女教師「お前、今日は居残りだぞ」 女生徒「え!?」(142)

女生徒「何でですか!? わたし何かしました!?」

女教師「何って……お前、心当たりはないのか?」

女生徒「ありません!」

女教師「そうか……それなら良いんだが」

女教師「あ、そういえばお前、この間の定期試験の結果はどうだった?」

女生徒「中間試験のことですか? そりゃあもうバッチリですよ。
     いつもは一夜漬けだったんですけど、今回のテストは三日前から取り組みましたからね! 
     もしかしたら、学年トップもあるかもしれませんよ」

女教師「ほう、ならこの答案用紙を見てどう思う?」

女生徒「何ですかこれ? 国語25点、数学18点、英語23点~!?
     酷いなぁ。ちゃんと勉強してればこんな点数取らないだろうに。
     これじゃあ、高校に進学できるかも怪しいですね」

女教師「それお前の答案だぞ」

女生徒「は?」

女生徒「ま、またまたご冗談を……」

女教師「名前をよく見てみろ、お前の名前が書かれてるだろ」

女生徒「う、嘘だい! こんなの嘘だい!」

女教師「嘘じゃない! これは紛れもなくお前のテストだ!」

女生徒「そ、そんなぁ~。 あんなに勉強したのに~」グスッ

女教師「たかが三日でよく勉強したなんて言えるな……」

女生徒「私にしては勉強したんですよぉ~……」グスッ

女教師「分かったから泣くのはよせ、みっともない!」

―5分後―

女生徒「ううっ……」

女教師「ちょっとは落ち着いたか?」

女生徒「はい、なんとか……」

女教師「そんなに深く考えるな。あくまで学習時間が少ないだけで
    時間をかければもっと良い点が取れる」

女生徒「……ほんとですか?」

女教師「本当だ。お前はやればできる奴なんだからな」

女生徒「先生がそこまで言ってくれるなんて……うれしいです……」

女生徒「わたし、先生の期待に応えられるよう頑張ります!」ビシッ

女教師(単純な奴だな、こいつ)

女教師「じゃあ、早速補修をはじめようか」

女生徒「押忍!」

女教師「まずはこれに目を通せ」パラ

女生徒「むっ? これは?」

女教師「私が特別に作った、お前専用のプリントだ」

女教師「最初は初歩的な問題が中心だ、少し簡単すぎるかもしれんが気にせずに解いてみろ。
これはあくまでお前のレベルがどれほどか確かめるためのものだからな」

女生徒「分かりました」

女教師「まあ、もし分からないことがあったら気軽に聞け」

女生徒「はい…………先生質問です!」

女教師「早いな!? どこが分からないんだ?」

女生徒「全部です!」

女教師「……は?」

女生徒「いや、だから全部」

女教師「全部って、そんなわけないだろ! この問題は前回授業でやった範囲と聞いたぞ!」

女生徒「え~、どうだったかな~。わたし、いつも寝てるから分かんないや」テヘッ

女教師「寝てる……だと……」

女生徒「いやぁ~、私の席って日がよく当たるから、いつの間にか眠っちゃうんですよね」

女生徒「あと、お昼食べた後なんて、のび太くんに負けないくらい早く寝れますよ」

女教師「………………………」ビキビキ

女生徒「あれ、先生……ひょっとして怒ってます……?」

女教師「ひょっとしなくても、怒ってるわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

女生徒「ひぃぃぃぃ!」

―只今説教中―

―2時間後―

女教師「…………大体、お前には学生としての自覚がだな……」クドクド

女生徒「せ、先生!」

女教師「なんだ!」

女生徒「もう下校時間なんですけど……」

女教師「なに!? あ、外がもう真っ暗だ……」

女生徒「ははっ……」

女教師「何故もっと早く言わない!」

女生徒「ええ!? 私のせい?!」

女教師「ぐぬぬ……、ええい、今日の補習はここまで!
    明日からみっちり指導するから覚悟しろよ!」ガラッ スタタタ

女生徒「あ、行っちゃった……」

―次の日―

女教師「おい、女生徒……」

女生徒「あ、先生」

女教師「昨日も言ったとおり、今日は補習だから忘れるなよ……」

女生徒「はい」

女教師「じゃあ、わたしは行く……」トボトボ

女生徒(先生やけに元気がなかったけど、どうしたんだろ?)

