電脳武闘伝アクセル・ワールドG (336)

ストーカー「皆さんは仮想現実というものをご存知でしょうか?」 
     
     「そこでは人間の精神があらゆる姿となって、自らののぞみを叶える電脳で作られた夢の世界」

     
     「そして、望むならば如何様な願いも叶う」
     
     「例えば、誰よりも早くなりたいと願えば、いくらでも加速することができる」
     
     「そう、どこまで、いつまでも……」
     
     「今回の物語はそんな世界を訪れることになった、我らがドモンと加速に挑む一人の少年の物語です」


     「それでは皆さん! ガンダムファイトー! レディー」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391430299


「ゴーーーッ!」

シルバークロウ「加速……した。これは3D映像なのか?」
(以下クロウ)

クロウ「うわっ! なんだこの姿は……なんだか雑魚っぽいな」

???「おい、お前は誰だ?」

クロウ「え? あ、あなたが、対戦相手……でいいんでしょうか?」

???「そのつもりでここにきたんだがな。見たところマックスターじゃないようだが。名前は?」

クロウ「し、シルバー・クロウです」

???「ほう、銀のカラスとは洒落た名前だな」

クロウ「そ、そちらは……?」

シャイニングガンダム(以下Sガン)「俺か? シャイニング・ガンダムだ!」

クロウ「か、変わった名前ですね……」

Sガン「むっ、シャイニング・ガンダムを知らんのか。まあ、ゴットガンダムの方が有名だからな」

クロウ「す、すみません(ご、ごっどがんだむ?)」

Sガン「さっきから、随分とへりくだっているが、お互いファイトする間柄だろ。遠慮はいらんぞ」

クロウ「は、はあ(そうはいうけど、なんかすごいオーラを感じるんだよな)」

クロウ「(なんていうか、最初にフィールドに出たら、いきなり隠し面の大ボスが出てきたみたいな)」

クロウ「(それに、デザインとカラーリングもすごいかっこいいなあ。鎧武者みたいなデザインにトリコロールカラーのボディー、2本のブレードアンテナ)」

Sガン「あまり、緊張するな、こっちも1LVだ気軽にかかってこい」ビシッ

クロウ「い、いちぃ? それにしちゃ構えも気合もすごいんだけど」

Sガン「さあ、どうした? かかってこい」

クロウ「よ、ようし。てりゃあっ!」

Sガン「ムンっ!」ドゴオッ!

クロウ「ぐべらあっ!」ベギョッ!

Sガン「なんだその蹴りは! しっかりと相手を見て打ち込め。第一目をつぶって蹴るやつがあるか! 体の軸がぶれているぞ!」

クロウ「な、なんだよ。今のパンチは……ゲージの6割を持って行かれたぞ。お、おまけになんで目をつぶってるってわかるんだ?」

Sガン「そんなもの動きでわかる。ときに格闘技の経験は?」

クロウ「ま、まるで無いです」

Sガン「じゃあ、仕方ない部分もあるか、イメージトレーニングの経験とかもないんだろ」

クロウ「は、はい」

Sガン「このまま、一方的にやられるのも嫌だろうからな。少し技を見てやろう」

クロウ「ええ? 技って言っても、キックとパンチ、それに必殺技の頭突きしかないんですけど」

Sガン「ほう、なかなか実践的じゃないか。悪くないぞ」

クロウ「で、でもそれだけですよ」

Sガン「拳と蹴りはすべての格闘の基本だ! それをおろそかにする奴に、ファイターの資格はない!」

クロウ「ひゃっ、ひゃい。すみませんでした」

Sガン「わかったら、見せてみろ!」

クロウ「は、はい。えいっ! てりゃっ!」ヒュンヒュン

Sガン「様にはなっているが、とってつけたような拳と蹴りだな」

クロウ「だ、ダメでしょうか?」

Sガン「ダメじゃないが、特性が生かしきれていない感じだな」

クロウ「特性ですか?」

王者の風よ!


Sガン「そうだな、タイムアップまで時間がある、いいというまで全力で走り続けろ」

クロウ「そ。それってどういう?」

Sガン「黙ってやれっ!」

クロウ「はっ、はい!」タタタタ

Sガン「全体的にスピードがあるな、勢いをつけて攻撃するスピード型、ボクシングより打撃拳法向きだな」

クロウ「ぼ、僕は一体なにをやってるんだろ。ニューロリンカーを付けるなといった、先輩との約束を破ったのが悪るかったのかなあ……」

Sガン「問題は、技が軽いのとカウンターに弱いところか……ブツブツ」

『タイムオーバー、シャイニングガンダム! WIN!』


クロウ「ぜえっ、ぜえっ!」

Sガン「よし、ではこのラウンドは、突きと蹴りの使い方を教えてやる」

クロウ「あ、ありがとうございます」

Sガン「ああ、その前に俺に一撃打ち込んでこい」

クロウ「え? あ、そうか、格闘ゲームだもんな。タイムアップで3Rまで伸ばすのか」

Sガン「さあ、いいぞ」

クロウ「ようし、でりゃあっ!」バキッ!

Sガン「まあまあ、だな」

クロウ「い、一応全力で打ったのに、1メモリ削れただけって、どんな硬さだよ……」

――――Sガン指導中――――

Sガン「というわけで、基本は相手に張り付き近距離で翻弄したあと、嫌がった相手が離れようとした瞬間をねらって一撃を加える」ビシッ!

クロウ「な、なるほど、これなら飛び道具が来てもすぐに叩き落とせるし、組み付いてきたら頭突きを使えばいいわけだ」

Sガン「そうだ、お前の特性である、身の軽さと早さを最大限に利用するんだ。直線的にならぬよう円の動きを心がけろ」ヒュン!

クロウ「な、なんかわかってきました」クルクル

Sガン「じゃあ、次のラウンドで本格的なスパーをしよう、少し休憩だ」

クロウ「はあ、格闘技なんてやったことないから、こんなのはじめてだ」

Sガン「やってみればいいだろ、スジは悪くないし、飲み込みもいい、目の速さはかなりのものだ。鍛えればいいファイターになれるぞ」

クロウ「でも、本当の僕はデブだしチビだし、アバターだって豚なんですよ」

Sガン「そんなもの関係あるか、豚にだって牙は生やせる。野生の豚は熊さえ倒す」

クロウ「でも、そんなに強いあなたに、難癖つけられていつも殴られる僕の気持ちなんてわかんないですよ……」

Sガン「かぁっ!」ゴウッ!

クロウ「うわっ、な、何するんですか」ズデン

Sガン「なんだ、見えているじゃないか」

クロウ「え?」

Sガン「今のパンチが見えるなら、いじめっ子ごときのパンチ止まっているようなもんだ。それにデブだといったな」

クロウ「は、はい」

Sガン「喧嘩における体重は武器にも防具にもなる。そうだなこういうのはどうだ? ―――という方法だ」

クロウ「え? そ、そんなことしていいんですか」

Sガン「一方的に暴力を押し付けるやからに、遠慮がいるか。それにいざって時、守るべき大切な人間はいないのか?」

クロウ「黒雪姫先輩は、怪我をしてまで不良から僕を守ってくれて……でも、それに報いることができない自分が情けなくて」

Sガン「情けないと思う気持ちがあるなら拳を握れ。歯を食いしばれ、足を踏ん張り、腰を入れろ!」

クロウ「僕にもできるんでしょうか? 大切な人を守ることが、こんな情けない僕に……」

Sガン「情けない? お前はいま男として最高の醍醐味を味わうチャンスが巡ってきているんだぞ」

クロウ「最高の? 醍醐味?」

Sガン「血のにじみと、歯の食いしばりだ。それを堪えて大切な人に報いる。男としてこれ以上の醍醐味があるか」

クロウ「男としての醍醐味……」

Sガン「理屈じゃない、自虐などねじ伏せろ。腹をくくり、前を見ろ。大事なのは報いたいという気持ち。そして気合だ!」

クロウ「腹をくくる……気合……」

天破侠乱


『タイムオーバー、シルバークロウ! WIN!』


Sガン「お、どうやら最後のラウンドみたいだな。今まで教えた技をフルに使って全力でせめて来い」

クロウ「ギリッ! ようし! うおりやあああっ!」ヒュン

Sガン「む、そうだ。接近したら絶対動きを止めるな! パワーやスピードのある相手には、正面にたたず常に側背に回るんだ」パシッ、パシッ

クロウ「たあああっ!」ヒュバッ!

Sガン「お、今の後方からの下段蹴りは悪くない。今の感じを忘れるな」ヒョイ

クロウ「は、はい!(て、言いながら全部避けてるし)」

Sガン「バカモン! 足が止まったぞ」ドゴオッ!

クロウ「グハアッ!」バゴゴン!

Sガン「離れるならば、必ず一撃を放ってからだ! そうしないと無防備になるといっただろう!」

クロウ「ぜえ、ぜえ。(け、蹴りだけで体力ゲージの7割なんてほんとにレベル1かよ)」ブンッ!

Sガン「さあ、もう一度だ! このまま、終わりたくはないだろ!」スパンッ!

クロウ「はいっ! (なんでだろ、こんなに一方的に翻弄されてるのに不愉快じゃない。)」ビュンッ!

Sガン「どうした、もうひと掠りで俺の勝ちだぞ!! (マスク越しだが見える。いい顔だ、ファイターの顔だ)」

クロウ「まだだあ! うおおりゃああ! (むしろ、もっとこの人と戦っていたい。この人の攻撃に暖かみすら感じる)」

クロウ「てやああああっ!」バキッ

Sガン「むっ!」

クロウ「あ、あたった」

Sガン「見事だ……。ふっ、やはり俺の見込んだ通りファイターの素質があるようだ」

クロウ「あ、ありがとうございます(ほ、ほめられた。こんなすごい人に)」

Sガン「ならば、この俺の奥義を持ってお前の熱意に答えよう! 一度しか打たん。よく見ておけ!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

クロウ「うわっ!(な、なんて気合だ。まるで空気が震えているみたいだ。で、でも目はつぶらないぞ)」ビリビリ


Sガン「いくぞおっ! 俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶ! 砕けっ! シャーーーイニング・フィンガアァァァァァッ!」ゴワッ!

クロウ「うわああああああっ!」


ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


シャイニング・ガンダムの右手から放たれた光は、シルバークロウが防ごうとする間もなく、一瞬でフイールドもろとも彼を吹き飛ばした。


『シャイニングガンダム! WIN!』


ギャラリーA「……ど。どえらいもん見ちまったぜ」

ギャラリーB「な、何もんだ?」

ギャラリーC「あんな、バースト・リンカー。データにないぜ!」

ギャラリーD「マジサイコー、どっちもあたしお気に入りにしちゃう」

ブリキライター「あれ? ブレインバーストって3Rも遊べたっけ?」

東方は赤く燃えている!


Sガン「そらっ、立てるか」ガラガラ

クロウ「ふう……、はあ、負けちゃったか―――ってフィールドが半分吹っ飛んでるし!」

Sガン「久しぶりにいいファイトだった。たかがゲームと侮るもんじゃなかったな」

クロウ「い、いえ、こちらこそ。あ、あの、また僕……いや、俺と戦ってくれますか!?」

Sガン「ああ、もちろんだ。その時までに、もっと強くなっておけ。お前ならできる、それじゃあな」

クロウ「はい! ありがとうございました!」


去ってゆく男を見ながら、少年の胸の中で燻っていた火は、炎へと変わりつつあった。


 その、数分後。秋葉原のゲームセンターからマントをつけた謎の男が、喚きながら飛び出してくるのを、そこにいた少年少女が目撃した。

 どう見ても20代としか思えないその男が、なぜ10代前半しかいないはずのバーストリンカーのたまり場から出てきたのか。
まったくもって不明であった。

今日はここまで、話的には1巻の終わりまでを予定しています。
というか既に話はできていますのでエタはありません。
オリ設定も多数ありますが、よろしくお願いします。
それでは今夜は失礼します。

アクセルワールドの元のタイトルこんな感じだったよなw
超絶加速ブレインバーストだかそんなの

>>21
そこは多少意識してます。

では投下します。

黒雪姫「で、そのシャイニング・ガンダムとやらにいろいろ教わって来たというわけか(聞いたことのない奴だな)」

ハルユキ「はい、すごい強かったけど、親切でカッコよかったです」
(以下ハル)

黒雪姫「ふーん、それはよかったな。私も話す手間が省けたというものだ。おかげで考えていたセリフがパーだ。(なんだろうこのイライラした気持ちは……)」ムスー

ハル「ようし、次の再戦までにもっと強くなるぞ!」グッ

黒雪姫「だが、果たしてどうかな」

ハル「なんです?」

黒雪姫「いるんだよ、親切なプレイヤーを装って、再戦の時に法外なポイントをふっかけて、カモにする……」

ハル「あの人は違います」キリッ!

黒雪姫「即答!?」エー

ハル「拳を交えてない先輩にはわからないかもしれませんけど、あの人はそんな人じゃない」

黒雪姫「し、少……年?」

ハル「LV1ってのは正直信じられませんが、なんていうのか、男として信用できるっていうか、オーラが違うっていうか!」

ハル「敗北はしたけれど、勝ち負け以上に、人間として大切な何かをもらった気がしてしょうがないんです」

ハル「大げさかもしれないですけど、僕の世界が救われた気分なんです!」

黒雪姫「……。(ブレインバーストプログラムを渡した私以上にか?)」ムスー

ハル「ですから先輩! 僕にもっと加速世界ことを教えてください。それもこれも全て先輩のくれた、バーストリンクプログラムのおかげです!」

黒雪姫「う、うん。やる気があるのはいいことだよ(なんだろう、そいつにハルユキを取られた気分だ)」




ガシャーーーン!!

不良「おい、てめえ昨日は良くも荒谷をはめてくれたなあ! おまけに呼び出し無視して、姫といちゃついてるとは豚がいいご身分になったじゃねえか」

黒雪姫「なっ、荒谷の仲間が報復にきたのか!?」

ハル「……」

黒雪姫「ハル、私が前に行った通り、カメラを利用して……」

ハル「大丈夫です。僕が殴られてくればいい話ですから」

黒雪姫「は、ハルユキ君!?」

不良「へえ~、昨日の今日で態度でかくなったなあ。姫の前でカッコつけやがって、上等だせいぜいブタにふさわしい惨めさらすんだな」

ハル「先輩、バーストリンクしてカメラの用意だけお願いします」

黒雪姫「ま、待つんだ」アタフタ

ハル「お、お望み通り殴られてやるから、先輩に手をだすな」ガクガク

不良「ほ~っ! 足は震えてるってのに口だけはたっしゃだなあ。むかつくんだよ豚の分際で!」グワッ!

『俺の拳が見えるなら、そんな奴の拳なんて止まって見えるはずだ』


ハル「……(こ、怖い。でも、まだだ、もう少し)」ギリリ


『いいか? 相手は身長的にお前の顔を殴ってくるだろう』


不良「その面ボコボコにしてもっと豚らしくしてやんよ!」グイッ!


『相手の拳を叩きつけるように額で受けろ、額は頭で一番硬い部分だ。ろくに鍛えてない奴がヘタに殴ると、一発で拳と手首を痛める』


黒雪姫「やめるんだハルユキ! こいつは私が……」

ハル「む、無駄口叩いてないでさっさと殴れよ。休み時間終わっちゃうだろ……」ガクガク

不良「てんめええええええっ!」ブンッ!


『こいつはボクサーも使う防御手段だ。殴ったやつが拳を痛めるなら自業自得。豚にも牙があることを教えてやれ』


ハル「(今だ!)……フンッ!」




ゴキャッ!

鈍い音がカフェに響く、誰もが息を止めて音のする方に視線をやる。


そこには、口元を両手で押さえた黒雪姫と、不良の拳を額で受けたハルがいた。


そして次の瞬間……、悲鳴が上がった。








不良「ぎゃああああああっ!」ゴロゴロ

ハル「いってーっ!」

黒雪姫「は、ハルユキだいじょうぶか?」

ハル「あいててて、俺は大丈夫ですよ先輩。カメラの方は大ジョブですか?」イテテ

黒雪姫「あ、ああ、取れているけど、問題は……」

不良「痛え! いてえよお! 手が、手がァァァ!」ゴロゴロ

黒雪姫「ひょっとして、さっきの鈍い音は」

ハル「多分……、手が折れたんじゃないかな。なんか嫌な……感覚がありましたから」

黒雪姫「じゃあ……」フルフル

ハル「殴ることの痛みを教えてやれって。でも……全然いい気分じゃないですね……」

黒雪姫「ハルユキッ!」パアンッ!

ハル「せ、先輩?」

黒雪姫「君は! 君はなんてことをするんだ!」ワナワナ

ハル「で、でもあいつは……」

黒雪姫「だからって、やりすぎだ! 私は、あくまで合法的に遠ざけることが目的だったのに。一歩間違えれば君もあいつらと同じ扱いを受けるんだぞ!」ウルウル

ハル「……すみませんでした先輩」

黒雪姫「とりあえず、監視カメラに収めたから、奴がハルユキを殴って、勝手に手を怪我したってことにはなる……でも、そのために君が犠牲になってどうする!」

ハル「すみませんでした……でも僕を救ってくれた先輩に、また怪我をさせるなんてできませんから」

黒雪姫「……まったくとんでもない無茶をするな君は、ほら、見せるんだ」

ハル「大丈夫ですよ、血も出てませんし、確かに先輩の言うとおりでもうまく行ったかと思うんですけど」

黒雪姫「じゃあ、なんで……」

ハル「言われたんですよ、本当に守りたい人がいるなら歯を食いしばれ、腹をくくれ、大切なのは気合だって」キリッ

黒雪姫「ハル……ユキ」ドキッ

ハル「第一、いくら助かるためだからって、女の子に怪我させていいなんてことありませんよ。そんなの男として最低じゃないですか!」

黒雪姫「そうか……。なあ、ところで」ドキドキ

ハル「なんです?」

黒雪姫「それもシャイニング・ガンダムがいったのか?」

ハル「あ、先輩よくわかりましたね」

黒雪姫「また、シャイニング・ガンダムか」ムスー

ハル「先輩は知ってるんですか?」

黒雪姫「知らん、というより、LV1でフィールドを吹っ飛ばすなんてどんな化け物なんだそいつは」

ハル「よくわからないけど、すごかったですよ。パンチで6割、キックで7割HPゲージを持っていかれるんですから、おまけに全力で殴っても1メモリけずれた程度で」

黒雪姫「……ハルユキ」

ハル「なんです」

黒雪姫「あまり適当なことを言うなよ」ムー

ハル「う、嘘じゃないですよ。そうだ、リンカーの履歴を見てください。そこに情報がありますから」アタフタ

黒雪姫「じゃあ、早速私と直結しよう」

ハル「ち、直結ですか?」ギョッ

黒雪姫「そのほうが早いだろ」

ハル「で、でも公衆の面前でまた先輩と直結だなんて……」

黒雪姫「うるさい! 男は根性と気合なんだろうが!」

ハル「それは違うような……」

黒雪姫「ええい、君が入れない私が入れる! ソケットを出せ!」

ハル「あ、ちょっと、そんな乱暴な……」


バタバタ

腐女性徒A「ひ、姫が」

腐女性徒B「入れるとか、入れないとか」

腐女性徒C「薄い本が厚くなりますわーーー!」


―――――――――――直結中――――――――――――――――


ハル「というわけで、いろいろ教えてもらったんです」

黒雪姫「……」

ハル「その、なんていうのかな。単に強いだけじゃなくて、かっこいいというか、すごいというか」

黒雪姫「……」

ハル「ブレインバーストのことより、ほとんど格闘のことだけおしえてもらったんですけどね」

黒雪姫「……なんだこいつは?」

ハル「え? だからシャイニング・ガンダムって言う……」

黒雪姫「そうじゃない!」

ハル「せ、先輩?」

黒雪姫「な、なんなんだこのめちゃくちゃな能力は、こ、これでLV1だって? どんな反則を使えばこんな化け物になるんだ!」

ハル「え? でも、LV1だって」

黒雪姫「こんなLV1があってたまるか、お、おまけに広範囲の心意技だって!? というか何で3Rも戦えるんだ!?」

ハル「心意技? よくわからないが、そんなすごいんですか?」

黒雪姫「はっきり言おう! この世界で最高といわれる7人のLV9のバーストリンカーの最上位に匹敵する。下手するとそれ以上だ!」

ハル「それってつまり……」

黒雪姫「ああ、こいつのLVが上がった日には、加速世界で勝てる奴なんて、誰一人いなくなる!」

ハル「ええええええええっ!?」

黒雪姫「加速世界の均衡が……崩れるぞ……」

――――――― 一方そのころ ―――――――


ドモン「さて、どうしたものか……」

ドモン「レインの奴に新型のゲームのテストをしてくれといわれて、引き受けたはいいが、ここはいったいどこなんだ?」

ドモン「たしかあの時……」


――――――― 回想 ―――――――


レイン「というわけで、最新のヴァーチャルシステムを使ったゲームの実験に付き合ってほしいのよ」

ドモン「ゲームなんて、アレンビーにでも頼めばいいだろ」

レイン「5カ国共同の通信対戦の雛形だから、それに入ってないネオスウェーデンには頼めないのよ」

ドモン「やれやれ、格闘対戦ゲームか、俺も自信はあるがいまさらだろ」

レイン「それが、違うのよ」

ドモン「どう違うんだ?」

レイン「これは、脳量子領域を利用したゲームで、なんていうのかな、人間追い詰められると周りがすごくスローに見えることがあるじゃない」

ドモン「特訓中にはよくあるな」

レイン「それを利用したヴァーチャルリアリティーシステムなの」

ドモン「つまり、素人でもガンダムファイター並みの体感速度が味わえるってわけか」

レイン「ご名答、デビルガンダム事件以降、ガンダムファイターを希望する人が増えてきているから、ひょっとするとすごい人材が見つかるかもしれないじゃない」

ドモン「所詮、ヴァーチャルなんて実際のガンダムファイトには到底及ばんぞ」

レイン「そういうこといわないでよ、イメージトレーニングにだって役に立つんだから」

ドモン「まあ、素人に現実を教えてやるという意味では有効かもな」

レイン「もう、ドモンたらっ」

―――――――セットアップ中―――――――


レイン「というわけで、あなたの首につけられたリンクシステムが、体感を加速させてほとんどガンダムに乗ってるのと同じ戦いができるってわけ」

ドモン「細かい説明はいいからとりあえずやってみよう」

レイン「もう、じゃあアバターのデザインは、シャイニング・ガンダムでいいのかしら?」

ドモン「ああ、ゴッドガンダムより個人的な愛着があってな」

レイン「装備と性能は限りなく同じにしてあるから、思う存分戦えるわよ」

ドモン「じゃあ、早速はじめてくれ」

レイン「了解、ゲームスタート!」


シュイイイイイイイイイン!!!


