モバP「ネコが気ままに甘えてくるようになった」(104)

―――

(……あれ……?)

(ここ、どこだろ……。どこかの家の、縁側?)

(なんだか周りのものが大きい。視点も低いし……)

(あ、障子開いてる。誰かいるのかな)

(男の人……誰かな、見たことあるような、ないような)

(とりあえず、この人の膝の上に……よいしょ)

(……ん? あ、そっか)

(私、ネコだったんだ)

(はぁ……気持ちいいな)

(大きい手、あったかい手。私を撫でてくれる、この人の手)

(もっと、もっと撫でて……)

(ふふ、この人の笑顔……大好き)

(ゴロゴローって喉鳴っちゃう。なんでかな?)

(ねぇ、――)

―――
――

ピピピッ ピピピッ

凛「ん……」

ピピピッ ピピピッ ピピピッ

凛「……んー」モゾモゾ

カチッ

凛「…………あさ……」

凛「ふあ……ぁふ」

凛「……」ポケー…

凛「へんなゆめ…………」

凛(結局、誰だったんだろ……)

http://i.imgur.com/p9bhAqb.jpg

凛「……ま、いっか。起きよ……っと、あれ」フラッ

凛「ん……まだ疲れ取れてないのかな」

凛「……今日は番組収録だし、行かないと」

凛「プロデューサーが私にくれたお仕事、ちゃんとやらなきゃ」

凛母「りーんー? もう起きる時間よー」

凛「はーい。大丈夫、起きてるよ!」

凛(……うん、大丈夫大丈夫!)

―――事務所―――

ガチャッ

凛「おはようございます」

奈緒「お、凛。おっす」

加蓮「おはよー凛」

凛「おはよ、奈緒、加蓮」

奈緒「聞いてくれよ、さっき加蓮がさ――」

加蓮「あ、ちょっと奈緒! それ言わないって――!」

凛「ふふ――」

凛(うん、いつも通り。少し身体がダルいけど、支障はないかな)

凛(……頑張らなきゃ)

http://i.imgur.com/tnBBuzu.jpg
http://i.imgur.com/fLb3PQK.jpg

凛「おはよう、プロデューサー」

P「凛か。おはよう」カタカタ…

凛「朝から事務仕事? 大変だね」

P「そんな事ないさ。皆のスケジュールや大事な情報が詰まってるんだ、見てるだけでニヤニヤしちゃうよ」

凛「ふふっ、ありがと。今日もお仕事頑張ってくるね」

P「あぁ、頼んだぞ。奈緒と加蓮と一緒だったな」

凛「うん、そうだよ。二人とも緊張してるって言ってた」

P「二人はテレビ出演の機会が少ないからな……凛、悪いけどフォロー、お願いできるか?」

凛「大丈夫、任せておいて」

P「頼りになるなぁ、凛は」

凛(頼んだぞ、頼りになるな、か。……しっかり、応えないと)

みく「Pチャーン!」

P「げっ……!」

みく「げっ、とは失礼千万にゃ! 罰として甘えさせるにゃ!」ムギュー

P「罰も何も、最初から甘える気だったろうが!」

凛「みく、おはよ」

みく「あ、凛チャンおはにゃー! どうにゃ、凛チャンも一緒にPチャンに甘えるにゃ!」スーリスーリ

P「何を勝手に……凛がこんな事するわけないだろ。離しなさい!」

みく「やーにゃぁ! Pチャンあったかくて気持ちいいから病みつきにゃよー♪」コシコシ

http://i.imgur.com/7Rrrzfo.jpg

P「お前なぁ、俺がたまーに撫でてやろうとすれば逃げるくせに――」

みく「ネコは気まぐれにゃんだにゃ!」

みく「っていうか事務所以外じゃみくだって恥ずかしいにゃ――」

凛(みくはいいな、素直に甘えられて。私はそんなキャラじゃないし……)

凛(……朝の夢。もし本当に私がネコだったら、こんな風に……)