女生徒(あとで聞いてみよう)

―放課後―

女生徒「おまたせしました」

女教師「よし、ちゃんと来たな」

女生徒「もちろんです! やる気はありますから」

女教師「やる気があるなら、普段の授業でも真面目に取り組んでも貰いたいところだがな」

女生徒「えへへ」ポリポリ

女教師「まあいいさ、早速始めるぞ」

女生徒「あ、その前に……」

女教師「ん、なんだ?」

女生徒「今日の朝、やけに疲れてたみたいですけど、何かあったんですか?」

女教師「何だ、そんなことか。なに、たいした事じゃない、気にするな」

女生徒「だって、相当お疲れって感じでしたよ……。
    ほら、今だって目が真っ赤になってる」

女教師「いや、これはだな……」

女生徒「教えてください! 教えてくれないと補習に集中できません」

女教師「分かった、分かった! 言えばいいんだろ」
    
女教師「たいした事じゃないさ、ただ、お前のためのプリントを作成していたら
     徹夜になってしまっただけだ。」

女生徒「え、先生、寝てないんですか!?」

女教師「まあな、昨日のプリントは少し難しかったかもしれん。
    だから、お前のレベルに合わせて作り直したまでだ」

女生徒「なんでそこまで……」

女教師「昨日は折角の補習時間を潰してしまったからな。
    そのお詫びのつもりでもあるんだ。」

女生徒「でも、あれはわたしが……」

女教師「なにも言うな! お前は気にしなくていいと言ったろ?
    もし、私のためを思うなら今度の追試で一発合格して見せてくれ」

女生徒「先生…………」

女教師「さあ、わたしは全て話した。補習をはじめるぞ!」

女生徒「……はい!」

女生徒「………………………………」カリカリ

女教師「………………………………」

女生徒「………………………………」カリカリ

キン コン カン コーン

女教師「時間だな、今日は切り上げよう」

女生徒「待ってください、今いいところなんです」

女教師「しかし、もう時間だぞ」

女生徒「もう少しで解けそうなんです
    だから、あと少しだけ待ってください」

女教師「まあ、お前がそこまで言うなら……」

―30分後―

女生徒「………………………………」カリカリ

女教師「……おい、いつまでやるつもりだ」

女生徒「あと少し、あと少しだけ」

女教師「あのなぁ、これ以上遅くなると危険だ。
    残りは明日に取っておけ」

女生徒「もうちょっとだけです、 あと10分だけ延長お願いします」

女教師「……分かった、あと10分だ。 それ以上は絶対やらんからな」

―30分後―

女教師「コラァー!」

女生徒「はい?」

女教師「いつまでやるつもりだ! とっくに10分過ぎてるぞ!」

女生徒「でも、今良いとこ……」

女教師「うるさい! 今日はもう終わり、続きは明日だ」

女生徒「は~い……」

女教師「…………」

女生徒「先生、さようなら」

女教師「待て、私が車で送っていく」

女生徒「え、でも悪いですよ」

女教師「こんな暗い夜道を一人で帰らせるわけにはいかんだろ?
    ここは大人しく私の言うことを聞くんだな」

女生徒「えっと、じゃあお言葉に甘えて」

女教師「なあ、女生徒」

女生徒「なんですか?」

女教師「今日はちょっと張り切りすぎだったんじゃないか?」

女生徒「そ、そうですか? あれくらい普通ですよ!」

女教師「そんなわけあるか、今日のお前は少しおかしかった」

女生徒「だって……」

女教師「私のことで責任を感じてるんだろ?」

女生徒「……だって、先生あんなに疲れるまで頑張ってたから、わたしも負けてられないと思って、それで……」

女教師「馬鹿だなお前は」

