モバP「まゆとの日常」(118)

      
P「……………………」カタカタ

ちひろ「……………………」カタカタ

P「…………ふぅ」

ちひろ「……………………」カタカタ

P「ちひろさん、俺の方は片付いたんで今日はお先に失礼しますね」

ちひろ「あ、分かりました。プロデューサーさんもいつもお疲れ様です」

P「いえ、ちひろさんこそ。…………それじゃ今日は失礼します、お疲れ様でした」

ちひろ「はーい。では、また明日」

P「はい、また明日」ガチャ

      
――――――――――――――――
   
P「ふー、外は結構寒いな…………。えーっと、車のキーはと…………」

P「…………よし。今日も安全運転で行きますか」

ブロロロロロロロロ…

P(…………今の事務所でプロデューサー業を始めて半年ほどが経った)

P(アイドル達も皆順調だし、今の環境はとても恵まれていると自分でも思う)

P(ただ、ひとつ気がかりなことは……)

    
――――――――――――――――
   
P「…………………」

P「…………………………はぁ、またか……」

まゆ「……あ、プロデューサーさん。お帰りなさぁい」

P「…………俺の家の前で何やってるんだ、まゆ」

まゆ「プロデューサーさんに晩御飯作ろうと思って。でもプロデューサーさん家に居ないし、ここで待ってたんですよぉ」

P「…………そうか、いつもありがとうな」

まゆ「うふ、まゆなら大丈夫ですよ。プロデューサーさんの為だったら、まゆなんでもしますからぁ」

P「……取り敢えず上がれ。人目についたらまずい」

まゆ「ふふっ。それじゃあ、お邪魔しますね」

        
まゆ「それじゃ、お台所借りますね?」

P「……ああ」

まゆ「うふ、じゃあしばらく待ってて下さいね」

P(…………彼女は佐久間まゆ。うちの事務所でアイドルをやっている子の中の一人だ)

P(持ち前のルックスと年不相応の妖艶さから、多くの人から人気を集めている)

P(そんな彼女が俺の家を訪れるようになったのは何時の事だったか、今では殆ど毎日俺の家に来ている)

P(別に悪い気はしない。しないんだが……)

P「…………アイドルがこれは、やっぱまずいよなぁ……」

P「……今日こそはなんとか説得しないとな」

        
まゆ「プロデューサーさん、できましたよぉ」

P「ん……ありがとうな。じゃあ一緒に食べるか」

まゆ「はい♪ それじゃあ……」

「「頂きます」」

P「…………………………」

まゆ「…………どうですかぁ? まゆ頑張って作ったんですよぉ?」

P「……いや、おいしいよ。いつもわざわざ有難うな、まゆ」

まゆ「うふ……お口にあって良かったです。まゆは、プロデューサーさんが喜んでくれたらそれで十分ですからぁ」

P「……そうか。でも最近、ほとんど毎日来てるだろ? 流石にそんな頻繁にはいいぞ。まゆも大変だろうしな」

      
まゆ「まゆが好きでやってることですからぁ。プロデューサーさんは気にしなくていいですよ」

P「いや、俺だって嬉しいけど……まゆはアイドルなんだ。こんな所を誰かに見られでもしたらマズイだろ?」

まゆ「まゆなら大丈夫ですよぉ。…………それとも、プロデューサーさんはまゆが迷惑なんですか?」

P「そんなことない。けれど、俺はプロデューサーで、まゆはアイドルなんだよ。
まゆを応援してくれているファンを裏切るようなことはあっちゃならない。だろ?」

まゆ「…………………………」

P「別に俺のことなら気にしなくていいから、な?」

まゆ「……………………」

まゆ「…………ねえ、どうしてそんなこと言うんですか?」

      
P「どうしてって……そりゃまゆの事を考えてだな……」

まゆ「まゆのこと、ですかぁ……。もしかして、まゆの為に言ってるんですか、それ?」

P「あ、ああ……」

まゆ「他の女の子達には優しくしているのに、まゆは駄目なんですか? 皆もっとプロデューサーさんに甘えてますよぉ?
それは良くてまゆは駄目なんですか? ねえ、プロデューサーさん。まゆのどこがいけないんですか?」

