れんげ「駄菓子屋ー」駄菓子屋「楓と呼べ」れんげ「駄菓子屋ー」 (117)

夏海「でも、駄菓子屋は駄菓子屋を職業にしてるし駄菓子屋にだって住んでるわけだし」

蛍「確かに、駄菓子屋さんという呼び名が定着していますよね」

小鞠「今更呼び名をってのも」

れんげ「・・・なら、旦那様というのはどうなん?」

駄菓子屋「!?」

夏海「確かに、店主を旦那とかいうよな」

蛍「そうですが、この場合女主人とかでは?」

駄菓子屋「いや、れんげ、その呼び方で構わない・・・。今日はもう遅い、お前ら、早く帰るんだ」

小鞠「はいはい」

駄菓子屋「れんげは私が送ってくからお前らは早く帰れ」

れんげ「もうこまちゃんたちが帰ってずいぶんと経ったのん。早く帰らないと姉ねぇに怒られるのん」

駄菓子屋「いや、さっき一穂先輩に電話でれんげが今晩泊まってもいいって許可を取ったから大丈夫だ」

れんげ「うち、泊まりたいなんて言ってませんが」

駄菓子屋「今晩は外食だぞ。街でハンバーグをご馳走しよう」

れんげ「うち、泊まるーん!」

駄菓子屋「はは、それに、ホテルも最高級のスイートルームをとったから期待しててくれ」

れんげ「お外に泊まるん?」

駄菓子屋「ああ。夢のような夜になるぞ」

れんげ「うち、楽しみなんな」

駄菓子屋「ただし、条件がある」

れんげ「条件?」

駄菓子屋「あー・・・、その、あれだ」

れんげ「なんなん?もったいぶらずに早く言うのん」

駄菓子屋「今日は駄菓子屋じゃなく、さっきみたいな呼び方で頼む・・・///」

れんげ「旦那様?」

駄菓子屋「そ、そんな感じで///」

れんげ「旦那様、早く車を出すのん!うち、もうお腹ペコちゃんなのですが!」

駄菓子屋「わかった、任せろ!」

しがないファミレスに勤務するくたびれた店員風の男(あ、あの娘可愛いな・・・。あ、でも妹連れか・・・)

駄菓子屋「れんげ、ついたぞ」

れんげ「うち、早くご飯食べたいのん。旦那様、好きなん注文していいん?」

駄菓子屋「ああ、遠慮せず頼め」

しがないファミレスに勤務するくたびれた店員風の男(旦那様!?あの娘、ロリコンか!?)

駄菓子屋「あ、すみません、二名です」

しがないファミレスに勤務するくたびれた店員風の男「あ、自分店員じゃないです。すみません」

駄菓子屋「あ、こちらこそすみません」

れんげ「ぷすーっ、旦那様、店員さんと間違えてますし」

駄菓子屋「しょうがねぇだろ///」

店員「二名ですね。こちらの席にお通しします。どうぞ」

駄菓子屋「あ、ああ」

れんげ「音もなく店員さんが現れたのん。忍者みたいなのん」

れんげ「景色が絶景なのん。旦那様、ここ、結構高いお店じゃないのん?」

駄菓子屋「そうでもない。単品メニューでも一つ数千円だからな」

れんげ「うちのお年玉と同じくらいなん」

駄菓子屋「遠慮せず好きなのを頼め。副業でも稼いでるから金はたんまりとある」バリバリッ

れんげ「お札がいっぱいなのん。でも、マジックテープ式のお財布なんな」

駄菓子屋「まあな。お婆ちゃんが買ってくれた、いわば思い出の財布だからな・・・」

れんげ「旦那様・・・」

駄菓子屋「・・・・・・・・・」

れんげ「うち、ハンバーグで」

駄菓子屋「お、おう」

駄菓子屋(旦那様・・・か・・・)

駄菓子屋(婆ちゃんが死んで、私が駄菓子屋の跡目を継いで・・・)

駄菓子屋(そろそろ私も結婚を考える時期が来たのかもしれないな・・・)

れんげ「・・・食べないん?」

駄菓子屋「ん?あ、ああ、ちょっと考え事をしててな」

れんげ「毎日働いてるから仕方ないのん。しょうがないのんな」

駄菓子屋「いや、全然疲れてねーし。むしろ今夜はれんげを寝かせないぞ?」

れんげ「子供を夜寝かせないなんて鬼なのん」

駄菓子屋「ハッ!?」

駄菓子屋「すまん、少し妙な事を口走ったかもしれない」

れんげ「あーん」

駄菓子屋「えっ?」

れんげ「疲れてる旦那様にうちが食べさせてあげるのんな。はい、あーん」

駄菓子屋「ば、バカ、恥ずいだろ・・・///」パクッ

れんげ「と言いつつ素直に食べるのんな」

駄菓子屋「・・・美味い」

駄菓子屋(一人じゃない食事はこんなに美味いものだったんだな・・・)

駄菓子屋(何だか、こういうぬくもりを久しく忘れてた気がする・・・)