女生徒「へ?」

女教師「馬鹿だといったんだ。 馬鹿、馬鹿、大馬鹿だ」

女生徒「ちょ、ストップ、ストップ!」

女生徒「いくらなんでも馬鹿、馬鹿言いすぎでしょ!?
    しまいにはグレますよ!?」

女教師「馬鹿に馬鹿と言って何が悪い?」

女生徒「うえぇぇぇぇん、もうやだ、この人!」

女教師「でも、お前みたいな馬鹿は嫌いじゃない」

女生徒「……え?」

女教師「単純だが、人の期待に応えるために精一杯頑張るお前が
    私は嫌いじゃないぞ」

女生徒「先生……」

女教師「ただ、無理をしすぎるのはよくない。自分の身の丈に合った努力をしろ。
    じゃないといずれパンクしてしまう」

女教師「だから今はゆっくりと成長していけばいいんだ」

女教師「いいな?」

女生徒「分かりました……」

女生徒「でも、その代わり、先生に恩返ししたいです!」

女教師「恩返しって……たとえば何をするんだ?」

女生徒「う、う~ん……。あ、そうだ! わたし、こう見えても料理得意なんですよ!
    なんで、追試が終わったら先生のために手作りお弁当持ってきます!」

女教師「弁当? しかし、生徒からそういった物を受け取るのは……」

女生徒「ダメですか?」ウルウル

女教師「うっ……」

女生徒「先生……」ウルウル

女教師「……分かったよ、好きにしてくれ……」

女生徒「やたー! 先生大好き!」

女教師「はぁ……」

女生徒「先生、ここが我が家です」

女教師「ほう、なかなか立派な家じゃないか」

女生徒「よかったら、今度遊びに来ます?」

女教師「あのなぁ……」

女生徒「へへっ、冗談ですよ。まあ、わたしはいつでもウェルカムですけどね」

女教師「何がウェルカムだ。明日に備えて自習を忘れるなよ?」

女生徒「は~い、先生、送ってくれてありがとうました」バタン

女教師「ああ」

女生徒「先生…」

女教師「うん?」

女生徒「先生は、どうしてわたしのためにそこまでしてくれるんですか?」

女教師「それは……」

女生徒「……」

女教師「クラスって言うのは、いわば家族みたいなものだ。
    クラスの教員である私が親で、お前たちが子供」

女生徒「先生……」

女教師「家族のために力を貸すのは当然のことじゃないか。
    だから何も不自然なことじゃないだろう?」

女生徒「そう、ですね!
    家族か……ふふっ、先生らしいなぁ」

女教師「なんだ、なにかおかしいか?」

女生徒「いえ、何もおかしくないですよ」

女生徒「じゃあ、わたし行きますね。
    送ってくださってありがとうございました」

女教師「ああ、どういたしまして」

女生徒「先生……本当にありがとう、わたし今なら頑張れる気がするんです」

女教師「そうか」

女生徒「だから、わたしのこと見守っててくださいね?」

女教師「言われなくとも見ててやるさ」

女生徒「へへっ、先生大好き」ニコッ

女教師「!?」ドキ

女生徒「さよなら」タッタッタッタ

女教師「あ、ああ……」

―追試当日―

女生徒「うはぁー、緊張する」

女教師「それぐらいで緊張してどうする。
    高校入試や、センター試験はこの比じゃないぞ」

女生徒「しょうがないじゃないですかぁ~。
    わたし、こういう雰囲気苦手なんですもん」

女教師「はぁ……仕方ないな」

女教師「ほら、これを持っていけ」

女生徒「え、これは?」

女教師「み、見れば分かるだろ……お守りだ」

女生徒「これ、私のために?」

女教師「わ、悪いか?」

女生徒「全然、悪くないですよ! むしろ嬉しいです!
    先生大好き!!」ムギュー

女教師「ば、馬鹿! こんなところでくっ付くな///」