みく「あれ、凛チャン? 顔赤いにゃ。どしたの? ……まさか!」

凛「え……」

みく「やっぱりPチャンに甘えたいんだにゃぁ!」ビシッ

P「だからそんなわけないと……って凛、ホントに赤いぞ? 具合悪いなら……」

凛「だ、大丈夫! 目の前でイチャイチャされたら、どうしたってこうなるよ!」

P「がーん! イチャイチャしてるように見えるのか……?」

みく「がーんってひっどいにゃー! みくとは遊びだったのね、にゃ!」

P「バカ言ってんじゃないよ、お前と俺は♪」

みく「なんで歌うのにゃ! 意味わかんないにゃ!」

P「さすがに知らないか、はは」ナデナデ

みく「にゃっ、うにゃぁ……♪」ウットリ

凛(なんだろ、プロデューサーとみくを見てると、胸がチクチクする……)

ガチャッ

菜々「はーい、ナナ特製のウサミンティーが入りましたよ~♪」カチャカチャ

P「お、待ってました!」ナデナデ

みく「~♪」ゴロニャン

凛「……あ、な、菜々。おはよう」

凛(ダメだ、なんだか頭がぼーっと……)

ttp://i.imgur.com/y7RpGrc.jpg

菜々「凛ちゃん! おはようございますっ。凛ちゃんの分もお淹れしますねっ♪」コポコポ

P「そうだ、菜々なら分かるかな」

菜々「はい?」コポコポ

P「バカ言ってんじゃないよ、お前と俺は♪」

菜々「それって、三年目の浮気……はっ!?」

P「ほほう?」

菜々「ち、ちちちがいまふ! ナナ知りませんよ! 全然、全然知りませんっ!」

みく「菜々チャンすごいにゃ!」

凛「物知りだね、相変わらず」

菜々「うっ、純粋な眼差しが痛いっ……う、ウサミン星では今この歌が流行ってて!」

P「ふぅん?」ニヤニヤ

菜々「むー、Pさんの意地悪! ウサミンティー上げませんからっ」

P「あ、俺が悪かったです、謝りますからウサミンティー下さいっ」ペコペコ

菜々「ふんっ!」プイッ

凛(不思議な関係だな、菜々とも。私には分からない話で盛り上がったりしてるし……羨ましい)

凛(……羨ましい?)

凛(今日はヘンだな。私らしくもない)

凛(ダルかったり胸が痛かったり……羨ましがったり)

凛(私は私。皆とは別だけど、プロデューサーとは良い関係が築けてる……はず)

凛(私……もっと、プロデューサーと……)

凛(……ダメ。頭くらくら、して……)

凛(……あ……れ、?)

加蓮「――ってさ、面白いよね。ね、凛はどう……凛? 大丈夫?」

奈緒「おい凛? 熱でもあんのか? ……ってあつっ!?」

加蓮「ちょ、凛? 凛ってば!」

奈緒「Pさんっ! 凛が――!」

凛(ダメ、倒れちゃ……迷惑、かけちゃ……)

凛(だ、め…………)

―――
――


凛「……ん…………」パチッ

P「お。目、覚めたか、凛」

凛「ここ……私のベッド……? プロデューサー……?」ムクッ

P「あっと、寝たままでいいよ。ゆっくり休め」ポフン

凛「あ……」

P「風邪だってさ。近所の個人医院の先生が来て、診てくれた」

凛「そう、なんだ」

P「奈緒も加蓮も大慌てでな、やれ担いで行けだの即入院だの……俺も肝を冷やしたよ」

凛「……今日のお仕事は?」

P「ん? そんなの気にするな。もっと良いのもぎ取ってくるよ」ニコッ

凛「そっか……」

凛(私が……台無しにしちゃったんだ。せっかく、プロデューサーが……)

P「そうそう、着替えとかは全部奈緒と加蓮がやってくれてな、俺は看病してろなんて言われて――」

凛「……ごめんなさい」

P「っ……」

凛「期待に応えられなくて、プロデューサーを裏切っちゃって……」ウルッ

P「凛……そんな事ないよ。凛はよくやってるじゃないか」

凛「違う、違うの……! 私が、わた、し……!」ポロポロ

P「……大丈夫」スッ…

凛「……ぐす、ぷろ、でゅーさ」

P「大丈夫だから。な?」ナデナデ

凛「……ん……」

凛(撫でてもらったの、いつ以来かな……嬉しい……)

