P「アイドルが全員やめてしまった……!」(251)

P「ああ、どうしよう……」

小鳥「お、落ち着いてください!」

P「これが落ち着いていられっか!」

小鳥「あの。心当たりは?」

P「あります。……それが」

P「美希がですね、いつもの様にベタベタしてくるので」

小鳥「してくるので?」

P「俺とお前は、立場上そういうことしちゃいけない」

P「どうしてもしたけりゃ、アイドル辞めてからこい。そしたらいいよ、って言ったんですよ」

P「それを皆に聞かれてました」

小鳥「あっちゃぁ……」

P「いやあ、困ったなぁ」

小鳥「困りましたね……」

P「……よし、俺はバックレます」

小鳥「ちょ、ちょっと!?」

P「だって、みんな止めたんですよ!?どうしろっていうんですか!」

P「……どうしようもないじゃないですか」

律子「それをどうにかするのが、貴方の仕事ですよ」

P「!……り、り、りりりりりりり」

P「律子ォォォぉぉぉおおおおおお!!!!!」

P「そうか、お前は残ってくれていたのか!」

P「お前がいるなら100人力だ、なんとかなるぞ!」

小鳥「おいコラ」

P「さて、これで三人そろった」

小鳥「あれ、社長は?」

P「社長?あれ、そういえばいない」

律子「いや。普通一番にこの事態を報告しなくちゃいけない人ですよね」

P「……よし、社長が帰ってくるまでになんとかするぞ」

律子「なんとかって。……どうするおつもりで?」

P「ふふん。その辺はいま考え付いた」

P「……今日は確か、3人一緒の仕事がありましたよね、小鳥さん」

小鳥「は、はい……」

律子「……あの。まさかとは思いますが」

P「そのまさかさ。俺たちが出る!」

小鳥「うわー……最悪の手ですね」

律子「く、苦情の処理は事務員の仕事ですよねー」

小鳥「えっ」

P「……できれば、俺もこの手は使いたくない」

P「しかし、そうでもしないと先方に迷惑がかかる!」

P「……やるしかない、そうだろう?律子……」

律子「やっぱり、もう少し考えません?」

P「いや、だめだ。もう時間がない。やるしかないんだ」

律子「本気ですか」

P「ああ、俺は本気だ」

律子「踏みとどまる気は?」

P「崖っぷちで踏みとどまるなら、いっそのこと落ちる!!」

小鳥「ひとりで落ちてください」

P「小鳥さんつーめたぁ~い~」

小鳥「……」 イラッ

律子(もう、やるしかないようね……)

数時間後 楽屋

小鳥「……あの、大丈夫でしょうか?」

P「大丈夫ですよ」

小鳥「こ、これ、生なんですよね?」

P「ええ、生です」

小鳥「明日、きっと苦情の電話殺到しますよね?」

P「俺と律子はほら、プロデューサー業がいそがしいので」

小鳥「さ、刺されたりしませんよね!?」

P「…………ええ!」

小鳥「その間はなんですか……!」

律子「……そろそろ時間ですね」

P「よし、じゃあ行こう!」

小鳥「プ、プロデューサーさん……今からでも事情を話せば……」

P「もうそんな段階じゃないですよ。それに、今の俺はプロデューサーじゃないです」

P「今の俺は、雪歩だ!」

放送中

司会「765プロの三人は二回目だっけ?」

P「はい、そうなんですぅ~↑」

司会「雪歩ちゃん、すこし見ないうちに成長したね」

P「成長なんですぅ。毎日穴掘ってるから、筋肉ついちゃって」

小鳥(む、ムリがありすぎる……!)

司会「春香ちゃんも、ちょっと大人っぽくなったよね」

小鳥「えっ!?あ、はい!その、えっと、大人です!」

P(ちょっと、なにテンパってるんですか)

小鳥(テンパらないプロデューサーがおかしいんですよ!)

司会「あと……えっと、千早ちゃん?」

律子「……何か」

司会「……ま、まあっ!みんな見ないうちに成長しましたねー……」

司会「成長期だもんね…………」

P(乗り切った!)

