リト「……モモ肉」(139)

『国産地鶏 モモ肉 100g98円』

リト「……」

リト「……モモ肉」ボソリ

美柑「リトー」

リト「おぅわ!?なんだ?」

美柑「何驚いてんの……ん?そのお肉買うの?」

リト「……いや」

美柑「ん。じゃあこれだけ買って帰るよ」

リト「……いや、俺もう少し見てるから先帰っててくれていいよ」

美柑「えー?何見るの?」

リト「まぁいろいろ」

美柑「全く……わかったよ。早めに帰ってきてね?」

リト「わかってるって」

リト「……」

リト「……」

リト「……」

リト「……モモ肉か」

スッ

リト「……」

リト「……うん」

リト「……」

リト「……よし」

スタ、スタ、スタ……

ガチャ

リト「ただいま」

美柑「おかえり、結局何か買ったの?」

リト「いや、結局何も買わなかった」

美柑「何のために見てたのよ……」

ララ「リートっ!おかえりー!」

リト「うわぁっ!?ララ!服を着ろ!」

ペケ「すみませんちょっと眠くて」

リト「そういう問題か!?」

美柑「全くもう……」

モモ「あらあら」ニコニコ

美柑「今日の晩御飯はカレーだから」

リト「わかった、あとで向かうよ」

スタスタ……

モモ「……むむ?」

ナナ「どした?」

モモ「……いえ別に」

スッ

モモ「……(なんでしょう、今日のリトさん、何かを隠している?)」

セリーヌ「まうー」

モモ「はいよしよし」

セリーヌ「まうー!」

美柑「(本当に人増えたなぁここ)」

――――――――――  晩


モモ「……」

モモ「……」

ガチャ

モモ「リートーさんっ……って」

モモ「……いない?」

モモ「(この時間に……リトさんが……いない?」

モモ「まさか!」

モモ「……って、何かしらこの紙」


『ちょっと出かけてくる
すぐ戻る
         リト』

モモ「……あやしい」

ガチャ……

モモ「……(本当に真っ暗。そりゃあ、深夜だものね……)」

モモ「(しかし……リトさんは一体、どこへ……?)」

モモ「(何者かに操られて……いや、その線は薄い?)」

モモ「……」

モモ「そういえば、手がかりも何もないのよね」

モモ「うーん……お姉さまに相談してみようかしら」

コンコン  ガチャッ

モモ「お姉さま?」

ララ「は、はいっ!?」ビクッ

モモ「……お姉さま?どうかしました?」

ララ「う、ううん!別に何もないよ!?」

モモ「あやしい」

ララ「……で、な、何の用かな」

モモ「リトさんの事を知ってますね?」

ララ「!」ギクッ

モモ「(まさかお姉さまとは……)で、リトさんはどこにいるんですか?」

ララ「そ、それはちょっと言えないっていうか……」

モモ「……言えない?」

ララ「リトに秘密にしてほしいって言われてるから」

モモ「……それも言っちゃダメなんじゃないですか?」

ララ「そ、そうかも!?」

ララ「と、とにかくリトの事は言えないの!何も!」

モモ「……仕方ないですね。わかりました」

ガチャ バタン

ララ「あ、危なかった……」

――――

モモ「……しかし、お姉さまが関わっているとは」

モモ「これは思ったより厄介ですね」

モモ「……うーむ」

モモ「……」

ゴソゴソ

モモ「……やっぱり!」

スッ

モモ「……今日買ったものは、と」

モモ「……」

モモ「……お肉200g?」

モモ「……うーん?」

モモ「何となく私が想像していたものと違うような」

モモ「……でも、このお肉、冷蔵庫にはなかったはずじゃ?」

モモ「……気になりますね」

モモ「……何か、出かけてはいるんですけど―――」

モモ「……ッ!?」

バッ

ヤミ「……」

モモ「ヤミさん……!?何でここに!」

モモ「(あっもしかしてリトさんに夜這いをかけにきたのかな)」

モモ「(しまったそれなら邪魔しちゃ悪いですね)」

モモ「あ、でもヤミさん、今日はリトさん出かけてるみたいで」

ヤミ「何の話をしているんですかプリンセス」

モモ「あれ?違いました?」

ヤミ「私は、先ほどからこの家の付近をこそこそと嗅ぎまわる怪しい気配があったので
起きてきただけです」

モモ「すみませんそれ私です」

ヤミ「……何をやってるんですか」

