魔王「テレビとはなんだ?」(209)

魔王(動け…動け…)

魔王(動け…私の心臓…)

魔王(はぁぁ・・・)ドクンドクン

魔王「(動け……動け……動くのだ)

魔王「はぁああああああああ!」カッ

魔王「ふはははははは!皆の者!待たせたな!復活したぞ!」バッ

魔王「さぁ、皆の者!はじめるとするか!」

魔王「ふははは…は…は?」

魔王「?」

魔王「んん?」キョロキョロ

魔王「私が復活したのに誰もおらんとは…」

魔王「側近!側近はどこだ!」ガシッ

パラパラ

魔王「むっ…扉が…朽ちておる」

魔王「なんだこの城の荒れようは…」

魔王「誰かおらぬのかー!」オラヌノカー オラヌノカー

魔王「どうしたことだ。なにがあったのだ」スタスタ

魔王「ここは魔王城のはず…」チラッ

魔王「んっ…?」

魔王「んんっ!?」

魔王「この窓から見える景色は…砂漠…?」

―――砂漠

魔王「はぁ……はぁ……どこまで言っても砂ばかりではないか」

魔王「まさか、魔族も人間も滅びてしまったのか?」

魔王「そうするとこの世界には私一人きりということに……」

魔王「この広い世界に……」

魔王「私一人きり……」

魔王「これは……」

魔王「世界征服が完了したということか!」

魔王「さすが私だ!寝ている間に世界を征服してしまうとはな」

魔王「ふはははははは!神よ!お前の負けだ!」

キラッ

魔王「ん?何か光ったか?あれは……町?」ザッザッ

魔王「おおっ!町だ!なんだ、世界征服できておらんかったのか」

魔王「ふはははは!楽しみが増えてしまったではないか!支配してやるぞ!人間どもよ!」

―――砂漠の町

魔王「なんだ……この町は……人間と魔族が……両方いる?」

魔王「もしや、我が魔族がすでに支配して人間を奴隷にしておるのか!?」

魔王「おい、そこの人間」ガシッ

町人A「いたっ、な、なんですか?」

魔王「貴様、この町は魔族の支配下にあるのだな?そうだろう?」

町人A「な、なんのことですか?そ、それに相手を貴様なんて呼んじゃいけないよ。乱暴なひとだなぁ」

魔王「何?では貴様は魔族の敵か?」ギロッ

町人A「て、敵とか何言ってるんですか。こんな平和な世の中で……」

魔王「平和?何を馬鹿な。この世界で人間と魔族は殺すか殺されるかであろうが!」ゴスッ

町人A「あうっ……い、痛い……ひぃ!血!血が出てるよ!」

ザワザワ

町人B「ひどい!あの人殴ったよ!」

町人C「警察!警察を呼んで!」

魔王「なんだ?貴様ら!文句があるならかかって来い!」バッ

町人A「痛いよ……ぶつなんて……」

町人B「ぼ、暴力反対!人を殴ったりすることはいけないことだ!」

町人C「み、みんな手を出しちゃだめよ!話しあいで解決するの」

側近「そのとおりだよ。人にはやさしくしましょう、そうテレビで言ってた」

魔王「側近!」

側近「え?」

魔王「生きておったのか!?どういうことだ、これは?」

側近「ま、魔王……様?」

魔王「ああ、久しぶりだな。1000年ぶりくらいか?やっと復活を果たせたぞ」

側近「魔王様が……暴力を振るうなんて。だめですよ!暴力は絶対!」

魔王「はぁ!?」

側近「争いは争いを生むだけ、非暴力不服従、そうテレビで言ってました」

魔王「テレビとはなんだ?」

側近「テレビを知らないとか魔王様どこの田舎ものですか」

魔王「お前も同郷だろうが」

側近「それよりさっきぶった人に謝ってください。ほらっ」グイッ

魔王「な、何を言っておるのだ!?お前……私にむかって人間に謝れと言うのか?」

側近「悪いことをしたら謝るんですよ」

魔王「側近、お前、昔人間にどんな目に合わされたか忘れたのか!?」

女「あなた、どうしたの?」

側近「ああ、なんでもないよ。家に入ってなさい」

魔王「今度はなんだ?」

側近「ああ、私の妻です」

魔王「人間を妻にしただと!?」

側近「妻くらいいますよ。社会人として結婚もしないなんて恥ずかしいですよ?テレビで言ってました」

魔王「この愚か者があああああああああああ!」ドガッ

側近「げふっ」ズササー

魔王「人間などと馴れ合うとはどういうことだ!?恥をしれ!あのような下賎の種族なぞに!」

町人A「うわぁ……こいつ差別主義者だ」

町人B「人権を尊重しろ!憲法にも書いてあるぞ!」

町人C「人間差別反対!人間差別反対!」

町人A「ジンケンガー」

町人B「ジンケンガー」

町人C「ジンケンガー」

側近「ジンケンガー」

魔王「ええい!意味が分からん!側近!ちょっと魔王城までこい」グイッ

側近「ちょっ、離して」

女「あなたー」

バサバサッ

―――魔王城

魔王「さぁ、今までの経緯を話してもらおうか」

側近「あ、あの魔王様」ソワソワ

魔王「なんだ?」

側近「も、もうすぐ毎週見てるドラマがやるんで見せてくれませんか?」

魔王「ドラマ?なんだそれは?」

側近「テレビ番組です。どこですか?テレビは?」

魔王「テレビというのがどういうものかよく分からんが……ない!」

側近「え!?うそでしょ?」

魔王「それより話をだな」

側近「そんな!じゃあドラマのあとのスポーツ中継は?深夜アニメは?」

魔王「ちょっと言っている意味が分からないのだが」

側近「今週見逃しちゃったら来週から話分からなくなっちゃうじゃないですか!録画予約してないんですよ!」

魔王「ちょっと落ち着け」

側近「落ち着けって、テレビが見えないんじゃ何も分からなくなっちゃうじゃないですかぁ!」

魔王「テレビを見ないと何もわからない?」

側近「そうですよ!ニュースみないと!明日の天気も!」

魔王「なんだ?テレビとはうらない師のようなものか?」

側近「違いますよ、色々教えてくれるんです。それに面白いし」

魔王「よくわからんが、お前が変だということは分かった」

側近「変じゃないですよぉ!」

魔王「以前のお前なら私にであろうと殴られたらその瞬間殴り返してきておるわ」

側近「暴力はだめですよぉ」

魔王「それが気持ち悪い……」

側近「ええ!?」

魔王「なんだあの場にいたやつらは!全員が全員、暴力はだめだだめだと同じことを言いおって」

側近「だってテレビで……」

魔王「しばらく牢にでも入って頭を冷やせ」

側近「そんな!ドラマが!スポーツ中継が!アニメがあああああああ!」

魔王「諦めろ」

側近「せめて予約だけでもさせてください!」

―――王城

大臣「王様、今年はやくそうが豊作で取れすぎてしまったようです」

王様「そうか、では逆に不作でどこでも品薄だと放送しろ」

大臣「はっ」

王様「あとは料理番組で使って、やくそうブームでも作っておけ」

王様「芸能人にうまいと言わせ続けろ、どうせ庶民はそれを真似する」

王様「他に報告はあるか?」

大臣「たいしたことではないと思うのですが、砂漠の町で暴力事件があったようです」

王様「珍しいな。暴力などという力と発想を庶民に与えるないようにしてきたつもりだが……」

王様「公共放送で暴力反対を訴えておけ、それから徹底的に犯人を批判する放送をするのだ」

大臣「それが犯人は逃げてしまって誰だか分かりません。一人の町人とともに姿を消したとか」

王様「ではその町人でよい。徹底的に叩け、家族もろともな」

大臣「その町人が関係あるとは限りませんが……」

王様「かまわん、庶民とはどんな事件でも責任を誰かにとらせたがるからな」

大臣「わかりました」

―――砂漠の町

町人D「この家だぜ?テレビでやってた暴力事件の犯人の家って」

