モバP「聖夜の迷い人」 (62)

モバマスSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391264919

例によって古典シリーズの外伝です。

よろしくお願いします。

期待してます

P「いやー、最近冷えますねぇ」

ちひろ「まぁ、時期が時期ですから」

P「お茶がおいしい季節になりました」

ちひろ「いつも言ってませんかそれ」

P「言われてみればそんな気もしますね」

ちひろ「えぇ、きっとそうです」

P「しかし、こう寒いと炬燵とかに入ってゆっくりしたくなりますね」

ちひろ「まぁ…分からなくはないですけど」

P「楓さん辺りだったら熱燗が飲みたいって言ってそうですよね」

ちひろ「杏ちゃんは炬燵の中で寝てますね間違いなく」

P「事務所にはスペース的な問題で置けないですけどね」

ちひろ「いや、スペース以前にそんなものを置いたら私達を含めて仕事が出来ませんよ」

P「確かにあれの魔翌力は凄いですよね」

ちひろ「えぇ、ですから暖房で我慢しましょう。どうしても寒いようでしたら私みたいに膝掛持って来ればいいんですよ」

P「いや、そこまででは…」

ちひろ「あぁ、なるほど。あの炬燵の雰囲気がいいんですね」

P「そうなんですよ」

P「そう言えば、ちひろさん」

ちひろ「はい」

P「今年一年はいい子にしてましたか?」

ちひろ「…はい?」

P「いえ、そのままの意味なんですけど」

ちひろ「まぁ…悪いことはしてないですからね…」

P「それじゃこれでもあげます」

ちひろ「えーとお菓子ですね」

P「そうですね」

ちひろ「なんでですか?」

P「今ちょっとカレンダー見て思ったんですけどクリスマスが近いんで。とりあえず」

ちひろ「まだ時間あるんですからもうちょっと凝った物でも…」

P「分かってますよ。だから今はそれで我慢してください」

ちひろ「それじゃいい子にして待ってますね」

ちひろ「あ、そう言えば他の子にはあげるんですか?」

P「プレゼントですか?」

ちひろ「えぇ」

P「分からないですけど…」

ちひろ「むしろ皆にあげましょうよ」

P「ほら、皆はまだサンタさんから貰えるはずですし」

ちひろ「暗に私は貰えないって言ってるんですね…」

P「…はい」

ちひろ「神妙な顔で頷かないで下さいよもう」

ちひろ「そう言えば二人だけだと静かですね」

P「まぁ、二人共パソコンに向かってるだけですし」

ちひろ「まぁ、それを言ったらそうなんですけどね」

P「いっそ騒ぎますか?」

ちひろ「ここでムダな体力を使いたくないのでパスで」

P「この後何か予定が?」

ちひろ「いえ、帰って寝るだけですが、翌日に疲れを残したくないので」

P「なるほど」

ちひろ「そうなんです。だから張り切って終わらせちゃいましょう」

P「そうですね」

ちひろ「終わりましたか?」

P「あと少しですから先に帰って頂いて構いませんよ」

ちひろ「それじゃ…お疲れ様でしたー」

バタンッ

P「コーヒーでも買いに行くか…」

P「冷えるなぁ…」

P「そして眠い…」

「……っはっしゅん!」

P(あーくしゃみしてる人もいるなぁ…)

P「…ん?」

「……うぅ。寒い」

P「えーと…その、なんて言うか大丈夫ですか?」

「へ…?」

P「見るからに寒そうなんですけど。とりあえず、鼻かみますか?」

「あ、これはご丁寧にどうも」ペコリ

P「えーと…誰か待ってるんですか?」

「いえ、そういう訳では…」

P「そ、そうなんですか。あ、とりあえずこれ着て下さい」

「あ、ありがとうございます。寒くて…」

P(見るからに外国人なんだけど…日本語ペラペラだし一体なんなんだろう…)

P(しかもほとんど服着てないし…)

P(このままだとお互いマズイよな)

