梅原「伊藤香苗ルート」(162)

デアイ

橘「というわけで、梨穂子も英語の教科書を忘れてきたから、香苗さんに借りてきたんだ」

梅原「へー。やっぱ桜井さんはおっちょこちょいだねぇ」

橘「梨穂子に香苗さんがいてくれて良かったよ

橘「そうだ、それで次の授業は香苗さんが梨穂子に教科書を貸すから、梅原が香苗さんに教科書貸してあげてくれないか?」

梅原「おう。そのくらい、おやすいごよ……なんだって?」

橘「だから、香苗さんが梨穂子に教科書を貸すから、梅原は香苗さんに教科書を貸してあげてくれないかって」

梅原「おいおい大将、それおかしくないか?」

橘「えっ、なにが?」

梅原「なんでわざわざ香苗さんが桜井さんに教科書貸すんだよ。そのまま自分で使って、俺が桜井さんに教科書を貸せばいいだろ?」

橘「そう言われれば……考えられる理由は多分」

梅原「桜井さんが、俺の教科書を使いたくないって事か……」

橘「いや、梨穂子はそんなヤツじゃないよ」

梅原「だよなぁ……まあ何でもいいさ。香苗さんにこの教科書渡しておいてくれよ」

詞(この人アスペじゃないのかしら)

キーンコーンカーンコーン

梅原「飯だ!」

橘「昼食だ!」

梅原「てなわけで、とっとと食堂に行って席を確保しにいくぜ!」

橘「今日は金曜日だからね!みんな財布の紐が緩んでるから食堂が込むはずだよ!」

香苗「あの、梅原君」

梅原「お、香苗さんじゃないか。どうしたんだ?俺に用事か?」

香苗「うん。えっと……」

橘「梅原、僕は先に食堂に行って席をとっておくよ」

梅原「ああ、頼むぜ大将。それで香苗さん、一体何のようだい?」

香苗「ほら、私、梅原君に英語の教科書借りてたでしょ?それを返そうと思って」

梅原「おっと、そう言えばそうだったな」

香苗「はい、ありがとう」スッ

梅原「おう。ウチの橘も世話になったし、困った時はお互い様……」

香苗「どうしたの?梅原君」

梅原「そういえば香苗さん、自分の英語の教科書を桜井さんに貸したんだろ?」

香苗「うん。そうだけど?」

梅原「なんでわざわざそんな事したんだ?俺の教科書を橘が桜井さんに渡せば、そんな事せずに済むだろ?」

香苗「え"っ……と、ほら、あの子、前の授業眠ってて教科書に書き込みとかしてないから」

香苗「私はもう、答えとかわかってるから、あの子に貸してあげたのよ」

梅原「あー、なるほどな」

香苗「まったく桜井ったら困っちゃうわ。あははは……」

梅原「ははっ、香苗さんは面倒見がいいねぇ。将来きっといい奥さんになれるぜ」

香苗「え、……そ、それって」

梅原「おっと、橘を待たせてるから俺はそろそろ行くぜ。じゃあな、香苗さん!」

香苗「あ……んもうっ」

キーンコーンカーンコーン

梅原「大将、一緒に帰ろうぜ」

橘「あ、ごめん梅原。実は放課後は絢辻さんに、実行委員の手伝いを頼まれてるんだ」

梅原「おっ、あれか?クリスマスに向けて絢辻さんの好感度を上げようってか?」

橘「そういうわけじゃ……無いことも無いけど」

梅原「ははっ、頑張れよ橘。応援してるぜ」

橘「うん。梅原も頑張れよ」

梅原「おう、そいじゃーな」

テクテク

梅原「とは言ったものの、アタックする相手がいないんだよなぁ」

梅原(憧れの剣道部の先輩は卒業しちまったし、森島先輩は流石にハードルが高いし、なにより橘の憧れの相手だし)

梅原(棚町は橘にぞっこんだし……というかなぜか橘は名前で呼び捨てで呼んでるのに、俺には苗字で君付けだし)

梅原(いや、ここは新しい出会いに期待すべきなのかもな)

梅原(もしかしたらこのまま校舎を練り歩けば、新しい出会いがあるかもしれない!)

梅原「よし!」

???「なにが、よし。なんですか?」

梅原「うおわぁ!!」

七咲「こんにちは、梅原先輩」

梅原「おおぅ、七咲かびっくりした!こんなところでなにしてんだ?」

七咲「それはこっちの台詞ですよ。ここから先は水泳部の部室ですよ?もしかして先輩、覗きですか?」

梅原「あー、考え事してたらいつの間にかこんな所に来ちまったのか」

七咲「ふふっ。梅原先輩でも考え事をする事があるんですね」

梅原「おいおい、そりゃないぜ……七咲はここにいるって事は、水泳部なのか?」

七咲「はい。水泳部の一年生です」

梅原「そうか……部活に参加しないでゲーセンに入り浸ってる俺と比べて偉いな」

七咲「先輩は部活に入らないんですか?運動が苦手そうには見えませんけど」

梅原「いんや。一応剣道部に入ってるけど、なんだかんだすったもんだあって幽霊部員さ」

七咲「折角入部してるなら、戻ればいいじゃないですか」

梅原「いやー、今更今までサボってた初心者、しかも二年生が戻ったって困るだろうさ」

七咲「それじゃあ新しく部活に入らないんですか?」

梅原「うーん部活か……」

梅原(なにか新しい出会いがあるかもしれないな)

