【安価】「影に光を当てますか?」【狂乱】 (73)



「……………」


「どこだここは」


「寒いな、風が吹いてくる」


「通路か……それも、地下通路だ」


「地下街かもしれない」


「私は……」


「男、なのか分からない……女かもしれない」




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「股間を触ってみたいが」


「何故か恥ずかしくて触れられない」


「髪は肩に触れる程度」


「黒髪、だろうな」


「胸は…やはり触れられない」


「何故か恥ずかしい」




「そうこうしていると、何処かからか水の音がした」


「見渡すが、水道管から漏れてそうな箇所は今いる場所からは見えない」


「殆どがシャッターが閉まっている通路だが、二つほどシャッターの閉じた店の横は閉まっていない」


「近づこうか、迷う」


「それを素通りすれば、私が立っている後方と目の前に、地上へと続く階段がある」


「しかし、目の前にある階段の三段目、よく見るとびっしりと天道虫が蠢いている」


「それらは何故か飛ばない」


「蠢き、ただただ三段目の段を埋め尽くしている」




「いま、私に取れる選択肢は幾つかある」


「舌を噛み切る事も、もしかしたら出来るかもしれない」


「しかし何故か恥ずかしい」


「見られている」


「二次元化され、更には文字化され、私の言葉を見ている者がいる」


「若いな」


「では適当に聞きたい」


「私はどうすればいい?」


「1、前方の階段に進む」
「2、後方の階段に進む」
「3、後方の階段より手前の店に近付く」
「4、衣服を詳しく探る」
「5、これは君に任せよう、私の運命は君に委ねたいと思う」


