式「やめろ鮮花!俺はレズじゃない!」鮮花「いいからっ…」(161)

鮮花『わたしこと、黒桐鮮花は魔術師見習いの16歳!」

鮮花『黒桐幹也を兄に持ち、蒼崎橙子を師匠に持ち、両儀式を恋敵とする―――悩める乙女という奴だ』


(中略)


鮮花『これは、そんな健気なわたしの物語……だというのに……』



 ― 伽藍の堂 ―



式「……」

鮮花「……」カリカリ


鮮花『その日、わたしはいつもの様に橙子師に呼ばれ、兄の職場に訪れていた』


鮮花(今日も魔術書の写本か……これも修行といっちゃ、修行なんでしょうけど……)ハァ

式「……」

鮮花(まあ、こんな事でも礼園じゃ出来ないものね。にしても―――)

式「……」

鮮花(この女と二人きりだなんて、珍しいな……)カリカリ


(チックタックチックタック……)


式「……」

鮮花(ああ、そうか……いつもなら、ここに幹也もいるんだ。そうして、私か式と他愛の無い話でもして―――)


式「……」フゥ

幹也「幹也、どこ行っちゃったんだろう……」


(ガチャ……)


橙子「……」

鮮花「あ、橙子さん……お帰りなさい」


橙子「ん、ただいま。どうだ鮮花、写本のほうは……うん、結構」チラッ

鮮花「あ、橙子さん……お帰りなさい」


橙子「ん、ただいま。どうだ鮮花、写本のほうは……うん、結構」チラッ

鮮花「……」ヘヘ


橙子「もう一ふんばりだな。(唐突に)あっ、そうだ。式、君に良いプレゼントがある」

鮮花「……?」

式「……なんだ?」

橙子「まあついてくれば分かる。―――鮮花も写本が終わったら観に来て良いぞ」

鮮花「……?」



……
………


 ― 伽藍の堂・人形部屋 ―


鮮花「……この部屋、よね?」

鮮花(それにしても……式にプレゼントって、橙子師一体何を渡すんだろう? 私も見に来て良いって……)


( ド オ オ ー ッ )


鮮花「!」ビクッ


鮮花「えっ、なっ……」



『ぎゃあああーーーっ!!』


鮮花「!!」ビビクッ


鮮花(な……何、今の音!? まるで大砲でも炸裂したみたいな……それに今の声……?)

鮮花「一体、何がどうなって……」


(ぎいいい……)


鮮花「……」ゴクリ…

……その数分前、同じく人形部屋


橙子「これでよし、と……」

式「……」


ネコカオス「さて、吾輩少しばかりの愉悦とポケット一杯のニボシを求め遥々やってきたわけですが……」


橙子「今度のは自信作だぞ。早速あそこの空き缶で試してみろ」

式「トウコ、おまえさ……整備って名目の元、本当はオレの技手で遊んでるだろ?」

橙子「そうでもないぞ。さ、使い方を説明するとな……」


ネコカオス「何故にこのような場所で簀巻きの憂き目に遭っているのでしょうか!? だ、誰かHELP!」ジタバタ



……更にその少し前


ネコカオス「近頃の苦しい食糧事情に耐えかね……わざわざ観布子市に出張してきた俺……」スタスタ

橙子「おい、おまえ……」

ネコカオス「しかし……本当にこんなパッと見サイコホラーな所に猫缶なんてあるのだろうか? 早くも後悔の予感が……」スタスタ

橙子「おい、聞いてるのか?」


ネコカオス「ま……リョウギ君も普段から猫缶食べてそうな顔してるし、捜せば一つぐらい……」スタスタ

橙子「おい、そこのワケのワカランブサイクネコ」


ネコカオス「むむ、聞き捨てなりませんな今のお言葉。当代随一のハンサムでダンディーなCATと呼ばれたこの吾輩に……」クルッ



橙子「……」

ネコカオス「あっ……」


橙子「――私の工房で何をしている?」

ネコカオス「ア、アオザキ(姉)君……居たんだ……」


橙子「……」ピクッ

ネコカオス「えっ、ちょっ!? 今の一言で!? 今の一言で俺アウト!? まだ赤色って言ってな……」

橙子「はい、アウト」ニッコリ

ネコカオス「きっ、汚ねーーー!! 今の誘導じ……ぎゃあああー!!」


……


橙子「銃口を目標に向けてだな……」

式「……飛び道具は好きじゃない」


橙子「―――手に血の付く人殺しじゃないと、やっぱり満足できないか」

式「……」


橙子「その”目”と、この銃が組み合わされば正に無敵なんだがなぁ……対象の有象無象の区別なく、だ」

式「―――興味ないな」


ネコカオス「CQCQ……こちらカオス、聞こえるかドクター?」


橙子「そうか……じゃあまたこれはどこかの市場に流すとして」


ネコカオス「ドクター……おい、ドクター!?」

(チャキ……)



橙子「―――式。サイコガンは心で撃つんだ」

式「狙いは完璧、だ……」


ネコカオス「ドクタァァァーーーッ!! ぎゃあああーーーっ!!」



( ド オ オ ー ッ )