町人E「おっ、女がいるな。あいつが犯人の奥さんか?」

女「ちょっとやめてください!毎日毎日!私は知りません!」

リポーター「知らないなら正直に答えてくれればいいじゃないですか。どうなんです?あなたのご主人は人間差別主義者だったんでしょう?」

女「人間差別なんてあの人はしてません!」

リポーター「でも近所でご主人が『人間なんて死ね』と言ってたとか言ってないとか」

女「あの人は人に死ねなんて言いません!いい加減にしないと怒りますよ」バッ

リポーター「ちょっ、その箒で何をする気ですか!」

女「もう帰れ!帰って……帰ってよぉ……」ブンブン

リポーター「や、やめてください!みなさん、ご覧ください!今まさに暴力が振るわれようとしております」

リポーター「しかし、私リポーターは勇気を振り絞り、真実の報道をさせていただきます!」

―――1ヵ月後

側近「……」

魔王「おい、側近……側近?大丈夫か?」ペチペチッ

側近「あ……はい」

魔王「思い出したか?お前が人間にされたことを」

側近「はい……私の妻は……人間に……」

魔王「ああ!殺されたのだ!」

側近「うおおおおおおおおおおお!人間めええええええ!絶対ゆるさねぇ!ぐあああああ」ドガッ

魔王「ぐおっ」ドゴーン

側近「人間をぶちころしてやるうううううううう!ぐおおおおおおおん!」バキバキッ

側近「……はっ!?私……またやっちゃいました?」

魔王「あたたっ……ふははははは!それでこそ我が側近だ。いいぶち切れ具合だぞ」

側近「魔王様……復活したんですね」

魔王「ああ、だがこの世界の変わりようには驚いたぞ。側近よ、何があったか教えろ」

側近「それが……魔王様が勇者に敗れてから我らは人間どもに復讐すべく、その力を蓄えておりました」

側近「しかしそのうち人間どもからあるものが送られてきたのです」

魔王「あるもの?」

側近「ええ、それがテレビでした」

魔王「それがよく分からんのだが」

側近「要するに情報を一方的に与える箱です。通信はできません」

魔王「一方的な思念のようなものか」

側近「また人間の町でご覧になるといいでしょう。そのテレビが送られてきてからおかしくなりました」

側近「テレビでは毎日娯楽を放送していて、その間に情報を伝えたりしてくるのですが」

側近「その娯楽が面白く、魔族たちはすっかりそれに魅了されてしまいました」

側近「そして、そのうちテレビの言うことは何でも正しいと思うようになり……」

魔王「で、お前のような腑抜けなってしまったのか」

側近「お恥ずかしい……」

魔王「まったく下らんものを作りおって……こんなものがあっては世界征服の邪魔だな。魔族どもも魅了されたままであろうし」

魔王「人類の前にテレビを破壊してやろうぞ!」

側近「本気ですか?」

―――砂漠の町

魔王「おい、側近。こんな小さな町よりもっと大きな町を襲ったほうがよいのではないか?」

側近「いえ、その前に人間の妻に一言だけお別れを言っておこうかと……」

魔王「テレビに魅了されて結婚してしまっただけだろう?人間などほうっておけばよいではないか」

側近「それでも一度夫婦の誓いを交わしたんですから」

魔王「変なところが律儀だな、お前は」

側近「この先の家です……え……」

魔王「あの家か。ずいぶん荒れたところに住んでおったのだな」

側近「な、なんですかこれ!?壁に落書きが……」

『差別主義者死ね!」

『暴力夫婦」

『うんこ』

側近「お、おい!女!」バタンッ

側近「テレビもつけっぱなしで……おーい!」

テレビ「……次のニュースです」

魔王「ほほぅ?これがテレビというものか?」

テレビ「1ヶ月前、砂漠の町でおきた暴力事件で、警察は側近とその妻への逮捕状を請求しました」

テレビ「側近容疑者は逃亡しておりますが、その妻へのインタビューをご覧ください」

テレビ「女『人間……なんて……死ね』『もう帰れ!……死ね……死ね』」

テレビ「コメンテーター『いやぁ、こんな露骨な差別主義者初めて見ました』」

テレビ「みなさん、暴力と差別はどんなことがあってもいけません。我々はそのための正義に基づいて真実の実名報道を心がけております」

側近「な……んですか……これ……音声切り貼りじゃないですか……いつも一緒にいた私には分かります……」

側近「こんなものが……真実……?」

魔王「おい、側近。こっちの部屋で人が死んでおるぞ?」

女「」プラーン

側近「なっ……なっ……自殺……追い詰められて……」

側近「……許さん……私の家族を二度も……人間どもめ……」ゴゴゴゴゴッ

魔王「お、おい、側近、落ち着け」

テレビ「では次に、最近ブームのやくそう料理をご紹介しましょう」

側近「ぐあああああああああああああああああああ!人間など消滅しろおおおおおおおお!」

ゴバアアアアアアアアアアアン!

魔王「ぐおおおおおおおお!」

―――砂漠の町跡

魔王「やっと復活したというのに、死ぬかと思った」

側近「すみません、頭に血が上って」

魔王「町ひとつ吹き飛ばすとはな。だが、これでテレビとやらも消滅したのだな、よかったよかった」

側近「いえ、あれはテレビの端末のひとつに過ぎません」

魔王「なんだ、たくさんあるのか?」

側近「ええ、受信するアンテナがたくさんあってそこに電波を飛ばしてくるんです」

魔王「なるほど、では全部ぶち壊してやるか!」

側近「全部ですか!?」

―――王城

大臣「王様!大変です!」

王様「どうした」

大臣「砂漠の町が消滅しました」

王様「なんだと!?どういうことだ!」

大臣「現地を調査したものによると跡形もなく吹き飛んでいたと……さらにそこから二人の者が立ち去るのを確認しております」

王様「レジスタンスどもか……?いや、やつらにそんな力はあるまい……」

大臣「その一人は側近であったとか……」

王様「側近……どこかで聞いた名だな……」

大臣「先日の暴力事件でさらわれた町人の名ではなかったですか?」

王様「ああ、そうだそうだ。ではもう一人というのは犯人……?」

大臣「どういたしましょう」

王様「とりあえず、ガス爆発ということで報道しておけ。下手に庶民に知らせるな」

王様「その二人の向かった先は分かるか?」

大臣「西のほうに向かったと……おそらく次の町へ……」

王様「町を吹き飛ばすほどとはな……だが、情報はすべてここに集まる」

王様「暴力程度であれば法律で裁いてやったものを……やりすぎたことを後悔させてやるぞ」

―――草原の町

側近「見えてきましたよ、あれが草原の町です」

魔王「砂漠の町よりは大きいな」

側近「あれです、あの家の上にあるのがアンテナといってテレビを受信するんです」

魔王「ほぅ?ずいぶん細いのだな」

側近「それからあの道に立ってる電柱という柱でテレビを動かす電気を供給してるんです」

魔王「魔力を生み出す魔方陣のようなものか」

側近「いや、ぜんぜん違うと思いますけど……」

魔王「さあ!全部ぶちこわすぞ!」

側近「はっ!」

―――数日後

兵士A「こちらアルファ1配置についた」

兵士B「アルファ2了解。目標は町を出て時速6kmで西に移動中、距離は1km」

兵士A「装弾の準備はどうだ」

兵士B「いま完了しました。いつでも撃ちだせます」

兵士A「了解。900時に作戦を実行せよ」

兵士B「了解……」

兵士B「来たな……発射準備……」

兵士B「5・4・3・2・・・劣化ウラン弾発射!」

ドゴオオオオオン!

