……いえ、まだですわ。ハルトマン中尉!! その中に鷹の爪等の香辛料は入っていますか!?」

エーリカ「んー? リストにはないけど?」

ペリーヌ「決まりですわ。最高の香辛料をバルクホルン大尉のために用意いたしましょう」

エイラ「お前、なんでそんなに必死になってんだよ」

ペリーヌ「べ、別に必死になんてなっていませんわ」

芳佳「最高の香辛料ってどんなの?」

リーネ「わ、わかんないけど……」

ペリーヌ「新鮮な香辛料でなくてはいけませんわね。パスタの味が引き締まるような」

エイラ「どこにあるんだよ、そんなの」

ペリーヌ「そ、それは……」

ルッキーニ「あ! それならあそこにあるんじゃない!?」

ペリーヌ「え? ど、どこですか!?」

ルッキーニ「したー」

芳佳「下って……」

リーネ「基地の下にある遺跡のこと?」

ルッキーニ「そうそう!! 色々栽培してたよねー?」

ペリーヌ「まぁ! すばらしい!! そうですわね! あそこになら新鮮な香辛料が手に入りますわ!! 早速、行きましょうか」

芳佳「こ、これからですか!?」

食堂

バルクホルン「……食べてみてくれ」

美緒「バルクホルン。私はお前の料理を楽しみにしてる側の人間だ。味見などできん」

バルクホルン「頼む。自信が欲しいんだ。宮藤……いや、みんなの舌を納得させるだけの実力が私にはあるという自信が」

美緒「だが、私はペペペルンチーニョという料理の味を知らないからな」

バルクホルン「美味いかどうかだけ判断してくれればいい」

美緒「分かった。そこまでいうのなら、味見をさせてもらおう」

バルクホルン「ああ。少佐にしか頼めないんだ」

美緒「はむっ……」

バルクホルン「……どう、だろうか?」

美緒「……」

エーリカ「補給きたよー」

シャーリー「なにしてんだ?」

バルクホルン「向こうに行っていろ」

エーリカ「なになに? 本番に向けての試食会? なんで私をよばないんだよー」

バルクホルン「お前に料理の味などわかるわけがない」

エーリカ「えー? ひどいなぁー」

シャーリー「何に対しても美味しいっていうもんな」

エーリカ「いわないってー」

バルクホルン「菓子ばかり食べているやつには無理な話だ。私は適正な判断をしてほしい」

エーリカ「そんなことないのに」

美緒「……ふむ」

バルクホルン「少佐、どうだ?」

美緒「はっきり言った方がいいか?」

バルクホルン「も、勿論だ。時間もない、欠陥があれば早急に修正しなければならない」

美緒「では、言わせてもらおう」

バルクホルン「あ、ああ……」

美緒「はっきり言って、美味い」

バルクホルン「少佐ぁ!! ありがとう!!!」ギュッ

美緒「しかしな、これは私の感想だ。やはり、食べた経験のある者に試食させたほうが実のある意見を聞けるはずだが」

バルクホルン「いや、そんなことはない!! 扶桑の者を唸らせることができれば十分だ!!」

美緒「何故だ?」

バルクホルン「それは……扶桑出身者の舌は本物だと聞いたことがあるからだ」

美緒「私の味覚は大味もいいところだがな」

バルクホルン「そんなことない。不安は自信に変わり、そして確信へと昇華した。もう私に恐れることはなにもない」

美緒「本当にいいのか?」

シャーリー「はむっ」

エーリカ「いただきまーす」

バルクホルン「なー!!! お前らぁ!! 何を勝手に!!!」

シャーリー「だって、美味そうだったし」

エーリカ「はむっ……おいしいぃ!!」

バルクホルン「え? そ、そうか?」

シャーリー「うん。うまいうまい。やるじゃないか、バルクホルン。少しだけ見直した」

バルクホルン「ほ、ほんとか? いや、まぁ、あれだ、クリスにも料理は作っていたし、これぐらいはな……うん……」

