中年P「…女の子は誰でもシンデレラ」(174)

シンデレラプロダクション

卯月「えへへ、私達もいよいよアイドルデビューかぁ」

未央「もうすぐ可愛い衣装着て踊れるんだよね!」

凛「…未央、気が早すぎじゃない?」

未央「えーっ、しぶりんは着たくないのぉ?」

卯月「もっと夢を持たないとダメだよ凛ちゃん!」

凛「そんな事言われたって…」

ガチャッ

社長「おほん! 待たせたね」

卯月「あっ社長さん!」

社長「改めて3人共、この事務所、シンデレラプロダクションに入ってくれてありがとう! 早速だが自己紹介をさせてもらうよ、入ってくれたまえ2人とも!」

ちひろ「失礼します」

P「………」

社長「まずはちひろ君から頼むよ」

ちひろ「はい、千川ちひろ、ここで事務員をやらせてもらってます。これからよろしくね」

未央(うわぁ、若いなぁ…何歳ぐらいなんだろ)

社長「うむ、次にP君」

P「…君たちのプロデューサーになるPだ、長い付き合いになると思うがよろしく頼む」

卯月(お…思ってたよりも渋い人です!)

凛(……30代ぐらいかな、それにしては凄い体格が良い…)

卯月・未央・凛「よろしくお願いします!」

社長「よしよし、じゃあ最後に三人とも簡単な自己紹介と自己アピールを頼めるかい」

卯月「はい! 私からやります!」

卯月「島村卯月、17歳です。趣味は友達と長電話する事。私、精一杯がんばりますからよろしくお願いしますっ!」

未央「次は私ね! 本田未央15歳。高校一年生ですっ! 元気に明るくトップアイドル目指して頑張りまーっす!」

凛「…渋谷凛15歳。趣味は…犬の散歩かな、よろしく」

社長「ありがとう、では今日はもう遅い、明日に詳しい話をしよう。今日は帰ってくれて構わないよ、お疲れ様!」

卯月・未央・凛「はいっ」

未央「いやー、緊張したね!」

卯月「確かにね、でも意外とちっさかったね事務所」

凛「少し失礼じゃない…? 私たちが大きくしていけばいいでしょ」

未央「おっ、しぶりんやる気出てるねぇ、意外と言えばしぶりんよくアイドルになろうと思ったね」

卯月「ほんとほんと! 何で凛ちゃんアイドルになろうと思ったの?」

凛「…変われると思って」

未央「? どゆこと?」

凛「あっ分かれ道、それじゃね未央、卯月、また明日」

卯月「うんバイバイ! 凛ちゃん!」

未央「うーん…どうゆう事なの? さっきの」

卯月「ふふっ、どういう事なんだろうね。私たちも早く帰ろっ」

未央「あっ! 待ってよ卯月!」

ちひろ「それではお疲れ様です」

社長「うむ、お疲れ様ちひろ君、気を付けて帰りたまえよ」

バタンッ

社長「…それで、どうだねP君、しっかり彼女たちをプロデュースできそうかい?」

P「……まだろくにプロデューサーの仕事をしていない自分にそれを聞きますか?」

社長「ははは、それもそうか。でも出来なかったらこの事務所が倒産してしまうのだからやってもらわなくちゃ困るよ」

P「…おかしな人だ、あんな何も無い田舎にいる中年をいきなりスカウトして、一か月でプロデューサーの知識を身につけろなんて話、普通の人なら断ってしまうでしょうに…」

社長「でも君は来てくれた、そして何より、アイドルが好きなんだろ?」

P「…………」

社長「ともかくそういう訳だ、私は君が思っている以上に君を頼りにしているんだ。さて明日は早い、君も早く帰りたまえよ。それじゃあお疲れ!」

バタンッ

P(……頼りに、か)

ちょっとだけ支援。

翌日

P「おはよう」

卯月「おはようございますプロデューサーさん!」

未央「おはよう! プロデューサー!」

凛「おはよう…プロデューサー」

P「早速だがこれからの予定を言わせてもらう、まずは君たちの能力を確認させてもらう為にトレーニングを受けてもらう、着いてきてくれ」


レッスンスタジオ

トレーナー「はじめまして、私があなたがたをレッスンさせてもらいます、担当トレーナーです! そんなに体も心もカタくならないで、まずは軽くダンスしましょうか♪」

卯月・未央・凛「よろしくお願いします!」

P(基本的なレッスンをしている中、俺は彼女ら3人のトレーニングを見てそれぞれの特徴を確認した)

P(まず卯月は昨日から笑顔が自然に出来ていた、これはどんな場所でも自分の実力を十分に引き出せる事を意味するはずだ)

P(次に未央、彼女はダンスが得意らしく他の二人よりレッスンにへばらずにいた、性格も明るくムードメーカーの素質もある)

P(最後に凛…は大器晩成型、と言った所だろうか。ダンス・ポーズレッスンは劣っていたもののボイスレッスンは素人な自分にも分かるほど他の二人を圧倒していた)

P(…この3人なら、本当にトップアイドルになれてもおかしく……ないかもしれんな)

卯月「はぁ…はぁ…アイドルってこんなに運動するものなのぉ~!?」

未央「ふぅ…卯月もしぶりんもしっかり運動しないとダメだよ♪」

凛「はぁ……はぁ……」

P「お疲れ様だ三人とも、30分後に事務所に戻るぞ。それまでにシャワーと着替えを済ましてこい」

P(事務所へ戻った後、俺は疲れている彼女たちにどうやってトップアイドルを目指していくかの方針を説明した)

P(方針とは言ってもやる事は他のプロダクションとは変わらず、まずレッスンで実力を磨き、頃合いを計ってオーディションへ参加、そしてファンを獲得すると言うものだ)

P(他にもやる事はあるが、しばらくはオーディションで合格する事が中心となるだろう)

P「最後に、困った事や相談したい事があればこの番号に連絡をかけてくれ、俺の携帯に繋がる。説明は以上だ、何か質問はあるか?」

卯月「あっ、はいはい! 質問です!」

P「何だ?」

卯月「プロデューサーさんって年はおいくつですか?」

P「………俺の事か?」

卯月「はいっ♪」

P「…今年で35になる、他には?」

未央「へぇ、思ってたより若いんだね、私からも質問! 結婚はしてるの?」

P「……独身だ、お前たち、もう仕事の質問は大丈夫なのか」

卯月「Pさんの話が分かりやすかったからもう大丈夫!」

未央「そうそう♪ 凛もプロデューサーについて質問しなよ!」

凛「えっ!? 私…?」

P「…答えられる範囲なら答える」

卯月「って言ってるんだしさ! さぁさぁ!」

凛「えっと……それじゃあ………プロデューサーって凄い筋肉付いてるけど、何かやってたの?」

P「…ここに来るまでは田舎にいてな、農作業などをしていると自然とこうなった」

凛「へぇ…プロデューサーって田舎育ちだったんだ」

P「そうだ」

未央「それじゃそれじゃ! Pさん田舎で何を育てていたの!」

P「…………」

P(結局、3人が帰る時間が来るまで、俺に関しての質問を根掘り葉掘りと聞いていった)