↓2

「……ああ、私の気まぐれでその前の人にも後の人にもなるかもしれない」

「自由に選択肢なり、願望を言ってくれて構わない」

ふむ

3
店に行ってみよう

4



「店に入るか、衣服の中を探る」


「とりあえずは探ってみる」


「履いているのは黒の革靴、黒の靴下、そして……黒のスカートだ」


「下着を見たいが、恥ずかしい」


「シャツは黒の無地、黒のパーカーだろうか」


「アクセサリーは無い……が」


「ポケットから、四角い木箱で手の中に納まる程度のサイズが出てきた」


「軽いが、蓋は開かない」




「鍵穴は無さそうだ」


「押し込んでも引いても、蓋は開かない」


「ポケットにしまうと、パーカーの中を探る」


「肩まで小さなポケットに入ってしまった」


「指先が、何かに触れる」


「引き抜くと私の手にはべっとりと白い濁った粘液がかけられていた」


「生臭い」




「何か拭くものが欲しいが、服しかない」


「文字通り、ふくしかないのだろうか」


「仕方ないので私は後方の階段に近い、シャッターの開いているらしき店に近付く」


「正面に立ち、店の内部を見つめるが、見えるのは朱塗りの扉だ」


「喫茶店のような外観、しかし看板も無ければ、その店名も分からない」


「私はその中に入ろうと、汚れていない方の手で扉を開けた」




「ウサギが交尾している」


「黒ぶちの兎の上に、真っ黒な兎が乗っている」


「犯して、犯して、犯している」


「その横には封筒が置いてある」


「扉を開けて目の前の中央、円卓の上での様子だ」


「広さは畳にすると15畳程度の長方形の、喫茶店だ」


「しかしやはりこの中央の円卓はおかしい、店内の景観に合わない 」


「とりあえず私は、水道を借りることにした」




「蛇口を捻ると、頼り無い勢いで水が出てくる」


「そこに、粘液のかかった手を出して濯いでいく」


「生臭いのは取れたかもしれない」


「蛇口を閉める、すると、最後に水が二滴落ちた」


「ステンレスの台所に響く、水の音」


「蛇口を捻る」


「水が出てくる」


「蛇口を閉める」


「水が二滴落ちる」




「蛇口を捻る」


「水が出てくる」


「蛇口を閉める」


「水が二滴落ちる」


「蛇口を捻る」


「水が出てくる」


「蛇口を閉める」


「水が二滴落ちる」


「蛇口を捻る」


「水が出てくる」


「蛇口を閉める」


「水が二滴落ちる」


「蛇口を捻る」


「水が出てくる」


「蛇口を閉める」


「水が二滴落ちる」




「そうか」


「何度か繰り返すうちに分かる、この水道は蛇口を閉めると必ず二滴だけ垂れる」


「私がさっき聞いた水の音は、これだったのだ」


「どこかすっきりした私は、胴体の無い、腸や内蔵と多量の血液が飛び出た下半身を跨いでいく」


「異臭が酷いが、先程の生臭いのよりはとても心地好い香りだった」


「私は店の奥の扉を開ける」


「小さな女の子がうずくまっていた……」


「なぜ、掃除用具入れの中に入っているのだろうか」




少女「……っ?」


「顔を上げるその目には、涙が乾いた跡があった」


「私は少女に声をかける」


少女「……お姉さん、何をブツブツ言ってるの?」


「先に声をかけられてしまったが、とりあえずは警戒されていないようだ」


少女「………」


「おいで」


少女「……っ!! !? !?!?」


「私の背後を指差して何かを言おうとしている」


「恐らく、死体のような肉の塊に驚いているのかもしれない」




「大丈夫、ここにいるより私と来た方が安全だ」


少女「……お姉さん、大丈夫なの?」


「なにがだ、そして、私はお姉さん、なのか」


少女「…??」


「疑問符の浮かぶ少女を見て、私は話が進まないと面倒かもしれないなと考える」


「見た目は女性よりなのかもしれない」


少女「…とにかく、早く出ようよ……っ」


「急かし始める少女」


「そこで、私は少女の左手に包丁が握られているのを知った」


「血は付いていない」