梅原「よっしゃ!なんか良さげな部活見つけてくるわ!じゃあな七咲!!」タッタッタ

七咲「はい。頑張ってください」

テクテク

梅原「しっかし入部か。剣道じゃないにしろ、二年生がいきなり入ってきたら、どの部も困りそうだよな」

ポン

梅原「ん?」

香苗「ねぇ、梅原くん」

梅原「おう、香苗さんじゃん。どうしたんだ?もしかして香苗さんも暇なのか?」

香苗「そういうわけじゃなけど……さっきさ、校舎裏で女の子と話してたよね?」

梅原「ん?なんだ、見てたのか。声をかけてくれればよかったのに」

香苗「えっと……あの子と、仲いいのかなーって」

梅原「いんや、この前橘とゲーセンに行った時に、たまたま知り合っただけの後輩だよ」

梅原「なんでも水泳部だもんで、暇を持てあましてぶらぶらしてた俺と、たまたまあそこで会ったんだ」

香苗「そ、そうなんだ……良かった(ボソ)」

梅原「ん?なんか言ったかい香苗さん」

香苗「ううん、なんでもない。それよりさ、暇してんなら少し話さない?」

梅原「おう、いいぜ!俺の話術で香苗さんをばっちり楽しませてやんよ」

rァ 食べ物

梅原「香苗さんは料理とかするのか?」

香苗「割とね。やっぱ料理とか出来た方が女の子らしいでしょ?」

梅原「はは、そうだな。俺もいつか女の子の手料理を食べてみたいな」

香苗「そ、そうなんだ……じゃあさ、今度私がお弁当作ってきてあげようか?」

梅原「お、いいのか?本気にしちゃうぜ?」

香苗「うん、いいよ。その、ほら、誰かに私の料理を評価して欲しいから」

梅原「ならほどな。じゃあ任せてくれ。寿司屋の息子として味にはうるさいぜ?」

香苗「うん、楽しみにしててね」

rァ 娯楽

梅原「香苗さんは休日は普段なにして過ごしてるんだ?」

香苗「うーん、あんまり外には出ないかな。雑誌を読むか、漫画を読んでるかな」

梅原「へー。香苗さんも漫画とか読むのか」

香苗「うん。最近の少年漫画は面白いからね。今度梅原君にも貸してあげようか?」

梅原「おっ、香苗さんイチ押しの漫画か。こいつぁー楽しみだぜ!」

香苗「あんまりハードル上げられても……その代わり、梅原君もオススメの漫画を貸してくれない?」

梅原「お、俺のオススメの漫画か……」

梅原(少年誌だけど、結構際どいのしかないな……)

香苗「梅原くん?」

梅原「お、おう。任せておけ!俺が生涯で一番面白いと思った漫画本を、香苗さんに見せてやるよ」

香苗「そう?楽しみにしてるね」

rァ おしゃれ

梅原「香苗さんっていっつもそのヘアピンつけてるよな」

香苗「うん。中学校の頃、誕生日に友達に貰って、ずっと使ってるんだ」

梅原「へぇー。貰った物を大事にするって、義理堅いねぇ」

香苗「梅原君はそういうのないの?」

梅原「昔に橘にプラモを貰ったから、組み立てずに大事にとってあるぜ」

香苗「それは組み立てようよ……」

rァ 行動

梅原(香苗さんって、結構顔立ち整ってるよな)

梅原(胸は大きくないけど、スタイルは悪くない……)

梅原(もしかしたらクラスで狙ってるヤツがいるのかもな)

香苗「あの、梅原君?」

梅原「あ……」

梅原(つい夢中になって見とれちまった)

香苗「その、そんなに見つめられると照れるんだけど……」

梅原「わ、悪い……」

rァ アタック

梅原「そういえばさ、香苗さんってなんか部活やってるのか?」

香苗「え?どうしたの突然」

梅原「いやー、水泳部で頑張る後輩を見てたらさ、俺もなにか部活をやろっかー、なんてな」

香苗「そうなの?じゃあさ、パソコン部に入ってみない?」

梅原「パソコン部?そんな部活ウチの高校にあったのか?」

香苗「最近できたのよ。私が部長を務めてるの」

梅原「香苗さんが!?」

香苗「そうよー。出来たばっかだから部員も少ないけど、きっと立派な部にしみせるわ」

香苗「だから、梅原君も入ってみない?」

梅原(うーん、出来たばかりなら、二年生がいきなり入ってもいいよな……でも、パソコンはあまり使った事無いんだよな)

香苗「悩んでるなら、体験入部はどう?部室に行ってパソコンに触ってみて、雰囲気だけでも味わってみない?」

梅原「そうだな。んじゃ、ちょっくら体験入部させてもらいますか」

香苗「決まりね。それじゃ、部室に行きますか」

パソコン部部室

香苗「ここがパソコン部の部室よ」

部員A「……」カタカタカタ

部員B「……」ッターン!

中多「ふぇぇ……」カチ、カチ

梅原(おお……みんな随分と熱心にキーボードを叩いてるな。入ってきた香苗さんの方を見向きもしないぞ)

香苗「それじゃ、早速パソコンに触ってみましょうか。梅原君はこのパソコンを使って」

梅原「おう。なんだか緊張するな」

香苗「高い機材だからね。最初は誰でもそうよ。まずは、電源ボタンを……」

……

香苗「そうそう。そうやってこのフロッピーにデータを保存するの。梅原君、飲み込みが早いじゃない」

梅原「いやぁ、香苗さんの教え方が上手いのさ。ただこの、ダブルクリックってのが苦手なんだよな」

香苗「あー、初心者にはタイミングが難しいかもしれないわね。とりあえず実際に体でやって覚えるのが早いわ」スッ

梅原「うお!」

梅原(か、香苗さんが、マウスを握った俺の手の上に、自分の手を乗せている!!)