P「ここに住み始めた方…ですか?」

「そ、そんなわけないじゃないですかっ」

P「ですよねぇ…」

P「えーと、とりあえずこんな所じゃなんなんで、私の仕事場の方に来て頂いてもいいですか?」

「え、えーと、その、あの見知らぬ人についていくのは…」

P「そうですか…。でも、風邪引きそうでそれどころじゃないと思うんですけど…」

「えぇ、そうですね…」ジー

P「なんですか?」

「はい。そうします」

P「それじゃ、とりあえず車にでも乗って下さい」

「えーと、ブリッツェンはどうしましょう」

P「……え?」

「えーと、このトナカイなんですけど」

P「躾は出来てますか?」

「い、一応は…」

P「なら、一度あなたを事務所に持っていって着替えを貸してあげますからそれから戻ってきましょう」

「な、何から何まですみません…」

P「まぁ、困った時はお互い様ですから」

「そう言っていただけると助かります…」

P「しかし、日本語上手いですね」

「まぁ、慣れてますから」

P「なるほど。あ、着きました。それじゃ、駆け足でお願いします」

「は、はい…」

事務所

P「とりあえず着きましたね。ちょっと待ってて下さい」

「は、はい」

P「えーと、これでいいか。すみませんジャージしかなくて…」

「いえいえー」

P「俺は事務所の外にいるんで着替えたら教えて下さい」

「はーい」

P「一体なんだったんだ…」

「あ、出来ましたー」

P「そうですか。それじゃ、トナカイを迎えに行きますか」

「はいっ!」

「ブリッツェン!」

P「おー、通報とかされなかったか…よかった」

P(まぁ、クリスマスシーズンが近いからかな…)

P(あと、あまり関わりたくないかもしれないし)

「ありがとうございますっ」

P「とりあえず、事務所に移動しましょう」

「はいっ」

事務所

P「はい。お茶です。飲めますか?」

「あ、はい。ありがとうございます~」

P「改めてお名前はなんて?」

イヴ「イヴ・サンタクロースですっ」

P「なんだサンタだったんですね」

イブ「ず、随分と平然としてますね」

イブ(皆驚いてくれるのに…)

P「まぁ、いるとは思ってましたし。ただ、目の前に来られるとは思ってませんでしたけど」

イヴ「な、なるほど、そうなんですねぇ~」

P「ちなみに誕生日はいつなんです?」

イヴ「勿論、12月24日ですよっ」ドヤ

P「それは凄いですね。そう言えば、どうしてあんな所であんな恰好を…?」

イヴ「えっと…それはですね…」ポリポリ

P「追剥にでも会いましたか?」

イヴ「えっと…その…、なんて言うか…ひっく」

P「え、えーと…?」

イヴ「わ、私…、ぷ、プレゼント全部取られちゃっだんでず…」ボロボロ

イヴ「せ、折角、じゅ…準備しだのに…」

P「とりあえず、落ち着きましょう」

イヴ「うぇ、うぇ~ん!」

P(これは暫くかかりそうだな…)

P「落ち着きましたか?」

イヴ「ご、ご迷惑を掛けました…」

P「それで、さっき言ってたことは」

イヴ「じ、事実です…」

P「なるほど。それは災難ですね」

イヴ「ど、どうしましょう…」オロオロ

P「どうしましょうかねぇ。警察に行って事情を説明しても信用して貰える気が全くしませんし…」

イヴ「ですよねぇ…」シュン

P「どうしましょうか…」

イヴ「え、えーと…話は変わるんですけど…」

P「はい。なんでしょうか」

イヴ「ここってなんの事務所なんですか…?」キョロキョロ

イヴ(怖いところじゃないですよね…?)

P「えーっとですね。一応アイドルの事務所なんですよ」

イヴ「アイドル…?えーっと、あの踊って歌ってテレビ出てる人たちですか?」

P「えぇ、まぁ、それ以外にもしてる人はいますけど」

イヴ「へぇー…凄いですね~」

P「まぁ、私は凄くないですけどね。ただのプロデューサーですし」

イヴ「そうなんですね~」

P「そういえば、プレゼントってい幾らくらいなんですか?」

イヴ「えっとですねぇ…一万デンマーククローネですかね」

P「で、デンマーク?あぁ、そっちの通貨の名前ですか」

イヴ「あ、えっと日本円に直すと…18万円くらいですかね~」

P「…思ったより安上がりですね。株主優待券みたいにサンタ優待券みたいなのがあるんですか?」

イヴ「いえいえ、サンタも割とブロックで分かれていましてー、たまたま子供が少ないところに届けることになったんですよ~」

P「なるほど…割とそういうところはしっかりしてるんですね。確かにここらへんはオフィスと古書店くらいしかないですし」

イヴ「はいっ!皆の所に届けられないと困りますからねっ。まぁ…今はそのなんというか…」アハハ

P「あはは…」

P(でも、ウチの事務所の子もまだサンタが来る年の子がいるんだよな…)