ドモン「おお!?」

レイン「どうかしら?」

ドモン「これはすごいな、本当に俺がシャイニングガンダムになっている」

ドモン「よし、フンッ! でりゃ!」ビュン、グォッ!

レイン「さすがね、ほぼ、最高速度の動きになってるわ」

ドモン「なるほど、使える武器もシャイニングガンダムとほぼ同じなんだな」

レイン「ええ、あなたがシャイニングガンダムになっているのとほぼ変わらないわ。あとステータスも30%ほど上げてあるからハイパーモードにも対応できるわ」

ドモン「それなら遠慮なく戦えるな。ビームも余裕で切り払えるし」ビシュンビシュン!

レイン「ええ、おおよそ常人に銃弾がとまって見えるレベルとするなら、ドモンは亜光速のレールガンだって止まって見えるレベルよ」

ドモン「まあ、宇宙で戦っているとたまに、時間が止まったような感じになることはよくあるな」

レイン「宇宙だとMFは、ほぼ亜光速まで加速できるもの。ええと、もう少しデータがほしいわね」

ドモン「だったら、対戦者を用意できないか? 格闘ゲームだろ」

レイン「そう思って、チボデーに頼んだわ」

ドモン「ほう、だがあいつはいまネオアメリカに帰ってるんじゃないのか?」

レイン「大丈夫よ、試験をかねて亜空間通信システムを搭載してあるから、ほぼタイムラグなしでネオアメリカと通信できるわ」

ドモン「至れり尽くせりだな」

レイン「3R制にしたから思いっきり戦ってね。それじゃ、ドモン準備はいいかしら?」

ドモン「おおっ! 行くぞっ! ガンダムファイトーーーっ!」

ストーカー「レディーーーッ! ゴーーーっ!」


研究員A「た、大変です」ドタドタ

レイン「何があったの!?」

研究員B「そ、それが、亜空間通信システムのネットワークに謎のワームホールが発生して……」

レイン「なんですって!? すぐに通信を止めて!」

研究員C「だ、だめです。このままだとシャイニングガンダムがワームホールに飲み込まれます」

研究員D「プレイヤールームにまで空間の湾曲現象が!」

レイン「逃げて! 逃げて! ど、ドモーン!」バンバン

――――――― 現在 ―――――――


ドモン「地名やそのあたりからして、東京なのは間違いないが、ここまで復興したなんて聞いてない」

ドモン「おまけに、コロニー連合は存在しないし、ガンダムファイトのガの字も聞かない。つまりは俺の知っている地球じゃないってことになるが……」

ドモン「貧困も略奪も無く、街も人が平和に暮らしている。貴重な自然がガンダムファイトで破壊されることも無ければ、暴徒が罪の無い人を襲うことも無い」

ドモン「そうか、師匠が見たかった世界とは、こういうものだったんだな」

ドモン「ガンダムファイトの罪深さというものを改めて実感できる……な」

ドモン「なんにせよ、あのゲームセンターにもどったところで、戻れるとも思えんし、金も使えない」

ドモン「あるのは、このリンクシステムのコンピューターだけか、これでなにかわからないものか」ピッピッピ

ドモン「む? これはさっき戦ったシルバー・クロウのアドレスか。おっ、この世界のネットワークには普通にアクセスできるな」

ドモン「プログラムやセキュリティーも随分旧式だな、簡単にアクセスできるし、コンピューターそのものがかなり遅れている」

ドモン「ふむ、これ以上いじると色々まずいものを閲覧しそうだ。まあ、特にすることもないし後で会いに行ってみるか」

ドモン「だが、その前に寝床を探さんとな」

―――――――ハルユキ対戦中―――――――

シルバークロウ「こいつでとどめだあ! ハンドル握ってちゃ防ぎようがないだろ!」ゴキン、ゴキン

アッシュ・ローラー「グべっ! アガッ! 今日は俺のギガバッドデイだったーーーっ!」ドカーン

ギャラリーA「あのシルバークロウって奴すげえぜ!」

ギャラリーB「今朝のシャイニング・ガンダムもそうだったが、とてもLV1の戦い方とは思えねえ」

ギャラリーC「最高! 観戦リストに登録したかいがあったわ!」

ブリキライター「物陰からアッシュのバイクの後部に飛び乗って、相手を羽交い絞め。操縦してる相手が何もできないのをいいことに、無防備な後頭部に必殺技の頭突き2連発か……恐ろしい」

クロウ「思ったより楽勝だったな。バイクっていっても全然遅いし、跳ねられたって3割かその程度なら慌てる必要もないし」

アッシュ「て、てめえ、この借りは必ず返してやんぞ」

クロウ「いいよ、またこんど戦ってよ。それにしても即死しないと普通にこのゲームって楽しいんだなあ」

アッシュ「……お前一体何と戦ってたんだ?」

ハル「やりましたよ先輩! これでLV2までもう少しです」

黒雪姫「……あ、ああ、見事だったよ。う、うん。見事な公式初勝利だ。祝杯をあげようじゃないか(なんという戦い方だ)……」

ハル「あ、今のうちに、能力の割り振りも考えないと」

黒雪姫「なら、いっそスピードに特化したらどうだい」

ハル「いいですね、でもここはあえて、柔軟性と基本のダメージに割り振ります」

黒雪姫「ふむ、スピード一本だと、迎撃されたときのダメージが大きいからな。いい考えだと思うぞ」

ハル「今は基本をしっかり強化したいんです。そうでなきゃどんなすごい技も宝の持ち腐れですからね」

黒雪姫「やれやれ、今の君は、そこいらのバーストリンカーより、よほどしっかりしてるよ」

???「ハルッ!」

細かいかもしれんが、もっ先のハルの呼び方はハルユキ君だ

ハル「え?」

黒雪姫「誰かな?」

チユ「私よ。ハル」

ハル「ち、チユ!」

黒雪姫「ああ、たしか有田君の知り合いの倉島くんだったかな?」

チユリ「黒雪姫先輩ですね、そうです1年の倉島千百合って言います」

黒雪姫「それで、なんの用かな?」

チユ「もう、ハルにつきまとうのはやめてもらえませんか?」

ハル「チユ、何を」

黒雪姫 「どう言う意味かな?」

チユ「私の幼馴染を、不良の盾にするような人にハルと一緒にいて欲しくないだけです」

>>44
指摘ありがとうございます。
アニメやラノベでみると、その時次第で割と変わってるんでとりあえずってところです
少年だったりハルユキだったり君づけだったりなので
高ぶってる時、先輩ぶってる時、平素なときで変えていこうと思ってます

ハル「ち、チユ。それは違うんだ」

チユ「ハルはだまってて! ハルは目立つことを嫌うのにそれを上級生だからって連れ回して、
   その挙句不良の盾にするなんて最低です!」

黒雪姫「……ハルユキ君にはすまないと思っている」

チユ「それだけですか? ハルにもっと言うことあるんじゃないですか!」

黒雪姫「そ、それは……」

ハル「違うんだチユ! 話を聞いてくれっ!」

チユ「ハルは黙って!」

ハル「聞いてくれ! 誤解なんだ! 先輩は僕を盾になんてしてない!」

チユ「でも、カフェで2度も殴られたって……」

ハル「1回目は僕が情けないせいで、僕をかばおうとした先輩が巻き添えを食っちまったんだ」

黒雪姫「は、ハルユキ君・・・・・」

ハル「2回目は、僕が自分から盾になったんだ。もっとも今度は相手の腕を折っちゃったんで怒られたけど」

チユ「は、ハルが相手の腕を……」ギョッ

ハル「でも、勘違いしないでくれ。あくまで僕は先輩を守りたくてやっただけだ。そこにいたのが先輩じゃなくチユだったとしても僕は同じことをしたと思う!」

チユ「は、ハル」

ハル「僕は逃げたくないんだ、大切な人を犠牲にして。自分だけ助かるなんて卑怯な真似はしたくない!」

黒雪姫「ハルユキ……」ドキッ

ハル「チユ、心配させてごめん。でも、僕大丈夫だから。」

チユ「ハル……」ドキ

ハル「今は先輩の力になってあげたくってさ、そのうちにきちんと説明するから。今はごめん。先輩、行きましょう」

黒雪姫「あ、ああ」ドキドキ

チユ「……」ドキドキ


―――――――喫茶店―――――――


黒雪姫「とりあえず、乾杯だ」

ハル「紅茶とクリームソーダですけどね」

黒雪姫「それにしても……男子3日会わずばとよく言うが」

ハル「なんですそれ?」

黒雪姫「君のことだよ、さっきから驚かされっぱなしだよ全く。そのシャイニング・ガンダムとの出会いは相当インパクトがあったんだな」

ハル「ええ、強かったのもそうですけど、なんていうか1人の人間として、正面からぶつかってきてくれたのが嬉しくて」

黒雪姫「そういえば、君は随分と卑屈だったものなあ」

ハル「初めてでした、殴り合いだってのに、恐れもわだかまりも無い気持ちで相手と向かい合ったのは」

黒雪姫「……その気持ち、大切にするんだぞ」

ハル「先輩?」

黒雪姫「初戦でそんなすごい戦いができた君は、おそらくブレインパースト1の果報者だよ。私だってそんな戦い何度したことがあるやら」

ハル「そうなんですか」

黒雪姫「ああ、ただひたすら加速のみを追い求めた挙句、均衡を望む他を脆弱と冷酷に切り捨て、その挙句逃げ回っている私はな」

ハル「先輩……」

黒雪姫「君にはきちんと話しておこう、なんで私が君にブレインバーストプログラムを渡したのかを、そしてなぜこのゲームがあるのかを」

―――――――黒雪姫説明中―――――――


ハル「なるほど、ブレインバーストでLV10になると、製作者に会えてその意味を教えてくれる」

ハル「でも、ポイントを失うことを恐れた7人のLV9の王達が、お互いに和平協定を結んでゲームに君臨していると」

黒雪姫「そうだ、そして彼らを裏切りその均衡を破ろうとしたの黒の王ブラックロータスがこの私さ」

ハル「でも、気持ちはわかりますよ。最終ステージをゴールできずにうろつくなんて、僕には耐えられない」

黒雪姫「なるほど、やはり君はバーストリンカーに向いているよ。ところが今、2つの意味で私は危機に瀕している」

ハル「さっき言った、追跡者のシアン・パイルですね」

黒雪姫「ああ、これまであらゆるローカルネットに接続しないようにしてきたのだがな」

ハル「けど、学校のローカルネットだけは接続しなければならない……」

黒雪姫「そして2ヶ月前に私は梅里中の誰かから、対戦を申し込まれている。その時、観戦用アバターから私の正体をやつは知った」

黒雪姫「ブレインバースト最大の禁忌、リアル割れさ」

黒雪姫「とはいえ、正直私は悩んでいる」

ハル「どうしてですか?」

黒雪姫「バーストリンカーとして真っ直ぐな道を歩き出した君を、私の都合に巻き込んでいいものかとね」

ハル「先輩……」

黒雪姫「いや、いい。やめておこう、これは逃げ回っていた私に対する運命の裁きだ」

黒雪姫「裏切り者として追われようと自分の責任は自分でとらなくちゃな。君は私のことなど忘れて……」

ハル「それはできません」キッ

黒雪姫「いや、しかし……」

ハル「先輩、僕はさっきチユに“大切な人を犠牲にして。自分だけ助かるなんて卑怯な真似はしたくない”って言ったばかりですよ」

黒雪姫「ハルユキ君……」

ハル「あそこまで啖呵切って先輩を見捨てたらチユに合わせる顔がありません。何より僕に戦うことの意味を教えてくれた人を裏切ることになります」

黒雪姫「……」

ハル「こんな僕がいうのもおこがましいかもしれませんが今更ながらに気がついたんです。“俺は男だってことに”」

黒雪姫「(な、なんだろう。彼がすごく頼もしく見える)」ドキドキ

ハル「で、僕は何をすればいいんですか」

黒雪姫「そ、そうだな。ではまず……」

―――――――シャイニング・ガンダム対戦中―――――――

Sガン「ハアッ!」ドギャッ!

ラスト・ジグソー「げぼぁっ! お、俺の攻撃がまるで通じないなんて……」

Sガン「ふんっ、不意打ちにしても芸がないな。殺気も満足に隠せないようでは話にならんぞ」

ジグソー「お、俺の負けだ。降参する、せめて俺と握手しろ……」

Sガン「まあ、いいだろう」

ジグソー「(そのまま握ってこい、ボディーを錆びつかせてやる)」

Sガン「こうか?」ガッ

ジグソー「ぐあああああっ! て、手首が折れる!」

Sガン「いったはずだ。殺気も隠せんようでは話にならんと。そのどす黒い殺気を俺が見抜けんと思ったか」

ジグソー「加速研究会の俺が……こんな」

Sガン「知らん、出直してこい」バキャッ!

ジグソー「ぎゃああああっ!」

ギャラリーA「すげえ! ローカルネット荒らしを瞬殺だ!」

ギャラリーB「後方から不意打ちしたってのに拳一発で迎撃しやがった!」

ギャラリーC「すごい、すごい。マジにカッコイー!

Sガン「ふう、これで何人目だ? 格闘ゲームは嫌いじゃないがこうも対戦が多いと飽きてくるな」

Sガン「それなりにやる奴もいるが、所詮子供だなガンダムファイターとやりあうには文字通り10年早い」

Sガン「とはいえ、あのシルバークロウはかなりの素質があったな。あの、自分を見つけるために強さに憧れる目」

Sガン「ふっ、まさかこんなところで、過去の俺に出会うとはな」

Sガン「ところで、いつまでそうしてるつもりだ。不意打ちをしないならさっさと出てこい」

???「驚いたぜ。それなりに気配は消してたつもりだったんだけどよ」

Sガン「殺気は隠せても、戦いを前にした高揚感までは消せなかったようだな」

???「あっちゃー、あたしとしたことがまいったぜ。嬉しすぎるってのも問題だよな」

Sガン「名を聞こうか?」

スカーレット「アタシはスカーレット・レイン、レギオン、プロミネンスを率いる赤の王ってやつさ」

Sガン「ほう、小柄な身なりと違って、確かに今までの連中とは格が違うようだな」

スカーレット「噂は聞いてるぜシャイニング・ガンダム。悪りいけど、ここら占めてる赤の王としちゃ、たかだかLV1にでかい顔されるってのも周りに示しがつかねえ」

スカーレット「連勝中で気分がいいところわりいが。……てめえ、潰すぜ!」

Sガン「御託はいい、戦いに来たのなら後は拳で語るだけだ」

スカーレット「おーおー、暑っ苦しいなおい。ここいらででかいツラしたこと後悔させてやんよ」


―――――――ファイト!―――――――



スカーレット「くらいなっ!」チュドドン

Sガン「むっ、銃器による攻撃か」

スカーレット「卑怯なんていうなよ。こいつがアタシのアビリティーなんだからさ」タキュン


Sガン「ふん、この程度の火力じゃマックスターのジャブにも及ばん」パシッ

スカーレット「んなっ! 銃弾を素手で掴み取りやがった!」

Sガン「言っておくが、ガンダムファイターに銃器など通用すると思うなよ」

スカーレット「が、がんだふぁいたー? ちっ、よくわかねえけど、この程度をアタシの本気だと思ってもらっちゃこまるぜ」ジャコン!


スカーレット「こいつを見てこしをぬかしやがれえっ!」ガキンガキンガギン


Sガン「むっ、武器の山が合体し要塞になっただと!?」


スカーレット「へっ、この不動要塞“インビンシブル”の一斉攻撃を受けてみな。ヘイルストーム・ドミネーションっ!」ドガガガガガ゙

観客A「出たっ! 赤の王のLV5の必殺技だ!」

観客B「容赦のないミサイルやレーザーの雨あられ、こいつをくらって生きてた奴はいない」


スカーレット「よけられるもんなら避けてみなっ!」

チュドドドドドド!


Sガン「よけるまでもない、そちらが嵐ならこちらも嵐だ! シャイニングスラッシュタイフーン!」

ズバババババババ!

観客C「うそっ! 回転しながら攻撃全て切り払ってる!」

観客D「ていうか、ビームって切り払えるのかよ!?」


スカーレット「うっ、嘘だろ!?」

Sガン「所詮、銃器の速度など、鍛え抜かれた拳の速度に勝てるわけがなかろう」

スカーレット「む、無茶苦茶だこいつ!」

Sガン「どうした、この程度で王を名乗るつもりか」


スカーレット「く、この野郎。とことんムカつくぞてめえ! てめえなんぞにもったいねえが、取って置きを見せてやる」

Sガン「む、拳に赤い光を纏っただと?」


スカーレット「こいつは受けられねえぞ。喰らいやがれ! レイディアント・ビートっ!」キイイイイン

Sガン「ほう、今までの中では一番いい攻撃だ。だがしかし! シャイニング・フィンガーっ!」バシュウ

スカーレット「うっ、受け止めた!? ばっ、ばかな! LV1で心意技だって!?」

Sガン「一つだけ言っておく。恐れと迷いのある攻撃など取るに足らんということだ」

スカーレット「!?」


Sガン「だがそれがお前の奥義ならば、奥義で答えるのが礼儀というもの! はあああああああっ!」

キイイイイイイイン!!!

スカーレット「き、金色の過剰光(オーバーレイ)だって!? こんな心意の光見たことねえぞ!」


Sガン「いくぞっ! 俺のこの手が光って唸る、お前を倒せと輝き叫ぶ! 必殺! シャイニングフィンガーソーーード!」

ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


スカーレット「うわああああああああああああっ!」ドゴオオオオオオオオオン!!

観客A「あ、あの赤の王が一瞬で!?」

観客B「こんどはフィールドごとインビンシブルをぶった切るなんて! ば、化けもんだ……」


スカーレット「あ、あああ……」ガタガタ

Sガン「武器の山で己の弱さを隠し、偽りで塗り固めたところで、真の強さには到底たどり着けん。今一度己を見つめ直すことだな」スタスタ



スカーレット「くっ、ち、ちくしょーーーっ!」バンッ!