P「……俺、凛に頼り過ぎちゃってたな。凛はしっかり者だから、俺がいなくても……なんて」

凛「……そだね。頼りにされるのは嬉しいけど、やっぱり寂しかった、かな」

P「ごめんな」ナデナデ

凛「ん……。いいよ、これからは時々撫でてくれれば。それだけで頑張れる気がするの」

P「ん、分かった」ナデナデ

凛「ふふ、でも恥ずかしいから……気が向いたら、私からおねだりするね」

P「なんだか、ネコみたいだな……いつもは素っ気ないのに、たまに自分からすり寄って来るような」

凛「ネコ……あぁ、そっか」

凛(私、ネコだったんだ)

P「どした、凛」

凛「……夢を見たの」

P「夢?」

凛「うん――」

凛(きっと、心の底にあった願望だったのかな)

凛(普段は甘えないけど、ふとした時に自分から。それも、思いっきり……)

凛(遊んで遊んで、ってひとしきり甘えたら、またツンとして……)

凛(そんな風に接してもいい? って聞いたら――)

P「もちろん。凛のお望み通りに」

凛(って。……私って、こんなにプロデューサーの事、好きだったんだ)

凛(……そっか。好きなんだね、私。ふふっ)

P「凛? どうしたんだ、急に笑ったりして」

凛「ううん、何でも。……ねぇ、もっと撫でて?」

P「いきなり甘えん坊になっちゃって。ほら、ネコみたいに喉撫でてやる」サスサス

凛「ぁ、んにゃ……ぁ」ピクッ

P「あはは、んにゃ、だって。どうだ?」スリスリ

凛「ん、なんだろ。くすぐったい、? 気持ちいい……のかな。……にゃぅっ」

P「んっふっふー。ほれほれ」サワサワ

凛「は、ぁぅ……きもちい……」トロン

P「寝ちゃっても……ってそうだよ、凛、風邪じゃないか。ごめんな、長々と」

凛「ぃぃ……いぃ、よ……ふ、にぃ……もっと……」ウトウト

P「……うん」ナデナデ サスサス

凛(あたまも……のども……ぜんぶきもちいい……)

凛(しあわせ、な……きぶん……)

凛(ゆめとおんなじだ……ぷろでゅぅさぁの、わらったかお)

凛(……だいすき……)

P「おやすみ、凛」ニコニコ

凛(うん……)





加蓮の携帯(●REC)