……そして現在に戻る


鮮花「―――――」


式「―――――」

橙子「……外してるじゃないか、おまえ」


ネコカオス「た、助かった……九死に一生どころか万死に一生だぜこりゃあ……」

橙子「狙いは完璧じゃなかったのか?」

式「―――私、射撃苦手なのよね」

橙子「可愛らしく言っても駄目だ」


鮮花「……」


橙子「ま、まだ弾はあるからあの空き缶に当たるまでやれば良い」


ネコカオス「俺空き缶扱い? え、ちょ、リョウギ君も構えるの止めて……」


式「―――オレ、何か前におまえに食い殺されたような覚えがあるんだよな……」


ネコカオス「ちょっと待ちたまえ……それは二重の意味で人違―――ぎゃあああーーーっ!」


鮮花(……私。本当にあの女に勝てるのかしら……)



 ― 翌日・伽藍の堂 ―

鮮花「……」ハァーッ…

橙子「どうした鮮花、溜息なんかついて。写本のほうはどうなってる?」

鮮花「……橙子さん」

橙子「なんだ?」


鮮花「―――私。本当にこのままで両儀式に勝てるんでしょうか」

橙子「―――」


鮮花「……」

橙子「ほぉ……これはまた急にどうした?」

鮮花「……分からなくなったんです。このまま修行を続けても、本当に幹也をあの女を取り戻せるかどうか」

橙子「しかしおまえは最終的にはそれを成し遂げるつもりなんだろう? だから私に弟子入りしたはずだ」


鮮花「―――昨日。写本が終わった後、すぐに人形部屋に橙子さんと式の様子を見に行きました」

橙子「……」


鮮花「……どれだけ自分で強くなったと思っても、あの女は容易くその先を行ってしまう……」

橙子(昨日のアレはすぐ売る予定なんだけどな……)


鮮花「……それでも。今年のお正月までは、まだ対等に戦える気がしていました。でも―――」

橙子「……」



鮮花「幹也が、ボロボロになって病院に担ぎ込まれてきて……あの女には近寄るなって、何度も言ったのに―――」

橙子「―――」

鮮花「それでも、退院したらすぐにあの女と、一緒に……何も、なかったみたいに―――いや、前よりずっと強く……」グスッ…


橙子(……大分グロッキーになってるな……見せなければ、良かったか……)


鮮花「だから。今から私が式に追いつき―――追い抜くには、今までみたいな事じゃ駄目なんです……」

橙子「……」


鮮花「あいつの……先を行くには、もっと……もっと効果的な修行が必要なんです」


橙子(そうきたか……)ニヤリ


鮮花「―――」

橙子(魔術師にとって最も必要不可欠な心根は―――『不可能を不可能と諦めず、挑み続ける反骨精神』……)


鮮花「―――橙子さん」

橙子(この子には、それがある……流石私が見込んだ弟子だよ)

鮮花「―――お願いですっ。私を―――私を両儀式(アイツ)に勝たせてくださいっ!!」

橙子「……」


鮮花「何でもしますからっ!!」

橙子「ん?」ピクッ


橙子「今何でもするって言ったよね」


鮮花「……」ゾワッ


橙子「じゃあさ……」ニヤニヤ


鮮花(……感情に任せて結構好き放題言っちゃったけど。もしかして私、今取り返しの付かない事言っちゃったんじゃ……)


橙子「あっ、そうだ(唐突)。 今冷蔵庫の缶ビール切れてるんだっけ」

鮮花「―――それを買ってくれば、修行を付けてくださるんですか?」

橙子「まあ、付けてやらん事も無い」(付けるとは言ってない)

鮮花「……買って来ます」タタタ


……


(ガチャ)


鮮花「か、買ってきました……」ハァ…ハァ…

橙子「―――早いな。ああ、ありがとうさん」


(がさごそ……)


鮮花「……」ハァー…ハァー…

橙子「ん? レシート……なんだ、わざわざ酒屋まで買いに行ってきてくれたのか」

鮮花「ええ、まあ……」ハァ…ハァ…

橙子「それじゃあ、ありがたく……」

鮮花「……」

(プシュ……ゴキュ……ゴキュ……)


橙子「……ッハァー、ビール、ビール! 冷えてるなぁこれ」フゥーッ!

鮮花「大急ぎで、買ってきましたから……」


橙子「……ふぅ。そう言えば今更だが……鮮花。良くおまえに酒を売ってくれる店があったな?」

鮮花「え……」ドキ


橙子「どう贔屓目に見たって二十歳には見えないものな、おまえ……」

鮮花「はは……」


…………


 ― 酒屋 ―


店員『ん? お嬢ちゃん、どう見ても二十歳越えてる……顔じゃないな、これは』

鮮花『ええ、今はちょっとした使いに来てるんです』

店員『だろうね……自分で飲むって顔じゃないもの、お嬢ちゃんは』

鮮花『(まあ、私もたまに瀬尾によばれて飲むんだけどね……シスターにはばれないように)』

店員『こんな立派そうな子を捕まえて、昼間っから酒の使いに出すなんて……親の顔が見てみたいな、ったく……』

鮮花『はは……』


鮮花『(厳密には、親では無いんだけどね……)』


…………


橙子「ぷはぁ……」

鮮花「で……橙子さん。修行の話なんですけど」


橙子「ああ、分かってる。ちょっと待ってろ」スタスタ

鮮花(? そっちって、確か橙子師の寝室……?)