今夜は以上です。
ご意見は随時受け付けます。

それでは失礼します。



正にガンダム無双

最近アクセルワールドとGガンダムを見た俺にとってタイムリーなスレ

ちょっと暗いところもある原作にGガンの熱血が合わさってちょうどイイ感じになってると思う

一応ゲーム何だから無双だけじゃなくドモンも負けるか負けかねない状況が欲しい。

クーロンガンダムかヤマトガンダムに期待

レスありがとうございます
とても嬉しいです

>>63
おもしろさのバランスを崩さないよう気はつけています

>>64
どっちもタイムリーで見てましたのでクロスいけんじゃね? と思いまして

>>65
原作の初期ドモンは某アイビス並にナーバスだったりするんですけどね

>>66
それはおいおい、ただドモンは格ゲーやらすとアレンビーのハメコンボ透かしてチェーン返せる腕です
そのおかげで筐体がついていけずブッ壊れてます

>>67
ちょっと厳しいですねクーロンはBFでもでたので好きなんですけど

では再開します。

ハル「先輩に言われて来ては見たけど、本当にあいつがシアンパイルなのか?」

ハル「とても俺には信じられないよ……チユ」

ハル「けど、真相を調べるにはあいつの経歴を見るしかない……ええい、何もなきゃそれでいいんだ」ピンポーン


ガチャ


チユ「ハル……」

ハル「や、やあ。この前の誤解を解きに来たんだけど、いいかな」

チユ「……上がって」

ハル「お邪魔します……」


―――――――ハル説明中―――――――

ハル「というわけなんだ。今、先輩がそのストーカーに付け狙われてて、そいつが僕の知ってる奴みたいだから。相談を受けてたんだ」

ハル「僕がそばにいればストーカーも姿を現すだろうから、その時に写真撮って通報しようってことで……」

チユ「……」

ハル「だから、先輩は悪意があって僕を連れ回してるわけじゃないんだ(く、苦しい、言い訳だったかな?)」

チユ「ねえ、ハル……」

ハル「な、なに、チユ?」

チユ「ハルはあの時、黒雪姫先輩が私だったとしても守ってくれるって言ったよね」

ハル「う、うん」ドキドキ

チユ「それってほんと?」

ハル「も、もちろんだよ。その、なんだ。僕、最近ある人に言われたんだ」

ハル「“理屈じゃない、自虐などねじ伏せろ。腹をくくり、前を見ろ。大事なのは報いたいという気持ち。そして気合だ”って」

チユ「……」


ハル「その人は、僕なんかとは比べ物にならないくらいすごい人なのに、僕に才能があるって言ってくれた」

ハル「その時、思ったんだ。ここまで言われてそれに答えられないなら男じゃない。男なら目の前の女の子一人くらい守って見せようって」

チユ「……」


ハル「そ、そうだ。俺と直結してくれないかな。それでその履歴を見せるから……」

チユ「見なくてもいいよ」

ハル「コードを忘れたからチユの家のコードを、え?」


チユ「信じるよハル」

ハル「で、でも」ワタワタ

チユ「ハル、変わったね」

ハル「え?」

チユ「わたし、ずっとハルのことが心配だったんだ。いじめられて自信を亡くしてからすっかり元気がなくなって」

チユ「たっくんもわたしも、どうすれば昔のハルに戻ってくれるかいつも心配してた」

ハル「チユ……」

チユ「でもこの前、黒雪姫先輩と一緒にいたハルは、ほんと別人見たくかっこよくなってて驚いちゃった」クス

ハル「い、いや、そんなこと」

チユ「ううん、だって今のハルならわたし付き合ってもいいなって思っちゃったもん」

ハル「え、ええええ!? いや、でもチユにはタクが!」

チユ「クスッ、冗談だよ。でもホントに変わったね」

ハル「は、ははは」


チユ「今度会ってみたいな」

ハル「え?」

チユ「ハルを、変えてくれたってその人にお礼言わないと。なんて人なの」

ハル「え、ああ。そういえば、名前聞いてなかった……」

チユ「もう、そういうところは変わってないね」フフ

ハル「でも、そのうち合えると思うから、アドレス交換しておくよ」

チユ「そうね、たっくんもさそって……あ、そういえば」

ハル「どうしたの?」

チユ「たっくんって言えば最近変なのよ」

ハル「タクが?」

チユ「おかしくないって言えばそうなんだけど、なんていえばいいんだろ」ンー

ハル「タクがどうしたの?」

チユ「最近、剣道部に出てないらしいのよ」


ハル「え!? なんで?」

チユ「なんか、一人で延々自主トレしてるらしくて。この前あったときは、長い棒に水桶担いで走ってたのよ」

ハル「棒? 水桶? 竹刀じゃなくて?」


チユ「聞いたら、拳法を始めたとか言ってたの、重りとかつけてすごいきつそうだったけど、トレーニング中だからって走ってっちゃった」

ハル「タクがそんなことを?」

チユ「うん、今度会ったら聞いておいてくれない?」

ハル「わかった、聞いておくよ。今日はもう帰るよ、明日また学校で」

チユ「うん、またね」


ハル「ふう、チユに怪しまれなくてよかった……ってそうじゃない! チユのリンカーを調べるの忘れてた……」

ハル「まいったなあ。先輩になんて言おう」

ハル「それにしてもタクか、どうしたんだろあいつ?」

スカーレット「はあ、まいったな。あんな、化けもんどうすりゃいんだよ」チャカ

スカーレット「レベル1なんて絶対うそだろ、でもなぜかバーストポイントはそのまんまだし」チャキ

スカーレット「あっこまで見事にやられちゃ、怒る気もわかねえよ」クルクル

スカーレット「……恐れと迷いか、悔しいけどその通りだ。あたしは武器で自分を固めてごまかしていた」

スカーレット「それが、あのざまか。あたしには仲間も救えねえし、プロミネンスのリーダーなんてやっぱり……」チャコ

???「ヘイッ、お嬢ちゃん。ため息なんかついてどうしたんだい?」

スカーレット「んだよ、今イライラしてんだ。舐めた口叩くとこいつで脳天に穴開けてやんぞ」ジャキ

???「へえ、いい銃じゃないか? お前さんのかい?」

スカーレット「てめえにゃ、関係ねえだろ」

???「そんな、扱いされちゃ、銃が可愛そうだと思ってな」

スカーレット「上等だ。見りゃあ、てめえも2丁下げてんじゃねえか、本来ならてめえ見たいの相手にしないとこだがかかってきな」

???「まあ、俺も時間を持て余してたからな。ちょうどいいや、このゲームであそんでみるか」

スカーレット「このスカーレット・レインに舐めた口きいたばかりじゃなく、ブレインバーストまで舐めてるってわけか。とことんムカつくやつだぜ」

???「紅い雨か、しゃれてるねえ。いいぜ、俺はガンダムマックスターだ」

スカーレット「ガンダム……マックスター? おい、てめえの知り合いにシャイニング・ガンダムって奴はいるか?」

マックスター「ん? お前さんドモンにあったのか?」

スカーレット「ドモン?」

マックスター「だから、シャイニングガンダムのやつだよ。ドモン・カッシュって言ってだな……」

スカーレット「ちょっと待てーーーっ!」

マックスター「なんだよ、いきなり」

スカーレット「なんだよじゃねえよ! 何さらっと他人のリアル割れしてやがんだ!」

マックスター「いっちゃ、まずかったか?」

スカーレット「いいか、ブレインバーストはポイントの奪い合いなんだぞ」

スカーレット「相手のポイントを奪うために、リアルで襲撃をかけてくる奴だっている。そいつが襲われたらどうするんだよ!」

マックスター「はっ、その程度の奴らにあいつが負けるかよ。むしろ襲った奴の方が心配ってもんだ」

スカーレット「……あのなあ。ネットで他人の個人情報公開する奴がどこにいるんだよ」

マックスター「言われてみりゃそうだな。わりい、わりい、ゲームだと思ってつい」

スカーレット「アタシがいうのもなんだけどさあ。ネットのマナーってやつをきちんと守れよ」

マックスター「そうだな。俺が悪かった。お前さん口の割にはいいやつなんだな」

スカーレット「はあ、もう怒る気もしねえよ。んで、そのドモンじゃなかった。シャイニングガンダムってのはあんたのなんなんだ?」

マックスター「俺の戦友であり、ライバルであり、かけがえのない仲間ってとこかな」

スカーレット「ふーん、つうことはあんたも、そのがんだむふぁいたーとかってやつなのか?」

マックスター「おお、これでも決勝大会にも出てるし、ボクシングのチャンピオンでもあるんだぜ」

スカーレット「つうか、えらく節操のないボディーだな。アメフトにボクシング、拳銃にサーフボードかよ。アメリカづくしだな」

マックスター「拳銃も使えるが、俺はおもにコイツだな」シュン



マックスターが軽く拳を降った瞬間、凄まじい衝撃波がステージの岩を粉々にくだいた。



スカーレット「なぁ――――っ!」

マックスター「拳だって極めりゃこの通りよ。銃にだって負けやしねえ」

スカーレット「いやいやいやいや、その理屈はおかしい。つうか、さらっと破壊不能なオブジェ粉々にしてんじゃねえよ!」

マックスター「んなこといったって、そうなんだからしょうがねえ」

スカーレット「はあ……、なんか本当に自信なくなってきたぜ」

マックスター「だったら、つけりゃあいいじゃねえか。自信をよ」


スカーレット「……なあ、自分に打ち勝つにはどうしたらいいと思う?」

マックスター「弱い自分と向き合うしかねえな。あとは、ひたすら自分を鍛える。んなとこか?」

スカーレット「バカみてえに簡単に言いやがって……まあ、でもそういう事なんだろうな」


スカーレット「おい、時間を持て余してるって言ったな。ちょっと付き合えよ」チャキッ

マックスター「いいぜ、好きなだけ付き合ってやるよ」シュン



ハル「たしか、いつもだとここいらを走ってるはずだけど……」

???「はっ、はっ、はっ、はっ」タタタタタ

ハル「いた。ってなんてスピードで走ってるんだよ。おーい、まってよタクーッ!」

タク「ん? なんだ、ハルか」キキッ

ハル「なんだって……、タクこそ何やってんだよ」

タク「ああ、ちょっとまって。あと一週走ってくるからそこの公園で待っててくれ」タタタタ

ハル「って、おーい。行っちゃった、本当に桶担いでたけど何があったんだあいつ」

タク「ぷはあ、ハルのおごりで飲むドリンクはうまいなあ」

ハル「そりゃいいけどさ……」

タク「僕が、なにやってるかってことだろ」

ハル「チユも心配してたぞ、部活にもでてないって。おまけに拳法なんて剣道はどうするんだよ」

タク「うーん、ちょっとした心境の変化かな」

ハル「心境の変化?」

タク「ああ、ちょっと自分を鍛えなおそうと思ってさ。部活には休部届けをだしてるんだ」

ハル「一体、何があったんだよ」

タク「この前、ある人に出会ってさ」

ハル「ある人?」

タク「ああ、その人に勝負を挑んだんだけど、コテンパンにやられちゃってさ」

ハル「ええ!?」

タク「はは、勘違いしなでくれよ。きちんとした試合さ。と言っても相手は拳法家だったんだけどね」

ハル「じゃあ、その手に持ってる棒と水桶は?」

タク「ああ、今その人から手ほどきをうけててさ。こうしてトレーニングしてるのさ」

ハル「剣道やめちゃうのかよ」

タク「今は少し剣道から離れて自分を見つめ直したいんだ。そのために休部届けも出してきた」

ハル「タク……」

タク「そんな顔するなよ、今は離れていても自分にこれだってものが見つかればもう一度竹刀を握るつもりさ」

タク「今はこうして何も考えずトレーニングを続けたいんだ」

ハル「やっぱりすごいなあ、タクは」

タク「そんなことないさ、不良の腕をへし折った。人間凶器のハルにくらべればな」

ハル「なっ!?」

タク「ちーちゃんから聞いたぞ。今や次の番長とさえ噂される人間凶器。泣く子も黙る晴雪様!」ニヤニヤ

ハル「ち、違うよ。あれは単に!」

タク「わかってるよ、ハルが自分からそんなことするなんて思っちゃいないさ」

ハル「からかうなよ、気にしてんだから」

タク「ハルも変わったな」

ハル「え?」

タク「なんていうか、前と違ってしっかり人の目を見て話すようになったなって思って」

ハル「……」

タク「チーちゃん、ああ見えて、結構ハルのこときにしててさ。わざわざ弁当なんか作ったりして。正直、僕からすれば結構妬けてたんだ」

ハル「え? ええええええっ!」

タク「ハルも体外鈍いな、まあそういうところがあったから、チーちゃんとも一旦距離を置こうと思って別れたんだよ」

ハル「じ、じゃあ、俺のせいで……」

タク「気にしなくていいよ、そりゃ一時期は、なんでお前なんかがって思ったこともあったけど」

タク「チーちゃんにしてみれば、僕たちの関係が壊れちゃうほうが嫌だったんだろうな」

ハル「タク……」

タク「だから、そんな顔するなって、もうそんな気持ちも綺麗さっぱり吹き飛んだよ」

タク「それに、ハルが立ち直ってくれたことの方が僕は嬉しいよ。そのことも含めて今度3人で話しよう」

ハル「うん」

タク「さて、もう一度走ったら、素振り500回だ。早く終わらせないと日が暮れちゃうしな」

ハル「な、なあ。本当に大丈夫なのか? 体壊さないか?」

タク「いや、これでも楽な方なんだ。最初にやらされたトレーニングなんて冗談抜きで半死半生だったよ……」

ハル「どういう人なんだタクの師匠って」

タク「う~ん、中国人?」

ハル「何で疑問形なんだよ」

タク「いや、僕より年上なんだけど、子供っぽいっていうか、気さくっていうか、純粋っていうか、加減知らずっていうか」

ハル「だ、大丈夫なのかその人」

タク「ただ、戦った時にこう言われたんだ。“そんな余計な物を背負って戦ってちゃ、1000年経っても勝てやしない。もっと戦いを楽しんだらどうだ”って」

ハル「戦いを楽しむ?」

タク「ともかくすごかったなあ。たった1度戦っただけなのに余計なものは全部吹っ飛んじゃって。なんかすっきりした」

ハル「……俺も、最近すごい人にあってさ」

タク「へえ、じゃあその人がハルを変えてくれたのか」

ハル「うん、まっすぐっていうか、熱いっていうか。タクじゃないけど、これまで悩んでた自分が綺麗さっぱり吹き飛んだよ」

タク「そっか、お互い、いい師匠に出会えたみたいだな。おっと、急がないと。こんどその人のこと聞かせてくれよ。じゃあな」

ハル「うん、またな!」


友人たちが、変わっていく中で、彼の日常も変わりつつあった。
しかし、そこに不安はなく、むしろこれからの起こることに心が沸き立っていた。

諸用につき、ちょっと中断します。

再開

黒雪姫「そうか、分からずじまいか」

ハル「すみません、大口叩いておいて」

黒雪姫「いや、かまわないよ。むしろ、君には嫌な思いをさせてしまって申し訳ない」

ハル「謝ることないですよ先輩。引き受けたの俺ですし」

黒雪姫「ならこのことは、不問にしよう。それよりシアンパイルだ」

ハル「あれから、現れたんですか?」

黒雪姫「なんと言えばいいのかな。とりあえずこれを見てくれ」

ハル「メールですか? どれどれ……“1週間後の午後19時に、無限中立フィールドにて待つ。
   そちらのこと一切他言せず、非公開の果し合いなり。来ないならばそれもまた良し”ってなんですこれ?」

黒雪姫「見ての通りの果たし状だよ。つきまとっていたと思いきや、これまた随分と古風なことをしてくる」

ハル「行くんですか?」

黒雪姫「正直これまでつけまわしていた奴が、こうして堂々と現れたってことは、よほど私を倒す自身があるのだろう」

黒雪姫「他言せずとは言っているが信用はできんし、ほうってもおけん」

ハル「先輩、危険ですよ」

黒雪姫「いいんだ、このことは私の問題なんだ。君をこれ以上巻き込むわけにはいかない」

ハル「じゃあ、俺が代わりに戦います。そうすれば先輩の正体がバレることなんて……」

黒雪姫「そういうわけには行かないんだよ。私は無関係の君を巻き込み、さらには友人を探らせるような真似をしてしまった」

黒雪姫「このけじめは、私が付けなければならない。だからシアン・パイル絡みのことはこれでお仕舞いだ」

ハル「先輩……」

黒雪姫「君に逢えてよかった。一人の人間の成長を見ることがこんなに素晴らしいことだなんて思わなかった。本当に楽しかったよ」

ハル「……」

黒雪姫「そんな顔をしないでくれ、この件はここで終わりだが、これからも私の友人でいてくれないか?」

ハル「はい……」

ハル「っ!? 先輩危ない!」

その瞬間1台の車が2人めがけて突っ込んできた


黒雪姫「なっ!」

ハル「先輩逃げて!」バッ


黒雪姫「っ! バーストリンク!」

ハル「ば、バースリンク! ふう、危なかった」


黒雪姫「もう少し、遅れていたら……君が気がついてくれて助かったよ」

ハル「でも、これは僕たちが加速してるだけで、早くどうにかしないと。こいつは……あ、荒谷とその仲間!?」


黒雪姫「私怨か、考えてみれば人を殺すのに加速はいらないものな。ナイフ一本あればいい」

ハル「そんなことより、この状況をどうにかしないと」

黒雪姫「なら今度は私が君を守ろう。いや、守らせてくれ」

ハル「ダメですよ先輩! 俺は男なんです。先輩を守るのは俺の役目です!」


黒雪姫「嬉しいな君にそう言ってもらえるなんて。私は本当に果報者だよ、けどこれは私への報いだ。君を犠牲にするわけには行かないんだ」

ハル「嫌です、先輩を犠牲にするなんて俺にはできません!」


黒雪姫「直結したこの状態でいう、この言葉なら信じてもらえるだろう。私は君のことが好きだ」

ハル「え?」

黒雪姫「初めてゲームに没頭する君を見たとき、私は心を奪われた、人間は己の力だけでずここまで加速できるのかと」

ハル「先輩……」

黒雪姫「初めて会った君はあまりに卑屈で、包み込むように守ってあげたいと思った。でも、今の君は私を守る騎士に変わった」

ハル「……」アレ? ゴシゴシ

黒雪姫「人の可能性というものを、君は見せてくれた。だから私は……」

ハル「すみません、先輩。ちょっといいですか?」ミマチガイジャナイヨナ

黒雪姫「なんだ君は! 今私はとても大切なことを!」イイトコロダッタノニ


ハル「……誰かこっちに来ますよ」


黒雪姫「は? 何を行っているんだ君は、今我々は加速しているんだぞ。その世界で動けるなんて」

黒雪姫「それこそ、ポイントの99%を消費するLV9のフィジカルフルバーストでもない限り……え?」


ハルユキが指さすほうから、何かがこちらへと向かってくる。

よく見れば、それはハチマキを締め、マントに身を包んだ青年だった。

加速世界においてなお、疾走と見まごうばかりの速さで、その青年は2人の目の前までやってくると。

今まさに2人に襲いかからんとする、車を蹴り飛ばした。

ハル「先輩」

黒雪姫「なんだい少年?」

ハル「車って空飛ぶんですね」

黒雪姫「ああ、私も初めて見たよ」


ハル「というか、自分が蹴り飛ばした車に飛び乗って、中の人間引きずり出すって、何レベルになればできるんです?」

黒雪姫「はっはっは、馬鹿言うな、加速以前に人間は車を蹴り飛ばせないじゃないか」


ハル「あははは、そうですよね」

黒雪姫「あっはっは、サッカーボールじゃあるまいに」


ハル「で、どうしましょうか? バーストアウトしてもいいですか?」

黒雪姫「うん、いいと思うよ。いいんじゃないかな?」

ハル「……」アニメジャナイアニメジャナイ

黒雪姫「……」ホントノコートサー


ハル・黒雪姫『ば、バースト……アウト?』


加速から戻った2人の前に、先ほどの青年が荒谷とその仲間を、両手にぶら下げてたっていた。


???「おい、大丈夫かお前ら」

ハル「アッ、ハイ……」

黒雪姫「ありがとう……ございます」


???「そうか、なんで襲われたかは知らんが、あまり恨みを買わんことだな」

ハル「え、ええ、次から気をつけます……」

黒雪姫「は、はい、そうですね……」

???「こいつらは警察にでも突き出しておくか。ところで一つ聞きたいんだが」

ハル「な、なんでしょう?」

???「シルバークロウというのはお前か?」

ハル「!? な、なんでそれを」

黒雪姫「ハルユキ! 答えるやつがあるか!」


???「ふ、とっさに、彼女を守ろうとその前に立ちはだかるとは、男として成長したな」

ハル「え?」

???「男子、三日合わずば、約束通り強くなったか。見事だ!」


ハル「ひ、ひょっとして、あなたは!」

ドモン「シャイニング・ガンダムのドモン・カッシュだ」

ハル「あ、あなたが、シャイニング・ガンダムの……」

ドモン「シルバークロウで間違いないか?」


ハル「は、はい! 俺がシルバー・クロウの……もがっ!」

黒雪姫「ば、馬鹿か君たちは! 公衆の面前てリアル割れをしてどうする!」

ドモン「何か問題なのか?」

黒雪姫「何がって、ポイントを狙うバーストリンカーが直接襲ってくるとも限ら……ああ、そうか」

ドモン「返り討ちにしてやればいいだけだろ」

ハル「で、ですよねー」


ドモン「そんなことより、うるさくなってきたな。どこか静かなところで話そう」

ハル「はいっ!」キラキラ

黒雪姫「……(げ、解せぬ)」

かくして、出会あった2人のファイター。

この出会いが何をもたらすのか。

次回へと続く。

今日はここまでです。
それでは。

ジョルジュの精神コマンドは悪くないし剣の腕も結構なもんなんですけどね
ローゼスビットは反重力で中に浮かんだものを脳はコントロールというシロモン
ローゼスハリケーンに至っては反重力の竜巻を起こせるなど地味にすごかったりします。

再開します。


――――――喫茶店―――――――

ドモン「すまないな、俺の分も出してもらうなんて」

ハル「いいえ、とんでもありません。こんなの助けてもらったお礼にも入りませんよ」キラキラ

黒雪姫「……(さっきから、ハルユキはこの調子。私の一世一代の告白が……)」ムスー


ハル「あ、そういえば挨拶がまだでした。俺、有田晴雪っていいます。で、こちらが」

黒雪姫「……黒雪姫」ムスー

ドモン「変わった名前だな」


ハル「い、いや、ハンドルネームですよ。せ、先輩」

黒雪姫「私は、見ず知らずの相手に本名を名乗る程、危機感が欠落してはいない」

ドモン「なるほど、常在戦場というわけか、いい心がけだ。それなりに武術をたしなんでいるのだろ」

黒雪姫「わ、わかるのですか?」

ドモン「まあな、足運びや目付から察するに柔術、拳法の類か」

黒雪姫「じ、柔法を少々……」ヤ、ヤッパリタダモノジャナイ


ドモン「それはそうと、あんな輩に恨みを買うとは何をしたんだ?」

ハル「ええとそれはですね」


―――――――ハルユキ説明中―――――――


ドモン「なるほどな、そういうわけだったか」

黒雪姫「だいたい、あなたがあんな野蛮な解決法を彼に教えるからこんなことに!」

ドモン「それはどうかな?」

黒雪姫「何が言いたいんです」


ドモン「ああいう輩は、大なり小なり自分の見下している相手に抵抗されると、逆恨みをするものだ」

ドモン「恐らく、ハルユキが仲間の腕を折らなくとも、最初に荒谷とやらが捕まった時点で報復に出ていただろう」

ドモン「わざわざ、君が一緒のところを狙って襲って来たのがその証拠だ」


黒雪姫「っ……」

ハル「なら、どうすれば良かったんでしょうか?」


ドモン「二度とそういう気が起こらなくなるまで叩きのめす。これが一番簡単だ」

黒雪姫「そんな、野蛮な!」

ドモン「むしろ、そういう小細工に出たからこそ、報復に出たとも言える。なまじ痛みがないだけに、却って憎しみは募るものだ」

ハル「……」


ドモン「たぶん、ハルユキが最初に腕を折った相手が、その荒谷なら、奴も報復には出なかっただろう」

ドモン「所詮は子供。己の行為に、痛みという代償が伴うと知れば、それ以上の愚行は犯さなかったはずだ」

黒雪姫「……」


ドモン「正義なき力は暴力。だが、痛みなき暴力や中途半端な痛みは、時にそれ以上の暴力を呼び寄せるものだ」

ハル「じゃあ、俺が抵抗していれば……荒谷も」


ドモン「いや、奴を増長させた一因はあっても悪いのはその荒谷だ。しかし、それを知っていながら、止めようとしなかった周りにも問題がある」

ドモン「過ちを犯していながら、それを諌めてもらえないのは、過ちを犯した人間にとっても不幸なんだ」

黒雪姫「……」

ドモン「それは疎外感となり、その孤独は人の心を歪ませる。これは俺や君たちに限った話じゃない」

ハルユキ「わかります。誰からも相手にされない、理解してもらえない。それだけで俺は自分だけでなく周りにも嫌悪感を抱いていましたから」


黒雪姫「ハルユキ君……すまない」ジワッ

ハル「せ、先輩!?」


黒雪姫「わ、私は君が奴らに虐げられているのを知っていながら、それを看過していたんだ……」

黒雪姫「むしろ、君を救えるのは私だけだと驕っていたんだ……。守ってやりたいと言いながらそれを見逃していた」ポロポロ


ハル「で、でも、先輩はゲームのスコアを見るまで、僕を知らなかったんでしょ。仕方ないですよ」オロオロ

黒雪姫「そんなことはない! 私は生徒会長なんだ。奴らの噂が耳に入らないはずがないだろ!