女生徒「人目につかない場所なら良いんですか!?」

女教師「そういうことじゃない!!」

試験官「そろそろ時間だから、追試を受ける者は教室に入りなさい」

女教師「ほら、呼ばれてるぞ。さっさと行け」

女生徒「はぁ~い」

女教師「もし落ちたら補習延長だからな」

女生徒「え?」

女教師「嫌だったら無事に合格するんだ」

女生徒「う~ん……それなら落ちてもいいかなぁ」

女教師「なに?」

女生徒「そうすれば、先生ともっと二人っきりでいられるじゃないですか」

女教師「なッ!?///」

女生徒「そんじゃ、行って来ますね、先生」タッタッタ

女教師(なんでアイツは恥ずかしげもなくあんなことが言えるんだ……)ドキドキ

試験官「只今より追試験を行います」

女生徒「……」ドキドキ

試験官「では、はじめ!」


一方その頃

女教師「……」ソワソワ

教師「どうかなさいましたか?」

女教師「え!?」

教師「先程から、なんだか落ち着きがないように見えましてね。
   具合でも悪いんじゃないかと……」

女教師「いえ、そういうわけじゃ……」

教師「そうですか。ではどうして」

女教師「教え子が今、追試験を受けているんです」

教師「ああ、確か女生徒さんでしたっけ? ここのところ頑張っていましたからね」
   
教師「ついこの間まで授業中は居眠りばかりだったのに、
   最近は集中して授業を受けているから感心しますよ」

女教師「ありがとうございます。彼女が聞いたらきっと喜びます」

教師「まあ、今は彼女を信じて待ちましょう」

女教師「……はい」

あれ、IDがおかしい

女生徒(凄い……苦手だった問題が全然難しく感じない。わたしってもしかして天才!?)
    
女生徒(いや、違うな……)


女教師「お前、今日は居残りだぞ」

女教師「まあ、もし分からないことがあったら気軽に聞け」

女教師「なにも言うな! お前は気にしなくていいと言ったろ?
    もし、私のためを思うなら今度の追試で一発合格して見せてくれ」

女教師「家族のために力を貸すのは当然のことじゃないか。
    だから何も不自然なことじゃないだろう?」



女生徒(先生がいてくれたから、今のわたしがあるんだ)

試験官「はい、そこまで! うしろの生徒は用紙を集めてください」

女生徒「おわったぁ~」

女生徒(空欄は4箇所しかたかったし、見直しが2回もできた。
    もちろん名前の記入ミスもなかったし、ほぼ完璧だ)
    
女生徒(先生、喜んでくれるかなぁ~……ん?)

女教師「…………」チラチラ

女生徒(あれ、先生だよね? あんなところで何してるんだろ)

女生徒「せんせー!」

女教師「!?」ビクッ

女生徒「こんなとこ突っ立てどうかしたんですか?」

女教師「いや、その、なんだ……」

女教師「心配だったんだよ、お前が……」

女生徒「先生?」

女教師「その、信頼してないわけじゃないんだぞ? 
    ただ、傍にいてやりたくて、その……」

女生徒「…………」

女教師「すまん、自分でも何を言ってるのかよく分からなくなってきた」

女生徒「謝らなくていいですよ。先生の気持ちなんとなく分かりますから」

女教師「こんな気持ちは初めてなんだ。何故かずっと傍にいてやりたいと思ってしまう」

女生徒「え、それってどういう……?」

女教師「あ……いや、今のはナシだ! 忘れてくれ……」

女生徒「………………?」

ちょっとミスった
×女生徒「こんなとこ突っ立てどうかしたんですか?」
○女生徒「こんなとこで突っ立てどうかしたんですか?」

女教師「と、とにかく! 後は結果を待つだけだな!」

女生徒「は、はい……」

女生徒(なんか、はぐらかされた)

