女騎士「」オーク「し、死んでる……」 (70)

勇者「大丈夫か女騎士!?」

オーク「!!」

魔法使い「そんな……手遅れだったなんて」

勇者「この魔獣め、貴様だけは許さん!!」チャキッ

オーク「違うんだ!」

オーク「俺がここについた時には既に……」

勇者「そんな言い訳が通用するか!!」

オーク「信じられないかも知れないが本当なんだ!!」

僧侶「待て勇者」

勇者「何故止めるんだ僧侶!」

僧侶「私の魔法で嘘を吐いてるかどうか判別する」

僧侶「さあ わたしの股を見なさい・・・・・・」

キーン キーン

オーク「なんだろう・・・・・・マンコみたらねむく・・・・・・・・」

僧侶「このオークが言っていることが本当なら女騎士の仇は別にいるハズ」

僧侶「手を下すのはそれを調べてからでも遅くない」

勇者「分かった僧侶、頼む」

僧侶「ではオーク、動かないで」パアアアアア

オーク「お、おう……」

僧侶「質問します、貴方はこの女騎士を殺しましたか?」

オーク「断じて違う!」

僧侶「……勇者、この者の言葉に偽りはない」

勇者「なんと!」

僧侶「では女騎士を殺した者に心当たりは?」

オーク「俺にも何がなんだかさっぱり分からんよ」

僧侶「ふむ……これも真実」

勇者「こいつが犯人でも無ければ、仲間を庇ったワケでも無い」

勇者「ならばいったい誰が女騎士を殺したというのだ!?」

魔法使い「いったん状況を整理してみない?」

僧侶「そう、まずは事件現場を詳しく検証すべき」

僧侶「まず最初の不審な点……」

勇者「全裸、だよな」

魔法使い「ええ、女騎士ちゃんの死体は何故か裸に剥かれている」

僧侶「そして撒き散らされた体液」

僧侶「この状況はどう見ても強姦致死」

オーク「酷い有様だ……」

僧侶「戦場での姦淫に定評のあるオークが疑われても仕方ない状況」

オーク「それは根も葉もない噂だ!!」

勇者「しかしオークは犯人ではない、それは僧侶の魔法で確定している」

僧侶「今は少しでも情報が欲しい」

僧侶「女騎士の死体からできるだけの情報を吸い出してみる」パアアアアア

魔法使い「ゴメンね僧侶ちゃん」

魔法使い「私は攻撃魔法ばっかりでそういう補助魔法はからっきしだから」

僧侶「気にしなくていい、適材適所」パアアアアアア

僧侶「……なんだ、これは?」

勇者「どうした」

僧侶「死因が……分からない」

僧侶「外傷もないし、ショック死に似た症状だが痕跡は微妙に違う」

僧侶「ちなみに死亡推定時刻は私たちが到着する直前だと思われる」

勇者「呪い……などではないのか?」

僧侶「呪いによる呪波汚染なら私の魔術で検出可能だったハズ」

僧侶「そのような痕跡はない……ただし」

オーク「ただし?」

僧侶「薬物反応が検出された、その薬物から更に微弱な魔力が検出されている」

オーク「つまり魔術的な処理を受けた薬を使っていた……と?」

僧侶「そういうことになる」

僧侶「残念ながら薬物の種類までは特定できなかった」

勇者「女騎士の特殊な死因はこの薬物によるものと判断していい……のかな」

僧侶「その可能性が高いが、そう決めつけることは早急」

僧侶「視野を自ら狭めていては真実にたどり着くことは不可能」

魔法使い「なるほどね……薬か」

オーク「その薬はどうやって女騎士の体に入ったんだ?」

オーク「食事にでも盛ったのか、あるいは……」

僧侶「注射などの痕跡は見当たらない」

僧侶「また気管支ではなく消化管から多く検出されているため、経口摂取の線が濃厚」

勇者「女騎士の最期の食事……か」

魔法使い「まずこの戦場にくる前に町で食事を済ませたよね」

僧侶「その時の店は安全だった、私が確認したので間違いない」

オーク「それは本当に信用できるのか?」

勇者「前に金で魔王軍に雇われた料理人に毒を盛られたことがあったからな」

勇者「外で食事する際には恒例になっている、間違いはないだろう」

魔法使い「それじゃ戦場用の携帯食料……かな?」

勇者「死者の持ち物を漁るのは心苦しいが仕方ないな」ガサゴソ

勇者「こ、これは……!」

魔法使い「ゆ、勇者さん……///」

オーク「これはあれか、いわゆる大人のおもちゃってやつか!?」

僧侶「どうみてもディルドー」

勇者「……」ポカーン

魔法使い「って、それを探すのが目的じゃないでしょうがっ!!」

勇者「はっ!」

勇者「すまない、あまりの驚きにしばらく呆然自失となってしまった……」

オーク「ナニの偽物握りしめて硬直してる絵図はなんか……」

オーク「こう、男として見てて辛いものがあったぞ」

魔法使い「一番辛いのは、それ見つけられちゃった女騎士ちゃんだろうけどね」

僧侶「酷い死体蹴り」

勇者「仕方ないだろう!」

勇者「荷物の一番上にコレが入っていたんだから!!」