黒雪姫「わたしは……、私は知っていたんだ! 奴らが徒党を組んでいじめに走り、誰かを虐げていたことを!」グスッ

ハル「……」

ドモン「……」


黒雪姫「そ、それを、くだらない連中と見下し、問題を先送りにしていた……見て見ぬふりをしていたんだ」

黒雪姫「君でない誰かだったなら、きっと手を差し伸べることすらしなかっただろう……」ポロポロ

ハル「先輩……」


黒雪姫「わ、私は最低だ……。君を自分の都合で巻き込み、こんな事件まで起こして。また同じ過ちを……う、ううう」グスッ、グスッ

ハル「でも、先輩は僕に手を差し伸べてくれたじゃないですか」

黒雪姫「……え」


ハル「僕、今ではこう思うんです。その誰かが僕で良かったって」

黒雪姫「でも、でも……」ポロポロ


ハル「その誰かが僕だったおかげで、僕は先輩に助けられたし、その誰かは傷つかずに済んだ。悪いことなんて何もないですよ」

黒雪姫「は、ハルユキ君」ウルウル


ドモン「過ちを反省することは大切だが、それにとらわれるべきじゃない。何より、一人の人間を救ったんだ。それは誇っていい」コクリ

ハル「そうです、先輩にあわなければ、僕は本当に救いようがないところまで落ちてたかもしれない。間違いなく、先輩は僕を救ってくれたんです」コクリ

黒雪姫「は、ハルユキ……う、うわあああああん」ポロポロ


―――――――数分後―――――――


黒雪姫「もうしわけない、初めての人の前で醜態をさらしてしまって」

ドモン「いいさ、むしろ自分の過ちに気づけたなら、それは立派なことだ」

黒雪姫「ですが」

ドモン「俺もかつて、自らの過ちに気づかず。大切な人を失ってしまったことがある」

ハル「ドモンさんがですか?」

ドモン「ああ、かけがえのない人だった。だが、俺がそれに気がついたのは全てが終わったあとだった」

黒雪姫「その人は?」

ドモン「俺の師と兄だ。彼らは俺に大切なことを教えるため、時に自ら悪役となりながらも俺を鼓舞し、全てを託してこの世を去った」

ハル「後悔……してるんですか?」

ドモン「後悔はした。だが、いつまでも俺がくやみ続けることを、師も兄も望んじゃいない」

ドモン「だから俺は、その生き様に恥じぬ生き方をするとこの胸に誓ったんだ」

黒雪姫「あなたは、本当にすごいな。ハルユキ君が憧れる理由もよくわかる。それに比べて私は……」

ドモン「言ったはずだ、とらわれるなと。真面目なのはいいがハルユキをあまり心配させるな」


ドモン「それより、コーヒーのおかわりをもらってもいいか? 冷めてしまったからな」

ハル「そうですよ、だからこの話はこれで終わりです」

ハル「それより先輩、ドモンさんに聞きたいことが、あったんじゃないですか?」ア、コーヒーオカワリオネガイシマス  ハーイ


黒雪姫「そ、そうだ。私は、あなたに聞きたいことがあるんだ」

ドモン「なんだ?」ズズッ

黒雪姫「あ、あなたは、見たところ青年男性のようだが、どうしてブレインバーストに参加できるのですか?」

ドモン「ブレインバースト? それがこのゲームの名前なのか?」

ハル「え? それってどういう?」

ドモン「そうだな、口で説明したところで、信じてもらえるかどうか」


黒雪姫「信じるも信じないも、加速中に短距離走並みの速さで割り込んでくる、なんてものを見せられて、信じるなという方が」

ハル「突っ込んできた車を蹴り飛ばした挙句、飛び乗って中の人間引きずりだすなんてありえませんよ」


ドモン「そのくらい、ガンダムファイターなら、造作もないことだがな」ズズ

ハル「なんです? そのガンダムファイターって?」


ドモン「直接見せたほうが早いだろ、俺のこいつにコードをつなげてくれないか?」チョイチョイ

黒雪姫「直結ですか? ん、あなたのニューロリンカーは随分変わっているな」

ハル「本当だ、こんなタイプみたことないや」


ドモン「百聞は一見に如かずだ。こっちでもアクセスできるよう、多少プログラムやソケットをいじったからな。たぶん大丈夫だろう」

黒雪姫「ぷ、プログラムをいじった!?」

ドモン「こうみえて、技術者の家に生まれた身でな、簡単なOSを組んだり、ルーチンプログラムをいじるくらいは出来る」

ハル「も、もしかして、ドモンさんがバーストリンクを?」

ドモン「いや、俺じゃないが、ともかく繋げてみてくれ」


2人がケーブルを繋いだ瞬間、一瞬にして加速状態にかわった。

気がつけば、その眼前には金属でできた近未来的な扉が出現していた。

ハル「こうですか? って、うわっ! いつの間に加速状態に変わってるんだ?」

黒雪姫「な、なんだこれは!? ローカルネットに接続していないのに。おまけにどういう処理速度をしているんだこれは!」

ドモン「よし、では対話用のルームがセットされているからそこに移動しよう」

ハル「に、ニューロリンカー内にプレイヤールームだって!?」

黒雪姫「つ、通常の、ニューロリンカーとは……文字通り桁が違う」

ドモン「俺の目から見れば、そっちの方が随分と旧式に見えるけどな」

ハル「こ、これ最新モデルなんですけど。というか、確かにこれじゃ旧式と言われても」

ドモン「しかし、本当にピンクの豚なんだな、まるでマスコットとキャンペーンガールだ」

ハル「は、はあ。というかドモンさんはそのまんまですか」

黒雪姫「アバターを作らないのですか?」

ドモン「俺は俺だ。姿を偽る理由がどこにある」

ハル「ですよねー」

黒雪姫「すごく納得できる」

―――――――対話ルーム―――――――


ドモン「まず話すと、俺はこの世界の人間じゃない」

ハル「へ?」

黒雪姫「それはどういう?」

ドモン「話すより見てもらおう、たしかここにガンダムファイトのデータと、レインが用意した観光アピール映像のデータが」ピッピッピ

ハル「観光アピール映像?」

ドモン「ああ、ひと段落したら火星か木星にでもバカンスに行きたいと言ってたからな。勝手に入れておいたんだろう」

黒雪姫「は? 火星にバカンス?」

ドモン「ああ、俺の世界はスペースコロニーもあるからな。こっちでは軌道エレベーターができたばかりなのだろ」

ハル「す、スペースコロニー?」

ドモン「まあいい、ともかく見てくれ」ピッ

ジャン! ジャジャジャジャーーーン!

ナレーター『ネオジャパン、観光協会。火星ツアー編』


ハル「な、なんだこれ!?」

黒雪姫「う、宇宙に国のかたちをした島が浮かんでる!?」

ドモン「これが俺の世界だ。浮かんでいるのは各国を象徴するコロニーで……云々」

ハル「……ね、ネオジャパン?」ボーゼン

黒雪姫「……こ、コロニー連合?」アゼン

―――――――視聴後―――――――


ドモン「というわけで、俺は事故でこちらの地球がある世界に来たというわけだ」

ドモン「正直この映像があって助かった。いかんせん俺は説明というのが苦手だからな。ん、どうした?」


ハル「……あ、亜空間通信?」ポカーン

黒雪姫「……じ、重力制御?」ポカーン


ドモン「? まあいい、次はガンダムファイトだ、前回俺が出た時の、対ドラゴンガンダム戦の映像がいいだろう」


ガンダムファイト! レディーゴー!

ハル「す、すごい。あんな大きなロボットが、人間みたいに戦ってる……」

黒雪姫「し、しかも、あの動き、早いだけでなく全く無駄がない」

黒雪姫「互いに真っ向から撃ち合いながら、全ての攻撃を受け止めている!」


ドモン「対戦相手は、サイ・サイシーといって、当時若干16歳。少林寺再興のために参加したファイターだ」

ハル「じ、16歳なのにドモンさんと互角!?」

黒雪姫「は、ははは、もうどこから驚いていいやら……」


ドモン「予選の中の相手じゃ、5指に入るいい戦いだったな」

ハル「でも本当にすごい戦いだ。見てるだけで、体の中が熱くなってくる」

黒雪姫「ああ、小細工なしの、力と力、技と技のぶつかり合いだ。こんなすごい戦い見たことがない」

ドモン「残念ながら、このあと乱入があって試合は流れてしまったが、このあとも決勝で再びやつとまみえることになった」

ハル「そ、それで? つ、続きは?」

ドモン「結果として俺が勝ったが、正直どちらが勝ってもおかしくない名勝負だったよ」

黒雪姫「確かに、凄まじい強さだものな。ん? ちょっと待て、いくらなんでもおかしくないか?」 


黒雪姫「カッシュさんが強いのはわかったけれど、なんで格闘用のアバターまであんな強さなんだ」

ハル「言われてみればそうですよね。そもそも、アバターはその人間のトラウマからできるって話しでしょ」

ドモン「簡単なことだ、俺のはそのブレインバーストとは違うゲームだからな」


ハル「ち、違うゲーム!?」

ドモン「そうだ、元々はレイン。俺の恋人なんだが、そいつが作ったヴァーチャル対戦ゲームのデータが使われている」


黒雪姫「じ、じゃあ、もしかして」

ドモン「もとから、俺のアバターは、ガンダムファイトのデータをもとに作られているんだ」

ドモン「ガンダリウム合金の装甲にモビルトレースシステム。俺がガンダムに乗っているのと、ほぼ変わりない強さになっている」

ハル「そうか、つまり最初からレベル関係なしに、ステータスがカンスト状態だったんだ」

黒雪姫「ということは当然」

ドモン「ああ、あれから何人かと戦ったがレベルは上がらなかったな」

ドモン「恐らく規格が違うせいだろう、バーストポイントとやらも特に溜まらなかったしな」


黒雪姫「なんだ、私の心配は杞憂だったんだな」

ドモン「どういうことだ?」

ハル「ああ、それはですね……カクカクシカジカ」

ドモン「なるほどな、俺は違法データで改ざんしたキャラクターを使っているようなものだったわけか」

黒雪姫「理解していただいて、たすかります」


ドモン「なに、こちらこそ君たちの世界を土足で踏みあらすような真似をして申し訳ない」

ハル「あ、でも。約束は守ってくださいよ」

ドモン「再戦のことか。しかし、いいのか? フェアとは言い難いぞ」

ハル「関係ありません、僕はあなたとまた戦いたくて対戦を続けてきたんです。能力に絶対的なさがあろうと、目標は変わりません」

ドモン「いいだろう、一人の男に挑まれて背を向けたなら。キングオブハートの名が廃るというもの。受けてたとう」


黒雪姫「カッシュさん、私も対戦をお願いしていいだろうか?」

ハル「先輩もですか?」

黒雪姫「その、先ほどの戦いを見て、今更ながらに私もあなたの強さに興味がわいた」

ドモン「女だからとて手加減はせんぞ」

黒雪姫「この私を甘く見てもらっては困る。これでも、加速世界最強の7人が一人」

黒雪姫「何より子であるハルユキが、世話になったのだ親としては礼の一つもしたいというものだろ」


ドモン「いいだろう。ここで対戦する分には外部に知られる心配はない。見せてもらおうか最強の一角たる実力」

黒雪姫「望むところ!」

短いですけど今日はここまで。

機体は全て反重力制御、おまけに武装はナノマシンが使われています。

投下します

スカーレット「あ、改めてわかった。て、てめえも化けもんだ……」ゼエゼエ

マックスター「ま、これがマイナーリーグとメジャーリーグの違いって奴よ」


スカーレット「負けてもポイントが減らねえのはいいが、流石にへこむぜ……」

マックスター「おいおい、そっちから挑んだ戦いだろ。そのくらい覚悟しとけよ」


スカーレット「つうかなんだよ、ミサイルの雨に拳で競り勝つとかよ! おまけに、ビルに大穴あけるビーム喰らって表面焦げただけとか!」

マックスター「これでも、一秒間に10発くらい打てるからな。ビームは勢いを殺して受けただけだ」

スカーレット「い、一秒間に10発!? マジに機関銃並じゃねえか! それ以上に、ビームの勢い殺すってなんだよ!」


マックスター「だから勢いを殺しただけだって、そんな難しいもんじゃねえぜ」

スカーレット「どういう理屈だよ! わけがわからねえよ!」

マックスター「なんてえのかな。お前さんその豊富な武装を有効に使えてねえんだよ」

スカーレット「どう言う意味だよ」


マックスター「見てな」タキューン!

スカーレット「なんだよ、木に早打ちなんてやって」

マックスター「俺が何発撃ったかわかるか?」

スカーレット「あん? 1発じゃねえのかよ?」


マックスター「じゃあ、木の葉を見てみな」

スカーレット「木の葉つったって……っ!?」

マックスター「合計6発だ。拳銃はそこそこの俺だがこのくらいはできるんだぜ」

スカーレット「い、いつの間に?」

マックスター「火力は重要だが、たかが人間一人倒すのに、ミサイルの雨降らす必要はねえんだ」

マックスター「確実に仕留める一発、それをいかに叩き込むかが大切ってことだよ。豊富な武装は有効に使い分けるもんだ」


スカーレット「そういうあんただって、手数に頼ってるじゃねえか」

マックスター「いいや、あれは最速のパンチを目指してたら自然にできただけだ」

マックスター「ついでに言うと、俺は全てを正確に急所にたたき込める」

スカーレット「……」


マックスター「それにお前さん、自動照準に頼りすぎだ。射撃の基本は予測射撃」

マックスター「いかに相手の動きを先読みするかにかかってる。こいつは、格闘にも通じる能力だ」

スカーレット「なあ……そいつをあたしに教えてくれないか?」

マックスター「理由をきいてもいいか?」

スカーレット「あたしには、倒さなきゃいけない、いや、助けなきゃいけない仲間がいるんだ」

スカーレット「今のあたしにはそいつを助け出せるだけの力が無い。だからあたしは強くならなきゃならないんだ!」

マックスター「いいぜ。まあ最初からそのつもりだったからな」

スカーレット「何?」


マックスター「なんていうか、ほっとけなくてな」

スカーレット「そんなに情けなかったのかあたしは……」

マックスター「それもあるが、なんてえのかな昔の俺を見てるみたいでな」

スカーレット「どう言う意味だよ」


マックスター「お前さん、孤児だろ」

スカーレット「な、なんでわかるんだよ」

マックスター「俺も昔は、両親亡くしてニューヨークのスラムで育った孤児だからさ。そのガツガツした雰囲気でわかったよ」

スカーレット「スラムの……孤児?」

マックスター「だから、生きるためになんでもした。かっぱらいやストリートファイトもした。やってないのは殺人くらいなもんだ」


スカーレット「……」

マックスター「だから、わかったんだよ。……てえんじゃ、説得力がねえか?」

スカーレット「いや、信じるよ。あんたの生い立ちにに比べりゃあたしの方が、幸せなくらいさ」


マックスター「さて、そうと決まりゃ時間が惜しい。さっさとはじめるぜ」

スカーレット「ああ、頼むぜ“コーチ”」


―――――――仮想世界―――――――


Sガン「よしっ、今の呼吸だ。もう一発打ってこい!」

クロウ「うおりゃーーっ!」

Sガン「いい蹴りだ。だが、こういう受け方もある」ガシッ

クロウ「いてっ!」

Sガン「肘によるブロックは、受けがそのまま攻撃になる。えげつないかもしれんが、格闘ならばアリだ。覚えておけ」

クロウ「はい!」

Sガン「よし、もうこのくらいにしよう」

クロウ「ええ!? まだやれますよ」

Sガン「そろそろ代わらないと、彼女がヤキモチを焼きそうだからな」

クロウ「え?」

黒雪姫「むー」プー

クロウ「あ、す、すみません先輩。僕だけ戦っちゃって」

黒雪姫「3R制なのに、5回も戦っているんだぞ君は。私よりそんなに彼が好きなのか?」プー

クロウ「い、いえ、そんなことありませんよ」

黒雪姫「一世一代の告白はうやむやにされるわ。待ちぼうけを食わされるわ。そんなに私は魅力がないのか?」ムスー

クロウ「す、すみません先輩。後でこの埋め合わせは必ずしますから」

黒雪姫「よし、では今度の日曜日は私とデートだ。拒否権は無しだぞ」

クロウ「せ、先輩とデート!?」

黒雪姫「必ずするといったんだ。必ずしてもらおうじゃないか」

Sガン「フッ、据え膳食わねば男が廃るぞ」

クロウ「ど、ドモンさんまで~」

黒雪姫「さて、後顧之憂を絶ったところで、今度は私がお相手しよう」

Sガン「いいだろう、しかし、その姿で戦うつもりか?」

黒雪姫「いや、私のアバターは別にある。今まで正体がバレるのを防ぐために封印していたものだ」

クロウ「先輩のアバター……」

黒雪姫「君に見せるのは初めてだな。いかんせん、殺伐としたデザインなだけに君に見せるのは気が引けるが」

Sドモン「戦いに外見など関係ない。遠慮はいらんぞ」

黒雪姫「では、ご覧に入れよう。これが私のアバター“ブラックロータス”だ!」キュイーン

次の瞬間、それまで蝶をモチーフとしていた黒雪姫の姿が、黒い刃を思わせる鋭角なデザインのアバターへと変わる。

黒い逆三角形の頭部、両手両足には鋭い黒い刃、触れるもの全てを切り裂くかのような鋭利な姿だった。


クロウ「これが、ブラックロータス……」

Sガン「なるほど、確かに名前の割に剣呑な姿だな」

ブラックロータス「もちろん、この外見は虚仮威しじゃない。四肢の“終決之剣(ターミネート・ソード)”は破壊不能の地形すらも切り裂く」
(以下、ロータス)

Sガン「ほう、自らの特性を話すとは相当自信があるようだな」

ロータス「この能力は、所詮一部。本領はその身で味わっていただこう」


Sガン「望むところ! いざ尋常に!」

ロータス「勝負!」


――――――― ファイト! ―――――――


ロータス「ハアッ! “宣告・貫通による死!(デス・バイ・ピアーシング)”」シュイン

Sガン「むっ! かすっただけで、装甲を切るとは」スパッ

クロウ「す、すごい」

ロータス「ふふ、久しぶりのバトル。簡単には終わらないで欲しいものだ」ヒュン

Sガン「なるほど、確かにこの切れ味なら、例え受けであろうと攻撃そのものに変わるということか」ヒョイ

ロータス「無論。そして、攻撃は腕だけではない! “宣告・連撃による死!(デス・バイ・バラージング)”」シュバババ

クロウ「う、うわ。刃のついた足からの連続蹴りだ。かすめた背景がバラバラになっていく!」

Sガン「こいつは、なかなか厄介な攻撃だな」ヒョイヒョイ パシパシ

ロータス「言ったはずだ、最強の7人たる一角を甘く見るなと!」シュバッ

クロウ「さすが黒の王、僕なんかとは桁が違う!」

ロータス「さあ、どうするシャイニングガンダム。なんなら、その腰のものを抜いてはいかがかな」シャキン

Sガン「認めよう、確かに最強の一角足りうる強さだ。しかし……甘い!」ゴウッ

ロータス「うわっ! ば、馬鹿な! 拳圧で地面をえぐりとっただと!? アビリティーもないのに!」

Sガン「貴様にできるなら。俺にできない理由はない」

クロウ「い、いや。流石にそれは無理が……」

ロータス「くっ! (あのデータから覚悟はしていたが、よもやたった1発で状況をひっくり返されるとは)」

Sガン「準備運動はそのくらいにして、そろそろ本気でかかってきたらどうだ? まだ、“あるのだろ”」

ロータス「ふう……、よもやこれだけで手の内を読まれるとは。あなたはつくづく桁外れだ」

Sガン「悪いが、たかだか14、5の子供に遅れを取るようではガンダムファイターは務まらないのでな」


ロータス「では、そのたかが14、5の子供の本気をお見せしよう。ハアッ!」キイイイイン

クロウ「なっ! 先輩が青い光を纏って……」

Sガン「むうっ!」


ロータス「これが私の本気、“オーバードライブ”だ。ハルユキ君には以前少し話したが」

ロータス「ブレインバーストには、イメージによってアバターの事象を書き換え強化する。心意(インカーネイト)システムというものが存在する」

クロウ「心意システム、じゃあこれが」


ロータス「基本は攻撃、装甲、移動、射程の4種類の強化で、どのアバターもいずれか一つだけ使うことができる」

ロータス「そして、それによる攻撃は心意技でしか受けられない」

Sガン「それがお前の心意技ということか」


ロータス「いいや、あくまでこれはその応用だ。いくぞっ!」キンッ

Sガン「何!? さっきより速度が増しただと?」スパッ


ロータス「当然威力もだ!」シュオン! 

