海未「あなたのハートに噛み付くヴァンプ! ってなんでですかー」 (147)

海未「あれ? 机の上に何か……箱?」

海未「『プレゼントです』……って一体誰が?」

海未(中からは「有名な西洋の怪人になります」と書かれたメモと指輪……こんな展開どこかで)

海未(しかも送り主の名前はない……やっぱり)

海未「指輪のデザインは素敵……まあおもちゃでしょうけど」

海未「……っていけないいけない。また何か大変なことに巻き込まれでもしたら……」

海未「でもちょっとくらいなら……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391164958

海未「……ぴったり」

海未「わぁ、綺麗……これってまさか本物じゃ……」

海未(ん? なんだか口元に違和感が……)

海未「鏡は……あ、手鏡でいいか」

海未「……え」

海未(八重歯というには少し長い牙、そして西洋の怪人になれるというフレーズ……まさかこれは……)

海未(吸血鬼!?)

穂乃果「海未ちゃーん! 学校行こー!」

海未「ほ、穂乃果っ!?」

海未(まずい! 何かで隠さなくては……そうだ!)

穂乃果「海未ちゃーん……ってうわぁ!?」

海未「……おはようございます」

穂乃果「う、海未ちゃんってばびっくりさせないでよぉ……心臓止まるかと思ったぁ」

海未「……すみません」

穂乃果「いきなり海未ちゃんの部屋に般若がいるなんて」

海未(なぜ部屋に般若の面があったのかは謎ですがこれで……)

穂乃果「海未ちゃんどうしたの?」

海未「ああ、準備がまだなのでもう少し待ってもらえますか?」

穂乃果「うん、わかった」

海未(よし、穂乃果は部屋から出た。これでマスクをつければごまかせるはず……)

海未「……あれ?」

海未(お面が外れない)

海未「……床にメモ翌用紙が……ってまさか!」

海未「『注意:誰かに愛を伝えてもらえるまで外れないお面です(・8・)』」

海未「ああああああああ!」

穂乃果「海未ちゃんどうしたの!?」






海未「はぁ……」

ことり「風邪だったんなんて気付かなかったよぉ……海未ちゃん大丈夫?」

海未「はい、心配かけてすみません」

海未(お面は結局後ろのゴムが髪にひっかかってただけだったけど、指輪は外れないまま……)

海未(でも2人からは見えてないみたい……なぜ?)

穂乃果「海未ちゃんってば朝から大胆だったねぇ……ふふ」

ことり「え? 何かあったの?」

穂乃果「それはねー……」

海未「……言ったら明後日のデートはなしですよ」

穂乃果「忘れちゃったぁ」

ことり「ん? 海未ちゃん今小声で何か言わなかった?」

海未「いえ、何も」

海未(マスクって便利)







海未(無事に学校につけた……日差しは意外となんともなかった)

海未(吸血鬼って確か日光や十字架やニンニクに弱かった気が……あれ? それはドラキュラ?)

海未(そしてうら若き乙女の血を吸う……)

穂乃果「海未ちゃん! ことりちゃん! ここの問題どうやって解くか教えてくれない?」

ことり「あ、私もそこわからなかったよ。海未ちゃんはできた?」

海未(……うら若き乙女だらけ!)

アンデルセン神父「ほう、どうやら俺に倒されるべき存在がいるようだな・・・・・」

アンデルセン神父「吸血鬼は我らヴァチカンのぉ、そしてぇぇ神の敵ぃぃ!!!しねぇェフリ-クス!」

絵里「海未いるー?」

穂乃果「あ、絵里ちゃんだ!」

ことり「海未ちゃんならここにいるよー」

絵里「ごめんなさい、海未をちょっとだけ借りるわね……って海未、風邪?」

海未「まぁそんなところです」

海未(吸血鬼になったなんてばれたら面倒ですしね)

絵里「吸血鬼に……!?」

海未「エリーチカ。ちょっとこっちへ来なさい」

絵里「……ハラショー」







絵里「このメガネいつ外せるのよぉ……もう丸1日たってるのにまだ外せないわ」

海未(そういえば初めて会ったのは結構前になるのか……)

絵里「そうよ。結構前になるわ」

海未「心を読むのは構いませんが声に出すのはやめてください」

絵里「あ、ごめんなさい。でも本当に吸血鬼になってるの?」

海未「はい、この指輪をはめたら……」

絵里「……どれ?」

海未(やっぱり見えてない)

海未「とりあえずまた外せないものが増えてたんですよ。般若のお面とか」

絵里「はんにゃ……ハンニバル?」

海未(……)

絵里「こ、これが無言の圧力」

絵里「それで、吸血鬼ってどういうこと? 十字架に弱いとか?」

海未「見てみますか?」

絵里「……うん」

海未「じゃあ……はい」

絵里「うわあ! ……って何それ、ちょっとかわいいじゃない」

海未「どこがですか! これでも困ってるんですよ?」

絵里「何だか海未が可愛く見えてきたわ」

海未「わ、ちょっと、撫でるのはやめてください」

絵里「血は吸ったりするの?」

海未「さあ……っていうか手を離して」

海未(メガネをかけて知的に見えるようになった生徒会長素敵! みたいに言われてる人に私の気持ちはわかりませんよ)

絵里「うっ」

海未「えっ、本当に?」

花陽「あれ?」

真姫「2人とも何してるの?」

海未「わわっ」

海未(マスクをしないと……)

海未「き、奇遇ですね」

凛「んー? 誰かいるの?」

花陽「海未ちゃんと絵里ちゃんだよぉ」

凛「海未ちゃんたちも移動教室?」

海未「え?」

花陽「私たちは教室から移動してる途中なんだけど……」

絵里「あー。だから教室に誰もいなかったのね」

海未「行ったんですか?」

絵里「いや、フキダシが見えなかったから」

花陽「あぁ……」

凛「?」

真姫「何の話?」

海未「あ、もうそろそろ授業が始まりますね。ではまた」

海未(あまり心配をかけるのもいけませんし、2人を巻き込まないよう内緒にしておきましょう)

絵里「わかったわ、内緒ね」

海未「……そうですか、私の話は無視ですか」

絵里「あ」






ことり「海未ちゃん本当に大丈夫? 顔色悪いよ?」

穂乃果「ごはんも食べてないし……ちょうど今はお昼休みだから保健室で休んで来たら?」

海未(この牙のせいで食べられないだけなんですけど……)

海未(……保健室?)

