咲-saki-【もし“宮永”咲でなかったら】 (363)


小蒔「」ゴゴゴ

霞「ここまで強力な神が降りてくるなんて…」

初美「あ、危ないですよこれは!まずいことになっちゃいます!」

霞「世界全体に影響が出るわね…」

初美「もう、遅いですかー」

霞「…とりあえず小蒔ちゃんには起きてもらいましょう。話はそれからだわ」

霞「(…あそこまで強力だと、因果律にまで影響を及ぼしているかもしれないわね…)」

霞「(まったく別の世界、パラレルワールドとか、ね)」

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【福岡の白水咲ちゃん】

哩「」イライラ

美子「…哩ちゃん、目に見えて機嫌悪かね。近付かん方がよか」

姫子「東京と福岡じゃ距離がありすぎますからね。仕方なかとですよ」

仁美「なんもかんも政治が悪い…」チュー

煌「おや、皆さんは部長が苛立っている理由をお知りですか?」

姫子「あれ、花田は知らなかったっけ」

美子「哩ちゃん、妹おるんよ、小1の。たまに部活に遊びに来るんやけど…花田がレギュラーになってからはまだ来とらんね」

煌「妹さんですか、部長の妹さんならさぞかし可愛いでしょうね…会ってみたいです」

仁美「べた可愛がってると。そん咲ちゃんと会えんて、ああやってイライラしとるわけ。噛み付かれるけん、離れとき」

哩「」イライライライラ

煌「…今日やっと東京に来たばかりですけど、これから先持つんでしょうかね…」


姫子「触らぬ神に祟りなし、ばい。…っと、フロントから電話と?」プロロ

哩「…はい、○○号室です」ガチャ

姫子「なんですかね?ルームサービスなんかは頼んでないはずですけど…」

哩「は?フロントの方に私ん客が?…はぁ、分かりました」ガチャ

煌「どうなさいました?」

哩「フロントの方に白水哩に用があるとかいう人がおる言われた。今から行ってくるばってん、お前らはどうすると?」

美子「牌譜も見ておきたいし、ここにおるよ」

仁美「これから政見放送見るけん、私はパスで」

哩「姫子と花田は?」

姫子「んー、特別することもないしお供します」

煌「部長さえよろしかったら、ご一緒させてください」

哩「おう」

美子「」ニヤニヤ

仁美「」ニヤニヤ


哩「にしても、私ん客か…東京に知り合いはおらんかったと思うが…」

姫子「監督が練習試合組んでたとかですかね?」

哩「そん話は聞いてなか」

煌「まぁ、会ってみたら分かりますよ…おや?」

咲「おねえちゃん!」パタパタ

哩「!!!」

姫子「咲ちゃん!?こんなとこで何しよっと?」

煌「えっ、妹さんですか?え、ここ東京ですよね?」

哩「咲!こげんとこで何しよっと!?いや、それよりも一人で来たと!?」

咲「えへへ…監督さんがね、「お姉ちゃんの応援行こう」って連れて来てくれたの」

姫子「あん人はどこまでも自由と…」

哩「く、来るまでに何もなかったか?怪我とかしとらんか?」アワワ

咲「監督さんと一緒だったから大丈夫だよ!」ニコニコ

哩「そ、そうか…それならよか」ホッ

姫子「久しぶり、咲ちゃん」

咲「あっ、姫子お姉ちゃん。こんにちはー!」

煌「はじめまして咲ちゃん、お姉さんの後輩の花田煌です」

咲「はじめまして、いつもお姉ちゃんがお世話になってます!」ペコリン

煌「ちゃんとした挨拶が出来るなんて、とてもすばらですね!」ナデナデ

咲「すばら?」

煌「えぇ、すばらです!」

咲「すばらー!」

煌「すばら!」

姫子「とりあえず、フロントで騒ぐんも迷惑ですし部屋行きましょうか」

哩「あぁ、美子達も会いたい言っちょったしな」

咲「わーい、美子お姉ちゃんたちと会える!」

仁美「久しぶりとね、咲ちゃん」

美子「相変わらず哩ちゃんとは全然似とらんと、可愛らしか」

哩「余計なお世話ぞ」

咲「お久しぶりです、美子お姉ちゃん、仁美お姉ちゃん」

煌「飴ありますよ、咲ちゃん。何味がいいですか?」

姫子「ポッキーもあるとよ、グミ食べる?」

咲「やった、いただきます!」モグモグ

姫子・煌「(可愛い…)」

姫子「そういえば、ホテルはどうなっとるんですか?監督が連れて来たなら取ってはいるんでしょうけど」

哩「あぁ、さっき監督に電話した。すぐ隣ん部屋ば取ってあるけん、私ら姉妹で使ってよかって」

美子「哩ちゃんズルか、私も咲ちゃんと同じ部屋がよかよ」

哩「姉妹の特権ぞ」フン



次の日

咲「お姉ちゃんがんばって!」

哩「おう、優勝するつもりで行くけん、咲も応援頼むぞ」

姫子「ぶちょー、今日はまだ開会式とですよ」

哩「気持ちの問題ぞ」

哩「監督と一緒におるとよ咲。間違っても離れな」

咲「咲もう一年生だもん!迷子になんかなんないよ!」

哩「そか」ナデナデ

咲「……ならないもん!」
咲「ここどこぉ…」ウロウロ


照「……」

咲「ふぇ!」ビクッ

照「(……開会式会場までの道が分からなくてウロウロしてたら幼女と鉢合わせした)」

咲「(こ、この人確かすっごく麻雀が強い…)」

照「(…なんだか、どこかで見たような気がする)」ジー

咲「(すっごい見られてる…)」

照「(それも、すれ違ったことがある、とか町で見掛けた、なんて生易しいものじゃない)」

咲「(も、もしかしてこっちは来ちゃいけないとこだったのかな…)」アワアワ

照「(憎いような、愛しいような…何を初めて会った子に思ってるんだろうか、私は)」ジー

咲「(それで怒ってるとか‥?)」

照「…名前は?」

咲「ふぁい!?」

照「私は宮永照。貴方の名前は?」

咲「あ、えっと…「咲ー!どこにおるとー!!」!!」

咲「お姉ちゃんだ!」パァア

照「…」

咲「えっと、ごめんなさい!」ペコリン

咲「お姉ちゃーん!」タッタッタ

照「…咲、か」



哩「あんだけ監督から離れんなと言ったと!」

咲「ごめんなさい…」グズクズ

姫子「まぁまぁ部長、咲ちゃん小学校入ったばかりですし、仕方なかですよ」

煌「慣れない上に広い土地ですから、無理もありません」

哩「……」ハァ

哩「咲」

咲「…はい」グスッ

哩「確かにお前ん迷子癖は私もよく知っとっと。ばってん、ここは東京ぞ。新道寺で迷子になるんとは訳が違う」

咲「うん…」

哩「下手したらもう二度と会えんかったかも知れん。…どんだけ私が心配したか分かるか?」

咲「…うん」グスッ

哩「お前に何かあったら麻雀どころじゃなか。…あんまり心配掛けさせないでくれ」

咲「ごめんなさい…」グズクズ

哩「」ヨシヨシ

美子「普段言わんような罵声ば監督に浴びせてたのは哩ちゃんばい」コソコソ

仁美「感情表現が極端な人やけんね」コソコソ


ホテル・白水姉妹の部屋

咲「zzz」グスッ

哩「泣き疲れて寝たか…」ヨイショ

咲「おねぇ…ちゃん……」スー‥

哩「」ナデナデ

哩「(……こん大会で、私は引退。去年まで私が他校のエースに競り負けるせいで、花田には貧乏クジば引かせてしまった)」

哩「(私がもっと強ければ…)」グッ

哩「(…まぁ、今さらなかもんをねだったとこで仕方なか) 」

咲「」スー