(がちゃ……)

鮮花「……?」


……十数分後


(……がちゃ)



「待たせたな」



鮮花「あ、橙子さ……」クルッ


橙子「……」



鮮花「―――――」



橙子「これを着るのは、久しぶりだな……」

鮮花「わ、あ―――」

鮮花(凄い……普段からスーツを着てる時は、男装の麗人って感じだけど……)


橙子「どうだ、鮮花。似合ってるか」


鮮花(まさか……日本でこんなにフォーマルタキシードが似合う女の人なんて、他にいないだろうなぁ……)


橙子「どうした、見惚れて声も出ないか」

鮮花「―――」


鮮花「似合ってます。本当に、凄く」

橙子「そうか。いやね、この服を着るのは女学院で少しふざけていた時以来なんだ」


鮮花(橙子師、普段から中性的な雰囲気の美人だけど……こうやってきっちり男性の格好されると、本当に区別が付かなくなるな……)


ふと。この時、ふとどうでも良い事が頭を掠めた。


鮮花「そういえば、橙子さんもあの礼園女学院のOGなんですよね?」

橙子「ああ、もう10年以上前の話だがね」

鮮花「……あの。橙子さんって、今お幾つなんですか?」


橙子「ええと、確かさんじゅ……」


鮮花「……」

橙子「……」


橙子「―――まあ、20代後半ということにしておこうか」コホン

鮮花(今30って言おうとした……絶対言おうとした……)


鮮花「はぁ……やっぱりそれだけ美人だと、学生時代はモテたんですか?」


橙子「―――」

鮮花(あ―――)


(口に出してから気が付いた。『わたしは何を言っているんだ』と……)

橙子「……」

鮮花(わたし……何を……男子禁制の礼園で『モテる』って事は、つまり―――)


橙子「それは異性に、という意味でかね? それとも同性に、という意味か?」ククク

鮮花「あ、いえ……」


橙子「ところで鮮花。さっきの修行を付ける条件に、おまえは何でもするといったよね?」

鮮花「はい……」


(すたすた……)


橙子「……」

鮮花「……」


(さわっ……)



鮮花「えっ、それは……」

橙子「ふむ……さっきの質問の答えだがね。確かに、私は女学生時代、モテたよ―――ある程度、性別は問わずね……」


(さわ……さわ……)


鮮花「ちょ、ちょっ……」


橙子「それは女性の造型を理解するのに都合が良かったからとも言えるが。あんまりにモテたんで―――」

鮮花「……」


橙子「―――人は。私を美少女キラーと呼んだモノだ……」フフ…

鮮花「―――――」


鮮花(真偽を確かめるのが怖い……)


橙子「さて、早速だが鮮花―――実は私は前から君の造型に興味があったんだ」

鮮花「えっ、何ですそれは……」

橙子「―――おまえは本当に両儀式に匹敵する逸材だ。その能力の素質も―――」


(さわさわ……)


鮮花「……っ」

橙子「―――容姿も。決して引けを取っていない―――あの式相手に、だ……」


鮮花「で、でもこれが打倒式に何の関係が―――?」

鮮花「―――いわば逆転の発想だよ、これは。上手く行けばあっさり兄を取り戻せるかもしれんぞ」

鮮花「―――」


橙子「さて、今からおまえの身体に打倒式の秘策を叩き込むわけだが――――ついてこれるな?」

鮮花「―――――」


鮮花(幹也……私……)



鮮花「―――勿論ですっ!」

橙子「ん、良く言った。それでこそ私の弟子だ」


鮮花(間違って、ないよね……?)


………
…………
……………


―――それからしばらく日は流れ……伽藍の堂


(ガチャ……ギイイイ……)


式「……」

式「……」スタスタ

式「……」チラッ


幹也『やあ式。おはよう』


式「……」ハァー

式「―――別に、寂しいって訳じゃない」

……

(カツンカツン……)


式「……?」

式(足音……?)


(カツンカツン……)


式「……」


(ギイイイ……)



鮮花「……」

式「よお、どうしたんだ」


鮮花「―――」

式「トウコなら今いないぜ。……おまえの『兄さん』もな」

気のせい気のせい(すっとぼけ)