シャーリー「私はもう少し香辛料が効いてるほうが好みだけどな。悪くないと思う」

もっさんは肝油の件があるから信用ならねぇと思ってたが大丈夫そうだな

バルクホルン「バカを言うな。それ以上は旨味が飛んでしまう」

シャーリー「へー。そんなもんか」

エーリカ「トゥルーデ、おかわり!」

バルクホルン「あるわけないだろう。試食用に作ったものだぞ」

エーリカ「えー!? おかわりー!! パスタのおかわりー!!」

バルクホルン「やめろ!!! 夜になれば作ってやる!!」

エーリカ「私、大盛りね!!」

バルクホルン「ああ。わかった」

エーリカ「わーい。おおもりだー」

シャーリー「しかし、これなら杞憂だったな」

バルクホルン「なにがだ?」

シャーリー「ペリーヌがバルクホルンのサポートをすべきだって言ったんだよ。だけど、この分だとサポートの必要はないし、逆に足を引っ張るだけになるだろ?」

バルクホルン「ペリーヌが……?」

美緒「バルクホルンの腕を信用していなかったのか」

シャーリー「そういうわけじゃないと思いますけどね」

支援

ミーナ「地下の遺跡に?」

ペリーヌ「はい。バルクホルン大尉が料理を振舞ってくれるということなので、せめて食材はわたくしたちで調達したいと思いまして」

ミーナ「なるほど」

エイラ「大尉のことだから、何も心配しなくていいっていったんだけどな。このツンツン眼鏡、話きいてくれなくてさぁ」

芳佳「だけど、バルクホルンさんのお手伝いはしたほうがいいと思います」

リーネ「私も、そう思います」

エイラ「えー?」

ミーナ「分かったわ。遺跡へ向かうことを許可します」

ペリーヌ「中佐! ありがとうございます!!」

ミーナ「ただし、いつネウロイの襲撃があるか分からない以上、遺跡に向かうのは3名までね」

芳佳「3人だけですか」

ミーナ「引率として私、それから提案者のペリーヌさんは決定です。あと一人は……宮藤さんにお願いしようかしら」

芳佳「了解!」

ミーナ「ありがとう。時間もかけてられないし、出発しましょう」

ペリーヌ「はい!」

リーネ「気をつけてね、芳佳ちゃん」

芳佳「大丈夫だよ。ミーナ中佐とペリーヌさんがいるんだもん」

リーネ「うん」

ミーナ「エイラさんには坂本少佐、バルクホルン大尉に伝達をお願いするわね」

エイラ「了解」

芳佳「いってきまーす!」

リーネ「いってらっしゃーい!」

エイラ「気をつけろよー。ころぶなよー」

芳佳「はぁーい!!」

ペリーヌ「中佐、ありがとうございます。わたくしの我侭をきいてくださって」

ミーナ「いいのよ。昨晩のこと、気にしているんでしょう?」

ペリーヌ「そ、それは……」

ミーナ「貴方も真面目ね」

ペリーヌ「いえ、わたくしは上官に料理という雑用をさせるのも気が引けて……」

ミーナ「バルクホルン大尉は喜んでいると思うけどね」

遺跡

芳佳「ここでしたよね……」

ミーナ「気をつけてね、宮藤さん。まだ何か仕掛けがあるかもしれないから」

芳佳「はい」

ペリーヌ「きゃ!?」

ミーナ「大丈夫?」ガシッ

ペリーヌ「は、はい。足が滑って……」

ミーナ「がんばって。バルクホルン大尉の不安を取り除いてあげるんでしょう?」

ペリーヌ「は、はい!」

芳佳「みえましたよー!! こっちです!! こっちこっち!!」

ペリーヌ「よかった。変わっていませんわね」

ミーナ「魔法の力が働いているから、枯れてしまうこともなさそうね……」

芳佳「ペリーヌさん、どれをもって帰りますか?」

ペリーヌ「無論、香辛料ですわ」

ミーナ「ということは全部持って帰るのかしら?」

ペリーヌ良い奴