香苗「それで、こんな感じよ」カチカチ

梅原(香苗さんの手、柔らかいな……)

香苗「どう?わかった、梅原君」

梅原「え?……っと、もう一回頼むわ」

香苗「こんな感じよ」カチカチ

梅原(あぁ……いつまでもこの温もりにふれていたい。けど、さすがにこれ以上は無理だよな……)

梅原「なるほど、大体タイミングはわかったよ。ありがとよ、香苗さん」

香苗「そう、よかった」パッ

梅原(うーん、やっぱ名残惜しいな)

……

香苗「それじゃ、もう今日はこのくらいにしましょうか。みんな、パソコンの電源を切って」

部員A「はーい」

中多「えっと……電源ボタンを押せばいいのかな……」

香苗「梅原君は、このまま帰り?良かったら、一緒に帰らない?」

梅原「おう、いいぜ」

テクテクテク

香苗「それで、どうだった?パソコン部は」

梅原「うーんそうだなぁ。パソコンに触ったこと無かったから新鮮だったし、意外に使うのも簡単だから、割と楽しかったな」

梅原(それに、香苗さんの手の感触も楽しめたしな)

梅原「だから、俺はパソコン部に入ることにするよ」

香苗「ほ、ホント!?」

梅原「ああ。だからよろしくな、伊藤部長」

香苗「もう。今まで通り香苗って呼んでよ」


こうして俺は、香苗さんの誘いでパソコン部に入った

パソコンはまだ慣れないけど、香苗さんに教えてもらえるなら、悪くない

香苗ROOM PC前

香苗(う、梅原君を部活に誘っちゃった……)

香苗(さりげなく梅原君の手を握ったけど、結構大きくて、男の人の手って感じでドキドキしちゃった)

香苗(緊張して手汗とか書いてなかったわよね)

香苗(これから梅原君と一緒の部活をするのかぁ……ふふっ。なんだか、楽しくなりそう)

香苗(さて、梅原君の前でかっこ悪いところを見せるわけにはいかないからね。もっとPCの勉強をしないと)

アコガレ


キーンコーンカーンコーン

ケン「梅原ー、ゲーセンでも寄って帰らないか?」

梅原「悪いな。俺は部活に行かなければならないのだ」

マサ「梅原が部活……だと」

梅原「そう、俺は名誉あるパソコン部の一員になったんだよ」

ケン「パソコン部なんてあったか?」

マサ「さあ……?」

梅原「そんじゃな。また誘ってくれよ」

パソコン部部室

梅原「こんにちはーっと」

高橋「あ、梅原君」

梅原「あんれ、麻耶ちゃん。なにやってんの?」

高橋「こらっ、高橋先生でしょ。私はパソコン部の顧問になったから、様子を見に来たのよ」

梅原「あーなるほどね」

高橋「そういえば梅原君もここにいるって事はパソコン部の部員なのよね?」

梅原「まあね」

高橋「そうなの。じゃあパソコンは使えるの?」

梅原「い、いやぁ……昨日習い始めたばっかでして」

高橋「じゃあ、私が教えてあげようか?」

梅原「えっ、高橋先生パソコン使えたの!?」

高橋「当たり前じゃない。仕事で普通に使うわよ」

梅原(んー、香苗さんはまだ来てないみたいだし)

梅原「それじゃあお願いします」

……

高橋「で、ここをこうすれば、そのサイトに行けるのよ」

梅原「なるほど、さっすが麻耶ちゃん。教えるの上手いねぇ」

高橋「高橋先生、でしょ」

梅原(まさか麻耶ちゃんにマンツーマンで教えてもらえるなんてな。明日橘に自慢しないと)

梅原(麻耶ちゃんってやっぱ美人だよなぁ)

梅原(たしか独身らしいし、もしかしたら俺にもチャンスがあるかもしれねぇ!)

梅原「あの、高橋先s」

香苗「高橋先生!」

高橋「あら、伊藤さん」

梅原「か、香苗さん」

香苗「すいません。日直の仕事で遅くなってしまって……」

高橋「いいのよ。私は仕事が残ってるから職員室に戻るから、後はお願いね」

香苗「はい、わかりました」

ガララ

梅原「それじゃ香苗さん、続きを教えてもらえるかい?」

香苗「ふーん。私より高橋先生に教えて貰いたいんじゃないの?」

梅原「えぇ!?」

香苗「ずいぶんと鼻の下伸ばしてたみたいだけど?」

梅原「そ、そんな……」

香苗「ふふっ。冗談よ冗談」

梅原「な、なんだ冗談か。びっくりさせないでくれよ」

香苗「……梅原君ってさ」

梅原「ん?」

香苗「その、年上の人とか好きなの?」

梅原「年上の人……」

梅原(そういえば、俺って剣道部の先輩に憧れて剣道部に入ったんだよな)