クロウ「なっ、触れてないのに、地面が切り裂かれた!」


Sガン「ならばっ、ハアッ!」ゴウッ

ロータス「なんのっ!」カキンッ

Sガン「今度は緑の光で弾いただと!?」

ロータス「おっと、それだけではない! これが私の心意技“奪命撃!(ヴォーパル・ストライク)”」シュゴウッ 

Sガン「こんどは赤い光で長距離から! この威力。よけそこねたら、ひとたまりもないな」ヒョイ


クロウ「まさか、先輩は全ての心意技を使えるんですか!?」

ロータス「これは厳密には心意技ではない。威力も心意技ほどではない思い込みだが、その場に応じて使い分ければこうして有利に戦闘を進められる」

ロータス「というわけだが。いかがかな?(手の痺れがまだ取れない……一撃で6割は伊達ではないな)」イタタ


クロウ「すごい、先輩はシャイニングガンダムを相手に互角に戦えるんですね!」

ロータス「ふふ、伊達に黒の王であったわけではないのだよ(正直かなり綱渡りなんだが……)」ケッコウカンタンニヨケラレルシ

Sガン「なるほど、大したものだ。ではこちらも手の内を明かさねば失礼というもの」

ロータス「くるか?」


Sガン「はあああああああああああっ!」キュイイイイイイン


クロウ「お、黄金の光!?」

ロータス「な、こ、こんな。過剰光(オーバーレイ)見たことがない!」ウソッ!


Sガン「これが、俺の奥の手。真のハイパーモードだ!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ロータス「は、ハイパーモード!?」


Sガン「明鏡止水。怒り、憎しみといった、心のわだかまりを捨て、一滴の水となることで己の真の力を引き出す。それがハイパーモード!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

クロウ「す、すごい。あの時以上に空気が震えている!」

ロータス「く、くうっ!」ビリビリ


Sガン「では、そろそろ決着をつけるぞ!」

ロータス「いいだろう。ならば、この私の最強の心意技で迎え撃つ!」

クロウ「お、お互いにすごい気迫だ」ゴクリ


Sガン「いくぞおっ!」

ロータス「応!」


Sガン「キングオブハートッ! シャアァァァイニングゥゥゥ! フィンガァァァァァァッ!」


ロータス「8つの星の光よ! 星光連流撃!(スターバーストストリーム)」


クロウ「2人とも本気の真っ向勝負だっ!」


黄金の光を放つ指と、8つの星の光を宿す刃がぶつかり合う!





















……こともなく、あっけなくブラックロータスの刃は粉砕され。

彼女の体は、突風に吹き飛ばされる紙切れのように、宙を舞った。

クロウ「せ、先輩! 大丈夫ですか!?」

ロータス「は、ははは。いや、なんといっていいやら……」


Sガン「なるほど、最強の一角にふさわしい強さだった」

ロータス「い、いや、お褒めいただけるのは嬉しいが、ここまで実力に差があったとは……」

Sガン「そちらが矜持をかけてきたならば、全力で答えるのが礼儀というもの」


クロウ「なにも、ここまでやらなくても……」

ロータス「たしかに、シャイニングガンダムの実力ならば。ハイパーモードなど使わなくとも、私を倒すことくらい造作もなかったはずだ」

クロウ「だ、だったら」

ロータス「だがそんな勝ち方など、自分の強さを鼻にかけ、相手を嬲るようなもの」

ロータス「だから彼は自分の奥の手をあえてさらけ出し、私の全力に答えたんだ。もちろん私も全力だった」

ロータス「あらん限りの必殺技、心意技を使ってなお及ばなかったんだ。文字通りの完敗だよ」

Sガン「立てるか?」

ロータス「ああ、なるほど。ようやく私も理解できたよ」

クロウ「え?」


ロータス「戦うということは、いいものだったんだな」


クロウ「はい」

Sガン「……」コクリ


―――――――公園―――――――


タク「ふんっ! はっ! ふんっ!」

???「多少様になってきたかな」


タク「そうは言っても、ようやく日課をこなせるようになってきたばかりだよ」

???「ま、オイラも最初は站椿と基礎訓練ばっかりだったからな」

タク「まだまだ、先は長いなあ」

???「そりゃ、そんな簡単に収得されちゃオイラの立場ってもんがねえよ」


タク「そういえば、10年以上も続けてるんだっけ?」

???「オイラは、少林寺で生まれ育ったからほとんど当たり前にやってたけどな。ところで、そのブラックなんちゃらは挑戦は受けてくれそうかい?」

タク「一応、メッセージは送ったけど。返事はまだかな」

???「ま、ダメなら他にも王ってのはいるんだろ? なんなら、お前んとこの青の王でもいいじゃん」

タク「ええ!? 流石にブルー・ナイトに刃は向けたくないよ」


???「いいじゃん、向こうも騎士なら正々堂々勝負を挑めば文句なんかいわれないさ」

タク「そう簡単に言うけどさあ……」

???「そいつがお前の親分なら、仲間が強くなったことを素直に喜んでくれるって」


タク「はあ、全くお気楽だなあ。サイシーは」

サイシー「にひひ」

今日はここまでです。

再開します

ハル「それで、ドモンさんは、これからどうするんですか?」

ドモン「まあ、公園で寝れそうなところがあったから適当に寝泊まりして、何か仕事でもさがすさ」


黒雪姫「でも、身分の保証がないなら、何かあったとき警察にも頼れないと思うのですが」

ドモン「こればかりは、どうにもならんからな。こいつを使えばそれなりのことができるみたいだが」

ハル「確かにそれは、俺たちの世界じゃ、桁外れのシロモノですからね」


ドモン「ただ、想像以上に性能差があるせいで、閲覧してはまずいものまで見れてしまうみたいでな」

黒雪姫「具体的には?」

ドモン「この国の諜報機関の情報は見ることができたな」

黒雪姫「ぶーっ!」

ハル「せ、先輩」

黒雪姫「そ、それはまずいなんてものじゃない」ケホケホ


ドモン「どこか、適当な日雇いでもあればいいんだが、どうにかなるだろ」

ハル「そ、それじゃ、俺の家に来ませんか?」

ドモン「いや、流石にそれはまずい。気持ちは嬉しいが、お前の家族に迷惑をかけるのは申し訳ない」

ハル「で、でも。命の恩人に屋根もない生活をさせるなんて」

ドモン「だいじょうぶだ。修行で野宿なんてザラだったからな、もしここいらがダメなら、山か海の方にでも行ってみるさ」


黒雪姫「いや、あなたは私にとっても命の恩人なんだ。その恩を仇で返すような恥知らずな真似はしたくない」

ドモン「だが、君はまだ14だろ。無理をしなくてもいいぞ」

黒雪姫「私を甘く見るなと言ったはずです。私のマンションに使っていない予備の部屋がありまするから。そこを貸しましょう」

ドモン「しかし……」


黒雪姫「私としても、あなたのような心強い方が隣人であれば文句などない。それとも、14の子供に借りを作るのは面子が許しませんか?」

ドモン「わかった、そうまで言われて断るのも気が引ける。このとおりあてのない身だ、恥を忍んで世話になろう」マケタヨ

黒雪姫「恥じる必要はありません。老いては子に従えと言うではありませんか」フフン


ドモン「はは、こいつは一本取られたな」

ハル「あはは。あ、そうだ先輩、この際ですからシアンパイルの件を相談してはどうです」

黒雪姫「あの件は私がどうにかすると言っただろ、カッシュさんは無関係なんだ。そこまで恥知らずにはなれない」

ドモン「何の話だ?」


ハル「その、先輩がシアンパイルというバーストリンカーに付きまとわれているんですよ」

黒雪姫「ハルユキ君!」


ハル「でも先輩、このままにしておけませんよ!」

ドモン「まあ、待て。俺もただで世話になるわけにはいかん。力になれるならさせてもらいたい」

黒雪姫「ですが!」


ドモン「なら、とりあえず話だけ聞いて、受けるかどうかは俺が決める。それでどうだ?」

黒雪姫「まあ、話すだけなら……」ムー

ハル「じゃあ、俺が説明しますね」


―――――――ハルユキ説明中―――――――


ドモン「なるほどな、勝負を受ければ正体がバレる。しかし、放ってもおけないということか」

ハル「俺もそれと思われる人間をあたっては見たんですが」

黒雪姫「あの件は済まなかった、君に幼馴染を疑わせるような真似をさせてしまって」

ドモン「簡単なことだ」

ハル「え? 何か手があるんですか?」

ドモン「その両腕の手で解決すればいいだけだろ」

黒雪姫「両腕の手って……つまり受けろということですか?」


ドモン「ああ、ただし受けるのは、お前だハルユキ」

ハル「俺がですか!?」

黒雪姫「ま、待って欲しい。私は先程ハルユキを巻き込むわけにいかないと!」

ドモン「なんだ、自分の“子”に借りを作るのは面子が許さないか?」

黒雪姫「メンツ以前の問題です! ハルユキ君は関係ないのですよ!」


ドモン「ハルユキ、ひとつだけ聞こう。お前は今戦うことをどう思っている?」

ハル「……最初は、先輩の力になりたくて、そのためだったらコマになったって構わないって思ってました」

黒雪姫「ハルユキ……」

ハル「でも、ドモンさんと出会って拳を交えて、生まれて初めて戦うことっていいなって思えて……」

ドモン「……」

ハル「そのうち、先輩を守るためなら俺がコマのままじゃいけないって思えて。だからこそ、先輩のためにシアンパイルと戦ってもかまわないって」

黒雪姫「……」

ハル「けど、先輩とドモンさんの戦いを見てるうちに、すごい体の中が熱くなってきて。上手く言えないけど、見たことのない強い奴がいるなら俺も戦ってみたいなったんです」

ドモン「それは自分のためにか?」

ハル「はい。僕今まで痛いの嫌いだし、殴るのも嫌だって思ってました。でも、この拳で人は分かり合えるんだなって思ったんです」

ハル「だから、シアンパイルがどんな奴かは知らないけど、僕は……いや、俺は今戦いたいんです!」

黒雪姫「はあ……。カッシュさん、私はあなたを恨みたい気持ちでいっぱいです」

ドモン「ほう」


黒雪姫「あんな、真っ直ぐな目で言われたら、私は嫌だと言えないじゃないか」ムー

ドモン「そこは素直に喜ぶべきだぞ。自分の好きなが男を上げたのだからな」

ハル「……え?」スキ?

黒雪姫「あ、そ、それはそうなのですが……す、好きな男」ドキドキ


ドモン「ん? デートに誘ったり、彼のために泣けるのだから当然恋人なんだろ?」

ハル「そ、そんな。俺と先輩はその……」ドキドキ

黒雪姫「な、なんだ君はそんなに私と付き合うのがいやなのか」ムッ

ハル「い、嫌じゃないですけど。そんな僕なんかが……」オロオロ

ドモン「何を照れているか知らんが、お互い好きなら好きと言ったらいいだろ」

ハル「そ、そうですけど、照れくさいというか、なんというか」モジモジ

黒雪姫「なんだ君は、私の告白を聞いてなかったのか! 言っただろう君が好きだと」プー


ドモン「なら改めてお互いに、お前が好きだ、お前が欲しいと堂々いえば済む話だろうが」

ハル「お、お前が好きだ!?」ギョッ

黒雪姫「お、おまえが欲しい!?」ギョッ


ドモン「俺はそうやってレインに告白した。時にお互いしっかり言葉にして伝えなければ心は通じないぞ」

ハル「す、すげえ」

黒雪姫「に、人間のスケールの差を思い知らされた気分だ……」


ドモン「よくわからんやつらだな」?

ニコ「ほれ、ここだぞ」

チボデー「へえっ、いいとこじゃねえか」


ニコ「あたしは全寮制の生活だけど。あんたは宿無しだからな」

チボデー「いいねえ、俺のガキの時は廃墟で寝泊まりしてたってのによ」

ニコ「というか、あんた本当に大人だったのかよ」


チボデー「大人じゃ悪いか? そっちだって12の子供だろうが」

ニコ「ブレインバーストはニューロリンカーへの適性が必要だから14までしか遊べないんだよ」

チボデー「しみったれてんな」

ニコ「あんたが、規格外すぎんだよ。そのリンカーだってありえねえぞ」

チボデー「そうか? よくわかんねえけどよ」


ニコ「政府の住基データを、一発でハックできたときは腰ぬけたぞマジで」

チボデー「いいのかよそんなことして」

ニコ「しょうがねえだろ、あんたこのままじゃ不法滞在でしょっぴかれるぞ」

チボデー「そうだな仮にも、世界王者が不法滞在で逮捕じゃ様にならねえな」


ニコ「ったく、とりあえずあんたを留学生って扱いにしておいたから、ここに住んでても問題はねえよ。ただ、仕事くらい自分で見っけろよ」

チボデー「流石にそこまで、子供に頼らねえよ。なんなら、こっちの世界でチャンプになって、もっといいマンションプレゼントしてやんよ」

ニコ「あんた、あたしのいったこと理解してねえだろ。目立ってどうすんだよ。身元探られたらあたしまでやばいじゃねえか」

チボデー「しょうがねえなあ、じゃギャンブルで一つ……」

ニコ「却下、身を持ち崩す人間の典型じゃねえか! あたしまで借金まみれにする気か!」

チボデー「んだよ、あれもダメこれもダメじゃ何すりゃいいんだよ」

ニコ「あのなあ、あんたをここに置くのはあたしのコーチだからだろうが。明日にでも求人のサイトさがしてやっからそこで探せ」

チボデー「ワリいな」

ニコ「ったく、でけえ子供みてえなやつだな。まあ、世界が違うっちゃそうだが。あんなモンまだ信じられねえよ」

チボデー「まあ、俺だってゲームのテストするつもりが、こんなとこに飛ばされちまったからな」

ニコ「ゲームねえ。あんなとんでもねえデータのゲームなんて何世代さきのシロモンだよ」

チボデー「さあな、俺も初めてだったからよ。普通ゲームっていったらスティックレバーで動かすもんだしな」


ニコ「そんな古りいの場末のゲームセンターにだっていまどきねえよ。ホントどう言う世界なんだか」

チボデー「ま、おいおい、細かく説明してやんよ」

ニコ「んなことより、あたしのコーチだ」


チボデー「わあってるよ。お前さんが追っかけてるクロムディザスターだっけ? そいつを止めるための力が欲しいんだろ」

ニコ「そいつのホントの名前はチェリー・ルークってんだけどな」


チボデー「そのチェリーが、なんつったっけ? 妙ちくりんな鎧のせいで暴走してるってわけか」

ニコ「災禍の鎧だ。元は純粋にゲームを楽しむやつだったのに、今じゃ本能のままに無差別に相手を襲う狂戦士さ」

チボデー「まるでDG細胞だな……」

ニコ「DG……なんだって?」


チボデー「いや、こっちの話だ。んで、不規則に飛び回るそいつを叩き落として」

ニコ「この拳で“断罪の一撃”を入れる。それで、ゲームからも強制退場。それで終わりだ……」

チボデー「やりきれねえな」


ニコ「バカにすんな、これでもレギオンのリーダーだぜ。そのくらいの覚悟は背負ってんだよ」

チボデー「……わかった。教える以上、俺もては抜かねえ。準備はいいか?」

ニコ「ああ、いつでもだ」

ドモン「それで、相手に返事は出したのか?」

黒雪姫「ええ、一週間後の19時に無限中立フィールドで立ち会うことになりました。相手はシルバークロウですが」


ドモン「相手は何と?」

黒雪姫「それで構わないとのことです。立会人も認めると。ただし、勝ったなら改めて私と勝負しろと行ってきています」


ハル「……なんか拍子抜けですね」

黒雪姫「まったくだ。バックドアまで使ってたんだろうに、ここまで馬鹿正直に受け入れるとは」

ドモン「構わんさ、策があろうといざとなれば俺がどうにかする。加勢するものがあればこちらで引き受けよう」


黒雪姫「ハルユキ君は本当にいいのか? 少なくとも相手は4LVステータス面でも相当な開きがあるぞ」

ハル「構いません、むしろ今からワクワクしてるくらいですよ」


ドモン「なら、これからの1週間徹底的にトレーニングをしてもらおう」

ハル「はい!」

黒雪姫「ですが、なぜわざわざリアルでハルユキのトレーニングをするんですか?」 

黒雪姫「それこそ付け焼刃にしかならないし、意味があるとも思えないのですが」

ドモン「それはあとでわかる。ただ、ひとつだけ言っておこう。人間は肉体を持った生き物だということだ」

黒雪姫「??? まあ、あなたがそういうのなら。それにしても相当な過密スケジュールですよ」

ドモン「力量の差は、努力でしか埋まらん。ハルユキは大猪となる素質はあるが今はただの子豚だ。相手が野良犬でも成犬には勝てん」

ハル「だから、トレーニングなんですよね」

ドモン「そうだ、初日は軽い運動から入る。加速世界での特訓は黒雪姫、君に任せよう」

ドモン「(拳を交えた限り、彼女がハルユキにこだわる理由……。もしそうならいずれ考えんとな)」

黒雪姫「いくら君でも手は抜かないから覚悟しておけよ(よし、これでハルユキ君と2人きりに)」メラメラ

ハル「は、はい。(先輩気合入ってるな。こっちも気合入れていかないと)」

ドモン「では、これより特訓を始める! 準備はいいか!」

ハル「はいっ!」


―――――――公園―――――――


サイシー「んで、受け入れてくれたってわけか」

タク「うん。ただ、最初は向こうの子を相手しないとならないけどね。もっとも相手はLV1だ苦労はしないと思うよ」


サイシー「おいおい、そういってオイラにコテンパンにやられたのは誰だよ」

タク「サイシーが規格外すぎるんだよ。それでも油断はしないよ最初から全力で行く」

サイシー「ああ、そうでなけりゃオイラも鍛えてやった意味がないってもんさ」

タク「そういやサイシーは住むところは大ジョブなのかい?」

サイシー「おう、近所の中華屋のおっちゃんが働く代わりに住まわせてくれるってさ」

タク「でも、戸籍とかないのにどうやって?」

サイシー「故郷から出稼ぎに来たけど、悪い奴らに騙されて持ち物全部奪われたっていったら、泣きながら俺に任せろって言ってたぜ」

タク「……(うわぁ)」


サイシー「おっし。それじゃ、あと1週間徹底的に鍛えてやるよ」

タク「……お、お手柔らかに」



かくして、それぞれの特訓が始まった。


―――――――


チボデー「おら! 息が上がってんぞ!」

ニコ「な、なんで、あたしがロードワークしねえとならねえんだよ……」ゼエゼエ

チボデー「つべこべ言うな! まずは基本だ!」

ニコ「き、基本て。そんなの加速してやればいいだろ……」

チボデー「馬鹿言うんじゃねえ。頭だけの感覚に頼ってるから肝心なもんが見えねえんだ」

ニコ「な、なんだよそれ。訳わかんえーぞ」

チボデー「それが解んねえからガキだってんだよ。それとも今になってやめるか? いっそ誰かに助けてもらえば楽なんじゃねえのか」

ニコ「んだとお! なめんな。あたしをそこいらのガキと一緒に住んじゃねえ!」

チボデー「だったら、黙ってついてこい」

ニコ「上等だ!」ダダダダ

―――――――

ドモン「どうした! その程度で彼女の代役が務まるとでも思ったか!」

ハル「ま、まだまだ」ハアハァ


ドモン「いいか、拳を打ち出すとき常に目の前の相手を打つと思って拳を突きだせ! 拳に己の全てを集中させるんだ!」

ハル「せいっ! てやっ!」

ドモン「蹴りと突き、そして受けの感覚を徹底的に体に覚え込ませろ! 突き出した拳を目で追い続けろ!」

ハル「はいっ!」


―――――――

サイシー「おそい! おそい! そんなんじゃ1発殴る前に袋叩きだぜ!」

タク「くそっ! まだまだあ!」

サイシー「站椿の呼吸を忘れんな。そらっ、左の脇ががら空きだぞ!」バキッ

タク「ぐあっ! このおっ!」ビュン

サイシー「おっと、一発返したからって気い抜くなよ。相手はまっちゃくれねえんだ」シュン

タク「うおりゃあああっ!」ダッ


―――――――


チボデー「なんだあ、飛んでるハエに触ることもできねえのか?」

ニコ「う、うるせえ!」ブンブン


チボデー「いちいち目で追うな! 相手の動きの先を読め! そこに一撃を叩き込むんだ」

ニコ「こんちくしょう!」ビュン


チボデー「ハエに笑われてんぞお嬢ちゃん」

ニコ「この野郎! 虫けらがあたしをなめんじゃねえ!」

―――――――


ロータス「速度だけは一人前だが、それだけでは戦いにならないぞ」シュババ

クロウ「い、今までのバーストリンカーとは桁違いだ」キンキンキン

ロータス「いいか、この私の代わりに戦うんだ。生ぬるい戦いは許さないぞ」ビシッ

クロウ「はいっ! 行きます先輩!」ダッ

ロータス「よし、かかってこい(はあ、こういうスポコンもわるくないなあ)」

―――――――

かくして、運命の日はやってきた。


ロータス「まずは、ご招待いただきありがとうと言っておこうか」

シアンパイル「こちらこそ、受けていただき、ありがとうございます」
(以下パイル)


ロータス「あとをつけまわしていたにしては、随分と愁傷な態度じゃないか」

パイル「あの時は自身がありませんでしたから、我ながら恥ずかしい真似をしたと反省しています。申し訳ありませんでした」


ロータス「ふむ、だが額面通りに受け止めるには、いささか信用に欠けるな」

パイル「それに関して言えば、こちらの戦いを見て判断してもらいたいと思います」

ロータス「面白い、ではこちらのシルバークロウが相手をしよう」

クロウ「……」


パイル「君が僕の相手か、悪いけど手加減はしないよ」

クロウ「ああ、全力でかかってきてくれ(あの、右腕の外装が奴のメインウエポンか)」

ロータス「ここにはいないがもうひとりの立会人が、この周囲に目を光らせている。伏兵や外部への通信があった場合は即攻撃させてもらう」

パイル「構いません。ただ、あえて言うならその心配は無用です」

ロータス「ほお」

パイル「その前に前座は終わるでしょうから」


クロウ「レベル差だけで勝ち誇らないでほしいな」

パイル「いいや、実力の差で言っているのさ。仮に君と僕のレベル差が逆転していたとしても、僕が負けることはない」


ロータス「そうまで大口を叩いたのだ、分かっているのだろうな」

パイル「もちろん、ではそろそろ始めましょう」

クロウ「いくぞ……」


ロータス「よし、始めっ!」


―――――――レディー! ゴー!―――――――

クロウ「……(あの外装からの一撃がどれほどのものなのか)」

パイル「まずは様子見か。右腕の外装を警戒して、うかつに飛びかかってこないあたりは流石だけど、残念ながらそれは意味がないよ」

クロウ「なに?」


パイル「こういうことさ。ふんっ!」ジャコッ!

