布束砥信「上条……当麻?」 (158)

「命以外何もかも失った超クソッタレな人生がお待ちかねですけどね」

朦朧とする意識の中で、聞こえた最後の言葉は、あまりにも無慈悲なものであった。
しかし、当の本人が抱いていた感情は、これからの未来の事に対する絶望ではなく、
自らの非力さに対する悔しさと、使命を果たせなかったという無念。
こんな事になるのなら……と、人並みの後悔を抱え、そして、罪の意識に苛まれながら、彼女の意識は暗闇へと落ちて行く。



——

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「ん………!!! はっ!」

びっしょりと、汗でぬらしたシーツを勢いよく跳ねのけ、上体を起こす。動悸は激しく波打ち、治まる気配をみせない。

「ここは……」

個室ではあったが、白を基調とする部屋の装飾、機具の種類、陽が差し込む窓からの風景。
それらを踏まえた上で病院と結論付けるのには何ら疑問はなかった……が、
意識を失う前のあの出来事は夢では無く、現実である。
鮮明に思い出せる光景、未だに残る体の痛み、何より、病院? に居る事が事実を裏付ける証拠として十分すぎるのだ。

「……」

しかし、あれが実際にあった出来事ならば、何故、自分はここに居るのだろうか……。
ここが『そういう』施設であるのならば、まだ、納得はできるが、とてもそうとは思えない。
あいつらがここに?……いや、反旗を翻した者に、こんな待遇を与えてくれるとはとても……
と、そこで、まるで区切りを待っていたかのようにガラガラと、扉が開く。

「やぁ? 調子はどうだい?」

部屋に入って来るや否や、まるで威圧を感じさせず、挨拶のように、白衣を着たカエル顔の男はそう尋ねた。

「うん。顔色も悪くないし、体調も良さそうだ。

痛みはまだ残っているだろうけど、傷は治ってるから、早ければ明日にでも退院できるだろうね」

「あなたは……」

そういえば……。いつか、聞いた事があった。
「どんな傷でも治す事ができるカエル顔の医者がいる」ということを。
それは、大雑把な内容ではあったが、確からしいもの。また、そう話していた人物はそのカエル顔の医者の事をこうも呼んでいた。

「冥土帰し……」

「うん? 確かに、人は僕の事をそう呼ぶね」

「……2つ、質問していいかしら」

口元を指で押さえ、ほんの僅かの思惟の後に、少し訝しんでそう尋ねる。

「あぁ。僕に答えられる範囲であれば構わないよ」

「まず、ここは病院?」

「間違いなく、ここは病院だよ」

「そう…………なら、私をここに連れて来たのは誰?」

まっすぐに、より真摯にそう聴いた。科学者としてよりも、普通の人間の感性として、この難しい疑問を単純に晴らしたかったからだ。

「うーん、特に口止めされてるわけでもないから言っちゃっても問題は無いんだけどねぇ……。

まぁ、『彼』の承諾を得たわけでもないから……正義感の強い僕の患者の一人、とだけ答えておくよ」

1人……。という事は、やはり、誰かに助けられた……? しかも男? 御坂美琴というのならまだ理解できるが……一体……。

「あっ、そうそう。後……これ、『この部屋』に落ちてたんだけどねぇ?」

そう言って、カエル顔の医者はできるだけ自然に、けれども不自然に、
ポケットの中から何かを取り出し、少女の方へとそれを差し出した。

(学生証……?)

それは何の変哲も無いただの学生証。
裏面には特にこれといって変わり無い注意事項が書かれており、表面には顔写真と、そして名前が記載されている。

「上条……当麻?」

悪の手に落ちそうな女の子を救う……そんな漫画みたいな事がそうそう起きる事などないのだ。

そう……よっぽど運が悪くない限りは……。

布束は悪くない改変だと思うけど、クローンがレイプ目じゃないのは駄目だ

>>58 ですよねー、個性が…

まぁ今回登場した『妹』は美琴にとって色んな意味で特別だし
この『妹』だけでこの後は瞳ハイライトオフにしてくれるといいんだけどなぁ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月27日 (日) 10:37:37   ID: zzlrJOrX

はよはよ

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