モバP「野球は好きかー?」 (56)

モバマスSSです。

友紀「あー、ビールが美味しいねぇっ!」

P「ちょ、なんでもう飲み始めてるんだよ…」

友紀「いいじゃんさー。ちゃんと残しておくからさ」

P「家主がいない時に飲むなよな本当に」

友紀「まーまー気にしないで。あれ?誰かいるの?」

P「ん?そうだぞ迎えにいったついでに連れて来た」

巴「なんじゃP、われは部屋に女がいるのにうちを連れてきたんか?」

友紀「あ、巴ちゃんじゃん。やっほー」

巴「大体なぁ、こげな時間にうちを部屋に連れ込もうなんて若い衆が知ったら…ってなんじゃ姫川さんじゃったんか」

友紀「友紀で良いってー」

巴「それじゃ、友紀さんじゃ。それで寮にも行かずにここに連れてきた理由はなんじゃ?」

P「いや、それはだな…」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367579294

テレビ『間もなく、ナマーズ対キャッツの第三回戦が始まろうとしています』

友紀「お、始まる始まる。二人共そんな所に突っ立ってないで入りなよ」

P「俺の部屋なんだけどな」

巴「…どういうことじゃ?」

友紀「え?巴ちゃんナマーズファンでしょ?広島出身なんだから」

巴「た、確かにそうじゃが……。なるほど、理解した。ちょっと入るでP」

P「いいぞ。二人共出来るだけ静かに見てくれな。俺はつまみとご飯作るから」

友紀「ありがとねPさん。ささっ、隣にどうぞ巴ちゃん」

巴「キャッツファンと肩並べて見るってのもなんだか変な気分じゃな」

友紀「まぁまぁ、Pさんの部屋が狭いからしょうがないじゃん」

P「聞こえてるぞー」

友紀「あ、ごめんごめん。嘘です。広いよーPさんの家は」

巴(そう言えば、こっちに来てから野球なんて見とらんなぁ…)

友紀「さてっ!巴ちゃんは誰のファンなのかな?やっぱり、孤高の天才って言われる—」

巴「ま、まぁ、確かに前山選手は好きじゃな。親父が大ファンじゃったし」

友紀「お父さんがかー。ってことは津山投手とかも?」

巴「おう!炎のストッパーの生き様は聞くも涙語るも涙じゃ!」

P(二人共楽しそうだなぁ…)

実況『先攻はナマーズ。一番レフト、レイズ。対しましてキャッツのピッチャーは澤山田』

友紀「お、今日は澤山田かー。うん。気持ちいいストレートで打ち取ってくれそうだね。お酒が進む進む」グビグビ

巴「ふんっ。まだ分からんたい。力だけで勝てたら皆ボディビルダーじゃ」

巴「…と言うかの一ついいか友紀さん」

友紀「なにー?あたしの予想は5−2でキャッツだよ」

巴「うちは3−2でナマーズじゃ。じゃのぉてその…お酒って美味しいんか?」

友紀「ん?お酒?ビールのこと?美味しいよ。Pさんも好きだよ確か」

巴「そ、そうなんか…。うちにも…」

友紀「巴ちゃんはダーメ。まだ未成年だもん。いくらあたしでもそういう所は守るからね」

巴「…そうじゃな。すまんちぃゆなげなことを言ぅちゃった」

友紀「いいっていいって。あたしも子供の時にお父さんの飲んでるビールがとっても美味しそうに見えたし。結局くれなかったから柿の種を全部食べて怒られたっけなぁ…」アハハ