オーク「それより早く、肝心の携帯食料を……」

勇者「そ、そうだったな」ガサゴソ

勇者「これか」

僧侶「拝見する」パアアアアアアア

僧侶「……この携帯食料はシロ、薬物は検出されなかった」

オーク「結局、薬を盛った経路は分からんかったか」

魔法使い「うーん……他の方向から探っていった方がいいのかもね」

勇者「そもそも、オークはなぜここに居たんだ?」

オーク「負傷者を救助しながら撤退する途中だったんだよ」

オーク「それでそこの女騎士を見つけてな」

オーク「どうしようか悩んでる途中でお前らが到着したんだ」

魔法使い「戦闘が終わったのになかなか女騎士ちゃんが戻ってこなかったからね」

勇者「そうだ、最後に女騎士を見たのはいつ頃だった?」

勇者「俺は最初に別れたから2時間ぐらいは見ていないと思うが……」

魔法使い「私も敵の足止めして女騎士ちゃんを前線に送り出したからね」

魔法使い「勇者と離れてそれから……30分ぐらいかな?」

僧侶「私はその後行動を共にしたが、負傷者の救護の為に別れた」

僧侶「魔法使いと別れて30分ほど経過していた」

オーク「まとめると、女騎士が一人になったのは1時間程度か?」

僧侶「ちなみに私が女騎士と別行動となってすぐに戦闘は沈静化」

僧侶「つまり女騎士は自由に動ける時間が1時間ほどあったことになる」

勇者「空白の1時間か……その間に一体何があったというのだ」

オーク「この1時間の間に何か事件が起きた、ということは分かるが……」

オーク「そうだ、そもそもこの女騎士の実力はどれぐらいのものだったのだ?」

勇者「どういうことだ?」

オーク「その……凌辱されて殺されたこの状況自体がな」

オーク「犯人を絞り込むヒントになるんじゃないかとも思ったんだよ」

魔法使い「そうか、考えてみればおかしいんだよ」

魔法使い「女騎士ちゃんほどの使い手が、どうしてこんな無残な死に様を晒しているのか」

僧侶「オークの質問に答えると、彼女は歴戦の騎士」

僧侶「単身で前線に乗り込んで戦況をひっくり返す程の戦力」

僧侶「辱めるにしても、無傷の状態で生捕るなど不可能に近い」

勇者「ああ、だが薬の件があったな」

魔法使い「それも同じだよ、そうとう油断しないと薬を盛った食べ物なんて口にしないよ?」

オーク「……ちょっと待て」

オーク「それじゃ、犯人は女騎士に近しい人物……ということになってしまうぞ」

勇者「なん……だと!?」

オーク「だってそうだろ」

オーク「女騎士が戦場で油断する相手となるとそういう理屈になるじゃないか」

勇者「貴様、俺たちが仲間を手にかけるような屑だと言うつもりか!!」

僧侶「落ち着いて勇者、彼の論理的な思考自体は正しい」

オーク「す、すまない……お前たちのことを貶めるつもりではなかったのだが」

勇者「それでも許されることか!」

魔法使い「落ち着いてよ勇者」

僧侶「勇者、それ以上感情的になっては不必要な疑いが濃厚になる」

勇者「僧侶まで……何を言っているんだ?」

魔法使い「だって……私たちの中に犯人がいるなら、一人に確定しちゃうじゃない」

勇者「どうしてだ魔法使い」

魔法使い「女騎士ちゃんの死体にはその……男性の体液が撒き散らされているんだよ?」

魔法使い「そしてこのパーティに男性は一人しかいない」

勇者「ッ!?」

勇者「そんな……魔法使い、お前は……」

勇者「この俺が女騎士を騙して毒を盛り、その上死体を凌辱したとそう言いたいのかッ!!」

魔法使い「違うよ!」

魔法使い「そこまでは言ってないじゃない!!」

勇者「そうだ僧侶、俺の身の潔白なら証明できるはずだ!!」

勇者「その女騎士の体に残された体液が俺のものかどうかは調べられるのだろうな!?」

僧侶「それは可能」

勇者「よし、今すぐに始めてくれ!」

僧侶「了解した」パアアアアアアアアアア

僧侶「……どういうことだ、これは?」

オーク「そんな、まさか貴様本当に……」

勇者「う、嘘だ!!」

勇者「そんなワケがない!!」

僧侶「落ち着いて勇者、これが貴方のものではないことは証明された」

僧侶「しかし……一層不可解な事実が判明した」

魔法使い「不可解な事実?」

勇者「なんでもいい、俺の身の潔白を固める情報なら早く教えてくれ!」

オーク「悪かったな、誤解を招くようなことを言って」

勇者「……いや、今になって冷静に思い返せば俺の反応も過剰だった」

オーク「仲間を疑えだなんて、俺も酷いことを言ってしまったよ」

魔法使い「二人とも黙って、僧侶ちゃんが話せないでしょうが」

オーク「はい」

勇者「すまない」

僧侶「それでは発表する」

僧侶「私にも理解できない事実なのだが」




僧侶「……あの体液は、女騎士自身のものだ」

勇者「は?」