れんげ「だったらもっと食べるのん!あーん、あーんするのん!」

駄菓子屋「って、お前、自分が苦手なハンバーグの付け合せ押し付けてるだけじゃねーか。ニンジンとか」

れんげ「ぎくっ」

駄菓子屋「ったく、しょうがねーな。まあ食ってやるけどよ」

れんげ「ほっ」

駄菓子屋「あーん」

れんげ「旦那様、どうぞなのん」

駄菓子屋「むぐむぐ・・・。うむ、苦しゅうない」

駄菓子屋「さて、食事も済んだしホテルに行くか」

れんげ「どんなとこなん?」

駄菓子屋「この辺じゃ一番いい部屋だ。一泊十数万のな。本当なら一番いいホテルの数十万するような部屋を取りたかったんだが、なにぶん田舎だからな・・・」

れんげ「よくわからないけど、気にする事はないのん」

駄菓子屋「だな。こういうのは気持ちだよな」

れんげ「寝れれば問題ないのん」

駄菓子屋「そ、そうか」

れんげ「ここが今晩泊まるとこなん?」

駄菓子屋「ああ、そうだ」

れんげ「すごいのん!ベッドがあるのん!ふかふかなのん!」ボイボイン

駄菓子屋「おいおい、あんまりはしゃぐなよ」

れんげ「一緒に飛び跳ねるのん!」

駄菓子屋「いやいや、さすがに19歳がそんな・・・」





れんげ「飛んでるのん!うち、今地球上にはいないのん!」ボインボイン

駄菓子屋「すげぇ、さすが高級ホテルのベッド!私の体重でも問題ない!」ボインボイン

れんげ「・・・さすがに疲れたのん」

駄菓子屋「ま、まあ、さすがに十分以上飛び跳ねるのはきついな」

駄菓子屋(妹と遊ぶってこんな感じなのかな・・・)

駄菓子屋(ちょっと前までは赤ん坊だったのに、月日が過ぎるのは早いもんだな・・・)

駄菓子屋(私も童心にかえったみたいで、まあ、悪い気はしなかった・・・)

れんげ「あ、冷蔵庫に飲み物があるのん。これ飲んでいいのん?」

駄菓子屋「ああ、好きなだけ飲め」

れんげ「うちはジュースにするん。旦那様は?」

駄菓子屋「一応まだ未成年だからお酒はちょっとな・・・。何か甘くないやつで」

れんげ「アイスティーしかなかったんだけどこれでいいのん?」

駄菓子屋「ああ、悪くないな」

駄菓子屋「ふぅ~、生き返るな」

れんげ「まったくですのんな。夜にジュースを飲むと姉ねぇに怒られるけど、今日は特別なん」

駄菓子屋「あ・・・。れんげ、お前そういうのは早くに言えよな」

れんげ「うっかり口を滑らせてしまったのん。とほほ」

駄菓子屋「ったく」

駄菓子屋(特別・・・か・・・。そうだよな。思えばれんげとは赤ん坊の頃からの付き合いなんだし、なんだかんだで特別な存在なんだよな・・・)

駄菓子屋「よし、とりあえず風呂だな。れんげ、先に入るか?」

れんげ「えぇ~・・・」

駄菓子屋「何だよ、その不服そうな目は」

れんげ「うち、いつもは姉ねぇに入れてもらってるん。一人じゃまだ入れないのん・・・」

駄菓子屋「えっ!?」

れんげ「今夜は旦那様に入れてもらうのん」モジモジ

駄菓子屋「ふぉぉっ・・・///」

駄菓子屋「よし、一緒に入るか」キリッ

駄菓子屋「ぬ、脱ぐの手伝おうか・・・?」

れんげ「脱ぐのくらい一人でできますのん」

駄菓子屋「だ、だよな。もう小学一年生だもんな」

れんげ「うちはもうお姉さんなんな」

駄菓子屋(落ち着け・・・。ただ風呂に入れるだけ。そう、ただそれだけだ・・・)

れんげ「・・・!!」

駄菓子屋「どうしたれんげ!?」

れんげ「うちの家のお風呂より大きくて立派なのん!」

駄菓子屋「な、なんだ・・・。ふむ、いいとこのバスタブ使ってるな。これ中古で売ったらどんくらいするかな・・・」

れんげ「やれやれ、どこまでいっても商売人なんな」

駄菓子屋「ほっとけ」

れんげ「・・・・・・・・・」

駄菓子屋「どした?」

れんげ「お風呂に入る前には体を洗わなきゃいけないんな」

駄菓子屋「・・・?洗ったらどうだ?」

れんげ「いつもは姉ねぇが洗ってくれるんですけど!今日は旦那様が洗ってくれるべきだと思いますけど!」

駄菓子屋「おまっ、小学一年生だろ///」

れんげ「うち、まだ子供ですから恥ずかしくないのん。一人で体洗えなくても恥ずかしくないのん」

駄菓子屋「やれやれ、困ったお姉さんだ。わかったよ、ほら、背中から洗ってやる」

れんげ「優しくお願いするのん」

駄菓子屋(小さい背中だな・・・)