モモ「……ごめんなさい。つい」

ヤミ「これからは気を付けてください。あとせめて家の中だけにしてください。
最近は物騒なんですから」

モモ「……(あれ?これもしかしてリトさんを守りに……?)」ニヤニヤ

ヤミ「何ですかプリンセス」

モモ「いいえぇ~?」

ヤミ「……」イラッ

モモ「やめましょう。ここはリトさんの部屋です。流石にかわいそうです」

ヤミ「……そうですね。ではプリンセス・モモ、貴方も早く寝てくださいね」

ガチャ

バタム

モモ「……とりあえず今日は中断しますか」

ガチャ……


リト「……zzz」スピー

モモ「……(寝てますね)」

リト「……」スピー

モモ「(本当に寝顔も素敵……じゃなくて昨日、いつ戻ってきたんでしょう?)」

モモ「(お姉さまとかかわりがあり、なおかつ秘密……これは気になりますね)」

モモ「……ああでも寝てるリトさんもいいですね。ちょっと悪戯しちゃおうかななんて」

美柑「……朝ごはんできてるんでさっさとリト起こして下に来てくださいね」

モモ「ひゃっ!?」

美柑「……では」

スタスタスタ

モモ「……最近美柑さんステルススキルでも持ち始めたんでしょうか」

リト「くかー」スピー

美柑「おはよー」

リト「おはよふ」

ナナ「今日はまだかろうじでケダモノじゃないんだな」

美柑「リト、油断しないでよ?いつ何が起きるかわからないんだから……」

リト「……なんだろう、俺そこまで危険視されてるのか」

ヤミ「……」スッ

リト「無言で身構えるのはやめてくれない!?」

モモ「(……いつも通りの日常、あれお姉さまは?)」

ララ「おはよー!」

リト「そろそろ服を着てくれ」

ペケ「寝坊しました」

リト「もういちいちペケじゃなくていいんじゃないのか!?」

モモ「……(気のせいですかね)」

――――――――――――― 晩

モモ「……(今日こそリトさんの秘密を暴いてみせる!)」

ガチャ……

モモ「(来た!)」

スタ、スタ、スタ……

モモ「(お姉さまの部屋の方へ……?)」

モモ「(やはり)」

スッ

―――

コソッ

モモ「(……お姉さまの部屋へ、わざわざリトさんから)」

モモ「(これは……!)」

リト「ララ……今晩も頼めるかな」

ララ「……うん、いいよ」

モモ「(ほんのり顔が赤いお姉さまと)」

モモ「(真剣な表情のリトさん!)」

モモ「(これは!!)」ガタッ

モモ「(おっと落ち着かないと……バレてしまいますね)」

モモ「……(って、あれ?)」

モモ「(リトさん、どこへ行くんですか……?)」

モモ「……」

モモ「……」

モモ「(……あれ?)」

モモ「(リトさん、別の部屋に行ったっきり……)」

モモ「(もしや別の部屋で……)」

モモ「(でもお姉さまが動く気配もなし……)」

モモ「(ど、どういう事でしょう……?)」

モモ「(お姉さまに頼んで入れてもらうか……)」

モモ「(うーん、でも秘密ってことは、余計に難しいような)」

リト「モモ」

モモ「ひゃいっ!?」

モモ「りり、リトさん!?」

リト「あまりにも集中してたから話しかけづらかったんだけど」

モモ「あ、あわ、あのあのこれは」

リト「あのさ、俺の勘違いだったら悪いんだけど」

モモ「ひゃい」

リト「もしかして、俺の行動を探ってないか?」

モモ「―――――ッ!?」ビクッ

リト「もしそれが興味本位ならば……本当にやめてくれ」

モモ「えっ……」

リト「別に部屋に入られたっていいし、基本的にはプライバシーとかどうでもいいんだ」

モモ「……」

リト「でも、どうしても嫌な事だってある」

モモ「……」

リト「わかってくれ……頼むよ」

モモ「……すみません」

モモ「……私、リトさんの気も知らずに」

リト「いや。黙って夜にコソコソしてる俺も悪いんだ。モモは俺が心配だったんだろ?」

モモ「うっ」ズキ

モモ「(半分くらい興味本位なんて言えない~)」

リト「最近、夜に出かける事があるけど、それに関しては大丈夫だから」

リト「安心してくれ」

モモ「……はい」

リト「じゃあ、おやすみ」

モモ「はい、おやすみなさい。リトさん」

―――――――ー――――

ガチャ  バタン

ガチッ


リト「……これで施錠も完璧」