海未「そうですね、保健室で休んできます」

穂乃果「一緒に行くよ」

ことり「私も!」

海未「ただ睡眠不足だと思うので1人で大丈夫ですよ」

ことり「でも……」

海未「2人とも、私に見せるノートはきちんと取っておいてくださいね?」

穂乃果「海未ちゃんも無理しないでね?」

海未「はい」




海未(早く行きたいけど……軽快な足取りで階段を駆け下りるのも気が引ける)

フリッツ「Ashtoash,Dusttodust 。」ジャキ

モ-ラ「灰は灰に、塵は塵に----吸血鬼は砂にかえれ!!」ジャキ

海未(2人に心配をかけてしまった……)

海未「……おなかすいた」

海未(まずご飯を食べて……あ、でも保健室でご飯を食べるのはいけない気が……)

海未(……って、ここでうろうろしてても仕方ない。とりあえず部屋の中に入ろう)

海未「失礼します」

海未(ん? 惣菜パンの匂いが……)

にこ「うわぁ!?」

海未「ええっ!?」

にこ「……」

海未「何でご飯を食べてるんですか」

にこ「……」

海未「何で口元を隠すんですか」

にこ「……ちょっと色々あるのよ」

海未「色々って……ん? その指輪は……」

にこ「え、あんたこれ見えるの!?」

海未「見えるも何もそこに……というかそのデザインどこかで……」

にこ「……その手にしてるのって、まさか……」

海未「え? 見えるんですか?」

にこ「見えるも何も……ん?」

海未「にこ、ちょっと歯を見せてください」

にこ「じゃあ一緒に行くわよ」

海未「わかりました……せーのっ!」






にこ「……やっぱりその指輪のせいよね」

海未「はい……っていうかにこは気にしないでいいじゃないですか。似合ってて」

にこ「いやいや、急に歯が生えてきたらみんなびっくりするでしょ」

海未「まあそうですけど……」

にこ「ていうか海未」

海未「はい」

にこ「無邪気な感じがあってかわいいわよ?」

海未「何でそんな唐突な…………本当に?」

にこ「何で嘘つくのよ。ほら、にっこにっこにーってやってみなさい」

海未「え? 何でそんな……」

にこ「いいからいいから」

海未「……にっこにっこにー」

海未「も、もうしませんからね」

にこ「……」

海未「にこ?」

にこ「あ、いや……なんていうか」

にこ「普通に可愛いんだけど」

海未「だ、騙されませんよ! 騙されませんからねっ!」

海未(絵里といいにこといい……まったく)

にこ「それよりもよ。これって『有名な西洋の怪人になれます』って書いたメモがあったんだけど本当なの?」

海未「そうみたいですね。実際こうして牙がありますし……。にこはどこでそれを?」

にこ「机の上に置いてあったのよ。誰が置いたかわかんないけど」

海未「私もそうでした」

海未(あのメガネはことりが置きにきたという話だったけれど……)

にこ「あ、そうだ。うちのクラスで夜に吸血鬼が出るって話が出回ってたんだけど」

海未「にこが何かしたんですか?」

にこ「もちろん違うわよ。指輪をはめたのは一昨日だけど」

海未「箱に入ってましたか?」

にこ「そういえば箱に入ってたわね」

海未「じゃあ私たちに箱を送った人は同じ人ってことでしょうか。指輪の色は違いますけど」

にこ「まあその点については私からも探してみる」

海未「では……」

穂乃果「失礼します」

海未「!?」

にこ「入ってくるわよ……!」

海未「こっちに来てください」

にこ「ちょっ……!」






穂乃果「あ、海未ちゃん起きてたの?」

海未「は、はい。少し目が覚めてしまって……」

海未(どうしよう。思わずにこを隠すために同じベッドに入ってしまった)

穂乃果「海未ちゃん、マスク裏返しじゃない?」

海未(しまった)

海未「そ、そうですか。後で直しておきますね」

穂乃果「……海未ちゃんの匂いともう一つ、他の匂いがする」

海未「」

海未(赤ずきんに出てくる狼ってこういうシーンで顔色一つ変えなかったんですよね。尊敬します)

海未「さ、さっき保健の先生に会ったからですよ」

穂乃果「あぁ、そうなんだ」

海未(これでなんとか……)

ことり「失礼します……あ、海未ちゃん起きてたんだ。具合どう? 熱とかは大丈夫?」

海未「はい、だいぶよくなったので午後からの授業は出ようと思います」

ことり「そう? 無理しちゃダメだよ?」

海未「はい。もう少し休んでから行くので先に戻っててください」

穂乃果「うん」

ことり「さっきの時間のノート、ちゃんととってたからね」

海未「ありがとうございます」




海未(……なんとかなった)

海未「……にこ、もう大丈夫ですよ」

海未「……にこ?」

にこ「……くぅ」

海未(私にしがみついたまま寝てる)

海未「ふふ、かわいい寝顔」

海未(……もう少しくらい一緒にいても)




穂乃果「……海未ちゃん、穂乃果とは遊びだったんだね……」

海未「遊びも何も……」

ことり「そんな子に育てた覚えはありませんっ!」

海未「育てられた覚えは……」

にこ「ごめんなさい……」

海未「えっ」

真姫「どうしたの? 何だか騒がしいじゃない」

希「2人が午後の授業抜けて保健室で寝てたんやって」

真姫「ケガとか? 大丈夫なの?」

絵里「それは大丈夫だったみたい」

真姫「……そう、よかった」

絵里「でも……同じ布団で寝てたらしいのよ」

真姫「そんなに仲良かったかしら?」

絵里「……真姫、昨日にこに会ったの?」

真姫「え、急に何よ」

絵里「あ、違うの。気にしないで」

凛「凛もかよちんと枕を並べてごろーんしたいにゃー」

花陽「じゃあまた今度ね」

真姫「で、絵里は何で目を閉じたままなの?」

絵里「……視界に入る情報を見ないようにね」

花陽「あー……」

希「えりちそんなキャラやったっけ?」

絵里「キャラ?」

穂乃果「真姫ちゃんからも何とか言ってあげてよー」

真姫「え、私? そんな急に振られても……」

海未(そういえば色々あってお昼食べられてない)

海未「……」

にこ「……」

ことり「真姫ちゃん」

真姫「いや、何もないってば」

絵里「ん? 何が起こってるの?」

花陽「目、開けちゃうんだ……」

絵里「……とりあえず海未はおなかすいてそうだからご飯食べさせましょうか」

海未(……おなかすいた)







穂乃果「何で穂乃果たちは外に追い出されたのかな」

希「えりちが大事な話っていうからには何かあるんやろうな」

真姫「ふーん。で、あの4人って何か関わりがあったのかしら?」

凛「凛は知らないにゃー」

ことり「気になるね」

穂乃果「気になっちゃうね」

真姫「何よ、覗きでもするの?」

希「ウチも気になるなぁ」

真姫「やめときなさいよ。人のヒミツ知ったっていいことないわ」

凛「……真姫ちゃん何か隠してる?」

真姫「いや、別に」

希「何で今視線泳いだんかなー?」

真姫「う、うるさいわね! 隠し事なんてしてないってば!」

凛「希ちゃん!」

希「任せとき!」

真姫「あ、ちょ、どこ触ってんのよっ……あ、あはははは!」

凛「ふっふっふ、早く言わないと命の保証はできないにゃー」

希「くすぐってるだけやけどな。わしわしー!」

真姫「ちょっと、ふ、やめっ」

ことり「でも覗いたら海未ちゃんきっと怒るよね」

穂乃果「やめよっか」

ことり「うん」

真姫「ちょっと、たすけ……ふふっ、あはは!」






海未(全部聞こえてる……)