司会「えっと、じゃあ歌の方はどれくらい成長したか見せてもらおうかな!」

小鳥(歌!?)

律子「聞いてませんけど……、どうするんですか?」

P「大丈夫ですぅ、どうせこんな番組口パクですぅ」

律子「雪歩の真似しながら言うのやめてくれません?イラっとするんで」

P「穴掘って埋まってますぅ~↑」

小鳥「ほ、ほ、本当に口パクですよね?」

P「まあ、最悪の場合。歌えばいいですし」

律子「歌ったあとが最悪になりますよね」

小鳥「人前で歌うなんて……」

P「まあ、なるようになりますよ」

小鳥「何でこんなに楽観的なのこの人」

P(……)

P(口パクじゃなかった……!)

小鳥(なんてことなの……)

律子「♪」

P「律子?」

律子「えっ、あ、はい。……今は千早ですよ」

P「それはいいんだ。お前ちょっと嬉しそうじゃないか?」

律子「そ、そんなことは」

P「ははーん。久々にアイドルっぽいことが出来るから、内心楽しんでるんだ」

P「可愛いやつめ!」

律子「……はやく席にもどりましょう、萩原さん」

P「合点だ」

放送終了後・楽屋

P「いやー、なんとか乗り切れた」

小鳥「今頃事務所に電話が……」

小鳥「誰もいないから、誰も出ない」

P「あー、居留守つかってると思われるでしょうね」

小鳥「だったら私だけでもお留守番させてくれれば……!」

P「それはダメです。連帯責任」

小鳥「理不尽!」

律子「あの、ひとつだけ言いたいことが」

P「なんだ」

律子「……何故私が千早役なんですか?違和感ありすぎますよね」

P「しょうがないだろう。これでも被害は最小限におさえてるんだ」

P「雪歩と千早役を律子と小鳥さんでやってみろ、悲劇だぞ」

律子「誰が誰をやっても悲劇だと思うんですが」

P「あーもう!ちくしょう!文句ばっかいいやがって!」

P「俺だってなぁ、考えてるんだよ、ちきしょうめ!」

律子「だったら、もう少しマシな方法を」

P「おれだっていい年してこんなピンク色の服着たくなかったよ!」

小鳥「 」 ピキッ

P「けど、そこはほら?事務所のためっつーか?」

P「……そう、こうやって765プロがやばいとなれば!」

P「きっとみんな戻ってきてくれるはず!」

律子「それ、いま思いつきましたよね」

P「……ごめんなさい」

小鳥「あ、あの。……バレないうちに帰りません?」

P「そうですね」

P「……いいか、あくまで局でるまで、俺たちはアイドルだからな」

律子「わ、わかってますよ」

小鳥「ばれませんように、ばれませんように」

律子「危ない橋を叩いて渉ってる気分だわ……」

P「これを乗り越えたら、俺はもっと上のステージにいける気がする」

律子「いかなくていいです!」

P「ほら、その角を曲がったらあとは出口まで一直線──」

ドンッ

P「ぎゃんっ!」

冬馬「うわっ!」

P「…………」

冬馬「………」

P「あ、冬馬さんですぅ」

冬馬「なんだ、萩原か」

P(よし、ごまかせた!)

冬馬「……あれ、お前なんか変わったか?」

P「せ、成長したんですぅ」

冬馬「そっちは天海と………………如月……だよな?」

小鳥「と、ととと、冬馬くん!こ、こんばんは」

律子(ほら、やっぱり不自然なんですよ!あの天ヶ瀬冬馬ですら一瞬迷いましたよ!?)

P「冬馬さんは、ひとりなんですか?」

冬馬「まあな!ピンの仕事が来てよ。まあ、お前らじゃまだムリだろうけどな」

P「あ?」

冬馬「!?」

P「……うおっほん!……ですぅ」

冬馬「……まさか、お前」

P(どうせコイツの事だ!「風邪でもひいたのか?」って言うにきまっている!)