女教師「しかし、追試が終わったからといって、気を抜くなよ?
    これからも勉強に対して真摯に向き合う気持ちは忘れちゃ駄目なんだからな」

女生徒「分かってますって」

女生徒「そう言う先生こそ忘れてませんか?」

女教師「何がだ?」

女生徒「お弁当ですよ、お弁当!」

女教師「ん……ああ、そう言えばそんなことも言ってたな」

女生徒「やっぱり忘れてるんじゃないですか!
    良いですか、来週作ってきますから絶対に食べてくださいね」

女教師「いや、そんなムキにならなくても……」

―数日後―

女生徒「というわけで、作ってきましたー!」

女教師「うるさい! 少しは落ち着け!」

女生徒「ごめんなさい……」シュン

女教師「うむ、分かればよろしい。
    じゃあ、弁当を貰おうか」

女生徒「なんだかんだ言いながら食べる気マンマンじゃないですか」ニヤニヤ

女教師「う、うるさい! お前がどうしてもと言うから食べてやるんだろうが!」

女生徒「もう、先生は素直じゃないんだからぁ~」

女教師「こ、こいつ……」

女教師「というかお前、追試の結果はどうだったんだ?」

女生徒「あ、忘れてました」

女教師「忘れてましたって……結果はどうだったんだ?」

女生徒「気になります?」

女教師「ああ」

女生徒「ホントに?」

女教師「ああ」

女教師「ホントのホント?」

女教師「くどいわ!」

またミスだ
×女教師「ホントのホント?」
○女生徒「ホントのホント?」

女教師「焦らしてないでさっさと見せろ!」

女生徒「先生は冗談が通じないんだから……はい、これです」

女教師「どれどれ……、国語96点、数学92点、英語100点!?
    完璧じゃないか!」

女生徒「へへっ、どんなもんだい!」フンス

女教師「まさかここまでできるとは思わなかったよ」

女生徒「いや、正直自分でも驚くくらいですよ」

女教師「ほんとに、よかったな……」グス

女生徒「せ、先生!?」

女教師「え、いや、違う! これは、その……め、目にゴミが……」グシグシ

女生徒「先生……」

女教師「すまん、何だか湿っぽい雰囲気にしてしまったな……」

女生徒「気にしないでください、むしろ嬉しいくらいです」

女教師「え?」

女生徒「だって、それだけ先生がわたしのことを想ってくれてるって分かったから」

女教師「いや、それは……」

女生徒「違いますか?」

女教師「えっと、その……」

女生徒「……………………」ジー

女教師「…………ち、違わないけど……///」

女生徒「ホントですか! うれしいなぁ~」

女教師「そ、そんなことより早く弁当を出せ!
    昼休みが終わってしまうぞ」

女生徒「あ、うっかりしてました」

女教師「まったく……」

女教師(コイツと話してると調子が狂う……)