絵里「このメガネで送り主を探してほしい、というわけね」

海未「……」

海未「そういうことです」

にこ「偉いわねー。ちゃんと飲み込んでからしゃべるなんて」

海未「当たり前じゃないですか」

花陽「でもその牙って……本物?」

にこ「がおー」

花陽「あはは、何だかかわいいね」

にこ「あんた……大物よね」

花陽「?」

絵里「海未たちの話によれば、そろそろ見えなくなってもおかしくないんだけどね。このフキダシ」

花陽「そういえば私たちより長い気がするね……たぶんこれで3人目だから消えるまでの時間が3倍、とか」

絵里「……ありえなくもないわね。花陽が4日で海未が8日……12日かぁ」

花陽「ラスト11日だよっ」

絵里「……ラスト」

海未「ごちそうさまでした」

にこ「そのメガネで人の心が読めるって聞いたときはびっくりしたわ」

にこ「まあ海未の鋭さの原因がわかってすっきりしたけど」

海未「え、私ってそんなに鈍く見えますか」

絵里「……まあまあ」

花陽「……ふ、普通くらい、かなー?」

海未「あ、これは気を遣われてるってわかります」

にこ「あんたは人に心配かけすぎなのよ」

海未「え?」

にこ「顔に出すぎよ。もっと穂乃果を見習いなさい」

海未(……何が顔に出るんだろう)

にこ「わかってないって顔ね」

海未(す、するどい)

絵里「海未って自分のことには案外無関心よね?」

海未「いや、そんなことはないですが……」

花陽「海未ちゃん、このメガネをかけたとき、最初に何の心配をした?」

海未「人の心を読むのはいけないことだ、と……」

にこ「それよそれ! 自分のことは二の次になってるのよ!」

海未「……言われてみれば」

絵里「そこが海未のいいところであり、悪いとこでもあるんだけどね」

花陽「うんっ」

海未「……ありがとうございます」

にこ「これに懲りたらもっと周りの人間を頼りなさい? あんたには頼もしい仲間がいるじゃない」

絵里「えっへん」

海未(……大丈夫かなぁ)

絵里「大丈夫よ!」

にこ「もっと私利私欲にまみれて生きてもいいと思うけどー」

海未「それはアイドルの言っていいことじゃないですよね」

にこ「オフだから」

海未「オフ……」

にこ「私みたいにオンオフの切り替えをしっかりしてればもっと自分に集中できるんじゃない?」

海未「オフの私……」

海未(何だろう、自宅で正座してるイメージしか浮かんでこない)

絵里「えっ!?」

花陽「え、絵里ちゃんどうしたの?」

絵里「にこのフキダシが顔文字で埋まってるのよ……」

にこ「読まれるとわかれば簡単じゃない」

花陽「そんなことできるの!?」

海未「なるほど……」

海未(じゃあメガネをかけていた私もできるんじゃ……)

海未(仏説摩訶般若波羅蜜多心経 観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空)

絵里「うわあああああ」

花陽「絵里ちゃん!?」






絵里「こわい……おうちかえる」

花陽「大丈夫だよ絵里ちゃん、よしよし」

海未「すみません。まさかそんなに怖がるとは」

凛「何があったの?」






海未(頼る……か)

海未(もう少し2人を巻き込んでも……いいのかな)

海未「あの」

穂乃果「ん?」

ことり「何?」

海未「当然のように私の部屋に来たのは……なぜ?」

穂乃果「なんか最近夜になると吸血鬼が出歩いてるらしくてね」

海未「」

ことり「海未ちゃんおうちに1人でしょ? だから心配で……来ちゃった」

海未「そ、それは怖いですね」

海未(怖いのは自分ですごめんなさい)

穂乃果「やっぱり乙女の血を吸うのかな」

ことり「こう首筋に……がぶっ」

穂乃果「うっ、やら……れた。私には帰りを待つ人が……がくっ」

ことり「ふっふっふ、こうして私たちは仲間を増やすのです」

海未(何か始まった)

穂乃果「ああー私もどんどん吸血鬼にー」

海未(本物の手前でなんという適当なことを)

穂乃果「じゃあお風呂入ろっか」

海未「ちょっと、まだ沸いてないんじゃ……はっ」

海未(お風呂? もしや一緒に入ることになるお約束の展開……?)

ことり「お風呂と言えば?」

海未「……お風呂と言えば?」

穂乃果「裸のお付き合いだよね」

海未(やっぱりこうなるか……仕方ない)

海未「2人とも、大事な話があります」

穂乃果「……お風呂、なくなっちゃったとか?」

海未「いえ、違います」

ことり「実は妹がいたとか」

海未「それも違います」

穂乃果「実は……海未ちゃんは天使だったんだ」

ことり「知ってるよー」

穂乃果「私もー」

海未「お風呂……一緒に入りませんよ」

穂乃果「そ、それだけはご勘弁を!」

ことり「海未ちゃんがいないと私たち……」

海未(私の立ち位置って本当に何なんだろう)

海未「今から見るものに決して驚かないでくださいね」

穂乃果「うん」

ことり「もちろん」

海未「では……」

穂乃果「え? マスクとっちゃうの……って」

ことり「そ、それは……!」

海未「そうです。この牙は……」

穂乃果「……いい」

海未「え?」

穂乃果「いいよ! 海未ちゃんとってもかわいい!」

ことり「そういう路線いいねぇ」

海未「ちょっと話を聞いて……」

穂乃果「はい海未ちゃん笑ってー」

海未「え? こう、ですか?」

ことり「いいよいいよ! かわいいポーズして!」

海未「む、難しいですね」

穂乃果「はいそのまま」

ことり「じゃあ写真撮るねー」





海未「で、私が話したいことはですね」

穂乃果「お風呂沸いたみたいだよー」

ことり「お風呂でお話聞いてもいいかな?」

海未「……はい」



穂乃果「では海未ちゃん、お背中お流しします」

海未「……じゃあお言葉に甘えて」

穂乃果「……海未ちゃんが素直に聞いてくれたよ。どう思うことりちゃん」

ことり「成長……かな」

海未「何を言ってるんですか」

穂乃果「それで、海未ちゃんの話って?」

海未「……私、吸血鬼なんです」

穂乃果「なるほど……」

ことり「その歯でもしかしたらとは思ってたけど……」

海未「あ、で、でも私じゃないですよ、今ウワサになっているのは……」

穂乃果「そんなのわかってるよー」

ことり「ねー」

海未「……疑わないんですか?」

穂乃果「海未ちゃんだから」

ことり「それに、マスクで隠すような気遣いができるなら不用意に出歩かないでしょ?」

海未「穂乃果……ことり……」

穂乃果「それでどうしたの? その牙は」

海未「前みたいに机の上に置いてあった指輪をつけるとこうなってしまったんです」

ことり「前みたいに?」

海未「はい、前は花陽のメガネ……って置いたのはことりでしたよね?」

ことり「……あぁ、海未ちゃんが可愛かったから忘れてたよぉ」

海未(ん? そういう認識?)