リト「……もうモモはいない」

リト「……始めるか!!」

スッ

『国産地鶏 モモ肉 200gパック』

リト「モモ……モモ……」シコシコ

リト「モモ……可愛いよモモ……100g98円で売られちゃって……」シコシコ

リト「モモ肉柔らかいよ……ああ……ああ出ちまう、出す、出すぞモモッ!!」シコシコ

ドビュルルルッツビクンビクン

リト「……ふぅ!あと2、3回抜いて今日も寝るか!」

―――――――

ガチャー

リト「(シャワーも浴びたし大丈夫だろ)」

リト「今日もありがとう、ララ」

ララ「う、ううん……だってリトの頼みだもん」

リト「はは……そういってくれると嬉しいな」

ララ「うん……(今日もすっきりした顔してるなぁ)」

―――――――――――――

モモ「(……結局何してたんでしょう?)」ムキムキ

リト「おはよー」

モモ「あ、おはようございます」モグモグ

リト「お、みかん?」

モモ「はい。甘くておいしいですよ?剥きましょうか?」

リト「……みかんか」

モモ「お嫌いですか?」

リト「いや、大好きだよ。みかんを剥くとスジが出るよな」

モモ「……ああ、白いスジですか?あれ、取るタイプの人ですか?リトさんは」

リト「スジをとるなんてとんでもない!!みかんはスジを食べてこそだろ」

モモ「へぇ……とる派の人もいますが、リトさんは健康志向なんですね」

リト「……まぁそうかな」

リト「モモはみかんのスジ、どうだ?」

モモ「私ですか?私は好きですよ?スジ。健康にいいらしいですから」

リト「そうか……モモはみかんのスジが好きなのか」

モモ「?」

リト「……いや、俺もたべるよ。みかんを剥いてたべるよ」

モモ「……はぁ、どうぞ」

リト「ありがとう」ムキムキ

モモ「(……今日のリトさん、何か変ですね)」

―――

ヤミ「……みかんですか」

リト「おうヤミも食べるか、みかん」

ヤミ「いただきます」

リト「ちゃんと剥いて食べろよ。スジごとな」

ヤミ「それくらい言われなくてもわかっています。子供ではないんですから」

リト「ならよかった」

モモ「……?」

モモ「(なんでしょうか、この違和感……)」

リト「……」モグモグ

ヤミ「……」モグモグ

モモ「(いつもと同じはずなんですが……)」


――――――――――――――

カポーン

リト「はー極楽」

ガララ

モモ「リトさん!」

リト「もっ……モモ!?ど、どうしたんだよ!!ていうか裸じゃないか!」

モモ「お風呂なんだから当然です。それより、どうしても教えてくれませんか!?」

リト「どうしてもって……まさか」

モモ「はい……夜の事です」

リト「……」

ザパッ

リト「……出るよ」

モモ「ど、どうしても駄目ですか……」

リト「……俺にだって、隠したい事くらいあるんだよ。わかってくれないかな」

モモ「それは……」

リト「安心してくれ、モモが心配してるような事じゃないと思うから。
普通の秘密だよ」

スタスタ

モモ「(ふつうの秘密って……普通の秘密って!?」

ガララピシャン

モモ「……リトさん」

モモ「……お姉さま!」

ララ「ひゃっ!?モモ!?」

モモ「……リトさんの秘密を教えてください!お願いします!!」

ガバッ

ララ「ど、土下座までしなくても……!」

モモ「こそこそと秘密を嗅ぎまわっていたことは謝ります。でも、どうしても気になるんです!」

ララ「……うーん」

モモ「お願いします……」

ララ「……でも、私もよくしらないんだよ」

モモ「へ?」

ララ「うんとね?これは秘密だから、誰にも言っちゃダメなんだけど」

モモ「誰にも言いません!!」

ララ「部屋を貸してるだけなの」

モモ「……部屋を?」

ララ「うん。施錠ができるワンルーム。キッチンバストイレ付き」

モモ「……そ、それで!?」

ララ「それだけだよ」

モモ「それだけなんですか!?他は!?」

ララ「何もないよ」

モモ「(こ、この表情……嘘なんてついてない!完全にそれだけなんですね!?)」

モモ「(じゃあ……リトさんは一体どうして……?)」

モモ「(部屋なら自分の部屋がある、キッチンもバスもトイレもある……なのに?)」

モモ「……うーん?」

ララ「一人暮らし気分を味わいたいんじゃないかな!」