ちひろ「お疲れ様ですプロデューサーさん、人気者でしたね♪」

P「…そうですね」

ちひろ「こうやってアイドルとコミュニケーションを取っていくのも大事なお仕事なんですよ」

P「コミュニケーション…ですか」

ちひろ「ええ! トレーニングをして育てても信頼関係が無いとトップアイドルになれないと言っても過言じゃありません。目指せパーフェクトコミュニケーションです!」

P「……分かりました」

P(…これから彼女らと話す事が多く…なるのか)

P(その後、俺は彼女たちに合わせたレッスンを行わせ、着々と営業をこなしていきファンの数を増やしていった)

P(時々失敗もしたが、許容範囲内であり。むしろ彼女らはそれをバネに仕事を成功させていった)

P(正直に言うと、俺の予測を遥かに超えた速さで彼女たちは成長していっている)

P(…しかし)

P(俺はあの質問の時以降から、ちゃんとしたコミュニケーションを取れずにいた)

P(……このままでは駄目…なんだろうな)

アパートの一室


トントントントントントントントン

P(やはり話すとなれば…最近の話題も必要になるんだろうな…)

携帯「ピリリリリリリリリリ、ピリリリリリリリリ」

P「…仕事用の携帯、……卯月から?」

ピッ

P「もしもし…Pだ」

卯月『あっ、プロデューサーさん』

P「…どうした、何かあったか?」

卯月『いえ、少しPさんとお話がしたいなぁ…って』

P「…そうか」

P(そういえば、趣味は電話と言っていたな。…コミュニケーションを取れるチャンスか?)

卯月『あの…Pさん、今は大丈夫ですか?』

P「ああ、別に構わないぞ」

卯月『ほんとですかっ、えへへ…良かった♪』

卯月『今Pさんって何してるんですか?』

P「今夕食を作っていた所だ」

卯月『へぇ! Pさんお料理も出来るんですね! 何を作ってるですか』

P「…肉野菜炒めと味噌汁、後はおひたし。簡単なものだ」

卯月『それでも凄いですよ! 自炊出来ちゃう男の人って』

P「…そうか」

P(そして卯月はそのまま最近起こった出来事や、未央や凛の話も聞かせてもらった)

P(本当に楽しそうに語りかけてくる卯月、この飽きさせない話術は…今後に使えるんではないか、と思った)

卯月『それでね! その時凛ちゃんが…』

P「…卯月」

卯月『えっ? はっはい…もしかして面白くなかったですか…?』

P「いや、逆だ。 君のその話術…何かコツがあるのか?」

卯月『わ…話術?』

P「そうだ、他の二人に今のようなコミュニケーションを取りたいと思ってな…教えてくれないか?」

卯月『……プロデューサーさん、人とお喋りする時なんて。そんなに難しい事を考えないんでいいんですよ♪』

P「…そうなのか?」

卯月『はい! ただ頭に浮かんだ事を喋ってしまえば楽しく会話できますよ♪』

P「……なるほど、卯月、相談に乗ってくれて助かった、ありがとう」

卯月『えへへ…礼なんてそんな…♪』

P「もう夜も遅い、そろそろ寝た方がいいぞ」

卯月『えっ!? もうそんな時間ですか!』

P「また明日会おう、おやすみ」

卯月『あっプロデューサーさん!』

P「なんだ」

卯月『また…電話しても、いいですか?』

P「……ほどほどにな」

卯月『分かりました! それじゃあおやすみなさい、プロデューサーさん♪』

ピッ

P「……難しく考えるな、か」

P(ともかく、これで卯月とはコミュニケーションが取れたな)

グゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

P「…………飯、早く作らないとな」


P(その翌日から、気のせいか卯月の調子がいつもより上がり、仕事もいつもより順調に進んでいった)

未央「ただいまー!」

P「おかえり、未央」

ちひろ「おかえりなさい」

未央「あれ? 卯月としぶりんはまだ仕事?」

P「そうだな、二人はもうしばらく後で帰ってくる、もう帰ってくれても大丈夫だぞ」

未央「うーん…そっかぁ、じゃあお言葉に甘えて……! ねぇねぇプロデューサー! 明日って休みだよね!」

P「? 確かにそうだが…どうした?」

未央「それじゃあさ! 明日一緒にショッピングしにいこうよプロデューサー♪」

P「…………ショッピング?」

未央「そうそう、明日予定とかある?」

P「特に予定は無いが…二人で……行くのか?」

未央「うん! それじゃあ明日の1時に○○駅前で集合ね! また明日ねプロデューサー!」

P「おい…少し待」

バタンッ!

P「………………」

ちひろ「良かったじゃないですかプロデューサー、アイドルとショッピングですよ♪」

P「…いや、駄目でしょう。二人でショッピングなんてゴシップ記者にでも見られたりしたら」

ちひろ「未央ちゃんはまだアイドル駆け出しです、まだ目に付けられてはいませんよ。それにこれはコミュニケーションを取るチャンスですよチャンス!」

P「……そうですか」

ちひろ「そうです」ニコッ

ちひろ「Pさんと未央ちゃんの年も離れてますし、デートじゃなく父と娘のショッピングに見えるはずです♪」

P「…………ハァ」

ちひろ「お疲れですか? それならこのスタミナドリンクをどうぞ! 一本100円とお得ですよ♪」

P「…頂きます」

翌日 ○○駅前広場

P(昨日、急いでデー…ショッピングの知識を身に付けてきたが使えるかどうか…)

未央「あっ! Pさん! ここだよここ!!」

P「…未央、あまり大声は上げないでくれ」

未央「ごっごめんね、えへへ…」

P(やはり、変装はしていないか。 記者が来ない事を祈るしかないか)

未央「PさんPさん、今日気合を入れて服を選んだんだけどどうかな?」

P「んっ、ああ未央らしい明るい服だな、ピンクがよく似合っているぞ」

未央「本当! 良かったぁ♪」

P(…今は心配ばかりしてはいかんな、ショッピングをする事だけ考えるか…)