鮮花「―――式」

式「……なんだ」

鮮花「あなたに、話があります」


式「―――話?」

鮮花「―――――」


真っ直ぐに。鮮花はこちらを見つめていた。
その真剣な眼差しは、どこか幹也に似て―――


式「話って、なんだよ」

鮮花「……勝負よ」


式「え?」

鮮花「決闘よ、両儀式。今から私と、一対一で勝負しなさい」

式「―――」

鮮花「……」


式「決闘って、いつの時代の人間だよおまえ」

鮮花「……時代錯誤な格好したアンタに言われたくないわね。―――どうするの?」


式「……なんでだ?」

鮮花「……?」


式「オレとおまえが闘う理由」

鮮花「私とアンタの間に、わざわざ口に出してまで闘いを拒まないといけないような理由、あったかしら?」


式「―――なるほど、確かにそうだな」クスリ

鮮花「……」


式「で。どこでやるの? どこでも良いぜ、オレは」

鮮花「待った。その前に……ナイフを出しなさい、式」

式「……」

鮮花「私も手袋は外す。……素手で、勝負」

式「ふぅーん……本当、どうしたんだおまえ?」


(カチャ……)


鮮花「場所は、橙子さんの人形が置いてある部屋で良いでしょ」

式「……」


……


鮮花「……入って、どうぞ」

式「……」スッ


鮮花「……」


(バタン)


式「さて、と……」

式「素手で勝負ってのは良いけども。ルールはどうするんだ」

鮮花「――ヴァーリ・トゥード(なんでもあり)よ」


式「……」ピクッ

鮮花「そうね、勝ち負けは……先に気を失ったかギブアップしたほうの負けで良いでしょう」

式「ああ、分かり易いな。……でもさ、鮮花」

鮮花「……?」



式「―――おまえ、本当に素手でオレに勝てるの?」

鮮花「――今から、分かるわ」



(カチッ……フッ……) ←電灯が消える音


式「……」

式(……なるほど。私を先に入れたのは、こうするため……か……)


(タタタッ……)


式(そして鮮花は温度を探れば暗闇でもこちらの位置を把握できる、か。でもね……」


鮮花「……」タタタ


式「この程度の闇だと……普通に”視”えちまうんだよ、この目……」

鮮花「……」


……


橙子『鮮花。式の魔眼は強力だがな、それでも弱点がないという訳じゃない』

鮮花『はい……』

橙子『魔眼とはいえ、眼に映ったモノを脳で認識している以上―――幾らあいつでもやっぱり脳が認識できないモノは視えないんだ』

鮮花『そうするには、一体……』

橙子『……』ンー…


橙子『私なら……脳が何の認識もしようもないほどの暗闇か―――逆に、眩しくて何も見えないって状況を作り出すね』


……



鮮花「―――AzoLto!」


式「―――!!」


(ボグォン……)



手袋をしていない以上、この爆発は不完全。だが、その不完全な爆発でも今は十分……


式(ちっ、前が……!)

鮮花(式の網膜を一瞬白く染め上げるには、これで十分―――!)タタタッ

鮮花「―――ッ」


(ドガッ―――)


式「……!!」


(フワッ……ドスン)


不意を付いたとはいえ、強靭な足腰を持つ式を正面からのタックルで押し倒すとは……。


式「この、馬鹿力―――」


見事なタックルだった。


そして……


鮮花「……」

式「……」

式「―――汚いぞ、鮮花。素手で勝負するんじゃなかったのか」

鮮花「今のは明かり代わりです。それに、あんたこそその目使ってたでしょう?」

式「……」

鮮花「こんなに真っ暗闇でも青く光って見えるのね……その、死神の目」


式「……」

鮮花「式―――アンタも武道を嗜むなら、マウントポジションくらい知ってるでしょう?」


鮮花「タップ(ギブアップ)しなさい、式」

式「……」


鮮花「……」

式「馬鹿はそんな言葉知らないんだ」


鮮花「……っ」

式「それにな、鮮花。何かの拍子で上下が入れ替わることなんて良くあるんだ。―――寝技でオレと勝負するか?」

鮮花「―――そう。ならタップ(ギブアップ)しろとはもう言わないわ」ガサゴソ

……

鮮花『橙子さん。式って何か、弱点はないんですか?』

橙子『弱点……アイツに弱点か。そりゃあ勿論黒桐……』

鮮花『……』

橙子『……は、おまえもそうだったな。あっ、そういえば』

鮮花『何か、あるんですか?』


橙子『アイツ、洋酒が駄目なんだよ。匂い嗅ぐだけでベロンベロン。日本酒は幾ら飲んでもケロッとしてるのに』

……


式「……おい、鮮花。何だよそのハンカチ―――」

鮮花「……」


式「やめろ、近づけるな……」


(パシッ……ヌルッ……)

式(えっ……? 何、この感触……この匂いは……)


鮮花「橙子さんお手製の……特性香油よ」



なんと……掴まれない為に予め身体に油を塗っていたのか。鮮花の、勝利への恐るべき執念だった。
そしてハンカチには、洋酒の匂いと橙子さんお手製の『薬』が大量に染み込んでいた……。



鮮花「堕ちろ!」

式「むぐっ―――」


鮮花「……」

式「……」



式「……」グーグー

鮮花「……堕ちたな」(確信)

何でレズになると人が増えるんですかね……(疑問)


鮮花「……」ハァ…ハァ…


(ガシッ……)


式「……」グーグー

鮮花「……」


(ズルズル……)