―――草原

魔王「ふはははは、みなびっくりしておったな」

側近「そりゃいきなり家に来てアンテナとテレビ壊されたらびっくりしますね」

魔王「だが、これで妙な情報で魅了されることはなくなるだろう」

側近「どうでしょうねぇ」

ドゴオオオオオン

魔王「なんの音……」

バキバキバキッ

魔王「ぐおおおおおおおおおおおお!」

側近「魔王様!お腹に何かが刺さって……」

魔王「ぐああああああああああ!」

兵士B「命中を確認!」

兵士A「よし!よくやった!」

兵士B「なっ……なんだって……そんな……馬鹿な……」

兵士A「どうした!?」

兵士B「劣化ウラン弾が貫通しないだって……鋼鉄の壁でも貫通するんだぞ……どうして……」

兵士B「あの黒いやつは……化物か……」

兵士A「おい!報告しろ!何があった!」

魔王「こ、こんな槍なんぞおおおおお!」ズボッ

魔王「ふんっ」ドシーン

側近「魔王様!大丈夫ですか?」

魔王「こんなもの唾をつけておけば治る!」

側近「さすが魔王様」

魔王「ふ、ふふふふふ。ふはははははは!しかし、面白い!このような槍を投げてくるなどよほどの強者だろうな!全力で相手をしてやろう!」バサァ

側近「羽をだして……まさか……」

魔王「槍が来た方向は向こうだな!行くぞ!」バサバサッ

ピュー

兵士B「ほ、報告を……」

魔王「貴様か!次はこちらから行くぞ!」

兵士B「ひ、ひぃいいいい!来た……あの距離を一瞬で!黒い羽の生えた……」ズササー

魔王「くらえい!」ドガ

兵士B「ぎゃあ!」

兵士B「……」バタッ

魔王「ん?お、おい……まさか一発で?」

側近「魔王様待ってくださいよー、もう、一人で行っちゃって」

魔王「おい、側近。これはどういうことだ?あのような攻撃をしてきたものがたった一発で倒れるとは……」

側近「たぶんですけど、あれは槍じゃないんじゃないですか?」

魔王「槍ではない?では誰があそこまで投げたのだ」

側近「そこにある機械でじゃないです?」

魔王「機械?」

側近「そのあたりはあまりテレビでも言わないものですから想像になってしまいますが……」

側近「ようするにこれは大きいゴム鉄砲みたいなものなんでしょう」

側近「でもおかしいですね、軍や兵器の使用や開発は禁止されていたはずですが……せいぜい認められてるのは警官の鉄砲くらいで……」

魔王「なるほど……撃ったのはただの人間なのか……つまらん。もっと力と魔法を駆使した戦いがしたいのだが」

側近「いや、それが……魔法はもうないんですよ。禁止されています」

魔王「なんだと!?」

側近「魔法は危険だとかなんとかで……」

魔王「ではこの世界には勇者も魔法もないというのか!?」

側近「いえ、勇者はいますし、魔法を認められてる唯一の人間なんですけど……」

―――辺境

女の子A「はい、勇者様。あーん」

勇者「あーん」モグモグ

女の子B「あー、勇者様ずるいー。あたしのも食べて、はい」

勇者「あーん」

女の子C「勇者様、私は口移しで食べさせてあげる」

勇者「あははは」

魔法使い「勇者様、そろそろ仕事のお時間です」

勇者「そんなことより君も一緒にこっちにきて楽しまない?」

魔法使い「勘違いなさらないでください。私は家事手伝いでこちらで仕事させてもらっているだけです」

魔法使い「あなたのハーレムメンバーじゃないんですから。今度そんなこと言ったらぶち殺しますよ」

女の子A「やーん、メイドさんこわぁい」ギュッ

女の子B「勇者様ぁ」

女の子C「あんな子が好みなの?勇者様ぁ」

勇者「あー、もう分かったよ。仕事は国民の義務だからね」

勇者「じゃ、みんな行って来るよ」チュッチュッ

―――台所

ザザッ……

魔法使い「こちらブラボー2、ブラボー1応答お願いします。どうぞ」

『こちらブラボー1。どうだ、勇者の様子は。どうぞ』

魔法使い「相変わらずアホ面下げて王国の言いなりになってるわ。今仕事に行ってる所」

『仕事か。開拓だったか?』

魔法使い「ええ、それも一人で。窓から今見てるけど……剣の一振りで山を平地にしてるわ」

『マジか……恐ろしいやつだな……どうだ?俺たちレジスタンスには入りそうか?』

魔法使い「どうかな……王国から与えられたハーレムに満足してるって感じだけど」

『やつが王国についたらかなりやっかいだ。がんばってくれ』

魔法使い「難しいと思うけどね……そっちの調子は?』

『相変わらず仲間が増えない。情報をほとんど王国に握られているのが痛いな』

魔法使い「そう、そっちもがんばってね」

『ああ、最悪の場合、勇者を敵に回しても勝てるように準備はしておく。終了だ、オーバー』

魔法使い「了解。こっちもがんばるわ、オーバー」 ザザッ……

―――王国

大臣「王様、魔王討伐に向かった兵たちが全滅しました」

王様「全滅だと!?どういうことだ。劣化ウラン弾の使用も許可したはずだぞ」

大臣「相当の負傷はおったようですが、反撃にあい、あえなく全滅に……」

王様「敵はどのようなやつなのだ」

大臣「報告によると、ええと……黒くて……なんでしたっけ……」

大臣「それから羽が生えてて……カサカサしてる?とか……言っていた様な……」

王様「なんと恐ろしい姿のやつだ……しかし、通常兵器では効かぬか……」

大臣「こうなったら勇者を使ってはいかがでしょうか?」

王様「まぁ待て。勇者は最後の手段だ、そう簡単には奥の手はだせん」

大臣「ではどうするんです?」

王様「そうだな……ではガスを使うか」

大臣「ガスですって!?」

王様「VXガスの使用を許可する。即時実行しろ、やつも生物には違いあるまい、毒ガスなら効くだろう」

大臣「しかし、それでは周辺の町への影響が……」

王様「そうだな……たしか近くの町に王国を批判する記事をかきおった大学教授がいたな……」

王様「よし、その大学教授が実験で使ったとか何とか報道しておけ」

大臣「分かりました」

王様「それからやつらのその後の動きはどうなっておる」

大臣「テレビとアンテナを破壊しているようです」

王様「くくくっ……なんと愚かな……大臣、分かっておるな?」

大臣「はっ」

―――草原の町

魔王「おい、側近。この町のアンテナは少し前に破壊したよな?」

側近「ええ、確かに」

魔王「ならばなぜ全部元に戻っておるのだ!」

側近「修理したんでしょうか……にしてもすばやいですねぇ……ん?あれは……」

主婦「本当に無料でいいんですか?」

男「いいんですよ、テレビもアンテナも国が無料で補償しますから」

主婦「悪いわねぇ」

魔王「あいつか!直してるのは!」ダッ

男「あ……やべっ」ササッ

魔王「お、おい!……くっ見失った」

側近「ああやってすぐ直してるんですね……」

魔王「ゴキブリみたいなやつらだな」

側近「本当ですね」

―――草原

魔王「いくら壊してもきりがない」

側近「そうですねぇ……これは大元を叩くしかないんじゃないですか?」

魔王「大元?」

側近「テレビ局です、っといってもほどんど国が関与してる独占状態ですけどね」