P「それじゃあ行くぞ、何かいい店はあるのか?」

未央「うん! 近くに私のお気に入りの服屋があるの、行こ♪」

P「ああ」

シャレた服屋内

未央「うーん…Pさん、これとかどうかな?」

P「そうだな、これを着るとしたら…これを重ね着したらいいんじゃないか?」

未央「あっ凄い! Pさん服にも詳しいんだね!」

P「…プロデューサーだからな、これの他にアクセサリーや靴の組み合わせにも気をつけないといけない」

未央「ふーん、やっぱり大変なんだね」

店員「いらっしゃい、未央ちゃん。今日はお買い物かな?」

未央「こんにちは! うんそうだよ!」

店員「おや…こちらは、未央ちゃんのお父さんかな?」

未央「えっ! ちっ違うよぉ!」

店員「あっ、未央ちゃんのプロデューサー! そういえば雑誌で見たよ! いやぁーまさか未央ちゃんが載ってて、ほんとびっくりしたよぉ」

未央「えへへ…ありがとうございます!」

店員「まぁ今はしっかり買い物を楽しんでいってよ」

未央「はい!」

P(この後未央は自分や店員のお勧めやアドバイスを聞き、服を何着か購入した。店員のアドバイスは自分にも為になった)

アリガトウゴザイマシター

未央「応援しているよって言われちゃいました♪」

P「知り合いがファンと言うのはいい事だ、次はどこへ行く?」

未央「はい、今度は…ソフトクリーム屋さんへ行きましょう! おいしいんですよ!」

P「よし分かった」


ソフトクリーム屋

店長「いらっしゃい! おっ未央ちゃんじゃねーか!」

未央「こんにちは!」

店長「いやいや、上さんから聞いたぜ、アイドルになったんだってな!」

未央「はい! がんばってます!」

店長「おうがんばれよ! んっ、そこの渋い兄さんは…未央の彼氏さんか!」

未央「えっ、えぇ!?//」

P「…違います、プロデューサーです」

店長「ははは! 冗談だよ冗談! あんた見るからにプロデューサーって感じの凛々しい面構えだな!」

未央「ううぅ…そういうのはやめてよ…//」

店長「悪かったよ未央ちゃん! お詫びにソフトクリーム2本サービスしてあげるから!」

未央「ほんとですか!」

店長「ああ! アイドルになった記念さ!」

未央「やった! じゃあ抹茶ソフトをください!」

P「…バニラで」

店長「今度は卯月ちゃんと凛ちゃんと一緒に来なよ!」


未央「もう…店長さんったら、彼氏だなんて…」

P「自分も驚いたな…しかし元気な人だった、未央に負けず劣らずだな」

未央「ほんとビックリしたよ…あっPさんのバニラちょうだい♪」

P「あっ」

パクッ

未央「うん、おいしい! さすが店長のソフトクリームだね!」

P「……大丈夫なのか?」

未央「うん? 何が?」

P「バニラ…俺が口につけてたんだが……」

未央「……………………!?」ボンッ!

P「おい…大丈夫か未央?」

未央「あああああのちち違うのぷプロデューサー!! ほら! いつもしぶりん達と食べててそそそれでそれで!!」/////

P「…落ち着け、おい走ったらあぶないぞ」

未央「つっ次のお店までダッシュでぇ!」

P(…小さなアクシデントはあったが、未央とのショッピングは特に問題も無く順調に進んでいった)

P(未央と喋っているとすぐに時間が経ってしまい、もう日が傾く時間となった)

駅前広場

未央「ふぅ…いっぱい買っちゃった」

P「こんなに買って大丈夫か?」

未央「大丈夫、私って意外とやりくり上手なんだよ?」

P「そうか、日もだいぶ落ちてきた…そろそろ帰るか」

未央「うん、今日は色々ありがとうね? プロデューサー」

P「こちらこそ色々と楽しめた、…またショッピングに誘ってもらっていいか?」

未央「えっ! うっうん! 全然良いよ!」

P「ただし、次行く時はしっかりと変装してくれ」

未央「うん…えへへ♪」

P「それじゃあもう行くぞ」

未央「あっ、またね! プロデューサーさん♪」


P(未央とのショッピング、予想外の収穫もありかなり勉強になった)

P(それと、卯月の時と同じくその日から未央の調子が上がり、どんどんと仕事が入ってくるようになった)

レッスンスタジオ

凛「はぁ……はぁ……」

トレーナー「凛ちゃん…そろそろ休憩した方が…」

凛「はぁ…いや…まだまだ続けられるよ…!」

トレーナー「で、でも……」

P「…凛、もうダンスレッスンは終わりだ」

凛「!? どうして!」

P「もう1時間以上も踊り続けている、これ以上のレッスンは危険だ」

凛「…ちょっと休憩すれば」

P「……凛」

凛「っ…………分かった」

P「……しっかりと水分補給をしろ、いつも通り外で待っているからな」

凛「………………」

バタン

トレーナー「…ふぅ」


P「お疲れ様です、それで…どうですか、最近の凛は」

トレーナー「そうですね…卯月ちゃんや未央ちゃんが着々と実力を付けているのに焦りを感じているようです…」

P「…やはり、ですか」

P(最近になり、凛はスランプに陥っている。理由はあの二人の急な成長だろう)

P(ただでさえ凛には二人に比べレッスンの伸びが少なかった、どんどんと実力が離れていくのに焦っていったんだろう…)

P(そしてその焦りが今まで普通にこなしてきた事を出来なくしていった、少し前のあの日のように)



オーデション会場

凛『~~~~~~~♪』

P(……歌は問題無いな、だが)

ビジュアル審査員『5番! 笑顔が硬いわよ!』

凛『っ! はい!』

P(力みすぎて表情が硬くなってしまっている…さらに)

ダンス審査員『5番! ダンスがおろそかになってる!』

凛『くっ! はいっ!』

P(ビジュアルを立て直そうとすれば他に隙が出来てしまう、こうなってしまっては…)

ボーカル審査員『5番! しっかり歌いなさい!』

凛『……あっ…』

P(…ここまでだな)

レッスンスタジオ 外

P(過度の緊張により実力の半分も出せていなかった…何とかこの状況を打破しなければ)

凛「…………」

P「来たか、それじゃあ帰るぞ」

凛「……んっ」

P(…打破する為には、コミュニケーションか)

P(しかし凛とはちゃんとした会話をした事が無い、元々口数は少ない子だ)

P(…俺も無口な方だ、これじゃあコミュニケーションなんて取れん)

P(…………頼りたくは無かったが、相談するか…)

凛「………………」

事務所

P「…と言う訳なんだ、申し訳ないが卯月、未央、ちひろさん。力を貸してくれないか」

卯月「はい! 凛ちゃんの為に一肌脱ぎます!」

未央「しぶりん学校でも元気が無いからね…私も乗るよ!」

ちひろ「力になるか分かりませんが、頑張ります!」

P「ありがとう、まず未央、凛は学校でも調子が悪いのか?」

未央「うん、しぶりん最近休み時間はダンスとかの本を読んでて、構わないでオーラがバシバシ出てるよ…」

卯月「放課後とか休みの日に遊びに誘ってるんだけど最近は全然…」

P(それは不味いな…学校に来てまでアイドルの勉強をするのはやりすぎだ)