クロウ「なんだと!?」

ロータス「パイルを引き抜いた?」


パイル「伸びろっ! パイルロッド!」ギュン

クロウ「なっ、引き抜いたパイルが、如意棒みたいに」

パイル「この程度で驚いてもらっちゃ困るな。ふんっ!」ゴウッ

クロウ「うわっ! なんて鋭い振り下ろしだ!」

パイル「避けたか、でも、バックステップは失敗だったな」ギュン

クロウ「え? グハッ!」ドゴッ

ロータス「振り下ろしたロッドがそのまま付きに変わっただと!?」

クロウ「う、おまけに、間合いが伸びた……」

パイル「そういうことさ。接近戦型の君には、いささか荷が重いと思うよ」

クロウ「なんの、これならどうだ」ダッ

パイル「スピードを活かして回り込んできたか」

ロータス「よし、そのまま間合いを詰めれば、あの長い棒はデメリットになる」

クロウ「そこだっ! くらえ!」ゴオッ

パイル「甘いよ。ふん!」ビュン

クロウ「ぐわっ!」バキッ

ロータス「な、その場を動くことなく、体を回転させただけで見もせずにシルバークロウを弾き飛ばすとは……」

パイル「間合いを詰めてくるなんて簡単な攻めを予想してないとでも?」

クロウ「ならば……」

パイル「せいっ!」ギュン!

クロウ「ぐっ! いまだっ!」ガキン!

パイル「む!」

クロウ「この棒を掴んでしまえばあとは……」

パイル「その程度かい? はあっ!」ブン!


クロウ「うわっ、ぐはあっ!」ズシン!

ロータス「なっ! 棍をつかんだシルバークロウを、そのまま持ち上げて地面に叩きつけただと! そこまでの力はやつにはないはず」


パイル「棒を掴んで動きを封じようって考えは悪くないけど。てこの原理って奴を知らなかったのかい? 先端に行くほど振られる力は大きくなる。それの簡単な応用さ」

クロウ「こ、こいつ、こいつは本当にレベル4なのか。どう考えたってそんなレベルの強さじゃない!」

ロータス「動きだ……ステータスとか、アビリティーに左右されない強さ。単純に戦い方が上手いんだ。自らを完全一致(パーフェクト・マッチ)に引き上げてるんだ!」

パイル「さすが、黒の王。これだけで手の内を見抜かれたか」


クロウ「こいつ……、ただただ強い」

ロータス「確かに。この強さなら小細工など必要ないということか」


パイル「そのとおり、だからこそ、君では僕には勝てない」

クロウ「だとしても、引き下がるわけには行かない」

パイル「ふうん、理由は」

クロウ「お前が僕の、いや俺の目の前に立ちはだかっているからだ!」

パイル「なるほど、十分なりゆうだね。ならば全力で行くっ!」


クロウ「こいっ!」

というわけで今日はここまで。

次回決着となります。

再開します。

Sガン「想像以上の強敵だったみたいだな」

ロータス「ええ、まさかあそこまでの強さだとは……」

Sガン「今のハルユキでは荷が重いだろうな」

ロータス「正直、勝ち目など一割あるかどうか」


Sガン「しかし、ハルユキはその程度で諦めるつもりはないようだがな。ところでシアンパイル。奴をどう思う?」

ロータス「並みの使い手ではありませんね。恐らくリアルでも相当強いのでしょう」

ロータス「柔法を習った中華街にいた拳法家の中にも、あそこまで動きができる人間はそうはいませんでした」

Sガン「少林拳、それも拳法の発祥である少林寺そのものの武術だ。なにより……おれはあの動きを知っている」

ロータス「なんですって!?」


Sガン「いるのだろ。でてこい、サイ・サイシー!」

???「へへっ、さすがドモンの兄貴。もう気がついていたか」

ロータス「おまえは……ガンダム?」


ドラゴンガンダム「そうさ、オイラはサイ・サイシー。このドラゴンガンダムのガンダムファイターさ」
(以下ドラゴン)

Sガン「お前までこっちにきていたのか」

ドラゴン「ああ、レインのねーちゃんに頼まれてさ。アルゴのおっさんと戦う予定だったのが、こんなところに飛ばされちまったんだ」

Sガン「ということは、アルゴやチボデーもこっちに来てる可能性があるということか」

ドラゴン「下手すると、ジョルジュのアニキも来てるかもな」


ロータス「ま、まさか、ガンダムファイターが5人もこの世界に!?」

ドラゴン「ん、あんた誰だ?」

ロータス「わ、私は……」


Sガン「彼女は、ブラックロータスと言って、俺がこっちで世話になっている」

ドラゴン「へー、アニキの恩人てわけか。俺、サイ・サイシーって言うんだよろしくな」

ロータス「よろしく……。その、簡単に自分のリアル割れをするのはよしたほうが……」

ドラゴン「そうか~? オイラは気にならねえけどな」

ロータス「その、なんというか……いや、心配するだけ無駄だとはわかるのだが……」


Sガン「む、動きがあったようだな」

クロウ「はあ、はあ」

パイル「銀というカラーの性質上、それなりの防御力はあるようだが、そろそろ限界かな?」

クロウ「ま、まだだ」ギギギ

パイル「根性は認めるけど、ゲージが半分を切っている君に何が出来るんだい?」

クロウ「なら、そいつを今から見せてやるよ」


ドラゴン「へへっ! もう兄貴の弟子はボロボロ。どうやらおいらの弟子の勝ちみてえだな」

Sガン「それはどうかな?」


ドラゴン「けど、技量さは圧倒的だぜ。アニキんとこのカラスは、才能はあるみてえだけどさ」

ドラゴン「俺の弟子はその前から武術を教えてるし、剣道もやってたみたいだからな。その差はどうやったって埋めらんないぜ」

ロータス「確かに、レベル差に加えてあの技量。うかつに戦えば私でも苦戦しかねない相手。付け焼刃のハルユキでは……」

Sガン「自分の惚れた男くらい、信じてやらないでどうする」

ロータス「え!? い、いや、こ、こんなところで言わなくても!」アタフタ

ドラゴン「にひひ~、そりゃ勝って欲しいよな~。でも悪いけど。手も足も出ないみたいだぜ」

Sガン「あいつを甘く見るな。少なくとも既に棍の動きは見切っている様だぞ」


ロータス・ドラゴン『何!?』

パイル「じゃあ、見せてもらおうか」ギュン


クロウ「……(確かにあいつの動きに隙はない。けどかろうじて棍の動きはわかった。チャンスは一度だけ。それにかける」

パイル「はあっ!」ブン

クロウ「……そこだっ!」


パイル「何、よけただと!?」

クロウ「……(この距離ならと思ったけどやはり突きに来た。けどまだだ)」ダッ

パイル「カウンター狙いの特攻ってわけか。でも、この棍が伸縮自在だということを忘れたみたいだね」シュン


クロウ「今だっ!」ガシッ

パイル「なっ! 縮む棍を掴んでさらに加速を!」


クロウ「くらえええええっ!」ゴウッ!

パイル「ぐはあっ!」ドゴオオ!

ロータス「ハルユキ、やったあ! ……コホン」


ドラゴン「おいおい、嘘だろ。縮む瞬間を狙って棍をつかみ。その勢いで頭突きを叩き込むなんて。そんなのろい速さじゃねえのに」

Sガン「あいつは初めて俺と戦ったとき、俺の拳が見えていた。ならばあの程度大した早さじゃない」

ドラゴン「マジかよ。初見でアニキの拳が見えるなんて、どえらい才能じゃねえか」

Sガン「だからこそ、勝ち目があると踏んだんだ」


ロータス「必殺技を叩き込んだことで、ダメージはシアンパイルの方が大きい。このまま決めれば……」

Sガン「そうはいかんだろうな」

ドラゴン「当たり前だぜ、なんせこっちはまだ必殺技も使っちゃいないんだ。本番はこっからだ」

パイル「やられたよ、見事な一撃だった……」

クロウ「悪いがこのまま行かせてもらうぞ」


パイル「ふふ、まずは君を見くびっていたことを謝罪させてもらおう。そして、これで終わりだ」

クロウ「何?」

パイル「伸びろ! パイルロッド!」


ロータス「今度は、ロッドを伸ばして空に飛び上がっただと」

クロウ「空中からの攻撃か。でも、足に力の入らない攻撃なんて……」

パイル「甘いっ、“ニードルランチャー”連続発射!」

クロウ「空中からの飛び道具か、でもこの程度……」


ロータス「ダメだシルバークロウ! 今すぐその場を離れるんだ!」

クロウ「え?」 

パイル「伸びろっ!」

クロウ「うわっ! 打ち込まれたパイルが伸びて檻のように!」


パイル「こいつが僕の切り札。パイルカーゴだ。その高さは君のジャンプ力じゃ抜け出ることはできない」

パイル「さらに言えば引き抜けるほど浅く刺さっちゃいない」


クロウ「し、しまった!」

Sガン「この技は……」

ドラゴン「オイラのフェイロンフラッグの使い方をちょいとね。宝華教典・十絶陣とはいかないが……」

パイル「これで、君に逃げ場はなくなった。ふんっ!」ジャコ

クロウ「ろ、ロッドの2刀流……」


パイル「嬲る気はないが、勝たなきゃならないんでね。ホアァァタタタタタタッ!」ガガガガガガガ

クロウ「うああああああああああっ!」ギンギンギンギンギンギンギン


ロータス「逃げ場を封じられ、2本のロッドによるめった突き! あ、あれでは躱し様がない!」

クロウ「ぐあああああっ! だ、だめだ。逃げようにも前後左右は封じられ上にも逃げられない……」

クロウ「しかも、相手は、杭の隙間を正確についてくる……や、やられる」


パイル「ホアタァッ!」ドゴン!

クロウ「がっはあっ!」ガシャアン!

ドラゴン「終わったかな?」

パイル「ええ、思ったより手こずりましたけど。彼のレベルが2になっていたら勝負はわからなかった」

ロータス「くっ! いいだろう、ならばこんどはこの私が……」


Sガン「まだ終わってはいないぞ」


クロウ「う、ぐぐぐぐぐ」ギギギギギ

パイル「なんだと!?」

ロータス「シルバークロウ!」


クロウ「勝手に勝負を決めるなよ。HPゲージだってまだ2・3メモリは残ってるんだぜ…… 」グググ


パイル「驚いたよ……、あれをくらって立ち上がるなんて」

クロウ「あの、型の練習がなけりゃ全部まともに食らってたさ……」

ロータス「型の練習? そうか!?」


Sガン「いっただろ、人間は肉体を持った生き物だと。人間にとって一番強いイメージ。それは肉体とイメージが重なった瞬間だ」

Sガン「だからこそ、型の練習をさせたんだ。頭は働かずとも、体に染み付いたイメージが無意識に自らを守る」

ロータス「そうか、あの型の練習が、シルバー・クロウを完全一致に押し上げていたのか」

ロータス「加速世界では肉体のことは軽んじられるが、肉体あっての精神。そこに着目していたとはさすが!」


ドラゴン「だから全部くらっているように見えて、僅かに致命傷を避けてたってわけか。アニキの指導もさすがだが、ますますとんでもねえ才能だぜ」


パイル「まいったよ。本当に君はすごい、正直ブラックロータスとの戦い以上に君に勝ちたくてたまらなくなった」

クロウ「来いよ、今度は全部受け止めてやるぜ」

パイル「なら、これから君に見せるのは正真正銘の奥の手だ」ジャコン!


ロータス「パイルから青い光が……まさか!?」

パイル「うおおおおおおおおおっ!」キイイイイン

クロウ「し、心意技!?」


パイル「いくぞっ! 必殺! “シアンブレード・莫耶の太刀!!”」

ドラゴン「ドラゴンファイアーとはいかねえが、檻もろともぶった切る正真正銘の必殺技だ!」


Sガン「今のシルバークロウにあれを受け止められる技は……ない」

ロータス「そ、そんな」

ドラゴン「万事休すというわけだ! やっちまえ!」

パイル「ほぁたあーーーーーーっ!」


クロウ「こ、今度こそダメか……。いいや、まだ何かあるはずだ。歯を食いしばれ、絶望をねじ伏せろ、目をそらすな!」

クロウ「あいつの攻撃は左上段からの袈裟斬り、横にも後ろにも前にも逃げ場はない。……本当か? 本当にそれだけか?」


パイル「終わりだーーーっ!」


シアンパイルの青く燃える大剣が、天高く伸びる杭の檻もろとも、シルバークロウをなぎ払う。

瞬間、猛烈な勢いで薙ぎ払われた杭の残骸が、無残に飛び散り。


乾いた音を立てた。

















だが、しかし!

ドラゴン「な、なんてやろうだよ」

Sガン「ふっ、いるものなんだな。規格外の天才というやつが」

ロータス「シルバークロウ……き、君はなんてモノを持っているんだ」

パイル「は、ははは、もう笑うしかないな。まさか、まさかそんな避け方があったなんてね。見事だよシルバー・クロウ」



パイル「加速世界唯一の完全飛行アビリティー。そんなモノを持っていたなんて!」


そこには白銀に輝く翼を生やし、百メートルを超える上空に浮遊するシルバークロウの姿があった。

さながらそれは、銀色の天使のようであり、正しく銀色に輝く翼を持つカラスだった。

ロータス「よしっ! いくらシアンパイルでもあの高さまでロッドは届かない。スピードもシルバークロウの方がはるかに上だ」

ロータス「奴を持ち上げて、上空から落とすことができれば一撃で……って何をやっているんだ君は!」


 驚愕の一同を前にシルバークロウは、軽く上空を旋回したあと、シアンパイルから50mほど離れた場所に降り立った。


ロータス「な、何をやっているんだ。あの高さを維持したまま攻撃すれば君の勝ちじゃないか!」

クロウ「確かに一方的に奴を倒せるでしょうね。でも、すみません。そんな決着なんて絶対にゴメンです」

パイル「いいのかい? 悪いけどそんな甘い考えじゃ、もう一度飛ぼうとした瞬間、僕のロッドが君の翼を叩き砕くだけだよ」


クロウ「飛ぶ気はないさ。ただ、お前とだけは真正面からケリを付ける。俺の勝手なこだわりだよ」

パイル「心意技を持ち、リーチでも優れた相手に、唯一のアドバンテージを捨てて正面から挑むってわけかい」


パイル「とんだ大馬鹿だな。でも、そんな馬鹿に挑まれて逃げてちゃ、こっちも今日まで鍛えてきた意味がない」

Sガン「ふっ、これほどの名勝負。ガンダムファイトでもそうは見られないな」

ドラゴン「まったくだぜ、見物人が俺たちだけってのがもったいねえよな」

ロータス「ええい! もうこうなったら、勝って終わらせなければ絶対にゆるさないからな!」


パイル「だ、そうだよ。だが、勝ちを譲る気なんてさらさらないけどね。ハアッ!」ゴアッ


クロウ「……(奴の心意技、“シアンブレード・莫耶の太刀”長さといい威力といい、並みの技じゃない)」

クロウ「……(あれをかいくぐって懐に飛び込むは、相当なスピードがいる。だがこの翼を使えば不可能じゃない)」 


パイル「なるほどその翼でスピードに物を言わせて突っ込んでこようってのかい?だが、こちらの斬撃の速さを甘く見ないで欲しいな」

クロウ「……(そう、それだけじゃダメだ。ただの必殺技とスピード意外にもう一つ。心意技が必要だ。でも、出来るのか?)」 

クロウ「……いいや、やる。やってやるだけだ!」

Sガン「シルバークロウの奴、まさか……」

ロータス「む、無茶だ。LV1で心意技なんて。教えてもいないし、成功したこともないのに!」

Sガン「それはどうかな?」

ロータス「え?」

Sガン「思い出せ! あの時、初めて受けたシャイニングフィンガーを! お前の先輩が見せてくれた技の数々を!」

パイル「とどめだああああああっ!」


クロウ「(僕の唯一の必殺技、それを最大の威力で放つ! そのためには!)」


圧倒的な速さで突き出される、恐るべき青い光の剣!

だが、それを前にしてなお、シルバークロウは己の全てを頭部に集中していた。

唯一相手を倒しうる必殺技の頭突き。そしてこれまでの戦いのイメージ。

何より、己を圧倒的な力で粉砕した。光り輝く黄金の指の向こうに垣間見たもの。

その全てを自らの望むイメージへと塗りかえる!

次の瞬間、シルバークロウだったものは光る白銀の弾丸と化し、螺旋を描きながらシアンパイルめがけて突っ込んでいった。


Sガン「何っ! あの技はっ!?」

ドラゴン「う、嘘だろ。あれって!」


Sガン・ドラゴン『超級覇王電影弾!』


パイル「こんな特攻覚悟の技なんて、このロッドで……な、なにいっ! ロッドが心意技もろとも砕かれていく!!」


クロウ「くらえええええええええっ!」ギュオオオオオオオン!!!

パイル「うああああああああああっ!」

砲弾が要塞を吹き飛ばすかのような轟音と衝撃のあと、巨大なクレーターがフィールドのど真ん中にできていた。

その中央には、ボロボロになって地面にめり込んだシアンパイルと、ボロボロになりながらも、膝をつくシルバークロウがいた。


ロータス「やった! シルバークロウの!」


――――――― ドロウ ―――――――


ロータス「ってなんだそれは!?」

Sガン「まあ、当然だな。あの技はよほど鍛えていなければ、使ったものの肉体も無事じゃすまない」

ドラゴン「というか、打てただけでも本来はとんでもないんだぜ。ただ有り体に言うと失敗したんだけどさ」

Sガン「それでも、自らを突き詰めて、流派東方不敗の奥義にたどり着いたことは、ハルユキが紛れもない天才である証だ」

Sガン「教えた側としては、嬉しいやら悔しいやら」フッ


ロータス「じ、じゃあ、シルバークロウの乾坤一擲の攻撃は……」

Sガン「結論だけ言うと、相手を巻き込んだ、ただの盛大な自爆だったということだ」

ロータス「にしても、これが自爆技……って。そうだシルバークロウ!?」

クロウ「あ、先輩……すみません」ギギギギ

ロータス「謝らなくていい、結果は引き分けだが、私は君の勝ちだと思うよ」ポン

クロウ「でも、結局……」


パイル「膝をついていたとは言え立っていた君と、この有様の僕じゃ比べるまでもないだろ」

クロウ「シアンパイル……」

パイル「それよりも手を貸してくれないか? 文字通り体が地面にめり込んで満身創痍で動くこともできないんだ」

ロータス「シルバー・クロウ……」

クロウ「……」スッ

パイル「おめでとう。君の勝ちだ、シルバー・クロウ」ガラガラ

ドラゴン「あ~あ、負けちまってよ。このあと特訓だからな」

パイル「う……、そ、そのできれば手加減を」


ドラゴン「冗談だよ。いい戦いだったぜ二人共。というかあの状況でひっくり返しに来るなんて、さすがはドモンのアニキが見込んだだけはあるな」

クロウ「あ、ええとあなたは?」

ドラゴン「俺はドラゴンガンダムのサイ・サイシー。このシアンパイル、黛拓武の師匠ってわけさ」

パイル「なっ! ちょっ! さりげなくリアル割れしないでよ!」


クロウ「へ? ひょっとして……タク? タクなのか?」

パイル「え? まさかとは思うけど……ハル?」


クロウ「……」

パイル「……」

2人『えーーーーーーっ!?』


―――――――ビルの上―――――――

マックスター「ひゅーっ! いい戦いだったじゃねえか。ま、偶然出くわしたから、盗み見同然てのが締まらねえがよ」

スカーレット「あれが、シルバー・クロウとシアン・パイル……」


マックスター「んで、どうだい? 今のお前さんを満足させられそうかい?」

スカーレット「へへへ、上出来だ。あれなら今のアタシを試すのに不足はねえ。場合によっちゃねじ伏せてでも利用させてもらうぜ」


マックスター「ふふん、とんだラッキーだったな。さて、幸先いいところでトレーニングの続きと行こうか?」

スカーレット「おう! 俄然燃えてきたぜ!」

―――――――現実の喫茶店――――――― 

3人『はあ~~~っ』

サイシー「あいつら、さっきから何を凹んでんだ?」

ドモン「さあな、しばらくそっとしておいてやれ」


タク「ま、まさか、ハルがシルバー・クロウで。しかも、ブラック・ロータスの子だったなんて」

ハル「先輩を狙ってたのがタクで、おまけにドラゴンガンダムの弟子……」

黒雪姫「それで、2人は幼馴染の親友? 出来過ぎだろう……」

ハル「それにしても何でタクが先輩を狙ってたんだよ」

タク「いや、それについてはホント申し訳ないというか、我ながら情けないというか……」


黒雪姫「まあ、リアルの成績をバーストポイントに依存したために、非合法な手段でポイントを稼ぐ輩はいるわけだが」

タク「いや、本当に申し訳ありません。バックドアなんてものまで使って幼馴染を利用していた自分をただただ恥じるばかりです」


ハル「じゃあ、チユに仕掛けられてたバックドアは……」

タク「僕だよ……軽蔑したかい? 剣道の天才なんて言われておだてられていたその実、バーストリンクに依存した卑怯者さ」

ハル「タク……」


黒雪姫「それで君はどうするんだ? このことをブルー・ナイトが知れば、潔癖な彼のことだ、断罪の一撃は逃れられないぞ」

タク「それについては、もういいんです。あの戦いで僕は自分の全てを出し尽くした。それであの結果なら後悔はない」

ハル「……」

タク「何より、人間の可能性はバーストポイントで決まるものじゃないとわかったんです。ここからは自分で自分の可能性を探していこうと思います」

黒雪姫「残念だよ。こんな形っで優れたバーストリンカーを失うことになるなんて」

タク「当然の報いです。かりそめの力と引き換えに、かけがえのない幼馴染を2人失った。それが僕に対する報いです」


ハル「―――そんなことない!」

タク「ハル……」

ハル「タクは、タクは正々堂々と戦ったじゃないか! 努力してすごい技を身につけて、僕なんかよりずっとすごいバーストリンカーになったじゃないか!」


タク「でも……それは」

ハル「チユは僕を信じてくれた! 直結なんかしなくったって僕は僕だって言ってくれた。2人で謝ればちゆだって許してくれる!」

タク「……」


黒雪姫「君はバーストリンカーとしての資格を失ったが、本当に大切なものまでは失ってなかったみたいだな」フッ

タク「……はい」コクリ

黒雪姫「まあ、いろいろあったがこの件もこれで終わりだ。すまなかったなハルユキ君」

ハル「ええ。でも、もう一回くらいタクと勝負がしたかったな……」

タク「そうだ……な」


サイシー「すりゃいいじゃん」

タク「いや、そうは言うけど。けじめとして僕は青の王、ブルー・ナイトにこのことを伝えて処分を受けないと」


ドモン「つまり、その青の王を納得させれば問題ないんだろ?」

黒雪姫「ち、ちょっと、まってください! 確かに貴方の力なら青の王を屈服させられるでしょうが……」

ドモン「だれが、そんなことをするといった」

黒雪姫「で、ですが、この明確な違反行為を見逃してもらうにはよほどの理由がないと!」


サイシー「あればいいんだろ? あれば?」

ドモン「ふっ、サイサイシー。体はなまってないだろうな?」

サイシー「あったぼうよ。タクムと一緒にオイラもクンフーは欠かしちゃいないぜ」


タク「あ、あの。一体何を?」

ドモン「ハルユキ。お前はあの戦いの続きが見たいと行っていたな?」

ハル「ええ、まあそうですが……ってまさか!?」


サイシー「へへへ、見せてやるよ」

ドモン「この世界の連中に」


ドモン・サイシー『ガンダムファイトをな!』

今回はここまでです。

次回:ガンダムファイト!!!



