一夏「IS学園のペットな彼女」(76)

      

一夏の部屋

一夏「あああああ、ラウラのやつまだ忍び込んでるし…」

ラウラ「ん…」

一夏「お願いだからせめてパジャマくらい着てくれ…」

ラウラ「んー」

一夏(そうだ、俺からパジャマをプレゼントすれば着てくれるんじゃないか…?)

一夏「ラウラ、起きろ」

ラウラ「んー」

一夏「…」

ラウラ「…」

一夏「デートしないか?」

ラウラ「!?」

一夏「馬鹿! 前を隠せ!」

ラウラ「む、一夏の方から誘ってくるなんてどういう風の吹き回しだ」

一夏「えーっと…」

ラウラ「私は…その…嬉しいから構わないが…」

一夏「ちょっと欲しいものがあるんだ」

ラウラ「そうなのか。では、早速部屋に戻って支度をしてくる」

一夏「おう。ってラウラ、服は?」

ラウラ「ない」

一夏(どうやってここまで来たんだよ…)

一夏「俺の服貸すから着て行けよ…」

ラウラ「すまない」

一夏「ほら、Tシャツとジャージ」

ラウラ「嫁の服も悪くないな」

一夏「それは何よりで」

ラウラ「下着がないからスースーする」

一夏「そういうことは口に出すな!」

廊下

セシリア「あら、ラウラさん、珍しくラフな格好ですのね」

ラウラ「うむ。嫁に借りたのだ」

セシリア「いっ、一夏さんに!?」

ラウラ「すまないが、これから外出するので部屋に戻って支度をしなければ」

セシリア「ちょっと、ラウラさん! もう! こうなったら一夏さんに直接…!」


一夏(な、何か嫌な予感がする…先に外で待ってるか)

正門前

ラウラ「すまない、待たせた」

一夏「…」

ラウラ「な、何をジロジロ見ているのだ」

一夏「やっぱりラウラは私服だと印象変わるよなぁ」

ラウラ「そ、そうか?」

一夏「ああ、可愛くていいと思うぞ!」

ラウラ「!?」

一夏(しまった、ラウラに可愛いは…)