P(しかも友達とも遊ばずにいるのか…気を張りすぎている)

P「なるほど、次にちひろさん、最近の凛はどうですか」

ちひろ「そうですね…事務所でも凛ちゃん、暇な時間は全部アイドルの勉強をしていましたね…」

P(やはりな…、この調子じゃ体調を崩すのは時間の問題、と言った所か)

P「…どうしたものか、誰か凛を復活させる案を出せないか?」

卯月「うーん、凛ちゃん元気になってねパーティー! とか!」

P「…却下で」

未央「はいはい! 私たち2人でしぶりんのレッスンを手助けをするってのはどう!」

P「いいかもしれんが、凛が素直に聞いてくれるかが微妙だ…一人走りしている傾向があるからな」

卯月・未央「むー……」

P「…本当にどうしたものか」

ちひろ「…あの、プロデューサーさん」

P「? はいちひろさん、何か案が?」

ちひろ「プロデューサーさんは何か作戦とか考えてないですか?」

P「自分の作戦…ですか、いえ、一度二人のように話をして打ち解けようと考えましたが……」

ちひろ「……それでいけなくないですか?」

P「…えっ」

卯月「それですよプロデューサー! 私とお喋りしたようにすれば凛ちゃんも元気になりますよ♪」

未央「それで行こうよプロデューサー! しぶりんもプロデューサーの事気にしてるみたいだし、悩みとか聞いてあげようよ!」

P「…いや、凛とはまだまともに会話した事はなくて」

ちひろ「……プロデューサー♪」

P「………はい」

ちひろ「当たって砕けろ! ですよ。凛ちゃんの為にも頑張ってください♪」

P「頑張ると言われても…」

未央「GO! GO! Pさん! 頑張れ頑張れPさん!」

卯月「凛ちゃんの為にも! お願いしますPさん!」

P「…………分かった」

後日 花屋前

P(…昨日調べてみた結果、凛の親は花屋を開いている事が分かった)

P(ここで花を買いに来たと言って、凛と話さえすれば少しは打ち解ける…はずだ)

P(しかしもう夜中だ、まだ灯りは点いているがもうすぐ閉店だろうな)

P(明日…何とかしてコミュニケーションを取っていこう)

P(卯月は頭に浮かんだ事を喋ればいいと言っていたが…そんな器用な事をするのは無理だ)

P(しっかり会話のマニュアルさえ読めば大丈夫だろう……)

P(………そろそろ帰るか)

凛「…プロデューサー?」

P「!?」

凛「…どうしたのプロデューサー、こんな場所に突っ立って」

P「……凛、いたのか…」

凛「いたのかって、ここ、私の家なんだけど」

P「ああ…ちゃんと知ってたぞ」

凛「? …ともかくプロデューサー…花、買いに来たの?」

P「………ああ、閉店になりそうでまいっていたんだが…入れるか?」

凛「…別に大丈夫だよ、入って」

P(……まさかいきなり本番に入るとは…話せるのか…いや、もうチャンスはここしか無い…)

凛「どうぞ、外の花仕舞って狭いから気を付けて」

P「お邪魔します…」

犬「ワンッ!ワンッ!」

凛「あっこらハナコ、吠えちゃダメ」

P「…ハナコ?」

凛「家の犬の名前、よいしょっ、ほら可愛いでしょ?」

ハナコ「ワンッ」

P「ああ、確かに可愛いな……撫でてみていいか?」

凛「別に良いよ、…はい」

P(…凛がハナコを抱えてるせいで、自然と凛に近づく形になったな)

P「…よしよし」

ハナコ「ハッハッ…」

凛「……………」ジー

P「……どうした凛、顔なんか見て」

凛「! いや何でもないよ、あーほら…それよりどんな花を買うの?」

P(…目を合わせたのはまずかったか?)

P(ってそれどころじゃないな、花…と言われても全く分からん…)

P「………お祝いの花だ」

凛「…お祝い?」

P「そう、行きつけの仕事場の人に渡すんだ、花束にしてくれないか」

凛「……今から渡しに行くの?」

P「………………………」

凛「………ハァ、こっちで花、選んでもいいよね? 包むから」

P「……すまん」

凛「ハナコ、もうちょっと待っててね…」

P「……散歩に行く予定だったのか」ワシャワシャ

ハナコ「ハッハッハッ…」

凛「気分転換にね…はい、できた…って珍しい、ハナコがすぐ懐くなんて」

P「? そうなのか?」

凛「うん、プロデューサーって動物に懐かれやすいんだね」

P「自分も初めて知ったな、包装ありがとう、幾らだ?」

凛「はいどうぞ、5250円だよ」

P「……意外と高いんだな…ちょうどだ」

凛「ありがとうございました、……」

P(…少しだけ話が出来たが、まだ完璧にコミュニケーションが取れていない……このまま犬の散歩に同伴させてもら…)

凛「ねぇ…プロデューサー…」

P「んっ……何だ」

凛「…………ごめんね」

P「…いきなりどうした」

凛「……私が駄目だから、プロデューサーが着たんでしょ?」

P「…………」

凛「私…卯月や未央みたいにダンスや…笑顔も上手く出来なくて…」

凛「オーディションも…失格ばかりで…プロ…デューサーがせっかく持ってきてくれた…仕事も…ダメダメで…」ポロ

P「…………」

凛「それで…お父さんとお母さんにその事を喋る為に……こんな夜中に…」ポロポロ

P「凛……落ち着け」

凛「ごめん…ひっぐ……プロデューサー……上手くなれなくて…ひっく…」

P「落ち着け」

凛「ごめんなさい……ごめんなさい………私…アイドル……辞め」

P「落ち着け!!!! 凛!!!」

凛「っ!?」ビクッ!

P「…………」

凛「…………」

P「…凛……すまなかった」

凛「……えっ?」

P「お前が苦しんでいた事に、今の今まで気づけなく…」

P「そして何より、こんな夜に誤解をさせるような行動をして…」

P「本当に……すまなかった…」

凛「……えっ……違うの……?」

P「ああ…そもそも今の凛はスランプに入っているだけなんだ。 辞めさせるなんて、俺は絶対にしないし、させない…」

凛「………」

凛「…プロデューサー、頭…上げて」

P「…………」スッ

凛「……変なの、私が謝ってると思ったら、プロデューサーが謝ってたなんて…」

P「…確かにな、これで涙を拭け、凛」

凛「んっ…ありがと…プロデュー」

バタンッ!!