まゆ「まゆはこんなにもプロデューサーさんに尽くしているのに……まだ足りないんですか? 
いいですよぉ。まゆ、プロデューサーさんの為だったらなんでもしますからぁ」

まゆ「うふ、まゆがアイドルだから駄目なんだったら、まゆアイドルなんて辞めますよぉ」

まゆ「プロデューサーさんがまゆのことを見てくれるんだったら、アイドルなんかどうでもいいですから」

まゆ「それでいいですか? そうすればプロデューサーさんはまゆを離さないでくれますか?」

       
P「…………本気で言ってるのか?」

まゆ「…………まゆは本気ですよぉ」

P「じゃあアイドルを辞めるんだな? 本当にそれでいいんだな?」

まゆ「…………はい。それで、プロデューサーさんがまゆを――」

P「はぁ……嘘をつくな嘘を」

まゆ「……嘘なんかじゃ、ないですよ。まゆは本気ですから」

P「分かった分かった……アイドルがどうでもいい? よくもまぁそんな白々しい嘘がつけるな」

まゆ「………………」

     
P「……まゆにとって、アイドルがどうでもいいわけがないだろうが」

P「それとも何だ? 今までのアイドル活動は楽しくなかったとでも? ただ俺といる為だけに、ずっと我慢してやってきたのか?」

まゆ「それは……楽しくなかったわけではないですけど……」

P「俺はずっとお前を今まで見てきたんだよ。まゆの一番傍でな」

P「まゆが、本当にアイドルを楽しんでいたこと位、流石に分かるっつーの」

まゆ「……たしかにアイドルは楽しかったですよ。ただ、私にとってはそれよりもプロデューサーさんの方が大事ですから」

P「じゃあ、なんでそんなに悲しそうな顔してるんだ?」

http://i.imgur.com/mT6FiD7.jpg
http://i.imgur.com/1m5bQtz.jpg
佐久間まゆ(16)

