ブラックジャック「三人目の男」 (87)

ーーーブラックジャック邸

ジリリリーン ジリリリーン!

ピノコ「ハイハイちょっとまつよのさー!」ガチャッ

ピノコ「ハァーイ、どちらさま?」

ピノコ「……先生ー!おでんわ!」

ブラックジャック「こんな時間に、誰からだ?」

ピノコ「んートネェ、さかきばらっていうひとからなのよさ」

ブラックジャック「さかきばら……どこのどいつだ?」

ブラックジャック「お電話変わりました。ブラックジャックです」

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「はい、わかりました。すぐに向かわせていただきましょう……では」ガチャッ

ブラックジャック「ピノコ、少し私は出かけてくる」

ピノコ「ええ!?こんな夜中にどこにいくよのさ先生!アッチョンブリケ!」

ブラックジャック「急ぎのようなんだ。キチンと留守番しておくんだぞ」スタスタ…

ーーー某刑務所

ブラックジャック「久しぶりだな今日は急に面会したいなんてどうしたんだ」

ブラックジャック「……間久部」

緑郎「はは、まぁいいじゃないかブラックジャック。僕達の仲だぜ?」

ブラックジャック「その後どうだい、豚箱での暮らしは」

緑郎「なぁに、三食昼寝付きだ悪かねェ。何より何かに追われることがないってのは最高だね」ククク

ブラックジャック「まったく、君らしいな」ククク

間久部「……ここから思い出話に花咲かせるってのもなかなかいいかもしれないが本題はこれじゃないんだ」

ブラックジャック「どういうことだ?」

間久部「マァ話を聞けってブラックジャック」

間久部「ムショの中ってのは意外と外よりも色んな情報が回ってくるんだ」

間久部「それで少し気になる事を耳にしたもんだから」

ブラックジャック「?」

間久部「鐘乃建設って会社を知ってるか?」

ブラックジャック「鐘乃建設……大手の建設会社じゃないか」

間久部「ああ、今じゃ日本で一番とも名高い建設会社だ」

ブラックジャック「それがどうしたって言うんだ間久部」

間久部「その鐘乃の息子が難病にかかっているらしくてな。社長は息子の病を治そうとヤッキになってるって話さ」

ブラックジャック「……なるほどねェ」ニヤッ

ブラックジャック「その『儲け話』を俺に教えようとしたわけか」

間久部「それもあるがな、それよりもっとオイシイ話もあるんだきっと君は驚くぞ」

ブラックジャック「おいおい、なにかアヤシイことに加担させようってんじゃないだろうね」

間久部「はは、違うさ。まぁ聞けよブラックジャック。その社長っていうのがな……」

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ーーーーーー
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ーーー

ガヤガヤ ザワザワ プップー

ブラックジャック「ふぅ……ここら辺は人が多くてかなわんな……」スタスタ…

ブラックジャック「……鐘乃建設……ここだな」

ーーー鐘乃建設本社

ブラックジャック「鐘乃社長を呼んでくれ」

受付「あの……アポイントは……」

ブラックジャック「……ブラックジャックという医者が来たと伝えろ。それで十分なはずさ 」

受付「は、はぁ……」

受付「?」

社長「ウヒョーーーッッッ!!!!ぶ、ぶら、ブラブラブラックジャックがきたっていうのはホントかね!?」ドタドタドタドタ!!