モモ「……子供ですか」

ララ「あ、あう……」

モモ「(しかし……本当に何故?リトさんの事ですから……きっとなにか意味があるはず)」

――――――――――――――――――

そのころリトルーム。


リト「うっ……はぁはぁ」シコシコ

リト「はぁ……はぁ……美柑……美柑……」シコシコ

ムキムキ

リト「美柑の皮剥いちゃうよ……スジ見ちゃうよ……いいよね……?」シコシコ

ムキムキ

リト「あああ……美柑……スジが丸見えだよ……白くて……綺麗だよ……」シコシコ

リト「ううっ……はぁ……美柑……美柑のスジにかけるよ!!」シコシコ


ドピュッドピュッツビュルルビクン


リト「……ふぅ」

リト「……ふぃー」

ガチャ

モモ「……」

リト「さーて寝るか……ってモモ!?」

モモ「おかえりなさいませ」

リト「モモ……何で!?」

モモ「……気になって眠れないんです!」

リト「ええ!?」

モモ「……申し訳ありません、でも限界です。私だって女の子なんです。リトさんが何かしてたら気になるに決まってるじゃないですか」

リト「そういうもんなの?」

モモ「そういうもんです」

リト「でもなぁ……」

モモ「……どうしても、教えてくれませんか?」

リト「うーん……」

リト「そうだ!」

―――――――――――― 翌日晩

モモ「……あの」

リト「何?」

モモ「どうして私は目隠しをしているんでしょうか」

リト「直にわかるよ」

モモ「それより、今日こそ教えてもらえるんですよね!?」

リト「うーん、正確に言うなら、ヒントだけ」

モモ「ヒント……?」

リト「流石に何してるか言うのもアレだし、察してもらおうと思って」

モモ「なるほど……」

リト「……よし」

モモ「……あの、なにをしてるんですか?」

リト「ちょっと小瓶に移してた」

モモ「……?」

リト「じゃあ今日は、これを食べてもらおう」

モモ「……あの?どうやって食べれば」

リト「ああ、大丈夫、たべさせてあげるから」

モモ「はい」

リト「はい、あーん」

モモ「あ、あーん……(恥ずかしい)」

パクッ

モモ「……っ!?」

モモ「うっ……(なんですかこれ!?に、苦くてドロっとしてる……お肉?)」

リト「……どう?」

モモ「な、なんなんですか……これ……」モグ

リト「それはちょっと言えないかな」

モモ「(じゃあ、これが秘密……?)」モグモグ

モモ「(食感は普通のお肉。ゆでてあるんですかね。とにかく苦いのはかかってるソースのようなもの。
ドロッとしててなんかつぶつぶ……?)」モグモグ

リト「どうかな。わかった?」

モモ「い、いえ……」

リト「そうかぁ……じゃあ残念ながら」

モモ「え!?これだけですか!?」

リト「明日もヒントはあげるから」

モモ「……わかりました」

モモ「……あの!」

リト「ん?」

モモ「……リトさんってもしかして、ゲテモノ食いですか!?」

リト「いや普通に違うけど……」

モモ「……ですよね」

――――――――――――

モモ「……」

モモ「……わからない」

美柑「どうしたの?すごく深刻そうな顔してるけど」

モモ「美柑さん!」

美柑「……悩み事?」

モモ「……はい」

美柑「……相談してみてよ。力にならないかもしれないけど」

モモ「……いえ、きっと美柑さんなら!」

美柑「……?」

美柑「……苦くて臭い、ドロッとした調味料?」

モモ「はい」

美柑「それが……何?」

モモ「いえ……地球の調味料でそういうものがあると聞いて」

美柑「(苦い……?なんだろう。コーヒーとかかな?)」

モモ「心当たりがあるんですか!?」バッ

美柑「あ、いや……調味料じゃないかもだけど」

モモ「いいんです!教えてください!!」

美柑「うん、それは―――――」


――――――――――――――


モモ「……」ズズ

モモ「……やっぱり違う」

モモ「うーん……?」

モモ「(うーむ……苦い調味料というものは色々あるみたいですが)」

モモ「(どれも私が感じた苦味とは違う……)」

モモ「(臭いも食感も違いましたし……一体なんだったんでしょうか)」

モモ「(リトさんオリジナルの食材とか……?)」

ナナ「どうしたんだそんなすごい顔して」