ラウラ「う、うう…」

一夏「だ、大丈夫か?」

ラウラ「…大丈夫だ」

一夏「ん…じゃあ行くか」

ショッピングモール

一夏「さすがに休日は人がいっぱいだなー」

ラウラ「うむ」

一夏「はぐれないようにしないとな」

ラウラ「そういえば、以前一夏とシャルロットが2人で買い物に来ていた時」

一夏「なんでラウラが知ってるんだよ!?」

ラウラ「手をつないでいたと思うんだが」

一夏「監視されてた!?」

ラウラ「なのに…」

一夏「ん?」

ラウラ「その…私とはつないでくれないのか…?」

一夏「そ、それは…」

ラウラ「…」

一夏「こ、これでいいのか?」

ラウラ「う…」

一夏「自分から言っておいて恥ずかしがるなよ!」



ラウラ「この店は女物の服ばかりのようだが…一夏は女装趣味でもあったのか?」

一夏「んなわけあるか! お、あったあった」

ラウラ「む、パジャマか?」

一夏「そうだ。ラウラはちゃんとパジャマを着るべきだ!」

ラウラ「夫婦とは包み隠さぬものなのではないのか」

一夏「何度も言ったが、身体的に隠すべきところは隠してくれないと、こっちが困るんだ」

ラウラ「ふむ。ということは今日は私のパジャマを選ぶために…」

一夏「そうだ! 忍び込むなと言っても聞いてくれないからな。だったらせめてパジャマは着てくれ」

ラウラ「一夏がそこまで言うのなら…承知した」

一夏「よし! そうと決まれば、色々見てみようぜ。これなんてどうだ?」

ラウラ「私はこちらの色の方が――」

ショッピングモール

一夏「結構買っちゃったな」

ラウラ「金なら自分で払えると言ったのに」

一夏「俺からのプレゼントは嫌か?」

ラウラ「そ、その言い方は卑怯だ!」

一夏「そもそもラウラが裸で忍び込んでくるから――」

ラウラ「まずい、一夏! シャルロットだ」

一夏「ん、何がまずいんだ?」

ラウラ「話はあとだ、反対方向に」

一夏「お、おう。って鈴!? 鈴は色々とまずいって!」

ラウラ「どうする!」

一夏「あーもう、そこのカラオケに入るぞ!」

カラオケ

一夏「なんとか見つからずにすんだな」

ラウラ「そのようだな」

一夏「鈴にデートしてるところ見られて、あの人ごみの中でIS展開されたらたまったもんじゃないからな…」

ラウラ「確かに。例のシャルロットとのデートの時もそうなりかねない様子だった」

一夏「鈴もいたのかよ…」

ラウラ「セシリアもいたぞ」

一夏「あ、そう…」

一夏「で、そっちは?」

ラウラ「シャルロットのことか。話せば長くなるのだが」

一夏「うん」

ラウラ「以前、一夏の部屋に裸で忍び込んだのが箒経由でシャルロットに伝わったらしく」

一夏「うん」

ラウラ「その日のISの訓練で…」

一夏「う、うん」

ラウラ「ラピッドスイッチでミサイルが大量に出てきて、わけもわからず必死に回避していたら」

一夏「シャルがミサイルとか聞いたことないんだけど…」

ラウラ「イグニッションブーストからの」

一夏「ま、まさか」

ラウラ「パイルバンカーで…」

一夏(大会のときでさえやりすぎだと思ってたのに…)

ラウラ「そ、そういうわけだからシャルロットはまずかったのだ」

一夏「そのときはともかくとして、一緒に買い物くらいでシャルが怒るかなぁ」

ラウラ「でも、その…手をつないでいたし…」

一夏「離せばよかったのに」

ラウラ「むー…」

一夏「ん?」

ラウラ「は、離したくなかったのだ…私の嫁ならそのくらいわかれっ」

一夏「さ、さて、せっかくだし歌うか!」

ラウラ「ちょ、ちょっと待て、私はその、初めてでっ」

一夏「俺しかいないんだし、気にすんな! ほら、マイク!」

ラウラ「!?」

~♪

一夏「ぶらっしゅあっぷユウキ今日もー」

帰り道

一夏「すっかり夕方だなぁ」

ラウラ「そうだな」

一夏(今思うと、出会いは最悪だったよなぁ。いきなりぶたれるし、セシリアと鈴に怪我させるし)

ラウラ「…」

一夏(大会の時はどうなるかと思ったし、無事になんとかなったけど、まさかみんなの前でキスされるなんてな…次の日には裸で忍び込んでくるし…めちゃくちゃだ)

ラウラ「何やら物思いに耽っているようだな」

一夏「ん、すまん、ちょっとボーっとしてた」

トゥルル

ラウラ「む、すまん、電話だ」

一夏「おう。じゃあそこのコンビニで飲み物でも買ってくる」


クラリッサ「すみません隊長、所用で折り返しが遅れました」

ラウラ「うむ」

クラリッサ「どうしたのですか?」

ラウラ「一夏とデートすることになったので指示を仰ごうかと思ったのだが、もう帰り道だ」

クラリッサ「ほ、本当ですか! 首尾はいかがですか!」

ラウラ「うむ…いい感じではあるのだが…」

クラリッサ「わかりました。最後の一押しが必要なようですね」

ラウラ「?」

クラリッサ「デート帰り、夕日、公園、そして告白! これで落ちない男はいません!」

ラウラ「こ、告白…」

クラリッサ「隊長は、織斑一夏に好きだと面と向かって言ったことがありますか?」

ラウラ「いや、ないが…」

クラリッサ「今まで色々な策を講じてきましたが、このシチュエーションは直球勝負しかありません!」

ラウラ「し、しかし…あ、一夏が戻ってきた」

クラリッサ「では、健闘を祈ります!」

ラウラ「え、おい!」

ラウラ(しかし、やるしかない…)