受付「は、はい。こちらに……」

ブラックジャック「……鐘乃社長ですね?」

社長「おお!おお!ブラックジャック先生!まさか先生の方から来てくださるとは思いもしませんで!!」

ブラックジャック「なんでも息子さんが難病を患っているそうで……」

社長「は、はい!近々お伺いしようかと思っていたところでして……!ささ!応接室の方へ!」

社長「キミ!はやくお茶をもってこんかいドアホウ!」

受付「は、はいっ!」

社長「いやぁお噂はかねがね……どんな難病でも治す神のような手腕をお持ちだと……」

ブラックジャック「……『金次第で』どんな難病でも治す……でしょう?」

社長「ゥ、ムグゥ」

ブラックジャック「まぁどうでもいいのですよそんなコトは……それで?息子さんの難病とは」

社長「ハイ……何を隠そう……ガンなんです……」

ブラックジャック「ガン、ね」

社長「医者が言うには膵体部のガンらしく……」

ブラックジャック「膵体部のガンか……こりゃ厄介なものにかかりましたな」

ブラックジャック「肝臓なんかのガンは黄疸が出るためすぐに気づくことができるが
膵体部のガンは気づかないうちにドンドン悪くなるんだ」

社長「ハイ……そしてそのガンのヤツはせがれの腹中に散らばってもう手がつけられないと……」

ロロールル「ホーさよか」

社長「どんな医者に相談してももう手遅れだと言われました……」

社長「ですがそこでブラックジャック先生のお話を聞いて近々伺おうとしとったのです」

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「成程ね……」

社長「どうなんですか、先生!」

ブラックジャック「直接診断してみないことには断言はできないが、私なら十中八九治せるでしょうな」

社長「ほ、本当かね!?」

ブラックジャック「……3……いや10」

社長「へ?」

ブラックジャック「10億……10億円でその手術を引き受けて差し上げましょう」

社長「ジュ!?10オクエン!?!?」ギエー!

社長「いくらなんでもそりゃ暴利だ暴利!!あまりにも高すぎる!」

頼むからBJにしてくれ半角だと笑ってしまう

ブラックジャック「ならば私はこの件からは手を引かせてもらおうか」

社長「グヌヌ……!」

社長「わかった!払う!!10億でも20億でも払ってやる!!」

社長「そのかわりせがれを絶対に完治させるんだ!!もしできなかったらビタ一文も払わんぞ!!」

ブラックジャック「それで結構ですよ。確実に治すのでね」ニヤッ

秘書「お茶をお持ちしました」

社長「よこせっ!」ゴクゴク!!

社長「ギエー!!アチチチ!!!!」ブーッ!!

>>22
ヤダ

ちょっと飯食ってくる

ーーー鐘乃邸

ブラックジャック「……ここが鐘乃さんのお宅ですか……立派な豪邸ですねェ」

社長「はは、そんなこと……まぁあるかな!ガッハッハッ!」

社長の妻「どうぞブラックジャック先生。お紅茶です」カタン

ブラックジャック「これはどうも」

社長「ああ、家内の鳥子(とりこ)です」

社長の妻「以後お見知りおきを」ペコリ

ブラックジャック「それで、息子さんは何処に」

社長「鳥子よ、案内してさしあげろ」

鳥子「では先生。こちらへ」スタスタ…

ブラックジャック「……」スタスタ…

ブラックジャック「しかしここはたいした豪邸ですな、いったいいくつ部屋があるのやら」

鳥子「ええ、実はあまり使ってない部屋もいくつかありまして……未だに迷うこともありますの」

ブラックジャック「ヘェー、そりゃ本当ですかい」

鳥子「ええ……あ、着きました、息子はこの部屋に……」

鳥子「タケオ、お医者様がいらっしゃいましたよ」ギイッ

タケオ「……また新しい医者を連れてきたのか……もう無駄だってわかってんのに……」

鳥子「またそんなこと言って……今回のお医者様は違うのよ、あの名医と名高いブラックジャック先生なんですから」

タケオ「ブラックジャック!?あの大金ふんだくってくるっていうモグリの医者か!?」

鳥子「こら!なんてこというの!!先生に謝りなさい!」

ブラックジャック「いえ、結構ですよ奥さん」

鳥子「すみません先生……」

ブラックジャック「軽く診察をさせてもらいましょうか」

タケオ「ヘン!モグリのヤブ医者に何ができるって言うんだよ!」

ブラックジャック「……私を信じようと信じまいと勝手だがね診察中にベラベラと喋るんじゃない」

タケオ「む……」

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「これは驚いた。タップリと腹水が溜まって腹が膨れてる……」

鳥子「それで先生……息子はどうなんでしょうか……」

ブラックジャック「フム、まぁ助かるでしょうな」

鳥子「オ、オオ……ありがとうございます先生!」

タケオ「ちょ、母さん!何泣いてんだよ!」

鳥子「だって助かるのよ……こんなに嬉しいことがありますか!」

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「手術は明日おこないますので、そのつもりで」スクッ スタスタ…

ーーーブラックジャック邸

ブラックジャック「……」

ピノコ「先生!先生!」

ブラックジャック「ん、なんだピノコ。どうかしたか」

ピノコ「どうかしてゆのは先生のほうなのよさ、さっきかやボーッとしちゃってさ」

ブラックジャック「ム、すまんそうだったか……」

ピノコ「早くしないとかえーらいす冷めちゃうんですかやね!ンモー」モグモグ

ブラックジャック「そうプリプリ怒るなよピノコ。ちゃんと食べるさ」

ーーー寝室

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「……クソッ!!」ドンッ!!

ブラックジャック「俺と言う奴は……」

ブラックジャック「……俺と言う奴は本当にお人好しだぜ……」

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「……まずはあの子を治すことだけを考えるんだ」

ブラックジャック「……」

ーーー翌日 ブラックジャック邸

社長「せがれよ……頑張ってくるんだぞ……」

鳥子「大丈夫、きっと上手くいくわ……」

ブラックジャック「ピノコ、オペの準備は整ってるな?」

ピノコ「モウマンタイなのよさ!」ビシッ

ブラックジャック「タケオ君を手術へ」

ピノコ「シーウーノアラマンチュ!」ガラガラ…

社長「頼んだぞ先生よ……」

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「フゥー……」

ブラックジャック「それではこれよりオペに入る」

ブラックジャック「クランケは15歳、膵体部のガンを患い今現在腹部にガン細胞が多数転移」

ブラックジャック「今回の手術はこの腫瘍の切除、縫合する」

ピノコ「りょーかいなのよさ」

ブラックジャック「ピノコ、メス」

ピノコ「はいっ!」サッ!!

ブラックジャック「……」スッ スッ スッ

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「フー……フー……」グッ

ピノコ「先生?」

ブラックジャック「……クソッ!!」グワッ!!

ピノコ「先生!?メスをふりあげてどうすゆきなのよさ!?」

ブラックジャック「!!」ピタッ!!

ピノコ「せ、先生?」

ブラックジャック「……いや、なんでもない。オペを続けるぞ……」フゥー…

ピノコ「は、はいなのよさ……」

ーーー

ブラックジャック「フゥ……」ガラガラガラ…

鳥子「!……先生!息子は!タケオは……!」

社長「ちゃんと、ちゃんと治したんだろうな!!な!!」

ブラックジャック「そう騒ぎなさんな。キチンと処置はした」

鳥子「つ、つまり」

ブラックジャック「助かったってことだよ」

鳥子「よかった……本当に……よかった……ウウウ」グスッ

社長「せ、せがれよ……」

社長「ほら先生よ。約束通りの10億円の小切手だ」パシッ

ブラックジャック「……ええ、確かに」スッ…

鳥子「本当に先生にはなんとお礼を言ったらいいのか……ありがとうございます……!」

ブラックジャック「息子さんは今日の夜には目を覚ますでしょう。しばらくは病院にでも入れてやるんだな」

鳥子「はい……本当にありがとうございます」

ブラックジャック「……」

鳥子「そうだわ、よかったら先生も今夜はうちでお食事していかれてはいかがでしょう」

鳥子「あの子が治ったんですもの、私腕によりをかけて料理を作りますわ!」

社長「そりゃあうまそうだ。先生もぜひどうかね?ン?」

ブラックジャック「いや、しかし私は……」

ピノコ「ピノコたべたーい!ね、ね、なにつくゆのよさ?」

鳥子「そうね……アップルパイにハンバーグ、ステーキ……とにかくできる限りのことをさせてもらいますわ!」

ピノコ「キャー!うれちすぎてちびりそー!」

ーーーその夜 鐘乃邸

ピノコ「アップユパイ……ハンバーグ……ステーキ……!」

ピノコ「どえもこえもめちゃくちゃおいしーよのさ!」モグモグハグハグ!!

ブラックジャック「ピノコ、もっと落ち着いて食べないか……」

鳥子「ふふ、おかわりもたくさんありますからドンドン食べてね」

タケオ「母さん……いくらなんでも作りすぎだよ……大体俺はまだ食べれないし……」

鳥子「お母さん嬉しくてついはりきっちゃって……タケオが無事に助かってホントに……ホントに嬉しいのよっ」グスッ

タケオ「もう、泣きすぎだって」

鳥子「ご、ごめんね。つい」グスッ

ブラックジャック「……」

社長「おや、どうしましたかなブラックジャック先生。手が止まっておられる」

ブラックジャック「……いえ、なんでもありませんよ」

社長「それはそうと先生。さきほど渡した10億なんですがね。それ、ご内密にお願いできますか」

ブラックジャック「……何故」

社長「実はその金。少し世間には公表できない類のものですので……」

ブラックジャック「……」

社長「ま!そんなことよりとにかくめでたい今日という日に乾杯と行きましょう!かんぱーい!!」

ピノコ「かんぱーい!」

ーーー刑務所

間久部「そりゃよかったじゃないかブラックジャック。向こうからのこのこ墓穴を掘ったってワケだ」

ブラックジャック「ああ、これを世間に公表すれば……鐘乃建設は終わりだろうな」

間久部「……これでまた1人君のおふくろさんの復讐ができるってわけだな」

ブラックジャック「ああ……」

間久部「いやー、俺もムショん中でいろいろ調べたかいがあったってもんだ」

ブラックジャック「……」

ブラックジャック(20年前……私と私の母親は不発弾により身体をボロボロにされた)

ブラックジャック(運良く私は本間先生の手によって助かったが、母さんはそうはいかなかった)

ブラックジャック(あの事故は不発弾がきちんと処理されていれば起こることはなかった)

ブラックジャック(私は必死で調べあげ、その当時不発弾処理を怠った関係者が五人いることを知った)

ブラックジャック(そのうちの二人は既に見つけた。そして今回の鐘乃猛(かねのたける)が三人目の関係者だった)

ーーーブラックジャック邸

ブラックジャック「……」

ブラックジャック「……」ピポパポピ…

ブラックジャック「……」トゥルルル…トゥルルル…

ブラックジャック「……もしもし、蛾瀬野新聞社の方ですか」

ブラックジャック「鐘乃建設さんのとっておきのネタがありますよ…クク…」

ブラックジャック「ええ、明日私の家までいらっしゃってください……」ガチャッ

ブラックジャック「……」ツーツーツー

ブラックジャック「……」

ーーー翌日 ブラックジャック邸

新聞記者「ヘーどうも失礼します」

新聞記者「それでそのネタというのを早速お聞きしても」

ブラックジャック「ええ」

新聞記者「なんでも鐘乃建設のネタだとか?」

ブラックジャック「ええそうです。鐘乃建設さんの……」

ーーー『本当に良かったわ……タケオ……!』

ブラックジャック「……」

ーーー『な、泣くなよ母さん』

ブラックジャック「……ッ」ギリッ

ーーー『タケオ…』

ーーーーーー『黒男…』

新聞記者「あ、あの?ブラックジャックさん」

ブラックジャック「……ってくれ……」

新聞記者「え?」

ブラックジャック「帰ってくれ!今すぐにだ!!」

新聞記者「ヒエッ!?」

ブラックジャック「さぁ早く出ていくんだッ!!」

新聞記者「なんだいこれ!そりゃあんまりだ!!」

ブラックジャック「だれかコイツをつまみ出せ!!」

スパイダー「オムカエデゴンス!」

ピノコ「おらー!おとなしくでていくよのさー!じゃないとかみつくわのよ!!」ガウガウ! ガブッ!

新聞記者「ギエー!!イテテテテテテテテテ!!!ヒエーヒエー!!!ひどい仕打ち!」

ブラックジャック「ハァ……ハァ……」ゼェ…ゼェ…

ブラックジャック「……くそったれっ!!!」ドンッ!!

ブラックジャック「すまない間久部……せっかく君がくれたチャンスを……俺は……」

ブラックジャック「ウオ、オオオ……」

ブラックジャック「俺と言う奴は……」

ブラックジャック「俺と言う奴はどうしようもないお人好しだッッ!!!!!!!」ダンッ!!

ブラックジャック「くそったれめ!!!!」

ブラックジャック「三人目の男」ーーー 終わり

徹夜で起きてたから眠すぎて脳みそこれ以上働かない寝る……

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年12月13日 (火) 04:43:11   ID: -ryfEXXj

脳内マンガで余裕で補完できるわこれ

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