       
まゆ「……………………」

P「どうみても未練たっぷりだろうが。本当はアイドルを続けたくて仕様がない癖に。軽々しく辞めるなんて口にすんなよ」

まゆ「………………じゃあ、まゆはどうすればいいんですか?」

P「簡単だろ。自分に正直になれば良い。もうあの頃とは違うんだ。今のまゆは、誰にも負けないくらいに輝いている」

P「だから、アイドルを辞めるなんて、そんな悲しいこと言わないでくれ」

まゆ「……………………」

まゆ「…………それじゃあ、まゆは我慢すればいいんですか? 
まゆはプロデューサーさんがいればそれでいい、それでいいんですよ……」

まゆ「それなのに、まゆは我慢していなきゃ駄目なんですか?
良いですよ、まゆはそれでも。それで、プロデューサーさんが喜んでくれるなら」

      
P「……俺はただ、アイドルを辞めるなんて言って欲しくないだけだよ。それはまゆの本当の気持ちじゃないだろう」

まゆ「…………分かりました。プロデューサーさんがそう言うのなら、アイドル続けます」

P「…………なあ、まゆ」

まゆ「だって、まゆにはプロデューサーさんが全てなんですよ。
まゆにはプロデューサーさんしかいないの、プロデューサーさんしか……」

P「…………それは違う。もうまゆには――」

まゆ「違いませんよ。まゆにはなにも無いんです。プロデューサーさんがまゆの全て」

まゆ「分かってるんですよ。どれほど努力したって、他の子たちには勝てないってこと。だって、まゆは空っぽなんですから」

まゆ「お願いです、プロデューサーさん。まゆを見捨てないで下さい……。
プロデューサーさんの為なら何でもやります。だから、まゆを置いていかないで…………」

       
P「………………俺はまゆを見捨てたりなんてしないよ。それに、もうまゆは空っぽなんかじゃない」

P「さっきも言っただろ、もうあの頃とは違うって。今のまゆの笑顔は本物だ。沢山のものが、いまのまゆにはあるはずだ」

P「だから大丈夫だ。俺はただ、まゆには俺の為なんかじゃなくて、純粋に自分の為にやりたいことをやって欲しいんだけなんだ」

P「本当にしたいことがなんなのか、今ならもう見つけられるはずだから」

まゆ「…………………………」

P「…………料理冷めちゃうな。せっかくまゆが作ってくれたんだ、先に食べないか」

まゆ「………………はい」

       
「「ご馳走様でした」」

P「うん、おいしかったよ。ありがとな」

まゆ「…………いえ、喜んでもらえてまゆも嬉しいです。
後片付けもやっておきますから、プロデューサーさんは休んでて下さいね」

P「いや、それくらいは俺がやるよ。流石に何もせずっていうのも気が引ける」

まゆ「……まゆなら大丈夫ですから」

P「…………あー、じゃあ一緒にやらないか? それだったらいいだろ」

まゆ「……分かりました」

P「うし。じゃあちゃっちゃと終わらせますか」

      
ジャー カチャカチャ…

P「…………っとこれで洗い物も終わりかな…………。まゆ、ありがとうな」

まゆ「いえ。…………プロデューサーさん」

P「…………なんだ?」

まゆ「……プロデューサーさんにとって、まゆは結局ただのアイドルの一人に過ぎないんですか?」

P「…………それは、だな」

まゆ「まゆの本当にしたいこと…………確かにアイドルも好きです、続けたいですよ」

まゆ「でも、まゆがプロデューサーさんを好きなこと、この気持ちも本物なんですよ」

まゆ「だから、まゆは今まで頑張ってこれたんです。……プロデューサーさんがいるから。
プロデューサーさんが、まゆを支えてくれたから」

