阿澄佳奈の夫「学園都市…?」 (7)

俺だって悔しいよ。悔しいに決まってる。そんなの悔しいに決まってるだろ!!
……俺が何をしたっていうんだ。別に目が眩むような大金がほしいとか、馬鹿みたいな権力を牛耳ってゆかり王国を作りたいなんて望んでいる訳じゃない。
ただ、いつもと同じように学生寮で目を覚まして、阿澄佳奈の声を聞いて、学校へ行って、放課後に友達と遊んで……そんな当たり前のものを取り戻したかっただけなんだ。
なのに、どうしてそれだけで声豚なんて呼ばれなくちゃいけないんだ! 大勢の人の恋心を天秤にかけなくちゃならないような場所に立たされなくちゃいけないんだよ!! 
こんなの馬鹿みたいだ。俺一人を苦しめるために阿澄佳奈をくまなく救い終えるなんて阿澄佳奈の夫の野郎は完全にスケールが狂ってる!
ちくしょう、どうして俺ばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。何が『不幸』だよ、ちくしょう!!
今まではそれでものらりくらりとかわして騙し騙し折り合いをつけてきたんだ。なんとかバランスを取ってやってきていたんだ! それをあいつは全部ぶっ壊した。悔しいに決まってるだろ!
何の意味もなくたって、周りのみんなにとっては阿澄佳奈が救われれば後は誰がやろうと構わなくたって、それでも悔しいに決まってるだろ!!
血反吐を吐いて涙交じりにどうにかこうにか乗り越えてきた道を、阿澄佳奈の夫のヤツはまるで遊びか何かみたいにあっさり潰していきやがった! 全部あいつに奪われた!! 文句を言うのも馬鹿馬鹿しいくらい鮮やかに、俺が持っていたもの、歩んできた道のり、とにかく全てだ!

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