………
…………
……………


 ― 伽藍の堂・事務所 ―


鮮花「……」

式「……」グーグー

鮮花(忌々しい女だけど……寝顔は、結構愛らしいな)ハァ…


式「……」グーグー

鮮花「……」


式の寝顔を見ながら、鮮花は

鮮花(……私。兄の事がなければ、こいつの事好きになってたのかな……)

なんて事を考えていた。


鮮花(私としては……式の人となりは、決して嫌いな部類じゃ……ないのに……)


式「……」


―――今の鮮花は。兄・幹也と同じ様に、式の寝顔に半ば魅せられていた。

美少年然とした式の中性的な容姿は女の鮮花でも―――否、同性だからこそ鮮花を惹きつけるモノもあった。



式「……」パチ

鮮花「―――」


式「ここ、は……」

鮮花「もう起きたの……せっかち、ね……あんたって」

式「……あざか」



鮮花「……」

式「おい……これはなんの真似だ、あざか」



……鮮花は答えず、そっと式の足に手を伸ばす。

式「―――」

鮮花「これはなに、って……?」


(するする……)


そして、そのまま裾に指を掛け……


鮮花「そんなの、決まってます。あなたをもう、幹也に近寄れないようにするんですよ……」


ゆっくりと、捲りかえす。


式「……れいえんには、ヘンな女がおおいとおもってたけど……」


鮮花「……」


式「ああ、そうだ。おまえもその……れいえんの女だったな、あざか」

鮮花「ええ、そうよ。前にも言いませんでした? 私―――」

(するする……)


式の肌に、直接空気が触れる。
……裾は既に、帯の所まで捲りかえされていた。



鮮花「禁忌と呼ばれるものに惹かれる質なんですよ」



式「この、ヘンタイ―――」

鮮花「……」フフ…


式の罵りにも、鮮花は薄く微笑むを返すだけだった。


鮮花「……」


(さわさわ……)


式「……っ」

百合SSとか今まで書いた事ないのに……


柔かな女の手が、式のふくらはぎから腿に掛け手を優しく撫で回す。


式「こら……やめろ、あざか。――こそばゆい」


鮮花「……」


無論、鮮花は式の話に聞く耳など持たない。
気にせずに何度も手を往復させる。何度も。何度も


(さわさわ……)


式「こら……こそばゆいって……」


とはいうものの、咎める式の声にも力が無い。
何しろ、こそばゆい分心地も良い―――


式「……は、……ぁ……」

鮮花「―――」

式「……」

鮮花「……」


(ぴちゃり……)


式「……こんどは、なんだよ……?」


鮮花「……はぁ」


式「どこ舐めてんだよ、おまえ……」


鮮花が、こんどは式のふくらはぎに舌を這わせていた。


式「こら……こんどは怒るぞ、あざか……」

鮮花「……」


(ぴちゃり……)


今度も先程の手と同じ様に、順序良くふくらはぎから腿へと舌が流れていく。

(ぴちゃり……)


式「っ……」

鮮花「式……もう足舐められた事あるのね? 誰かにさ――」


―――それは、誰に?


鮮花「……」


……その答えを聞きたいとは思わなかった。



(ぴちゃり……ぴちゃり……)


式「……」

鮮花「……」


それは、何度舌がふくらはぎと腿の往復を終えた頃だったか……。

式「ふっ……ぅ、ん……」

鮮花「――――」



ふいに。式の口から、甘い声音が漏れた。



鮮花「……」チラッ


式の足を撫で、舐め始めてから―――この時初めて、鮮花は式の顔を見た。



―――上気した肌。
―――薬の影響か、視線の定まらない瞳。
―――熱い吐息の零れる口。



……男を誘うのに、これ以上ない表情だった。

書き溜めが尽きました(半ギレ)

さるさんが怖いんだよぉ(半ギレ)

鮮花「……」

鮮花「……そう、か」


式「……」


鮮花「そうやって幹也を……幹也を誑かしたのか、あんたはぁっ!!」

式「……なんのことだよ」


鮮花「……あんたが、洋酒に弱いって事を教えてくれた時……橙子さんは一緒に、こんな事も教えてくれたっ……」

式「……なんだよ?」

…………

式『……』フラフラ

橙子『おーい式、大丈夫か? おーーい』


式『えへへ……らいじょうぶ、らいじょうぶ……』フラフラ

橙子『あっ……』(察し)

橙子『(……駄目だ。こりゃ大分酔ってるな……私の手には負えんかもしれん)』


式『ぅー……』

橙子『まさか試しにウィスキー一杯飲ませただけでこれとはなぁ……』


橙子『(日本酒を水の様に飲んでたから、酒に強いんだと勘違いしてた……そうか、洋酒には弱いのかこいつ……』


(こんこん……)