梅原「意識したことないけど、もしかしたら俺は年上がタイプなのかもしれないな」

香苗「そ、そうなんだ……」

梅原「ん、どうしたんだい香苗さん?」

香苗「ううん……なんでもない。それじゃ、さっきの高橋先生の教えたことの続きをするね」


それから香苗さんは、ずっと元気がなかった

部活が終わった後も一緒に帰ろうと誘ったが、寄るところがあると断られてしまった

翌日

キーンコーンカーンコーン

梅原「さーて、飯でも食いにいくかなと」

橘「おーい梅原ー」

梅原「おう大将。一緒に飯でも食いに行くか?」

橘「いや、今日は僕は絢辻さんとゴニョゴニョ……それより、梅原にお客さんだよ」

梅原「俺に?」

橘「うん。教室の入り口で待ってるよ」

梅原「おう、ありがとう」

香苗「梅原君」

梅原「お、香苗さんじゃないか」

香苗「えっと、この前、英語の教科書貸してくれたよね」

梅原「あー、そういえばそんな事もあったなぁ」

香苗「だから、その、その時のお礼にお弁当作ってきたの」

梅原「なにいいぃぃぃ!!!!?」

香苗「あ、その、迷惑だった?」

梅原「迷惑なもんか!俺は今、猛烈に感動してるんだ!!」

梅原「女子にお弁当を作ってきて貰う……昔から抱いていた願いが、やっと叶ったんだ!!」

梅原「もう思い残す事はない!俺はもう死んでもいい!いや、やっぱ香苗さんのお弁当を食べてからなら死んでもいい!!」

梅原「俺は今幸せだあああぁぁぁぁッ!!!!!」

梅原「……」ゼェゼェ

香苗「……」

薫「教室の入り口でなに恥ずかしい事叫んでんのよアンタは!」ガスッ

梅原「イテッ!」

薫「まったく、一緒にいる伊藤さんまで恥ずかしい思いするじゃないのよ」

梅原「す、すまねぇ香苗さん……つい感極まって」

香苗「い、いや、そこまで喜んで貰えれば私も嬉しいかな……はは」

梅原「そんじゃ屋上に行こうぜ。俺、屋上で女子と手作りの弁当を食べるのが夢だったんだ!」

薫「うわぁ……なんかキモイけど、一応夢叶っておめでとうとだけ言っておくわ」

薫「じゃあね伊藤さん。あんまりこのバカを調子に乗らせないようにね」

梅原「おいおい、そりゃないぜ棚町……」

香苗「ふふっ。それじゃあ梅原君、屋上に行こうか」

屋上

香苗「はい、召し上がれ」

梅原「いっただっきまーす!」パカ

梅原「おお!鮭の塩焼きに昆布巻きに出し巻き卵、タケノコの野菜炒め。俺の好きな物ばかりじゃないか!」

香苗「ふふん。梅原君の好みは、既に桜井づてに橘君からリサーチ済みだからね」

梅原「かーっ!わざわざ俺の好みを調べて料理を作ってくれるなんて、もうこれ以上ない幸せだ!」

梅原「うん!凄くうまい!」

香苗「そんなに慌てて食べなくても、お弁当は逃げたりしないよ?」

梅原「香苗さんのお弁当が美味しすぎて、箸が止まらないんだよ!」

香苗「そ、そう?」

梅原「ああ!これだけ料理が上手いなんてすげぇよ。香苗さんはいいお嫁さんになれるぜ!」

香苗「え……」

梅原「寿司屋の息子の梅原正吉が保証する!」

香苗「そ、そう……梅原くんは、私みたいなお嫁さんは欲しい?」

梅原「ん?それってどういう……」

香苗「この前さ、梅原君。年上の人がタイプって言ってたよね」

香苗「やっぱ、同じ年代の人は眼中にないのかな……って」

梅原「いや、あれはただの好みっていうか……」

梅原「年上を好きになりやすいってだけで、俺のストライクゾーンは女の子なら全員入ってるからな」

香苗「そ、そうなんだ。そうなんだ……はは。うん、よかった」

梅原「香苗さん……?」

香苗「あ、梅原君。ご飯粒がほっぺについてるよ」

梅原「なにっ?どこに?」

香苗「私がとってあげるわよ」

梅原「おう、頼む」

香苗「動かないでね」










           ちゅっ


.

梅原「……!!!???」

香苗「へへ……ご飯粒とれたわよ///」

梅原「えっと、なにを……」

香苗「それじゃ、私はこの後用事があるから、先に行くね」

梅原「香苗さん!?」

香苗「弁当箱は部活の時に返してくれればいいから、それじゃあ!」タッタッタ

梅原「い、行っちまった……」



香苗さんのあの質問に、あの行動……

もしかして香苗さん、俺の事が

香苗ROOM PC前

香苗(~~~~~!!!!)

香苗(う、梅原君にキスしちゃった///)

香苗(もう恥ずかしくて、部活中もまともに顔見れなかった……)

香苗(梅原君も嫌がってなかったし、もしかしてこれ、チャンスあるかも!)

香苗(と、とりあえずネットの掲示板で相談を……駄目!恥ずかしくて無理!)

香苗(梅原君も私の事意識してくれてるかな……だとしたら、嬉しいな)

スキ

キーンコーンカーンコーン

梅原「さってと。部活に行きますかねー」

梅原(あの時の事はなんとなく聞ける雰囲気じゃないけど、いつか折りをみて聞いてみるか)

香苗「あ、梅原君」

梅原「よう、香苗さん。今から部活に行くんだけど、一緒にいかないか?」

香苗「あれ、今日はパソコン部は休みよ?」

梅原「ええ!?」

香苗「LANの工事をするから今日は休みなのよ……って、昨日言ったはずだけど」

梅原「す、すまねぇ……聞き逃してた」

香苗「もう、しょうがないわね。あ、てことはこれから暇になったわけよね?」

梅原「ん?まあそうだな」

香苗「本屋に行こうと思うんだけど、一緒に行かない?」

梅原「そうだな。最近部活ばっかで帰りにどこにも寄ってなかったし、たまには本屋に行くか」

香苗「決まりね。行きましょうか」

本屋

香苗「さて着いたわ」

梅原「そういえば香苗さん、なんの本を買うんだ?」

香苗「パソコン関連の本よ。まだまだパソコンの全部を使いこなせるわけじゃないからね」

梅原「かーっ。部長は大変だねぇ」

香苗「梅原君も、パソコン部の一員としてパソコンの勉強は必須よ?」

梅原「お、俺は香苗さんが教えてくれるから……お、あそこにあるのは漫画の新刊!!」

香苗「もうっ」

梅原(香苗さんは雑誌売り場に行ったか……どうにも勉強とかは苦手なんだよな)