「何かから、身を守ろうとしていたのかもしれない」




「店を出ようと、入り口に近づいていく」


「中央の円卓では、産まれた子兎が母親のウサギを犯していた」


「黒ぶちのウサギは全員に爪楊枝が突き刺さっている」


「一体誰がこんなことを?」


少女「……っぉえ…っ!!」

少女「はぁ…はぁ……」


「少女は震えている」


「これでは、言わない方がいいのかもしれない」


「少女の背後から下半身だけ千切れた胴体が迫っている事は」




「店の外に出ると、私は扉を閉める」


「中では何かが扉を引っ掻く音が鳴っている……開けない方が良いようだ」


「僅かに息が荒くはなってはいるが、落ち着いてきたらしい少女は、私を見ている」


少女「……」


「なんだ」


少女「お姉さん……大丈夫な人で安心した」


「どういう意味だ」


少女「わかんない……だけど、みんなおかしくなっていくの」


「どういう事なのだろうか、等と私は考える」


「そして、ここで私は今更ながら気がついた」


「私には、記憶がないのだ」


嫌いじゃない、続け給へ



「そもそも自分の性別を知らない時点でおかしかったのだ」


「私は私の名前を知らない」


「私はどこで生まれ、どこに住んでいたのかも知らない」


「………そこで、私は少女を見る」


少女「……?」


「……少女は水色の髪だ 」


「ツインテールだろうか、ちょっと後ろめの左右で髪を結んでいるらしい」


「どこかしら、小さな触腕のようにも見えてしまう」


「それ以外の髪は綺麗に整っており、背中まで伸びている」


「……水色なのは染めているからなのだろうか?」




「顔は幼くも凛々しく、今は不安気な表情になっている」


「来ているのは碧色の薄いワンピース、青色のソックスに紺色の靴だ」


「アクセサリーは……外見からは無いように見える」


少女「……」


少女「アクセサリーなら、あるよ……?」


「少女はそう言って私に何かを手渡す 」


「ネックレスをしていたらしい、ワンピースの中に隠れていたのだ 」


「手渡されたネックレスを見る」


「黄色の、メダルだ」


「何か彫られているが、よくわからなかった」


「ありがとう、返すよ」


少女「うん」


少女「それね、お友達から貰ったネックレスなの」




「友達………」


「その単語で、私には一瞬だけ何らかのビジョンが映る」


「炎、だ」


「よくわからない」


少女「……お姉さん、記憶喪失なの?」


「そうらしい」


「どうしたらよいのだろう」


少女「お父さんか、お母さんはいないの…?」


「・・・」


「私には、父が一人だけいる」


「名前は……麻人守………あさとす…だったか」


「不思議な気分で呟いていると、不思議と理解した」


「私は父が一人だけいる、それだけは覚えているらしい」


「名前は思い出せないのだが」




「特に大した収穫はなかったが、ひとまず落ち着いてきた」


「少女も、今なら移動できるだろう」


「さて、選択肢だ」


「私はどうしたらよいのだろう?」



「1、前方の階段に進む」
「2、後方の階段に進む」
「3、壁に頭を打ち付けてみる」
「4、これは君に任せよう、私の運命は君に委ねたいと思う」


↓1

「3を選んだ場合、コンマ奇数で選んだ君に何かが起こるかもしれないな」


「さぁ、どうすればいい?」


3



「……ショック療法か」


「適当な壁に向き合うと、私は手を添えて思い切り頭を振った」


「ッ……、ぁ…」


「・・・」どさっ


少女「お姉さん!?」


少女「お姉さん……起きて……」


少女「お姉さん! お姉さん!」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」



「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」




「………」


「酷い頭痛がする」


「私が目を覚ますと、そこはやはり地下通路の壁際だった」