まゆ「それなのに、プロデューサーさんはまゆを見てくれない。……ねぇ、プロデューサーさん」

    
P「……………………」

まゆ「なんで私を避けてるんですか? 他の子たちにはあんなに仲良くしてるのに、なんでまゆからは離れていくんですか……」

まゆ「もし気に入らない所があるんだったら、言って下さい。まゆ、直しますから」

まゆ「ねぇ、どうして? まゆのどこがいけないんですか? 
教えてください…………まゆには、プロデューサーさんが必要なんですよぉ……」

P「…………………………それ、は……」

まゆ「お願いです。本当のことを教えてください…………。まゆ、どんな答えでも、それだけで満足ですから」

P「……………………」

P「………………俺が、まゆを避けていたのは」

     
P「…………」

P「………………俺が……まゆのことを、好きだからだ」

まゆ「…………え?」

P「だから、俺はまゆのことが好きなんだよっ。ああ分かってるよ。自分でもこんなことが許されてないことぐらい」

P「いい大人が16の女の子を好きになった? しかも相手はアイドルで、俺はそいつのプロデューサーときた」

P「あっちゃいけないことだって自分でも自覚してるさ。何度もその気持ちを失くそうとしたよ」

P「…………でも、結局それは出来なかった。情けないよな。表に出るのが怖くて、それで避けてたなんて」

まゆ「…………………………」

P「しかも、そのせいでまゆを追い詰めてたなんて…………本当にすまなかった。俺は、最低だ」

まゆ「………………ねえ、それって本当なんですか……? プロデューサーさんが、私のことを……」

       
P「……本当だよ。俺は、アイドルとしてのまゆも、一人の女性としてのまゆも…………全部含めて、まゆが好きだ」

P「まゆがトップアイドルになるその日まで、俺はまゆの隣で一緒に歩んでいきたい。いや、その後もずっと」

P「こんな情けない俺で良ければ……これからもずっと、あなたの傍にいたい」

まゆ「…………本当に……? 信じて、いいんですか?」

P「ああ、本当だよ。俺は、まゆを離したりしない」

まゆ「…………………………」

       
まゆ「プロデューサーさん…………まゆ、結構重いんですよ……もしかしたら、他の女の子達に嫉妬しちゃうかもしれないです」

まゆ「それでも、いいんですか? 本当にまゆなんかで」

P「当たり前だろ……むしろ、まゆこそ俺なんかで本当にいいのか?」

まゆ「うふ……プロデューサーさんが、いいんですよぉ…………やっぱりまゆ達は運命で結ばれていたんですね」

P「……そうかもな」

まゆ「うふ…………ふふふ……」ギュッ

P「お、おいまゆ?」

まゆ「ふふ…………。ねぇ、キスしてくれませんか?」

P「えー、と…………」

まゆ「まゆ、貴方に愛されてるって証拠が欲しいです」

P「…………わかったよ。……じゃあ、いくぞ――――」

      
半月後

まゆ「プロデューサーさん、朝ですよぉ…………起きてくださぁい……」ユサユサ

P「…………ぅう、ん………………あと、ごふんだけ…………」

まゆ「駄目ですよ、早く起きないと。また遅刻しちゃいますよぉ」

P「んー………………」

まゆ「ほら、顔洗ってきてください。朝ごはん用意しておきますから」

P「……………………」フラフラ

      
ジャー

P「…………ふぅ。ふぁーあ…………あー、やっぱ朝は辛いわ……」

P「今まで死ぬ気で起きてたからなぁ…………まゆマジ天使だわ」

P(……俺がまゆに気持ちを伝えてから約半月が経った。だからといって特に何かが変わったわけでもなく、