魔王「そこをつぶせば終わるのか?」

側近「分かりませんが、アンテナを一本ずつ折ってるよりは早いかと」

魔王「先に言わんか……」

兵士C「そこまでだ貴様ら!」バッ

魔王「むっ?」

側近「変なマスクしてますね……もしや変質者?」

兵士C「変質者ではない!貴様らの命もここまでよ」

魔王「なんだ、決闘をしたいのか?ふはははは、よいぞ!どこからでも……」

兵士C「VXガスを食らえええええええ!」ブシュー

魔王「ごほっ……なんだこの煙は」

側近「ガスとか言っていましたが……くさっ!」

兵士C「この毒ガスを吸って生きてられるものはいない!」

魔王「毒……だと?」

兵士C「どうだ、苦しんで死ね」

魔王「ふはははははは!愚かな!」

兵士C「な、なに?」

魔王「この私を誰だと思っておる!瘴気の漂う魔界で生まれたのだ!この程度の毒などむしろ懐かしいくらいだわ」

側近「私はちょっと臭いの嫌なんですけどね」

魔王「どれ、では私が本当の瘴気というものを貴様に味合わせてやろうではないか、ほれっ、マスクをはずしてみよ」ガシッ

兵士C「や、やめ……ぎゃあああああああああああああああ!」

―――草原の町

ヒュー……

側近「風向きで町にまでガスが流れてしまったんですね……」

魔王「自ら同族を殺すとは愚かな……」

側近「魔王様の瘴気も混ざってたんじゃないですか?」

魔王「私はもとより人間などどうなってもかまわんわ」

側近「そりゃそうですね」

魔王「それよりさっきの話の続きだ。テレビ局とはどこにあるのだ?」

側近「それがよく知らないんです」

魔王「なんだと?」

側近「あまりそういう情報気にしてませんでしたから」

側近「あ、でもテレビの中継とかで映りますし、ちょっとテレビ見てみますか?」

魔王「気が進まんが……見ないと情報がないか……」

ガシャ

側近「勝手におじゃましまーす」

魔王「これか。どうやって使うのだ?」

側近「このスイッチを入れて……ほらっうつりました」

テレビ「……では次のニュースです」

テレビ「今日はテレビ局開局25周年としまして、港町より北へ10kmにある、ここ王国テレビ本部より中継です」

テレビ「今日は王国テレビ合衆国イベントということで、各国より料理など……」

魔王「港町の北か、行くぞ!」

側近「おかしいですねぇ?いつもこんな詳しい場所を言ったりはしてなかったような……」

魔王「おい!」

側近「あ、待ってください」

バサッバサッ

―――王国

王様「ガスも効かないとは化物どもめ……だが、見ていろ」

王様「やつらはテレビを目の敵にしておるようだ、次はここを突き止めようとしてくるだろうな」

王様「大臣、言われたとおりにしたか?」

大臣「言われたとおり放送しておりますが、港町の北10kmってただの廃墟の砦があるだけですよ」

王様「廃墟?違うな。あそこにはレジスタンスのアジトがある」

大臣「レジスタンス!?王様はアジトをご存知だったのですか?」

王様「ああ、ずっと前からな」

大臣「分かっててなぜ放っておいたのですか。やつらは魔法の復活やテレビの撲滅を訴えるテロリストですよ」

王様「くくくっ、人数も少なく、たいした力も持っておらんわ。それより何かあったときのスケープゴートに丁度よいと思ってな」

大臣「スケープゴート?」

王様「あの黒いやつらがあの放送を見てどうするか。やつらのアジトに向かってレジスタンスとぶつかるだろう」

王様「どちらも相手を敵と思うであろうな」

王様「共倒れになればよし、ならなくてもとどめは我が軍で行ってやるわ」

王様「わーっはっはっは」

―――レジスタンスアジト

僧侶「まずいですよ。戦士、テレビでここの場所を晒されました」

戦士「なんだと……」

僧侶「王国テレビ合衆国イベントの会場とか……」

戦士「なんだそりゃ?」

僧侶「早くここを離れたほうがいいんじゃ……」

戦士「待て、魔法使いにも連絡してみる」

ザザッ

戦士「こちらブラボー1……ブラボー2応答せよ、どうぞ」

『こちらブラボー2、どうぞ』

戦士「どうやらアジトがつきとめられたらしい」

『なんですって!?どうしてそんな……』

戦士「分からん。とにかくお前も気をつけ……」

ドゴオオオオオオン

戦士「うおおおおお、な、なんだこの振動は……」

『ブラボー1、どうしたの!?」

僧侶「空に何か黒いものが……」

戦士「これはやばいな……行くぞ!」

『ねぇ!何があったの!ブラボー1応答して!』

側近「魔王様、中から人が出てきましたよ」

魔王「ほぉ?剣を持った男に……杖を持った女か……やっとまともなやつらが出てきた」

魔王「なかなかやりそうではないか」ワクワク

側近「うれしそうですね」

魔王「最近下らん道具に頼るやつらばかりが相手であったからな」

戦士「あいつらか!?攻撃してきたのは……」

僧侶「もしかして勇者が攻めてきたんじゃないかと思ったんですが……違いましたね」

魔王「行くぞ!食らえい!」ズバッ

戦士「うおっ!いきなりか!僧侶!」

僧侶「防御結界!」ギィン

魔王「むっ……私の一撃を防ぎおったか……ふははははは、これはいい!今の世にこのようなやつらがおったとはな!ふんっ!」

バリーン

戦士「結界がやぶられた!?くっそう!なんなんだこいつらは!?王国め……こんな隠しだまを用意していたとは……」

僧侶「戦士!次がきますよ!」

魔王「これならどうだ!」ドガッ

戦士「ぐぐっ……つ、つよい」ギリギリッ

魔王「まだ耐えるか……」

側近「魔王様がんばれー」

戦士「くそ!魔法使いさえいれば……勇者を倒すための秘策を使えたものを……」

側近「弱音はいてる場合じゃないですよ!疾風魔法!」スパパッ

魔王「おおおおおおおっ!」

戦士「うりゃあああああああ!」ドガッ

魔王「ぐぐっ……やりおる……」

戦士「よしっ!効いているぞ!」

魔王「なんだ、魔法を使えるものがおるではないか、側近」

側近「あれぇ?おかしいですねぇ」

魔王「ならばこちらもゆくぞ!はぁあああああ!」ゴゴゴゴゴッ

戦士「な、なんだ……この魔力は……」

僧侶「結界を張ります!伏せて!」

魔王「極大破滅魔法!」ドキャアアアアアアアアアアアン

戦士「うおおおおおおおおおおおおおお!」

僧侶「きゃああああああああああああああ!」

魔王「ふははははは!どうだ、砦ごと吹き飛ばしてやったわ。あれがテレビ局とやらだろう」

側近「そうなんでしょうかね」

戦士「がはっ……俺たちのアジトがテ、テレビ局だと……?」ガクガクッ

僧侶「ごほっ……」ボタボタッ

魔王「おおっ、こやつら生きておるぞ、やるではないか」

側近「虫の息ですけどね。生きてるなら尋問でもしますか」

魔王「そうだな、おい。貴様らテレビ局とかいうところのやつらだな?」

戦士「ちが……う……お前らこそ……王国の手先だろう……」

魔王「私が王国の?何を馬鹿な!我が名は……まぁ今は言わぬが……あのようなやつらと一緒にするな!」

側近「あ、私側近です」