イヴ「どうしましょう…」

P「18万円でしたっけ?」

イヴ「そうですけど…」

P「ウチの事務所にもまだサンタを待ってる子がいますからね。ちょっと待っててください」

イヴ「は、はぁ…」

P「ただいま帰りました」

イヴ「あ、お帰りなさい」

P「とりあえず18万円貸します」

イヴ「…へ? えぇ!?」

イヴ「いや、え、でもっ…!」

P「あげませんよ。返してくださいね。クリスマスが終わったら」

イヴ「は、はいっ!でも、これで…皆にプレゼントが買えますっ!」

P「でしょうね」

イヴ「ぜ、絶対返しますからっ!アイドルになって絶対恩返ししますからっ!」

P「はい。それじゃ、行ってらっしゃい」

イヴ「はいっ!」

バタンッ

P「あれだな。杏に似てるな」

P(アイドルやる理由が…)

P「ふぁぁ…」

P(眠い…)

事務所

ちひろ「起きてくださーい」

P「ん?あ、ちひろさんおはようございます」

ちひろ「もう、どうしたんですか?」

P「いえ、ちょっとウトウトしちゃいまして…」

P(誰かと話してたような気もするんだけど夢か)

ちひろ「まさかとは思いますが泊まったんですね…」

P「泊まったというか、起きたら時計が進んでまして」

ちひろ「それを泊まったって言うんです」

P「そう言えば、イヴって知ってますか?」

ちひろ「クリスマスイヴなら知ってますよ。それがどうかしました?」

P「あ、いや、なんでもないです」

ちひろ「別にいいですけど…ってそれはなんですか?」

P「え?」

ちひろ「その横にある包装された小包みたいなものですよ」

P「…なんでしょう?」

ちひろ「爆弾ですかね?」

P「いや、そんなことはないと思いますけど…」

ちひろ「確かにまぁ、クリスマス用のラッピングされてますし…ってクリスマス?」

P「そうみたいですね」

ちひろ「まさか…時期がちょっと早いですが、サンタさんが!?」

P「かもしれないですね」

ちひろ「うぅ…。もう、二人とも来ない年ですねって話したばっかりなのに」

ちひろ「プロデューサーさんの所にはサンタさんが来たんですか」

P「なんででしょうねぇ…」

ちひろ「日頃の行いがよかったからじゃないですかー」ツーン

P「拗ねないでくださいよ。なに入ってるか分からないんですから…」

ちひろ「ま、まぁ、確かにプロデューサーさんが私のリアクションを見るために箱を用意しただけの可能性も否定出来ませんしね」

P「さすがにそれはないですけどね」

ちひろ「それはよかったです。さぁ、開けま――」

楓「おはよーございます」

菜々「おはようごっざいまーす」

ちひろ「あ、おはようございます」

P「おはよう。あ、それじゃ、ちひろさん行ってきますね。この中身はまた次の機会にでも」

ちひろ「そうですね。今はお仕事頑張りますか」

数日後

P「なぁ、凛」

凛「なに?」

P「凛はサンタとか信じてるのか?」

凛「まぁ、いたらいいけどって感じかな」

P「二人は?」

頼子「去年、親にもうサンタは来ないからって言われましたね…」

文香「久しく見てないですね…」

P「そうか」

頼子「どうかされたんですか…? まさか、サンタ役でも買って出てくれるんですか?」

文香「えっ…」

P「いや、そういう訳じゃないんだけどな」

文香「そうですか…」

P「なんだ?欲しい物があるのか?」

文香「あ、いえ、欲しい物はありません…」

P「まるで物以外だったら欲しいって聞こえるんだけど」

文香「ま、まぁ…私だって、その、人並に欲はあります…から」

凛「お金で買えない物が欲しいんだねきっと」

文香「えっと、その…はい」

頼子「おやすみですかね?」

P「なるほどそういうことか」

文香「えっと、間違ってはいないのですが…」ゴニョゴニョ

文香(一緒に図書館で本を読みたいとは言えない…ですね)