梅原(そういえば香苗さん、休日とかもパソコンの勉強をしてるって言ってたな)

梅原(香苗さんってパソコン部の部長として、結構気負ってるとこがあるよな)

梅原(結構大変なんだな香苗さんも。少しくらいは息抜きしてもいいだろうに)

梅原「……なんだかなあ」

???「なにが、なんだかなあ。なんですか?」

梅原「うおぅ!」

七咲「こんにちは、梅原先輩。奇遇ですねこんなところで」

梅原「七咲か……。七咲も本屋に用事なのか?」

七咲「はい。いつも読んでる漫画の新刊を買いにきました」

七咲「先輩こそ、なにか思い悩んでたみたいですけど。どうかしたんですか?」

梅原「うーん。俺さ、パソコン部に入ったんだよ」

七咲「パソコン部……。そういえば塚原先輩が、目をつけてた一年生をパソコン部に取られたって言ってましたね」

梅原「香苗さん……そんな事したのか」

梅原「まあとにかく、俺の友達がパソコン部の部長なんだけど、結構頑張ってるみたいだからさ」

梅原「たまには俺みたいに気を楽にして、息抜きしてもいいんじゃないかなって」

七咲「なんだ、そんな事ですか。そんなの簡単に解決できるじゃないですか」

梅原「おっ、七咲なにかいいアイデアあるのか?」

七咲「遊びに誘えば良いんですよ、梅原先輩が」

梅原「……え」

七咲「パソコン部部員の梅原先輩が、パソコン部部長のその友達を、パソコンを見たいとでも言ってどこかに誘うんです」

七咲「そしてそのままの流れで遊びに行けば、いい息抜きになるんじゃないですか?」

梅原「うーん……誘うのか、俺が」

七咲「梅原先輩って、友達を遊びに誘うことに気恥ずかしさを覚えるタイプの人なんですか?なんだか意外ですね」

梅原「なにおう!俺はそんな肝っ玉の小さい男じゃねぇ!」

香苗「う、梅原君?どうしたの?そんな大きな声だして」

梅原「香苗さん、いい所にきた!」

香苗「は、はい!」

梅原「パソコンを見たいから、明日一緒に街に行って欲しいんですがかまいませんね!!」

香苗「えっ……梅原君と……お出かけ……?」

梅原(……やっぱめっちゃ恥ずかしい)

香苗「う、うん。わかったわ」

梅原「ほ、ホントか!?」

香苗「うん、梅原君がパソコンの事を知ろうと思ってくれて嬉しいし、明日10時に駅前でいい?」

梅原「お、おうよ!明日は頼むぜ香苗さん!」

香苗「任せて頂戴。部長としてしっかり教えてあげる」

七咲「よし、ナイトメアシャーク確保」

翌日

梅原「うーん、勢いで誘ったけど、女の子と出かけるなんて初めてだから緊張するなぁ」

梅原「っと、早く来すぎたな。30分も早く着いちまった」

梅原「さーて、香苗さんが来るまで待つかねぇ」



???「だーれだ」


.

梅原「うおぉ!!って、その声は香苗さん!?」

香苗「あら、やっぱりわかっちゃった?」

梅原「ここで会うような知り合いは、待ち合わせした香苗さんしかいないし、それに声でまるわかりだよ」

香苗「へへ。梅原君が来るの見えたから、驚かそうと思って隠れたのよ」

梅原(香苗さん、しっかりしてるようで結構無邪気なところもあるんだな)

梅原「って事は、香苗さんは俺より早く来てたのか……すまん!待たせちまった!」

香苗「なに言ってるのよ。待ち合わせ時刻には間に合ったんだから、気にしないの。ほら、行くわよ」

梅原「おう、んじゃ行くか」

……

梅原「いやー、一概にパソコンって言っても、結構な種類があるんだな。勉強になったよ」

香苗「そうよ。だから、もし自分で買う時はちゃんと下調べして、吟味して選ばないと駄目だからね?」

梅原「そうだな。その時は香苗さんに選ぶの手伝ってもらうよ」

梅原「おっと、そろそろお昼ご飯時だな。折角ジャスコに来たんだし、どっかでご飯でも食べないか?」

香苗「あ、いいね!梅原君なにか食べたいものある?」

梅原「そうだな。ラーメンや丼物も悪くないけど、学食ではでないパスタが食べたい気分だな」

香苗「それじゃあそこに行きましょうか」

ラッシャイマセー

梅原「うーん、美味そうなのが多くて何にするか悩むな」

香苗「あ、私はこのエビコレ海鮮ペペロンチーノにする」

梅原「んじゃ、俺は間欠泉温泉卵のカルボナーラってのにするか」

……

梅原「うん、この卵とクリームのハーモニーが口の中で奏でる感じ!すごく美味い!」

香苗「私のも、パスタに海鮮の味が絡まって凄くおいしいわ」

梅原「香苗さんのヤツもおいしそうだな。なんかさ、海の幸が入ってるだけで、高級感が出る気がするんだよなぁ」

香苗「良かったら一口食べてみる?」

梅原「お、いいのかい?それじゃあ……」

香苗「はい、あーん」

梅原「えっ……」

香苗「どうしたの?食べないの?」

梅原「食べる!食べるに決まってるさ!」

梅原(お、女の子にあーんってして貰えるなんて……夢のようだ!今月辺りもう死ぬんじゃないか俺!)

梅原「あ、あーん」

パクッ

香苗「どう?おいしい?」

梅原「ああ、凄く美味しい!」モグモグ

梅原(なんせ香苗さんからあーんってして貰ったんだからな!)