海未「穂乃果は覚えてますよね。ずっと一緒でしたし」

穂乃果「あぁ、あの時のデート楽しかったねぇ。急に海未ちゃんが私の手を引っ張って……きゃーっ!」

海未「背中流してください」

穂乃果「はい」







穂乃果「それでヴァンパイア海未ちゃんの誕生ってわけなんだ」

ことり「だから隠してたんだね」

海未「あまりびっくりさせたくなくて……」

穂乃果「もう血は吸ったの?」

海未「いえ、まだですが……」

ことり「……」

穂乃果「……」

海未(なぜか期待のまなざしが……)

海未「血は吸う気はありませんよ」

穂乃果「えぇっ」

ことり「そんなっ」

海未「怖くないんですか?」

ことり「全然? 海未ちゃんだもん」

穂乃果「むしろ可愛いよ?」

海未「あぁ……そういう人でしたね、2人とも」

海未(というかみんなから言われているような……)

穂乃果「さあ海未ちゃんカモーン」

海未「何ですかそれ。セクシーポーズ?」

穂乃果「違うよー、首を差し出すポーズだよー」

海未「だから吸いませんって」

ことり「私もいつでも準備オッケーだよ」

海未「ことりまで……早く寝ますよ。明日も学校なんですから」

穂乃果「はーい」

ことり「はーい」





海未「……」

海未(……なんだか眠れない)

海未(少し外に出てみようかな)

海未「よいしょ……」

海未「夜ってこんなに静かだったんですね……」

海未(土の匂いがする……雨が降ってたのかな)

海未(そういえば吸血鬼が出るとか……って私か)

海未「ん? 向こうで何か光ってる……」

海未(……誰かこっちに来る!)

海未(こんな時間に……まさか吸血鬼!?)

海未(あ、いいところに電信柱が……)




真姫「……ったく、世話が焼けるんだから」



海未(真姫!? どうしてこんな時間に……)

海未(まさか真姫が吸血鬼……? そんなはずは……)



真姫「こっちよ、にこちゃん」

にこ「うぅ……」

海未(にこ!?)

海未(……でも様子がおかしい。目が真っ赤だし……)

海未(あの光はにこの目の光? 目って光るもの?)

海未(もう少し様子をうかがってみよう)

真姫「ほら、しっかりしなさい。やっぱり今日も出てきたのね」

にこ「真姫ちゃん……? 何でこんなとこにいるのよ」

真姫「いいからこれ飲みなさい」

にこ「なにこれ」

真姫「トマトジュースよ。やっぱり覚えてないみたいね」

にこ「?」

真姫「早く飲みなさい。昨日はうちの近くにいたからよかったけど……」

真姫「もう少し私が来るのが遅かったら、また吸血鬼騒ぎになるところだったわ」

にこ「吸血鬼? あ、これおいしい」

真姫「昨日もそう言ってたんだけどね……私トマト好きだから家にいっぱいあるのよ」

にこ「ふーん……っていうか真っ暗じゃない。今何時?」

真姫「23時」

にこ「えぇっ!? 何で私こんなところにいるのよ……」

真姫「ちゃんと家まで帰りなさいよ」

にこ「それはそうだけど……真姫ちゃんも気を付けてね」

真姫「はいはい。じゃあね」

真姫「……きっと覚えてないんでしょうけど」




海未「今のやりとりは一体……」

海未(この指輪ってやっぱり危険なもの……)

海未「……帰ろう」





穂乃果「海未ちゃん。こんな時間にどこ行ってたの」

海未「ごめんなさい」

ことり「うう、お母さんは悲しいよ」

海未「心配かけてすみません」

ことり「……?」

穂乃果「海未ちゃん?」

海未「え?」

穂乃果「……ううん、何でない。電気消すね」

海未「はい」





海未「……ん」

海未(いい匂いがする……焼けたパン、それに温めた野菜と胡椒の匂い)

穂乃果「おはよう海未ちゃん。パンが焼けてるよ」

海未「おはようございます」

ことり「ことり特製スープの完成でーす! これを飲めばきっと元気が出るよ」

海未(昨日私が困惑してたからそれで……くよくよしてても仕方ない)

海未「ふふ、私をこれ以上元気にしてもいいことはありませんよ」





にこ「昨日は吸血鬼騒ぎ、なかったみたいね」

海未「そうみたいですね」

海未(……昨日のこと、聞いてみよう)

海未「にこは昨日の夜、何をしていましたか?」

にこ「何よ唐突に」

海未「こんな風になってからの生活を聞いてみたくて」

にこ「そういうことね。それなら……私は昨日は勉強してたわ」

海未「……外出はしてないんですか?」

にこ「まあ控えるようにはしてる。何かの拍子にこのマスクが外れるかもしれないし」

海未(やっぱり昨日のことは覚えてない……)

にこ「あ、でも朝起きたら無性にトマトジュースが飲みたくなってね」

海未(そこだけ覚えてるんだ)

にこ「でも市販のやつじゃ違うのよねー。何でかしら」

海未「……真姫に聞いてみたらどうでしょう。トマト好きらしいですし、オススメのを知っているかもしれませんよ」

にこ「おぉ、それナイスアイディアね。だけど急にそんなこと聞いてくるなんて、何か気になることでもあるの?」

海未「あ、えっと……昨日にこにそっくりな人を見かけたので」

にこ「ふーん。この私のかわいさを100%再現できた子がねぇ」

海未「にこは可愛いですからね」

にこ「えっ」

海未「あ」

海未(穂乃果とことりの影響が……)

希「お、2人とも朝から元気やな」

海未「あ、おはようございます」

にこ「元気ってなによー。一応マスクしてるんだけどー」

希「……吸血鬼騒動の話、何か聞いてたりする?」

海未「え、いや。知りませんよ」

にこ「ウワサでしか聞いたことないわ」

希「やっぱそうなんや。夜道は気を付けるんやでー」

海未「はい」

にこ「あんたも気をつけなさいよ」

希「ウチは大丈夫やって」

海未(オカルトが好きだからこういうの気になるのかな)





絵里「凛と真姫と希に指輪のことを聞いてみたけど、知ってるそぶりを見せなかったわ」

海未「そうですか……」

海未(じゃあプレゼントはμ'sのメンバー以外……もしくはにこが昨日みたいに忘れているのかも)

絵里「にこがどうかしたの?」

海未「ええ、実は昨日夜中に……」

真姫「……誰かいると思ったら海未だったのね」

海未「真姫!?」

絵里「え? 何? 何の話?」

海未「昨日のあれは一体……」

真姫「……あれは色々あるの」

絵里「え? トマトジュースが何?」

真姫「絵里もいたの?」

海未「絵里、心を読んでおいてください」

絵里「わかったわ。むむむ……」

真姫「……最初にあの状態のにこちゃんに会ったのは一昨日だったわ」

海未「にこが指輪を付けた次の日ですね」

真姫「夜中に眠れなかった時、誰かの悲鳴がうちの近くで聞こえたの。窓の外から見たらにこちゃんが立ってたのよ」

海未「その時にあの赤い目と牙を?」

真姫「そうよ、吸血鬼みたいに。最初は誰かと思ったんだけど、よく見たら見たことのあるツインテールでね」

真姫「慌てて私の家に引っ張ってきたんだけど様子がおかしくて……意識がはっきりしないというか」

海未「昨日は苦しそうに唸ってましたね」

真姫「うん。血を吸われるのかと思ってドキドキしたんだけどそんなことはなくて……逆に普通の状態に戻ったわ」

海未「そこからは昨日と一緒ですか?」

真姫「少し違うわね。状況が理解できなかったみたいで、落ち着かせようとトマトジュースを渡したら……3本くらい飲んで寝ちゃったの」

真姫「うちに来たのを覚えていなかったみたいだし、吸血鬼騒ぎと何か関わりがあるのかと思って」

海未「それで隠していたんですか?」

真姫「そういうこと」

海未「それはまた……」

海未(もしかして私も……そうなる可能性が?)