女生徒「はい、これお弁当です」スッ

女教師「ありがとう。開けてもいいか?」

女生徒「どうぞ、どうぞ」

女教師「…………」パカッ

女生徒「…………」ドキドキ

女教師「驚いた……想像よりずっと美味しそうじゃないか」

女生徒「ホントですか!?」

女教師「ああ、見た目も綺麗だし、料理も工夫されててとても美味しそうだ。
    ただ…………」

女生徒「ただ?」

女教師「この、中央にあるハートは何だ?」

女生徒「なんだって……。先生……それは、わたしの愛です」キリッ

女教師「そうか、いただきます」

女生徒「え、今のスルーですか!?」

女教師「お前のつまらん冗談に付き合っていられるか」モグモグ

女生徒「冗談じゃないのに……」モジモジ

女教師「む、本当に美味しいなこれは」

女生徒「先生のお口にあって良かったです!」

女教師「ああ、この肉巻きなんて特に美味しいぞ」

女生徒「さすが先生、お目が高い! それわたしの自信作なんです。」

女教師「勉強もこれくらい真面目に取り組んでもらいたいものだがな」

女生徒「それが出来たら苦労しません」

女教師「あれ、お前の弁当はないのか?」

女生徒「ええ、まあ……」

女教師「なんだ、具合でも悪いのか?」

女生徒「そういうわけではなく……」

女教師「なんだ、ハッキリと言ってみろ」

女生徒「いや、そのですね……先生のお弁当に時間をかけ過ぎて、
    自分の分を作る時間が無くなってしまいまして…………」

女教師「はぁ!? お前は馬鹿か!」

女生徒「酷い! また馬鹿って言った!」

女生徒「大丈夫ですよ、わたしそこまでお腹減ってませんから」

女教師「減って無くても食べろ、午後の授業に差し支えるだろ!   
    ほら、この弁当はお前が食べるんだ」

女生徒「ええ!? 駄目ですよ、先生のために作ったのにぃ~!」

女教師「仕方ないだろ、空腹の生徒を授業に出せるか」

女生徒「じゃあせめて、先生が食べさせてください!」

教師「なに?」

女生徒「先生がア~ンしてくれれば食べますよ」

女教師「な、なんで私がそんな恥ずかしいことしなきゃならんのだ!」

女生徒「なら、絶対食べません」プイッ

女教師「うぐぐ……」

女教師「分かったよ、やればいいんだろ……」

女生徒「え、やってくれるんですか!?」

女教師「きょ、今日だけだからな!///」

女生徒「わーい!」

女教師(コイツ、日に日に図々しくなってないか・・・?)

女生徒「せんせ、早く、早く!」

女教師「分かったから落ち着け!」

女教師「か、覚悟はいいか?」

女生徒「はい、いつでもどうぞ」

女教師「あ、あ~ん……///」

女生徒「んぐっ」モグモグ

女教師「…………///」ドキドキ

女教師「ど、どうだ……」

女生徒「うん、おいしいです!」

女教師「そ、そうか! それはよかった!」

女生徒(なんで先生が嬉しそうにしてるんだろ? ま、可愛いからいいか)

女教師「ごちそうさま」

女生徒「結局わたしと半分こになっちゃいましたね」

女教師「なに、気にするな。もともと私は小食だからな。
    これくらいでもお腹いっぱいだ」

女生徒「そうですか。ならよかったです」

女生徒(でも、出来ることなら、先生に全部食べてもらいたかったなぁ)

女教師「わたしも何か礼をさせてくれ」

女生徒「え?」

女教師「弁当の礼だ。金がかからなければ何でもしてやるぞ」

女生徒「そ、そんな悪いですよ」

女教師「どんな些細なことでもいいんだ。」

女教師「今、授業で分からない範囲を教えてくれとか
    居残り勉強につきあってくれとかあるだろ?」

女生徒「…………」

女教師「なにもないのか?」

女生徒「……一つだけあります」

女教師「言ってみろ」

女生徒「……キス、したいです……」

女教師「へ?」

女教師「か、からかうのはよせ!」

女生徒「……………………///」モジモジ

女教師「おい、なんとか言え!」

女生徒「……………………///」モジモジ

女教師(コイツまさか…………本気なのか?!)