冬馬「萩原じゃねぇな!?」

P「あ、あれぇ……、何で……?」

小鳥「何でじゃないでしょう」

冬馬「……なるほど、事情はわかった」

P「そんなわけで、俺たちはいまピンチなんだ」

冬馬「大変だな。まあ、バレないように頑張れよ」

P「……はぁ?」

冬馬「な、なんだよ」

律子「あなた、私達の秘密を知って無事でいられるとでも?」

冬馬「脅す気か……?」

律子「ええ。あなたには私達に協力してもらうわ」

冬馬「きょ、協力……?」

冬馬「……わ、わかった、このことは誰にも話さねえ」

P「何いってんだ、お前も替え玉やれ」

冬馬「なんで俺が765プロで替え玉やらなくちゃなんねえんだよ!」

冬馬「俺には俺の仕事があるし」

冬馬「もし競演とかになったらどうする気だ!?」

律子「その辺は大丈夫。全部で4人いるもの」

律子「あなたが天ヶ瀬冬馬としての仕事があるのなら、私達から三人だせばいい」

律子「余った一人が、事務所での仕事をすることになるわね」

小鳥「……え、じゃあ私普通に事務員やっていいんですか?やったー!」

P「まあ、基本は冬馬と俺のローテーションが理想かな」

小鳥「私事務員できないじゃないですか!やだー!」

冬馬「俺がもし、協力しないで全部バラしてやるっていったら?」

P「……冬馬さんはそんな人じゃないですぅ」

冬馬「それイラっとするからやめてくれないか」

P「お前は、そういう事するやつじゃない。信じてる」

冬馬「…ば、ばっかじゃねぇの」

P「……あ」 ピキーン

冬馬「なんだよ」

P「とりあえず、お前を誰の替え玉に最初にするか決まった」

P「まあ、連絡は後日する!あばよ!」

律子「それじゃ、これからよろしく頼むわよ」

小鳥「ご、ごめんなさい……」

冬馬「……おい、まじかよ」

後日・765プロ

P「まさか本当にきてくれるとはな」

冬馬「ほ、ほら。お前らがあんまりしょぼいんじゃ、俺も張り合いねぇからよ……」

P「うんうん。それでいいそれでいい」

P「じゃあ、今日は俺が事務の仕事を……」

小鳥「プロデューサーさん、お願いです!私に、私に事務の仕事をぉおお!」

P「そんなにしたいんですか?」

小鳥「したいです」

P「もっと、恥じらいをもって!」

小鳥「し、したいです……」

P「よし、代りましょう」

小鳥「……ほっ」

P「さて、冬馬。まずは準備だが」

P「オールバックにしてくれ」

冬馬「はっ!?なんだよいきなり」

P「律子、エクステとかウィッグの類を」

律子「もう準備してありますよ」

P「流石!」

律子「まあ、幸い。髪の色は近いですし、後は長くみせればいいでしょうね」

冬馬「おいおい、何をする気だよ」

P「あと。お前には今日はこれを抱いてもらう」

冬馬「なんだ?この汚れたテディベアの出来損なぬいぐるみは」

P「いいか、よく聞け」

P「お前には、伊織になってもらう」

冬馬「はああああああああああああああ!?」

P「わざわざウチまで着といて驚くか、普通」

冬馬「いや、まて。ムリがあるだろ、体格的によ」

P「俺は雪歩になったけど、まあ苦情の電話あったくらいで乗り切ったぞ」

冬馬「乗り切れてねーよ!」

冬馬「つーか、アンタは誰になるつもりだ?」

P「おれか?俺は……」

P「やよいだ」

冬馬「こんな高槻ならぶん殴るのに何のためらいも罪悪感もねえな」

P「うっうー!!」

冬馬「で、秋月は誰なんだよ」

律子「美希よ」

冬馬「……大丈夫なのかよ、この組み合わせ」

P「うだうだ言ってても始まらない、いくぞ!」

冬馬「ちょっとまて、今日の予定はなんだよ」