「しかし、少女がいない」


「どれだけの時間が経ったのかは知らないが、地上に出たらしい」


「……記憶も、変化はない」


「酷い頭痛に苛まれながら、私は後方の階段に進む事にした…」


「前方の階段には、いつの間にか五段目まで全てに天道虫で埋め尽くされていたからだ」


「あれを進むのは、どこか気が引けた」




「外に出て最初に感じたのは、心地好い風 」


「寒く感じていた筈なのに、暖かい」


「それもその筈だ、恐らく今は正午を過ぎて間もないのだろう」


「つまり、私が寒いと感じていた時間は、場合によっては日の出前なのかもしれない」


「……しかし、これは何が起きたのだろうか 」


「地下を出て見渡すと、近くに大きな交差点が存在する」


「だが、そこにあるのはひしゃげ、破壊されて燃えている大量の車両だ」


「…どれも、何故か衝突した形跡がある」


「まるで、何かから逃げていたかのようだ」



「………」


「遠くの方で銃声がした気がした」


「巨大な十字路の交差点を、私が立っている場所が中心部だとするなら……」


「西側の路地に向かえば、恐らく銃声のした場所に行けるだろう」


「しかし、少女がどこに行ってしまったのか分からない現状で、それが最善かは分からない」


「……私はどうすればいいんだ」


「1、細かく交差点を探索」

「2、大声で少女を呼ぼうとする」

「3、来た道を振り返る」

「4、北側の路地に行く」

「5、東側の大通りに行く」

「6、南側の繁華街に行く」

「7、西側の路地に行く」

「8、これは君に任せよう、私の運命は君に委ねたいと思う」


↓1~3

「なお、今回は君たちの提示してくれた新たな選択肢を各レス、コンマ以下奇数で取り入れる事も考えようと思う」


「そして、>>31 まで選択肢を選んでくれたならば、採用順は>>30>>29>>31とする」

地下の千切れた下半身をつれてくる
少女もいないしこんな同行者でもいないよりましかもしれない

1

もしものために名状しがたいバールのような物とかさばらない程度の弾除けになるものを探す



「……まずはここを少し探索してみよう」


「もしかしたら、何処かの車両に少女が隠れているのかもしれない」


「どの程度の確率でかは知らないが、少女の趣味が隠れる事というのもある」


「……何台かの車両は迂闊に近づけない程の炎をあげているため、こちらは無視する」


「交差点中心で三台の乗用車に潰されている大型観光バスなら…中を探索出来そうだ」


「………」


「また、遠くで銃声がした気がした」


「あちこちの車が燃えている所から流れてきた臭いに表情を曇らせながら、私はバスの入り口に足を踏み入れる」




「笑っている」


「バスの運転手だろう男が、異常なまでに笑ったまま死んでいる」


「死因は脇から肩にかけて貫かれた物干し竿だ」


「……なぜ、物干し竿が刺さっているのかは分からない」


「足元には携帯電話が落ちている」


「私はそれを拾いあげる……が、中から多量の青い液体が溢れてきたので落としてしまう」


「なんだこれは………」


「……とりあえず、バスの内部を私は見る」


「そこで……何かが蠢いているのに気づく」


「バスの最後尾、つまりその奥で全裸の…薄汚れた肥満体型の男が何かを手掴みで食していた」


「…………」


「座席シート…だ」




「私はそれには近寄らず、後ろ足で下がる」


「ゆっくりとバスから降りると私は静かに扉を閉めた」


「……幸いな事に食事中だからかこちらには気づいていないようだ 」


「あまり関わらないに越したことは無い」


「?」


「東側の大通り前に乗り捨てられた車からクラクションが鳴った」


「私はそちらへ行こうとするが、目の前に突然、ビー玉が1つ落ちてきて、割れた」


「翠色」


「…………」


「何処から落ちたのだろうか、周囲の建物上部から何者かが投げたのだろうか」


「分からない」




「黒のセダン車に近づいていく」


「周囲を見渡す限りでは、人の姿は無い」