巴「そりゃ怒られるけ…」

P「二人共熱中している所悪いがつまみ出来たぞ。食べるか?」

友紀「お、いいじゃん。流石Pさん」

巴「ぴ、P。こりゃぁ食べてええんか?」

P「おう。食べていいぞ。あ、なんか飲み物がいるな…麦茶でいいか?」

巴「それでええ」

P「はいよ。それじゃ、俺はノンアルコールビールにしてと。それじゃ、かんぱ——」

実況「打ったー!」

巴「ん?おっし、よう打ったで廣池!」

友紀「ぐわー、なんで今当たってる廣池に真っ向勝負かなぁ。これもPさんが話かけるから悪いんだよっ!」

P「そんなこと言われてもしょうがないだろ。それじゃ、友紀はつまみ抜きな。二人だけで食べような巴」

巴「う、うむ…」

友紀「あ、すみません。今のは口が滑りました。ただでおつまみが出てくる所なんてここしかないんでお願いします」

P「ま。いいけどさ。それじゃ、乾杯」

友紀「かんぱーい!」

巴「かんぱい」

実況「ただいま五回の裏を終了しまして、3−2ナマーズのリードです」

解説「やはり、初回のホームランが効いてますね。あれのおかげノビノビ投げれていますよ」

実況「やはり違うんですかねピッチャーとしては」

解説「そりゃ、先に援護貰えれば、無理をする場面が減りますからね」


友紀「んー。折り返しかぁ…あ、Pさんビールは?」

P「もうない。流石にそのペースで飲まれたらすぐなくなるよ」

巴「P。お茶おかわりしてええ?」

P「分かった。ほれ」

巴「ありがとうなP」

友紀「ないのかぁ…それじゃ買ってこなきゃ」

P「待て。お前が行くな。酔っぱらったまま外に出て怪我でもしたらどうするんだ」

友紀「それじゃ、どうすんのさ」

P「俺が行くよ。しょうがないな。あと二本だけだぞ?」

友紀「話が分かるねPさん。それじゃ、あとでお金渡すからお願いしまーす」

P「はいはい。巴は欲しいものあるか?」

巴「特に何もいらんね」

P「はいよ。それじゃちょっと行ってくるわ。二十分くらいで戻る」

友紀「行ってらっしゃーい」

巴「気を付けてつかぁさいのP」

友紀「さーて、こっから逆転劇の始まりだぁ!」

巴「な、なぁ、友紀さん」

友紀「ん?なに?キャッツはピッチャーを澤山田から香川に替えたから巻き返すよ」

巴「ふんっ、そがぁなことしても打っちゃるわ!じゃのうて…その、結構Pの家に来るん?」

友紀「あー、どうだろう。最近は来てなかったなぁ。Pさんも忙しいみたいだし」

巴「そ、そうじゃったか…」

友紀「そういえば、なんでそんなこと聞いたの?あ、もしかして——」ニヤニヤ

巴「ち、違う。別にPの家にいるんが羨ましいんじゃ…」ゴニョゴニョ

友紀「野球の話が寮で出来なくて困ってたんだね!」

巴「……は?」

友紀「まぁ。分かるよ。うんうん。女の子でこういう話出来る子ってあんまりいないもんね。

私もPさんが野球が好きだって言うまで一人でビール飲みながら見てたりしてたよ。それか、スポーツニュースで我慢してたん
だよー」

巴「ほ、ほうか…」

友紀「皆WBCなら見るんだけどさー。それ以外はちょっとね。だから巴ちゃんも同じ気持ちなのかなーって!違った?」

巴「いや、間違っとらんよ」

巴(何かあるゆぅて思うた自分が恥ずかしい…)