女生徒「駄目、ですよね……」

女教師「え?」

女生徒「ごめんなさい、変なこと言って……
    女同士でなんて気持ち悪いですよね……」シュン

女教師「い、いや、気持ち悪いとかそういうのはないんだが……」

女教師「なんと言うか、私とお前は教師と教え子という関係で、その……」アタフタ

女生徒「ごめんなさい、今のことは忘れてください……」ウルウル

女教師(な、泣いてる!? コイツはそこまで思いつめていたのか……)

女教師(正直、薄々ではあるが、コイツが私に対して好意を抱いてることに気づいていた)
    
女教師(だがしかし、ここまでとは思いもしなかった)

女教師(今のコイツは、私ことを本気で想っているんだ…………)

女教師(私だって、お前とキスすることは嫌じゃないんだ。
    でも、キスなんかしたら、私は……)

女生徒(先生、何だかすごく思いつめてる……)

女生徒(わたしが嘘泣きしてるとも知らずに)

女生徒(なんだろう、すごい罪悪感…………)

女生徒(でも、このチャンスを逃したら、もう二度と先生とキスできない!)

女生徒(ここは心を鬼にして駄目押しだ!)

女生徒「わたし、先生と仲良くなれて調子に乗ってたんです……」

女生徒「そしていつの間にか勘違いしてた。
    わたしが先生のことを好きなように、先生もわたしのことを好きなんじゃないかって」

女教師「女生徒……」

女生徒「馬鹿みたいですよね、わたし」グス

女教師(何を迷っているんだ私は……)

女教師(自分の教え子がこんなに苦しんでいるというのに……)

女教師(ここは、覚悟を決めるんだ、私の大切な家族のために……!)

女生徒(うわ、めっちゃ怖い顔してる。
    もしかして嘘泣きバレたかな……?)

女生徒(もし、バレたとしたら鬼のように怒られるんだろうな……。
    やばい、今さらになって後悔してきた……)

女教師「女生徒!!」

女生徒「は、はい!!」

女教師「め、目を閉じろ……///」

女生徒「へ?」

女教師「は、はやく!」

女生徒「はひぃ!」ギュ

女生徒(なに!? わたし、なにされるの!?)

女教師「すぅー、はぁー」

女生徒(こ、殺される……。)

女教師「いくぞ……///」

女生徒(もう駄目だ……おしまいだぁ……)

チュッ

女生徒「え?」パチッ

女教師「ひゃぁ!?///
め、目を開けるな!」バシィ

女生徒「いでぇ!」

女教師「あ、す、すまん、つい手がでてしまった……」

女生徒「い、いえ、気にしないでください」

女生徒(殺されずに済んだだけ、よしとしよう)

女生徒(ていうか、わたし今…………キスされちゃったんですけどぉぉぉ!?)

女教師「………………///」モジモジ

女生徒(しかも、すごい気まずい!)

女教師「はじめてだったんだぞ……///」プルプル

女生徒「え?」

女生徒「……もしかして、キスが?」

女教師「…………///」コクリ

女生徒「うそぉ!? ほんとに!?」

女教師「ほんとだ! こんなつまらない嘘つくか……」

女生徒(これは嬉しい誤算)