モモ「え、そんな凄い顔してました?」

ナナ「何かこう……永遠の謎と戦ってるときみたいな顔だったぞ」

モモ「……強ち間違いでもないところがまた」

ナナ「どうしたんだよ本当に……」

モモ「……実は」

―――――――

ナナ「……調味料?」

モモ「はい。苦くてドロっとした……なんかこうよくわからない調味料です」

ナナ「そんなもんあるのか?地球に」

モモ「多分。地球には私たちの知らないものがたくさんあるから……」

ナナ「うーん……でも美柑も知らないようなものだったら流石にわからないんじゃないか?」

モモ「まぁそうかもしれないけど……でも、どうしても知りたいの!!」

ナナ「うぉ……どうしたんだよ。すごい迫力だぞ」

モモ「あっごめんなさい……でも」

ナナ「わかった……できるだけ調べてみるよ!」

モモ「……ナナ!」

ララ「……苦い調味料?」

ナナ「そうだ。姉上なら何か知ってるかもと思って」

ララ「うーん……今ちょっと調べてみたんだけど、『苦味料』ってのしかないんじゃないかな」

ナナ「苦味料?」

ララ「うん。食べ物の味に苦味を出すための調味料なんだって」

ナナ「……うーん、それなのかな?」

ララ「わかんないけど、地球の調味料で苦味があるのは、多分それだけだよ?」

ナナ「そっか……ありがと姉上!」

ララ「ううん!困ったらいつでも言って!」

バタン

ララ「……苦い、ドロっとしてる」

ララ「……液体?」

ララ「うーん……?」 カチャカチャ

ララ「……この白い液体、苦くてドロっとしてるの!?」

ララ「……なるほど!これだったんだ!」

――――――  翌日

ララ「ナナ!買ってきたよ!」

ナナ「本当か姉上!」

モモ「……何事?」

ナナ「いや、モモの探してる調味料が見つかったみたいなんだ」

モモ「え、本当!?」

ナナ「ああ、これだ!」

『バニラエッセンス』

モモ「……これは」

ナナ「調味料とは言っても、かけるものじゃないみたいだぞ。香りをつけるために使うらしい」

モモ「……うーん?」

ナナ「あれ?違うのか?」

モモ「いや……もっとこう、私の知ってる液体は、もっときつい臭いがしたわ」

ナナ「きつい臭い?」

モモ「うん……何だろう。魚介類みたいな……」

ナナ「魚介類……」

ララ「……魚介類?」

モモ「魚介類を……若干発酵させたような……」

ナナ「魚介類を若干発酵させた……?」

ララ「……わけわかんないね」

三人「「「うーん……?」」」


美柑「(何の話してるんだろう……)」

―――――――――――――― 晩

モモ「リトさん!!」

リト「ん?」

モモ「もっと……もっとヒントをください!」

リト「……仕方ないな。じゃあ目隠しして」

モモ「はい!」

モモ「(今回こそ……真相にたどり着いて見せる!)」

モモ「……」

リト「(美柑……美柑……)」シコシコ

モモ「まだですか?」

リト「もうちょっと待って」

モモ「はい」

リト「うっ」

ビュルルビクンビクンビジュビジュ

モモ「(この臭い……!)」

モモ「(……何でしょうか?何かちょっとうずうずしてくるというか)」

モモ「(この臭いを嗅いでるとテンションあがってくるというか)」

リト「はい口あけてー」

モモ「はーい」

リト「そおい」

ゴクッ……

モモ「……!?」

モモ「ゴホッ!ごほっ!」

リト「モモ何やってるんだ。ちゃんと飲まないと」

モモ「す、すみません!喉にひっかかって」

リト「はい全部飲んでー」

モモ「は、はい……」  ゴク  ゴク

モモ「……(おいしい?)」

リト「はい、今日はここまで。じゃあ部屋帰って寝ようか」

モモ「えっ……!?」

リト「これ以上のヒントはちょっと」

モモ「そ、そんな……!」

リト「明日だって早いんだから。寝る寝る」

モモ「うぅ~……」

モモ「うーん……」

ナナ「結局わからなかったのか」

モモ「うん……でも少し進展が」

ナナ「進展?」

モモ「苦くてドロっとしてるけど……割とおいしい!」

ナナ「苦いのにおいしいのか……?」

モモ「うん……自分でも訳解らない事言ってるのは理解してる」

美柑「どうしたの?二人して……」

モモ「あ、美柑さん。実は……

――――――

美柑「結局コーヒーじゃなかったんだ」