哩「(可愛い妹がわざわざ東京にまで来てくれとる。……格好悪いとこを見せる訳にはいかん)」

哩「頑張るからな」ナデナデ

哩「(…ん、そういや咲も少年クラブて麻雀ばやっとったな)」

哩「(卓を囲んだことはないけん、強さんほどが分からん。…後で姫子達と打たせてみるか)」


準決勝当日

咲「」ムクリ

哩「ん、起きたか。そろそろ会場入りするけん、用意ばしときんしゃい」

咲「……なんか頭ふわふわする」

哩「頭?…ちょっと貸してみ」スッ

哩「あつっ!咲、お前風邪引いたと!?」

咲「ふぁあ……」ボーッ

哩「待っとけ!今監督呼んでくるばい!」ダッ



哩「やっぱり風邪と…。慣れない土地で疲れが溜まっとるって…」

姫子「ぶちょー…」

哩「」ソワソワ

煌「(目に見えて落ち着きがないですね…)」

美子「(大会どころじゃなか!って言いたいけど私らおるから控えてるみたい…哩ちゃん)」


咲「お姉ちゃん…」ハァハァ

哩「咲!寝てなくて平気か!?」

咲「うん…あのね、さきは大丈夫だから」

咲「監督さんが病院に連れてってくれるから…お姉ちゃんは大会行って?」

哩「ば、ばってん…」

咲「お姉ちゃんのカッコいいところ、見たいもん。…さきは大丈夫」

哩「咲…」

哩「」グッ

哩「分かった、行ってくる」

姫子「…副将戦に間に合えば、問題なかですよ?」

哩「いや、今日1日ぐらい見逃しても問題なか」

哩「…明日の決勝もあるしな」


哩「ふぅー…」

哩「(なしてちゃろうか、いつでんなら気ば引き締める状況なんに…これ以上なかほど落ち着いとう)」

哩「(咲もあと何年かしたらここに立つんちゃろう、そん時に私ん仇討ちじゃカッコ悪か)」

哩「(勝たなきゃつまらん…いや、勝つと!リザベーション・ファイブ!)」カッ



アナウンサー「さぁ、インターハイ決勝もいよいよ大詰め!四校とも点差はほぼなく、どこも優勝を狙える状況にあります!」

哩「私達の世代に比べても、やっぱり今年は強い選手が多いですね。実力が拮抗してるように思えます」

アナウンサー「そういう白水プロは高校生のころ、王者白糸台を打ち倒し全国優勝を果たし、今では日本代表ですが」

哩「恐縮です」

アナウンサー「そんな白水プロから見て、最有力候補はどこだと思いますか?」

哩「…新道寺ですね。母校ですから優勝してほしいという気持ちも勿論入ってますが…」

哩「白水咲選手は姉の贔屓目なしに、純粋に強い。初めて打った時から今まで私は一度も勝ててませんから」

アナウンサー「い、一度もですか?」

哩「えぇ、咲から満貫以上を和了れた経験すらないです」

アナウンサー「それは凄まじいですね…。さぁ、そろそろ時間のようです!大将戦の幕が開きます!」

哩「(今度はお前が格好良いところば見せる番ぞ咲!)」

咲「--麻雀って楽しいよね!」


【福岡の白水咲ちゃん】 カン


【阿知賀の松実咲監督】

咲「う、うぅん…うぅ」

咲「頭痛い…風邪でも引いたかなぁ」

玄「咲お姉ちゃん、どうかした?」

憧「二日酔いでしょ、どうせ。呑めないくせに全国出場決まったお祝いだとか言って無理に呑むからよ」

宥「お薬あるよお姉ちゃん」

咲「う~…ありがと宥ちゃん」

穏乃「だ、大丈夫ですか咲さん!お茶要りますか!?」

咲「いや…多分まだ大丈夫」

灼「無理しないでね…?」

咲「今日はもう牌譜整理するだけだから、すぐに休むよ…」


咲「うー…気持ち悪い…」ウプ

灼「お水持って来たよ」

咲「ありがと灼ちゃん…」ゴク

憧「なにか面白い番組やってないかなー」パチッ

照『厳しい戦いにはなるでしょうが、優勝目指して頑張りたいと思います!』

穏乃「宮永照…!」

咲「」ブルッ

咲「な、なんか寒くない……?」

玄「咲お姉ちゃんが宥お姉ちゃんと同じ体質になったのです!」

宥「お揃いなんて、あったか?い」ポワポワ


咲「二人とも、ご飯できたよー」

玄「はーい」

宥「お姉ちゃんのご飯、美味しい…」ポカポカ

玄「お姉ちゃんは姉妹一料理が上手だからね、私もまだまだ敵わないのです」

咲「二人が生まれた時ぐらいから料理してますから」

松実父「嫁の貰い手には困らないな、はっはっは」

玄「!!」

宥「!!」

玄「何言ってるのお父さん!お姉ちゃんは結婚なんかしないよ!!」ガタッ

宥「そ、そうだよ!お姉ちゃんはずっと松実のままだよ!」ガタッ

咲「…私、そろそろ相手見つからないと危ない年代なんだけどなぁ」


咲「うーん…結婚かぁ」モグモグ

松実父「咲もそういう年頃だろ、好い人の一人や二人」

咲「いいよ別に、今は麻雀が楽しいし」

松実父「それじゃ教え子とかはどうだ?高校だから卒業したらすぐにでも結婚できるぞ」

咲「…阿知賀は女子高だよ、お父さん」

松実父「いやいや、iPS細胞もあるし同性婚も認められてる。お父さんは男でも女でも気にせん」

咲「父親としてどうなのその発言」

玄「!!」ガタッ

宥「!!」ガタッ


宥「お、お姉ちゃんは来年に結婚したほうが良いと思うなぁ…旅館のこともあるし、早い方がいいよぉ」

玄「あ、あと二年待つべきだよ!早すぎてもいけないよね!」

咲「え?さっきの反対はどうしたの?」

松実父「言っておくが、近親間の結婚は認められてないぞ」

玄「」

宥「」

咲「?」


咲「って、会話があったんですよ」

健夜『へー、妹さん達と仲良いんだね』

咲「まぁ三姉妹ですからね、十も年が離れてると喧嘩とかもないんで」

健夜『羨ましいなぁ、私一人っ子だから』

咲「毎日ドタバタしてますけど、退屈しませんよ」

健夜『今からでもお母さんに頼もうかな』

咲「やめてあげてください」

健夜『あはは、冗談だよ』



健夜『…にしても、そう。咲ちゃんの妹さんかぁ』

咲「可愛いですよ」

健夜『やっぱり、咲ちゃんと同じぐらい強いのかな?』

咲「壊さないでくださいね、特に玄は折れやすいんですから」

健夜『壊すだなんて人聞きの悪いこと言わないでよ、ちょっと打ちたいなって思っただけ』

咲「…それが一番危ないじゃないですか」

健夜『えっ、ひどくない!?』

咲「一緒に卓を囲みたくない人No1ですから」

健夜『えぇ…』


健夜『…それで咲ちゃん』

咲「はい」

健夜『あのこと、考えてくれた?』

咲「…」

健夜『悪い話じゃないと思うよ。麻雀、嫌いになったわけじゃないんでしょ?』

咲「…はい、今でも麻雀は好きです」

健夜『それならなおさら。もったいないよ、そんな地方で監督するだけなんて』

咲「小鍛治さんだって地方で打ってるじゃないですか」

健夜『新芽を摘み過ぎって左遷されちゃっただけだもん、自分から行ったわけじゃないよ』

咲「それでも…」


健夜『咲ちゃんには、もっと強くなってもらいたいの。私に唯一勝てる可能性のある、咲ちゃんには』

咲「……」

健夜『これでも私、咲ちゃんのこと好きなんだよ?』

咲「…考えておきます、それじゃあ」

健夜『えっ、ちょっと待tt』ピッ

咲「…プロ入り、かぁ」


穏乃「おっはようございまーす!!」

憧「こんにちはー」