P「バラエティだ。安心しろ、歌いはしない」

冬馬「歌う以前の問題だろこれ」

P「あ、こら、動くな!いまお前の髪増量してんだからよ」

冬馬「あぁ、もう……。貸せよ、自分でつける」

冬馬「……」

冬馬「……っ!」

冬馬「…っ!!……っ!」

P「つけてやるよ」

冬馬「……頼む」

数時間後 楽屋

P「……いよいよだな、うっうー」

冬馬「すげえ不安……」

律子「あら、らしくない」

冬馬「これで不安にならないほうが可笑しいだろ!」

P「うっうー!そろそろ時間だうっうー!」

冬馬「そのうっうー言うの止めろ!」

P「……はっ!まずい、べろちょろがない」

冬馬「いいだろ、そんなもん。高槻だって毎日持ち歩いてるわけじゃ」

P「……とりあえず、このワニ革のポシェットで」

冬馬「代用できるわけねーだろ!」

本番中

司会(なんかツッコんじゃいけないっぽいなあ)

司会「今日は、765プロの三人が着てくれましたー!」

司会「しかも。今日はやよいちゃんが愛用してるポシェットのベロチョロを持ってきてくれました!」

冬馬(おい、大丈夫なのかよ)

P(ふっ、任せとけ)

司会「じゃあ、さっそく見せてもらいましょう」

P「これです!」 ドヤァ

司会「……あ、あれ?これは、ワニ革?」

司会「おかしいか、カエルのポシェットって聞いてたんだけど」

P「実は、初代べろちょろはお亡くなりになりました……」

冬馬(お、おい!)

P(大丈夫、このまま話を盛っていく!)

P「このべろちょろは、三代目なんですよ」

司会「えと、二代目は?」

P「二代目は、蛇革でした……」

P「最初のべろちょろが死んじゃったときは、妹達がドン引きするくらい泣いちゃいました」

P「でも、あ。でもいい機会だから買い替えたほうがいいかなーって」

P「CDも売れてるし、ちょっと奮発しようかなーって」

P「で、伊織ちゃんに選んでもらって二代目べろちょろを買いました!」

冬馬(おい、俺を巻き込む気か)

律子(一番巻き込まれてるのは本人だけど)

律子(やよいのイメージが壊れていくわ……)

冬馬(誰もコイツを本人だとはおもわねーよ!)

司会「へー、じゃあ伊織ちゃんはどういう風に選んであげたの?」

冬馬「え?えっと、まあ、そ、そ、そう、ね」

冬馬「最初のべろちょろとの別れを通じて、やよいには強くなって欲しいかったから」

冬馬「カエルを食べる、蛇の皮にしたのよ」

律子「あは、デコちゃんも案外単純なの」

冬馬「デコちゃん言うな」

P(冬馬もやると決めたらやってくれるのな)

司会「じゃあ、二代目はどうしちゃったのかな?」

P「……それが」

律子「美希が、キャラメルマキアートこぼしちゃったの」

冬馬「それで仕えなくなるってわけでもないけど」

冬馬「……まあ、やよいにはいつもお世話になってるから、いい機会だとおもって」

司会「それでワニ革ポーンと!?」

P「うっうー!水瀬の力ってすげー!」

冬馬(こいつわざとやってないか……?)

P「そんなわけで、これが三代目べろちょろです!」

律子「今思えば、二代目は短命だったなー」

冬馬「そうね……」

P「でも、質屋に持っていったら高値で引き取ってくれました」

司会「し、質屋」

P「でも、思うんです」

P「やっぱり、初代のべろちょろが一番いいかなーって」

P「……」 ドヤァ

冬馬「やよい、決まってないわよー」

放送後・楽屋

律子「……やよいの好感度多分下がりますよね」

P「まあ、もう事務所いないし」

冬馬(うわ、ケータイに北斗からメール来てやがる)

冬馬(そりゃバレるわなぁ……)