香苗「ほら、梅原君のもちょうだい?」アーン

梅原「おう!ほい、あーん」

香苗「あーん。うん、おいしい」モグモグ

梅原(……自分でやるのはちょっと恥ずかしいな)

……

梅原「腹ごしらえもしたし、折角だしどっかで遊んでいかないか?」

香苗「うん、いいわよ。私もなんだか遊びたい気分」

梅原「はは、そっか。香苗さんって普段どんなとこで遊んでるんだ?」

香苗「うーんそうね。大体は本屋で本を眺めるか、たまに服とかアクセサリーを見るか、あとゲームセンターも行くかな」

梅原「お、香苗さんもゲームセンターに興味があるのか。意外だなぁ」

香苗「こう見えてもわりとゲームは得意なの」

梅原「ほほう、その腕がどれほどのものか、俺が確かめてやろう」

香苗「ふふふ。望むところよ」

梅原「んじゃ、ゲーセンに行こうか」

ゲームセンター

梅原「あれ?」

香苗「どうしたの?梅原君」

梅原「いやぁ、格闘ゲームの筐体が全部埋まっててさ」

香苗「あー、休日だと人が結構来るからね」

梅原「んー。とりあえず、空くまでなにか別のゲームで時間でも潰すか」

香苗「あ、じゃあ梅原君。あれやろうあれ」

梅原「あれ……って、プリクラ!?」

香苗「うん。折角来たんだし、一緒に撮ろう?」

梅原「も、勿論撮ろう!!」

梅原(女の子とプリクラを撮る……ゲーセンでこれほど幸せな出来事があるんだろうか!)

梅原(この幸福度は、格ゲーの対人戦で勝った時の幸福度を10とすると、500はいくぞ!!)

香苗「それじゃあ、撮るよ。いちたすいちはー?」

梅原「なんかベタだなおい」

パシャッ

梅原「お、出てきた出てきた」

香苗「あはは!梅原君、なんか顔変だよ!」

梅原「プリクラは初めてだからな……緊張して変な表情になってる」

香苗「はい、半分こ。大切にしてね?」

梅原「ああ。勿論さ」

梅原(なんせ生まれて初めて女の子と撮ったプリクラだからな。あちこちに貼ってやる!これは大将に自慢しないとな)

……

梅原「ふー。なんというかあっという間の一日だったな」

香苗「うん、凄く楽しかった。誘ってくれてありがとね、梅原君」

梅原「いやぁ。香苗さんが楽しんでくれれば、男冥利に尽きるってやつよ」

香苗「……なんだか、夢みたい」

梅原「ん?」

香苗「ちょっと前までは、梅原君と同じ部活に入って、一緒に帰って、ご飯を食べて、こんな風にデートするなんて思いもしなかった」

香苗「急にこんなに距離が近づいて、なんだか信じられない」

梅原「そうだな。俺も、香苗さんとこんな仲良くなるなんて思いもしなかったよ」

梅原「それだけ、きっかけもあったし、時間もあったって事さ」

香苗「そうだね。私、最近梅原君と話してばっかだもん」

香苗「だから、もしかしたら、クリスマスも……」

梅原「ん?」

香苗「うんう、なんでもない。私こっちだから」

梅原「そっか。今日はありがとな、香苗さん」

香苗「こっちこそ。それじゃあね。バイバイ」

翌日

キーンコーンカーンコーン

梅原「さーて、終わった終わった。今日は創設祭前日の準備で、部活はどこも無しか」

梅原(明日は創設祭……クリスマスイヴか)

梅原(橘は絢辻さんと過ごすらしいな……くうっ!羨ましい!!)

梅原(俺も、誰かを誘って創設祭を回るかな)

梅原(誰か……やっぱり、香苗さんかな)

梅原(多分隣のクラスにいるよな)

梨穂子「それでね、変なロボットが冷蔵庫から、無限にお菓子が湧き出る機能をつけてくれてね」

香苗「あんた、夢を見てたんじゃないの?」

梅原「おーい、香苗さん」

香苗「あ、梅原君」

梨穂子「やっほー」

梅原「やあ桜井さん。ちょっと香苗さんと話したことがあるんだけど、いいかな?」

梨穂子「うん。それじゃあ私は、そろそろ茶道部の方に行くね。ばいばい」

香苗「じゃーね桜井。それで、梅原君。話って何?」

梅原「そのだな……明日、なんか予定はあるか?」

香苗「予定か……」

梅原「その、もし良かったら、明日の創設祭を俺と一緒にまわってくれないか?」

香苗「えっと、明日私は創設祭でステージのイベントに出場するのよね」

梅原「そ、そうなのか!?」

香苗「うん。だからさ、その後。一緒に創設祭まわろ?」

梅原「え……いいのか!?よっし!よっしゃあああぁぁぁッ!!」

香苗「でもその代わり、明日のステージ。見に来てくれない?」

梅原「おう!絶対見に行くぜ!ところで、なにに出るんだ?」

香苗「それはナイショ。明日までのお楽しみ」

香苗「それじゃ、明日の準備があるから、私はこれで。明日、楽しみにしてるね」

梅原「ああ。香苗さんも頑張ってくれよ」


こうして香苗さんと創設祭を過ごす約束をした

17年目にして、ついに女の子とクリスマスイヴを過ごす事ができる!!

父さん!母さん!俺を生んでくれてありがとう!!!