『失礼しまーす』


橙子『……』ニヤリ


幹也『ただいま戻りました。頼まれてた煙草売り切れてま……うわっ、酒臭っ!』


gdりたくないなぁ…

橙子『おお、黒桐。君はいつも本当に良いタイミングで現れてくれるな』

幹也『はぁ……あの、橙子さん。僕の買い物って、ほんの数十分程度でしたよね?』

橙子『時計を見る限りではね』チラッ

幹也『……何でこんな事になってるんですか?』


式『……』フーラフーラ


橙子『そこはあまり深く聞くな。売り言葉に買い言葉って奴だ』

幹也『また何か式をからかうような事でも言ったんですか、あなたは!』

橙子『いや、そういう訳じゃないんだが……まあ、式と少し愉快なおしゃべりをしたのは確かだ』

幹也『……』ハァー…

式『あ、みきや……』フラフラ


幹也『(足は完全に千鳥足、目も据わってる……)』

橙子『あーあ……今の式、完全に酔っ払ってるな』ハハハ


幹也『……もう。どうするんですか、橙子さん!』

橙子『黒桐、どうにかしろ』(無責任)


幹也『(責任を擦り付けた!? あなたがやった事なのに……)』ジーッ…

橙子『……』←鉄面皮


式『……』


橙子『……よし。こうなったら仕方がない―――黒桐』

幹也『はい?』

橙子『……男を見せろ』ボソッ

幹也『……え?』


(ドンッ……)


幹也『うわっ……』

幹也『(ちょっ……橙子さん、何をっ―――!?』

橙子『(……黒桐を囮に使う。そして私は、今の内にここから退避させてもらう……)』


式『あっ……』


(がしっ……)


幹也『……』

式『……大丈夫か? 大丈夫か?』


幹也『……大丈夫。ありがとう、式』スッ…

(がしっ……)


幹也『……?』

式『……』


幹也『……あの、式……?』

式『なに』


幹也『抱きしめられると……離れ、られないんだけど……』

式『……コクトーは、オレから離れたいのか?』


幹也『―――――』

式『……一生はなさないって、言ったのに』


幹也『し、き……』

式『……嘘だったの?』


幹也『……それは、違う』

式『……』

幹也『……』


……抱きしめられたまま、幹也は上から式の顔を覗いた。



―――上気した肌。
―――薬の影響か、視線の定まらない瞳。
―――熱い吐息の零れる口。



……男を誘うのに、これ以上ない表情だった。


式『……みきや』

幹也『……式』


式『もう一度……あの時の言葉、言ってくれる―――?』

幹也『(ああ、分かった―――分かってる)』


眠いんだよぉ!

幹也『式。君を――― 一生、許(はな)さない」



式『……』

幹也『……』



式『……そう。じゃあ……』


(ぐいっ……)


幹也『えっ?』


式『オラオラ来いよオラァ!!』(豹変)

幹也『えっ? えっ!?』


言うまでもなく、式は酔っ払っていた。


(ずるずる……)

幹也『ちょっ、式!? そっちは橙子さんの寝室……』

式『……』


(ずるずる……がちゃ……)


幹也『ちょっ……ええぇーーーっ!?』


(ばたん……)


『ちょっ……式、まずいよ! ここ一応職場……』


橙子『……』スタスタ…


『ちょっと本当に……う、うもうっ……』


橙子『……』


『…………あぁ…………』

コーヒー飲んできます

…………


鮮花「……」

式「……」


式(記憶にないなぁ……)←酒乱


鮮花「アンタが幹也を犯(ころ)した! 止めようとしたのにィっ!!」

式「おい、待てよ……オレ、多分そんなヘンな事してないぞ……」


鮮花「なら何したって言うのよ、あんたはぁぁっ!!」


式「……」


式「ちょっと……同じベッドでゴロゴロしただけだよ」


鮮花「浮気がばれた亭主みたいな言い訳を、よくもぉーーっ!」

式「……オレ、おまえの亭主じゃない……」

鮮花「そんなの事分かってるわよっ!」

鮮花「……」

式「……」

鮮花「……舐めなさい」ボソリ

式「ん……?」


鮮花「私の指を舐めてみなさい、ほらっ……」


(ぐいぐい……)


式「や、やめろーっ……」


鮮花「ほらほらほら……早く、舐めなさいよ……」

式「むぐ……」


鮮花「幹也に……幹也にした時したみたいにっ―――」


式、危うし―――!
と思われた、次の瞬間……

(ぎいいい……)


幹也「失礼します。ただいま戻りまし―――」


鮮花「え―――」

式「……あ」


幹也「―――た……」


幹也「……」

鮮花「……」

式「……」


式と鮮花が約三週間振りに見る、黒桐幹也の姿だった。


鮮花「に、兄さん……何で、こんな早く……」

鮮花(橙子さんの話だと……後一週間は帰って来れないはずじゃ……)

幹也「ああ、仕事が思ったより早く片付いてね。急いで帰って来たんだけど―――鮮花」

鮮花「は、はいっ……」


幹也「……」

鮮花「……」


幹也「―――橙子さん。どこにいるか、分かる?」

鮮花「えっ、あっ……」


鮮花「多分、人形部屋……」

幹也「……そう」フッ…


鮮花「……」

式「……」


幹也「……じゃあ僕、ギャラ貰って帰るから……」


(ギイイイ……)

(ギイイイ……)


鮮花「……」

式「……」


鮮花「……」

鮮花「……」



鮮花(あっ、ああっ――― みっ、幹也に見られたっ―――ど、どうしようっ)


式「……」


鮮花(あああ……今まで幹也には私の好みを気付かせまい、気付かせまいとしてきたのに―――!)