女生徒「安心してください、責任とりますから!」

女教師「あたりまえだ、とってもらわなくちゃ困る……」

女教師「もし、赤ちゃんができてたらどうするんだ……」

女生徒「え?」

女教師「だから、今のキスで私が妊娠してしまったらどうするつもりなんだ!」

女生徒「え?」

女生徒「先生、キスじゃ子供はできませんよ」

女教師「そんなわけあるか! 小さい頃にキスで子供ができると聞いたぞ!」

女生徒「それは大人が誤魔化してるだけですよ」
    
女生徒「ほら、保健の授業とかで習ったでしょ?」

女教師「ど、どうだったかな……?」

女生徒「授業聞いてなかったんですか!?」

女教師「き、聞いてたぞ! ただ……」

女生徒「ただ?」

女教師「恥ずかしくて耳を塞いでいた///」

女生徒「…………」

女生徒「よくそれで教師になれましたね……」

女教師「わ、私は国語担当だ! 保健なんて知らなくても教えられるわ!」

女生徒「開き直らないでください!」

女教師「うっ…………すまん……」シュン

女生徒(落ち込む先生可愛い)ハァハァ

女生徒「仕方ないですね、ここはわたしが分かりやすく教えてあげますよ」

女教師「た、頼む」

―5分後―
女生徒「……そして、精子くんと卵子ちゃんが合わさり
    なんやかんやあって赤ちゃんになりましたとさ、めでたし、めでたし」

女教師「///」

女生徒「分かりましたか?」

女教師「な、なんとなく///」

女生徒「そうですか、分かってもらえましたか」

女教師「つまり私とお前がキスしただけじゃ妊娠はしないんだな?」

女生徒「まあそんなところです」

女生徒(というか、女同士じゃ子供はできませんけどね)

女生徒「でも、まさかわたしが先生に授業をする日がくるとは」

女教師「ううっ、一生の不覚だ……」

女生徒「これ、クラスのみんなに言ったら大ウケするだろうなぁ~」

女教師「そ、それだけはやめてくれ!」

女生徒「どうしようかなぁ~」

女教師「た、頼むよ~」ウルウル

女生徒(やばい、先生いじめるの楽しい……)ゾクゾク

キーン コーン カーン コーン

女生徒「あら、昼休み終わっちゃいましたね。
    戻りましょうか、先生」

女教師「待て!」

女生徒「え?」

女教師「待ってくれ……」

女教師「お前は私のことをどう思っているんだ?」

女生徒「それは……」

女教師「私のこと、好きなのか?」

女生徒「…………はい、好きです」

女教師「そ、そうか、やっぱりな///」

女生徒「先生はわたしのこと、好きですか?」

女教師「それは…………」

女教師「すまない……」

女生徒「え?」

女教師「よく、わからないんだ……。
    お前が好きなのかどうか……。」

女教師「もちろん、一人の教え子としては好きだぞ!
    ただ、お前を愛しているのかどうかはハッキリとは分からないんだ」

女生徒「先生……」

女教師「すまない、お前が勇気を出して応えてくれたのに、私は……」

女生徒「よかったぁ……」

女教師「え?」

女生徒「わたし、先生に嫌われてたらどうしようってずっと心配だったんです。
    
女生徒「だから、そうじゃないって言ってくれただけでも嬉しいです」

女生徒「たしかに、ちょっとは残念ですけど、いつか答えを出してくれるまで
    わたし待ってますから」

女教師「女生徒…………」

女教師「ありがとう」

―卒業式当日―

女生徒「せんせー、どうしたんですかぁ? こんなとこ呼び出して」

女教師「ああ、すまない。少し大事な話が合ってな」

女生徒「大事な話って……まさか……」

女教師「たぶん、お前の想像してるとおりだと思う」

女生徒「そうですか……なんだろう、聞くのがちょっと怖いな……」

女教師「すまない、こんなに待たせてしまって。」

女教師「でも、やっと自分の気持ちが整理できたんだ。」

女教師「だから聞いて欲しい、私の気持ちを……」

女教師「いいか、言っても?」

女生徒「ちょっと待ってください!」

女教師「ああ……」

女生徒「スゥー、ハァー、スゥー、ハァー…………やっぱり怖い! 怖いですよ先生!」

女生徒「もしここでフラれたら、わたし一生立ち直れませんよ!」

女教師「お前なぁ……、ここでハッキリさせないでどうする?
    最後くらい根性見せろ」

女生徒「だって、怖いもんは怖いんですよ!」

女教師「はぁー、仕方ないな」

女教師「女生徒、目を閉じろ」

女生徒「へ?」

女教師「いいから早く」

女生徒「は、はい」ギュ

女教師「これが私の気持ちだ……」

チュッ

女生徒「あ……」

女教師「愛してるぞ、女生徒……///」


おわり

打ち切りみたいな感じになってごめんよ
はじめてss書いたからこんな感じになっちゃった
今は考えてないけど、もしかしたら続き書くかもしれないからそん時はよろしく
最後にここまで読んでくれた人ありがとう

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