卯月「え?サンタですか?いるに決まってるじゃないですかー」

杏「杏には飴でいいよ」

卯月「え?なんでPさんにお願いしてるの杏ちゃん」

杏「え?いや、ほら、杏の部屋に置くより、こっちに置いておいた方が確実かなって」

P「まさか、また部屋を汚くしたのか…」

杏「いや、そんなことはないんだけどね。ただ、色々物が積んであるからね。それに、ほら、杏だから」

P「それで納得しちゃうのもどうかと思うんだけどな」

杏「まぁまぁ。それもまた一興ってことで」

周子「それじゃ、あたしにもなんか頂戴ねー」

P「漠然としすぎだなおい…」

泰葉「えっと…私は…その…」

P「泰葉の所にはサンタが来るだろ?」

泰葉「え? あぁ、はい。そうだといいです」

翌日

P「世間はクリスマスか…」

P「クリスマスって言っても、学校はあるし、仕事もあるから特別な感じはしないんだけどな」

ちひろ「言われてみればそうですね」

P「皆は、プレゼント貰ったんでしょうかね」

ちひろ「さぁ…どうなんでしょう」

P「ふと思ったんですけど、サンタってどうやって皆の欲しいものを確認してるんでしょうね」

ちひろ「それはほら、願い事を入れておくから…」

P「やっぱり、そうなんですかね?」

ちひろ「まぁ、心を読んでって言う方が浪漫がありそうですけど…」

P「サトリとかそんな感じですかね」

小梅「サトリ…がどうかしたんですか?」

P「いや、サンタは心を読んでるんじゃないかって話ですよ。小梅さん」

小梅「小梅でいい…。あと、皆さんと同じような…喋り方がいい…です」

P「分かった。これでいいか小梅?」

小梅「はい」

小梅「サンタがサトリ…あぁ…なるほど。だったら…今日夜更かししてればよかった…」

P「ちなみに小梅は何を貰ったんだ?」

小梅「こ、これ…」ガサゴソ

ちひろ「ホラー映画のDVD?」

小梅「うん…皆と仲良くなるために…持ってきたの」

P「なるほどな。四枚もくれたのか」

小梅「まぁ…ちょっと前の奴だから…」

P「い、意外と現金なんだなサンタって」

ちひろ「ち、ちなみに、そのDVDはどこで…」

小梅「えっと…ここじゃ…ダメ、ですか?」

ちひろ「出来たら仮眠室の方でお願い出来ますか?」

小梅「…うん」

凛「おはよう」

P「あ、おはよう」

凛「おはよ。そう言えば、サンタからプレゼント貰ったよ」

P「そうなのか」

凛「うん。まぁ、ハナコの首輪をね。新調したかったから」

P「ハナコ元気か?」

凛「うん。まぁね。今度来なよ」

P「そうだな」

凛「あ、小梅もいたんだ。おはよ」

小梅「あ、おはよう…ございます」

凛「あ、そうだ。これ、いる?」

P「ん?なんだこれ」

凛「ほら、今日、クリスマスでしょ。もう、年齢的にプレゼント貰えないだろうなってことで」

P「くれるのか?」

凛「うん。いらないならいいけど」

P「ありがとうな。開けていいか?」

凛「いいけど。そんなに期待しないでね」

P「お、ネクタイピンか。ありがとな。今から付けるよ」

凛「割と似合っててよかったよ」

小梅「あ、あの…」

P「ん?」

小梅「これ、一つ要りますか…?」

P「DVDか?これは小梅が貰ったものだし、気持ちだけで嬉しいよ」

小梅「そ、そうですか…」シュン

夕美「おはよー。メリクリー」

P「おはよう」

夕美「あ、Pさんプレゼントとかないの?」

P「ないな。用意してない」

夕美「えー、残念だなぁ」

P「悪いな。サンタじゃなくて」

夕美「ちょっとはコスプレを期待してたんだけどなー」

P「ほら、俺は外回りとかあるから流石にそれは出来ないな」

夕美「その言い方だと、ちひろさんは出来そうだよねぇ」チラッ

ちひろ「わ、私は、ほらっ、似合わないですし!」

夕美「意外とイケると思うけどね」

ちひろ「そ、そうですかね…えへへ」

事務所

P「ふむ…」

周子「難しい顔してどしたの?」

P「いや、ちょっとな。経費とかの計算とかしてたのさ」

周子「ふぅん。あ、そう言えばさPさんって給料どれくらい貰ってんの?」

P「秘密だ」

周子「えー、でも、普通のリーマンと同じ位は貰ってそうだよね」

P「分からないなそれは」

周子「なんなら、養ってあげよっか」

P「…は?」

周子「なーんてね。嘘嘘。流石にそんなにアタシも稼いでないって」

菜々「な、なんて話を…!」

P「ん?」

菜々「Pさん、お金が無かったら、ナナのウサミン星にご招待しますよ。今までのお礼も兼ねて」

P「あ、そうですか」

菜々「な、なんだかリアクションが淡泊ですね…。えーっと伝わってなかったのかな、その…」