絵里「やっぱり昨日にこに会ってたのね。うんうん、フキダシは嘘を吐かないものね」

真姫「絵里?」

絵里「こっちの話よ」

海未(私がおかしくなるとしたら今日の晩……)

絵里「海未」

海未「あ、はい」

絵里「抱え込みすぎてもいけないわ。時にはお姉さんを頼りなさい」

海未「……ありがとうございます」

真姫「まさか海未もにこちゃんと同じ症状が?」

海未「はい……私がそうなるのは今日の夜だと思います」

真姫「にこちゃんみたいにトマトジュースでおとなしくなるとは限らないけど、一応あとで届けに行くわ」

海未「ありがとうございます」

海未(昨日は穂乃果もことりもいたからよかったけれど……今日は1人、か)

絵里「なら今日も穂乃果とことり、3人でいればいいんじゃない? それに明日は休日なんだし」

海未「……でも」

絵里「あなたはさっき『2人がいてよかった』と思ったのよね?」

海未「……あっ」

絵里「助け合いも必要よ。私も海未の家に行こうかしら?」

海未「布団が足りないので結構です」

絵里「……じゃあ床でも」

海未「なんて、嘘ですよ。絵里、ありがとうございます。でも気持ちだけで十分です」

絵里「……ならよかった」

海未「それ使い方、なかなか慣れてきたみたいですね」

絵里「そうでしょ?」

真姫「何の話?」

絵里「魔法のメガネの話よ」






海未「……というわけで夜ですが」

穂乃果「うーん、海未ちゃんの作った野菜炒めおいしい!」

ことり「海未ちゃんのお味噌汁毎日食べたいよ」

絵里「こ、これが浅漬け……ハラショー」

海未「結局絵里も来たんですね」

絵里「雪穂ちゃんがうちにお泊りに来てね……亜里沙が相手してくれなくなったから」

海未(……味方に加わるとステータスが下がる敵キャラというかなんというか)

絵里「ステータス?」

海未「なんでもないです」

ことり「絵里ちゃん、お風呂一緒に入らない?」

絵里「お風呂……一緒……!」

穂乃果「昨日は海未ちゃんのお背中を流しました」

絵里「お背中の……流し合い!」

海未(なんでこんなにテンション高いんだろう)

海未「残念ですがうちのお風呂はそんなにたくさん入れません」

絵里「」

海未(世界の終わりのような顔を)

穂乃果「じゃあ今日は絵里ちゃんと海未ちゃんで入ってきたら?」

ことり「私たちは入ろうと思えばいつでも入れるからね」

海未(その発言はどうかと)

絵里「……いいの?」

ことり「うんっ」

穂乃果「感想、聞かせてね」

海未(何の)





絵里「これ、メガネの度がないからいいけど……あったらお風呂大変だったわよね」

海未「ああ、顔洗うときも存在を忘れてましたね」

海未(……なぜか苦労話になってしまう)

絵里「夜、何があっても私たちで止めてみせるわ」

海未(うーん、絵里がそれを言うと……)

絵里「今失礼なこと考えなかった?」

海未「いえまったく」

海未「というか、フキダシが見えているんじゃ……」

絵里「……あれ? ない?」

海未「穂乃果とことりのもですか?」

絵里「そういえば見えてなかったわ」

海未「逆に残っているのは?」

絵里「うーん……誰だっけ」

海未(おかしい……いくらなんでも期間が短すぎる)

絵里「あっ」

海未「思い出しましたか?」

絵里「いや、メガネが……」

海未「えっ、それは……」

絵里「フレームが真っ二つに……割れて」

海未「……物理的にとれた」

海未「……」

絵里「……」

海未「……結果オーライですね」

絵里「……一応花陽に謝っておくわ」

海未「……そうしましょう」

海未「じゃあとりあえず話はここまでにして……」

絵里「海未」

海未「はい」

絵里「お背中流しましょう」

海未「……構いませんよ」

絵里「やった!」






穂乃果「パジャマも着たし、布団も敷いたし……準備万端だね」

ことり「海未ちゃんが吸血鬼になるのっていつなんだろう」

絵里「わからないわね……それに今日とは限らないかもしれないし」

海未「……緊張します」

絵里「あ、メール来たわ」

穂乃果「誰から?」

絵里「真姫から」

ことり「こんな時間に?」

絵里「……にこの指輪がとれたらしいわ」

海未「そんないきなり!?」

絵里「トマトジュースを飲ませ続けたらとれるようになった、って書いてるわ」

海未(そんな雑な)

穂乃果「この部屋にあるジュースを解放する?」

海未「いや」

ことり「真姫ちゃんのおすそ分けしてくれた、計150本……一気にいっちゃう?」

海未「その」

絵里「今夜は月が綺麗ね」

海未「本当ですね、綺麗な満月……じゃなくって!」

海未(……満月?)

海未「うっ……頭が……」

穂乃果「海未ちゃん!?」

ことり「大丈夫!?」

絵里「どうしたの!?」

海未「……なるほど」

ことり「あれ? 意外と大丈夫そう……」

海未「……そういうことか」

穂乃果「?」

海未(指輪が違えば変身するものも違う)

海未「私は……吸血鬼ではありません」

絵里「でもその牙は……」

海未「そうじゃないんです。牙があって……満月に変身するもの……それは」

ことり「満月……」

穂乃果「ってことは……」





絵里「狼男……?」

海未「そういうことです」

穂乃果「うわあ! 海未ちゃんから耳と尻尾が生えた!」

海未「本当に耳が……触るとくすぐったい」

ことり「もふもふ!」

絵里「ハラショー!」

海未「うわあああ!?」

ことり「シャンプーの匂いがするよぉ」

絵里「柔らかいわ……いい毛並み」

海未「急に尻尾を触らないでください……びっくりするじゃないですか」

穂乃果「どこから尻尾が出てるのかな?」

海未「パンツめくるのやめてください」

穂乃果「はい」

ことり「この抱き枕ならぐっすり眠れる気が……」

海未「抱き枕じゃないんですけど」

穂乃果「海未ちゃん、ごろごろー♪」

海未「喉をなでられても……」

絵里「じゃあ頭かしら。よしよし」

海未「……」

穂乃果「おお、尻尾振ってる」

絵里「あ、電話かかってきたわ」

ことり「……だーれー?」

絵里「真姫から」

海未「ことり、それは私の尻尾ですよ」

穂乃果「真姫ちゃん?」

絵里「実はにこも……いえ、にこは吸血鬼だったのよ」

穂乃果「にこちゃんが!? 全然気づかなかった……」

絵里「マスクしてたからね、きっと」

海未「というかこの指輪、やっぱり本物だったんですね……」

絵里「案外驚いてるようには見えないけど」

海未「あのメガネのおかげで免疫がつきましたよ」

ことり「しあわせぇ……」

海未(寝てる)