ペリーヌ「そんなには持って帰れませんわ。でも、どれがあのパスタに合うのか……」

ミーナ「薄味になってしまうと困るから、できるだけ辛味のあるほうがいいかもしれないわね」

ペリーヌ「そうなると……えーと……」

芳佳「ペリーヌさん!! ペリーヌさん!!」

ペリーヌ「なんですの?」

芳佳「これ、なんですか?」

ペリーヌ「ん? これは……?」

芳佳「トマトが萎びたみたいな感じですけど」

ペリーヌ「見たとこがないですわね、この形の果実なんて」

ミーナ「ちょっと見せてもらえる?」

芳佳「はい、どうぞ」

ミーナ「これは……もしかして……」

ペリーヌ「中佐、知っておられるのですか?」

ミーナ「トリニダード・スコーピオン……じゃないかしら?」

ペリーヌ「とりにだ……なんですか、それは?」

ミーナ「はむっ」

芳佳「えぇぇ!? 食べて平気なんですか!?」

ミーナ「……」モグモグ

ペリーヌ「中佐、それは食べられるものなのですか?」

ミーナ「うん。この辛さは間違いないわね。トリニダード・スコーピオン・モルガよ」

芳佳「なんだが、強そうな名前ですね」

ペリーヌ「香辛料の一つなのですか?」

ミーナ「ええ。古代の魔女が儀式用に栽培した果実と言われているわね。極上の辛さをもつものよ」

芳佳「へー、そうなんですか」

ペリーヌ「そのようなものがあるとは知りませんでしたわ」

ミーナ「この果実、かなり高級で中々手に入らないのだけど、まさかここで栽培していたなんて」

ペリーヌ「そ、それは高く売れるのですか!?」

ミーナ「そうね。香辛料を取り扱う人になら高く売れるかもしれないわ」

ペリーヌ「そ、それは……いいことをききましたわ……」

芳佳「ペリーヌさん……」

辛いの苦手なので読んでてタマがひゅん!ってなった

ペリーヌが地下で何かを栽培して売っていると聞いて

ペリーヌ「んんっ。今はバルクホルン大尉の料理に添える香辛料を持って帰ることが大事です」

芳佳「これにしますか?」

ミーナ「最高の食材というのなら、これにするべきだと思うわ」

芳佳「ペリーヌさん、これにしましょう!! これに!!」

ペリーヌ「ええ。中佐が絶賛しているのですし、間違いないでしょう」

芳佳「じゃあ、私はトリガースコーピオンモルダーを摘んできます!」

ペリーヌ「ええと、10人前ほどを作るわけですから……」

芳佳「10個とります!!」

ミーナ「他の料理でも使えるはずだから、多めに貰っておきましょう」

ペリーヌ「そうですわね。宮藤さん、好きなだけお取なさい」

芳佳「わかりました!!」

ミーナ「これでバルクホルン大尉の不安も軽減するわね」

ペリーヌ「だといいのですが」

ミーナ「貴方がここまでしてくれたのですもの。大丈夫よ」

芳佳「すっごく赤い、この実……辛そう……。でも、ミーナ中佐がそのまま食べてたし、大丈夫だよね」

格納庫

ミーナ「はい。お疲れ様」

ペリーヌ「ありがとうございました、ミーナ中佐」

芳佳「いっぱい取れましたね!!」

ミーナ「ええ。夕食が楽しみだわ」

美緒「ミーナ!!」

ミーナ「坂本少佐。どうしたの?」

美緒「どうしたのではない!! まだ調査が済んでいない遺跡にいくとは何を考えている!! 万が一のことがあったらどうするつもりだったんだ!!」

ミーナ「そのために私がついていったのよ」

美緒「私はお前の身を案じてだな……」

ミーナ「心配しないで。宮藤さんもペリーヌさんも、それに私も怪我はしていないでしょう?」

美緒「何故、一言もなく遺跡に向かった?」

ミーナ「バルクホルン大尉と貴方が試食会をしていたからよ? 邪魔するのも悪いと思って」

美緒「う……」

芳佳「試食会ってなんですか?」

さるよけー?