戦士「違う……だと……まさか王国の勇者以外にこれほどの力を持ったやつがいたとは……」

側近「前の勇者には負けちゃったんですけどね」

魔王「べ、べつに敗れてなどいない!ちょっと休憩してただけだ!」

側近「魔王様……負け惜しみはちょっと恥ずかしいですよ」

魔王「ま、負け惜しみではないもん!」

側近「ないもんって……」

魔王「とにかく私たちのことは分かっただろう。お前たちの素性を教えろ」

戦士「俺たちは……王国を……テレビをぶっつぶすために立ち上がった……レジスタンスだ」

魔王「何?レジスタンス?テレビ局じゃないのか?」

戦士「ちが……う……どうしてそう思った……」

魔王「いや、テレビで言っておったのでな……はっ!?」

魔王「『テレビで言っていた』だと……私の口からそのような言葉がでるとは……」

側近「あちゃー、もしかして私たちだまされちゃいました?」

魔王「恐るべし……テレビ……」

戦士「釣られた……のか……」

側近「なんかこの人たちに悪いことしちゃいましたね」

魔王「だが、久しぶりに楽しかったぞ。お前たちの攻撃なかなかであった。ふははははは」

魔王「どうだ?望むのであれば我が配下に加えてやってもよいぞ?」

戦士「てめぇ……ふざけん……な」ガクガクッ

魔王「まだ闘気が衰えないとはますます気に入った!まぁ断るのであればもう言うまい」

戦士「テレビ局を……探しているのか?」

魔王「知っておるのか?」

戦士「ああ……長年の俺たちの目標だからな……」

魔王「どこにあるのだ」

戦士「王国の王城……その中枢だ……」

魔王「よし、側近、行くか」

側近「あいあいさー」

戦士「ま……て……」

魔王「何だ?」

戦士「テレビには……電力が必要だ……」

魔王「電力?どこかで聞いたな」

側近「テレビのエネルギー源ですよ」

戦士「ここから西……火の町にそれはある……」

魔王「なぜそんなことを教える?」

戦士「……」

魔王「まぁ、よかろう。テレビのエネルギー源だな!先にそこをつぶしておくか」

バサッバサッ

―――レジスタンスアジト跡

戦士「いつつ……回復サンキュー」

僧侶「死ぬかと思いましたね」

戦士「あいつら、ここをテレビ局と間違えて襲ったってことは王国を襲うってことだな」

僧侶「そうでしょうね」

戦士「ならば我々もそのときがチャンスか……よし!魔法使いを呼び戻そう」

僧侶「え……でも勇者はどうするんですか?」

戦士「とにかく今がチャンスだ。勇者が出てきたら……全力で叩く!」

僧侶「勝てるでしょうか……」

戦士「そのための俺たちだろ?それにもしかしたらあの黒いやつらが王国をかきまわしてくれるかもしれん」

僧侶「ところでなんであの黒いのに火力発電所の場所を?」

戦士「少しでも王国にダメージを与えたいということもあるが、時間稼ぎもある」

僧侶「時間稼ぎ?」

戦士「電力は王国の根幹のひとつだ。それが滞ればやつらの動きも鈍るだろう」

戦士「その間に魔法使いを呼び戻して作戦を練るぞ」

―――火の町

魔王「ここが火力発電所か」

側近「ここでテレビに必要な電力を作ってるみたいですね」」

魔王「電気を作っている施設か」

側近「さっそく壊してしまいますか?」

魔王「いや、どんな風に作っているのか少し興味がある」ワクワク

側近「あ、私も興味あります。どんな仕組みで電気をつくってるんでしょうねぇ」

魔王「私の予想では、大量の電気うなぎから電気を放電させているのではないかと思う」

側近「いやいや、それはないでしょう。きっと雷撃魔法を使ってるんですよ」

魔王「まぁ入ってみれば分かるだろう」

側近「な、なんかドキドキしますね」

ガチャ

炎の将魔「おおおおおおお!燃え上がれ!俺の魂!」ゴゴゥ

炎の将魔「発熱せよ!俺の肉体!」ゴオオオオオオオ

炎の将魔「ファイアあああああああああ!!」ゴオオオオオオオオ

炎の将魔「ふぅ、今日はこのくらいっすね」ガシャ

作業員「発電おつかれ」

炎の将魔「いやぁ、労働は気持ちいいっすねぇ。今日はよく働いたっす」

作業員「ご苦労さん。どうだ、今夜いっぱいやってくか?奢ってやるぜ」

炎の将魔「先輩、あざーっす!ごちになります!いやぁ、やっぱ労働の後の一杯は最高っすもんね!」

作業員「いやいや、この火力発電所の動力源としてお前はすっげえ世の中の役に立ってるよ」

炎の将魔「この世の中、仕事があるだけ幸せっす!」

作業員「だなぁ、不況で仕事がないとかテレビで言ってたからなぁ。仕事があるだけでうれしいよな」

炎の将魔「ほんとっすね……ん?誰か来たっすよ」

魔王「……」

側近「……」

炎の将魔「あ、誰かと思ったら魔王様じゃないっすか!ひさしぶりっす!」

魔王「何をやっとるんだ……お前は……」

炎の将魔「俺っすか?この火力発電所のエネルギー源やってるっす」

炎の将魔「いやぁ、これでも俺人気者なんすよ?俺が元の戦隊ヒーローの番組もできてるんすから」

炎の将魔「放火戦隊モエルンジャーっていってね。俺がモチーフになってるんすよ」

炎の将魔「毎週火曜日にやってるんすけどね、この間なんて子供が社会見学に来たときにサインねだられちゃったりしてね」

炎の将魔「やっぱ子供はかわいいっすね。あ、色紙は持ったとたん燃えちゃったんでサインはできなかったんすけど」

炎の将魔「あ、今の笑うとこっすよ?」

炎の将魔「やっぱこの仕事楽しいっすわ。世のため人のために……」

魔王「ふんぬあああああああああああああ!」ボゴォ

炎の将魔「ぐはぁ……」バターン

魔王「側近……私は……」

側近「あ、魔王様……何も言わなくてもいいです、私も何かむかついたんで」

魔王「こいつを魔王城に持って帰って牢に放り込んでおけ……」

側近「これで電力はなくなったんですかね?それで私は魔王城に戻りますけど、王城はどうするんですか?」

魔王「こんな腑抜けばかりの国など私一人で十分だ、任せておけ」

―――王城

大臣「王様、大変です!火力発電所が停止しました!」

王様「何!?どういうことだ」

大臣「燃料の炎の将魔が例の黒いカサカサしたのに奪われました」

王様「なんだと……やつらレジスタンスと戦ったばかりでそれだけの力があるとは……」

大臣「風力発電と水力発電は無事ですが……このままでは電力不足に……」

王様「とりあえず固形燃料で火力発電所を動かせ」

大臣「しかし、それではコストが……」

王様「電気料金を値上げしろ。そうだな、地震で火力発電所が被害にあったと報道しろ」

王様「それから電力不足になったと分からせるため何回か計画停電をしてやれ」

王様「それで国民は金がかかっても電気をくれと自分から言ってくるだろう。それからガス抜きのために電力会社の社長を徹底的にテレビで叩け」

大臣「はっ」

王様「しかし、電力会社までやられるとは……アンテナ引っこ抜く程度の頭しかない黒いやつと思っておったが……」

大臣「意外と頭を使ってきましたね」

王様「ここまでやられては本気でやらねばなるまい。やつを呼ぶしかないか……」

―――王城