咲「あ…おはよう、穏乃ちゃん憧ちゃん。それじゃあ全員来たし、練習始めよっか…」ドヨーン

穏乃「は、はい…」

憧「咲、どうかしたの?めちゃくちゃ元気ないけど…」ヒソヒソ

灼「分からない、私も来たらこうだったから…」ヒソヒソ

玄「昨日の夜は確かにいつも通りだったんだけど…どうしたんだろうお姉ちゃん」ヒソヒソ

宥「昨日の二日酔いがまだ響いてるとか…?」ヒソヒソ

憧「いや、あれはそういう類じゃないでしょたぶん」ヒソヒソ


穏乃「全国大会…か」ウズウズ

憧「シズってば地区優勝してからそればっかねー。そりゃ私も嬉しいけどさ」

穏乃「だって全国だよ!和と遊べるんだ!楽しみで仕方ないって!」

咲「あー…和ちゃんも全国出るんだ」

穏乃「はい!和の学校も地区大会で優勝したらしいです」

咲「あぁ、そう…和ちゃんとまた会うんだ」ズーン

憧「(また分かりやすいぐらいにテンション下がったわね)」

玄「(麻雀クラブに和ちゃんがいた時、大変だったからねー。良いおもちなのにあれは頂けないのです)」

憧「(子どもながらに、和のしてることが犯罪だってことだけは分かってたぐらいだしね)」


穏乃「また負けたー!」ウガー

玄「や、焼き鳥…しかもハコ…」フフフ・・

咲「いつになっても、年を忘れてこんなにはしゃいじゃう…やっぱり--」

咲「--麻雀って楽しいよね!」

憧「てかパーフェクトじゃない…大会ルールの半荘二回なのに全局咲の和了って…」

宥「あったかくないって言うか…怖い…」ガタガタ

灼「流石咲ちゃん…」


穏乃「来たぞ東京ー!勝つぞインハイ!」

咲「穏乃ちゃん、恥ずかしいから静かにね」

灼「穏乃が静かに…ぷっ」クスクス

玄「(えっ、今ので…?)」

咲「チェックインはしておいたから、適当に部屋分けて休んでて」

宥「お姉ちゃんは来ないの…?」

咲「あー、うん。ちょっと東京の知り合いと会う約束があるからそっちに行かないと」

玄「(と、東京に知り合い…!?)」ガビーン

宥「(あ、あのコミュニケーション能力皆無のお姉ちゃんが…!?)」ガガーン


とある居酒屋

咲「…お久しぶりです、皆さん」

咏「お久しぶりー、咲さん」

はやり「こんにちは☆」

良子「ロングタイムノーシー、お久しぶりです」

咲「高名なプロばっかりで、こんなとこに私がいていいんですかね」アハハ

咏「うっは、小鍛治プロとタイマン張れる化け物が言うかねぃ、そういうこと」

咲「二人だけじゃ麻雀は出来ないですよ」

咏「あんた等二人と打とうってやつもいないっしょー」


はやり「それはどうかな?今年も二人に並びそうな子はいっぱいいるよ☆」

良子「その最有力候補が宮永照でしょうね。あれはすっげーモンスターですよ」

咲「宮永照…」ブルッ

咲「(な、なんだろ宮永さんのこと考えただけですっごい寒気が…)」


照「ハクション!」

菫「おい、インハイ直前だっていうのに風邪か?」

照「…問題ない」ズズ


咲「そういえば、今日健夜さんはいないんですね」

はやり「健夜ちゃんなら今日は用事があるとかでパスだって☆咲ちゃんによろしく言ってたよ☆」

咲「……」


咲「すみません、今日はもう帰りますね」

咏「えっ、もうっすか?」

咲「監督が二日酔いってのも恥ずかしいんで…お金、ここ置いておきます」

はやり「…うーん、青春してるねぇ」

良子「何言ってるんですか」




インハイ会場

咲「……やっぱり、ここでしたか」

健夜「…やっぱり、来てくれた」フフフ

咲「何となくここにいるんじゃないかなって思っただけです」

健夜「この前は途中で切られちゃったから、ちゃんと会って話したかったんだ」

咲「……私はプロ入りなんて考えてませんよ。教師は昔からの夢でしたから」

健夜「違うよ。…いやそれもあるけど、そうじゃなくてね」

健夜「好きです、結婚してください」

実際無理矢理だけど、無理矢理感がやばいんでもう無理

いや、松実咲さんが無理って話でしてね、別のお話は書かせて頂きたいんですよ
…なんていうか…その…恐縮なんですが…フ フ…ネタ切れ…しちゃいましてね…


オマケ:【専業主婦の小鍛治咲さん】

東京・小鍛治夫婦のマンション

健夜「ただいまー」

咲「おかえりなさい、お疲れ様ー」

健夜「ホント、今日は疲れたよ。福与さんがマイペースでさ」

咲「相変わらずだなぁ、あの人…」

咲「ってあれ?健夜さん、前は「恒子ちゃん」って呼んでませんでしたっけ?」

健夜「え?あぁ、ほら私もお嫁さん貰った身分だし、いつまでも年下の仕事仲間をちゃん付け合わせってのも恥ずかしいから…」

健夜「あと咲が嫉妬しないように、かな」

咲「そんなことで嫉妬なんかしませんよ……」

訂正
× 健夜「え?あぁ、ほら私もお嫁さん貰った身分だし、仕事仲間をちゃん付け合わせってのも恥ずかしいから…」

◯ 健夜「え?あぁ、ほら私もお嫁さん貰った身分だし、仕事仲間をちゃん付けってのも恥ずかしいから…」


健夜「そう?私なんか未だに、呼び捨てされる玄ちゃんとかが羨ましくて仕方ないけど…」

咲「健夜さん…」

健夜「あとその敬語も、かな。「健夜」って呼んでよ、夫婦なんだから」

咲「え、っと……す、すこ……」

健夜「うんうん」

咲「すこ…すこ……」

玄「あー、おかえりなさい健夜さん!(棒」

咲「わわっ!」

健夜「……ただいま。来てたんだね、玄ちゃん」


玄「もちろんですよー。お姉ちゃんには料理とか色々教えてもらいたいことがあるのです」

健夜「そっか、感心だね。でも毎回毎回東京と奈良を往復するの大変じゃない?きっとお義父さん心配してるよ」

玄「そんなことないのです。咲お姉ちゃんのスキルは松実館には必要不可欠。旅館を継ぐためにも家事はしっかり教わりたいですから」

健夜「そう?まぁ私との生活で更に上手になった咲の料理を教わるっていうのも良い勉強になるかもしれないね」

玄「そうですねー。家事なんか一切出来そうにない健夜さんと過ごしてたら否応なしに上手になるのです」

健夜「私、咲がいないと生きていけないからね、仕方ないよ」

玄「……」ニコニコ

健夜「……」ニコニコ


咲「もー、暗くなっちゃうから早く帰りなさい玄」

玄「ひどいのです……お姉ちゃんは可愛い妹に一人寂しく奈良に帰れと言うのですか……?」

健夜「新幹線で一時間もあれば着くでしょ。て言うかすぐそこまでお義父さん迎えに来てるって聞いたよ?」

玄「」チッ

玄「仕方ないから今日は帰るけど……東京の生活(と、この女)に疲れたらいつでも帰って来てねお姉ちゃん!」

咲「あはは、ありがと。気をつけてね」ヒラヒラ

健夜「部活の方にも専念してねー」ヒラヒラ

玄「うっさいのです雌狐」

健夜「麻雀楽しませるぞ」

玄「またね、お姉ちゃん!」


健夜「帰ったね、玄ちゃん」

咲「帰りましたね」

健夜「ねぇ咲」ドサッ

咲「ん……今日もですか?」

健夜「えー…10年も我慢してたんだもん、二回三回で収まるわけないよ」

咲「もー、仕方ないですね。見えるとこに痕、つけないでくださいよ?」

健夜「それは咲次第かな」

咲「まったく……ん…」チュッ

キングクリムゾン!!