家の外では今まで通りの距離感を保っている)

P(しいて言うなら、まゆが俺の家に泊まったりすることが増えた位か)

P(初めはあまり俺の家にこないように言ったのだが……これも合鍵を渡してしまったせいか?)

P「…………まぁ、全く後悔はしてないんだけどな……」

      
P「ふぁー………………」

まゆ「うふ。プロデューサーさん、おはようございます」

P「ん……おはよう、まゆ。いつもすまないな」

まゆ「いえ、プロデューサーさんの為だったら、まゆなんでもやりますからぁ」

P「あー、うん」

まゆ「ふふふ…………朝ごはん、用意できてますよぉ」

P「よし、じゃあ食べるか」

まゆ「はい♪」

「「頂きます」」

       
カチャカチャ…

P「んーうまいっ! いやー毎回思うけど、まゆの料理は抜群だなぁ」

まゆ「ふふっ。お口にあってよかったです……。なにせ、プロデューサーさんへの愛が詰まってますからぁ」

P「お、おう…………なんか照れるなそれは」

まゆ「うふ…………。そういえば、今日はまゆは一人でお仕事ですよね?」

P「えーと……。そうだな、悪いけど今日はまゆの方には行けそうにないわ。
午前中はみく、午後からは智絵里にちょっとついてやらなきゃならん」

まゆ「そうですか……夜は、帰ってこれそうですか?」

       
P「あー、まあなるべく早くには帰ってくるけど…………ってまたわざわざ晩飯作ってくれんのか?」

まゆ「はい、そのつもりですよぉ。まゆは今日の午後のお仕事は早めに終わりますから」

P「そうか。…………嬉しいけど、あんまり無理はしないでくれよ? なにより大切なのは――」

まゆ「自分の身体、ですよね? ふふっ、大丈夫ですよ」

P「…………よし。それなら今日も楽しみにしてるぞ」

まゆ「はい、任せてくださいねぇ」

P「おう。…………ふー、ご馳走様でした。うし、さっさと準備して出るか」

まゆ「じゃあ、まゆが片付けとくので、先に着替えてきてくださいね」

P「ん…………頼んだ」

      
P「………………財布よし、免許証よし、ハンカチよし、携帯よし…………うん、準備オッケーだ」

P「まゆ、そっちももう出られるか?」

まゆ「はい。まゆは大丈夫ですよ…………あ、プロデューサーさん」

P「ん……?」

まゆ「ネクタイ、曲がってますよぉ」クイクイ

P「おお、ありがとな…………よし、今度こそ大丈夫だな!」

P「じゃあ、今日も一日頑張りますか!」

       
――――――――――――――――

ガチャ

P「おはようございまーす」

まゆ「おはようございます」

P「ん、まだ誰も来てないのか……」

まゆ「そうみたいですねぇ。一番乗りって久しぶりかもしれませんね」

P「そうだなぁ。まぁ、ぼちぼち来るとは思うけどな」

まゆ「はい…………プロデューサーさん、コーヒー淹れましょうか?」

P「うーん、じゃあお願いしようかな」

まゆ「分かりました♪ 淹れてくるので、待ってて下さいねぇ」パタパタ…

      
P「…………ふぅ。取り敢えず今日の予定でも、もう一度確認しとくか……」

みく「おっはにゃ~っ☆」ガチャ

P「ん……みくか、おはよう」

みく「おはようだにゃ! あれ、Pちゃんだけなのかにゃ?」

P「いや、まゆg」

みく「ふふーん♪ これは寂しそうなPチャンをみくが慰めてやるしかないにゃ!」

P「は? おいなにを――」

みく「にゃあぁ…………Pチャンあったかいにゃあ…………」ギュー

http://i.imgur.com/0htJumw.jpg
http://i.imgur.com/Oe49975.jpg
前川みく(15)