たっくんを強くしすぎて、ハルを勝たせるのが大変だった……

再開します。


それでは皆さんお待ちかね!

ガンダムファイトー!



レディー! ゴー!

――――――― PM 19:00 アキハバラステージ ―――――――

バーストリンカーA「本当かよ、あのシャイニングガンダムが現れるって」

BリンカーB「ああ、あれからあっちこっちのレギオンに無差別にメールが送られてきてよ」

BリンカーC「しかも、その送り主があの失踪したっていう黒の王なんだろ」

BリンカーD「その証拠にみろよあのメンツ」

BリンカーA「うげっ! ほぼ全ての王が勢揃いじゃねえか!」

BリンカーC「ああ、今んとこ赤の王と白の王は姿を見せちゃいねえが、レギオンの連中は勢揃いだぜ」

ロータス「壮観だな、これだけのメンバーが揃ったのは、七王会議以来だ」

クロウ「す、すげえ人数。せ、先輩、僕こんな中でやるんですか?」


ロータス「正直我々が前説というのは気に食わんが、今回ばかりはメインが違うからな」

パイル「2人ともまだ観戦用アバターのままだけどいいんですか?」


ドモン「まあな、そのほうが顔見せとしちゃ都合がいい」

サイシー「それに顔が割れてりゃ向こうから来てくれるんだろ。だったらそいつらとっつかまえて、いろいろ利用できるじゃねえか」

パイル「サイシーのは、聞かなかったことにするよ……」

ドモン「む、時間的にもそろそろいいだろう、始めてくれ」


ロータス「了解した。さ、しっかり私をエスコートしてくれよ」

クロウ「は、はい。うわっ、この観戦者達のど真ん中に降りるのか……」

ロータス「早くしないと、見物客がしびれを切らすぞ」

クロウ「は、はい」


BリンカーA「おい、あれなんだ?」

BリンカーB「あのアバター、飛んでないか?」

BリンカーC「まじか、完全飛行型なんて初めて見たぜ」


BリンカーD「じゃあ、あいつが抱いているアバターはまさか」

BリンカーA「間違いねえ、黒の王ブラックロータスだ!」

BリンカーB「本当に生きてやがった!」

ブレイズ・ハート「あいつ、よくも……」

ブラッド・レパード(以下パド)「だめ、私の王からは手を出すなと言われている」

ブレイズ「でも!」

パド「最後まで見届けろ、それが私たちのするべきこと」

ピーチ・パラソル「なっとくいかないなあ」


アッシュ「あのやろう、完全飛行型とはどえれえクールな事してくれるじゃねえか!」

ブッシュウータン「それを従えて現れたってことは、黒の王相当な自信があるんでやんすね」

グリーン・グランデ「……」

アッシュ「ま、大将が動くなって以上しょうがねえけどよ」

コバルト・ブレード「シアンパイルが言うには、この戦いを見て欲しいとのことでしたが」

マンガンブレード「バックドアだけでは飽き足らず、黒の王に転んだか」

ブルー・ナイト「それはないだろ。ただ、こうまでして見てしいと言うんだ。楽しませてもらおうじゃないか」


イエローレディオ「ふふん、どんなショーを見せてくれるやら」

サックス・ローダー「他の連中より先に首を取る準備は怠ってませんよ。皆準備万端です」


パープル・ソーン「……」

アスター・ヴァイン「……(怖すぎて空気が辛い)」

―――――――ビルの中―――――――

ブラック・バイス「さあて、どれほどのものか見せてもらいましょう。しかし、あなたが直接来るとは意外でした」

ホワイト・コスモス「可愛い妹のことだもの、当然でしょう」

アルゴン・レイ「コレの完成と同時期に現れた連中。なにか関係があるのかしら」

クロウ「うわあ、すごい緊張する。今にも攻撃が飛んできそうな雰囲気」

ロータス「いいじゃないか、ここまで来たんだ。派手に行こう。バトルグラウンドエリアの中央に降ろしてくれ」

クロウ「わかりました。ドモンさん達だいじょうぶかな」


―――――――アキハバラ・バトルグラウンド中央―――――――


ロータス「お集まりの諸君、この度は私の招待を受けていただき感謝する!」

一同「ザワザワ」


ロータス「最初に断っておくが、これは私の宣戦布告でも、リバイバル宣言でもない」

一同「……」


ロータス「つい最近、私はあるバーストリンカーと戦い、カンブなきまでに敗北した」

一同「ざわっ!」

BリンカーE「く、黒の王が!?」

BリンカーD「そ、それってまさか」


アッシュ「まじかよ……仮にも7王だぜ」

パド「私の王を倒したアイツ……」

パープル「はっ、いい気味ね。負けヅラを晒しに来るなんて愁傷だこと」


ロータス「その人物に関しては、諸君らも記憶に新しいはずだ!」


BリンカーC「そ、それって」

BリンカーD「ま、まじか」

ロータス「彼が諸君らに見て欲しい戦いがあるということで、僭越ながらこの私が立会人を務めることになった!」

一同「シーン」


ロータス「今宵戦う2人を紹介しよう! シャイニングガンダム! そしてドラゴンガンダムだ!」


一同「うおおおおおおおおおおおおおっ!」


ブルー・ナイト「シャイニング・ガンダム……に」

グリーン・グランデ「ドラゴンガンダム……だと?」


マックスター「やっぱ、あいつら来てやがったか」

スカーレット「へへ、面白れえことするじゃねえか黒いの」

BリンカーA「お! 出てきたぞ!」

BリンカーB「って、あれは……」

BリンカーD「観戦用アバターじゃねえか。ってことは……」


アッシュ「ぎ、ギガクレージーだ! イッテやがんぜ!」

イエローレディオ「よ、予想外すぎですよ」

アイアンハウンド「公開リアル割れ上等!? なんという暴挙!」


ロータス「あー、勘違いしないように言っておく。彼らは目立ちたくてしているわけじゃない。いろいろ理由があるらしい」

ロータス「まあ、五体満足でいたければリアルを襲おうなどとは考えないほうがいい。一応これは忠告だ」

ドモン「これは、なかなかの舞台じゃないか」

サイシー「へへ、燃えてきたぜ」


クロウ「本当にいいんですか? ここに居るのは東京にいるほぼ全てのバーストリンカーなんですよ」

ドモン「かまわん。そうでなければ意味がない」

サイシー「ああ。身の安全欲しさに、中途半端なファイトしかしてない連中の目を、覚まさせてやるんだからよ」


ロータス「正直、かなり私もやけです。もうここから先、どうなっても知ったことではありません」

ドモン「だが、この戦いだけは最後まで付き合ってもらうぞ」

ロータス「それに関しては、YESとだけ。どれほどすごい戦いが見れるか、実はワクワクしています」

クロウ「じゃあ、打ち合わせ通り、僕たちは開始とともに上空に退避しますので」

ドモン「わかった。では、行くとしようか、サイ・サイシー!」

サイシー「おうよ。ドモンの兄貴!」


ドモン・サイシー『出ろおおおおおおっ! ガンダアアアアアアム!!』


BGM「燃え上がれ闘志。忌まわしき過去を超えて」
http://www.youtube.com/watch?v=wyfg1rTUjCU


ドモン「ぬおおおおおおおおおっ!」

サイシー「うおりゃああああああっ!」


サイシー「フンッ!! ハアアァァッ!!」

ドモン 「セイッ! とおおりゃあああっ! 」


ドモン・サイシー『はああああああああああああっ!!! 』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ブルー・ナイト「なんて気合だ」

グリーングランデ「……強い」

パープル・ソーン「う、嘘でしょ」

イエローレディオ「七の王と同等、いや、それ以上……」

ブラック・バイス「これは……想像以上ですね」


スカーレット「チェッ、やっぱまだまだ追いつけねえな」

マックスター「くさんなよ、これからその本気がみられるんだぜ」


ロータス「では、これよりシャイニングガンダム対ドラゴンガンダムの1本勝負を開始する。なお、極力流れ弾には注意してくれ」

ロータス「その、あたったらその場で強制バーストアウトになるようなのがとんでくる……」

一同「……」マジ?

ロータス「では、説明も住んだところで、開始するが彼らの戦いはバーストリンクではなく、ガンダムファイトなのだそうだ」

ロータス「だから、その流儀にのっとっておこなわせてもらう。両者準備は?」


Sガン「いつでも」

ドラゴン「構わないぜ」


ロータス「では、ゆくぞ。ガンダムファイトーーーっ! レディーーーっ!」

Sガン・ドラゴン『ゴーーーーーーーーっ!』


開始とともに2体のガンダムが激突する。

それは加速というのも生ぬるい。まさに神速といってもいい早さだった。

だが、2体のガンダムはお互いに攻撃を当然の如く受け、そして繰り出していく。

Sガン「てりゃああああああっ!!!」

ドラゴン「ほあちゃあああああああっ!!!」

ゴガガガガガガガガガガガガガガガガガガ


ロータス「文字通りの全力だな……、君の目で追えるか?」

クロウ「……無理ですよ。かろうじて、拳が見える程度、目の前にいた日には何発喰らうかわかったもんじゃないですよ」


モブA「な、なんだよこれ……」

モブB「か、加速なんて生易しいレベルじゃねえぞ!」


ブレイズ「……なに、これ」

パド「……人間じゃない」

アッシュ「すっげえ! マジグレートにすっげえ!!」

ウータン「こんなんみたことないでやんす!」



ドラゴン「少林寺秘伝! 無影脚! ホアァァタタタタタアァ!」

Sガン「肘打ち! 裏拳! 正拳! とりゃあああああああああっ!」

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ



ブルー「地面は破壊不能だったはずだよな……」

コバルト「ええ、破壊できるのは青の王であるあなたと、黒の王くらいしかいないはず」

マンガン「背後のビルと一緒に粉々になっていきますよ。舞台のハリボテじゃあるまいに……」


イエロー「……災厄の鎧なんてもんじゃありませんね。あれと戦えると思います?」

サックス「あんなの2体同時に相手なんて考えたくないですよ。ていうかメンバー全員尻込みしてますよ……」

ドラゴン「回れ宝貝! ドラゴンロッド!!」ゴガガガガガガガガガガガガ

Sガン「あまい! シャイニングスラッシュタイフーン!!」ギンギンギンギンギンギンギンギン



パープル「ええと、これブレインバーストの戦いよね……。あ、またビルが粉々になったわ」

アスター「チートコード使った、早送り画像なんて生易しいもんじゃありませんね……」


アッシュ「グリーングランデ、あんたの盾なら受けきれるかい?」

グリーン「……本気を出されたらわからん」

アッシュ「へ? 本気って? 嘘だろおい……」


ホワイト「これで、準備運動じゃたまらないわ。オブジェがまるで発泡スチロールね」

バイス「ははは、悪い冗談だと思いたいですね。今度は蹴り飛ばしだビルに飛び乗って殴り合いしてますよ」

アルゴン「あ、申し訳程度にバルカン砲撃ってる」

ドラゴン「回れ宝貝! ドラゴンロッド!!」ゴガガガガガガガガガガガガ

Sガン「あまい! シャイニングスラッシュタイフーン!!」ギンギンギンギンギンギンギンギン



パープル「ええと、これブレインバーストの戦いよね……。あ、またビルが粉々になったわ」

アスター「チートコード使った、早送り画像なんて生易しいもんじゃありませんね……」


アッシュ「グリーングランデ、あんたの盾なら受けきれるかい?」

グリーン「……本気を出されたらわからん」

アッシュ「へ? 本気って? 嘘だろおい……」


ホワイト「これで、準備運動じゃたまらないわ。オブジェがまるで発泡スチロールね」

バイス「ははは、悪い冗談だと思いたいですね。今度は蹴り飛ばしだビルに飛び乗って殴り合いしてますよ」

アルゴン「あ、申し訳程度にバルカン砲撃ってる」

BリンカーR「すげえ! こんなすげえ戦い見たことねえぜ!」

BリンカーS「まったくだ! 見てるこっちまで戦いたくなってきやがった!」

アッシュT「ちくしょー! なんてグレートでぶっ飛んだ戦いだよ!」

パイル「ははは、これで本気じゃないなんて、僕はなんて相手に師事してたんだよ」

パド「……反則」

スカイ・レイカー「無理してここまで来た甲斐があったわあ♪」

アーダー・メイデン「なのです♪」

ショコラ・パペッター「超激辛バトル!」

凄まじいまでの速さで、拳と拳! 武器と武器! 技と技がぶつかり合う!

しかし、2体のガンダムは、互いに息一つ切らしてはいなかった。


Sガン「さて、周りも盛り上がってきたことだし、そろそろ本番といこうか」

ドラゴン「ああ、いいかんじで温まったぜ。けど今回はシャイニングガンダムだろ、ゴッドフィンガーをぶっとばしたオイラの技が止めら

れるかい?」

Sガン「なめるなよ、仮にガンダムは違っても、流派東方不敗の技は健在だ。それに、ハルユキに見せてやりたい技もある」

Sガン「師としては、あんな半端な技は認めるわけには行かないからな」

ドラゴン「なんのかんので兄貴は甘いなあ、けど勝負は勝負!」

Sガン「価値を譲る気などさらさらない!」

マックスター「お、そろそろ来るぜ。あいつらの本気が」

スカーレット「わかっちゃいたが、冗談抜きでけたハズレだ。まあ、この上何が来ようが驚きゃしねえよ」

マックスター「そいつは、どうかな?」

スカーレット「……」


ロータス「む、互いに距離をとったな。互いに勝負に出るつもりだ」

クロウ「それじゃあ?」

ロータス「ああ、来るぞ!」


Sガン「はあああああっ! てえりゃあああっ!」ゴウッ!

ドラゴン「ふうううううっ! ハアッ!」グワ!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

次の瞬間2体の体から光の柱が天に向けて立ち上る。

同時に、周囲のがれきが光の柱に沿って天へと登っていく。


ブルー「こ、これは」

グリーン「黄金の過剰光……」

イエロー「光の柱が天に登っていく」

パープル「綺麗……」


ウータン「あ、アッシュのアニキ! な、なにが起こるんでやんす」

アッシュ「おい! 今すぐ俺の後ろに乗れ! 俺の直感がギガバッドな予感をビンビンさせてやがる!」

パド「……」シュイン

ピーチ「ちょっと、いきなり変身してどうしたの?」

パド「今すぐここを離れて!」

バーニング「え? それってどういう……」

パド「急いで!」


マックスター「お~お~、サイシーの奴ここまで腕上げやがったか。流石にやばいのに気づいた何人かが逃げ始めたな」

スカーレット「生憎とこっちは最後までにげねえぜ」

マックスター「へへ、特等席だからな。ポップコーンがねえのが残念だけどよ」

周囲の喧騒の中、光の柱を纏う2体のガンダムが構えをとりはじめる。


Sガン・ドラゴン『ぬううううう、はあっ!』

Sガン「流派東方不敗が奥義! 俺のこの手が光って唸るお前を倒せと輝き叫ぶ」

ドラゴン「天に竹林、地に少林寺! 目にもの見せるは最終秘伝!」

Sガン「超級・覇王・電・影・弾!」

ドラゴン「真・流・星・胡蝶剣!」

我が心 明鏡止水~されどこの掌は烈火の如く
http://www.youtube.com/watch?v=iNZuDSfOj-Q


2つの黄金の光が激突した瞬間、凄まじい衝撃が大地を、ステージそのものを粉々に吹き飛ばしていった。


ブルー・ナイト「レベルの低いもの、防御の弱い者は今すぐ退避しろ!」

グリーングランデ「間に合わぬ者は、我が盾の後ろにこい!」

パープル「や、やばいなんてもんじゃないわよ!」

ウータン「ひえええええ、世界が吹っ飛んでいくーーーっ!」

アッシュ「なんなんだよこりゃ、クレイジーでデンジャーでギガバッドすぎんぞ!」

マックスター「むうう、流石に2人とも気合が入ってやがるな」

スカーレット「インビンシブルがかぜよけにしかなってねえ!」メキメキ

グリーン「くっ! 盾はともかくこちらがもたん……」メリメリ

ブルー「おいおい、最高の防御をもったお前がなんの冗談だよ」

???「ぬん!」ドガッ


グリーン「あんたは……」

???「どうせだ、最後までみていけ」

ブルー「すまないに感謝する」

グリーン「わかった、ガンダム」

ボルトガンダム「ふん」

Sガン「うおおおおおりゃあああああああっ!」

ドラゴン「てええええりゃあああああああっ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


クロウ「す、すごい。地上が竜巻に吹き飛ばされるみたいに消し飛んでいく」

ロータス「まさに阿鼻叫喚だな。しかし、ここまできたんだ最後まで見届けるぞ」

クロウ「はい!」


スカーレット「ち、畜生もう限界だ」バキバキ

マックスター「しょうがねえ」ヒョイ

スカーレット「うわっ」

マックスター「続きは上で見るか」シュゴーーー

スカーレット「……完全飛行能力ってなんだったんだ?」

Sガン「腕を上げたなサイシー!」

ドラゴン「へっ! ドモンの兄貴こそ」

Sガン「だが、勝利は!」

ドラゴン「譲るわけにゃいかねえ!」

Sガン・ドラゴン『うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』



2人の激突が頂点に達した時、巨大な爆発の光が周囲すべてを飲み込んだ!!