律子「でも、これでこれからも何とかやっていけそうですね」

P「ああ、俺たちの戦いは続く!」

冬馬「……で、次はいつ手伝えばいいんだ?」

P「……そうだなあ、また電話するよ」

冬馬「こっちのスケジュール調整だってあんだから、早めに連絡してくれよな」

律子「ええ、その辺りは心配しなくて大丈夫よ」

冬馬「……じゃ、俺は先にでるぞ」

P「あ、ちょっと待て」

冬馬「な、なんだよ」

P「……今日はありがとう、伊織ちゃん」

冬馬「……にひひ、ヤヨイノタメダモンー」

律子「……あふぅ」

律子「あら、つい美希の真似してあくびしちゃった」

P「かわいいな」

律子「やよい程じゃないわよ」

P「うっうー!律子さんにほめられましたー!」

P「……さて、俺たちも帰ろうか」

律子「そうですね」

後日・765プロ

P「やー、悪いな。またきてもらって」

冬馬「いいよ、もう。で、今日は誰になればいいんだよ」

P「今日は真だ」

冬馬「……よかった」

P「お前それ失礼だぞ」

冬馬「まあ、水瀬よりはましだろ」

律子「今日はバラエティなんだけど……、素人参加型みたいだわ」

冬馬「何やるんだよ」

P「腕相撲だ!アイドルの華奢な腕を俺たちでねじ伏せてやる!」

冬馬「下衆だな、あんた」

P「うるさいわい」

数時間後 楽屋

冬馬「で、あんたらは誰なんだ?」

P「……私ですぅ」

冬馬「また萩原か」

律子「私は貴音ね」

冬馬「……本人だしても優勝できるチームだな」

P「でも、男の俺たちにはかなわない!」

P「じゃあ、そろそろいくですぅうううう!!!」

P「ですぅ!」

アイドルA「きゃっ!」

冬馬「えいっ!」

アイドルB「あーんっ!」

司会「おぉーっと!765プロチーム、またしても二勝先取!」

司会「ここまで、四条貴音出さずして勝ち進んでいます!」

アイドル(ま、まるで男の人みたい……!)

司会「さて、765プロと次に戦うのは……」

司会「おっと、こちらは一般からのご参加だ!」

司会「しかも、このチームには奇しくも!」

司会「菊地真ちゃんのそっくりさんがいるのです!」

P「へー、偶然ってあるもんだなあ」

P(まあ、誰がこようと小娘が俺に勝てるわけ)

P(……)

P(…………!)

P「ひ、ひぃぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!」

真「……」 ニコッ

P(何で、何でここに真が!?)

P(つか、そっくりさんってなんだよ!偽名使ったか!?)

P(そんなことが、ゆるされるとでも?)

真「あ、いつもテレビでみてます、萩原雪歩ちゃん?」

P「あああああ、う、うん、あ、ありがとうございますぅ」

真「最近、すごく活躍してますよねー」

P「う、うん!お、おかげさまですぅぅ……」

真「でも、アイドルだからって手加減しないから」

真「ね?」 ニコッ

P「ひぃぃぃぃぃいいいいい!!」

司会「それでは、手を組み合ってください!」

ガシッ

真「……何やってるんですか、プロデューサー?」

P「いや、これにはふかーい訳が」

真「……訳?」

P「ほら、お前らがいなくなったから、さ……その穴埋めっていうかぁ?」

P(おちつけ、いくら真でも、流石に……俺には勝てないはずだ)

真「……だからといって、ちょっとやりすぎですよね」

P「だから!お前たちが!」

司会「ファイッ」

P(ええい、一気に沈めてや───)