巴「友紀さんは、げに野球が好きなんじゃね」

友紀「うん。大好きだよ。こうやって女の子と見れるなんて思ってなかったよ。これからもよろし——」

実況「行ったぁー!」

友紀「ど、どっちが?」

実況「ボールは無情にもスタンドに入ったー。キャッツ同点のソロホームラン!」

友紀「やったー!慎太郎ー!WE ARE キャッツ WE ARE キャッツ〜♪」

巴「なんじゃと!?」

友紀「これはPさんに報告しなきゃね」ピポパポ

友紀「あ、もしもしPさーん?キャッツが追いついたよー!」

巴「ちょ、ちぃと待って!」

友紀「あ、巴ちゃん」

巴「なんやP、われキャッツファンなんか!?」

P『ん?そういうわけじゃないぞー』

巴「友紀さん。Pはキャッツファンじゃないって」

友紀「えー!ちょっといい?Pさんどういうこと!?」

P『なんだってー?ちょっともうすぐ帰るから』プツン

友紀「切れちゃった…。もう!Pさんは何を言ってるんだか」

巴「お、後続は抑えたんか…えかった」ホッ

P「ただいまー」

友紀「ちょっとPさんここに来て正座!」

P「えっ、なんだよ一体。あ、これビールな。何もないの悪いから巴にデザート買ってきた」

友紀「あ、ありがと…じゃない!Pさんキャッツファンじゃないって本当なの!?」

P「んー、正確にはキャッツも好きだよ。俺、野球自体が好きだから」

友紀「ん?んん?」

P「だからキャッツもナマーズも好きなんだって。ファンと言えるまで詳しいか別として」

友紀「んーなんだか怒り辛い回答だなぁ。とりあえず、浮気はダメだよ浮気は!」

巴「なぁ、P」

P「ん?あ、スプーンか?ほれ」

巴「ありがとう…じゃのうて、やっぱりPの一番はナマーズやろ?」

P「んん?俺は全部平等に好きだぞ」

巴「浮気はいけんでP。男ならきしゃっとせいや!」

P「まぁまぁ、いいじゃないか。今度までに決めとくよ」

巴「約束じゃけぇの!…もし、ナマーズのファンになるんじゃったら…その、次はホームで——」ゴニョゴニョ

P「考えとくよ。親御さんに近況報告に行くついでに行くか」

巴「や、約束じゃ!」

友紀「いいなー。Pさんあたしは?」

P「お前は勝手に実家に帰ってキャンプ見に行くだろうからいいだろ」

友紀「うぐ、当たってるだけに反論出来ない…」

P「だろ?お、そろそろ九回じゃないか?」

友紀「え?あ、本当だ。同点かぁ…。これはPさんが応援した方が勝つんじゃないかな?」

巴「P!今はナマーズのファンになるんじゃ!」

P「え、あ、うん。頑張れー!前山!意地見せてやれ!」

友紀「あ、えーっ!?」

実況「さぁ、抑えの西里投げましたー。行ったぁぁぁぁぁ!打った瞬間それと分かる当たり」

解説「今のは失投ではないですね。打った方を褒めるべきでしょうね」

巴「や、やったぞP」ガバッ

P「おう!やったー!」ギュー

友紀「いきなり目の前で抱き着かれてもリアクションに困るんだけど…」ポリポリ

巴「…はっ!ぴ、P近すぎじゃ!」
P「お、おう、すまん」

巴「全く…これだからPは…」ブツブツ

友紀「うー悔しいなぁ…。ここで打たれちゃうかぁ。とりあえずPさん。送ってくれない?」

P「そうだな。もう九時回ってるしな。巴も帰るぞ」

巴「送ってくれるんか?」

P「まぁな。このまま帰したら友紀がちゃんと帰る気がしないし」

巴「それじゃお願いするけぇ」

車内

友紀「いやー、悔しいねぇ」グビグビ

P「車の中でも飲むのか…」

友紀「折角買ってきて貰ったんだしね」

P「俺の部屋に置いておけばいつでも飲めるじゃないか」

友紀「あ、そだね」

P「というかあんまり悔しそうに見えないんだが。いつもだったらもうちょっとイライラしてないか?」

友紀「んー、やっぱり一緒に見る人が増えるのが嬉しかったからね。今日くらいは負けてもいいかなって思ったんだよ」

P「へぇ、意外に大人なんだな」

友紀「あ、でも、次から勝ったら巴ちゃんの前で応援歌歌うことにしたよ」

P「前言は撤回するよ」

P「やけに静かだが、巴は寝ちゃったのか」

友紀「まぁ、仕事終わりだったししょうがないよね」

P「友紀も仕事終わりだろ?」

友紀「ほら、あたしは大人だからさ」

P「どうみても子供だけどな」

友紀「あははは」

女子寮

P「さて、着いたか」

友紀「あたしは先に降りるね。ちょっと車の中で飲んだせいか酔いが回ってきたみたい」フラフラ

P「お、おい平気か?」

友紀「へーきへーき。だけど巴ちゃんは任せた。おやすみーPさん」

P「おう。…それじゃ、俺が巴を運ぶか。よっと軽いな」

P「えーと、巴の部屋ってどこだっけ?」


巴「ん……」

P「お、起きたか。おはよう」

巴「…P?ん?なんでPが!」バタバタ

P「暴れるなって!」

巴「…なんじゃ、うちはPに抱きかかえられてるんか」

P「あれから寝ちゃったからな」

巴「ありがとなP。もう歩けるから降ろしてくれんさい」

P「もう着くからこのままでいいぞ。巴は軽いし」

巴「お、お姫様抱っこが恥ずかしぃんじゃ…」カァァ

P「まぁいいじゃないか。誰も見てないし。それでは参りましょうかお嬢。なんてな」

巴「引っぱたくぞP」

P「冗談だって。それじゃ、ちょっと速足で行くな」

巴「だから…もう、強引じゃなPは…」

P「じゃあな。ちゃんと風呂入って寝ろよ」

巴「当たり前じゃ。うちをなんだと思ってる」

P「俺の大切なアイドル」

巴「わ、わかってりゃええんじゃ」

巴「それじゃあの」バタン

巴「あ、P。明日もの凄く仕事を頑張るんじゃ」

P「お、おおう?」

巴「うん。それでええ。それじゃあの」

P「さてと…俺も帰るか。あ、一応友紀に連絡してみるか」

友紀『ん?どしたの?』

P「いや、ちゃんと無事に部屋に着いたのかなぁって思ってさ」

友紀『あーそういうことね。大丈夫大丈夫ちゃんと着いたから。おやすみー』

P「これでよしと。それじゃ俺も帰るか」

?「あらこんな時間にあなたがいるなんて珍しいこともあるものね。もしかして誰かを夜這いに来たのかしら?」

P「え?いやいや、そんなわけないじゃないですか礼子さん。あれ?礼子さんは寮住まいじゃないですよね」

礼子「えぇ。ちょっとお酒を飲みに来たのよ。流石に毎日パーティに行くお金はないしね。それじゃ、何を?」

P「巴と友紀を送っってきたんです」

礼子「中々珍しい組み合わせね。何のお仕事だったのかしら?」

P「いや、仕事じゃないですね。俺の部屋で野球を見てたんですよ」

礼子「野球…。へぇ、野球を見たいといえばあなたの部屋に行くことも出来るのね」

P「そういうわけじゃないですけどね」アハハ

礼子「あの二人ってことはナマーズとキャッツの試合でもやっていたのかしら」

P「はい。そうです。丁度そのカードでしたね」

礼子「ふぅん。中々賑やかそうね特に友紀ちゃん辺りが」

P「まぁそうでしたね。ビール片手に叫んでました。礼子さんは野球とか見られますか?」

礼子「私?そうねぇ…一応地元が神奈川だから昔は少しだけ応援した記憶があるわ。マシンガン打線や大魔神のフォークには
痺れたものよ」

P「あの時は湧きましたねぇ。学生の時見てて盛り上がった記憶があります」

礼子「たまには見るのも悪くないのかもしれないわね」

P「そうですよ。最近は最下位を脱出していいところまで行けそうですからね」

礼子「そう。それじゃ、今度あなたの家でお酒でも飲みながら見ようかしら。そのあとは…ね?」

P「ははは。お手柔らかにお願いしますよ。それじゃ俺は帰りますんで」

礼子「えぇ。さようなら」

http://i.imgur.com/E74adVV.jpg
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姫川友紀(20)

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村上巴(13)

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高橋礼子(31)