健夜「」スースー

咲「す、健夜さんの体力半端じゃない……」イテテテ

【専業主婦の小鍛治咲さん】 カン


【大阪の赤阪咲ちゃん】

洋榎「おはよーさん」

絹恵「おはよーございます」

恭子「おはようございます。…これで全員集まりましたね」

洋榎「今日は元々午前練の予定やったのに、いきなり一日練に変更っちゅうのはどういうことや?」

恭子「代行が言い出したことなんで、私にはなんとも…」

由子「しかもレギュラーメンバーだけなんて、変な話なのよー」

郁乃「皆集まったみたいやね~」

漫「あ、代行」

絹恵「今日はどないしたんですか?」


郁乃「えっとな~、全国に向けての特訓でもしよかな~って」

恭子「特訓ですか…」

郁乃「そ~。ビックゲストを呼んだんやで~」

郁乃「というわけで、咲ちゃ~ん。おいでおいで~」チョイチョイ

咲「うんっ!」トテトテ


漫「」

由子「」

洋榎「」

絹恵「」

恭子「…代行、いくらなんでも誘拐は犯罪ですよ」

郁乃「ひどいな~、末原ちゃん。咲はうちの娘やって~」

咲「あかさかさきです、よろしくお願いしますっ」ペコリン


洋榎「代行、結婚してたんか…」

絹恵「てっきり末原先輩狙いかと…」

郁乃「義理やけどな~、可愛いやろ?」

漫「へー、幼稚園ぐらいですか?」ナデナデ

咲「小学校1年生です」

由子「で、その咲ちゃんがどうしてビックゲストなのよー?」

郁乃「まぁ、打ってみれば分かるで~」


洋榎「よっしゃ、じゃあうちと打とか」

郁乃「ちなみに末原ちゃんは強制ね~」

恭子「分かりました。あともう一人は…漫ちゃん、いける?」

漫「はい」

咲「お願いします」ペコリ


洋榎「よっしゃ、じゃあうちと打とか」

郁乃「ちなみに末原ちゃんは強制ね~」

恭子「分かりました。あともう一人は…漫ちゃん、いける?」

漫「はい」

咲「お願いします」ペコリ


恭子「なるほど…」

咲「あ、それロンです」

漫「うわっ、咲ちゃん強いなー…何点?」

咲「えっと…7飜は、はね満だから…1200です!」

漫「」

恭子「(妙な待ちに予測出来ない和了…牌に愛された子、やったか…確かに姫松にはいない打ち手…)」

咲「」ゴッ

恭子「(全国までにこの子を倒せるまでに強くなれば…白糸台も倒せるかもしれない)」


咲「…負けちゃった」ショボン

洋榎「咲ちゃん、強すぎやろ…一応、姫松って名門やで?」

恭子「主将とコンビ打ちして3位に転落させるのがやっと…半端ないなぁ」

郁乃「な??良い特訓になるできっと?」

漫「」

絹恵「上重さん可哀想に…」

由子「小学生相手に4位って、漫ちゃんが弱いのか咲ちゃんが強過ぎるのかどっちなのよー?」

絹恵「…両方でしょうね」


咲「ねぇねぇ恭子お姉ちゃん」

恭子「んー?なんや?」

洋榎「随分と恭子に懐いたなー咲ちゃん」

絹恵「やっぱ親子やし、趣味が同じなんやない?」

由子「咲ちゃんと代行が似てるとは思いたくないのよー…」

郁乃「ん~…これ、うちはどっちにムカついたらええんかな~?」

漫「代行めっちゃ笑っとるんですけど…こわっ」

洋榎「代行が何考えとるか分からんのはいつものことや、ほっとけ」


恭子「(…代行もちゃんと母親してるんやなぁ)」

咲「お姉ちゃん?どうかした?大丈夫?」

恭子「へ?ごめんごめん、もっと咲ちゃんの話聞かせてや」

咲「ホント?お腹痛くない?」

恭子「平気やて。咲ちゃんは優しい子やね」ナデナデ

咲「えへへー」

洋榎「(うーん、このぐう聖)」

絹恵「(ホンマに代行の娘さんなんか…?)」

郁乃「ちょっと~、愛宕姉妹今なんか思ったでしょ~?」


咲「恭子お姉ちゃんが本当のお姉ちゃんだったらよかったのになー」

恭子「え」

郁乃「ほ~う…なあ、末原ちゃん。咲もこう言ってるんやし~」

恭子「絶対いやです」

郁乃「やん、いけず~」

咲「♪」ゴロゴロ

絹恵「(かわええなぁ、咲ちゃん。こっち来ーへんかな)」



洋榎「…何手ぇ、ワキワキさせとんのや絹」

絹恵「…そんな動かしとった?」

洋榎「犯罪者みたいな顔してな」

由子「姫松から前科者が出るのよー」

漫(肉)「散々な言い様ですね、先輩方」

由子「…漫ちゃん、それどうしたのよー?」

漫(肉)「やられる前に自分でやりました」

洋榎「ベタ過ぎてつまらんな、やりなおしや」

漫「つまらん!?」



咲「漫お姉ちゃんなんでお顔にらくがきしてるの?」

郁乃「お化粧やで~大きくなったらああやってお顔に絵ぇ描くんや」

恭子「いや、さらっと娘に嘘教えんでください」

郁乃「え~、人の家の教育方針に口出すの~?」

洋榎「関係ないやろ」

郁乃「ちぇ~」


咲「」ウトウト

漫「咲ちゃんおねむみたいですね、ウトウトしてますよ」

郁乃「ん~?そろそろ暗くなってきたし、もう帰ろか~」

咲「ん…やだ」

郁乃「咲が我侭言うなんて珍しいな~。どうしたん?」

咲「恭子お姉ちゃんともっと一緒にいたい…」ギュッ

恭子「」ドキーン

郁乃「」

洋榎「おー、修羅場やな」


恭子「ま、また今度練習来てくれたら会えるからな?もうお家帰って寝た方がええで」ナデナデ

咲「……ん」コクン

郁乃「咲も末原ちゃん狙いになるとはな…末原ちゃん娶ってハーレム作るうちの計画が…」ブツブツ

咲「」バイバイ

由子「代行、なんかぶつぶつ呟いてたのよー」

洋榎「触れたらあかん、あれはあかんやつや」

恭子「……主将」

洋榎「ん?」

恭子「10歳以上年下の女の子に惚れるって、なしですかね」ポー

洋榎「oh...」


インターハイ・準決勝戦終了後

恭子「くそっ…!なんで、なんで届かんのや…!なんでうちは無理なんや…!!」

恭子「(姉帯、宮永、石戸…なんとか2位抜けは出来たが、決勝卓には宮永とあの大星がいる…ただでさえ阿知賀の大将は傾向がつかめんのに…)」

恭子「(うちじゃ無理なんか…才能に胡坐かいてふんぞり返ってるだけの人間に、才能がなくても死ぬ気で努力しとる人間が負けるんか…!)」

恭子「(届かん…最後ぐらいは…才能に努力が勝つってことを証明したかったんに…)」ギリッ

恭子「(やっぱり才能なんか…牌に愛された人間に歯向かうなんて、凡人には過ぎたことやったんか…?)」ポロ


咲「恭子お姉ちゃん!」

恭子「」ビクッ

恭子「」ゴシゴシ

恭子「な、なんや咲ちゃん。代行と一緒におったんやなかったんか?」

咲「……」ヨシヨシ

恭子「…咲ちゃん?」


咲「お姉ちゃん、さきがお母さんに怒られた時と同じお顔してるから。泣きたいときは泣いてもいいんだよ?」ヨシヨシ

咲「さきの本当のお母さんがいなくなっちゃったとき、お母さんが言ってたよ」

咲「ガマンしたってだれも分かってくれないって。悲しいって言わないとだれも見てくれないって」

咲「お姉ちゃんが悲しそうにしてるの見るの、いやだから」

恭子「咲ちゃん…うっ、うぅ…」