勇者「あー、なんすか?王様。急に呼び戻して」

王様「勇者よ、仕事だ」

勇者「仕事ならちゃんとしてるじゃないっすか、開拓を」

王様「いや、これは非常事態だ。この城に敵が迫っておる……かなりの強敵じゃ……」

勇者「そんなの王様お抱えの兵団で何とかなるっしょ?」

王様「劣化ウラン弾を食らっても平気なやつをか?」

勇者「マジ!?すげー強いやつだな!」

王様「あやつを倒せるのはお主しかおらん!頼む!」

勇者「んー、どうしようかなぁ……」

王様「何?何か問題でもあるのか?」

勇者「何か最近うちのハーレムのメイドさんを勝手に引き上げられちゃったりしてるしなぁ……」

王様「メイドが……?それは知らんが……代わりのメイドは用意しよう」

勇者「それだけじゃなぁ……」チラッチラッ

王様「何じゃ、何が欲しい?言ってみろ」

勇者「え?俺別に要求なんてしてないんだけどなぁ……そんな風に聞こえちゃった?」

王様「いいから言え、できる限りのことはしよう」

勇者「マジっすか!じゃ、じゃあハーレムに新しいメンバーが欲しい!」

王様「なんだ女か……用意しよう……どこの誰がよいのだ」

勇者「え、えっと……本当に誰でもいいの?」

王様「くどい!早く言え」

勇者「じゃ、じゃあ……姫様を……」

王様「何……わしの娘を?う……ううむ……」

勇者「駄目なんすか?あぁ……やる気がなくなってきたなぁ……」

王様「いや……別にわしが駄目とかそういう問題ではなくてだな……」

勇者「俺帰っていいすか?」

王様「わ、わかった!姫をおぬしにくれてやる!それでいいじゃろう!」

勇者「いやっほぅー!王様!俺がんばるよ!」

勇者「で、敵の特徴は?」

王様「何か黒くてカサカサしてるやつだ」

勇者「オッケー!黒くてカサカサのやつな!ひゃっはー!」

タタタッ

王様「舞い上がりおって……行ってしまいおった……しかしよりによって姫とは……くぅ……」

大臣「やっぱり姫を差し出すのは親としてつらいですか?」

王様「いや、そういう問題ではなく、倫理上の問題だ」

大臣「倫理上の?えっと……姫っていまいくつでしたっけ?」

王様「……12歳だ」

―――王城前

魔王「ここか……まったく寄り道ばかりさせおって……ん?」

勇者「いたいた!黒いやつ!」

魔王「なんだ?お前は?」

勇者「お前が王国を襲う敵だな?この勇者が相手になってやろう!さあ、ついてこい」

魔王「勇者だと?お前が……ふははははは!なるほど、相手にとって不足はなさそうだ」

勇者「何を笑っている、さっさと来い」

魔王「なぜだ?ここでよいではないか」

勇者「この俺様が戦うんだ、それに相応しい舞台が必要なんだよ」

魔王「なんだと?」

勇者「いいからこい!」バッ

魔王「お、おい!待て!」

―――コロッセオ

魔王「なるほど、確かにここは決闘に相応しい」

勇者「決闘?ははははは、何を言っているんだよ。ここはお前が無様に負ける様を見てもらうための場所だ」

魔王「何?」

勇者「それにここは俺がたまにパフォーマンスで魔法や剣技を披露してるからな、ちっとやそっとじゃ壊れない作りになっている」

魔王「なるほど、遠慮はいらんというわけか、まぁするつもりもないがな」

勇者「カメラもスタンバイオッケーだ。さぁ!ショーの始まりだぜ!」ゴゴゴゴゴゴ

魔王「なにやら分からんが……強いな……これは楽しそうだ」ゴゴゴゴゴゴ

勇者「行くぞ!」

カッ

―――王城

王様「どうだ?勇者と黒いやつとの戦いは?」

大臣「互角……といったところでしょうか」

王様「わははははは、それは結構」

大臣「な、何がいいんですか、もし勇者が負けたりしたら……」

王様「勇者は負けんよ」

大臣「え?」

王様「私はな、大臣……勇者の力の秘密を知っておるのだ」

大臣「勇者の力の秘密?」

王様「そうだ、勇者の力とは神より与えられしもの……その力の源はなんだと思う?」

大臣「力の源?言っている意味が分かりませんが……」

王様「勇者の力は愛と勇気と希望の力」

大臣「?」

王様「人々が愛と勇気と希望を持てば持つほど勇者は神に祝福され、その力となる」

王様「そして私はそのために何をしたか、そう!テレビだ」

王様「勇者を人々のヒーローとして常々持ち上げ、褒め称え、期待させてきた」

王様「そして、この事態だ。今この王都は非常事態宣言をだし、住民はほとんど避難させておる」

王様「そこで、あの黒いカサカサしたのと勇者が戦うことになる」

王様「それをテレビ中継するのだ」

王様「平和教育で国民からその牙を奪ってきたのは、反逆の目をつぶすという目的もあるが、日ごろから暴力を否定されて欲求不満にする目的もある」

王様「欲求不満な人々は食いついてヒーローを応援するだろう。最高のエンターテメントだ、まったく愚民どもはそういうものが好きだからのぅ」

王様「念のための事態を考えて5分遅れの生放送とするか。その間に不都合なシーンはカットしてな」

王様「そして、それが勇者の力となる!人々は愛と勇気と希望を持って応援するであろうからな」

王様「視聴率はすごいことになるだろうな。そう!視聴率こそ勇者の力となるのだ!」

王様「さぁ!放送開始だ!」

―――民家

テレビ「番組の途中ですがここで緊急特番です」

テレビ「王国から大規模な避難命令がでて数日、ついにその真相が発表されました」

テレビ「王国政府によると、各地で発生している町の消失事件や人々の失踪事件の原因とされるものが王国に現れました」

テレビ「その名も『黒くてカサカサしたもの』。その討伐のため、現在、王国のコロッセオで勇者様が立ち上がりました」

テレビ「その黒いものを見事コロッセオに誘い込み、今現在、苛烈な戦いが行われています」

テレビ「我々国民を守るため!一人立ち上がった勇者様……私はその勇気に感動を隠し切れません」

テレビ「現在、その様子を生中継しております。みなさん、ごらんください」

子供「すっげぇー!なにあれ!すっごい光ってる!」

父「あれが勇者様だよ。俺たちのために戦ってくれてるんだ」

子供「かっこいー!あの黒いのは?」

父「あれが敵だよ……でも……勇者様の動きについていってる……ああ!」

母「どうしたのあなた!」

父「いや、勇者様が押されるとこなんてはじめてみたから」

子供「勇者様がんばれー!」

父「ああ!応援してやろう!俺たちのためにがんばってくれてるんだ!」

子供「うんっ!黒いカサカサしたのなんてやっつけろー!」

―――コロッセオ

勇者「くっそ!つええな……」

魔王「ふはははは!どうした!お前の力はそんなものか!」

側近「魔王様やっと見つけましたよ、炎の将魔置いてきました」

勇者「新手か!?これは……まずいな」

側近「あ、私この辺で見物しますからお構いなく、ちょうど観客席がありますし」

魔王「お前な……」

勇者「くっ……なら……二人まとめてやってやらあ!はああああああああ!爆裂魔法!」

ドゴオオオオオオン

魔王「おおおおおおおお」ビリビリッ

側近「あたたたたた……いてえだろごらああああああああああ!」バッ