モモ「バニラエッセンスに近い何かではあるんですけど」

美柑「バニラエッセンスに近い……?」

美柑「……」

美柑「(まさかね)」

―――――――――――――

ララ「……白い」

ララ「……苦い」

ララ「……液体」

ララ「……っと」

ララ「……ん?」

ララ「……え?」

ララ「……あ、あわわ!」

ララ「そ、そんな……ま、まさか!?」

ナナ「姉上―」

ララ「はわわ……」フルフル

ナナ「……何してんだ?」

ララ「ひゃああっ!?」

ナナ「!?」

ララ「あ、な、ナナ!べ、別になんでもないよ……なんでも……」

ナナ「……??」

ララ「え、えーと……」

ナナ「あ、液体の事調べてくれてたんだな。どれどれ……」

ララ「み、見ちゃだめーっ!!」

ナナ「ええ!?」

ララ「あっ」

ナナ「……えっ」

モモ「……うーん」

モモ「……(結局さっぱりわかりませんでしたね……)」

モモ「……(どうしましょう。でもリトさんに聞いても教えてもらえないわけですし)」

ララ「お、おはよー……」

モモ「あ、おはようござ……どうしたんですか?」

ララ「ううん!!なんでもないよ!!」

モモ「(あやしい)」

ナナ「お、おはよう!!」

モモ「(なお怪しい)」

――――――――

美柑「……ナナさんとララさんが変?」

モモ「……はい。きっと私に何かを隠しているのではないかと」

美柑「……んー、まぁ向こうが隠したいなら無理に暴くこともないと思うよ」

モモ「……そうですかね」

モモ「やっぱりあの液体の事で何か……」

美柑「……液体?」

モモ「この前お話した調味料なんですが、あれ液体だったようで……」

美柑「……液体」

モモ「はい、ドロっとして苦くて魚介類っぽい臭いのする……」

美柑「え」

モモ「何か知ってるんですか!?」

美柑「え、いやそんなまさかあはは」

モモ「ですよね……はぁ」

美柑「(それって……間違いなく、あれだよね)」

―――――――――――――

モモ「リトさん!今日こそ!」

リト「今日は顔パックに挑戦だ」

モモ「へ」

リト「さぁ目隠しをして」

モモ「……」

スルスル

リト「(モモ……モモの天然水……)」シコシコ

ドビュルルル

モモ「……(この臭い!)」

モモ「(なんか病み付きになりますね)」

ペチャ……

モモ「ん……」

リト「顔全体に塗って、五分ほどしたら洗い流す」

モモ「……」

リト「これでよし。お肌全体のうるおいを保つことができる」

モモ「……!?食品じゃないんですか!?」

リト「こういう使い方もできるんだよ」

モモ「なるほど……」

モモ「(やっとわかりました……リトさんの秘密!!)」

モモ「(リトさんは……夜な夜な、発明をしていたんですね!!)」

モモ「(だからお姉さまに部屋を借りて!)」

モモ「やっとわかりました!」

リト「マジか」

モモ「はい……あ、あと」

リト「え、何」

モモ「明日もこの液体もらっていいですか?なんか病み付きになっちゃって」

リト「……」

リト「……いいよ」

モモ「やった!」

リト「……」

リト「……」

リト「……闇鍋」

リト「……ヤミ鍋」

リト「……」

リト「……よし」

――――――

美柑「……え?謎が解けたの?」

モモ「はい!どうやらリトさんは発明に凝ってるらしくて」

美柑「へー」

モモ「化粧品の開発もしてるんですよ」

美柑「リトが?化粧品を?」

モモ「はい!明日お見せします!」

美柑「化粧品……ねぇ」

―――――――――――

モモ「おいて……五分経過!」

モモ「洗い流して」

モモ「うん!きれいですね!」

モモ「……やっぱりリトさん印の化粧品は素晴らしいですね」

モモ「なんだか自然と力がみなぎるような」

美柑「おはよー」

モモ「あ、美柑さんおはようございます!」

美柑「うんおは……って精○くさっ!!」

モモ「?」

美柑「……ちょ、それどうしたの!?」

モモ「リトさんからもらいましたが」

美柑「リトから!?」

モモ「はい」

美柑「(え、ちょっと……本当にどういうこと?)」

美柑「とりあえずモモさんシャワー浴びてきた方がいいよ。
あと顔は丁寧に洗ってね」

モモ「え?においますか?