クロウ「うわあああああっ!」

ロータス「きゃああああっ!」


マックスター「うひょおっ!」

スカーレット「ひゃあああああっ!」

――――――― ドロウ! ―――――――


Sガン「引き分けか……」

ドラゴン「ちぇっ、勝てなかったか……」

Sガン「だが、いいファイトだったぞ」

ドラゴン「ああ、次こそ兄貴に勝ってやるぜ」

Sガン「だが、それはそれとして」

ドラゴン「やりすぎちまったみたいだな」


それまで、いくつものビルが立ち並ぶアキハバラステージは、今文字通りの更地とかしていた。

ふと見ると周囲にノイズらしきものも走っている。

クロウ「おーい、2人ともだいじょうぶですかーっ!」

Sガン「お前たち無事だったか」


ロータス「無事だったかじゃありませんよ! アキハバラステージが文字通りの壊滅じゃないですか!」

ドラゴン「わりい、つい熱くなっちまってさ」

ロータス「ついで、済む問題じゃないですよ! ここは、イエローレディオのCレギオンCCCの活動区域だというのに!」


Sガン「なら、あとで謝りに行くか」

ドラゴン「そうだな」

ロータス「やめてくださいお願いです」

パイル「おーい」

クロウ「あれ? シアンパイル。どこにいるんだ?」

パイル「ここだよここ」

ドラゴン「お、ロッドを上空に伸ばして爆発から逃げたのかよ」

パイル「ふう、やりすぎだよ2人とも。危うくこっちも強制バーストアウトさせられるところだった」

クロウ「完全にギャラリーがいなくなっちゃったね」

ロータス「というか、全員何が起こったかわからなかったんじゃないのか?」

Sガン「まあ、見せるべきところは見せたんだ。こちらはもう十分だ」

ドラゴン「へっ、次こそ決着つけてやるからな兄貴」

Sガン「望むところだ」

ロータス「お願いします。しばらくおとなしくしててください」


クロウ「そろそろ帰りましょう。なんかすごい疲れました」

パイル「そうだな。というかブルー・ナイト無事かな……」

ブルー「ふう、間一髪だったな」

グリーン「感謝するガンダム。大地を隆起させて壁を作ってくれねば危なかった」

ボルト「礼には及ばん、身内の不始末だ。みな、怪我はないか?」


Bリンカー1「な、なんとか……」

Bリンカー2「お、俺生きてるよな……」

Bリンカー3「あいつら、人間じゃねえ……」


ウータン「アッシュの兄貴ヒドイでやんす。オイラを振り落としてくなんて……」

マンガン「こ、こんな、化物だったなんて」

コバルト「シアンパイルめ、さては我々を皆殺しにするつもりだったな」

ブルー「おちつけよ、外野が攻撃に巻き込まれても、強制アンインストールはされないだろ」

グリーン「行くのか?」

ボルト「ああ、あいつらに話があるからな」

ブルー「また、会えるか?」

ボルト「……いつでも俺は構わんぞ」

グリーン「ふっ」

ブルー「シアンパイルの奴、トンデモない連中を追っかけてるんだな。こりゃ、俺もうかうかしてられない」

グリーン「こういうとき、レギオンリーダーというのは不便だな」

ブルー「ああ、こんなに戦いたいって時に戦えないのはな」

ボルト「あの奇妙な、バーストリンカーを追って来てはみたが、奴らに出くわすとわな」

ボルト「だが、同時にやつを監視している。奇妙な連中もいた」

ボルト「この騒ぎで逃げおおせたみたいだが、何を企んでいる?」

ボルト「奴の気配といいこの感覚。まるでデビルガンダムのときのような感じだ」

ボルト「俺たちがここにきたことと関係があるなら少し探って見ないとな……」

マックスター「おい、起きろ」

スカーレット「はっ! ってなんだよこりゃ!」


マックスター「ったく、あいつらテンション上がりすぎなんだよ」

スカーレット「何をどうテンション上がれば、アキハバラが更地になるんだよ! おまけに空間にノイズが走ってるじゃねえか! プログラムに変な影響出てねえだろうな!」


マックスター「しっかし2人とも腕上げやがって、こいつは俺も怠けちゃいられないな」

スカーレット「ああ、そういやあんたも同類だもんな。つうか普通あんなの見た日にや戦おうなんて気は無くなるぜ」

マックスター「そうでもないんじゃねえのか?」


スカーレット「へ?」

バーストリンカー1「さあて、ちょうどいい場所もできたことだし。はじめるか」

バーストリンカー2「ああ、いつでもいいぜ」


バーストリンカー3「今夜は返さないわよ」

バーストリンカー4「ああ、朝まで徹底的にやり会おうぜ」


バーストリンカー5「一辺お前とやりあってみたかったんだ」

バーストリンカー6「奇遇だな俺もだ」


マックスター「中々この世界にも骨のある奴はいるみたいだな」

スカーレット「……」

マックスター「んで、今日は終わりにすっか?」

スカーレット「馬鹿言うんじゃねえ、あいつらに獲物を横取りされたくねえからな。締めのトレーニングと行こうぜ」

マックスター「簡単にへばるなよ」

レイカー「ありがとうございます。爆発からわざわざ助けていただいて」

メイデン「おかげで助かったのです」


??? 「いいえ、礼には及びません。騎士の勤めというもの。それよりいいのですか? ご友人に合わなくても」

レイカー「今はまだ会う時ではありませんから」

メイデン「元気な姿が見れただけで十分なのです。そうですお名前は?」

ローズ「ガンダムローズ、以後お見知りおきを。ではまたお会いしましょう。マドモアゼル方」


レイカー「これから忙しくなりそうね」

メイデン「なのです。ここから大きな流れが始まりそうなのです」

ローズ「私だけではない、ドモン、サイシー、アルゴ、それにあの気配はチボデー」

ローズ「偶然、ではなさそうですね」

ローズ「シャッフル同盟全員が、こうして異なる世界に現れたのは何かあってのこと」

ローズ「……いずれにせよ、騎士としてここの子供達は守らねばならない」

ローズ「はたして何が起こるのか……」

次回:エピローグとなります。

どうぞ最後までお付き合いください。

今夜は失礼します。



ガンダムファイトはいいな


頭のおかしなのがいたが気にせずにな~

今夜は帰さない
かんぷ→完膚

余計なお世話かもだけど次の為に頭の片隅に留めてもらえたら嬉しい


やっぱ7王より強いんだなあ
白がどうなるか

>>293
ありがとうございます。やりすぎたかなと反省はしています

>>294・295
罵倒でも投下タイミングや内容の方向から相手の求めてるものが見えることもあるのでそこまで気にはしていません

それとサザエさんの波平の2代目が茶風林さんに決まりましたね
永井さんのご冥福祈るとともに茶風林さんの波平がうまくいくよう願っています


>>296
指摘ありがとうございます。推敲不足を反省します

ガンダムファイトはやりすぎたかなとは思ったのですが
最初にガンダムに乗ってるのと変わらないと書いちゃったんでこうなりました
MF自体が重力制御可能でデビルコロニーの触手との追いかけっこの時間を計算すると亜光速出てるんで
やっといてなんですが人間サイズのMFって詐欺もいいとこだなあと

投下します

ハル「さて、このあとのことを少し書いておこう」

ハル「結論から言うと、タクはブルー・ナイトのはからいで無罪となった。が……」



ブルー「バックドアの件は、正直許しがたい。よってお前の親に責任をとってもらった。意味はわかるな?」

パイル「はい」


ブルー「とはいえ、あれほどの相手に挑もうとしたその気概は、俺も賞賛に値すると考えている」

パイル「もったいないお言葉です」

ブルー「ゆえにこれ以上お前を責めるつもりはない。他の者もこの件でシアン・パイルを責めることは許さん」

コバルト「御意」

マンガン「剣聖(バンキッシュ)の寛大な処分に感謝するがいい」


パイル「心より感謝いたします」

ブルー「でだ……、当然お前はガンダムに勝つつもりなんだよな?」

パイル「え? ええ」


ブルー「では、青の王ブルー・ナイトの名において、シアン・パイルに命ずる。必ずやガンダムを打倒してみせよ。これは青の王の勅命であ

る!」

パイル「はっ! 必ずや!」


ブルー「そして、レーニーズのことで、打倒ガンダムがおろそかになってもいかん。よって、レオニーズはお前とガンダムの関わりに一切

口をださん」

パイル「ご配慮感謝します!」


ブルー「だから、今後はお前一人で頑張るといい。倒すまで帰ってこなくてもいいぞ」

パイル「へ?」


ブルー「いや、ガンダムはお前の獲物だろ。邪魔をするわけにはいかんし」

コバルト「確かに、我らが横合いから手を出すなど無粋の極み」

マンガン「男の決意に水をさしては騎士の名折れゆえな」

パイル「あの……それって、放逐っていいません?」


ブルー「いいや、ガンダムを倒せば何も問題あるまい。何よりガンダムは俺の知る限り3人いたからな。誰か一人でも倒せば戻ってきて構

わないぞ」

パイル「さ、3人!?」


ブルー「頑張れ、シアンパイル。俺は青の王だけにここを動けんのが残念だよ」

パイル「あ、あの……」


コバルト「たまには戻ってきて、報告したり腕を見せるくらいなら構わんぞ。お前の武勇伝楽しみにしている」

マンガン「男が一度決めたことだ、よもや2言はあるまいな?」


パイル「……」

ハル「というわけで、実質レオニーズを放逐されてしまったタクは、黒雪姫先輩が再開したレギオン、ネガ・ネビュラスに身を寄せること

となった」

ハル「先輩曰く“あのブルー・ナイトの処罰としては軽すぎるくらいだ”とのことだけど、これって史上稀に見る無理ゲーの気がする」

ハル「僕とタクはチユに謝りにいったところ……」



チユ「ふ~ん、2人して何してたかと思ったら、私だけかやの外だったんだ」

ハル「い、いや、そう言うわけじゃ」

タク「その、バックドアの件は大変申し訳なく……」


チユ「……アイスおごりなさい」

ハル「へ?」

チユ「13アイスクリーム全種類で許してあげる」

タク「え? それだけでいいの?」

チユ「何? もっと高いもんがよかった?」

ハル「い、いえ。決してそのようなことは……」

チユ「じゃあ、さっさと買ってくる!」

ハル・タク『はい!』


チユ「……」モシャモシャ

ハル「ええと……」

タク「お味の方は?」

チユ「あんたたちも食べていいわよ。ていうかもう食べられない」

タク「は、はあ」

ハル「じゃあ、なんで頼んだんだよ」

チユ「あたしの気持ちとあんたたちの誠意の問題よ。まったく……」

チユ「ま、でも、これで一件落着ってことでいいわよ。こうして3人で元通りになれたんだもん」

タク「ありがとう、ちーちゃん」

ハル「チユ……」


チユ「でも、私だけ蚊帳の外ってやっぱ許せないから、そのゲーム教えて、それとあんた達の師匠にあわせてよ」

ハル「へ? い、いや、ブレインバーストはともかくドモンさんとサイシーは……」

タク「その、なんていうか、常識が通じないというかなんていうか」


チユ「何よそれ? いい、私は幼馴染2人を更生させてくれた2人にお礼が言いたいの」

チユ「これって誠意の問題じゃない。それとも何? その2人ってそんなにいかがわしい人たちなの?」


ハル「どうする? 合わせるしかないと思うけど」

タク「話しても信じちゃもらえないからなあ……」


ハル「後日、チユは電車と並走するドモンさんに出会って腰を抜かす羽目になるが、それはまた別の話である」

ハル「さて、一方の黒雪姫先輩だが、前日のリバイバルや宣戦布告とは関係なしに、ネガ・ネビュラスを再開することになった」

ハル「なぜ、そうなったかというと……」


―――――――ハルの家―――――――

黒雪姫「わ、私が、東京中のバーストリンカー抹殺を企んでいただってーーー!?」

ハル「ええ、この前対戦した相手がそう言ってたんですよ」

タク「なんていうか、あのガンダムファイトで、アキハバラが中立のバトルグラウンドを含めて、更地になっちゃったじゃないですか」


黒雪姫「あれをやったのは、カッシュさんとサイシーじゃないか! 私は告知をしただけだぞ!」

ハル「いや、その告知で7王と全てのレギオンを一箇所に集めて、粉々に吹き飛ばすつもりだったんじゃないかって……」

タク「バトルフィールドの人たちは、あの戦いが見れて満足だし、かえって場所が広くなったって喜んでたんですけど」


ハル「CCCやプロミネンス、オーロラ・オーバルの人たちは、正体がバレそうになったからまるごと始末しにかかったんじゃないかって」

黒雪姫「ふざけるな! 私はどっかのギャングや殺人鬼じゃないんだぞ!」

ハル「そうは言われても、今じゃブラック・ロータスは核ミサイルを手に入れたも同然だって……」

タク「アキハバラエリアの爆心地は今でも近づくと、ノイズが走ってアバターにバグが起きるんで禁忌の場所扱いですし」

黒雪姫「……復帰する」ワナワナ

ハル「はい?」

黒雪姫「私はたった今からブレインバーストに復帰する!」クワッ!

ハル・タク『ええええええ!?』

黒雪姫「冗談じゃない! こんな汚名を着せられたままでいられるか! こうなったら、ネガ・ネビュラスを復活させ加速世界に再侵攻して

でも汚名を晴らしてやる!」

ハル「ち、ちょっと落ち着いてください! それじゃ火に油をそそぐようなもので……」

黒雪姫「ハルユキ君。知っているかな? 火事が大きい時はニトロを使って火を吹き飛ばすんだよ」ポン

タク「といっても、今はあなたとハルしかメンバーがいないじゃないですか」

黒雪姫「君も参加してもらうぞ」ポン

タク「な、なんで僕まで!」


黒雪姫「レオニーズを放逐された、哀れなバーストリンカーの面倒を見てやろうと言うんだ、感謝こそされ拒まれる理由はない」ジロッ

タク「む、無茶苦茶だ」

ハル「諦めようタク。あれはもう止められない……」


黒雪姫「いいか! 我々ネガ・ネビュラスは、実力をもって加速世界にその正当性を示すのだ! 目指すは世界の統一とLV10だ!」

黒雪姫「返事っ!」

ハル・タク『さ、さー! いえっさーっ!』


ハル「そんな先輩だったが、どことなく嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか?」



ハル「さて、そんな事態を招いた当人達はというと」

―――――――喫茶店―――――――

ドモン「もう少しかかりそうだが、帰れるめどが付きそうだ」

サイシー「ああ、なんとか向こうと連絡がついたんだよ」

ハル「本当ですか? 良かった」

黒雪姫「それは何よりです。しかしどうやって?」


ドモン「ああ、あの戦いの際に起きた爆発で、一時的にリンカーの亜空間通信がつながったんだ」

サイシー「そのおかげで、向こうにこっちの座標がわかったって話だ」


ハル「まあ、確かにすごい爆発でしたし、今でもあそこは変なノイズが走ってよくわからない状況ですからね」

ドモン「そのノイズの場所が亜空間と一部つながったみたいでな。向こうでも解析中だ」

黒雪姫「え? それって、つまり空間が歪むほどのエネルギーが出たわけで……じゃあ、プログラムは……」

タク「考えないほうがいいですよ。絶望的な数値が出てきますから」

サイシー「とはいっても、まだまだかかりそうだから、もうしばらくやっかいになりそうだけどな」

ドモン「ああ、それにやはり他の仲間もこちらに来ているみたいでな。早いとこ見つけ出して合流しなきゃならん」


ハル「そういえば、あの会場にガンダムらしきアバターを見かけたって聞いたな」

タク「ブルー・ナイトとグリーングランデがガンダムにあったっていってたし」

黒雪姫「ん? だとしたらどうしてこちらに接触してこなかったんだ? 仲間なのですよね」


サイシー「……アニキどう思う?」

ドモン「連中は連中で面倒事に巻き込まれたか。何かを感じ取ったと見るべきだろうな」

ハル「どういうことです?」


ドモン「俺たちシャッフルの紋章を受け継ぐジャッフル同盟には、地球、そして宇宙の平和を守るという使命がある」

ドモン「そして、俺たちシャッフル同盟の全員がここに来ている。ひょっとすると、俺たちが巻き込まれたのはただの事故ではないかもし

れん」

黒雪姫「それは……この世界で何かが起こるということですか?」

ドモン「そこまではわからん。この先何事もなく俺たちが帰れればただの杞憂ということだ」

サイシー「考えすぎてもしょうがねえよ。あとの3人を見つけて、それからだろ」

ハル「そう、ですね」

黒雪姫「……」

タク「……」


ドモン「まあ、幸いここでは修行の方法に事欠かん。お前たちの相手をしてやる時間はたっぷりある」

ハル「本当ですか?」

サイシー「おうよ、まだまだ鍛えたりない奴もいるしな」ニヒヒ

タク「お。お手柔らかに」

黒雪姫「そういえば、あなたたちは、ほぼ全員にリアル割れしているわけですが、あれから対戦はきましたか?」

ドモン「それが思った程来なくてな」

サイシー「ちょっと拍子抜けだぜ」

ハル・タク・姫『(そりゃそうでしょう)』


ドモン「だから、無限中立フィールドのエネミーと戦ってるんだ」

サイシー「ああ。他のやつを手助けしてやったら結構喜ばれたしな」

黒雪姫「なるほど、それなら手応えもあるでしょうね」

ハルタク「どんなエネミーを狩ってたんですか?」


ドモン「たしか、こんなやつだったな」ピッ

サイシー「そうそう、首がやたら多くてなかなか倒しがいがあったな」

タク「……これって神獣級のレアエネミーじゃ」

黒雪姫「いまさら、驚くようなことでもないだろ……」

ハル「そんなわけで、もう少しこっちにいることになったわけだ。まだあったことのないガンダム達はどんな相手なのだろう、早く会って拳を交えてみたいと思う」

ハル「あのガンダムファイトがバーストリンカーの目にどう映ったかはわからない」

ハル「ただ、あれ以降ソロで戦いに挑むバーストリンカーや、出会い頭のバトルが多くなったのは気のせいじゃないだろう」

ハル「レギオンからの脱退も増えたがそれに関しては、レオニーズ、グレートウォール、プロミネンスは黙認しており」

ハル「CCCはここぞとばかりに領土拡大を狙って動き出した、あとの2つに関しては特に動きは無い」

ハル「ただ、序々にブレインバーストの世界に変化が起き始めている」














そして僕は……。

不良達『有田さん! 会長! おはようございます!』


ハル「あ、え~と」

不良「おカバンお持ちします!」

不良「モーニングコーヒーお持ちしました!」


黒雪姫「あ、ああ、ありがとう……」

ハル「あ、いや、もういいですから。もう教室に行かないと」


不良「おら! てめえら道を開けろ! 有田さんと会長がお通りになられるぞ!」

チユ「……ねえ、これなんなのハル?」

ハル「い、いやその。なんだろう?」

ハル「あの日、荒谷が僕たちを車で襲った事件がどいうわけか、僕と先輩が荒谷とその仲間を車ごとスクラップにし、病院送りにした」

ハル「という、とんでもない噂になっており、学校中の不良が僕と先輩に一斉に頭を下げるようになった」


ハル「挙句不良たちから、僕は殺人猪の有田、先輩は黒雪女帝。というありがたくないあだ名をもらう羽目になってしまった」


ハル「おかげで、前とは違った意味で教室での肩身が狭くなった。転校してくるなり、さっさと剣道部を隠れ蓑にしたタクの要領のよさが

羨ましい」

―――――――加速世界・夕日のステージ―――――――


黒雪姫「はあ~、なんでこうなったんだ」

ハル「僕が聞きたいですよ……」


黒雪姫「おかげで、校内の風紀はよくなったが、生徒会の仲間まで妙によそよそしくてな」

ハル「いいじゃないですか。僕なんて目を合わせただけで悲鳴あげられたんですよ」


黒雪姫「あれをやったのは、私たちじゃなくてカッシュさんなのに……」

ハル「説明したって信じちゃもらえませんよ。生身で車蹴り飛ばしたなんて」

黒雪姫「……そう言う意味で私と君は一蓮托生だな」

ハル「やな一蓮托生ですね……」

黒雪姫「そう言うなよ。でも、こうは考えられないか? 今私と君は特別な関係であると」ツツー

ハル「特別って……ちょっと、なんでにじり寄ってくるんです?」


黒雪姫「あの時は、うやむやにされてしまったからな。なにより、こんな状態でデートをしても尻の座りが悪い」ススス

ハル「で、ですから、何を」ドキドキ

黒雪姫「私のこ・く・は・く・だ・よ」

ハル「こ、告白!?」


黒雪姫「ああ、今度はきちんと聞いてもらうぞ。幸い邪魔者もいないしな」

ハル「あ、ええと……」

黒雪姫「カッシュさんにはいろいろとんでもない目に合わされたが、いいことも教えてもらった」

ハル「いいこと、ですか?」


黒雪姫「君のような奥手な人間を逃がさないためには、しっかりと口に出して言わなければならないということだ」ムギュ

ハル「あ、え、い……」ドキドキ


黒雪姫「耳元でしっかり言うからな、聞いてなかったんで言い訳は通らないぞ」

ハル「あ、ははは」

黒雪姫「いいか、よくきけよハルユキ。私は君のことが……」



ハル「そんなわけで、この話はここで終わる。ここから先何が起こるのかそれはまた別の話であり、先輩の告白は僕だけの秘密だ」

―――――――蛇足―――――――

チボデー「んで、ここがあのカラスがいるマンションか」

ニコ「あんたの仲間が、公開リアル割れなんてもんやってくれたから、割り出すのが楽だったぜ」


チボデー「しっかし、俺たち以外にもクロムディザスターを追ってるのがいるとはねえ(あの画像間違いなくアルゴだな)」

ニコ「ああ、先に狩られるわけにはいかねえ。カラスを練習台にと考えてたがそうもいかねえ」


チボデー「だから、無理やり引き込もうってのか、俺がドモン達に口ききゃ早いんじゃねえの?」

ニコ「わりいがこの件はあくまでこっちの話だ。あんたにはコーチを頼んだが、奴を倒すのはこの世界のもんであり、このあたしだ」

チボデー「そうまでいうなら、俺は何も言わねえよ」


ニコ「代わりと言っちゃなんだが、あんたの仲間2人には奴に手を出さないように言ってくれ」

チボデー「わかった。事情が事情だからな、連中も話を聞けば無粋な真似はしないだろ」

ニコ「んじゃ行ってくる」

チボデー「がんばれよー」


チボデー「アルゴのことだ、あれに何か思うところがあったんだろうな。人に取り付き欲望のままに暴走させる」

チボデー「倒してなお復活し、より強大になる。俺たちのなかでアレを思い浮かべない奴はいねえ」


チボデー「もし、あれが加速世界に存在し、蔓延した挙句すべてを乗っ取ったら・……」

チボデー「杞憂であって欲しいもんだぜ」




















???「タベタイ」

???「ニクイ」

???「ホシイ」

???「……マッ……サ……ツ」




電王武闘伝アクセル・ワールドG【銀鴉飛翔編】

         完

以上をもちまして電王武闘伝アクセル・ワールドG【銀鴉飛翔編】を終了します。
最後まで読んでいただき大変ありがとうございました。

次回:電王武闘伝アクセル・ワールドG【凶獣咆吼編】でまたお会いしましょう。

電脳が電王になってました。ライダーじゃないんだから ORZ

とりあえずある程度できたらまたスレを立てるのでここはHTML化依頼を出してきます

初投下の今回よりは次回は内容が短くなると思いますが1、2ヶ月中にはなんとか完成させるつもりです
基本中途はんぱな出来でチマチマ投下するくらいならちっちり書き上げて投下したいので

あと他にも投下予定のSSがあるのでその時はまた見てやってくだい

それとアクセル・ワールドの最新刊読んだんですけど、ぶち込もうとしてるネタが え? マジ? 洒落にならなくね?
的なことになりそうです。

では失礼します

ですよね~
出せるだけ出そうと思ってたらレイカー姉さん一人とジョルジュじゃなあ
とおもったんで気がついてあちゃーでした
まあ無限中立不フィールドじゃないってことで一つ

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