それにしても香苗さん、一体何のイベントにでるんだろうな

香苗ROOM PC前

香苗(ふふっ。梅原君にクリスマスデートに誘われちゃった……本当、夢みたい)

香苗(どうしよう。もう幸せすぎて、明日が楽しみすぎて、眠れない)

香苗(でも、明日は頑張らないと。そして……)

12月24日

梅原「さて、そろそろ出かけるかな」



輝日東高校

女子A「それではこれより、創設祭を始めます」

梅原(うーん、流石絢辻さんが途中まで指揮をとってただけあって、凄い飾り付けだな)

梅原(今頃橘も、綾辻さんとこの創設祭を楽しんでるのかな)

七咲「梅原先輩」

梅原「お、七咲……って、なにやってんだ?」

七咲「見てわかりませんか?おでん屋の屋台ですよ。水泳部の伝統なんです」

梅原「水泳部でおでん……まるで意味がわからん……」

七咲「先輩は一人なんですか?橘先輩や、パソコン部の部長と一緒じゃないんですか?」

梅原「橘は彼女と一緒にいるよ。部長は、あとで合流して一緒に回るつもりだ」

七咲「そうですか。頑張ってくださいね、クリスマスデート」

梅原「いや、デートってわけじゃ……」

七咲「違うんですか?」

梅原「……違わない」

七咲「ふふっ。はい、私からの激励を込めて、卵とちくわとはんぺんをプレゼントです。どうぞ」

梅原「お、いいのか?」

七咲「はい。頑張ってくださいね、先輩」

梅原「サンキュ、七咲。それじゃ、七咲もおでん屋頑張れよ」

……

梅原「水泳部のおでん、凄いおいしいな」ハフハフ

薫「だから、もっとギューンッと来るようなのをさ」

田中「は、恥ずかしいよ……」

梅原「よう、棚町に田中さん。なにやってんの?」

薫「あ、梅原君……って、なんでアンタはおでん食ってんのよ」

薫「恵子が、ミス・サンタコンテストにでるのよ。だから、審査員受けするような悩殺衣装を選んであげようと思ってたのに……」

田中「だってこんなの恥ずかしいよ~」

梅原「うーん、田中さんが悩殺衣装か……」

梅原(……いっちゃなんだが、無理じゃないか)

田中「梅原君、なんか失礼な事考えてない?」

梅原「いやあ全然!!」

田中「もういいよ、これにするから」

薫「そんな衣装で優勝できるわけないじゃない……」

梅原「いや、田中さんが自分で選んだ衣装なんだ。俺達は客席で生暖かく声援を送ってやろうぜ」

薫「はぁ~、そうね。それじゃ恵子、頑張ってらっしゃい」

田中「うん。それじゃあエントリーしてくるね」

薫「……」

梅原「……」

薫「で、実際あんたは恵子が優勝出来ると思ってる?」

梅原「無理だろうな……」

薫「とりあえず、あの子の勇士を、最期まで見届けましょうか……」

司会「それではミス・サンタコンテストを開始します!!」


      いえあああぁぁぁぁッ!!!


薫「始まったわね」

梅原「ああ。実は俺な、ミス・サンタコンテストを見るのは初めてなんだよ」

薫「そうなの?去年創設祭にこなかったの?」

梅原「ああ。橘とバカ騒ぎして過ごした」

薫「ふーん。あ、恵子の出番よ」

司会「では次の方、どうぞ!」

田中「えっと、2-Aの田中恵子です。趣味も特技も特にありません……」


      …………


司会「……えっと、以上ですか?」

田中「はい」

梅原「おいおい田中さん……」

薫「あちゃ~、あの子全然自己PRできてないじゃないの……」

司会「それでは、次の方、お願いします!」

香苗「2-Bの伊藤香苗です!!ミスサンタをいただきに来ました!」


      うおおおおぉぉぉぉッ!!!


男子A「香苗さーん!」

男子B「セクシー!!」

梅原「か、香苗さん!?」

薫「あれ、梅原君知らなかったの?さっき恵子の衣装選んでる時に会ったわよ」

梅原「そんなの初耳だぜ……」

香苗「誰にも負けるつもりはありません!みんな、私を見てください!!」

司会「おぉ~。伊藤さんは優勝を絶対に取る意気込みで来ているようです」

司会「そこまでして優勝を目指す理由を聞いてもいいでしょうか?」

香苗「えっと、このコンテストを見に来てくれてる、ある人の前で、絶対優勝を勝ち取ってみせたいんです!」


      おぉ~


司会「これは爆弾発言!彼氏が見に来ているという事でしょうか!!」

薫「だってさ~梅原君。幸せ者じゃない」

梅原「香苗さん……」

司会「それでは、最後の方、大トリをお願いします!!」

森島「はあ~い。3-Aの森島はるかです!チュッ♪」


      どわああああぁぁぁぁッ!!!!


梅原「も、森島先輩!?」

薫「あら、森島先輩もでるのね」

梅原(こ、これじゃあ香苗さんが優勝するのが難しくなっちまったじゃないか)

森島「今年も、ミス・サンタコンテストは、可愛い子が一杯いて楽しかったわ!」

森島「本当は見るだけのつもりだったんだけど、ひびきちゃんに勧められて出ちゃった!」


     いやっほおおおおぉぉぉ!!!


男子A「森島ーーーーー!」

男子B「結婚してくれーーーーー!」

司会「さすが森島先輩!素晴らしい!素晴らしすぎる!!これは夢の、ミスサンタ三連覇くるか!?」

梅原「こ、これだけの歓声があがるとは……」

薫「流石は森島先輩と言ったところかしら。これじゃあ伊藤さんの優勝は難しいかもね」

司会「それではただ今、審査をしているので、しばしお待ちを」

森島「ふふっ。アナタ、凄く可愛いわよね~。キュンキュンしちゃう」

香苗「いえ……森島先輩には敵いませんよ」

森島「そう?私、アナタみたいな子に憧れちゃうな」

香苗「え?」

森島「ああやって、好きな人の為に情熱を捧げて勝ちにくるって、とっても素敵だもの

森島「私には、そんな人いないから……」

香苗「先輩……」

司会「大変長らくお待たせしました!!森島はるかがミスサンタ三連覇をとるか!」

司会「それとも、他の誰かがミスサンタを森島はるから奪い取るか!」

司会「運命の発表!栄えあるミス・サンタクロースに選ばれたのは」

梅原(頼む……!神様、香苗さんに優勝を!!)

