刹那「フェルトからチョコレートをもらった」(68)

ティエリア「刹那、その箱はなんだ?」

刹那「チョコレートだ」

ティエリア「チョコレート?」

刹那「ああ、フェルトから貰ったんだ」

ティエリア「何かのお礼などではないのか?」

刹那「いや、最近彼女に貸しを作った覚えはない」

刹那「ただ、彼女が言うにはこのチョコレートは『私の気持ち』らしいが」

ティエリア「気持ち?」

刹那「俺には彼女の言わんとしたことがいまいち理解できない」

刹那「ティエリア・アーデ、お前はこれをどう考える?」

ティエリア「彼女に直接聞けばいい。理解には対話が必要だ。そうだろう刹那」

刹那「俺も最初はそう思った。だがそれはできない」

ティエリア「どうしてだ?」

刹那「実はスメラギ・李・ノリエガにも相談してお前を同じことを提案したんだ」

刹那「彼女によると、それは非常に無粋なことであるらしい」

ティエリア「無粋?対話による理解が?そんなことがあるのか」

刹那「自分で考えに辿り着けと、そう強く言われた」

刹那「しかしいくら考えても俺には分からない。彼女はこれで何を伝えたかったのか。俺一人の力では無理だったんだ」

刹那「だから手伝ってほしいティエリア・アーデ。答えに辿り着くまでの思考を俺に分けてくれ」

ティエリア「分かった。お前と共に答えを探そう」

刹那「感謝する」

ティエリア「まず、一つ目の疑問は、なぜチョコレートを贈ったのか?だ」

刹那「チョコレートである意味か……」

ティエリア「一つずつ解いていけば分かるはずだ。まずは固有の言葉の意味から探ってみよう」

ティエリア「刹那、チョコレートとはなんだ?」

刹那「携帯非常食だ」

ティエリア「携帯非常食?」

刹那「チョコレートはカロリーに富み、少量で人体が活動するためのエネルギーが接種できる」

刹那「野戦でのレーションとして食されている」

ティエリア「そうなのか」

刹那「そうだ」

ティエリア「ではチョコレートは携帯非常食であり、フェルト・グレイスは刹那に携帯非常食を贈ることで何かを伝えようとしたと……」

刹那「そうなるな」

ティエリア「非常食とは生命の危機になる可能性がある状況で食べるものだろう。ガンダムで戦いに出る刹那の身を案じたのでは?」

刹那「なるほど、ならば彼女が言っていた「私の気持ち」とは」

ティエリア「死ぬなと、そういうことだろう」

刹那「そうか、そうだったのか。やっと答えが掴めた、感謝するティエリア・アーデ」

刹那「フェルト」

フェルト「あっ、刹那!チョコ食べてくれた?」

刹那「いや、まだだ。あとでいただくとする」

フェルト「そ、そう。それならいいけど」

刹那「それよりもフェルト、俺は答えに気付いた」

フェルト「えっ?」

刹那「俺にチョコレートを渡す時、それが「気持ち」だと言っただろう」

フェルト「刹那……も、もしかして」

刹那「ああ、フェルト・グレイス。俺は理解した。そしてお前の気持ちを受け取った」

フェルト「じゃ、じゃあ……刹那……」ウルッ

刹那「安心しろ。俺は死なない」

フェルト「……え?」

刹那「俺はガンダムマイスターとして紛争を完全に根絶するまで、死ぬつもりはない。約束しよう」

フェルト「え、えっと……う、うん……」

刹那「……」

フェルト「……」

刹那「失礼する」ダッ

フェルト「あっ!せ、刹那!?」

刹那「ティエリア・アーデ!!!」

ティエリア「騒々しいぞ刹那・F・セイエイ!!!」

刹那「俺たちは間違っていた!導いた答えは正しいものではなかった!」

ティエリア「馬鹿な!?そんなはずは!」

刹那「フェルト・グレイスはものすごく微妙な顔をしていた!ロックオン・ストラトスが目標から180°ずれた方向に撃ってもあんな顔はしない!」

ティエリア「そこまでか」

刹那「少し過剰な表現だったかもしれない」

ティエリア「そうか」

刹那「アリオスガンダムが電池として使えないことが分かったくらいか……」

ティエリア「それは深刻だな」

刹那「1から考えを改める必要がある」