>>16 画像ありがとうございます。

二日後

事務所


巴「おはようP」

P「あ、お嬢おはようございます」

巴「いきなりどうしたんじゃ…」

P「いや、なんとなく言いたくなってな。それでどうした?今日はオフだった気がするんだけど」

巴「そりゃぁおぉとるよ。うちは今日は休みじゃ。今日はちとPに用がおうてな」

P「俺に用?なんだ?聴ける範囲なら聞くぞ」

巴「P、今日は残業みとぉなんあるんか?」

P「ないな。一昨日何故か巴に頑張れと言われたからな」

巴「おぉ。流石Pじゃ。うちのプロデューサーなだけあるの」

P「いきなり褒められても少しむず痒いな。とりあえずありがとうと言っておくよ」

巴「よし、P。今日は野球見に行こう」

P「そうだな。別にいいけど。まだ十二時なんだけど?」

巴「そうじゃの。だからじゃ。今から行かんと間に合わん」

P「えーと、まさかとは思うが…」

巴「そのまさかじゃ。寝る部屋は貸しちゃる」

P「まぁ、今の時期ならいいか…」

巴「流石うちのPじゃ」

ちひろ「あのーどこに行くつもりなんですか?部屋がどうとか言ってましたけど」

P「今から広島行ってきます」

ちひろ「は、はぁ!?」

P「巴の両親に近況報告して朝一番の新幹線で帰ってきますから。ちゃんと九時過ぎには出社しますから」

ちひろ「今日のお仕事は?」

P「今日は友紀が仕事ですけど一人で平気でしょう。年少組は今日は揃って休みですし」

ちひろ「そう言えば、そうですね…。それじゃ行ってらっしゃい。一応、アイドルの両親の前に行くので出来る限り

お仕事の話は私が対応しておきますが、何かあったら——」

P「えぇ、その時は連絡してください。なるべく出られるようにはしたいと思いますから」

ちひろ「えぇ。お願いしますね」

P「こちらこそ、いきなりこんなことを言ってすみません。それでは行ってきます。お土産は何がいいですか?」

ちひろ「え。そうですねぇ…」

巴「もみじ饅頭が有名じゃ」

ちひろ「あ、お饅頭。いいですね。みんなで食べられそうですし」

P「じゃ。それで。それじゃ行ってきます」

ちひろ「はーい。いってらっしゃいませ」

ちひろ(そう言えば、巴ちゃんのお父さんって…)

東京駅

P「新幹線で行くことになるけどいいか?」

巴「それ以外にどうやって行くんじゃ?車だと着いたら試合がもう中盤じゃ」

P「いや、調べたら飛行機で行けるらしいぞ」

巴「新幹線でええ」

P「分かった。それじゃ行くか。あ、変装とかしなくて平気か?」

巴「平気じゃろ。こんな時間やし。まぁ、何か撮られたらその時は向こうに着いてからうちの所の若い者に任せるから心配な
いで」

P「それなら平気か」

P(あぁ、そう言えば、巴の実家は黒塗りスモークガラスの車と若い衆がいるんだっけな…)

ピリリリリリ

P「あ、ごめん電話だ。ちょっと出るな」

P「はい。もしも——ってなんだ友紀かどうした?」

友紀『どうしたもこうしたもないよ!なんで誘ってくれないのさ』

P「いや、遊びじゃなくて親御さんに近況を報告しにいくんだって」

友紀『嘘だー。Pさんがナマーズに盗られたー。それじゃ、あたしの両親に報告に行くのは来年のキャッツのキャンプと同じ
時期にしてよね』

P「そんな都合よく話が進むか分からないけど頑張るよ」

友紀『ならよし。あ、そうだ。せっかくスタジアム行くんだったらホームランボールとかがお土産に欲しいな。それじゃね!』
P「全くいきなり電話してきたと思ったら…」

巴「話ぶりから見るに友紀さんからじゃったな」

P「そうだよ。なんか私も連れてってってごねてた」

巴「容易に想像出来るんじゃが…あの人は本当に二十歳なんじゃろうか…」

P「一応な。ま、子供っぽい所もあるけど本人曰く色々考えてるそうだ」

巴「なるほどのぉ」

P「あ、そういや昼がまだだったな。駅弁でも買うか」

巴「うち、新幹線あんま乗らんせいでどれが美味しいか分からん。だからP、見繕ってくれると嬉しいんじゃが」

P「分かった。それじゃ、これとこれで」

店員「ありがとございまーす」

P「それじゃ、乗るか」

巴「あ、P。そのなんでもかんでもやって貰うのは性に合わんのじゃ。だからその弁当くらいは持っちゃる」

P「お、ありがとな」

巴「当然のことをしたまでけぇ」

巴「おぉ、そうじゃ、P。少し携帯使ってもいいか?」

P「いいけど、小さな声かデッキでな」

巴「Pにも関係あるんじゃが…」

P「それなら二人してデッキに行くか。指定席だから取られる心配ないし」

巴「そうじゃの」


巴「えーと…、あった」

P「そういやどこに連絡してるんだ?」

巴「ん?うちの親父じゃけぇ。あ、もしもし?」

P「言ってなかったのか…」

巴「うん。だから、うちのPが—って、うん。ほれP」

P「ん?代われって?はい。お電話代わりました村上巴さんのプロデューサーをさせて頂いていますPと申します」

巴父『おう。あんたがPくんか。巴は最近どーかいの?』

P「はい。そうです。そのような話を含め今晩にでもそちらにお伺いしても——」

巴父『うるせぇぞオラァ!! あ、すみませんなんでしたけ?』

P(怖いなぁ…)