「少なくとも、生きている人間はいないだろう」


「私は車の脇でうずくまる老婆を避けて、そのまま車のドアに手をかける」


「微かに軋むような音を出して、ドアは開く」


「クラクションが鳴らされたであろう、運転席を眺める……」


「おかしな所はない、座席も特に誰かの温もりが残っているわけでもない」


「何か物珍しいものがあるわけでも、無いのだ」


「……強いて言うなら」


「ハンドル前の上に、マッチ箱が半分開いた状態で残っていた」




「手に取り、中身を確認する」


「黒い無地の小さな箱に、六本だけマッチが入っている」


「何となく一本指先で摘まむと私はそれを観察する」


「……」


「何処か、心に躍るものを感じた気がする」


「とにかくこれ以外に無いのであれば、一度探索はこれくらいで良いだろう」


「そう考え、車内から体を出そうとすると、後部座席の下にバックが置いてあるのを発見する」


「僅かに開いた隙間から、60cmはありそうな長さの……二本の触角が揺れている」


「揺れ動いているだけで、それ以上の何かは、無い」


「私は再び交差点中央の傍の、地下通路に続く階段の近くまで戻る事にした」




「風が明らかに生温い、湿度が高まっているのだろうか」


「そして改めて中央の地下への階段付近に戻って気づいた事がある」


「なにか、プルプルした紫の…卵のようなモノがびっしり着いている為に、分かりにくいが……」


「恐らく周辺地図であろう看板があった」


「どうやらこの交差点を中央として、各路地、通りに施設や繁華街に繋がっているのが分かる」


「銃声が何度か聴こえてくる西側の路地に進めば、僅かに入り組んだ所を抜けるだけで『警察署』に着くらしい」


「つまり、警察署にまだ人間がいるのがこれで期待できるらしい」


「少なくとも、銃の引き金を引けるのは人間だけだろうからな」


「私はそう呟いてから、僅かに寂しさを覚える」


「少女がいなくなったことで、人肌が恋しくなった」


「……地下の下半身を、連れて来る…か?」


父があさとす……アザトース
ニャルかこいつ



「案内板の横を抜け、地下に続く階段へ足を運ぶ」


「しかし、二段目まで降りた所でだろうか」


「地下通路の方から音がした」


「硝子が砕ける、というよりは……弾け飛ぶ音だ」


「……一段、足を降ろす」


「また鳴った」


「一段、足を降ろす」


「小気味良く、炸裂する音が鳴る 」


「一段、足を降ろす」


「また割れる」


「一段、足を降ろす」


「壊れていく」




「最後の一段から足を降ろす時には、もう何が割れているのかは分かっていた」


「地下を照らしていた電灯が破壊されていく音だったのだ」


「足音のリズムを追うように、電灯の1つ1つが粉々に粉砕されていた」


「そのせいだろう」


「地下通路には、中央の1つしか電灯が生きていない」


「故に、かなり暗くなっていた」


「…………」


「階段の段数が丁度、地下の電灯を1つだけ残す数だったのは偶然だろうか」


「分からない」




「気のせいだろうか」


「交差点中央に上がれる階段とは反対の、天道虫が群がっていた階段」


「交差点に上がって辺りを見回したが、あちらの階段から外に出られるとしたら」


「一体どこに出られるというのだろうか」


「……?」


「電灯は1つだけだ」


「だからこそ、地下通路は殆ど薄暗い筈だった」


「にも関わらず」


「どことなく……私の影が濃いような気がした」


「その辺の、暗闇よりも、ずっと」



「塗り潰すように」




「例の店の前までに来たが、朱塗りの扉が暗いせいか、赤茶けて見える」


「それも…どこか痛んでいるようにさえ見えてしまう」


「………」


「確かここには上半身の『アレ』が扉を開けようとしていた」


「今はもう引っ掻く音はしないが、中はどうなっているのか分からない」


「………」


「開けますか?


「開ける」
「開けない」


↓1


勢いよくオープンザドアー

主人公はAPP19(確信)