ラウラ「い、一夏、あそこの公園で少し休まないか?」

一夏「いいぞ。学園までもう少しだけど、戻ったらまた騒がしくなるだろうしな」

ラウラ「…その原因は大抵おまえなんだがな」

一夏「千冬姉みたいなこと言うなよ…」

ラウラ「ふっ」

ラウラ「織斑教官…か。」

一夏「どうかしたのか?」

ラウラ「VTシステムの一件の後、織斑教官と話したことを思い出してな」

一夏「千冬姉と?」

ラウラ「私はずっと軍人として、実験体として、訓練に明け暮れていた。ただそれだけだった」

一夏「…」

ラウラ「私がVTシステムに囚われた時、おまえはそんな私を助けてくれた、守ってくれた。誰でもない、私を」

ラウラ「あの日、教官が言ってくれた。誰でもないのなら、今日からおまえはラウラ・ボーデヴィッヒだと」

一夏「…千冬姉らしいな」

ラウラ「だから私は、軍人でも代表候補生でもなく、ラウラ・ボーデヴィッヒとしての生き方を決めた」

一夏「うん」

ラウラ「皆まで言うとすごく恥ずかしいのだが…私はおまえが…」

一夏「…」

ラウラ「その…す、好きなんだ」

一夏「ラウラ…」

ラウラ「こ、これが今の私だ…なんと言われようと、織斑一夏は私の嫁だ! そう決めたのだ!」

一夏「…あのな、ラウラ。前から言おうと思ってたんだけど」

ラウラ「ん…」

一夏「嫁っていうのはさ、男が自分の好きな人のことを言う時に使うんだよ」

ラウラ「え…そ、そうなのか?」

一夏「ああ」

ラウラ「ク、クラリッサのやつ…」

一夏「だから、ラウラ・ボーデヴィッヒ」

ラウラ「?」

一夏「今日からおまえは俺の嫁だ」

ちゅっ

ラウラ「!?」

一夏「これでおあいこだな」

ラウラ「う、うう…」

一夏「え、おい、ラウラ! しっかりしろ!」



一夏「あ、やっと起きたか」

ラウラ「い、ちか…」

一夏「ああ。まさか気絶するとは思わなかったから、ビックリしたよ」

ラウラ「す、すまない…部屋まで運んでくれたのか…」

一夏「他のやつにバレるとめんどうだから俺の部屋だけどな」

ラウラ「そうか」

ラウラ(今思うと、夢のような1日だったな)

ラウラ「一夏」

一夏「?」

ラウラ「…も、もう一度言って欲しい」

一夏「ははっ」

ラウラ「わ、笑うことないだろう…」

一夏「今日からおまえは俺の嫁だ、ラウラ」

ラウラ「…このままここで寝る…」

一夏「ちゃんと自分の部屋に戻って寝ろ!」

ラウラ「むー」

翌朝

 一夏「んー、遊び疲れたせいかよく寝たなぁ」

ラウラ「すー…」

 一夏「結局またこれか…」

ラウラ「すー…」

 一夏「パジャマ脱ぎ捨ててるし!」

 一夏「…ってあれ?」

一夏「ラウラ、起きろ」

ラウラ「ん…」

 一夏「…」

ラウラ「…」

一夏「俺の嫁のラウラ・ボーデヴィッヒさん、起きてください」

ラウラ「んー…なんだ…?」

 一夏「馬鹿! 前を隠せ!」

ラウラ「あれ…パジャマ…」

 一夏「寝てる間に脱いでたみたいだぞ」

ラウラ「む…せっかく一夏が買ってくれたのに…」

 一夏「ちょっと待てラウラ」

ラウラ「?」

 一夏「パジャマを着るのは後だ。下着はどこにいった?」

ラウラ「はいてない」

 一夏「え?」

ラウラ「はいてない」

 一夏「どうしてこうなった!」

 一夏「はぁ…今日もデートだな」

ラウラ「!」

 一夏「ほら、さっさと支度してこい」

ラウラ「わかった!」

ショッピングモール

 一夏(れ、冷静に考えると女性下着を売ってる店に入るのって…)