P「あ、何時ごろならお時間取れますでしょうか?」

巴父『そうじゃのぉ…。いっつも平気じゃ。夜なら問題ないけぇ』

P「はい。分かりました。それでは時間が決まり次第連絡させていただきます」

巴父『時間と言うのはあれか?車で来るつもりなんか?』

P「いえ、新幹線ですね」

巴父『ほうか…。分かったけぇ。それじゃ、巴に代わって貰ってええか?』

P「はい。ほら、巴」

巴「ん?なんじゃ?うん。あぁ、そうじゃ実はな。今日は先に野球見に行く予定なんじゃ。ん?今日はえーとちぃと待ち。あー、前谷じゃけぇ。うん。は?」

巴「うちは構わんけど、Pに聞いてみるけぇ」

P「ん?やっぱり試合見ないですぐに来いって?」

巴「その逆じゃ。一緒に観に行っていいんかって」

P「巴がいいならいいけど」

巴「あ、親父?Pはいいって言っとるけぇ。また近くなったら連絡するけぇ。それじゃ」

P「来るって?」

巴「そうじゃの。そこで親父と仲を深めたらええんじゃ。そした方がその後もスムーズにいくけぇの」

P「言われてみれば。そうだな」

巴「ただ、球場で見る時親父は酒を飲んでるけぇ、声大きいが我慢してな」

P「まぁ、平気だよ」

巴「それじゃ、席に戻るけぇ。なんでも親父も行くからチケットは向こうが用意してくれるみたいじゃ」

P「なんだか悪いな」

巴「親父も行きたいって言ってきたんやけん当然じゃ」

P「ならいいんだけど…。お、弁当食うか」

巴「おぉ、忘れとった。Pはどんなん選らんだんじゃ?」

P「いや、深く考えてはないけど」

巴「お、釜飯けぇ、うち、これ貰うなP」

P「いいぞ」

巴「それじゃ、いただきます」

P「いただきます」

巴「そろそろ着くみたいやの」

P「だなぁ。連絡はしなくていいのか?」

巴「お、そうじゃった。メールっと」

P「親父さんとはメールするのか」

巴「全くと言っていいほどしとらんね」

P「そうなのか」

巴「なんじゃ、しておいた方がええんか?」

P「いや、別にどっちでもいいが親孝行はしておいた方がいいと思ってさ」

巴「うちがこうしてアイドルやってる時点で親父には親孝行しとるけ」

P「言われてみればそうだな」

P(勝手にオーディションに送られてたって言ってたし)

巴「お、返信が帰ってきた。急だったからA席しか取れんかったって」

P「それでも随分いいと思うけどな」

巴「親父が見る時はいつもバックネット裏じゃ。まぁ曜日的にもしょうがないと思うがの」

P「そうだな。お、そろそろ着きそうだぞ」

巴「随分と長旅じゃったのぉ…。お、そうだP、広島にようこそ」

P「言われてみれば初めてだ。それじゃ、応援に行くか」

巴「おうっ!」

P「そう言えば…親父さんとはどこで待ち合わせを?」

巴「駅の近くにおるって言うとったが…あ、あそこにおるけ」

P「あそこ?あぁ、あの黒塗りの車か」

P(本当に窓が黒いんだけど…)