凛「なんの話してるの?」

周子「あ、おはよ」

凛「うん。なんだか養うとかそんな話してた気がするけど」

周子「Pさんが生活苦しくなったら恩返しに養ってあげるよって話を菜々さんがしてたんだよ」

凛「ふぅん…」

菜々「い、いや、待って下さい!まず、最初は周子ちゃんが…」

凛「疲れてるならウチでしばらくゆっくりしてもいいよ?ハナコもいることだし」

P「ま。まだ平気だからありがとな。三人共」

菜々「いつでも言って下さいねっ。あ、でも、出来たら二日前とかに…」

周子「片付けとか布団を天日干しにしないといけないもんねー」

菜々「そうなんですよねー…あっ、いや、間違ってないんですけど、なんていうか…あはは」

事務所

P「周子の奴いきなり何を言い出すんだよ…」

楓「本当ですね」

P「あ、楓さんどうも」

楓「おはようございまーす」

P(ちょっと不機嫌なのか…?)

楓「あ、私の家に来てもいいですよ? お酒でもどうです?」

P「そうですね。久々にワインとか飲みたい気もします」

楓「ふふ、気が合いますね。チョコレートでも用意して待ってますね」

P「そうですか。分かりました」

楓「とろけるように甘い甘いチョコレートを、ね?」

P「ちょこっとだけですか?」

楓「さぁ、どうでしょう? 御望みなら、二人で一つでも構いませんけど…」

事務所

ちひろ「皆レッスンに行っちゃいましたねぇ」

P「まぁ、クリスマスの収録は終わってますし、大晦日のイベントに向けて練習する時期ですからね」

ちひろ「クリスマス終わったらすぐお正月ですよね」

P「そうですね」

ちひろ「もうちょっと準備期間が欲しいですね」

P「まぁ、分からなくないですけど…」

茄子「あ、どうもー」

P「あ、どうもおはようございます」

ちひろ「おはようございます」

茄子「外は寒いですねぇ」

P「でしょうねぇ」

茄子「あ、今日はなんでしたっけ? 発声練習でしたっけ?」

P「ですね」

茄子「それじゃ、早速行きましょう」

P「そうですね。それじゃ、行ってきます」

ちひろ「行ってらっしゃい」



ちひろ「あ、そう言えば、ちょっと出掛けてこないと…」

ちひろ「プロデューサーさんにメールしてと…」

事務所

P「あ、ちひろさん出てるんだっけか」ガチャ

P「あー暖かい」

ガチャ

イヴ「こんにちは~」ソー

P「あ、どうも…?」

イヴ「もう、覚えてませんか?イヴですよー」

P「あぁ、覚えてますよ多分」

イヴ「多分なんですね…。それより、他の方はいないんですね」

P「生憎、皆出払ってまして…」

イヴ「そうなんですね。あ、聞いて下さいよ! ちゃんと配れましたよプレゼント!」

P「あ、良かったですね」

イヴ「はいっ。ですから、ちゃんとアイドルをやってお金は返しますねっ」

P「分かりました」

イヴ「まぁ、今日はそのご挨拶ってことでした。それでは失礼しまーす」

P「なんだったんだ一体」

ガチャ

ちひろ「あ、事務所留守にしちゃっててごめんなさい」

P「いえ、いいですけど」

P「今、誰かとすれ違ったりしましたか?」

ちひろ「今ですか?いえ、特に…」

P「そうですか…?」

P(今出てったよな…?)

ちひろ「まさか…また、ですか」

P「またってなんですか。またって」

ちひろ「いえ、ほら、いつものアレですよ」

P「アレって?」

ちひろ「また幽霊でも見たんじゃないですか」

P「またってそんなに見てますかね?」

ちひろ「えぇ。多分一生で普通の人が見る幽霊の数の方が少ないと思います」

P「どうなんでしょう…」

P(幽霊にしては随分はっきりとしてたんだけどなぁ…)

ちひろ「ささっ、仕事しましょ」

P「そうですね」

古書店

文香「あ…どうも」

P「こんばんは」

頼子「こんばんは」

文香「もう、お店閉めちゃいますね…」

P「いいのかそれ…」

文香「今、叔父がいないので専門的なことを聞かれても分かりませんから」

P「そういうことか」

文香「はい…そういうことです」

頼子「まぁ…正しい判断でしょうね」

P「そう言えば、二人はクリスマスは何か貰ったのか?」

頼子「いえ…特には。まぁ、欲しいものはその都度お願いすれば買って貰えますし…」

P「そうなのか。そういう方がいいのかもな。文香は確か…休みが欲しいんだっけか」

文香「そ、そんな話も…しましたね」

P「と言うことは、俺がサンタなのか」

P(スケジュールを管理してるの俺だし)

文香「え…」

文香(プロデューサーさんがサンタさん…?)