ラウラ「どうした? 入らないのか?」

 一夏「ん…入るか…」

ラウラ「!?」

 一夏「シャ、シャル!?」

ラウラ「で、出よう」

 一夏「まだ気付かれてないみたいだし、そうしよう」

  鈴「まさかとは思ったけど」

セシリア「やはり一夏さんとラウラさんでしたか…」

 一夏「げっ!?」

  鈴「なんであんたがラウラと一緒に下着買いに来てるのよっ!」

セシリア「そ、そ、それに手をつないで!」

 一夏「こ、これには深いわけが…」

シャル「あれ? みんな、こんなところで何してるの?」

ラウラ「!?」

 一夏「に、逃げるぞ!」

  鈴「待てーっ!」

セシリア「逃がしませんわ!」

シャル「ちょ、ちょっと!」

 一夏「な、何とか逃げ切れたか…」

ラウラ「まさか最初の店に戻ってきているとは思わないだろう…」

 一夏「そうだな」

ラウラ「それで…一夏はどういうのが好みなんだ?」

 一夏「こ、好みって言われてもなぁ」

ラウラ「クラリッサに言われて、こんな感じの縞々のはいくつか買ったことがあるが」

 一夏(クラリッサさんの趣味って…)

一夏「ま、まぁ普通のでいいと思うぞ普通ので」

ラウラ「これはどうだ」

 一夏「黒のレース…千冬姉かよ…」

ラウラ「じゃあこれだ」

 一夏「い、いちご…ちょっとラウラのキャラと違うような」

ラウラ「むー、一夏の好みはわからん」

 一夏「こ、これなんてどうだ?」

ラウラ「うむ、普通だな」

 一夏「これにしよう!」

ラウラ「一夏がそう言うのなら…他にもあるか?」

 一夏「うーん」



 一夏「さすがに疲れたな…学園に戻ってきてからセシリアと鈴に見つかってないだけましか…」
 
 一夏「下手に外に出ても見つかったら面倒だしもう寝るか…」

 ガチャ

ラウラ「ん、もう寝ているのか」

ラウラ「まぁいい、私も寝ることにするか…」

夜中

一夏「ん…今何時だ? 1時…変な時間に寝たせいか…」

ラウラ「すー…」

一夏「ちゃんとパジャマは着てるな、よし」

ラウラ「…」

一夏「下着は…ごくり」

一夏「いざはいていると脱がしたくならないこともないな…」

一夏「ちゃんとはいてるか確認するだけ…」

するり

一夏「よ、よし、はいてるな、うん」

一夏「…み、見なかったことにして寝よう」

翌朝

 一夏「…俺の理性が試された一夜だった…いや、脱がせた時点でアウトか…」

ラウラ「すー…」

 一夏「え!?」

ラウラ「…」

 一夏「なんで脱いでるんだよ…」

 一夏「下着はどこいった…あ、あった」

 一夏「は、はかせておくか…」

 一夏「ふぅ…下着だけってのもなかなかの破壊力だな…ってそうじゃなくて!」

 一夏「パジャマも着せるか…」

  箒「一夏! 起きているか!」

 一夏「ほ、箒!?」

  箒「開けるぞ!」

 一夏「ちょっと待て箒!」

  箒「!?」

 一夏「ちっ、違うこれはっ!」

  箒「寝ている女の服を脱がせるとは…そこまで堕ちたか一夏…」

 一夏「だからちがっ!」

  箒「問答無用!」

 一夏「ぎゃーっ!」

  箒「成敗!」

ラウラ「ふぇ…?」



落とし所を見失ったからおわり

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