        
P「お、おいいきなり抱きついてくるんじゃありませんっ」

みく「んん~? もしかしてみくのセクシーさにコーフンしてるのかにゃー?」

みく「にゅふふっ。Pチャンもドキドキしてるのかにゃ?」スリスリ

P「こ、こらっ。いーから離れろって……」

まゆ「プロデューサーさん、コーヒーはいりましたよ……あら、みくちゃん」

みく「にゃっ!? ままままゆおはようだにゃ」バッ

まゆ「うふふ、おはよう、みくちゃん」ニコッ

まゆ「ふふ、朝からみくちゃんも元気ねぇ」

       
みく「いいいいや、これには深いワケがあるのにゃそうにゃ別にPチャンにくっつきたかったワケじゃないから安心して欲しいにゃ」

まゆ「うふ、大丈夫よぉ。別に気にしてないから、ねぇ? それより……はい、コーヒーどうぞ。プロデューサーさん」

P「お、おう。ありがとな」

まゆ「ふふっ、どういたしましてぇ。…………それとみくちゃん」

みく「は、はいすいませんでした謝りますので許して下さいお願いします」

まゆ「やだ、別に責めたりなんてしないわよぉ。ただ、プロデューサーさんも困ってるから、ほどほどにね?」

みく「…………にゃ? それだけなのかにゃ?」

         
まゆ「うふ、だってみくちゃんも大切な仲間の一人ですもの、ねぇ?」

みく「そ、そうだにゃ! まゆとみくは友達だもんにゃ!」

まゆ「そうよぉ…………うふふ」

まゆ「…………あ、あとプロデューサーさん」

P「は、はい」

まゆ「プロデューサーさんもあんまり他の子に迷惑かけちゃ駄目ですよ? みんなすぐに勘違いしちゃいますからぁ」

P「いや、別に俺は――」

まゆ「分かりましたか?」

P「……はい、分かりました」

まゆ「うふふ、それならいいんですよぉ」

          
みく「……にゃ、そういえばちひろが居ないにゃ。いつもはもう来てると思うけど……」

P「ああ……ちひろさんなら午前中は用事でいないぞ…………」

みく「ふーん。用事って、何の用事なんだにゃ?」

P「…………………………」

みく「…………あれ、Pチャン?」

P「……………………やめてくれ俺はもうドリンクなんて飲みたくないやめて圏内から落ちるもう走りたくないよ誰か助けてくれあああ十字軍が」

みく「ちょっ……Pチャン!?」

         
まゆ「…………プロデューサーさん、大丈夫ですよぉ……。もう今年のバレンタインは3倍チョコは売られませんからぁ」

P「まゆぅ……悪魔が……悪魔がぁ…………」

まゆ「大丈夫ですよ…………私が付いていますから…………」

みく「…………え、なにこれ……」

まゆ「みくちゃん…………世の中には、知らないほうが良い事もあるのよ…………。ちひろさんのこともその内の一つ、分かった?」

みく「…………は、はい。…………Pチャンは大丈夫にゃの……?」

まゆ「大丈夫よ……もう少ししたら元に戻るから……プロデューサーさん?」

      
P「」

P「はっ」

P「………………なんだか悪い夢を見ていたような……」

まゆ「気のせいですよぉ。ね、みくちゃん?」

みく「にゃっ、そうにゃ気のせいだにゃ!」

P「……そうか、そうだよな気のせいだよな! この世に悪魔なんているわけ無いよな!」

まゆ「そうですよぉ。そんなものあるわけ無いですよ」

P「だよな! ……ふう、落ち着いたよ。2人ともすまんな」

まゆ「いえ、まゆなら大丈夫ですから」

みく「…………みくも大丈夫にゃ。今日の仕事もバッチリこなしてみせるにゃ!」

P「そうか、それならいいんだけどな」

       
P「…………そーいやみく、今日の仕事はちゃんと把握してるよな?」

みく「にゃ……えーと、まずは雑誌の取材だったかにゃ? でー、その後は…………えーと……」

P「はぁ…………その後はラジオの収録だろ。あの765プロさんのラジオに出演させて貰うんだから、失礼のないようにな」

みく「了解にゃ! まぁみくに任せとくといいにゃー☆」

P「まぁ俺が付いていくから大丈夫だとは思うけどな…………まゆは今日の予定、大丈夫か?」

まゆ「はい。午前中はレッスンだけですし、後は午後に撮影があるだけなので大丈夫ですよぉ」

P「そうか、まぁまゆなら大丈夫だとは思うけど、なにかあったらすぐに連絡してくれよ」

まゆ「うふ、分かりました」

       
P「…………よし。……みく、そろそろ時間だ。準備できてるか?」

みく「にゃ、準備バッチリだにゃ!」

P「よし、じゃあ行くぞ。まゆも無理はするなよ」

まゆ「はい。大丈夫ですよぉ」

P「じゃあ、行ってきます」

まゆ「行ってらっしゃいです。みくちゃんも頑張ってね」

みく「行ってきますにゃ!」

     
バタン

まゆ「……………………」

まゆ「………………みくちゃん、か」

まゆ「…………今のところは大丈夫かしら」

まゆ「他にもっといけない子はいるものね。例えば……」

ガチャ

智絵里「おはよう……ございます」

まゆ「…………この子とか」ボソッ

http://i.imgur.com/IVZLfb4.jpg
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緒方智絵里(16)