「私は勢い良く扉を開こうとした」


「しかし、扉は押すタイプの扉ではなかったらしい……」


「手が痺れてしまった」


「気を取り直して、私は扉を引き開けた」


「明らかに軋むどころか、扉は開けた瞬間に根元から外れ、地下通路内に鈍い音が木霊する」


「……風化したのだろうか?……」


「それにしては早い気がした」




「店内は暗かった」


「扉が朽ちて外れていなければ通路の電灯の明かりが中を照らす事も無かっただろう」


「…店内を見渡す」


「中には、三体の毛布が掛けられた……人形があった」


「と、そこで足元で何かをクシャリと踏んだ 」


「私はそれを無造作に拾いあげる」


「破れた封筒の中から、新聞の記事がはみ出ていた」


「それを指で抜き取る」


「そこに書いてあったのは、一体いつの記事かは分からなかったが、とある猟奇事件について記されていた」


「喫茶店を営んでいた『父娘』の事らしい」




「平和な地下商店街で喫茶店を営んでいたその父娘は、その人柄もあって周囲にも好かれていた」


「そんな家庭に、とあるニュースが飛び込んでくる事になる」


「喫茶店の娘に彼氏が出来たという報せだった」


「それも、相手は隣町で問題を起こしてばかりの不良」


「そんな娘を心配した商店街の人々は、喫茶店の店主である父に告げ口をするようになる」


「あの子は今日、ここにいた」

「こんな所でこんな事をしていた」

「なんと手を繋いで歩いていた」


「……初めのうちは、一人しかいない家族の花話をそれとなく聞き流していた」


「だがしかし、そんな父を揺らがせた話が、彼氏が出来たという報せから間もなく聞くことになる」


「あの不良と性的な行為に発展していた……と」




「徐々に父は不安を覚える」


「自身の娘に限ってそんな事はあるはずがない」


「今までも、素行は優等生の部類だった筈だ」


「そう考えていても、次々と入る悪い報せ、そして娘が彼氏と共にいる時間が伸びれば延びるほど……」


「疑念を覚え、そしていつしか別の感情を覚えていく」


「『嫉妬』」


「あれだけ可愛かった娘に不埒な行為をする男を」

「亡き妻に似たあの娘を手籠めにするあの男を」

「『俺の女を奪おうとしているあの男を、俺は羨ましく思ってしまう』」


「『間違った感情なのは分かっている、だが娘は誰にも渡さない』」


「『髪の毛から血の一滴まで、全て俺のものだ、絶対に、渡さない』」


「『絶対に渡してたまるか!!』」

「『お前は俺のものだ、俺のものだ…』」


「『俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ俺のものだ 』」



「………数ヶ月後、父は娘に性的虐待を数百回に及んでいたとして、逮捕される事となる」




「この事件の恐ろしいのは、このような性的虐待事件の事ではない 」


「事件解決かに見えた翌月、その猟奇事件は起きたのだ」


「発見したのは喫茶店にアルバイトの申込みを行おうとした、普通の高校生だ」


「しかし、その現場を目撃した際に奇妙な幻覚を見るようになり、最後には自分で自分の首を手で絞殺してしまった」



「その現場の喫茶店では、何故か娘の通う高校の男性教諭が大量の釘で全身を貫かれて殺害され」


「更には、娘の交際相手が喫茶店奥のカウンター後ろで胴体と下半身をバターナイフで切断されていたのだ」


「そしてその横には、娘が手で絞殺されていた」


「犯人は、父親」


「刑務所を信じられない事に事件の朝に壁を『抉って破壊し』、そのまま犯行に及んだというのだ」


お父さん、ザ・ハンド?



