友「おい、昔貸した金返せよ!」男「え?貸したっけ?」(149)

友「前にうまい棒買うからって10円貸しただろ!」

男「覚えてないな」

友「こいつ……しらばっくれるつもりか」

男「じゃあこうしようぜ
一回じゃんけんをして、俺が勝ったらこの件はちゃらに、俺が負けたら20円払う」

友「!」

男「どうだ?」

友「いいぜ、乗ってやる」

友「(ククク……勝った)」

友「(子供のみだが世界大会も開かれている有名なじゃんけん……
誰にでもできるから親しまれている……
しかし、時たまじゃんけんに関して特異的な能力を使うことが出来る子供達がいる
通称RPSチルドレン
RPSチルドレンは持っている能力を使い有利にじゃんけんをすることが出来る
そしてこの俺もRPSチルドレンの一人
相手が先に何を出すかを予知し、その手に有利な手を出す未来予知という能力の使い手だ
この未来予知で俺が勝ち20円貰ったも同然
悪いな男……)」

男、友「最初はグー!じゃんけん――」

友「(見えた!こいつはチョキを出す!)」
男、友「ぽん!」

男:パー
友:グー

友「な、なに……!?
そんなバカな!確かに俺の未来予知ではチョキを出すはず……」

男「お前もRPSチルドレンだったのか」

友「“も”……?まさかお前も――」

男「そう、俺もRPSチルドレンの一人
そしてジハードに参加する為特訓している」

友「ジハード……!世界からRPSチルドレンが集まりじゃんけん最強を決める聖戦……あれに参加する為特訓をしているだと……!?」

男「さっき、未来予知だって言ったよな
だとしたら俺には勝てない」

友「どういうことだ……?」

男「俺の能力は相手に、俺の出す目のインスピレーションを与えそれに誘導する能力だ」

友「つまり、俺が見たのは未来じゃなく錯覚……」

友「乾杯だ……10円はちゃらにしよう」

男「(ラッキー)」

友「だが、俺は決めた」

男「何を?」

友「俺もジハードに参加する」

男「お前も?」

友「そして必ず、そこでお前を倒す!」

男「なるほど……
その時は遠慮なく戦ってやるぜ!」

男「だが、今では友達だ
お前に俺のじゃんけんの師匠を紹介しよう」

友「師匠?」

男「俺のおばあちゃんだ」

おばあちゃん家

男「お邪魔します」

婆「よく来たね、男」

男「今日は友達を連れて来たんだ
ジハードで戦う為にね」

友「初めまして、友と言います」

婆「ああ、よろしくな」

男「早速だけど、友も一緒に修行をつけてもらってもいい?」

友「お、お願いします!」

婆「勿論だよ」

友「ありがとうございます!」

婆「さて、実践的な修行をする前に、少し話をしよう」

友「話?」

婆「1ヶ月後に行われるじゃんけん地区大会の話だよ」

友「そういえばあったな……」

婆「地区大会とはいえ、そこで優勝できなければ、ジハードで勝ち抜くのは無理と言えよう」

男「それに、あいつも参加するしな……」

友「あいつ?」

婆「じいさんのライバルの孫のことか……」

友「じいさんのライバルの孫?」

男「俺のおじいちゃんは、RPSチルドレンだった頃のおばあちゃんより遥かに強いRPSチルドレンだったんだ
それもジハードでベスト4に残るくらいに」

友「あのジハードでベスト4!?凄いじゃねえか!」

男「でも、そんなじいちゃんがどんなに戦っても決して勝てない相手がいた」

友「それがライバルか」

男「そうだ
俺の知り合いではおじいちゃんしかライバルの能力は知らないが、おじいちゃんは亡くなったからそのライバルの能力は分からない
でも、とてつもなく強い能力だったらしい」

友「それと孫にどう関係が?」

男「そのライバルの孫も同じ能力を使うんだ」

友「なに!?」

男「そいつは今まで大会に出たことはなかったが……この前、俺がジハードに参加することを知ったそのライバルとここに来たんだ
そしてこう告げた
『俺はじいさんと同じ能力を持っている
お前じゃ永遠に勝てない』
と」

友「そんな……
それだけ強力な奴が……」

男「ああ、今度地区大会に参戦する」

婆「そういうことだ
私も奴の能力は知らないが、出来るだけお前たちに指導しよう」

友「……ありがとうございます
そうだな、出来るだけ努力して、あいつを倒そうぜ!」

男「ああ、お前の言う通りだ
よし、やってやるぜ!」

婆「早速訓練を始めよう
まず、両手にこのペンを持て」

友「これは?」

婆「そしてあの岩にひたすら、右手で○を、左手で△を同時に書き続けるのだ」

友「何でですか?」

婆「じゃんけんの出す目を片手に左右されないようにし、そして右脳と左脳を鍛え出す目を考える為の頭の回転を良くするのだ」

友「なるほど……」

婆「私がやめというまで続けろ
始め!」

友「右手が○で左手が△で……意外に難しいな」

男「」スラスラスラ

友「お前すごいな」

男「まあ昔からやってるからな」

友「(そっか、昔からこのおばあちゃんは男の師匠をやってるんだよな
よし、俺も遅れを取り戻さないと!)」

婆「やめ!」

友「ふぅ、疲れた……」

婆「次はこれだ」

友「箸と豆の乗った皿と何も乗ってない?」

婆「利き手じゃない方で箸を持ち豆を別の皿へ移すのだ
じゃんけん大会は連戦となる
利き手ばかりでは体力を消耗し相手に出目を読まれやすくなる
この訓練で利き手ではない方の手も利き手にし、手を使い分けることで体力の消耗を遅くするのだ」

友「なるほど」

婆「始め!」

友「難しいな……」

男「」スイスイスイ

……

婆「今日の修行は終わり!」

友「はあ……大変だ……」

男「俺はもう慣れたけどな」

友「まあ昔からやってればな……
でも文句ばかり言ってられないぜ、お前のじいちゃんより強い強敵もいるしな!」

男「そうだな」

友「よし、頑張るぞ!」

そして1ヶ月後

友「これが地区大会かー!」

男「出るのは三回目だけど、やっぱりこの熱気はすごいな」

友「地区の皆が観客やってんだもんなー」

男「あの、エントリーします」

友「俺も!」

スタッフ「はい、分かりました
後で会場にお呼びしますので、それまでお待ちください」

男「それまで暇だな……」

友「じゃあ、家族にでも会ってくるかな
お前は?」

男「俺も父さんと母さんに会ってくるよ」

友「また後で会場で会おうぜ!」

男「ああ!」

「ピンポンパンポン
参加者の方はステージまでお越しください」

友「あ、もう行かなきゃ」

母「がんばってくるのよ」

父「応援してるぞ」

友「ありがとう」



友「よっ」

男「おっす」

司会「では、全員集まったところでこのドデカイ画面で対戦カードを発表しましょう
どん!」

Aブロック:男vsモブA
Bブロック:モブBvs孫

Cブロック:友vsモブC
Dブロック:モブDvsモブE

友「確か、トーナメント形式なんだよな?」

男「ああ、今書かれてる相手と対戦して、Aの勝者はBと、Cの勝者はDと戦うんだ」

友「それにしても8人しかいないんだな」

男「しょうがないさ、RPSチルドレンはそんなに多くないから」

友「それもそうだな」

友「もし決勝まで行ったらジハードの先取りになっちまうが、必ず勝ち上がってこいよ!」

男「おう!」

……

司会「では第一回戦を始めます!」

モブA「負けませんわよ!」

男「俺だって!」

男、モブA「最初はグー!じゃんけん――」

男「(相手の能力は一体……?)」

男「!?
(なんだ……手が動かない!)」

モブA「(私の能力は金縛り……相手に手を出させないようにし、不戦勝を狙うわ!)」

男「(くそっ、こうなったら……!)」

モブA『ねえじいや?』

じいや『何ですか?お嬢様』

モブA『ずっと私の家来でいてくれるわよね?』

じいや『勿論ですとも』



モブA『じいや……じいや……!
何で先に死ぬのよ!約束してくれたじゃない!ずっと私の家来でいてくれるって……!』

親戚『モブAちゃん……
いくらお墓に話しかけても』

モブA『うるさい……うぅ……ひっぐ……』

モブA『そういえばあの時……』



じいや『お嬢様』

モブA『何?』

じいや『私はお嬢様に、強くて優しい子でいてほしいと思います』

モブA『強く?私暴力はあまり好きじゃないんだけど』

友「おい、昔貸した金返せよ!」
男「え?貸したっけ?」

どういうことだ?

じいや『いえ、その強いではございません』

モブA『じゃあなによ?』

じいや『いつか必ず……悲しくなるときが来ます
その時、お嬢様にはそれに耐える強さとその悲しみの原因を許す優しさを持ってほしいのです』

モブA『ふーん
まあなれたらなるわ』

じいや『ありがとうございます、お嬢様』



モブA『あの時言ってた言葉は……このことだったのね……』

モブA『じいやはわかってたのね……必ず先に……』

モブA『わかったわ、じいや
じいやの言う通りに、この悲しみを乗り越えて見せる!
そしていつか、世界で一番強くて優しくなってやるんだから!』

男、モブA「……」

司会「おっと、どうした?
どちらも手を出さないぞ!?」

モブA「私の負けでいいわ」

司会「!?」

モブA「思い出したわ
わがまま行ってじゃんけん大会に出たけど、本当はこの地区の皆の為に、家来に采配をしなくちゃならないの……
私が一番優しくて強くならなきゃならないのに、わがままでみんなに迷惑かけちゃダメよね
こんな大事なこと忘れるなんて……ごめん、じいや……
だから、勝ちはあなたに譲るわ」

男「(とりあえず過去のイメージを呼び起こしてみたけど何とかなったようだ)」

司会「おぉっと突然の展開!
男の不戦勝だー!」

控室

友「やったな、男!」

男「おう!次の対戦相手は……Bブロックを勝ち上がった奴とか」

友「とりあえず、この控室にあるテレビで様子を見ておこうぜ」

司会『何とBブロックは孫の勝ちだー!』

男「あいつか……」

友「必ずあいつに勝てよ、男」

男「勿論だ!」

「ピンポンパンポン
Cブロック参加者は会場にお越しください」

友「俺だな」

男「お前も勝ってこいよ!」

友「当たり前だぜ!」

司会「では第一回戦Cブロックを始めます!」

友「よろしく!」

モブC「僕だって勝つぜ!」

友、モブC「最初はグー!じゃんけん――」

友「(未来が見えない!?)」

モブC「(僕の能力は予測を無効にすること!
運で勝つ!)」

友、モブC「ぽん!」

友:グー モブC:チョキ

友「やったぜ!」

モブC「ちくしょう……」

Dブロックと休憩時間の後……

司会「第二回戦を始めます!」

男「ついにこの時が来たか……」

孫「無理だ、お前じゃ勝てない」

男「やってみなくちゃ分からないだろ!俺はおじいちゃんの仇を取るんだ!」

孫「そうだな、やってみれば分かるかもな
勝つのが不可能な勝負だったってことがな!」

男、孫「最初はグー!じゃんけん――」

男「(グーのイメージを流して……)」

男、孫「ぽん!」

男:チョキ 孫:パー

男「!?」

男「そんな……負けた……?」

孫「どうせ聞いたって勝つのは不可能だろうから、お前に教えてやろう……俺の能力を」

男「!?」

孫「この世界は宇宙の中にある」

男「そりゃそうだ」

孫「しかし、宇宙という世界もまた、ある膜の中に存在する
そして、その膜の中には無限の宇宙が存在し、その無限の宇宙の中の一つがこの宇宙ということだ
そんな無限の宇宙を内包する膜とその中をを膜宇宙と呼ぼう
その膜宇宙と俺は一心同体になることができるのさ」

男「どういう……ことだ……?」

孫「宇宙即我という奴だ
俺は膜宇宙であり、膜宇宙は俺である状態になることが出来るんだ
膜宇宙が俺だから、膜宇宙内の運命を自由に操作することも可能
これが俺の能力だ」

男「そんなことが……可能なのか……?」

孫「信じられないのも当然だろうが、事実だ」

男「そんなの勝てるわけない……」

孫「そういうことだ
俺に勝つ?笑わせるぜ」

男「……」

控室

友「男……」

男「無理だ……勝てるわけない……」

友「……
次は俺の番だ」

司会「第二回戦を始めます!」

友「よろしくな!」

モブE「ふん、あんたなんかには負けないんだからね!」

友、モブE「最初はグー!じゃんけん――」

友「(見えた!)」

友、モブE「ぽん!」

友:パー モブE:グー

友「よし!」

控室

友「勝ったぜ、俺
次はいよいよあいつとの対決だ」

男「無理だよ、勝てない……」

友「諦めんじゃねえ!あいつの能力は知らないがよ!」

男「あいつの能力は……宇宙の運命を操作することだと言っていたよ……」

友「どういうことだよ……それ?」

男「たぶん、宇宙内での出来事は自由に操作出来るんだと思う……」

友「つまり、俺がパーを出すように宇宙レベルで仕向けることができるってことか?」

男「ああ……」

友「何だよそれ、反則レベルだろ……!」
男「……」

友「だが、俺は諦めねえ!」

男「え……?」

友「『成功の9割は、
信じる気持ちから生まれる。』
ウッディ・アレンの言葉だ
信じなきゃ始まらないんだぜ!」

男「友……」

友「じゃあ、行ってくる」

男「……分かった
俺はお前のことを信じる」

友「男!」

会場

司会「さあついに決勝戦!果たしてどちらが勝つのか?」

友「必ず勝つ!」

孫「能力を知ったんじゃないのか?」

友「ああ、知ってるぜ」

孫「知ってなおその口が聞けるとはな……目に物を見せてやろう」

友、孫「最初はグー!じゃんけん――」

友「(未来が見える!奴はグーだ!)」

友:パー 孫:グー

司会「おーっとこれは、孫の勝ちだー!」

友「(!?確かに俺が勝ったはず……)」

友「(いや、グーの勝ちか……)」

友「(はっ、違う、これは確かに俺の勝ちだ!
これが奴の能力か……!!
くそっ、勝てるわけ……)」

友『『成功の9割は、
信じる気持ちから生まれる。』
ウッディ・アレンの言葉だ
信じなきゃ始まらないんだぜ!』

友「(そうだよな……男に言っておいて俺が最後まで信じられないなんてダサすぎるぜ!)」

友「(俺は信じる!!
必ず俺は勝つと!!!)」

司会「さあついに決勝戦!果たしてどちらが勝つのか?」

友「はっ、これは……?
俺は確かに試合を終えたはず……」

友「(そうか……!能力のパワーアップ……!
未来予知だけじゃなく、過去へ戻る能力も追加されたのか!)」

友「行くぜ」

孫「(気迫が変わった……?)」

友、孫「最初はグー!じゃんけん――」

友、孫「ぽん!」

友:グー 孫:チョキ

孫「(運命を変えるだけ……)」

友「そうは行かないぜ!」

孫「!?」

友「今、お前が宇宙と同化するのに必要な時間を奪った」

孫「どういうことだ?」

友「どうやら俺は過去や未来だけじゃなく、時間自体を管理出来るようになったみたいだぜ
お前の言う膜宇宙にも時間は存在するようだな!」

孫「はっはっは!」

友「何が面白い!?」

司会「何と、孫の勝利だ!」

友「バカな!?」

孫「良いところまでいったな……しかし
この膜宇宙から時間という概念を消した」

友「どういうことだ?
お前は同化する時間を奪われたはず……」

孫「今の俺じゃない
過去の俺だ」

友「なに!?」

孫「過去の膜宇宙と同化した俺が未来に存在する今の俺を見て、時間の概念を消した後、今の俺が膜宇宙と同化し、運命を変えたのさ」

友「だったらまたやり直してお前の能力を時間全体から消す」

孫「無駄だ、先程言ったはずだ
時間を消したとな
そもそも今過去などと言うものは存在しないんだよ」

友「……」

孫「打つ手なしか……当然だな」

控室

男「結構あっさりやられたな……」

友「(そうか、男は何が起きたか知らないんだ)」

友「悪いな、信じてもらったのに……」

男「いや、あいつには勝てない……しょうがない……」

友「とりあえず師匠に結果報告しに行こうぜ」

男「ああ……」

おばあちゃん家

友「ども……」

男「……」

婆「その様子……」

友「はい……孫に勝つことができませんでした……」

婆「そうか……」

婆「(この様子じゃ……3ヶ月後のジハード地区予選に間に合わないかもしれん……)」

やる気を取り戻さないまま、1ヶ月が過ぎた……

友「いい加減修行しようぜ!ジハードがあるしさ」

男「無理だよ……あいつには勝てないし」

友「ったく……」

婆「昼ご飯だよー!」

友「あ、はい!」

男「はーい……」



友「みんなで囲む飯は美味いな!」

男「そうだな……」

友「いつまでウジウジしてんだよ!もう1ヶ月だぞ!?」

男「……」

婆「じゃんけん一筋だったから仕方ない……」

友「……」

男「……」

ドーン

友「な、なんだ!?」

婆「外に出てみよう!」



?「ここが第二膜宇宙の中の第六十宇宙の中にある星、地球か……」

友「お、お前……誰だ……?」

?「俺は第四膜宇宙の中の第三宇宙から来た宇宙人だ
この膜宇宙を支配しに来た」

友「宇宙人……?」

ロック「俺はロック
そして後ろの二人が」

シザーズ「私はシザーズ」

ペーパー「俺はペーパーだ」

友「宇宙人だとして何で話が通じるんだ??」

ロック「我々の科学力は遥かにお前らを上回っている
この膜宇宙の生命体に合わせることなど容易だ」

友「しかし信じられないぜ」

婆「だがこのなりは……」

友「確かにこの世の者とは思えないなりですけど……」

ロック「しかし、ただ支配するだけじゃつまらない
そこで我々はお前らにこの膜宇宙の命運をかけた勝負、ハルマゲドンを申し込む」

友「勝負?」

ロック「我々は遊びが好きなのだ
膜宇宙を賭けて戦えば本気で遊べると思って様々な膜宇宙の中を調べていたのだが……この地球で面白い物を発見したのだ」

友「面白い物?」

ロック「我々と同じ遊びが存在するということだ」

友「同じ遊び……?」

ロック「それは……じゃんけんだ」

友「じゃんけん……!!」

ロック「そう、我々も全く同じルールの遊びが存在するのだ
同じ遊びが存在するということは、いちいちルールを説明をする必要もなく、容易に戦えるということ
そこで我々はこの膜宇宙に目をつけたのだ」

ロック「じゃんけんの勝負を受けてくれるね?勿論断ればこの膜宇宙は我々に支配されるのだが」

友「くっ……分かった」

ロック「ちょうど3人どうしだ、3対3の勝ち抜き戦で行こう」

友「(男は今やる気を失っている……ここは師匠と俺だけで勝たないと!)」

ペーパー「俺から行こう」

婆「じゃあこちらは私から行く」

友「師匠……」

婆「私はもうお前達のようにRPSチルドレンじゃない
しかし、技術は身につけたつもりだよ」

友「がんばってください」

婆「勿論だ
この地球がかかってるからね」

ペーパー「行くぜ」

婆、ペーパー「最初はグー!じゃんけん――」

婆「(確かに私はRPSチルドレンじゃない、それでも動体視力は負けないつもりだよ!)」

婆「(ダメだ……!読めない……!
手を出した瞬間にグーかチョキかパーを出すつもりか……!
やはり宇宙人なだけある……!)」

婆:パー ペーパー:チョキ

婆「済まぬ……」

友「気にしないでください……相手は宇宙人なんですから仕方ありません」

ロック「後はお前とやる気なさそうな少年か……弱そうだな……」

友「膜宇宙が懸かってるんだ
負けられない
(かと言って三人相手はキツい……頼む、男
戻ってきてくれ)」

ペーパー「続いて行くぜ」

友、ペーパー「最初はグー!じゃんけん――」

友「(じゃんけんの能力はじゃんけんの試合中のみ!今なら時間の能力が使える!)」

友:チョキ ペーパー:グー

友「やり直すぜ!」

友、ペーパー「最初はグー!じゃんけん――」

友、ペーパー「ぽん!」

友:グー ペーパー:チョキ

友「よし!」

婆「よくやった!」

ロック「所詮雑魚か……」

シザーズ「次は私ね」

友「続けて勝つ!」

シザーズ「それはどうかしら?私の能力をなめないでちょうだい」

友「能力……!?」

シザーズ「地球で言うRPSチルドレンと同じよ
私とロックは能力が使えるの」

友「そうだったのか
でも、負けないぜ!」

友、シザーズ「最初はグー!じゃんけん――」

友「(さあ、どう来る?)」

友、シザーズ「ぽん!」

友:グー シザーズ:チョキ

友「勝った!」

友:チョキ シザーズ:グー

シザーズ「残念だったわね
私の能力は出目を入れ替える能力
あなたは私に永遠に勝てないの!」

友「なに……!」

友「(これじゃいくら時間を戻してもこいつの言う通り永遠に勝てない……!
くそ……どうすれば……)」

友「(いや……あの時の方法で勝てる!)」

友「まずは時間を戻して……」

友、シザーズ「最初はグー!じゃんけん――」

友、シザーズ「ぽん!」

友:グー シザーズ:チョキ

シザーズ「あれ?出目が入れ替わらない……」

友「残念だったな」

シザーズ「どういうこと?」

友「俺は時間を操る能力
お前の出目を入れ替える時間をなくしたのさ!」

シザーズ「なに……!?」

ロック「ふむ、なかなかやるなあの少年……」

ロック「さて、最後は私か……」

友「来い!」

友、ロック「最初はグー!じゃんけん――」

ズドーン

友「な……に……」

男「友!」

婆「何をした!?」

ロック「私の能力は相手を瀕死にする能力
その少年を病院に連れていかないとまずいぞ?」

婆「瀕死で能力が使えないのか友……
卑怯な奴だ……!」

ロック「いくらでも言いな
これが本気の遊びだ」

友「お……とこ……」

男「友!」

友「あ……とは……お……前だけ……」

男「もう良いしゃべるな!」

友「任……せた……」

婆「私は友を病院に運ぶ
後はお前だけだ、任せたぞ」

男「おばあちゃん……」

男「後は……俺だけ……」

男「俺がやるしかないのか……!」

ロック「ほう、目に輝きが戻ったな」

男「友の仇だ!
必ずお前を倒す!!!」

男、ロック「最初はグー!じゃんけん――」

ズドーン

男「が……ま……」

ロック「所詮その程度か……」

男「(あんな見栄はってこんな一瞬かよ…………
もう……ダメだ……)」

男「(いや……いつか友は言っていた
信じることが大事だって……
そうだ、俺は勝つ……友の為に……!)」

男「もう一度だ……」

ロック「私の能力を受けてなお立ち上がるとは……よかろう」

男、ロック「最初はグー!じゃんけん――」

ズドーン

男「ぐはっ……」

ロック「何度もやっても無駄だがな」

男「まだ……だ……」

ロック「しつこい奴だ」

男、ロック「最初はグー、じゃんけん――」

ズドーン

男「も……一度……」

ロック「いい加減しつこいぞ!」

男「(友の……仇を……とらなきゃ……)」

ピカーン

ロック「なんだこの光は!?」

ロック「奴が……消えた……?」

男「ここは……?」

?「ようこそ、私の住処へ」

男「白い……龍?」

グロタンディーク「私はグロタンディーク」

男「グロタンディーク?」

グロタンディーク「あなたに合わせて言えば、私はこの世界の神です」

男「神……?」

グロタンディーク「あなたは膜宇宙という言葉を知っていますね?」

男「膜宇宙……あいつの……」

グロタンディーク「その膜宇宙が無限に集まって出来た世界が私の住処なのです
あなたの為に名前を付ければ、グロタンディーク宇宙……ですかね」

男「ここがグロタンディーク宇宙……ってことか?」

グロタンディーク「そうなります」

グロタンディーク「あなたの気迫を見ていました
あれは、他の世界にもほとんどない程の気迫でした」

男「そ、そうなのか……?」

グロタンディーク「その気迫に私は心が打たれました
なので、あなたに力を授けましょう」

男「力?」

グロタンディーク「そう、このグロタンディーク宇宙を統べる力を!」

……

ロック「戻ってきたか」

男「待たせたな」

ロック「(この男……何かが変わった?)」

男、ロック「最初はグー!じゃんけん――」

ズドーン

男「無駄だ」

ロック「バカな……効かない!」

男、ロック「ぽん!」

男:パー ロック:グー

ロック「負けた……この俺が……」

男「膜宇宙を移動する科学力か……しょぼいな」

ロック「ぐっ……」

男「とっとと帰りな」

ロック、シザーズ、ペーパー「くそっ覚えてろ!」

男「っ……」バタン

……

婆「男!」

男「こ、ここは……?」

婆「私の家だよ」

婆「何で倒れてたんだい?」

男「ちょっと……(神の力はやっぱり体力の消耗が激しいのか……)」

婆「それにしても凄いね、奴らの姿が見えないってことは追い払ったんだろ?」

男「そんなことより、友は?」

婆「ああ、友か……
外国に行ったよ」

男「え?」

婆「思ったより怪我が酷くてね……
技術は高いが、高額な医療費を請求する上に医師免許を持たないとある医者にしか治せないらしいんだ
その医者が今海外にいてね……」

男「そんな……」

婆「友は言っていたよ
『必ずジハードで会おう』
とね」

男「友……」

男「ああ、勝ち抜いてやるさ!ジハード!
そこでまた会おうぜ!友!」

そしてジハード地区予選の日

司会「対戦カードは……」

Aブロック:男vs孫
Bブロック:以下モブの為略す

男「いきなり孫とか……」

孫「ふん……またお前か……」

司会「第一回戦始め!」

男「久しぶりだな」

孫「またやられに来たのか?」

男「いや、今度は俺が勝つ」

孫「まだそんな甘いことを言っているのか……」

男、孫「最初はグー!じゃんけん――」

孫「(また膜宇宙の運命を切り替えるだけだ!)」

男「(孫は必ずあの能力で来る!
力をお借りします、グロタンディーク!)」

男、孫「ぽん!」

男:パー 孫:グー

孫「バカめ!」

司会「男の勝ちー!」

孫「なに!?そんなバカな……はずは……」

男「おじいちゃん……仇は取ったよ……!……はぁ……はぁ……」

孫「何故お前が勝つ!?俺の能力は最強のはずだ……」

男「そうだな……本当はお前が最強なのかもしれない……はぁ……はぁ……
ただ俺は、おじいちゃんの仇を取るために、友と再会するために、神の御加護を受けただけだ……はぁ……はぁ……(……やっぱりグロタンディークの力は疲れるな……)」

孫「くっ……」

孫「……悔しいが……俺の敗けだ……」

男「神の御加護のおかげだ」

孫「また神の御加護か……一体どういうことなんだ?」

男「神の力を借りたってことさ」

孫「?」

男「まあいつか、必ず俺の力だけでお前を倒す!」

孫「何のことだか分からないが……いつでも来い!」

地区予選、県予選、日本予選を勝ち抜き、ついに男はジハード本戦に進出した

男「ついに来たぜ!ジハード!」

男「八つのグループに分かれて、その中で一人を決める仕組みか……」

男「このグループには友はいないみたいだな……」

男「確か64ヶ国から一人ずつ来てるんだよな
八グループに分けると、一グループ八人いることになる」

男「トーナメントだから1対1の勝負を三回勝ち抜けばいいってことだな!
きっと友もグループの中で勝ち抜いてくるはずだ!」

司会「さあこのグループの一回戦が始まります!」

男「当たるまで順番も対戦相手も分からない仕組みか……」

司会「日本代表vs中国代表」

男「いきなり俺だ!」

男「よろしくな」

中国代表「よろしくアル!」

男「(こいつもRPSチルドレンだ……グロタンディークの力を借りるのは相当な体力を使う……ここでは温存しておきたい)」

男、中国代表「最初はグー!じゃんけん――」

中国代表「(私の能力は拳に炎を纏う能力アル!)」

男、中国代表「ぽん!」

中国代表「ほあたー!」

男「!?」

中国代表「効か……ない……アル」

男「(いきなりグロタンディークの力を使わなきゃならないなんて……やはりレベルが高い……)」

男:パー 中国代表:グー

準決勝

司会「さあこのグループの準決勝は……イタリア代表vs日本代表!」

イタリア代表「よろしく」

男「あ、よろしくお願いします」

男、イタリア代表「最初はグー!じゃんけん――」

男「(さっき中国代表は殴ってきた……イタリア代表はどう来る?)」

イタリア代表「(僕の能力……それは……)」

男「!?
何だここは!?」

イタリア代表「気づきましたか……」

男「どういうことだ……?」

イタリア代表「ここは僕の世界ですよ」

男「僕の世界?」

イタリア代表「この世界では重力を自在に操れるんですよ
例えば……こんな風に」

男「ぐっ……!」

イタリア代表「その状態じゃあ手も出せないでしょう」

男「くそっ……」

イタリア代表「今回は僕の不戦勝ということで」

司会「あ、はい」

男「まだだ!」

イタリア代表「僕の世界が崩れていく……だと!」

男「(グーのイメージを流し込み……)」

男、イタリア代表「ぽん!」

男:パー イタリア代表:グー

イタリア代表「そんな……」

男「次はグループ内での決勝戦か……」

イタリア代表「待って!何故僕の世界が崩れ去ったんです!?」

男「神の御加護ですよ」

イタリア代表「……?」

決勝戦

司会「決勝戦!日本代表vsアメリカ代表!」

男「アメリカ代表か……」

アメリカ代表「アメリカ代表か……」

男「あの、何でマネしてるんですか?」

アメリカ代表「あの、何でマネしてるんですか?」

男「(何だこいつ……
いや!
じゃんけんに於いてマネはあいこのこと……
こいつ、あいこ狙いか……!)」

男、アメリカ代表「最初はグー!じゃんけん――」

男「(パーのイメージを流し込んで……)」

男、アメリカ代表「ぽん!」

男:チョキ アメリカ代表:チョキ

男「(やはり!
しかも相当なマネっぷりだ……イメージに左右されないとは……
やはり神の御加護を受けるしかないか)」

男、アメリカ代表「あいこで――」

男、アメリカ代表「しょ!」

男:パー アメリカ代表:グー

アメリカ代表「Noooo!」

アメリカ代表「僕の真似する技術は完璧なはずなのに……」

男「(これでグループ内で勝ち残った
後はグループ内で勝ち上がった八人でトーナメントを行うだけだ
そこで必ずあいつと……!)」

男「ここでも直前まで対戦相手は分からないのか……
それに今回は他人の対戦も見られないし、控室もバラバラに設置してあるみたいだ
対戦相手の能力を調べることは絶対にさせないってことか
どちらにせよ他人の対戦にはそこまで興味ないんだけどな」

プルルル ガチャ

「ステージへお上がり下さい」

男「は、はい」

男「(俺の出番だ!)」

男「お前……」

モブA「あ、あなた……」

司会「サウジアラビア代表vs日本代表、始め!」

男「サウジアラビアの代表……?」

モブA「サウジアラビアで石油を掘ってるのよ
地区に投入する資金かせぎね」

男「あの時、こんなことしてられないみたいなことを言ってたような」

モブA「確かに言ったわ
でも、家来達が働いてる私を働きすぎだって心配して逆に仕事に身が入らなくなったから、少しの間休息を貰ったのよ」

男「なるほど、相手にとって不足なしだぜ!」

モブA「勿論だわ!パワーアップした私の能力を見せてあげる!」

男「(あの時の様にまた過去のイメージを……あれ?)」

男「(頭がクラクラして上手くイメージを送れない……)」

モブA「(私の新しい能力、それは脳の金縛り!
脳を一時的に活動停止にすることで能力を封じ、更には手を出すことさえ出来なくなる!)」

男「(こうなったら……自分にイメージを送るしかない)」

男「(今の状態で相手にイメージを送るよりは脳がすっきりしているというイメージを送る方が確実!)」

男「(頭がすっきりしてきたぜ……!後はグーのイメージを送るだけだ!)」

男、モブA「ぽん!」

男:パー モブA:パー

モブA「そんな……なんで」

男「俺の能力はイメージを送る能力、自分に脳がすっきりしているイメージを送ったんだ」

モブA「私の完敗だわ
出来たらまた勝負しましょう?」

男「勿論だぜ!」

男「次は……(また友じゃない……決勝戦で会えるんだよな、友)」

インド代表「よろしく」

司会「日本代表vsインド代表、開始!」

男、インド代表「最初はグー!じゃんけん――」

インド代表「はっ」

男「手が伸びた!?」

男「(そうか……相手が視認しない間に手を変える作戦か!)」

男「(ここは神の御加護だ……)」

インド代表「手が縮む!?」

男、インド代表「ぽん!」

男:パー インド代表:チョキ

男「よしっ!ついに決勝戦だ!」

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