―――

数日後

『私からプロデューサーにおねだりするね』

『ねぇ、もっと撫でて?』

『にゃぁぅ……もっと……』

凛「……」プルプル

加蓮「……Pさんと二人きり、何もないわけない、と思って録画しといたら……ぐぬぬ」

奈緒「あくどい……Pさんの事となると、加蓮ってキャラ変わるよな」

卯月「凛ちゃんネコみたい! 可愛い!」

http://i.imgur.com/PJysGaF.jpg

みく「たたたた大変にゃあ……みくのアイデンティティが凛チャンにぃ……!」ガクブル

菜々「……もしかして、ウサミンとネコが合わさって最強に見えたり……?」ブツブツ

未央「しぶりんがにゃんにゃん……しぶにゃん?」

「「「「……しぶにゃん!」」」」

凛「……えっ?」

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―――

P「ふー、なんとか次の打ち合わせに間に合いそうだな……」カタカタ…

バンッ

凛「はぁっ、はぁっ!」

P「おー? なんだ凛、随分荒っぽい……ってなんでネコミミつけてんの?」

凛「ぷっプロデューサー、助けてぇっ!」

P「は?」

ドタドタドタ

みく「しぶにゃぁぁぁん! 往生するにゃあっ!」

P「だぁっ!? なんだよお前ら!」

凛「ひっ!」ササッ

加蓮「怖くなーい、怖くないよぉぉぉ?」

未央「ほぉら、プロデューサーの後ろに隠れてないでさぁ♪」

奈緒「あー……凛、諦めろって」

菜々「うーん……ウサミン一筋のナナが、ここまでネコに心奪われるなんて!」

卯月「可愛いよしぶにゃん!」

P「待て待て待て! 凛が怯えてるだろうが!」

凛「ぅぅ……」ブルブル

加蓮「だってPさん!」ズイ

未央「しぶにゃんがこんなに!」ズイ

みく「可愛いなんてずるいにゃ!」ズイ

菜々「革命ですよこれは!」ズズズイ

P「お、おう」

奈緒「ごめんPさん、かくかくしかじかで……」

P「まるまるうまうま……マジか、あの会話が録画されてたなんて……」

卯月「ネコジャラシってどこかにあるかなぁ……」ゴソゴソ

みく「さぁ、こっちにしぶにゃんを渡すにゃPチャン!」

未央「このネコミトンとネコスリッパ、ネコ付けヒゲでパーフェクトしぶにゃんに……!」

奈緒「あ、それはちょっと見たいかも」

菜々「さぁこっちへ、しぶにゃん……♪」

凛「や、やだ……!」

P「こいつら、目が据わってやがる……だ、大丈夫だ凛。俺が守ってやる! なっ!」ニコッ

凛「あ……」キュン

凛「……うんっ」ギュ

P「ひゃぁ!?」

なおかれんみおななみく「ええええ!?」

凛「んっ……プロデューサー、……にゃぅっ」スリスリ

P「ちょっ、凛どうした!?」

凛「甘えたくなったら、気が向いたらって……。ダメ、にゃ?」コシコシ

P「それにしたって気まぐれにも程が……!」

みく「しぶにゃんずるいにゃああああ! みくもー!」ダキッ

P「みく!? なんで張り合うんだよ!」

卯月「わー、ネコミミたくさん見つけたー!」トテトテ

未央「私にネコミミ貸してー! みおにゃんだにゃー!」ダキッ

P「ほわあ!」

加蓮「私も私も! ほらPさん、かれにゃんだにゃん♪」

菜々「それじゃナナも♪ うさにゃんにゃーん!」

ダキッ ダキッ ムギュー

P「はーなーれーろー!」ギュギュギュゥ

奈緒「あ、あたしも……な、なおにゃん、にゃ……!」ギュ

卯月「みんな楽しそう♪ うづにゃんですにゃー♪」ギュ

ニャーニャー ウニャア! ニャアニャアニャア!! ウッサミーン♪

P「ああもう! にゃあにゃあうっさいにゃあ!!」

凛「にゃふ……たまにはこんなのもいい……よね? にゃっ♪」ムギュー



おわり

支援感謝

P「……なぁ凛」ナデナデ

凛「ん……なに?」ゴロニャン

P「最近、甘える頻度が多くなってないかな」ナーデナーデ

凛「そ、そんな事ない……にゃ」

P「慌てると語尾に『にゃ』が付くようになったな。どこのみくやら」

凛「う……」

凛「だ、だってみんなプロデューサーに甘えるようになったし……」

P「そうだけど……だからって凛まで」

凛「私が甘えたいんだから甘えさせればいいの!」

P「横暴だ!」

凛「ほら、もっと撫でるの!」ポフッ

P「へいへい……」ワシャワシャ

凛「にゃぅふ……♪」クテー


―――ドアの向こう

莉嘉(アタシたちもやろっ、お姉ちゃん!)

美嘉(え、ええ!? は、恥ずかしいし……!)

藍子(ネコってお散歩したっけ……)

美穂(ひなたぼっこって言えばネコちゃんだよね……よ、よぉし)

奏(確か……ネコって甘噛みするのよね。ふひっ)



気ままなネコ増殖END

なんてこった

奏(確か……ネコって甘噛みするのよね。ふふっ)

の間違い。はやみんがド変態になっちまったおやすみ

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