巴父「おう、よう帰ってきたけ。お、会うなぁ初めてじゃなPくん」

P「あ、こんばんは。いつもお世話になってます」

巴「なに言うとるんじゃ。いつも世話になってるのはうちの方じゃろ」

巴父「大人には色々あるんじゃ巴。それじゃ、行くか」

P「歩きですか?」

巴父「おう。ここから歩いて十分くらいや。たまには運動もせんと体が鈍ってしまうんじゃ。Pくんは若いから平気やろ?」

P「いえ、やはり最近腹回りが…」

巴「だらしないPは嫌いじゃぞ?」

P「帰ったら筋トレします…」

巴父「愉快なプロデューサーさんじゃのぉ。今の時間から球場入るとノックから見えるんじゃ」

巴父「今日は、前谷が先発じゃけぇ。エースには勝って欲しいわ」

P「最近は団子状態ですからねぇ…」

巴父「気ぃ抜いたら最下位になりそうじゃけぇ、応援頼むわPくん」

P「はい、任せて下さい」

巴父「まぁ、Pくんの仕事柄畏まらなきゃならんとは思うが、今は、そういう立場は置いといて一ファンとして見るけ」

P「…ですね。行きましょうかお父さん!」

巴父「まだ、そう呼ぶのは早いんけぇ」ジロッ

P「あ、そうですね。すみません」

巴父「しかし、俺を見ても特に物怖じせん姿勢は気に入った。流石は巴のプロデューサーじゃ」ハハハ

巴「なんか二人ともとーからの知り合いみたいじゃ」

球場

P「新しくなったのは知っていましたが、こんなに綺麗なんですね。芝も綺麗だし」

巴父「そうじゃろ。ウチの村上組もここの改築には一枚噛んどるけ」

P「お仕事は建設関係なんですか?」

巴父「そうじゃ。村上組言うんよ」

P「なるほど。あ、ノックが始まりますね」

巴父「お?なんだ、スパローズの方かい。あ、お姉ちゃんビール二つ」

P「もう飲むんですか?」

巴父「これが球場観戦の醍醐味じゃ。ほれ、Pくんの分ももう買ったんじゃ飲め飲め」

P「え、いや、お金払いますよ」

巴父「わざわざ来て貰った礼じゃ。それとも飲めないなら?」

P「いえ、いただきます。ありがとうございます」

巴父「今日はウチに来るんから、好きなだけ頼みや」

P「ありがとうございます」

巴「ありゃのー、なんだか、男二人で楽しそうじゃのぉ…うちも入れるんじゃ」

巴父「なんじゃ巴。やきもちを妬く年頃になったか。ほら間に入りや」

巴「そ、そがぁことなわけない。…失礼するのP」

P「どうぞどうぞ」

巴「すまんの」

巴父「まだ、敵さんのノックじゃ。時間あるけ。世間話でしようけ。Pくんはお酒何が好きなんじゃ?」

P「そうですねぇ…なんでも好きですが、やはりこういう所だとビールですね」

巴父「んなもん当たり前やんけ。じゃのうて家で飲む場合じゃ」

P「家でしたら日本酒とか好きですね」

巴父「ほぅ、巴、書くものあるか?」

巴「ほれ」

巴父「だんだん。日本酒好き言うことは和食が好みなら?」

P「そうですね。大好きです。あ、ノック終わったみたいですよ」

巴父「みたいじゃの。巴も何か飲むか?」

巴「うちはえぇ」

ピリリリリ

P「あ、すみません。少し事務所の方から電話が。席外しますね」

P「はい、Pです。ちひろさんどうかしましたか?」

ちひろ『あ、プロデューサーさんですか?ごめんなさい電話してしまって』

P「構いませんよ。それでどうしたんですか?」

ちひろ『えーっとですね。テレビ局のディレクターさんからお電話がありまして…』

P「はい。どこのですか?」

ちひろ『えーっとですね——』

P「——分かりました。詳しくはまた明日詰めますね。とりあえず、先方にはこっちからお話ししておきます」

ちひろ『はい。ありがとうございます。…それよりどうですか?巴ちゃんのお父さんは』

P「いい人ですよ」

ちひろ『…お家で粗相して帰ってこれないとか止めて下さいね』

P「善処します。もしダメだったら。俺のロッカーの天井にこれからの皆の展望を書いた紙を貼ってあるのでそれを読んでち
ひろさんがプロデューサーをやって下さい」

ちひろ『え、縁起でもないこと言わないで下さいっ!それじゃ、頑張って下さいね』

P「はい。それじゃ。さてとあそこの局の番号は…」

同時刻

巴「あ、Pはそこいおるけぇ」

巴父「だんだん。仕事をする時の顔になってるけ」

巴「いきなり、Pを尾けて何がしたいんじゃ親父は?」

巴父「どれほど仕事が出来る男なのか見てみたかったけ」

巴「なるほどのぉ…。男にしか分からんことじゃ」

巴父(巴の夫は肝が据わってなきゃならんけぇのぉ…)

P「あ、どちらに行かれてたんですか?」

巴「ちょっと—」

巴父「ちょっと二人共新幹線で疲れてやろうから弁当を買ってきたんよ」

P「あ、すみません。お代は…」

巴父「ええて。新幹線の代金を出して貰ってるんじゃ。ここにいる間はお金の心配はせんでえぇ」

P「そうですか。ありがとうございます」

巴父「おう。Pくんにはほれ、うなとろ丼じゃ」

P「あ、どうもありがとうございます。ウナギととろろってなんだか精力が付きそうですね」

巴父「さっきも仕事の電話しとってPくんは疲れてるかと思うての」

巴「親父、うちのは?」

巴父「ほれ、俺と同じとり天丼や。監督変わってから来とらんかったからつい買ってしまったんじゃ」

巴「だんだん親父」

P「あ、試合始まるみたいですよ」

巴父「なんやと。ナマーズ負けるなや!」

巴「ここで勝ってAクラス行くんじゃ!」

P(似た者同士だなぁ…)

巴「しかし、前谷はいつ見ても安定しとるの」

巴父「来年もいてくれるとええのぉ」

P「今年は特にいいですよね。ボールが動いてる気がしますもの」

巴父「おぉ。分かるけPくん。今日は安心して見ることが出来そうじゃ」


P「八回までお互い零点って投手戦もいいとこですね」

巴父「相手もそれだけ気合い入ってるってことじゃ。あ、お姉さんビール二つ」

P「あ、すみません…」

P(もう、三杯もごちそうになってる)

巴父「ええて。まだ巴は酒が飲めんけ。やっぱ飲み交わしながら見るのが最高じゃ」

巴「のぉ、親父。柿の種貰ってもええけ?」

巴父「ええぞ」

P「と言うより、八回辺りになってくるとブランティンの一発が怖いですよね」

巴父「確かにのぉ。ここ一番の集中力は恐ろしいもんじゃ。前谷もいい感じで降りたけ、そのムードで続いて欲しいもんじゃが」

>>28 使いませんでしたっけ?

ウグイス嬢『続きまして、バッターは四番ライト。ブランティン』

P「さぁ、ここ抑えれば何とかなりますね!」

巴父「そうじゃの」

P「あ、甘っ——」

ワァァァァ トウキョウオンドー



巴父「打たれたのぉ…まぁ、ソロホームランだっただけよしとするけ」

P「まだ試合は分かりませんからね」

巴「後続は抑えたけ。あとはこっちも一発返せば問題ないけぇ」



ウグイス嬢『変わりましてナマーズ、一番レフト、レイズ』

巴父「先頭出なかったら負けるんじゃ。気合い入れてけやっ!」

P(怖っ!)

巴「よっしゃあ!先頭出たけ。これはいけるんじゃないかP?」

P「そうだな。広池は好調だし」

カキーン

P「ん?何が起きた?」

巴父「角がサヨナラホームラン打ったんじゃ!」

ワァァァァァ!

P「お、おおおおやったー!」

巴「やったぞP」ガバッ

P「ちょっと、親父さんいるって…!」

巴父「今は別に気にしないけ。それよりこれでお酒が気持ちよく飲めるもんじゃ。今からウチの若い衆に迎えに来させるけ、ちょお待っとれ」

P「あ、はい」

巴父「おう。俺じゃ俺。そうけ。試合終わったんじゃ。それで車もう待機しときよ。はい。じゃあな」

P「どのくらいで来られると?」

巴父「もう、駐車場で待機しとったみたいです。ラジオでも聞いてたんじゃろ」

巴「久々にウチに帰るけ」

P「やっぱり、寮は辛いか?」

巴「そういう訳じゃないけ。ただ、たまに帰ってくるのも悪くないと思っただけじゃ」

巴父「たまにじゃなくて頻繁に帰ってくればええけ」

巴「便りがないのは元気の印じゃ。代わりにうちの活躍をテレビで見とき」

巴父「そうしとくわ。おぉ、こっちじゃこっち」

若衆「お疲れ様です。あ、お嬢お久しぶりです。お元気そうでなによりです」

巴父「こっちにおるんが、巴のプロデューサーさんだ」

若衆「ははぁ。お嬢の活躍の影にプロデューサーありですね。それじゃ、このまま家に向かっていいですか?」

巴父「それで頼むけ」

若衆「それじゃ、自分は車置いてくるので、どうぞプロデューサーさんゆっくりしていってください」

P「あ、ありがとうございます」

P「大きな家だなぁ…」

P(ドラマでしか見たことない感じの家だな)

巴「なに突っ立ってるんじゃP?はよぉウチに入るけ」

P「お、悪い悪い」

巴父「とりあえず、話を聞く為にちと小さいが宴会を開かせて貰おうと思うんじゃ。そのままでええから着いてくるんじゃ」

P「わざわざすみません」

巴父「日頃の感謝の証じゃけぇ」

広間

P(なんか畳張りのいかにもって所に通されたけど正直余り落ち着かない…)