P「そうだな…何をしてあげればいいんだろう」

文香「あ、あのっ!」

P「…ん?」

文香「だったら、今度…その一緒に…図書館にでも…」モジモジ

P「ん?俺とか? 別にいいけど折角休み取れるのに」

文香「それでいいんです…」
P「そうか。ちなみに、頼子はどうする?」

頼子「……はぁ」

P「どうかしたか?」

頼子「いえ、何でもありません。ですが、今回は遠慮させて頂きます。私は何故か本当Pさんが歌ったり、踊ったりする仕事をとってきたので、練習しなければなりませんし」

P「そうか…」

頼子「あ、いえ…別に、お仕事自体は嬉しいですよ」

頼子(私の為に選んできてくれた仕事ですから)

P「分かってるって」

文香「あ、あの…本当にいいんですか?」

P「まぁ、俺に出来ることだし、全然構わないけど、いつ取れるか分からないぞ?」

文香「その…嬉しいです」ニコッ

P「あ、そろそろ事務所に戻るな。それじゃ」

頼子「余り無理はなさらないで下さいね」

P「分かってるって。それじゃ」

頼子「…はぁ」

文香「どうかされました…?」

頼子「いえ、鈍感か、わざとかどちらかなって」

文香「あぁ、どうなんでしょう」

頼子「まぁ…頑張って下さい。私は私でお仕事がありますし」

文香「…はい」

事務所

P「さてと…ちひろさんも帰ったし、あとは戸締りして」

イヴ「こんばんは~」

P「あぁ、どうも。こんばんは」

P(幽霊には見えないんだよなぁ…足あるし)

イヴ「いやー、稼がないとですね。まず何からすればいいですか?」

P「そうですね…雑誌などに出てみますか」

イヴ「はい。分かりました~」

P「一つ聞いていいですか?」

イヴ「はい?」

P「なんで俺しかいない時に限ってくるんです?」

イヴ「たまたまなんですけどね~。なんででしょう?」

P「たまたまなんですね」

イヴ「はい。たまたまです」

イヴ「むむむ…」

P「難しい顔してどうかしましたか?もうそろそろここ閉める予定なんですけど」

イヴ「あ、いえですね…ちょっと」

P「どうかしたんですか?」

イヴ「あ、そうだ!プレゼント見てくれましたか?」

P「プレゼント?」

イヴ「え~!? 私、この間置いておきませんでしたっけ?」

P「この間…」

イヴ「あれ、私、そーっと置いたはずなんですけど」

P「あぁ、これですか」

イヴ「ま、まだ開けてすらいないんですね…。いや、別にいいんですけど」

P「あ、そう言えば、開けてませんでしたね」

P「開けていいですか?」

イヴ「はい。どうぞ~」

P「なんですかこれ」

イヴ「正直に言うと時間が無くてですね…。約束を書いた紙を入れたんですよ~」

P「なるほど」

P(借用書みたいなものかな)