凛父「凛!」

凛母「プロデューサーさん!」

P・凛「!?」

P(…その後の事は…いきなり頭に血が上り怒鳴ってしまった事と、凛の親が出てきた驚きで曖昧にしか覚えてないが…)

凛父『プロデューサーさん…わたくし、最初は凛がアイドルになるなんて不安で不安でしょうがありませんでしたが…こんなにも凛を思ってくださるなんて、ありがとうございます…! 何とぞ凛をよろしくお願いします…!」

凛母『私も不安でしたが…最近凛が家でアイドルの仕事の事やプロデューサーさんの事を楽しく話していくようになって、そして先ほどの会話を聞き…間違いなど無かったと感じました…、わたくしからも、凛をお願いします…』

凛『おっ、お父さん! お母さん! 何言ってるの!』

P『…………』

P(確か親がそういう事を言ってから凛が顔を真っ赤にして喋りだし)

P(何故か『良い男じゃないか』だとか『アイドルとプロデューサーの関係だけど、頑張ってね』のような会話をした後)

P(凛が、『犬の散歩に行ってくるから!』と言って、俺の手を掴んで花屋から飛び出してしまった…)

凛「もう…お父さんったら…」

P「……凛、手…繋がってるが大丈夫か?」

凛「あっ……、このままでいいよ、…あったかいし」

P「そうか…しかし娘さん思いの良い父親だったな…よろしくと言っていたし」

凛「ちっ、違うって…勘違いしてるだけだよ…それよりプロデューサー、結局、何で花屋の前にいたの?」

P「明日花屋に行って凛と話そうと思ってな、花屋の場所を覚えていたんだ」

凛「…何だ、泣き損か…」

P「泣き損何かじゃないぞ、言いたい事言って、泣いて、気持ちがスッキリしたんじゃないか?」

凛「……うん、確かに」

P「卯月や未央から聞いた、学校やプライベートの時間もアイドルの勉強をしていると。…さすがに気負いすぎだ」

凛「…ごめん」

P「詫びはあの二人にしておくんだ、心配していたからな。ちゃんと遊ぶんだぞ、それも仕事のうちだ」

凛「うん……はくしゅん!」

P「大丈夫か? 今日は一段と冷えているからな…凛、これを着ておけ」

凛「プロデューサーの…スーツ?」

P「ああ、もうハナコも満足しているだろうし、そろそろ花屋に帰るぞ」

ハナコ「ワンッ!」

凛「…………」

P「どうした、凛? …スーツ…臭うか?」

凛「ううん大丈夫…暖かいし…良い匂いだよ。…手、繋いで」

P「んっ…ああ」

P(……結局、3人とも…自分から話しかける事が出来なかったな…)







???「………ヒヒッ」

P(花屋に戻った時、凛の親ににこやかに迎えられた)

P(凛の父親に『一杯付き合わないか』と誘われたが断らせてもらった)

P(…後、帰る寸前に花代を返され、さすがに悪いと思いこれも断ろうとしたが、全員に押され、受け取ってしまった…)

P「それでは失礼します…ありがとうございました」

凛父「いえいえ…」

凛母「また来てくださいね、歓迎しますから」

凛「ハンカチ、明日返すから」

P「ああ、それじゃあな」

ガラガラ ピシャンッ

凛「…………」

凛父「……凛、好きな花を選んで渡しに行ってやりなさい」

凛「! …お父さん」

凛父「ほら、早く行かないとプロデューサーさんが帰ってしまうぞ」

凛母「ふふふ」

凛「…花、見ないでよ!」

凛父・凛母「はいはい」

ガラガラッ!

凛母「……見えた?」

凛父「ああ、チラッと見えたよ…あの花を持っていくとはな…ふふ」

凛「プロデューサー! 待って!」

P「んっ、…どうしたんだ、凛」

凛「はぁ…はぁ…これ、受け取って…」

P「これは…ピンクの花? いいのか?」

凛「いいの…サービスだから」

P「…そうか、何ていう名前なんだ?」

凛「…………ハナミズキ」

P「ハナミズキ…か、花束もこれも、大事に飾らせてもらうからな」

凛「うん……ねぇ、プロデューサー」

P「何だ?」

凛「……これからも、私の事…見守ってくれる?」

P「…ああ、お前がトップアイドルになるまで、俺は凛の味方だ」

凛「…ふふっ、ありがとうプロデューサー。それじゃあね」

P「…じゃあな、凛」

タッタッタッタッタ………


P「……自然な笑顔、出来るようになったじゃないか」

P(その後、凛がスランプから脱却したのは言うまでも無い)

社長室

コンコン

社長「入ってくれ」

P「失礼します、社長」

社長「うむ、よく来てくれた。それで最近の彼女たちはどうかね?」

P「3人とも、自分の予測を超える速さで実力を身に着けて行っております」

社長「なるほどなるほど…これも君のプロデュースの結果だな!」

P「…自分はあくまで仕事を選んだだけ、彼女たちの力です」

社長「はっはっは! そう恐縮しなくても構わんよ」

P「……それで社長、自分を呼び出した要件は何でしょうか」

社長「ああそうだった、君がさっき言ったように彼女らは中々のスピードで成長していっている」

社長「そこで予定を早めようと思ってな」

P「…早める……まさか」

社長「そう、LIVEバトルだよ」

P「……失礼ですが社長、それにはまだ早すぎます」

社長「そうかね?」

P「LIVEバトルと言えばユニットを組み相手ユニットと対戦するもの…まだユニットの練習すらしておりません」

社長「LIVEバトルを一ヶ月後、その間に練習すれば良いさ」

P「一ヶ月…」

社長「結構余裕を作ってみたが、どうだね?」

P「…………」

社長「…やれやれ、決められそうにないか」

社長「それじゃぁ、君の担当アイドル達に聞いてみよう、そこにいるんだろ、入ってきなさい」

P「…何?」

ガチャッ!

卯月「えへへ…ごめんなさいプロデューサーさん、話を聞かせてもらいました!」

未央「つまり3人で歌えばいいんだよねっ、私やるよ!」

凛「LIVEバトル…頑張れるよ、プロデューサー」

ちひろ「私もいますよ!」

P「お前たち…」

社長「このように彼女たちは準備万端のようだ、さて…覚悟は出来たんじゃないか?」

卯月「Pさん…」

未央「プロデューサー!」

凛「プロデューサー」

P「…………」

P「……分かった、その話…乗らせてもらいます」

社長「その言葉を待っていた!」

卯月・未央「いぇーい!!」

ちひろ「頑張りましょう! プロデューサー!」

P「スケジュールを変更しなくちゃいけないな、それでは早速」

凛「…ねぇプロデューサー、ユニットを組むとしても、ユニット名考えてる?」

P「………考えては…無いな」

P「お前たち、アイディアはあるか?」

卯月「えっ!?」

未央「いやぁ…急に言われても…」

P「一ヶ月以内にユニット名も考えていかないとな」

社長「ふっふっふ…安心したまえ君たちぃ」

P「……もしや、社長…」

社長「その通りぃ! それでは公開! 君たちのユニット名はぁ!」バサァッ!