鮮花「……終わった。もう、何もかもバレてしまった……」ガクッ


式「……」ガサゴソ

鮮花「……」

鮮花(まあ、良いや……とりあえず、今は嫌な事を考えるのはやめよう……)

鮮花「もうさ、式に指を舐めさせて……それで終わりで良いんじゃない……?」


式「―――調子こいてんじゃねーぞこの野郎」(棒読み)



(ぐいっ……)


鮮花「えっ―――」

式「―――――」


(くるん……)


式「―――」

鮮花「し、き……? え……?」


何が起こったのか……先程まで式に覆い被さっていた鮮花は、いつの間にやら今度は式に組み敷かれていた。

……それにしても。


鮮花(……わたし。今、何されたの……?)


何という早業であろう事か。押し倒されたほうは、未だに自分の身に何が起こったのか把握できていない。
恐らく今の式の動きは、ネコ科の大型猛獣でも見切れないほど俊敏―――。正に、野獣の如き一転攻勢であった。



式「……」

鮮花(え……式? 重い……あれ? わたし、今下になって……?)


式「……レズのくせによぉ、何がしゃぶれだ……? おまえがしゃぶれよ」


(ぐいっ……)


鮮花「うっ……」


はたして、いつの間に行なわれたのか……? 式の帯は解け、着物は前方が捲られていた。

……当然、式の上半身は露になり。
そこへ、彼女は万力の様な力で鮮花を胸元へと引き寄せる。


(ぐいぐいっ……)


鮮花「うぐぅ……」

式「ほら、美味いんだろ? しゃぶれよー」


(ぐいぐい……)


鮮花(な、なに……こいつ……? 胸が、硬い……何で……)


……式の胸は、硬かった。


鮮花「や、やめて……」


(ポロッ……)


式「……ん? 何だ、これ……」

鮮花「……、……っ」ハァ…ハァ…

式「―――さっきのハンカチ、か」


鮮花「……」

式「……おまえさ、鮮花さ、さっきオレに堕ちろとか何とか言って無理矢理これ嗅がせたよな」

鮮花「……!」


鮮花(ま、さか……)



式「おまえが堕ちろ」

鮮花「むぐっ―――」


式「……」

鮮花「……」



鮮花「……」ガクッ

式「……堕ちたな」(確信)

…………

幹也「……」


鮮花『え―――』

式『……あ』


幹也「……」ハァ…


幹也(……長い仕事を終えて。ようやく慣れ親しんだ場所に帰ってきて、最初に目にしたのが『アレ』だなんて、想像も付かなかったな)

幹也「……鮮花と式って、てっきり仲悪いものだと思い込んでたけど―――逆、だったのか」


幹也(そもそも、鮮花がよく式に噛み付いていたのも……今思えば、好意の裏返し……だったんだろうか」

幹也「……礼園にはそういう嗜好の娘も少なくないって聞いていたけど。まさか、あの二人にそっちの気があるとは思わなかったな……」


幹也「にしても……」ウーン…

幹也(あの二人……どっちがお兄様役の「タチ」だったんだろう……?)


現実からの逃避か、どうでも良いことを考えるコクトーだった。

橙子「何を一人でぶつぶつ言っている、黒桐」

幹也「あっ、橙子さん。お給料下さい。ただいま戻りました」


橙子「……おい。君は上司に、仕事を終えた報告より先に給料を要求するのか?」

幹也「ええ。だってここで言わないと何だかんだ有耶無耶にされて、また支払いを先延ばしされそうですし」

橙子(ちっ、鋭い……)

幹也「さ、早く払ってください。今日、ここで」


橙子「……払いたいのは山々だが。今、ここに現金は無いんだ……」

幹也「何でそんな―――また無駄遣いをしたんですか、あなたはっ!?」


橙子「落ち着け、今回はそうじゃないんだ。本当に、今ここにないだけで」

幹也「……じゃあどこにあるって言うんですか?」


橙子「私の部屋……まあ、つまりいつものあそこだな」

幹也「えっ?」

橙子「当然だろう? 上司がいつも部下の給料を持ち歩いてるなんて思ったら、大間違いだ」

幹也「……まあ、そうでしょうけど」


幹也(でも……今あそこは、式と鮮花が……)


橙子「さ……て。じゃ、金にうるさい部下が本気で怒らない内に、パパパっと取ってくるか……」ヨッコイショ

幹也「ま……待ってください……」


橙子「……ん? 何だ、黒桐」

幹也「……」

橙子「……あっ。もしかして今月は給料要らないのか? なら有り難い……」

幹也「違いますっ。 ……お給料、僕が取ってきますよ」


橙子「え?」

幹也「……」


橙子「……何か、ねこばばする気か?」

幹也「ねこばばされるような物置いてないでしょ、あの部屋……橙子さん、今作業に集中したい時じゃないんですか?」

またさるさん食らった二時間(半ギレ)