美柑「ものすごく」

モモ「はぁ……」

美柑「(リトの奴、一体どういう事……?」

―――――――――――

美柑「リト!」

リト「どうした?」

美柑「どういうこと……?モモさんにあんなもの渡して」

リト「え?だってモモが欲しいって言うから」

美柑「えっ」

リト「仕方なく」

美柑「……うん、ごめんなら仕方ないよね」

リト「?」

美柑「(な、何……?あれをつけることによる、『私はリトのもの』アピール……?)」

美柑「……」

美柑「……よし!リト!私にもちょうだい!!」

リト「えっ」

美柑「いいから!」

リト「いや、でもちょっと待ってくれ。時間をくれ」

美柑「仕方ないなぁ……夜まででなんとかなる?」

リト「まぁ一応」

美柑「よし!じゃあまた夜に行くよ!」

リト「お、おう」

ちょっと飯いてくる

保守あり
再開します

モモ「……」

美柑「……」

モモ「何故美柑さんがここに」

美柑「私もリトにあれをもらいに来たから」

モモ「!?」

美柑「……私だって、顔に塗りたいし」

モモ「(そうか……)」

モモ「(美柑さんも、お肌を気にしてたんですね!!!)」

リト「持ってきたよ」

モモ「リトさん」

――――――――――――――

ヤミ「……」

ヤミ「……美柑、プリンセス・モモ」

美柑「何?」

モモ「どうしました?」

ヤミ「その臭いは……わざとですか?」

美柑「これね……うんわざとだよ」

モモ「そんなににおいます?」

ヤミ「他の人は気が付かないかもしれませんが……私からすれば相当ですよ」

リト「おはよ……うわすごい臭い」

美柑「おはようリト」

リト「わかった美柑。わかったからシャワー浴びてこい」

美柑「!?」

モモ「!?」

モモ「(そんな、シャワー浴びてこいだなんて……!?)」

ホンワホンワ

リト『先にシャワー浴びてこいよ』

美柑『もうリトったら』

リト『今夜は寝かせないぜ』

美柑『まだお昼だよ』

ホンワホンワ

モモ「そ、そんな……!?」

ナナ「どうしたんだよ。うわクサ。何事だよ」

ララ「おはよー!何この臭い?ちょっといいかも」

モモ「(そんなに臭うものなんでしょうか。私は最近クセになってきてるんですけど……)」

ララ「モモ、何かしてるの?かなり臭うよ?」

モモ「あ、はい。リトさんにもらった液体を顔に塗ってるんです」

ララ「ええ!?リトにもらった液体!?」

モモ「はい」

ララ「(リトにもらった液体……この臭いって、アレだよね)」

ララ「……そ、それ、言えば、貰えるの?」

モモ「ええ。美柑さんにも渡していましたし」

ララ「……ごくり」

ナナ「(なんだこの空気)」

―――――――――――― 数日後

美柑「(皆リトの精○パックが日課になるなんて……)」

ヤミ「えっちぃのは嫌いですが、肌に良いのは好きです」

ヌリヌリ

美柑「あ、あはは……」

モモ「おはようございます。今日もみなさん精が出ますね!」

美柑「(精を出してるのはリトだけどね」

――――

ララ「……」

ララ「……」

クン……

ララ「リトの匂い……」

ゴクリ

ララ「ちょ、ちょっとだけ……」

モモ「……」

モモ「……(なんでしょうか)」

モモ「(この臭い……長時間嗅いでると、なんというか体が火照ってくるような)」

美柑「(なんか変な気分に……)」

モゾモゾ

リト「おはよう」

美柑「り、リト!」

リト「?」

モモ「ど、どこへ行くんですか?」

リト「買い物」

モモ「なら、私も――ー」

リト「いや、ちょっと一人で行きたいんだよ。自分の買い物だし。いいよ」

モモ「そ、そうですか……」

リト「悪いな。じゃ」

美柑「(……リトは何をしてるんだろ?)」

―――――――――――――

ララ「……ごめん!ごめんリト!!」

ピッ

ララ「……ん、んふふ」

モモ「お姉さま?」

ララ「ひゃひゃひゃいっ!?」

モモ「うふふ……その反応……やはりドンピシャ!」

ララ「……な、何がかな」

モモ「実はリトさんの部屋にカメラを仕掛けた……なーんて事お姉さまはしませんよね!」

ララ「はうっ!!」

モモ「リトさんに言っちゃおうかな……」

ララ「……うう」

美柑「一体何をしてるのかと思えば」

モモ「み、美柑さん!?」

ララ「ええ!?」

美柑「話は聞いたよ」

モモ「ど、どうぞこのことはご内密に……」

美柑「……私も気になるの」

モモ「……ほほう?」

美柑「うるさいな!いいから!」

ララ「はーい!でも夜まで待たないと!」


―――――――

ララ「……」

モモ「……」

美柑「……真っ暗だね」

ララ「……だね」

リト『うう……闇鍋……ヤミ……』シコシコ

美柑「ひたすらヤミさんの名前を呼んでるのはわかるんだけど」

モモ「あと電気ついてる時鍋の準備してましたね」

ララ「……お鍋が食べたくなったのかな?」

美柑「こんな夜更けに?」

モモ「晩御飯もしっかり食べたのに、ですか……?」

ララ「ないね……」

リト『ああ……!!熱い!!……!!ヤミの中熱いよ!!!いてぇ!!ああ!!!!』シコシコ!!