司会「3-A、森島はるか!!」

梅原「そん……っ」

司会「……を打ち破り!!2-B、伊藤香苗さんが、今年のミス・サンタクロースに選ばれましたあああぁぁぁぁ!!!」


      わあああぁぁぁぁ!!!!!


香苗「う、嘘……ウソウソ、ホントに!?」

梅原「や、やった……!」

森島(やっぱ恵子はないか)

森島「あーあ。負けちゃったな……」

森島のとこ棚町じゃね?

司会「それでは伊藤香苗さん、前へどうぞ」

薫「はぁ~、やるわね伊藤さん。まさか森島先輩に勝つなんてね。愛の力ってヤツ?」

梅原「おいおい棚町、柄にもなく恥ずかしいこといってr」ガスッ

司会「今の心境を語ってください」

香苗「えっと、とっても嬉しいです!みんなに勝って、森島先輩に勝って……本当に信じられません」

香苗「これも、皆さんのおかげです!みんな、ありがとう!!」


      いえあああぁぁぁ!!!!


司会「では、この優勝を誰に伝えたいですか?」

香苗「えっと……その……」

香苗「ええい!!」

スゥ



>>122
ミスった
香苗「は、はい!」

香苗「梅原君!見てくれていますか!!!」

梅原「!!」

香苗「私、梅原君の事が好きです!!ずっと前から、ずっとずっと好きです!!」

香苗「いっつもあなたの事を考えてました!!梅原君と、これからもずっとずっと一緒にいたいです!!!」

香苗「だから、私と付き合ってください!!!」


      わああああぁぁぁ!!!!!

.

梅原「香苗さん……!!」

薫「ほーら、なにボサッと突っ立ってんのよ」ドンッ

梅原「た、棚町」

薫「さっさと行ってあげないと、男が廃るわよ?」

梅原「……ああ。行ってくる!!」

ダッ

梅原「香苗さあああぁぁぁん!!!」

香苗「梅原君!!」

梅原「男、梅原正吉!!香苗さんの告白、しかと受けた取ったあ!!!」

梅原「俺も、香苗さんが好きだ!!俺も香苗さんと一緒にいたい!!」

ダキッ

梅原「だから、俺の彼女になってくれぇぇぇぇぇッ!!!!」


      わあああぁぁぁ!!!!

.

香苗「……うん!!ずっとずっと、一緒にいようね……!!」



           チュッ






      きーらきーらー(ry


.

十年後

梅原「へいらしゃい!おっ、橘に、絢辻さん……じゃなかった、詞さん」

橘「やあ梅原」

詞「こんにちは。梅原君」

梅原「橘はともかく、詞さんも一緒にくるのは珍しいな」

橘「詞は僕よりも仕事が忙しいからね。久々に時間がとれたから、梅原のとこに寿司を食べにきたんだよ」

詞「結構評判いいみたいじゃない、ここの寿司。期待してるわよ?」

梅原「ははっ、ばっちり任せてくれよ!おーい、おしぼりとお茶を出してくれ」

香苗「はーい、正吉さん」

橘「こんにちは、香苗さん」

詞「こんにちは」

香苗「うん。こんにちは、橘君、詞さん」

詞「夫婦で経営なんて、ラブラブで羨ましいわ」

香苗「そんな///」

橘「絢辻さん……」

梅原「あ、絢辻さん。からかわないでくれよ……」

香苗「いいじゃない、正吉くん。いっそ見せつけましょう?」ギュッ

梅原「香苗さん///」

香苗「正吉君///」

詞「やってらんなーい!」

創設祭で梅原君……じゃなかった。正吉君に告白して、私たちはカップルとして結ばれた

その後も、正吉君が他の女の子にデレデレしたり、お宝本をこっそり所持してたりと、色々あった

けれど、それでもずっと正吉君の隣を歩き続けて、晴れて結婚した

今は正吉君の妻として、正吉君のお寿司屋の女将をやって、正吉君を支えている

これからも、正吉君と一緒にいて、ずっと隣を歩いていく。そんな幸せが、これからもずっと続いていくんだ



           スキBEST

くぅ~疲れ(ry



これで終わりです。支援、ありがとうございました
猿が一番怖かったけど、みんなが支援してくれたおかげで、無事に二日間かけて徹夜して作った作品を投下できました

最後にひとつ。香苗さんは梅原の嫁!裡沙ちゃんは橘さんの嫁!
だから余った七咲は俺の嫁。完璧な理論武装です

ではみなさん。アリーヴェデルチ

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http://i.imgur.com/ptvJAmV.jpg
http://i.imgur.com/1tQFISi.jpg
http://i.imgur.com/c3KdDmT.jpg
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七咲は俺のだがなんにせよ乙

>>150
七咲スキである事は認めるが、ヒロインになると主人公にぞっこんになって他のキャラが友達としても関わらないのが悲しいから、一番近い七咲と薫との付きあい感を出したかった

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月10日 (火) 02:36:55   ID: hyAAsL-9

マジレスすると香苗はキミキスの梅原ポジのやつとフラグがあるんだよなあ・・・

2 :  SS好きの774さん   2014年12月27日 (土) 22:46:44   ID: XDGdwvDC

これは素晴らしい

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