イヴ「それじゃ、帰りましょっ」

P「はい」

イヴ「いやー、本当にありがとうございました」

P「いえいえそんな」

イヴ「でもっ、明らかに不審者だった私にお金まで貸してくれるなんて、プロデューサーは優しい人ですね」

P「ちゃんと働いて返して貰いますよ」

イヴ「分かってますって!」

P「しかし、サンタって本当にいるんですね」

イヴ「えぇ。いますよ。プロデューサーさんも来年はしっかり大きな靴下を用意しておいてくださいねっ」

事務所

ちひろ「そんなことがあったんですね」

P「えぇ、本当に俺以外の人と会うまで幽霊か何かだと思ってましたよ」

イヴ「酷いですよ~プロデューサーさんってば」

ちひろ「だ、だって、見知らぬ人が事務所の前に立ってたんですもん」

P「あの時のちひろさんにはびっくりしましたよ。『し、知らない人が…!』って真剣な顔してましたからね」

ちひろ「うぅ…いじめないで下さいよ」カァァ

ちひろ「でも、あの時ちょっと安心した顔でしたね」

P「気持ち的には、幽霊が実体を持った感じでしたよ」

小梅「この子はどう…?」

P「まだ見えないなぁ…」

小梅「そっか…」シュン

P「そんな夢を見てるくらい疲れてるんだなっておかげで、休む時間を作らなきゃなーって思うことが出来てよかったですけど」

茄子「生活を見直す機会があって良かったですね」

P「えぇ、全く。そういう意味では感謝しないとですね」

イヴ「えへへ~」

ちひろ「イヴさんが皆に会わなかったことが良かったってことですね」

茄子「あ、茶柱が立ってました♪」

小梅「…おめでとう」

頼子「しかし…サンタクロースって名前だったんですね。てっきり総称かと思ってましたが」

イヴ「実は、名前だったんですよっ」

ちひろ「なんだか、イヴちゃんと茄子ちゃんがいるとそれだけで凄いですね」

P「そうですかね?」

小梅「縁起が…よさそう」

茄子「そうですかねー、ふふふ」

頼子「しかし…Pさんは何故最初に夢だと思ったんですか?」

P「いや、眠かったのと出会った時が衝撃的過ぎて…」

ちひろ「珍しく事務所で寝てましたもんね」

P「えぇ、びっくりしました。だから夢かなって」

頼子「夢でイヴさんに出会って他の人に聞いてみるけど、そんな人いないと…そう言われてた訳ですね」

P「まぁ、ちひろさんにだけだけどな」

ちひろ「だ、だって、本当にいなかったんですもん」

イヴ「まぁ…確かに私も他の人を見かけませんでしたしね」

P「夜だもんなぁ来たの」

ちひろ「と言うかいいんですかね、たむろしてて」

P「全部仕事も終わってますしね」

イヴ「私も早くお仕事がしたいです~」

小梅「あ…そうだ。これ見ない…?」

茄子「映画ですかー?いいですね」

P「もう少しで皆帰ってくるから、その時にでも見たらどうだ?」

小梅「…うん。そうする」

凛「なるほど。だからこうやって色々準備されてたんだね…」

卯月「仮眠室がちょっとした映画館みたいだねー」

幸子「随分とまぁ凝ってますね…。それにしても何を観るんでしょうか」

小梅「あれ…?」キョロキョロ

茄子「あ、プロデューサーさんはちょっと出てくるって言ってたんで先に見ちゃってましょうか」

小梅「…うん。そう…します」

幸子「ジャンルはなんですか?こう見えてもボ――」

小梅「ホラー」

幸子「え?」

小梅「ホラー…あ、す、スプラッタの方が…良かった?」

幸子「い、いえっ、今のままでいいです!」

幸子(今のままでもあんまりよくないんですけどね…)