美柑「……え、まさかいやそんな」

モモ「え!?リトさんはどうしたんですか!?苦しんでますけど」

ララ「真っ暗で何も見えないよ……助けに行くこともできないし」

美柑「え……いやまさか、そんな」

ガチャ

モモ「ああ!リトさんが出てきました!!」

美柑「ええ!?」

リト「よ」

ララ「(すごいいい顔してる」

リト「夜食でもどうだ?」

コト……」

美柑「(え、これさっきのお鍋……)」

モモ「わぁ……リトさんの手作りですか?」

リト「ああ」

ララ「……(何でこの時間にお鍋……?)」

リト「召し上がってくれ」

モモ「いただきまーす!」

モグモグ

モモ「……卵なにか入ってます?」

リト「ああ、闇鍋だからな」

モモ「闇鍋?」

美柑「真っ暗にしていろんな食材を持ちよる鍋の事だよ。ふつう一人ではやらないけど……」

モモ「へぇ……地球の文化は奥が深いんですね」

ララ「……(こ、この臭い)」

ララ「いただきます!」

ズルッ

ララ「……!」

モモ「お姉さま?」

ララ「……な、なんでもないよ!」

リト「喜んでくれたようでよかった。俺はもう寝るよ」

――――――――――――

リト「おはよう。モモ」

モモ「おはようございます。今日は早いんですね」

リト「ああ。よかったら、これを食べてくれないか?」

コト

モモ「これは……ヨーグルトですか?」

リト「ああ、初めて作ったんだけど、どうかな」

モモ「へぇ……美味しそうですね。いただきます」

モグッ

モモ「……おいしいですね!何か喉にひっかかる感触がありますが」

リト「よかった……じゃあこれもいけるんだな」

モモ「……?これも」

リト「ああ、そのうち話すよ」

美柑「リトー、今日も何か作るのー?」

リト「おう。今日は何にしようかな……」

――――――――――――――数か月後

リト「いらっしゃい」

古手川「まさか結城君が喫茶店を経営するなんて思いもしなかったわ。
でも綺麗でいいところね」

リト「そういってもらえるとありがたいよ」

古手川「……オススメとかはあるの?」

リト「ミルクセーキがオススメかな」

古手川「そう……じゃあそれをもらおうかしら」

リト「ちょっと待っててくれよな」

古手川「(注文が入ってから作り出すのね。本格的ね)」

リト「古手川……古手川……」シコシコ

リト「うっ」

ビュルルビクン

リト「これをミルクセーキに混ぜて」

――

リト「へいお待ち」

古手川「結構時間かかるのね」

リト「すみませんそういうシステムなので」

古手川「……ん」

ゴクゴク

古手川「……ぷは。おいしいけど、何か喉に絡まるわね」

リト「それが売りです」

古手川「(でもなんかクセになる味……また来ようかな)」

古手川「悪くないわね。またくるわ」

リト「まいどー」

ザワザワ……

リト「ミルクセーキ二つに、鍋一つですね。かしこまりました」

モモ「はい。日替わりセットですね。かしこまりました!」

ララ「どうしようリト!液体が足りない!

リト「待っててくれ!すぐ調達してくる!」

美柑「……」

美柑「なにこれ……」

リト「春菜ちゃん……春菜ちゃん……」シコシコ

リト「うっ!!?」

ビクッ!!

モモ「リトさん!?」

ララ「大変……痙攣してる!結構まずいかも!」

モモ「そんな!」

美柑「(そりゃああれだけの頻度でしてたらそうもなるよ……むしろ今まで何で平気だったのさ)」

リト「う、うう……!!」

ララ「リトー!しっかり!気を確かに!」

ヤミ「……私が殺す前に死なれては困ります、結城リト」

リト「や…ヤミ……」

モモ「さぁ……リトさん……」

リト「ああ……ありがとう……モモ……」

リト「……ヤミ……ヤミ」シコシコ

美柑「……」

リト「うっ」

ビュルルビクン

リト「おれは……俺はまだ戦える」

モモ「リトさん!!」

ララ「リト!」


美柑「えっなにこれ」

その後リトの喫茶店は謎の液体のおかげで大繁盛。

リトはひたすら謎の液体を生産するビジネスを始め、

株式会社結城を設立。ハーレムの主にふさわしい人間となったのでした


めでたしめでたし


美柑「……えっ」

美柑「えっ、えっ?」



                             終わり。

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| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
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|.....||__|| └‐、   レ´`ヽ   どうしてこうなった!

| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/ノ´` ♪
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