絵里「ああ、ごめんなさい真姫。それでにこの容体は?」

絵里「……そう、それならよかった。じゃあまたね」

海未「どうでしたか?」

絵里「こういうのは希の方が詳しそうだから聞いてみよう、って話になったの」

穂乃果「そうだね。希ちゃんなら何か知ってるかもしれないよ」

海未「まだ8時ですから電話してみましょうか」

穂乃果「まだ起きてるかな?」

絵里「たしか今日は神社の手伝いをしてるはずよ」

穂乃果「行けば会えるんじゃないかな?」

海未「じゃあ行きましょうか」

絵里「でもその耳と尻尾はどうするの?」

海未「あ……」

穂乃果「そんなこともあろうかと、帽子とロングスカートを持ってきました!」

絵里「あら、用意いいじゃない」

穂乃果「えへへー」

海未「……何か企んでいた顔ですね」

穂乃果「……ばれた?」

海未「もちろんです」

穂乃果「実は……吸血鬼になった海未ちゃんとデートしようって、ことりちゃんと計画立ててたんだ」

海未「それはまた……」

ことり「……もうたべられないよぉ」

海未「当の本人は寝てますけど……」

穂乃果「うーん、希ちゃんのところに行くからって置いていっちゃ可哀想だし……」

絵里「じゃあ私はことりを見てるわ」

海未「いいんですか?」

海未(てっきり絵里のことだから、一緒に行きたいと言うと思っていたけど……)

絵里「……だから今度は私ともデートしてね!」

海未(あ、そういう……)

穂乃果「まさか絵里ちゃんも海未ちゃん狙いだったなんて……」

海未「置いていきますよ」






海未「帽子に違和感が……」

穂乃果「わぁ! やっぱり海未ちゃんスカート似合うね!」

海未「こ、声が大きいですよ」

穂乃果「ウミチャンカワイイウミチャンカワイイ……」

海未「怖い」

穂乃果「やめます」

海未「それにしても今日は風が強いですね」

穂乃果「海未ちゃん、飛ばされないようにね」

海未「いっそのこと飛べたら楽なんですけどね、神社まで」

穂乃果「うん……」

穂乃果「だけど距離がある方が海未ちゃんと一緒にお話できる……」

海未「階段では気を付けないといけませんね」

穂乃果「スルースキルが……」






海未「……神社ってここでしたよね?」

穂乃果「そうだよ。でも夜になると雰囲気違って見えるね……」

海未「こ、怖くはないんですけど……やっぱり呪術的な何かがありそうで……」

穂乃果「穂乃果は海未ちゃんの方が怖いかなー」

海未「え? あ、この牙とかですか?」

穂乃果「ううん、さらっと手を繋いじゃって、そのまま怖いからって穂乃果を引き寄せたりするところが……特に」

海未「……いけませんか?」

穂乃果「えっ。そんな、心の準備できてないとかそんなレベルじゃなかったよ」

海未「……私、あなたを頼ることにしたんです」

海未(正確に言えばことりも絵里も、μ'sのみんなに)

穂乃果「ずるいよ……その笑顔は反則だよ」

海未「え?」

穂乃果「海未ちゃんは可愛いね」

海未「な、何を急に……ってそうでもないですね」

海未(いつも言われてるし)

穂乃果「海未ちゃんってお姫様抱っこ、する側とされる側どっちがいい?」

海未「もちろんされる側ですよ……って何言わせてるんですか!」

穂乃果「オーケイ海未ちゃん。このために穂乃果は階段駆けあがりをやってきたんだよ」

海未「え、ちょっと穂乃果」

穂乃果「今その夢、叶えてあげるよ!」

海未「そんな、え、うわああああ!」




希「……ウチがどうにかせな」

希「もとはと言えばあんなことになったのはウチのせいやし……」

希「この時間帯ならきっと吸血鬼が出るはず……」



希「私がにこっちと海未ちゃんを止める……!」




海未「うわああああ!」



希「きゃああああ!?」

希「え、今の声って……海未ちゃん?」





穂乃果「海未ちゃん……穂乃果はもうダメ……がくり」

海未「なんて無駄なことを……しっかりしてください」

穂乃果「海未ちゃんの投げキッスがあれば……」

海未「愛を込めた尻尾ビンタでもお見舞いしましょうか?」

穂乃果「なんでこの短時間でそこまで自在に操れるようになってるの」

海未「……体の一部だから、じゃないですか?」

穂乃果「そんなもの?」

海未「そんなものです」

穂乃果「じゃあ穂乃果は少し休憩してから行くね……」

海未「はい」

海未「……私、重くなかったですか?」

穂乃果「可愛かったよ!」

海未「この先デートはなしということで」

穂乃果「予想以上に軽くて心配になりました」

海未「よろしい」





海未「あ、のぞ……」

希「海未ちゃんやな……待ってたで」

海未(なんで?)

希「ウチがここで海未ちゃんを除霊できれば……どうにかなるはずや!」

海未(除霊?)

希「う、ウチだって巫女さんのお手伝いしてるし、それに神主さんからお札もらったし……」

海未「のぞ……」

希「えーい! くらえー!」

海未「えっ」

海未(変なお札が飛んできた)

希「……」

海未「……?」

希「……やっぱり、私じゃ……ダメだった」

海未(なにこの空気)

希「そ、それなら物理攻撃で……」

海未(何かと思ったらただの箒……)

希「……めーんっ!」

海未「甘いッ!」

希「なっ……」

海未(あ、つい弾いてしまった)

希「やっぱり……強い」

海未「ちょっと希」

希「……え? 海未ちゃん? しゃべれるん?」

海未「当たり前じゃないですか」

希「吸血鬼は?」

海未「私じゃありません」

希「じゃああの指輪は……?」

海未「指輪って……希、この指輪のこと知ってるんですか!?」

希「知ってるも何もそれはウチが……」

穂乃果「海未ちゃーん! 希ちゃんいたー?」

海未「いましたよ」

希「穂乃果ちゃんまで……」

海未「とりあえず話を……わっ」

海未(今日は風が強い……というか強すぎ!)

海未「きゃっ!」

海未(スカートがめくれてしまう……!)

穂乃果「惜しいもうちょっと」

海未「ふん!」

穂乃果「もふもふっ!」

海未(とりあえず穂乃果は尻尾ビンタでお仕置きしたとして……)

海未「……あれ、帽子が……」

海未(……あった。スカート抑えるのに必死で頭に注意が……ん? 頭?)