ミーナ「気にしないで、宮藤さんとペリーヌさんはそれをバルクホルン大尉に届けてきて」

芳佳「はい!!」

ペリーヌ「行きますわよ、宮藤さん」

美緒「あの赤い実はなんだ?」

ミーナ「トリニダード・スコーピオン・モルガ」

美緒「なんだそれは?」

ミーナ「とっても美味しい香辛料よ」

美緒「香辛料に美味い不味いがあるのか」

ミーナ「勿論」

美緒「そうか。私にもまだまだ知らないことは多いな」

ミーナ「辛さは200万スコヴィル以上だからきっとどんな人でも満足できるわ」

美緒「200万か。単位はよくわからんが、なにやら凄そうだな」

ミーナ「あ、そうだ。美緒、ガスマスクを用意しないと」

美緒「……何故だ?」

ミーナ「え? だって、トゥルーデが危ないもの」

食堂

バルクホルン「私ならできる……私ならできる……私なら宮藤……みんなを喜ばせることができる……」

エイラ「大尉はずっとなにしてんだ?」

エーリカ「精神統一だって」

シャーリー「イメージトレーニングだろ?」

エーリカ「もうどっちでもいいよ」

リーネ「真剣なんですね、バルクホルンさん」

シャーリー「堅物だからな」

エイラ「そろそろサーニャを起こしてくるか。サーニャも楽しみにしてたからなー。寝言で「おかわり!」って叫んだぐらいだし」

ルッキーニ「どんなのができるんだろー」

シャーリー「ルッキーニはあれだ。ロマーニャが恋しくなって泣いちゃうかもな」

ルッキーニ「そんなに美味しいの食べられるの!?」

シャーリー「ああ。私が保証する」

ルッキーニ「やったー!!! たのしみぃー!! にゃははは!!」

バルクホルン「私ならできる……宮藤……いや、みんな……いや、宮藤を喜ばせることができる……」

大変なことになりそう

ペリーヌ「ああ、ここにいましたわ」

芳佳「ただいまー」

リーネ「芳佳ちゃん、おかえり。大丈夫だった?」

芳佳「うん。ほら、見て。こんなに取ってきたの」

リーネ「な、なにこれ?」

エーリカ「なんだこれー? 真っ赤だね」

シャーリー「これ、香辛料か?」

ペリーヌ「はい。ミーナ中佐曰く、最高の香辛料だと。専門家の間では高値で取引されているそうですわ」

エーリカ「え? ミーナが?」

ルッキーニ「これ、パスタにいれりゅの?」

芳佳「そうだよー」

シャーリー「美味しくなるんだろうな?」

ペリーヌ「バルクホルン大尉の腕と最高の食材。これで不味いものが出来上がるほうが異常ですわ」

シャーリー「そうか。おーい、バルクホルン。ペリーヌと宮藤がいいもの持ってきてくれたみたいだ」

バルクホルン「……なに?」

そろそろ用意しておくか
http://www.youtube.com/watch?v=W5PS2ep-5j8

ペリーヌ「あの、大尉……これ……」

芳佳「バルクホルンさんのためにとって来ました!!」

バルクホルン「エイラから報告は受けている。何故、こんなことをした?」

芳佳「それは……」

ペリーヌ「大尉の不安を少しでも和らげることができるならって……そう思いまして……」

バルクホルン「だから、最高の食材を取りに行ったのか」

ペリーヌ「食材がよければ、あの、多少の失敗もカバーできると……」

バルクホルン「それは私を信頼していないということだな?」

ペリーヌ「え……」

芳佳「ち、ちがうんです!! ペリーヌさんは……!!」

バルクホルン「分かっている。ペリーヌ、宮藤。感謝する」

ペリーヌ「大尉……」

バルクホルン「この香辛料をふんだんに使って、最高のペペロンチーニを食わせてやる」

ペリーヌ「は、はい! 楽しみにしておりますわ!!」

芳佳「がんばってください!! バルクホルンさん!! もうお腹ペコペコです!!」

シャーリー「お、早速作るのか?」

バルクホルン「ああ。宮藤とペリーヌのためにな」

芳佳「わーい!!」

バルクホルン「誰か、ミーナと少佐を呼んで来てくれ」

リーネ「私、行って来ます」

エーリカ「私もいくよ。気になることがあるし」

リーネ「気になること?」

エーリカ「ミーナが最高って評価する果実には何かあると思うんだよね」

リーネ「そうなんですか?」

バルクホルン「始めるか」

