塞「みんな大変! 胡桃にバッテリー寿命がきたみたい!」 (53)

 ――昼 岩手>宮守女子 麻雀部室


胡桃「」

エイスリン「クルミ! オキテ!」

塞「うぅ……だからあれほどシロで充電するときは
   体のシロ成分が全部ぬけてからにしろって言ったのに!」

白望「……」

姉帯「充電しながら電力を使うと長持ちしないもんねー……
    携帯電話の電池とかとか……うぅ」

白望「……」

白望「……」

白望「え……?」

エイスリン「ク、クルミ……シンジャッタノ?」

塞「そ、そんなはずない! こんな所で死なせたりなんかしないから」

塞「確か充電池を復活させる方法がいくつかあったハズ
   諦めるのは それを試してからでも遅くないって」

姉帯「じゃ、じゃあじゃあ! 私がやふーで検索してみるよー」

白望「……胡桃」

白望(いつものように膝の上で充電してたはずの胡桃が突然
    糸を切らした人形のように前のめりに傾き
     今はうつ伏せのまま倒れ伏せている)

白望(死んだ……? 充電のしすぎで?)

白望「……」

塞「で、でも念のため救急車も呼んでおこう」

 >ピッ、ピッ

塞「あ、もしもし! ――」

エイスリン「シロー……クルミ……クルミガ……」

白望「……」

胡桃「」

胡桃「」


胡桃(……や、やべー どうしよう)

胡桃(ちょっとしたドッキリのつもりでエイちゃんと
    打ち合わせしたのに 私の演技が上手すぎたのか
     仕掛け人のエイちゃんまで 私が死んだと思ってるし)

胡桃(いやでもおかしいでしょ! 充電のくだりで気付いてよみんな!
    分かるでしょ普通は! そこでネタバラシの予定だったのにー!)

胡桃(と、とにかく もう我慢できない!
    救急車ならまだキャンセル効くだろうし 起きるなら今しか――)

白望「胡桃……」

白望「っ……胡桃……ゴメッ……ン……ゴメンナサイ……!」

エイスリン「シロっ……ナカナイデ? わ、ワタシモ……グスッ……ナキナクナルヨ……!」

姉帯「う、うえーん! クルミー! クルミ死んじゃやだー!」

胡桃(あ、これ起きるの無理だわ)

塞「諦めないでよみんな!」

姉帯「だってー、だってぇー……」

塞「もうトヨネ! それ貸して 私が探すから」

塞「えっと……十円硬貨で電池を挟むのが一般的な方法だから
   この状況で見立てるとすれば 胡桃を私達みんなで挟めばいいみたい」

胡桃(えっ)

塞「ほらみんな床に寝そべって! みんなで胡桃をギューッとするの!」

エイスリン「ウン……ワ、ワカッタ! ヤル!」

白望「胡桃……」

姉帯「が、がんばるよー」

胡桃(あわわわわ!!!)

白・姉・エ・塞「せーの!」

 >ギューッ

胡桃(にゅああ゛ああ゛!!!?? 痛い痛い! 潰れる潰れる!)

 >ギューッ

胡桃(あ、でも おもちがいい感じに柔らか以上にやっぱり痛い!)

 >ギューッ

胡桃(あ、ヤバい 寝ころんでるのに頭クラクラしてきた)

胡桃「」

 >ギューッ

胡桃「」

塞「……ダメか」

エイスリン「ト、トヨネー……クルミ オキナイヨー……」

姉帯「うん……うん……どうしよー」

胡桃「」

胡桃「」

胡桃(――はっ いま一瞬意識トんでた!)

白望「そんな……ウソだ 胡桃……くるみ」

塞「ま、まだ方法はあるって! 諦めんなシロ」

胡桃(や、やばい……次なにかされたら
    ほんとに死んじゃうかも……)

塞「――あぁもう見つからない! なんで……?」

塞「なんでよぉ……やだ……やだぁ! 胡桃がいなくなるなんてグスッ……絶対いやっ」

胡桃(私もイヤだからそんな反応しないでよホント! 逆に起きにくいの!)

姉帯「あ、あのあのみんなー?
    ……一つ思ったんだけど 聞いてくれるかな」

エイスリン「トヨネ?」

姉帯「電池って先端が剥き出しになってるよねー?
    でもさっき 私達とくっていてた胡桃は
     服を着てたと思うんだー」

胡桃(えっ)

塞「そ、そっか! 胡桃の服が 私たちと胡桃の接触を邪魔する
   絶縁体になっていたのね!」

胡桃(いやその理屈はおかしいって!
    私とシロは服を着たまま充電できてたって前提なのに!)

塞「じゃあみんな! 急いで胡桃をスッポンポンに剥きましょう!」

胡桃(ギャー! 待って待って待って! シロじゃないけどちょっとタンマ!)

白望「まって」

エイスリン「エッ」

白望「は、ハダカなら 私がなる」

塞「……え!? なんで!?」

白望「だって……く、胡桃がグスッ……充電充電って
    っふぇ……ただ甘えてた、だけ……なのに グスッわたし……胡桃が好きだったから」

白望「胡桃の気持ち利用して……いつもくっついて……っう
    だから……責任、とらなくちゃグスッ……私のせいヒックだから」

塞(あっちゃー……)

姉帯(あわわわ、あわわ)

姉帯(ど、どうしよー シロがガチ泣きしちゃったよー)

塞(こ、ここで逆ドッキリはオシマイってなる予定だったのに……
   やっぱり何も知らないシロで臨場感をだそうとか考えないで
    最初から仕掛け人に引き入れればよかった……)

エイスリン「アワワワワ……!」

胡桃「ご」

胡桃「ごめん!」

白望「え……?」

胡桃「実はドッキリだったの! ごめん!」

白望「……」

胡桃「死んだとか 充電切れとか一切ないです!
    許して! シロ! 何でもするから!」

白望「……よ」

胡桃「……」

白望「よかった……胡桃 生きてた……?」

白望「よ、よかった…… よかったよぉ……」


――
―――


白望「何か言うことは?」

エ・塞・姉「ゴメンナサイ!」

白望「謝る相手が違うよね」

エ・塞・姉「クルミゴメンナサイ!」

胡桃「いや自業自得だったから 私は別に」

姉帯「ごめんね……昔テレビで見てずっと憧れてたから……
    つい悪ノリしちゃったんだ……」

エイスリン「マタヤリタイ!」

白望「……」

エイスリン「ジョ、ジョーク! ニュージーランドリアンジョーク!」

胡桃「あ、そういえば救急車は?」

塞「あんなのフリよフリ コールボタン押さずにしゃべってただけ
   うん、はい……ごめんね シロ」

白望「……いいよ、トヨネも許す 塞も許す
    エイスリンもかろうじて でも」

白望「胡桃は許さない」

胡桃「えっ」

白望「だから、さっき 何でもするって言った責任
    取ってくれるよね……?」

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