海未「……はっ」

希「う、海未ちゃん、それ……」

海未「ち、違うんですこれはわけがあって……」

希「吸血鬼じゃなく……狼男!? どこかに銀の弾丸があったはず……!」

海未「神社なのに銀……っていうか話聞いてくださいよ」

希「あかん、にんにくと十字架しかない……それでもっ!」

海未「のぞみー!」






海未「指輪をくれたのは希だったんですか!?」

希「……うん、サプライズにと思って」

穂乃果「でも何で海未ちゃんがこんな……もふもふに?」

海未「穂乃果、近い」

穂乃果「だってー」

海未「ていうかそのセリフって普通、尻尾とか触りながら言いませんか? 私に抱き着いたままもふもふって……」

穂乃果「だって私は尻尾じゃなくて海未ちゃんが好きだもーん」

海未「はぁ……知ってますよ」

海未「希、続きを聞いていいですか?」

希「ええよ。2人が仲良さそうでうらやましいわぁ」

海未「そうですか?」

希「海未ちゃん、そんなに尻尾揺らしたらスカートめくれてまうで」

海未「……」

穂乃果「嬉しいんだーへぇー」

海未「がるるる……」

穂乃果「う、唸ってる」

希「立ち話もなんやし、ちょっと中入ろうか」





海未「にこと私に指輪をくれたのは希、あなたなんですね」

海未「そしてあなたはこの指輪にかけられていた呪いについて知っていた、ということですか?」

希「うん、正確にはその呪いは信じてなかったんやけど……」

穂乃果「これってどこかで買ったの? 私には見えないけど」

希「うん。ちょっと前にウチとえりち、2人と会ったやろ?」

海未「ああ、ファーストフード店でのことですか?」

希「そうや。その後にえりちとうろうろしてたらオシャレな雑貨屋を見つけてな」

希「にこっちは前からああいうの好きやったから、プレゼントしてみようと思って……」

希「それで海未ちゃんが元気なかったの思い出して……こういうの喜んでくれるかなーって」

海未「とても好きですよ。気に入ってます」

希「ほんまに!?」

海未「ええ。うれしかったです」

希「よかったぁ……」

海未「希ってセンスいいんですね」

希「ありがとう」

穂乃果「私も見てみたいなー」

海未「そういえばどうして見えないんでしょうか」

希「それな、オカルトアイテムやからやと思うで」

海未「オカルト……?」

希「店主さんがな、『それは古来に西洋の怪人がはめていた指輪なんですよー』って言ってて……売り文句やと思ってたんよ」

希「でもちょっと面白かったから、メモに書いて送ってみてん」

海未「それでこの有様、というわけですか。なるほど……」

希「ごめんな、怖かったやろ? ウチがちゃんとしてへんかったから……」

穂乃果「『いえ、構いませんよ。私はその気持ちだけで十分です』」

海未「穂乃果?」

穂乃果「海未ちゃんはきっとこういうと思ってね」

海未「……さすがですね。言いたいことはおおむねそれで合っています」

希「うん……でもごめんな。にこっちにもさっき電話で謝ってんけど、明日会ったらちゃんと謝罪せな」

海未「にこもあまり怒ってないと思いますよ」

希「え? 何で?」

海未「真姫のあげたトマトジュースがお気に召したそうなので」

希「?」

穂乃果「それで海未ちゃんの指輪っていつ外れるのかな」

希「好きなものを食べればいいんよ」

海未「そんなのどこかに書いてあるんですか?」

希「凛ちゃんが教えてくれてん」

海未「凛が?」

希「困ったときや悩んだときは、みんなと好きなものを食べて忘れるのが一番やって」

海未(ラーメン恐るべし)

穂乃果「海未ちゃんの好きなもの、穂乃果は知ってますよぉー?」

希「そうなん? じゃあ今から食べれば……」

海未「……ダメです!」

希「えっ?」

海未「だ、ダメなんですこんな時間に……絶対に……」

希「でもこのままやったらみんなにばれて……」

海未「うぅ……」

穂乃果「海未ちゃん、ダメだよ」

海未「で、でもぉ……」

穂乃果「穂乃果だって写真とって尻尾もふもふして膝枕してもらいたいよ。でも、そのままだったら困るのは海未ちゃんだよ!」

海未(最後のは特に関係ない気が)

穂乃果「太るかもしれないけど仕方ないんだよ……」

海未「わ、わかりました! やればいいんでしょうやれば!」

希「え? 太る?」

穂乃果「うん、海未ちゃんの好きな食べ物はね……」

海未「穂乃果の家のおまんじゅうなんです……はぁ」

希「あー……」






海未「と、とれた!」

穂乃果「やったね海未ちゃん!」

海未「はい! ……でも10個も食べないといけないなんて」

穂乃果「海未ちゃんは軽かったって言ってるでしょー? 大丈夫だよ」

海未「……前向きに考えます」

穂乃果「じゃあ希ちゃんに電話だね」

海未「はい。じゃあこの指輪は明日持っていきましょう」

海未(そういえば入っていた箱はどこに置いたんだっけ……)

穂乃果「それにしても綺麗だねぇこの指輪。海未ちゃんほどじゃないけど」

海未「はいはい、もう寝ますよ……ってもう10時ですか」




海未(……絵里と買いに行ったのなら絵里は知っているはずじゃ……ああ、私のつけている指輪は見えないのか)

海未(でも指輪のことを聞いたのなら希の反応があってもおかしくない……なんて聞いたんだろう)

海未(そういえば凛も聞かれたと言ってたから……ちょっと電話してみようかな)

海未「あぁでも凛は寝てそうですね……花陽なら何か知ってるかも」






海未「もしもし花陽。すみません、起こしてしまいましたか?」

花陽「あ、海未ちゃん? いいよ、まだ起きてたから。どうしたのこんな時間に」

海未「ああ、例の吸血鬼騒動が終わったという連絡を」

花陽「あ、大丈夫だったの?」

海未「まあ色々ありましたけどね。にこの方も無事に解決しました」

花陽「そうなんだ……私、あんまり役に立てなくてごめんね」

海未「いいんですよ。前お世話になりましたし。それで質問なんですけど……」

花陽「なに?」

海未「絵里が指輪のこと聞いていたとき、凛や真姫や希になんと言って聞いていたんですかわかりますか?」

花陽「直接は見てないんだけど、凛ちゃんは『指輪を知らない?』って聞かれたみたいだよ」

海未(それ、絵里がなくした指輪のことだと思われるんじゃ……)

花陽「凛ちゃんはてっきり、絵里ちゃんがなくした指輪のことだと思って探そうとしてたからたぶんその通りに聞かれたんだと思うなぁ」

海未「やっぱり……」

花陽「でもでも、絵里ちゃんは昨日たくさんの人に聞いて回ってたみたい。それこそ1年生から3年生まで」

海未(知らなかった……)

海未「絵里にはあとでお礼をしておきます。花陽、ありがとうございました」

花陽「どういたしまして。じゃあ今度会うときはマスクしてないんだね」

海未「そうなりますね。それと絵里のメガネが外れたんですが……」

花陽「えっ、本当? よかったよぉ……でもどうして?」

海未「……真ん中から真っ二つに割れたんです」

花陽「ば、バイオレンスだね」

海未「故意じゃないので許してあげてください。私からも謝ります」

花陽「い、いいよそんな……とれただけでも安心したよ。じゃあそれは私が責任をもって処分するから、明日取りに行ってもいいかな?」

海未「わかりました。じゃあ明日、私の家に来てください」

花陽「うん、それじゃあおやすみ」

海未「おやすみなさい」

海未「……」

花陽「……」

海未「あ、私から切りますね」

花陽「ご、ごめんね」

海未(絵里がそこまでがんばってくれていたとは……)