ルッキーニ「にゃはー!! みてていいー?」

バルクホルン「好きにしろ」

芳佳「私も近くで見学させてください。今度は自分で作りたいんで」

シャーリー「おー。宮藤のパスタ料理、たのしみにしてるよ」

バルクホルン「まずはこの宮藤とペリーヌが持ってきてくれた果実とガーリックを切るか」

ルッキーニ「わっくわくー」

芳佳「バルクホルンさんのやり方を真似ればいけるはず」

バルクホルン「……」トントン

シャーリー「ふわぁぁ……」

バルクホルン「……」トントン

ルッキーニ「んにゃ?」

バルクホルン「……」トントン

芳佳「ごほっ……ごほっ……」

バルクホルン「なんだこれは……目にくるな……」

ルッキーニ「うにゃー!! 痛い!!」

シャーリー「ん? どうした?」

ルッキーニ「ごほっ!! ごほっ!!」

バルクホルン「流石は最高の香辛料だ」

芳佳「ごほっ……次は……どうするんですか……?」

バルクホルン「切ったガーリックを……ごほっ……オリーブオイルで……ごほっ……!」

なるほどこれがスレタイの涙につながるわけか

ルッキーニ「うぇぇぇん!!!」

シャーリー「おい、バルクホルン。ルッキーニがもう泣き出したけど、どれだけ故郷の味を再現してるんだ?」

バルクホルン「知るか」

ペリーヌ「な、なんですの……この……目の痛みは……!!」

バルクホルン「よ、よし、ガーリックの色が変わったら、香辛料を入れる」

芳佳「あ、あの……バルクホルンさん……」

バルクホルン「なんだ?」

芳佳「や、やめませんか?」

バルクホルン「宮藤とペリーヌが危険を冒してまで取ってきたものだ。使うに決まっている」

芳佳「いや、でも、これ……」

バルクホルン「使う!!」ジューッ

ペリーヌ「ふぬ……!?」

バルクホルン「がっ……ごっほっ……!!」

芳佳「いたい!! いたいです!!! 舌がいたい!!」

シャーリー「なんだこれ!? 催涙弾か!?」

サーニャの部屋

エイラ「サーニャ、起きろ」

サーニャ「ぅん……ごはん、できたの?」

エイラ「そろそろ作り始めるから、もう食堂に行こう」

サーニャ「ええ。楽しみね、エイラ」

エイラ「そうだな。大尉の料理なんて滅多に食えないもんな」

サーニャ「ホントに……」ピクッ

エイラ「ん? なんだ?」

サーニャ「いたい……」

エイラ「サーニャもか?」

サーニャ「う、うん……目が……」

エイラ「うぅ……もしかして、敵襲か……?」

サーニャ「それなら警報が鳴るはずよ」

エイラ「わかんないぞ。テロかもしれないし。とにかくこの痛みの原因を探るか」

サーニャ「エイラ……」ギュッ

食堂

芳佳「鼻が痛い!! 鼻がー!!!」

ペリーヌ「げほっ……!! ごほっ……!!」

シャーリー「おい!! もうやめろ!! そんなもの食えたものじゃないだろ!!」

バルクホルン「だが……折角の想いを無駄になど……!!」

シャーリー「お前、自分の顔面がどうなってるかわかってないだろ!?」

バルクホルン「なにがだ……?」

シャーリー「顔から出るもの全部でてるぞ!!」

バルクホルン「そうか……どうりで唾液が大量に滴り落ちるとおもった……」

シャーリー「もういい!! バルクホルン!!」

バルクホルン「シャーリー……だがな、私はもう後には引けない」

シャーリー「いや、引けよ!」

バルクホルン「宮藤とペリーヌの想い、そしてパスタも茹で始めている……」

シャーリー「げっほ!! ごほっ!! ダメだ……!! 食堂にいれない!!!」

バルクホルン「あとすこしでかんせいするんだ……!!」

廊下

美緒「ミーナ、そのガスマスクをつけていないとどうなる?」

ミーナ「鼻とか喉をやられてしまうかもしれないわね」

美緒「ならば、早くもっていかないと。それにしても、やけに目が痛いな。気のせいか?」

ミーナ「私はなんともないけれど」

エイラ「少佐、中佐!」

サーニャ「めがいたいです」

美緒「大丈夫か、サーニャ」

サーニャ「なみだとはなみずがとまりません」

美緒「これで拭け」

エイラ「これなんだ!? 攻撃か!?」

ミーナ「一体、どうしたのあなたたち?」