勇者「なっ……こいつ速い……」

側近「オラオラオラオラオラ」ドガガガガガガ

―――王城

大臣「視聴率……20%超えました!」

王様「まだまだだな。バックにかっこいいBGMを入れよ」

王様「それから勇者声には声優を使え……顔の修正も忘れるな?」

王様「相手も悪そうなほうがいいな。黒いやつの顔は暗く影を落とす感じに加工しておけ」

大臣「分かりました!」

王様「勇者の感動エピソードも交えろ。過去の撮影したシーンも使ってな」

王様「CMはいいところで切り替えるのだ。勇者がピンチのシーンとかな」

大臣「……30……35……40%超えます!」

王様「わははははは、いいぞ……さぁ勇者よ!視聴率を力とせよ!」

―――コロッセオ

勇者「く、くそ!離せ!」グググッ

魔王「側近!そのまま押さえつけておけ!」

側近「はい!」

魔王「めり込むがいい!おおおおおおおおおおおおお!」ドゴオオン

勇者「」

魔王「ふはははは!さすがに地面にこれだけ刺されば身動き取れまい!」

側近「じゃあ、次は王城のほうへ……あ、あれ?」

バキバキバキ

勇者「効くかあああああああああああ!」ボゴン

魔王「こいつ……あそこから出てくるとは……だが無傷ではあるまい」

側近「魔王様!あれを見てください!」

魔王「なに……あれだけの傷が……治っていく……」

側近「治癒魔法……でしょうか……しかしあんな速さで治るなんて……」

勇者「はははは、何か知らないが体に力がわいてくるぜ!くぅー!ちっと効いたがな」

魔王「ふっ……なるほど、さすがは勇者というところか……だがあれが私の本気だと思うでない!」

魔王「殺してしまってはつまらんと手加減しておったが……はああああああああ」ゴゴゴゴゴ

側近「おお……魔王様が本気に……あ、私避難しておきますね」

魔王「本気でいくぞおおおおおおおお!くらえええええええええええええええい!」

カッ

―――王城

王様「どうだ、コロッセオの様子は」

大臣「まだ互角のようです……なんなんでしょうね、あの黒いの」

王様「視聴率はどうだ」

大臣「今50%を超えたところです」

王様「そうか、では次は動物だ」

大臣「動物?」

王様「視聴率をとるのに動物は鉄板だ。とりあえず勇者のペット紹介としてでも出しておけ」

大臣「はっ、早速指示します」

王様「あとは大家族だな、これも視聴率が狙える」

大臣「いや、大家族はさすがに無理があるかと……勇者は一人者ですし……」

王様「いいからねじこめ!」

大臣「は、はぁ……」

王様「どうだ、視聴率は」

大臣「視聴率……60……70……80%超えます!」

王様「わははははは、これだけ応援してやってるのだ!勝てよ……勇者!」

―――コロッセオ

魔王「うおおおおおおおおおおおお!魔神斬り!」ズバッ

勇者「うおっと」キィイ

魔王「な、なんだ……攻撃が……効かなくなってきた?」

側近「いえ!違います!斬られた瞬間に治癒が完了しています!」

魔王「なんだと……それではいくら攻撃しても……」

勇者「今度はこっちから行くぞ!おらああああああああああ!」ズバッ

魔王「おおおおおおおおおおおお!」バキンッ

魔王「ぐおおおおおお!剣をはじいただけで腕が折れ……」

勇者「とどめだあああああああああああ!」

カッ

―――王城前

僧侶「何とか間に合いましたね」

魔法使い「あたしはね……でもなんてあの馬鹿はいないのよ!」

戦士「はぁはぁ……わりぃ、遅れた」

魔法使い「遅いわよ!ブラボー1」

戦士「別に無線じゃないんだから普通に呼べよ」

魔法使い「何やってたのよ、この非常時に」

戦士「ちょっと野暮用でな。それより準備はいいか?」

僧侶「大丈夫です!」

魔法使い「このために訓練してきたんだからね!」

戦士「よし、行くぞ。王は勇者の力の秘密を自分だけが知ってると思っているんだろうが……」

戦士「過去何度も勇者に辛酸をなめさせられた俺たちレジスタンスが何も考えないと思ったのか」

戦士「勇者の力の秘密!それは人気!視聴率!すなわちテレビの力だ!」

魔法使い「まずはテレビってことね」

僧侶「テレビの力を奪ってやりましょう!」

戦士「行くぞ!おおおおおおおおお!土流激!」ドガガガガ

戦士「おっしゃ!土を巻き上げたぞ!」

僧侶「はい!はああああああ!疾風魔法!」ゴオオオオオオオオオオオ

僧侶「砂嵐完成しました!」

魔法使い「最後はあたしね!いくわよ!雷撃魔法!」バリバリバリッ

ゴゴゴゴゴゴゴ

―――王城

ザザッ……ザー

王様「な、なんだ……テレビが……」

大臣「王様!テレビが映らなくなりました!」

王様「見れば分かるわ!どういうことだ、この大事なときにトラブルか!?」

大臣「今調べてます……な、何?それは本当か?」

王様「どうした」

大臣「そ、それが……このあたり一帯に磁気嵐が吹き荒れて電波が乱されていると……」

王様「そんな馬鹿な!ここは砂漠でもないし磁気嵐など聞いたこともないわ!」

大臣「嵐に砂鉄が含まれているらしく……チャフのような効果が……」

王様「そんな説明はどうでもいい!何とかしろ!視聴者が離れるぞ!」

大臣「はっ……」

王様「早く修復しろ!視聴率が落ちては勇者の力も弱くなるということを忘れるな」

王様「電波障害の原因はあとで究明するとして、視聴者にはお詫びのテロップを忘れるな」

―――数分後

大臣「お、王様!やっと復旧しそうです!」

王様「よし!さっさと映せ!」

テレビ「私はな、大臣……勇者の力の秘密を知っておるのだ」

テレビ「勇者の力の秘密?」

王様「な、なんだ?これは……大臣……」

大臣「え?え?私に聞かれましても……この映ってるのは……私と王様?」

テレビ「そうだ、勇者の力とは神より与えられもの……その力の源はなんだと思う?」

テレビ「力の源?言っている意味が分かりませんが……」

テレビ「勇者の力は愛と勇気と希望の力」

テレビ「?」

王様「なぜ私が映っておる……何かの演出か?どういうことだ?」

大臣「す、すぐ調べます!」

テレビ「人々が愛と勇気と希望を持てば持つほど勇者は神に祝福され、その力となる」

テレビ「そして私はそのために何をしたか、そう!テレビだ」

王様「おい!すぐ放送を中止しろ!はやく切り替えるんだ!この先は放送されたらまずいぞ……」

ザッ

戦士「おっとそうはさせねぇよ?」

魔法使い「勇者をあの黒いのがひきつけてくれてたから助かったわね」

王様「なんだこいつらは!さっさと排除しろ!」

僧侶「あ、兵士さんたちはもう眠らせましたよ?」

王様「大臣!」

大臣「はっ!お任せください。これでも食らえ」ターン

戦士「銃か……まったく誰でも彼でも人を殺せる道具なんぞつくりやがって……」キィン

大臣「なっ……はじかれた……」

戦士「僧侶の防御結界が銃の弾程度で壊れるかよ」

王様「な、なぜこんな映像があるのだ……どうやってお前たちは……」

戦士「俺たちレジスタンスをなめるなよ?お前たちのことはずっと研究してきた」