「しかし、その父は警官隊に射殺された直後に信じられない事実が判明する」


「彼の下半身は、DNA鑑定の結果まったくの別人の下半身だったということだ」


「そして、その『脳』すらも」


「………」


「記事はここで引き千切られているせいで続きは読めない」


「これは、つまり誰の物だったのだろうか」


「皮肉な事に彼の体は彼の物ではなかったという事らしいが……」


「!」


「……今、通路の方で何か音が…?」


「とりあえず……何か良くない感じ…これは『これまでとは全く異質』だ」


「少女もいなければ、どうやら例の下半身も無さそうだ」



「頼りに出来るのは、私を見続けている君だけのようだ」


「私はどうすればいい?」



「1、もっと細かく辺りを見回す」
「2、奥の物置に隠れる」
「3、通路に向かう」

「4、これは君に任せよう、私の運命は君に委ねたいと思う」


↓3までに最善の選択肢or最悪の選択肢が出れば進行

「なお、これら以外に何かあれば自由に教えてくれ」


「私には今は君しかいない」


3

武器になりそうなものを探して持っておく

いざというときに使う



「……何か、武器になりそうな物は…?」


「木製だが、店内にある椅子を使って殴ればもしかしたら武器として機能するかもしれない」


「………」


「駄目だ、私の腕力では持ち運ぶ事は出来ても投げる事すら出来ない」


「他に店内に何か無いか、探してみようと思うが……」


「無い」


「何故ここまで無いのだろうか? 少女は包丁くらいは持っていたというのに」


「…………」


「更に良くない感じが強くなった気がする」


「どうしては……」




「?」


「店内奥の台所から、水が滴り落ちる音がした」


「二滴だ」


「…………」


「台所に向かってみる」


「店内の様子はどう考えても、先刻来た時よりも荒れている気がした」


「内装というより、雰囲気そのものだ」


「私の全身を舐め回すような殺意」


「私の何かを欲している、それだけは分かる」


「そうか」


「通路にいる者は、私に復讐したいのか」




「……これは」


「店内にはもう何もないと思っていたが、これだけはあった」


「『黒のマッチ箱』、中身は三本入っているようだ」


「……」


「店奥の物置にも青色のマッチ箱が落ちていた」


「こちらの中身は一本だけのようだ」


「これで、完全に店内に何か使えそうな物は無いな」




「……隠れ場所はこの物置くらいだが」


「この感じは、『無駄だろう』な」


「折角だ」


「通路に出て……逃げ切れるか試してみよう」


「軋む床を歩き進み、床に並べられた死体の横を抜けていく」


「恐らくこの死体が記事の三人なのだろう」


「だが、分からない」


「その父親は何故、教諭までもその手で惨殺したのか」


「…………」



「分からない」





「店内に少し長々と居たせいか、通路がやけに明るい」


「だからなのだろう」


「交差点に上がれる階段とは反対の階段から、何かが歩いてきている」


「……人」


「の、形をした……『名状し難い肉とは全く違う物質の何か』」


「殺意が『何か』の背後から立ち込めているのが分かる」


「通路内に響き渡る足音から察するに、『何か』の足はどこかちぐはぐなように感じられた」


「……このまま、私は地上に逃げればいいのだが」


「直感……だろうか?」


「あれに背を向けて走れば、もっと良くない気がする」


「さて」


「どうしようか」




「私の所持アイテムは以下の通りだ」


「『小さな木箱』」

「『黒のマッチ箱(9本)』」

「『青のマッチ箱(1本)』」


「武器らしい武器はないが……」


「これで私が生き延びるビジョンが上手く浮かばない」


「だが、私とは違う」


「君達に任せるしかないな」


「数少ない選択肢だ、吟味してくれ」



「1、全力で地上に逃げてみる」
「2、『何か』の特徴を観察」
「3、周囲を確認」

「4、名前を呼ぶ(私が知っている名前は父の名前だけだ、それ以外は君に任せる )」


「……さぁ、私はどうすればいい?」


「どれ程の低い確率かは分からないが、『5つの名前』のうち1つを当てられれば、4で物語が完結するかもしれないな」


↓3(途中のレス中にコンマ以下の数字が55以上のものがあれば、↓1を優先)

3 特に簡単に火がつきそうなものを捜索


「……」


「何か燃やせる物に火を着けて、それを投げることが出来れば…とは思ったが」


「この地下通路に燃やせそうな物はない」


「マッチに弱々しい火をつけて一動作しか行えなさそうだ」


「いや」


「……通路脇で、少女が置いていったらしき『出刃包丁』を見つけた」


「後は道具らしい道具は見つからない」


ふーむ木箱をできるだけ相手の向こう側に投げて音で誘導or隙を作る→刺すか、全力で逃走かなあ
でも刺しても死にそうに思えないよな例の父なら



「他に変わった所は……」


「通路内には『先程までとは違う異質な空気で溢れている』という事と」


「私は今、僅かに足が震えているという事だろうか?」


「湿った肉の音が一歩、一歩と近づいてくる」


「多少の距離はあっても、50m程度しか距離は離れていない…」


「あれの速度は計り知れないが、場合によってはまずい距離だろう」


「ましてや『君』の言うように、聴覚で誤魔化せる相手だろうか」


「…………」


「私は少しずつ背後に下がっていきつつ、周囲を見渡す」


「やはり特には変わった所は……」


今のところ第一目標はナニかから逃げるor隠れてやり過ごす

第二が少女の発見、合流

かな?警察署に行きたい気持ちもあるけど発砲したってことは何かあったから発砲したってことだから(敢えて)様子見程度に見てみよう、話進まないし(震え声)


>>63
確証ないけど木箱はキーアイテムだと思うから序盤ロストは避けた方がいいと思う



「……いや」


「周囲を確認して、分かった事がある」


「『私の影が濃くなっている』」


「……だが、既に私は地上に出る階段の足元に立っている」


「このまま逃げられるかもしれないが、嫌な感覚がねっとりと絡み付いてくる」


「……『何か』との距離は30mも無い、喫茶店に逃げ込んでも意味はないだろう」


「恐らくこれがここでの最後の選択肢だ」


「君達に選んでもらいたい」


>>65
一か八か中身に賭けて包丁で木箱をこじ開ける・・・とか?

というか今の状況マジで逃げるしかないような

直感で背を見せて逃げちゃいかんって言ってるし視覚、聴覚までごまかせないか…わからん

ただ異様にマッチ押しなのが気になる
視覚はサーモグラフィ状態なのか?

もしくは名前当てるか

>>68

追伸、>>21見直したらに友達やら炎やら言ってるな

知ってる名前は喫茶父、喫茶娘、不良、教論、そして主人公父

ちょっと見直してくる



「1、私の直感を無視してこのまま階段をかけ上がる」

「2、相手の姿を見てから改めて行動」

「3、>>67 の言葉を実行」

「4、包丁、もしくは現存の物で立ち向かう」

「5、影に……」

「6、君に委ねたいと思う」



「ちなみに、先程言っていた『名前』だが、これまでの物語には出ていない」

「ヒントは、私の……と、少女の……だろう」


↓3

「……私はどうすればいい?」


2

まだだ、まだ慌てず2だ

スレタイ的にマッチの光を影に当ててみる

2

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