       
智絵里「あ、まゆちゃん……おはよう。あれ、まゆちゃんだけ?」

まゆ「おはよう、智絵里ちゃん。……プロデューサーさんならさっき出て行ったわよ」

智絵里「あ、うん……さっきすれ違ったよ。みくちゃんと一緒に、お仕事だって」

まゆ「……そう」

智絵里「……ま、まゆちゃんは今日のお仕事、お昼から?」

まゆ「一応レッスンが午前中も入ってるけど……今日は早めに来たから、まだ余裕があるの」

智絵里「そ、そうなんだ……。わたしも、今日は早めに来たんだ。……なんとなくなんだけどね」

まゆ「へぇ……今日は昼から仕事なんでしょ?」

      
智絵里「……う、うん……。ドラマの収録があって……プロデューサーさんと一緒なんだよ」エヘヘ

まゆ「…………そう。智絵里ちゃんはプロデューサーさんのこと信頼してるのねぇ」

智絵里「……こ、こんなわたしでも……プロデューサーさんは見捨てないでいてくれるから……」

智絵里「……プロデューサーさんがいるから、わたし、頑張れてるんだ……」

智絵里「プロデューサーさんは、わたしを見ていてくれるから」

まゆ「…………うふ、プロデューサーさんは優しいから、智絵里ちゃんも勘違いしちゃうのかもしれないわねぇ」

     
智絵里「…………勘違いなんかじゃないよ……。プロデューサーさんのおかげで、今のわたしがいるのは本当だもん……」

まゆ「…………ふぅーん。でも、プロデューサーさんは智絵里ちゃん一人のものじゃないし、程々にね?」

智絵里「そ、それはそうだけど……でも、まゆちゃんのものでもない、よね……?」

まゆ「……そうねぇ。でも、まゆとプロデューサーさんはお互いに想いあってるから、ねぇ」

智絵里「……それこそ、ま、まゆちゃんの思い込みなんじゃないの……?」

まゆ「ふふ。まゆはプロデューサーさんから直接、伝えてもらったから。思い込みなんかじゃないわよぉ? 
……どこかの子とは違ってね」

         
智絵里「っ……。……それでも、わたしはプロデューサーさんを諦めたりなんか、しないから……」

智絵里「……プロデューサーさんはわたしを、見ていてくれるの……。わたしを見捨てたりなんて、しないんだから……」

まゆ「……………………うふ、そうだと、いいわねぇ?」

智絵里「…………プロデューサーさんは、最後はわたしのところに来てくれる…………信じてるから」

まゆ「…………まあ、思い込む分には勝手にすればいいけど……」

まゆ「あんまりプロデューサーに迷惑かけちゃ駄目よ?」

     
智絵里「…………そんなこと、ないもん……プロデューサーさんは……わたしと一緒にいるって約束してくれた……」

まゆ「ふふ。物分かりの悪い子ねぇ。……それとも冗談なのかしら?」

智絵里「…………プロデューサーさんは、わ、わたしが助けるから……!」

まゆ「………………ふぅーん」

智絵里「………………………………」

まゆ「……………………」

     
ガチャ

李衣菜「おっはようございまーす!」

まゆ「………………」

智絵里「……………………」

李衣菜「…………あれ?」

まゆ「………………」

智絵里「……………………」

李衣菜「あ、あれー? 2人とも、おはよう……?」

まゆ「…………ああ、おはようございます。李衣菜ちゃん」

智絵里「お、おはよう……」

     
李衣菜「あ、うん。…………2人とも暗いけどどうしたの? もっとロックに明るくいこうぜー!」

まゆ「………………」

智絵里「…………そ、そうだね……」

李衣菜「……そーいえばプロデューサーさんはいないの?
せっかく夜通し考えたロックなパフォーマンスを見せてあげようと思ったのにー」

まゆ「………………あ、そう」

智絵里「プ、プロデューサーさんも忙しいと思うから、程々にした方が良くないかな……?」

李衣菜「えっ……ちょ、ちょっと2人とも冷たいよー! もっとフレンドリーにいこーよー」

       
まゆ「……この子は大丈夫ね……」ボソッ

李衣菜「え、まゆ今なんか言った?」

まゆ「いえ、なんでもないわよぉ。じゃ、そろそろレッスンの時間だから。またね2人とも」

李衣菜「了解っ! 頑張ってね!」

智絵里「…………いってらっしゃい」

まゆ「…………それじゃ、いってきます」ガチャ

……バタン

まゆ「………………」

まゆ「……………………」ギリッ

      
――――――――――――――――

P「ただいまー」

まゆ「あ、おかえりなさぁい♪」

P「おう、ただいま」

まゆ「先にご飯にしますか? それともお風呂、入ります?」

P「そうだな……先に飯貰おうかな。せっかくまゆが作ってくれたんだし」

まゆ「うふ、分かりましたぁ。それじゃ、すぐに準備するんで先に着替えといてくださいね」

P「ありがとう、それじゃ頼んだよ」

      
まゆ「プロデューサーさーん、ご飯ですよー」

P「お、今行くよ」

P「今日の晩飯は、と……。おお、ハンバーグか」

まゆ「はい。ちょっといいミンチがあったんですよぉ」

P「ほー、それは楽しみだな。……それじゃ、頂きます」パクッ

P「うーん……これは……なかなか……」

まゆ「どうですかぁ?」