戦士「テレビの力とやらもな、だから俺はテレビ局に潜り込み、お前たちが口をすべられるのをまってたのさ」

戦士「そして、あの黒いのだ。お前たちは非常時につい本音をいってしまったな?ばっちり撮影させてもらったぜ!」

王様「なん……だと……」

王様「レジスタンスどもが!いったい何が不満だというのだ!今のこの平和な世の中を見ろ!」

王様「平和教育で争いはなくなり、国民は自ら進んで働くことに喜びを感じている」

王様「昔のように人々が争うような時代はわしのおかげで、テレビのおかげでなくなったのだぞ!」

戦士「平和教育?それは国民から思考力を奪って争う力をなくしてるだけだ」

戦士「そして働くことを喜んでいる?そのほうがお前たちが旨い汁をすすえるだけだろう」

戦士「はっ、何が平和だ。この不自然な世の中が?ふざけんじゃねえ!お前たちの都合のいい情報を一方的に送りつけてるだけだろうが!」

戦士「俺たちはな、テレビなんぞに言われずに自分で考えたい!たとえ争いや間違いがあろうが自分で選びたいんだよ!」

戦士「王よ……勇者とテレビの終焉のときだぜ。さぁ、放送再開だ!」

テレビ「勇者を人々のヒーローとして常々持ち上げ、褒め称え、期待させてきた」

テレビ「そして、この事態だ。今この王とは非常事態宣言をだし、住民はほとんど避難させておる」

テレビ「そこで、あの黒いカサカサしたのと勇者が戦うことになる」

テレビ「それをテレビ中継するのだ」

テレビ「平和教育で国民からその牙を奪ってきたのは、反逆の目をつぶすという目的もあるが、日ごろから暴力を否定されて欲求不満にする目的もある」

テレビ「欲求不満な人々は食いついてヒーローを応援するだろう。最高のエンターテメントだ、まったく愚民どもはそういうものが好きだからのぅ」

王様「や、やめろ……」

テレビ「念のための自体を考えて5分遅れの生放送とするか。不都合なシーンはカットしてな」

王様「やめろおおおおおおおおおおおおおおお!」

―――コロッセオ

勇者「うらあああああああああ!」ドガッ

魔王「ぬおおおおおおおお!」グググッ

勇者「この……やろう最後の馬鹿力か……」

魔王「何?貴様が手加減しておるのだろうが……本気でかかってこんか!」

勇者「んなろう!」ググッ

魔王「なんだ?本当に力がだんだん弱くなってきて……おおおおおお!」ガッ

勇者「うおっ!」フラッ

勇者「な、なんだ……体が重い……ぞ……」

魔王「本当に弱っているのか?」

側近「これはチャンス!私にお任せください!とうっ!」バキッ

勇者「ぐはぁ……い、痛い……何これ……すごい痛いよ……」ガクガクッ

側近「や、やりました!勇者を倒したのはこの側近です!」

魔王「やかましいわ!都合のいいときだけ出てきおって!それより勇者よ、まだやるか?」

側近「うらっ、うらっ……このこの!」ゲシゲシッ

魔王「やめんか!側近!」

勇者「も、もうやめて……いたいよぅ……もう殴らないで……」ブルブル

側近「なんか性格まで弱くなってますね……」

魔王「ふんっ、まあよい!こんなやつほうっておけ!王城へ行くぞ!」

―――王城

僧侶「視聴率はかなり下がりましたけど、まだ見ている人はいるみたいですね」

魔法使い「さっき勇者がやられるところ映したらちょっと上がったわ」

僧侶「それでさらに勇者が弱くなっちゃいましたね」

魔法使い「で、こいつらどうする?」

王様「わ、わしに何をする気じゃ……」

大臣「殺さないで!私は王様の命令に従っただけで……」

王様「おい、ずるいぞ大臣」

戦士「そんな場合じゃないだろ。やつがくるぞ、準備をしろ」

魔法使い「やつ?」

僧侶「ああ、あの黒くてカサカサした人たちですか」

側近「黒くてカサカサしてるのはこの人だけですよ!」

魔王「おい」

戦士「来たか……」

魔法使い「ちょ、ちょっと待って!この人たちもテレビ局をつぶしにきたんでしょ?なんで戦うムードになってるの!?」

魔王「ふんっ、人間などと馴れ合うつもりはない」

魔王「それにな、貴様らのような強そうなやつを見たらどうなるか、戦士、お前には分かるのではないか?」

戦士「ああ、ちょっと分かる気がするぜ。だが、そんな体でやる気か?」

僧侶「片腕動かないみたいですね……これなら……」

魔法使い「全身ボロボロでまっくろね……」

魔王「ふははははは、私はたとえどのような状態でも背中を見せるようなことはせん!」

側近「そんなんだから前の勇者に負けちゃったんですよ……もう……でもそこがいいんですけどね」

魔王「さぁ!どっちが強いか決着をつけようではないか!」ゴゴゴゴゴ

戦士「来るぞ!僧侶!魔法使い!」

カッ

―――王城

側近「いやぁ、勝った勝った、あっはっは」

魔王「お前何もしとらんではないか」

側近「あ、カメラスタンバイできましたよ?」

魔王「そうか。しかしそんなもので映像が送れるとは不思議なものだな」

側近「準備いいですか?」

魔王「ああ、もう言うことは決まっておる」

側近「じゃ、3、2、1……キュー!」

魔王「我が名は……ううむ……」

側近「どうしました?魔王様?もうまわってますよ?」

魔王「違うな……こうではない……こんなはじまりではないのだ……」

側近「何言ってるんですか?」

魔王「ああ!もういい!テレビを見ている者どもよ!放送はこれで最後だ!」

魔王「今後テレビが放送されることはない!食らえ!火炎魔法!」

ゴバァ

側近「あっちぃーー!何するんですか!カメラ燃えちゃいましたよ」

魔王「私は魔王城に帰ってやることがある、お前は散り散りになった魔族たちを集めて来い」

側近「やること?何をするんです?」

魔王「まったく……時間を無駄にしたわ。復活してからこれだけ時間がかかってしまうとはな」

側近「魔王城に帰ってはじめるって?」

魔王「何を始めるか?そんなもの決まっておるだろう!」

魔王「プロローグだ」

―――プロローグ

ゴロゴロゴロ

男A「な、なんだ……空が急に暗く……」

男B「テレビが見えなくなったと思ったら天変地異か?」

ふははははは!世界は……闇につつまれた!

僧侶「頭の中に……直接声が聞こえます」

魔法使い「あの黒いやつの声よ」

戦士「まったく……俺たちのとどめもささずに何がしたいんだ。あいつは」

水の将魔「水力発電ー!水よー……って魔王様?もしかしてはじまるの?」

風の将魔「風よふけー!風車を回せー!……おお……いつもの懐かしい声が……」

側近「まったく……これがやりたかったんですね……」

我が名は魔王!世界を絶望につつむ者だ!

この世界を恐怖と絶望で埋め尽くし、破壊の限りを尽くしてくれる!

さぁ!恐れよ!敬え!そして我に従え!

そして!我を恐れぬものはいつでもかかってくるがよい!

さぁ!はじまりのときだ!



おしまい

最後まで見ていただいた方いましたらありがとうございました。

それでは!

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