P「…ニュー?」

卯月「ジェ?」

未央「ネ?」

凛「…レー」

ちひろ「ション! [ニュージェネレーション]ですね!」

P「……どういう意味ですか」

社長「うむ! 『新世代』と言う意味だ、君たちにピッタリだと思うぞ!」

卯月「ニュージェネレーション…カッコいい名前ですね!」

未央「ほんとほんと! やるじゃん社長!」

凛「名前負けしないよう…練習しないとね」

社長「ハッハッハッ! そう褒めないでくれ!」

P(…英語は苦手だ)

P(それはともかく…残り一ヶ月、ニュージュネレーションはLIVEバトルに向けて特訓が始まった)

P(ユニットの練習も、親友同士と言う事で順調に進み)

卯月・未央・凛「~~~~~♪」

P「未央! 2人に動きを合わせろ!」

未央「オッケーッ♪」

凛「ふぅ…」

P「凛、まだいけるな?」

凛「当たり前だよ、プロデューサー」

P「良し」

P(それでも仕事には一層努力を行い)

オツカレサマデシター

卯月「お疲れ様です!」

ウォー!ウヅキチャーン! コッチムイテー!

P「お疲れ、卯月」

卯月「ファンの応援って嬉しいですねっ!」

P「卯月が頑張ったからな」

卯月「プロデューサーさんのおかげでもありますっ♪」

P「……そうか」

卯月「はい♪」

P(当然、俺も仕事に力を入れた)

P「………………」カリカリカリカリ


コトッ

P「…んっ?」

凛「…プロデューサー、お茶…入れたんだけど」

P「すまんな、凛」ズズッ

凛「うん……どう、味は」

P「…ああ、美味いぞ」

凛「そっか、良かった…」


ちひろ(青春、してますねぇ)

未央(しぶりん、いつの間にこんなに仲良くなっちゃって♪)

卯月(いいなぁ…凛ちゃん)

P「…それで、いつまで覗き見するんだ、卯月、未央」

凛「えっ」

卯月「えへっ、ばれちゃった!」

未央「しぶりんっ、アピールするなんてやるじゃん! 良い雰囲気だから私たちはこれにて…」

凛「みっ未央! 違う! 違うってば!」

エヘヘーナニガチガウノカナー? トットニカクチガウカラ!マテ!アッ!

ドンガラガッシャーン!

P「…怪我、しないでくれよ」

P(そして、いよいよLIVEバトル当日となった)


コンサート会場前

P「…ついに来たか」

卯月「うわぁ…大きいドームですね!」

未央「何人ぐらい入れるんだろ…」

凛「…ここで歌うんだね」

P「ああ…そして今回の対戦相手は、今活躍中のモブプロダクションに所属しているユニットだ」

P「そこにいるアイドルは3人、構成も若干だが似ているな」

P「特筆するような点は無いが…お前たちよりアイドル活動が長く、当然LIVEバトルもかなりこなしている」

P「それに引き替えこちらはユニットでのLIVEバトルは初……、だがいけるな?」

卯月「はいっ♪ 頑張ります!」

未央「私たちの向かう所、敵なしだよ!」

凛「いつでもいけるよ、プロデューサー」

P「それじゃあそろそろ中に入るぞ」

社長「頑張ってきたまえ!」

ちひろ「観客席で応援してますからね!」


社長(……んっ? …あれは……)

ニュージェネレーション控え室

卯月「……後15分ぐらいだね」

未央「うう…ちょっと緊張してきたかも」

凛「らしくないよ未央」

卯月「もっとリラックスして笑顔笑顔♪ ほらっ」

未央「…うん!燃えてきたよぉ! 笑顔と言えば、凛もすっかり笑顔が似合うようになったじゃんっ♪」

卯月「確かに! 3人の中で一番変われたんじゃないかな?」

凛「うん…そうかも、プロデューサーがここまで引っ張ってくれたんだから、今度は私たちが頑張る番だよね」

卯月「そうだねっ♪」

未央「当たり前だよ!」

関係者専用通路

卯月「……何だか静かだね」

未央「嵐の前の静けさってやつ?」

凛「ちょっと出るのが遅かったかな…、早くプロデューサーの所へ…」

凛(……? 向こう側から…誰か来てる?)


不良A「おっ? こいつらじゃねぇか?」

不良B「はい! そうですぜ兄貴! ヒヒッ!」

不良C「アイドル生で見んの初めてっすよぉ」

凛「……あんた達、誰?」


コンサートホール舞台裏

「ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」「アアアアアアアア!!!」

スタッフ「シンデレラプロダクションの方ぁ! LIVE開始まで後10分です!!」

P「………………」

不良A「誰って、お前らのファンみたいなもんだよ」

凛「…ここ、関係者以外立ち入り禁止だよ」

不良C「今コンサートホールにスタッフや警備員が集まってるみたいで楽に入れたっすよぉ」

卯月「あの…私たち急がなくちゃいけないんですよ…」

不良B「んっ? いやいや、あんなコンサートなんかほっといてさぁ、俺たちと付き合ってよ!」

未央「どっ…どうしよう…道を譲ってくれそうにないよ……」

不良A「損なんかさせねぇからよぉ、なっ?」

不良B「兄貴! あの黒髪の長髪は俺にくださいよ! これ考えたの俺だし! ヒヒッ!」

不良C「さっきいい感じに誰もいない倉庫見つけましたからそこに連れ込みましょうや!」

凛「…………」

凛「…卯月、未央。私が囮になるから…」

卯月・未央「えっ!」

凛「未央たちはホールに行って助けを呼んできて…」

未央「そっ…それじゃしぶりんが…」

卯月「うっ後ろに逃げようよ! 外に出れたら…」

凛「ダメ、それじゃあ時間が間に合わない…ホールの方が近いから間に合うはず…」

未央「でも……あっ!!」

不良B「何ボソボソ喋ってんだ! ヒヒッ!」ガシッ!

凛「嫌っ!? 離してっ!!」

不良A「逃がすと思ったか?」

不良C「俺50m6秒切ってるんすよぉ!」

凛(助けて…! プロデューサー……!)