駄菓子屋(私も小さい頃にはこうして洗ってもらってたんだよな・・・)

駄菓子屋(家族か・・・)

れんげ「・・・いつまで背中洗ってるん?」

駄菓子屋「悪い悪い」

れんげ「次は手足などもお願いしますのん」

駄菓子屋「それくらい一人でも洗えんだろ、ったく」

れんげ「とほほ、楽しようと思って調子に乗ったのが裏目に出たのん」

駄菓子屋「じゃ、私は先に入らせてもらうからな」ドプン

れんげ「ずるいのん!」

駄菓子屋「はぁ~、気持ちいい・・・。極楽気分だな・・・」

れんげ「うちも急いで洗って入るのん!」

駄菓子屋「ちゃんと洗ってからなー」

れんげ「とぉっ!」ザブンッ

駄菓子屋「ちょっ、おま、飛び込むなよ」

れんげ「ちょっとはしゃいでしまいました」

駄菓子屋「ま、今日は特別だ」

れんげ「よいしょ」

駄菓子屋「なんで自然に私の上に座るんだよ」

れんげ「何だか寂しそうに見えたのん」

駄菓子屋「・・・!?」

駄菓子屋「気のせいだよ、バカ。あと、今日は旦那様、だろ」

れんげ「そうでした、旦那様」

駄菓子屋「やれやれ、一穂先輩も毎日大変だな、これは」

れんげ「そんなことないのん。姉ねぇはうちがいないと朝も起きれない人間ですから」

駄菓子屋「はは、一穂先輩も変わってないな」

駄菓子屋(ほんと、れんげって奴は・・・)

駄菓子屋(こんなのと一緒に暮らしてたら毎日が大変だ・・・)

駄菓子屋(でも、きっとそういうのが幸せっていうんだろうな・・・)

れんげ「さっぱりしたのん。さて、眠るとしますのんな」

駄菓子屋「待て待て、まだ寝るには早いだろ」

れんげ「な、何をする気なん・・・?」

れんげ「その手に持ってるんは・・・、や、やめるのん・・・」

駄菓子屋「すぐ終わる。大人しくしてろ」

れんげ「ンアーッ(≧Д≦)」







駄菓子屋「ほら、すぐ終わっただろ。風呂上がったらちゃんとドライアーで髪を乾かせ」

れんげ「髪なんて乾かさなくてもすぐ乾くのん」

駄菓子屋「女の子だし、せっかくの綺麗な髪なんだから大事にしろよ」

れんげ「ポッ・・・///」

駄菓子屋「何でそこで照れんだよ、何だかこっちまで恥ずかしくなんだろ///」

駄菓子屋「さて、寝るか」

れんげ「ちょっと待つのん」

駄菓子屋「どした?」

れんげ「手さげにちょっと・・・」

駄菓子屋「手さげって・・・。ポシェットだろ。とはいえれんげもそういうの持つなんて女の子なんだな」

れんげ「これ、あげるん」

駄菓子屋「えっ・・・。これ、指輪か・・・?」

れんげ「誕生日おめでとうなのん。うちは子供だからそんなおもちゃしか買えなかったけど」

駄菓子屋「れんげ・・・お前・・・」

れんげ「今日は駄菓子屋の誕生日なんな。うちは大事な人の誕生日はちゃんと覚えてるん。今日は特別な日なん。だから駄菓子屋はこんな良い部屋をとったりしたん」

駄菓子屋「・・・・・・・・・」

れんげ「駄菓子屋は素直じゃないから誰にも言えなかったん。でも、うちは知ってるん」

駄菓子屋「・・・ありがとな」

れんげ「駄菓子屋、いつも一人で暮らしてるけど駄菓子屋は独りじゃないん。うちがいますから」

駄菓子屋「・・・だな。もう遅いし寝るぞ」

れんげ「うん」

駄菓子屋(何だよ・・・。何だか泣けてきたじゃねぇか・・・。れんげの奴・・・)

   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
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   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
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  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ

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・・・・・・・

れんげ「というわけで、遅刻しましたのん。でも、悪いのはなかなか起きなかった駄菓子屋が悪いのん」

一穂「あー・・・、うん、そだね。れんちょんは悪くない。悪くないぞー。でも楓には後で話を聞くからね」

夏海「どこのレストランだよそこ!ずっけーぞれんちょん!」

蛍「一晩十数万円の部屋!?こまセンパイ、すごいですね!」

小鞠「れんげがそんな大人な夜を過ごしてたなんて・・・。負けた・・・」




駄菓子屋(ふふっ、この指輪、よく見たらうちで一番高いおもちゃじゃねーか)

駄菓子屋(れんげの奴・・・)

駄菓子屋(私もあいつの誕生日に何か買ってやるか。その為にも頑張って働かないとな・・・)

駄菓子屋「さて、今日も一日頑張るか」

おしまい

すみません、卓を出すのを忘れてました
このスレはこのまま落として下さい
ごめんなさいでした

見直した
おつかれちん

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