ボキィイッ

司会「……」

真「……コール、お願いします」

司会「え」

真「ボ……私の勝ちですよね?」

司会「……あ!」

司会「な、なんと!今までストレートで勝ってきた雪歩ちゃんを一瞬で倒してしまいました!」

司会「しかも相手は菊地真ちゃんのそっくりさんその名も菊池誠!」

冬馬「……嘘だろ、本人じゃねーか」

律子「それにしても、誤変換みたいな偽名ね」

P「……っ、い、いってぇ……、コレ折れてない?ねぇ、折れてない!?」

司会「あー、一応教護班用意してるから」

P「うぅ……、逆ギレされたよぅ」

冬馬「……なあ、俺いなくちゃだめか?」

律子「棄権っていう手もあるわね」

冬馬「なあ、棄権しないか?」

律子「でも、真はもうこないわよ」

冬馬「次に来るのあのマスク被ったヤツだろ!?」

律子「……あの威圧感」

P「……あれは、貴音だ!」

冬馬「お、おい!アンタ大丈夫なのかよ」

P「さすが真だ……、腕を台の上に叩きつける瞬間に肘を脱臼させ」

P「思い切り叩きつけた衝撃を利用して戻しやがったぜ……」

冬馬「いやいや、ムリだろそれ」

律子「無事で何より……ですけど」

P「どうする、冬馬?」

冬馬「棄権するにきまってんだろ!」

数時間後・765プロ

P「いや、酷い目にあったな」

律子「まあ、三割がた自業自得ですけどね」

冬馬「つか、あれだけアイドル貶めて脱臼で済めば良いほうだろ」

小鳥「そうですよ、やりすぎてファンに刺されるなんてこともあるんですし」

P「……くぅ!でも納得いかん……」

ガチャ

真「あ、あのー」

P「ひひゃぁあぁぁぁぁあぁあああああああ!!?」

真「うわっ!?……お、脅かさないでくださいよ」

P「な、何しにきたっ!お前はもう部外者だろっ……」

真「ん。それ言われちゃうと、言いかえませんよ…………」

P「元はといえば、お前らがいなくなっから!」

真「それは分かってますけど」

真「実際、あのですぅにはイラっときましたし」

P「……ですぅ」

冬馬「やめろ」

律子「張り倒しますよ」

P「ちょっとまて、何でおれが悪いみたいになってんの」

冬馬「まあ、コイツの軽率な発言はあったとはいえ」

冬馬「止めたお前らが悪い。……けど、俺らもやりすぎたな」

P「……うぅ、確かに」

冬馬「で、どうするんだよ菊地」

真「え?」

冬馬「765プロに戻るのか、戻らないのか」

P「ちょっとまて、何でお前がそれ聞いてんの?」

冬馬「誰がきいたっていいだろ」

P「だって、俺が聞きたいんだもん」

冬馬「……じゃあ、もっかい聞けばいいだろ」

P「おう」

P「さあ、真。どうする?」

真「……でも」

P「あー、そうね、はい、お前部外者だもんね」

真「……」

P「あー、でもなー!今日のがトラウマになって、うちの真がちょっと仕事できなくなったんだよなー」

P「そっくりさんとかいないかなー!」

小鳥「わざとらしいですよ、すごく」

冬馬「もっとうまくやれねぇのか」

P「あーもう!いいじゃん!」

P「……まあ、ほら?」

P「流石に、発端の一因は俺にもあって?」

P「止められたのは困るけど、俺もちょっと軽率だったかな、と」

P「あー。まあ、ほら」

P「だから、その」

P「……戻ってこいよ」

P「ほら……、やっぱウチって一人でも欠けたらいかんっしょ」

冬馬「……だとよ」

真「……いいの?」

P「ただし」

P「一発殴らせろ」

律子「うわぁ……」

律子「プロデューサー、さすがにそれは」

P「わーってるよ、ガチでいってるわけじゃない」

P「俺は、それ程の責任を感じているかを問うている!」

真「……まあ、殴られてもしょうがないですよね」

P「よぅし、ならいい」

P「……あ、冬馬。履歴書かってきて」

冬馬「は?」

P「いや、真が書くから」

冬馬「いや、こいつが入ってきたときのは?」

P「……え、あたらしく入るんだぞ?」

P「書くべきだろ」

冬馬「いいだろ、別に。この際」

P「いいや、だめだ!」

小鳥「でも、みんな止めてしまったとはいっても」

小鳥「そのことを社長には伝えてませんし」

P「……え、つまり?」

律子「正式に受理されてませんってこと」

律子「だから、履歴書は必要ないと思いますよ」

P「……」

P「ならよし!おかえり、真」