リーネ「い、いました!! ハルトマンさん!!」

エーリカ「ミーナ!! ちょっとヤバいって!! 涙とまんないよー!!」

ミーナ「え? 貴方たちまでどうしたの?」

ルッキーニ「うぇぇぇぇん!!!」

美緒「ルッキーニ!! どうした!?」

リーネ「ルッキーニちゃんも辛さにやられたみたいです!」

美緒「バルクホルンはもう調理を始めているのか!?」

エーリカ「うん。宮藤がお腹ペコペコっていったから、張り切りだして」

美緒「このままではバルクホルンの命に関わる!! ミーナ、先行しろ!!」

ミーナ「ええ!!」

エイラ「いてぇ……つばがあふれてくるぅ……」

サーニャ「わたしも……」

エーリカ「やっぱりミーナが最高っていうのものは危険だね」

リーネ「芳佳ちゃんが心配です。戻りましょう」

美緒「食堂にいるものは?」

リーネ「芳佳ちゃん、ペリーヌさん、シャーリーさん、それからバルクホルンさんです」

美緒「エイラ! 救護班を呼んでおけ!!」

エイラ「りょうかいっ」

泥沼の戦闘状態

食堂

ミーナ「大丈夫!?」

芳佳「うぅ……」

シャーリー「宮藤、しっかりしろ。ペリーヌ、大丈夫か?」

ペリーヌ「ぐ……ごほっ……」

ミーナ「トゥルーデ!!」

バルクホルン「ミーナ……みてくれ……できたんだ……」

ミーナ「どうして途中でやめなかったの?」

バルクホルン「そんなこと……できるわけが……」

ミーナ「ガスマスクが必要なぐらい危険な香辛料なのよ。無理して作るなんて……」

バルクホルン「ぐっ……」

ミーナ「でも、作ったのね」

バルクホルン「ああ……約束通りにな……」

ミーナ「ありがとう、トゥルーデ」

バルクホルン「はぁ……はぁ……」

美緒「全員、無事か!?」

シャーリー「なんとか生きてる」

リーネ「芳佳ちゃん!! 大丈夫!?」

芳佳「う、うん……」

エイラ「ペリーヌ、だいじょうぶか?」

ペリーヌ「うぅ……ん……エイラさん……」

エイラ「お前、顔がもうすごいことになってるな。汗とか涎で」

ペリーヌ「し、しかたありませんわ……」

エーリカ「それで、出来上がったの?」

バルクホルン「ここにある……」

ミーナ「みんな。いただきましょう」

サーニャ「え……!?」ビクッ

美緒「本気か?」

ミーナ「だって、バルクホルン大尉が身を削って作ってくれたものだもの。食べないと」

芳佳「そ……そうだ……たべなきゃ……バルクホルンさんのためにも……」

ババア…

美緒「宮藤、死ぬ気か!?」

芳佳「でも、バルクホルンさんがここまでしてくれたのに!!」

美緒「臭気だけでこの惨状だ!! 食べればどうなるか分かるだろう!?」

芳佳「だけど……!!」

ミーナ「はむっ」

リーネ「た、食べた……」

ミーナ「うん。美味しい。このピリっとするのがいいのよね」

エーリカ「ピリって……」

ルッキーニ「こんな真っ赤なパスタ、はじめてみたぁ……からそう……」

シャーリー「ああ。でも、中佐がすげーうまそうに食うから、なんか腹減ってきたな……」

ミーナ「はむっ……んー。やっぱり、トゥルーデの腕は本物ね」

バルクホルン「あ、ありがとう……」

芳佳「わ、私、食べます」

エイラ「おい、宮藤。悪いことはいわないからやめとけって」

芳佳「きっと調理したから辛さもマイルドになっているんだと思います。ミーナ中佐、あんなに美味しそうに食べてますし、きっと大丈夫ですよ」

ミーナ「みんな、冷める前に食べないと」

美緒「う、うむ……」

芳佳「バルクホルンさんっ」

バルクホルン「宮藤……やめろ……」

芳佳「――いただきますっ。はむっ」

バルクホルン「宮藤ー!!!」

芳佳「……」

サーニャ「芳佳ちゃん……あの……」

芳佳「あぁあああぁぁぁああああぁぁ!!!!」

リーネ「芳佳ちゃん!! 芳佳ちゃん!!!」

エーリカ「わああぁぁ……」

ルッキーニ「うぇぇぇぇん!!! よしかぁー!!!」

美緒「宮藤!! しっかりしろ!!!」

芳佳「あぁぁ……あぁあー……あー……ぁぁ……」

エイラ「うぇ……宮藤のこんな姿、みたくなかった……」

ミーナ「あら、宮藤さんには少し辛すぎたのかしら?」

バルクホルン「くっ……ミーナ……!」