海未(そういえばあの般若のお面、使えそう)

海未(絵里はなまはげを見てみたいと言っていたし……とりあえずこれで)

海未「たまにはこちらからいたずらを仕掛けてみるのも……いいですよね?」

ことり「海未ちゃん?」

海未「あ、すみません。起こしてしまいましたか?」

ことり「ううん、ちょっと喉かわいちゃって」

海未「お茶、出しますよ」

ことり「ありがとう」

ことり「……あれ? 耳と尻尾がなくなってる?」

海未「ああ、ことりが寝ている間にとれたんです」

ことり「そっかぁ」

海未「残念ですか?」

ことり「そんなことないよ。私は海未ちゃんの悩みがなくなったみたいで嬉しいよ」

海未「……そうですか」

ことり「まあ、耳と尻尾はあとからでもどうにかなるし……」

海未「なんですかそのカバン」

ことり「じゃじゃーん! ことりのスペシャル衣装カバン!」

海未(犬耳が出てきた)

ことり「今度これつけてもらうから安心してねっ」

海未「不安です」





海未(よし、お面セット完了)

海未「おはようございます、朝ごはんできてますよ」

ことり「ん、え……うわああああ!? ……ってそれことりがあげたやつだ」

海未(衝撃の事実発覚)

穂乃果「……えぇ? おはよう海未ちゃん……」

海未(たしかに一度見たとはいえ驚かないなんて……)

海未「じゃなくて、二度寝しないでください」

絵里「なにぃ……?」

海未「あ、起きましたか」

絵里「…………それは日本のハンニバル! ハラショー!」

海未(違う……そしてなぜマスク?)

穂乃果「ごはんの匂い! お腹すいてきた!」

ことり「私もー」

海未「今日の朝食はベーコンエッグです」

穂乃果「やった! それじゃ海未ちゃんの隣の席はもらった!」

ことり「穂乃果ちゃん布団たたむの早いよぉ」

海未(2人とも行きましたね……よし)

海未「絵里」

絵里「あなた、私の名前知ってるの?」

海未「私です。海未です」

絵里「ハンニバルの正体は海未だったの……?」

海未(ええいめんどくさい)

海未「指輪のこと、たくさんの人に聞いてくれたそうですね。ありがとうございます」

絵里「ああそのことね。ふふ、尊敬した?」

海未「ええ。さすが生徒会長です」

絵里「気にしなくていいのよ。困ったときはお互い様でしょ?」

海未「そう言うと思ったので、私が買ったけれど使っていないものをプレゼントします。それなら構いませんか?」

絵里「……そう言われちゃ仕方ないわね」

海未「じゃあ……はい、これです。ヘアゴムなんですけど、髪をまとめる機会がなくて」

絵里「あらかわいい。嬉しいわ、ありがとう」

海未「それで絵里、そのマスクは?」

絵里「ああこれ? 昨日夜中から口元が変な感じでね。一応リップクリームは塗ったんだけど……」

海未「見せてもらえますか?」

絵里「うん」

絵里「……どう?」

海未「」

絵里「海未? どうしたのそんなに驚いた顔して」

海未「絵里、机の上に置いてあった指輪、知りませんか」

絵里「あ……口元が気になって外すの忘れてたわ。綺麗だったからついはめてみたくなっちゃって」

絵里「……とれない」

海未「私にはその指輪が見えません」

絵里「ご、ごめんなさい海未。そんなに怒らないで」

海未「その指輪、希が買っていたものに似てないですか?」

絵里「……本当だわ、何で海未がそれを?」

海未「はい、鏡です」

絵里「…………牙?」

海未「ここ数日私が話していた指輪の話、覚えていますか?」

絵里「もちろんよ。吸血鬼になるってやつでしょ? 他の人からは見えなくて牙が生えて……」

絵里「……あ」

海未「メガネをかけて知的に見えた生徒会長」

絵里「やめて! 今それを言わないで!」

海未「とりあえずご飯を食べてしまいましょう、話はそれからです」

絵里「……怒ってないの?」

海未「はい。私の管理不足もあるので」

絵里「海未、目が怖いわ」

海未「もう絵里なんて知りません。勝手に尻尾と耳生やしてればいいんです」

絵里「見捨てないで海未!」

海未「冗談です」

絵里「その顔は冗談に見えないわ」







海未「絵里はチョコレートが好きなんですよね?」

絵里「はい」

海未「とりあえず板チョコ10枚からスタートです」

絵里「え、そんなに食べられない……」

海未「じゃあ梅干しにしましょうか」

絵里「あー! チョコレート10枚くらい余裕だわー!」

海未「ではどうぞ」

絵里(どうしてこんなことに……)

穂乃果「穂乃果もチョコ食べるー」

ことり「せっかくだしデコレーションしない?」

穂乃果「それいいね!」

海未「じゃあ2人のお礼に何か作ってあげましょう」

穂乃果「わーい!」

ことり「でもお礼って?」

海未「それは秘密ですよ」

絵里「湯せんするのね……って板チョコ何枚入れるの? 今20枚くらい持って行ってなかった? ねぇ?」

穂乃果「あ、チョコフォンデュとかできそう」

ことり「チョコフォンデュ……! 素敵な響き……」

海未「私たちだけというのもなんですから他のみんなも呼びましょうか」

穂乃果「さんせーい!」

ことり「うん!」

絵里「がおー、無視すると噛み付いちゃうぞー」

海未「お座り」

絵里「はい」



海未「大事なものは自分でしっかりと管理するように! 私との約束ですよ」






         おわり

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13スレ目 海未「あなたのハートを読み取るメガネ! ってなんでですかー」◇
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16スレ目 海未「あなたのハートに噛み付くヴァンプ! ってなんでですかー」◇
→このスレ

★はルームシェアシリーズ(完結)
○はテレパシーシリーズ(完結)
△は春夏秋冬シリーズ
◇はなんでですかシリーズ

リクエスト答えられなくてすまぬ
ちょっと長いの書きたかったんだ

この書き溜めスピード……ネタの数、クオリティ……どれを取っても羨ましい!

次回も期待してる乙!

おつ

ずっとニヤニヤしながら読んでた

>>138
褒めてもほのえりしか……と言いたいところですがほのうみが頭にこびりついて離れん
もうちょっと待って

>>139-140
さんくす
長くてダレなかったかが心配

ほのうみ期待していいですか!?

>>142
いつもほのうみな気が
でも純粋なほのうみってお泊りしかないんだよなぁ……
がんばります

>>144
ありがとう
いつかは>>1000までいってみたい

次スレ 希「アイドルの極意?」
希「アイドルの極意?」 - SSまとめ速報
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>>145は酉つけわすれ

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