橙子「そりゃまあ……払いたくもない給料を取りに行くために、わざわざ動くのは正直とても面倒くさいが……」

幹也(……今さらりととんでもない事言われた気がする……)


橙子「―――よし。じゃあ行ってくれるか、黒桐」

幹也「―――はい」

……


(カツンカツン……)


幹也「……」


橙子『給料袋は、私の机の上に置いてあるからすぐに分かるはずだ。―――くれぐれも、他の物は盗らない様に』

幹也『盗りませんっ』


幹也「……ああ、何だもう四階か……」

またさるさんか壊れるなぁ…もう立て直した方が良いのかな…
幹也(この部屋の中で……今も、式は鮮花と―――)


幹也「……」ドクン…


幹也(これって……一応、鮮花に式を取られた感じになるんだろうか……? いや、でも鮮花も式も女の子だし……)


……幾ら考えても、答えは出てこなかった。


幹也「……」スゥー…

幹也「……よしっ」ハァー


―――給料袋を手に取ったら、一目散にこの部屋から立ち去ろう。


幹也(わかんない事は、無理に結論を出すより―――冷静な時に、じっくり考えたほうが良いや)


(こんこん……)

幹也(それでも……一応、ノックだけはして……)


幹也「式、鮮花。入るよ?」


幹也(今は……給料を貰う事だけを、考えよう……)


『……』

『……入って、どうぞ』


幹也「……」


(ギイイイ……)


式「……」

幹也「―――式」


扉を開けたその先に立っていたのは、両儀式その人だった。

式「……」

幹也「……」


久々に会った……というのに、言葉が出てこなかった。
……伝えたい事が、無い―――という訳ではないのだけれど。


幹也「式」

式「……」スタスタ…


(ぎゅっ……)


幹也(あっ……)

式「……」


式「……寂しかった」


ぽつりと。彼女はただ一言、そう言った。
畜生…ラストまでもう書き終わってるのにはがゆい…

幹也「……ごめん」


式「……」

幹也「……」


いつしか、彼も彼女の背中に手を回し―――抱き合う形になった。良い雰囲気であった。

幹也「……」


彼の頭からは、もうとっくに給料の事など抜け落ちていた。


式「―――幹也」

幹也「―――なに」


……幹也を抱きしめたまま、式はゆっくりと顔を上げた。



―――上気した肌。
―――薬の影響か、視線の定まらない瞳。
―――熱い吐息の零れる口。
よし、後5レスで終わる…

……男を誘うのに、これ以上ない表情だった。


式「……」

幹也「……」


式「……おまえも堕ちろ」

幹也「むぐっ―――」


式「……」

幹也「ちょっ……何をっ……」



幹也「……っ! ……っ」ジタバタ

式「……くそ、中々堕ちないな」


鮮花「……」ピクッ…ピクッ…


式「なら、オレが直接堕としてやるか。しょうがねえな」

幹也「し、式……一体、何を……」ハァ…ハァ…

式「……んっ」

幹也「むぐっ……う、うもうっ……」


式「……」

幹也「……」


式「っはぁ……堕ちたか……?」

幹也「……」ボーッ


式「堕ちたな(確信)。じゃオラオラ来いよオラァ!!」


(ぐいっ……ずるずる……)


幹也「ぁーっ……」

鮮花「……」


(がちゃ……ばたん……)

鮮花「……」


『いきなり……何を……』

『前にも言ったでしょう? 幹也……』

『…………あぁ…………』

『私は、おまえを犯したい』


鮮花「ぐっ……うっ……」


橙子「――― 一歩。後一歩の所で及ばなかったな、鮮花」

鮮花「……橙、子……さん……」


橙子「……まさか黒桐が一週間も早く仕事を切り上げて帰ってくるとはな……私にも、これは読めなかった」

鮮花「……」

橙子「すまない、鮮花。これは私の落ち度だ―――黒桐(アイツ)は、私の想像の先を行っていた」

鮮花「……橙子さんの、せいじゃありませんよ……あの女……まさか、あの状態から上を取り返すなんて……」

橙子「……このままここに居ても、おまえは辛いだけだな。―――立てるか、鮮花」

鮮花「……立ちます。立って、みせます……次は、勝つために―――」


橙子「……見上げた根性だ。私の弟子は優秀だな……」



鮮花「くっ……絶対に……絶対に……! このままでは、終わらんぞぉっ……!!」


鮮花の闘志は、まだ折れない―――
師・橙子は、鮮花のこの不屈のスピリッツに、心を揺さぶられずにはいられないのだった。



橙子(ベッドのシーツの取替えは、後でちゃんと当人等にやってもらわんと困るなぁ……)



さるさん三回食らったけど一発で完結出来て良かった(小並感)
無駄に長くなってごめんなさい、長い間保守お疲れ様でした、読んでくれてありがとうございました

鮮花って報われないな…らっきょのエロもっと読みたい…

しかし報われたらそれは鮮花じゃないような気もする不思議…うーん
クロスSSは今年中に書きたいけど…クロス先がとにかく長くて…今年中に書けたらなぁ

最後に読んでくれてあざす、未来福音公開いつかな

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