屋上

イヴ「寒いですねー」

P「そうですね」

イヴ「ま、あの時の方が寒かったんですけどねっ」

P「そら、あんな恰好してればなぁ…」

イヴ「あははは…。本当にありがとうございます~」

P「で、お話ってなんですか?」

イヴ「えっと…改めてありがとうございましたっ」

イヴ「あのままだったら私、プレゼントは愚か、こうして笑ってられなかったと思います」

イヴ「さっきまで、アイドルでもやってお金返すって言いましたけど、私に…出来そうですか?」

P「アイドルですか?」

イヴ「はいっ!」ドキドキ

P「まぁ、確証はないですけど、その生い立ちや、キャラクターはウチの事務所にはいませんから必要だとは思いますよ」

イヴ「よ、良かった~!」

P「さ、寒くなってきたんですけど」

イヴ「あ、あと少しでお話終わりますからいいですかー?」

P「どうぞ」

イヴ「そう言えば、まだプレゼント渡してませんでしたね~」

P「え、あの箱は…?」

イヴ「あぁ、あれは、それっぽく包装しただけで中身は紙ですからね~」

イヴ「手…取って貰っていいですか?」

P「はい」

イヴ「プレゼントは…私自身ですっ!」

P「…え?」

イヴ「プロデューサーさんは命の恩人ですからね~」アハハ

P「それはどうも」

イヴ「思ったよりリアクションが薄いなぁって…。日本語間違ってましたか?」

P「いえ、ちょっと驚いただけで…」

イヴ「アイドルだけじゃなくて、出来ることなら頑張ってやりますから任せてくださいっ!」

P「分かりました」

イヴ「それに、サンタの私にプレゼントをくれるなんて、プロデューサーは…まるでニコラスですね」

P「ニコラス…?」

イヴ「ま、そういうことですから、これからもお願いしますねっ!」

P「こちらこそお願いします」

イヴ「ふふふ。サンタのプロデューサーなんてPさんだけですよっ!」



P「あ、そう言えば小梅が映画を見てるそうですからどうですか?」

イヴ「あ、行きます行きます~」

事務所

P「どうしたんだこれ…」

ちひろ「えっと…ホラー映画を見て脱落した幸子ちゃんです…」

幸子「…あ、Pさんどこに行ってたんですか!?」

P「いや、屋上だけど…」

幸子「さ、さぁ帰りますよ!こんな所にいられません!」

P「ここは事務所だし、そのセリフは一番最初に襲われる奴のセリフみたいだ」

幸子「た、確かに…」

ちひろ「とりあえず、お茶でも飲んで落ち着いて下さい」

幸子「あ、ありがとうございます」

P「そんな怖いのか」

幸子「ま、まぁ、ボクにはチョロかったですけどね」

ちひろ「凛ちゃんと卯月ちゃんの悲鳴がちょっと前まで聞こえてたんですけど…」

P「静かですね…」

ちひろ「大人しく仕事してますか」

P「俺は幸子でも送ってきますね」

ちひろ「はーい」

事務所

P「お疲れ様…」

凛「あ、来たきた」

卯月「後ろに誰もいないね…よしっ!」

P「どうしたんだお前ら」

凛「なんでもないよ。ただ、隣にいたいなって」

卯月「うわー、Pさん意外に手大きいですねぇ」

P「そうか…そんなに怖かったのか」

凛「ん?なんのこと?」

小梅「…途中から…島村さんに抱き着いてました」

卯月「可愛かったよねー」

凛「なっ…!」カァァ

P「ほらほら、皆送ってくから車乗ってくれ」

茄子「すみません」

小梅「…ありがと」

P「二人は平気だったんですね」

茄子「はい。なんかすごいなーって思ってたら終わっちゃいました」

小梅「面白かった…」

ちひろ「私も帰りますね」

P「あ、でしたら一緒に待ってて下さいよ。送るので」

ちひろ「そんな悪いですって」

P「いいですよ」

イヴ「ありがとうございます~」

車内

凛「…ねぇ」

P「なんだ?」

凛「その…今日さ、私が電話代持つから電話していい?」

P「別にいいけど」

卯月「えー、私もしたいですー」

小梅「…人気者。爆発しちゃえ」

茄子「ですねぇ…あ、それだったら小梅ちゃんは私とお話でもしますかー」

小梅「…うん」

事務所

P「さ、帰りましょう」

ちひろ「割とプロデューサーさんの車の燃料費が心配なんですけど…」

P「大丈夫です。ハイブリッドなんで!」

イヴ「よく分からないですけど凄いですね~」

車内

ちひろ「あ、ありがとうございます」

P「えぇ、それじゃ、また明日」

ちひろ「はい。また明日」



P「最後になってすみません」

イヴ「いえいえ、プロデューサーさんはこれから事務所に戻るんですか?」

P「いえ、そんなことはないですね。帰りますよ」

イヴ「そうなんですね~。また、事務所で寝ちゃうのかと」

P「いやいや、普段から寝ませんからね。それに今日は特に寝るわけにはいかないですからね」

イヴ「あ、見たい番組でもあるんですか?」

P「いえ、また、事務所で寝てしまうと、この出会いが夢になってしまうような気がしまして」

イヴ「面白いこと言いますねプロデューサーさんは~。えいっ」チュッ

P「なっ…!」

イヴ「こ、これでもまだ夢っていいますか?」

P「夢じゃないですね…」

イヴ「Jeg kan lide dig virkelig! これからもよろしくお願いしますね~!」

終わりです。

ありがとうございました。

解説です。

今回は古典落語の一つ『芝浜』を題材にしているつもりでしたが、上手く活用することが出来ませんでした。

芝浜自体は有名なお話なので是非一度どうぞ。

文中に出てきたニコラスというのは、サンタクロースのモデルとなった人です。貧しい娘に対して金を渡した人物だと言われています。

Jeg kan lide dig virkelig は、私はあなたが好き。みたいな意味だと思います。

気づけば古典シリーズも30作品を超えていました。

これからもよろしくお願いします。

相変わらず( ・∀・) イイネ!乙。
可能な限り続けてください

乙乙
しゅーこちゃんぶっこんだ発言したけどやっぱ皆Pが好きなのね

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