オーク「ちょっとまて、どう見ても女……だろう?」

魔法使い「当たり前でしょ!?」

魔法使い「女騎士ちゃんが女じゃなかったら女騎士じゃないでしょーが!」

僧侶「しかし、検出された遺伝情報は女騎士自身のものと一致してしまったのだ」

僧侶「これは紛れもない事実」

勇者「そ、それは何か他の解釈の仕方とかないのか……?」

僧侶「双子の場合、遺伝情報だけでは二人を判別できない場合がある」

僧侶「しかしそのような双子の場合、性別も同じになるハズ」

魔法使い「そもそも女騎士ちゃんは一人っ子だって聞いてるよ」

僧侶「私の魔法の精度であれば偶然の一致も考え辛い」

僧侶「あれは正真正銘、女騎士の精液だと判定する他ない」

勇者「クソッ、いったい何なんだ!」

勇者「女騎士の身に、いったい何が起こったというんだ!?」

オーク「ん……?」

オーク「なんだこの小瓶は」ヒョイ

魔法使い「どうしたんですか」

オーク「いや、脱がされた女騎士の鎧の陰に隠れてこんなものが……」

オーク「人間の文字はよく分からんが何か書いてあるぞ」

僧侶「貸して」

僧侶「ッ!?」

勇者「どうした僧侶」

僧侶「……嘘、そんなこと」

オーク「一体なんなんだその小瓶は、何が入っていたんだ!?」


僧侶「『おち○ちんが生える薬』」


勇者「……は?」

僧侶「間違いない、これは女性に男性器を生やす薬」

魔法使い「ちょ、ちょっと!!何よそれ!?」

僧侶「まさか」パアアアアアアアアア

僧侶「……一致した」

オーク「な、何がだ?」

僧侶「女騎士の体内から検出された薬品」

僧侶「小瓶の中に残っていた薬品と同一の物であると判明した」

魔法使い「でもなんでそんなものを女騎士ちゃんが……」

僧侶「これだけ前提条件が揃えば簡単なロジック」

僧侶「つまり、女騎士の死因も理解できた」

勇者「本当か僧侶!?」

魔法使い「いったい何で女騎士ちゃんは死ななきゃならなかったの?」




僧侶「……テクノブレイク」

オーク「てくの……なんだそれは?」

僧侶「性ホルモンの過剰分泌によって起こる身体異常」

僧侶「要するに、女騎士は過剰な自慰行為によって死亡した」

勇者「待ってくれ……理解が追いつかない」

魔法使い「そうだよ、こんなの信じられないよ!」

僧侶「それでは私が推理した女騎士強姦致死事件の真実を語ろう」

僧侶「まず、一人で前線に立ち、勝利した女騎士には時間的な余裕があった」

オーク「あの空白の1時間だな」

僧侶「それを利用して、女騎士は自慰行為を始めた」

勇者「待て、なぜ戦場でそんなことをするのだ!?」

僧侶「これは想像でしかないが……」

僧侶「パーティメンバーがいない今なら、思いきり自慰行為を楽しめるチャンス」

僧侶「彼女がそういう発想をしたと考えられなくもない」

魔法使い「嘘……あの女騎士ちゃんがそこまで変態だったなんて」

僧侶「最悪、屋外や衆人環境で興奮する性癖を持ち合わせていた可能性もある」

僧侶「もっともこれは彼女を自慰行為に駆り立てた理由の後付であり、真実とは限らない」

勇者「もういい、そんな話は沢山だ!」

オーク「いいのか?」

オーク「お前はこのパーティを引っ張ってきたリーダーなのだろう」

勇者「くっ……それを言われると」

オーク「犠牲者を出してしまった事実を糧に、今後起こり得る悲劇を回避する」

オーク「いくら耳を塞ぎたくなるような事実であっても、真摯に聞かねばならない」

オーク「それがリーダーの器に必要とされることだ」

勇者「……わかったよ、僧侶続けてくれ」

僧侶「了解した」

僧侶「最初は、女性として自慰行為に励んでいたと推測される」

僧侶「その理由は、彼女の荷物の一番上がディルドーであったことが裏付けてくれた」

勇者「そうか、持っている以上使うのは当たり前だよな……」

僧侶「だが彼女はそれでは満足できなかった」

僧侶「そして思い出した」

僧侶「この戦闘で倒した敵がドロップしたアイテムのことを」

魔法使い「それが……あの薬」

僧侶「そう、『おち○ちんが生える薬』」

オーク「わざわざ魔法使いが濁して言ったのに……」

勇者「僧侶はそこらへん割り切った上で正確さ求めちゃう性格だから……」

魔法使い「なんでそんなものドロップするのよ!?」

オーク「流石に戦友であっても他人の闇の深いところは知らんよ」

勇者「聞いたことも無い薬だからな、そうとうレアな品ではあるのだろうが……」

オーク「ちなみにラベルが人間の言葉ってことは人間側が作った品だよな?」

魔法使い「な、なんでそこ確認するんですか……?」

オーク「魔族としての沽券にかかわる話じゃないか」

勇者「それはそうだが……」

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