真「い、いいのかな……、なんか」

冬馬「まあ、本人がああいってんだし……」

P「……真が戻ってきたとしても」

P「他のやつらはどーする?」

律子「流石に替え玉はもうムリですよ」

冬馬「そういえば。菊地、四条はどうした?」

真「え?……局をでるまでは一緒だったけど」

P「……よし、どうにかして皆を呼び戻さないと」

P「真には骨を折ってもらわんとな」

真「は、はい!」

P「まず、一人一人案をだしてくれ」

冬馬「普通に、電話でもすればいいだろ?」

律子「そうですね。一人ずつそれで呼び出して事務所にきたらそのまま囲ってしまえば」

P「いや、俺らキャッチセールスじゃないんだし」

小鳥「でも、手段を選ぶ必要もないんじゃ」

P「……真は?」

真「ボクですか?」

真「……そうですね、皆はプロデューサーとベタベタするために止めたんですから」

真「似たような感じで、戻ってこさせればいいんですよね」

真「たとえば、頭撫でてやるから戻ってこいとか」

P「いや、それで戻ってきたら苦労しないだろ」

冬馬「やってみりゃいいんじゃないのか」

P「ま、それもそうか。じゃ、……送信っと」

P「あのさ」

P「うん、いいんだけど」

P「お前らさ」

P「それでいいの?」

春香「え?何がですか?」

P「いや、なんでコレで戻ってくるのかなって」

美希「だって、ハニーが撫でてくれるんでしょ?」

亜美「そりゃ、もどってくるっしょ」

P「いや、いいの。嬉しいんだけどさ」

P「……まあ、みんなそろってよかった」

真美「兄ちゃん、兄ちゃん。あずさお姉ちゃんがいませーん」

P「来る気がないのか迷ってるのか、分かり辛いな」

P「まあいい。迎えにいく」

千早「でも、もし彼女に戻ってくるつもりがなければどうするんですか?」

P「「どこで運命の人探すんだよ!」って怒鳴りつける」

P「……いや、普通に「戻ってきてください」でいいかな」

P「……まあ、いいや。行こう」

P「じゃあ、冬馬。あとは任せる」

冬馬「はっ!?」

冬馬「……」

春香「大変だね」

冬馬「元はといえば、お前らのせいだからな!?」

律子「そうよ、春香。まったく、プロデューサーとベタベタしたいのはわかるけど」

春香「ごめんなさい……」

冬馬「で、俺はどうすりゃいいんだ」

亜美「え、兄ちゃんに言われたこともう忘れたの!?」

冬馬「だから、なんで俺がっ!俺だって961での仕事あんだよ!」

律子「大丈夫よ、もうこんなこともないだろうから」

冬馬「だといいけどよ」

ピリリリ

冬馬「はい」

P「あずささん見つからない、どうしよう!」

冬馬「だから何で俺にかけてくるんだよ!」

P「発信履歴の一番上だったのさ」

冬馬「ああ、そうかよ。つか、俺にかけないで本人にかければいいだろ」

P「そうしたんだ。で、彼女がいる場所にきたんだけど」

P「みつからな……あ、あずささぁぁぁぁぁぁんんっっっ!」

冬馬「……はぁ」

ピッ

春香「大変だね……、ホントにごめん」

冬馬「いや。なんかもう、……いいわ」

P「……いやあ、これで全員そろった」

律子「お疲れさまです、プロデューサー殿」

P「とりあえず、みんなには一旦家に帰ってもらったけど」

P「これで一安心」

小鳥「よかったですね、みんなが戻ってきてくれて」

P「はい、まったくですよ」

冬馬「これでやっと俺も戻れるな……」

律子「あなたも、お疲れ様」

P「……まあ、これからも四人で頑張ろうか」

冬馬「いや、俺を入れるなよ」

P「俺もこれからは色々と気をつけてしゃべろう」

律子「そうですね、それがいいですよ」

P「……あれ、でも」

P「俺とベタベタしたきゃ、トップアイドルになれっていえば……」

律子「止めてください!」

小鳥「私もしまいには怒りますよ!?」

P「ご、ごめんなさい!」

律子「何にせよ、社長が戻ってくる前に片付いてよかった」

P「まったくだ」

P「あ、でも。服はまた着てみたいな」

律子「え」

冬馬「おいおい……」

小鳥「あなたという人は……」

P「ですぅ↑↑」


とりあえず、終です。
不快になった人はすいませんでした。

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