咲「お姉ちゃんはがんばったよ、とっても」

咲「だからちょっとぐらい泣いてもいいんだよ」ギュッ

恭子「…せやな、ちょっとだけ…お姉ちゃん、息抜きするからな。ごめんな」

咲「」ヨシヨシ

恭子「」グス


絹恵「すみません、末原先輩…うちが、うちがあんな振込みせぇへんかったら…」ボロボロ

漫「し、仕方あらへんよあんなの!あの捨て牌から役満張っとったなんて誰も分からんて!」

洋榎「泣くな、絹。麻雀なんてそんなもんや、誰もお前を責めへん。…うちも、清澄に稼ぎ負けたしな」

由子「…けど、三位ともかなりの差があるのよー。流石にこれはかなり…」

絹恵「すみません…本当に…」ポロポロ

恭子「--大丈夫や、絹ちゃん。安心しい」

絹恵「えっ…?」

恭子「一位だろうと四位だろうと、和了れば優勝、振り込めば負けには変わりはあらへん」

恭子「そんで今のうちの目には…優勝しかあらへんからな」ゴッ


恒子「な、なんということでしょう!!四位に転落、圧倒的な点差であわやトビかとすら思われた姫松が…!!」

恒子「インハイの代名詞、宮永照ら強敵を相手にまさかのパーフェクト!!まくりにまくりを重ね!」

恒子「優勝に返り咲き!!優勝高は南大阪代表、姫松です!!」

健夜「あそこからの逆転…準決勝までの末原選手とはまるで別人のようでしたね」

恒子「なんというか、目の色が違いましたねー!」


咲「おめでとう、お姉ちゃん!」ダキッ

恭子「っとと…ありがとな、咲ちゃん」

咲「ゆうしょうだよお姉ちゃん!日本でいちばんだよ!」

恭子「…なぁ、咲ちゃん」ナデナデ

咲「?」

恭子「本当はこんなことまだ子供の咲ちゃんには言っちゃあかんのやけど、言っちゃうな?」

咲「なにをー?」


恭子「あんな…うちは咲ちゃんのことが「おー!おったおった!!おめでとう恭子!いや、ここはありがとか?とにかくお疲れさん!」…主将」

洋榎「何やそんな辛気臭い顔して?優勝やで!もっと嬉しそうな顔しーや!」

恭子「…そうですね、主将が来るまでは嬉しい顔してましたね」

洋榎「あ?ええ度胸やな、恭子ぉ?」

恭子「主将は落ち着きがなさ過ぎです。ちょっとは空気読んだらどうですか?」

洋榎「大阪一空気が読めるこの愛宕洋榎さまに向かってなんちゅーことを言うんやお前!」ギャーギャー

恭子「あー、はいはい。そうですねー」

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん」

恭子「ん?」

咲「さっきなんて言おうとしたの?」

恭子「あー…うん、やっぱもうちょっと咲ちゃんが大人になってからな?」

咲「?はーい」

【大阪の赤阪咲ちゃん】カン

やっつけ仕事で申し訳ない。赤阪咲ちゃん編カンてことで


【鶴賀学園中等部の東横咲ちゃん】

咲「お姉ちゃん、学校行くよー」

桃子「う~…あと5分っす…まだ走れば間に合うっすよ…」

咲「ダメ!お姉ちゃん昨日もそう言って遅刻したんでしょ?いくら先生にバレないからって遅刻はダメだよ」

桃子「ケチっすねぇ…」

咲「お姉ちゃんが低血圧過ぎるの、ほら早く!」

桃子「はいはい、分かったっすよ」シブシブ

咲「それに昨日から麻雀部に入ったんでしょ?ちょっとはやる気だしなよ」

桃子「!そうだったっす!」キビキビ


桃子「準備終わり!さっさと学校行ってさっさと授業終わらせるっすよ!」

咲「切り替え早いねお姉ちゃん」ガチャ

桃子「あ、そうっす。今日の放課後高等部の方に来れるっすか?」トコトコ

咲「放課後?今日は何も用ないけど、どうして?」

桃子「先輩に咲のことを話したんすよ。妹だけは絶対に私を見失わないって」

咲「私からすればお姉ちゃんほど目立つ人もなかなかいないと思うけどなぁ…」ジー・・

桃子「照れるっす」///

咲「(特にその胸とかね)」

桃子「それで興味が湧いたみたいっすよ。どうすか?」

咲「うーん…まぁ最近は牌にも触れてないし、たまにはいいかも」

桃子「決まりっすね。じゃあ放課後迎えに行くんで教室で待っててほしいっす」

咲「はーい」


桃子「と、いうわけで妹の咲っす。中等部の三年なんで来年麻雀部に入る予定っす」

咲「東横咲です。姉がいつもお世話になってます」ペコリン

ゆみ「私達もちゃんと顔を合わせたのは昨日が始めてだけどな…よろしく、咲ちゃん」

智美「ワハハ、昨日今日で一気に部室が賑やかになったなー」

桃子「あっちのワハハ言ってる先輩が部長っす。加治木先輩のほうが部長っぽいすけど間違えちゃダメっすよ」

咲「よろしくお願いします」

智美「こんなことでは泣かないぞ」ワハハ

ゆみ「そういえば二年生の二人はどうした?」

智美「二人とも掃除って言ってたぞー。多分そろそろ来るんじゃないかなー」


佳織「す、すみません!遅れました!」

睦月「途中で先生に仕事を任せられてたので…あ、その子が昨日言ってた妹さんですか?」

咲「はい、東横桃子です」ペコリン

睦月「うむ、よろしく。津山睦月だ」

佳織「昨日…?昨日って何かあったっけ…?」

ゆみ「あー…来年麻雀部に入る予定らしいんだ、今日はその下見にな」

佳織「あ、なるほど」

桃子「かおりん先輩は特に見えないんすよ。踊っても歌ってもノーリアクションっす」

咲「そこまで見えない人も珍しいね」

佳織「あの、妹尾佳織です。よろしくお願いしますね」

咲「あっ、東横咲です。よろしくお願いします」

長い間空けてすみません
今日書き溜めておきますんで明日には再投下できるとおもいます


咲「ありがとうございました」ペコリン

智美「やっぱり部員以外と打つのも新鮮でいいなー」

睦月「そうですね。咲ちゃん、良かったらまた来てよ」

咲「じゃあお言葉に甘えていいですかね?」

智美「おー、下手っぴな佳織に基礎から叩き込んでやってくれ」

佳織「さ、智美ちゃんひどいよ~」


睦月「そうですね、部活終了の放送も掛かりましたし」

ゆみ「あぁ、私が戸締りしておくから先に帰っててくれ」

智美「お?そうか、じゃあ頼むぞゆみちん。また明日なー」

ゆみ「あぁ、また明日。…ん、これは今日の牌譜か」

ゆみ「(今日は蒲原の調子が良かったな)」


ゆみ「(そういえば咲ちゃんが牌譜をとってくれていたんだっけか)」

ゆみ「(モモほど特徴ある打ち方ではなかったように思えたが…)」

ゆみ「!?」

ゆみ「(毎回プラマイゼロ!?そんなことが有り得るのか!?)」

ゆみ「(もしこれが偶然ではなく、彼女の能力だとしたら…)」

ゆみ「(東横咲…とんでもない子だ…)」


桃子「どうだったっすか?」

咲「うん、良い人ばっかりだったね。来年が楽しみかも」

桃子「咲が入ってくれたら百人力っすね!」

桃子「…その妙な癖が抜ければの話っすけど」

咲「うっ、やっぱり気付いてたんだ…」

桃子「当たり前っすよ!咲は強いんだからプライマイゼロなんて狙わないで勝ちに行ったほうがいいっす!


咲「そうは言っても…本気でいこういこうって思うとああいう結果になっちゃうんだし…」

桃子「う~、もったいないっす」

咲「っていうかお姉ちゃんは加治木先輩にくっついてばっかだったじゃん!麻雀部なんだから打ちなよ!」

桃子「かおりん先輩がいるからややこしくなるっすよ?」

咲「そうだけど…」


桃子「…それともなんすか、お姉ちゃんが盗られたとでも思ったっすか~?」ウリウリ

咲「ち、違うもん!」

桃子「照れなくてもいいっすよ!咲はお姉ちゃんっ子っすね~」ナデナデ

咲「違うってば!」

桃子「お姉ちゃんも咲のこと大好きっすよ!」

咲「う…私も」

咲「き、嫌いじゃないけど…」///

桃子「素直じゃないっすねー」ニヤニヤ

訂正 >>194
×→睦月「そうですね、部活終了の放送も掛かりましたし」

○→智美「さー、暗くなってきたからそろそろ帰るぞー」ワハハ

睦月「そうですね、部活終了の放送も掛かりましたし」


蒲原さんの台詞が抜けました、申し訳ない


咲「もー、うっさい!お姉ちゃんだけ今日のご飯抜きね!」

桃子「ちょ!?それは反則っすよ!職権乱用っす!」

咲「じゃあお姉ちゃんも家事手伝ってよ!」

桃子「今の今まで家事全般を咲にぶん投げてた私がやれると思うすか!?」

咲「胸張って言うことじゃないよねそれ!」

桃子「大丈夫っすよ、咲が一生家事やってくれればモーマンタイっす」グッ


咲「そんなところで頼られても困るよ…」ガチャ

桃子「ただいまっす。あ、そうっす、ネトマしないっすか?」

咲「えー…やだよ。私ネトマ苦手。相手の牌が見えないし、なんか麻雀やってる感じしないんだもん」

桃子「予選直前っすからね、少しでも打ちたいんすよ。リアルの卓打ちには人数足らないっすし」

咲「私と打って練習になるの?」

桃子「………忘れてほしいっす。先輩達にメールで声掛けてみるっすよ」

咲「うん、そうして」

桃子「咲は典型的なネット出来ないタイプっすからねー。ネトマで本名使うなんてありえないっすよ」

咲「え?だって“名前”でしょ?」

桃子「……高校の情報の授業で学ぶっすよ、きっと」


佳織「でねー」

友人A「本当、面白いよね佳織の幼馴染みさん」ケラケラ

友人B「聞いてて飽きないよねー」クスクス

佳織「智美ちゃん、抜けてるから。あ、あれ…」

咲「んん、…ちょ、ちょっときついかも…」フラフラ

友人A「中等部の子かな?先生に押し付けられたんだろうなぁ」

友人B「うわー、あの体格であの荷物はキツくない?可哀相に」


佳織「…ごめん、ちょっと先に行ってて」

友人B「へ?…あぁ、うん、分かった」

友人A「次移動なんだから遅れんなよ!」

佳織「はーい!」タタタ

友人A「…佳織にも春が来たか」

友人B「後でからかってあげよう!」フンス


佳織「咲さん!」

咲「ふぇ!?あ、か、佳織先輩…」

佳織「大丈夫ですか?よかったら半分持ちますよ」

咲「い、いいですよ!先輩だって授業あるでしょう?」

佳織「咲さんだって一緒でしょう?それに…」グイ

咲「あ…」

佳織「二人で手分けした方が、ずっと早いですよ」ニコッ

咲「あ…あぅ…」///

佳織「咲さん?」

咲「あ、あの…それじゃあ…」

咲「お願い、します…」///

佳織「はい!」

>>207
>友人A「…佳織にも春が来たか」

>友人B「後でからかってあげよう!」フンス

モブでさえ同性愛容認とか、流石咲世界…


桃子「今日はー…っす!?」

ゆみ「どうしたモモ、いきなり硬直して…ん」

佳織「えっと…これが1飜で…こっちが…」

咲「あ、これは最後のツモで上がるんで海底撈月って言って、1役プラスになるんです」

佳織「咲ちゃんがよくやるって言ってたあれは?えっと、なんだっけ…」

咲「嶺上開花ですか?」

佳織「そうそう!それ!」

咲「嶺上はですねー…」


ゆみ「…随分と仲良くなったみたいだな」

桃子「」

咲「あ、お邪魔してます」

佳織「咲ちゃんの教え方、すっごく分かりやすいんですよ」

咲「えへへ、佳織さんの飲み込みが早いだけですって」

桃子「さ、咲…」

咲「あ、お姉ちゃんいたんだ」

桃子「」

桃子「さ、咲の…咲のぉ…」

桃子「バカ野郎っすーーーー!!!」ダッ



佳織「ひゃあ!?」

咲「…どうしたんですかね、お姉ちゃん」

ゆみ「…さぁな」

佳織「え、さっき叫んで出て行った人は誰!?いきなり出てきたよ!?」アワワ

咲「あ、私の姉です」

ゆみ「先日麻雀部に入ってくれたんだ」

智美「鶴賀学園麻雀部の最後の一人ってことだなー」ワハハ

佳織「智美ちゃん、いたんだ…」

智美「…これぐらいでは泣かないぞ」

書いてた文消えたファック
今日はここまでです


佳織「えっと…えっとぉ…あ!で、出来ました!ツモです!」

一一一二三四五六七八九九九 ツモ:三

睦月「」

智美「」

ゆみ「…凄まじい、としか言えないな」

佳織「え、何か間違っちゃってました?」

咲「凄いですよ佳織さん!役満ですよ!」

佳織「そうなんですか?」


佳織「麻雀って、楽しいですね! 」キラキラ

智美「」

睦月「」

咲「一気に上手くなりましたね佳織さん!」

佳織「ふふ、そうですか?」

咲「それじゃあ次は私とも打ちましょうよ」

智美「」

睦月「」

桃子「(アーメンっす)」



佳織「いよいよ予選本番ですね…」ゴクリ

ゆみ「まぁ去年までは出場すら出来なかったんだ、記念のつもりで打てばいいさ」

智美「これもモモや佳織が入ってくれたおかげだからなー」ワハハ

睦月「うむ…感慨深いものがありますね」

ゆみ「やれるだけのことはやった。後はもう、神頼みだ」

桃子「何控え目なこと言ってるんすか皆!」

桃子「必死で練習してきたんすよ!優勝目指すのみっす!」

ゆみ「モモ…」

咲「その通りです」

佳織「咲ちゃん!来てくれたんだ」

咲「佳織さんだって、この数週間ずっと私と打ってたんですよ?」

咲「そこらへんの雀士になんか負けませんよ」ニコ

佳織「咲ちゃん…」ジーン

ゆみ「その通りだな…」

智美「わはは、この欲張りさんめ。じゃあ優勝目指して頑張るとしますか!」

睦月「うむ!」


咲と佳織の愛が地球を救うと信じて…

【鶴賀学園中等部の東横咲ちゃん】 カン

ご愛読ありがとうございました
予定としてはあと一つ、今までよりも長いものを書こうと思っています

下安価で家族となるキャラ、コンマ偶数で妹、奇数で姉、0と9で娘(または母親)ですので
よろしければご協力お願いします


――ちゃん!

咲「(んぅ…誰か、私を呼んでる……?)」

――ろや!おい…

咲「(あぁなんだか凄く眠いよ…もう疲れちゃった…)」

――こら!…するで!

咲「(もう少しだけ、寝させて…)」

セーラ「いい加減にせんかい、馬鹿姉貴!!」バサッ

咲「きゃぁぁああ!!」ゴロゴロ・・ガン


咲「ベッドから落ちた…もうちょっと丁寧に起こしてよ」ジンジン

セーラ「やかましいわ!散々揺すったんに起きん姉ちゃんが悪いんやろ!」

咲「うぅ…セーラが反抗期だよ…」

セーラ「今日から千里山でコーチするんやろ?アホ言っとらんで起きぃ」

咲「あ、そうだった!もー、もっと早く起こしてよ」

セーラ「しばくぞ」

咲「ごめんなさい」

セーラ「怜も竜華も、もう来とるで。早よ支度せい」


咲「はーい。…そうそう、セーラ」クルッ

セーラ「まったく姉ちゃんは…妹よりぐうたらなんやから…なんや?」ブツブツ

咲「千里山入学、おめでとう」ニコ

咲「あ、怜ちゃん竜華ちゃんごめんね!すぐ支度するから!」バタバタ

竜華「私等が早く来過ぎただけですから気にしないでください」

怜「太もも堪能してるんでお気遣いなく」キリッ

セーラ「」///

セーラ「い、今のは反則やろ…」///


咲「セーラ?もう出るよ?」ヒョコ

セーラ「!!すぐ行くわ!」

竜華「すみません、送ってもらっちゃって…」

咲「いいよいいよー、どっちみち私も千里山行くし」

怜「にしても咲さんがコーチかぁ。流石名門やな」

咲「監督の愛宕先生は私が高校生の頃にもお世話になっててね。
大学出た私に「プロを考えてないならどうだ」って勧誘してきたの」

竜華「へー…」


セーラ「姉ちゃん、麻雀の腕は半端ないからなぁ」

咲「あはは、皆が生まれる前から打ってたからね。少しは強くなきゃ」

咲「ひたすら打ち負かせって言われてるから、容赦はしないよ?」ニコニコ

竜華「うわー…お手柔らかにお願いします」

怜「まぁ、竜華とセーラなら問題ないやろ。うちは…三年になっても補欠にすら入れんかもなぁ」

咲「……」


竜華「…怜、そういうことは言わんって約束したはずや」

怜「姫松と並ぶ名門やで。去年は先輩等が引退したからオーダーに入っただけで、実力とは違う」

セーラ「怜…」

怜「たまに思うんや。負けっぱなしの麻雀やってて、何が楽しいんやろって」

怜「…麻雀部に入るの、やっぱ止めようかな」

咲「怜ちゃんがそう思うなら無理して打たなくても良いんじゃない?」

竜華「咲さん!?」


咲「そりゃあ頭の回転の速さとか良さとか多少は関係しても、結局は運だもん」

咲「次にツモるのは自分にとって良い牌か、それとも相手にとって良い牌か、どれだけ考えても山は変えられないし変わらない」

咲「そんな時に自分を信じて手を伸ばせない人は、どれだけやっても勝てないんじゃないかな」

咲「信じても勝てない人はいるけど、それでも、信じないなら勝てないよ」

怜「……」

咲「…なんだかお説教みたいになっちゃったね。あ、もう着いたよ」

竜華「あ、ありがとうございました」バタン

咲「私は一回事務室行かないとダメだから、先部室行ってて」


セーラ「…おう」バタン

怜「……」

咲「…今ならまだ、家まで送っていってあげるよ?」

怜「……」フルフル

怜「打ちたいです。…負けっぱなしでも、レギュラーに入れなくてもいい。初めて麻雀した頃みたいに、竜華とセーラと打ちたいです」

咲「そっか。…一緒に頑張ろ」ナデナデ

怜「はい!ありがとうございました!」バタン

咲「…若いっていいなぁ」ポツリ

咲「…自然とこんな台詞が出るって、もう年!?」ガビーン

今日はここまで。またチマチマ更新していきます


咲「お久しぶりです、先生!」

雅枝「おー久しぶり。インカレでの華麗な捲り、見とったで」

咲「えへへ、高校の頃の先生の地獄みたいなシゴキのおかげですよ」

雅枝「いつも先輩に手ぇ引かれてた迷子常連が言うようなったなぁ、ん?」グリグリ

咲「いた、ちょっと!痛い痛い痛い!止めてください!」

雅枝「生意気言いよってからに、先生悲しいわぁ」グリグリ

咲「分かりましたから!すみませんでした!やめ、いだだだ!!」

雅枝「おっと、そろそろ時間やな」パッ

咲「いったぁ……」サスリサスリ

雅枝「麻雀部希望の一年生全員に集まってもらっとる。挨拶がてら揉んでやってや」

咲「はーい…」マダイタイヨ‥


咲「そういえば娘さん達お元気ですか?」

雅枝「おかげさまでな。洋榎なんかは絶賛反抗期中で、わざわざ姫松受験しおったわ」

咲「洋榎ちゃん、インターミドル凄かったですねー。大暴れって感じで」

雅枝「あんなん偶然や、偶然。高校じゃ通用せぇへん」

咲「たまには褒めてあげましょうよ」ハハハ

雅枝「調子乗るに決まってるわ」


雅枝「ちゅーわけで、千里山麻雀部監督の愛宕雅枝や、よろしく」

咲「今年からコーチになります、江口咲です。よろしくお願いします」

「「「よろしくお願いします」」」

雅枝「まぁ皆知っとるやろうけど、咲はインターミドルから始まってインハイ、果ては去年のインカレまで制覇した、ここの卒業生や。敬意持ってけよー」

咲「ちょっと、止めてくださいよ先生。皆して怖がっちゃうじゃないですか」

竜華「なんか監督と並んでると別の人みたいな感じするなぁ、咲さん」ヒソヒソ

怜「…改めて言われると凄い人なんやなぁ」ヒソヒソ

セーラ「そりゃあ俺の姉ちゃんだからな!」ドヤッ


咲「!」

竜華「あ、こっち気付いたで」

咲「」フリフリ

セーラ「まぁこんだけ人数多かったらなかなか見つからんやろ。手ぇ振り返しt「え、江口コーチに手ぇ振られてもうた!もう死んでもええ!」…あ?」

「ウチ、コーチの大ファンなんやけど、後でサインとか貰えへんかなぁ?」キャイキャイ

「部活終わったら聞いてみよーや」キャアキャア

セーラ「……おい、どういうことやこれ」

怜「セーラ知らんかったん?そこら辺のプロよりも強いのに全然気取ってないとかで咲さん人気あるんやで」

竜華「ウチらの年代でも咲さんに憧れて麻雀始めた子、少なくないしなぁ」


「あ、あの!コーチの大ファンです!サインもらっていいですか!?」

「ウチも!江口コーチに憧れて麻雀始めました!」

咲「本当?私なんかがキッカケで麻雀を好きになる子がいるなんて嬉しいなぁ」ニコニコ

セーラ「」ムスッ

竜華「分かりやすく拗ねてんなぁ」

怜「セーラ、咲さんのこと大好きやもんな」

セーラ「拗ねてへん!ヘラヘラしとる姉ちゃんがムカつくだけや!」

怜「拗ねてるやん」

竜華「なー?」


怜「にしても、ファンの子達スゴいなぁ。部活終わって30分経つのに、誰も帰っとらんよ」

セーラ「」ムスッ

竜華「咲さん打ってる最中も盛り上がっとったしな。上がっても上がられても流局しても騒いどったやん」

セーラ「」ブッスー

「なぁ、江口さんってコーチの妹なんやろ?コーチのプライベートとか…」

セーラ「あぁ?」ギロッ

「ひっ!や、やっぱなんもあらへん!ごめんな!」ソソクサ

竜華「こら、八つ当たりするんやないの!」

セーラ「うっせ!」


雅枝「で、どうやった?」

咲「…身内の贔屓目もあるかもですけど、やっぱりセーラが抜きん出てますね。竜華ちゃんが次点で、後はまぁ、皆そこそこです」

雅枝「今日はお前が和了ってばっかりやったのもあるやろ」

咲「全員と打ったわけでもないですし、ちょっと微妙ではありますけど。監督はどう思います?」

雅枝「…確かに、正直江口と清水谷以外は大差ないように思えたわ。何にせよ、来週の姫松との練習試合で判断するけどな」


セーラ「来たで姫松ー!」

咲「こら、あんまり他校で騒がないの」

怜「北から南行くのってかなり距離あったなぁ」

竜華「ずっとバスの中で寝てたやん」

洋榎「来たな千里山!ここで会ったが百年目やセーラ!」

恭子「いくらなんでも練習相手の方に失礼やで洋榎」

由子「お願いしますのよー」


セーラ「去年のインターミドルでは世話んなったなぁ?」

洋榎「気にすんなや、あまりに弱いんでちーっと手加減してしもうたけどな」

セーラ「なんやと!」

洋榎「そっちこそなんや!」

恭子「始まった…」ハァ

竜華「中学のときから全然変わらんなぁ」

由子「毎年毎年よく飽きないのよー」


咲「相変わらず元気だね、洋榎ちゃん」

洋榎「さ、さささささ咲さん!!!?なんでここに!!!」

咲「なんでって…私、千里山のコーチだから」

洋榎「千里山ぁ!?ちょ、待てやおかん!聞いてへんで!」

雅枝「あんたに言う必要ないやろ」

洋榎「てか何で千里山なんですか!」

咲「母校だからねー」アハハ


洋榎「ぐぬぬ…!何でよりによって千里山なんや…」

セーラ「俺の姉ちゃんだしな」ドヤッ

洋榎「やかましいわ男女が!お前が咲さんの妹名乗るのもおこがましいちゅーの」

セーラ「あ¨?去年の借り、今返したってもええんやで?」

洋榎「やれもしないことほざくなや。また泣かされたいんか?」

セーラ「やるか?」バチバチ

洋榎「上等や」バチバチ

咲「」ニコニコ


雅枝「ええ加減にせいアホ」ドスッ

洋榎「いだっ!」

セーラ「ダッセー、怒られてやんの!」

雅枝「お前も同罪や」ガスッ

セーラ「いでっ!」


雅枝「ええ加減にせいアホ」ドスッ

洋榎「いだっ!」

セーラ「ダッセー、怒られてやんの!」

雅枝「お前も同罪や」ガスッ

セーラ「いでっ!」


咲「あれ、善野さんは今日いないの?」キョロキョロ

恭子「ぜ、善野監督は体調が悪いから今日は欠席するって。顔合わせられなくてすみませんって言ってました」

咲「そうなんだ、久しぶりに会えると思ったのに…残念」

セーラ「姉ちゃん、監督に殴られたー!」

咲「もー」落ち着けって言ったのに騒いでるからでしょ


洋榎「ロン!1300や!」

セーラ「随分とやっすい和了やな」フン

洋榎「あ?親番流された間抜けよりかはマシやろうが」

セーラ「二位の癖に偉そうなこと言うなや」

洋榎「トバすぞごら」

セーラ「あーあー、弱い犬ほどよー吠えるわー」

洋榎「……ぶっ飛ばす!」

恭子「ツモです、500オール」

竜華「わー末原さん早いなー」ジャラ

咲「あっちの卓は騒がしいねー」ジャラ

由子「こっちはこっちで静かにやるのよー」ジャラ


「「「かんぱーい!!!」」」

セーラ「かーっ!やっぱ部活の後の酒は美味いわ!」

洋榎「お前が飲んでるのコーラやろ!」

セーラ「雰囲気や雰囲気!」

雅枝「あんまり騒いで店に迷惑掛けたら表に放り出すでー」

恭子「私達までご馳走になっちゃって…」

竜華「咲さんええん?あの二人遠慮せーへんよ」

咲「いいのいいの、大人に甘えておきなさい」

怜「監督と咲さんの奢りや、遠慮したら失礼やで」ゴクゴク

由子「園城寺さんはもう少し遠慮を知るべきなのよ…」


洋榎「ちゅーか、千里山に咲さんがコーチとして就くとか、宝の持ち腐れもええとこやろ。咲さん、今からでも遅ないですよ!」

セーラ「遅いわ!人の姉貴勧誘するとはええ度胸してるやん」

洋榎「セーラー服の可愛いセーラちゃんは黙っとけや」

セーラ「んなっ!?こ、これは監督が「練習試合のときぐらい」って言うからしゃーなくや!」

洋榎「あれー?そうなん?ウチはてっきりやっとセーラちゃんが女の子らしさに目覚めたんかと思ったわー残念やなー」

セーラ「ぐぬぬ…」

咲「(仲良いなーあの二人)」

恭子「あ、あの…」

咲「ん?えっと、末原さんだよね、どうかした?」


恭子「きょ、去年のインカレ見てました!凄かったです!」

咲「あ、見てくれたんだ。ありがとう」

恭子「その、何でプロ入りしなかったんですか?」

咲「プロにならなかった理由?えっとねー…」

――――――

小鍛治「はくしょん!!うー…」ズズッ

「なんだ、小鍛治プロは風邪でも引いてるのか?」

「季節の変わり目ですから気をつけてください」

小鍛治「ありがとうございます…。それ、ロンです」パララッ

「うげっ」

小鍛治「(そういえばあの子はもう大学卒業したんだっけ…)」

小鍛治「(プロになったって話も聞いてないし、どうしてるんだろう)」

小鍛治「(江口さん…学年はギリギリ重ならなかったけど、打ちたかったなぁ…)」

―――――

咲「…絶対に打ちたくない人がいるからかなー」

恭子「(あの江口咲が打ちたくないプロ…そんな人がおるんか…)」

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