P「いや、すごく美味しいよ。……ただやっぱりいつもの肉とは若干違うのか? なんとなく違うような気がするけど」

まゆ「ふふっ……分かりますかぁ?」

       
P「いや、本当になんとなくなんだけどな……。これって牛肉なのか?」

まゆ「うふ…………牛肉じゃ、ないんですよぉ」

P「あれ、違うのか。じゃあ、豚肉なのか? 流石に鶏ではなさそうだし」

まゆ「ふふふ……豚肉でもないんですよねぇ」

P「…………じゃあ、一体なんなんだ?」

まゆ「…………知りたいですかぁ?」

P「あ、ああ」

まゆ「それ、まゆが頑張ったんですよねぇ……ミンチって結構大変なんですよぉ?」

P「そ、そうなのか。…………で、結局何の肉なんだ?」

まゆ「…………それはですねぇ」

       
まゆ「……まゆの特製合い挽きミンチですよぉ。牛と豚は7:3です♪」

P「へー、合い挽きなのか。……牛肉だけの方が良さそうな気がするんだけど、そうでもないのか?」

まゆ「うーん、個人的には牛100%より合い挽きの方がふっくらすると思うんですよね。
なんとなく、牛肉だけじゃパサパサするんですよ」

P「へぇ、それは知らなかったな。……特製って、まさかまゆがミンチにしたのか?」

まゆ「そうですよぉ。ちょっといいお肉があったので、折角だからと思って♪」

P「大変だったろ……わざわざありがとうな」

まゆ「いえ、プロデューサーさんの為ですからぁ」

      
P「まゆは本当に頼りになるなぁ。……全く、他の奴らにもまゆを見習って欲しいよ」

まゆ「……他の奴らって、事務所の子達ですか?」

P「ん? ああそうだな……。今日もみくは外だっていうのに引っ付いてくるし、智絵里は智絵里でなんだか様子変だったし」

まゆ「へぇ……智絵里ちゃんの様子が?」

P「ああ……。いや、良くわからないんだけどな? なんか絶対にプロデューサーさんを助けてあげます!って言われたんだよ」

P「その上俺にずっと引っ付いてくるし……なんだったんだろうな」

P「まぁ最近は智絵里も頑張ってるから、ちょっと疲れてるのかもしれないなぁ」

まゆ「……ふぅーん、そうですかぁ……。プロデューサーさんと智絵里ちゃん、仲良しですものねぇ?」

     
P「……ま、信頼関係はそれなりに築けているとは思うけど」

まゆ「でも、あんまり優しくしすぎても駄目ですよぉ? 智絵里ちゃんが勘違いしちゃったら大変ですからぁ」

P「ははっ、勘違いってなんだよ勘違いって」

まゆ「勘違いは勘違いですよぉ。ねぇ、プロデューサーさん」

P「なんだ?」

まゆ「プロデューサーさんにはまゆがいるってこと、忘れちゃ駄目ですよぉ?」

P「……そんなこと、忘れるわけないだろ。俺にとって、まゆは大切な存在だよ」

まゆ「それならいいんですけどねぇ……。最近、皆プロデューサーさんに甘えすぎてますし、
プロデューサーさんもそれを受け入れてますよね?」

まゆ「駄目ですよぉ、そんなことしたら。……プロデューサーさんはまゆだけのものなんだから」

http://i.imgur.com/IWaK2s9.jpg
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多田李衣奈(17)

       
P「……いや、別にそんなに甘えられてる気はしないんだけど……」

まゆ「…………まだそんなこというんですかぁ?
今日だってお昼、みくちゃんが魚食べられないからってお弁当交換してましたよね? それも、お互いの食べさしを」

P「いや、あれは仕方なくだな……」

まゆ「他にも、智絵里ちゃんの事だってそうですし、この前なんて李衣菜ちゃんとお買い物に行ってましたよね?」

まゆ「あ、そういえばちひろさんといっしょにご飯食べに行ってたこともありましたっけ」

P「……あ、あのー」

まゆ「うふ、ねぇプロデューサーさん。プロデューサーさんの運命の人はまゆだけ。そうですよねぇ?」

    
P「いや、それは確かにそうかもだけどな……」

まゆ「ふふふ、ちょっとお外のせいでプロデューサーさんも毒されちゃったんですかねぇ。
大丈夫ですよぉ。まゆが治してあげますから、安心してくださいねぇ」

P「お、おいどうしたんだまゆ?」

まゆ「別にどうもしてないですよぉ。……ただ、プロデューサーさんがあんまりにもまゆを困らせちゃうんで、
お仕置きが必要なのかなぁって」

P「い、いや待ってくれ。俺別になにもしてないってば」

まゆ「まゆも別に取って食べようってわけじゃないから大丈夫ですよぉ。…………あ、食べちゃうのはそうかもしれませんけど」

P「…………おいちょっと落ち着こうか。なんだかヤバイこと考えてないか?」

まゆ「うふ……。プロデューサーさん、今日泊まっていってもいいですよねぇ?」

P「い、いや流石に2日連続はまずいから、今日は帰ったほうが良くないか?」

まゆ「いいですよね?」

P「は、はい」

まゆ「良かった♪ それじゃ後で、楽しみにしていて下さいねぇ?」

P「え、ちょっとまってくれ――」





まゆ「今夜はずーっと、まゆが愛してあげますからぁ」

おわり
やっぱり一途な子はかわいいなあと思いましたまる

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