P(掛け軸に日本刀かぁ。なんというか凄いな)

若衆「親父。先程連絡いただいた通り、『龍勢』を拵えておきました」

巴父「おぉ、そうか」

若衆「はい。自分はここで失礼いたします。また何かあればお呼び下さい。お嬢も、本日は長旅お疲れ様でした」

巴「別に大したことないけ」

若衆「お強くなられたようですね。それでは失礼します」パタンッ

巴父「ふむ。三人で大広間だと少し寂しい気もするがいいだろう。ほれPくん飲むんじゃ」

P「あ、すみません…。あの龍勢って日本酒のですか?」

巴父「そうけ。さっき日本酒好きって聞いたから用意させたんじゃ。飲んでなら?」

P「いただきます。美味しいですねこれ」

巴父「そうけそうけ。今日は泊まっていくんじゃけぇ、好きなだけ飲み」

P「いただきます」

巴「親父、うちまでここに呼んで何をするんじゃ?」

巴父「いや、ただ、話を聞く時に巴もおった方が詳しい話聴けると思ったんじゃ」

P「はい。それでは早速お話を始めたいと思います。改めまして村上巴さんをプロデュースさせて頂いてるPと申します」

P「今回は近況報告のために伺わさせていただきました」

巴父「して…どーかいの?」

P「はい。巴さんは順調にトップアイドルの道を進んでいると思われます。さらに、巴さんが歌った演歌なども人気を博しており、これから更に階段を駆け上がっていくと思います」

巴「全てはうちとPの力あってこそじゃ」ドヤァ

巴父「なるほど。質問が一つあるけ」

P「はい。いくらでもおっしゃって下さい」

巴父「そのトップアイドルか…。あんたは今まで何人をそこまで持っていったことがあるんけ?」

P「恥ずかしながら、まだ人様に誇れるような実績は上げておりません。後少しと言う人はいますが——」

巴父「実績がなくてよく道を進んでると言えたもんやのぉ…」

巴「お、親父?」

P「は、はい。その通りだと思います。ただ—」

巴父「あんたの話は分かった。巴に才能があって、その才能の伸ばし方も分かった。それだけ分かれば別にあんたがプロデューサーじゃなくてもいいわけけ?それこそ実績ある奴にでも任せた方が巴のためじゃ」

巴「お、親父なに言っとるけ!?性質の悪い冗談はやめるんじゃ!」

P「……」

巴父「何か反論はないんか?」

P「私がそこまでの実績を持っていないのは事実ですから。親御さん、ましてやこの世界に巴さんを入れたお父様がそう言われるなら私は何も口を挟めません」

巴「ぴ、Pぃ!?なして…約束を違える気け?」

巴父「物分りがいいだけで世の中生きていけるほど甘くないんじゃ」

P「存じ上げております」

巴父「そうかいのぉ。なら…」

巴「お、親父?刀なんて、そがぁなもん持ってどうしたんじゃ…?」

巴父「なに。少し覚悟を見せて貰おうと思うてな」

巴「か、覚悟じゃと?」

巴父「こうするんじゃあ!」

巴(まさか親父、Pを…?)

巴「P避けぃ!」

P「……」

巴父「微動だにせんとは思わなんだ…」

P「正直半分は恐怖で足がすくんでます。けれども、これくらいをされることは覚悟していました。実績のなさは覚悟とこれで認めて貰おうかと」サッ

巴父「なんじゃ、手紙か?『私、Pは、もし巴さんをトップアイドルに出来なければ職を辞めます』と書いてあるのぉ」

P「はい。そしてですね。失礼します。……っ!」

巴「日本刀を素手で触るなんて…何をしとるんじゃP!?」

P「これぐらいしか思い付かなくてすみません。もし、これからも私に巴さんをプロデュースさせて頂けるならこれをお納め下さい」

巴父「血判なんて今の時代にやる奴がおったとは思わんかったけぇ…」

巴「こ、これでもまだ認めないん気か親父!うちはPがプロデューサーじゃなきゃアイドルなんて辞めてやるんじゃ!」ポロポロ

巴「お、親父が…うちの言うことを聞いてくれないなら…うちも親父の言うことを聞かん!」

巴父「……言うようになったな巴。ははははは!いや、しかし、Pくん。見た目によらず肝が据わっとるのぉ。これからも頼むけ」

P「ありがとうございます」

巴父「カタギでここまでやる奴がおるとはのぉ。ちぃとばかし試したんやPくんのことを」ハハハ

巴「な、なんじゃそういうことやったんか…。命が五年くらい縮んだわ…」ホッ

P「私も安心しました」

巴父「すまんのぉ。それじゃ、改めてよろしく頼むわ」

P「こちらこそお願いします」



巴父「しかし、ここまで巴が懐いてるなんて思わんかったけ。まぁ、とりあえず飲み」

P「はい。ありがとうございます。そうですね私としても嬉しい限りです」

巴「……ん」スゥー

巴父「さっきから眠そうにしとったのに、『うちが離れるとPが殺されてしまう。Pはうちが守るんじゃ』とか言ったんは流石に驚いたけぇ。結局腕にしがみついたままねぶっとるし…」