エーリカ「ミーナ。この辛さはミーナにとっては丁度いいのかもしれないけど、凡人には耐えられないんだよ」

ミーナ「え……ご、ごめんなさい……そうだったの……」

シャーリー「はむっ」

リーネ「シャーリーさん!?」

シャーリー「がぁ……あぁ……!!」

ルッキーニ「シャーリー!!」

シャーリー「はれ……ふぉれはれは……ふうは……」

ルッキーニ「シャーリー……」

美緒「ミーナ」

ミーナ「はい」

美緒「とりあえず、この11人前のパスタは全部食べてくれ」

ミーナ「分かったわ」

美緒「宮藤とシャーリーを救護室につれていけ!!」

シャーリー「口の中が燃えてるみたいだな……」

エーリカ「なんで食べたの?」

シャーリー「いや、腹減ってて、つい」

ルッキーニ「よしかぁ……大丈夫ぅ……?」

芳佳「ルッキーニちゃん……ごめんね……もう大丈夫だから……」

ルッキーニ「ごめんね、私が我侭言ったから」

芳佳「そんなことないよ」

ルッキーニ「芳佳ぁ……」

バルクホルン「私がもっと肩の力を抜いていれば、宮藤も食べようとはしなかったのかもしれないな」

ペリーヌ「いえ、わたくしたちがバルクホルン大尉に度の過ぎたプレッシャーを与えてしまったからですわ」

芳佳「バルクホルンさん」

バルクホルン「どうした?」

芳佳「今度は私が作ります。バルクホルンさんの調理、ちゃんと見ましたから、もう大丈夫です。ルッキーニちゃんも楽しみにしててね」

ルッキーニ「芳佳……。うんっ!」

バルクホルン「ああ。楽しみにしている」

これは支援

ミーナ「ふぅ……お腹いっぱい」

美緒「――ミーナ」

ミーナ「美緒、宮藤さんとシャーリーさんは?」

美緒「無事だ」

ミーナ「よかった……」

美緒「この実、捨てても構わないな?」

ミーナ「そうね……。残念ではあるけど……」

美緒「何故、他のものも食べられると思った?」

ミーナ「味はよかったのよ。本当に」

美緒「痛覚が麻痺していないか?」

ミーナ「そ、そんなこと」

美緒「尻の病にも気をつけろよ」

ミーナ「……しばらくは辛いものは控えるわ」

美緒「そうしてくれ」

ミーナ「宮藤さんにも謝っておかないと」

ペリーヌ「宮藤さん、もう大丈夫ですの?」

芳佳「まだちょっと痛いですけど、平気です」

リーネ「無理しないでね」

ミーナ「宮藤さん?」

芳佳「ミーナ中佐、どうしたんですか?」

ミーナ「その、私の所為で……ごめんなさい」

芳佳「いえ。ミーナ中佐は私たちのためを想ってあのトリガースコーピオンモルダーを選んでくれただけですから」

ペリーヌ「お気になさらないでください」

ミーナ「そう言ってくれると助かるわ」

芳佳「そうだ! ミーナ中佐、明日私がペロペロルッキーニをつくるんで、良かったら食べにきてくださいね」

ミーナ「私までいいの?」

芳佳「もちろんですよぉ」

リーネ「待ってますね」

ペリーヌ「中佐、今日は本当にありがとうございました」

ミーナ「……もう絶対に自分も味覚は信じないことにしないと。あの子達を苦しめるだけだもの」

芳佳、あなたつかれてるのよ…

ぺろぺろルッキーニたべたい

翌日 食堂

芳佳「――できましたー!!! ペロペロルッキーニ!! ルッキーニちゃん、どうぞ!」

ルッキーニ「わー!!!」パチパチ

バルクホルン「ああ! これだ!! これこそロマーニャ料理の色だ!!」

ルッキーニ「いただきまぁーす!! はむっ!!」

リーネ「どう、かな?」

ルッキーニ「うぐっ……ぐすっ……」

ペリーヌ「な……!? ルッキーニさん!? わたくしが手伝ったせいで味が悪くなってしまいましたか!?」

芳佳「ペリーヌさんはパスタ茹でただけですから!!」

ペリーヌ「そんなことわからな――」

ルッキーニ「おいしぃ……おいしい……」ポロポロ

リーネ「え……?」

バルクホルン「ずっと食べたかったものだ。湧き上がる感情もあるだろう」

芳佳「ルッキーニちゃん……ありがとう……」

ルッキーニ「おいしい……これ、おいしいよ……よしかぁ……」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom