【Fate/stay night】 凛「アーチャーのアーサーを引き当てた」 (139)

凛「━━━告げる」

凛「汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に」

凛「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」


凛(文句なし!間違いなく最強のカードを引き当てた・・・!)

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ドカーン

凛「何!?居間の方から爆発音が?」タッタッタ


ガチャ


天井には大穴、部屋は瓦礫まみれ

そしてパンツ一丁のおっさんが一人

アレ、間違いなく変態だ

凛「・・・アンタ、なに?」

男「・・・ここは一体・・・?」

凛「ちょっと、私はあなたが何者かって聞いてんの」

男「見たところ何処かの屋敷のようだが、少なくとも魔界ではないな・・・」キョロキョロ

凛「人の話を聞け━━━━━!!!」

男「」ビクッ

気体

凛「・・・確認するけど、貴方は私のサーヴァントで間違いない?」

頼む、違っていて欲しい

男「ああ、やっと事態が飲み込めました」

男「私は騎士・アーサー。召喚に従い参上しました」

凛(ガーン・・・こんなのが私のサーヴァントだなんて・・・)

凛「・・・ん?『騎士』『アーサー』!?」

凛「もしかしてアナタ、セイバーのサーヴァントじゃない?」

アーサー「残念ながら違います。私の武器はコレだと言うのに・・・全く遺憾です」

そういうとアーサーは、何処から取り出したのか一本の騎士槍を掲げて見せた

凛「ヤリ?という事はランサーね?」

アーサー「違います。どうやら私はアーチャーのようです」

凛「ハア?アーチャーって、じゃあもしかしてそのヤリを・・・」

アーサー「はい。投げます」

凛「」ポカーン

そっちかwwwwww

アーサー「その顔は疑っていますね?ではご覧にいれましょう」

そういうとアーサーは、穴の空いた天井に向かって持っていたヤリを放り投げた

ヤリはまるで重力など存在しないかのようにグングン直進し

・・・そして見えなくなった

アーサー「納得していただけましたか?」

アーサー「アーチャーのクラスに割り当てられたのはいささか不服ですが」

アーサー「他のサーヴァントに遅れは取りません」

凛「なるほど、アンタがアーチャーのサーヴァントだって言うのは判ったわ」

アーサー「ではこちらからもよろしいですか?」

凛「何?」

アーサー「貴方の名前をまだ聞いていませんので・・・」

その質問に私はびっくりした

サーヴァントとマスターは令呪によって作られた力づくの関係だ

従って名前の交換なんて意味は無い

私が彼の正体を聞いたのはクラスや真名を知るためだが

逆に彼が私の名前を知る必要など無く、ただ「マスター」と呼びさえすれば良いのだ

それなのにマスターの名前を気にするなんて、コイツは案外いいヤツなのかもしれない

凛「私は遠坂凛。まあ好きに呼んでもらって結構よ」

アーサー「では凛殿とお呼びいたします」

「殿」とはちょっとむず痒いが、まあ呼び捨てにされるよりはマシだろう

凛「それでいいわ。じゃあ、最後にもう一ついいかしら?」

アーサー「何でしょう?」

凛「その格好、どうにかならない?」

そう、この男はさっきからずっとパンツ一丁だ

しかもよりによっていちごパンツとは、全く趣味が悪い

アーサー「戦いが無い時はいつもこの格好でして・・・」

凛「騎士なら鎧くらいあるんでしょ?」

アーサー「このアーサー、例えマグマ吹き荒れる灼熱の火山でも!」

アーアー「魂も凍る極寒の雪山でさえも!」

アーサー「パンツ一丁で突破して見せますが故、鎧など不要です!」

凛「いいからさっさと何か着なさい」

アーサー「嫌です」

凛「どうしても?」

アーサー「はい」

プチッ

凛「令呪に告げる!」

アーサー「そもそもパンツ一丁とは魔界の正装でして」アセアセ

凛「聖杯の規律に従い、この者、我がサーヴァントに戒めの法を重ね給え!」

アーサー「かの一角獣や大男は・・・」アワアワ

凛「このバカに鎧を着せろ━━━━━━━━!!!」

ジャキン

アーサー「・・・鎧を着てしまった」

凛「ふん、マスターに逆らうとこうなるのよ」

と、その時、崩れた天井から瓦礫が落下。アーサーの頭にヒットした


パカーン

私は夢でも見ているのだろうか?

瓦礫は確かに兜に当たった

しかしその衝撃で彼の鎧が粉々に砕け散ったのだ

そうだ。きっと召喚で疲れているのだ

疲れている時は幻覚や幻聴を良く見ると聞く

一晩眠ればきっとこの悪夢から解放されるだろう


凛「アーサー、ここの後片付けお願いね」

凛「私はシャワー浴びて寝るわ」スタスタ

アーサー「ちょっと、凛殿!?」

最強はたいまつ!異論は認める

令呪使いおったww

しかし何故彼が召喚されたのか?

英霊を召喚する為にはその英霊に縁のあるアイテムが必要だ

私は彼に縁のある物なんて持っていない

全くの偶然かそれとも・・・

その答えを私は脱衣所で知る事になる

凛「あ、いちごパンツ・・・」

アーサー「おはようございます、凛殿」

凛「・・・おはよ」

私が眠っている間に居間はすっかり元通りになっていた

そして彼の格好も元通り

凛「アンタ、その格好・・・」

アーサー「ああ、私の鎧なのですが・・・」

アーサー「どんな攻撃でも一発は耐える事が出来ます」

アーサー「しかし逆に言うと、どんな攻撃でも一発で壊れてしまうのです」

何という事だ。どうやら夢ではなかったらしい

しかも一発で壊れる?ダンボールで出来てんじゃないの?その鎧

アーサー「しかし令呪の効果でしょうか」

アーサー「鎧を着られる時は着ていようと思うようになったのでご安心を」ジャキン

凛「それならいいわ。今日は街を案内するから付いて来て」

こうしてその日は街の探索に費やした

その間に彼からも色々と話を聞く

凛「そうだ、『アーサー』というからには『エクスカリバー』を持ってるんじゃない?」

アーサー(私の持っている武器の一つを、敬意を込めて『エクスカリバー』と呼ぶ人はいますが・・・)

アーサー(正式な名前ではありません)

凛「じゃあ一体何の宝具を持っているのかしら?」

アーサー(そうですね・・・鎧・・・のようなものでしょうか)

凛「鎧!?そのダン・・・今着ている鎧じゃないでしょうね?」

もし彼の宝具がこのショボイ鎧だったのなら絶望的だ

聖杯戦争を勝ち上がる事どころかサーヴァント一人を倒すのさえ危うい

下手をすると、そこらのカラスや犬にさえやられるかも・・・

アーサー(いえ、この鎧ではありません。そうですね、概念のようなものでしょうか)

アーサー(私の命そのものを守っている鎧です)

凛「ふーん・・・。まあいづれ見せてもらうわよ」

どうやら彼は私の知っている「アーサー王」ではないらしい

彼が言うには「偶然同名の王がいたのでしょう」との事だった

では何者なのか?

聞いても帰ってくるのは「一介の騎士ですよ」という素っ気ない答えだった

今日は学校へ行くと決めた

聖杯戦争が始まったからと言って、今の生活を崩すつもりはない

が、そこにあったのは既に非日常と化した場所だった

凛「これ結界!?空気が淀んでいるってレベルじゃないわよ!?」

アーサー(そのようですね。と言っても結界については凛殿の方が詳しいと思いますが)

凛「私のテリトリーでこんな下衆なものを仕掛けたヤツ・・・」

私の知っている限り、この街には遠坂の他にもう一つ魔術師の家系がある

しかしその家計は既に魔術師としては枯れているはず

あまり考えたくないが、念のため探りを入れてみるか・・・?

凛「桜、話があるんだけどいい?」

桜「あ、遠坂・・・先輩・・・」

凛「ねぇ桜、最近変わった事無かった?」

桜「いえ・・・何も・・・」

凛「そう、判った。時間取らせてごめんね。じゃぁ」

桜「・・・」

放課後を使って学校中に張られた結界を調べる

どうやら結界はまだ未完成のようだ

しかしこの結界が発動すれば校内の人間は皆殺しになる

悪いことに、私では結界の発動を遅らせる事はできても完全に消滅させる事はできない

しかしやらないよりはマシだ

結界の力を弱めようと魔力を込めたその時


「なんだよ。消しちまうのか、もったいねえ」

凛「!」

凛「・・・これ、貴方の仕業?」

男「いいや。小細工を弄するのは魔術師の役割だ」

男「オレ達はただ命じられたまま戦うのみ。だろう、そこの兄さんよ」

アーサー「・・・」スッ

男「・・・いいねぇ、そうこなくっちゃ。話が早いヤツは嫌いじゃあない」

そう言うと男は赤い槍を構えた

どうやらランサーのサーヴァントのようだ

ランサー「アンタ、何処の英霊だ?」

アーサー「私は騎士・アーサー!」

凛「バカ!真名を教えてどうすんのよ!」

ランサー「アーサー?じゃあセイバーのサーヴァントだな?」

アーサー「私はアーch・・・
凛「アーサー!貴方の力、ここで見せてもらうわよ!」

アーサー「判りました」

そういうとアーサーはヤリを構えた

ランサー「槍?バカな、ランサーはオレのはずだ」

シュッ

ランサー「!」ガキーン

ランサー「槍を投げるだと!?」

シュッ シュッ シュッ シュッ
ズバババババババババババ

ヤリだけじゃなかった。彼はナイフも持っていた

二つの武器はまるでマシンガンのようにランサーに襲いかかる

ランサー「ちぃ!どう見たってこの戦い方、セイバーじゃねぇ!」ガキン ガキン

ヤリとナイフは若干スピードが違う

緩急の違いにランサーはなかなか間合いを詰められないようだ

ランサー「そこかぁ━━━!!」

ランサーが僅かな隙間を縫って突進しようとしたその時

ヤリとナイフの間から巨大なヤリが現れた

ランサー「!」

これは弾けないと悟ったか、大きく後退するランサー

ランサー「あぶねぇ・・・矢避けの加護が無ければ食らってたかもな?」

ランサー「・・・やられっぱなしじゃ面白くねぇからな」

ランサー「見せてやるぜ!我が必殺の一撃を!」

そういうとランサーは腰を落とし槍を構えた


ヤバい。あれはまずい。何故かは解らないがそう直感した。

アレを食らったらアーサーは間違いなく死ぬだろう

今すぐアーサーを呼び戻すべきなのに言葉が出なかった。体が動かなかった

もしかしたら英霊同士の戦いをもっと見たかったのかもしれない

ランサー「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!!!」ズバァ!!!

パカーン

ランサー「何!?」

アーサーの鎧が弾け飛んだ

が、アーサー自身は無傷のようだ

ランサー「バカな・・・」

ランサーの驚きようから察するに、あの一撃は文字通り必殺だったのだろう

私もあの槍の恐ろしさは肌で感じたばかりだ

しかし現にアーサーはパンツ一丁で何事も無かったかのようにそこに立っている

『どんな攻撃でも一発は耐える事が出来ます』

この間のアーサーの言葉は本当だったのだ

しかしそれならば次はまずい

鎧が無い今、次は確実に心臓を貫かれる

ランサー「ちっ・・・ここまでだ」

ランサー「あいにくうちの雇い主は臆病者でな」

ランサー「槍が躱された(?)のなら帰ってこい、なんてぬかしやがる」

アーサー「逃げるのか、ランサー!」

ランサー「ああ。追って来るなら・・・・・・誰だ!?」


向こうに人影が見えた。ランサーはその人影を追っていく

凛「まずい、こんな時間に人がいた?アーサー、追って!」

アーサー「はい」



━━━━━ 廊下に一人の男子生徒が横たわっていた

凛「・・・追って、アーサー。ランサーはマスターの所に戻るはず」

凛「せめて相手の顔ぐらい把握しないと、割りが合わない」

アーサー「はい、ですが凛殿は・・・」

凛「いいから行って!私はいいから!」

アーサー「・・・判りました」タッタッタ

凛「・・・よりによって、何でこいつなの・・・」

━━━ 家に帰って一息つく。今日は色々ありすぎた

学校の結界、敵サーヴァントの登場、戦闘、そして目撃者

アイツは今頃家に帰っているだろうか・・・。


スッ

アーサー「ただいま帰りました。申し訳ありません、ランサーを見失いました」

凛「いいわ、相当慎重なマスターなんでしょう」

アーサー「ところで凛殿、一つよろしいでしょうか?」

凛「何?」

アーサー「ランサーは何故無関係の人間に手を出したのでしょう?」

凛「それはね、聖杯戦争では『目撃者は消せ』っていう鉄則があるからよ」

アーサー「! そうなのですか?」

凛「ええ、だけどあまりにも無関係の人間に手を出し過ぎると魔術教会が黙っていないから」

凛「普通は人のいない場所、時間帯を選んで行動するの」

凛「そうそう、廊下で倒れてたアイツ。まだギリギリ息があったから蘇生しといたわ」

アーサー「そうですか、それはよかった」

アーサー「・・・ん? という事はですよ?まだ生きているならランサーが再び・・・」

しまった!そういう事か!

凛「アーサー!アイツの家に行くわよ!場所は判るから付いて来て!」

廊下で倒れていた生徒の家に着くと、そこから一つの人影が飛び出してきた

凛「あれはランサー!やっぱりここに!」

とその時、もう一つの影が私達の目の前に飛び出してきた

ズバッ!

アーサー「ぐあぁ!!」

一瞬の内に斬り伏せされるアーサー

凛「アーサー!戻って!!」

霊体になって敵の二撃目を避けたものの

あまりに無茶な命令と行為だったからか、右腕の令呪が一つ減ってしまった

凛「この━━━━!」

とっておきの宝石を相手にぶつける

しかしそれは何もなかったかのように弾かれてしまった

敵サーヴァント「今の魔術は見事だった。だが最期だ」

「止めろセイバ━━━━━━━━!!」

相手のマスターが自分のサーヴァントを止めている

これは助かったと言って良いのだろうか?

サーヴァントを止めているのは少し前に廊下で倒れていた生徒

この状況からして彼が7人目、セイバーのマスターであろう事は間違いない

士郎「って、お、おまえ遠坂・・・!?」

凛「ええ。こんばんは、衛宮くん」

士郎「何で遠坂がここに?」

凛「立ち話も何だかから貴方の家で話しましょ?」

━━━━やはり、衛宮士郎は聖杯戦争について何も知らなかった

簡単に説明をした後、私は言峰教会に行く事を促した

綺礼なら衛宮くんの疑問にも全て答えてくれるだろう


その帰り道・・・


セイバー「リン、あなたのサーヴァントの事ですが・・・」

セイバー「もう動けるのではないですか?」

凛「そんな、あなたに斬られたんだから回復には相当時間がかかるはずよ」

セイバー「何処の英霊かは知らないが、殺気が漏れていては不意打ちなどは無理だ」

アーサー「・・・」スッ

凛「! アーサー、もう平気なの?」

目の前に現れたアーサーは

先程の傷などまるで最初から無かったかのように万全の状態だった

鎧も着ている

アーサー「ええ、初見殺しには慣れていますから」

セイバー「『アーサー』!?」

明らかにセイバーは動揺している。それは士郎の目からも明らかなようだった

セイバー「バカな、貴様がアーサーであるはずが無い!」

士郎「セイバー、どうしたんだ?」

セイバー「シロウ、彼女は嘘をついている。やはり敵です」

士郎「まてよセイバー、何で遠坂が嘘をついているって判るんだ?」

セイバー「それは・・・・」

アーサー「私は騎士・アーサー。嘘ではない」





しばし流れる沈黙。その沈黙を破って少女は現れた



少女「・・・ねえ、お話は終わり?」

少女「こんばんはお兄ちゃん。こうして会うのは二度目だね」

少女の隣には、それこそ一目で怪物だと判るサーヴァントが立っていた

凛「・・・バーサーカー!」

少女「はじめまして、リン。わたしはイリヤ」

イリヤ「イリヤスフィール・フォン・アインツベルンって言えばわかるでしょ?」

凛「アインツベルン・・・」

イリヤ「二匹いっしょに潰してあげるね」

アーサー「凛殿、凛殿」チョイチョイ

凛「何、アーサー?あいつヤバいわよ!?何か策でもあるの?」

アーサー「あいつも裸パンツですな」

凛「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!!!」

アーサー「」シュン

イリヤ「わたしを無視するの?いいわ、やっちゃえ、バーサーカー」

その言葉を合図にセイバーとバーサーカーが同時に突進した

セイバー「はあぁぁぁぁ!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■ー!」

ガキーン

激しくぶつかり合う二人、その間には誰も割って入る事などできない

勿論それはアーサーも同じであった

それに彼の場合は、あれだけ激しく動き回っている二人から

バーサーカーだけを狙ってヤリを当てるのが難しいのかもしれない

彼もセイバーと同じくお互いを「味方」だとは思っていないようだが

少なくともバーサーカーを「共通の敵」としては見ているようだ

バーサーカー「■■■■■ー!」ブオン
セイバー「ぐあっ!」ドガ

士郎「セイバー!」

イリヤ「あは、勝てる訳ないじゃない。私のバーサーカーはね、ギリシャ最大の英雄なんだから」

凛「・・・!?ギリシャ最大の英雄って、まさか・・・」

イリヤ「そうよ。そこにいるのはヘラクレス」

イリヤ「あなたたち程度が使役できる英雄とは格が違う、最凶の怪物なんだから」


バーサーカー「■■■■■■■■■■ー!」ブオン
セイバー「うああああっ!」ドカン

士郎「セイバー! ・・・と、遠坂のサーヴァントは何をやってるんだ!?」

凛「あれ?・・・そう言えば?」

アーサーは私達の目の前から消えていた

セイバーとバーサーカーの戦いに夢中になっているのか

イリヤスフィールも気がついていないようだ

バーサーカー「■■■■■■■■ー!」
セイバー「しまった!」

満身創痍のセイバーに止めを刺そうとバーサーカーが突き進む

ドス

凛・セイバー・イリヤ「「「・・・え?」」」

バーサーカーの胸には、背後からあの巨大なヤリが刺さっていた

アーサーだ

凛「やった!?」

アーサー「凛殿!フラグを立ててはいけません!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!」

凛「そんな!」

イリヤ「やるじゃない。まさかバーサーカーを殺すなんてね」

イリヤ「でも残念でした。バーサーカーはそれぐらいじゃ消えないんだ」

イリヤ「だってね、ソイツは十二回殺されなくちゃ死ねない体なんだから」

凛「・・・命のストック・・・蘇生魔術の重ねがけ、ね」

何て事。あんな怪物を十二回も?

それにもう不意打ちは通用しないだろう


アーサー「いい事を聞いた。十二回でよいのだな?」

凛・イリヤ「「え?」」

アーサー「もう一度聞く、『たった十二回』でよいのだな?」

アーサーから溢れるこの自信は何だろう。とてもハッタリとは思えない

あまりにも不気味なこの自信にイリヤスフィールも気圧されたようだ

イリヤ「・・・ふん、十二回だったら何だって言うのよ!」

イリヤ「もういい、帰るよ、バーサーカー」クルッ



・・・行ってしまった

セイバー「くっ・・・」ガクッ

緊張の糸が切れたのか、セイバーは膝をついて倒れた

士郎「セイバー!」

凛「とにかく衛宮くんの家に運びましょう」

士郎「わかった」



セイバーの命に別状は無いようだ

ただしバーサーカーから受けた傷は決して浅くはなかった

今は少し安静にする必要があるだろう

また今後、バーサーカーに対抗するために士郎と同盟を結ぶ事となった

そうと決まれば早速準備だ。今後は士郎の家に寝泊まりする事にした

アーサーに着替えや魔術の道具を持ってこさせる

藤村先生も言いくるめた。邪魔するものはこれで無い



アーサー「凛殿、下着は全ていちごパンツにしておきました」

凛「///」バシッ パカーン

次の日、士郎の口からとんでもない事を知らされた

どうやらライダーのマスターである間桐慎二から同盟を持ちかけられたというのだ

断ったらしいので心配はしていないが

それよりも慎二がマスターだと気がつかなかった自分に腹が立った

・・・桜も聖杯戦争に巻き込まれていなければ良いけど・・・


そして極めつけは柳洞寺にキャスターのサーヴァントがいるという事だ

何故そのような情報をこちらへ流すのか・・・答えは決まっている

アイツの事だ、私達を潰し合わせて漁夫の利を得ようというところだろう

セイバー「そうと分かれば今夜にでも攻め込むべきです」

凛「そうは言っても敵の戦力がまだ十分に分かっていないのよ?」

士郎「そうだセイバー、危険だ」

セイバー「何故です?戦いに危険は付きものです。危険を冒さなければ得られる勝利も得られません」

セイバー「それにアーs・・・アーチャーもいるではないですか。二対一、戦力的にはこちらが上です」

士郎「そうは言っても・・・」

セイバー「そうだ、アーチャー、あなたはどうなのです?」

アーサー「私はいつでも行けます。・・・ただし凛殿の命令があれば、ですが」

凛「私はもう少し情報を得てからの方が良いと思うのよ」

士郎「そう言う事だ。セイバー、暫く様子を見る。いいな」

セイバー「・・・分かりました。マスターがそう言うのでしたら・・・」

その夜、士郎の屋敷から飛び出す一つの影。セイバーだ。

その疾走はまるで突風。一直線に柳洞寺を目指している。

その後をピョンピョンと追うもう一つの影。アーサーだ。

アーサー「まったく、セイバーを見張れと言われても。私の足では追いつけない」ピョンピョン

アーサー「せめて少しでも早く着くようにジャンプして行くしかない」ピョンピョン



凛「いいの?士郎。セイバー出て行っちゃったわよ?」

士郎「何だって!?あいつ・・・」

凛「既にアーサーを追わせているわ」

士郎「分かった!遠坂はここを頼む!」ダッ

アーサーが柳洞寺にたどり着くと、そこには既に何者かと対峙するセイバーの姿があった

あの剣士はキャスターではない。ならば残る選択肢からアサシンのサーヴァントとなる

これで二対二。戦力的に有利だという前提は覆った

セイバー「はああ!」ブン
アサシン「フン」スッ

二人はこちらに気が付いていない。それならここから一気に山門まで跳べば中に入れるだろう

アーサー「この程度なら、跳ね馬のブーツを両足に装備した私に越えられない高さではない」

ピョン、ピョン、ピョン(三段ジャンプ)

アーサー「よし!これで中へ」ギー バタン

キャスター「良く来たわね、アーチャーのサーヴァント」

アーサー「! 貴様がキャスターか!」

キャスター「そうよ。・・・ふ〜ん、実際に見ると中々いい顔してるじゃない」

キャスター「素体としては合格よ」

アーサー「? 何を言っているかは知らんが、貴様はここで倒れるのだ」チャキッ

キャスター「あら怖い。そんな子には大人しくして貰わないとね?」ビーム

アーサー「!?」ボワン

アーサー「・・・ん?・・・女の子になってる!?」

キャスター「あらかわいい。やはり私の目に狂いは無かったわ」スッ

アーサー(女)「離せ!くそっ、流石はマジシャンの親玉か!」バタバタ

キャスター「バーサーカーを一度は倒したあなたを手に入れたかったの」

キャスター「でも男はイヤ・・・。だから、ね?」

キャスター「後はこの破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)で・・・」スッ




シュッ!


キャスター「!」バッ

何処から跳んできたのか、アーサーとキャスターの間に杭状の武器が刺さっている

ライダー「チッ」ジャラ

キャスター「やはり来たわね、女狐め・・・」

ライダー「それはあなたの方でしょう?キャスター」

ライダー「マスターに構って貰えないからと違う子を連れ込もうなどと」

キャスター「あ〜ら、あなただってあの子に尽くしたいのに」

キャスター「別の男にいいように使われて、哀れなものね」

ライダー「・・・キャスター、その汚い口を止めなさい」

キャスター「指摘されて怒るのは図星だから、らしいわよ?」

ライダー「・・・」ゴゴゴ
キャスター「・・・」ゴゴゴゴゴ
ライダー「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
キャスター「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ライダー・キャスター「「ギャフベロハギャベバブジョハバ」」

アーサー(女)「怖い・・・これが女の戦いか・・・」ガタガタ

アーサー(女)「はっ!こうしてはいられない」

アーサー(女)「せめてこのか細い腕でもナイフくらいは扱えないだろうか」

ヒュー ポト

アーサー(女)「・・・駄目か・・・」

アーサー(女)「この状態で出来る事と言えば・・・そうだ!」ピコーン

・・・・ハッ!?
●REC

ライダー「フォー!」
キャスター「フブフー!」
ライダー・キャスター「「フギャシャムベロクジョフォホ」」

ライダー「・・・ん?何だか熱いような・・・」

キャスター「キャー、柳洞寺が燃えているー!?」キャー

アーサー(女)「はっはっは!たいまつで火を付けてやったぞ!」

キャスター「キャー、水!水っ!水ーーー!」キャー

アーサー(女)「よし、今の内に撤退しよう」バタバタ

ライダー「・・・」スッ


ワー! カジダー! ショウカキヲー! ワー! ヒヲハナテー! ミズー! ワー! ヒャクトーバーン! メガネメガネ! ワー!



雷の魔法か?だが魔法の鎧がないとな・・・

その頃、セイバーとアサシンの戦いも終局に入っていた

アサシンの燕返しを何とか躱したセイバーだったが

あの攻撃は二度と出させてはならないと直感する

打つ勝つにはアサシンが秘剣を繰り出す前に最強の一撃を見舞うのみ

セイバー「我が一撃、受けきれるかアサシンのサーヴァント!」

ゴオオオオ......

アサシン「・・・ふん、さながら台風といったところだが、しかし・・・」

アサシン「その秘剣、盗み見ようとする輩がいる」

そう言って木々の茂った山中を見据える

セイバー「・・・!」

風が止む

アサシン「このまま続ければ我らだけの勝負にはなるまい」

そういうとアサシンはセイバーに背を向け、階段を上り始めた



ギー

アーサー(女)「あ」

アーサーとアサシンが山門で鉢合わせた

アサシン「どうした?寺が火事のようだが逃げてきたのか?」

どうやらアサシンはアーサーの正体に気が付いていないらしい

アーサー(女)「・・・え、ええ」

アサシン「それなら早く麓まで降りるといい。消火は寺の僧に任せるのだ」

アーサー(女)「・・・」バタバタ

アサシン「それからセイバー、迎えが来ているぞ。そこにいる小僧はおまえのマスターであろう」

セイバー「・・・士郎」

アサシン「盗み見をする戯けがその小僧に標的を変える前に立ち去るが良い」スッ



士郎「・・・おい、セイバー・・・?」

バタ

士郎「セイバー!」


......

...........

......................

士郎「遠坂、今帰った」

アーサー(女)「凛殿、ただいま戻りました」

凛「おかえり、遅かったわね。成果はどうだった?」

凛「・・・ってアーサーは?その女の子どうしたの?」

アーサー(女)「凛殿、私がアーサーです」

凛「え?」

アーサー(女)「アーサーです」

凛「え━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━!!!!!?」

倒れたセイバーを寝室に運んだ後、私は士郎とアーサーから説明を受けた

凛「まずいわね、大幅に戦力ダウンじゃない。・・・ソレは元に戻らないの?」

アーサー(女)「今までもこのような変化の魔法をかけられた事はありました」

アーサー(女)「ただしそれは時間の経過で元に戻ったのです」

アーサー(女)「しかし今回は勝手が違います。流石はマジシャンの親玉というべきか・・・」

アーサー(女)「この体では霊体にもなれないようです」

凛「・・・まあ、今夜は遅いからもう休みましょう?」

凛「もしかしたら一晩時間がたてば元に戻るかもしれないし」

凛「戻らなければその時、方法を考えましょう」

アーサー(女)「分かりました」




翌朝になってもアーサーは元に戻らなかった。

そして士郎は私よりももっと驚いた藤村先生にこっぴどく絞られたという

大河「えーと、アーサーちゃんだっけ?」

アーサー(女)「はい・・・」

大河「あなたもセイバーちゃんと同じ事言うのね?」

アーサー(女)「えっと・・・」

大河「士郎や遠坂さんを守るですって?女の子はそんな事しなくてもいいの!」

大河「どーしてもって言うなら、私を倒してからにしてもらいますからね!」

アーサー(女)(あの・・・凛殿、どうしてこんな事に?)ヒソヒソ

凛(諦めなさい、こうなった藤村先生は止められないわ)ヒソヒソ

大河「アーサーちゃんカクゴー」キエー

ポコン パカーン

アーサー「あ、戻った」

大河「へ、へ・・・へ」ワナワナ

凛(まずいアーサー、隠れて)

アーサー(はい!)スッ


大河「変態だ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━!!!!!!」


バタバタバタ

大河「シロ━━━!変態が出た変態!アーサーちゃん連れてっちゃったのこっち来なかった!?」バタバタ

士郎「へ?変態!?」

士郎(遠坂どういう事だよ!?)ヒソヒソ

凛(ごめん、適当に話合わせてくれない?)ヒソヒソ


凛「あ〜確か昨日アーサーのお父様が来てたんだっけ?」

士郎「あ〜思い出した確かに来てた」

大河「へ?」

凛「何でもアーサーが心配で連れ戻しに来たんですって」

士郎「あ〜思い出した確かに来てた」

大河「へ?」

凛「そう言えばさっきアーサーのお父様にお風呂貸してなかった?」

士郎「あ〜思い出した確かに貸してた」

大河「へ?」

凛「きっともう帰ったんじゃないかしら?ほら、チケットあるって言ってたし」

士郎「あ〜思い出した確かに言ってた」

大河「へ?」

凛(ちょっとアンタ、相槌適当すぎ)ヒソヒソ

士郎(適当にって言ったの遠坂だろ?)ヒソヒソ

大河「へ?」

凛「と、いう訳でもう大丈夫だと思いますよ?藤村先生」

士郎「うん、大丈夫」

大河「へ?」

大河「・・・な〜んだ、そうよね〜。やっぱりそうよね〜」

大河「変質者だったら遠坂さんやセイバーちゃんが襲われないかと心配になっちゃった〜」

大河「アーサーちゃん帰っちゃったなら士郎と一つ屋根の下で暮らす心配は無いわけだし〜」

大河「お姉ちゃんも安心かな〜なんて」


どうやら納得してもらえたようだ

何はともあれアーサーが元に戻ったのだ。藤村先生には感謝しなければ

あくる日、その事件は起こった

私が慎二からの同盟の誘いを断った後だ

慎二が学校の結界を発動させたらしい

士郎とセイバーが駆け付け、慎二とライダーは結界を解いて逃亡

幸いな事に死人は出なかったらしい。あとは綺礼が何とかしてくれるだろう

そして逃亡した慎二とライダーを追って士郎とセイバーが再び交戦

セイバーはライダーを撃破したが宝具を使ってしまった

魔力不足で著しく衰弱し、昏睡するセイバー

そこに再び悪い知らせが入ってきた



凛「士郎が居ない?」

セイバー「はい、まだ無事である事は感じ取れますが・・・とても遠い」

セイバー「恐らく敵の手中に。何とぞ力をお借りしたい」

凛「分かったわ。貴方がそんな状態じゃ見てられないもの」

凛「ところで手掛かりはあるの?」

セイバー「一先ず街を回ってみましょう。士郎のいた痕跡が掴めれば・・・」

どうやら士郎は公園にいたらしい

そこから士郎の連れ去られた方角を辿ると、どうやらアインツベルンの森にいるようだ

アインツベルンの森、そして城に辿り着く頃にはすっかり日が暮れていた

凛「・・・! 隠れて、誰か来る」

門から出てきたのはイリヤスフィールだった

私達を倒すために街へ行くつもりなのか

イリヤスフィールが十分離れたのを確認し、入れ違いに城へ潜入する

士郎は案外すぐに見つかった。思ったより元気そうだ

そして城から脱出しようと玄関へ辿り着いたその時・・・

イリヤ「・・・なぁんだ、もう帰っちゃうの?せっかく来たのに残念ね」

イリヤ「今日は一人も逃がさないから」

まずい、さっき出て行ったイリヤスフィールは偽物だったという事か

セイバーがこんな状態ではバーサーカーに勝つ事など到底無理な話だろう

凛「アーサー・・・少しでいいわ。一人でアイツの足止めをして」

セイバー「馬鹿な、正気ですかリン!アーチャー一人ではバーサーカーには敵わない・・・!」

凛「わたしたちはその隙に逃げる」

凛「アーサーには、わたしたちが逃げきるまで時間を稼いでもらうわ」

アーサー「良い考えです。凛殿たちが先に逃げてくれれば私も逃げられます」

イリヤ「へえ、びっくり。そんな誰とも知らないサーヴァントで私のヘラクレスを止めるって言うんだ」

イリヤ「この前言ってたのはハッタリじゃなかったって事ね?」

凛「そう言えばアンタ、前にバーサーカーに勝てそうな事言ってたじゃない?」

凛「時間稼ぎだけでなく、別にあいつを倒しちゃっても構わないわよ?」チラッ

アーサー「・・・いえ、私の口からその言葉は言わない事にしましょう」

アーサー「ですが、凛殿の期待に応えられるよう善処します」

イリヤ「バカにして・・・!いいわ、やりなさいバーサーカー!」

イリヤ「そんな生意気なヤツ、バラバラにして構わないんだから!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■−−−−!!」ドーン



━━━

━━━━━━━━━ ハァハァ

━━━━━━━━━━━━━━━━━ ハァハァ

セイバー「うっ・・・」ズサー

士郎「セイバー!」

凛「・・・限界ね、休ませましょう」

セイバー「私の事は気にせず逃げて下さい」

凛「そういう訳にも行かないのよ。アーサーが稼いでくれた時間を無駄にしない為に」

セイバー「リン・・・」

凛「大丈夫、アーサーは生きているわ・・・。まだ繋がりを感じるもの」

凛「そこの小屋に入りましょう。行きがけにアーサーが見つけてくれたの」

--------------------------------------------------------------------------------
アーサー「士郎とセイバーがパスを繋ぐ所はお見せできません」
アーサー「どうしてもと言うなら私のいちごパンツで我慢して下さい」パカーン
--------------------------------------------------------------------------------

凛「さて、無事にパスは繋がったみたいね・・・」

凛「うまくいけば明け方までは見つからないはず」

凛「私も少し仮眠を取りましょうか・・・・」スー




夢を見た

それはさらわれたプリンセスを助けるため

たった一人で四度も魔界に挑んだ騎士の物語

戦いは壮絶だった

騎士は一体何度やられただろうか


火で焼かれ
氷漬けにされ
石にされ
ビームで焦がされ
死神に斬られ
巨大な手に潰され
石像に食べられ
草に捕まり
謎の液体をかけられ
大男に体当たりされ
奈落の底に落ち
蟻地獄に落ち
溶岩に落ち
棘に串刺しにされ
ゾンビにかじられ
ハゲタカについばまれ
犬に喰われ
イカにぶつかり
ノミにぶつかり
ネギをぶつけられ
岩に当り
鉄球を食らい

カエルにされ
アヒルにされ
オットセイにされ
ハチにされ
赤ん坊にされ
老人にされ
・・・ああ、女の子にもされてる
津波に飲まれ
ドクロをぶつけられ
ゴーストに取りつかれ
ミミックに喰われ
コウモリにつつかれ
ゴブリンに体当たりされ
オタマジャクシにぶつかり
鋭い歯車に斬り裂かれ
ギロチンに両断され
壁に挟まれ
重りに潰され
竜巻に飲まれ
ドラゴンに締め付けられ
ミノタウロスに真っ二つにされ

・・・

そして赤き魔物

いつの時代にも現れ、騎士の前に立ち塞がる存在

騎士は何度心が折れそうになっただろうか

少なくとも私ならとっくに投げ出している

もういいじゃないか

所詮一人で魔界に挑むなんて最初から無理だったんだ

諦めたって誰も文句は言わないだろう

しかし騎士はやられるたびに心に誓う



『百万回やられても、負けない!』



その立ち上がる姿は、最近よく見た誰かに似ていた気がする・・・

いつでもお荷物セイバー



チュンチュン

凛「・・・・・あ・・・」

士郎「遠坂、起きたか?」

凛「ああ・・・士郎、おはよ」

セイバー「もう朝です。出発しましょう」

凛「そうね、その調子だと二人とも元気になったみたいね」

セイバー・士郎「「///」」」

凛「ニヤニヤ」

━━━━

━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━ アインツベルン城


イリヤ「・・・信じられない。なんだったのよアイツ」

イリヤ「ああもう、頭にくる!あんなヤツに五回もやられるなんて」

イリヤ「手を抜いてたんじゃないでしょうね?バーサーカー!」

イリヤ『そんな生意気なヤツ、バラバラにして構わないんだから!』

バーサーカー『■■■■■■■■■■■−−−−!!』ドーン

アーサー『まずは着地の隙に一発!』シュッ

バーサーカー『■■...』キン

アーサー『何!?大ヤリが弾かれた!?』

イリヤ『残念だったわね。バーサーカーは一度受けた攻撃は効かないの』

アーサー『その条件で後十一回倒すのは・・・』

イリヤ『あら、自分がどれだけ無謀な事をしようとしているのか分かったみたいね』

イリヤ『いいわ、どうせ勝てないだろうから教えてあげる』

イリヤ『バーサーカーを瞬時に複数回殺す程強力な一撃なら、一つの武器で倒せるわ』

イリヤ『だけどアナタはそんなモノ持ってない・・・でしょ?』ニヤ

アーサー『・・・』

イリヤ『図星みたいね。やっちゃえ、バーサーカー!』

バーサーカー『■■■■■■−−!!!』

アーサー『お前の命より私の武器が尽きるのが先だろう。だが負けはしない!』

ズバババババババババババ グシャ!

弾丸のようなナイフがバーサーカーを襲う

そして止めと言わんばかりにバーサーカーのこめかみに斧が突き刺さった

アーサー『一つ!』

バーサーカー『■■■■■■■■■−−−−−!』

続いてバーサーカーの周りをたいまつの炎が取り囲む

身動きが取れなくなったバーサーカーにありったけの火薬玉を叩き込む

ドドドドドドドドド!!!!

アーサー『二つ!』

バーサーカー『■■■■■■−−−!!』ブオン

アーサー『ぐふっ!』パカーン

イリヤ『あはは、裸になっちゃった。止めよ、バーサーカー!』

バーサーカー『■■■■■■■■■−−−!!!!』ズガン

ベチャ

イリヤ『・・・なーんだ、つまんない。死ぬ時はあっけなかったわね』

イリヤ『行こう、バーサーカー。リン達を探しに行かなきゃ』


アーサー『私が死んだ?そんな事はないぞ?』


イリヤ『そんな!確かにグチャグチャになったはず・・・』

イリヤ『まさか、アンタも命のストックを持ってるって言うの?』

イリヤ『教えなさい!アンタのストックはいくつなの?』

アーサー『制限は無い』

イリヤ『そんなのデタラメよ!』

アーサー『強いて言うなら私が「もう復活したくない」と思うまで』

イリヤ『何言ってるの?いいわバーサーカー、どうせ嘘に決まってる!』

イリヤ『あいつの命のストックが無くなるまで粉々にしちゃいなさい!』

バーサーカー『■■■■■■■■■■■−!!!』

無数の鎌がバーサーカーを斬り裂く

そして胴を両断せんばかりの巨大な鎌がバーサーカーを貫通した

アーサー『三つ!』

しかしバーサーカーに止めをさせる武器はそう多くは無い

致命傷を受ける前にバーサーカーはアーサーを叩き潰そうと突き進む

ズガン パカーン ドカン グシャ

しかし何度叩き潰しても、次の瞬間には無傷のアーサーが目の前に現れるのだ

ズガン パカーン ドカン グシャ
....
.......




イリヤ「・・・えっと、これで何回目?バーサーカーならとっくにやられてるわよね?」



アーサー『うおおおおおおおお!!』バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ

両手にボウガンを構え、バーサーカーをハチの巣にする

矢の中には火や電撃も混じっているようだ

アーサー『四つ!』

バーサーカー『■...■■■■■■−!』

ガスッ パカーン ドコン ペチャ
ズバッ パカーン ドス グシャ
....
.......

アーサー『後はクセのある武器ばかりだが・・・いけるか!?』

イカルスの盾、スワローブレイド、クロスソード

変わった軌道に対応できなかったのか、全ての武器がバーサーカーにヒットした

アーサー『・・・五つ!』

バーサーカー『■■−!』

と、ここでアーサーの手が止まる

>強いて言うなら私が「もう復活したくない」と思うまで
なんか某番組思い出した

イリヤ『な、何?もしかして手持ちの武器が切れたのかしら?』

アーサー『・・・ここまでだ。時間は十分に稼いだからな』

イリヤ『なによ!逃げるっていうの?』

アーサー『十八回・・・』

イリヤ『? 何の数字?』

アーサー『私がバーサーカーにやられた回数だ』

イリヤ『はぁ!?それってイヤミ?』

アーサー『しかし私は負けなかった。後は凛殿達にお任せしよう』シュタッ

イリヤ『あ、待ちなさい!バーサーカー、追って!』

バーサーカー『・・・・・・・』シュー

イリヤ『ちょっとバーサーカー!聞いてるの!?』

イリヤ「・・・信じられない。なんだったのよアイツ」

イリヤ「ああもう、頭にくる!あんなヤツに五回もやられるなんて」

イリヤ「手を抜いてたんじゃないでしょうね?バーサーカー!」

バーサーカー「・・・」

イリヤ「・・・許さない。よくもここまでわたしを侮辱してくれたわね!」

イリヤ「・・・なによ、六つもあれば十分じゃない」

バーサーカー「・・・」

イリヤ「あいつにもう武器は無い。リン達だってバーサーカーを傷付ける手段は無い」

イリヤ「ゴッドハンドなんかなくたって敵じゃない!」

イリヤ「行くよ、バーサーカー。今度こそリン達の息の根を止めるんだから」



****************************************
途中経過
****************************************
1 大ヤリ
2 ナイフ、斧
3 たいまつ、火薬玉
4 鎌、鎌ブーメラン、大鎌
5 ボウガン、クロスボウ(散弾、火矢、電撃)
6 イカルスの盾、スワローブレイド、クロスソード
7
8
9
10
11
12
****************************************

バーサーカーを倒す手筈を整える。作戦はこうだ

私は士郎たちと別れた事にして木の上に待機

士郎とセイバーがバーサーカーと対峙している隙をついて、ありったけの宝石をぶつける

この作戦でバーサーカーの全ての命を奪えるかは分からない

しかし最早逃げる事は出来ない以上、やるしかない

それにアーサーだって有能なサーヴァントだ

きっと既にいくつかバーサーカーの命を奪っているかもしれない

イリヤ「意外ね、てっきり最後まで逃げまわるとばかり思っていたのに」

イリヤ「それとももう観念したの、お兄ちゃん?」

イリヤ「・・・あれ?リンは何処?」

士郎「遠坂とは別行動になったんだ。今頃森の外に出てるんじゃないかな」

イリヤ「ふ〜ん・・・。でもまだ森の中にいるみたいね」

イリヤ「この森はアインツベルンの結界みたいなものよ」

イリヤ「人の出入りがあったら分かるんだから」


士郎「・・・」
セイバー「・・・」


と、そこへアイツが帰ってきた

まあ生きてる事は分かってたんだけど、顔を見ると何だか安心した

アーサー「凛殿ーー!士郎ー!セイバー!」タッタッタ

セイバー「アーチャー!」

士郎「生きてたのか!」

イリヤ「アイツ!」

アーサー「士郎、凛殿は?」

士郎「遠坂とは別れたんだ・・・」チラッ

と言いつつ、イリヤに分からないよう目線で合図を送る

アーサー「・・・そうでしたか、仕方がありませんな」チラッ

アーサー「ところでセイバー、貴方の宝具でバーサーカーは何度倒せますかな?」

セイバー「それはどういう意味でしょう?」

アーサー「時間稼ぎの間に聞いたのですが」

アーサー「ヤツは一度受けた攻撃に耐性が付くらしいのです」

アーサー「しかし一度の攻撃で、ヤツの体を複数回消滅させるだけの強力な攻撃なら有効だと」

セイバー「そういう事でしたら・・・そうですね、五回は倒せるかと」

アーサー「分かりました。既に私は時間稼ぎ中にヤツを五回倒しました」

セイバー「!」

アーサー「初戦と合わせて六回、貴方の攻撃で五回」

アーサー「残りの一回、何としてでも私が倒して見せましょう」チャキッ

そう言うとアーサーは剣を取りだした

アーサー「私の武器がヤツの心臓を貫いた時が合図です」

アーサー「その時は私諸共で結構です。やってください」

士郎「それではアーチャーが・・・
セイバー「シロウ、彼の覚悟を無駄にしてはいけません」

アーサー「では頼みました」ダッ

イリヤ「作戦会議は終わり?じゃあいくね、蹴散らしなさい、ヘラクレス」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■−−!!」

アーサー「うおおおおおおお!」

バーサーカー「■■−!」

ブオン パカーン ブン グチャ

セイバー「な・・!」

士郎「あ・・・・あ・・・・・」

アーサー「はああ!」

バーサーカー「■■■■−!」

ブオン パカーン ブン グチャ


セイバー「あれは・・・バーサーカーと同じ蘇生魔術の重ねがけ?」

セイバー「いや、違う。予めかけられたものでなく、死の瞬間に発動しているようにも見える・・・」


バーサーカー「■■■■■■−−!」

ベキッ パカーン ゴス ベチャ
ガン パカーン ドカッ グチャ
ブン パカーン ブン クチャ
...
.......
............

セイバー「無茶だ!アーチャーとバーサーカーでは機動力が違いすぎる!」

セイバー「おまけにあの武器。バーサーカーの懐にすら潜り込めないではないか!」

セイバー「やはり私が・・・
士郎「ダメだセイバー!セイバーの宝具でもバーサーカーは倒しきれないんだろ?」

士郎「遅かれ早かれアーチャーの一撃は必要になるんだ。今は彼を信じるしかない・・・」

セイバー「くっ・・・」

私は当初の作戦も忘れてただ眺めていた

いや、動けなかった

何度潰されても立ち上がり、勇敢に向かって行くアイツの姿は夢に見た騎士

その意味を知ってしまった以上、私に出来る事は無いのかもしれない

彼が蘇生するたびに私の魔力が失われていく

果たして失っているのは魔力だけなのだろうか?

彼の心もすり減っているのではないか?

彼はバーサーカーのように凶化され、理性を失っている訳ではない

その状態で死に至る攻撃をあれだけ食らっているのだ

常人ならまともな精神を保っていられず、発狂してもおかしくはない

いつか彼が復活を諦め、二度と蘇生しなくなるのではないか?

彼を永遠に失ってしまうのではないか?

その不安が私の心を締め付ける


立って・・・

諦めないで・・・

自分に負けないで・・・


いつの間にか、私の頬には一筋の涙が伝っていた

アーサー「とう!」

バーサーカー「■■■■−!」

ブオン パカーン ブン グチャ

アーサー「まだまだー!」

ドカ パカーン ドーン ベチャ

セイバー「もう三十回は超えています!いい加減この状況を打開しなければ!」

士郎「そうだな・・・アーチャーだって何時まで持つか」

セイバー「いえ、心配なのはアーチャーではありません。リンです」

士郎「・・・そうか!遠坂の魔力が切れてもお終いだ」

イリヤ「あーもーイライラする!バーサーカー何してんの、そろそろ終わりにして!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■ーーー!!」

イリヤに促されるように、バーサーカーの渾身の大振りが放たれる

アーサーはその隙を見逃さなかった

ズガーーーーーーーーーン!!!

アーサー「今だ!」シュパッ

バーサーカーの腕に棘のムチが絡みつく

武器の自由を奪われたバーサーカーの懐へ一気に間合いを詰める

そしてついにバーサーカーの心臓に剣を付き立てた

グサリ



・・・いや、腕だ。危険を察知したか、あのバーサーカーが防御の姿勢を取ったのだ

剣はもう一方の腕に刺さってしまい、もう使う事はできない

アーサー「まだ手はある!」

そう言うとアーサーは懐から十字架のような武器を取りだした

アーサー「これで最後だ!」

ズン

今度こそバーサーカーの胸に突き刺さった

バーサーカー「■■■■■■■■ー!」

アーサー「セイバー、今です!」

セイバー「約束された(エクス)━━━」

セイバー「勝利の剣(カリバー)━━━!」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!


....
.........
..............

バーサーカー「・・・見事だ。よもや一撃でこの身を六度滅ぼすとはな」シュー

イリヤ「・・・うそ。バーサーカー、死んじゃったの・・・?」ペタン

セイバー「・・・やりましたね」



こうして聖杯戦争最大の優勝候補であったバーサーカーを倒す事に成功した

イリヤスフィールは私やセイバーの反対を押し切り士郎が面倒を見る事になった



士郎「ところで遠坂、何だか計算が合わないような気がするんだが気のせいか?」

凛「え?バーサーカーの話?」

初戦で一回、時間稼ぎ中に五回、森で一回、エクスカリバーで六回

1 + 5 + 1 + 6 = 13

凛「ちょっと!最後のアーサーの頑張りは無意味だったったって事!?」

セイバー「わ、私だって間違える事もあります」

セイバー「思ったよりバーサーカーが弱っていたとか、私の宝具が強すぎたとか・・・」アセアセ

幸いアーサーはセイバーの攻撃で遠くへ吹っ飛んでいたため

バーサーカーが最期に言った言葉を聞いていない

凛「と、兎に角この事はアーサーには内緒よ。いいわね?」

セイバー「わかりました」コクリ
士郎「ああ」コクコク



アーサー「凛殿ーー!士郎ー!セイバー!」タッタッタ

凛「あ、アーサー・・・」パンツイッチョデ...

アーサー「いやぁ、全く私の『計算通り』でしたな」ハッハッハ

凛「そ、そうね。全部あんたのお陰よ、ありがとう」ハハハ...



****************************************
結果
****************************************
1 大ヤリ
2 ナイフ、斧
3 たいまつ、火薬玉
4 鎌、鎌ブーメラン、大鎌
5 ボウガン、クロスボウ(散弾、火矢、電撃)
6 イカルスの盾、スワローブレイド、クロスソード
7 ムチ、剣、アンク
8 エクスカリバー
9 エクスカリバー
10 エクスカリバー
11 エクスカリバー
12 エクスカリバー
13 エクスカリバー(OVER KILL!!)
****************************************

最近、謎の昏睡事件が増えてきた

原因は分かっている。キャスターだ

バーサーカーが居なくなったのを良い事に好き放題やり始めたのだ

凛「士郎、そろそろキャスターを打たないとまずいと思うの」

士郎「そうだな。前回の戦いで戦力は判ったんだ、作戦を立てよう」


ガラガラガラ


その時、屋敷の結界に反応があった

セイバー「侵入者!?」

周りからカラカラという軽い音が聞こえてくる

士郎「・・・敵か。けどサーヴァントにしては数が・・・」

周りを取り囲んでいるのは明らかに複数の魔力だ。しかも数が多い。

イリヤ「外にいるのはキャスターね。何かいっぱい引き連れてる」

イリヤ「・・・なんだ、竜の歯でくくったゴーレムみたい」

士郎「イリヤ、分かるのか!?」

イリヤ「当然でしょ。わたしに分からないサーヴァントなんていないわ」

流石あの鬼畜ゲーの主人公、確実に心眼(真)EX持ちだな。

士郎「・・・ここにいても始まらない。セイバー、一緒に来てくれ」

士郎「遠坂はイリヤを頼む」ダッ

私達を残し、士郎とセイバーは外へ出て行った

バリバリ

襖を破ってゴーレムの群れが侵入してきた

竜の歯というより、まるでそれは骸骨のような姿をしていた

凛「アーサー!」

アーサー「ふん!」ブオッ ガシャーン

狭い室内ではヤリが使いづらいのか、アーサーは剣で対応している

ゴーレムはアーサーの一撃でバラバラになった

が、その骨の山を乗り越え、次から次へと新たなゴーレムが現れる

凛「どれだけ居るってゆうのよ!」

...

......

...........

もはや何体のゴーレムを倒したか覚えていない

外に出て行った士郎とセイバーは無事だろうか

そう思った矢先


ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン
ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン
ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン

近くに無数の何かが落ちたような音がした

ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン
ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン
ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン

まただ。一体外で何が?

程なくして、あれだけいたゴーレムがまるで霧のように消えてしまった

キャスターが倒されたのだろうか

凛「アーサー、外へ行くわよ!」

アーサー「はい」

庭へ着くと、塀の上に黄金の鎧を纏った男が立っていた

イリヤ「・・・なに、あれ」

男「まだ雑種が残っていたか」

イリヤ「うそ・・・あなた、誰なの?」

イリヤ「わたしが知らないサーヴァントなんて存在しちゃいけないんだから!」

男「貴様の事情などしらん。いいから早く開け」

イリヤ「や・・・ん・・・・・・・」ガクッ

イリヤスフィールは気を失ってしまった

が、私は何も出来なかった。動けば、声を上げればやられる

セイバー「なぜ、貴方が現界しているのです、『アーチャー』」

アーチャー「何故も何もなかろう。聖杯は我の物だ」

アーチャー「自らの持ち物を取りに来て何が悪い」


━━━しばらくセイバーと敵のアーチャーが話を交わした後、彼は屋敷から去って行った


アーチャー「再開を祝すにしては此処はみすぼらしすぎる」

アーチャー「いずれ会うぞセイバー。次に出向くまでに心を決めておくがいい」スッ

イリヤを寝室に運んだ後、部屋に戻りセイバーと話を整理する

○彼は前回の聖杯戦争でアーチャーとして召喚された

○セイバーは前回の聖杯戦争で彼と戦ったが勝てなかった

○よって彼は今回呼ばれたサーヴァントでなく、前回からそのまま残ったのだと推測される

○彼は沢山の宝具を持っており、正体を絞り込めない

○また理由は分からないが、キャスターが言うにはアサシンは倒されたらしい

こんなところか


凛「それじゃ、部屋に戻るわ。込み入った話は明日、イリヤが起きてからにしましょう」

考える事は山ほどあるが、今は体を休めて次の戦いに備えよう

ガラガラ ピシャリ

微かに玄関が閉まる音がした

誰かが出かけたのか・・・まあ、士郎しかいない

おおかた綺礼の所にでも相談に行ったのだろう

考えが纏まらずなかなか寝付けなかったところだ

帰ってくるまで待っていようか

...

.......

............


ガラガラ

凛「お帰り。随分と遅かったわね」

士郎「と、遠坂?おまえ何で・・・」

凛「玄関で立ち話もなんでしょう。疲れてるみたいだしこっち来なさいよ」

自分の部屋に連れて来て、今後の方針を話し合う

そしたら士郎のヤツ、突拍子もない事を言い出した

士郎「とりあえず明日はデートする」

凛「・・・ははは、あははははははは!」バシバシ

ひとしきり笑った後

凛「デート、がんばんなさい。私、貴方達の事好きよ」

士郎「・・・う。おう、がんばる」

背中を押してやった

その後、士郎はアーサーにあれこれデートについて聞いていたようだ

同じ男として相談できる相手が彼くらいしかいなかったのだろう

気になるのでそっと聞き耳を立てる

アーサー「それなら墓場がおススメです。ただしセイバーがさらわれないように注意する事」

何言ってんだコイツ。言峰教会にでも行くつもりか?

案の定却下された

アーサー「カラオケで『チョウマカイムラデュエット』を歌ってはどうでしょう?」

デーデデーデデ デデッデデッデデッデデッデー

何言ってんだコイツ。そんな歌聞いた事もない

やっぱり却下された

これ以上黙っていられなかったので

『昼食なら川沿いの喫茶店がお薦めよ』とだけアドバイスしておいた

凛「行ってらっしゃい。お土産よろしくねー」

さて、今日は士郎とセイバーに目一杯羽を伸ばしてもらうとして

私達は残りのマスターを探しに行く

いや・・・行きたいのは山々だけど、まだイリヤの目が覚めないから留守番ね

その代わり、帰ってきたらタップリ土産話を聞かせてもらうんだから

アーサー「凛殿、悪い顔をしていますよ?」

凛「気のせい気のせい」ニヤリ

イリヤは夕方に目を覚ました。そして目が覚めるなり

イリヤ「リンー、お腹すいたー。ゴハンマダー?」グイグイ

これだ

士郎達は大分前に戻ってきたはずだが姿が見えない。自室だろうか

部屋に入ると、案の定ゴロンと寝そべっている士郎がいた


凛「ちょっと、いつまで寝てるのよ。いい加減に起きてもらわないと困るんだけど」

士郎「・・・?」

凛「だから起きなさいって」

凛「ご飯を食べさせろってイリヤがうるさいんだから、起きて相手をしてあげなさい」

士郎「すまん、すぐに行くから居間で待っててくれ」ガバッ

凛「それはいいけど。士郎、セイバーは?」

士郎「まさか・・・あいつ、帰ってきていないのか・・・!?」ダッダッダ

凛「ちょっと士郎!帰ってきてないってどういう事よ!」

士郎は私に何の説明もせず出て行ってしまった

セイバーの居場所に心当たりは無いし、こうなったら帰って来るのを待つしかない

イリヤ「リンー、お腹すいたー。ゴハンマダー?」チンチン

凛「はぁ・・・」

...

.......

.............


軽食を作ってイリヤを黙らせた頃、血まみれの士郎を抱えてセイバーが帰ってきた

凛「ちょっとセイバー!何があったの!?」

セイバー「アーチャーと交戦しました。シロウは無事です」

セイバー「殆ど傷は塞がっていますが・・・。リン、手当てを手伝ってください」

凛「分かった!セイバーは士郎を部屋へ!」バタバタ

詳しい話を聞く必要があるが、セイバーは士郎に付きっ切りだ

手当てをしながら軽く聞いた限りでは

○敵のアーチャーの正体は、古代の英雄王ギルガメッシュである

○セイバーのエクスカリバーを上回る宝具を持っている

という事だった

凛「アーサー、どう思う?そんな相手に勝てる?」

アーサー「あのサーヴァントは前回の聖杯戦争を勝ち残っている」

アーサー「よって二週目です。それ相応の武器を持っているのには納得がゆきます」

アーサー「あちらがそうなら、こちらもそれ相応の武器で対抗するしかありません」

凛「何か手があるのね?」

アーサー「・・・はい。ですが凛殿、その為には・・・・・・・・・」

アーサー「・・・・・貴方の魔力を全て頂く事になります。よろしいですか?」

凛「セイバーが太刀打ち出来なかった相手よ?それで済むなら安いものよ」

アーサー「それを聞いて安心しました。ヤツは私に任せて下さい」

アーサー「必ず倒して御覧に入れましょう。騎士の誇りにかけて!」

今日こそランサーのマスターを探しに行こう

実は、ランサーのマスターがどんな奴かは前から分かっていた

魔術教会から派遣された外来のマスター

そんなよそ者がねぐらに出来そうな場所は限られている

後は予め検討を付けた所を一つ一つ潰してゆけばよい


凛「・・・あそこかしら?」

魔術師が工房を作るとなると、多少なりとも魔力が漏れる

私の家のようにしっかりとした結界があるなら別だが

外から来たマスターにそんな結界を用意する暇は無い

即席の結界ではどうしても綻びがあるのだ

凛「・・・変ね、人の気配が無い」

それに心なしか、現役の工房から漏れる魔力にしては量が少ない気がする

凛「アーサー、中に入るわ。用心して」

無言で頷き先頭を切るアーサー

いくつかの部屋を調べてみたが、既に人がいた形跡は無かった

アーサー「凛殿!こちらへ」

凛「何か見つけたの? ・・・・これは!?」

そこにあったのは血痕と、令呪が無くなった左腕だった

アーサー「血痕は大分古い・・・。ランサーのマスターはずいぶん前にやられたようですな」

アーサー「・・・しかしこれでは・・・」

凛「そうね。私達が会ったランサーと辻褄が合わない」

兎に角この事を士郎とセイバーに伝えなければ・・・

家に帰ると、居間でイリヤが倒れていた

抱き起こすと体が熱い。相当熱があるようだ

彼女はアインツベルンが作りだした聖杯そのもの

とうとうこの時が来たという事か

凛「全く、士郎やセイバーは何やってるのかしら」

凛「まあ、昨夜はやる事やってたみたいだし、まだ寝てても仕方が無いけど・・・」

アーサー「何をやってたんです?」

凛「知らない!」プイッ

アーサー「あー」セイシュンデスナ

イリヤを寝室に運び居間へ戻る途中、縁側にたたずむセイバーの姿があった

凛「セイバー、士郎知らない?」

凛「イリヤの熱が上がってるみたいだから、ちょっと手伝って貰おうと思ったんだけど」

セイバー「イリヤスフィールが・・・?彼女の容態は落ち着いたのではないですか?」

凛「・・・それがどうもね。士朗には黙ってたけど、あの子そろそろ限界よ」

凛「イリヤスフィールはね、聖杯戦争が進めば進むほど壊れていくように作られているのよ」

セイバー「?」

凛「あ、いいの。今のは判らないように言ったんだから」

凛「それよりランサーのマスターの事だけどね・・・・・」

私はセイバーに今日調べた事を話した


セイバー「・・・つまり、ランサーのマスターを倒し」

セイバー「ランサーと再契約した別の魔術師がいる、という事ですね」

凛「ええ、それ以外ないと思う」

セイバー「・・・そんなマスターがいるのなら危険だ」

セイバー「リン、シロウは何処に行ったのか知りませんか?」

凛「え? ・・・んー、どうだろう。知らないから聞いたんだけど」

凛「もしかしたら綺礼の所かな。あいつこの前も綺礼なんかに相談しに行ってたし」

セイバー「あの教会に・・・?」ダッ

凛「ちょっと、セイバー!」

セイバー「教会に向かいます!後の事は任せました」

何を感じたのか、セイバーは庭を駆け抜け飛び出してしまった

・・・士郎の事はセイバーに任せよう

それよりも、もう少し調べる事がある

凛「アーサー、急いでココとココを調べて来て!」

凛「異常があったらすぐに戻ってくる事。いいわね!?」

凛「イリヤは私が看るから、頼んだわよ!」

アーサー「分かりました」タッタッタ

...

......

..........


アーサーとセイバーが屋敷を出てどれくらい経っただろうか

ピンポーン

凛「士郎が帰ってきたのかしら?」

ガラガラ

凛「お帰り士r・・・
綺礼「やあ凛、久しぶりだな」ドス



アーサー「む!? この感じ・・・まさか凛殿が!?」



アーサーが戻ると、士郎の家はメチャメチャになっていた

そして居間には倒れている凛の姿があった

アーサー「凛殿!」

凛「あ・・・アーサー・・・。イリヤが綺礼に連れて行かれたの・・・今、追いかければ・・・」ゴホ

アーサー「いけません!まずは凛殿の手当てが先です!」

アーサー「・・・そうだ!これが効くか!?」

そう言うとアーサーは赤い液体を取りだした

アーサー「飲んで下さい。黄バラ魔女の薬です」グイッ

・・・まずい・・・

というより、口が血だらけで良く分からない

アーサー「後は包帯を巻いて止血を・・・」


.....


暫くすると、穴が開いたはずのお腹から痛みが消え始めた

血を失い冷えた体が再び熱を取り戻す


凛「・・・随分良くなったわ。ありがとう。所で何の薬だったの?」

アーサー「黄バラ魔女が作った薬です」

アーサー「黄泉ガエルの血、不老ドリの血、黄金ヤギの血を調合してあります」

うげ・・・想像したら気持ち悪くなってきた

口が血だらけで味が分からなかったのでは無く

血、そのものを飲んでいたという訳か

アーサー「赤バラ魔女と青バラ魔女の薬は明らかに食べ物ではないので、これしかありませんでした」

凛「・・・一応聞いとく。赤と青には何が入ってるの?」

アーサー「赤バラ魔女の薬は、妖樹の葉、人喰い花の葉、呪い草の葉」

アーサー「青バラ魔女の薬は、百年ヘビの脱殻、一角牛の骨、八つ目魚の目です」

・・・黄色で良かった

まあ滋養強壮としてスッポンの血を飲む人もいるし、その類だと思う事にする

それに助かったのは事実だ



ダッダッダ

士郎「遠坂!」

やっと帰ってきた

凛「ごめん、わたし、イリヤを守れなかった」

士郎「・・・やってきたのは言峰か?」

凛「ええ。どうやら残った敵がはっきりしたわね」

士郎「しかし、言峰は何でイリヤを?」

凛「あの子が今回の聖杯の器だって事、アイツは最初から知ってたんでしょうね」

士郎「な・・・イリヤが聖杯!?」

凛「正確にはあの子の心臓ね」

凛「サーヴァントが残り一人になった時、あの子自体が聖杯を降ろす器になると思う」

凛「そうなるまでは、言峰だってイリヤをどうにかしようなんて考えないはず」

セイバー「・・・そうなると、もうあまり時間はありませんね」

セイバー「恐らくランサーはアーチャーに倒されたでしょう・・・」

どうやらランサーは士郎とセイバーを逃がすためにギルガメッシュと戦ってくれたらしい

そうなると残ったサーヴァントは「セイバー」「アーサー」「ギルガメッシュ」の三体

既に五体分の英霊の魂が聖杯に注がれている

聖杯を降ろす準備を始めるには十分な魔力量だと言っていい

凛「言峰の居場所だけど、きっと柳洞寺ね」

凛「聖杯の降霊場所として、あそこ以上の場所は無いもの」

士郎「分かった。お互いの傷が癒えたらすぐに出発だ。それまでは体を休めてくれ」

凛「りょーかい」

━━━日付が変わった

士郎「遠坂、傷は大丈夫か?俺はもう大丈夫だ」

凛「こっちはまだ本調子じゃないけどね。まあ問題無いわよ」ズキズキ

士郎「それじゃあダメだ、やっぱり残れ!」

士郎「そんな状態の遠坂を連れてはいけない!」

セイバー「シロウの言う通りです。リン、後は我々に任せて下さい」

凛「私はアーサーのマスターよ?マスターとサーヴァントが健在な以上」

凛「聖杯戦争から降りる訳にはいかないわ」

セイバー「しかし・・・。アーチャーも何とか言ってください!」

アーサー「・・・凛殿が一度言ったら聞かない性格だと言う事は知っているでしょう」

アーサー「なら、私が取る手段は一つ」ヒョイ

凛「ちょ・・・何て格好させるの・・・///」オヒメサマダッコ...

アーサー「しっかり捕まっていて下さい」ダッ

・・・そういえば、夢の中のお姫様もこうやって抱っこされてたっけ

アーサー「凛殿、傷は痛みませんか?」タッタッタ

凛「大丈夫・・・」ギュ

ちょっと羨ましいな

柳洞寺に着くと、そこには異様な空気が流れていた

凛「これ、何!?とても聖杯が出すマナとは思えないわよ!?」

アーサー「行きましょう。そこで全てが分かります」

士郎「・・・確認するぞ、上に着いたらセイバー、アーチャーはギルガメッシュを」

士郎「俺は言峰を討つ」

凛「ちょっと、私はどうすんのよ!?」

士郎「遠坂は安全な所で待機していてくれ」

士郎「言峰は恐らく聖杯の近くにいるだろう。でもこの様子じゃ聖杯に近づくのは危険だ」

士郎「かと言ってサーヴァント同士の戦いに巻き込まれるのも危険だ」

士郎「どちらも危険なら、なるべく聖杯から離れていて欲しいんだ」

士郎「それに、サーヴァントをサポートするのもマスターの役目だろ?」

凛「・・・どうしても一人で行くって言うのね?」

士郎「ああ」

凛「・・・仕方が無いわね。それならこれあげる」スッ

士郎「これは? ・・・儀式用の短剣?」

凛「宝石に比べれば微々たるものだけど、気が向いた時には魔力を込めてた」

凛「『laBt』って叫んで、ありったけの魔力を流し込めば発動するから」

士郎「ありがとう。武器は多いに越した事はない」

セイバー「シロウ、リン、そろそろ・・・」

セイバーに促され、私達は階段を駆け上った

山門を潜ると、そこにはギルガメッシュが待ち構えていた

ギル「・・・来たか。待ちわびたぞ、セイバー」

セイバー「ギルガメッシュ、貴方の目的は何だ」

セイバー「あの呪い・・・聖杯と偽っていたモノを使って何を望む」

ギル「望みなど無いと言っただろう。言峰が聖杯をどう扱おうと我は知らん」

ギル「今のところ、我の関心はおまえだけだ」

ギル「邪魔は要らぬ。そこの雑種、言峰に用があるのなら早々に消えろ」

セイバーはギルガメッシュを見据えながら僅かに頷いた

シロウ、無事を祈る。と

アーサーも頷く

凛、かの約束を果たします。と

士郎は背を向け、寺の境内へ走って行った

私もアーサー、セイバーの邪魔にならないように距離を取る

ギル「・・・ん?貴様は行かないのか?今なら見逃してやると言っているのだぞ?」

ギルガメッシュはアーサーを横目にそう言った

アーサー「残念だが言峰は士郎に任せてある。貴様の相手は私だ」ジャキン

そういうとアーサーは黄金の鎧に身を包んだ

ギル「・・・気に入らんな、その格好。雑種風情が王の真似事をするでないわ!」

ドン ドン ドン ドン ドン ドン

アーサー「来たか!」シュババババババ

ガキン キン キン ガン キン

ギル「ほう、同じアーチャーとして打ち合いを望むか、いいだろう」

ギル「なに、時間は取らせん。さっさと聖杯の元に送ってくれるわ!」

ドン ドン ドン ドン ドン ドン
ドン ドン ドン ドン ドン ドン
ドン ドン ドン ドン ドン ドン

アーサー「うおおおおおおおおお!」シュババババババババ



始まった

勝負は互角。いや、手数はギルガメッシュが圧倒的に上だ

しかしそれでも勝負が拮抗しているのは

ヤリやナイフに紛れてあの巨大なヤリ、斧、鎌が

ギルガメッシュの攻撃を軒並み弾いているからだ

まるで敵の攻撃など存在しないかのように直進するそれらの武器だったが

圧倒的な手数の前にギルガメッシュに到達する頃には全て失速してしまった



このままでは勝負が付かないのではないか?

そう思った矢先、先に音をあげたのはギルガメッシュだった

ギル「気に入らん、気に入らんぞ!この雑種がぁ!」

それもそのはずだ

量で勝る相手に勝負が付かないのは質で劣っているからに他ならない

それは彼の自尊心を大きく傷つけるものだった

ギル「遊びは終わりだ!貴様のその武器など、我がエアの前ではゴミも同然!」

来る。セイバーの宝具をも上回るというギルガメッシュ最強の一撃

ギル「天地乖離す(エヌマ)━━━」

アーサー「プリンセスよ、今一度私に力をお貸し下さい」

ギル「開闢の星(エリシュ)━━━!!」

アーサー「女神の腕輪!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドド
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

ギル「な、んだと!」

ギルガメッシュの攻撃が、アーサーの右腕から出る光の中に吸い込まれてゆく

凛「すごい、これなら勝てる!?」

と思ったその時、急に目眩がし始めた

凛「あ・・・・れ・・?」

私の魔力が急激に失われてゆく

このペースだと、持って数分ではないだろうか

ギル「調子に乗るな━━━━━!!」

エアの出力が上がる。まずい、押され始めている!?

アーサー「・・・最初セイバーを見た時、サーヴァントに魔法は効かないものと思い込んでいたが・・・」

アーサー「これならいけるかもしれん!」

そう言うと、アーサーは空いた左手で球体状の魔力を溜め始める

アーサー「波動の魔力!」

ズギャウウウウウウウウ


ガクン!
アーサーが魔力を発したと同時に私は膝から崩れ落ちた

ダメだ。このままでは私どころかアーサーが持たないのではないか

『貴方の魔力を全て頂く事になります』

! そうだ、アーサーは確かにそう言った

何という事だ。アーサーは最初から魔力切れ、自らの消滅を覚悟で戦いに挑んでいたのだ

こんな大事な事に今の今まで気が付かなかったなんて・・・

アーサー「もう一度!波動の魔力!!」

ズギャウウウウウウウウ

だがもう遅い

それならせめて、少しでも彼に魔力を送ろう。マスターとして私が出来る唯一の事

歯を食いしばり、気を失わないように腹の傷に爪を立てる

霞んだ頭を痛みで呼び覚ます



アーサー「波動の魔力!!!」

ズギャウウウウウウウウ

ギル「うおおおおおおおおお!」ギリギリ

押し返している。放った魔力は、少しずつではあるがギルガメッシュとの距離を詰めていた

これ、セイバー脱落してた方が話しまるんじゃないか。

アーサー「波動の魔力!!!!」

ズギャウウウウウウウウ

視界が歪む。腹の感覚が無くなってきた。ここで力尽きてしまうのか?

いや、私は負けない

何度やられても心は負けない

そうすればいつかは勝利を掴めると教えてくれたのはアーサーだ



アーサー「波動の魔力!!!!!」

ズギャウウウウウウウウ

ギル「ぐあああああああ!!!」

バギン!

エアは粉々に砕け散った!

アーサー「セイバー!」

セイバー「約束された(エクス)━━━」

セイバー「勝利の剣(カリバー)━━━!」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!



セイバーが放った光と轟音の前に、ついに私の意しk━━━━━━━━━━━━




━━

━━━━━

━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━

.............

.......

...




「・・・aか・・・」

「・・・お坂・・・」

「・・・遠坂!」

パチッ

士郎「遠坂、目を覚ましたんだな」

私の傍らで、イリヤを抱いた士郎が顔を覗き込んでいた

凛「士郎・・・みんなは・・・?」

士郎「・・・・・・終わったよ」

『終わった』・・・。その言葉で全てを理解した

言峰は倒され、聖杯は破壊され、サーヴァントは消えた

凛「・・・最後、どうなったのかな?」

士郎「アーサーの事か?」

士郎「セイバーが言うには、エクスカリバーを放った後に満足そうに消えて行ったってさ・・・」

良かった・・・。私は最後までアーサーの力になれたのだ

そしてセイバーも、聖杯を破壊して消えていったらしい

こうして第五次聖杯戦争は終結した

聖杯で願いを叶える事は出来なかったけど、私は大切なものを手に入れた

凛「あちゃ・・・またダメだったか・・・」

士郎「遠坂、やっぱり聖杯の力無しに英霊を呼ぶなんて無理だと思うぞ」

凛「・・・やっぱり私の家より強い霊脈を探すしかないわね」

凛「そうだ、柳洞寺の・・・より地脈に近い地下空洞が無いか今度調べてみようかしら」ブツブツ

士郎「・・・まあ、応援してるよ。それが遠坂のいいところだもんな」

凛「でしょ?私いつも言ってるじゃない」



『百万回やられても、負けない!』



━━━ fin ━━━

おつ


最終決戦の熱さにちょっと泣いた


やっぱりアーサーはダサくてカッコいいな

乙でした、納得の縁召喚だったな。


本当に面白かった

乙。

百万回乙と言っても、足りない。

最後までご覧いただきありがとうございました

興味のあるかたは元ネタでも探してみて下さい

それでは良い週末を

面白かった、乙

ガオー!

大河「タイガと」

イリヤ「イリヤの」

大河・イリヤ「「タイガー元ネタ道場ー!」」パチパチパチ


大河「このコーナーは、本文中に出てきた魔界村ネタのうち」

大河「ちょっと元ネタが分かりづらいものを紹介していくコーナーです!」

大河「しっかり付いて来るのだ、弟子一号!」

イリヤ「押忍! 師しょー!」

イリヤ「さて、一つ目の質問は」

イリヤ「アーサーが自分の持つ武器を『エクスカリバー』と呼ぶ人もいるって言ってたけど、一体何の事?」

イリヤ「思い当たるのは大魔界村に出てくる『剣』かしら?」

大河「そうねー。一番『エクスカリバー』っぽい武器はそれだけど、筆者の中では違います」

大河「その名も『クロスソード』!」

イリヤ「げげ!あの超魔界村に出てくる地雷武器!?」

大河「その通り!正面の敵を攻撃したいのに一々上に飛ぶというトンデモ仕様!」

大河「初めて取った人は敵に対して何も出来ずにやられる事間違い無し!」

大河「そんなクロスソードを万が一取っちゃったのなら」

大河「斧でもたいまつでも鎌でも何でもいいから兎に角武器を切り替える事!」

イリヤ「まあ実はたいまつは強いんだけどねー」

大河「世の中にはそのクロスソードでクリアしちゃうっていう猛者もいるらしいから」

大河「時間とやる気さえあれば誰でもクリア出来るようになる! ・・・かもしれない」

大河「それこそ『百万回やられても、負けない!』つもりで挑むべし!」

イリヤ「押忍! ちなみに筆者はそのクロスソードでクリアしたの?」

大河「してない」

イリヤ「じゃあたいまつは?」

大河「してない」

イリヤ「人に大口叩くばかりでダメな筆者ね・・・」ハァ

大河(極改で火炎瓶クリアはしたけどね)

イリヤ「次の質問」

イリヤ「リンが夢で見たアーサーのやられシーンから」

イリヤ「ノミやオタマジャクシは分かるけど、『イカ』なんて敵、出てきたっけ?」

大河「それはね、極魔界村(改)に出てくる『スクイーダー』って敵」

大河「出現箇所が少ない上に飛んでくるスピードも速いから」

大河「全然イカに見えないよ!って人も多いはず」

大河「筆者も極の攻略本イラストを見て初めて知ったんだから」

イリヤ「タイガもそのイラスト見たの?」

大河「うん。『まんまイカ』だった」タベラレソウナクライ

イリヤ「ふーん・・・。でも珍しいわね、イカ型の敵なんて」

大河「あら、そんな事無いわよ」

大河「某有名な配管工アクションゲームにも空飛ぶイカが出てきたでしょ?」

大河「きっとアレね、ヒゲ繋がり。ヒゲとイカは切っても切れないものなのよ」

大河「押忍! ナットクであります!」

イリヤ「次の質問」

イリヤ「アーサーがデートの話をしてた時に言ってた『チョウマカイムラデュエット』って何処の曲?」

大河「いい所に気が付いたわね、流石は弟子一号!」

大河「これはね〜、ゲームだけやってても分からないネタなの」

大河「記念すべき魔界村第四弾、極魔界村のCMに出てきたカラオケの曲なのよ」

大河「取り合えずコレを見て頂戴!」ピッ

大河「あー!アーサーが浮気してるー!」

大河「そう。プリンセスという人がいながらこの体たらく」

大河「サイコキャノンされても文句は言えないわ!」

イリヤ「リンも浮かばれないねー」

大河「はーい、これにてタイガー元ネタ道場は一旦お開き」

大河「アナタの魔界への挑戦、待ってるわよ!」

イリヤ「まったね〜」バイバーイ

ピシャリ

乙ー

さあ、ホロウ編を書く準備を(え?

すいません。 >>135 , >>136 でイリヤのセリフが大河になってました

正しくは

>>135
イリヤ「押忍! ナットクであります!」

>>136
イリヤ「あー!アーサーが浮気してるー!」

になります

十分推敲せずに投下するとこれだ・・・

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