         「おい…」

不良C「えっ? ぶほぁっ!?」

P「……何、やってるんだ?」

卯月「プロデューサーっ!」

不良B「あぁん! 何だこのおっさん!」

不良A「ちっ、良い所で邪魔しやがって」

P「…お前たち、もうLIVEまで5分だ、早く行け」

凛「…でもプロデューサーが」

P「俺より自分たちの事を心配…」

不良C「いってぇなぁ! オイ!!」

P「っ!」

不良A「C! そのまま押さえとけよ! オラァ!」

不良B「オラッ! さっさとくたばれっ!」

P「ぐっ……! 早く行け!」

未央「……卯月! しぶりん! 行くよっ!」ガシッ

卯月「えっ! 未央!?」

凛「あっ! 待って!」

タッタッタッタッ……

不良A「けっ! 逃げちまったか…、おいしっかり掴んでおけよ!」

不良B「へい! サンドバックですね! ヒヒッ!」

不良C「俺にも殴らせてくださいよ! 100倍返しにするんでっ」

P「………………」

未央「はっ…はっ…! すぐに助けを呼べば大丈夫だよ!」

卯月「……うんっ! それにプロデューサー鍛えてるからっ…」

凛「…………」


コンサートホール舞台裏

「「「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」」

卯月「すっ…凄い歓声…」

スタッフ「あっ! ようやく来た!! 君たちすぐに上がって!!」

凛「あっ…スタッフさんっ、プロデューサーが…」

「「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」」

スタッフ「えっ!? 何聞こえない!! とにかく早く!」

未央「そんな…どうしたら……!」

卯月「…行こう! 二人とも!」

卯月「ここまで来たら…もう歌わないと駄目だよっ!」

未央「……うんっ」

凛「…プロデューサー」

不良A「セイッ!! セイッ!!」

P「……………」

不良A「はぁ…はぁ……もう良いだろ」

P「……もう、良いな」

不良A「……あんっ? 何言って…ッ!!??」

   ヒュッ     ドォン!

不良C「…へっ?」

不良B「兄貴…何でいきなり吹っ飛ん…はっ!?」

P「…全くパンチに体重が乗っていない」

不良C「いっ…いつの間に俺ら離していたんだ!?」

P「…………」

不良C「このっ! やっ……えっ」

不良C(何で…景色が回っ…)

不良C「ガフッ!!??」

P「ろくに受け身を取る事も出来ず…」


  ダン! ダン! ダン! ダン!

不良C「ガッ!? イッ!? ヤメッ!  踏まなっ!!??」

P「…寝返る事すらできない」


不良C「…アッ…………ア……」

不良B「ひっ……ひいっ!?」


さるくらっちった…完走できなかったらごめん。

他のスレにも適度に書き込むよろし

他のスレに書き込んでこい

P「…………」


不良A「こっ……の…、畜生がぁぁぁぁ!!!」

P「……………ふんっ」

          ドスッ!!!


不良A「………!! アッ………! アアッ……………!!」

          ドサァッ

P「腹ががら空きだ」

P「……」

不良B「っ!? やっ……やめ…イィッ!?」

不良B「いだい!! やめっ! 髪ぃぃ!!!」

P「……………」

  ゴン゛! ゴッ! ゴン゛!!

不良B「ああ゛っ!! いだい゛っ!! ばな゛があ゛!!!」

P「……………」

  ゴン゛! ゴン゛! ゴン゛ッ!


>>112,>>113
ありがと

不良B「ヴゥ……ああ゛……やめ゛でくだ……ぐえ゛っ!?」

P「…………」

      ギリ……ギリギリ………ギリッ


不良B「息があ゛……できっ………く゛っ…」

不良B「……ごめん゛な……! ゆる゛………ひ…!!」

P「………………」











社長「そこまでだ、P君」

P「……社長?」

不良B「がっ!? はぁー!! はぁー!! ひぃぃ!!!」

P「…………」

社長「もう後の二人も逃げてしまったよ」

P「…社長、申し訳ありませんでした」

社長「うむ…彼らにも非があると思うが、少々やりすぎだったな」

P「すいません……頭に血が上ってしまい…」

社長「今後の君の課題になるな、怪我は大丈夫かい?」

P「…はい。…LIVEバトル、どうなっていますか」

社長「残念だが、私もまだ確認できていない、急いで観戦に向かおう」

P「……」

社長「P君は今、どのような状況になってるか分かるかい?」

P「……恐らく…」

コンサートホール

「ワアアアアアアアアッ!!!!」「うづきーん!!!!!」「ワアアアアァァァァァ!!」

卯月(…うぅ! 強い…)

モブCu「ふふふ…」

未央(曲に……乗れないっ…)

モブPa「緊張してるのかな? えへっ♪」

凛(ダメ……追いつけない…!)

モブCo「経験の差…と言うものかしら」


社長「おー…君の言うとおり、劣勢だねぇ」

ちひろ「おかえりなさい社長さん、あれ? プロデューサーさんもご一緒ですか?」

P「…………」

P「…やはり、早すぎたのではないでしょうか」

社長「んっ?」

P「予定よりも早いユニットLIVE、経験が積み重なっている対戦相手、そしてこの規模での…初LIVE」

社長「…君は、もっと後でやらせるべきだと感じているのかい?」

P「ええ、まだもう少しレッスンを…積み重ねていけば」

社長「…………P君」

P「…はい」

社長「私はね…、女の子は誰でもシンデレラだと思っているんだ」

P「…女の子は誰でもシンデレラ」

社長「そう、最初は皆灰をかぶっているんだが」

社長「私たち魔法使いがその灰の奥に眠っている才能を見つけ、魔法で一人前のアイドルにしていくんだよ」

P「魔法使い…」

社長「うむっ、しかし君は魔法使いとしては一流だが、人としては半人前だよ」

P「……何が言いたいのですか」

社長「ニュージェネレーションが勝つ魔法、かけてみたくないかね?」

P「勝つ…魔法?」

P「そんな物が…?」

社長「そうだ、……彼女たちに聞こえるぐらい、大きな声で応援してあげなさい」

P「…そんな事で、勝てるんですか」

社長「私の言う事なんだ、信じなさい!」

ちひろ「プロデューサーさん! 早くしないと負けてしまいますよ!」

P「………………」

P(応援……それだけで、この状況を覆す事が出来るのか?)

P(……それで勝てるのなら…俺は……)








P「頑張れぇぇ!!!! 卯月ぃぃ!!! 未央ぉ!!! 凛!!!!」

卯月(!! プロデューサーさん!)

未央(プロデューサー!)

凛(……! プロデューサーっ…)


社長「おぅ…中々の声量だね…」

ちひろ「びっ…びっくりしました…」

P「……社長…これで本当に」

   ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!