P「嬉しい限りですよ」

巴父「時にPくんは今いくつだ?」

P「今年で24になりますね」

巴父「なるほど、えぇ年齢やな。どうじゃ、うちに入ってこないか?」

P「と、言いますと?」

巴父「さっきので確信したわ。巴を嫁に貰ってやって欲しいけ」

P「なにを確信したんですか?」

巴父「んなもんあれしかないけ」ニヤニヤ

P「まだ、無理ですね。少なくとも私は、巴さん、巴をトップアイドルにするまでは誰とも結婚しません。尤も私なんかと結婚したがる人なんていないでしょうがね」アハハ

巴父「村上組の組長の願いをそうも突っぱねる辺り、本気みたいじゃね。けど、トップアイドルになった後の話は未定ってわけじゃな。巴をトップにしたらまた来いや」

P「はい。その時は伺わさせていただきます」

巴父「明日もまた早いんやろ?今夜はもうお開きにするけ」

P「はい。お疲れ様でした」

巴父「ところで、布団は巴と一緒でええけ?」ニヤニヤ

P「いや、流石に分けて貰えると…」

巴父「明日、起きた時の巴の顔が見物じゃ。どうせ手なんか出さんやろ?」

P「はい。それはそうですが」

巴父「ならええね。布団はこっちの部屋に敷いてあるんじゃ。とりあえず巴も連れてくるけ」

P「はい」

P(明日の朝殺されないかなぁ俺)

巴父「ここじゃ。明日は何時頃出る予定なんじゃ?」

P「とりあえず、なるべく早くですね」

巴父「若衆に朝飯でも作らせておくけ。勝手に食べてけ」

P「すみません」

巴父「なに、これからも期待しとるけ。それじゃあの」

P「はい。おやすみなさい」

——


P「……ん?今何時だ?」

P(六時か…うん。そろそろ出ないと昼前にすら着かない)

巴「……ん。P…」スゥー

P「まだ寝てるのか。巴起きてくれ。そろそろ帰るぞ」

巴「ん。P?なんじゃ、夢か。随分リアルな夢やのぉ。もっとうちを抱きしめい…」

P「ほら、夢じゃないぞー。起きてくれ」ユサユサ

巴「……夢じゃないけ?……——っ!」カァァ

巴「わ、忘れるんじゃP!というか、なんで同じ布団に入っとるんけ!?まさかP…」

P「昨日、巴が離れてくれなくてさ」

巴「し、知らんっ!そんなこと知らんけ!…うう。もう、うちはお嫁に行けん…」カァァ

P「とりあえず、東京帰る準備しようか。朝食まで準備して貰ってるみたいだし」

巴「切り替えが上手すぎじゃPは…。まだ、うちを女として見とらんのか」

P「可愛かったぞ寝顔」

巴「か、可愛いはなしじゃ!先に行っとる!」

P「あ、おい。やれやれ…」

広島駅

若衆「それでは、お二人共お気を付けて。お嬢これからも頑張ってください」

巴「おぉ、頑張ってくるけぇ」

P「早朝にありがとうございました」

若衆「これも仕事の内ですので。それでは」ペコリ

P「——さて、帰るか」

巴「そうじゃの」



巴「昨日どうしてPは、親父を前にあんな啖呵を切れたんじゃ?」

P「いや、昨日は無我夢中で。正直今だったら逃げ出したくなってる」

巴「なんで夢中だったんじゃ?」

P「他の人に巴をプロデュースして欲しくなかったからかな」

巴「…そういうセリフを臆面もなく吐けるPはズルいのぉ…」

巴(背中辺りがむず痒い…)

巴「なぁ、P」

P「どうした?今日は弁当はないぞ」

巴「じゃのうて…。うちな、三年でトップまで上り詰める予定じゃ」

P「うん。出来るよ巴なら」

P(三年かぁ…随分と具体的な数字だな。なんかあるのか)

巴「それでのぉ、何というか、その…ああ!まどろっこしい。Pよ、それまで、いやそれからもずっとうちの隣におるんじゃ。うちのことを一番分かってるのはPなんだからなっ!」

P「分かったよ」

巴「おう!天下とるで!」

P「俺も頑張るよ」

巴「その意気や!Pと一緒なら地獄の閻魔も怖くないわっ!うちの勇姿しっかり見ときやP」

事務所

P「おはようございます」

ちひろ「あ、お帰りなさいプロデューサーさん」

P「ただいま帰りました。流石に疲れますね」


穂乃香「あ、おはようございますPさん」

P「お、おはよう穂乃香」

穂乃香「ちひろさんから聞きましたが、村上さんの家に行ったらしいですね」

P「そうだよ。さっき広島から帰ってきて巴を送ってきたんだ」

穂乃香「なるほど、お疲れ様です」

P「あぁ、俺、酒臭くないか?」

穂乃香「平気ですね。匂いはしませんよ」

P「よかったぁ…」

穂乃香「あの一つよろしいですか?」

P「ん?どうした?」

穂乃香「私の実家にはいつ来て頂けるでしょうか?」

P「どうしてだ?」

穂乃香「いえ、やはり村上さんの家だけ行くのは変ですしね。もし、野球が見たいのでしたら、詳しくはありませんが実家の方にもスタジアムがありますので。では、予定が決まり次第教えて下さい。それではレッスンに行ってきます」

P「あ、おーい…。どういうことですかちひろさん」

ちひろ「いやですね。昨日友紀ちゃんから電話があったでしょ?あれ、事務所で電話してたんですよね」

ちひろ「それで、その時事務所にいた皆に『二月くらいにPさんがあたしの実家に挨拶に来るってー』と言ってましてね」

P「なるほど。なんとなく事態は把握しました」

ちひろ「そういうわけで頑張って下さいね」

P「了解しまし——」

友紀「おはようございますっ!あ、Pさん昨日はキャッツ勝ったよ!」

P「おう友紀。キャッツが優勝しなかったら来年のキャンプの時期に宮崎に行ってやる」

友紀「え、そりゃ、ないってPさん!」

ちひろ(私の実家にはいつ挨拶に来てくれるんですかね…?)チラッ

おしまいです。画像貼って下さった方、および見て下さった方ありがとうございます。

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