ティエリア「待て刹那。頭ばかりで悩んでいても新しい発見があるとは思えない」

刹那「ならばどうすれば」

ティエリア「情報とは見て聞くだけで手にするものではない。刹那、その手に持っているものはなんだ」

刹那「チョコレート……そうか!」

ティエリア「味覚も重要な情報源になりうる。直接的な結論には至らないかもしれないが、鍵は見つかるかもしれない」

刹那「刹那・F・セイエイ、チョコレートを開放する!」

ティエリア「小さな正立方体状のチョコレートがいくつか入っているな」

刹那「俺の知っているチョコレートとは形が違う」

ティエリア「そうなのか?」

刹那「だがそれは今重要な問題ではないだろう。必要なのは味覚からの情報だ」

刹那「刹那・F・セイエイ!チョコレート!食べる!」パクッ

刹那「……」

ティエリア「……」

刹那「……甘い」

ティエリア「甘い、か」

刹那「そして味も俺の知るチョコレートとは違う」

刹那「野戦レーションのチョコレートはこれほど甘くて美味ではない。むしろ不味い」

ティエリア「なに?それは初耳だぞ」

刹那「言っていなかったか?」

ティエリア「それは重要な共有すべき情報だったぞ。なぜ言わなかった刹那」

刹那「すまない」

ティエリア「まあいい。他に何か分かったか」

刹那「いくつか咀嚼してみたが」

ティエリア「甘い、表面の粉は苦い、口どけは良い、美味」

ティエリア「これではフェルト・グレイスの気持ちに気付くには至らないか」

刹那「味覚からの情報も駄目。八方塞がりとはこのことか……」

ティエリア「仕方ない。ヴェーダに何か役に立つ情報がないか探ってみるか」

刹那「しかしヴェーダといえどもフェルト・グレイスの気持ちが分かるなど……」

ティエリア「分かっている。チョコレートを贈ることの意味を中心に探す」

ティエリア「見つけた」

刹那「本当か」

ティエリア「どうやら今日の日付が答えだったようだ」

刹那「日付だと?今日は2月14日……」

ティエリア「そう、2月14日。この日は「バレンタインデー」と呼ばれる日らしい」

刹那「バレンタインデー……?」

ティエリア「ヴェーダによると、この日は信愛の異性に贈り物をする特別な日らしいぞ」

刹那「異性に贈り物……ならこのチョコレートは」

ティエリア「この風習にならった。そういうことだろう」

刹那「そうだったのか……」

ロックオン「よう、なにやってんだ?」

刹那「ロックオン・ストラトス」

ティエリア「刹那がフェルト・グレイスからチョコレートを貰ったんだ。今日バレンタインデーだからな」

ロックオン「! くくっ! お熱いなおい!」

刹那「? なにがおかしい?」

まだ寝てない。遅筆でごめん

ロックオン「いや、バレンタインデーにチョコレートを贈るっていったらよ、経済特区日本での意味を思い出してな」

刹那「日本では意味が異なるのか?」

ロックオン「いや、知らないならいい。むしろ知らない方が面白そうだ。くくっ」

刹那「?」

ティエリア「バレンタインとは異性にとって特別なイベントらしいな。クリスマスのように、この日は誰もが平和でいられることを願うのだろう」

刹那「!」

刹那は日本に住んでたからな

>>47
え?マジで?うわ設定よく見てないから知らなかった恥ずかしい

刹那(バレンタイン……チョコレート……平和……)

ロックオン「刹那?」

刹那(平和……紛争根絶……ソレスタルビーイングの存在……ガンダムによる武力介入……)

刹那「そうか……」

ティエリア「何か分かったのか刹那」

刹那「ガンダムだ」

ロックオン「は?」




刹那「チョコレートは……!ガンダムだ!」

終わり。刹那に最後のを言わせたいがためにまともに見なかった00のSSなんて書いた
ここから「俺がガンダムだ!」とチョコまみれになった刹那がフェルトに突撃するなんて展開も考えたけど止めます
1stシーズンをちゃんと見なかったから刹那が日本に住んでたことが頭から抜けちゃうんだね

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