P「!!」

http://i.imgur.com/wQA1sYq.jpg
http://i.imgur.com/7Z1Sf8M.jpg
島村卯月(17)

http://i.imgur.com/gVC2ogV.jpg
http://i.imgur.com/4RhnrNy.jpg
渋谷凛(15)

http://i.imgur.com/XHhQQfw.jpg
http://i.imgur.com/V7ytwUP.jpg
本田未央(15)

卯月(プロデューサーさんが見ててくれてる…! ファンの皆の為にも…プロデューサーさんの為にも…!)

卯月「全力でいきますっ♪」ニコッ

モブCu(雰囲気が…変わった!?)


未央(プロデューサー! やっつけたんだねっ、もう不甲斐ない所見せられないよ!)

未央「私のステージ、見ててよね♪」

モブPa(あ…あれあれぇ…? 今度は私が乗れなくなってるぅ?)


凛(…プロデューサーがくれたこの機会……絶対に負けない…!)

凛「……手加減はしないよ」

モブCO「……予想外…としか言いようが無いわ…」


「イケエエエエエェェェ!!!ミオチャーーーン!!!!」「コッチムイテェェ!!ウヅキチャン!!」「リンチャンカッコイィィィ!!!!」


社長「うむうむ、満点スマイルに天性の魅力、静かな闘志と言った所か」

5~6分おきのほうがさるらんよ

しえ

P「………………」

社長「どうだね? とてもよく効く魔法だっただろ? ……聞こえていないか」

P「…………」

ちひろ「卯月ちゃん達、さっきよりも楽しそうに歌っていますね♪」

社長「ああ、とにかくこれで! 我がプロダクションはしばらく安泰だな! はっはっはっ!」










        『LIVE終了!! 勝者! ニュージェネレーション!!!!』

     「「「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」」」


何分間隔で落とせば大丈夫かな。

5分間隔前後
あとたまーに他スレに書き込むがよろし、他スレへは30秒制限だけを気にしてればいい
さるは「一つのスレに対する連投規制」ってトコやし

モブCu「はぁ…まさか負けるなんて、敵ながら見事ですっ」

卯月「えへへ…ありがとうございました!」


モブPa「聞いてるこっちも楽しくなっちゃったよ! またライブしようね!」

未央「はい! こちらこそ勉強になりました!」


モブCo「初LIVEでこの出来、感動したわ」

凛「…ありがとうございますっ」



P(…ユニットでの初LIVE対決、結果は見事逆転勝ちをし、相手チームと固い握手を交わす程、完璧な勝利で終わった)


>>135.>>137
助かります、後8レスぐらいで終わりです。

シンデレラプロダクション

社長「それではっ、ニュージェネレーションの勝利を祝って! かんぱーい!!」

     「「「「かんぱーい!」」」」

P「…乾杯」

卯月「凄い料理ですね! 全部プロデューサーさんの手作りなんですか!?」

P「パスタの麺以外はほぼそうだ」

未央「このピザもパスタのソースもポテトサラダも!?」

P「ああ」

凛「……おいし」

ちひろ「ぷはーっ! プロデューサーさんも飲みましょうよぉ!」

P「…卯月達を車で送るので結構です」

P(何回か練習して作った甲斐があったようだ…)

未央「そういえばプロデューサー、怪我大丈夫?」

P「んっ…あのライブ直前の事か?」

卯月「そうです! プロデューサーさん大丈夫なんですか!」タタタッ

P「軽く口を切っただけだ、…もう彼らに会う事は無いはずだ」

P「…卯月、何故隣に座る」

卯月「えへへ…良かったぁ♪」ギュー

凛「!?」

P「……腕に…当たっているんだが」

卯月「当ててるんです♪」

未央「ずるーい! 私もやる!!」

凛「未央!?」

P「……いきなりどうしたんだ」

卯月「今までのお礼みたいなものですっ♪」チュッ

P「!?」

未央「そうそう! んっ♪」チュッ

社長「ハッハッハッ! どんどん攻めるじゃないか!」

ちひろ「現役アイドルのキスなんて最高のプレゼントですよ!」

凛「あっ、あんた達……」

未央「しぶりんもやるぅ?」

卯月「正面が空いてるよっ!」

凛「そっ、そっ、それって……キッキス……////」

P「…………」

ちひろ「ヒューヒューッ! もう付き合っちゃいましょうよぉ! キース! キース!」

凛「うぅ……//」

P「……ちひろさん」

      エッ?ナンデスカプロデューサーキャァ!?ヤッヤメテェ!!ハク!ハイチャイマス!!

卯月「うわぁ…あんなに簡単に…」

未央「凄い回ってる…」

社長(相手を両肩で担いでグルグル回るやつか…小学生の頃よくやったなぁ…)


P(…ともかく、打ち上げは無事終わった)


後2レス…全く未定の次回予告いれれば4レス…。

車内

P「…………」

卯月「…すー……すー…」

未央「むにゃ……」

凛「……プロデューサー」

P「…どうした」

凛「あの時、本当に心配したんだからね」

P「……」

凛「…あいつ等に囲まれて殴られて…助けを呼ぼうとしてもそんな暇、無くて…」

凛「ライブに集中できないぐらい心配したんだから…」

P「…だけどちゃんと応援…できただろ?」

凛「うん…本当に強いんだね、プロデューサー」

凛「私、絶対にトップアイドルになるよ」

P「ああ…絶対にさせてやる」

翌日

シンデレラプロダクション

P「…それでは、営業に行ってきます」

社長「うむ、頑張ってきたまえ!」

卯月「プロデューサーさん♪ スーツですよ」

未央「はいプロデューサー! バッグ!」

ちひろ「プロデューサーさん、このスタドリはサービスです! どうぞ♪」

P「ありがとう」

凛「プロデューサー、ネクタイ曲がってるよ」

P「んっ…すまんな」

凛「営業、頑張ってね」

P「それじゃあ…行ってきます」



      「「「「行ってらっしゃい!」」」」
                          終
たくさんの支援と助言ありがとうございました。
最後に次回予告どうぞ。

【次回予告】

凛「プロデューサー、実は友達にアイドルに興味持ってる子がいるんだけど…」

P「アイドル志望か? 勿論誘ってくれても問題ないぞ」

急激な速度で成長していくシンデレラプロダクション、しかし中年Pに新たな試練が待ち受ける。


社長「君にね、この資料に書かれている子たちのプロデュースもしてほしいんだよ」

P「……社長…これは」

社長が運んできた試練、それは。


???「ちょっと…怖いかも…」

???「………………」

P「………」

???「先生…算数できないの?」

P「……」


???「Pちゃま、匂いがキツイですわ…」

???「鼻にツンときやがります……」

P「…」

人間、時には力では解決できない事が多々ある、『中年』Pはどう立ち向かうか。

次回、中年P「…シンデレラにしては小さすぎでは?」


投稿日は全く未定、期待しないで待ってください。
それでは眠ります、お疲れ様でした。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom