赤屍「ベクトル操作ですか、楽しませてくれそうですね」 (95)

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間久部「よく来たな赤屍蔵人。紅茶を用意してあるぞ、座るがいい」


赤屍「おや、貴方が紅茶を嗜むとは意外でしたね。てっきりそういった物には興味を示さないかと」


間久部「なに、研究者にも少しくらいの息抜きが必要だ。どのみち、根を詰めたところで実験結果は変わらん」


間久部「上との接続が切れたこの世界では、なおのことだ」


赤屍「成る程。相変わらずお忙しいようですね」


間久部「確かに忙しいが、楽しくはやっているよ。天子峰もよく働いてくれているし、この世界で生きる人間達からの興味は尽きない」


赤屍「クス、それについては私も同意見ですよ、博士」







間久部「さて、本題に移ろうか」


赤屍「......クス、貴方からの依頼はいつも興味深い。今回はどのような仕事でしょうか? 」


間久部「期待しているところ悪いのだが、今回の依頼は私からのものではない。今は仲介役としてお前と話している」


赤屍「......」


間久部「だが、そう気落ちする必要はない。詳しい内容は話せないが、必ずお前を楽しませてくれる筈だ」


赤屍「......いいでしょう、続けてください」


間久部「赤屍よ、学園都市という街は知っているか? 」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367419346

赤屍「勿論ですよ。この世界の中で分かりやすく奇妙な場所は、無限城と学園都市くらいですから」


間久部「それで、私はそこの統括理事長と知り合いでな、身近にいる腕利きを貸してくれないかと依頼を受けたのだ」


赤屍「ほう、流石の人脈といったところでしょうか」


赤屍「しかし、私はあくまで運び屋であり、腕利きの便利屋ではありませんよ。そういった依頼なら、GBの蛮君や銀次君に頼んだ方がいいと思いますが」


間久部「成る程な。さて赤屍、こういった場合、私からはこう依頼すればいいかな」


間久部「赤屍蔵人、自分自身を学園都市に『運べ』とな」


赤屍「......クスッ、冗談ですよ博士。前々から一度学園都市を訪れてみたいと思っていたところです」


赤屍「私自身を学園都市に『運ぶ』仕事、確かに承りました」







今日はスレ建てだけ。

一応、ゲットバッカーズととあるのクロス

蹂躙は......多分しませんが、相手によります。

それじゃあ書いていきます。

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学園都市


赤屍「さて、指定された場所はこの辺りでしたか。成る程、いかにも『裏』の人間に使われそうなところですね」


赤屍「最新の科学技術がひしめく街であるとはいえ、このように寂れた路地も存在しているのですか......」


赤屍「学園都市......一体どんな『裏』の姿を持つのか......実に興味深い」


土御門「へえ、そいつは結構なことだな」


土御門「待っていたぜ。運び屋、赤屍蔵人」


赤屍「おや、貴方が話にあった案内人でしょうか? 随分と身を隠すのが得意なようですね」


赤屍「それも、この街にある『超能力』の一種なんでしょうか」


土御門「残念ながら、これには種も仕掛けもない。ただ隠れん坊が得意なだけさ」


赤屍「クスッ、そうでしょうね。そんなものが超能力だとしたら興ざめもいいところですから」


土御門「まあ、超能力への期待が大きいということは分かった。そして、己の力に絶対的な自身を持っていることも」


土御門「だがな、ひとつ言っておく事がある」

土御門「もう分かっているだろうが、この街には裏の世界が存在する」


土御門「そして、表側の光が強い分だけ裏側の闇も深くなる。それこそ、他の場所では想像もつかない程にな」


土御門「そんな場所では、人の命なんて虫けら同然だ。勿論、俺やお前のだって例外じゃない」


土御門「そこでだ、上手く生き延びていく為に大切な事は分かるか? 」


土御門「それはな、自分の立場を見誤らない事だ。己への過信を持つ者ほど、真っ先に死んで行く。当然の摂理だ」


土御門「この世界では、いかにして生き残るかが重要だ。誰にも守って貰えないのなら、自分自身で守るしかない。身を守るには、地に頭を隠しておくのが一番だ」


赤屍「......」


土御門「要するに、立場をわきまえて行動しろってことだが......裏の人間であるお前には既に耳タコか? 」


赤屍「.......立場をわきまえろと? クスッ、面白いことを言いますね」


赤屍「ですが、安心してください。これでも自分の立場は理解しているつもりですよ」









赤屍「あなた方が私への依頼主であるということ、これ以外に何かありますか? 」


土御門「!? 」


土御門「(な、なんだこの殺気は!? ローラでもこんなレベルのものは放てないぞ! )」


土御門「(全身から力が抜けていく......くそっ、なんて様だ! )」


赤屍「おや、突然座り込んでどうかしましたか? 具合でも悪くなったのでしょうか」


土御門「......」


土御門「(......情けないことに、立つことさえままならん状態だ )」


土御門「(さっきまで雄弁を垂れていたのがバカバカしくなってくる。いや、端から見たら馬鹿丸出しだったであろう)」


土御門「(相手の力量も見抜けないとは、俺もまだまだ甘々だな)」


土御門「(しかし、目の前の男、赤屍蔵人......)」


赤屍「......どうやら腰を抜かしてしまったようですね。弱き者に興味はありませんが、依頼主の下まで案内してもらわなければならないですし」


赤屍「宜しければ、肩をお貸ししますよ」


土御門「......ああ、すまない」






土御門「(本当に......人間なのか? )」

短いですけど、ここまでで。

知名度については、世界が切り離された結果として薄くなってしまったということでお願いします。

乙ー
安価の予定はないのかな?

>>28
安価の予定はないです。

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赤屍「貴方が依頼主の統括理事長様ですか? 」


赤屍「こんななりをしている私が言うのもなんですが、ずいぶんと奇妙な格好をされているのですね」


アレイスター「ふふ、それについては何も言い返せんよ」


アレイスター「私自身、こんな狭苦しいフラスコの中にいつまでもいることを良しとしている訳ではないからな」


アレイスター「時期が来たら、早々に抜け出させてもらうつもりだ」


赤屍「では、既にここを出る算段はついていると? 」


アレイスター「それについては、君の働き次第だよ。運び屋、赤屍蔵人」


アレイスター「申し遅れたな、私の名はアレイスター・クロウリーという」


アレイスター「この街を統括する理事会の長を務める存在だ。以後、よろしく頼むよ」


赤屍「クスッ、少々私のことを買いかぶっているような気もしますが......こちらこそよろしくお願いしますよ」


アレイスター「そうは言っているが、君からは相当の自信を感じられるよ。自分が失敗することなどあり得ない、と言っているとも解釈出来る程にだ」


アレイスター「もっとも、その自信を裏打ちする程の実力を持ち合わせていることは、先程の彼、土御門と言うのだが、彼とのやり取りで確認させてもらったが......」


アレイスター「流石、間久部博士の紹介といったところだな」


赤屍「おや、覗き見ですか? これは中々の趣味をお持ちのようでして」


アレイスター「ふふ、これが研究者の性分なのだよ。おそらく、博士も似たようなものではないのか? 」


赤屍「確かに、興味を持った人物についてはとことん調べ上げているようでしたが......本当に研究者という人種は分かりませんね」


アレイスター「一般人からは理解されない存在であるからこそ、新たな事実を発見出来るとも言うな。それに、理解してもらうつもりは毛頭ない。研究者とは孤独なものだよ」


赤屍「そうしていただけると助かりますね」

アレイスター「おっと、話が逸れてしまっていたな。依頼について話をしようか」


アレイスター「だがその前に、赤屍蔵人、君が超能力を目の当たりにして、どのように感じたのかを聞かせてもらいたい」


赤屍「それは、先程の空間転移について言っているのでしょうか? そうですね......」


赤屍「確かに珍しく、便利であるとも感じましたが、力と呼ぶには余りに脆いかと。それは、使い手の弱さに起因していると思われます」


赤屍「先程の彼女も、持つ力の強大さに見合う程の精神を持ち合わせていないように見えましたが」


アレイスター「全くもってその通りだ。彼女はこの街でも上位の能力者に当たるのだが、それでもあの程度の実力しかない」


アレイスター「正直に言って、これでは他の勢力と釣り合いが取れないのだよ」


赤屍「他の勢力......無限城や魔術に関連した人々でしょうか? 」


アレイスター「そうだ。だが、無限城の勢力と対等になろうとする程、私はおこがましくはない。要は魔術師に勝る勢力を作り出せればいいのだ」


赤屍「......」


アレイスター「その鍵となるのが、学園都市230万人の頂点に立つ超能力者、その名を一方通行と言う」


アレイスター「君に頼みたいのは、彼の特訓だよ」

赤屍「......つまり、その一方通行とやらを高みに『運べ』と」


アレイスター「と、今朝までの私なら言っていたであろうな。しかし、君がこの街に入った時、状況は急変したのだよ」


アレイスター「君に鍛えてもらうはずだった一方通行が、持ち得る筈のない力を利用して消えたのだ。この瞬間の映像を確認したのだが、私では首を傾げることしかできなかった」


アレイスター「これについては......いや、よそう」


赤屍「貴方は先程のようにこの街を監視しているのですよね? 何か兆候といったものは見つけられなかったのでしょうか」


アレイスター「確かに、それらしき様子の変化は確認出来たが......すぐさま正体不明の光が視界を遮ってな。消える頃には、既に一方通行を見失っていた」


赤屍「本人の能力による消失ではなく、魔術師の仕業という線は? 」


アレイスター「それも考えられるだろう。彼を操り、特殊な方法で魔術を行使させたのかもしれない」


アレイスター「しかし、私にも魔術の心得があってね、そこから判断するにこれは魔術師などの仕業ではないと断言できる」


アレイスター「現在、最も危惧すべきなのは..........................だ」


アレイスター「これを阻止するには、君の力を借りるしかない」



赤屍「......実に興味深い。久しぶりにゾクゾクして来ましたよ」


アレイスター「だから、こう依頼しよう」


アレイスター「..................とな」


赤屍「クスッ、いいでしょう。偶にはこういった大きな仕事を受けてみたいですから」


赤屍「ただし、先に一つだけ言っておきます」









赤屍「私は、仕事の『結果』よりも『過程』を重視しています」


赤屍「ですから、楽しませてもらいますよ。依頼料も含めてね」


アレイスター「......」


アレイスター「(成る程、本気出さずにこのレベルの殺気を放つことができるのか。まさしく人外だな)」


アレイスター「(だが、今回の一件で『プラン』を大幅に短縮することが出来そうだ。ふふ、こちらこそ楽しませてもらうよ、赤屍蔵人)」

今日はここまで。

次回は一方通行のパートでいきます

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